(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】ライトシート顕微鏡
(51)【国際特許分類】
G02B 21/06 20060101AFI20220722BHJP
G01N 21/01 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
G02B21/06
G01N21/01 D
(21)【出願番号】P 2019508237
(86)(22)【出願日】2017-08-16
(86)【国際出願番号】 EP2017070789
(87)【国際公開番号】W WO2018033582
(87)【国際公開日】2018-02-22
【審査請求日】2020-08-14
(32)【優先日】2016-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(73)【特許権者】
【識別番号】511079735
【氏名又は名称】ライカ マイクロシステムズ シーエムエス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Leica Microsystems CMS GmbH
【住所又は居所原語表記】Ernst-Leitz-Strasse 17-37, D-35578 Wetzlar, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フローリアン ファールバッハ
【審査官】殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/109323(WO,A2)
【文献】特表2013-506151(JP,A)
【文献】特表2015-523602(JP,A)
【文献】特開2007-079278(JP,A)
【文献】国際公開第2013/011680(WO,A1)
【文献】特表2015-527604(JP,A)
【文献】特表2017-504836(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0086656(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 21/00 - 21/36
G01N 21/00 - 21/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライトシート顕微鏡(10a,10b,10c,10d)であって、
照明軸線(z)に沿って伝播する照明ビーム(16)を、対物レンズ(28)を介して試料(30)上に配向するように構成されている、ビーム源(14a,14b,14c,14d)を備える照明ユニット(12)と、
前記照明ビーム(16)から、前記試料(30)を部分領域において照明する、ライトシート様式の照明光分布を生成するように構成されているライトシート生成手段(20b,62,72)と、
前記照明光分布で照明された、前記試料(30)の部分領域から生じる検出光(34)を、前記対物レンズ(28)を介して検出するように構成されている、検出器(44a,44b,44c)を備える検出ユニット(39)と、
を含んでいるライトシート顕微鏡において、
前記対物レンズ(28)は、照明対物レンズとしても、検出対物レンズとしても機能し、
前記照明ビーム(16)は、前記対物レンズ(28)の入射瞳の中心から外れた部分領域だけを照明し、
前記照明ユニット(12)は、ビーム変調手段(50,52,120,128;56,75,78,110,170,174,176)を有しており、前記ビーム変調手段は、照明強度および/または露光持続時間の変更によって、前記照明ビーム(16)を前記照明軸線(z)に沿って変調するように構成され、前記照明光分布によって照明された、前記試料(30)の部分領域の露光の前記照明軸線(z)に沿った変化は、検出された画像領域にわたりできるだけ一定の輝度が生じるように選択される、
ことを特徴とするライトシート顕微鏡(10a,10b,10c,10d)。
【請求項2】
前記ビーム変調手段(50,52,120,128)は、前記照明ビーム(16)の被写体深度領域(150)を、前記照明軸線(z)に沿って移動させるように構成されている、
請求項1記載のライトシート顕微鏡(10a,10b,10c,10d)。
【請求項3】
前記ビーム変調手段は、前記照明軸線(z)に沿って移動可能な照明対物レンズ(50)を有している、
請求項2記載のライトシート顕微鏡(10d)。
【請求項4】
前記ビーム変調手段は、前記ビーム源(14a,14b,14c,14d)に含まれている、前記照明ビーム(16)の被写体深度領域(150)を移動させる調整可能なレンズ(120)を有している、
請求項2記載のライトシート顕微鏡(10a,10b,10c,10d)。
【請求項5】
前記ビーム変調手段は、前記ビーム源(14a,14b,14c,14d)に含まれている、前記照明ビーム(16)の光路長に影響を与える光学要素(128)を有している、
請求項2記載のライトシート顕微鏡(10a,10b,10c,10d)。
【請求項6】
前記光学要素(128)は、複数の、選択的に、前記照明ビーム(16)のビーム路内に入れられる、透過性を有するブロック(130,132,134,136)を含んでおり、前記ブロック(130,132,134,136)は、前記照明軸線(z)に沿って、異なる厚さを有している、
請求項5記載のライトシート顕微鏡(10a,10b,10c,10d)。
【請求項7】
前記ビーム変調手段(50,52,120,128)は、前記照明ビーム(16)の強度を、前記被写体深度領域(150)の位置に関連して、前記照明軸線(z)に沿って変調するように構成されている、
請求項2から6までのいずれか1項記載のライトシート顕微鏡(10a,10b,10c,10d)。
【請求項8】
前記ビーム変調手段(50,52,120,128)は、前記照明ビーム(16)の強度が、前記試料(30)への前記被写体深度領域(150)の増大する侵入深度に伴って増大するように構成されている、
請求項7記載のライトシート顕微鏡(10a,10b,10c,10d)。
【請求項9】
前記ビーム変調手段(50,52,120,128)は、前記照明ビーム(16)の被写体深度領域(150)の移動速度を、その位置に関連して、前記照明軸線(z)に沿って変えるように構成されている、
請求項2から8までのいずれか1項記載のライトシート顕微鏡(10a,10b,10c,10d)。
【請求項10】
前記ビーム変調手段(50,52,120,128)は、前記照明ビーム(16)の被写体深度領域の移動速度を、前記試料(30)への侵入深度が増すとともに低減させるように構成されている、
請求項9記載のライトシート顕微鏡(10a,10b,10c,10d)。
【請求項11】
前記ビーム変調手段は、ビーム成形光学系(56,75,78,110,170,174,176)として形成されており、前記ビーム成形光学系56,75,78,110,170,174,176)は、前記照明軸線(z)に沿った前記照明ビーム(16)の変調のために、前記照明ビームの半径方向の強度プロファイルに、前記照明軸線(z)に対して垂直な少なくとも1つの方向において影響を与える、
請求項1から10までのいずれか1項記載のライトシート顕微鏡(10a,10b,10c,10d)。
【請求項12】
前記ビーム成形光学系(56,75,78,110,170,174,176)は、前記照明ビーム(16)の透過度を、前記照明軸線(z)からの半径方向の間隔に関連して、前記照明ビーム(16)の強度が、前記照明軸線(z)に沿って増大するように調整するように構成されている、
請求項11記載のライトシート顕微鏡(10a,10b,10c,10d)。
【請求項13】
前記ビーム成形光学系は、2つの位相変調要素(174,176)を含んでおり、このうちの第1の要素(174)は、前記照明ビーム(16)の位相を、前記照明ビーム(16)が第2の要素(176)で、所定の、有利には半径方向に上昇するプロファイルを備えた振幅を有するように調整する、
請求項11または12記載のライトシート顕微鏡(10a,10b,10c,10d)。
【請求項14】
前記2つの位相変調要素は、一体成形された構成要素(178)に形成されており、第1の位相変調要素で反射された照明ビーム(16)が、ミラー(184)を介して、第2の位相変調要素に戻される、
請求項13記載のライトシート顕微鏡(10a,10b,10c,10d)。
【請求項15】
試料(30)の顕微鏡結像方法であって、
照明軸線(z)に沿って伝播する照明ビーム(16)を、対物レンズ(28)を介して前記試料(30)上に配向し、
前記照明ビーム(16)から、前記試料(30)を部分領域において照明する、ライトシート様式の照明光分布を生成し、
前記照明光分布で照明された、前記試料(30)の部分領域から生じる検出光(34)を、対物レンズ(28)を介して検出する方法において、
前記照明光分布によって照明された、前記試料(30)の部分領域の露光が前記照明軸線(z)に沿って変化
し、検出された画像領域にわたりできるだけ一定の輝度が生じるように、
照明強度および/または露光持続時間の変更によって、前記照明ビーム(16)は、前記照明軸線(z)に沿って変調され、
前記対物レンズ(28)は、照明対物レンズとしても、検出対物レンズとしても機能し、
前記照明ビーム(16)は、前記対物レンズ(28)の入射瞳の中心から外れた部分領域だけを照明する、
ことを特徴とする試料(30)の顕微鏡結像方法。
【請求項16】
前記照明光分布は、前記試料(30)の非線形の蛍光励起に使用される、
請求項15記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライトシート顕微鏡に関し、このライトシート顕微鏡は、照明軸線に沿って伝播する照明ビームを試料上に配向するように構成されている、ビーム源を備える照明ユニットと、照明ビームから、試料を部分領域において照明する、ライトシート様式の照明光分布を生成するように構成されているライトシート生成手段と、照明光分布で照明された、試料の部分領域から生じる検出光を検出するように構成されている、検出器を備える検出ユニットを含んでいる。
【背景技術】
【0002】
