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特許7109459回転可能なブラシを持つ電気掃除機ノズル
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  • 特許-回転可能なブラシを持つ電気掃除機ノズル 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】回転可能なブラシを持つ電気掃除機ノズル
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/04 20060101AFI20220722BHJP
   A47L 9/30 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
A47L9/04 A
A47L9/30
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019543254
(86)(22)【出願日】2018-02-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-19
(86)【国際出願番号】 EP2018053436
(87)【国際公開番号】W WO2018149786
(87)【国際公開日】2018-08-23
【審査請求日】2021-01-28
(31)【優先権主張番号】17156931.2
(32)【優先日】2017-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】クライン‐ドプケ バスティアン コルネリス
(72)【発明者】
【氏名】ファン デル ウォル ポール
【審査官】田村 惠里加
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-124861(JP,A)
【文献】米国特許第06289552(US,B1)
【文献】特開2011-172747(JP,A)
【文献】特開2005-110909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/00,9/04,9/28,9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能なブラシに光を供給するための光源と、
前記光源からの光を分散させるための光分散機構を有する、前記回転可能なブラシと、
清掃時に透明なスクリーンを通して、ユーザが前記回転可能なブラシを見ることができる、前記透明なスクリーンと、
前記回転可能なブラシを回転させるための、駆動ユニットと、
を有する電気掃除機ノズルにおいて、
前記回転可能なブラシの回転速度を測定するためのセンサと、
前記回転可能なブラシの回転速度に依存して相互に異なる光パターンをユーザに提供するように前記光分散機構から分散させられる光を制御するためのコントローラと、
を有することを特徴とする、電気掃除機ノズル。
【請求項2】
前記光分散機構は、前記回転可能なブラシにおいて複数の開口を含む、請求項1に記載の電気掃除機ノズル。
【請求項3】
前記光分散機構は、前記複数の開口において複数の光源を含む、請求項2に記載の電気掃除機ノズル。
【請求項4】
前記光分散機構は、前記回転可能なブラシ内の導光部を含み、前記導光部から、前記複数の開口において光が出る、請求項2に記載の電気掃除機ノズル。
【請求項5】
前記光源は前記導光部に光を供給する、請求項4に記載の電気掃除機ノズル。
【請求項6】
前記光分散機構は、前記複数の開口において複数のミラーを含む、請求項2に記載の電気掃除機ノズル。
【請求項7】
前記回転可能なブラシの回転速度を測定するためのセンサは、前記回転可能なブラシの回転位置を測定するためのセンサを有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の電気掃除機ノズル。
【請求項8】
埃センサを更に有し、前記コントローラは、に依存して相互に異なる光パターンをユーザに提供するように前記光分散機構から分散させられる光を制御するよう更に構成された、請求項1から6のいずれか一項に記載の電気掃除機ノズル。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の電気掃除機ノズルと、埃を集めるための埃収集ユニットと、を有する電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転可能なブラシを持つ電気掃除機ノズル、及び該電気掃除機ノズルを備えた電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願公開US6,289,552は、撹拌空洞を内蔵するノズルを持つ筐体を含む電気掃除機を開示している。回転撹拌機が、該撹拌空洞に受容される。該筐体に担持された照明区画において、光源が保持される。第1の窓は、該撹拌空洞から該照明区画を分割し、第2の窓は、該照明区画に面する外側面を提供する。該光源は、第1及び第2の窓を通して見られる撹拌機を照明する。
【0003】
