IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コリア・ディストリクト・ヒーティング・コーポレイションの特許一覧

特許7109601排気ガス内二酸化炭素捕集および資源化システム
<>
  • 特許-排気ガス内二酸化炭素捕集および資源化システム 図1
  • 特許-排気ガス内二酸化炭素捕集および資源化システム 図2
  • 特許-排気ガス内二酸化炭素捕集および資源化システム 図3
  • 特許-排気ガス内二酸化炭素捕集および資源化システム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】排気ガス内二酸化炭素捕集および資源化システム
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/62 20060101AFI20220722BHJP
   B01D 53/84 20060101ALI20220722BHJP
   B01D 53/78 20060101ALI20220722BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20220722BHJP
   C01B 32/50 20170101ALI20220722BHJP
【FI】
B01D53/62 ZAB
B01D53/84
B01D53/78
C12M1/00 E
C01B32/50
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020571321
(86)(22)【出願日】2018-11-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-01
(86)【国際出願番号】 KR2018013429
(87)【国際公開番号】W WO2019172501
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2020-09-04
(31)【優先権主張番号】10-2018-0026373
(32)【優先日】2018-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520342437
【氏名又は名称】コリア・ディストリクト・ヒーティング・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】KOREA DISTRICT HEATING CORP.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】チャン・ウォンソク
(72)【発明者】
【氏名】チェ・ユンス
(72)【発明者】
【氏名】オ・ムンセ
(72)【発明者】
【氏名】キム・ギョンミン
(72)【発明者】
【氏名】ユ・ジヘ
(72)【発明者】
【氏名】イ・ヨンジェ
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2018-0000427(KR,A)
【文献】特開2010-022331(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1122986(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-1334822(KR,B1)
【文献】欧州特許出願公開第02728019(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/62
B01D 53/84
B01D 53/78
C12M 1/00 - 1/42
C01B 32/50
C12P 1/00
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素が含まれた排気ガスが流入し、前記二酸化炭素を、中空糸膜モジュールを用いて高濃度の濃縮ガスで捕集し、第1処理ガスを分離する二酸化炭素捕集部、
前記二酸化炭素捕集部で捕集した高濃度の前記濃縮ガスの供給を受けて前記二酸化炭素を鉱物化し、第2処理ガスを排出する鉱物化工程部、
前記第1処理ガスと第2処理ガスとを収容して、含まれた二酸化炭素が既設定された濃度となるように第1処理ガスおよび第2処理ガスを混合する混合タンク、
前記混合タンクから混合された第3処理ガスの供給を受けて微細藻類を利用して光培養工程を遂行する光培養工程部、および、