特に蛍光顕微鏡では近年、試料が面状または線状に拡げられた光分布によって照明される顕微鏡方法が用いられている。これに対する例は、SPIM(Single Plane Illumination Microscopy)、OPM(Oblique Plane Microscopy)およびSCAPE(Swept Confocally-Aligned Planar Excitation)の名称で知られている顕微鏡方法である。たとえばSPIM顕微鏡では、照明光束が、たとえば円柱レンズを用いて、1方向においてのみ焦点合わせされ、ひいては拡張される。これによって、試料は、試料内で、1つの試料面だけを照明するライトシートまたはライトディスクによって照明される。SPIM顕微鏡は、照明と検出のために、試料側に2つの別個の対物レンズを有している。これら対物レンズの光軸は相互に垂直に延在している。結像されるべき試料面は、検出対物レンズの光軸に対して垂直に位置している。このような試料面の照明は、照明対物レンズを、検出対物レンズの光軸に対して垂直に、試料へと入射するライトシートによって行われる。
【0003】
これに対して、SCAPE方法では、唯一の、試料側の対物レンズが、照明のためにも、検出のためにも使用される。照明は、対物レンズの光軸に対して傾斜して位置するライトシートによって行われる。ライトシートがこのように傾斜しているために、SCAPE顕微鏡は通常、対物レンズと共に作用する、相互に傾斜している部分光学系を備えた正立光学系(Aufrichtungsoptik)を有している。これらの部分光学系は、中間結像を介して、傾斜しているライトシートによって照明された試料領域が、正しい姿勢で、かつほぼ光学的に修正されて検出器上へ結像されるように、作用する。
【0004】
上述したSPIM方法、OPM方法およびSCAPE方法をより詳細に説明するために、たとえば、刊行物である、Kumar,S.等著「High-speed 2D and 3D fluorescence microscopy of cardiac myocytes(Opt.Express 19, 13839 (2011))」、Dunsby,C.著「Optically sectioned imaging by oblique plane microscopy(Opt.Express 16, 20306-20316 (2008))」およびBouchard,M.B.等著「Swept confocally-aligned planar excitation (SCAPE) microscopy for high speed volumetric imaging of behaving organisms(Nat.Photonics 9, 113-119 (2015))」ならびに特許文献である、米国特許第8582203号明細書(US 8582203 B2)および米国特許第8619237号明細書(US 8619237 B2)を参照されたい。
【0005】
正立光学系がなくてもよい、類似の顕微鏡方法は、いわゆるHILO(Higly Inclined And Laminated Optical Sheet)方法である。これに関しては、Tokunaga,M.、Imamoto,N.およびSakata-Sogawa,K.著「Highly inclined thin illumination enables clear single-molecule imaging in cells(Nat. Methods 5, 159-161 (2008))」を参照されたい。
【0006】
独国特許発明第102011000835号明細書(DE 102011000835 B4)では、試料の傾斜照明のためのライトシートが、スキャンユニットによって生成される。このスキャンユニットは、照明対物レンズの後方の焦点面に対して共役関係にある面に存在している。検出されるべき蛍光光は、対物レンズとスキャンユニットとの間で取り出される。
【0007】
従来技術に関して、さらに、国際公開第2015/109323号(WO 2015/109323 A2)を参照されたい。これはとりわけ、検出されるべき蛍光光の分離のためにダイクロックミラーが、光方向において、スキャンミラーの後ろに配置されており、これによって蛍光光がスキャンミラーによって直接的にデスキャン(entscannt)される顕微鏡構造を示している。このような構造は、実質的に、点走査方式共焦点顕微鏡の構造に相当する。しかしこれは、点走査方式共焦点顕微鏡の構造と、一方では、照明ビームが弱く焦点合わせされ、傾斜して、試料へ配向されているという点で異なっている。他方では、傾斜した、対物レンズの焦点面に対して延在するラインフォーカスから集められた蛍光光が、正立光学系によって起こされる。これによって、画像情報が、照明された線に沿って、ラインセンサによって得られる。スキャンミラーは、照明ビームによる試料のスキャンにも、検出された蛍光光のデスキャンにも使用されるので、位置固定された検出器が使用可能である。
【0008】
従来技術から公知のライトシート顕微鏡方法では、特に、検出ユニットの焦点光学系が照明された試料面と一致しない場合には、過度に強い輝度差が、記録された画像内に生じてしまう。したがって、たとえばOPM方法およびSCAPE方法では、照明された試料面が、照明と検出に対して共通して設けられた対物レンズの焦点面に対して傾斜して配置されている。これによって、画像を記録する際に、表面に近い試料領域も、深く位置する試料領域も結像される。ここで、照明ビームが試料に深く侵入するほど、これは、散乱および/または吸収によって強く減衰される。したがって、深く位置し、これによってより弱く照明される試料領域に割り当てられている、結果として生じる画像の領域は、試料の表面に近い層が結像されている画像領域よりも、低い輝度を有している。
【0009】
上述した、Bouchardらの刊行物では、このような問題を解決するために、検出ビーム路に、フィルターを入れることが提案されている。このフィルターは特に明るい領域を、実質的に均一な輝度分布が生じるように、強く和らげる。しかしこれによって、比較的粗い減衰補償が生じ得る。
【0010】
従来技術からさらに、記録された画像において、照明光の散乱および/または吸収によって生じる輝度差を回避するための多数の別の方法が知られている。たとえば、Dean, K. & Fiolka, R.著「Uniform and scalable light-sheets generated by extended focusing(Opt. Express 22, 26141-26152 (2014))」、Chmielewski, A. K.等著「Fast imaging of live organisms with sculpted light sheets(Sci. Rep. 5, (2015))」、Zong, W.等著「Large-field high-resolution two-photon digital scanned light-sheet microscopy(Cell Res. 25, 254-257 (2015))」、Hoebe, R. A.等著「Controlled light-exposure microscopy reduces photobleaching and phototoxicity in fluorescence live-cell imaging(Nat. Biotechnol. 25, 249-253 (2007))」を参照されたい。
【0011】
しかし、このような方法の技術的な実現には、しばしば手間がかかる。さらに、これらは、あらゆるケースにおいて、ライトシート顕微鏡に適用できるわけではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、画像内の、照明ビームの減衰によって生じる輝度差を回避することを可能にするライトシート顕微鏡および試料を顕微鏡で結像する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明はこの課題を、請求項1記載のライトシート顕微鏡によって、および請求項15記載の方法によって解決する。有利な発展形態は、従属請求項ならびに後続の明細書に記載されている。
【0014】
本発明のライトシート顕微鏡の照明ユニットは、ビーム変調手段を有している。ここでこのビーム変調手段は、照明ビームを照明軸線に沿って、すなわちビーム伝播方向を規定している軸線に沿って、次のように変調するように構成されている。すなわち、照明光分布によって照明された、試料の部分領域の露光が、照明軸線に沿って変えられるように変調するように構成されている。試料の各部分領域の露光は、照明強度ひいては照明ビームの強度の変更によって、かつ/または試料の部分領域が照明ビームにさらされる露光持続時間の変更によって変えられる。照明軸線に沿ったこのような露光の変更は、計画的に選択され、検出された画像領域を介して、できるだけ一定の輝度が生じる。
【0015】
有利には、照明軸線に沿った照明ビームは、照明光分布によって照明された、試料の部分領域の露光が、照明軸線に沿って増大するように変調される。
【0016】
有利には、ビーム変調手段は、照明ビームの被写体深度領域または焦点を、照明軸線に沿って移動させるように構成されている。照明ビームの被写体深度領域が照明軸線に沿って移動可能であるので、照明軸線上の各位置に対する強度および/または露光持続時間が、このような位置において、試料が所望の光量によって照明されるように調整される。
【0017】
有利には、ビーム変調手段は、照明軸線に沿って移動可能な照明対物レンズを有している。すなわちこのような実施形態では、照明ビームの被写体深度領域の移動は、ビーム源の外側に配置されている光学コンポーネントを介して実現される。
【0018】
択一的な実施形態では、ビーム変調手段は、ビーム源に含まれている調整可能なレンズを含んでいる。この調整可能なレンズは、照明ビームの被写体深度領域を移動させる。その光学的な作用が可変に制御可能なこのような調整可能なレンズによって、特に容易に、照明ビームは次のように影響される。すなわち、その被写体深度領域が、照明軸線に沿って動かされるように影響される。
【0019】
別の択一的な構成では、ビーム変調手段は、ビーム源に含まれている、照明ビームの光路長に影響を与える光学要素を有している。このような光学要素は、たとえば複数の、選択的に、照明ビームのビーム路内に入れられる透過性を有するブロックを含んでいる。これらのブロックは、照明軸線に沿って、異なる厚さを有している。この光学要素は、たとえば、相応する駆動部によって、照明軸線に対して垂直に移動可能なディスクとして構成されており、ここには、透過性を有するブロックが次のように配置されている。すなわち、このディスクが照明軸線に対して垂直に移動されると、選択的に、これらのブロックのうちの1つが、照明ビームのビーム路に入れられるように配置されている。別の構成では、照明ビームの経路長を変える、透過性を有するブロックが、照明軸線に対して平行な回転軸を中心に回転可能なディスク上に配置されていてもよい。
