(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】クイックチェンジ工具
(51)【国際特許分類】
B23B 51/12 20060101AFI20220722BHJP
B23B 51/04 20060101ALI20220722BHJP
B23B 31/107 20060101ALI20220722BHJP
F16B 21/08 20060101ALI20220722BHJP
F16B 7/20 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
B23B51/12
B23B51/04 E
B23B31/107 B
F16B21/08
F16B7/20 A
(21)【出願番号】P 2019555083
(86)(22)【出願日】2017-12-21
(86)【国際出願番号】 IB2017058267
(87)【国際公開番号】W WO2018116231
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-11-11
(32)【優先日】2016-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】519226920
【氏名又は名称】ミレカジャ・アー・ゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フランク・ピーテル・ヤーコブス・バーレン
【審査官】荻野 豪治
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-041114(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01447195(EP,A1)
【文献】実開平02-117870(JP,U)
【文献】特開平04-075812(JP,A)
【文献】特開平07-100705(JP,A)
【文献】実開昭52-080189(JP,U)
【文献】特開2013-059988(JP,A)
【文献】特開2002-219707(JP,A)
【文献】特開昭51-085575(JP,A)
【文献】実開昭61-016091(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 31/00 - 33/00
B23B 51/00 - 51/14
B25B 21/00 - 21/02
B25G 1/00 - 3/38
F16B 7/00 - 7/22
F16B 21/00 - 21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クイックチェンジ工具であって、
工具要素と、
細長い本体であって、
前記細長い本体の第1の外側端部近くの、駆動シャフトに配置される駆動装置によって前記本体を駆動するための駆動シャフト、および
前記第1の外側端部の反対側に位置する前記細長い本体の第2の外側端部近くの、前記工具要素を前記本体に取り付けるための取り付け手段
を備える、細長い本体と、
前記工具要素に取り付けるための受け入れ要素であって、前記受け入れ要素は、前記本体の長手方向に前記受け入れ要素を通って摺動させることによって前記本体を受け入れるための貫通穴を有し、前記受け入れ要素は、前記工具要素を前記本体に対して少なくとも前記駆動シャフトの軸方向にロックするために前記取り付け手段と共働するように構成される、受け入れ要素と、
を備える、クイックチェンジ工具において、
前記取り付け手段がロッキングピンを備え、前記ロッキングピンが、前記本体内にばね装着されて配置され、前記本体から径方向外側に、前記本体内のピン穴を通って所定の突出高さまで突出する静止位置と、前記ロッキングピンが前記本体内に少なくとも実質的に全体的に位置する後退位置と、の間で弾性的に移動可能であり、
前記受け入れ要素が、
前記ロッキングピンがその後退位置からその静止位置にスナップするように前記ロッキングピンを内部に受け入れるように構成された、ロッキング穴と、
前記貫通穴の受け入れ開口部と前記ロッキング穴との間を延びるピン案内溝であって、前記ロッキングピンを前記受け入れ開口部から前記ロッキング穴まで案内すると同時に、前記ロッキングピンをその静止位置からその後退位置に移動させるためのピン案内溝と、
