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特許7109484心房細動(AF)の評価のための脂肪酸結合タンパク質3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】心房細動(AF)の評価のための脂肪酸結合タンパク質3
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/68 20060101AFI20220722BHJP
【FI】
G01N33/68
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019568773
(86)(22)【出願日】2018-06-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-20
(86)【国際出願番号】 EP2018065503
(87)【国際公開番号】W WO2018229051
(87)【国際公開日】2018-12-20
【審査請求日】2019-12-24
(31)【優先権主張番号】17175672.9
(32)【優先日】2017-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(73)【特許権者】
【識別番号】519037603
【氏名又は名称】マーストリヒト ユニバーシティ メディカル センター
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100157923
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴喰 寿孝
(72)【発明者】
【氏名】カール,ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】カストナー,ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ロルニー,ヴィンツェント
(72)【発明者】
【氏名】ヴィーンヒューズ-テレン,ウルスラ-ヘンリケ
(72)【発明者】
【氏名】ディートリッヒ,マヌエル
(72)【発明者】
【氏名】ツィーグラー,アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】ショッテン,ウルリヒ
【審査官】草川 貴史
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-526140(JP,A)
【文献】特表2014-535047(JP,A)
【文献】HAILONG Cao外、8名,Natriuretic peptides and right atrial fibrosis in patients with paroxysmal versus persistent atrial fibrillation,Peptides,2010年08月,Vol.31,No.8 ,Page.1531-1539
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48-33/98
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体において、発作性心房細動を診断するための方法であって:
(a)発作性心房細動を患っていると推測される被験体由来の試料において、FABP-3(脂肪酸結合タンパク質3)の量を決定し、そして
(b)工程a)において決定した量を、参照量に比較する
工程を含む、
該試料は、血液、血清、または血漿試料、あるいは心筋組織試料である、
前記方法。
【請求項2】
前記被験体が、試料を得た時点で、洞調律にある被験体である、請求項1の方法。
【請求項3】
心房細動を患っていると推測される前記被験体が、心房細動の少なくとも1つの症状を示すか、または示したことがある、請求項1または2の方法。
【請求項4】
前記心房細動の少なくとも1つの症状が、めまい、失神、息切れ、および心臓動悸より選択される、請求項の方法。
【請求項5】
前記被験体が、心房細動の既知の病歴を持たない、請求項1~のいずれか一項の方法。
【請求項6】
参照量よりも大きい、前記被験体由来の試料におけるFABP-3の量が、該被験体が発作性心房細動を患うことを示す、請求項1~のいずれか一項の方法。
【請求項7】
参照量よりも低い、前記被験体由来の試料におけるFABP-3の量が、該被験体が発作性心房細動を患っていないことを示す、請求項1~のいずれか一項の方法。
【請求項8】
工程a)において、前記被験体由来の試料におけるBNP型ペプチドの量の決定を、そして工程b)において、参照量に対するBNP型ペプチドの量の比較をさらに含む、請求項1~のいずれか一項の方法。
【請求項9】
携帯ECGデバイスを用いることによって、少なくとも1週間の期間に渡る、前記被験体から得られた断続性ECG記録の評価をさらに含む、請求項1~のいずれか一項の方法。
【請求項10】
前記被験体がヒト被験体である、請求項1~のいずれか一項の方法。
【請求項11】
前記被験体が永続性心房細動も持続性心房細動も患っていない、請求項1~10のいずれか一項の方法。
【請求項12】
発作性心房細動の診断を補助する方法であって:
b)発作性心房細動を患っていると推測される被験体由来の試料において、バイオマーカーFABP-3の量を決定し、およびBNP型ペプチドの量を決定してもよく、そして
c)被験体の主治医に、バイオマーカーFABP-3の決定した量に関する情報を提供し、およびBNP型ペプチドの決定した量に関する情報を提供してもよく、それによって該被験体における発作性心房細動の診断を補助する
工程を含む、
該試料は、血液、血清、または血漿試料、あるいは心筋組織試料である、
前記方法。
【請求項13】
参照量よりも大きい、前記被験体由来の試料におけるFABP-3の量が、該被験体が発作性心房細動を患うことを示す、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
参照量よりも低い、前記被験体由来の試料におけるFABP-3の量が、該被験体が発作性心房細動を患っていないことを示す、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
発作性心房細動を診断するための、発作性心房細動を患っていると推測される被験体由来の試料における
i)バイオマーカーFABP-3およびあってもよいBNP型ペプチド、ならびに/あるいは
ii)FABP-3に特異的に結合する少なくとも1つの検出剤、およびあってもよいBNP型ペプチドに特異的に結合する少なくとも1つの検出剤
の使用であって、
該試料は、血液、血清、または血漿試料、あるいは心筋組織試料である、
前記使用
【請求項16】
前記検出剤が抗体またはその断片である、請求項15の使用。
【請求項17】
前記被験体が、試料を得た時点で洞調律にある被験体である、請求項15または16の使用。
【請求項18】
前記被験体が心房細動の既知の病歴を持たない、請求項1517のいずれか一項の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験体における発作性心房細動を診断するための方法であって:発作性心房細動を患っていると推測される被験体由来の試料において、FABP-3(脂肪酸結合タンパク質3)の量を決定し、そして参照量に対して決定した量を比較する工程を含む、前記方法に関する。本発明の方法は、BNP型ペプチドの決定をさらに含んでもよい。本発明にさらに含まれるのは、本発明の方法を実行するために適応されたデバイスである。
【発明の概要】
【0002】
発作性心房細動は、7日間未満、通常、24時間未満に自発的に終結する心房細動(AF)の再発エピソードと定義される。これは自己終結性または断続性のいずれでもありうる。発作性AFは一般的である(高齢被験体の5~10%(Prevalence, incidence and lifetime risk of atrial fibrillation: the Rotterdam study. Heeringaら, Eur Heart J. 2006; 27(8):949を参照されたい))。未治療患者では、抗凝血療法の投与がない場合、脳卒中リスクが増加する。心房細動などの心臓不整脈の診断は、典型的には、不整脈の原因の決定、および不整脈の分類を伴う。AFを検出する至適基準は、好ましくは、24時間ECG(ホルター心電計)として行われる心電図(ECG)である。しかし、ホルター心電計は、ECG記録の24時間の期間内に不整脈が起こる場合にしかAFを検出できない。したがって、発作性AFは、しばしば、ホルター心電計によっては検出されない。
【0003】
多様な科学的刊行物が、心房細動と、上昇したレベルのバイオマーカーの関連を扱っている(Biomarkers in Atrial Fibrillation: Investigating Biologic Plausibility, Cause, and Effect R. Becker Journal of Thrombosis and Thrombolysis 19(1), 71-75, 2005に概説される)。
【0004】
NT-プロBNPの決定は、収縮不全の評価を可能にする。さらに、高感度トロポニンアッセイは、無症候性心臓傷害の検出を可能にする。トロポニンTおよびNT-プロBNPの上昇したレベルはどちらも、独立に、6または12か月後のAFの最初の再発のより高いリスクを予測すると記載されてきている(Circulating cardiovascular biomarkers in recurrent atrial fibrillation: data from the GISSI-Atrial Fibrillation Trial, R. Latiniら, JInternMed2011;269:160-171)。以前に起きた、そして約1週間も前に遡る発作性AFを診断し、そして抗凝血療法から利益を得る可能性がある患者を選択するため、心臓タンパク質レベル、トロポニンTおよびNT-プロBNPに基づいて患者を選択可能であることがさらに記載されてきている(WO 2014/072500)。