前記二酸化炭素捕集部、前記鉱物化工程部、前記混合タンク、および前記光培養工程部に供給および排出されるガス流量および二酸化炭素含量を制御する制御部、
を含
前記制御部は、
前記第1処理ガスの流入量を調節して前記混合タンクの二酸化炭素の濃度を制御し、前記混合タンクから供給される前記第3処理ガスの二酸化炭素の濃度を3~7%に制御する、
排気ガス内二酸化炭素捕集および資源化システム。
【請求項2】
前記濃縮ガスは液化した状態で供給されることを特徴とする、請求項1に記載の排気ガス内二酸化炭素捕集および資源化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施例は排気ガス内二酸化炭素捕集および資源化システムに関する。より詳細には、二酸化炭素の資源化効率を最大にするために、それぞれの工程の効率を考慮して二酸化炭素の捕集および資源化を一つのシステムで処理できる、排気ガス内二酸化炭素捕集および資源化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
産業の発達につれて、二酸化炭素の大気中の濃度の増加による地球温暖化の問題が台頭しているが、大気中の二酸化炭素の濃度が増加する原因のうち最も大きな原因は、エネルギー産業で使われる石炭、石油、液化天然ガスなどの化石燃料の使用である。
【0003】
産業化が始まった19世紀前半から大気中に二酸化炭素(CO)、メタン(CH)、二酸化窒素、ハロカーボンなどの温室ガスの濃度が増加し、20世紀の半ば以降に急速に増加した。
【0004】
このような温室ガスの増加による地球温暖化現象が加速化することによって、排出および処理に対する規制が厳しくなってきている。1992年6月ブラジルのリオで開かれた環境と開発に関するUN会議を通じて、地球温暖化に対する国際的な関心が次第に高まっており、先進国は2010年の地球温室ガスの排出量を1990年に比べ5.2%減縮することに合意するなど、温室ガスの低減方策に対する国際的な合意がなされている。特に地球温暖化現象をもたらす温室ガスのうち80%程度を占める二酸化炭素の処理はさらに重要な問題に台頭した。
【0005】
排出された二酸化炭素成分を処理するための技術として、二酸化炭素分離膜捕集技術、二酸化炭素鉱物化技術および微細藻類を利用した光培養技術などの多様な技術が登場している。
【0006】
しかし、それぞれの技術は、二酸化炭素を処理できる長所があるものの、システム設置費、二酸化炭素処理量、単位面積当たり低い二酸化炭素低減率などの多様な問題点が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
実施例は二酸化炭素の資源化効率を最大にするために、それぞれの工程の効率を考慮して二酸化炭素の捕集および資源化を連携された一つのシステムで処理することを目的とする。
【0008】
本発明が解決しようする課題は以上で言及された課題に限定されず、ここで言及されていないさらに他の課題は下記の記載から当業者に明確に理解され得るであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施例は、二酸化炭素が含まれた排気ガスが流入し、前記二酸化炭素を高濃度で濃縮ガスで捕集し、第1処理ガスを分離する二酸化炭素捕集部、前記二酸化炭素捕集部で捕集した高濃度の前記濃縮ガスの供給を受けて前記二酸化炭素を鉱物化し、第2処理ガスを排出する鉱物化工程部、前記第1処理ガスと第2処理ガスを収容して、含まれた二酸化炭素が既設定された濃度となるように第1処理ガスおよび第2処理ガスを混合する混合タンク、前記混合タンクから混合された第3処理ガスの供給を受けて微細藻類を利用して光培養工程を遂行する光培養工程部、および前記二酸化炭素捕集部、前記鉱物化工程部、前記混合タンクおよび前記光培養工程部に供給および排出されるガス流量および二酸化炭素含量を制御する制御部、を含む。
【0010】
好ましくは、前記制御部は前記混合タンクから供給される前記第3処理ガスの二酸化炭素の濃度を3~7%に制御することを特徴とすることができる。
【0011】
好ましくは、前記制御部は前記第1処理ガスの流入量を調節して前記混合タンクの二酸化炭素の濃度を制御することを特徴とすることができる。
【0012】
好ましくは、前記濃縮ガスは液化した状態で供給されることを特徴とすることができる。
