(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】半導体受光素子、及び、半導体リレー
(51)【国際特許分類】
H01L 31/10 20060101AFI20220722BHJP
H01L 31/0264 20060101ALI20220722BHJP
H01L 31/12 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
H01L31/10 H
H01L31/08 L
H01L31/10 A
H01L31/12 D
(21)【出願番号】P 2019566457
(86)(22)【出願日】2019-01-15
(86)【国際出願番号】 JP2019000863
(87)【国際公開番号】W WO2019142763
(87)【国際公開日】2019-07-25
【審査請求日】2021-07-20
(31)【優先権主張番号】P 2018007775
(32)【優先日】2018-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度、環境省、未来のあるべき社会ライフスタイルを創造する技術イノベーション事業委託業務、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】平下 奈々子
(72)【発明者】
【氏名】田村 聡之
(72)【発明者】
【氏名】柴田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】宇治田 信二
【審査官】桂城 厚
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-101105(JP,A)
【文献】特開2004-111763(JP,A)
【文献】特開2017-152543(JP,A)
【文献】国際公開第2016/185645(WO,A1)
【文献】特開平09-082990(JP,A)
【文献】特開2000-183373(JP,A)
【文献】特開2013-197357(JP,A)
【文献】米国特許第06265727(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00-31/0392
H01L 31/08-31/119
H01L 31/18-31/20
H01L 51/42-51/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成された、半絶縁性を有する直接遷移型の半導体層と、
前記半導体層上の少なくとも一部に形成されたp型半導体層と、
前記半導体層に電気的に接続され、前記p型半導体層に接して形成された第1の電極と、
前記第1の電極から離れた位置に、少なくとも一部が前記半導体層または前記基板のいずれかと接して形成された第2の電極とを備え、
前記第1の電極には、第1の開口部が設けられており、
前記第2の電極は、前記半導体層上の前記第1の電極から離れた位置に、少なくとも一部が前記半導体層に接して形成される
半導体受光素子。
【請求項2】
前記p型半導体層には、第2の開口部が設けられている
請求項1に記載の半導体受光素子。
【請求項3】
前記第1の開口部からは、前記p型半導体層が露出する
請求項1または2に記載の半導体受光素子。
【請求項4】
前記第1の開口部からは、前記半導体層が露出する
請求項1または2に記載の半導体受光素子。
【請求項5】
前記第1の開口部からは、前記半導体層及び前記p型半導体層の境界部が露出する
請求項1または2に記載の半導体受光素子。
【請求項6】
基板と、
前記基板上に形成された、半絶縁性を有する直接遷移型の半導体層と、
前記半導体層上の少なくとも一部に形成されたp型半導体層と、
前記半導体層に電気的に接続され、前記p型半導体層に接して形成された第1の電極と
、
前記第1の電極から離れた位置に、少なくとも一部が前記半導体層または前記基板のいずれかと接して形成された第2の電極とを備え、
前記第1の電極には、第1の開口部が設けられており、
前記p型半導体層には、第2の開口部が設けられており、
前記第2の開口部は、第1方向に並んで配置された複数の開口を含み、
前記複数の開口のそれぞれは、前記第1方向と交差する第2方向を長手方向とする長尺状であり、
前記第2の開口部から露出した前記半導体層の露出部は、当該露出部上に前記第1の電極が形成されている第1領域、及び、当該露出部上に前記第1の電極が形成されていない第2領域を含み、
前記第1領域及び前記第2領域は、前記第1方向において交互に位置している
半導体受光素子。
【請求項7】
基板と、
前記基板上に形成された、半絶縁性を有する直接遷移型の半導体層と、
前記半導体層上の少なくとも一部に形成されたp型半導体層と、
前記半導体層に電気的に接続され、前記p型半導体層に接して形成された第1の電極と、
前記第1の電極から離れた位置に、少なくとも一部が前記半導体層または前記基板のいずれかと接して形成された第2の電極とを備え、
前記第1の電極には、第1の開口部が設けられており、
前記p型半導体層には、第2の開口部が設けられており、
前記第1の開口部は、各々が第1方向を長手方向とする長尺状の複数の第1開口を含み、
前記第2の開口部は、各々が前記第1方向と交差する第2方向を長手方向とする長尺状の複数の第2開口を含み、
前記複数の第1開口は、前記第1方向と交差する方向に並んで配置され、
前記複数の第2開口は、前記第2方向と交差する方向に並んで配置され、
前記複数の第1開口のそれぞれからは、前記半導体層及び前記p型半導体層が露出する
半導体受光素子。
【請求項8】
前記第1方向及び前記第2方向は、直交し、
前記複数の第1開口は、前記第2方向に並んで配置され、
前記複数の第2開口は、前記第1方向に並んで配置される
請求項7に記載の半導体受光素子。
【請求項9】
基板と、
前記基板上に形成された、半絶縁性を有する直接遷移型の半導体層と、
前記半導体層上の少なくとも一部に形成されたp型半導体層と、
前記半導体層に電気的に接続され、前記p型半導体層に接して形成された第1の電極と、
前記第1の電極から離れた位置に、少なくとも一部が前記半導体層または前記基板のいずれかと接して形成された第2の電極とを備え、
前記第1の電極には、第1の開口部が設けられており、
前記p型半導体層には、第2の開口部が設けられており、
前記第2の開口部は、各々が環状の複数の開口を含み、
前記複数の開口は、同心配置され、
前記第2の開口部から露出した前記半導体層の露出部は、当該露出部上に前記第1の電極が形成されている第1領域、及び、当該露出部上に前記第1の電極が形成されていない
第2領域を含み、
前記第1領域及び前記第2領域は、径方向において交互に存在している
半導体受光素子。
【請求項10】
前記半導体層の活性領域は、矩形である
請求項1~9のいずれか1項に記載の半導体受光素子。
【請求項11】
前記半導体層の活性領域は、円形である
請求項1~9のいずれか1項に記載の半導体受光素子。
【請求項12】
前記第2の電極は、前記基板の下面に形成される
請求項6~9のいずれか1項に記載の半導体受光素子。
【請求項13】
前記第2の電極は、前記半導体層上の前記第1の電極から離れた位置に、少なくとも一部が前記半導体層に接して形成される
請求項6~9のいずれか1項に記載の半導体受光素子。
【請求項14】
基板と、
前記基板上に形成された、半絶縁性を有する直接遷移型の半導体層と、
前記半導体層上の少なくとも一部に形成されたp型半導体層と、
前記半導体層に電気的に接続され、前記p型半導体層に接して形成された第1の電極と、
前記第1の電極から離れた位置に、少なくとも一部が前記半導体層または前記基板のいずれかと接して形成された第2の電極とを備え、
前記第1の電極には、第1の開口部が設けられており、
前記半導体層は、積層方向における不純物濃度が異なる
半導体受光素子。
【請求項15】
基板と、
前記基板上に形成された、半絶縁性を有する直接遷移型の半導体層と、
前記半導体層上の少なくとも一部に形成されたp型半導体層と、
前記半導体層に電気的に接続され、前記p型半導体層に接して形成された第1の電極と、