【0005】
バイオマーカーFABP-3(脂肪酸結合タンパク質3)は、心臓型脂肪酸結合タンパク質(H-FABP)としてもまた知られ、心筋梗塞の初期マーカーとして示唆されてきている。FABP-3は、低分子量細胞質タンパク質であり、ヒトFABP-3は132アミノ酸および14.8KDaのポリペプチドであり、そして心筋に豊富に存在する。心筋梗塞の場合のように、心筋が損傷した際、FABP-3を含む低分子量細胞質タンパク質が循環中に放出され、そして血液試料中でFABP-3レベル上昇が検出可能となる(例えばRuzgarら, Heart Vessels, 21;209-314(2006)を参照されたい)。FABP-3およびH-FABPの他の名称は:FABP-11(脂肪酸結合タンパク質11)、M-FABP(筋脂肪酸結合タンパク質)、MDGI(乳房由来増殖阻害剤)、およびO-FABPである。
【0006】
洞調律の患者に比較して、進行中の心房細動(AF)を有する患者では、循環FABP-3レベル上昇が観察された(Otakiら, Internal medicine, (2014) Vol.53, No.7, pp.661-8)。
【0007】
FABP-3の循環レベル上昇は、AFの術後事象と関連することが観察された(Sezaiら, Carperitide and Atrial Fibrillation after Coronary Bypass Grafting: The Nihon University Working Group Study of Low-Dose HANP Infusion Therapy during Cardiac Surgery Trial for Postoperative Atrial Fibrillation. Circulation: Arrhythmia and Electrophysiology, (4 Jun 2015) Vol.8, No.3, pp.546-553)。
【0008】
FABP-3のレベル増加は、心臓手術後のAFと関連し、これは、根底にある機構に虚血性心筋梗塞損傷が寄与していることを示唆した(Raderら, Perioperative heart-type fatty acid binding protein levels in atrial fibrillation after cardiac surgery. Heart rhythm: the official journal of the Heart Rhythm Society, (2013) Vol.10, No.2, pp.153-7)。
【0009】
Yangらは、ベータ遮断剤および抗虚血薬剤トリメタジジンの併用を記載する。2016年の指針は、狭心症がベータ遮断剤(または代替剤)での治療にもかかわらず持続した場合、狭心症を緩和するために、トリメタジジンが症候性HFrEFを伴う安定狭心症の治療のために考慮されうる(有効抗狭心症治療、HFにおいて安全)ことを示す。この推奨は、トリメタジジンが、HFrEFを伴う患者において、NYHA機能的能力、運動期間およびLV機能を改善しうることを示唆する多数の証拠に基づく。HF単独の環境においては、トリメタジジンは推奨されない(Yangら Efficacy of metoprolol in combination with trimetazidine in patients with atrial fibrillation and its effects on serum concentrations of H-FABP. South China Journal of Cardiovascular Diseases, (2014) 20(2), 168-170)。該刊行物の著者らは、臨床症状のエンドポイント改善を伴う、AF患者における、ベータ遮断剤と組み合わせたトリメタジジンの使用は、AFの再発を減少させ、そしてFABP3レベルを減少させたと記載する。FABP3が発作性AFと有意に関連する暗示はない。これらの薬剤によって改善されるいくつかの異なる臨床パラメータもまた、FABP3の減少を引き起こしうる。トリメタジジンは、抗虚血薬剤であり、脂肪酸代謝の阻害を通じて、心筋グルコース利用を改善する。FABP3は、長鎖脂肪酸の細胞質ゾル輸送および虚血中、脂肪酸からの心筋細胞の保護において役割を果たす。虚血性心臓傷害のパラメータとしてのFABP3は、抗虚血薬剤機構と相関すると示唆される。ベータ遮断剤は、抗高血圧薬剤である。ベータ受容体の遮断は、心拍出および血圧、ならびに腎血流および腎臓の糸球体濾過率を減少させる。FABP3レベル上昇は、腎臓機能不全によるクリアランス減少から生じうる。糸球体濾過率減少のパラメータとしてのFABP3は、抗高血圧薬剤機構と相関すると示唆される。
【0010】
US 2006/099608およびUS 2007/218498は、血管状態の診断のためのいくつかのバイオマーカーのリスト内のFABP-3を開示する。
US 2011/144205は、心不全のリスクがある無症候性患者のスクリーニングを開示する。FABP-3は、いくつかのバイオマーカーのリスト内に記載される。
【0011】
US 2015/126385は、FABP-3が虚血性脳卒中の診断を補助しうると開示する。
US2016/258965によれば、FABP-3は、いくつかの心臓障害の1つとしての脳卒中の開始から経過している時間を示しうる。
【0012】
FABP-3の循環レベル上昇は、以前の一過性虚血性発作の病歴がある患者における、再発性脳卒中のリスクに関連することが観察された(Segalら Population-based study of blood biomarkers in prediction of subacute recurrent stroke. Stroke(2014) Vol.45, No.10, pp.2912-2917)。
【0013】
発作性から持続性または永続性心房細動までの患者下位群の間で、CRPを含む大部分のバイオマーカーに関して、循環レベルの進行性の増加が観察される(Liら, Plasma oxidative stress and inflammatory biomarkers are associated with the sizes of the left atrium and pulmonary vein in atrial fibrillation patients. Clin Cardiol (2017) 40(2), pp.89-942017、またはKossaifyら, Perspectives of biomarkers in acute cardiac care. Biomarker Insights(2013) 8, pp.115-126)。
【0014】
したがって、心房細動のより後期の段階では、CRPなどの大部分のAFバイオマーカーの有意な増加が観察される。
しかし、心房細動は、脳卒中および全身性塞栓症の重要なリスク要因であるため、心房細動の初期診断、およびしたがって、発作性心房細動の診断が非常に望ましい。心房細動の最も怖ろしい結果は、(虚血性)脳卒中であり、これは、脳への血流が、血餅によって、または血管内壁におけるプラークと呼ばれる脂肪性沈着物によって遮断された際に起こる。総体症状にかかわらず、心房細動を有する個体は、虚血性脳卒中のリスクが5倍増加している。さらに、AFからの合併症によって引き起こされる脳卒中は、根底にある他の原因を伴う脳卒中よりも、より重度になる傾向がある。心房細動によって引き起こされる脳卒中は、より消耗性の身体障害を生じさせ、そしてより高い死亡率を有する。すべての脳卒中患者の少なくとも30%が、心房細動を有すると概算され、したがって、脳卒中予防のための経口抗凝血(OAC)は、有益で一般的な治療になってきている。
【0015】
上記からわかるように、発作性心房細動の検出は、特に適切であるが、困難である。したがって、発作性心房細動の診断のための信頼しうる方法に関する必要性がある。
本発明の根底にある技術的問題は、前述の必要性に応じるための方法の提供として理解することができる。技術的問題は、請求項において、そして本明細書の以下において特徴づけられる態様によって解決される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】循環FABP-3のレベル上昇と発作性AFの診断(中央値:AFを患っていない30人の患者試料において1.92ng/mL、発作性AFの14人の患者試料において2.84ng/mL;持続性AFの16人の患者試料において2.75ng/mL)。
図2図1の図レジェンドに記載した患者の血漿試料におけるNT-プロBNPに関する結果。
図3図1のレジェンドに記載する、発作性AFを患う14人の患者の血漿試料における、およびAFを患っていない30人の患者の血漿試料における、hsCRP(血漿試料)に関する結果。
図4】アルゴリズムRSEMおよびDESEQ2を適用するRNAseq分析に基づく、AF(症例)または洞調律(対照)患者の右心耳の組織試料におけるFABP-3の示差的発現。発現の倍変化(FC)=1.279;FDR(偽発見率)=0.009(AFを患っていない39人の患者およびAFの11人の患者の組織試料の分析)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
好適なことに、本発明の研究の背景において、被験体由来の試料におけるFABP-3の量の決定は、発作性心房細動の診断を可能にすることが見出された。AFのいくつかの他のバイオマーカーとは対照的に、FABP-3は、AFの初期段階においてすでに有意に増加している。したがって、本発明の結果、被験体が発作性心房細動を患っているかどうかを評価することが可能である。
【0018】
したがって、本発明は、被験体において、発作性心房細動を診断するための方法であって:
(a)発作性心房細動を患っていると推測される被験体由来の試料において、FABP-3(脂肪酸結合タンパク質3)の量を決定し、そして
(b)工程a)において決定したような量を、参照量に比較する
