(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】溶融紡糸設備の複数の紡糸位置を作動させるための方法および装置
(51)【国際特許分類】
D01D 7/00 20060101AFI20220722BHJP
D01D 13/00 20060101ALI20220722BHJP
B65H 67/08 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
D01D7/00 C
D01D13/00
B65H67/08 Z
(21)【出願番号】P 2019542611
(86)(22)【出願日】2018-02-02
(86)【国際出願番号】 EP2018052634
(87)【国際公開番号】W WO2018146012
(87)【国際公開日】2018-08-16
【審査請求日】2020-12-11
(31)【優先権主張番号】102017001090.0
(32)【優先日】2017-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】307031976
【氏名又は名称】エーリコン テクスティル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Oerlikon Textile GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Leverkuser Strasse 65, D-42897 Remscheid, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マーティン フィッシャー
(72)【発明者】
【氏名】イェアク シペル
【審査官】伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】特開昭47-030946(JP,A)
【文献】特開2004-232113(JP,A)
【文献】特開昭50-071943(JP,A)
【文献】特開2013-057148(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01D 1/00-13/02
B65H 54/56-54/88,
67/00-67/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融紡糸設備の複数の紡糸位置を操作するための方法であって、前記紡糸位置において、複数の糸群のうちのそれぞれ1つの糸群を、紡糸し、延伸し、かつパッケージに巻き取り、前記紡糸位置のうちの1つの紡糸位置の複数の巻取り箇所に、前記糸群のうちの1つの糸群を仕掛けるために、前記糸群をサクションガンによって案内する、方法において、
前記サクションガンを、前記巻取り箇所における前記糸群の各糸の仕掛け後に、
前記サクションガンを糸ギャザリング装置の保持体に配置することにより前記糸ギャザリング装置の作動位置に位置決めし、前記サクションガンを、前記糸ギャザリング装置内において
前記糸群の糸を集めるために、糸ガイドおよび切断装置と共働させる
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
それぞれの前記紡糸位置は、別個のサクションガンを有しており、それぞれの前記糸ギャザリング装置は、前記サクションガンを収容するための別個の保持体を有しており、前記糸群は
それぞれの前記紡糸位置において、
前記別個のサクションガンによって案内可能で
ある、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記サクションガンを、前記糸を仕掛けるために、選択的に前記紡糸位置に供給される自動作動装置によって案内し、かつ作動させる、
請求項
2記載の方法。
【請求項4】
前記サクションガンを、前記糸ギャザリング装置の前記作動位置において機械制御ユニットによって、互いに無関係に作動及び停止させる、
請求項
2または3記載の方法。
【請求項5】
前記サクションガンを、前記糸を仕掛けるために、操作員によって案内し、かつ作動させる、
請求項
2記載の方法。
【請求項6】
溶融紡糸設備の複数の紡糸位置(1.1~1.7)を操作するための装置であって、前記紡糸位置(1.1~1.7)毎の紡糸装置(2)、ゴデットユニット(6)、巻取り装置(7)、および前記紡糸位置(1.1~1.7)のうちの1つの紡糸位置において糸群(8)の複数の糸を仕掛けるための少なくとも1つのサクションガン(10)を備えた、装置において、
