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特許7109543遠心振り子装置、クラッチディスクおよびパワートレイン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】遠心振り子装置、クラッチディスクおよびパワートレイン
(51)【国際特許分類】
   F16F 1/32 20060101AFI20220722BHJP
   F16F 15/14 20060101ALI20220722BHJP
   F16F 15/129 20060101ALI20220722BHJP
   F16D 13/64 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
F16F1/32
F16F15/14 Z
F16F15/129 D
F16D13/64 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020528197
(86)(22)【出願日】2019-02-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 DE2019100121
(87)【国際公開番号】W WO2019166051
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2020-05-22
(31)【優先権主張番号】102018104652.9
(32)【優先日】2018-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestr. 1-3, 91074 Herzogenaurach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トーマス フリーチュ
(72)【発明者】
【氏名】ユリアン マッテス
(72)【発明者】
【氏名】エフゲニー フランツ
(72)【発明者】
【氏名】アラン リュシュ
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ヘスラー
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ケスラー
(72)【発明者】
【氏名】ローラン テリオ
(72)【発明者】
【氏名】ゲアハート キューン
(72)【発明者】
【氏名】エフゲニー マイアー
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン マイアー
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-013240(JP,A)
【文献】国際公開第2013/137242(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/115266(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0151310(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102014211711(DE,A1)
【文献】特表2012-515308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 11/00- 23/14
F16F 1/00- 6/00
F16F 15/14
F16F 15/129
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のパワートレイン用の遠心振り子装置(1)であって、回転軸(2)の周りを回転できる支持体(3)と、動作中に振り子体(5)によって回転不均一性に対抗する復元トルクが発生するように、スライディングトラック(4)に沿って前記支持体(3)に揺動可能に受けられる振り子体(5)と、前記振り子体(5)を相対的に変位可能に圧迫する接触要素(6)と、前記回転軸(2)の軸方向に前記振り子体(5)に対して前記接触要素(6)を押し付けるばね座金(7)と、を備え、
前記ばね座金(7)は、環状部(20)を有し、前記環状部(20)はその円周方向に均一に分布した波形ばね領域(12)と、前記円周方向で隣接する2つの前記波形ばね領域(12)の間に設けられ半径方向外方に突出する接続突起(14)を含む締結領域(8)と、を有し、前記波形ばね領域(12)は前記環状部(20)の環状円周上に軸方向に波状であり、前記締結領域(8)は前記波形ばね領域(12)に対して平坦/平面/非波状に形成されており、
前記ばね座金(7)が、前記締結領域(8)において前記支持体(3)に回転可能に接続されている、遠心振り子装置(1)。
