(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】マルチキャビティ、収縮可能なスリーブおよびその構築方法
(51)【国際特許分類】
D03D 3/02 20060101AFI20220722BHJP
D03D 1/00 20060101ALI20220722BHJP
D04B 1/22 20060101ALI20220722BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
D03D3/02
D03D1/00 Z
D04B1/22
H02G3/04
(21)【出願番号】P 2019522467
(86)(22)【出願日】2017-10-30
(86)【国際出願番号】 US2017058927
(87)【国際公開番号】W WO2018081669
(87)【国際公開日】2018-05-03
【審査請求日】2020-10-28
(32)【優先日】2016-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503170721
【氏名又は名称】フェデラル-モーグル・パワートレイン・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】FEDERAL-MOGUL POWERTRAIN LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ローラン,ブノワ
(72)【発明者】
【氏名】トマ,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ミュナロ,ジャン-ミシェル
【審査官】川口 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-502078(JP,A)
【文献】特表2000-513072(JP,A)
【文献】特開2012-082529(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03D 3/02
D03D 1/00
D04B 1/22
H02G 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長い部材を配策および保護するためのテキスタイルスリーブであって、
壁を備え、前記壁は、織り合わされた繊維から一体化された単一部材
であり、前記スリーブの両端間を長手方向に延在
しており、
前記壁は
、複数の管状壁セクションを含み
、複数の前記管状壁セクションの各々は、前記両端間を長手方向に延在し、且つ、前記細長い部材についての周方向に連続するように構成されており、
前記壁は、介在単層セクションをさらに含み、複数のうちの互いに隣接する
前記管状壁セクションは
、横方向に
互いに離れて
おり、且つ、これらの間に設けられた前記介在単層セクションによって
互いに固定され
ており、
前記介在単層セクションは、長手方向に延在する複数の繊維から構成されており、
前記介在単層セクションを構成している前記複数の繊維は、前記周方向に延在し前記管状壁セクションを構成している複数の繊維と織り合わされており、
各前記管状壁セクション内の前記
複数の繊維のうちの少なくともいくつかは
、熱収縮可能な繊維であり、各前記管状壁セクションは第1の径方向に拡大された組立状態から第2のそのなかに含まれた対応する細長い部材の周りに径方向に絞られた状態に熱収縮可能である、テキスタイルスリーブ。
【請求項2】
前記壁は前記スリーブの両端間を長手方向に延在する縦糸と前記縦糸に対してほぼ横向きに延在する緯糸とを用いて織られ、前記緯糸のうちの少なくともいくつかは前記熱収縮可能な繊維として提供される、請求項1に記載のテキスタイルスリーブ。
【請求項3】
前記緯糸の全体は熱収縮可能な繊維である、請求項2に記載のテキスタイルスリーブ。
【請求項4】
前記緯糸は熱収縮不能なマルチフィラメント繊維を含む、請求項2に記載のテキスタイルスリーブ。
【請求項5】
前記縦糸は熱収縮不能なマルチフィラメントおよび/またはモノフィラメントを含む、請求項2に記載のテキスタイルスリーブ。
【請求項6】
前記縦糸の全体は熱収縮不能なマルチフィラメントおよび/またはモノフィラメントを含む、請求項5に記載のテキスタイルスリーブ。