【0013】
また、本発明のさらに他の実施例は、排気ガスが流入し、これを分配する排気ガス流入部、前記排気ガス流入部から排気ガスの供給を受けて微細藻類を利用して光培養工程を遂行し、第4処理ガスを排出する光培養工程部、前記排気ガス流入部の排気ガスと前記第4処理ガスの供給を受けて混合する混合タンク、前記混合タンクで混合された第5処理ガスの供給を受けて、前記第5処理ガスの内部に含まれた二酸化炭素を高濃度の濃縮ガスで捕集する二酸化炭素捕集部、前記二酸化炭素捕集部で捕集した前記濃縮ガスの供給を受けて前記二酸化炭素を鉱物化し、第6処理ガスを排出する鉱物化工程部、および前記排気ガス流入部、前記光培養工程部、前記混合タンク、前記二酸化炭素捕集部および前記鉱物化工程部に供給および排出されるガス流量および二酸化炭素含量を制御する制御部、を含み、前記第6処理ガスは前記混合タンクに注入されることを特徴とする、排気ガス内二酸化炭素捕集および資源化システムを提供する。
【0014】
好ましくは、前記制御部は前記光培養工程部の二酸化炭素処理効率を考慮して、前記排気ガス流入部を通じて前記光培養工程部に供給される前記排気ガスの量を制御することを特徴とすることができる。
【0015】
好ましくは、前記制御部は前記混合タンクの内部の混合ガス内の二酸化炭素の濃度を8~10%に制御することを特徴とすることができる。
【0016】
好ましくは、前記濃縮ガスは液化した状態で供給されることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0017】
実施例によると、二酸化炭素資源化効率を増大できる効果がある。
【0018】
また、二酸化炭素分離膜捕集技術、二酸化炭素鉱物化技術、および微細藻類を利用した光培養技術の問題点を互いに補完できる効果がある。
【0019】
本発明の多様かつ有益な長所と効果は前述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解され得るであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施例に係る排気ガス内二酸化炭素捕集および資源化システムのブロック図。
図2図1の構成要素である二酸化炭素捕集部として膜分離工程が使われる場合の動作を示す図面。
図3図1のシステムの実際の動作を示す第1実施例の模式図。
図4図1のシステムの実際の動作を示す第2実施例の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は多様な変更を加えることができ、多様な実施例を有することができるところ、特定の実施例を図面に例示して説明する。しかし、これは本発明の実施例を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、実施例の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物乃至代替物を含むものと理解されるべきである。
【0022】
第1、第2等のように序数を含む用語は多様な構成要素の説明に使われ得るが、前記構成要素は前記用語によって限定されはしない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使われる。例えば、実施例の権利範囲を逸脱することなく第2構成要素は第1構成要素と命名され得、同様に第1構成要素も第2構成要素と命名され得る。および/またはという用語は複数の関連した記載された項目の組み合わせまたは複数の関連した記載された項目のうちいずれかの項目を含む。
【0023】
本出願で使った用語は単に特定の実施例を説明するために使われたものであって、本発明の実施例を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本出願で、「含む」または「有する」等の用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加の可能性をあらかじめ排除しないものと理解されるべきである。
【0024】