を備えることを特徴とする、クイックチェンジ工具。
【請求項2】
前記ピン案内溝が、前記工具要素から遠隔にある前記貫通穴の受け入れ開口部から前記ロッキング穴まで、かつ/または前記工具要素に向けられた前記貫通穴の受け入れ開口部から前記ロッキング穴まで延びる、請求項1に記載のクイックチェンジ工具。
【請求項3】
前記ピン案内溝が、前記受け入れ開口部において前記ロッキングピンをその静止位置で受け入れることができるように、前記貫通穴の周囲を形成する前記受け入れ要素の壁の内面に配置される、請求項1または2に記載のクイックチェンジ工具。
【請求項4】
前記ロッキング穴の深さが、前記ロッキング穴近くの前記ピン案内溝の位置における前記壁の厚さによって決定され、前記厚さは、前記ロッキング穴内の静止位置にある前記ロッキングピンが、前記工具要素を前記本体に対して少なくとも前記駆動シャフトの軸方向にロックするために、前記駆動シャフトの軸方向に前記工具要素上に及ぼされた力に少なくとも耐えることができ、前記工具要素を前記本体に対して少なくとも前記駆動シャフトの軸方向にロック解除するために、前記ロッキングピンを手動で外側から前記ロッキング穴を通して前記ピン案内溝に押し込むことができるようなものである、
請求項3に記載のクイックチェンジ工具。
【請求項5】
前記工具要素が前記本体上に配置される状況において、前記ロッキング穴近くの前記ピン案内溝の位置における前記壁の内側部が、前記ロッキングピンの位置において前記本体の外側部に少なくとも実質的に接して位置する、
請求項3または4に記載のクイックチェンジ工具。
【請求項6】
前記ピン案内溝の位置における前記壁が、前記受け入れ開口部近くにおいて、特に直立縁または隆起部の形態で局所的に厚くされる、
請求項3から5のいずれか一項に記載のクイックチェンジ工具。
【請求項7】
前記ピン案内溝が、円錐形態を有し、前記ピン案内溝は、前記ロッキング穴の方向に狭くなる、請求項1から6のいずれか一項に記載のクイックチェンジ工具。
【請求項8】
前記ピン案内溝の長手方向軸と前記本体の長手方向軸との間の案内角度が、1度から60度の間、特に5度から45度の間にあり、より具体的には20度を下回る、請求項1から7のいずれか一項に記載のクイックチェンジ工具。
【請求項9】
前記受け入れ要素の長さが、10mmから50mmの間、特に12mmから45mmの間にある、請求項1から8のいずれか一項に記載のクイックチェンジ工具。
【請求項10】
前記取り付け手段近くの前記本体の断面の形状が、無限に回転対称ではなく、少なくとも実質的に前記貫通穴の形状に対応する、
請求項1から9のいずれか一項に記載のクイックチェンジ工具。
【請求項11】
前記本体が、少なくとも実質的に円筒状であり、前記取り付け手段の近くで平坦にされ、それにより、前記本体の断面は、前記取り付け手段の近くに少なくとも真っ直ぐな側部を備える、
請求項10に記載のクイックチェンジ工具。
【請求項12】
キーが、前記本体内の少なくとも前記取り付け手段の近くに配置される、
請求項10または11に記載のクイックチェンジ工具。
【請求項13】
前記ロッキングピンが、圧縮ばねによって前記本体内にばね装着されて配置され、前記本体内に位置する前記ロッキングピンの部分の直径が、前記ピン穴の直径より大きく、
前記キーが、前記圧縮ばねのための支持表面を形成する、
請求項12に記載のクイックチェンジ工具。
【請求項14】
前記ロッキングピンが、圧縮ばねによって前記本体内にばね装着されて配置され、前記本体内に位置する前記ロッキングピンの部分の直径が、前記ピン穴の直径より大きい、請求項1から12のいずれか一項に記載のクイックチェンジ工具。
【請求項15】
前記本体の直径が、前記駆動シャフトの直径より大きい、請求項1から14のいずれか一項に記載のクイックチェンジ工具。
【請求項16】
前記本体の直径が、5mmから30mmの間、特に7mmから23mmの間にある、請求項15に記載のクイックチェンジ工具。
【請求項17】
前記本体が、センタリングドリルを前記本体の前記第2の外側端部近くで前記本体に解放可能に取り付けるように構成される、請求項1から16のいずれか一項に記載のクイックチェンジ工具。
【請求項18】
