(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】ドアリーフ落下検出装置、ドアリーフ落下検出システム及びドアリーフ落下検出方法
(51)【国際特許分類】
E06B 9/84 20060101AFI20220722BHJP
【FI】
E06B9/84 A
(21)【出願番号】P 2019539171
(86)(22)【出願日】2018-01-05
(86)【国際出願番号】 EP2018050283
(87)【国際公開番号】W WO2018145832
(87)【国際公開日】2018-08-16
【審査請求日】2019-07-19
(31)【優先権主張番号】102017102614.2
(32)【優先日】2017-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501394011
【氏名又は名称】エファフレックス・トーア-ウント・ジッヒャーハイツジュステーメ・ゲーエムベーハー・ウント・シーオー・カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】フォーゲル,ダニエラ
(72)【発明者】
【氏名】アイヒシュテッター,カール
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-180696(JP,A)
【文献】特開2007-315069(JP,A)
【文献】特開2005-312269(JP,A)
【文献】特開2009-24392(JP,A)
【文献】特開2015-137527(JP,A)
【文献】特開昭64-79664(JP,A)
【文献】特表2009-511791(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第2067922(EP,A1)
【文献】特開2016-142554(JP,A)
【文献】特開2014-85129(JP,A)
【文献】特開2007-209550(JP,A)
【文献】特開2005-65789(JP,A)
【文献】特開2005-351793(JP,A)
【文献】特開平6-230023(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00-9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高速の工業用ドアを含むドアの、ドアリーフの落下を検出するドアリーフ落下検出装置であって、前記ドアリーフ落下検出装置は、前記ドアリーフの表面上又は中に設けられ、
前記ドアリーフ落下検出装置の少なくとも1つの落下方向における前記ドアリーフ落下検出装置の加速度を検出する手段と、
前記ドアリーフの落下が肯定的に検出された場合に落下通知信号を送信する無線通信ユニットと、
コイル、及び前記コイルに対して前記コイルの中心軸に沿って直線的に相対移動可能な磁石である錘を有する電気機械的エネルギー変換器と、を備え、
前記ドアリーフの落下の肯定的な検出は、前記検出された加速度に基づくものであり、
前記ドアリーフ落下検出装置への電力供給は、前記エネルギー変換器からの電気エネルギーによって行われ、
前記ドアリーフ落下検出装置の加速度を検出する手段が、前記エネルギー変換器の出力の電圧を検出するアナログ-デジタル変換器であり、
前記エネルギー変換器の出力の電圧は、前記ドアリーフ落下検出装置の落下方向の加速度の関数であ
り、
前記検出された実際の加速度変化が前記ドアリーフの所望の加速度変化から所定の公差より大きくずれている場合に、前記ドアリーフの落下が肯定的に検出される、
ことを特徴とするドアリーフ落下検出装置。
【請求項2】
前記検出された加速度が所定の加速度範囲から外れた場合又は前記加速度から求められた速度が所定の速度閾値を超える場合、前記ドアリーフの落下が肯定的に検出される、
ことを特徴とする
請求項1に記載のドアリーフ落下検出装置。
【請求項3】
前記検出された加速度が、所定の第1の期間に許容不可加速度範囲内にある場合、前記ドアリーフの落下が肯定的に検出され、
前記所定の第1の期間は、前記ドアリーフの通常動作中に前記検出された加速度が存在
する期間よりも長く設定される、
ことを特徴とする
請求項1または2に記載のドアリーフ落下検出装置。
【請求項4】
前記検出された加速度が、所定の第2の期間に許容不可加速度範囲内にある場合、前記ドアリーフの落下が肯定的に検出され、
前記所定の第2の期間は、前記ドアリーフの通常動作中に前記検出された加速度が存在する期間よりも短く設定される、
ことを特徴とする
請求項1~3のいずれか一項に記載のドアリーフ落下検出装置。
【請求項5】
前記ドアリーフ落下検出装置の加速度を検出する手段が、少なくとも1つの既定加速度閾値に対応する既定電圧閾値を有し、その入力がエネルギー変換器の出力に接続された少なくとも1つの比較器であり、
前記電圧閾値を超えた場合、前記ドアリーフの落下が肯定的に検出される、
ことを特徴とする請求項1に記載のドアリーフ落下検出装置。
【請求項6】
前記エネルギー変換器は、誘導原理に基づくよう構成されている、
ことを特徴とする
請求項1~5のいずれか一項に記載のドアリーフ落下検出装置。
【請求項7】
前記エネルギー変換器が線形発電機であり、
前記エネルギー変換器の錘の自由度がf=1であり、
前記錘の自由度が前記落下方向の少なくとも1つに対応する、
ことを特徴とする
請求項1~6のいずれか一項に記載のドアリーフ落下検出装置。
【請求項8】
前記エネルギー変換器によって生成された電気エネルギーを貯蔵するエネルギー貯蔵ユニット、及び、
前記エネルギー変換器によって生成されたエネルギーを管理するエネルギー管理ユニット、及び、
前記エネルギー変換器によって生成された出力電圧を整流する整流器、及び、
加速度値を計算する計算ユニット、
を備え、
前記計算ユニットは、信号処理ユニットを含む、
ことを特徴とする
請求項1~7のいずれか一項に記載のドアリーフ落下検出装置。
【請求項9】
横方向ガイド内にガイドされ、ドア開口部を覆うドアリーフと、前記ドアリーフを開位置と閉位置との間で移動させる駆動手段と、前記駆動手段を制御するドア制御手段とを備え、前記ドア制御手段は前記無線通信ユニットと異なる別の通信ユニットを備える、高速の工業用ドアを含むドアと、
請求項1~8のいずれか一項に記載のドアリーフ落下検出装置であって、前記ドアリーフの落下が肯定的に検出された場合に、ドアリーフ落下検出装置の前記無線通信ユニットは、前記ドア制御手段の前記別の通信ユニットに落下通知信号を送信するドアリーフ落下検出装置と、
を備えることを特徴とするドアの落下防止システム。
【請求項10】
前記落下通知信号を受信した場合に、非常停止機構は、前記ドアリーフ落下検出装置によりモータブレーキ及び/又は機械的固定ボルトを作動させることによって所定の期間内で前記ドアリーフの落下を阻止し、
前記エネルギー変換器は、誘導原理に基づくよう構成されている、
ことを特徴とする
請求項9に記載の落下防止システム。
【請求項11】
前記落下通知信号を受信した場合に、非常停止機構は、前記ドア制御手段からモータブレーキ及び/又は機械的固定ボルトを解放することによって所定の期間内で前記ドアリーフの落下を阻止する、
ことを特徴とする
請求項10に記載の落下防止システム。
【請求項12】
ドアのドアリーフに取り付けられ、ドアリーフ落下検出装置の加速度を検出する手段と、
コイル、及び前記コイルに対して前記コイルの中心軸に沿って直線的に相対移動可能な磁石である錘を有する電気機械的エネルギー変換器と、を備え、
前記ドアリーフ落下検出装置の加速度を検出する手段が、前記エネルギー変換器の出力の電圧を検出するアナログ-デジタル変換器であり、
前記エネルギー変換器の出力の電圧は、前記ドアリーフ落下検出装置の落下方向の加速度の関数であ
り、
前記検出された実際の加速度変化が前記ドアリーフの所望の加速度変化から所定の公差より大きくずれている場合に、前記ドアリーフの落下が肯定的に検出されることを特徴とする、エネルギー自律ドアリーフ落下検出装置の使用。
【請求項13】
ドアのドアリーフの落下を検出する方法であって、
