(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】強度スケール化ディザリングパルス幅変調
(51)【国際特許分類】
G09G 3/32 20160101AFI20220722BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20220722BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20220722BHJP
【FI】
G09G3/32 A
G09G3/20 641G
G09G3/20 641B
G09G3/20 642A
G09G3/20 612U
G09G3/20 631V
H01L33/00 J
(21)【出願番号】P 2019527399
(86)(22)【出願日】2017-11-17
(86)【国際出願番号】 US2017062259
(87)【国際公開番号】W WO2018098036
(87)【国際公開日】2018-05-31
【審査請求日】2020-10-05
(32)【優先日】2016-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591039160
【氏名又は名称】プレイナー システムス インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】PLANAR SYSTEMS, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100203264
【氏名又は名称】塩川 未久
(72)【発明者】
【氏名】シャナド ナデールシャヒ
【審査官】橋本 直明
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-076052(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0019829(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0052904(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0074799(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0019160(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/32
G09G 3/20
H01L 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の更新サイクルのためのグレースケールベクトルに基づいて
複数の画素を含むディスプレイの少なくとも1つのLED(Light Emitting Diode)を駆動するための回路であって、
前記グレースケールベクトルは、フレームコンテンツにおいて対応する画素の強度又は輝度を規定し、
前記グレースケールベクトルを受信し、前記グレースケールベクトルに基づいて輝度値を決定するように構成された輝度スケール検出回路と、
更新サイクルのサブセットがディザ処理する更新サイクルとなり、前記複数の更新サイクルの残りがディザ処理しない更新サイクルとなるように、前記複数の更新サイクルのうちの前記更新サイクルのサブセットの指示を出力するように構成された更新サイクル選択回路と、
前記グレースケールベクトルを受信し、前記グレースケールベクトルに基づいてパルス幅を規定するパルス幅決定回路と、
前記パルス幅、前記輝度値及び前記更新サイクルのサブセットの前記指示を受信し、
各ディザ処理する更新サイクルにおいて、前記グレースケールベクトル及び前記輝度値に基づいてディザ処理パルス幅を決定し、前記ディザ処理パルス幅は、幅調整量だけ前記パルス幅とは異なり、
一連のパルスを含むディザ処理パルス幅変調信号を出力し、前記一連のパルスは、前記ディザ処理しない更新サイクルの各更新サイクルのための前記パルス幅決定回路により決定された前記パルス幅を有するパルスと、前記ディザ処理する更新サイクルの各更新サイクルのための前記ディザ処理パルス幅を有するパルスとを含む、
ように構成されるパルス調整制御回路と、
前記ディザ処理パルス幅変調信号を受信し、前記ディザ処理パルス幅変調信号に基づいて前記少なくとも1つのLEDに電流を供給するように構成された電流源と、を備え
、
前記輝度値が第1所定閾値を下回るとき、前記幅調整量は、第1値であり、
前記輝度値が第2所定閾値を下回り且つ前記第1所定閾値を上回るとき、前記幅調整量は、前記第1値とは異なる第2値であり、前記輝度値が前記第2所定閾値を上回るとき、前記幅調整量は、前記第1値及び前記第2値とは異なる第3値である、回路。
【請求項2】
複数の更新サイクルのためのグレースケールベクトルに基づいて複数の画素を含むディスプレイの少なくとも1つのLEDを駆動するための回路であって、前記グレースケールベクトルは、フレームコンテンツにおいて対応する画素の強度又は輝度を規定し、
前記グレースケールベクトルを受信し、前記グレースケールベクトルに基づいて輝度値を決定するように構成された輝度スケール検出回路と、
更新サイクルのサブセットがディザ処理する更新サイクルとなり、前記複数の更新サイクルの残りがディザ処理しない更新サイクルとなるように、前記複数の更新サイクルのうちの前記更新サイクルのサブセットの指示を出力するように構成された更新サイクル選択回路と、
前記グレースケールベクトルを受信し、前記グレースケールベクトルに基づいてパルス幅を規定するパルス幅決定回路と、
前記パルス幅、前記輝度値及び前記更新サイクルのサブセットの前記指示を受信し、
各ディザ処理する更新サイクルにおいて、前記グレースケールベクトル及び前記輝度値に基づいてディザ処理パルス幅を決定し、前記ディザ処理パルス幅は、幅調整量だけ前記パルス幅とは異なり、
一連のパルスを含むディザ処理パルス幅変調信号を出力し、前記一連のパルスは、前記ディザ処理しない更新サイクルの各更新サイクルのための前記パルス幅決定回路により決定された前記パルス幅を有するパルスと、前記ディザ処理する更新サイクルの各更新サイクルのための前記ディザ処理パルス幅を有するパルスとを含む、
ように構成されるパルス調整制御回路と、
前記ディザ処理パルス幅変調信号を受信し、前記ディザ処理パルス幅変調信号に基づいて前記少なくとも1つのLEDに電流を供給するように構成された電流源と、を備え、