前記第1の電極から離れた位置に、少なくとも一部が前記半導体層または前記基板のいずれかと接して形成された第2の電極とを備え、
前記第1の電極には、第1の開口部が設けられており、
前記第2の電極は、前記基板の下面に形成され、
前記半導体層は、第1の半導体層、及び、前記第1の半導体層よりも前記基板側に位置する第2の半導体層を含み、
前記第1の半導体層の不純物濃度は、前記第2の半導体層の不純物濃度よりも高い
半導体受光素子。
【請求項16】
基板と、
前記基板上に形成された、半絶縁性を有する直接遷移型の半導体層と、
前記半導体層上の少なくとも一部に形成されたp型半導体層と、
前記半導体層に電気的に接続され、前記p型半導体層に接して形成された第1の電極と、
前記第1の電極から離れた位置に、少なくとも一部が前記半導体層または前記基板のいずれかと接して形成された第2の電極とを備え、
前記第1の電極には、第1の開口部が設けられており、
前記第2の電極は、前記基板の下面に形成され、
前記半導体層は、積層方向における不純物濃度が連続的に変化する部分を含み、
当該部分においては、最も上方の領域における不純物濃度が他の領域よりも高い
半導体受光素子。
【請求項17】
前記半導体層にドープされている不純物は、炭素である
請求項14~16のいずれか1項に記載の半導体受光素子。
【請求項18】
前記半導体層は、In
xAl
yGa
(1-x-y)N(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦x+y≦1)によって形成される
請求項1~17のいずれか1項に記載の半導体受光素子。
【請求項19】
前記基板は、
GaN基板である
請求項1~18のいずれか1項に記載の半導体受光素子。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか1項に記載の半導体受光素子と、
前記半導体受光素子に向けて光を発する発光素子とを備える
半導体リレー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光を受けることで内部の抵抗が変化しスイッチング制御が可能となる半導体受光素子、及び、これを備える半導体リレーに関する。
【背景技術】
【0002】
リレーは、外部から受けた信号に従って電気回路のオン状態とオフ状態を切り替える部品である。リレーは、機械的に電気回路の接点を開閉するメカニカルリレーと、半導体が用いられた半導体リレーに大きく分類することができ、家電などの民生機器、産業用機器、及び医療用機器などに広範に用いられている。
【0003】
特に、半導体リレーは、信頼性が高いこと、長寿命であること、小型であること、動作速度が速いこと、動作音が小さいことなどの優れた特性を持つことから、精密機器や小型機器などに活用されている。例えば、特許文献1には、簡易なプロセスで作製できる構造を備えた半導体リレーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、半導体層に効率的に光を照射することができる半導体受光素子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る半導体受光素子は、基板と、前記基板上に形成された、半絶縁性を有する直接遷移型の半導体層と、前記半導体層上の少なくとも一部に形成されたp型半導体層と、前記半導体層に電気的に接続され、前記p型半導体層に接して形成された第1の電極と、前記第1の電極から離れた位置に、少なくとも一部が前記半導体層または前記基板のいずれかと接して形成された第2の電極とを備え、前記第1の電極には、第1の開口部が設けられている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、半導体層に効率的に光を照射することができる半導体受光素子が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、比較例に係る半導体リレーの模式断面図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係る半導体リレーの模式断面図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1に係る半導体受光素子の上面図である。
【
図4】
図4は、変形例1に係る半導体リレーの模式断面図である。
【
図5】
図5は、変形例1に係る半導体受光素子の上面図である。
【
図6】
図6は、変形例2に係る半導体リレーの模式断面図である。
【
図7】
図7は、変形例2に係る半導体受光素子の上面図である。
【
図8】
図8は、変形例3に係る半導体リレーの模式断面図である。
【
図9】
図9は、変形例3に係る半導体受光素子の上面図である。
【
図10】
図10は、変形例4に係る半導体受光素子の上面図である。
【
図11】
図11は、
図10のXI-XI線における、変形例4に係る半導体受光素子の模式断面図である。
【
図12】
図12は、
図10のXII-XII線における、変形例4に係る半導体受光素子の模式断面図である。
【
図13】
図13は、変形例5に係る半導体受光素子の上面図である。
【
図14】
図14は、変形例6に係る半導体受光素子の第1の上面図である。
【
図15】
図15は、変形例6に係る半導体受光素子の第2の上面図である。
【
図16】
図16は、変形例6に係る半導体受光素子の第3の上面図である。
【
図17】
図17は、第1の開口部の第1の変形例を説明するための、半導体受光素子の平面図である。
【
図18】
図18は、第1の開口部の第2の変形例を説明するための、半導体受光素子の平面図である。
【
図19】
図19は、横型デバイスとして実現された半導体受光素子の模式断面図である。
【
図20】
図20は、横型デバイスとして実現された別の半導体受光素子の模式断面図である。
【
図21】
図21は、積層方向における不純物濃度が異なる半導体リレーの第1の模式断面図である。
【
図22】
図22は、積層方向における不純物濃度が異なる半導体リレーの第2の模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本開示の基礎となった知見)
以下、本開示の基礎となった知見について、比較例に係る半導体リレーの構造を参照しながら説明する。
図1は、比較例に係る半導体リレーの模式断面図である。
【0010】
図1に示される比較例に係る半導体リレー10zは、半絶縁性を有する直接遷移型の半導体を用いた半導体リレーである。半導体リレー10zは、発光素子20と、制御回路を兼ねた半導体受光素子30zとを備える。半導体受光素子30zは、基板31と、基板31上に形成された半絶縁性を有する直接遷移型の半導体層32と、第1の電極33と、第2の電極34と、p型半導体層36と、出力端子51と、出力端子52とを備える。
【0011】
発光素子20の入力端子41及び入力端子42の間に電圧が印加されることにより、発光素子20は、光を発する。発光素子20から、半導体受光素子30zの半導体層32に半導体層32のバンドギャップ以上のエネルギーを持つ光が照射されると、半導体層32のうち当該光が照射された領域(言い換えれば、受光領域)の導電率が変化する。受光領域は、具体的には、低抵抗化する。これにより、半導体層32のうち出力端子51と出力端子52の間の領域が導通し、出力端子51及び出力端子52の間に電流が流れる。
【0012】
このような半導体層32を用いた半導体リレー10zは、一般的な半導体リレーと比べて小型化および低コスト化が容易になる。一般的な半導体リレーでは、光によるMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)の直接駆動はできないため太陽電池のような光を電圧に変換する素子が必要になる。これに対し、半導体リレー10zにおいては、太陽電池及びMOSFETの役割を半導体受光素子30zが単体で担うことができる。このため、半導体リレー10zを構成する部品点数を減らすことができる。
【0013】