前記工具要素が、冠鋸を含む、請求項1から17のいずれか一項に記載のクイックチェンジ工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具に関する。本発明は、詳細にはクイックチェンジ工具であって、工具要素と、細長い本体であって、細長い本体の第1の外側端部近くの、駆動シャフトに配置される駆動装置によって本体を駆動するための駆動シャフト、および第1の外側端部の反対側に位置する細長い本体の第2の外側端部近くの、工具要素を本体に取り付けるための取り付け手段を備える、細長い本体と、工具要素に取り付けるための受け入れ要素であって、受け入れ要素は、本体の長手方向に受け入れ要素を通って摺動させることによって本体を受け入れるための貫通穴を有し、受け入れ要素は、工具要素を本体に対して少なくとも駆動シャフトの軸方向にロックするために取り付け手段と共働するように構成される、受け入れ要素と、を備えるクイックチェンジ工具に関する。
【背景技術】
【0002】
クイックチェンジ工具は、それによって、工具要素を比較的簡単に、したがって迅速に別の工具要素と交換できる工具である。その結果、機械加工および/または製造プロセスは、効率的かつ効果的に進めることができ、それによって処理時間を短縮することができ、これに関連するコストを削減することができる。公知のクイックチェンジ工具は、ドリルの駆動シャフトに配置され得る冠鋸によって形成される。このクイックチェンジ工具の使用において、たとえば壁または床のソケットおよび/またはスポットライトなどの照明設備を建物内に配置するためにたとえばさまざまなサイズの凹部を建物の壁または床内に配置するために、異なる直径の冠鋸がすばやく交換される。
【0003】
現在のクイックチェンジ工具の欠点は、工具要素をシャフトにロックするための機構が、隙間を生み出しやすく、かつ/または磨耗を受けやすいことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、より確実な耐摩耗性のクイックチェンジ工具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、この目的のために、プリアンブルに述べたタイプのクイックチェンジ工具であって、取り付け手段がロッキングピンを備え、ロッキングピンは本体内にばね装着されて配置され、本体から径方向外側に、本体内のピン穴を通って所定の突出高さまで突出する静止位置と、ロッキングピンが本体内に少なくとも実質的に全体的に位置する後退位置と、の間で弾性的に移動可能であり、受け入れ要素が、ロッキングピンがその後退位置からその静止位置にスナップするようにロッキングピンを内部に受け入れるように構成されたロッキング穴と、ピン案内溝であって、貫通穴の受け入れ開口部とロッキング穴との間を延び、ロッキングピンを受け入れ開口部からロッキング穴まで案内すると同時に、ロッキングピンをその静止位置からその後退位置に移動させるためのピン案内溝と、を備えるという特別な特徴を備える、クイックチェンジ工具を提供する。ロッキングピンと、ロッキングピンと共働するロッキング穴と、からなる、上記で述べたロッキング機構の特定の利点は、その簡単な構造によって形成される。ロッキングピンおよびロッキング穴の両方は、多くの試験を経た機械加工プロセスによって製造され、これらのプロセスは、正確性を保証し、したがってロッキング機構の隙間のない確実な動作を保証する。ロッキングピンは、工具要素が本体上にロックされている状況において、本体から径方向外側にロッキング穴を通って突出するため、前記ロッキングピンは、工具要素上に及ぼされた軸方向力および回転力に対して垂直である。ロッキング機構は、これによって、工具要素の極めて直接的なロッキング、したがって非常に確実な動作を保証する。貫通穴の受け入れ開口部とロッキング穴との間の上記で述べたピン案内溝の特定の利点は、ロッキングピンをロッキング穴内に配置するために受け入れ要素を正確に操る必要なく、簡単な摺動運動によって工具要素を本体上にロックすることができることである。その結果、クイックチェンジ工具の工具要素をすばやく配置し、ロックすることができ、これは、機械加工および/または製造プロセスをスピードアップさせ、それによって処理時間が短縮され、作業コストが削減される。
【0006】