前記輝度値が第1所定閾値を下回り、且つ、前記更新サイクルのサブセットの更新サイクルが所定サブセット閾値を下回るとき、前記幅調整量は、第1値であり、前記輝度値が前記第1所定閾値を下回り、且つ、前前記更新サイクルのサブセットの更新サイクルが前記所定サブセット閾値を上回るとき、前記幅調整量は、前記第1値とは異なる第2値である、回路。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載の回路であって、前記幅調整量は、クロック信号のクロックサイクルの数と等しい、回路。
【請求項4】
請求項
3に記載の回路であって、前記幅調整量は、1から4クロックサイクルである、回路。
【請求項5】
請求項1
又は2に記載の回路であって、前記輝度値が
前記第1所定閾値よりも小さい第3所定閾値を下回るとき、前記ディザ処理パルス幅は、前記パルス幅と等しい、回路。
【請求項6】
請求項1から
5までの何れか一項に記載の回路であって、前記輝度値は、前記グレースケールベクトルの最上位ビットのセットに基づいて決定される、回路。
【請求項7】
請求項
6に記載の回路であって、前記グレースケールベクトルは16ビットであり、前記最上位ビットのセットは、前記16ビットの最初の12ビットである、回路。
【請求項8】
請求項1から
7までの何れか一項に記載の回路であって、前記更新サイクル選択回路は、前記グレースケールベクトルに基づいて前記指示を出力する、回路。
【請求項9】
請求項
8に記載の回路であって、前記更新サイクルのサブセットの指示は、前記グレースケール
ベクトルの最下位ビットのセットに基づく、回路。
【請求項10】
請求項
9に記載の回路であって、前記グレースケールベクトルは16ビットであり、前記最下位ビットのセットは、前記16ビットの最後の4ビットである、回路。
【請求項11】
請求項
8に記載の回路であって、前記更新サイクル選択回路は、前記グレースケールベクトルの少なくとも一部によりアドレス指定されるルックアップテーブルのエントリに基づいて、前記更新サイクルのサブセットを指示するようにさらに構成される、回路。
【請求項12】
ディスプレイシステムの
LEDのための強度スケーリング化ディザリングパルス幅変調(PWM)の方法であって、前記ディスプレイシステムは、更新サイクルのセット間に印加されるPWM信号のパルス幅に従って前記LEDの輝度を制御するPWM信号を受信するための電流源を有し、前記方法は、
前記PWM信号の
、フレームコンテンツの画素の強度又は輝度に対応する公称パルス幅を示すグレースケール情報を受信するステップと、
前記グレースケール情報を輝度値に変換するステップであって、前記輝度値はパルス幅調整を示す、変換するステップと、
前記更新サイクルの
前記セットの第1メンバ
において前記PWM信号の第1パルス
を生成し、前記更新サイクルの前記セットの第2メンバにおいて前記PWM信号の第2パルスを生成するステップであって、前記第1パルスは前記公称パルス幅を有し、前記第2パルスはディザ処理パルス幅を有し、前記公称パルス幅及び前記ディザ処理パルス幅は、前記パルス幅調整に基づいて互いに異なる、生成するステップと、
前記公称パルス幅と前記ディザ処理パルス幅との間で各々変化する前記PWM信号の前記第1パルス及び前記第2パルスを前記電流源に供給するステップであって、これにより、前記輝度値に基づいて前記LEDの前記輝度をディザ処理する、供給するステップと、を含
み、
前記更新サイクルのセットの前記第1メンバが第1サブセットにあるとき、前記パルス幅調整は、第1値であり、前記更新サイクルのセットの前記第2メンバが、前記第1サブセットとは異なる第2サブセットにあるとき、前記パルス幅調整は、前記第1値とは異なる第2値である、方法。
【請求項13】
請求項
12に記載の方法であって、前記パルス幅調整は、前記輝度値の関数である、クロック信号のクロックサイクル数のそれと等しい時間量である、方法。
【請求項14】
請求項
13に記載の方法であって、前記クロックサイクル数は、1から4である、方法。
【請求項15】
請求項
12から
14までの何れか一項に記載の方法であって、前記輝度値が第1所定閾値を下回るとき、前記パルス幅調整は、第1値であり、前記輝度値が前記第1所定閾値を上回るとき、前記パルス幅調整は、前記第1値とは異なる第2値である、方法。
【請求項16】
請求項
12から
15までの何れか一項に記載の方法であって、前記輝度値が所定閾値を下回るとき、前記ディザ処理パルス幅は、前記公称パルス幅に等しい、方法。
【請求項17】
請求項
12から
16までの何れか一項に記載の方法であって、前記更新サイクルのセットの前記第1メンバ及び前記第2メンバがそれぞれ互いに異なる第1サブセット及び
第2サブセット内にあり、前記方法は、ルックアップテーブルから前記第2サブセットのメンバを識別するステップをさらに含む、方法。
【請求項18】
実行時に、請求項
12から
17までの何れか一項に記載の方法を実施するための機械可読命令を含む機械可読記憶装置。
【請求項19】
実行時、請求項1から
17までの何れか一項に記載の方法を機械に実行させる又は回路を実現するコードを含む機械可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2017年4月21に出願された米国特許出願第15/494,150及び2016年11月22日に出願された米国仮出願の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、概して電子ディスプレイシステムに関する。より詳細には、本開示は、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)アレイを駆動するLED駆動回路において、パルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)ディザリングを用いた、LEDディスプレイシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
従来の一部のLED駆動機構では、電流をLEDへ供給するために、PWM及び関連する制御技術が用いられている。PWM技術は、近年のディスプレイ電子回路において、グレースケールを制御するために、フレームコンテンツをレンダリングしつつ、フレームコンテンツの階調レベルを制御するための一般的な方法である。PWMは、最高ピッチのラージフォーマットダイレクトビューLED(DV-LED)ディスプレイにおいて、パルス化され制御された平均電流をLEDへ供給するために、近年の市販のLED駆動集積化回路において、益々使用されている。
【0004】