【請求項7】
複数の
うちの少なくとも1つの前記管状壁セクション
は、長手方向に延在する複数の別個のキャビティを含み
、
前記複数の別個のキャビティは、
前記両端間で互いに並んでいるとともに、前記
織り合わされた繊維の壁によって互いに分離される、請求項1に記載のテキスタイルスリーブ。
【請求項8】
前記壁は緯編
されたステッチから
構成される、請求項1に記載のテキスタイルスリーブ。
【請求項9】
各管状壁セクション内の前記
緯編されたステッチのうちの少なくともいくつかは熱収縮不能なフィラメントを含む、請求項8に記載のテキスタイルスリーブ。
【請求項10】
各管状壁セクション内の前記
緯編されたステッチの全体は熱収縮可能なフィラメントを含む、請求項8に記載のテキスタイルスリーブ。
【請求項11】
複数の細長い部材を互いに間隔を空けて配策および保護するための細長いテキスタイルスリーブの構築方法であって、
壁を形成することを備え、前記壁は、繊維を
織り合わ
せることによって一体化された
単一部材であり、前記方法はさらに、
複数の管状壁セクションを含む、前記壁を形成することを備え、複数の前記管状壁セクションの各々は、前記スリーブの両端間で長手方向に延在
し、且つ、前記細長い部材についての周方向に連続するように構成され、前記方法はさらに、
介在単層セクションをさらに含む、前記壁を形成することを備え、複数のうちの互いに隣接する
前記管状壁セクション
は、横方向に互いに
離れ、且つ、これらの間に設けられた前記介在単層セクションによって互いに固定され、前記介在単層セクションは、長手方向に延在する複数の繊維から構成されており、前記介在単層セクションを構成している前記複数の繊維は、前記周方向に延在し前記管状壁セクションを構成している複数の繊維と織り合わされており、前記方法はさらに、
各
前記管状壁セクション内の前記
複数の繊維のうちの少なくともいくつかを熱収縮可能な繊維として
織り合わせることにより、各
前記管状壁セクションを第1の径方向に拡大された組立状態から第2のそのなかに含まれた対応する細長い部材の周りに径方向に絞られた状態に熱収縮可能とするこ
とを備える、方法。
【請求項12】
前記スリーブの両端間を長手方向に延在する縦糸を前記縦糸に対してほぼ横向きに延在する緯糸と織ることによって前記
織り合わせることを行うことをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記緯糸の全体を熱収縮可能な繊維として織ることをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
熱収縮不能なマルチフィラメント繊維を含む前記緯糸を織ることをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記縦糸を熱収縮不能な繊維として織ることをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
緯編されたステッチを形成するために
、前記
織り合わせることを緯編処理において行うことをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
各管状壁セクション内の前
記緯編されたステッチのうちの少なくともいくつかを熱収縮不能な繊維から形成することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
各管状壁セクション内の前
記緯編されたステッチの各々を熱収縮可能な繊維から形成することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
周方向に連続する複数の前記管状壁セクションのうちの少なくとも1つを前記両端間で互いに並んで長手方向に延在する複数の別個のキャビティを含んで形成することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記
織り合わされた繊維の壁によって前記キャビティを互いから分離することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年10月28日付出願の米国特許仮出願第62/414,518号、および2017年10月27日付出願の米国特許出願第15/796,333号の利益を主張し、その全体が参照によりここに組み込まれる。
