(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】ウェハの装着用受け取り手段
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20220722BHJP
【FI】
H01L21/68 P
(21)【出願番号】P 2020018976
(22)【出願日】2020-02-06
(62)【分割の表示】P 2018088780の分割
【原出願日】2010-12-20
【審査請求日】2020-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】508333169
【氏名又は名称】エーファウ・グループ・エー・タルナー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マルクス・ウィンプリンガー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ヴァーゲンライトナー
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・フィルバート
【審査官】内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-208942(JP,A)
【文献】特開平10-256356(JP,A)
【文献】特開2007-158200(JP,A)
【文献】特開平08-035936(JP,A)
【文献】特開2008-172093(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0188036(US,A1)
【文献】特開2012-19209(JP,A)
【文献】特開昭57-169244(JP,A)
【文献】特開2003-318372(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のウェハの第2のウェハとの位置合わせのための装置であって、
第1のウェハの第2のウェハに対する歪及びねじれの一方又は両方によって生じた局所的な位置合わせエラーを、前記第1のウェハの第1の歪マップ及び前記第2のウェハの第2の歪マップの一方又は両方と、前記第1及び第2の歪マップの一方又は両方の評価のための評価手段とによって、決定する手段と、
少なくとも1つの前記ウェハを受け取るため
の受け取り手段と、
前記第1及び第2のウェハのポジションマップの一方又は両方及び前記歪マップの一方又は両方に基づい
て補償手段による補償を補うように、前記第1のウェハの前記第2のウェハに対する歪及びねじれの一方又は両方を、決定された前記局所的な位置合わせエラーに基づいて補償して、前記ウェハの位置合わせをするための位置合わせ手段と、
を備える
装置において、
前記少なくとも1つの前記ウェハを受け取るための受け取り手段は、
ウェハを受け取って装着するための受け取り手段であって、
装着面(1o)と、
前記装着面(1o)上への前記ウェハの装着のための装着手段と、
前記ウェハの局所的なねじれ及び全体的なねじれの一方又は両方の少なくとも部分的な補償のために、能動的かつ局所的に制御可能な補償手段(3,4,5,6)と、
を備え、
複数の能動的制御要素(3,4,5,6)としての前記補償手段(3,4,5,6)は、前記装着面(1o)に一体化されており又は埋め込まれており、
前記装着面(1o)の歪は、前記装着面(1o)の背面において個々に作動し得るピエゾ要素の配置による前記補償手段(3,4,5,6)によって局所的に影響を与え得る、
ことを特徴とする、第1のウェハの第2のウェハとの位置合わせのための装置。
【請求項2】
前記装着面(1o)の温度は、前記補償手段(3,4,5,6)によって局所的に影響を与え得る、請求項1に記載の
装置。
【請求項3】
前記装着面(1o)の形状は、前記補償手段(3,4,5,6)による、前記ウェハの垂直方向への機械的な作用によって局所的に影響を与え得る、請求項1又は2に記載の
装置。
【請求項4】
前記装着面(1o)は、前記補償手段(3,4,5,6)によって液圧式及び/又は空圧式に前記装着面(1o)の背面からの圧力に局所的にさらし得る、請求項1又は2に記載の
装置。
【請求項5】
前記複数の能動的制御要素(3,4,5,6)の制御要素それぞれ又は制御要素のグループを別々に作動し得る、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の
装置。
【請求項6】