LEDディスプレイパネルとは、一般的に、一以上の行及び列に配置されたLEDのアレイを備えるデバイスを意味する。LEDディスプレイパネルは、各サブモジュールが一以上のこのようなLEDアレイを有する、複数のサブモジュールを含んでもよい。LEDディスプレイパネルには、単一色又は異なる色のLEDのアレイが採用されてよい。同じ色のLEDが特定のディスプレイアプリケーションに使用される場合、各LEDは、通常、ディプレイユニット又は画素に対応する。LEDパネルがフルカラーディスプレイ用に異なる色のLEDを採用する場合、ディスプレイユニット又は画素は、通常、3つのLEDのクラスタを含む:典型的には、赤LED、緑LED及び青LEDである。このような3つのLEDのクラスタは、RGBユニットとも称され得る。
【0005】
LED駆動回路は、LEDのアレイに電力を供給し、LEDのアレイに供給した電流を制御する。LED駆動回路は、シングルチャネルドライバであってよいし、又は、マルチチャネルドライバであってよい。駆動回路の各チャネルは、複数のLEDへ電流を供給して、LEDに供給した電流を制御してよい。マルチチャネルは、例えば所謂コモンカソード構造のノード上で、電気的に互いに接続され、スキャンラインともよく称される。スキャンラインについては、2015年5月7日に公開されたLiらの米国特許公開公報第2015/0123555Aに記載されている。
【0006】
LED駆動回路は、LEDに供給されてLEDを流れる電流を変化させることにより、LEDの輝度を制御する。供給された電流に応じて、LEDは、LEDの特性仕様に応じた強度で、光を放出する。LEDへ供給される電流が多いほど、通常、LEDが放出する光の輝度は、高くなる。電流の供給を効率的に制御するためには、LED駆動回路は、定電流源を、その定電流源の変調(すなわち、ON及びOFF)と組み合わせて採用してよく、例えば各スキャンサイクルにわたり所望の平均(算術的平均)電流に到達するためのPWMを用いてよい。
【0007】
ディスプレイの限られた色解像度により、滑らかになるように意図されるカラー階調にわたって、不意の段階的な変化が現れる。この視覚的な乱れは、バンディング(banding)とも称される。バンディングの存在を軽減するために、ディザリング技術が採用されて、コンテンツの不意の段階的な変化の存在が減らされる。換言すると、カラーアーティストは、限られた色解像度に起因して視覚的な段階的な変化(バンディング)が現れたコンテンツを、ディザリング技術を用いることにより、修正する。ディザリングは、僅かな数色の異なる色しか通常生成できない、初期の機械及びレンダリングデバイスに用いられてきた。ディザリングが効果的である理由は、人の視覚システムが、不完全であり、限られた精度及び分解能において画素を区別可能であるため、それ故、人間の視覚システムが、特定の画素の色と、その近くの画素の色とを混合する傾向があるためである。ディスプレイスクリーン用のPWMディザリングは、人間の視覚システムの不完全さを利用して、不意の色の変化を低減するノイズを選択的又はランダムに加えることにより、より滑らかな外観のカラークラデーションを生成することができる。
【0008】
近年のLED駆動機構の設計では、多様な公知のPWMベースの手段及びアーティキテクチャが展開されており、これらの手段及びアーティキテクチャの一部では、PWMと併せてディザリングが用いられている。発明者は、フレームコンテンツの輝度レベルを考慮せずに、全てのフレームコンテンツにPWMディザリング調整が均一に適用されるために、コンテンツの輝度が高すぎたり又は低すぎたりしてしまう場合、公知のPWMディザリング手段は有効ではないとの認識を得た。
【発明の概要】
【0009】
強度スケール化ディザリング(ISD:Intensity-scaled dithering)PWMシステムは、輝度の遷移中、より滑らかな階調を提供する。一実施形態では、少なくとも1つの発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を駆動するための回路であって、グレースケールベクトルを受信し、グレースケールベクトルに基づいて輝度値を決定するように構成された輝度スケール検出回路を含む。さらに、当該回路は、更新サイクルのサブセットがディザ処理する更新サイクルとなり、前記複数の更新サイクルの残りがディザ処理しない更新サイクルとなるように、前記複数の更新サイクルの更新サイクルのサブセットの指示を出力するように構成された更新サイクル選択回路を含む。当該回路のパルス幅決定回路は、前記グレースケールベクトルを受信し、前記グレースケールベクトルに基づいてパルス幅を規定するように構成される。
【0010】
パルス調整制御回路は、パルス幅、輝度値及び更新サイクルのサブセットの指示を受信するように構成される。各ディザ処理する更新サイクルにおいて、パルス幅調整制御回路は、輝度値に基づいて幅調整量を決定し、幅調整量でパルス幅を調整することによりディザ処理パルス幅を決定する。一連のパルスを含むディザ処理パルス幅変調信号は、パルス調整制御回路により出力される。一連のパルスは、ディザ処理しない更新サイクルの各更新サイクルのためのパルス幅決定回路により決定されたパルス幅を有するパルスと、ディザ処理する更新サイクルの各更新サイクルのためのディザ処理パルス幅を有するパルスとを含む。電流源は、ディザ処理パルス幅変調信号を受信し、ディザリングパルス幅調整信号に基づいて少なくとも1つのLEDに電流を供給するように構成される。
【0011】
追加の態様及び利点は、添付の図面を参照しながら進められる以下の実施形態の詳細な説明から、明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】開示の技術の一実施形態に係るLED駆動回路を示す図である。
【
図2】60Hzのフレートレートタイミングでのシングルフレームのタイミング図である。
【
図3】開示の技術の一実施形態に係るPWM変調発動機のブロック図である。
【
図4】開示の技術の一実施形態に係る代替的なカスケード法の一例を示す図である。
【
図5】開示の技術の他の実施形態に係る代替的なカスケード法の他の例を示す図である。
【
図6】開示の技術のある実施形態に係るパルス調整テーブルを示す図である。
【
図7】ディザリング技術を用いた、多様なPWM信号を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
開示された技術の実施形態では、PWM技術を採用し、フレームコンテンツの照明の、強度又は輝度によりスケール化されたディザリングノイズを適用することにより、画像を修正する。つまり、適用されるディザリングノイズの量は、フレームコンテンツの照明の強度に関連する。