【0002】
発明の背景
1.技術分野
この発明は、一般に細長い部材を保護するためのテキスタイルスリーブに関連し、より具体的には、スリーブに沿って長手方向に延在する複数のキャビティを有する収縮可能なスリーブに関する。
【背景技術】
【0003】
2.関連技術
衝撃および摩擦、液体および熱の影響に対して細長い部材に保護を提供するために、さまざまな種類の配線、ワイヤハーネス、ケーブルおよび導管等の細長い部材を、織られ編まれたスリーブ内に含むことが知られている。複数の細長い部材を互いに沿って配策するときに、別個のスリーブの周りのラッピングテープ、タイストラップなどによって別個のスリーブを互いに固定することが一般的であり、これにより別個のスリーブの束およびそのなかに含まれた細長い部材を互いに固定して維持する。これはスリーブ/細長い部材を互いに束ねるために一般に有効であることがわかるが、それはそれらを一緒に束ねるために余分な労働およびコストを要する。さらに、テープ、タイストラップなどは時間経過により損傷され得、これにより別個のスリーブが互いから分離される可能性がある。さらには、テープ、タイストラップなどはかさばりおよび/または見苦しいとわかる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の概要
本開示の1つの局面に従い、細長い部材を配策および保護するためのテキスタイルスリーブが提供される。スリーブはスリーブの両端間を長手方向に延在する単一部材である、織り合わされた繊維の一体化された壁を含む。壁は周方向に連続する、両端間で長手方向に延在する複数の管状壁セクションを含み、隣接する管状壁セクションは介在単層セクションによって横方向に離れて固定される。各管状壁セクション内の繊維のうちの少なくともいくつかは熱収縮可能な繊維として提供され、これにより各管状壁セクションを第1の径方向に拡大された組立状態から第2のそのなかに含まれた対応する細長い部材の周りに径方向に絞られた状態に熱収縮可能であるように提供する。
【0005】
本開示のさらに別の局面に従い、周方向に連続する複数の管状壁セクションの各々またはいくつかは両端間で互いに重畳し/下にあり/並んで長手方向に延在する複数の別個のキャビティを有して提供されることができ、複数の別個のキャビティは織り合わされたフィラメントの壁によって互いに分離される2つ以上の別個のキャビティを含むことができる。
【0006】
本開示の別の局面は複数の細長い部材を横方向に互いから離れて固定するために、別個の締結機構(たとえばテープ、タイストラップ、配線、紐)を要さずに、複数の細長い部材を互いに間隔を空けて配策および保護するための細長いテキスタイルスリーブを提供する。スリーブはスリーブの両端間を長手方向に延在する縦糸と縦糸に対してほぼ横方向の緯糸(複数可)を用いて織られた単一部材の一体化された壁を含む。壁は周方向に連続する、両端間で互いに長手方向に平行にまたは実質的に平行に延在する複数の管状壁セクションを含む(真の平行からのわずかな逸脱を含むことがここに意図され、このため管状壁セクションは互いに真の平行から蛇行し得るが、当業者には互いに平行であると一般に理解される)。隣接する管状壁セクションは織られた介在単層セクションによって横方向に離れて固定され、介在するセクション(複数可)は緯糸(複数可)とともに織られた複数の縦糸を含む。各管状壁セクション内の緯糸のうちの少なくともいくつかは熱収縮可能な繊維として提供され(適した熱源にさらされるとその長さの約10~60%以上の範囲で収縮可能な繊維として当業者によって一般に知られる)、これにより各管状壁セクションが第1の径方向に拡大された組立状態から第2のそのなかに含まれた対応する細長い部材の周りに径方向に絞られた状態に熱収縮可能である。
【0007】
本開示の別の局面に従い、スリーブ内の緯糸の全体は熱収縮可能な繊維として提供されることができる。
【0008】
本開示の別の局面に従い、スリーブ内のいくつかの緯糸は熱収縮不能なマルチフィラメント繊維を含むことができ、これによりスリーブの被覆性、可撓性および柔軟性を高める。
【0009】