前記サクションガン(10)は、前記糸の仕掛け後に、複数の糸ギャザリング装置(9)のうちの1つの糸ギャザリング装置の保持体(9.4)に位置決め可能であり、かつ前記サクションガン(10)は前記糸ギャザリング装置(9)において、
前記糸群の前記糸を集めるために少なくとも1つの糸ガイド(9.1)および切断装置(9.3)と共働する
ことを特徴とする、装置。
【請求項7】
前記糸を仕掛けるための複数の前記サクションガン(10)が、前記紡糸位置(1.1~1.7)に対応配置されており、かつ前記サクションガン(10)は、前記糸ギャザリング装置(9)の複数の前記保持体(9.4)において位置決め可能である、
請求項6記載の装置。
【請求項8】
前記サクションガン(10)は前記紡糸位置(1.1~1.7)において、それぞれ1つのフレキシブルな屑管路(10.1)を介して、中央の屑通路(11)に接続されている、
請求項7記載の装置。
【請求項9】
前記サクションガン(10)は仕掛けのために、自動作動装置(15)によってまたは操作員によって操作可能であり、前記自動作動装置(15)は、選択的に前記紡糸位置(1.1~1.7)のうちの1つの紡糸位置に移送可能である、
請求項6から8までのいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
前記糸ギャザリング装置(9)のうちの1つの糸ギャザリング装置の前記保持体(9.4)は、機械制御ユニット(13)に前記サクションガン(10)を接続するための差込み接続部(9.5)を有している、
請求項6から9までのいずれか1項記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部に記載の、溶融紡糸設備の複数の紡糸位置を操作するための方法、および請求項6の上位概念部に記載の、溶融紡糸設備の複数の紡糸位置を操作するための装置に関する。
【0002】
合成糸の製造は、多数の紡糸位置を有する溶融紡糸設備によって行われる。このとき紡糸位置は、互いに並んで設置されて1つの機械長手方向前面を形成している。紡糸位置のそれぞれの紡糸位置は、複数の糸を押し出すための複数の紡糸ノズルを備えた紡糸装置を有している。1つの紡糸位置の糸は、糸群として一緒に紡糸ノズルから引き出され、かつプロセスの最後で巻取り装置の複数の巻取り箇所において互いに平行にパッケージに巻き取られる。巻取り装置は、巻取りタレットに保持された2つの巻取りスピンドルを備えているので、糸は紡糸位置において連続的に製造することができる。プロセス開始時またはプロセス中断時にだけ、糸群を補助装置によって案内し、かつ例えばゴデットユニットおよび巻取り箇所に仕掛けることが必要である。このような補助装置は、少なくとも1つのサクションガンを有しており、このサクションガンによって糸群は、連続的に収容され、かつ屑容器に案内される。このような補助装置は、例えば独国特許出願公開第10009335号明細書(DE 10009335 A1)から明らかであり、この明細書には、冒頭に述べた形式の、溶融紡糸設備の複数の紡糸位置を作動させるための方法および装置が開示されている。
【0003】
公知の、溶融紡糸設備の複数の紡糸位置を作動させるための方法および装置では、紡糸位置には、プロセス開始時またはプロセス中断時に糸を仕掛けるために、サクションガンが対応配置されており、このサクションガンは選択的に、作動すべき紡糸位置に供給可能である。サクションガンは、屑管路を介して走行可能な糸屑容器に連結されており、これによって仕掛け段階中に、紡糸位置において押し出された糸を連続的に収容し、かつ排出することができる。
【0004】
例えば巻取り装置における故障によるプロセス中断時には、さらに、糸群が糸ギャザリング装置によって集められ、切断され、かつ吸込み装置によって収容されて、排出されることが公知である。このような糸ギャザリング装置は、例えば独国特許出願公開第102007014511号明細書(DE 102007014511 A1)に基づいて公知であり、かつ該明細書に記載されている。プロセスのこのような中断後に糸群を新たに仕掛けることができるようにするためには、糸群をサクションガンによって引き受け、かつ巻取り箇所に供給することが通常である。このとき、サクションガンによる糸群の引受けを可能にする別の補助装置が必要になる。
【0005】
ゆえに本発明の課題は、冒頭に述べた形式の、溶融紡糸設備の複数の紡糸位置を作動させるための方法、および冒頭に述べた形式の、溶融紡糸設備の複数の紡糸位置を作動させるための装置を改良して、装置に関する僅かな手間で、プロセス中断後に、溶融紡糸設備の複数の紡糸位置のうちの1つの紡糸位置において糸群を迅速に仕掛けることを可能にする、方法および装置を提供することである。
【0006】