また、一般的な半導体リレーでは、スイッチングに3つの動作を必要とするため高速動作が困難である。3つの動作は、具体的には、発光ダイオードに電圧を印加して発光させる動作と、太陽電池が発光ダイオードからの光を電圧に変換する動作と、太陽電池から出力される電流によってMOSFETのゲートに電荷をチャージする動作である。特に、太陽電池から出力される電流によってMOSFETのゲートに電荷をチャージする動作は時間を要するため、一般的な半導体リレーは、ns~μsオーダーの高速スイッチング動作が困難である。
【0014】
これに対し、半導体リレー10zでは、太陽電池が発光ダイオードからの光を電圧に変換する動作(つまり、太陽電池を介したリレー動作)が必要ない。このため、スイッチング動作の高速化が可能である。
【0015】
半導体受光素子30zの半導体層32には、InAlGaNを含む直接遷移型のワイドバンドギャップを有する半導体材料が用いられる。このような半導体材料は、一般的な半導体リレーに用いられているSiに比べて絶縁破壊電界強度が高い。したがって、半導体層32を直接遷移型のワイドバンドギャップを有する半導体材料によって形成することにより、半導体リレー10zの絶縁耐圧を高めることができる。また、更なる高耐圧化・リーク電流低減を目的として、半導体受光素子30zでは、p型半導体層36を第1の電極33の下に形成している。以下、p型半導体層36によって得られる効果について説明する。
【0016】
発光素子20が消灯しているときには、出力端子51に対して出力端子52に高電圧が印加される。その際、p型半導体層36及び半導体層32のpn接合に対して逆方向電圧が印加され、p型半導体層36から空乏層が広がる。このため半導体受光素子30zの絶縁耐圧を向上させることができる。また、リーク電流低減が可能となる。
【0017】
一方、電極33zは、発光素子20が点灯している際に、半導体層32とオーミック接合となる材料から構成される。そのため、発光素子20からの光を吸収して半導体層32が低抵抗化することにより、半導体層32と電極33zの接触部を通じて出力端子間をオン電流が流れる。
【0018】
半導体リレー10zには、発光素子20が消灯しているときのオフ時のリーク電流を抑制することと、発光素子が点灯しているときのオン電流を大電流化することが求められる。
【0019】
発明者らが検討したところ、上記半導体リレー10zは、電極33zの外周部からしか光を取り込むことができないことがわかった。そのため、半導体層32のうち電極33zの下部に位置する部分を有効に低抵抗化できず、オン時の大電流化が困難であるという課題があった。
【0020】
この課題を解決するための一つの手段として、電極33zとして発光素子20からの光に対して透明な電極材料を用いることが考えられる。しかしながら、電極材料検討の結果、発光素子20からの光(例えば波長365nm)に対して高透過率を有しつつ、かつ半導体層32と良好なオーミック接合を形成することは困難であることが判明した。
【0021】
そこで発明者らは、発光素子20が消灯しているときのリーク電流を抑制しつつ、発光素子20が点灯しているときのオン電流を増加させる(つまり、大電流化を実現する)構成を見出した。
【0022】
本開示の一態様に係る半導体受光素子は、基板と、前記基板上に形成された、半絶縁性を有する直接遷移型の半導体層と、前記半導体層上の少なくとも一部に形成されたp型半導体層と、前記半導体層に電気的に接続され、前記p型半導体層に接して形成された第1の電極と、前記第1の電極から離れた位置に、少なくとも一部が前記半導体層または前記基板のいずれかと接して形成された第2の電極とを備え、前記第1の電極には、第1の開口部が設けられている。
【0023】
このような第1の開口部によれば、半導体受光素子の受光面積を確保することができる。第1の開口部によれば、効率的に半導体層に光を照射することができ、半導体受光素子の大電流化が実現される。
【0024】
また、例えば、前記p型半導体層には、第2の開口部が設けられている。
【0025】
このような第2の開口部によれば、第1の電極と、第2の開口部から露出した半導体層とを直接接触させる構成が可能となる。第1の電極及び半導体層が直接接することにより、半導体層が受光しているときのpn接合のオン電圧を小さくすることができる。また、半導体受光素子の消費電力も低減される。
【0026】
また、例えば、前記第1の開口部からは、前記p型半導体層が露出する。
【0027】
これにより、第1の開口部から露出したp型半導体層に光を照射することができる。
【0028】
また、例えば、前記第1の開口部からは、前記半導体層が露出する。
【0029】
これにより、第1の開口部から露出した半導体層に光を照射することができる。
【0030】
また、例えば、前記第1の開口部からは、前記半導体層及び前記p型半導体層の境界部が露出する。
【0031】
これにより、第1の開口部から露出した半導体層及びp型半導体層に光を照射することができる。
【0032】
また、例えば、前記第2の開口部は、第1方向に並んで配置された複数の開口を含み、前記複数の開口のそれぞれは、前記第1方向と交差する第2方向を長手方向とする長尺状であり、前記第2の開口部から露出した前記半導体層の露出部は、当該露出部上に前記第1の電極が形成されている第1領域、及び、当該露出部上に前記第1の電極が形成されていない第2領域を含み、前記第1領域及び前記第2領域は、前記第1方向において交互に位置している。
【0033】
これにより、第1の電極と接した、電流に寄与する第1領域と光を取り込む第2領域とがバランスよく確保される。
【0034】
また、例えば、前記第1の開口部は、各々が第1方向を長手方向とする長尺状の複数の第1開口を含み、前記第2の開口部は、各々が前記第1方向と交差する第2方向を長手方向とする長尺状の複数の第2開口を含み、前記複数の第1開口は、前記第1方向と交差する方向に並んで配置され、前記複数の第2開口は、前記第2方向と交差する方向に並んで配置され、前記複数の第1開口のそれぞれからは、前記半導体層及び前記p型半導体層が露出する。
【0035】
このような第1の開口部によれば、半導体層の受光面積がより均一に確保されるため、半導体層に効率的に光を照射することができる。
【0036】
また、例えば、前記第1方向及び前記第2方向は、直交し、前記複数の第1開口は、前記第2方向に並んで配置され、前記複数の第2開口は、前記第1方向に並んで配置される。
【0037】
このような第1の開口部によれば、半導体層の受光面積がより均一に確保され、半導体層に効率的に光を照射することができる。
【0038】
また、例えば、前記第2の開口部は、各々が環状の複数の開口を含み、前記複数の開口は、同心配置され、前記第2の開口部から露出した前記半導体層の露出部は、当該露出部上に前記第1の電極が形成されている第1領域、及び、当該露出部上に前記第1の電極が形成されていない第2領域を含み、前記第1領域及び前記第2領域は、径方向において交互に存在している。
【0039】
これにより、第1の電極と接した、電流に寄与する第1領域と光を取り込む第2領域とがバランスよく確保される。
【0040】
また、例えば、前記半導体層の活性領域は、矩形である。
【0041】
これにより、半導体層は、矩形の活性領域に光が照射されることで低抵抗化することができる。
【0042】
また、例えば、前記半導体層の活性領域は、円形である。
【0043】
これにより、半導体層は、円形の活性領域に光が照射されることで低抵抗化することができる。
【0044】
また、例えば、前記第2の電極は、前記基板の下面に形成される。
【0045】
これにより、半導体受光素子を縦型デバイスとして実現することができる。
【0046】
また、例えば、前記第2の電極は、前記半導体層上の前記第1の電極から離れた位置に、少なくとも一部が前記半導体層に接して形成される。
【0047】
これにより、半導体受光素子を横型デバイスとして実現することができる。
【0048】
また、例えば、前記半導体層は、積層方向における不純物濃度が異なる。
【0049】
これにより、第1の電極に接する部分の不純物濃度が比較的高ければ、半導体層に光が照射されていない場合のリーク電流が抑制される。