【請求項2】
請求項に記載の遠心振り子装置(1)と、前記支持体(3)に回転不能に接続された摩擦要素(11)とを有する、自動車の摩擦クラッチ用のクラッチディスク(10)。
【請求項3】
前記支持体(3)が駆動シャフトに回転可能に接続されている、請求項に記載の遠心振り子装置(1)を有する自動車用パワートレイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心振り子装置(短縮形では遠心振り子とも呼ばれる)用の波形ばね座金を製造する方法に関する。さらに、本発明は、例えば、スライドトラックに沿って支持体上で揺動可能に受け取られ、動作中の振り子体によって、回転の不均一性に対抗する復元トルクが発生する振り子体などの、回転軸を中心に回転可能な支持体と、振り子体に比較的変位可能な方法で静止している接触要素と、方法によって生成されるように、回転軸の軸方向に振り子体に対して接触要素を押し付ける波形ばね座金(波座金とも呼ばれる)と、を備え、ばね座金が、締結領域で支持体に回転不能に接続されている、車、バス、トラック、その他の商用車などの自動車のパワートレインのための遠心振り子装置に関する。本発明はまた、それぞれがこの遠心振り子装置を有する、自動車およびパワートレインの摩擦クラッチ用のクラッチディスクに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な遠心振り子装置が、先行技術から周知である。これに関して、例えば、独国特許第102013203694号明細書は、特に内燃機関によって駆動される自動車のパワートレイン用の遠心振り子装置を開示している。
【0003】
出願人はまた、まだ公開されていない内部の最新技術を認識しているが、2017年3月9日にファイル番号第102017104968.1としてドイツの特許出願として既に提出されている。これにより、遠心振り子および自動車用の駆動装置が知られている。遠心振り子では渦巻ばねが使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】独国特許第102013203694号明細書
【文献】独国特許出願番号第102017104968.1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術で使用されるばね座金の場合、それらは製造するのが比較的複雑であることが欠点であることが判明した。したがって、本発明の目的は、従来技術から知られている欠点を改善し、特に、遠心振り子装置で使用できる波形ばね座金の製造を大幅に簡略化することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、これは方法請求項1の特徴を通じて得られる。したがって、本発明によれば、(好ましくはそれらのアルファベット順に従って連続的に実行される)a)板金ブランクを提供するステップと、b)板金ブランクから製造されるばね座金の輪郭(好ましくは半径方向の外側輪郭および内側輪郭)を形成して環状ワークピースを形成するステップと、c)ばね座金の波形ばね領域が作製されるように、閉じた再整形ツールでワークピースを再整形するステップと、d)ワークピースの応力緩和焼鈍するステップと、を含む、遠心振り子装置用の波形ばね座金を製造する方法が請求される。
【0007】
したがって、本発明による製造では、ワークピースの輪郭は、単一の製造ステップで可能な限り完全に製造される。輪郭が形成された後、ワークピースは閉じた金型で形成される。これにより、ばね座金の連続生産が特に効果的になる。
【0008】
さらなる有利な実施形態は、従属請求項と共に請求され、以下でより詳細に説明される。
【0009】
ステップa)で提供された板金ブランクが硬化金属で構成されている場合、さらに堅牢なばね座金が実現される。ステップa)で提供された板金ブランクが(予め)硬化されていない金属からなる場合も有利である。
【0010】
板金ブランクがコイル(すなわち、前に巻かれた金属ストリップ)から切り取られるか、またはこのコイル/金属ストリップから直接形成される場合も有利である。
【0011】
さらに、ステップa)で提供された板金ブランクが鋼、好ましくはばね鋼からなると好都合である。
【0012】
輪郭に関しては、それがステップb)の後に打ち抜きプロセスまたはレーザー切断プロセスによって形成される場合も好都合である。これにより、輪郭が可能な限り迅速かつ正確に完成する。
【0013】
ステップc)でワークピースが冷間成形されている場合、製造効果は特に簡単に維持される。
【0014】
使用される金属/鋼に応じて、ワークピースがステップc)で熱間成形される場合、さらなる実施形態においても有利である。
【0015】