本開示の別の局面に従い、縦糸の全体は熱収縮不能なマルチフィラメントおよび/またはモノフィラメントとして提供されることができ、これによりスリーブが長さにおいて収縮することを阻止し、またテキスタイル分野の当業者によって容易に理解されるように使用された材料に依存してスリーブに摩擦抵抗性、被覆性、可撓性、柔軟性、剛性といった強化された物理プロパティを提供する。
【0010】
本開示の別の局面に従い、縦糸はPET、ナイロン、PP、PE、PPS、PEEK、およびNomexのうちの少なくとも1つまたは複数として提供されることができる。
【0011】
本開示の別の局面に従い、複数の細長い部材を互いに間隔を空けて配策および保護するための細長いテキスタイルスリーブは緯編ステッチで構築される単一部材の一体化された壁を含む。壁は周方向に連続する、両端間で互いに長手方向に平行にまたは実質的に平行に延在する複数の管状壁セクションを含む。隣接する管状壁セクションは編まれた介在単層セクションによって互いに横方向に離れて固定される。各管状壁セクション内の緯編ステッチのうちの少なくともいくつかは熱収縮可能な繊維から形成され、これにより各管状壁セクションが第1の径方向に拡大された組立状態から第2のそのなかに含まれた対応する細長い部材の周りに径方向に絞られた状態に熱収縮可能である。
【0012】
本開示の別の局面に従い、各管状壁セクション内の編ステッチのうちの少なくともいくつかは熱収縮不能なマルチフィラメントおよび/またはモノフィラメントを含むことができ、これによりテキスタイル分野の当業者によって容易に理解されるように、使用された繊維材料の種類に依存して、摩擦抵抗性、被覆性、可撓性、柔軟性、剛性といった物理プロパティを高める。
【0013】
本開示の別の局面に従い、編ステッチのうちの少なくともいくつかはPET、ナイロン、PP、PE、PPS、PEEK、およびNomexの繊維から形成されることができる。
【0014】
本開示の別の局面に従い、上述の織られたまたは編まれたスリーブのいずれかにおける周方向に連続する複数の管状壁セクションの各々またはいくつかは両端間で互いに上下して長手方向に延在する複数の別個のキャビティを有して形成されることができ、複数の別個のキャビティは対応する織られた/編まれた壁によって互いから分けられた2つ以上の別個のキャビティを含むことができる。
【0015】
本開示のさらに別の局面に従い、複数の細長い部材を互いに間隔を空けて配策および保護するための細長いテキスタイルスリーブの構築方法が提供される。方法はスリーブの両端間を長手方向に延在する縦糸と縦糸に対してほぼ横向きに延在する緯糸とを用いて、スリーブを単一部材の一体化された壁として織ることを含む。方法は周方向に連続する、両端間で互いに長手方向に平行にまたは実質的に平行に延在する複数の管状壁セクションを含む壁を織ることをさらに含む。さらには、方法は隣接する管状壁セクション間の、複数の縦糸を含む、織られた介在単層セクションを織り、隣接する管状壁セクションを互いに所与の横方向に離れた関係に維持することを含む。方法は各管状壁セクション内の緯糸のうちの少なくともいくつかを熱収縮可能な繊維として織ることをさらに含み、これにより各管状壁セクションが第1の径方向に拡大された組立状態から第2のそのなかに含まれた対応する細長い部材の周りに径方向に絞られた固定された状態に熱収縮可能である。
【0016】
本開示の別の局面に従い、方法は緯糸の全体を熱収縮可能な繊維として織ることを含むことができる。
【0017】
本開示の別の局面に従い、方法は熱収縮不能なマルチフィラメントおよび/またはモノフィラメント繊維を含むいくつかの緯糸を織ることを含むことができる。
【0018】
本開示の別の局面に従い、方法は縦糸を熱収縮不能なマルチフィラメントおよび/またはモノフィラメントとして織ることを含むことができる。
【0019】
本開示の別の局面に従い、方法は縦糸をPET、ナイロン、PP、PE、PPS、PEEK、およびNomexのうちの少なくとも1つまたは複数として織ることを含むことができる。
【0020】
本開示のさらに別の局面に従い、複数の細長い部材を互いに間隔を空けて配策および保護するための細長いテキスタイルスリーブの構築方法はスリーブを単一部材の一体化された壁として緯編みすることを含む。方法は周方向に連続する、両端間で互いに長手方向に平行にまたは実質的に平行に延在する複数の管状壁セクションを含む壁を編むことをさらに含む。さらには、隣接する管状壁セクション間の介在単層セクションを編むことによって隣接する管状壁セクションを互いに所与の横方向に離れた関係に維持する。方法は各管状壁セクション内の繊維のうちの少なくともいくつかを熱収縮可能な繊維を用いて編むことをさらに含み、これにより各管状壁セクションが第1の径方向に拡大された組立状態から第2のそのなかに含まれた対応する細長い部材の周りに径方向に絞られた状態に熱収縮可能である。