【0014】
PWMアーキテクチャを採用するLEDディスプレイの典型的な実装では、ディスプレイスクリーンは、同一フレームコンテンツを用いて、複数回、更新される。これらの更新サイクルは、コンテンツの表示を強化するために、非常に重要である。ある製品では、フレームコンテンツは、各フレーム期間において、32回又は64回、スリーン上で更新される。各フレーム期間は、通常、1/60秒である。各更新サイクルは、複数のスキャンラインに対応し、各スキャンラインは、少なくとも2つのLEDを含む画素に関連する。各更新セグメントの間、各スキャンライン上の少なくとも1つのLEDが、フレームコンテンツに基づいてLED駆動機構により駆動される。
【0015】
図1は、PWM発動機110及び電流源120を含むLED駆動回路100の機能ブロック図を示す。PWM発動機110は、電流源120を介してLEDアレイ(又は単にLED)130を駆動するために用いられるPWM信号を生成する。PWM発動機110は、後述のように、電流源120に送信されるPWM信号を生成し、電流源120は、受信したPWM信号に基づいてLED130への電流を出力する。PWM信号を生成するためにPWM発動機110により使用されるグレースケールクロック(GCLK)140といった、他の構成要素が、LEDドライバ100上に含まれてよい。LED駆動回路100は、ディスプレイデバイスが要求する他の機能(不図示)を含んでよい。LED駆動回路100は、集積回路であってもよいし、電気的に接続された複数の回路であってもよい。
【0016】
PWM発動機110は、任意の所望の形状のパルス列を生成する、現在公知の又は将来開発され得る、任意のデバイス又は回路を備えてよい。例えば、PWM発動機110は、コンパレータ、増幅器、発振器、カウンタ、周波数発生器、ランプ回路及び生成器、デジタルロジック、アナログ回路、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuits)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP:Digital Signal Processors)、ステートマシン、デジタルロジック、FPGA(Field Programmable Gate Array)、CLD(Complex Logic Device)、タイマー集積回路(Timer Integrated Circuit)、デジタルアナログコンバータ(DAC:Digital to Analog Converter)、及び、アナログデジタルコンバータ(ADC:Analog to Digital Converter)等といった、デバイスを含んでよい。
【0017】
最新の従来のPWMディスプレイスクリーンでは、フレームコンテンツのためのディスプレイのグレースケール指示は、HDMI(High Definition Multimedia Interface)のような入力を介して、12ビットとして提供される。グレースケール指示は、そのフレームコンテンツの画素の強度を規定し、色付きの画素と同様に、モノクロ画素に適用することができる。当該技術分野で知られているように、入力は、ディスプレイ特有の変換グレースケールベクトル(ここでは、グレースケール値とも称する)を生成するために、ガンマ変換テーブルに適用される。変換によって、ガンマ変換方式の標準に準拠するように設計された4つの追加のビットが、元のグレースケース指示に加えられ、結果として、ある実施形態では、グレースケール値は、16ビットとなる。より詳細に後述するように、滑らかな階調を実行するために、グレースケース値の4つの最下位ビット(LSB:Least Significant Bit)が、開示の技術では用いられる。ただし、ある実施形態では、グレースケール値の4つのLSBよりも多い又は少ないものが、用いられてもよい。さらに、当業者は、任意のグレースケール値、グレースケースベクトル又はグレースケール指示により表される輝度を適用することができ、従って、語句グレースケール情報は、これらの3つの項目の何れかを概して称するために用いられる一般的な用語となる。
【0018】
図2は、フレームコンテンツを表示するために32回の更新サイクルを実行するアーキテクチャにおいてLED駆動回路100が用いるブロックタイミング図を示す。この例では、各更新サイクルが、16画素に対応する16つのスキャンラインを有するため(すなわち、シングルチャネルと仮定する)、LED駆動回路100は、その画素用に受信したグレースケール値に基づいて、スキャンラインの各画素を駆動し得る。つまり、LED駆動回路100は、16つのスキャンラインの各画素に1つずつ、16つのグレースケール値をロードする。以下の説明を簡単にするために、単一のグレースケール値及びスキャンラインを時折説明するが、当業者であれば、このようなものが、グレースケール値及びスキャンラインの各々に適用し得ることを認識できるだろう。例えば、前述のLiらの‘555公開公報には、さらに詳細なタイミング及びマルチチャネルスキャンラインを形成する画素の動作が説明されている。
【0019】
垂直同期(vertical synchronization)(Vsync)信号200は、新たなグレースケール値の入力を示す。Vsync信号200のパルスが受信された後、ラッチイネーブル(LE)信号202の高パルスは、受信したグレースケール値の入力に関連するフレームコンテンツの表示を開始するためのリードコマンドを提供する。120Hzのフレームレートの場合、コンテンツの各フレームは、8.33msで表示されて更新される。60Hzのフレームレートの場合、コンテンツの各フレームは、16.67msで表示されて更新される。各Vsync信号間、GCLK信号210は、16ビットアーキテクチャにおいて、220のクロックサイクルを有し得る。フレームレートは、GCLK信号210の周波数を決定する。
【0020】
PWM発動機110は、
図2に示すように、セグメント206と称される、32回の更新サイクルにおいて、LED130を駆動する。これについては、より詳細に後述する。上述のように、各セグメント206の間、16つのスキャンライン208の各々は、受信したグレースケール値に基づいて1回駆動され、各スキャンライン上のLED130は、1回更新される。
【0021】
各セグメント206は、各LED駆動出力によりスキャンされる画素の数を表す、複数のスキャンライン208を含む。例えば、
図2では、16つの画素は、各セグメント206間、スキャンされる。つまり、上述のように、16つのグレースケール値が、LED駆動回路110へロードされ、16つの画素は、それぞれのグレースケール値に基づいて駆動される。