コイル、及び前記コイルに対して前記コイルの中心軸に沿って直線的に相対移動可能な磁石である錘を有する電気機械的エネルギー変換器を用いて前記ドアリーフの加速動作を電気エネルギーに変換する工程と、
前記エネルギー変換器の出力をデジタル出力に変換する変換工程と、
前記ドアリーフの加速度を検出する検出工程と、
前記検出された加速度に基づいて、前記ドアリーフが落下するかどうかを検出する判断工程
であって、前記検出された実際の加速度変化が前記ドアリーフの所望の加速度変化から所定の公差より大きくずれている場合に、前記ドアリーフの落下が肯定的に検出される判断工程と、
落下連動装置を作動させる工程と、
前記判断工程において前記ドアリーフの落下が肯定的に検出された場合に、無線通信手段により落下通知信号を送信する送信工程と、
を備え、
前記エネルギー変換器の出力の電圧は
、ドアリーフ落下検出装置の落下方向の加速度の関数であり、
前記変換工程、前記検出工程、前記判断工程、及び前記送信工程は、前記ドアリーフの動きから発生したエネルギーのみを使用して実行される方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドア、特に高速の工業用ドアのドアリーフの落下を検出するための装置、ドアリーフの落下を検出するためのシステム、及び、ドアリーフの落下を検出するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高速ドアは実際にはよく知られており、長年にわたって試行とテストが行われてきた。それらは民間および商業部門における多種多様なドア開口部を閉鎖する役割を果たす。工業用ドアは、建物の内部と外部を分離するのに使用されることが多い。例えば、シャッタードアや格納式ドアは、高速ドアとして特によく知られている。
【0003】
例えば、ローラーシャッターのドアリーフは、開く動作中にドアのまぐさの領域で巻き取られるか、もしくは他の巻き層と接触することなく円形スパイラル又は細長いスパイラルにガイドされる。後者の設計は、長い耐用年数及び信頼性と共に高速の移動を達成するので、特に工業目的に使用される
【0004】
このような高速の工業用ドアは、頻繁に出入りされるドアの開口部を確実に閉じることを証明してきた。これらの工業用ドアのドアリーフは、大きなストローク、多くの場合、数メートルのストロークで移動される。大抵、2m/sを超える高い作動速度が達成されるため、フォークリフト車などの連続する2回の通過の間にそのような工業用ドアを閉じることが通常可能であり、それにより天候の影響、すきま風や、部屋内の空調管理された雰囲気の損失から守られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、急激なドアの動きに伴ってドアの駆動部品にかかる機械的応力が増大すると、駆動部品が故障する確率が高くなるという問題が生じる。最悪の場合、けん引ロープが破損したり、ブラケットが破損したりして、ドアリーフが不必要に落下することがある。
【0006】
従って、基本的に、ドアリーフの落下を早い段階で検出する必要がある。工業用ドアの意図的に急速に加速されるため、ドアのリーフの落下とその意図的な動きとを区別することも困難である。
【0007】
もう一つの根本的な問題は、ドアリーフに取り付けられたセンサへの電力供給である。ドアリーフのセンサへの電力供給は、スパイラルケーブルやトレーリングケーブルによって定期的に行われるが、これらのケーブルは、特に移動負荷が大きいため、通常の操作中に機械的に劣化する。さらに、これらのケーブルが機械的に損傷する危険性があり、ケーブルホルダーの突起部分が高速ドアの近くにいる人に怪我をさせてしまう危険性がある。
【0008】
トレーリングケーブルに代わるものとして、従来のエネルギーチェーンもドアリーフに設置されて、使用される。これは、これらの接続がオペレータには見えないことを意味する。しかしながら、エネルギーチェーンもまた磨耗や機械的経年劣化の問題がある。
【0009】
さらに、ケーブルやエネルギーチェーンの使用は、高度な設計努力を必要とする。これは、ドアリーフの動きによって、そして特定の状況下ではドアの動作条件によって引き起こされる高い機械的応力によるものであり、対応するコストと関連している。例えば、冷蔵室や洗車用のドアを使用する場合は、非常に高品質のケーブルやエネルギーチェーンを使用する必要がある。これは、これらのケーブルやエネルギーチェーンの曲げ半径が必要とするスペース要件が高いことと関連している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、信頼性が高く、及び/又は、費用効果の高い、ドアの操作上の安全性を向上させる装置、システム及び方法を提供することである。
【0011】
これらの目的は、独立請求項の主題によって解決される。さらなる態様及び有利なさらなる改善は、従属請求項の主題である。
【0012】
本発明の一態様によれば、ドア、好ましくは高速の工業用ドアのドアリーフの落下を検出するドアリーフ落下検出装置が提供され、このドアリーフ落下検出装置は、ドアリーフの上又は中に設けられ、ドアリーフ落下検出装置の少なくとも1つの落下方向におけるドアリーフ落下検出装置の加速度を検出する手段と、ドアリーフの落下が肯定的に検出された場合に落下通知信号を送信する無線通信ユニットとを備え、ドアリーフの落下が肯定的に検出された場合に落下通知信号を送信する無線通信ユニットは、ドア、好ましくは高速の工業用ドアのドアリーフの落下を検出するために設けられ、このドアリーフ落下検出装置は、ドアリーフ落下検出装置の少なくとも1つの落下方向におけるドアリーフ落下検出装置の加速度を検出する手段と、ドアリーフの落下の検出結果が肯定的である場合に落下通知信号を送信する無線通信ユニットとを備え、ドアリーフの落下が肯定的に検出される。
【0013】
本発明の意味におけるドアリーフの落下は、ドアリーフの意図しない又は意図しない動きである。例えば、一般的な落下方向は重力により下向きであるが、ドアリーフでは、例えば、保持力が機能しないためにカウンターウェイトが意図せずにドアを上方に引っ張ると、「上方に倒れる」可能性もある。この点において、本発明によれば、ドアがどのように設置されているか、そしてドアリーフに作用する力に応じて、落下が下方だけでなく上方や横方向にも起こり得る。
【0014】
ドアリーフの「速度」は、ドアリーフの周囲(好ましくは地面)に対する相対速度([m/s])であると理解される。
【0015】
「加速」という用語は、一般に、すなわち「制動」または「減速」という意味でも使用される。
【0016】
「ジャーク」は、時間経過後の加速度の導関数、すなわち、速度の二次時間導関数であり、口語的な意味とほぼ等しい物理的な意味を有する。
【0017】
ドアリーフのジャークr(t)、加速度a(t)、速度v(t)及び位置s(t)の間の関係性は、以下の式で数学的に説明することができる。
【0018】
【0019】
例えば、加速度は速度の一次導関数(すなわち、変化)である。
【0020】
ドアリーフ落下検出装置は、ドアリーフの落下を検出するために使用される。この目的のために、少なくとも1つの動的(物理的)量/値、好ましくは、加速度が記録され評価される。これにより、ドアの機械的パラメータを決定することによって、ドアの近くでドアが落下するのを確実に検出することができ、ドアの安全性を高めることができる。
【0021】
さらなる改良によれば、ドアリーフ落下検出装置は、ドアリーフ落下検出装置に対して相対移動可能である錘を有する電気機械的エネルギー変換器をさらに備えていてもよい。このドアリーフ落下検出装置へのエネルギー供給は、(好ましくは、もっぱら)エネルギー変換器からの電気エネルギーによって行われる。
【0022】
ドアリーフ落下検出装置は、その使用目的のために、エネルギーを自給自足できるよう設計されている。これにより、例えば、バッテリーのメンテナンスが不要になり、外付けデバイスも排除することができる。さらに、ドアリーフ落下検出装置に電力を供給するためのケーブル接続が不要となるので、莫大な機械的努力やケーブル破損の危険性が回避される。従来の解決策とは対照的に、ドアリーフ落下検出装置に電力を供給するのに用いられるケーブルは、ドアリーフの移動距離や加速力にも耐えることができるよう設計されなければならない。最終的に、ドアリーフ落下検出装置は、この改良に従って、それ自体の動作に必要なエネルギーを発生させる。