工程を含む、前記方法に関する。
【0019】
本発明の方法の1つの態様において、方法は、工程a)において、被験体由来の試料におけるBNP型ペプチドの量の決定を、そして工程b)において、参照量に対する前記BNP型ペプチドの量の比較をさらに含む。
【0020】
したがって、本発明は、被験体において、発作性心房細動を診断するための方法であって:
(a)発作性心房細動を患っていると推測される被験体由来の試料において、FABP-3(脂肪酸結合タンパク質3)の量およびBNP型ペプチドの量を決定し、そして
(b)工程a)において決定したような量を、参照量に比較する
工程を含む、前記方法に関する。
【0021】
好ましい態様において、心房細動(AF)の診断は、比較工程b)の結果に基づく。
したがって、本発明は、好ましくは、
a)被験体由来の試料における、FABP-3の量、および随意にBNP型ペプチドの量を決定し、
b)FABP-3の量を参照量(前記マーカーに関するもの)に比較し、そして随意にBNP型ペプチドの量を参照量(前記マーカーに関するもの)に比較し、そして
c)比較工程b)の結果(単数または複数)に基づいて心房細動を診断する
工程を含む。
【0022】
本発明にしたがって言及されるような方法には、本質的に前述の工程からなる方法、またはさらなる工程を含む方法が含まれる。さらに、本発明の方法は、好ましくはex vivo、そしてより好ましくはin vitro法である。さらに、該方法は、上に明白に言及したものに加えた工程を含んでもよい。例えば、AFの診断は、携帯ECGデバイス(本明細書の別の箇所に詳細に記載するようなもの)を用いることによって、少なくとも1週間の期間に渡って、前記被験体から得られた断続性ECG記録の評価にさらに基づいてもよい。さらに、さらなる工程は、さらなるマーカーの決定に、そして/または試料前処理または該方法によって得られた結果の評価に関連してもよい。該方法は、手動で、または自動化によって補助されて行われてもよい。好ましくは、工程(a)、(b)および/または(c)は、全体として、または部分的に、自動化によって、例えば工程(a)における決定のための適切なロボットおよび感覚装置または工程(b)におけるコンピュータ実装計算によって、補助されてもよい。
【0023】
好ましくは、用語「診断」は、本明細書において、好ましくは、本発明の方法にしたがって言及されるような被験体が、発作性心房細動(AF)を患っているかどうかを評価することを意味する。例えば、該用語は、被験体が発作性AFを患っているかどうかの可能性の評価を指す。したがって、被験体が、AFを患っている低いまたは高い可能性を有するかどうかを評価する。発作性AFを患っていると診断されている被験体は、発作性AFを患う高い可能性(例えば約80%またはそれより高い可能性)を有するはずである。発作性AFを患ってないと診断されている被験体は、発作性AFを患う低い可能性(例えば約15%または15%未満の可能性)を有するはずである。したがって、表現「発作性心房細動の診断」は、本明細書において、発作性心房細動の診断における「援助」または「補助」と理解されなければならない。例えば、医師は、発作性心房細動の診断において補助されうる。
【0024】
当業者には理解されるであろうように、本発明の診断は、通常、試験しようとする被験体の100%に関して正しいとは意図されない。用語「診断」は、好ましくは、被験体の統計的に有意な部分に関して、正しい診断が行われうることを要する。部分が、統計的に有意であるかどうかは、多様な周知の統計評価ツール、例えば信頼区間の決定、p値決定、スチューデントt検定、マン・ホイットニー試験等を用いて、当業者によって、難なく決定されうる。詳細は、DowdyおよびWearden, Statistics for Research, John Wiley & Sons, New York 1983に見られる。好ましい信頼区間は、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%である。p値は、好ましくは、0.4、0.1、0.05、0.01、0.005、または0.0001である。
【0025】
多様な疾患および障害において、バイオマーカーが増加しうることが当該技術分野に知られる。これはまた、FABP-3およびBNP型ペプチドにも当てはまる。例えば、FABP-3は、急性冠動脈症候群の患者において増加することが知られ、一方、BNP型ペプチドは、心不全患者において増加することが知られる。しかし、これは、当業者によって考慮される。
【0026】
用語「心房細動」(AFまたはAFibと「略される」)は当該技術分野に周知である。本明細書において、該用語は、好ましくは、結果として心房機械的機能の悪化を伴う、非協調的心房活性化によって特徴づけられる上室性頻脈性不整脈を指す。特に、該用語は、迅速でそして不規則な拍動によって特徴づけられる異常な心拍リズムを指す。これは、心臓の2つの上部チャンバーに関与する。正常な心拍リズムにおいては、洞房結節によって生じたインパルスは、心臓全体に伝播し、そして心筋の収縮および血液のポンピングを引き起こす。心房細動においては、洞房結節の規則的な電気的インパルスは、不規則な心拍を生じる、混乱した迅速な電気的インパルスに置き換えられる。心房細動の症状は、心臓動悸、失神、息切れ、または胸痛である。しかし、大部分のエピソードは無症状である。心電図上で、心房細動は、房室伝導が損なわれていない(intact)場合、一貫したP波が、不規則でしばしば迅速な心室反応と関連する、振幅、形状、およびタイミングが多様である、迅速な振動または細動波によって、置換されることによって特徴づけられる。
【0027】
米国心臓病学会(ACC)、米国心臓協会(AHA)、および欧州心臓病学会(ESC)は、以下の分類系を提唱する(本明細書にその全体が援用される、Fuster(2006) Circulation 114(7):e257-354を参照されたい、例えば該文書の図3を参照されたい):初回検出AF、発作性AF、持続性AF、および永続性AF。
【0028】
AFを経験する人々はすべて、最初は、初回検出AFと呼ばれるカテゴリーにある。しかし、被験体は、以前の未検出エピソードを有してもよいし、または持たなくてもよい。AFが1年より長く持続している場合、被験体は永続性AFを患っている。特に、洞調律に戻る変換は起こらない(または医学的介入によってしか起こらない)。AFが7日より長く続く場合、被験体は持続性AFを患う。被験体は、心房細動を終結させるため、薬理学的または電気的いずれかの介入を要しうる。したがって、持続性AFは、複数のエピソードで起こるが、不整脈は、自発的には洞調律に戻るように変換されない。発作性心房細動は、好ましくは、最長7日間続く、心房細動の断続性エピソードを指す。発作性AFの大部分の症例では、エピソードの持続は24時間未満である。発作性心房細動のエピソードは自発的に、すなわち医学的介入を伴わずに終結する。発作性AFは、無症候性であり、そして過少診断される(サイレントAF)。本発明の好ましいエピソードの長さは、48時間、24時間または12時間未満である(発作性AF)。したがって、用語「発作性心房細動」は、本明細書において、好ましくは48時間未満で、より好ましくは24時間未満で、そして最も好ましくは12時間未満で自己終結するAFのエピソードと定義される。好ましくは、前記エピソードは再発性である。さらに、エピソードが6時間未満で自己終結することが想定される。
【0029】
持続性および発作性AFはどちらも、数週間または数か月以内に再発する可能性もあり、それによって、発作性および持続性AFの区別は、ECG記録によって提供される。患者が2またはそれより多いエピソードを経験している場合、AFは再発性と見なされる。不整脈が自発的に終結する場合、AF、特に再発性AFは、発作性と称される。AFは、7日間より長く続く場合、持続性と称される。
【0030】
被験体が発作性または持続性心房細動を患っているかどうか、あるいは被験体がAFを患っていないかどうかを、心外膜高密度マッピングによって確認してもよい。実施例セクションにおいて適用されたこの方法は、電気的活性化から生じる細動波の異なる伝導パターンにしたがって、洞調律、発作性および持続性AFの下位群の間を区別するための異なる手段である(Ecksteinら, Transmural Conduction Is the Predominant Mechanism of Breakthrough During Atrial Fibrillation Evidence From Simultaneous Endo-Epicardial High-Density Activation Mapping. Circ Arrhythm Electrophysiol. (2013) 6, pp. 334-341; van Marionら, Diagnosis and Therapy of Atrial Fibrillation: the Past, the Present and the Future Diagnosis and Therapy of Atrial Fibrillation: the Past, the Present and the Future JAFIB: Journal of Atrial Fibrillation;Aug/Sep2015, Vol. 8 Issue 2, p5を参照されたい)。
【0031】
用語「被験体」は、本明細書において、好ましくは哺乳動物である。哺乳動物には、限定されるわけではないが、家畜(例えばウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ、およびウマ)、霊長類(例えばヒトおよび非ヒト霊長類、例えばサル)、ウサギ、および齧歯類(例えばマウスおよびラット)が含まれる。好ましい態様において、被験体はヒトである。被験体は男性または女性であってもよい。
【0032】
1つの態様において、被験体は、発作性心房細動の少なくとも1つのリスク要因を有してもよい。好ましいリスク要因は年齢(次の段落を参照されたい。例えば被験体は65歳またはそれより高齢である)、高血圧、例えば抗高血圧薬物療法を必要とする高血圧、心不全、例えば心不全AHAステージA~C、脳卒中歴、心臓手術または切除歴である。好ましくは、被験体はまた、遠隔心電図診断法、Health Appsを含む携帯デバイスからの暗示も有してもよい。