図2の各スキャンライン208は、1つの画素を表す。1つの画素は、上述のように単一のLED又は複数のLEDを含んでよい。各スキャンライン208間、より詳細に後述するように、グレースケール値により決定されたPWM信号212に基づいて、電流が、その画素のLEDに供給される。つまり、各スキャンライン208に対するPWMパルス幅に基づいて各セグメント206の間に電流が各LEDに供給される。セグメント206にわたる平均電流が高いほど、LEDは、より明るく見え得る。
【0022】
各スキャンライン208は、ディスプレイシステムの解像度を表すクロックサイクルの数に分割される。12ビット入力の標準的なHDMIを有するシステムでは、対応するスキャン期間は、4,096クロックサイクルに分割され、PWM発動機110により生成されるPWMパルスの幅は、GCLK信号210の0サイクルと4,096サイクルとの間の何れであってもよい。パルスの幅が長くなるほど、セグメント206にわたりLEDに供給される電流の時間平均量は、高くなり得る。
【0023】
図2の例では、フレームレートは60Hzであり、ディスプレイの解像度は、16ビット幅として規定され、スキャンレートは16レベルスキャンであり、セグメントの数は、32回の更新サイクルである。上述のように、クロックの周波数は、フレームレートにより決定される。つまり、クロックサイクルの総数は、更新サイクルの数にディスプレイの解像度及びスキャンの数を乗算することにより、決定される。
図2のタイミング図では、クロックサイクルの総数は、2,097,152サイクルである。60Hzフレームレートでは、クロックサイクルの総数は、クロック周波数に変換され、126MHzよりも高くなり、周期は、8nsよりも短くなる。同様に、120Hzフレームレートでは、クロック周波数は、少なくとも125MHzになるべきであり、従来のPWMアーキテクチャを有するようなシステムでは、このPWMパルス幅は、0から2
11のクロックサイクルに変わる。
【0024】
図2は、32つのセグメント206と16つのスキャンライン208を示すが、多様な数のセグメント及びスキャンラインが、PWMディスプレイシステム用の所望の仕様に応じて、用いられてよい。例えば、タイミング図は、16つのセグメント及び16つのスキャンラインに指定されてもよいし、又は、タイミング図は、64つのセグメント及び16つのスキャンラインに指定されてもよい。ディスプレイのLED130は、単一のLED駆動機構により駆動されてもよいし、又は、各々がLED130の異なる部分を駆動するLED駆動機構を有する複数のLED駆動機構により、駆動されてよい。
【0025】
上述のように、開示の技術は、フレームコンテンツ内の高輝度から低輝度への遷移にわたって、画素の輝度をランダムに又は擬似ランダムにディザリングして、より滑らかな階調を作成することを容易にする。PWMディザリングを実行するセグメント206はランダムに又は疑似ランダムに選択されるが、ディザリングの量は、フレームの強度又輝度に基づくものである。開示の実施形態では、より滑らかな階調を生成するために、PWMディザリングのランダム化と併せて、セグメント206が用いられる。
【0026】
グレースケール値は、フレームコンテンツにおいて対応する画素の強度(輝度)を規定する。その値は、2つのフィールドに分けられてよい。例えば、グレースケール値が16ビットであると仮定する場合、一部のビットは、第1フィールドに供給されて、ノイズ又はディザリングの量を規定するのに用いられてよく、少なくとも一部の他のビットは、第2フィールドに供給されて、セグメント206の間にフレームコンテンツが更新されるときにランダムに挿入するノイズの計略に用いられてよい。
【0027】
例えば、グレースケール値のビットの一部は、一以上のセグメント206内におけるスキャンライン206の画素の強度又は輝度に対応し、これらは、対応するPWM信号212の公称パルス幅により確立される。さらに、セグメント206の別の1つの間に生成されるPWM信号212の他のパルス幅は、さらに詳細に後述するように、ディザリングを達成するために、すなわちフレームコンテンツの輝度又は強度を変化させるために、調整されて(すなわち、公称パルス幅から外れて)よい。
【0028】
図3に、開示のある実施形態に係る
図1のPWM発動機110をより詳細に示す。
図3では、
図2のタイミング図を参照して説明したPWM発動機110の要素が、回路ブロックの観点で示されている。回路は、ある実施形態では、ASIC又はFPGAベースのステートマシン発動機にて設立されるタイプのデジタル又は論理回路である。ただし、ブロックは、本質的に代表的なものである。そのため、当業者であれば、一以上のブロックの機能が、他のプログラマブルなロジックブロックと組み合わせ可能(又はさらに分離可能)であることが認められよう。従って、ブロック図の多様なブロックは、メモリデバイス及び/又はコンピュータ可読記憶媒体内にあるコンピュータ命令又はコンピュータ実行可能コードの任意のタイプを含んでよい。例えば、ブロックは、コンピュータ命令の一以上の物理的又は論理的なブロックを含んでよく、一以上のタスクを実行するか又は特定の抽象的なデータタイプを実装する、ルーチン、プログラム、オグジェクト、コンポーネント、データ構造等として構成されてよい。
【0029】
PWM発動機110は、ピンポン式のメモリ(ping-pong memory)のような、一以上のメモリ記憶装置302を含んでよく、これにより、ディスプレイ用の現在のグレースケール値がピンメモリ302から読みだされている間に、次のフレームコンテンツのグレースケール値がポンメモリ302に書き込まれてよい。又は、逆でもよい。
【0030】
PWM発動機110は、輝度スケール検出回路304をさらに含む。輝度スケール検出回路304は、各画素において、対応するグレースケール値に基づいて輝度値を決定する。例えば、一実施形態では、輝度スケール検出回路304は、対応するグレースケール値が画素内のLEDが点灯していることを示すクロックサイクル数を、m個(例えば、5個)の異なる輝度値に分類することにより、輝度値を決定する。例えば、mが5であり、最大強度が2,048クロックサイクルであると仮定すると、そのとき、輝度スケール検出回路304は、次の閾値に基づいて分類することができる:0-32クロックサイクル(カテゴリ1)、32-512クロックサイクル(カテゴリ2)、512-1,024クロックサイクル(カテゴリ3)、1,024-1,536クロックサイクル(カテゴリ4)、及び、1,536-2,048クロックサイクル(カテゴリ5)。グレースケール値で示されるクロックサイクの数が多いほど、フレームコンテンツは、明るくなる。つまり、グレースケール値が、画素内のLEDが618クロックサイクルの間にてオンであると示す場合、輝度値は、第3カテゴリに入る。この例では、輝度スケール検出回路304用に5つのカテゴリが設定されているが、任意の数のカテゴリが、上述のように、異なるディスプレイデバイス及び所望の複雑さによる要求に応じて設定されてよい。カテゴリmの数は、LED駆動回路の実装の複雑さにより規定される。より単純な回路では、mは、より小さい数となり得、より複雑な回路では、mは、より大きな数となり得る。輝度スケール検出回路304は、輝度値(例えば、1-5)を(後述の)パルス調整制御回路308に出力する。