この課題は本発明によれば、請求項1に記載の特徴を備えた方法、および請求項6に記載の特徴を備えた装置によって解決される。
【0007】
本発明の好適な発展形態は、それぞれの従属請求項の特徴および特徴の組合せによって定義されている。
【0008】
本発明には、紡糸位置のうちの1つの紡糸位置において糸群を仕掛けるための作業工程を極めて効果的に実施することができるという大きな利点がある。糸群の時間の掛かる引受けは、紡糸開始時においてもプロセス中断時においても回避することができる。そのためにサクションガンが、巻取り箇所における糸群の糸の仕掛け後に、糸ギャザリング装置の作動位置に位置決めされ、これによってサクションガンは、糸を集めるために、糸ギャザリング装置の内部において一緒に糸ガイドおよび切断装置と共働することができる。これによってサクションガンを、糸をプロセス中断中に収容しかつ排出するためにも好適に使用することができる。サクションガンのダブルの機能によって、サクションガンの作動時に大きな時間節約が達成され、これによって比較的短い作動時間が得られ、ひいては比較的僅かな糸屑しか発生しない。
【0009】
これらの利点を紡糸位置のそれぞれの紡糸位置において使用できるようにするために、さらに、糸群が紡糸位置において、複数の別個のサクションガンによって案内可能であり、該サクションガンをそれぞれ、複数の糸ギャザリング装置の作動位置において位置決めすることが提案されている。このような場合に、紡糸位置に対応配置された糸ギャザリング装置のそれぞれの糸ギャザリング装置は、サクションガンを収容するためのそれぞれ1つの保持体を有している。これによってサクションガンの位置変更による追加的な作動時間を回避することができる。紡糸位置のそれぞれの紡糸位置は、別個のサクションガンを有しており、これらの別個のサクションガンによって、糸の仕掛け時における使い易さが常に保証されている。
【0010】
サクションガンのダブル機能を無制限に使用できるようにするために、サクションガンは紡糸位置において、それぞれ1つのフレキシブルな屑管路を介して、中央の屑通路に接続されている。このように構成されていると、糸屑を中央の屑通路に搬送するために、比較的短い屑管路を実現することができる。
【0011】
サクションガンの本発明に係るダブル機能は、溶融紡糸設備の紡糸位置の作動を自動化するために特に適している。このような場合にサクションガンを、糸を仕掛けるために相前後して、選択的に紡糸位置に移送される自動作動装置によって案内し、かつ作動させることができる。
【0012】
基本的に、本発明に係る方法および本発明に係る装置の利点は、サクションガンが操作員によって案内される場合でも使用可能である。
【0013】
サクションガンを糸ギャザリング装置の作動位置においてプロセスに結び付けることができるようにするために、糸ギャザリング装置の保持体は、本発明の好適な発展形態によれば、機械制御ユニットにサクションガンを接続するためのそれぞれ1つの差込み接続部を有している。このような場合に、サクションガンを、機械制御ユニットによって互いに無関係に作動及び停止させることができる。したがってサクションガンは、糸ギャザリング装置において必要に応じて、糸を集めるために吸込み流を発生させることができる。このような差込み接続部は、自動作動装置とサクションガンとの間においても好適に実現することができる。
【0014】
次に添付の図面を参照しながら、本発明に係る、溶融紡糸設備の複数の紡糸位置を作動させるための装置の1実施形態を用いて、本発明に係る、溶融紡糸設備の複数の紡糸位置を作動させるための方法について詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る、紡糸位置を作動させるための装置の1実施形態を備えた、複数の紡糸位置を概略的に示す正面図である。
【
図2】
図1に示された紡糸位置を概略的に示す側面図である。
【
図3】連結されたサクションガンを備えた、糸ギャザリング装置を概略的に示す図である。
【
図4】本発明に係る装置の異なった作動位置における複数の紡糸位置を概略的に示す正面図である。
【
図5.1】糸の仕掛け時における本発明に係る装置を備えた、紡糸位置のうちの1つの紡糸位置を概略的に示す側面図である。
【
図5.2】糸の仕掛け時における本発明に係る装置を備えた、紡糸位置のうちの1つの紡糸位置を概略的に示す側面図である。
【0016】
図1および
図2には、複数の紡糸位置を備えた溶融紡糸設備が正面図および側面図で示されており、このとき本発明に係る装置の1実施形態が、紡糸位置に組み込まれている。図面のうちの1つの図面を特に強調して参照しない限り、以下の記載は両方の図面に対するものである。