好ましい実施形態によれば、ピン案内溝は、工具要素から遠隔にある貫通穴の受け入れ開口部からロッキング穴まで、かつ/または工具要素方向に向けられた貫通穴の受け入れ開口部からロッキング穴まで延びる。工具要素から遠隔にある貫通穴の受け入れ開口部からロッキング穴まで延びるピン案内溝の特定の利点は、受け入れ要素によって工具要素を本体上に配置する間、受け入れ要素によって工具要素を本体上にロックするためにロッキングピンをロッキング穴に向かって操る必要がないことである。工具要素を本体上にロックすることは、受け入れ要素を本体上で摺動させ、ロッキングピンをロッキング穴内にスナップするだけで行われる。これにより、他の工具要素をすばやくかつ効率的に本体上にロックして配置することができ、その結果、機械加工および/または製造プロセスの効率が上がる。工具要素方向に向けられた貫通穴の受け入れ開口部からロッキング穴まで延びるピン案内溝の特定の利点は、工具要素を、ロックするために駆動シャフト側から、すなわち冠鋸の場合はドリル側からロッキングピンに向かって摺動させることができることである。これにより、工具要素を結合解除して本体上で第2の外側端部から駆動シャフトに向かって摺動させ、その後、受け入れ要素によって工具要素を再度ロックするために、工具要素を第2の外側端部に向かって戻すことが可能になる。冠鋸の場合、これにより、2つの連続する鋸切断動作間に冠鋸の凹部内に堆積した材料、たとえば木材、石膏、またはコンクリートの球などを、冠鋸を結合解除して鋸切断された材料から離すことによって冠鋸から除去し、次いでその後の鋸切断動作のために受け入れ要素によって冠鋸を本体上に再度スナップロックすることが可能になる。このピン案内溝は特に有利であり、その理由は、受け入れ要素がロッキングピンの近くに位置する場合、冠鋸が本体の第2の外側端部の周りをすべて覆っており、したがってロッキングピンをロッキング穴まで外側から容易に操ることができないためである。
【0007】
好ましい実施形態によれば、ピン案内溝は、受け入れ開口部においてロッキングピンをその静止位置で受け入れることができるように、貫通穴の周囲を形成する受け入れ要素の壁の内面に配置される。この特定の利点は、受け入れ要素によって工具要素を本体上に配置する間、受け入れ要素を本体上で摺動させるために本体の長手方向に向かってロッキングピンを押し込む必要がないことである。したがって、これは、工具要素を本体上に配置し、本体上にロッキングすることを容易にし、スピードアップする。これは、工具要素が、2つの動作間で工具要素を再度スナップ固定するために本体の第1の外側端部から第2の外側端部に向かって本体上で摺動される場合に特に有利であり、その理由は、受け入れ要素がロッキングピン近くに位置する場合、工具要素はロッキングピンの周りをすべて覆っているためである。ロッキングピンは、したがって、ロッキングピンをピン案内溝内に運ぶために押し込むために、外側から容易に到達できない。そのような形態のピン案内溝は、したがって、工具要素を結合解除して駆動シャフトに向かって移動させた後、ロッキングピンをロッキング穴に再度スナップしてロックすることを容易にする。
【0008】
好ましい実施形態によれば、ロッキング穴の深さは、ロッキング穴近くのピン案内溝の位置における壁の厚さによって決定され、この厚さは、ロッキング穴内の静止位置にあるロッキングピンが、工具要素を本体に対して少なくとも駆動シャフトの軸方向にロックするために、駆動シャフトの軸方向に工具要素上に及ぼされた力に少なくとも耐えることができ、工具要素を本体に対して少なくとも駆動シャフトの軸方向にロック解除するために、ロッキングピンを手動で外側からロッキング穴を通してピン案内溝に押し込むことができるようなものである。そのような寸法の壁の特定の利点は、一方では、工具要素を介して受け入れ要素上に及ぼされている軸方向力に少なくとも耐えるために、ロッキング穴の位置において、十分な壁材料が、本体から突出するロッキングピンの部分周りに位置し、他方では、工具要素を本体から離れるようにまたは本体上を第1の外側端部に向かって摺動させるために受け入れ要素を本体に対して解放し、したがって工具要素をロック解除するために、ロッキングピンを本体の長手方向軸に向かって十分に押し込むことができるように壁が十分に薄いことである。
【0009】
工具要素が本体上に配置される状況において、ロッキング穴近くのピン案内溝の位置における壁の内側部は、ロッキングピンの位置において本体の外側部に少なくとも実質的に接して位置する。この特定の利点は、ロッキング穴の位置において壁が比較的薄く、それによってロッキングピン上に軸方向力および/または回転力を及ぼすことなくロッキングピンをロッキング穴内に保持することができることである。そのような薄い壁の特定の利点は、次いで、ロッキングピンをロッキング穴を通してピン案内溝内に比較的容易に押しむことができることである。