【0031】
PWM発動機110は、パルス調整テーブル回路306をさらに含む。パルス調整テーブル回路306は、グレースケール値を受信し、パルス幅をディザ処理するセグメント206のサブセットを選択する(すなわち指定する)。サブセットは、ディザ処理するセグメントとも称され、非選択のセグメント206は、ディザ処理しないセグメントとも称される。ある実施形態では、グレースケール値を受信し、
図6を参照して後述するようにグレースケール値のLSBを用いて、LSBの値を対応するディザ処理するセグメントのサブセットにマッピングするルップアップテーブルに基づいてセグメント206のサブセットを決定してよい。例えば、グレースケール値のLSBは、ディザ処理するセグメントを識別するテーブル内の特定のエントリをアドレス指定してよい。このようなルップアップテーブルは、ルップアップテーブルのデータを構成するために、構成データ302を受信することにより、構成されてよい。これにより、例えば、特定のディスプレイに基づいてルップアップテーブルを構成することが可能になる。ただし、ある実施形態では、パルス調整テーブル回路306又は一部の他のリフレッシュ選択回路(不図示)は、ルップアップテーブルを使用するのではなく、乱数発生器を使用して、グレースケール値が受信される毎に、セグメント206のセットからディザ処理するセブセットをランダムに生成してよい。例えば、32つのセグメントがある場合、32ビットのランダムワードの各ビットが、32つのセグメントの1つを表してよい。換言すると、一番目のビットは、セグメント1を示し、次のビットは、セグメント2を示すというように続く。32ビットワードの値がランダムに生成されるとき、ワードの各ビットが有するバイナリ値の「1」は、対応するセグメントをディザ処理するか否かを示す。
【0032】
パルス幅決定回路316は、PWM発動機110に含まれ、メモリ302からのグレースケール値と同様に、GCLK140からのGCLK信号210を受信する。その後、パルス幅決定回路316は、グレースケール値及びGCLK信号210に基づいて公称パルス幅を生成する。パルスの幅は、対応するスキャンの1つのセグメント206内においてLEDがオンになるGCLKサイクルの数に対応する。つまり、パルス幅決定回路316は、グレースケール値を受信し、その値に基づいて、公称パルス幅と等しいGCLK信号210のパルス数を数え出す。ある実施形態では、パルス幅決定回路316は、後述のパルス調整制御回路308に含まれる。
【0033】
PWM発動機110のパルス調整制御回路308は、パルス幅決定回路316から公称パルス幅を受信し、各パルスがセグメント206に対応する一連のパルスを出力する。パルス調整制御回路308は、パルス調整テーブル回路306により出力されるディザ処理するセグメントのリスト又は他の表示と同様に、輝度スケール決定回路304から輝度値をさらに受信する。一連のパルス内において、任意のディザ処理するセグメントに対して、パルス調整制御回路308は、パルス幅決定回路316から受信した公称パルス幅を有するが輝度に基づいて調整されたパルスを、出力する。また、ディザ処理しないセグメントに対しては、パルス調整テーブル回路306は、パルス幅決定回路316から受信した公称パルス幅を有するパルスを出力する。
【0034】
PWM発動機110内のISD-PWM制御ステートマシン310は、メモリ302、輝度スケール検出回路304、パルス調整テーブル回路306、及び、パルス調整制御回路308のための、操作のシーケンス制御及び順序を実行する。操作では、ISD-PWM制御ステートマシン310は、構成データ314を受信して、特定のディスプレイにおいて要求される操作の順序及びタイミングを決定する。構成データ314は、ユーザによりロードされてもよいし、メモリに格納されてもよい。ISD-PWM制御ステートマシン310は、上述した多様な演算及び決定を実行するために、メモリ302、輝度スケール検出回路304、パルス調整テーブル回路306及びパルス調整回路308を含む、様々な構成要素の各々に、制御信号を出力する。
【0035】
複数のプロセスが、パルス調整制御回路308による輝度値に基づく調整量を決定するために、用いられてよい。調整量は、クロック信号であるGCLK210のパルスに対応する。
【0036】
直接法とも称される1つの方法では、調整量は、ディザ処理するセグメント毎に輝度スケール検出回路304にて検出されるカテゴリ及び閾値に直接的に関連付けられる。そうすることで、各ディザ処理するセグメントに対応する各パルスは、同一の調整幅を有する。例えば、ある実施形態では、輝度値がカテゴリ1である場合、そのとき、パルス調整回路308は、パルス幅を調整しない。そうすることで、調整量は0となる。輝度値がカテゴリ2である場合、調整量は、クロックサイクル1に設定される。輝度値がカテゴリ3である場合、そのとき、調整量は、クロックサイクル2に設定される。以後も同様である。この例では、調整量は、クロックサイクル数となり、パルス幅決定回路316により決定される公称幅が調整される。ただし、カテゴリ及び輝度値は、調整量と同様に、多様なディスプレイ要求に合うように調整されてよく、上記は、単なる一例として提示されている。
【0037】
直接法は、ISD PWMの実装が複雑化することを最小限に抑えながら、特にコンテンツが輝度レベルにおいて急激に遷移する際に、コンテンツの可視的な階調を容易にするために、ノイズ特性を生成して模倣する。
【0038】
代替カスケード法とも称される別の方法では、直接法によって達成されるよりもさらに厳密にノイズ特性を模倣するために、ISD PWMのより複雑な実装が適用され得る。この実装では、調整量は、連続するセグメント206において減少する。
【0039】
