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特許7109613抗CD22抗体-メイタンシンコンジュゲートおよびその使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】抗CD22抗体-メイタンシンコンジュゲートおよびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/68 20170101AFI20220722BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20220722BHJP
   A61K 31/537 20060101ALI20220722BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220722BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20220722BHJP
【FI】
A61K47/68
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K31/537
A61P35/00
C07K16/28 ZNA
【請求項の数】 7
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021043495
(22)【出願日】2021-03-17
(62)【分割の表示】P 2018543288の分割
【原出願日】2016-11-08
(65)【公開番号】P2021098752
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2021-03-17
(31)【優先権主張番号】62/252,985
(32)【優先日】2015-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518161363
【氏名又は名称】アール.ピー.シェーラー テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【弁理士】
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ラブカ,デーヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】マクファーランド,ジェシー・エム
(72)【発明者】
【氏名】ドレイク,ペネロペ・エム
(72)【発明者】
【氏名】バーフィールド,ロビン・エム
【審査官】井上 能宏
(56)【参考文献】
【文献】特許第6855496(JP,B2)
【文献】国際公開第2014/078566(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0157736(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K、C07K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における標的部位へ医薬組成物を送達するための医薬の製造における前記医薬組成物の使用であって、該医薬組成物が、式(I)

(式中、Wは、少なくとも1つの修飾アミノ酸残基を含む抗CD22抗体である)
のコンジュゲートを含む、前記使用
【請求項2】
前記抗CD22抗体が、図8Aから8Cに記載のCD22アミノ酸配列のアミノ酸1から846内、アミノ酸1から759内、アミノ酸1から751内またはアミノ酸1から670内のエピトープに結合する、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記抗CD22抗体が、式(II)
(FGly’)X2030 ( II )
(式中、
FGly’は式(I)の修飾アミノ酸残基である;
20はプロリンまたはアラニン残基である;
30は塩基性アミノ酸または脂肪族アミノ酸である;
は存在しても存在しなくてもよく、存在する場合には、任意のアミノ酸でありうるが、該配列が該コンジュゲートのN末端に存在する場合には、Xは存在する; ならびに
およびXは、それぞれ独立して、任意のアミノ酸である)の配列を含み、
好ましくは、
a)該配列はL(FGly’)TPSRであるか、または
b)Z30はR、K、H、A、G、L、V、IおよびPから選択される;
はL、M、SおよびVから選択される; ならびに
およびXは、それぞれ独立して、S、T、A、V、GおよびCから選択される、
請求項1に記載の使用
【請求項4】
前記修飾アミノ酸残基は抗CD22抗体の重鎖定常領域のC末端に位置しており、好ましくは、該重鎖定常領域は式(II):
(FGly’)X2030 (II)
(式中、
FGly’は式(I)の修飾アミノ酸残基である;
20はプロリンまたはアラニン残基である;
30は塩基性アミノ酸または脂肪族アミノ酸である;
は存在しても存在しなくてもよく、存在する場合には、任意のアミノ酸でありうるが、該配列が該コンジュゲートのN末端に存在する場合には、Xは存在する; ならびに
およびXは、それぞれ独立して、任意のアミノ酸である)
の配列を含み、ここで、該配列はアミノ酸配列SLSLSPGのC末端に存在し、より好ましくは、
a)該重鎖定常領域は配列SPGSL(FGly’)TPSRGSを含むか、または
b)Z30はR、K、H、A、G、L、V、IおよびPから選択され、XはL、M、SおよびVから選択され、XおよびXは、それぞれ独立して、S、T、A、V、GおよびCから選択される、
請求項1に記載の使用
【請求項5】
前記修飾アミノ酸残基は抗CD22抗体の軽鎖定常領域内に位置しており、好ましくは、該軽鎖定常領域は式(II):
(FGly’)X2030 (II)
(式中、
FGly’は式(I)の修飾アミノ酸残基である;
20はプロリンまたはアラニン残基である;
30は塩基性アミノ酸または脂肪族アミノ酸である;
は存在しても存在しなくてもよく、存在する場合には、任意のアミノ酸でありうるが、該配列が該コンジュゲートのN末端に存在する場合には、Xは存在する; ならびに
およびXは、それぞれ独立して、任意のアミノ酸である)
の配列を含み、ここで、該配列は配列KVDNALのC末端に存在し、および/または配列QSGNSQのN末端に存在し、より好ましくは、
a)該軽鎖定常領域は配列KVDNAL(FGly’)TPSRQSGNSQを含むか、または
b)Z30はR、K、H、A、G、L、V、IおよびPから選択され、XはL、M、SおよびVから選択され、XおよびXは、それぞれ独立して、S、T、A、V、GおよびCから選択される、
請求項1に記載の使用
【請求項6】
前記修飾アミノ酸残基は抗CD22抗体の重鎖CH1領域内に位置しており、好ましくは、該重鎖CH1領域は式(II):
(FGly’)X2030 (II)
(式中、
FGly’は式(I)の修飾アミノ酸残基である;
20はプロリンまたはアラニン残基である;
30は塩基性アミノ酸または脂肪族アミノ酸である;
は存在しても存在しなくてもよく、存在する場合には、任意のアミノ酸でありうるが、該配列が該コンジュゲートのN末端に存在する場合には、Xは存在する; ならびに
およびXは、それぞれ独立して、任意のアミノ酸である)
の配列を含み、ここで、該配列はアミノ酸配列SWNSGAのC末端に存在し、および/またはアミノ酸配列GVHTFPのN末端に存在し、より好ましくは、
a)該重鎖CH1領域は配列SWNSGAL(FGly’)TPSRGVHTFPを含むか、または
b)Z30はR、K、H、A、G、L、V、IおよびPから選択され、XはL、M、SおよびVから選択され、XおよびXは、それぞれ独立して、S、T、A、V、GおよびCから選択される、