この文脈では、ワークピースがステップc)の前に、好ましくはステップb)とステップc)との間の中間ステップ(ステップb’))において、再整形ツールの外側の再整形温度まで加熱されるか、または閉じた再整形ツールにおいて(ステップcの後の再整形前)再整形温度まで(直ちに)加熱される。このプロセスは、板金ブランクに硬化金属を使用する場合に適している。
【0016】
また、ステップd)の前に、好ましくはステップc)とステップd)との間の中間ステップ(ステップc’))においてワークピースを硬化させることも有利である。このプロセスは、板金ブランクに未硬化金属を使用する場合に適している。
【0017】
さらに、本発明は、自動車のパワートレイン用の遠心振り子装置に関し、回転軸を中心に回転可能な支持体と、スライドトラックに沿って支持体上で揺動可能に受け取られる振り子体とを有し、復元トルクが回転不均一に対抗することは、動作中に振り子体によって生成され、振り子体は比較的変位可能な接触要素であり、振り子体に対して回転軸の軸方向に接触要素を押し付ける波形ばね座金であり、上述の実施形態の少なくとも1つによる本発明による方法であり、ばね座金は、回転固定式に支持体に接続されている。
【0018】
本発明はまた、この遠心振り子装置を有し、かつ回転固定された方法で支持体に接続された摩擦要素を有する、自動車の摩擦クラッチ用のクラッチディスクに関する。
【0019】
本発明はまた、この遠心振り子装置を有する自動車用のパワートレインに関し、支持体は、回転固定された方法でドライブシャフトに接続される。
【0020】
次に、本発明による製造方法と、その方法によって製造された波形ばね座金を有する遠心振り子装置の両方を示す様々な図を以下に示す。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】波形ばね座金の本発明による製造方法の概略図を示す。
図2】本発明に従って製造された2つのばね座金が挿入された遠心振り子装置の縦断面図を示す。
図3図1による遠心振り子装置の詳細な縦断面図を示し、ばね座金がその締結領域の側で支持体のスペーサボルトに接続されている。
図4図2および図3による遠心振り子装置の縦断面図を示し、振り子体に配置された接触要素と接触しているばね座金のばね領域を見ることができるように、断面が選択されている。
図5】クラッチディスクを有する、図2による遠心振り子装置の前面を示す。
図6図5によるクラッチディスクの側面図を示す。
図7図1の方法に従って形成され、第1の例示的な実施形態による図2による遠心振り子装置で使用されるばね座金の上面図を示す。
図8】第2の例示的な実施形態による、図1の方法に従って形成されたばね座金の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
これらの図は本質的に単なる概略図であり、本発明を理解するためにのみ役立つ。同じ要素には同じ参照記号が付与されている。様々な例示的な実施形態の異なる特徴も、互いに自由に組み合わせることができる。
【0023】
これらの図は本質的に単なる概略図であり、本発明を理解するためにのみ役立つ。同じ要素には同じ参照記号が付与されている。様々な例示的な実施形態の異なる特徴も、互いに自由に組み合わせることができる。
【0024】
図2図4は、それぞれが本発明による製造方法に従って形成された2つのばね座金7が使用される遠心振り子装置1の基本構造を示す。この遠心振り子装置1の構造および機能は、図1による本発明による製造方法が説明される前に、最初に以下に説明される。
【0025】
遠心振り子装置1は、好ましくは、図5および図6に示されるように、摩擦クラッチの形態のクラッチにおけるクラッチプレート10の一部である。遠心振り子装置1は、クラッチディスク10のハブ17に回転可能に接続されている。ハブ17はまた、クラッチディスク10の摩擦要素11に回転不能に接続されている。さらなる実施形態によれば、遠心振り子装置1はまた、クラッチディスク10のフランジ/フランジ領域に回転固定式に接続されることができる。分かりやすくするためにこれ以上図示されていないクラッチは、通常、自動車のパワートレイン、すなわち内燃機関の出力シャフトと変速機の入力シャフトとの間で使用される。したがって、遠心振り子装置1は、運転中の自動車のパワートレインの一部である。あるいは、さらなる実施形態によれば、遠心振り子装置1はまた、内燃機関の出力シャフトまたは変速機入力シャフトなどのパワートレインのドライブシャフトに回転固定式に直接取り付けられる。その動作時に、遠心振り子装置1は、典型的には、パワートレイン、特に内燃機関において生じる回転の不規則性を補償するように機能する。この目的のために、遠心振り子装置1は、独国特許第102014211711号明細書から知られている基本構造を有している。
【0026】