【0023】
ドアリーフ落下検出装置は、加速度センサなどの少なくとも1つの動的センサを備えている。その測定結果は、例えば、加速度閾値を超えた時にドアの落下を肯定的に検出し、落下通知信号を通信するために、加速度閾値と比較される。詳細は以下の通りである。
【0024】
ドアリーフ落下検出装置は、熱くなっているドアリーフ内に配置されるか、ドアリーフと一体化されるか、もしくは、例えば、別のハウジング内のドアリーフに取り付けられていてもよい。
【0025】
例示的な場合では、無線通信ユニットは、識別子とデータコンテンツ(ペイロード)とを有する無線信号の送信ユニットである。さらに、このようなドアリーフ落下検出装置の例示的な送信機ユニットは、低エネルギー消費のために最適化された低電力無線ユニットであることが好ましい。この送信ユニットは、対応する送信トリガイベントが存在する場合、すなわち、ドアの落下が肯定的に検出された場合に、操作に関連するパラメータを個別に送信することができる。あるいは、送信機ユニットは、補完的な受信機ユニットがドアリーフ落下検出装置の正の機能を検出できるように規則的な時間間隔で(例えば、毎秒)送信することができ、これは安全性が重要な用途において望ましい。
【0026】
これにより、ドアの操作をより確実に行い、それを最適化することが可能となる。例えば、信号線のケーブルが断線した場合に発生し得るドアのダウンタイムが軽減される。
【0027】
ドアリーフ落下検出装置のエネルギー変換器は、電力又はエネルギー発生器として発明され、それによって環境からの機械的形態のエネルギー又はドアリーフの動きが電気エネルギーに変換され、それによってドアリーフ自体に電流が発生する。従って、本発明に係るエネルギー変換器は、ドアリーフの意図された動きにより存在する機械的エネルギーを電気エネルギーに変換するので、電気機械装置となる。MEMSとしても知られる微小電気機械システムが好ましい選択である。
【0028】
この改良によるエネルギー変換器は、特に、ドアリーフの各開閉方法とそれに関連する加速プロセス中に発生する機械的エネルギーを用いる。開閉プロセス中は、ドアリーフは、例えば、最高速度3m/sで数メートルのストロークを実行することができる。この動きは、覆われるドア開口部の高さと開閉の程度によって決まる。開閉プロセスはドアの開口部全体に影響を及ぼす可能性があるが、部分的にしか行われない場合もあり、すべてのプロセスでドアを完全に開閉する必要はない。しかしながら、いずれにせよ、ドアリーフは駆動手段によって強く加速される、すなわち、まずは最高速度に達した後、再び停止状態に制動される。
【0029】
さらに、ドアリーフ落下検出装置のエネルギー変換器及び負荷は、信頼性の高い電力供給を確保するようにも設計されている。この目的のために、ドアリーフ落下検出装置内の電子部品は、電力消費が非常に低く(好ましくは、μWの範囲)、好ましくは、必要な時にだけ通電されるように好ましくは/任意に設計される。DC-DCコンバータやマイクロプロセッサなどの上記電子部品は、「超低電力」部品として入手可能である。
【0030】
エネルギー変換器は、ドアリーフのドアリーフ落下検出装置内に配置されているので、ドアリーフと共に移動し、それに応じて加速される。ドアリーフ内のドアリーフ落下検出装置の位置とドアガイドの設計に応じて、ドアリーフ落下検出装置の動きは基本的には直線的で、かつ/または、ドアリーフの巻き付け動作に追従してもよい。
【0031】
このエネルギー変換器を使用することで、ドアリーフ落下検出装置は、エネルギー自給自足であり、すなわち、ドアリーフ落下検出装置の外部電源又は追加の電力供給を必要とせず、ドアリーフ落下検出装置の消費者を操作するには、エネルギー変換器により生成される、又は、環境から「収集される」エネルギーだけで十分である。
【0032】
さらに、コストがかかり、エラーが発生しやすいバッテリーやケーブルが回避される。このように、エネルギー変換器によってドアリーフ落下検出装置の消費者に対してエネルギー的に自給自足の供給を行うことにより、この装置の故障確率が低下する。バッテリー交換を含む輸送、廃棄、又はメンテナンスが不要であるため、バッテリを使用しない場合も、安全性及び環境面全般が考慮される。
【0033】
さらに、誘導変圧器など、ドア上のドアリーフ落下検出装置に電力を供給する追加の装置が不要である。ドアリーフ落下検出装置はコンパクト設計であるため、ドアリーフの全体構造に費用のかかる変更を加える必要なしに、ドアリーフ内で利用可能な限られたスペースに一体化することができる。さらに、そのような装置は、メンテナンスフリー又は低メンテナンスである。
【0034】
従って、本発明によれば、ドアリーフ落下検出装置は、少なくとも1つのエネルギー変換器と、ドアリーフ落下検出装置の加速度を検出するための少なくとも1つの手段と、少なくとも1つの無線通信ユニットとを備えている。これらの個々の機能部品により、「インテリジェント」ドアリーフを1つの装置で実現することができ、ドアリーフの落下を検出し、それを第三者に伝えることができ、かつ、エネルギー自給自足である。
【0035】
要約すると、本発明に基づくドアリーフ落下検出装置は、信頼性が高く、費用効果が高い。特に、ドアの駆動系内の機械部品が故障すると、ドアが制御されずに落下する可能性がある。そのような落下は、ドアリーフ落下検出装置によって検出される物体にとって危険である。ドアリーフの落下が検出された場合、さらなる対策を講じることもできる。例えば、緊急停止メカニズムをトリガすることができる。例えば、ドア制御手段は、駆動手段にドアリーフの移動を直ちに停止させて現在位置を維持させる。こういった落下防止策によって、人や物に対する事故を防ぐことができる。
【0036】
本発明のさらなる改良によれば、ドアリーフ落下検出装置の加速度を検出する手段が、例えば、ドアリーフ落下検出装置の落下方向の加速度を測定する圧電型加速度センサ又はMEMS加速度センサである、ドアリーフ落下検出装置が提供される。
【0037】
そのようなセンサを用いれば、ドアリーフの加速度を非常に正確にかつ高いサンプリングレートで得られる。これは、ドアリーフの落下も迅速かつ正確に検出できることを意味する。
【0038】
本発明のさらなる改良によれば、ドアリーフ落下検出装置の加速度を検出する手段が、エネルギー変換器の出力の電圧を検出するアナログ-デジタル変換器である、ドアリーフ落下検出装置が提供される。このエネルギー変換器の出力の電圧は、ドアリーフ落下検出装置の落下方向の加速度の関数である。
【0039】
エネルギー変換器の出力が二重の目的を果たすので、本発明のこのようなさらなる改善のために別個の加速度センサが必要とされないことが好ましい。従って、エネルギー(又は電力)は、エネルギー変換器によって提供され、さらに、電気機械エネルギー変換器の出力又は出力電圧は、エネルギー変換器内に配置された錘の加速度の関数である。これにより、ドアリーフ自体の加速度に関する結論を導き出すことができる。
【0040】
例えば、エネルギー変換器は、実験的に較正することが可能なので、電圧と加速度との関係性を決定して記憶することができる。エネルギー変換器の出力電圧がA/D変換器でサンプリングされる場合、ドアリーフの加速度は、ドアリーフ落下検出装置に記憶されている関数を用いて計算が可能である。
【0041】
本発明のさらなる改良によれば、検出された加速度が所定の加速度範囲から外れた場合又は(積分によって)加速度から求められた速度が所定の速度閾値を超えるか、それから逸脱した場合にドアリーフの落下が肯定的に判定される、ドアリーフ落下検出装置が提供される。
【0042】
操作者によるドアリーフの通常の操作と落下とを区別できるように、加速度閾値と速度閾値を固定してもよい。例えば、ドアリーフの通常の最大動作速度が1m/sである場合、本発明によれば、3m/sの制限速度を設定すればよい。ほとんど摩擦のない下向きの落下を仮定した場合、0.5秒足らずでこの制限速度に達し、確実にドアリーフ落下検出装置が迅速な応答を行えるようにする。