また、この方法において調整量は、上述の直接法と同様に輝度値に基づいて、さらにどのセグメント206にPWMディザリングが実行されているかに基づいて、選択される。つまり、セグメント206は、スケール値と同様に、次の閾値に基づいてカテゴリに分類されてよい:セグメント1-8(カテゴリ1)、セグメント9-16(カテゴリ2)、セグメント17-24(カテゴリ3)、セグメント25-32(カテゴリ4)。ただし、これらのカテゴリは、単に一例として提示されているため、セグメント206は、ディスプレイ特性に適した任意の数のカテゴリに分類されてよい。例えば、1つの閾値のみを選択してよく、この結果として、2つのカテゴリのセグメント206が生じ得る。
【0040】
最初に、調整量は、上述の直接法と同様に、選択される。例えば、輝度値がカテゴリ5である場合、調整量は、4クロックサイクルである。セグメント206のサブセットのセグメント206がカテゴリ1内に含まれる場合、そのとき、最初に決定された調整値が用いられる。セグメント206のサブセットのセグメント206が第2カテゴリに含まれる場合、そのとき、調整値は、1クロックサイクルだけ減らされる。セグメント206のサブセットのセグメント206が第3カテゴリに含まれる場合、そのとき、調整値は、2クロックサイクルだけ減らされる。
図4に示すように、以後も同様である。
【0041】
よって、初期の調整値が4クロックサイクルよりも小さい場合、そのとき、セグメントのサブセットのセグメント206の一部は、PWMディザリングを実行しなくてよい。これは、例えば、
図5に示されている。
図5では、輝度値は、第3カテゴリに含まれる。そのため、調整値は、2クロックサイクルである。セグメント206のサブセットの任意のサブセット206が、セグメント206のカテゴリ1に含まれる場合、そのとき、調整値は、2クロックサイクルになる。セグメント206のサブセットの任意のセグメント206が、セグメント206のカテゴリ2に含まれる場合、そのとき、調整値は、1クロックサイクルになる。セグメント206のサブセットの任意のセグメント206が、セグメント206のカテゴリ3又は4に含まれる場合、そのとき、調整値は0になり、これらのセグメント206ではパルス幅は調整されない。
【0042】
よって、操作において、LED駆動回路100は、複数のセグメント206にわたって表示され更新されるべき、フレームコンテンツについてのグレースケール値を受信する。上述のように、各グレースケール値は、各スキャンライン208の画素の強度を各々規定する。一例として単一のスキャンライン208を用いる場合、ISD-PWM制御ステートマシン310は、輝度スケール検出回路304に、グレースケール値をロードさせる。輝度スケール検出回路304は、グレースケール値に基づいて、その画素の輝度値を決定する。また、ISD-PWM制御ステートマシン310は、パルス幅決定回路316に、メモリ302からのグレースケール値を受信させる。パルス幅決定回路316がグレースケール値を受信すると、パルス幅決定回路316は、画素の輝度に対応するパルス幅を規定する。また、ISD-PWM制御ステートマシン310は、パルス調整テーブル回路306に、グレースケール値を受信させてセグメント206のサブセットを出力させる。パルス幅調整制御回路308は、輝度値、パルス幅及びセグメント206のサブセットを受信し、上述のように、一連のパルスを出力する。
【0043】
当業者によって理解されるように、LED駆動回路100は、上述のプロセスが各スキャンライン208(すなわち、各画素)に対応する受信した各グレースケール値に対して上述の処理が実行されるように、各スキャンラインにおいて並列操作を実行することができる。そうすることで、異なるセグメント206における異なるスキャンライン208が、調整されたパルス幅を受信し、その結果、高輝度から低輝度への遷移にわたってフレームコンテンツのランダムPWMディザリングが生じる。例えば、第5のセグメント206において、第3、第7及び第8のスキャンライン208は、スキャンの1つ、2つ、4つ、5つ及び6つが、各グレースケール値からのパルス幅を受信している間、調整されたパルス幅を受信してよい。
【0044】
各画素のグレースケール値を上述したが、ある実施形態では、画素の全てにおける平均グレースケール値を用いて、PWMディザリングを実行してよい。つまり、輝度スケール検出回路304及びパルス調整テーブル回路306は、平均グレースケール値を受信して、調整値及びどのセグメント206がPWMディザリングを実行するかを決定してよい。他の実施形態では、輝度スケール検出回路304のみが、平均グレースケール値を受信し、その一方で、パルス調整テーブルブロックが、スキャンライン208の各々においてグレースケール値の各々を受信する。このように、本開示で議論されるグレースケール値は、単一の画素のグレースケール値に限定されず、平均グレースケール値を含んでよい。
【0045】
さらに、輝度スケール検出回路304、パルス幅検出回路316、パルス調整テーブル回路306、及び、パルス調整制御回路308は、スキャンライン208毎に設けられてよい。輝度スケール検出回路304、パルス幅決定回路316、パルス調整テーブル回路306及びパルス調整制御308の各々は、各スキャンライン208において並列操作を実行してよい。つまり、輝度スケール検出回路304、パルス幅決定回路316、パルス調整回路306及びパルス調整制御回路308の各々は、スキャンライン208に対応する各グレースケール値を受信してよい。
【0046】
図6は、ある実施形態に係る、パルス調整テーブル回路により用いられ得るルップアップテーブルを示す。上述のように、グレースケール値の最下位ビットは、アドレスベクトルとして用いられ、どのセグメント206がPWMディザリングを実行することになるかを決定するために、パルス幅調整回路306内のどのエントリに従うかを決定する。ルックアップテーブルは、グレースケール値の4つのLSBに対応する、16つの行を含む。例えば、
図16において、行は、0000から1111に対応する。各行は、32つの列を含む。32つの列は、上述のタイミング図において32つのセグメント206を規定する。ただし、上述のように、様々な数のセグメント32が、コンテンツを更新するために用いられてよく、列及び行は、特定のディスプレイの要求に対応する。例えば、ある実施形態では、各行は、64つのセグメント206を規定する64つの列を有してよい。他の実施形態では、グレースケール値にて使用されるLSBの数に基づいて、より多くの又はより少ない行が、提供されてよい。
【0047】
各行の白い箱は、パルス幅決定回路316により規定されたパルス幅が用いられるセグメント206を示す。各行の黒い箱は、パルス幅決定回路316により規定されたパルス幅がパルス調整制御回路308により調整される、セグメント206を示す。