【0033】
好ましくは、試験しようとする被験体は、50歳またはそれより高齢、より好ましくは60歳またはそれより高齢、そして最も好ましくは65歳またはそれより高齢である。さらに、試験しようとする被験体が、70歳またはそれより高齢であることが想定される。
【0034】
上に示すように、バイオマーカーFABP-3は、心房細動以外の多様な疾患および障害で増加しうる。本発明の1つの態様において、被験体がこうした疾患および障害を患っていないことが想定される。例えば、被験体が急性冠動脈症候群を患っていないことが想定される。
【0035】
本発明の方法の1つの態様において、試験しようとする被験体は、心疾患、特に弁手術を要する心疾患、または冠動脈バイパス手術を要する心疾患を患う。したがって、被験体は、冠動脈疾患、すなわち安定冠動脈疾患を患っている可能性もある。被験体は、重度の心不全を患う患者まで、多様な度合いの心臓血管リスクプロファイルを有してもよい。被験体は、心臓血管疾患を持たなくてもよい。
【0036】
好ましくは、発作性心房細動を患っていると推測される被験体は、心房細動の少なくとも1つの症状を示し、そして/または発作性心房細動を評価するための方法を実行する前に、心房細動の少なくとも1つの症状を示していた被験体である。前記症状は、通常、一過性であり、そして数秒間生じる可能性もあり、そして即座に消失する可能性もある。心房細動の症状には、めまい、失神、息切れ、および特に心臓動悸が含まれる。したがって、心房細動の少なくとも1つの症状は、めまい、失神、息切れ、および特に心臓動悸より選択される。好ましくは、被験体は、試料を得る前の6か月以内に、より好ましくは1か月以内に、さらにより好ましくは2週間以内に、そして最も好ましくは1週間以内に、心房細動の少なくとも1つの症状を示している。特に、試料を得る前の2日以内に、被験体がAFの少なくとも1つの症状を示していたことが想定される。また、試料を得る前の24時間以内、またはさらに12時間以内に、被験体がAFの少なくとも1つの症状を示していたことが想定される。したがって、被験体は、これらの期間の1つ以内に、心房細動、すなわち発作性心房細動のエピソードを示していたと推測される。したがって、本発明の前述の方法にしたがって実行される段階は、被験体が最近、これらの期間内に、心房細動のエピソードを患っていたかどうか、特に、被験体が、試料を得る前の1週間以内に、特に2日間以内にまたは24時間以内にまたは12時間以内に、心房細動のエピソードを患っていたかどうかの診断(またはより正確には、診断の補助)を可能にする。したがって、本発明はまた、心房細動、特に発作性心房細動の最近のエピソードを診断するための方法も意図する。
【0037】
本発明の方法の好ましい態様において、被験体は、心房細動、特に発作性心房細動の既知の病歴を持たない。したがって、被験体は、以前、すなわち本発明の方法を実行するより前に(特に被験体から試料を得るより前に)、心房細動を患っていると診断されたことがないものとする。しかし、被験体は、心房細動の以前の診断されないエピソードを持っていてもまたは持っていなくてもよい。
【0038】
本発明の方法または使用の1つの態様において、被験体は、伝導障害を有する。こうした伝導障害は、心臓手術中の心房細動の侵襲性電気的マッピングによって確認されてもよい(実施例セクションを参照されたい)。脂肪浸潤は、インパルス伝播を妨害する電気的障壁として、伝導障害の1つの重要な決定要因である。
【0039】
さらに、試験しようとする被験体は、好ましくは、永続性心房細動および持続性心房細動を患っていない。したがって、被験体は、永続性AFもまた持続性AFも患っていない。さらに、被験体が心房粗動を患っていないことが想定される。
【0040】
特に、被験体が、本発明の方法を実行する前に(特に試験しようとする試料を得る前に)、心臓除細動に供されていないことが想定される。心臓除細動は、心臓不整脈を正常リズムに変換する医学的処置である。これは、電気的心臓除細動または抗不整脈剤での心臓除細動によって達成されうる。
【0041】
好ましくは、患者は、試料を得た時点で洞調律にある(すなわち正常洞調律)。したがって、被験体は好ましくは、試料を得た時点で、心房細動のエピソードを患っていない。
正常洞調律に関する基準には、正常心拍数(古典的には、成人に関して、1分あたり60~100拍動)、連続P波の間の最短および最長期間が0.16秒未満の変動である、規則的なリズムが含まれ、洞結節は心臓を整調しなければならず、したがって、P波は丸く、すべて同じ形状であり、そして1:1の比ですべてのQRS複合体の前に存在しなければならず、正常P波軸(0~+75度)になければならない。正常PR間隔、QRS複合体、およびQT間隔であり、QRS複合体は、リードI、II、aVFおよびV3~V6では陽性であり、そしてリードaVRでは陰性である。
【0042】
用語「試料」は、体液の試料、分離された細胞の試料、あるいは組織または臓器由来の試料を指す。体液の試料を周知の技術から得てもよく、そしてこうした試料には、血液、血漿、血清、尿、リンパ液、痰、腹水、あるいは任意の他の体性分泌物またはその派生物が含まれる。組織または臓器試料を、例えば生検によって、任意の組織または臓器から得てもよい。1つの態様において、組織試料は、心筋組織試料である。特に、試料は、右心耳由来の組織試料である。
【0043】
遠心分離または細胞ソーティングなどの分離技術によって、体液または組織または臓器から、分離された細胞を得てもよい。例えば、バイオマーカーを発現するかまたは産生する細胞、組織または臓器から、これらの細胞、組織または臓器試料を得てもよい。試料は凍結、新鮮、固定(例えばホルマリン固定)、遠心分離、および/または包埋(例えばパラフィン包埋)試料等であってもよい。もちろん、試料中のマーカーの量を評価する前に、細胞試料を、多様な周知の収集後調製および保存技術に供してもよい(例えば核酸および/またはタンパク質抽出、固定、保存、凍結、限外濾過、濃縮、蒸発、遠心分離等)。
【0044】
好ましい態様において、試料は、血液(すなわち全血)、血清または血漿試料である。血清は、血液を凝血させた後に得られる、全血の液体分画である。血清を得るためには、血餅を遠心分離によって取り除き、そして上清を収集する。血漿は、血液の無細胞液体部分である。血漿試料を得るためには、全血を抗凝血剤処理チューブ(例えばクエン酸処理またはEDTA処理チューブ)中に収集する。遠心分離によって試料から細胞を取り除き、そして上清(すなわち血漿試料)を得る。
【0045】
本発明の方法の好ましい態様において、方法は、工程a)において、被験体由来の試料におけるBNP型ペプチドの量の決定を、そして工程b)において、参照量、すなわち前記BNP型ペプチドに関する参照量に対するBNP型ペプチドの量の比較をさらに含む。
【0046】
本発明の方法と関連して決定されるバイオマーカーは、当該技術分野に周知である。
用語「FABP-3」は、本明細書において、脂肪酸結合タンパク質3を指す。FABP-3はまた、心臓脂肪酸結合タンパク質または心臓型脂肪酸結合タンパク質(H-FABPと略される)としてもまた知られる。好ましくは、該用語にはまた、FABP-3の変異体も含まれる。FABP-3は、本明細書において、好ましくは、ヒトFABP-3に関する。ヒトFABP-3ポリペプチドをコードするポリペプチドのDNA配列ならびにヒトFABP-3のタンパク質配列は、当該技術分野に周知であり、そしてPeetersら(Biochem. J. 276(Pt 1), 203-207(1991))に最初に記載された。さらに、ヒトH-FABPの配列は、好ましくは、GenbankエントリーU57623.1(cDNA配列)およびAAB02555.1(タンパク質配列)に見られうる。FABPの主な生理学的機能は、遊離脂肪酸の輸送であると考えられる。例えば、Storchら, Biochem. Biophys. Acta. 1486 (2000), 28-44を参照されたい。FABP-3およびH-FABPの他の名称は:FABP-11(脂肪酸結合タンパク質11)、M-FABP(筋脂肪酸結合タンパク質)、MDGI(乳房由来増殖阻害剤)、およびO-FABPである。
【0047】
本発明の好ましい態様において、FABP-3ポリペプチドの量を決定する。本発明の別の態様において、FABP-3転写物の量を決定する。
脳ナトリウム利尿ペプチド(rain atriuretic eptide)型ペプチド(本明細書において、またBNP型ペプチドとも称される)は、好ましくは、プレプロBNP、プロBNP、NT-プロBNP、およびBNPからなる群より選択される。プレプロペプチド(プレプロBNPの場合は134アミノ酸)は、短いシグナルペプチドを含み、該シグナルペプチドは、酵素的に切断されて、プロペプチドを放出する(プロBNPの場合は108アミノ酸)。プロペプチドは、さらに切断されてN末端プロペプチド(NT-プロペプチド、NT-プロBNPの場合は76アミノ酸)となり、そして活性ホルモン(BNPの場合は32アミノ酸)となる。好ましくは、本発明にしたがった脳ナトリウム利尿ペプチドは、NT-プロBNP、BNP、およびその変異体である。BNPは活性ホルモンであり、そしてそれぞれの不活性対応物NT-プロBNPよりも短い半減期を有する。好ましくは、脳ナトリウム利尿ペプチド型ペプチドは、BNP(脳ナトリウム利尿ペプチド)であり、そしてより好ましくはNT-プロBNP(プロホルモン脳ナトリウム利尿ペプチドのN末端)である。
【0048】
用語、本明細書で言及するようなバイオマーカー、すなわちFABP-3またはBNP型ペプチドの量を「決定する」は、バイオマーカーの定量化、例えば本明細書の別の箇所に記載する適切な検出法を使用して、試料中のバイオマーカーのレベルを決定することを指す。用語「測定する」および「決定する」は、本明細書において、交換可能に用いられる(バイオマーカーに関連して)。
【0049】