【0043】
本発明のさらなる改良によれば、所定の第1の期間に検出された加速度が許容不可加速度範囲内にある場合、ドアリーフの落下が肯定的に判断される、ドアリーフ落下検出装置が提供される。この所定の第1の期間は、ドアリーフの通常動作中に検出された加速度がある/存在する期間よりも長くなるよう設定される。
【0044】
これにより、動作中又は駆動手段によって駆動された時のドアリーフの通常の運動よりも遅いドアの落下を検出することが可能になる。そのため、ドアリーフが通常よりも予想外にゆっくり加速した場合、ドアリーフは駆動せず意図せずに下方に「スライドする」と結論付けることができる。このようなドアリーフの滑り落ちが生じる例としては、例えば、ドアが突然かつ急速に落ちることはないが、最初はかなりゆっくりと下方へ加速する、ほぼ開いた位置にあるシャッタードアにおいて、下方に引っ張る錘と一般的な転がり摩擦との比が依然として非常に悪い場合が挙げられる。
【0045】
本発明のさらなる改良によれば、所定の第2の期間に検出された加速度が許容不可加速度範囲内にある場合、ドアリーフの落下が肯定的に判断される、ドアリーフ落下検出装置が提供される。この所定の第2の期間は、ドアリーフの通常動作中に検出された加速度ある期間よりも短くなるよう設定される。
【0046】
これにより、動作中又は駆動手段によって駆動された時のドアリーフの通常の運動よりも速く発生するドアの落下を検出することが可能になる。
【0047】
本発明のさらなる改良によれば、検出された実際の加速度変化がドアリーフの公称加速度変化から所定の公差より大きくずれている場合に、ドアリーフの落下が肯定的に判断される、ドアリーフ落下検出装置が提供される。
【0048】
上記加速度変化は、「ジャーク」(又は「ジョルト」)とも呼ばれる。駆動手段の通常のジャークはあらかじめ分かっているか、ある範囲内であらかじめ決定されている(すなわち、加速度の公称変化はあらかじめ分かっている)。測定加速度の一次導関数(すなわち、実際の加速度変化)と公称加速度変化とを比較することによって、計算されたジャークが加速度変化の公称範囲内にあるか否かを判断することができる。公称値と実際の値との間にずれがある場合にドアリーフが落下する(又は、少なくとも望ましくない移動をする)。このような比較は、例えば、少なくとも1つの閾値又はより複雑な比較方法(例えば、パターン比較やニューラルネットワークによる計算)を用いて行うことができる。
【0049】
本発明のさらなる発展によれば、ドアリーフ落下検出装置の加速度を検出する手段が、少なくとも1つの既定加速度閾値に対応する既定電圧閾値を有する少なくとも1つの比較器である、ドアリーフ落下検出装置が提供される。この少なくとも1つの比較器は、その入力がエネルギー変換器の出力に接続されている。電圧閾値を超えた場合、ドアリーフの落下が肯定的に判断される。
【0050】
このように判断を行うことにより、ドアリーフ落下検出装置の複雑さが軽減される。エネルギー変換器の出力電圧は、この場合も、その加速度の関数であるものとする。
【0051】
本発明のさらなる改良によれば、エネルギー変換器が誘導原理又は圧電原理に基づくように設定されたドアリーフ落下検出装置が提供される。
【0052】
電磁誘導では、上記にさらに詳細に説明したように、磁束密度が変化すると電圧が発生する。例えば、移動磁石を使用することができる。あるいは、導体又はコイルが動いている間、磁石は静止していてもよい。
【0053】
その結果、エネルギー変換器は、電気エネルギーを生成する内蔵型のコンパクトなシステムである。エネルギー変換器はドアリーフの動きや加速度にしか依存せず、他の環境パラメータには依存しないので、エネルギー変換器は、他の装置とは無関係に、ドアリーフに設置することができる。ドアリーフの誘導やドアリーフの駆動の種類により、電気機械エネルギー変換器を使用するための機械的構成条件も正確に知られており、それがエネルギー変換器の設計がこの目的のために最適化され得る理由である。
【0054】
また、外部誘導コイルなど、ドアリーフの外側の他の補助装置も回避される。そのような誘導原理によるエネルギー変換器は、コンパクトでロバスト、かつ高効率で実現することができる。それにより、ドアリーフ落下検出装置の信頼性も向上する。
【0055】
また、エネルギー変換器は圧電原理に従って動作することができる。好適な圧電素子は、例えば、一方の端部(舌状)が懸架され、他方の自由端部に錘を有する細長いプレートレットの形態の一般的な弾性屈曲共振器であり得る。錘が加速されると、屈曲共振器が振動するよう設定されている。
【0056】
エネルギー変換器は、ドアリーフの移動以外の環境パラメータとは無関係に電気エネルギーを生成するので、エネルギー変換器のコンパクト設計も圧電素子にとって特に有利である。
【0057】
本発明の継続的な改良によれば、エネルギー変換器は線形発電機であり、エネルギー変換器の錘の自由度は1である(f=1)。錘の自由度は、ドアリーフの閉鎖要素の基本的な加速方向(好ましくは、直線上に並ぶ方向)に対応するよう提供される。
【0058】
本発明のさらなる改良によれば、エネルギー変換器が線形発電機であり、エネルギー変換器の錘の自由度がf=1であり、その錘の自由度が少なくとも1つの落下方向に対応する、ドアリーフ落下検出装置が提供される。
【0059】
エネルギー変換器は、例えば、線形発電機として設計することができる。エネルギー変換器内の錘は、ドアリーフの加減速中にその慣性によって直線的に偏向される。この偏向は、例えば、誘導原理又は圧電原理により電力に変換可能である。
【0060】
例えば、誘導原理に従って動作する線形発電機では、錘は通常磁石であり、好ましくは、磁束密度の高い希土類磁石である。錘又は磁石は、一つ以上のコイル内を移動する。ドアの加速によって生じる錘とコイルとの間の相対運動は、誘導効果によって電圧を発生させる。線形発電機の場合、磁石が誘導の法則に従って移動した時に原理上生成され得る電圧は以下のように簡易的に推定される。
【0061】
[数2]
U=-dφ/dt=-N*A*dB/dt
【0062】
ここで、φは磁束、Aはコイルの断面積、Bは磁気誘導、Nは誘導コイルの巻き数、dφ/dtはコイルの磁束変化である。数ボルトの短期誘導電圧を得ることができる。
【0063】
そして、生成されたエネルギーは、次の式により変換可能である。
【0064】
[数3]
E=L*I2/2
【0065】
[数4]
L=μ0*N2*A/l
【0066】
空気充填コイルの場合、Lはヘンリーのコイルのインダクタンス、μ0は磁気定数、Aはコイルの面積、lはコイル内の磁束の長さである。実験によれば、大きく寸法決めされたコイル及び磁石を用いた場合、数10又は100mAの短期電流が流れることが可能であることが分かる。その結果、例えば、ドアストローク当たり数10mWsを発生させることができる。
【0067】
ドアリーフがそのガイドに追従し、それにより正確に規定された運動を行うことを要求することによって、錘及び/又は磁石の少なくとも1つの自由度f又は意図された運動の可能性は、エネルギー変換器が効果的に作動することができるよう、ドアリーフの少なくとも1つの基本的な加速方向と一致するように規定することができる。
【0068】
錘は、振動可能で、f=1の自由度(並進の自由度)を有し、それに応じて直線に沿って前後に移動可能となるよう、少なくとも1つのばねから懸架されている。
【0069】
例えば、ドアリーフがそのガイド内で上下に直線移動する場合、ドアリーフが開閉された時にドアリーフ内の磁石が上方又は下方に移動することができるように、磁石を備えたエネルギー変換器が配置される。また、自由度がドアの少なくとも1つの可能な落下方向に対応するように、上方への動きで開き、下方への動きで閉じる通常のドアの場合にも配置される。このように、エネルギー変換器は、落下の動態によりよく対応する。
【0070】
上記磁石は、例えば、並進可能な線形ガイド内に配置することができる。
【0071】