第1のウェハの第2のウェハとの位置合わせのための方法であって、
第1のウェハの第2のウェハに対する歪及びねじれの一方又は両方によって生じた局所的な位置合わせエラーを、前記第1のウェハの第1の歪マップ及び前記第2のウェハの第2の歪マップの一方又は両方の検出と、評価手段による前記第1及び第2の歪マップの一方又は両方の評価とに基づいて、決定するステップと、
ウェハを受け取って装着するための受け取り手段上に前記ウェハのうちの少なくとも1つを受け取るステップと、
前記第1及び第2のウェハのポジションマップの一方又は両方及び前記歪マップの一方又は両方に基づい
て補償手段による補償を補うように、前記第1のウェハの前記第2のウェハに対する歪及びねじれの一方又は両方を、決定された前記局所的な位置合わせエラーに基づいて補償して、前記ウェハの位置合わせをするステップと、
をこの順に有
し、
前記ウェハを受け取って装着するための受け取り手段は、
装着面(1o)と、
前記装着面(1o)上への前記ウェハの装着のための装着手段と、
前記ウェハの局所的なねじれ及び全体的なねじれの一方又は両方の少なくとも部分的な補償のために、能動的かつ局所的に制御可能な補償手段(3,4,5,6)と、
を備え、
複数の能動的制御要素(3,4,5,6)としての前記補償手段(3,4,5,6)は、前記装着面(1o)に一体化されており又は埋め込まれており、
前記装着面(1o)の歪は、前記装着面(1o)の背面において個々に作動し得るピエゾ要素の配置による前記補償手段(3,4,5,6)によって局所的に影響を与え得る、
前記第1のウェハの前記第2のウェハとの位置合わせのための方法。
【請求項7】
前記位置合わせの後に、前記第1及び第2のウェハの前記ポジションマップの一方又は両方及び前記歪マップの一方又は両方の取得が行われる、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
前記取得は、前記位置合わせの後に、繰り返される、請求項
7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求の範囲に記載されているような、ウェハを受け取って装着するための受け取り手段、並びに、第1のウェハの第2のウェハとの位置合わせのための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これら受け取り手段、サンプルホルダー、又はチャックは、多様な形式で入手可能であり、平坦な受け取り面又は装着面が受け取り手段に対して非常に重要であり、ますます小さくなる構造をますます大きくなるウェハ表面上に、ウェハの全表面に亘って正確に位置合わせし、接続することを可能とする。これは、ウェハを別のウェハに、分離可能な相互接続の手段によって接合する、いわゆる予備接続が実際の接続プロセスの前に行われる場合に特に重要である。ウェハ同士の高い位置合わせ精度は、一方の、又は両方のウェハ上に配置された全ての構造に対して、特に2μm未満の位置合わせ精度又は位置ずれが達成されなければならない場合に特に必要となる。位置合わせマークの近傍においては、これは望ましい受け取り手段と、位置合わせ用の装置、いわゆるアライナー、特にボンドアライナーにおいて特に十分に成功する。位置合わせマークからの距離を増加させることによっては、2μmより小さい、特に1μmより小さい、さらに好ましくは0.25マイクロmより小さい位置合わせ精度又は特にねじれの値を有する、制御された、完全な位置合わせは達成することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】欧州特許出願第09012023号明細書
【文献】欧州特許出願第10015569号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明の目的は、より正確な位置合わせを達成することができるように、一般的な受け取り手段を改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、特許請求の範囲の各請求項の特徴によって達成される。
【0006】
本発明の有利な発展形は、従属請求項に与えられている。また、明細書、特許請求の範囲、及び/又は図面に与えられた特徴のうちの少なくとも2つの全ての組み合わせは本発明の構成の範囲に含まれる。また、所与の数値範囲において、表示されている限界値は境界値として開示されるとともに、全ての組み合わせにおいて権利を主張される。
【0007】