【0050】
また、例えば、前記半導体層は、第1の半導体層、及び、前記第1の半導体層よりも前記基板側に位置する第2の半導体層を含み、前記第1の半導体層の不純物濃度は、前記第2の半導体層の不純物濃度よりも高い。
【0051】
これにより、半導体層に光が照射されていない場合のリーク電流が抑制される。
【0052】
また、例えば、前記半導体層は、積層方向における不純物濃度が連続的に変化する部分を含み、当該部分においては、最も上方の領域における不純物濃度が他の領域よりも高い。
【0053】
これにより、半導体層に光が照射されていない場合のリーク電流が抑制される。
【0054】
また、例えば、前記半導体層にドープされている不純物は、炭素である。
【0055】
このように不純物として炭素がドープされた半導体層により、半絶縁性を実現することができる。
【0056】
また、例えば、前記半導体層は、InxAlyGa(1-x-y)N(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦x+y≦1)によって形成される。
【0057】
このような材料によって形成された半導体層により、半絶縁性を実現することができる。
【0058】
また、例えば、前記基板は、GaN基板である。
【0059】
これにより、GaN基板によって半導体受光素子を実現することができる。
【0060】
また、本開示の一態様に係る半導体リレーは、前記半導体受光素子と、前記半導体受光素子に向けて光を発する発光素子とを備える。
【0061】
このような半導体リレーが備える第1の開口部によれば、半導体受光素子の受光面積を確保することができる。第1の開口部によれば、効率的に半導体層に光を照射することができ、半導体リレーの大電流化が実現される。
【0062】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0063】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。なお、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0064】
また、以下の実施の形態で説明に用いられる図面においては座標軸が示される場合がある。Z軸方向は、縦方向または積層方向と表現され、Z軸+側は、上側(上方)と表現され、Z軸-側は、下側(下方)と表現される場合がある。また、X軸方向及びY軸方向は、Z軸方向に垂直な平面上において、互いに直交する方向である。X軸方向は、横方向と表現される場合がある。以下の実施の形態において、平面視形状とは、Z軸方向から見た形状(基板の主面に垂直な方向から見た形状)を意味する。
【0065】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1に係る半導体リレーの構成について説明する。
図2は、実施の形態1に係る半導体リレーの模式断面図である。
図3は、実施の形態1に係る半導体受光素子の上面図である。
【0066】
図2及び図3に示されるように、実施の形態1に係る半導体リレー10は、発光素子20と、発光素子20に対向して配置された半導体受光素子30とを備える。また、半導体リレー10は、入力端子41、入力端子42、出力端子51、及び、出力端子52の4つの端子を備える。つまり、半導体リレー10は、4端子の素子である。半導体リレー10は、スイッチとして動作する。
【0067】
発光素子20は、半導体受光素子30に向けて光を発する。発光素子20は、例えば、窒化物半導体によって形成される。発光素子20は、より具体的には、例えば、p型のInAlGaN及びn型のInAlGaNのpn接合によって形成される発光ダイオードである。n型層には入力端子41が電気的に接続され、p型層には入力端子42が電気的に接続されている。
【0068】
p型InAlGaNとしては、例えば、Mgのような不純物がドープされ、かつ、キャリア濃度が1E17cm-3以上1E20cm-3以下のp型InAlGaNが用いられる。また、n型InAlGaNとしては、SiまたはOのような不純物がドープされ、かつ、不純物濃度が1E16cm-3以上1E19cm-3以下のn型InAlGaNが用いられる。
【0069】
なお、発光素子20は、InAlGaN以外の直接遷移型の半導体材料によって形成されてもよい。例えば、発光素子20は、GaAsまたはZnSeなどの材料によって形成されてもよい。
【0070】
入力端子41及び入力端子42の間に、入力端子42が入力端子41よりも高い電位となるように、pn接合のビルトイン電圧以上の電圧が印加されると、発光素子20に電流が流れ、発光素子20は発光する。
【0071】
半導体受光素子30は、基板31と、半導体層32と、第1の電極33と、第2の電極34と、p型半導体層36とを備える。
【0072】
基板31は、半導体層32が形成される板材である、基板31の平面視形状は、例えば矩形であるが、円形などであってもよく、特に限定されない。基板31は、例えば、GaNによって形成されたGaN基板である。なお、基板31は、Si、サファイア、SiC、または、GaAsなどの材料によって形成されてもよい。実施の形態1では、基板31は、導電性を有する材料によって形成される。
【0073】
半導体層32は、基板31上に形成された、半絶縁性を有する直接遷移型の半導体層である。半導体層32は、矩形の活性領域Aを有する。半導体層32は、例えば、窒化物半導体によって形成される。半導体層32は、より具体的には、例えば、GaNによって形成される。半導体層32の厚みは、半導体受光素子30に求められる耐圧によって決定され、膜厚が厚いほど高耐圧化が可能である。数十~数百Vの耐圧を実現する際には、半導体層32の膜厚は例えば、2μm以上20μm以下である。なお、半導体層32は、GaN以外にも、例えばAlN、AlGaN、InN、InAlN、InAlGaN等を用いて形成されてもよく、複数の層から構成されていてもよい。なお、半絶縁性とは、絶縁性から導電性に変化する特性を意味しており、半導体層32は、光を吸収することにより絶縁性から導電性に変化する。
【0074】
p型半導体層36は、半導体層32の活性領域A上に形成された、p型の半導体層である。p型半導体層36は、具体的には、例えば、p型GaNまたはp型InAlGaNなどによって形成される。
【0075】
さらに具体的には、p型半導体層36には、例えば、Mgのような不純物がドープされ、かつ、キャリア濃度が1E17cm-3以上1E20cm-3以下のp型GaNが用いられる。p型半導体層36の厚みは、例えば、400nmである。
【0076】
p型半導体層36には、第2の開口部136が設けられている。第2の開口部136は、具体的には、複数の第2開口236を含む。複数の第2開口236は、各々がY軸方向を長手方向とする長尺状であり、Y軸方向と交差するX軸方向に並んで配置される。つまり、第2の開口部136は、ストライプ状に形成されている。X軸方向は、第1方向の一例であり、Y軸方向は、第2方向の一例である。第2の開口部136からは、半導体層32の上面が露出する。なお、第2の開口部136に含まれる複数の第2開口236の数は特に限定されない。
【0077】
半導体受光素子30において、第2の開口部136からは半導体層32が露出している。つまり、複数の第2開口236のそれぞれからは、半導体層32が露出している。第1の電極33は、第2の開口部136を通じて半導体層32に直接接することができる。
【0078】
p型半導体層36は、例えば、以下のようにして形成される。まず、半導体層32上に連続的なp型半導体層36が形成される。次に、形成された連続的なp型半導体層36がドライエッチング等で部分的に除去されることにより、第2の開口部136が形成される。
【0079】
第1の電極33は、半導体層32に電気的に接続された電極である。第1の電極33は、具体的には、半導体層32(半絶縁性InAlGaN層)上に形成されたp型半導体層36を覆うように、半導体層32及びp型半導体層36に接して形成される。第1の電極33は、出力端子51に電気的に接続される。第1の電極33は、具体的には、Ti/Al系の材料によって形成されるが、その他の材料によって形成されてもよい。第1の電極33は、半導体層32と接触した場合にオーミック性が得られる材料によって形成されればよい。