ばね上の懸架装置の代替として、磁石を2つの油圧式又は機械式ショックアブソーバ間に取り付け、それらの間で自由にかつ直線的に前後に動かすこともできる。
【0072】
工業用ドアは最高速度に到達し、頻繁な開閉プロセス、ひいては錘の偏向をもたらす加速を受けるため、機械的エネルギーを電気エネルギーに変換することにより効率が向上する。従って、ドアリーフが動かされるたびに、対象となる消費者のために電気エネルギーが生成され、消費者はドアが動いている時にも定期的にこのエネルギーを必要とする。ドアリーフの長い耐用年数後でも、ドアの使用時、すなわち、ドアリーフの初期加速を通してエネルギーが利用可能である。この点において、電気エネルギーはその需要に応じて利用可能となる。
【0073】
バッテリーは自己放電するため、この要件を恒久的に満たすことはできない。本発明のエネルギー変換器は、ドアリーフの機械的エネルギーを用いて電気エネルギーを発生させるので、動作の信頼性が向上する。
【0074】
本発明のさらなる改良によれば、貯蔵するエネルギー変換器によって生成された電気エネルギー、エネルギー変換器によって生成されたエネルギーを管理するエネルギー管理ユニット、及び/又は、エネルギー変換器によって生成された出力電圧を整流する整流器、及び/又は、加速度値を計算する計算ユニットを備えたドアリーフ落下検出装置が提供される。この計算ユニットは、必要に応じて、信号処理ユニットを含む。
【0075】
本発明の意味における蓄電素子は、エネルギー変換器によって生成された電気エネルギーを、エネルギー変換器がエネルギーの変換を行わない段階でも利用可能なように貯蔵する。「ゴールドキャップ」としても知られるスーパーキャパシタなどの電気化学キャパシタを蓄電素子として使用することができる。
【0076】
本発明に係るエネルギー管理ユニットは、需要と充電状態に応じて、エネルギー変換器からの生成電気エネルギーで蓄電素子が充電されるように、エネルギー変換器によって生成されたエネルギーの管理を行う。従って、このエネルギー管理ユニットは、消費者をオン・オフに切り替えることができる。
【0077】
本発明のドアリーフ落下検出装置の演算ユニット/計算ユニットは、必要に応じてセンサにより検出された物理量を変換する。例えば、計算ユニットは、ドアリーフの速度が分かるように測定加速度を積分することができる。例えば、加速度センサに関しては、処理ユニットは、エネルギーを節約するために、加速度のピーク値をフィルタリングしてドア制御手段に送信することしかできない。
【0078】
本発明のさらなる改良によれば、ドアリーフ落下検出装置は、一体型アセンブリを形成してもよく、及び/又は、ドアリーフ落下検出装置は、ドアリーフの端部要素に配置されてもよい。
【0079】
これらの要素の一体構造のために、ドアリーフ落下検出装置は、コンパクトなシステムアセンブリを形成する。少なくともこれら3つの要素を一体的に配置することによって、ドアリーフ落下検出装置は、エネルギー的に自給自足な状態で機能することができる。これは、ドアリーフには短い伝送経路やケーブル長さしか必要とせず、それによりドアリーフ落下検出装置の故障しやすさが軽減することを意味する。
【0080】
さらに、ドアリーフ落下検出装置全体を、ドアリーフの閉鎖要素、すなわち、例えば、衝突センサも配置される場所に配置することもできる。
【0081】
本発明のさらなる改良又は態様によれば、ドア、特に、高速の工業用ドアを含み、横方向ガイド内にガイドされ、かつドア開口部を覆うドアリーフと、ドアリーフを開位置と閉位置との間で移動させる駆動手段と、この駆動手段を制御するドア制御手段とを備えるドア落下防止システムが提供される。ドア制御手段は別の通信ユニットを含む。また、ドアリーフ落下検出装置は、上記に既に詳細に説明されている。
【0082】
本発明の意味におけるドアは、ドア開口部を覆う可動ドアリーフを有する装置である。
【0083】
そのようなドアは、例えば、ホール閉鎖や建物内の熱的分離(例えば、貯蔵区域と冷却区域との間の分離)を行う機能を果たす。
【0084】
本発明のドアは、例えば、多数の個々の要素を含むドアリーフが横方向に取り付けられたガイド内でガイドされるシャッタードア又は格納式ドアである。スラットやドアフレームとしても知られるドアリーフのこれらの個々の要素は、互いに移動可能に又は斜めに接続されている。
【0085】
特に、ドアは、ドアリーフが高い最高速度、例えば、1m/sより速い、好ましくは、2m/sより速い速度で移動する高速の工業用ドアであってもよい。このドアリーフの速度は、工業用ドアの最高速度を超えるものであってはならない。この運動はドアの駆動手段によって行われ、この駆動手段は、例えば、強力な電気モータ、空気圧リフトシリンダ又は油圧装置を有する。さらに、駆動装置は、歯車、ベルト、連結要素などの他の機械的構成要素を備えることができる。
【0086】
また、ドアは、ドアを半自動又は全自動で制御するドア制御手段も備えている。この種のドア制御手段は、開閉操作ならびに種々の操作及び/又は安全ルーチンを行うための制御プログラム(ソフトウェア)を有するマイクロコンピュータを備えている。あるいは、ドア制御手段は、有線で設けることもできる。
【0087】
本発明のさらなる改良によれば、ドア制御手段によってモータブレーキ及び/又は機械的固定ボルトを解放することによって所定の期間内でドアリーフの落下を阻止する非常停止機構を備えたシステムが提供される。これにより、ドアの落下を検出するだけでなく、できるだけ早くそれを阻止する。
【0088】
システムのさらなる改良によれば、非常停止機構は、ドアリーフ落下検出装置から直接モータブレーキ及び/又は機械的固定ボルトを作動させることによって所定の期間内でドアリーフの落下を阻止し、落下通知信号を受信した場合に、ドアリーフが落下しないようにすることができる。エネルギー変換器は、誘導原理又は圧電原理に基づくよう構成されている。
【0089】
この非常停止機構は、例えば、機械的にプリテンションされたボルトを作動させる(ロック解除する)ことによって実現し得る。これらのボルトのロックを解除すると、ドアの落下は素早く効果的に停止する。その結果、ボルト解放を作動させるのに必要なエネルギーのみが必要とされる。
【0090】
本発明の改良によれば、電気機械エネルギー変換器と、ドアリーフの落下を防止するためにドアリーフ落下検出装置の加速度を検出する手段とを備えた、ドアのドアリーフに取り付けられたエネルギー自給式のドアリーフ落下検出装置の使用が開示されている。
【0091】
本発明の一態様によれば、ドアのドアリーフの落下を検出する方法が開示され、この方法は、電気機械エネルギー変換器を用いてドアリーフの加速動作を電気エネルギーに変換する工程と、ドアリーフの加速度を検出する工程と、検出された加速度に基づいてドアリーフが落下するか否かを判断する工程と、落下連動装置を作動させる工程と、判断工程においてドアリーフの落下が肯定的に判断された場合に、無線通信手段により落下通知信号を送信する工程とを備え、上記検出工程、判断工程、送信工程では、例えば、ドアリーフの移動から発生したエネルギーが使用される。
【0092】
ドアリーフ落下検出装置に配置されたエネルギー変換器は、環境から自由に利用可能な機械的エネルギーとしてのエネルギーを電気エネルギーに変換する。このエネルギー変換器は、ドアリーフ内に配置されているので、例えば、ドアリーフの移動(又は、駆動手段によってドアリーフ上で行われる動作)を用いることができる。
【0093】
そして、同じくドアリーフ落下検出装置内に配置された蓄電素子が、このエネルギー変換器によって生成された電気エネルギーを蓄積する。この蓄電素子は、エネルギー変換器のすぐ近くに配置されていることが好ましい。
【0094】
ドアリーフの加速度は、それ自体の加速度センサによって、又は、エネルギー変換器の出力における電圧レベルを判定することによって記録される。例により上記にさらに詳細に説明したように、ドアリーフが落下するかどうかを判断(判定)するのにはいくつかの方法がある。
【0095】
この方法により、ドアに関して上述したのと同じ利点が実現される。
【0096】