本発明は、特許文献1及び特許文献2による出願人の研究結果に基づいており、特許文献1では、表面全体、特にウェハそれぞれの表面におけるウェハのポジションマップとしての構造体の位置の検知が可能とされている。特許文献2は、第1のウェハが第2のウェハに接合される際の、第1のウェハの第2のウェハに対する歪及び/又はねじれによって生じた局所的な位置合わせ誤差を決定するための、
‐ 第1のウェハの第1接触面に沿った歪値の第1の歪マップ、及び/又は
‐ 第2のウェハの第2接触面に沿った歪値の第2の歪マップ、並びに
‐ 局所的な位置合わせ誤差を決定することが出来る、第1及び/又は第2の歪マップを評価するための評価手段
を有する装置に関する。
【0008】
本発明の基本的な思想は、いくつかの互いに独立した能動的制御要素から成る受け取り手段を提供することであり、これら能動的制御要素によって受け取り手段の装着面は、特に形状及び/又は温度において影響を受けることができる。ここで、能動的制御要素は対応する駆動によって、ポジションマップ及び/又は歪マップによって既知である局所的な位置合わせ誤差又は局所的なねじれが補償されるように、又は大部分が最小化されるか減少するように使用される。ここで、局所的なずれが解消するだけでなく、局所的なずれから生じる外形寸法におけるウェハの巨視的なずれ又は伸びが同時に最小化されるか是正される。
【0009】
したがって、本発明に記載されているように、特に、ポジションマップ、歪マップ、及び/又は応力マップに関連する上述の発明と、ウェハの接触及び接合中の上述の発明に開示されている位置合わせの欠点のその場での是正の組み合わせにおいて、能動的な、特にウェハのねじれに対する局所的な作用によって、さらに良好な位置合わせを達成することが可能である。
【0010】
本発明の1つの有利な実施形態によれば、補償手段によって装着面の温度に局所的に影響を与えることができる。装着面の局所的な温度上昇は、この位置で装着面に保持されているウェハの局所的な膨張をもたらす。温度勾配が大きければ大きいほど、この位置におけるウェハの膨張は大きくなる。ポジションマップ及び/又は歪マップのデータ、特にポジションマップ及び/又は歪マップの位置それぞれに対する、特に位置合わせエラーのベクトル評価(Vektorauswertung)に基づき、局所的なウェハのねじれに作用すること、又は局所的なウェハのねじれを制御された方法で是正することが可能である。
【0011】
これに関して、ベクトル評価はねじれベクトルを有するベクトル場として定義され、この場は、特に後述される本発明の2つの変形態様のうちの1つの手段によって決定されてきた。
【0012】
第1のバージョンは、2枚のウェハのうちの一つのみが構造化される用途に関連する。この場合には、本発明において権利が要求されているように、構造のずれ、特に、望ましい形状からの幾何学的な形状のずれが検知される。この場合には、特にステップアンドリピート式露光装置の露光場の形状の、通常は長方形である名目上期待される形状からのずれが特に対象となる。これらずれ、特にこれらずれを既述するベクトル場は、個々の位置合わせマークのポジションマップの検知に基づいて行うことができ、個々の位置合わせマークは特許文献1による露光場に対応する。また、代替的にこのベクトル場は、応力マップ及び/又は歪マップに基づいて決定することもでき、応力マップ及び/又は歪マップは特許文献2の手段によって得られる。しかしながら、好都合なことにこのベクトル場もまた、本願において権利が要求されているように、いずれかの他の好適な測定手段によって決定することができ、読み取ることができる。特に、特殊なテストマスク及び/又はテスト方法によるこれらデータの獲得のために作動される、ステップアンドリピート式リソグラフィーシステムがこの測定に好適である。
【0013】
第2のバージョンは、2つのウェハが構造化される用途に関する。この場合には、本発明において権利を要求されるように、位置合わせのずれのベクトル場は、ポジションマップ、特に引用文献1による第1及び第2のポジションマップの全ての位置に対して計算される。このベクトル場は特に、引用文献2における材料による技術的及び/又は経済的な基準に従って理想的と考えられる位置合わせの位置に対して決定される。
【0014】