【0010】
好ましい実施形態によれば、ピン案内溝の位置における壁は、受け入れ開口部近くにおいて局所的に厚くされる。そのような厚くされた部分の特定の利点は、ピン案内溝を受け入れ開口部近くのその部分内に収容でき、それによって工具要素に取り付けるための受け入れ要素が本体上で摺動されるとき、ロッキングピンを押し込むことなくピン案内溝によって受け入れることができることである。追加の利点は、特に直立縁または隆起部の形態のこの厚くされた部分を、十分な把持力によって受け入れ要素を本体の第1の外側端部に向かって摺動させるためのハンドルとして利用できることである。
【0011】
好ましい実施形態によれば、ピン案内溝は、円錐形態を有し、ピン案内溝は、ロッキング穴の方向に狭くなる。そのような形態のピン案内溝の特定の利点は、ロッキングピンをピン案内溝内に受け入れる間、ロッキングピンをロッキング穴に対して正確に位置合わせする必要がないことである。ピン案内溝により、ロッキングピンの長手方向軸と、受け入れ要素に対して径方向にロッキング穴の中心を通って延びる軸と、の間の小さい角度ずれ、および/またはロッキングピンとロッキング穴との間の並進ずれが可能になり、それによってロッキングピンをピン案内溝内に受け入れることが容易になるので、受け入れ要素が本体上で摺動されるとき、このピンをそれほど操ることなくピン案内溝内に配置することができる。
【0012】
好ましい実施形態によれば、ピン案内溝の長手方向軸と本体の長手方向軸との間の案内角度は、1度から60度の間、特に5度から45度の間にあり、より具体的には20度を下回る。そのような案内角度により、受け入れ要素が本体の第2の外側端部から第1の外側端部までかつ/または本体の第1の外側端部から第2の外側端部に向かって移動されるとき、ロッキングピンを干渉なしにピン案内溝によって押し込むことができる。
【0013】
好ましい実施形態によれば、受け入れ要素の長さは、10mmから50mmの間、特に12mmから45mmの間にある。そのような寸法の受け入れ要素は、少なくとも1つのピン案内溝をその中に収容するのに十分大きなものであるが、ロッキング穴、したがってロッキングの位置を工具要素の十分近くに実現するのに十分小さなものである。
【0014】
好ましい実施形態によれば、ロッキングピンは、圧縮ばねによって本体内にばね装着されて配置され、本体内に位置するロッキングピンの部分の直径は、ピン穴の直径より大きい。したがって、本体内に位置するロッキングピンの部分の上側部は、ピン穴近くの本体の壁の内側部に接して位置し、それによってばね圧力下にあるロッキングピンは、ピン穴を通って本体から弛むことはできない。そのように埋め込まれたばね圧力下にあるロッキングピンの特定の利点は、ロッキングピンが決定された力によって径方向外側に押し出され、それによってロッキング穴内のロッキングピンによって工具要素を本体上に良好にロックすることを確実にすることである。
【0015】
好ましい実施形態によれば、取り付け手段の近くの本体の断面の形状は、無限に回転対称ではなく、少なくとも実質的に貫通穴の形状に対応する。そのような形状の本体の特定の利点は、これが、ここでは、工具要素に取り付けるための受け入れ要素に対して回転ロックされ、それによって工具要素が本体に対して回転ロックされることである。
【0016】
好ましい実施形態によれば、本体は、少なくとも実質的に円筒状であり、取り付け手段の近くで平坦にされ、それにより、本体の断面は、取り付け手段の近くに少なくとも真っ直ぐな側部を備える。本体は、好ましくは、2つの側部上で少なくとも実質的に全体長さにわたって平坦にされた円筒状部分によって形成され、受け入れ要素の貫通穴は、好ましくは、その逆形状を有し、それにより、受け入れ要素は、本体上を軸方向に自由に移動できるが、本体の長手方向軸周りで本体周りを回転することはできない。これにより、本体に対する工具要素の良好な回転ロックが保証される。
【0017】