実施例の説明において、いずれか一つのelementが他のelementの「上(うえ)または下(した)(on or under)」に形成されると記載される場合において、上(うえ)または下(した)(on or under)は二つのelementが互いに直接(directly)接触して形成されるものと、一つ以上の他のelementが前記両elementの間に配置されて(indirectly)形成されるものとをすべて含む。また「上(うえ)または下(した)(on or under)」で表現される場合、一つのelementを基準として上側方向だけでなく下側方向の意味も含むことができる。
【0025】
以下、添付された図面を参照して実施例を詳細に説明するものの、図面符号にかかわらず、同一または対応する構成要素は同じ参照番号を付し、これに対する重複する説明は省略する。
【0026】
図1図4は、本発明を概念的に明確に理解するために、主な特徴部分のみを明確に図示したものであって、その結果、図解の多様な変形が予想され、図面に図示された特定の形状によって本発明の範囲が制限される必要はない。
【0027】
図1は、本発明の実施例に係る排気ガス内二酸化炭素捕集および資源化システムのブロック図である。
【0028】
本発明の実施例である排気ガス内二酸化炭素捕集および資源化システムは、二酸化炭素捕集部100、鉱物化工程部200、光培養工程部300、および制御部400を含むことができる。
【0029】
本発明を構成する二酸化炭素捕集部100は分離膜捕集技術を利用することができ、敷地が狭く、値段の高い都心に位置した発電所の二酸化炭素の捕集時に便利に使われ得る。ただし、分離膜捕集技術を利用した二酸化炭素捕集部100は、捕集した二酸化炭素を貯蔵する時に敷地の確保が難しく、安定性が低下するという問題点がある。
【0030】
鉱物化工程部200は二酸化炭素を濃縮処理して鉱物化する技術であって、二酸化炭素を高速で大量処理し、半永久的に処理できる長所が存在する。しかし、二酸化炭素低減率の最大化のためには高濃度の二酸化炭素供給源が必要である。
【0031】
また、光培養工程部300は微細藻類を利用して二酸化炭素をバイオマス化する技術であって、二酸化炭素の生物学的転換を通じてのアスタキサンチン、ベータカロチン、オメガ3、CGFなどの高付加価値の有用な物質を生産できる長所が存在する。しかし、微細藻類を利用した光培養工程は、光合成効率の限界によって単位面積当たり低い二酸化炭素低減率の問題点が存在する。
【0032】
本発明の実施例である排気ガス内二酸化炭素捕集および資源化システムは、それぞれの構成要素の短所を最小化し長所を浮き彫りにする構造に特徴が存在する。
【0033】
二酸化炭素捕集部100は排気ガスから二酸化炭素を分離して高濃度の二酸化炭素を生産することができる。
【0034】
一実施例として、二酸化炭素捕集部100は分離膜工程が使われ得る。
【0035】
従来のCCS(Carbon Capture and Storage、CCS)技術と分離膜工程を比較すると、下記の通りである。
【0036】
【表1】
【0037】
分離膜捕集工程を利用して二酸化炭素を捕集する場合、処理時間と処理費用において得であることを確認することができ、設備を設置するための敷地面積においても差があることを確認することができる。
【0038】
二酸化炭素捕集部100は排気ガスを多様な材質の中空糸膜(hollow fiber)モジュールに流入させて通過させる場合、多様な気体成分(N、O、CO等)が透過速度の差によって速い速度で捕集され得る。
【0039】
図2図1の構成要素である二酸化炭素捕集部100として膜分離工程が使われる場合の動作を示す図面であり、表2は気体の相対的な透過速度を表す表である。
【0040】
【表2】
【0041】
図2と表2を併せて参照すると、排気ガスが分離膜に供給されると、相対的な透過速度が速い二酸化炭素が先に排出され、遅い窒素気体が後で捕集されることになる。膜分離工程を利用する二酸化炭素捕集部100は、このような原理を利用して二酸化炭素を速く捕集することができる。
【0042】
鉱物化工程部200は、捕集した二酸化炭素を自然産の鉱物または産業体から排出される無機系の産業副産物(inorganic industrial waste)と反応させて新しい鉱物に合成させる技術である。
【0043】
一実施例として、鉱物化工程部200は、排気ガス内の二酸化炭素が建築副産物(スラグ、廃コンクリート)内のCa、Mg成分と鉱物化反応を通じてCaCO、MgCOと炭酸塩を生産して、二酸化炭素を永久的に固体化することができる。
【0044】
生成された炭酸塩は安定しているため水に溶け難く、大気中に二酸化炭素の放出が不可能であるため環境的にも害がなく、二酸化炭素を永久的に貯蔵するため二酸化炭素の排出問題を解決することができる。