【0020】
特に有利な構成では、ビーム変調手段は、照明ビームの強度を、被写体深度領域の位置に関連して、照明軸線に沿って変調するように構成されている。ここでは、特に、照明ビームの軸線に近い強度が意図されており、これは、照明軸線もしくは光伝播軸線を中心とした、空間的に制限された半径方向領域にわたった、ビーム強度の統合時に生じる出力に相当する。ここではたとえば、照明ビームを生成するレーザー光源が、被写体深度領域の移動と同期して相応に制御される。
【0021】
照明ビームがますます深く試料に入射することに付随して被写体深度領域の移動が現れる実施形態では、ビーム変調手段は、次のように構成されている。すなわち、照明ビームの強度が、試料への被写体深度領域の増大する侵入深度に伴って増大するように構成されている。
【0022】
特に、ビーム変調手段は次のように構成されている。すなわち、照明ビームの強度が、試料への被写体深度領域の増大する侵入深度に伴って増大するように構成されている。これによって特に容易に、散乱および/または吸収による照明ビームの減衰が補償される。
【0023】
付加的にまたは択一的に、ビーム変調手段は次のように構成されていてもよい。すなわち、照明ビームの被写体深度領域の移動速度を、その位置に関連して、照明軸線に沿って変えるように構成されていてもよい。移動速度のこのような変化は、まさに結像されるべき試料領域の箇所での露光時間の変化に一致する。
【0024】
特に、ビーム変調手段は、有利には、照明ビームの被写体深度領域の移動速度を、試料への侵入深度が増すとともに低減させるように構成されており、これによって、露光時間が相応に長くなる。
【0025】
ビーム変調手段は、照明軸線に沿った照明ビームの変調のために、その半径方向の強度プロファイルに、照明軸線に対して垂直な少なくとも1つの方向において影響を与えるビーム成形光学系として形成されていてもよい。
【0026】
ビーム成形光学系は、たとえば、照明ビームの透過度を、照明軸線からの半径方向の間隔に関連して、照明ビームの強度が照明軸線に沿って増大するように調整するように構成されている。
【0027】
ビーム成形光学系は、たとえば、2つの位相変調要素を含んでおり、このうちの第1の要素は、照明ビームの位相を次のように調整する。すなわち、照明ビームが第2の要素で、所定の、有利には半径方向に上昇するプロファイルを備えた振幅を有するように調整する。このような実施形態では、たとえば、所望の強度プロファイルの生成に伴って現れる光損失が少なく保たれる。
【0028】
これらの位相変調要素は、一体成形された構成要素に形成されていてもよく、ここでは、第1の位相変調要素で反射された照明ビームが、ミラーを介して、第2の位相変調要素に戻される。このような実施形態は特にコンパクトな構造を可能にする。
【0029】
ある実施形態では、照明ビームに、照明軸線からの半径方向の間隔に線形に比例して上昇する、または下降する位相を特徴付けるようにビーム成形光学系が形成されている。特に、ビーム成形光学系は有利には、照明ビームから、少なくとも1つのベッセルビームまたは少なくとも1つのマシュービームを成形するように構成されている。
【0030】
たとえばアキシコンによって生成可能なベッセルビームは、非回折性かつ自己再構築性の特徴を有している。後者は、ベッセルビームが、照明軸線に沿った点で、たとえば散乱中心によって部分的に妨害またはブロックされる場合に、自身のさらなる推移において、自身の形状を再び得ることを意味している。したがって、ベッセルビームを有する照明は、特に、散乱性、かつ/または吸収性の試料において大変有利である。これは特に、OPM用途およびSCAPE用途に当てはまり、ここでは照明される試料面が、検出される焦点面に対して傾斜させられており、これによって、結果として生じる画像に寄与する検出光が、試料の表面に近い領域からも、深くに位置する領域からも生じる。
【0031】
ベッセルビームの使用は、得られる、比較的高い解像度および改善された侵入深度の他に、別の利点を有している。このような利点はたとえば、ベッセルビームが自身の幅の狭い角度スペクトルに基づいて、球面収差の影響を受けない、ということである。
【0032】
マシュービームの使用も有利である。これはベッセルビームと同様に、非回折性であり、類似の特性、ひいては類似の利点を有している。しかしマシュービームが、ベッセルビームのプロファイルとは異なる横断プロファイルを有していることが知られている。マシュービームはたとえば、アキシコンが横断面において楕円のガウスビームによって照明されることによって生成され得る。
【0033】
ベッセルビームおよびマシュービームは、容易に、自身の軸線方向のプロファイルにおいて、すなわち光軸に沿って幅の狭いストリップにおける強度において変調される。これは、このような半径方向からのビーム区間に、すなわち、このようなストリップの外側から、光が供給されることによって行われる。このようなビームは、自身の被写体深度において測定されて、幅の広い角度スペクトルを有しているので、すなわち、比較的大きい半径方向のコンポーネントにおいて寄与を有しているので、これは可能である。
【0034】
当然、ここで挙げられたビームによって常に、線形の蛍光励起と非線形の蛍光励起が可能である。
【0035】
別の有利な実施形態では、ビーム成形光学系は、絞り装置を有しており、この絞り装置は、照明ビームのビーム横断面をカッティングするように構成されている。特にベッセルビームは、このようにして、ライトシート顕微鏡に対して特に有利なビーム形状にされる。したがって特に、OPM用途においては、以降でカッティングされたベッセルビームと称されるこのようなビームは、マシュービームと同様に特に有利に利用可能である。したがってカッティングされたベッセルビームまたはマシュービームは対物レンズ瞳の縁部のより近くに配置され、検出領域との重畳が相応に僅かになる。この結果、より大きい、効果的な検出開口またはより大きい、効果的な照明開口が利用可能になる。カッティングされたベッセルビームはたとえば、アキシコンおよび後置のスリット絞りを用いて作成可能である。
【0036】
有利にはビーム成形光学系は、少なくとも1つの空間光変調器、略してSLMを含んでおり、これは、照明ビームの半径方向の強度プロファイルを生成するように構成されている。このような光変調器は、所望のビームプロファイルを生成するために、照明ビームの強度を変調するように構成されていてよい。しかし、光変調器が、位相または同時に位相と強度を変調することも可能である。光変調器はたとえば、凸状のアキシコンまたは凹状のアキシコン、格子、ホログラム、または変形可能なミラーの形態で実現可能である。これは強磁性のSLMまたはLCoS-SLMとして構成されていてよい。複数のこのような要素の組み合わせも、光変調器として使用可能である。
【0037】
特別な実施形態では、ビーム源は、ライトシート生成手段として、アナモルフィック光学系を有している。たとえば円柱レンズの形状で構成され得るこのようなアナモルフィック光学系は、照明ビームを、2つの、照明軸線に対して垂直に位置する方向のうちの一方向においてのみ拡げる。このような実施形態では、ライトシートは、これに従って、静的に生成される。
【0038】
択一的な構成では、ビーム源は第1の走査要素を、ライトシート生成手段として有しており、ここでこのような第1の走査要素は、照明ビームを、第1の走査軸線に沿って動かすように構成されている。照明ビームをこのように動かすことによって、ライトシートは動的に形成される。
【0039】
別の有利な構成は、照明ユニットと検出ユニットに対して共通に設けられた第2の走査要素を有しており、この第2の走査要素は、照明ビームを、上述した第1の走査軸線に対して垂直な第2の走査軸線に沿って動かすように構成されている。したがってこのような第2の走査要素は、照明ビームにも検出光にも作用する。後者はこれによって、第2の走査軸線に沿ってデスキャンされる。これは、検出光を第2の走査要素に戻すことによって、照明ビームに、走査要素によって伝えられたスキャン運動が、検出光に関して、対向作用において相殺され、この結果、検出光が、位置固定された検出器を用いて検出可能であることを意味する。
【0040】
検出光が第1の走査軸線に沿ってデスキャンされない、説明された実施形態では、検出器は有利には、面状検出器として構成されている。
【0041】
特に有利な構成では、面状センサは多数のセンサ要素を有している。これらのセンサ要素は次のように駆動制御可能である。すなわち、所定の時点で、それぞれ、これらのセンサ要素の一部だけが、可動の、有利にはストリップ状のシャッターの様式に従ってアクティブにされているように駆動制御可能である。すなわち、このような構成では、面状センサに、ローリングシャッター機能が設けられている。したがってこれは、走査軸線に沿って動かされるラインセンサのように利用される。
【0042】
別の択一的な実施形態は、照明ユニットと検出ユニットに対して共通に設けられた走査ユニットを有しており、この走査ユニットは、照明ビームを、第1の走査軸線に沿って、かつ第1の走査軸線に対して垂直な第2の走査軸線に沿って動かすように構成されている。このような実施形態では、検出光は2つの走査軸線に沿ってデスキャンされる。ここで走査ユニットは、2つの別個の走査要素から形成されていてよく、これらの走査要素のうちの第1の走査要素は、第1の走査軸線に沿った走査のために用いられ、第2の走査要素は、第2の走査軸線に沿った走査のために用いられる。しかし同様に、2つの走査運動を実施する走査要素が1つだけ設けられていてもよい。
【0043】
上述した走査要素は、それぞれ、ガルバノメーターミラーまたは微小電気機械ミラー(MEMS)として形成されていてよい。音響光学偏向器(AOD)を使用することも可能である。用途に応じて、上述した走査要素が、1次元スキャナーとして、または2次元スキャナーとして利用される。
【0044】
有利にはビーム源は、光源を含んでいる。この光源は、用途に応じて、適切なレーザー光、たとえばパルス状のレーザー光、幅の広いレーザー光または特に、非線形の蛍光励起に適している光を放射する。
【0045】
本発明を以降で、図面を参照して実施例に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】y-z断面における、本発明が適用可能な顕微鏡の第1の実施形態
【