図2によれば、遠心振り子装置1は、振り子フランジ/支持フランジとも呼ばれる支持体3を有する。支持体3は、軸方向に互いに離間している2つの支持領域18a、18bから構成される。2つの支持領域18aおよび18bは、それぞれ振り子フランジ/フランジ領域と呼ばれる。各支持領域18aおよび18bは本質的にディスク形状である。支持体3は、回転軸2の周りに回転可能に配置される。運転中、回転軸2は、好ましくは、内燃機関/変速機入力シャフトの出力シャフトと同軸に配置される。2つの支持領域18aおよび18bは、スペーサボルト13によって回転固定された方法で互いに接続されている。スペーサボルト13はまた、2つの支持領域18aおよび18bの互いに対する(回転軸2に沿った)軸方向距離を規定する。複数のスペーサボルト13が、(回転軸2に対して)支持体3の円周方向に分散して配置されている。スペーサボルト13は、それぞれの支持領域18a、18bにリベット留めされている、すなわち、支持領域18a、18bに確実におよび非確実に接続されている。
【0027】
支持領域18a、18bによって形成される支持体3の(軸方向)内部空間16には、支持体3に対して移動/振動できるように円周方向に分布する複数の振り子体5が配置される。図5による図は、遠心振り子装置1の前面を明らかにし、各振り子体5は、それぞれが支持体3のスライドトラック4に突出する2つのガイドピン19を有する。振り子体5の各ガイドピン19について、第1支持領域18aおよび第2支持領域18bの両方は、(第2支持領域18bについて図5に示される)摺動軌道4を有する。ガイドピン19に割り当てられた2つの支持領域18a、18bのスライディングトラック4はそれぞれ、このガイドピン19のためのガイドスライドを形成する。周方向から見た場合、摺動軌道4は屈曲して(すなわち、周方向および半径方向の両方に)延びる。特に、摺動軌道4はそれぞれ、円周方向にU字形に延びる。したがって、振り子体5は、回転の不均一性が発生すると通常の方法で振り子運動を実行し、この振り子運動は回転の不均一性と反対の復元トルクを発生させる。
【0028】
図3は、接触要素6がそれぞれの振り子体5を圧迫することを示し、接触要素6は、2つの波形ばね座金7によって振り子体5に対して軸方向に押し付けられている。断面で見ると、接触要素6は本質的にU字形である。このようにして周方向に延在するチャネル構造を形成する接触要素6は、半径方向外側に開いており、半径方向内側からそれぞれの振り子体5に取り付けられている。したがって、接触要素6は、内部から半径方向に振り子体5上にあり、軸方向に面する側で同時に振り子体5上に支持される。接触要素6はプラスチックでできている。接触要素6は、振り子体5に対して円周方向に変位できるように振り子体5上に受けられる。
【0029】
(第1の)ばね座金7は、第1の支持領域18aと振り子体5/接触要素6の第1の軸側との間で振り子体5の第1の軸側に向かって軸方向に配置される。さらなる(第2の)ばね座金7は、第2の支持領域18bと振り子体5/接触要素6の第2の軸方向側面との間の振り子体5の第2の軸方向側面に向かって軸方向に配置される。それぞれのばね座金7は、振子質量5に対して接触要素6を押し付けるか、振子質量5に対して支持体3に対して接触要素6を予荷重するのに役立つ。2つのばね座金7は、(回転軸2に対して垂直に向けられた鏡面に関して)接触要素6の部分での配置および支持において鏡面対称であるので、簡潔にするために、第1のばね座金7のみを以下に説明する。各振り子体5と支持体3との間に作用して、支持体3に対する振り子体5の動き(振り子運動)を抑制/減衰するように、接触要素6とばね座金7とによって摩擦装置が提供される。
【0030】
ばね座金7は、円周方向に分配された複数の波形ばね領域12によって軸方向に接触要素6に支持されている。第2の例示的な実施形態の図7および図8に見られるように、ばね座金7は、やはりばね領域12を直接形成する(環状円周)リング部分20を有する。ばね座金7は、周方向に見て3つのばね領域12を有する。各ばね領域12は、軸方向に波状であり、すなわち、軸方向に突出するシャフトを形成する。それぞれのばね領域12は、外径での波高が内径での波高よりも高くなるような波でさえある。したがって、それぞれのばね領域12は、その半径方向内側よりも軸方向に見て、その半径方向外側でより軸方向に延びる。
【0031】
各ばね領域12は、振り子体5の周辺領域において接触要素6に支持されている。ばね座金7の締結領域8は、隣接する2つのばね領域12の間の円周方向に設けられており、この締結領域8は、スペーサボルト13にしっかりと接続されている。第1のばね座金7の締結領域8は、第1の支持領域18a上で軸方向に支持されており、第2のばね座金7の締結領域8は、第2の支持領域18b上で軸方向に支持されている。ばね領域12は、締結領域8と共に、それぞれのばね座金7の環状部20を形成する。