【0017】
溶融紡糸設備は、複数の紡糸位置1.1~1.7を有しており、これらの紡糸位置1.1~1.7は、列形の配置形態で互いに並んで設置されていて、かつ機械長手方向側を成している。
図1に示された紡糸位置の数は、単に一例である。基本的には、このような溶融紡糸設備は、多数のこのような紡糸位置を有している。
【0018】
図1および
図2に示された紡糸位置は、その構造において同一に構成されている。
図2に側面図で示されている紡糸位置1.1の例において、以下に装置について詳しく記載する。
【0019】
紡糸位置1.1~1.7のそれぞれの紡糸位置は、紡糸装置2を有している。紡糸装置2は、紡糸ビーム2.2を含んでおり、この紡糸ビーム2.2はその下側に複数の紡糸ノズル2.1を保持している。紡糸ノズル2.1は、紡糸ポンプ2.3に連結されていて、この紡糸ポンプ2.3は、好ましくはマルチポンプとして形成されていて、かつそれぞれの紡糸ノズル2.1のために別個の溶融物流を生ぜしめる。紡糸ポンプ2.3は、溶融物供給路2.4を介して、ここでは詳しく示されていない溶融物源に、例えば押出し機に接続されている。
【0020】
紡糸装置2の下には、冷却装置3が配置されており、この冷却装置3は本実施形態では、ブロー室3.3の内部における冷却ダクト3.1によって形成されている。冷却ダクト3.1には、糸走行方向において落下ダクト3.2が続いている。
【0021】
落下ダクト3.2の下には、捕集装置4が設けられており、この捕集装置4は、紡糸ノズル2.1毎に押し出されたフィラメントを1本の糸にまとめるために、複数の糸ガイド4.1を有している。本実施形態では、紡糸装置は4本の糸を製造する。糸の数は一例である。したがってこのような紡糸装置2は、紡糸位置毎に32本に至るまでの糸を製造することができる。
【0022】
捕集装置4には、糸群8を湿潤する油剤供給装置5が対応配置されている。糸群8は、ゴデットユニット6によって引き出され、かつ巻取り装置7に供給される。本実施形態ではゴデットユニットは、2つの駆動されるゴデット6.1によって形成されている。
【0023】
巻取り装置7は、糸群8の糸毎にそれぞれ1つの巻取り箇所7.5を有している。これらの巻取り箇所7.5は、巻取りタレット7.2に片持ち式に保持された巻取りスピンドル7.1に沿って延びている。巻取りタレット7.2は、2つの巻取りスピンドル7.1を保持しており、両巻取りスピンドル7.1は、巻取り領域と交換領域とに交互に案内される。
【0024】
巻取り箇所7.5のそれぞれには、糸群8を分配しかつ選別するために、それぞれ1つの変向ローラ7.6が対応配置されており、この変向ローラ7.6は、ゴデットユニット6の直ぐ下流に配置されている。糸をパッケージに巻き取りかつ綾振りするために、それぞれの巻取り箇所7.5は綾振りユニット7.3を有している。綾振りユニット7.3は、圧着ローラ7.4と共働し、この圧着ローラ7.4は、巻取りスピンドル7.1に対して平行に配置されていて、かつ糸の巻取り時にパッケージ14の表面に接触している。
【0025】
図1および
図2において、紡糸位置1.1~1.7はその通常の作動状況で示されており、この作動状況ではそれぞれの紡糸位置1.1~1.7において、複数の糸から成る糸群8が押し出され、かつ連続的にパッケージ14に巻き取られる。
【0026】
紡糸位置をプロセス中断時または新規スタート時に操作することができるようにするために、それぞれの紡糸位置1.1~1.7にはそれぞれ1つの別個のサクションガン10が対応配置されている。
図1および
図2に示された作動状況において、サクションガン10は糸ギャザリング装置9の作動位置に位置決めされている。紡糸位置1.1~1.7のそれぞれは、別個の糸ギャザリング装置(糸寄せ集め装置)9を有しており、これらの糸ギャザリング装置9は、同一に構成されていて、かつそれぞれ糸走路においてゴデットユニット6の上流に配置されている。糸ギャザリング装置9について説明するために、次に
図3を参照する。
【0027】
図3には、紡糸位置1.1の糸ギャザリング装置9が概略的に正面図で示されている。糸ギャザリング装置9は、可動の糸ガイド9.1を有しており、この糸ガイド9.1は、リニア駆動装置9.2に連結されていて、かつ糸群8の糸走行平面内に配置されている。糸群8に向かい合って位置している側に、糸ギャザリング装置9は保持体9.4を有しており、この保持体9.4にはサクションガン10が保持されている。サクションガン10は、サクションノーズ10.3が糸ガイド9.1に向かい合って位置するように保持されている。サクションガン10のサクションノーズ10.3には、切断装置9.3が対応配置されており、この切断装置9.3も同様に、糸ガイド9.1に向かい合って位置するように保持されている。サクションガン10は、フレキシブルな屑管路10.1を介して中央の屑通路11に接続されている。サクションガン10への圧縮空気供給は、フレキシブルな圧縮空気管路10.2を介して行われ、この圧縮空気管路10.2は、ここでは詳しく示されていない圧縮空気源に連結されている。サクションガン10を制御するために、糸ギャザリング装置9の保持体9.4は差込み接続部9.5を有している。差込み接続部9.5を介して、機械制御ユニット13への接続が保証されている。