図2】x-z断面における、第1の実施形態に即した顕微鏡
【
図3】y-z断面における、本発明が適用可能な顕微鏡の第2の実施形態
【
図4】x-z断面における、第2の実施形態に即した顕微鏡
【
図5】y-z断面における、本発明が適用可能な顕微鏡の第3の実施形態
【
図6】x-z断面における、第3の実施形態に即した顕微鏡
【
図7】y-z断面における、本発明が適用可能な顕微鏡の第4の実施形態
【
図8】x-z断面における、顕微鏡の第4の実施形態
【
図9】ライトシートを生成するための本発明のビーム源
【
図10】ライトシートを生成するためのビーム源の択一的な実施形態
【
図11】ベッセルビームを生成するための本発明のビーム源
【
図12】
図11のビーム源において使用される凸状アキシコンの作用を示す概略図
【
図13】択一的に使用可能な凸状アキシコンの作用を示す概略図
【
図14】カッティングされたベッセルビームを生成するために、ビーム源において使用可能な絞り装置の概略図
【
図15】カッティングされたベッセルビームを生成するための択一的な絞り装置を示す概略図
【
図16】カッティングされたベッセルビームを生成するための別の択一的な絞り装置を示す概略図
【
図17】マシュービームを生成するための本発明のビーム源
【
図18】軸線方向に移動可能な被写体深度領域を備える照明ビームを生成するための本発明のビーム源
【
図19】軸線方向に移動可能な被写体深度領域を備える照明ビームを生成するための択一的なビーム源
【
図20】ベッセルビームの使用時の対物レンズ瞳と検出瞳を示す瞳の図
【
図21】マシュービームおよびカッティングされたベッセルビームの使用時の対物レンズ瞳と検出瞳を示す瞳の図
【
図22】ガウスビームの使用時の照明ビームと検出円錐との間の重畳を示す概略的な断面図
【
図23】ガウスビームの使用時の照明ビームと検出円錐との間の重畳の別の断面図
【
図24】カッティングされたベッセルビームまたはマシュービームの使用時の照明ビームと検出円錐との間の重畳を示す概略的な断面図
【
図25】カッティングされたベッセルビームまたはマシュービームの使用時の照明ビームと検出円錐との間の重畳を示す別の断面図
【
図26】照明ビームの軸線方向の被写体深度領域を示す概略図
【
図27】照明ビームの被写体深度領域の、本発明に相応する移動を示す概略図
【
図28】被写体深度領域の位置に関連した照明光ビームの強度の本発明の変化を示す概略図
【
図29】自身の位置に関連する、照明光ビームの被写体深度領域の移動速度の本発明の変化を示す概略図
【
図30】照明ビームの半径方向のプロファイルに本発明に相応に影響を与えることによってどのように減衰補償に対する軸線方向の強度を制御することができるのかを示す概略図
【
図31】吸収補償をするビームプロファイルを有する照明ビームを生成するための本発明のビーム源
【
図32】吸収補償をするビームプロファイルを有する照明ビームを生成するための本発明の別のビーム源
【
図33】吸収補償をするビームプロファイルを有する照明ビームを生成するための本発明の別のビーム源
【
図34】x-y断面における、ローリングシャッター機能を有する面状検出器を有する本発明の実施形態
【
図36】x-y断面における、ローリングシャッター機能を有する面状検出器を有する別の実施形態
【発明を実施するための形態】
【0047】
以降では、
図1から
図8を参照して、まずは、本発明のビーム変調が適用可能なライトシート顕微鏡の種々の実施形態を説明する。これらの種々の実施形態は共通して、照明および検出に対してそれぞれ共通の対物レンズ、すなわちそれを通して蛍光励起照明光も、引き起こされた蛍光ビームによって表される検出光も案内される対物レンズを有している。したがって、これらの実施形態は、SCAPE顕微鏡またはOPM顕微鏡の様式に従って動作する。しかしここで、明確に、本発明が、たとえばSPIM顕微鏡の場合のように、照明と検出に対して別個の対物レンズを設けているライトシート顕微鏡にも適用可能であるということを指摘しておく。
【0048】
図1および
図2では、ライトシート顕微鏡10aが第1の実施形態として示されている。
図1および
図2は、軸線x、yおよびzを有する直交座標系を参照する。ここで
図1は、y-z面における断面を示し、
図2はx-z面における断面を示している。
【0049】
ライトシート顕微鏡10aは、照明ビーム16を送出するように構成されているビーム源14aを備える照明ユニット12を有している。本実施形態では、ビーム源14aは、
図1および
図2に明示されていないアナモルフィック光学系を有している。これはたとえば円柱レンズであり、これは、照明光ビーム16を、ライトシート状の照明光分布のために形成する。これは以降で単にライトシートと称される。ビーム源14aからの出射時には、ライトシートはy-z面に対して平行に配向されている面状の光分布を形成する。
図1および
図2に示されているビーム源14a(ならびに、
図3から
図8に示されている別のビーム源)の本発明の技術的な実現を、以降で、多数の実施例に基づいて、
図9から
図37を参照して詳細に説明する。
【0050】
ビーム源14aは、照明ビーム16を偏向ミラー18に放出する。この偏向ミラーは、照明ビーム16を1次元スキャンミラー20aの方向へ反射する。1次元スキャンミラー20aは、たとえばガルバノメーターミラーとして、またはMEMSミラーとして構成されており、
図1において、図平面に対して垂直に延在するx軸線を中心に、図面に明示的に示されていない駆動部によって傾斜可能である。このような傾斜によって、1次元スキャンミラー20aは、照明ビーム16を、y軸線に対して平行な方向にずらす。したがって1次元スキャンミラー20aは、実質的にyスキャンミラーと称される。
【0051】
yスキャンミラー20aは、照明ビーム16を光学系22の方向において反射する。ここでこの光学系は、スキャンレンズ24と、チューブレンズ26から成り、テレスコープを形成する。光学系22は、照明ビーム16を対物レンズ28へ配向する。ここでこの対物レンズは、試料30を、照明ビーム16によって照明する。図面を簡略化するために、試料30は
図1においてのみ示されている。
【0052】
yスキャンミラー20aは、照明ビーム路において、次のように配置されている。すなわち、これが、対物レンズ28の後方の焦点面に対して共役の面に存在するように配置されている。このようにしてyスキャンミラー20a、光学系22および対物レンズ28は、テレセントリック系を形成する。対物レンズ28が構造的に、スキャンミラー20aが直接的にその瞳内に配置されることが可能であるように構成されている場合には、レンズ24および26から成るテレスコープは、必ずしも必要ではない。
【0053】
図1に示されているように、照明ビーム16は次のようにyスキャンミラー20aに入射する。すなわち、これがy軸線に沿ってずれて対物レンズ28内に入るように入射する。したがって、照明ビーム16は、対物レンズ28の入射瞳の中心から外れた部分領域だけを照明する。これによって、照明ビームは、試料30内で、対物レンズ28の光軸に対して傾斜して伝播する。ライトシートを形成する照明ビーム16、ひいては面状の照明ビーム16は、試料体積体において、照明面Aに沿って伝播し、ここで蛍光を励起する。試料内で照明する面を規定する照明面Aは、照明軸線、すなわち照明ビーム16の伝播方向と、x軸線によって形成されている(
図2を参照)。
図1および
図2において、参照番号32は、対物レンズ28の試料側の焦点面を表す。
【0054】
yスキャンミラー20aが、x軸線を中心に傾斜させられることによって、光軸に対して傾斜している照明面Aは、試料30内の画像スタックを記録するために、y軸線に対して平行に移動される。
【0055】
照明ビーム16によって引き起こされた蛍光ビームは、以降で、検出光34と称され、これは同様に、対物レンズ28に達する。この対物レンズはこれに従って、照明対物レンズとしても、検出対物レンズとしても機能する。検出光34は、光学系22を通過した後、yスキャンミラー20aに入射する。yスキャンミラーは、検出光34を次のように反射する。すなわち、これが偏向ミラー18を通過し、正立光学系36に達するように反射する。正立光学系36は、2つの別の対物レンズ38および40ならびにチューブレンズ42を含んでいる。このチューブレンズの後には、面状検出器44aが配置されている。yスキャンミラー20aに戻すことによって、検出光34はy軸線の方向においてデスキャンされる。これは、照明ビーム16に、yスキャンミラー20aによって伝達されたスキャン運動(このスキャン運動によって、いわば試料30を通って照明面Aが動かされる)が、検出光34をyスキャンミラー20aに戻すことによって、対向作用において相殺されることを意味する。この結果、照明面Aは常に位置固定されて、面状検出器44a上に結像される。これによって、画像の記録が面状に行われ、すなわち、面状検出器44aの全てのピクセルが同時に照明される。上述したコンポーネント20a、22、28、36および44aは、一般的に、参照番号39が付けられた検出ユニットを形成する。
【0056】
正立光学系36は、照明面Aを、中間結像の過程において、位置固定された面A’上に結像する機能を有している。面A’は、焦点面32に対して光学的に共役である面46に対して傾斜させられている。
【0057】
図1および
図2に示されているように、正立光学系36の2つの対物レンズ38および40は、相互に傾斜して配置されている。対物レンズ38および40のこのような傾斜によって、面A’は、位置が正しく、面状検出器44上に結像される。上述したように、デスキャンされた、yスキャンミラー20aの作用によって、さらに、照明面Aが、位置固定された中間像A’を介して位置固定されて、面状検出器44上に結像されることが保証される。
【0058】
ここで、x-z断面を示している
図2において、検出ビーム路が著しく簡略化されているということを示唆しておく。実際には、yスキャンミラー20aと対物レンズ38との間に位置している、検出ビーム路の部分は、
図2の図平面に対して垂直に延在している。また、面状検出器44の方向においてこれに続いている、検出ビーム路の部分は、
図2の図平面から傾斜して延在している。
【0059】
図3および
図4には、y-z切断面もしくはx-z切断面において、ライトシート顕微鏡10bが示されている。これは、本発明に相応に、
図1および
図2に示された実施形態の変更を表している。
【0060】
ライトシート顕微鏡10bは、
図1および