米国特許出願公開US5,467,501は、操作者がベルトの動作状態を観察することができるようにするため、電気掃除機のフードに形成された透明なベルト観察窓を持つ電気掃除機を開示しており、該ベルトは、モータ出力シャフトから回転ブラシに回転運動を伝達するよう動作可能である。該ベルトは、回転動作状態と非回転動作状態とをユーザ区別することを可能とするマーキングのパターンを含み得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、先行技術の電気掃除機ノズルに欠点があることを認識した。回転ブラシロールを備えた電気掃除機ノズルにおいては、回転可能なブラシの回転速度が速すぎて、ユーザが回転に殆ど気付くことができない。このためユーザは、回転可能なブラシが汚れているか否かを見ることもできない。汚れは、数あるなかでも、織物の糸、人間又はペットの毛が、回転可能なブラシの芯に巻き付いて付着したときに生じる。また、これらの物は、回転可能なブラシの毛房(柔軟なプラスチックのブラシ毛)の中に入り込み、清掃性能を妨げる。ユーザがこの汚れが生じたことを見ることができないため、汚れが大きすぎるか又は回転可能なブラシのロールが完全に回転を停止してしまうことによる劣化した性能レベルで、ユーザが機器の使用を継続してしまう。駆動ベルトにおけるマーキングを見ることが可能であっても、依然としてユーザは、回転可能なブラシが汚れているか否かを監視することが可能とはならない。
【0005】
本発明の目的は、特に、回転可能なブラシが動いているか及び/又は汚れているかをユーザが監視することを可能とする、回転可能なブラシを持つ改善された電気掃除機ノズルを提供することにある。本発明は、独立請求項により定義される。有利な実施例は、従属請求項において定義される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、光が回転可能なブラシから分散させられる。このようにして、ユーザは、該回転可能なブラシが回転しているか否かのみならず、該回転可能なブラシが汚れているか否かを監視することができる。
【0007】
本発明の一実施例は、回転可能なブラシのロールの表面に芯から光を導き、光が周囲に放射することを可能とする、導光透明芯及び導光要素を持つ電気掃除機ノズルにおける回転ブラシを提供する。固定LEDにより生成された光は、該回転可能なブラシの回転する芯を照らす。発せられた光は、ブラシの回転の速度について、及び該回転可能なブラシの汚れ状態について、ユーザに示唆を与える。他の有用な態様は、軽微な汚れ(洗浄が容易である)が容易に認知されるため、消費者がより頻繁に回転可能なブラシを洗浄し得る点である。また、ユーザは、動作しているブラシの回転を認知することにより、回転可能なブラシが回転する種々の電力設定をより容易に特定することができる。
【0008】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下に説明される実施例を参照しながら説明され明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明による電気掃除機ノズルにおける使用のための回転可能なブラシの第1の実施例を示す。
図2】本発明による電気掃除機ノズルにおける使用のための回転可能なブラシの第2の実施例を示す。
図3】本発明による電気掃除機ノズルを有する電気掃除機の実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明による電気掃除機ノズルにおける使用のための回転可能なブラシの第1の実施例が、図1に示されている。軸Aのまわりの回転は、ホイールWを駆動するギア又はプーリによって、回転可能なブラシBに接続されたモータにより引き起こされる。回転可能なブラシBは、導光部LGとして機能する、芯のなかの透明な光伝達材料を持つ。更に、該芯は、芯のなかの放射状に配置された穴又は導光部を持ち、これにより芯から回転可能なブラシのロールの外側部分へと光を導き、ここで光は複数の開口Lを介して周囲へと放射することができる。更に、1つ以上のLEDが、電気掃除機ノズルに配置され、このとき該LEDは、該LEDが回転はしないが回転可能なブラシBの透明な芯へと軸方向に光を照射するような位置に配置される。該LEDはそれ故、電気掃除機ノズルの静的な部分に配置され、該LEDは斯くして、高い回転速度又は接続の汚れの影響を受けにくい。また、該LEDは静的な部分にあるため、LEDに電力を供給するための高価な滑り接点が必要とされない。
【0011】
更に、導光部のための穴の位置を含む回転可能なブラシBの回転位置を測定する場合、該回転可能なブラシの速度レベルを消費者に示すようなパターンを生成することが可能となるよう、LEDが電子的にパルスを受けても良い。該穴又は導光部の位置は、先行技術の位置センサにより測定されても良い。この目的のため、ホイールWに磁石が配置されても良く、回転可能なブラシBを有する該電気掃除機の静的な部分がホイールWに隣接するホール効果センサを有しても良い。当該ホール効果センサは、ホイールWにおける磁石が該ホール効果センサを通過するたびにパルスを提供する。
【0012】
上述したように、毛等による回転可能なブラシのロールの周りが汚れた場合、該回転可能なブラシからの光が汚染物質により徐々に遮蔽され、光がそこから見えなくなる。このことは、回転可能なブラシBが汚れており、洗浄される必要があることの、明確な示唆を消費者に与える。パルス間の時間は、回転速度についての示唆を与える。当該速度に基づいて、回転可能なブラシの回転位置が算出されることができる。代替としては、Agilent社のAEDB-9140のような、回転位置センサが用いられても良い。
【0013】
また、該速度を変化させることにより、変化する信号を該LEDに与え、回転速度を強調するパターン生成を可能にする。
【0014】
このようにして、本発明は、以下のことを可能とする。
(1)回転可能なブラシが回転していること、及び回転可能なブラシが妨害のため回転を停止しているか否かを、ユーザが認識する。
(2)回転可能なブラシが汚れ始めるとすぐに、回転可能なブラシが汚れたことをユーザが認識する。
(3)ユーザが回転の速度を認識し、それに応じて電力設定が設定されることを可能とし、電力が容易に節約される。