【0080】
第1の電極33には、第1の開口部133が設けられている。第1の開口部133は、具体的には、複数の第1開口233を含む。複数の第1開口233は、各々がY軸方向を長手方向とする長尺状であり、Y軸方向と交差するX軸方向に並んで配置される。つまり、第1の開口部133は、ストライプ状である。このような第1の開口部133によれば、半導体層32の受光面積を確保することができる。
【0081】
半導体受光素子30において、第1の開口部133からはp型半導体層36が露出している。つまり、複数の第1開口233のそれぞれからは、p型半導体層36が露出している。このような第1の開口部133により、半導体層32に効率的に光を照射することができる。
【0082】
第2の電極34は、半導体層32に電気的に接続された電極である。第2の電極34は、基板31の下面に当該基板31に接して形成される。第2の電極34は、例えば、半導体層32の下面の全面にわたって形成される。第2の電極34は、具体的には、Ti/Al系の材料によって形成されるが、その他の材料によって形成されてもよい。第2の電極34は、基板31と接触した場合にオーミック性が得られる材料によって形成されればよい。
【0083】
半導体層32が光を吸収し低抵抗化すると、第1の電極33と第2の電極34とが導通する。このとき、第1の電極33と第2の電極34とは縦方向に並んでいるため、電流は縦方向に流れる。
【0084】
[半導体層の詳細構成]
続いて、半導体層32の詳細構成について説明する。半導体層32(半絶縁性のInAlGaN層)には、深いアクセプター準位を形成するアクセプター型の第1不純物と、ドナー型の第2不純物とがドープされている。第1不純物は、例えば、Fe(鉄)またはC(炭素)であり、第2不純物は、例えば、Si(ケイ素)またはO(酸素)などである。
【0085】
ここで、深いアクセプター準位を形成する、Cのような元素(アクセプター型の第1不純物)は、ドナー型の第2不純物であるSiを補償することが分かっている。つまり、Cのような元素が不純物として用いられることによって、C濃度分のSi濃度が補償される。
【0086】
半導体層32の半絶縁性を実現するために、深いアクセプター準位を形成するアクセプター型の第1不純物の濃度Naの方がドナー型の第2不純物の濃度Ndよりも高くなっている。
【0087】
例えば、半導体層32を形成する窒化物半導体には、アクセプター型の第1不純物の濃度Naからドナー型の第2不純物の濃度Ndを差し引いた濃度(濃度Na-濃度Nd)が0.5E16cm-3以上1E19cm-3以下の範囲になるように不純物がドープされればよい。また、半導体層32を形成する窒化物半導体に、1E16cm-3以上1E18cm-3以下の範囲になるように不純物がドープされることにより、特性がより向上される。
【0088】
半導体層32の比抵抗は、半導体層32が光を受けていない状態では、例えば、1×105Ωcm以上となる。半導体層32が発光素子20からの光を受けているときには、半導体層32の比抵抗は、半導体層32が光を受けていないときよりも低抵抗化する。入射光強度が十分に大きい場合には、半導体層32の比抵抗は0.01Ωcm以上1Ωcm以下程度まで低下する。つまり、半導体層32は、発光素子20からの光を吸収することによって絶縁性から導電性に切り替わる。
【0089】
なお、上記InAlGaNとは、4元混晶InxAlyGa1-x-yN(x、yは、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1を満たす任意の値)のことを表す。以下、多元混晶はそれぞれの構成元素記号の配列によって略記される。つまり、添え字の記載は省略される。
【0090】
[動作]
次に、半導体リレー10の動作について説明する。入力端子41及び入力端子42の間の電圧が0V、つまり、入力端子41及び入力端子42の間に電圧が印加されない場合、発光素子20は、発光しない状態(消灯状態)となる。この状態においては、半導体層32は、非常に高抵抗であり、出力端子51及び出力端子52の間には電流はほとんど流れない。
【0091】
一方、入力端子41及び入力端子42の間にpn接合に対して順バイアスとなる電圧が印加されると、発光素子20は、発光(点灯)する。この状態においては、半導体層32が光を吸収することにより、半導体層32内で電子-正孔対が発生する。つまり、半導体層32内で電子-正孔対が励起される。発生した電子-正孔対は、キャリアとして作用して半導体層32のバンド構造が変調するため低抵抗化する。したがって、出力端子51及び出力端子52間に大きな電流が流れる。なお、半導体リレー10は、双方向性を有しており、出力端子51から出力端子52、及び、出力端子52から出力端子51のどちらの方向にも電流を流すことが可能である。
【0092】
なお、発光素子20が発する光の波長は、半導体層32(受光領域35)の光の吸収波長以下でなければならない。発光素子20が発する光の波長が、半導体層32の光の吸収波長よりも長いと、光の吸収が起きないからである。
【0093】
[p型半導体層によって得られる効果]
次に、p型半導体層36によって得られる効果について説明する。半導体リレー10においては、発光素子20が消灯しているとき(つまり、半導体受光素子30のオフ状態)にはp型半導体層36と半導体層32のpn接合に対して逆方向電圧が印加され、p型半導体層36と半導体層32の界面から空乏層が広がる。これにより、第1の電極33と半導体層32の界面にかかる電界を緩和することができる。このため、半導体受光素子30の耐圧を向上させ、かつリーク電流を低減させることができる。なお、p型半導体層36の第2開口236の幅は小さいほど耐圧向上やリーク電流低減の効果が大きく、2μm以下が望ましい。
【0094】
[第1の開口部によって得られる効果]
次に、第1の開口部133によって得られる効果について説明する。半導体受光素子30は、光が照射されているときのみ半導体層32が低抵抗化することにより電流が流れる。よって、半導体受光素子30においては、半導体層32の受光面積を大きくすることにより、大電流化が期待できる。
【0095】
ここで、
図1のように半導体層32上を第1の電極33で覆ってしまうと、半導体層32の受光面積が減ってしまい、十分な電流を得ることができないという課題が生じる。一方で、半導体層32内で発生したキャリアを直ちに電流として輸送するためには、第1の電極33と半導体層32とが接している必要がある。
【0096】
そこで、半導体受光素子30では、第1の電極33には、p型半導体層36の上面を露出させる第1の開口部133が設けられている。これにより、半導体層32は、第1の開口部133を介して受光することができる。
【0097】
半導体層32に入射された光は、半導体層32内部で広がる。このため、第1の開口部133によれば、第1の電極33の下部に位置する部分においても電子-正孔対を励起させることができる。ただし、第1の電極33の幅が大きいと電子-正孔対が生成されない不活性な領域ができるため、第1の電極33の幅は5μm以下が望ましい。
【0098】
このように、第1の開口部133によれば、半導体受光素子30の受光面積を確保することができる。このため効率的に半導体層32に光が照射され、半導体層32がより低抵抗化するため、半導体受光素子30の大電流動作が実現される。
【0099】
なお、第1の開口部133からは、p型半導体層36の上面が露出し、p型半導体層36のうち第2開口236を形成する内周面(
図2における傾斜した側面)は、第1の電極33に覆われている。つまり、第1の電極33は、p型半導体層36に設けられた第2の開口部136を通じて半導体層32に接しているだけでなく、p型半導体層36のうち第2開口236を形成する内周面にも接している。
【0100】
これにより、半導体層32及びp型半導体層36によって形成されるpn接合に電圧を印加することができる。上述したようにpn接合に逆方向電圧が印加されることで空乏層が形成されるため、半導体受光素子30の絶縁耐圧を向上することができる。また、リーク電流低減が可能となる。