図2に示された顕微鏡10aに対して、次のように変更されている。すなわち、対物レンズ28への入射前に、x-z面に対して平行な、面状の光分布を表しているライトシート状の照明光分布が、ビーム源に配置されたアナモルフィック光学系によってではなく、スキャンミラーによって生成されるように変更されている。このスキャンミラーは、照明ビーム16をx軸線に対して平行な方向において動かし、このようにして同様に、仮想のライトシートを生成する。
図1および
図2に示された実施形態と比べて、上述した変更は、
図3および
図4に示されたライトシート顕微鏡10bにおいて、次のことによって実現される。すなわち、ビーム源14aが、修正されたビーム源14bによって置換され、yスキャンミラー20aが2Dスキャンミラー20bによって置換され、面状検出器44aがライン検出器44bによって置換されていることによって実現される。その他の点では、ライトシート顕微鏡10bの機能コンポーネントは、上述した顕微鏡10aの機能コンポーネントと一致する。これらの機能コンポーネントには、
図1および
図2において使用されている参照番号が付けられており、以降で再度、説明されることはない。これに相応することが、それぞれ上述した図を参照する全ての別の図に当てはまる。
【0061】
修正されたビーム源14bは、ライトシート生成のためのアナモルフィック光学系を含んでいない。ライトシートの生成は、ライトシート顕微鏡10bでは、むしろ2Dスキャンミラー20bによって引き起こされる。これは、x軸線を中心としても、y軸線を中心としても傾斜可能であり、以降で、xyスキャンミラーと称される。ここで、y軸線を中心としたxyスキャンミラー20bの傾斜は、ライトシートをx-z面において生成するのに用いられる。その限りでは、
図3および
図4に示されたxyスキャンミラー20bは、
図1および
図2に示されたライトシート顕微鏡10aにおいて、ビーム源14aに含まれているアナモルフィック光学系が満たす機能を担っている。これに対して、x軸線を中心にしたxyスキャンミラー20bの傾斜によって、同様に、y軸線に沿った、照明ビーム16のずれが生じる。このようなずれは、
図1および
図2に示された実施形態の場合のように、ライトシート顕微鏡10bでも、試料30を通って照明面Aを動かし、このようにして、画像スタックの記録を可能にするために利用される。
【0062】
試料から生じる検出光を、xyスキャンミラー20bに戻すことによって、ライトシート顕微鏡10bでも、検出光34のデスキャンが行われる。検出光34がy軸線の方向においてのみデスキャンされるライトシート顕微鏡10aとは異なり、
図3および
図4に示された実施形態では、デスキャンは、y軸線の方向においても、x軸線の方向においても行われる。これに相応して、ライトシート顕微鏡10bでは、
図1および
図2に示された面状検出器44aは、ライン検出器44bによって置換されている。したがって、ライトシート顕微鏡10bでは、画像の記録は、共焦点のライン検出の過程において行われる。
【0063】
ライン検出器44bは、ここでは、複数のラインを有していてよく、これは特に、Time delay integration(TDI)機能を有している場合であり、ここでは、ピクセル-ラインの信号は、センサに対して相対的に動かされる画像に同期して移動され、積分され、これによって、スミアーアーチファクトが回避される。
【0064】
図5および
図6は、別の実施形態としてのライトシート顕微鏡10cを、y-z断面もしくはx-z断面において示している。
図1および
図2に示されているライトシート顕微鏡10aと比べて、
図5および
図6に示された変更は、次のことによって実現される。すなわち、ビーム源14aが、修正されたビーム源14cによって置換され、面状検出器44aが修正された面状検出器44cによって置換されていることによって実現される。
【0065】
ライトシート顕微鏡10aでは、ビーム源14aは、x-z面に対して平行に位置するライトシートを生成するアナモルフィック光学系を有しており、ライトシート顕微鏡10cの修正されたビーム源14cは、このような目的のために、
図5および
図6に詳細に示されていないxスキャンミラーを有しており、このxスキャンミラーは、y軸を中心に傾斜可能である。
図3および
図4に示されている実施形態のように、
図5および
図6に示されたライトシート顕微鏡10cでも、照明ビーム16は、x-z面において動かされ、これによって同様に、仮想のライトシートが生成される。
【0066】
しかし、
図5および
図6のライトシート顕微鏡10cでは、xスキャンミラーはビーム源14c内に配置されているので、これは検出光34には作用しない。すなわち後者は、yスキャンミラー20aにのみ戻される。これは、検出光34をy軸線の方向においてデスキャンする。すなわち、x軸線の方向における検出光34のデスキャンは、ライトシート顕微鏡10bでは行われない。これに相応して、
図1および
図2に示されているライトシート顕微鏡10aの場合のように、かつ
図3および
図4に示されているライトシート顕微鏡10bとは異なり、面状検出器44cが設けられている。しかし、同様に面状検出器44aを有するライトシート顕微鏡10aとは異なり、ライトシート顕微鏡10cでは、面状検出器44cによるライン毎の画像の記録が可能である。このようなライン毎の画像の記録は、たとえば次のことによって実現される。すなわち、面状検出器44cが、ビーム源14c内に含まれているxスキャンミラーの駆動制御と同期されているローリングシャッター機能を有していることによって実現される。
【0067】
図7および
図8は、別の実施形態としてのライトシート顕微鏡10dを、y-z断面もしくはx-z断面において示している。ライトシート顕微鏡10dは、
図5および
図6において示されている顕微鏡10cに対する変更を示している。このような変更は、ライトシート顕微鏡10cの場合のように、仮想の、x-z面に対して平行に配向されているライトシートを生成するxスキャンミラーを有するビーム源14dが、照明ビーム16を、付加的な照明対物レンズ50へ送出することにある。これはたとえば、
図7において、双方向矢印によって示されているように、ピエゾ圧電式駆動部によって、照明ビーム路の光軸に沿って移動可能である。照明対物レンズ50は、照明ビーム16を、面46の領域において、照明ビーム路内へ結合する。上述されているように、面46は光学的に焦点面32に対して共役に位置している。照明対物レンズ50が軸線方向に動かされることによって、試料30内に位置するライトシートの被写体深度領域は、照明面Aに沿って移動する。照明対物レンズ50とビーム源14dとの間に、チューブレンズ51が位置している。
【0068】
その他の点では、ライトシート顕微鏡10dは、実質的に、上述した実施形態に一致する。
【0069】
以降では、本発明のビーム源の種々の実施形態が説明されており、これは
図1から
図8に示された光顕微鏡装置および相応の装置において使用可能である。
【0070】
図9は、単なる概略図において、ビーム源68を示しており、これはたとえば、
図1および
図2に示された、ライトシート顕微鏡10a内で、ビーム源14aとして使用され得る。このような実施例では、ビーム源68は、レーザー光源52、ファイバー結合部54、ビーム成形光学系56および可変の絞り開口部を有しているスリット絞り64を含んでいる。ビーム成形光学系56は、ビーム拡張器を形成する2つの、相互に移動可能なレンズ58、60と、円柱レンズ62を含んでいる。ビーム成形光学系56は、スリット絞り64上に結像する。
【0071】
スリット絞り64と、照明対物レンズ28との間に、4fシステムが任意の数、配置されていてよく、これは
図9において、参照番号65が付けられている2つの線によって示されている。例示的に、
図1および
図2に示された装置を参照すると、このような4fシステムは、次のことのために使用される。すなわち、スリット絞り64をyスキャンミラー20a上に結像するために使用される。yスキャンミラー20aは次に、
図1および
図2において、スキャンレンズ24およびチューブレンズ26を含んでいる光学系22から形成されている別の4fシステムを介して、照明対物レンズ28の入射瞳内に結像される。
【0072】
図9に示されている装置では、全ての光学要素58、60、62および28がテレセントリックに配置されている。すなわち、自身の焦点距離の総計の間隔で配置されている。
【0073】
スリット絞り64は、円柱レンズ62の焦点に、ひいては対物レンズ28の瞳に共役な面に配置されている。これは、照明ビーム16の効果的な開口数を整合するために用いられる。これによって、スリット絞り64を介して、ライトシートの厚さおよび被写体深度が調整される。
【0074】
図9に示された実施形態は、単に例示的なものであると理解されるべきであり、多用に変更可能である。したがってたとえば、ビーム源52内に、別のスリット絞りを、照明対物レンズ28の焦点面に対して共役な面に配置することが可能である。このようなさらなるスリット絞りは、次に同様に、ライトシートの横方向のカッティングに用いられ、ひいては、ライトシートによって照明される試料領域の幅の、面状検出器44aによって記録された画像領域の幅への整合に用いられる。
図2を参照して、これによって、x軸線の方向におけるライトシートのカッティングが意図される。
【0075】
図10は、同様に、単なる概略図において、ビーム源70を示している。これはたとえば、
図5および6に示されたライトシート顕微鏡10cにおいて、ビーム源14cとして、または、
図7および8に示されたライトシート顕微鏡10dにおいて、ビーム源10dとして使用可能である。
【0076】
図9に示されたビーム源68が、ライトシートを生成するための円柱レンズ62を有しているのに対して、
図10に示されたビーム源70は、ライトシート生成の目的で、円柱レンズ62の代わりに、(
図5から
図8を参照して)、y軸線を中心に傾斜可能であるxスキャンミラー72と、このxスキャンミラー72の後に配置されているスキャンレンズ74を含んでいる。y軸線を中心としたxスキャンミラーの傾斜によって、照明ビーム16はx-z面において動かされ、これによって、仮想のライトシートが生成される。xスキャンミラー72のレンズ58、60およびスキャンレンズ74は、ビーム成形光学系75を形成する。
【0077】
図11は、