本発明の別の有利な実施形態においては、装着面の歪に補償手段によって、特に装着面の背面において好ましくは個々に作動することができるピエゾ要素の配置によって、局所的に影響を与えることができる。引き伸ばすか又は収縮させる、すなわち圧縮することによって、装着面、ウェハもまた、対応して変形し、特にウェハの装着面から作用する装着力によって、特に引き伸ばされるか又は収縮し、それによって、このような方法でウェハに、このウェハに対して決定された歪マップの値に基づいた対応する制御手段によって、制御された方法で影響を与えることができる。補償手段によって、特に好ましくはZ方向への機械的な作用によって、装着面の形状に局所的に影響を与えることができる範囲で、ウェハの装着面に反対方向のねじれを与える1つの別の可能性が生じる。ここで、補償手段の制御を、ポジションマップ及び/又は歪マップの値に基づく補償手段の、対応して専用とされた局所的な制御を行う制御手段によって行うことも行われる。
【0015】
制御手段は、対応するルーティンを行う/計算するための特にソフトウェアを包含している。
【0016】
本発明の別の有利な実施形態によれば、装着面を、補償手段によって、特に液圧式及び/又は空圧式に、装着面の背面からの圧力に局所的にさらすことができる。この方法で、装着面の形状に同様に影響を与えることができ、よって前述の効果を生じさせることができる。制御は同様に、前述の制御手段によって行われる。
【0017】
有利には、補償手段は、受け取り手段中の、特に一体化されるか、好ましくは装着面中に埋め込まれた、複数の能動的制御要素として設けられる。したがって、受け取り手段の受け取り部は、既知の受け取り手段におけるのと同様に、モノリシック構造とすることができる。
【0018】
ここで、複数の制御要素の制御要素それぞれ又は制御要素のグループを別々に作動することができると特に有利である。したがって、局所的な駆動は、小さな区画(extract)、特にウェハの半分より小さい、好ましくはウェハの1/4より小さい、好ましくはウェハの1/8より小さい、さらに好ましくはウェハの1/16より小さい区画を、補償手段によって局所的に駆動することができるということを意味する。補償手段が、それ自体の構造によって占められているウェハの領域それぞれにおいて少なくとも1つの制御要素によって作用することができると特に有利である。
【0019】
本願において権利を要求されている装置は、有利には全ての制御プロセスに関与する中央制御装置中に上述の制御手段を備える。しかし、本願において権利を要求しているように、制御手段を、受け取り手段中に、特に装置全体からなるモジュールとして設けることが考えられる。
【0020】
本願において権利を要求されている方法は、特に、繰り返される、位置合わせ後の第1及び/第2のウェハのポジションマップ及び/又は歪マップの取得があることによってさらに改良することができる。このようにして、本願において権利を要求されているように、位置合わせが終了した後に、位置合わせが成功したかどうかをチェックすることができる。したがって、非常に大きな位置合わせエラーを有するウェハの対を除去し、例えば本願において権利を要求しているようにそれらウェハの対を再度位置合わせすること、又はそれらウェハの対を処分することが考えられる。
【0021】
引用文献1及び/又は引用文献2に開示されている発明は、この発明のための実施形態として同時に付随して開示されていると考えられるだろう。
【0022】
他の利点、特徴、及び本発明の詳細は、好ましい最良の実施形態の以下の記載及び図面の使用から明らかとなるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1a】第1の実施形態の発明において権利が要求されている受け取り手段の平面図である。
【
図1b】
図1aの切断線A-Aによる、受け取り手段の断面図である。
【
図2a】第2の実施形態の発明において権利が要求されている受け取り手段の平面図である。
【
図2b】
図2aの切断線B-Bによる、受け取り手段の断面図である。
【
図3a】第3の実施形態の発明において権利が要求されている受け取り手段の平面図である。
【
図3b】
図3aの切断線C-Cによる、受け取り手段の断面図である。
【
図4a】第4の実施形態の発明において権利が要求されている受け取り手段の平面図である。
【
図4b】
図4aの切断線D-Dによる、受け取り手段の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
同一の部品/特徴、及び同一の作用を有する部品/特徴は、図において同一の参照符号によって特定される。
【0025】
4つの実施形態全てはモノリシックレシーバ1を示しており、このモノリシックレシーバ1は平坦な、好ましくは円形状のリング状形状の板として示されており、ウェハの受け取り及び装着のための平坦な装着面1oを備えている。このレシーバは、外周縁部にリング形状の肩部1aを有している。