1つの態様において、試料と、バイオマーカーに特異的に結合する剤を接触させ、それによって剤およびバイオマーカーの間の複合体を形成し、形成された複合体の量を検出し、そしてそれによってバイオマーカーの量を測定することによって、バイオマーカーの量を決定する。
【0050】
当該技術分野に一般的に知られる方法を用いて、FABP-3ポリペプチドまたはBNP型ペプチドを検出してもよい。検出法は、一般的に、試料中のバイオマーカーの量を定量化する方法(定量的方法)を含む。以下の方法のいずれが、バイオマーカーの定性的および/または定量的検出に適しているかは、一般的に、当業者に知られる。商業的に入手可能な、ウェスタン、ならびにELISA RIA、蛍光および発光に基づくイムノアッセイのようなイムノアッセイを用いて、例えばタンパク質に関して、試料を好適にアッセイしてもよい。バイオマーカーを検出するためのさらなる適切な方法には、その正確な分子量またはNMRスペクトルなどの、ペプチドまたはポリペプチドに特異的な物理的または化学的特性を測定することが含まれる。前記方法は、例えば、バイオセンサー、イムノアッセイにカップリングされた光学デバイス、バイオチップ、分析デバイス、例えば質量分析計、NMR分析装置、またはクロマトグラフィデバイスを含む。さらに、方法には、マイクロプレートELISAに基づく方法、完全自動化またはロボットイムノアッセイ(例えばElecsysTM分析装置上で利用可能)、CBA(酵素コバルト結合アッセイ、Roche-HitachiTM分析装置上で利用可能)、およびラテックス凝集アッセイ(Roche-HitachiTM分析装置上で利用可能)が含まれる。
【0051】
本明細書に言及するようなバイオマーカータンパク質の検出のため、こうしたアッセイ形式を用いた広範囲のイムノアッセイ技術が利用可能である。例えば米国特許第4,016,043号、第4,424,279号、および4,018,653号を参照されたい。これらには、単一部位および2部位、または非競合型の「サンドイッチアッセイ」、ならびに伝統的な競合結合アッセイが含まれる。これらのアッセイにはまた、ターゲットバイオマーカーへの標識抗体の直接結合も含まれる。
【0052】
サンドイッチアッセイは、最も有用なイムノアッセイの1つである。
電気化学発光標識を使用する方法が周知である。こうした方法は、特殊な金属錯体が、酸化によって、励起状態を達成し、そこから基底状態に崩壊して、電気化学発光を放出する能力を利用する。概説に関しては、Richter, M.M., Chem. Rev. 104 (2004) 3003-3036を参照されたい。
【0053】
1つの態様において、バイオマーカーの量を測定するために用いられる検出抗体(またはその抗原結合断片)は、ルテニウム化またはイリジウム化されている。したがって、抗体(またはその抗原結合断片)は、ルテニウム標識を含むものとする。1つの態様において、前記ルテニウム標識は、ビピリジン-ルテニウム(II)錯体である。または抗体(またはその抗原結合断片)は、イリジウム標識を含むものとする。1つの態様において、前記イリジウム標識は、WO 2012/107419に開示されるような錯体である。
【0054】
ポリペプチド(例えばFABP-3またはBNP型ペプチド)の量の測定は、好ましくは、(a)ポリペプチドを、前記ポリペプチドに特異的に結合する剤と接触させ、(b)(随意に)結合していない剤を除去し、(c)結合した結合剤、すなわち工程(a)で形成された剤の複合体の量を測定する工程を含んでもよい。好ましい態様にしたがって、接触、除去および測定の前記工程を分析装置によって実行してもよい。いくつかの態様にしたがって、前記工程を、前記系の単一の分析装置によって、あるいは互いに機能可能に連絡している1より多い分析装置によって、実行してもよい。例えば、特定の態様にしたがって、本明細書に開示する前記系には、接触および除去の前記工程を実行するための第一の分析装置、ならびに測定の前記工程を実行する、輸送装置(例えばロボットアーム)によって前記の第一の分析装置に機能可能であるように連結されている第二の分析装置が含まれてもよい。
【0055】
バイオマーカーに特異的に結合する剤(本明細書において、「結合剤」とも称される)を、共有的にまたは非共有的に、結合剤の検出および測定を可能にする標識にカップリングしてもよい。標識を、直接または間接的方法によって行ってもよい。直接標識は、標識を結合剤に直接(共有的または非共有的に)カップリングする工程を含む。間接的標識は、第一の結合剤に二次結合剤を(共有的または非共有的に)結合させる工程を含む。二次結合剤は、第一の結合剤に特異的に結合しなければならない。前記二次結合剤を、適切な標識にカップリングさせてもよいし、そして/または前記二次結合剤は該二次結合剤に結合する三次結合剤のターゲット(レセプター)であってもよい。適切な二次およびより高次の結合剤には、抗体、二次抗体、および周知のストレプトアビジン-ビオチン系(Vector Laboratories, Inc.)が含まれることも可能である。結合剤または基質はまた、当該技術分野に知られるような1またはそれより多いタグで、「タグ付け」されていてもよい。こうしたタグは次いで、より高次の結合剤のターゲットであってもよい。適切なタグには、ビオチン、ジゴキシゲニン、His-タグ、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、FLAG、GFP、myc-タグ、インフルエンザAウイルス赤血球凝集素(HA)、マルトース結合タンパク質等が含まれる。ペプチドまたはポリペプチドの場合、タグは、好ましくはN末端および/またはC末端にある。適切な標識は、適切な検出法によって検出可能な任意の標識である。典型的な標識には、金粒子、ラテックスビーズ、アクリダンエステル、ルミノール、ルテニウム錯体、イリジウム錯体、酵素的活性標識、放射性標識、磁気標識(例えば常磁性および超常磁性標識を含む「磁気ビーズ」)、および蛍光標識が含まれる。酵素的活性標識には、例えばセイヨウワサビ(horseradish)ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、およびその誘導体が含まれる。検出に適した基質には、ジアミノベンジジン(DAB)、3,3’-5,5’-テトラメチルベンジジン、NBT-BCIP(Roche Diagnosticsから既製ストック溶液として入手可能な、4-ニトロブルーテトラゾリウムクロリド、および5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-ホスフェート)、CDP-StarTM(Amersham Biosciences)、ECFTM(Amersham Biosciences)が含まれる。適切な酵素-基質の組み合わせは、着色反応産物、蛍光または化学発光を生じることも可能であり、これらは当該技術分野に知られる方法にしたがって(例えば感光フィルムまたは適切なカメラ系を用いて)測定可能である。酵素反応の測定に関しては、上述の基準が同様に適用される。典型的な蛍光標識には、蛍光タンパク質(例えばGFPおよびその誘導体)、Cy3、Cy5、テキサスレッド、フルオレセイン、およびAlexa色素(例えばAlexa568)が含まれる。さらなる蛍光標識は、例えばMolecular Probes(オレゴン州)から入手可能である。蛍光標識としての量子ドットの使用もまた意図される。放射性標識は、既知のおよび適切な任意の方法、例えば感光フィルムまたはホスホイメージャーによって、検出可能である。
【0056】
ポリペプチドの量はまた、好ましくは、以下のように測定可能である:(a)本明細書の別の箇所に記載するようなポリペプチドに対する結合剤を含む固体支持体を、ペプチドまたはポリペプチドを含む試料と接触させ、そして(b)支持体に結合しているペプチドまたはポリペプチドの量を測定する。支持体を製造するための材料は、当該技術分野に周知であり、そしてとりわけ、これには、商業的に入手可能なカラム材料、ポリスチレンビーズ、ラテックスビーズ、磁気ビーズ、コロイド金属粒子、ガラスおよび/またはシリコンチップおよび表面、ニトロセルロースストリップ、メンブレン、シート、デュラサイト(duracyte)、反応トレイのウェルおよび壁、プラスチックチューブ等が含まれる。
【0057】
さらなる側面において、形成された複合体の量を測定する前に、結合剤および少なくとも1つのマーカーの間で形成された複合体から、試料を取り除く。したがって、1つの側面において、結合剤を固体支持体上に固定してもよい。さらなる側面において、洗浄溶液を適用することによって、固体支持体上に形成された複合体から試料を除去することも可能である。
【0058】
「サンドイッチアッセイ」は、サンドイッチアッセイ技術の多くの変形を含む、最も有用であり、そして一般的に用いられるアッセイの1つである。簡潔には、典型的なアッセイにおいて、非標識(捕捉)結合剤を固定するか、または固体支持体上に固定してもよく、そして試験しようとする試料を捕捉結合剤と接触させる。結合剤-バイオマーカー複合体の形成を可能にするために十分な期間のための、適切なインキュベーション期間後、次いで、検出可能シグナルを産生可能であるレポーター分子で標識されている、第二の(検出)結合剤を添加し、そしてインキュベーションし、結合剤-バイオマーカー-標識結合剤の別の複合体の形成に十分な時間を可能にする。いかなる未反応物質も洗い流してもよく、そして検出結合剤に結合したレポーター分子によって産生されるシグナルの観察によって、バイオマーカーの存在を決定する。結果は、可視シグナルの単純な観察によって定性的であってもよいし、またはバイオマーカーの既知の量を含有する対照試料との比較によって定量的であってもよい。
【0059】
典型的なサンドイッチアッセイのインキュベーション工程は、必要に応じてそして適切なように、多様であってもよい。こうした変形には、例えば、結合剤およびバイオマーカーの2つまたはそれより多くを同時インキュベーションする、同時インキュベーションが含まれる。例えば、分析しようとする試料および標識結合剤の両方を、固定捕捉結合剤に同時に添加する。分析しようとする試料および標識結合剤をまずインキュベーションし、そしてその後、固相に結合したかまたは固相に結合可能な抗体を添加することもまた可能である。