【0028】
図1における図示から分かるように、機械制御ユニット13は、紡糸位置1.1~1.7のそれぞれの紡糸位置において、それぞれの糸ギャザリング装置9に接続されている。
【0029】
同様に
図1から分かるように、中央の屑通路11は、紡糸位置1.1~1.7に沿って延びていて、かつ糸屑容器12に接続されている。糸ギャザリング装置9内に保持されたサクションガン10は、これによって一緒に、別個の屑管路10.1を介して中央の屑通路11に接続されている。
【0030】
図1および
図2に示された作動状況では、糸ギャザリング装置9は不作動状態にあるので、保持体9.1に保持されているサクションガン10は不作動である。故障の発生時、例えば巻取り箇所のうちの1つの巻取り箇所内における糸切れ時に初めて、該当する紡糸位置1.1~1.7の該当する糸ギャザリング装置9が作動させられる。そのために
図4には、紡糸位置のうちの、糸ギャザリング装置が作動させられている1つの紡糸位置の1実施形態が示されている。
図4には、2つの紡糸位置1.1,1.2がそれぞれ異なった作動状況において正面図で示されている。
【0031】
図4に示された紡糸位置1.2では、まさに故障が発生しているので、糸ギャザリング装置9は、糸群8を集めるために作動させられている。この作動状況において糸群8は、糸ガイド9.1によって切断装置9.3およびサクションガン10の方向に案内される。サクションガン10は予め機械制御ユニット13によって作動させられているので、このサクションガン10のサクションノーズ10.3においては吸込み流が作用している。これによって糸群8を、切断装置9.3による切断後に、サクションガン10のサクションノーズ10.3によって収容し、かつ屑管路10.1を介して中央の屑通路11に搬送することができる。
【0032】
隣接した紡糸位置1.1において示された作動状態では、糸群8は、作動中断後に、ゴデットユニット6および巻取り装置7の巻取り箇所7.5に仕掛けることが望まれている。この状況においてサクションガン10は、糸ギャザリング装置9の保持体9.4から取り外されていて、かついまや自動作動装置によってまたは操作員によって、糸群8を仕掛けることができる。
【0033】
図5.1には紡糸位置1.1が側面図で示されており、この側面図においてサクションガン10は自動作動装置15によって案内されている。自動作動装置15は、走行フレーム15.1に高さ調節可能に保持されており、走行フレーム15.1は、紡糸位置1.1~1.7の機械長手方向側に対して平行に走行可能である。自動作動装置15は、片持ち式の多関節型の操作アーム15.2を有しており、この操作アーム15.2の端部にサクションガン10が連結されている。操作アーム15.2は、いまや制御プログラムによって、サクションガン10がサクションノーズ10.3において案内される糸群8をゴデットユニット6および巻取り装置7に仕掛けることができるように制御される。仕掛け動作の終了、および糸の巻取りの開始後に、サクションガン10は操作アーム15.2によって、糸ギャザリング装置9の保持体9.4に戻し案内され、かつそこで位置決めされる。
【0034】
紡糸位置1.1の、
図5.1に示された自動化された作動は、基本的には、操作員によっても実施することができる。
図5.2に示された状況では、サクションガン10は操作員によって案内されている。このとき糸群を仕掛けるための作業工程は、上に記載した動作とほぼ同一である。このときサクションガン10は操作員によって、設けられた装置に糸を仕掛け可能であり、かつ挿通可能であるように案内される。仕掛け動作の終了時に、サクションガン10は糸ギャザリング装置9に戻し案内される。
【0035】
サクションガンを駆動制御するために、サクションガンは例えば電気式の制御弁を有していてもよく、この制御弁は、無線で、キーを介して、または信号接続部を介して駆動制御可能である。したがって、サクションガンにおける手動による作動可能性および自動化された作動可能性は、糸ギャザリング装置9が保持体から離れていても保持体に保持されていても実現することができる。