本発明の別の改良によれば、加速度センサによって測定された値/量は、ドアリーフ落下検出装置によってドア制御手段に送信されてもよく、ドア制御手段は、加速度値と少なくとも1つの既定の加速度閾値とを比較することによって、ドアが落下しているかどうかを判断する。
【0097】
上記で詳細に説明した本発明のドアリーフ落下検出装置のさまざまな態様及びさらなる改良によれば、信頼性の高い方法でドアリーフの落下検出を行うことが可能になる。
【0098】
本発明に係るドアについて、図面を参照して以下の実施例で詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【
図1】本発明に係るローラーシャッター1/シャッタードア1を示す正面図である。
【
図2】ドアリーフ落下検出装置100、ドア制御手段5、駆動手段4を備えたドア用制御システムを示す原理図である。
【
図3】通常運転中及びドアリーフの落下前後におけるドアリーフの動態(速度、加速度、ジャーク)、ならびにドアリーフの落下の検出可能性を示す概略図である。
【
図4】
図1に示す電動ドアリーフ落下検出装置100の機能アセンブリを示す概略図である。
【
図5】本発明の一態様に係るエネルギー変換器21を示す図である。
【
図6】本発明の別の態様に係るエネルギー変換器21を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0100】
図1は、本発明に係るローラーシャッター1/シャッタードア1を示す正面図である。
図1に示すように、シャッタードア1は、横方向ガイド3内に保持され、ドア開口部にわたってガイド3に対して垂直に延在する複数のスラット12を含むドアリーフ2を備えている。
【0101】
また、ドアリーフ2は、複数のヒンジリンクを含むヒンジ14を備えていてもよい。いずれの場合にも、互いに割り当てられた2つのヒンジ部材は、横方向ガイド3へと横方向に延在する補強プロファイルによって、その補強プロファイルを有するヒンジバンド14が安定した傾斜構造を形成するように互いに接続することができる。
【0102】
上記ドアリーフは、スラット12の代わりに、2つのセグメントを含むことができ、それらは巻き上げられることなく、ドア1上方、例えば、天井にあるレールシステムにおいてガイド可能である。ドアリーフ2は、端部ストリップを有する可撓性PVC(ポリ塩化ビニル)製のドアカーテンとして設計することもできる。アクリルガラスが使用される場合、ドアリーフ2も透明であり得る。ドア1は内部ドア又は外部ドアとして設計することができるので、ドアリーフ2には窓やドアを含むこともできる。
【0103】
さらに、ドアリーフ2は、床側にゴムシール等を備えた端部要素7を備えている。この端部要素7とヒンジリンクとは、ヒンジリンクの旋回軸と同軸方向に旋回可能である。端部要素7には、ドアリーフ落下検出装置100が設けられている。
【0104】
ドアリーフ2は、
図1に示す駆動手段4のモータ10によって駆動され、このモータ10は、それ自体公知の方法で駆動軸を介してモータ動力を伝達する。モータ出力は、ローラーシャッター1が迅速に開閉できるように(>1m/s、好ましくは、>2m/s)寸法設定されている。
【0105】
ローラーシャッター1が閉状態にある場合、端部要素7は、ローラーシャッター1の底部要素に接触している。この状態では、ローラーシャッター1の熱分離効果又は気密性が最大となり、ローラーシャッター1の第1の面と第2の面との間の空気交換が大幅に又は完全に阻止される。全開状態では、ローラーシャッター1によって開放されるドア開口の最大面積が最大となる。しかしながら、ローラーシャッター1は、ドア制御手段5のプログラミングに従って、閉状態と開状態との間の他の任意の状態をとることもできる。
【0106】
図2は、電気式ドアリーフ落下検出装置100、ドア制御手段5、駆動手段4からなるシステムの原理図を示す。ドアリーフ落下検出装置100は、
図1に示すように、ドアリーフ2内又はその上に配置されている。また、ドア制御手段5は、少なくとも1つの非常停止手段にも接続されている。この非常停止手段は、ドアリーフ2の落下が発生した(検出された)場合にドアリーフ2を停止させるのに用いられる。例えば、ドアリーフ2のガイド内又はその近くにロック装置が配置されてもよく、ドア制御手段5によって作動されると、落下が発生した場合にドアリーフ2の動きを抑制又は停止してもよい。具体的には、この目的のために固定ボルト又はブレーキシューを使用してもよい。また、非常停止手段は、ドアリーフ2の駆動手段4に介入することもでき、例えば、適切な方法でモータ軸が回転しないようにすることもできる。
【0107】
駆動手段4及びドア制御手段5は、静止した状態で配置することができ、ドアリーフ2に隣接して配置することができる。ドアリーフ落下検出装置100、ドア制御手段5及び駆動手段4間の通信は、双方向又は一方向の無線通信が可能である。
図2の矢印a)で示すように、ドアリーフ落下検出装置100とドア制御手段5との間の通信が一方向である場合、ドアリーフ落下検出装置100は送信ユニットを備えて構成され、ドア制御手段5は受信ユニットを備えて構成される。矢印a)、b)で示すように、ドアリーフ落下検出装置100とドア制御手段5との間の通信が双方向である場合は、ドアリーフ落下検出装置100とドア制御手段5がそれぞれ送受信ユニットとして構成される。追加のセンサユニットを用いて、25個の記録パラメータがドアリーフ落下検出装置100の通信ユニット200を介してドア制御手段の送受信ユニットに送信される。
【0108】
無線通信ユニット200の一例である第1及び第2の送受信ユニット200間の信号伝送は、双方向無線リンクを介して行うことができる。例えば、この伝送はブルートゥース(登録商標)により行うこともできる。それぞれの48ビットアドレスを介して第1又は第2の送受信ユニット200が識別されると、データパケットによるデータ送信が行われる。例えば、RS-232シリアルインタフェースは、マイクロコントローラユニットに対するインタフェースとして使用可能である。
【0109】
上記信号伝送は、一方向無線リンクを介して実行可能であることが好ましい。例えば、ドア制御手段5には受信ユニットが1つだけ設けられ、ドアリーフ落下検出装置にも送信ユニットが1つだけ設けられる。例えば、特定の用途では、一方向のデータ伝送で十分である場合がある。また、このようなデータ伝送は、ドアリーフ落下検出装置100がデータの受信準備やデータ受信にエネルギーを消費しないので、双方向データ伝送と比較して省エネである。
【0110】
一般に、例えば、識別コードとデータフィールド(ドアリーフの落下が明確に示される)を有する単一の無線信号のみからなる落下通知信号には一方向送信しか必要とされない。落下信号が実際に確実に受信されるようにするために、数回(例えば、2回)繰り返し行われることもある。
【0111】
ドア制御手段5には、開放スイッチ51、遠隔状態、又は、ドア開放範囲を検出するその他のセンサなど、いくつかの装置を接続してもよい。ドア制御手段5は、これらその他の装置によって受信された情報や操作に関連するパラメータを考慮して、所望の動作モードに従ってローラーシャッタードア1の開閉が行われるように駆動手段4を制御する。
【0112】
従って、これらのセンサのドア制御手段5は、ドアリーフ落下検出装置100から操作に関連するパラメータをさらに受け取る。これらの操作関連パラメータも、駆動手段4を制御する際にドア制御手段5によって考慮される。
【0113】
ドア制御手段5と駆動手段4との間の接続は、ケーブルを介して又は無線で、例えば、上記のように無線を介して行うことができる。駆動手段4は、受け取った命令に従ってドアリーフ2の駆動を行う。
【0114】
図3は、通常動作中及びドアリーフの落下が発生した場合のドアリーフの動態(すなわち、速度、加速度、及び/又は、ジャーク)、並びに、ドアリーフ落下検出手段を示す概略図である。
【0115】
図3の左側には、
図1のドアについて、秒単位の時間に応じて、ドアリーフの速度、加速度(2倍)、ジャークの例が(上から順に)示されている。