【0060】
特異的結合剤およびバイオマーカーの間で形成された複合体は、試料中に存在するバイオマーカーの量に比例するものとする。適用しようとする結合剤の特異性および/または感度は、特異的に結合可能な試料に含まれる少なくとも1つのマーカーの割合の度合いを定義することが理解されるであろう。測定を実行しうる方法のさらなる詳細もまた、本明細書の別の箇所に見出される。形成された複合体の量を、試料中に実際に存在する量を反映するバイオマーカーの量に変換するものとする。
【0061】
用語「結合剤」、「特異的結合剤」、「分析物特異的結合剤」、「検出剤」および「バイオマーカーに特異的に結合する剤」は、本明細書において、交換可能に用いられる。好ましくは、該用語は、対応するバイオマーカーに特異的に結合する結合部分を含む剤に関連する。「結合剤」または「剤」の例は、核酸プローブ、核酸プライマー、DNA分子、RNA分子、アプタマー、抗体、抗体断片、ペプチド、ペプチド核酸(PNA)または化学的化合物である。好ましい剤は、測定しようとするバイオマーカーに特異的に結合する抗体である。用語「抗体」は、本明細書において、最も広い意味で用いられ、そして限定されるわけではないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば二重特異性抗体)、および望ましい抗原結合活性を示す限り抗体断片(すなわちその抗原結合断片)を含む、多様な抗体構造を含む。好ましくは、抗体はポリクローナル抗体である。より好ましくは、抗体はモノクローナル抗体である。
【0062】
用語「特異的結合」または「特異的に結合する」は、結合対分子が、他の分子に有意に結合しない条件下で、互いに結合を示す、結合反応を指す。用語「特異的結合」または「特異的に結合する」は、バイオマーカーとしてタンパク質またはペプチドを指す場合、結合剤が、少なくとも10-7Mのアフィニティで、対応するバイオマーカーに結合する、結合反応を指す。用語「特異的結合」または「特異的に結合する」は、好ましくは、ターゲット分子に対して少なくとも10-8Mまたはさらにより好ましくは少なくとも10-9Mのアフィニティを指す。用語「特異的」または「特異的に」は、試料中に存在する他の分子が、ターゲット分子に特異的な結合剤に有意には結合しないことを示すよう用いられる。
【0063】
用語「量」は、本明細書において、バイオマーカーの絶対量、バイオマーカーの相対量または濃度、ならびにこれらに相関するかまたはこれらから派生しうる任意の値またはパラメータを含む。こうした値またはパラメータは、直接測定によって前記ペプチドから得られるすべての特異的物理的または化学的特性由来の強度シグナル値、例えばマススペクトルまたはNMRスペクトルの強度値を含む。さらに、本明細書の別の箇所に明記する間接的な測定によって得られるすべての値またはパラメータ、例えばペプチドに反応して生物学的読み取り系から測定される反応量、または特異的に結合したリガンドから得られる強度シグナルが含まれる。前述の量またはパラメータに相関する値はまた、すべての標準的な数学演算によっても得られうることが理解されるものとする。
【0064】
用語「比較すること」は、本明細書において、被験体由来の試料におけるFABP-3ポリペプチドまたはBNP型ペプチドの量を、該バイオマーカーの参照量と比較することを指す。本明細書において、比較することは、通常、対応するパラメータまたは値の比較を指し、例えば絶対量を絶対参照量に比較する一方、濃度を参照濃度に比較するか、または試料中のバイオマーカーから得られる強度シグナルを参照試料から得られる同じタイプの強度シグナルに比較すると理解されるものとする。比較を、手動で、またはコンピュータに補助されて実行することも可能である。したがって、比較は計算デバイスによって実行してもよい。被験体由来の試料におけるバイオマーカーの測定量または検出量の値、および参照量を、例えば、互いに比較してもよく、そして比較のためのアルゴリズムを実行するコンピュータプログラムによって、前記比較を自動的に実行してもよい。前記評価を実行するコンピュータプログラムは、適切な出力形式で所望の評価を提供するであろう。コンピュータ補助比較に関しては、測定される量の値を、コンピュータプログラムによってデータベース中に保存されている適切な参照に対応する値に比較してもよい。コンピュータプログラムは、比較の結果をさらに評価してもよく、すなわち適切な出力形式で所望の評価を自動的に提供してもよい。コンピュータ補助比較に関しては、測定量の値を、コンピュータプログラムによってデータベース中に保存されている適切な参照に対応する値に比較してもよい。コンピュータプログラムは、比較の結果をさらに評価してもよく、すなわち適切な出力形式で所望の評価を自動的に提供してもよい。
【0065】
本発明にしたがって、FABP-3の量、および随意に、BNP型ペプチドの量(特にバイオマーカーNT-プロBNPの量)を参照に比較するものとする。参照は、好ましくは参照量である。用語「参照量」は、本明細書において、(i)発作性心房細動を患っている被験体の群または(ii)発作性心房細動を患っていない被験体の群のいずれかへの被験体の割り当てを可能にする量を指す。試験試料と一緒に、すなわち同時にまたは続いて、分析しようとする参照試料から、適切な参照量を決定することも可能である。
【0066】
参照量は、原則的に、標準的統計法を適用することによって、所定のバイオマーカーに関する代表値または平均値に基づいて、上に明記するような被験体のコホートに関して計算されうる。特に、試験、例えば事象を診断することを目的とする方法の正確性は、受信者操作特性(ROC)によって最適に記載される(特に、Zweig 1993, Clin. Chem. 39:561-577を参照されたい)。ROCグラフは、観察されるデータの全範囲に渡って決定閾値を連続して変化させることから生じる感度対特異度対のすべてのプロットである。診断法の臨床的成績は、その正確性、すなわち特定の予後または診断に被験体を正確に割り当てる能力に依存する。ROCプロットは、区別を行うために適した閾値の完全な範囲に関して、1-特異度に対して感度をプロットすることによる、2つの分布間の重複を示す。y軸にあるのは感度であるかまたは真陽性率であり、これは真陽性の数および偽陰性試験結果の数の積に対する、真陽性試験結果の数の比として定義される。これはまた、疾患または状態の存在における陽性とも称されてきている。これは、もっぱら、罹患した下位群から計算される。x軸にあるのは、偽陽性率、または1-特異度であり、これは真陰性の数および偽陽性結果の数の積に対する、偽陽性結果の数の比として定義される。これは、特異度の指標であり、そして完全に、罹患していない下位群から計算される。真陽性および偽陽性率は、完全に別個に計算されるため、2つの異なる下位群からの試験結果を用いることによって、ROCプロットは、コホートにおける事象の有病率からは独立である。ROCプロット上の各ポイントは、特定の決定閾値に対応する、感度/1-特異度対に相当する。完全な区別(結果の2つの分布に重複が全くない)を伴う試験は、上部左隅を通るROCプロットを有し、ここで、真陽性率は、1.0、または100%(完全感度)であり、そして偽陽性率は0(完全特異度)である。区別なしの試験の理論的プロット(2つの群に関する結果の同一の分布)は、下部左隅から上部右隅を通る、45°の対角線である。大部分のプロットは、これらの2つの極値の間に属する。ROCプロットが45°対角線の完全に下にある場合、これは「陽性」に関する基準を「より大きい」から「未満である」に逆転させるか、またはその逆を行うことによって、容易に修正される。定性的には、プロットが上部左隅に近くなればなるほど、試験の全体の正確性が高くなる。望ましい信頼区間に応じて、閾値をROC曲線から得て、感度および特異度、それぞれの適切なバランスで、所定の事象の診断を可能にすることも可能である。したがって、本発明の前述の方法に用いられるべき参照値、すなわち被験体コホートの中で、発作性心房細動を患っている被験体または発作性心房細動を患っていないものの間の区別を可能にする閾値を、好ましくは、上述のような前記コホートに関するROCを確立し、そしてそこから閾値量を得ることによって、生成してもよい。診断法の望ましい感度および特異度に応じて、ROCプロットは、適切な閾値を得ることを可能にする。発作性心房細胞を患っている被験体を排除するために、最適な感度が望ましい(すなわち除外(rule out))一方、発作性心房細動を患っていると評価される被験体に関しては、最適な特異度が想定される(すなわち包含(rule in))ことが理解されるであろう。特に、被験体を、発作性心房細動を患っていると評価することが想定される。
【0067】
好ましい態様において、用語「参照量」は、本明細書において、あらかじめ決定された値を指す。好ましい態様において、前記のあらかじめ決定された値は、発作性心房細動を患っている被験体および発作性心房細動を患っていない被験体の間の区別を可能にするものとする(随意に、ECG記録の結果と組み合わせて)。別の態様において、前記参照量は、被験体が発作性心房細動を患っていないことを診断する、すなわち心房細動を患っている被験体を排除することを可能にするものとする。
【0068】
特定の態様において、参照量は、発作性心房細動を患っていないことが知られる被験体または被験体群、あるいは発作性心房細動を患っていることが知られる被験体または被験体群から得られる。
【0069】
好ましくは、参照量よりも高い、被験体由来の試料におけるFABP-3の量は、被験体が発作性心房細動を患っていることを示す。
やはり好ましくは、参照量よりも低い、被験体由来の試料におけるFABP-3の量は、被験体が発作性心房細動を患っていないことを示す。
【0070】
FABP-3およびBNP型ペプチドを決定する場合、好ましくは以下が適用される。
好ましくは、参照量よりも高い、被験体由来の試料におけるFABP-3の量、および参照量よりも高い、被験体由来の試料におけるBNP型ペプチドの量は、被験体が発作性心房細動を患っていることを示す。したがって、両方の量が増加している。