【0101】
[変形例1]
次に、変形例1に係る半導体リレーの構成について説明する。
図4は、変形例1に係る半導体リレーの模式断面図である。
図5は、変形例1に係る半導体受光素子の上面図である。なお、以下の変形例1の説明では、半導体リレー10との相違点を中心に説明が行われ、既出事項の説明については適宜省略される。後述の変形例2~6なども同様である。
【0102】
図4に示されるように、半導体リレー10aは、発光素子20と、発光素子20に対向して配置された半導体受光素子30aとを備える。また、半導体リレー10aは、入力端子41、入力端子42、出力端子51、及び、出力端子52の4つの端子を備える。
【0103】
図4及び
図5に示されるように、半導体受光素子30aは、基板31と、半導体層32と、第1の電極33aと、第2の電極34と、p型半導体層36とを備える。
【0104】
第1の電極33aには、第1の開口部133aが設けられている。第1の開口部133aは、具体的には、複数の第1開口233aを含む。複数の第1開口233aは、各々がY軸方向を長手方向とする長尺状であり、Y軸方向と交差するX軸方向に並んで配置される。
【0105】
平面視において、複数の第1開口233aのそれぞれは、第2開口236内に位置している。この結果、複数の第1開口233aのそれぞれからは、半導体層32が露出している。このような第1の開口部133aにより、半導体層32の受光面積が確保され、半導体層32に効率的に光を照射することができる。
【0106】
なお、半導体受光素子30aにおいては、第1の電極33aは、p型半導体層36の上面、p型半導体層36のうち第2開口236を形成する内周面(
図4における傾斜した側面)、及び、第2開口236から露出した半導体層32の一部を覆っている。つまり、第1の電極33aは、半導体層32及びp型半導体層36の両方に接している。
【0107】
これにより、半導体受光素子30aは、半導体層32内で発生したキャリアを直ちに電流として輸送することができる。また、半導体層32及びp型半導体層36によって形成されるpn接合に逆電圧が印加されることにより、半導体受光素子30aの絶縁耐圧を向上し、かつ、リーク電流を低減することができる。
【0108】
[変形例2]
次に、変形例2に係る半導体リレーの構成について説明する。
図6は、変形例2に係る半導体リレーの模式断面図である。
図7は、変形例2に係る半導体受光素子の上面図である。
【0109】
図6に示されるように、半導体リレー10bは、発光素子20と、発光素子20に対向して配置された半導体受光素子30bとを備える。また、半導体リレー10bは、入力端子41、入力端子42、出力端子51、及び、出力端子52の4つの端子を備える。
【0110】
図6及び
図7に示されるように、半導体受光素子30bは、基板31と、半導体層32と、第1の電極33bと、第2の電極34と、p型半導体層36とを備える。
【0111】
第1の電極33bには、第1の開口部133bが設けられている。第1の開口部133bは、具体的には、複数の第1開口233bを含む。複数の第1開口233bは、各々がY軸方向を長手方向とする長尺状であり、Y軸方向と交差するX軸方向に並んで配置される。
【0112】
第1の開口部133bからは、半導体層32及びp型半導体層36が露出している。つまり、複数の第1開口233bのそれぞれからは、半導体層32及びp型半導体層36が露出している。このような第1の開口部133bにより、半導体層32の受光面積が確保され、半導体層32に効率的に光を照射することができる。
【0113】
なお、半導体受光素子30bにおいては、第1の電極33bは、p型半導体層36の上面の一部、及び、第2開口236から露出した半導体層32の一部を覆っている。つまり、第1の電極33bは、半導体層32及びp型半導体層36の両方に接している。
【0114】
これにより、半導体受光素子30bは、半導体層32内で発生したキャリアを直ちに電流として輸送することができる。また、半導体層32及びp型半導体層36によって形成されるpn接合に逆電圧が印加されることにより、半導体受光素子30bの絶縁耐圧を向上し、かつ、リーク電流を低減することができる。
【0115】
なお、
図7に示されるように、第1の開口部133bからは、半導体層32及びp型半導体層36の境界部が露出している。具体的には、複数の第1開口233bのそれぞれからは、半導体層32及びp型半導体層36の境界部が露出している。つまり、p型半導体層36のうち第2開口236を形成する内周面(
図6における傾斜した側面)は、第1の開口部133bから露出している。
【0116】
p型半導体層36のうち、2つの第2開口236の間に位置する部分がメサ状である場合、半導体層32及びp型半導体層36の境界部は、電界集中により絶縁破壊がおきやすい。境界部が第1の開口部133bから露出していることにより、電界集中しやすい部分に第1の電極33bが形成されないため、絶縁耐圧を向上することができる。
【0117】
[変形例3]
次に、変形例3に係る半導体リレーの構成について説明する。
図8は、変形例3に係る半導体リレーの模式断面図である。
図9は、変形例3に係る半導体受光素子の上面図である。
【0118】
図8に示されるように、半導体リレー10cは、発光素子20と、発光素子20に対向して配置された半導体受光素子30cとを備える。また、半導体リレー10cは、入力端子41、入力端子42、出力端子51、及び、出力端子52の4つの端子を備える。
【0119】
図8及び
図9に示されるように、半導体受光素子30cは、基板31と、半導体層32と、第1の電極33cと、第2の電極34と、p型半導体層36とを備える。
【0120】
第1の電極33cには、第1の開口部133cが設けられている。第1の開口部133cは、具体的には、X軸方向に並んで配置された複数の第1開口233cを含む。複数の第1開口233cは、各々がY軸方向を長手方向とする矩形状である。X軸方向は、第1方向の一例であり、Y軸方向は、第2方向の一例である。
【0121】
第2の開口部136から露出した半導体層32の露出部は、露出部上に第1の電極33cが形成されている第1領域、及び、露出部上に第1の電極33cが形成されていない第2領域を含む。第1領域及び第2領域は、X軸方向において交互に位置している。
【0122】
これにより、半導体受光素子30cは、半導体層32内で発生したキャリアを直ちに電流として輸送することができる。また、半導体層32及びp型半導体層36によって形成されるpn接合に逆電圧が印加されることにより、半導体受光素子30cの絶縁耐圧を向上し、かつ、リーク電流を低減することができる。
【0123】
また、半導体受光素子30cにおいては、第1の電極33cと接した、電流に寄与する第1領域と光を取り込む第2領域とがバランスよく確保される。なお、第1領域と第2領域とは必ずしも交互に位置しなくてよい。2つの第2領域の間に第1領域が2つ以上並んで配置されていてもよい。
【0124】
[変形例4]
次に、変形例4に係る半導体受光素子の構成について説明する。
図10は、変形例4に係る半導体受光素子の上面図である。
図11は、
図10のXI-XI線における、変形例4に係る半導体受光素子の模式断面図である。
図12は、
図10のXII-XII線における、変形例4に係る半導体受光素子の模式断面図である。
【0125】
図10~
図12に示されるように、半導体受光素子30
dは、基板31と、半導体層32と、第1の電極33dと、第2の電極34と、p型半導体層36とを備える。
【0126】
第1の電極33dには、第1の開口部133dが設けられている。第1の開口部133dは、具体的には、複数の第1開口233dを含む。複数の第1開口233dは、各々がX軸方向を長手方向とする長尺状であり、X軸方向と直交するY軸方向に並んで配置される。X軸方向は、第1方向の一例であり、Y軸方向は、第2方向の一例である。
【0127】