【0026】
装着面1oは、ウェハを受け取るための受け取り平面を形成し、この平面はX及びY方向に延在している。Z方向はX及びY方向に対して垂直に延びており、ウェハに作用する装着力がこの方向に向いている。ウェハの装着は開口部2を通じて行われ、これら開口部2は複数が装着面1oに亘って均一に分散されており、開口部2に負圧をかけることによってウェハを装着面1o上に保持することができる。開口部2の数を多くするほど、又開口部2の直径を小さくするほど、ウェハの装着に対して開口部2に使用される負圧は、開口部2の上のウェハのねじれを起こしにくくなる。
【0027】
開口部2における負圧は、図示されていない真空手段を介してかけられ、この真空手段は、装着面1oの背面側に配置された内部空間1iに負圧をかける。内部空間1iはさらにレシーバ1の外周壁1wによって境界を仕切られているとともに周辺に対してシールされている。開口部2は装着面1oから内部空間1iまで延在しており、よって内部空間1iに広がっている負圧に対して均一に曝される。
【0028】
内部空間1iは、装着面1oに対向して配置された背面1rと、内部空間1iの図示されていない底面とによってさらに境界を仕切られ、背面1rは開口部2によって貫通されている。
【0029】
背面1rにおいて、能動的制御要素は複数の加熱/冷却要素、特に主に加熱要素3である。加熱要素3はそれぞれ個別に作動されるか、又はグループで作動され、制御は図示されていない制御手段によって行われる。加熱要素3の1つが加熱されると、装着面1oの局所的区画が、レシーバの非常に良好な熱伝導を有する材料、特に金属によって加熱される。これは、この領域において装着面1o上に載置されているウェハの局所的な膨張をもたらす。したがって、受け取り手段上に位置合わせされた状態で相応に保持され、生じ得る既知の位置のねじれ/歪を有するウェハに対して、ウェハの変形を、個々の又はいくつかの加熱要素3を切り替えることによって制御された方法で引き起こし、よって局所的なねじれを補償することができる。特に複数の局所的な補償のために、これはまた、全体的なねじれの全体的な補償、特にウェハのX及び/又はY方向における直径の変化をもたらす。
【0030】
この加熱要素及び/又は冷却要素を用いたウェハ上のねじれへの介入作用のもたらす特別な利点は、この介入作用が最小の変形しか伴わずに達成できることにあり、特に取付け面の変形及び/又はウェハの垂直ないしZ方向の変形無しに達成することができることにある。これに関する最小の変形として、支持面の変形、特にウェハの垂直方向、すなわち、直角ないしZ方向における変形は、載置面に対して5μm未満、好ましくは2μm未満、有利には1μm未満、特に有利には0.5μm未満と考えられる。
【0031】
これは特に相互接続の前接合の製造、例えば予備接合に対して有利であり、予備接合はヴァンデルワールス結合に基づいている。ここで装着面及び特にウェハが平坦に保持され得るという事実に基づいて、これら予備接合のステップにおいて従来行われているボンドウェイブ(bond wave)は、不均一性によるその伝播において影響されることがない。したがって、結合されていない箇所(いわゆるボイド)が残るという危険が大幅に削減される。これら相互接続の前接合の製造に対しては、本発明において権利が要求されているように、ウェハ表面全体に亘る<5μmの、有利には<2μmの、好ましくは<1μmの、そしてより好ましくは<0.5μmの装着面の均一性が望ましい。これら均一性の値は、ウェハとの接触における装着面の部分内の最も高い点と最も低い点との間の距離として規定される。
【0032】
加熱要素3は有利には、装着面1oの下に均一に分散される。有利には、10以上の加熱要素3が、特に50以上の加熱要素3が、好ましくは100以上の加熱要素3が、さらに好ましくは500以上の加熱要素が受け取り手段に存在する。これら加熱要素は、装着面中で別々に作動することができるとともに、ウェハ上の局所的な作用を可能にする領域を形成する。有利には、装着面の個々の領域は、好適な手段によって互いから熱的に絶縁されている。特に、これら領域は、個々のセグメントの均一かつ密接した配置を可能にする形状とされる。有利には、セグメントの三角形、四角形、又は六角形としての実行はこの目的のために好適である。
【0033】
特に、ペルチェ要素は加熱要素3として好適である。
【0034】
図2a及び2bに示されている第2の実施形態には、加熱要素3は示されておらず、加熱要素3の代わりに、又は加熱要素3との組み合わせで、装着面1o上にはピエゾ要素4が、好ましくは装着面1oまでより背面1rまでへの大きな距離を有して存在している。