【0045】
光培養工程部300は微細藻類を利用して二酸化炭素を固定化する工程を遂行できる。植物性プランクトンである微細藻類は、太陽をエネルギー源とし、二酸化炭素を固定化する光合成作用をしながら成長することになる。
【0046】
このような微細藻類を利用して二酸化炭素を固定化することは、植物が二酸化炭素を光合成する場合と同様に太陽エネルギーを主エネルギー源として活用することができるため、二酸化炭素を固定するために投入しなければならないエネルギー消耗量が非常に小さい長所が存在する。
【0047】
微細藻類は植物と比べて成長速度がはやく、第1世代バイオ燃料である豆、とうもろこし、ナタネなどに比べて単位面積当たりのバイオマス生産性が20-100倍以上高い特徴を有し、海上や荒地を通じて大量培養が可能であり、河水、海水廃水などの多様な水資源を活用することができる。特に、火力発電所のような炭素排出源から出る燃焼排気ガスを直接的に細胞の培養に活用できるという長所が存在する。
【0048】
微細藻類工程の場合、二酸化炭素をバイオディーゼル、バイオポリマー、医薬品、健康食品、天然色素などの多様な高付加価値物質に転換することが可能であり、太陽光を活用して追加的なエネルギーを投入することなく低費用の経済性を備えた、環境に優しい工程の開発が可能であるという長所を有する。
【0049】
このような光培養に使用可能な微細藻類としては、ネオクロリス(Neochloris sp.)、クロレラ(Chlorella sp.)、クロロコックム(Chlorococcum sp.)、スピルリナ(Spirulina sp.)、ヘマトコッカス(Haematococcus sp.)、ネオスポンギオコッカム(Neospongiococcum sp.)、セネデスムス(Scenedesmus sp.)、ドナリエラ(Dunaliella sp.)、Thaustochytridsなどが挙げられるが、これに限定されるものではなく、一般的に二酸化炭素をバイオマスに転換する能力を有する微細藻類であれば制限なく使用可能である。
【0050】
制御部400は二酸化炭素捕集部100、鉱物化工程部200、および光培養工程部300に供給されるガスの流量および二酸化炭素の含量を制御し、全体工程の効率を向上させるためにシステム全体の駆動を制御することができる。
【0051】
図3は、図1のシステムの実際の動作を示す第1実施例の模式図である。
【0052】
図3を参照すると、排気ガス内二酸化炭素捕集および資源化システムは、二酸化炭素が含まれた排気ガスが流入し、前記二酸化炭素を高濃度で濃縮ガスGで捕集し、第1処理ガスG1を分離する二酸化炭素捕集部100、前記二酸化炭素捕集部100で捕集した高濃度の前記濃縮ガスGの供給を受けて前記二酸化炭素を鉱物化し、第2処理ガスG2を排出する鉱物化工程部200、前記第1処理ガスG1と第2処理ガスG2とを収容して、含まれた二酸化炭素が既設定された濃度となるように第1処理ガスG1および第2処理ガスG2を混合する混合タンク500、前記混合タンク500から微細藻類が利用できる状態で混合された第3処理ガスG3の供給を受けて微細藻類を利用して光培養工程を遂行する光培養工程部300、および前記二酸化炭素捕集部100、前記鉱物化工程部200、前記混合タンク500および前記光培養工程部300に供給および排出されるガス流量および二酸化炭素含量を制御する制御部400を含むことができる。
【0053】
二酸化炭素捕集部100は、流入する排気ガスから分離膜工程を利用して高濃度の二酸化炭素を捕集する。その後、濃縮ガスGは鉱物化工程部200に供給され、第1処理ガスG1は混合タンク500に流入する。濃縮ガスGは液化した状態の液化炭酸で鉱物化工程部200に供給され得る。
【0054】
鉱物化工程部200は、高濃度の濃縮ガスGを利用して高カルシウム材および骨材等の多様な種類の鉱物を生産することができる。鉱物化工程部200は70~80%の二酸化炭素処理効率を具備することが好ましい。鉱物化工程部200は鉱物を生産して残った第2処理ガスG2を混合タンク500に供給することができる。
【0055】
混合タンク500は第1処理ガスG1と第2処理ガスG2の供給を受けて混合する。この時、制御部400は光培養工程部300の効率を最大化するために、混合タンク500を通じて光培養工程部300に供給される第3処理ガスG3の二酸化炭素の濃度を制御することができる。一実施例として、第3処理ガスG3の二酸化炭素の濃度は3~7%に制御され得る。