一実施形態によれば、キーが、本体の少なくとも取り付け手段の近くに配置される。本体は、好ましくは、円筒状部分によって形成され、この円筒状部分内では、スプラインシャフト内のように、1つまたは複数のキーが本体の長手方向に配置され、受け入れ要素の貫通穴は、好ましくは、1つまたは複数のキーを備える円筒状部分の逆形状を有し、それによって受け入れ要素は、本体の軸方向に本体上で自由に移動できるが、本体の長手方向軸周りで本体周りを回転することはできない。これにより、本体に対する工具要素の極めて良好な回転ロックがもたらされる。
【0018】
好ましい実施形態によれば、キーは、圧縮ばねのための支持表面を形成する。これにより、ロッキングピンを簡単に本体内にばね装着して配置する製造方法が可能になる。
【0019】
好ましい実施形態によれば、本体の直径は、駆動シャフトの直径より大きい。本体の直径と駆動シャフトの直径との間のそのような割合の特定の利点は、クイックチェンジ工具が非常に安定しており、したがって、異なる構成要素間の隙間を生み出しにくく、または非常に限定的にしか生み出さないことである。本体の大径はまた、センタリングドリルを中に固定するための機構のための空間を提供し、これは、工具要素が冠鋸である場合に特に有利である。本体の直径は、好ましくは、5mmから30mmの間、特に7mmから23mmの間にある。
【0020】
好ましい実施形態によれば、本体は、センタリングドリルを本体の第2の外側端部近くで本体に解放可能に取り付けるように構成される。そのようなセンタリングドリルは、機械加工される表面上に工具要素をセンタリングし、機械加工中、工具要素を正しい位置に保持するのを助ける。工具要素は、好ましくは、冠鋸を含む。
【0021】
本発明は、さらに、後続の図に基づいて明瞭にされ、これらの図は、本発明によるクイックチェンジ工具の好ましい実施形態を示すものであり、本発明の保護の範囲をいかなる形においても限定するようには意図されない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】ロックされた状態にある、本発明によるクイックチェンジ工具の好ましい実施形態の斜視図である。
【
図2】ロック解除された状態にある、
図1の好ましい実施形態の斜視図である。
【
図3】
図1の好ましい実施形態の断面側面図である。
【
図4】ロック解除された状態にある、
図1の好ましい実施形態の斜視図である。
【
図7】ロック解除された状態にある、本発明によるクイックチェンジ工具の別の好ましい実施形態の斜視図である。
【
図8】
図7の好ましい実施形態の断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明によるクイックチェンジ工具100の好ましい実施形態の斜視図を示し、ここでは、冠鋸101の形態の工具要素が、シャフトの形態の細長い本体102上にロックされて配置される。本体102は、外側端部に、ドリルなどの駆動装置を駆動シャフト103上に配置するための駆動シャフト103を備える。駆動シャフト103は、この目的のために、たとえば、本体102をスナップ運動によってドリル上に配置するための円筒状、円錐状、またはSDS迅速作用のカップリング104を有する。反対の外側端部では、本体102は、前記外側端部において冠鋸101をロック式に本体102上に配置するための、ロッキングピン105の形態の取り付け手段を有する。冠鋸101は、この目的のために、本体102に向かって面する端部に、細長い本体102のロッキングピン105を内部に受け入れるためのロッキング穴107を内部に備えた受け入れ要素106を備える。
【0024】
図2は、
図1の好ましい実施形態の斜視図を示し、ここでは冠鋸101は、本体102からロック解除されている。受け入れ要素106が貫通穴108を有することを明確に見ることができ、これにより、本体102の長手方向軸に沿う方向の摺動運動によって、冠鋸101を本体102上に配置して本体102上にロックするため、かつ冠鋸101を本体102から結合解除するために、冠鋸101の受け入れ要素106および冠鋸101自体を本体102上で摺動させることができる。貫通穴108の周囲は、これが本体102の周囲の形状に対応するように形成され、それにより、冠鋸101は、これが本体102上に配置された状況において、本体102に対して回転ロックされる。図示するように、貫通穴108および本体102の断面は、無限に回転対称ではない形状を有し、それによって回転ロッキングがもたらされる。