【0032】
図7からも分かるように、3つの締結領域8はそれぞれ、ばね領域12に対して本質的に平坦/平面/非波状に形成される。ばね座金7は、支持要素3と接触要素6との間で軸方向にクランプされ、接触要素6を特定の軸方向の力で押し付け、これにより、振り子体5に対して特定の軸方向力で押す。その結果、振り子体5が接触要素6に対して動くときに、動作中に目標とする摩擦が発生する。
【0033】
図2図7に示すばね座金7の第1の例示的な実施形態では、締結領域8は、いずれの場合も、ばね領域12から半径方向に突出する環状部20の接続突起14によって直接形成される。ここで、それぞれの接続突起14は、ばね座金7の厚くされた領域を形成することが分かる。接続突起14は、円周方向に見て、連続的/段階的にばね領域12に合流する。これにより、動作中のノッチ効果が減少する。
【0034】
接続突起14には受入穴15が導入される。この受入穴15は、軸方向に見て締結領域8を貫通する。受入穴15は、第1実施形態では、径方向外方に開口する切り欠き状に形成されている。したがって、受入穴15は、半円形の断面を有する。それぞれの締結領域8は、その受入穴15によって、内側からスペーサボルト13まで半径方向に簡単な方法で吊り下げられ、周方向に作用するポジティブフィット接続の形成が行われる。しかしながら、他の積極的、非積極的、および/または結合された接続も考えられる。
【0035】
全体的に見て、ばね座金7は、本質的に円形である半径方向内側輪郭9bと、半径方向外側輪郭9aとを有する。第1の例示的な実施形態では、半径方向外側輪郭9aは、(その受入穴15を有する)締結領域8を形成するように設計される。
【0036】
図8は、第2の例示的な実施形態によるばね座金7を示し、このばね座金7は、その締結領域8に関して第1の例示的な実施形態とは異なる。締結領域8は、円形の受入穴15、すなわち、完全に円周方向の軸受応力領域によって形成された受入穴15を有する。さらに、各締結領域8は、2つの保持突起21を形成し、これらの保持突起は、支持体3の側で回転固定された方法で支持される。保持突起21は、半径方向および共通の軸方向に外向きに突出する。結果として、図7および図8の2つの例示的な実施形態における外側輪郭9aは互いに異なる。
【0037】
図1は、図7のばね座金7および図8のばね座金7を製造するための本発明による方法を示す。本発明によれば、ばね座金7は、以下のステップを有する方法で製造される。第1のステップa)では、板金ブランクが提供される。この板金ブランクは、好ましくはばね鋼でできている。次のステップb)では、輪郭、すなわち、ばね座金7の半径方向内側輪郭9bおよび半径方向外側輪郭9aが完成する。この目的のために、内側輪郭9bおよび外側輪郭9aは、板金ブランクから打ち抜かれるか、あるいはまた切り取られる。このようにして製造された環状ワークピースは、さらなるステップc)で成形される。ワークピースは、閉じた再整形ツールに配置され、ばね座金7の波形ばね領域12が作製されるように成形される。その結果、ばね座金7の外形は既に実現されている。最後のステップd)では、ワークピースが応力緩和焼鈍され、完成したばね座金7が形成される。
【0038】
これに関連して、ステップa)でのさらなる実行の後に、硬化された(あるいは、硬化されていない)シート/金属シートが使用されることが指摘されるべきである。輪郭9a、9bは、ステップb)の後に打ち抜かれることが好ましく、さらに別の好ましい実施形態によれば、代わりにレーザー切断される。ステップc)では、ワークピースは冷間成形され、またはより好ましくは熱間成形される。
【0039】
さらに、ステップb)とステップc)との間の別の実施形態では、ステップc)でワークピースが熱間成形される場合、中間ステップb’)において再整形温度(オーステナイト化温度)になる。ワークピースの再整形温度へのこの加熱は、好ましくはオーブンで、より好ましくは閉じた再整形ツールで直接行われる。
【0040】
さらなる実施形態では、ステップc)とステップd)との間の任意選択のステップc’)において、ワークピースはさらに硬化プロセスにかけられる。
【0041】
この文脈において、方法の以下の3つの実施形態1~3が、特に有利であることが証明されている。
【0042】
実施形態1:
ばね座金7を製造するための製造プロセスは、a)板金ブランクを(/硬化金属から)硬化シートとして提供するステップと、b)輪郭9a、9bをパンチングまたはレーザー切断し、環状ワークピース(プレートブランクとも呼ばれる)の形状を変更するステップと、c)閉じた再整形工具でワークピースを冷間成形するステップと、d)ワークピースの応力緩和焼鈍をするステップと、によって(完全に)実行される。