図3における4つすべての図の時間スケール(水平方向)は同じである。すなわち、4つすべての図は経時的に同じプロセスを示す。例えば、対応する加速度は速度曲線に従って垂直方向下側に示される。
【0116】
見出し「開放」の下には、ドアリーフの開放操作の過程が、上に列挙されたサイズのそれぞれについて示され、見出し「閉鎖」の下には、ドアリーフの閉鎖操作の過程が、上に列挙されたサイズのそれぞれについて示されている。
【0117】
例えば、
図3の曲線a(実線で示す)の例では、ドアリーフは所定の速度まで加速され、しばらくの間この速度で移動し、その後再び停止状態までゼロ速度に制動される。ドアが閉じている場合の曲線b(実線で示す)についても同じことが言える。
【0118】
また、曲線c、d、e、fも開閉プロセス中のドアリーフに生じる加速度を示す。以下の
図3では、曲線g1、g2、h1、h2、i1、i2、j1、j2を有するジャークがこれと一致するように示されている。
【0119】
開閉動作の間では、ドアは大きく又は完全に開いている、すなわち、ドアリーフ2が上部にある。閉動作後は、ドアが閉じられる、すなわち、ドアリーフ2が底部にある。
【0120】
また、一点鎖線は、ドアリーフが落下する予期せぬ場合を示している。例えば、点P1では、開いているドア1のドアリーフ2の引っ張りロープ又は保持ロープが破断する。その結果、ドアリーフ2は重力によって下方に加速され、点P2で地面に衝突することになる。算出されたドアリーフの絶対速度と所定の速度閾値とを比較することによって、又は、測定された加速度と所定の加速度閾値とを比較することによって、地面に衝突する前にドアリーフの落下を検出することができ、例えば、ドアリーフの緊急停止を作動させることができる。速度を比較する場合は、落下の肯定的な検出を点Aで示す。加速度を比較する場合は、落下の肯定的な検出を点Bで示す。
【0121】
それに加えて又はその代わりに、所定の第1の期間に検出された加速度が許容不可加速度範囲内にある場合、ドアリーフ2の落下を肯定的に判断することができる。この所定の第1の期間Δt1は、ドアリーフ(2)の通常動作中に検出された加速度が存在する期間Δt
doorよりも(おそらく1公差分を超えて)長くなるよう設定される。「ゆっくり」(すなわち、駆動手段による通常の動きよりも遅く)落下する又は滑り落ちるドアリーフ2のこのような場合を、
図3の(上から数えて)3番目の図に詳細に示す。
【0122】
ここでは、ドアリーフ2の加速度が所定の加速度範囲内にある期間Δt1、すなわち、例えば、所定の加速度範囲内に入るまでから出るまでの期間が測定される。このように決定された期間Δt1は、事前に製造業者によって一度較正が行われた、又は、以前の通常の閉鎖方法の間に記録され、ドアリーフ落下検出装置に記憶された期間Δtdoorと比較される。この後者は、ドアの摩耗が耐用年数にわたって考慮されるという利点を有する。
【0123】
図3の(上から数えて)4番目の図を参照すると、通常動作におけるドアリーフ2のジャーク(例えば、曲線h1、「公称」曲線を参照)と、比較のために、落下が発生した場合のジャーク(P1とP2との間の点線、落下の場合の「実際の」曲線を参照)が示されている。従って、公称動作におけるジャークは、好適な数学的方法によって(例えば、少なくとも1つの閾値によって又は曲線プロファイルを比較することによって)判断が可能な、落下発生時のジャークとはっきりと区別される。
【0124】
要約すると、ドアリーフの落下を記録するのに考え得る判断の選択肢は数多く存在し、その詳細については上記にすでに説明した。
【0125】
図4は、
図1、
図2に示す電気機械式ドアリーフ落下検出装置100の機能アセンブリの概略図を示す。このドア落下検出装置100は、エネルギー変換器21、エネルギー管理ユニット22、エネルギー貯蔵ユニット23、計算ユニット24、任意のセンサユニット25、及び、必要に応じて、少なくとも1つのアクチュエータユニット26を備えている。
【0126】
例えば、本発明のエネルギー変換器21は、ドアリーフ2の機械的エネルギーを電気エネルギーに変換して、ドアリーフ落下検出装置100に電気負荷を供給することができる。エネルギー変換器21の可能な設計について、以下に詳しく説明する。
【0127】
エネルギー変換器21は、開放及び/又は閉鎖プロセス中、負荷を操作するのに十分な電力を生成することができる。例えば、10mW程度の電力を生成することが可能であり、対応する低電力部品の操作に十分な電力である。エネルギー管理ユニット22の制御の下で、エネルギー変換器21が生成した電力は、エネルギー貯蔵ユニット23の充電及び/又はドアリーフ落下検出装置100の消費者への供給を行うのに用いることができる。
【0128】
本発明のエネルギー管理ユニット22は、エネルギー変換器21と、エネルギー貯蔵ユニット23と、ドアリーフ落下検出装置100に含まれるその他の電気負荷との間のインタフェースとして機能する。また、エネルギー管理ユニット22は、通常、単純な電子回路によって、エネルギー変換器21が生成したエネルギー(電圧、電流)をエネルギー貯蔵ユニット23に長期間貯蔵することができるように変換する。例えば、ブリッジ整流器は、エネルギー変換器21が生成したAC電圧をDC電圧に変換する。エネルギー管理ユニット22は、それ自体が高い効率を有し、エネルギーをほとんど消費しないように設計されている。
【0129】
エネルギー貯蔵ユニット23は、エネルギー変換器21が生成した電気エネルギーの中間貯蔵部として機能する大容量のコンデンサ、例えば、少なくとも数mFの「ゴールドキャップ」であることが好ましい。エネルギー貯蔵ユニット23は、エネルギー管理ユニット22に接続されている。このように、エネルギー貯蔵ユニット23は、エネルギー変換器21が全く又はほとんどエネルギーを発生させない場合に、本発明のドアリーフ落下検出装置100の消費者に対してエネルギーを利用可能にすることを目的としている。エネルギー貯蔵ユニット23は、貯蔵エネルギーがより長期間にわたって利用可能となり、ドアリーフ落下検出装置の効率が100となるよう、低い自己放電率を有することが好ましい。
【0130】
本発明のドアリーフ落下検出装置100の電気負荷には、少なくとも1つの計算ユニット24と、必要に応じて、少なくとも1つのセンサユニット25とが含まれる。計算ユニット24は、無線通信ユニット200と信号処理ユニット242とを備えている。信号処理ユニット242は、従来の8ビットマイクロコントローラなどのマイクロコントローラを介して、あるいはDSP(デジタル信号プロセッサ)を介して実装可能である。この信号処理ユニット242は、「超低電力」技術で設計されることが好ましい。
【0131】
センサユニット25は、ドアリーフ落下検出装置100の動態を検出する少なくとも1つのセンサ251(すなわち、以下のパラメータ、速度、加速度、ジャークのうちの少なくとも1つ)と、必要に応じて、信号調整ユニット252とを備えている。この信号調整ユニット252は、フィルタリング、増幅、又は絶対測定値への変換など、センサ251によって出力される電気信号(例えば、デジタル加速度データ)を(例えば、Gで)計算することができる。いくつかの物理的動態パラメータが検出された場合、信号調整ユニット252は電気信号を多重化することもできる。
【0132】
計算ユニット24は、1つの応用例において、
図3に示すプロセスを実行するのに用いられる。例えば、演算ユニットは、加速度センサ251のデータを積分することによってドアリーフ2に関する速度値に変換することができる。次に、演算ユニットは、この数値速度値を所定の速度閾値と比較することができる。所定の速度閾値を超えた(または外れた)場合、演算ユニットは、速度閾値を超えた直後に無線通信ユニット200からドア制御手段5に送信される落下通知信号をトリガする。その後、ドアの落下に適切に対応することができる。
【0133】
一応用例では、アクチュエータユニットは、ドアリーフの緊急ブレーキ又は緊急停止を行うのに用いられる。これは、緊急時に、ロック解除することによってフレームに介入し、自由に落下するドアリーフを所定の位置にロックして直ちに停止させる、機械的にプリテンションされたボルトによって達成可能である。これらのボルトは、ドアリーフガイドに隣接して、ドアリーフの両側に取り付けられることが好ましい。