【0015】
図2は、本発明による電気掃除機のノズルにおける使用のための回転可能なブラシの第2の実施例を示す。本実施例は、軸Aに滑り接点SCが備えられ、それにより電気エネルギーが回転可能なブラシBに伝達されることができる点で、図1の実施例とは異なる。このようにして、複数の開口Lにおいて光が外に出る導光部に光を供給する、回転可能なブラシBのなかのLEDに電力供給することが可能となる。代替としては、これら開口Lのそれぞれにおいて、別個のLEDが備えられる。
【0016】
図3は、本発明による回転可能なブラシBを持つ電気掃除機のノズルNを有する電気掃除機VCの実施例を示す。電気掃除機のノズルNは透明なスクリーンSを持ち、該スクリーンを通してユーザは回転可能なブラシBを見ることができる。回転可能なブラシBが回転すると、スクリーンSを通して回転可能なブラシBからの回転する光をユーザが見ることとなる。電気掃除機ノズルNは、回転可能なブラシBを回転させるための駆動ユニットを有する。該駆動ユニットは、例えばモータ、又は回転可能なブラシBを駆動するために取り入れられた空気を用いるターボブラシ作動により形成されても良い。通常どおり、回転可能なブラシBは、ノズルNにおいて両端において懸架されていても良い。通常どおり、電気掃除機VCは、埃を集めるための埃収集ユニットを持つ。電気掃除機VCは、サイクロンによって空気から埃を分離する、袋のない電気掃除機であっても良いし、又は埃を集めるための袋を持つ一般的な電気掃除機であっても良い。図3はキャニスタを持つ電気掃除機VCを示しているが、本発明は代替としてスティック型電気掃除機、ロボット掃除機又はハンドヘルド型電気掃除機に適用されることができる。
【0017】
本発明の態様は、以下のように要約され得る。電気掃除機ノズルNは、回転可能なブラシBからの光を分散させるための光分散機構を持つ回転可能なブラシBと、ユーザが回転可能なブラシBを見ることができる透明なスクリーンSと、回転可能なブラシBを回転させるための駆動ユニットと、を有する。該光分散機構は、回転可能なブラシB上の複数の照明位置Lを持っても良い。該光分散機構は、回転可能なブラシBの表面に分布させられた複数の光源を持っても良い。該光分散機構は、回転可能なブラシB内の導光部LGを持っても良く、このとき該導光部から複数の照明位置Lにおいて光が出るものであり、該光分散機構は更に、導光部LGに光を供給するための光源LEDを持っても良い。代替としては、該光分散機構は、照明位置Lにおいて複数のミラーを持ち、該ミラーは、(光が埃により妨害されない限り)回転可能なブラシBに当たる光を反射させる。電気掃除機ノズルNは更に、回転可能なブラシBの回転速度を測定するためのセンサと、該回転速度に依存して回転可能なブラシBから分散させられる光を制御するためのコントローラと、を持っても良い。電気掃除機ノズルNは、埃を集めるための埃収集ユニットを更に持つ電気掃除機VCに適用されることができる。
【0018】
上述の実施例は本発明を限定するものではなく説明するものであって、当業者は添付する請求項の範囲から逸脱することなく多くの代替実施例を設計することが可能であろうことは留意されるべきである。例えば、回転可能なブラシ上の光分散機構は、電気掃除機ノズル筐体のなかの光源(例えば1つ以上のLED)により照明される、照明位置における複数のミラーを有しても良い。図面に示されたような、回転可能なブラシB上の複数の位置Lからの代わりに、光は代替として、ブラシのバー上のジグザグ型又はV字型若しくは螺旋形のストリップから出ても良い。不透明なブラシの芯における開口を通して光が脱出する導光部を中に持つ不透明なブラシの芯の代わりに、それ自体が光分散機構として機能する(例えば透明な)ブラシの芯を持つことも可能である。光分散システムは、回転可能なブラシの毛房のサブセットを通って出る光により実装されても良く、該毛房のサブセットは光ファイバにより形成されても良い。回転可能なブラシの中に光源がある構成においては、ブラシがバッテリを備える場合には、光源に電力供給するための滑り接点が必要とされない。LEDの代わりに、レーザのような他の光源が用いられても良い。「ブラシ」なる表記は、毛房又は何らかの種類の芯上の堅固な材料により形成されるブラシのみならず、面から埃を離すことが可能な他の全ての形態の撹拌器をもカバーする。以上に説明されたように、電気掃除機ノズルは、回転可能なブラシBの回転速度を測定するためのセンサと、該回転速度に依存して回転可能なブラシBから分散させられる光を制御するためのコントローラと、を有しても良い。該コントローラは、例えば埃センサからのもののような他のセンサ信号に更に依存して光を制御して、例えば相互に異なる光パターンによって、ユーザに更なるフィードバックを提供することを可能としても良い。請求項において、括弧に挟まれたいずれの参照記号も、請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。動詞「有する(comprise)」及びその語形変化の使用は、請求項に記載されたもの以外の要素又はステップの存在を除外するものではない。光が照らす芯を持つ回転可能なブラシに加えて、電気掃除機は、当該発光機能を持たない1つ以上の他のブラシを持っても良い。要素に先行する冠詞「1つの(a又はan)」は、複数の斯かる要素の存在を除外するものではない。幾つかの手段を列記した装置請求項において、これら手段の幾つかは同一のハードウェアのアイテムによって実施化されても良い。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これら手段の組み合わせが有利に利用されることができないことを示すものではない。
図1
図2
図3