【0021】
本開示のさらに別の局面に従い、方法は両端間で互いに重畳し/下にあり/並んだ長手方向に延在する複数の別個のキャビティを有する周方向に連続する各またはいくつかの複数の管状壁セクションを織ることまたは編むことを含むことができ、複数の別個のキャビティは2つ以上の別個のキャビティを含むことができる。
【0022】
図面の簡単な説明
これらおよび他の態様、特徴および利点は、現在好ましい実施形態の以下の詳細な説明および最良の形態、添付の特許請求の範囲、ならびに添付の図面を考慮すれば、当業者には容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本開示の1つの局面に従い構築される、熱収縮されていない拡張された状態において示される管状の織られたスリーブの概略斜視図である。
【
図1A】熱収縮され絞られた状態において示される
図1と同様の図である。
【
図2】本開示の1つの局面に従いその内部に織られた繊維を示す
図1のスリーブの壁の部分的概略断面図である。
【
図3】本開示の別の1つの局面に従いその内部に織られた繊維を示す
図1のスリーブの壁の拡大された部分的概略平面図である。
【
図4】本開示の別の局面に従い構築される、熱収縮されていない拡張された状態において示される管状の編まれたスリーブの概略斜視図である。
【
図4A】熱収縮され絞られた状態において示される
図4と同様の図である。
【
図5】本開示の別の局面に従い構築される、熱収縮されていない拡張された状態において示されるスリーブの概略斜視図である。
【
図5A】熱収縮され絞られた状態において示される
図5と同様の図である。
【
図6】本開示の別の局面に従い構築される、熱収縮されていない拡張された状態において示されるスリーブの概略斜視図である。
【
図6A】熱収縮され絞られた状態において示される
図6と同様の図である。
【
図7】本開示の別の局面に従い構築される、熱収縮されていない拡張された状態において示されるスリーブの概略斜視図である。
【
図7A】熱収縮され絞られた状態において示される
図7と同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
現在の好ましい実施形態の詳細な説明
図面をより詳細に参照して、
図1は、本開示の1つの局面に従い構築され、以降ではス
リーブ10と称される織られた保護スリーブとして示される(マルチフィラメント(複数可)および/またはモノフィラメント(複数可)を含むフィラメント(複数可)とも称される)
織り合わされた繊維(複数可)の一体化された単一部材のスリーブを概略的に図示する。スリーブ10は、スリーブ10の両端14,16間で長手方向軸17に沿って長手方向に延在する縦糸13と縦糸13に対してほぼ横方向の緯糸15とを用いて織られた単一部材の一体化された壁12から形成される。スリーブ10を織るために使用される織パターンは所望のように選択され得、
図3では限定することなく一例として平織パターンが示される。当業者は平織、ツイル織、サテン織(satin)、朱子織(sateen)、バスケット織、およびその他といった異なる織パターンの意味を理解し、このため、縦糸13と緯糸15とが互いに上下に波打つ方法のさらなる説明を要さない。スリーブ10は、両端14,16間で長手方向軸17に平行に長手方向に延在する、周方向に連続する隔離された別個の管状壁セクション20,22,24のキャビティ19,21,23内に配置される保護されるべき複数の細長い部材18とともに示される。隣接する管状壁セクション20,22は幅W1を有する単層介在セクション26によって横方向に離れて固定され、隣接する管状壁セクション22,24は幅W2を有する単層介在セクション28によって横方向に離れて固定される。各管状壁セクション20,22,24内の緯糸15のうちの少なくともいくつかまたはすべては熱収縮可能な繊維として提供され、これにより各管状壁セクション20,22,24は第1の径方向に拡大された組立状態から(