図10に示されたビーム源70に対する変更を表す、ビーム源76を示している。このビーム源76は、ビーム成形光学系78を有している。このビーム成形光学系は、ベッセルビームの形態の照明ビーム16を生成するように構成されている。このために、ビーム成形光学系78は、2つのレンズ58、60から形成されたビーム拡張器の他に、凸状のアキシコン80ならびに別の、このアキシコン80の後方に配置されているレンズ82を有している。このアキシコン80は、屈折性または回折性の構成要素またはホログラムとして、空間光変調器上に構成されていてよく、または変形可能なミラーとして構成されていてよい。アキシコン80は、照明ビーム16の位相を、この光軸からの間隔に関連して変更するために用いられる。アキシコン80の作用は、
図12に示された概略図において、より詳細に示されている。
【0078】
図12に示された図では、双方向矢印81は、ひし形の領域を示しており、このひし形の領域内では、アキシコン80によって生成されたベッセルビームの強度極大値が局地化されている。別の双方向矢印84は、レンズ82の後方の焦点距離を示している。これに相応に、レンズ82の後方の焦点面83は、ひし形の領域81の中央に位置している。これは、レンズ84によって結像されており、これによって、ベッセルビームの強度極大値が、照明対物レンズの焦点面に移される。
図12に示されているひし形の領域81は、これによって、ベッセルビームの被写体深度を表している。ベッセルビームの軸線方向のプロファイルが、対称にさせるために、すなわちビームプロファイルを均一化するために、
図12においてBの参照符号が付けられている面に、リング絞りが配置されていてよい。
【0079】
図13は、凸状のアキシコン80の代わりに、凹状のアキシコン86が使用されている択一的な実施形態を示している。凹状のアキシコン86によって、仮想のベッセルビームが形成され、その強度極大値は、
図13において参照番号88が付けられている領域内に位置する。ここには同様に、レンズ86の後方の焦点面83が位置する。アキシコン86の凹状の構成は、特に省スペースの装置を可能にする。
【0080】
図14から
図16には、種々の絞り装置が示されている。これらの絞り装置は、
図11に示されているビーム源76において、凸状のアキシコン82(
図12を参照)とともに、または凹状のアキシコン86(
図13を参照)とともに作用して、カッティングされたベッセルビームの生成のために使用可能である。
【0081】
図14は、光軸Oの平面図で、絞り94を示している。ここでこの絞り94は、
図12または13に示された図において、面Aまたは面Bに配置されている。絞り94は、2つの絞り部分96および98から形成されている。これらはそれぞれ、三角形の幾何学形状を有している。絞り部分96および98は、相互に次のように向かい合っている。すなわち、その三角形の形状の頂点が、
図14の平面図において、光軸O上に位置しているように向かい合っている。
図14に示された角度βは、アキシコン80もしくは86によって使用されている開口に対する尺度である。
【0082】
図15は、択一的な実施形態において、間隙絞り100を示している。このような間隙絞りは、2つの長方形の絞り部分102と104から形成されている。2つの絞り部分102および104は、所定の間隔で、相互に対称に、光軸Oに対して配置されている。これによって、中空空間が形成され、この中空空間内でベッセルビームが伝播する。角度βは同様に、アキシコン80もしくは86によって使用される開口を表している。間隙絞り100は、
図12および
図13に示されている装置において、それぞれ面Bに配置されている。間隙絞り100によって、カッティングされたベッセルビームは、リング状の光分布によって生成される。
【0083】
図16は、別の択一的な実施形態において、絞り106を示している。これは、ワンピースの、長方形の絞り部分から形成されており、この絞り部分は、光軸O上に配置されている。これによって、絞り106は、ベッセルビームによって形成された光分布の軸線に近い部分を遮断する。これに相応に、カッティングされたベッセルビームは、光分布の軸線に遠い部分によって生成され、これは
図16において、絞り106の上方および下方を通過する。これによって、カッティングされたベッセルビームが、再び、リング状の光分布の周辺に生じる。
【0084】
絞り106は、
図12および13に示された装置において、それぞれ、面B内に配置されている。角度βは同様に、アキシコン80もしくは86によって使用される開口を示している。
【0085】
図17は、ビーム源108を示している。これはたとえば、
図5および
図6に示されているライトシート顕微鏡10cにおいて、ビーム源14cとして、または
図7および
図8に示されているライトシート顕微鏡10dにおいて、ビーム源14dとして使用され得る。
【0086】
図17に示されているビーム源108は、照明ビーム16を、マシュービームの形態で生成するように構成されている。このために、ビーム源108は、ビーム成形光学系110を有しており、これは、たとえば、
図11に示されているビーム源76において使用されているビーム成形光学系78と、次の点によって異なっている。すなわち、2つのレンズ110および112から形成されているビーム拡張器が、アナモルフィックに形成されている、すなわち、光軸に対して垂直に位置する2つの軸線に沿って異なる拡大を有しているという点によって異なっている。これに従って、アナモルフィックビーム拡張器から生じる照明ビーム16は、楕円形のガウスビームの形態で、アキシコン80に入射する。このような楕円形のガウスビームは、アキシコン80によって、マシュービームに形成される。これは次に、既に説明されたように、ライトシート生成のために使用される。
【0087】
図18は、別のビーム源114を示しており、これは、照明ビーム16の被写体深度領域を試料内で移動させるように構成されている。その限りでは、
図18に示された実施形態は、
図7に示された解決策に対する選択肢を示す。ここでは、照明ビーム16の被写体深度領域の移動が、照明対物レンズ50を用いて行われる。すなわちここでは、被写体深度領域の移動が、ビーム源の外側に設けられているコンポーネントを介して行われ、
図18に示された実施形態では、このような技術的な機能は、ビーム源114自体によって実現される。
【0088】
ビーム源114は、既に説明されたコンポーネント、たとえば、レーザー光源52、ファイバー結合部54、yスキャンミラー72およびスキャンレンズ74の他に、ビーム成形光学系116ならびに、3つのレンズ118、120および122から形成されたレンズ装置を含んでいる。このレンズ装置は、ビーム成形光学系116の後方に配置されている。ビーム成形光学系116として、選択的に、
図9から
図17に例示的に示されている光学系が使用されてよい。すなわち、特に、ビーム成形光学系116は次のように構成されていてよい。すなわち、これが照明ビーム16をベッセルビーム、カッティングされたベッセルビームまたはマシュービームに形成するように構成されていてよい。しかしビーム成形光学系116は、上述したビームの種類の生成に制限されない。特に、ビーム成形光学系116は、これが、従来のガウスビームを生成するように構成されていてもよい。
【0089】
ビーム成形光学系114の後ろに配置されているレンズ装置は、次のように選択されている。すなわち、2つの外側のレンズ118および122が、光軸に沿って、自身の焦点距離の総計の間隔において位置付けされているように選択されている。これは次のことを意味している。すなわち、2つのレンズ118および122の間に、レンズ118からも、レンズ122からも、各レンズ118もしくは122の焦点距離と一致する間隔を有している面が位置することを意味している。これに従って共通の焦点面を形成するこのような面には、中央のレンズ120が配置されている。このレンズ120は、調整可能なレンズとして構成されており、すなわち、その光学的な作用が可変に制御可能な光学要素として構成されている。たとえば、調整可能なレンズ120は、エラストマーレンズとして実現され、その表面曲率は、外部の作動によって変更可能であり、したがって、レンズの焦点距離が制御可能である。調整可能なレンズ120の相応する駆動制御によって、このようにして、照明ビーム16は、要望に応じて、収束または発散され、これは、被写体深度領域の相応する変化を生じさせる。
【0090】
ビーム源114を用いて、照明ビーム16の被写体深度領域は次のように制御される。すなわち、試料内で生成されたライトシートが、形状、延在および位置に関して変更されるように制御される。このようにして、照明ビームの被写体深度領域は、従来の装置において、通常、全体的な画像領域が照明されるように調整される。これは次のことを意味する。すなわち、被写体深度領域が、通常は、光軸に沿った画像の延在に相応することを意味する。これに対して、
図18に示されたビーム源114は次のように制御される。すなわち、照明ビーム16がより強く焦点合わせされ、すなわち、より小さい被写体深度領域が選択され、これによって、結果として生じるライトシートが、自身のくびれ部分の領域においてより細くなり、他方で、くびれ部分から離れて、より強く発散され、すなわち、より太くなるように制御される。有利にはこの場合には、検出器側で、検出光だけが検出され、この検出光は、ライトシートのくびれ部分によって照明される試料ストリップから生じる。
【0091】
図19は、ビーム源124を示している。このビーム源は、照明ビーム16の被写体深度領域の移動のための、
図18に示されている装置に対して変更された実施形態を示している。ビーム源124は、
図18において設けられた、調整可能なレンズ120の代わりに、光軸に対して垂直に移動可能なディスク128を含んでいる。これは、複数の、透過性を有するブロック130、132、134および136を含んでいる。透過性を有するブロック130から136は、光軸に沿って異なる厚さを有している。ディスク128は、相応する駆動部によって、光軸に対して垂直に移動可能であり、したがって選択的に、透過性を有するブロック130から136のうちの1つが、照明ビーム16のビーム路内に入れられる。自身の異なる軸線方向の厚さの結果、透過性を有するブロック130から136は、照明ビーム16の光路長に異なって影響を与える。光路長の変化する影響は、照明ビームの被写体深度領域、ひいては被写体深度領域に相当する、結果として生じるライトシートのくびれ部分を、試料内で移動させるために使用される。
【0092】