【0056】
この時、制御部400は、高濃度を有する第2処理ガスG2は混合タンク500にそのまま流入し、第1処理ガスG1の流入量を調節して混合タンク500内の二酸化炭素を制御することができる。制御部400は必要な濃度に応じて第1処理ガスG1が混合タンク500に流入される量を決定し、残る低濃度の第1処理ガスG1を大気中に放出することができる。
【0057】
光培養工程部300は最適の割合で調節された第3処理ガスG3の供給を受けて微細藻類を利用した光培養工程を実施し、処理後のガスを大気に放出することができる。
【0058】
一実施例として、流入する排気ガスにおける二酸化炭素の濃度は8%であり、400m/hrの流量が供給される場合、二酸化炭素捕集部100の二酸化炭素処理効率を90%とする時、40m/hrの流量で二酸化炭素の濃度が90%である濃縮ガスGが鉱物化工程部200に供給され得る。この時、第1処理ガスG1は360m/hrの流量で、二酸化炭素の濃度が1%である状態で混合タンク500に流入され得る。
【0059】
鉱物化工程部200で使われる鉱物化反応装置の二酸化炭素処理効率を80%とする時、二酸化炭素の濃度が90%である濃縮ガスGを通じて鉱物を生産し、第2処理ガスG2は40m/hrの流量であり、二酸化炭素の濃度が18%である状態で混合タンク500に供給され得る。
【0060】
光培養工程部300に供給される第3処理ガスG3の最適な二酸化炭素の濃度を5%とする時、制御部400は混合タンク500から供給される第3処理ガスG3の濃度を調節することになる。この場合、二酸化炭素の含量が高い第2処理ガスG2は混合タンク500にそのまま流入し、第1処理ガスG1の流入量を調節して混合タンク500の濃度を調節することができる。制御部400は、第2処理ガスG2が二酸化炭素の濃度が18%であり、40m/hrの流量で供給される場合、360m/hrであり二酸化炭素の濃度が1%で供給される第1処理ガスG1の供給量のうち240m/hrを大気に放出し、120m/hrを混合タンク500に供給するように調節して第3処理ガスG3の濃度を5%に調節することができる。
【0061】
光培養工程部300が30%の二酸化炭素処理効率を有する場合、大気中に160m/hrで二酸化炭素の濃度が3.5%であるガスが放出される。
【0062】
全体の工程で大気中に放出される第1処理ガスG1と光培養工程部300から放出されるガスを足すと、全体として放出される放出ガスは、400m/hrの流量であり、二酸化炭素の濃度2%である状態で大気中に放出され得る。
【0063】
図4は、図1のシステムの実際の動作を示す第2実施例の模式図である。
【0064】
図4を参照すると、本発明の第2実施例に係る排気ガス内二酸化炭素捕集および資源化システムは、排気ガスが流入し、これを分配する排気ガス流入部600、前記排気ガス流入部600から排気ガスの供給を受けて微細藻類を利用して光培養工程を遂行し、第4処理ガスG4を排出する光培養工程部300、前記排気ガス流入部600の排気ガスと前記第4処理ガスG4の供給を受けて混合する混合タンク500、前記混合タンク500で混合された第5処理ガスG5の供給を受けて、前記第5処理ガスG5の内部に含まれた二酸化炭素を高濃度の濃縮ガスGで捕集する二酸化炭素捕集部100、前記二酸化炭素捕集部100で捕集した前記濃縮ガスGの供給を受けて前記二酸化炭素を鉱物化し、第6処理ガスを排出する鉱物化工程部200、および前記排気ガス流入部600、前記光培養工程部300、前記混合タンク500、前記二酸化炭素捕集部100および前記鉱物化工程部200に供給および排出されるガス流量および二酸化炭素含量を制御する制御部400を含み、前記第6処理ガスは前記混合タンク500に注入されることを特徴とすることができる。
【0065】
排気ガス流入部600は、産業設備から流入する排気ガスを光培養工程部300と混合タンク500とに分配することができる。この時、制御部400は光培養工程部300の二酸化炭素処理効率を考慮して、混合タンク500から二酸化炭素捕集部100に供給される混合ガスの濃度を考慮して光培養工程部300に注入される排気ガスの量を制御することができる。この時、制御部400は鉱物化工程部200を通じて混合タンク500に供給される第6処理ガスG6の濃度まで共に考慮して、光培養工程部300に供給される排気ガスの量を調節することができる。