なお、上述のように、第2の開口部136は、各々がX軸方向と交差するY軸方向を長手方向とする長尺状の複数の第2開口236を含む。複数の第2開口236は、Y軸方向と直交するX軸方向に並んで配置される。
【0128】
平面視において、複数の第1開口233dは、複数の第2開口236と交差する。言い換えれば、第1の開口部133dのストライプ方向(つまり、X軸方向)、及び、第2の開口部136のストライプ方向(つまり、Y軸方向)が角度をもって交わっている。この結果、第1開口233dそれぞれからは、半導体層32及びp型半導体層36が露出する。
【0129】
このような第1の開口部133dにより、半導体層32の受光面積がより均一に確保され、半導体層32に効率的に光を照射することができる。
【0130】
また、半導体受光素子30dにおいては、第1の電極33dが、半導体層32及びp型半導体層36を横断して形成される。これにより、p型半導体層36の形状、及び、第2の開口部136のストライプの間隔に左右されることなく第1の電極33dを形成することができる。言い換えれば、デバイス作製上の自由度を増すことができる。
【0131】
なお、第1の開口部133dのストライプ方向、及び、第2の開口部136のストライプ方向は、直交する必要はなく、角度をもって交わっていればよい。つまり、第1開口233dが第1方向を長手方向とする場合、第2開口236dは、第1方向と交差する第2方向を長手方向とすればよい。
【0132】
[変形例5]
次に、変形例5に係る半導体受光素子の構成について説明する。
図13は、変形例5に係る半導体受光素子の上面図である。以下の変形例5の説明では、半導体受光素子30との相違点を中心に説明が行われ、既出事項の説明については適宜省略される。
【0133】
図13に示されるように、半導体受光素子30eは、基板31(図示せず)と、半導体層32と、第1の電極33eと、第2の電極34と、p型半導体層36とを備える。
【0134】
第1の電極33eには、第1の開口部133eが設けられている。第1の開口部133eは、具体的には、複数の第1開口233eを含む。複数の第1開口233eは、各々がY軸方向を長手方向とする長尺状であり、Y軸方向と直交するX軸方向に並んで配置される。
【0135】
第1の電極33eは、パッド領域Bを有する。パッド領域Bは、出力端子51及び第1の電極33e電気的に接続するためのワイヤをボンディングするための矩形の領域であり、平面視において活性領域A内に位置する。パッド領域Bは、第1の電極33e内の比較的外側に設けられる。これにより、パッド領域Bが第1の開口部133eを通じた光の取り込みを妨げることが抑制される。つまり、第1の開口部133eを通じた光の取り込み量が向上される。
【0136】
なお、パッド領域の形状、大きさ、及び、配置は、特に限定されない。例えば、パッド領域Bは、平面視において活性領域Aの外側に設けられてもよい。これにより、パッド領域Bが第1の開口部133eを通じた光の取り込みを妨げることが抑制される。
【0137】
[変形例6]
次に、変形例6に係る半導体受光素子の構成について説明する。
図14及び
図15は、変形例6に係る半導体受光素子の上面図である。
図14は、
図15から第3の電極37を除いた平面図である。以下の変形例6の説明では、半導体受光素子30との相違点を中心に説明が行われ、既出事項の説明については適宜省略される。
【0138】
図14及び
図15に示されるように、半導体受光素子30fは、基板(図示せず)と、半導体層32fと、第1の電極33fと、第2の電極(図示せず)と、p型半導体層36fと、第3の電極37とを備える。
【0139】
半導体層32fは、基板上に形成された、半絶縁性を有する直接遷移型の半導体層である。半導体層32fは、円形の活性領域Cを有する。半導体層32fの平面視形状は、略円形であり、パッド領域D用に一部が外側に突出している。
【0140】
p型半導体層36fは、半導体層32fの活性領域C上に形成された、p型の半導体層である。平面視において、p型半導体層36fは、円形である。
【0141】
p型半導体層36fには、第2の開口部136fが設けられている。第2の開口部136fは、具体的には、複数の第2開口236fを含む。複数の第2開口236fは、各々が環状であり、同心配置されている。
【0142】
第1の電極33fには、第1の開口部133fが設けられている。第1の開口部133fは、具体的には、複数の第1開口233fを含む。複数の第1開口233fは、各々が環状であり、同心配置されている。第1の開口部133fからはp型半導体層36fが露出している。
【0143】
第3の電極37は、第1の電極33f上に位置し、第1の開口部133fによって分断された第1の電極33fを電気的に接続する電極である。第3の電極37は、パッド領域Dを有する。パッド領域Dは、出力端子51及び第1の電極33fを電気的に接続するためのワイヤをボンディングするための矩形の領域であり、平面視において活性領域C外に位置する。
【0144】
このような略円形の半導体層32fを有する半導体受光素子30fにおいても、第1の開口部133fによって半導体層32fの受光面積が確保され、半導体層32fに効率的に光を照射することができる。
【0145】
なお、半導体受光素子30fでは、第1の電極33fは、第2の開口部136fから露出した半導体層32f上に配置されているが、第2の開口部136fから露出した半導体層32f上には必ずしも第1の電極33fが配置されていなくてもよい。
図16は、このような半導体受光素子30gの上面図である。
【0146】
半導体受光素子30gにおいては、第2の開口部136fから露出した半導体層32fの露出部は、露出部上に第1の電極33gが形成されている第1領域、及び、露出部上に第1の電極33gが形成されていない第2領域を含む。第1領域及び第2領域は、径方向において交互に位置している。これにより、上記半導体受光素子30cと同様の効果が得られる。
【0147】
なお、第1領域と第2領域とが交互に位置することは必須ではない。2つの第2領域の間に第1領域が2つ以上並んで配置されていてもよい。
【0148】
また、半導体受光素子の平面視形状は、矩形または円形に限定されない。半導体受光素子の平面視形状は、多角形または長円形などであってもよい。また、例えば、矩形または円形の半導体受光素子を複数集積し、各素子が電気的に接続されていてもよい。
【0149】
[第1の開口部の変形例]
なお、第1の開口部133を構成する第1開口233は、閉じた開口に限定されない。例えば、
図17に示される半導体受光素子30hのように、第1の開口部133hを構成する複数の第1開口233hのそれぞれは、第1の電極33hに設けられた切り欠きであってもよい。また、
図18に示される半導体受光素子30iのように、第1の開口部133iを構成する複数の第1開口233iは、島状の第1の電極33iの間の領域であってもよい。
図17及び
図18は、第1の開口部の変形例を説明するための半導体受光素子の平面図である。
【0150】
このように、第1開口233は、閉じた開口に限定されない。なお、平面視において、第1の電極33の面積に対する第1の開口部133の面積は、例えば、30%以上70%以下であればよい。
【0151】
なお、半導体受光素子30fと同様に、半導体受光素子30iにおいては、島状の第1の電極33iを電気的に接続する第3の電極が設けられる。
【0152】
[横型デバイス]
上記実施の形態では、縦型デバイスとして実現された半導体受光素子について説明されたが、半導体受光素子は、横型デバイスとして実現されてもよい。
図19は、横型デバイスとして実現された半導体受光素子の模式断面図である。
【0153】
図19に示される半導体受光素子30jが備える第2の電極34は、半導体層32の上面のうち第1の電極33から離れた位置に形成されている。第2の電極34は、半導体層32の上面の一部を覆うように形成される。なお、第2の電極34は、半導体層32の一部がドライエッチングなどにより除去されることで露出した基板31上に形成されてもよい。
【0154】
半導体層32に光が照射されると、半導体層32は、第1の電極33(出力端子51)と第2の電極34(出力端子52)とを導通させる。このとき、第1の電極33と第2の電極34とは横方向に並んでいるため、電流は横方向に流れる。つまり、半導体受光素子30jは、横型デバイスである。