図19に示されたビーム源124では、2つのレンズ118と122は次のように相互に間隔が空けられている。すなわち、これらが近似的に、テレセントリック系を形成するように、相互に間隔が空けられている。正確にするために、2つのレンズ118、122の間隔は、レンズ118、122の焦点距離の総計よりも若干大きくなるように選択される。この間隔は、まさに、中間の厚さの、透過性を有するブロック、たとえばブロック134が、照明ビーム16のビーム路内に位置し、コリメートされた形態で、レンズ118へ入射する照明ビーム60が、同様にコリメートされてレンズ122から出射するように定められている。これに対して、2つの比較的厚いブロック130、132のうちの1つがビーム路内に存在している場合、照明ビーム16は、レンズ122から出射する際に発散する。これに対して、比較的薄いブロック136が、ビーム路内に入れられる場合、照明ビームは、収束された光束として、レンズ122から出射する。
【0093】
透過性を有するブロック130から136が設けられているディスク128は、照明ビーム16が発散して、または収束しているがコリメートされていないビーム路の領域内に存在する。
【0094】
図19に示されている、照明ビーム16の光路長に影響を与える実現形態は、単に例示的なものであると理解されたい。したがって、たとえば透過性を有するブロック130および136は、相応に修正された実現形態において、たとえば、光軸を中心に回転可能であるディスク上に配置されてもよく、このようにして、選択的に、ブロックの1つが、ビーム路内に入れられる。
【0095】
図20および
図21は、瞳の図を示している。これらは、ガウスビームの使用に対するベッセルビーム、カッティングされたベッセルビームおよびマシュービームの使用の利点を、明らかにしている。
図20および
図21に示されている例においては、各照明ビームが、x軸線に沿ってずらされて、対物レンズ瞳302内に入射し、その後、対物レンズ瞳302の中央から外れた部分領域だけが、照明されることが想定されている。
【0096】
x方向におけるこのようなずれは、光軸に対する、結果として生じるライトシートの傾斜を特定する。
【0097】
図20および
図21には、種々のビームタイプに対して、それぞれ、対物レンズ瞳302の、照明開口304および検出開口306に割り当てられている領域が示されている。照明開口304によって規定された瞳領域は、別の照明瞳において、および検出開口306によって規定された瞳領域において、検出瞳として表されている。
【0098】
図20では、ベッセルビーム300aに対して、これが対物レンズ瞳302の縁部においてどのように、照明瞳および検出瞳が、x方向における対物レンズ瞳302の延在を完全に利用するように位置付けされているかが示されている。矢印の長さは、最大の照明開口を示している。
図21には、カッティングされたベッセルビームもしくはマシュービーム300bに対する同じ状況が示されている。ここで、
図21において、付加的に、ガウスビームに対する最大の照明開口310が、比較のために示されている。
図21に示された図から明らかであるように、カッティングされたベッセルビームまたはマシュービーム300bは、比較的大きい照明開口の場合に、対物レンズ瞳302の縁部のより近くに位置付けされる。換言すれば、比較的大きい照明開口の場合に、照明瞳と検出瞳との重畳を回避することができる。このようにして、結果において、比較的大きい検出開口または比較的大きい照明開口が利用され得る。
【0099】
ベッセルビームを用いた照明から、特にカッティングされたベッセルビームとマシュービームを用いた照明から、ガウスビームを用いた照明に対して生じる利点が、再度、
図22から
図25に示されている。ここで
図22および
図23は、相互に垂直に位置する2つの断面において、ガウスビームを用いた照明を示しており、
図24および
図25は相応する断面において、カッティングされたベッセルビームまたはマシュービームを用いた照明を示している。
【0100】
図22から
図25ではそれぞれ、対物レンズ138ならびに照明ビーム140の各横断面ならびに検出円錐142が示されている。照明ビーム140は
図22および
図23においてはガウスビームであり、
図24および
図25においては、カッティングされたベッセルビームまたはマシュービームである。
【0101】
照明は有利には次のように選択される。すなわち、各照明ビーム140と検出円錐142との重畳が、
図22おいて、参照番号144が付けられた破線によって示されている、結像されるべき面を中心にしたできるだけ狭い領域に制限されているように選択される。特に
図22および
図25においては、照明ビーム140と検出円錐142との間の重畳が回避されるべき領域に、参照番号146が付けられている。
【0102】
図22から
図25をまとめて見ると分かるように、照明ビーム140と検出円錐142との間の上述した重畳は、カッティングされたベッセルビームまたはマシュービームの使用時には、ガウスビームの使用時に比べて格段に少ない。これによって、カッティングされたベッセルビームまたはマシュービームに対して、格段に多くの遊びが生じ、検出開口が高くなる。ここでは、検出開口NA
det=nα
detが特定され、この際に、検出円錐142の開口角度2α
detが、図を容易にするために、
図22においてのみ示されている。
図22ではさらに、角度2α
illが示されており、これは、照明開口に対する尺度を表している。照明および検出の開口は、対物レンズの開放角度αによって制限されている。これは、NA=nsinαを、2α=2α
ill+2α
detにわたって有している。
【0103】
以降では、実施形態が説明されており、この実施形態は次のことを目指している。すなわち、試料への照明ビームの侵入深度が増すとともに、散乱および吸収によって生じる、検出光の損失を補償することを目指している。照明された面が、検出対物レンズの焦点面に一致する従来の顕微鏡では、照明光のこのような損失が、画像領域にわたって、比較的僅かである。これに対して、OPMまたはSCAPE等の、ライトシート顕微鏡方法では、個々の画像に対して、検出光が、試料内の極めて異なる深さから検出される。このような場合には、光侵入深度が増すとともに強くなる、散乱および吸収の結果として生じる、照明光の損失を補償することが必要である。
【0104】
図26から
図29において、例示的に、
図4、
図18および
図19に示された装置を用いて可能であるように、照明ビーム16の被写体深度領域の移動によって、散乱および/または吸収が原因で生じる、光侵入深度に関連する照明ビーム16の減衰が、どのように補償されるのかが示されている。
図26は、対物レンズ148を示しており、これを通じて、試料が、照明ビーム16によって照明される。照明ビーム16は、被写体深度領域150を有しており、照明軸線zに沿った、この被写体深度領域の延在は、
図26において、双方向矢印によって示されている。被写体深度領域150内には、
図26において参照番号152が付けられている、対物レンズ148の焦点面が存在している。
【0105】
図27では、一方では、どのようにして、照明ビーム16のより強い焦点合わせによって、その被写体深度領域150が、照明軸線zに沿って短くされるのかを示している。これに相応して、半径方向rにおいて、すなわち照明軸線zに対して垂直な方向において測定された、照明ビーム16の幅も低減する。この結果、より短い被写体深度を伴う、格段に薄いライトシートが生じる。
【0106】
図27は、他方で、ライトシートが試料を照明する侵入深度を変えるために、被写体深度領域150が、照明軸線zに沿って、どのように移動されるのかが示されている。その内部で、被写体深度領域150が、照明軸線zに沿って移動される領域は、
図27において、参照番号151が付けられた双方向矢印151によって示されている。
【0107】
図28には、被写体深度領域150の軸線方向の移動がどのように減衰補償に使用されるのかの例が示されている。ここでは、
図28において、曲線154は、時間tに関連する照明ビームの強度を示している。その下に位置する、参照番号156が付けられている曲線は、これに対して、照明軸線zに沿った被写体深度領域150の位置を、時間tに関連して示している。ここで、曲線156の上昇は、被写体深度領域150の移動と、
図27において、左から右へ、一致している。
【0108】
図28における曲線156の推移が示しているように、被写体深度領域150はこの例では、まずは、所期位置から、一定の速度で、照明軸線zに沿って、対物レンズ148から離れて、最終位置へ動き、次にこの最終位置から、所期位置へ戻り、次に再び、所期位置から、同じ一定の速度で、最終位置へと動く。ここで
図27において、被写体深度領域150が、所期位置において、実線で示されており、最終位置において、破線で示されている。
【0109】
曲線154に従って、照明ビーム16の強度が上昇し、被写体深度領域150は、自身の初期位置から、照明軸線zに沿って、自身の最終位置へ動かされる。
図28に示された例では、強度は指数関数的に上昇する。このような指数関数的な強度上昇は、いわゆるランベルト・ベールの法則を反映している。この法則は、吸収する物質および/または散乱する物質を有する媒体を通る際の電磁ビームの強度の減衰を、このような物質の濃度と侵入深度に関連して表している。しかし、簡易的な実現形態では、照明ビームの線形の強度上昇も設定されていてよい。
【0110】
zに沿った上昇もしくは一般的に変調は、特に繰り返し、適応するように、次のように対物レンズに合わせられる。すなわち、信号強度が、画像において、zに沿って均一であるように合わせられる。ここで、たとえば少なくとも1つの(生)画像が評価され、これによって、ビームプロファイルは、適切な方法で整合され、最終的な、最適化された画像が生成され、ユーザーに対して格納される。
【0111】
図28および
図29において示されている強度推移を調整するために、照明ビーム16を放射するレーザー光源が相応に時間に関連して制御される。
【0112】
図29は、減衰補償のための、変更された実施例を示している。
図29における曲線154が示しているように、この実施例では、照明ビーム16の強度が、被写体深度領域150の全体的な移動運動を介して、一定に保持される。これに対して、照明ビーム16が、照明軸線zに沿って動かされる速度が変化する。具体的にはここで、移動速度は、侵入深度が増すとともに低減する。これは、照明ビーム16の滞在時間が、侵入深度とともに増すことを意味している。これによって、より深く位置する試料領域が、より強く照明される。
【0113】