受け入れ要素106は、冠鋸101が配置された状態において冠鋸101を本体102に対して軸方向にもロックするために、細長い本体102のロッキングピン105を内部に受け入れるためのロッキング穴107をさらに備える。受け入れ要素の受け入れ側部109上の貫通穴108の周囲形状は、貫通穴108のピン凹部109a内にロッキングピン105を受け入れることができるようなものである。しかし、冠鋸101を本体102に対して軸方向に、任意選択により回転方向に十分にロックするために、ロッキングピン105は、受け入れ要素106のロッキング穴107から十分な高さまで突出しなければならない。ロッキング穴107は、この目的のために、受け入れ要素106内を十分に深く延びる。それと同時に、ロッキングピンがロッキング穴107内に配置される状況において、ロッキングピン105は、外側の受け入れ要素106から到達可能でなければならず、わずかに押し込まれることによってロッキング穴107から外れて移動可能にならなければならない。受け入れ要素106の壁110は、この目的のために、一方では、貫通穴108がロッキングピン105を受け入れ要素106の受け入れ側部109上でピン凹部109a内に問題なく受け入れることができるように、他方では、この壁が、冠鋸101上に及ぼされた力に耐えることができるようにロッキングピン105を十分に包囲するために、ロッキング穴107の近くに十分な厚さを有するが、冠鋸101を本体102から結合解除できるようにロッキングピンをロッキング穴107から外して移動させるために、外側からロッキングピン105を操作できるように十分薄くあるように形成される。これは、クイックチェンジ工具100の断面側面図を示す
図3に見ることができる。
【0025】
図3は、受け入れ要素106内の貫通穴108が受け入れ要素106の受け入れ側部109(
図4を参照)からロッキング穴107に向かって狭くなることを示す。図に見ることはできないが、貫通穴108の形状は、これがロッキングピン105をいくらかの回転隙間を伴って受け入れ側部109上に受け入れることができるようなものであり、また、貫通穴108はロッキング穴107に向かって接線方向にも狭くなるという理由から、受け入れ要素106が本体102上で摺動されるときにロッキングピン105をロッキング穴107に向かって案内するようなものである。そのようなピン案内溝111は、ロッキングピン105をピン案内溝111内に受け入れる間、ロッキングピン105をロッキング穴107に対して正確に位置合わせする必要がないという利点を有する。ピン案内溝または案内溝111により、ロッキングピン105の長手方向軸と、受け入れ要素106に対して径方向にロッキング穴107の中心を通って延びる軸と、の間の小さい角度ずれ、および/またはロッキングピン105とロッキング穴107との間の並進ずれが可能になり、それによってロッキングピン105をピン案内溝内111内に受け入れることが容易になるので、受け入れ要素106が本体102上で摺動されるとき、このピンをそれほど操ることなくピン案内溝111内に配置することができる。冠鋸101を本体102から結合解除できるようにロッキングピンをロッキング穴107から外して移動させるために、ロッキングピン105を外側から押し込むことができるように、受け入れ要素106の壁110はまた、その外側部において上記で述べた方向に深くなる。
【0026】
図3はまた、貫通穴108および壁110の外側部が、ロッキング穴107の両側、すなわち駆動シャフト103に向けられた側および冠鋸101に向けられた側で同じ方向にロッキング穴107に向かって狭くなることを示す。このようにして、
図4に示すように、冠鋸101を、ロックするために駆動シャフト103側に向かってかつ駆動シャフト103側から、またはロッキングピン105からかつロッキングピン105に向かって摺動させることができる。これにより、冠鋸101を結合解除し、冠鋸を駆動シャフト103から遠隔にある本体102の外側端部から駆動シャフト103に向かって本体102上で摺動させ、次いで受け入れ要素106によって冠鋸101を再度ロックするために、冠鋸を前記外側端部に向かって戻すことが可能になる。これにより、2つの連続する鋸切断動作間に冠鋸101の凹部112内に堆積した材料、たとえば木材、石膏、コンクリート、PVCの球または他の任意選択の複合物、プラスチック材料を、冠鋸101を結合解除して鋸切断された材料から離すことによって冠鋸101から除去し、次いでその後の鋸切断動作のために受け入れ要素106によって冠鋸101を本体102上に再度スナップロックすることが可能になる。冠鋸側のピン案内溝111は特に有利であり、その理由は、受け入れ要素106がロッキングピン105の近くに位置する場合、冠鋸101は駆動シャフト103から遠隔にある本体102の外側端部の周りをすべて覆っており、したがってロッキングピン105を外側からロッキング穴107まで容易に操ることができないためである。