図1)第2のそのなかに含まれた対応する細長い部材18の周りに径方向に絞られた状態(
図1A)へと熱収縮可能である。そのため、拡大された組立状態において、配線、ケーブル、導管等といった細長い部材18は拡大されたキャビティ19,21,23を通して容易に配置され得、そして熱収縮可能な緯糸15を熱収縮すると、細長い部材は収縮されたキャビティ19,21,23内でそれと共に軸方向に動くことに抗して保たれ、実質的に固定され、これによりスリーブ10および細長い部材18の比較的堅い、削減された外被組立を形成する。
【0025】
縦糸13は、PET、ナイロン、PP、PE、PPS、PEEK、およびNomex材料繊維の少なくとも1つまたは複数のマルチフィラメントおよび/またはモノフィラメントとして提供されることができる。縦糸13のデニールは、マルチフィラメントとして提供される場合、50~10000の範囲であることができる。限定することなく一例として1200デニールのPETといった比較的かさばるマルチフィラメントは増加されたロフトを提供し、衝撃力を緩衝することをさらに容易にしながら、スリーブ10の柔軟性を高めることが見いだされる。縦密度、すなわち縦糸13の端部の数は、意図される用途のために所望のように調節され得、高い密度は増加された衝撃抵抗を提供するが、「織られた組立状態」から「組み立てられた」収縮された状態への径方向の収縮比を小さくする傾向がある。
【0026】
緯糸15は完全に熱収縮可能な繊維として提供されることができ、これにより壁12の収縮比容量を最大化し、または部分的に熱収縮可能な繊維および熱収縮不能な繊維として提供されることができ、これにより壁12の保護シールド、柔軟性および衝撃緩衝プロパティを、特に熱収縮不能な繊維が比較的かさばるマルチフィラメント繊維として提供される場合に向上させる。提供される場合に、熱収縮可能な繊維および熱収縮不能な繊維はモノフィラメントおよび/またはマルチフィラメント繊維として提供されることができることが認識される。熱収縮可能な緯糸15が収縮すると、個々の管状壁セクション20,22,24は細長い部材18を締めつけ、好ましくは係合し、補助固定機構を要することなく細長い部材18とスリーブ10との互いに対する相対移動を阻止し、これにより細長い部材18をスリーブ10に対して固定するためのクランプ、ストラップ、テープなどの必要性をなくす。さらには、熱収縮されると織られた壁12は高密度化され、このため、とりわけ衝撃抵抗、摩擦抵抗、不透過性といった壁12の保護属性は著しく増加される。加えて、管状壁セクション20,22,24が細長い部材18の周りにしっかりぴったりと嵌るようにされるので、スリーブ10の厚さおよび外側寸法の外被は最小化され、これにより狭い領域で有用である。
【0027】
用途に応じて、スリーブ10は一対と少ないまたは所望される任意の数の別個の管状壁セクションを含んで形成されることができることが認識される。たとえば同じ数の縦糸13を有する各介在セクション26,28を提供することによってなど、介在セクション26,28の幅W1、W2は同じに構築され得、これによりそれぞれの管状壁セクション20,22,24を互いから等間隔に配置でき、および/またはたとえば異なる数の縦糸13を有する各介在セクション26,28を提供することによってなど、意図される用途で必要とされるように、介在セクション26,28の幅W1、W2のうちの少なくともいくつかは互いから異ならされ得、これは、本明細書の開示を見れば、当業者によって容易に理解されるであろう。そのため、管状壁セクション20,22,24は互いから等間隔にまたは異なって離されていても、補助締結機構を要さずに互いから所望の横方向に離れた関係に維持され得る。したがって、スリーブ10は必要とされる用途のために特別に調整され得、互いから等間隔に離れていてもいなくても、単一のスリーブ10の使用を介して細長い部材18を高精度に互いから離れた関係に維持する。
【0028】
図4および