図30では、照明ビーム16の半径方向プロファイルの影響によって、どのように、その強度が、照明軸線zに沿って、吸収補償のために制御されるのかが明らかにされている。ここでは照明ビーム16として、有利には、ベッセルビーム、カッティングされたベッセルビームまたはマシュービームが使用される。所望のビーム形状を生成するために、たとえば、凸状のアキシコンが、面158に位置付けされ得る。
図30が示しているように、このような面158の後方には、レンズ160ならびに対物レンズ162が配置されている。レンズ160と対物レンズ162との間に、任意の数のテレセントリック光学系と、ビーム偏向手段が配置されている。
【0114】
照明ビーム16の半径方向プロファイルに影響を与えるために、適切な手段、たとえば異なる透過度のリングセグメントが設けられているマスクによって、照明ビーム16の透過度が、照明軸線zからの半径方向の間隔rに関連して、次のように変更される。すなわち、照明ビーム16の強度が、照明軸線zに沿って、所望のように調整されるように変更される。たとえば、照明軸線zにおいて位置z2が割り当てられている半径方向の間隔ρ1の場合に、照明軸線において位置z1が割り当てられているより大きい半径方向の間隔ρ2の場合よりも大きいように、透過度が選択される場合には、軸線位置z2における照明ビーム16の強度は、位置z1における強度よりも高くされ得る。ここで、屈折作用が考慮されるべきであり、ならびにリング幅dρを有するリングが、面A=2πρdρを有しているという事実が考慮されるべきである。すなわちこれは、ρとともに増大する。すなわち、光軸上での照明ビームの均一な強度のために、リングセグメントの透過度は、外側へ向かって、低減しなければならない。散乱および/または吸収によって発生する光損失を考慮して、このようにして、適切な透過度制御マスクを用いて、照明ビームの半径方向プロファイルが次のように調整される。すなわち、照明ビーム16の軸線方向の強度が、照明軸線zに沿って、ちょうど、侵入深度とともに増大する光損失が補償されるように強く増大するように調整される。
【0115】
図30に示された、ベッセルビーム、カッティングされたベッセルビームまたはマシュービームを用いた照明は、特に、共焦点ライン検出との関係において、実利的に適用可能である。
【0116】
図31は、ビーム源168を示しており、これによって、
図30に示されている照明原理が例示的に実現されている。
図31に示されたビーム源168は、レーザー光源52、ファイバー結合部54および2つのレンズ58、60から形成されているビーム拡張器の他に、
図30にも示されているレンズ160ならびに空間光変調器170を有しており、これによって、
図30を参照して上述したアキシコンは、半径方向ビームプロファイルを制御するマスクとともに実現されている。空間光変調器170の代わりに、フリーフォームレンズも使用可能であり、その曲率半径は、半径方向の間隔rとともに変化し、これによって照明ビーム16の軸線方向の強度が、所望のように制御される。
【0117】
図32は、ビーム源172を示しており、これは、
図31に示された装置に対して変更された、
図30に示された照明原理を実現するための実施形態を表している。ビーム源172は、2つの空間光変調器174と176を有しており、このうちの第1の光変調器174は、第2の光変調器176上に、軸線方向で上昇するビームプロファイルに対する適切な照明を生成するために用いられる。ここで、第1の光変調器174は、照明ビームの位相を次のように変調する。すなわち、照明ビーム16の振幅が、第2の空間光変調器上で、所望のように、照明軸線からの半径方向の間隔に関連して変化するように変調する。
図30を参照して、レンズ160と対物レンズ162との間に位置している第2の空間光変調器176は、同様に、たとえばアキシコンによって形成されている。第2の光変調器176から始まり、照明ビーム16はたとえば、スキャンミラーを介して、照明対物レンズへと伝播する。
【0118】
図33は、ビーム源178を示しており、これは、
図32に示された実施形態に対して、次のことによって変更されている。すなわち、2つの別個の光変調器174、176の代わりに、唯一の空間光変調器178が設けられているということによって変更されている。この空間光変調器は、2つの変調器領域180および182を有しており、このうちの第1の変調器区間180が第1の光変調器174の機能を担い、第2の変調器区間182が第2の光変調器176の機能を担っている。
【0119】
照明ビーム16はまずは、第1の変調器区間180に入射し、レンズ160を通り、ミラー184で第2の変調器区間の方向に反射される。第2の変調器区間182から始まり、照明ビーム16は、別のミラー186へと伝搬する。これは、照明ビーム16を、たとえばスキャンミラーを介して、照明対物レンズの方向に反射する。
【0120】
図34および
図35は、ローリングシャッター機能を有する面状検出器188が使用される実施形態を示している。ここで
図34は、x-y断面における装置を示しており、
図35は、y-z断面における装置を示している。
図34および
図35に示された実施形態では、照明と検出のために、別個の対物レンズが設けられている。すなわち、照明ビーム16を試料へ焦点合わせする照明対物レンズ190と、自身の光軸によって、照明対物レンズ190の光軸に対して垂直に配置されている検出対物レンズ192である。
図34および
図35に示されている装置はさらに、検出対物レンズ192の後ろに配置されている正立ユニット194ならびに面状検出器188の前に配置されているチューブレンズ196を有している。
【0121】
図34および
図35に示されている実施形態では、照明ビーム16は、照明軸線zに対して横向きに、x軸線に沿って動かされる。これに相応して、試料は、z軸線の方向に延在するストリップに沿って照明される。このストリップは、逆向きに、x軸線に沿って動かされる。この結果、検出光34は面状検出器188上で、相応するストリップを生成する。これは、z軸線の方向において延在し、x軸線に沿って、面状検出器188上で動かされる。
【0122】
面状検出器188は、ローリングシャッター機能を有している。すなわち、面状検出器は、次のように構成されている。すなわち、所定の時点でそれぞれ、z軸線の方向において延在している、面状検出器188のストリップ状の領域198だけがアクティブにされ、これによって検出作用を有するように構成されている。面状検出器188は次のように駆動制御される。すなわち、アクティブにされた自身のストリップ状の領域198が、面状検出器188上に入射する検出光ストリップと同期して、x軸線に沿って動かされるように駆動制御される。
【0123】
面状検出器188は次のように駆動制御されてよい。すなわち、自身の、ローリングシャッター機能を実現するストリップ状の領域198が、x軸線の方向において、1つのピクセルの幅だけを有するように駆動制御されてよい。このような場合には、面状検出器188は、(x軸線の方向に動かされる)ライン検出器と同様に作用する。しかし、検出光のより良好な収量を可能にするために、面状検出器188のストリップ状の領域198が、x軸線の方向において、複数のピクセルの幅を有していてもよい。いずれにせよ、面状検出器188のストリップ状の領域198は、有利には、スリット絞りの様式で利用され、これによって、ライン毎の検出が実現される。幅、すなわち同時にアクティブにされるラインの数は、理想的には自由に調整可能である。
【0124】
特に有利な構成では、
図34および
図35に示されている装置で使用されている照明ビームは、ベッセルビーム、カッティングされたベッセルビームまたはマシュービームである。上述したビーム源によって生成可能なこのようなビームによって、照明軸線zの隣に位置する領域はいわば、照明軸線zに、たとえば、
図30から
図33に示されている解決方法に従って光を供給するために利用され得る。これはガウスビームによっては不可能である。後者は、高い被写体深度に対して必要な幅の狭い角度スペクトルを有している。これに対して、たとえば、ベッセルビームは、比較的高い半径方向のコンポーネントでは、角度スペクトルにおいて寄与する。面状検出器188のストリップ状の領域は、このような場合には、たとえば、
図30に示されている線164と一致する。すなわちこれは、センサに対して共役の面において、x軸線に沿った位置に位置する。これは、領域198上に結像される。
【0125】
図36および
図37では、変更された実施形態が、x-y断面もしくはy-z断面において示されており、ここでは同様に、ローリングシャッター機能を有する面状検出器200が使用されている。
図34および
図35に示された実施形態とは異なり、ここでは、照明ビーム16は、高い開口数で、かつ低い被写体深度で生成される。その限りでは、このような実施形態に対して、
図26から
図29に基づいて例示的に説明されたような照明の様式が使用され得る。
【0126】
図36および
図37に示された装置では、照明ビーム16は次のように焦点合わせされる。すなわちこれが、照明軸線zの方向において比較的短くなるように焦点合わせされる。このような場合には、照明ビーム16のくびれ部分は、検出軸線であるy軸線の方向において、比較的薄い。
【0127】
照明ビーム16によって照明された試料領域は、x方向において長く延在するストリップの形態において、面状検出器200上に結像される。照明ビーム16がz軸線に沿って動かされることによって、検出光ストリップは、面状検出器200上で、逆向きに、z軸線に沿って移動する。これに相応して、面状検出器200は次のように駆動制御される。すなわち、x軸線に沿って延在し、z軸線の方向において、1つまたは複数のピクセルの幅を有する、面状検出器200のストリップ状の領域202だけが所定の時点でアクティブにされ、ひいては検出作用を有するように駆動制御される。面状検出器200のこのようなストリップ状の領域202は、ローリングシャッター機能の実現のために、照明ビーム16の運動と同期して、z軸線に沿って移動される。
【0128】
上述した全ての実施例は、単に、本発明のビーム変調手段の例示的な説明に使用されている。ビーム変調のための上述した手段が、このような手段の説明において、それぞれ具体的に参照された実施形態に制限されないということに特に留意されたい。したがって各手段は、別の実施形態と組み合わされてもよい。さらに、種々のビーム変調手段自体が、必要に応じて、相互に組み合わされてよい。したがってたとえば、照明ビームの被写体深度領域の移動によって実現されているビーム変調を、上述したビーム成形光学系による、ビーム横断面の制御によって得られるビーム変調と組み合わせることが可能である。