【0066】
光培養工程部300は、排気ガスの供給を受けて微細藻類を利用した光培養工程を実施してバイオマスを生産することができ、処理された第4処理ガスG4は混合タンク500に注入され得る。
【0067】
混合タンク500は排気ガス流入部600から供給された排気ガス、第4処理ガスG4、および鉱物化工程部200から供給される第6処理ガスG6を混合し、混合ガスは二酸化炭素捕集部100に供給され得る。混合ガスの内部の二酸化炭素の濃度は8~10%で供給されるように制御部400を通じて制御され得る。
【0068】
二酸化炭素捕集部100は、混合タンク500から流入する混合ガスから分離膜工程を利用して高濃度の二酸化炭素を捕集する。その後、濃縮ガスGは鉱物化工程部200に供給され、処理されたガスは大気中に放出され得る。一実施例として、濃縮ガスGは液化した状態で供給され得る。
【0069】
鉱物化工程部200は、二酸化炭素捕集部100から濃縮ガスGの供給を受けて高カルシウム材および骨材等の多様な種類の鉱物を生産することができる。鉱物化工程部200は70~80%の二酸化炭素処理効率を具備することが好ましい。鉱物化工程部200は鉱物を生産し、残った第6処理ガスG6を混合タンク500に供給することができる。鉱物化工程部200は二酸化炭素捕集部100から供給される濃縮ガスGを処理した後、第6処理ガスG6を混合タンク500に流入させ、混合タンク500は第6処理ガスG6を再混合して二酸化炭素捕集部100に供給する循環過程を形成することになる。
【0070】
一実施例として、排気ガス流入部600に供給される排気ガスは、二酸化炭素の濃度が8%であり、400m/hrの流量が供給される場合、制御部400は二酸化炭素処理効率が30%である光培養工程部300に100m/hrの流量を供給し、残りの300m/hrを混合タンク500に供給することができる。
【0071】
光培養工程部300は微細藻類を利用してバイオマスを生産し、二酸化炭素の濃度は5.5%であり、100m/hrである第4処理ガスG4を混合タンク500に供給する。
【0072】
混合タンク500は、排気ガス流入部600から供給されるガスと、第4処理ガスG4と、鉱物化工程部200から供給され、二酸化炭素の濃度が18%であり、40m/hrである第6処理ガスG6とを混合して、二酸化炭素の濃度が8~10%であり、400m/hrである混合ガスを二酸化炭素捕集部100に供給することができる。
【0073】
二酸化炭素の処理効率が90%である二酸化炭素捕集部100は、二酸化炭素の濃度が90%であり、40m/hrである濃縮ガスGを鉱物化反応部に供給し、処理された二酸化炭素の濃度が1%、360~400m/hrであるガスを大気に放出することができる。
【0074】
図3に示される第1実施例の場合、最終的に大気に放出される二酸化炭素の濃度は2%であり高いが、全体の工程が順次的に進行されてエネルギー消耗量が低くなる長所が存在する。
【0075】
しかし、図4に示される第2実施例の場合、最終的に大気に放出される二酸化炭素の濃度は1%であり低いが、鉱物化反応部の循環構造を構成するために第1実施例に比べてエネルギー消耗量が増加する短所が存在する。
【0076】
以上、本発明の実施例に関して添付された図面を参照して詳察した。
【0077】
以上の説明は本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲内で多様な修正、変更、および置換が可能であろう。したがって、本発明に開示された実施例および添付された図面は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく説明するためのものであって、このような実施例および添付された図面によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は下記の特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等な範囲内にあるすべての技術思想は本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0078】
100 二酸化炭素捕集部
200 鉱物化工程部
300 光培養工程部
400 制御部
500 混合タンク
600 排気ガス流入部
図1
図2
図3
図4