【0043】
換言すれば、実施形態1では、通常は巻き上げられてコイルを形成する硬化板金ストリップ(板金ブランク)が最初に提供される(ステップa))。続いて(ステップb)で)波形ディスク7の所望の輪郭9a、9bは、1つ以上のストロークでの打ち抜きによって、またはレーザー切断によって、ストリップから生成される。次に、プレートブランクは、完全に組み立てられた波形ディスク7を形成するために、1つまたは複数の再整形ステップで閉じたツール(変形ツール)で冷間成形される(ステップc))。これに続いて、炉内または閉じた硬化工具内での応力緩和焼鈍が行われる(ステップd))。
【0044】
実施形態2:
ばね座金7を製造するための製造プロセスは、a)板金ブランクを(/硬化金属から)硬化シートとして提供するステップと、b)輪郭9a、9bを打ち抜きまたはレーザー切断し、環状ワークピース(プレートブランクとも呼ばれる)を再整形するステップと、b’)プレートブランクを適切な再整形温度まで、閉じた再整形ツールの外側のオーブンまたは閉じた再整形ツールで加熱するステップと、c)閉じた再整形ツールでプレートブランクを熱間成形するステップと、d)ワークピースを応力緩和焼鈍するステップと、によって(完全に)実行される。
【0045】
換言すれば、通常はコイルを形成するために巻き上げられた硬化板金ストリップ(板金ブランク)が、実施形態2で最初に提供される。続いて(ステップb)で)波形ディスク7の所望の輪郭9a、9bは、1つ以上のストロークでの打ち抜きによって、またはレーザー切断によって、ストリップから生成される。次に(ステップb’)において、プレートブランクを炉内で適切な再整形温度、好ましくは材料のオーステナイト化温度まで加熱する。これに続いて(ステップc)で)1つ以上の再整形ステップで閉じたツール(再整形ツール)において熱間成形を行い、完全に組み立てられた波形ディスク7を成形する。次に、波形ディスク7は周囲空気中で冷却され、低応力下で焼鈍される(ステップd))。
【0046】
実施形態3:
ばね座金7を製造するための製造プロセスは、a)板金ブランクを(/未硬化金属から)未硬化シートとして提供するステップと、b)輪郭9a、9bを打ち抜きまたはレーザー切断し、環状ワークピース(プレートブランクとも呼ばれる)を再整形するステップと、c)閉じた再整形ツールにおいて板金ブランクを冷間成形するステップと、c’)適切な硬化プロセスによってワークピースを硬化するステップと、d)ワークピースを応力緩和焼鈍するステップと、によって(完全に)実行される。
【0047】
換言すれば、実施形態3では、通常はコイルを形成するために巻かれた、硬化されていない板金ストリップ(板金ブランク)が最初に提供される(ステップa))。続いて(ステップb)で)波形ディスク7の所望の輪郭9a、9bは、1つ以上のストロークでの打ち抜きによって、またはレーザー切断によって、ストリップから生成される。次に、(ステップc))プレートブランクは、1つ以上の再整形ステップで閉じたツール(再整形ツール)で冷間成形され、完全に組み立てられた波形ディスク7を形成する。次に、波形ディスク7は、適切な一般的な硬化プロセス(ステップc’))を使用して硬化され、低応力で焼鈍される(ステップd))。
【0048】
実施形態1~3では、それぞれのばね座金7は、鋼、好ましくはC75Sまたは58CrV4などのばね鋼でできている。
【0049】
したがって、本発明は、遠心振り子装置1用の波座金7に関し、波座金7は、支持体3から、好ましくはプラスチック製で、振り子体5を部分的または完全に包む摩擦要素または接触要素6に力を加える。その結果、支持体3に対する振り子体5の動きが、動きの方向に対して一定の摩擦力を生み出す。波形ディスク7は、形状が環状であり、閉じられている。波形ディスク7は、円周上に均一に分布した3つの波形(ばね領域12)を有する。また、波の高さもあり、外径の波高は内径の波高よりも高くなっている。さらに、波形座金7は、閉じたリング(環状部20)を越えて半径方向または軸方向に突出し、位置決め、センタリング、および動力伝達に使用される要素(接続突起14および/または保持突起21)を有している。
【符号の説明】
【0050】
1 遠心振り子装置
2 回転軸
3 支持体
4 スライドトラック
5 振り子体
6 接触要素
7 ばね座金
8 固定エリア
9a 外輪郭
9b 内輪郭
10 クラッチディスク
11 摩擦要素
12 ばね領域
13 スペーサボルト
14 接続突起
15 受入穴
16 内部
17 ハブ
18a 第1の支持領域
18b 第2の支持領域
19 ガイドボルト
20 環状部
21 保持突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8