図4Aでは、本開示の別の局面に従い構築され、以降ではスリーブ110と称される単一部材の編まれた保護スリーブが示され、100だけずらした同じ参照番号が、同様の特徴を識別するために使用される。スリーブ110は、緯ステッチ115を用いて編まれた単一部材の一体化された壁112から形成される。スリーブ110は周方向に連続する、両端114,116間で長手方向に延在する隔離された別個の管状壁セクション120,122,124のキャビティ119,121,123内に配置される保護されるべき複数の細長い部材118を有して示される。隣接する管状壁セクション120,122は単層介在セクション126によって互いに横方向に離れて隔離され固定され、隣接する管状壁セクション122,124は単層介在セクション128によって互いに横方向に離れて隔離され固定される。各管状壁セクション120,122,124内の緯ステッチ115を形成する繊維のうちの少なくともいくつかまたはすべては熱収縮可能な繊維として提供され、これにより各管状壁セクション120,122,124が第1の径方向に拡大された組立状態から(
図4)第2のそのなかに含まれた対応する細長い部材118の周りに径方向に絞られた完成された組み立てられた状態(
図4A)に熱収縮可能である。そのため、拡大された組立状態において、配線、ケーブル、導管等といった細長い部材118はキャビティ119,121,123を通して容易に配置され得、そして熱収縮可能な緯ステッチ115が熱収縮すると、細長い部材はキャビティ119,121,123内に保たれ、実質的に固定され、これによりスリーブ110および細長い部材118の比較的堅い、削減された外被組立を形成する。上述のように、意図される用途のために所望されるように、たとえばそれぞれの介在セクション126,128内に形成される緯編ステッチ115の大きさおよび/または数を変化させることによって、介在セクション126,128はそれぞれの管状壁セクション120,122,124間を延在する同じ幅W1、W2または異なる幅W1、W2を有して形成されることができることが認識される。したがって、細長い部材118を互いから異なる間隔を空けて配置することが望まれる場合には、介在セクション126,128の1つは介在セクション126,128の他方よりも多いまたは少ないおよび/または大きいまたは小さい緯編ステッチ115を有して形成されることができる。
【0029】
図5および
図5Aでは、本開示の別の局面に従い構築され、以降ではスリーブ210と称される一体化された単一部材の保護スリーブが示され、200だけずらした同じ参照番号が同様の特徴を識別するために使用される。スリーブ210は上述のような壁12のための織られた壁構造または上述のような壁112のための編まれた壁構造の1つを有する単一部材の一体化された壁212として形成される。スリーブ210は周方向に連続する、両端214,216間で長手方向に延在する別個の管状壁セクション220,220’,222のキャビティ219,219’,221内に配置される保護されるべき複数の細長い部材218を有して示される。管状壁セクション220,220’と管状壁セクション222とは単層介在セクション226によって横方向に離れて固定され、直接隣接し重畳する管状壁セクション220,220’は単層介在セクション27によって互いから分離され隔離される。管状壁セクション220,220’,222を形成する繊維のうちの少なくともいくつかまたはすべては熱収縮可能な繊維として提供され、これにより各管状壁セクション220,220’,222が第1の径方向に拡大された組立状態から(
図5)第2のそのなかに含まれた対応する細長い部材218の周りに径方向に絞られた状態(
図5A)に熱収縮可能である。そのため、拡大された組立状態では、配線、ケーブル、導管等といった細長い部材218は個々のキャビティ219,219’,221を通して容易に配置され得、そして熱収縮可能な繊維が熱収縮すると、細長い部材は個々の隔離されたキャビティ219,219’,221内に保たれ、実質的に固定され、これによりスリーブ210および細長い部材218の比較的堅い、削減された外被組立を形成する。
【0030】
図6および