【0048】
例えば、
図6のルックアップテーブルから分かるように、グレースケール値のLSBが0010である場合、PWMディザリングは、セグメント4,6,9,18,25及び28で実行される。つまり、パルス調整制御回路308は、輝度値に基づいて各々のスキャンライン208について、それらのセグメント206のパルス幅を調整する。別の例では、グレースケール値のLSBが1011である場合、PWMディザリングは、セグメント2,21,22間に対応する画素又はサブ画素に適用される。
【0049】
ルックアップテーブルは、ランダム化を用いて生成されてよい。ルックアップテーブルは、ルップアップテーブルが異なるディスプレイデバイスの多様な要求に適合するように修正できるように、プログラマブルであってよい。
【0050】
図7は、本開示の実施形態に係るPWMディザリングを伴うセグメント206と、PWMディザリングを伴わないセグメント206とを示す。
図7に示されるように、パルス702は、グレースケール値に基づいてパルス幅決定回路316により決定されたパルス幅を示す。パルス幅は、最大4.096クロックサイクルである。GCLK信号704は、多様なクロックサイクルを有するクロック信号を示す。本開示に従ってPWMディザリングが実行されたセグメント206では、パルス幅は、グレースケール値により決定される可変値により調整される。パルス706では、パルス幅は、パルス幅の終端にクロックサイクルを追加することにより調整され、これにより、セグメント206内のスキャンライン208のその幅が長くなる。パルス幅決定回路316により決定されたパルス幅を有するパルス702と比較して、パルス708は、3クロックサイクルだけ長くなる。つまり、パルス702は、ディザリングされない。
【0051】
なお、パルス幅は、パルス幅の始端から調整値を減算することにより又はパルス幅の終端から調整値を除去することにより、調整されてよい。ただし、調整値は、各実施形態において、上述のように、輝度値に基づいて決定される。
【0052】
本開示の多くの修正及び他の実施形態が、前述の説明及び関連する図面に提示された教示を受けた当業者によって、もたらされるであろう。LEDアレイ内の構成要路は、単一色のLED又はRGVユニット若しくは利用可能な任意の他の形式のLEDであってよい。LED駆動回路100は、多様なサイズのLEDアレイを駆動するために、拡大又は縮小することができる。複数のLED駆動回路100が、LEDディスプレイシステム内の複数のLEDアレイを駆動するために、採用されてよい。駆動回路の部品は、単一チップに集積されてもよいし、又は、一以上のチップ又はプリント回路基板上に集積されてもよい。このような変形は、本開示の範囲内である。
【0053】
説明した特徴、操作又は特性は、1つ又は複数の実施形態において、多種多様な異なる構成で配置及び/又は設計し、及び/又は任意の適切な方法で組み合わせることができる。従って、システム及び方法の実施形態の詳細な説明は、クレームのような本開示の範囲を限定することを意図するものではなく、本開示の可能な実施形態の単なる代表的な例である。さらに、開示された実施形態に関連して説明されたステップの順序又は方法の動作は、当業者に明らかであるように変更されてもよいこともまた容易に理解されるであろう。従って、図面又は詳細な説明における任意の順序は例示目的のためだけであり、順序を要求するように指定されない限り、要求された順序を意味することを意味しない。
【0054】
実施形態は、汎用又は特殊用途のコンピュータ(又は他の電子デバイス)によって実行されるべき機械実行可能命令で具現化することができる様々な動作、ブロック、及び、回路を含むことができる。代替的に、動作、ブロック及び回路は、ステップを実行するための特定のロジックを含むハードウェアコンポーネントによって、又は、ハードウェア、ソフトウェア及び/又はファームウェアの組み合わせによって実行されてもよい。
【0055】
例えば、ハードウェアは、比較器、増幅器、発振器、カウンタ、周波数発生器、ランプ回路及び発生器、デジタル論理、アナログ回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ステートマシン、デジタルロジック、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、複合ロジックデバイス(CLD)、タイマー集積回路、デジタル-アナログ変換器(DAC)、アナログ-デジタル変換器(ADC)等のデバイスを含んでよい。
【0056】
多様な操作、ブロック及び回路を含む実施形態は、本明細書で説明されるプロセスを実行するようにコンピュータ(又は他の電子デバイス)をプログラムするために使用できる命令を記憶したコンピュータ可読記憶媒体を含むコンピュータプログラム製品として提供することもできる。コンピュータ可読記憶媒体は、ハードドライブ、フロッピーディスケット、光ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、ROM、RAM、EPROM、EEPROM、磁気又は光学カード、固体メモリデバイス、又は、電子命令を格納するのに適した他の種類の媒体/機械可読媒体を含み得るが、これらに限定されない。
【0057】
ある実施形態では、特定のソフトウェアモジュールは、メモリデバイスの異なる場所に格納された異なる命令を含むことができ、それらは一緒になってモジュールの説明された機能を実施する。実際に、モジュールは単一の命令又は多数の命令を含むことができ、異なるプログラム間で、及び、幾つかのメモリデバイスにわたって、幾つかの異なるコードセグメントにわたって分散することができる。ある実施形態は、通信ネットワークを介してリンクされたリモート処理装置によってタスクが実行される分散コンピューティング環境で実施することができる。分散コンピューティング環境では、ソフトウェアモジュールは、ローカル及び/又はリモートのメモリ記憶装置に配置することができる。さらに、データベースレコード内で結び付けられているか又は一緒にレンダリングされているデータは、同一のメモリデバイス内に、又は、幾つかのメモリデバイス間に存在することがあり、ネットワーク内のデータベース内のレコードのフィールドに一緒にリンクされることがある。
【0058】
当業者であれば、本発明の基本原理から逸脱することなく、上述の実施形態の詳細に対して多くの変更を加えることができることを理解するであろう。従って、本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ決定されるべきである。