【0071】
やはり好ましくは、参照量よりも低い、被験体由来の試料におけるFABP-3の量、および参照量よりも低い、被験体由来の試料におけるBNP型ペプチドの量は、被験体が発作性心房細動を患っていないことを示す。
【0072】
本発明の方法の好ましい態様において、方法は、携帯ECGデバイスを用いることによる、少なくとも1週間の期間に渡って、前記被験体から得られた断続性ECG記録の評価をさらに含む。この態様において、被験体が発作性心房細動を患っているかどうかの診断は、比較工程(b)の結果、すなわち参照量に対するFABP-3の量、および随意に、参照量に対するBNP型ペプチドの量、ならびに断続性ECG記録の評価に基づく
【0073】
心電図検査(ECGと略される)は、心臓の電気的活動を記録するプロセスである。ECGデバイスは、心臓によって生じ、体全体を通じて皮膚まで伝播する電気的シグナルを記録する。記録は、試験被験体の皮膚と、ECGデバイスに含まれる電極を接触させることによって達成される電気的シグナルである。記録を得るプロセスは、非侵襲性であり、そしてリスクフリーである。
【0074】
本発明にしたがって、携帯ECGデバイスで得られる記録を評価するものとする。表現「断続性ECG記録を評価する」は、本明細書において、好ましくは、被験体から得られる断続性ECG記録(すなわちECG読み取り/ECGストリップ)における心房細動の存在または非存在の評価を指す。したがって、記録は解釈されている。前記評価は、医師、例えば心臓医によって実行されてもよく、そして/またはコンピュータに補助されてもよい。例えば、自動化ソフトウェアによって前評価を行ってもよい。前評価した結果の最終評価は、医師によって実行されてもよい。
【0075】
本発明の方法において言及されるような携帯ECGデバイスは、したがって、心房細動の診断、すなわち心房細動の存在または非存在の評価を可能にするものとする(被験体から得られたECG記録において)。
【0076】
AFの診断を可能にする携帯ECGデバイスは、多様な製造者によって製造されている。例は、心房細動の検出に特にターゲティングしたデバイスであるLohman TechnologiesのAfibAlert(登録商標)、Zenicor、スウェーデンのZenicor-ECG、AliveCorモバイルECG、Dimetek Micro Ambulatory ECG記録装置、ECG Check、HeartCheckTMPEN携帯ECG、InstantCheck Real Time Display ECGモニター、ReadMyHeartデバイス、またはREKA E100である。
【0077】
本発明の方法の1つの態様において、携帯ECGデバイスは、1誘導デバイスである。別の好ましい態様において、断続性ECG記録を得るために用いられるECGデバイスは、12誘導ECGデバイスである。
【0078】
本発明の1つの態様において、携帯ECGデバイスは、試験しようとする被験体によって操作されるデバイスである。したがって、本発明の方法において言及されるような携帯デバイスは、試験被験体による自己試験を可能にするものとする。言い換えると、評価しようとする記録は、自己試験によって得られた。
【0079】
本発明にしたがって、携帯ECGデバイスが、2つの乾燥接触電極を含むことが想定される。したがって、断続性ECG記録が、乾燥接触電極上に2つの指(例えば左および右の親指)を置くことによって得られていることが意図される。あるいは、乾燥接触電極は、胸などの素肌に対して配置されてもよい。
【0080】
本発明にしたがったECG記録は、断続性ECG記録であるものとする。したがって、ECG記録は、被験体から連続して(例えばホルター心電計の場合のように)得られていないものとする。したがって、評価しようとするECG記録は、少なくとも1週間の期間に渡って、周期的に得られた記録である。
【0081】
しかし、ECG記録は、被験体から少なくとも1日1回得られたと想定される。デバイスは、したがって、少なくとも1日1回、被験体によって操作される。表現「少なくとも1回」は、本明細書において、1回または1回より多い、例えば2回、3回、4回、5回等を意味する。1つの態様において、ECG記録は、1日2回またはそれより多く得られる。記録は、保存されてもよいし、あるいは例えばECGデバイス内に構築されたかまたは該デバイスに連結された携帯電話を通じて、ECGデータベースに伝達されてもよい。例えば、ECGデバイスは、データベースに記録を送信する携帯電話と(ブルートゥースまたはワイヤレス連結を通じて)連結されていてもよい。送信は、アプリ(例えばアンドロイドまたはiOSアプリ)を通じて達成されてもよい。記録をデータベースに送信した後、心房細動の存在または非存在に関して、医師が記録を評価、すなわち解釈してもよい。
【0082】
(単一の)記録の長さは、通常、約10秒~約120秒の間である。1つの態様において、記録の長さは、約20秒~約60秒の間である。例えば、ECG記録は、2つの電極上に約30秒間、親指を置くことによって得られてもよい。
【0083】
さらに、被験体が心房細動の症状を示す際、断続性ECG記録が得られたことが特に想定される(被験体が症状を示していたという条件で)。症状は、本明細書の別の箇所に記載される。前記症状は、通常、一過性であり、そして数秒で生じてもよく、そしてそれと同程度に迅速に消失してもよい。被験体が心房細動の症状を示さない場合も、にもかかわらず、上述のように、少なくとも1日1回、記録を得るものとする。
【0084】
1つの態様において、断続性、すなわち非連続性のECG記録が、少なくとも4日間の期間に渡って得られているものとする。別の態様において、断続性、すなわち非連続性のECG記録は、少なくとも1週間の期間に渡って得られているものとする。したがって、評価されるべき少なくとも7つ、特に少なくとも14の記録があるものとする。1つの態様において、断続性ECG記録は、少なくとも10日間の期間に渡って得られているものとする。別の態様において、断続性ECG記録は、少なくとも2週間の期間に渡って得られているものとする。さらに、評価されるべき断続性ECG記録は、1週間~2週間の期間に渡って、特に10日間~2週間の期間に渡って得られていると想定される。少なくとも1つの記録におけるAFの存在は、AF、特に発作性AFの診断に関する指標となる。
【0085】
方法が、上に示すような断続性ECG記録の評価を含む場合、被験体が心房細動を患っているかどうかの診断は、比較工程b)の結果および断続性ECG記録の評価に基づくものとする。
【0086】
1つの態様において、患者が発作性心房細動を患っていないと診断される(発作性心房細動の除外)。これは、断続性ECG記録における心房細動の非存在によって、そして参照量よりも低い、被験体由来の試料におけるFABP-3の量によって(そしてBNP型ペプチドを決定する場合、BNP型ペプチドの量によって)、示される。言い換えると、参照より低いFABP-3(および随意に、BNP型ペプチド)の量と組み合わせた、断続性ECG記録における心房細動の非存在は、発作性心房細動を患っていない被験体を示す。したがって、被験体は、発作性心房細動を患っている低い可能性を有する(例えば、10または15%未満の可能性)。
【0087】
1つの態様において、患者が発作性心房細動を患っていると診断される。これは、断続性ECG記録における心房細動の存在(すなわち、少なくとも1つの記録における心房細動の存在)によって、そして/または参照より高い、被験体由来の試料におけるFABP-3の量によって(そして随意に、BNP型ペプチドの量によって)示される。言い換えると、断続性ECG記録における心房細動の存在、および/または参照より高いFABP-3の量(および随意にBNP型ペプチドの量)は、発作性心房細動を患っている被験体を示す。したがって、被験体は、発作性心房細動を患っている高い可能性を有する(例えば、70または80%より高い可能性)。
【0088】
参照より高いFABP-3の量と組み合わされた、被験体由来の断続性ECG記録における心房細動の非存在は、心房細動を患っている被験体を示しうる。ECGにおいて心房細動は検出されないが、被験体は、心房細動を患っている可能性が高い。これは、心臓血管系の電気的活性を、少なくとも24時間、例えばホルター心電計によって、または移植可能ループレコーダー(ILR)によって、連続してモニターすることによって、確認してもよい。
【0089】
本発明の方法の1つの態様において、前記方法は、診断結果に基づいて、少なくとも1つの適切な補助手段を推奨し、そして/または開始する工程をさらに含む。前記の少なくとも1つの適切な補助手段は、心房細動を患うと診断された被験体、すなわちAFを患っている高い可能性を有する被験体に対して、推奨されるかまたは開始されるものとする。
【0090】
用語「推奨する」は、本明細書において、発作性AFを患っていると診断されている被験体に適用されうる、適切な補助手段に関する提唱を確立することを意味する。
適切な補助手段は、AFを患っている、すなわち発作性AFを患っている高い可能性を有する被験体に適用可能な、すべての手段を指す。例えば、患者管理手段には、発作性AFの診断(例えばホルター心電計による)の検証および/または薬剤治療が含まれる。
【0091】
被験体が発作性心房細動を患う場合、少なくとも1つの抗凝血剤での療法が推奨されるかまたは開始されるものとする。抗凝血剤は、血液の凝固および関連する脳卒中を減少させるかまたは防止することを目的とするものとする。好ましくは、抗凝血剤は、ヘパリン、クマリン誘導体、例えばワーファリンまたはジクマロール、組織因子経路阻害剤(TFPI)、アンチトロンビンIII、因子IXa阻害剤、因子Xa阻害剤、因子Va阻害剤、およびトロンビン阻害剤からなる群より選択される。
【0092】