【0035】
この方法で、装着面1o上における制御された作用が可能である。ピエゾ要素4は、作動に際してナノメータからミクロンまでの範囲において歪を生じさせることができる。
【0036】
ピエゾ要素4は、前述の数の加熱要素3に対応することができ、本発明において権利が要求されているように、2つの実施形態の組み合わせを考えることができる。
【0037】
図3a及び3bに示される発明の第3の実施形態においては、加熱要素3及び/又はピエゾ要素4の代わりに、及び/又は加熱要素3及び/又はピエゾ要素4との組み合わせの形で、装着面1o上に終端する、特に鋭いピン端部5eを有するピン5がある。ピン5の最初の位置においては、ピン端部5eは装着面1oと同一平面にある。ねじれマップ又は歪マップの情報の通りに所定のピン5の領域にウェハの局所的なねじれがある限り、制御手段は、ピン5又はピン端部5eをZ方向に動かすことにより個々の又はいくつかのピン5をウェハの方向に作動させることによって、ウェハ上に局所的に作用することができる。ピン端部5eはこのように、ウェハを局所的に圧縮力に曝し、この圧縮力が、この点にウェハの局所的な膨出又はたわみをもたらす。ピン5を、装着面1oから背面1rまで延在しているガイド開口部7を全体として滑動するように導くことができる。代替的に、ピン端部5eのみをピン5中において動かすことができ、ピン5又はピンの下部をガイド開口部7に対して固定することができる。このように、ピン5の特殊なシーリングを内部空間1rに対して確実とすることができる。
【0038】
ピン5の数はピエゾ要素4又は加熱要素3の数に対応しており、ここでは前述の実施形態の1つ以上との組み合わせが可能である。
【0039】
図4に示されている実施形態においては、レシーバ1は複数の圧力室6を有し、この圧力室6は、
図4bに示す頂壁6oによって装着面1oを形成している。圧力室6は内部空間1iを貫通して延在しているとともに、この内部空間1iに対してシールされている。圧力室6のそれぞれ、又は圧力室6のグループには、別々に圧力をかけることができ、前述の制御手段による制御を行うことができる。圧力室6は、少なくともその頂壁6oが、圧力がかけられると降伏するように設けられており、したがって頂壁6oは圧力室6の他の仕切り壁より薄く及び/又は柔軟に作られている。開口部2は内部空間1iに接続されている。
【0040】
本発明において権利が要求されているように、装着面1oの単に最小のたわみだけが前述の圧縮手段3、4、5、6によって、最大3μm、特に最大1μm、好ましくは最大100nmだけ生じる。
【0041】
前述の実施形態の1つ以上によって、局所的なねじれに対抗することを可能にするために、上述のように、制御手段がウェハのねじれがどこに、どの程度、又はどの方向に生じているかを知る必要がある。この場合にのみ、ねじれの制御された作用若しくは対抗作用及び補償が可能である。ウェハそれぞれの歪マップは歪ベクトルの形の情報を生成し、この歪ベクトルはウェハに亘って分散されているとともに引用文献2による対応する測定手段によって決定されている。対応する制御データは、制御ユニットにファイルすることができ、経験的に決定され、よってウェハのポジションマップによって指示された位置において、ウェハの歪マップに従った個々の制御をウェハそれぞれに対して保証することができる。補償は、ウェハの位置合わせの間にこのように自動的に行うことができる。
【0042】
能動的制御要素3、4、5、6は、図面において縮尺どおりには示されておらず、異なるサイズおよび形状をとっている場合がある。
【0043】
本発明の実施の態様は、以下の態様を含む。
1. ‐装着面(1o)と、
‐前記装着面(1o)上へのウェハの装着のための装着手段と、
‐前記ウェハの全体的なねじれの少なくとも部分的な補償のために、能動的にかつ局所的に制御可能な補償手段(3、4、5、6)と、
を備えることを特徴とする、前記ウェハの受け取り及び装着のための受け取り手段。
2. 前記装着面(1o)の温度に、前記補償手段(3、4、5、6)によって局所的に影響を与えることができることを特徴とする項目1に記載の受け取り手段。
3. 前記装着面(1o)の歪に、前記補償手段(3、4、5、6)によって影響を与えることができることを特徴とする項目1又は2に記載の受け取り手段。
4. 前記補償手段(3、4、5、6)は、マトリクス状に配置されたピエゾ要素(4)であり、前記ピエゾ要素(4)は、前記装着面(1o)の背面(1r)において作動することができることを特徴とする項目3に記載の受け取り手段。