図6Aでは、本開示の別の局面に従い構築され、以降ではスリーブ310と称される一体化された単一部材の保護スリーブが示され、300だけずらした同じ参照番号が同様の特徴を識別するために使用される。スリーブ310は上述のような壁12のための織られた壁構造、または上述のような壁112のための編まれた壁構造の1つを有する単一部材の一体化された壁312として形成される。スリーブ310は別個の周方向に連続する、両端314,316間で長手方向に延在する隔離された管状壁セクション320,320’,322,322’,324,324’のキャビティ319,319’,321,321’,323,323’内に配置される保護されるべき複数の細長い部材318を有して示される。管状壁セクション320,320’は管状壁セクション322,322’から単層介在セクション326によって横方向に離れ隔離されて固定され、管状壁セクション322,322’は管状壁セクション324,324’から単層介在セクション328によって横方向に離れ隔離されて固定される。直接隣接し重畳する管状壁セクション320,320’は単層介在セクション327によって互いに分離され、直接隣接し重畳する管状壁セクション322,322’は単層介在セクション29によって互いに分離され、直接隣接し重畳する管状壁セクション324,324’は単層介在セクション31によって互いに分離される。管状壁セクション320,320’,322,322’,324,324’を形成する繊維のうちの少なくともいくつかまたはすべては熱収縮可能な繊維として提供され、これにより各管状壁セクション320,320’,322,322’,324,324’が第1の径方向に拡大された組立状態から(
図6)第2のそのなかに含まれた対応する細長い部材318の周りに径方向に絞られた状態(
図6A)に熱収縮可能である。そのため、拡大された組立状態では、配線、ケーブル、導管等といった細長い部材318はキャビティ319,319’,321,321’,323,323’を通して容易に配置され得、そして熱収縮可能な繊維が熱収縮すると、細長い部材318はキャビティ319,319’,321,321’,323,323’内に保たれ、実質的に固定され、これによりスリーブ310および細長い部材318の比較的堅い、削減された外被組立を形成する。
【0031】
図7および
図7Aでは、本開示の別の局面に従い構築され、以降ではスリーブ410と称される一体化された単一部材の保護スリーブが示され、400だけずらした同じ参照番号が、同様の特徴を識別するために使用される。スリーブ410は上述のような壁12のための織られた壁構造、または上述のような壁112のための編まれた壁構造の1つを有する単一部材の一体化された壁412として形成される。スリーブ410は別個の周方向に連続する、両端414,416間で長手方向に延在する隔離された管状壁セクション420,422,422’,422’’,424のキャビティ419,421,421’,421’’,423内に配置される保護されるべき複数の細長い部材418を有して示される。管状壁セクション420は管状壁セクション422,422’,422’’から単層介在セクション426によって横方向に離れ隔離されて固定され、管状壁セクション422,422’,422’’は管状壁セクション424から単層介在セクション428によって横方向に離れ隔離されて固定される。直接隣接し重畳する管状壁セクション422,422’は単層介在セクション429によって互いに分離され、直接隣接し重畳する管状壁セクション422’,422’’は単層介在セクション429’によって互いに分離される。管状壁セクション420,422,422’,422’’,424を形成する繊維のうちの少なくともいくつかまたはすべては熱収縮可能な繊維として提供され、これにより各管状壁セクション420,422,422’,422’’,424が第1の径方向に拡大された組立状態から(
図7)第2のそのなかに含まれた対応する細長い部材418の周りに径方向に絞られた状態(
図7A)に熱収縮可能である。そのため、拡大された組立状態では、配線、ケーブル、導管等といった細長い部材418はキャビティ419,421,421’,421’’,423を通して容易に配置され得、そして熱収縮可能な繊維が熱収縮すると、細長い部材418はキャビティ419,421,421’,421’’,423内に保たれ、実質的に固定され、これによりスリーブ410および細長い部材418の比較的堅い、削減された外被組立を形成する。
【0032】
明らかに、上記の教示に照らして本発明の多くの修正および変形が可能である。そのような組み合わせが互いに矛盾しない限り、すべての請求項およびすべての実施形態のすべての特徴を互いに組み合わせることができると考えられる。したがって、添付の特許請求の範囲内で、本発明は具体的に記載されたものとは別の方法で実施されてもよいことが理解されるべきである。