好ましい態様において、抗凝血剤は、非ビタミンKアンタゴニスト経口抗凝血剤(on-Vitamin K antagonist ral ntioagulants)(NOACと略される)である。こうした抗凝血剤は、血餅形成を阻害し、そしてワーファリンとは異なり、ビタミンKアンタゴニストではない。こうした抗凝血剤は、当該技術分野に周知であり、そして例えばHijaziら, 2015. The ABC(age, biomarkers, clinical history) stroke risk score: a biomarker-based risk score for predicting stroke in atrial fibrillation.に記載される。好ましいNOACはダビガトラン、リバロキサバン、およびアピキサバンである。
【0093】
したがって、本発明は、上に示すような少なくとも1つの適切な補助手段を推奨し、そして/または開始する方法にさらに関する。1つの態様において、方法は、本発明の方法、すなわち本明細書の別の箇所に示すような発作性心房細動を診断する方法の工程、および少なくとも1つの適切な補助的手段を推奨し、そして/または開始するさらなる工程を含む。1つの態様において、抗凝血剤を投与することによって、発作性心房細動を被験体において治療する。
【0094】
本発明は、心房細動の診断を補助する方法であって:
a)発作性心房細動を診断する方法と関連して、本明細書に言及するように、被験体から試料を得るかまたは提供し、
b)前記試料における、バイオマーカーFABP-3の量、および随意にBNP型ペプチドの量を決定し、そして
c)バイオマーカーFABP-3の決定した量に関する、および随意にBNP型ペプチドの決定した量に関する情報を、被験体の主治医に提供し、それによって前記被験体における発作性心房細動の診断を補助する
工程を含む、前記方法にさらに関する。
【0095】
主治医は、バイオマーカー(単数または複数)の決定をリクエストした医師であるものとする。上述の方法は、発作性心房細動の診断において、主治医を補助するものとする。
試料を得る、前述の方法の工程a)は、被験体から試料を抜き取る工程を含まない。好ましくは、試料は、前記被験体から試料を受け取ることによって得られる。したがって、試料は送達されていてもよい。
【0096】
本発明は:
a)バイオマーカーFABP-3に関する試験、および随意に、BNP型ペプチドに関する試験を提供し、そして
b)発作性心房細動の診断において、前記試験(単数または複数)によって得られるかまたは得られうる試験結果を用いるための指示を提供する
工程を含む方法にさらに関する。
【0097】
前述の方法の目的は、好ましくは、発作性心房細動の診断の補助である。
指示は、本明細書において上に記載するように、発作性心房細動を診断する方法を実行するためのプロトコルを含有するものとする。さらに、指示は、FABP-3に関する参照量の少なくとも1つの値、および随意に、BNP型ペプチドに関する参照量の少なくとも1つの値を含有するものとする。
【0098】
「試験」は、好ましくは、発作性心房細動を診断する方法を実行するように適応されたキットである。前記キットは、バイオマーカーFABP-3に関する少なくとも1つの検出剤、および随意に、BNP型ペプチドに関する少なくとも1つの検出剤を含むものとする。2つのバイオマーカーに関する検出剤は、単一のキット中でまたは2つの別個のキット中で提供されてもよい。
【0099】
前記試験によって得られるかまたは得られうる試験結果は、被験体由来の試料におけるバイオマーカー(単数または複数)の量に関する値である。
さらに、本発明は、被験体由来の試料における、(前記被験体における)発作性心房細動を診断するための
i)バイオマーカーFABP-3および随意にBNP型ペプチドならびに/あるいは
ii)FABP-3に特異的に結合する少なくとも1つの検出剤、および随意にBNP型ペプチドに特異的に結合する少なくとも1つの検出剤
の使用に関する。
【0100】
前述の使用は、携帯ECGデバイスおよび/または携帯ECGデバイスを用いることによって、少なくとも1週間の期間に渡って前記被験体から得られた断続性ECG記録の使用をさらに含むものとする。
【0101】
前述の使用と関連して言及される用語、例えば「試料」、「被験体」、「検出剤」、「FABP-3」、「特異的結合」、「発作性心房細動」は、発作性心房細動を診断するための方法に関連して定義されてきている。定義および説明は適宜適用される。
【実施例
【0102】
以下の実施例は、本発明を例示するものとする。しかし、これらは、本発明の範囲を限定するとは見なされないものとする。
実施例1:発作性AFの検出
FABP3、NT-プロBNPおよびhsCRPレベルをn=60の患者の血漿試料において決定し、この際、CABGまたは弁手術のための開胸手術前に、血液試料を採取し、そしてバイオマーカーをアッセイした。異なるタイプのAF、発作性AFおよび持続性AFまたはSR(対照)の根拠を、手術中に、同時心内膜-心外膜高密度活性化マッピング(Endo-Epicardial High Density Activation Mapping)で得た。AF、発作性AFまたは持続性AFおよび対照の患者を、性別、年齢および併存疾患に関してマッチングした。
【0103】
心外膜高密度マッピングは、電気的活性化から生じる細動波の異なる伝導パターンにしたがって、洞調律、発作性および持続性AFの下位群の間を区別するための異なる手段である(どちらも上に引用されるEcksteinらおよびvan Marionらを参照されたい)。
【0104】
心外膜高密度マッピングは、例えば、心房細動のエピソードの非存在下であっても、発作性心房細動の診断を可能にする。したがって、これは、AFを患っていない被験体、発作性AFを患っている被験体および持続性AFを患っている被験体の間の信頼性がある区別を可能にする。
【0105】
血液試料採取時点で
・発作性AFを患っている患者、随意に洞調律にあった;n=14人の患者
・持続性AF患者は洞調律にはなかった;n=16人の患者
・対照患者は洞調律にあった;n=30人の患者。
【0106】
データ評価によって、参照値より高い(該研究において>2,3ng/mL)FABP3レベル(他のバイオマーカーとは独立に)を持つ患者は、発作性心房細動を有すると推測され、そして抗凝血から利益を得る可能性がある。図1に示すように、発作性AFの検出に関するFABP3の観察されるAUCは0.718であった。持続性AFの観察されるAUCは0.718であった。驚くべきことに、発作性AF患者から持続性AF患者まで、循環FABP3レベルの進行性の増加は検出不能であったことさえ示されている。観察される中央値循環FABP3値は、AFを患っていない30人の患者の試料において、1.92ng/mL、発作性AFを患っている14人の患者の試料において、2.84ng/mL;持続性AFの16人の患者の試料において2.75ng/mLであった。
【0107】
FABP3とは対照的に、NTプロBNPに関しては、発作性から持続性または永続性心房細動の患者の下位群の間で、図2に示すように、循環レベルの進行性の増加が観察された。発作性AFの検出に関するNTプロBNPの観察されるAUCは、0.636であり、そして持続性AFの検出に関しては0.873であった。したがって、本明細書で分析する患者において、バイオマーカーFABP3は、発作性AFの改善された診断を可能にする。
【0108】
観察される中央値循環NTプロBNP値は、洞調律にある30人の患者の試料において、154.31pg/mLであり;発作性AFを患う14人の患者の試料において263.93pg/mLであり;持続性AFの16人の患者の試料において1829.35pg/mLであった。
【0109】
図3に示すように、発作性AFの検出に関するCRPhsの観察されるAUCは0.608であった。持続性AFの検出に関するCRPhsの観察されるAUCは、0.644であった。
【0110】
FABP3は、CRPhsに対して有益な成績を示し、そしてしたがって、個々に、そして/またはNTプロBNPと組み合わせて、発作性心房細動のエピソードの検出を補助しうると結論付けられる。上昇したNTプロBNPレベルと組み合わせて、参照値を超えるFABP3レベル(該研究において>2,3ng/mL)を持つ患者は、発作性心房細動を有すると推測され、そして抗凝血から利益を得る可能性もある。
【0111】
したがって、洞調律を提示する患者における発作性心房細動の診断を、FABP3の上昇したレベルを単独で、またはNT-プロBNPと組み合わせて検出することで達成してもよい。
【0112】
実施例2:AF患者の心組織におけるFABP3の示差発現
n=39の患者の右心耳由来の心筋組織試料において、示差FABP3発現レベルを決定した。
【0113】
RNAseq分析
CABGまたは弁手術のための開胸手術中、心房組織を試料採取した。AF、またはSR(対照)の根拠を、手術中に、同時心内膜-心外膜高密度活性化マッピングで得た。AFおよび対照の患者を、性別、年齢および併存疾患に関してマッチングした。
【0114】
心房組織試料を
・AF患者;n=11人の患者
・SRにある対照患者;n=39人の患者
に関して調製した。
【0115】
アルゴリズムRSEMおよびDESEQ2を適用して、RNAseq分析において、FABP3の示差発現を決定した。
図4に示すように、FABP3発現は、39人の対照患者に対して、持続性AFの11人の患者の分析した心房組織において、上方制御されていることが見出された。
【0116】
発現の倍変化(FC)は1.279であった。FDR(偽発見率)は0.009であった。損傷を受ける末端器官、心房組織において、FABP3の改変された発現を決定した。FABP3 mRNAレベルを、心房組織の高密度マッピングの結果に比較した。FABP3 mRNAレベルの上昇は、電気的マッピングによって特徴づけられるような伝導障害を伴って、心房組織試料において検出された。伝導障害は、脂肪浸潤によって、または間質性線維症によって、引き起こされうる。心房細動を患っている患者の心房組織におけるFABP3の観察された示差発現は、FABPが心筋から、特に右心耳から循環中に放出されることを裏付け、そして上昇した血清/血漿力価は、AFのエピソードの検出を補助する。
【0117】
FABP3は、心臓から血液内に放出され、そしてAFエピソードの検出を補助しうると結論付けられる。
図1
図2
図3
図4