5. 前記ピエゾ要素(4)は、個々に作動することができることを特徴とする項目4に記載の受け取り手段。
6. 前記装着面(1o)の形状に、前記補償手段(3、4、5、6)によって、前記ウェハに垂直な方向において影響を与えることができることを特徴とする項目1乃至5のいずれか一項に記載の受け取り手段。
7. 前記装着面(1o)の形状に、前記補償手段(3、4、5、6)による機械的作用によって、前記ウェハに垂直な方向において影響を与えることができることを特徴とする項目6に記載の受け取り手段。
8. 前記装着面(1o)を、前記装着面(1o)の背面(1r)から、前記補償手段(3、4、5、6)によって圧力に曝すことができることを特徴とする項目1乃至7のいずれか一項に記載の受け取り手段。
9. 複数の能動的制御要素(3、4、5、6)としての前記補償手段(3、4、5、6)は、前記装着面(1o)に一体化されていることを特徴とする項目1乃至8のいずれか一項に記載の受け取り手段。
10. 複数の能動的制御要素(3、4、5、6)としての前記補償手段(3、4、5、6)は、前記装着面(1o)に埋め込まれていることを特徴とする項目9に記載の受け取り手段。
11. 前記能動的制御要素(3、4、5、6)のそれぞれ又は前記能動的制御要素(3、4、5、6)のグループを、別々に作動することができることを特徴とする項目9又は10に記載の受け取り手段。
12. -装着面(1o)と、
-前記装着面(1o)上へのウェハの装着のための装着手段と、
-前記ウェハの局所的なねじれ及び全体的なねじれの一方又は両方の少なくとも部分的な能動的な補償のために、温度によって制御可能な補償手段(3,4,5,6)と、
を備えることを特徴とする、前記ウェハの受け取り及び装着のための受け取り手段。
13. 前記装着面(1o)の温度に、前記補償手段(3、4、5、6)によって局所的に影響を与えることができることを特徴とする項目12に記載の受け取り手段。
14. 能動的制御要素として、前記装着面(1o)の背面(1r)に、複数の加熱要素及び複数の冷却要素の一方又は両方が設けられていることを特徴とする項目12又は13に記載の受け取り手段。
15. 前記加熱要素は、ペルチェ要素であることを特徴とする項目14に記載の受け取り手段。
16. ‐第1のウェハが第2のウェハに接合されるときに、前記第1のウェハの前記第2のウェハに対する歪及びねじれの一方又は両方によって生じた局所的な位置合わせエラーを、前記第1のウェハの第1の歪マップ及び前記第2のウェハの第2の歪マップの一方又は両方と、前記第1及び第2の歪マップの一方又は両方の評価のための評価手段による評価とによって決定する手段と、
‐前記ウェハの少なくとも1つを受け取るための、項目1乃至15のいずれか一項に記載の、少なくとも1つの受け取り手段と、
‐ポジションマップ及び前記歪マップの一方又は両方と、前記補償手段による同時の補償とを考慮しながら、前記第1のウェハの前記第2のウェハに対する歪及びねじれの一方又は両方を前記位置合わせエラーの評価に基づいて補償して前記ウェハの位置合わせをするための位置合わせ手段と、
を特徴とする、第1のウェハの第2のウェハとの位置合わせのための装置。
17. ‐第1のウェハの第1の歪マップ及び第2のウェハの第2の歪マップの一方又は両方を検出し、評価手段によって前記第1及び第2の歪マップの一方又は両方の評価を行い、局所的な位置合わせエラーを決定するステップと、
‐項目1乃至15のいずれか一項に記載の受け取り手段上に前記ウェハのうちの少なくとも1つを受け取るステップと、
‐ポジションマップ及び前記歪マップの一方又は両方と、前記補償手段による同時の補償とを考慮しながら、前記第1のウェハの前記第2のウェハに対する歪及びねじれの一方又は両方を前記位置合わせエラーの評価に基づいて補償して前記ウェハの位置合わせをするステップと、
をこの順に有する、前記第1のウェハの前記第2のウェハとの位置合わせのための方法。
18. 前記位置合わせの後に、前記第1及び第2のウェハの一方又は両方のポジションマップ及び歪マップの一方又は両方の検出が行われることを特徴とする項目17に記載の方法。
19. 前記検出は、前記位置合わせの後に、繰り返されることを特徴とする項目18に記載の方法。
【符号の説明】
【0044】
1・・・レシーバ
1a・・・リング形状肩部
1i・・・内部空間
1o・・・装着面
1w・・・周壁
2・・・開口部
3・・・加熱/冷却要素
4・・・ピエゾ要素
5・・・ピン
5e・・・ピン端部
6・・・圧力室
6a・・・頂壁
7・・・ガイド開口部