【0134】
別の応用例では、処理ユニット24は、センサ251の測定値を測定し、その測定値をドア制御手段に送信するためだけに用いられる。この場合、ドア制御手段5は、
図3で説明した動作を実行して、ドアの落下を検出して適切に対応することができる。
【0135】
図5、
図6は、ドアリーフ20の機械的エネルギーを電気エネルギーに変換するエネルギー変換器21の例をそれぞれ示す。
【0136】
図5に示すエネルギー変換器21は、誘導原理により動作する。この目的のために、エネルギー変換器21内のキャビティには、2つの対向するばね211a、211bが配置されており、それらはいずれも同じ方向に延在する中心軸に沿って偏向可能である。ばね211a、211bは、締結具214a、214bによって端部要素7にしっかりと接続されている。
【0137】
ばね211a、211bの自由可動端には磁石212が取り付けられている。これにより、ばね211a、211bの中心軸に沿って懸架された磁石212が、一方のばね211aの方向と他方のばね211bの方向の両方に移動することが可能になる。磁石212の自由度fは、f=1である。これは、例えば、詳細には図示されていない磁石212の直線ガイドによって、又は、磁石212の両面懸架によって達成することができる。バネ211a、211bのばね定数は、磁石212の振動(減衰)振動を可能にするよう磁石212の質量に対して設計されている。磁石212を偏向可能な方向にエネルギー変換器21を加速させる場合、機械的エネルギーがばね211a、211bと磁石212からなる振動系に供給される。この振動系は、特に、エネルギー変換器21の加速が終了した場合に振動し続ける。振動系の最大限の振動を得るために、エネルギー変換器21に作用し得る加速力の方向は、磁石212が偏向可能な方向と一致する。
【0138】
本発明に係る磁石212の懸架によって、磁石212の直線変位が可能となる。広い領域にわたる端部要素7の移動も直線的な移動である。従って、エネルギー変換器21は、マグネット212の移動自由度(並進自由度f=1)が開閉方向に対応するように、端部要素7内に配置されている。これにより、エネルギー変換器21の効率が最適化される。
図5は、自由度が下方に閉じ、上方に開くドアリーフと一致するエネルギー変換器を示す。
【0139】
また、コイル213は、磁石212がその中心軸に沿って移動するように、エネルギー変換器21内に配置されている。従って、磁石212は、コイル213内で少なくとも部分的に前後に移動する。磁石212が振動すると、電気エネルギーが誘導によって発生し、エネルギー変換器21の出力で交流電圧の形で利用可能となる。本発明に係る線形エネルギー変換器21の特定の利点は、最大効率が達成されるように、ドアリーフ2の決定的に予測可能な動きとそれに関連する加速力に適合することである。閉鎖要素7の移動は、ドアリーフ2の他の要素と比較して、主に直線に沿って進行するので、エネルギー変換器21が閉鎖要素7内に配置されていると特に有利である。従って、ドアリーフ2の移動によって磁石212に作用する慣性力は、ばね211a、211bによって磁石212に作用する力と平行である。このように磁石212に作用する力が整列することで、ばね211a、211bへのエネルギー伝達が最適化される。これにより、最終的に、効率的なエネルギー変換が達成される。
【0140】
さらに、エネルギー変換器21の自由度は、
図5に示すように、ドアリーフ2の落下方向と一致させることもできる。なぜなら、エネルギー変換器21は、ドアリーフ2の落下の動態に対して特に敏感に反応するからである。例えば、ドアリーフ2が落下する際に生じるジャークは(駆動手段4によって操作される場合の低い加速度と比較して)磁石212の特に大きな偏向を引き起こす場合があり、それによってエネルギー変換器21の出力において電圧が特に高くなる。この異常に高い電圧は、適切に定められた電圧閾値と比較器によって検出することができ、それによってドアリーフ2の落下を示す比較器の出力にデジタル信号が印加される。計算ユニット24は、例えば、無線通信ユニット200を介して落下通知信号(落下警報信号)を出力することにより適切にこの信号に対応することができる。従って、センサユニット24を省略することができ、エネルギー発生器24が落下の検出のために比較器と共に機能し、それによって経済的かつエネルギー自給式のドアリーフ落下検出装置100を有利に実現することができる。
【0141】
図5に示す別のエネルギー変換器21は、圧電原理により動作する。端部要素7には、固定要素223が配置されている。この固定要素223の一端には、たわみ共振要素221a、221bを含むたわみ共振器221が取り付けられている。このたわみ共振器221は、最先端の技術で知られる圧電素子であることが好ましい。たわみ共振器221の他方の自由端には、錘222が取り付けられている。たわみ共振器221と錘222とは、ドアリーフ2が加速する時に可能な限り効果的にたわみ共振器221がたわむように、ドアリーフ21の移動方向に対して垂直に配置されている。
【0142】
ドアリーフ2が開閉すると、エネルギー変換器21はドアリーフ2と共に加速される。加速度とは反対方向に錘222に作用する慣性力は、たわみ共振器221を偏向させ、再び減衰するよう振動させる。このように、たわみ共振器221は交流電圧を発生させ、それがエネルギー変換器21によってその出力で利用可能となる。
【0143】
本発明に係るたわみ共振器221は、ドアリーフ2が加速した場合にその最大たわみに達するように、ドアリーフ2の運動方向に対して垂直に配置されている。たわみ共振器221は、基本的に1つの並進自由度(f=1)のみを有するように配置されている。たわみ共振器が片側で固定され、錘222がその自由端に取り付けられているので、この錘222は、たわみ共振器221のたわみをさらに増大させることができる。たわみ共振器221にかかるおもり力や錘222の作用点、並びに、長さ、厚さ、弾性率などのたわみ共振器221自体の設計も、発生する電圧が最大になるように設計される。ここでも同様に、
図6に示すように、自由度は、ドアリーフ2の少なくとも1つの落下方向と一致することが好ましい。さらに、
図6で説明したように、同様に落下を記録するために比較器を使用することができる。
【0144】
本発明は、説明した実施形態及び態様に加えて、さらなる設計原理を可能にする。従って、さまざまな設計形態及び態様の個々の特徴は、専門家にとって実行可能である限り、望み通りに互いに組み合わせることができる。
【0145】
また、電気機械エネルギー変換器には、その他の機構を採用することもできる。例えば、1つの軸を有し、その軸に錘が偏心的に取り付けられたダイナモを採用することもできる。
【0146】
本発明のドアは、シャッタードアとして説明してきたが、例えば、格納式ドアやヒンジ式ドアであってもよい。従って、本発明によれば、ドアリーフが規定の動きをしたり所定の経路を通るすべてのドアが対象となる。
【0147】
さらに、ドアリーフ落下検出装置は、ドアリーフの任意の場所、例えば、中央に配置されていてもよい。
【0148】
原理上は、ドアリーフ落下検出装置は、低エネルギー消費のディスプレイ要素など、その他のアセンブリを有することもできる。
【0149】
また、ドアリーフ落下検出装置は、追加のエネルギー変換器として、熱発生器を備えることができる。このような熱電圧変換器は、温度差を電気エネルギーに変換することが可能な熱電発電機である。熱電発電機は、ゼーベック効果や逆ペルチェ効果に基づいており、温度差によって板状要素の両側に配置された2つの電極に電圧が生じる。例えば、ペルチェのような要素は、ラメラ内のドアリーフの第1面と第2面との間に取り付けられる。ここでは、その材料として、Bi2Te3、PbTe、SiGe、BiSb、FeSi2などの半導体材料を使用することができる。
【0150】
図1に示すドアリーフは下から上へ、そしてその逆に移動可能であるが、本発明にはドアリーフが他の方向に、例えば、横方向に移動可能なドアも含まれる。