【0155】
このような半導体受光素子30jにおいても、第1の開口部133によって半導体層32の受光面積が確保され、半導体層32に効率的に光を照射することができる。
【0156】
また、第2の電極34は、第1の電極33と同様の構成であってもよい。
図20は、横型デバイスとして実現された別の半導体受光素子の模式断面図である。
【0157】
図20に示される半導体受光素子30kが備えるp型半導体層38は、半導体層32上に形成されたp型の半導体層である。p型半導体層36と同様に、p型半導体層38には、第2の開口部が設けられている。第2の開口部は、ストライプ状に形成されている。
【0158】
半導体受光素子30kが備える第2の電極34kは、p型半導体層38を覆うように、半導体層32及びp型半導体層36に接して形成される。第2の電極34kには、第3の開口部133kが設けられている。第3の開口部133kは、ストライプ状である。このような第3の開口部133kによれば、半導体層32の受光面積を確保することができる。また、第2の電極34kの下方においてp型半導体層38及び半導体層32のpn接合が形成されるため、半導体受光素子30kは、良好な双方向性を有する。
【0159】
なお、横型デバイスとして実現された半導体受光素子において、基板31は、導電性を有していなくてもよい。基板31、例えば、サファイア基板などであってもよい。
【0160】
[リーク電流を抑制するための不純物濃度]
半導体リレーまたは半導体受光素子が縦型デバイスである場合、リーク電流は、半導体層内の不純物濃度を縦方向(言い換えれば、積層方向)において片寄らせることによっても抑制可能である。つまり、半導体層は、積層方向における不純物濃度が異なってもよい。
図21は、このような半導体リレーの模式断面図である。
【0161】
図21に示される半導体リレー10lは、発光素子20と、発光素子20に対向して配置された半導体受光素子30lとを備える。半導体受光素子30lが備える半導体層32lは、第1の半導体層32l1及び第2の半導体層32l2を含む。第2の半導体層32l2は、基板31上に形成され、第1の半導体層32l1は、第2の半導体層32l2上に形成される。つまり、半導体層32lは、第1の半導体層32l1、及び、第1の半導体層32l1よりも基板31側に位置する第2の半導体層32l2を含む。
【0162】
ここで、第1の半導体層32l1の不純物濃度は、第2の半導体層32l2の不純物濃度よりも高い。つまり、半導体層32lのうち上面側(第1の電極33側)ほど、不純物濃度が高い。
【0163】
これにより、半導体受光素子30lに光が照射されていない場合であって第1の電極33と第2の電極34との間に逆方向電圧が印加されている場合には、半導体層32l内で空乏層が広がりやすく絶縁耐圧を高く保つことができる。したがって、リーク電流を抑制することができる。
【0164】
また、半導体受光素子30lに光が照射されている場合には、第2の半導体層32l2も十分低抵抗化し電流が流れやすくなる。この結果、高オンオフ比が得られる半導体受光素子30lを実現することができる。
【0165】
なお、半導体層32lは、2層構造であるが、3層以上の積層構造であってもよい。この場合も上面側ほど、不純物濃度が高ければ、リーク電流を抑制する効果が得られる。
【0166】
また、半導体層は、積層方向における不純物濃度が連続的に変化する部分を含み、当該部分において、最も上方の領域における不純物濃度が他の領域よりも高くてもよい。例えば、単層の半導体層において、上面側ほど不純物濃度が高くてもよい。
図22は、このような半導体リレーの模式断面図である。
【0167】
図22に示される半導体リレー10mは、発光素子20と、発光素子20に対向して配置された半導体受光素子30mとを備える。半導体受光素子30mにおいては、半導体層32mが単層でありつつ、半導体層32m内で不純物濃度に偏りがある。具体的には、半導体層32m内では、上面側ほど不純物濃度が高い。なお、単層であるとは、例えば、当該半導体層32m内で積層方向に垂直な界面が形成されていないことを意味する。半導体層32mにおいては、第1の電極33に接する部分の不純物濃度が比較的高ければよい。つまり、半導体層32mは、第1の電極33に接する部分よりも下方に、当該第1の電極33に接する部分よりも不純物濃度が低い領域を含めばよい。
【0168】
これにより、半導体受光素子30mに光が照射されていない場合であって第1の電極33と第2の電極34との間に逆方向電圧が印加されている場合には、半導体層32m内で空乏層が広がりやすく絶縁耐圧を高く保つことができる。したがって、リーク電流を抑制することができる。
【0169】
また、半導体受光素子30mに光が照射されている場合には、半導体層32mの上面側の部分も十分低抵抗化し電流が流れやすくなる。この結果、高オンオフ比が得られる半導体受光素子30mを実現することができる。
【0170】
なお、半導体層32mにおける不純物濃度の偏りは、例えば、半導体層32mの結晶成長中に基板31の温度を変更することにより実現される。また、半導体層32mにおける不純物濃度の偏りは、不純物の注入または拡散などのプロセスによって実現されてもよい。
【0171】
(その他の実施の形態)
以上、一つまたは複数の態様に係る半導体受光素子及び半導体リレーについて、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0172】
例えば、上記実施の形態における、第1の開口部に含まれる第1開口の数、及び、第1開口の形状などは一例であり、特に限定されるものではない。第2の開口部に含まれる第2開口の数、及び、第2開口の形状についても同様である。
【0173】
また、上記実施の形態の模式断面図に示される積層構造は、一例であり、本開示は上記積層構造に限定されない。つまり、上記積層構造と同様に、本開示の特徴的な機能を実現できる積層構造も本開示に含まれる。例えば、上記積層構造と同様の機能を実現できる範囲で、上記積層構造の層間に別の層が設けられてもよい。
【0174】
また、上記実施の形態では、積層構造の各層を構成する主たる材料について例示しているが、積層構造の各層には、上記積層構造と同様の機能を実現できる範囲で他の材料が含まれてもよい。
【0175】
また、上記実施の形態では、半導体受光素子は、半導体リレーに用いられたが、発光ピーク波長が365nm付近の紫外光に反応するUVセンサーなど、他の用途に用いられてもよい。
【0176】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。例えば、本開示は、上記半導体リレーを有する集積回路などとして実現されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0177】
本開示の半導体受光素子は、民生機器の電源回路等に用いられるパワーデバイス、または、紫外光に反応するUVセンサーとして有用である。
【符号の説明】
【0178】
10、10a、10b、10c、10l、10m、10z 半導体リレー
20 発光素子
30、30a、30b、30c、30d、30e、30f、30g、30h、30i、30j、30k、30l、30m、30z 半導体受光素子
31 基板
32、32f、32l、32m 半導体層
32l1 第1の半導体層
32l2 第2の半導体層
33、33a、33b、33c、33d、33e、33f、33g、33h、33i 第1の電極
34、34k 第2の電極
35 受光領域
36、36f、38 p型半導体層
37 第3の電極
41、42 入力端子
51、52 出力端子
133、133a、133b、133c、133d、133e、133f、133h、133i 第1の開口部
133k 第3の開口部
136、136f 第2の開口部
233、233a、233b、233c、233d、233e、233f、233h、233i 第1開口
236、236d、236f 第2開口
A、C 活性領域
B、D パッド領域