【0027】
図3の好ましい実施形態はまた、ロッキングピン105がばね113によって本体102内にばね装着されて配置されることを示し、ここでは、ロッキングピン105は、ばね113によって本体102の底部分120に押しつけられる。図示する好ましい実施形態では、ロッキングピン105は、底なしの中空円筒形の形態を有し、ここではばね113は、ロッキングピン105の空洞内に配置され、内側からロッキングピン105の端部表面を本体102の径方向に押しつける。ばね圧力下にあるロッキングピン105がピン穴114を通って本体102から弛むことができないように、本体102内に位置するロッキングピン105の部分の直径は、ピン穴114の直径より大きく、それによって本体102内に位置するロッキングピン105の部分の上側部は、ピン穴114近くの本体102の壁115の内側部に接して位置する。本体102の外壁は、いわば、ロッキングピン105を停止させるためのバンパを形成する。
図3はまた、本体102内の冠鋸101に向けられた本体102の外側端部上に、たとえばセンタリングドリル117を内部に受け入れるための凹部116と、前記センタリングドリル117を凹部116内で解放可能に締め付けることができるようにばね118の形態のロッキング部と、を示す。
【0028】
図5および
図6は、駆動シャフト側および冠鋸側それぞれから見たクイックチェンジ工具100の長手方向の図を示す。これらの図は、特に、本体102および貫通穴108の断面形状を示し、この形状は、無限に回転対称ではない。
【0029】
図7~
図10は、本発明によるクイックチェンジ工具100の代替の好ましい実施形態を示し、ここでは本体102の長手方向に延びるキー119が、本体102に配置される。キー119を受け入れるために、受け入れ要素106の貫通穴108は、キー119を備えた実質的に円筒状に形成された本体102の形状に対応する、キー凹部119aを備えた逆形状を有し、それにより、受け入れ要素106は、本体102上で本体102の軸方向に自由に移動することができるが、本体102の長手方向軸周りで本体102周りを回転することはできない。これにより、本体102に対する冠鋸101の極めて良好な回転ロッキングが確実にされる。キー119はまた、圧縮ばね113のための支持表面を形成し、それによってロッキングピン105を簡単に本体102内にばね装着して配置することができる製造方法が可能になる。
【0030】
また、
図1~
図10では、本体102の直径が駆動シャフト103の直径より大きいことも見ることができる。本体102の直径と駆動シャフト103の直径との間のそのような割合の特定の利点は、クイックチェンジ工具100が非常に安定しており、したがって、異なる構成要素間の隙間を生み出しにくく、または非常に限定的にしか生み出さないことである。本体102の大径はまた、センタリングドリル117を中に固定するための機構のための空間116を提供し、それによって冠鋸101を機械加工される壁または床上に位置決めすることが容易になる。
【0031】
本発明は、図示する実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲の保護の範囲に入る他の実施形態にも及ぶ。
【符号の説明】
【0032】
100 クイックチェンジ工具
101 冠鋸
102 本体
103 駆動シャフト
104 SDS迅速作用カップリング
105 ロッキングピン
106 受け入れ要素
107 ロッキング穴
108 貫通穴
109 受け入れ側部
109a ピン凹部
110 壁
111 ピン案内溝
112 凹部
113 圧縮ばね
114 ピン穴
115 壁
116 空間、凹部
117 センタリングドリル
118 ばね
119 キー
119a キー凹部
120 底部分