請求項1に記載の使用
【請求項7】
前記修飾アミノ酸残基が、
a)抗CD22抗体の重鎖CH2領域内に位置するか、または
b)抗CD22抗体の重鎖CH3領域内に位置する、
請求項1に記載の使用
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は抗CD22抗体-メイタンシンコンジュゲートおよびその使用方法に関する。
【0002】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2015年11月9日付け出願の米国仮特許出願第62/252,985号
(その開示の全体を参照により本明細書に組み入れることとする)の、35 U.S.C
.§119(e)に基づく利益を主張するものである。
【背景技術】
【0003】
タンパク質-小分子治療用コンジュゲートの分野は著しく進歩しており、臨床的に有益
な多数の薬物が提供されており、今後数年間に更に多数の薬物が提供されると期待されて
いる。タンパク質コンジュゲート治療剤は、例えば、特異性、多数の機能および比較的低
いオフターゲット活性により、副作用の減少につながる幾つかの利点をもたらしうる。タ
ンパク質の化学修飾は、それらをより強力にし、安定にし、または多様にすることにより
、これらの利点を拡張しうる。
【0004】
タンパク質上で翻訳後修飾を生成させ、操作するためには、多数の標準的な化学的変換
が一般に用いられる。特定のアミノ酸の側鎖を選択的に修飾しうる多数の方法が存在する
。例えば、カルボン酸側鎖(アスパルタートおよびグルタマート)は水溶性カルボジイミ
ド試薬での最初の活性化により標的化可能であり、ついでアミンとの反応に付されうる。
同様に、リジンは活性化エステルまたはイソチオシアナートの使用により標的化可能であ
り、システインチオールはマレイミドおよびα-ハロカルボニルで標的化されうる。
【0005】
化学的に改変されたタンパク質治療剤または試薬の創製における1つの重要な課題は、
そのようなタンパク質を生物学的に活性で均一な形態で製造することである。ポリペプチ
ドへの薬物または検出可能標識のコンジュゲート化(結合)は制御が困難であるため、結
合薬物分子の数および化学的コンジュゲート化の位置が異なるコンジュゲートの不均一混
合物が生じる。場合によっては、ポリペプチド上の化学結合の正確かつ選択的な形成を導
くために有機合成化学の手段を用いて、コンジュゲート化の部位および/またはポリペプ
チドにコンジュゲート化される薬物もしくは検出可能標識を制御することが望ましいであ
ろう。
【発明の概要】
【0006】
概括
本開示は抗CD22抗体-メイタンシンコンジュゲート構造体を提供する。本開示はそ
のようなコンジュゲートの製造方法およびその使用方法も含む。
【0007】
本開示の幾つかの態様は、式(I):
【化1】
【0008】
[式中、
ZはCRまたはNである;
は水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、
置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シク
ロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリルおよび置換ヘテロシクリルから選択さ
れる;
およびRは、それぞれ独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル
、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アミノ
、置換アミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルア
ミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換アルキルアミド、スルホニル、チオアルコキ
シ、置換チオアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリー
ル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリルおよび置換ヘテロシクリルか
ら選択され、あるいはRとRとは、所望により、環状に連結されて、5または6員ヘ
テロシクリルを形成していてもよい;
各Rは、独立して、水素、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換
アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アミノ、置換
アミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、
アミノアシル、アルキルアミド、置換アルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置
換チオアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シ
クロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリルおよび置換ヘテロシクリルから選択
される;
Lは、-(T-V-(T-V-(T-V-(T-V
-を含むリンカーであり、ここで、a、b、cおよびdは、それぞれ独立して、0また
は1であり、a、b、cおよびdの合計は1~4である;
、T、TおよびTは、それぞれ独立して、(C-C12)アルキル、置
換(C-C12)アルキル、(EDA)、(PEG)、(AA)、-(CR13
OH)-、ピペリジン-4-アミノ(4AP)、アセタール基、ヒドラジン、ジスルフ
ィドおよびエステルから選択され、ここで、EDAはエチレンジアミン部分であり、PE
Gはポリエチレングリコールまたは修飾ポリエチレングリコールであり、AAはアミノ酸
残基であり、wは1~20の整数であり、nは1~30の整数であり、pは1~20の整
数であり、hは1~12の整数である;
、V、VおよびVは、それぞれ独立して、共有結合、-CO-、-NR
-、-NR15(CH-、-NR15(C)-、-CONR15-、-N
15CO-、-C(O)O-、-OC(O)-、-O-、-S-、-S(O)-、-S
-、-SONR15-、-NR15SO-および-P(O)OH-からなる群か
ら選択され、ここで、qは1~6の整数である;
各R13は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリールおよび置換アリー
ルから選択される;
各R15は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニ
ル、アルキニル、置換アルキニル、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アリ
ール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シク
ロアルキル、ヘテロシクリルおよび置換ヘテロシクリルから選択される;
はメイタンシノイドである;ならびに
は抗CD22抗体である]の、少なくとも1つの修飾アミノ酸残基を含むコンジ
ュゲートを含む。
【0009】
ある実施形態においては、
は、(C-C12)アルキルおよび置換(C-C12)アルキルから選択さ
れる;
、TおよびTは、それぞれ独立して、(EDA)、(PEG)、(C
-C12)アルキル、置換(C-C12)アルキル、(AA)、-(CR13OH)
-、ピペリジン-4-アミノ(4AP)、アセタール基、ヒドラジンおよびエステルか
ら選択される;ならびに
、V、VおよびVは、それぞれ独立して、共有結合、-CO-、-NR
-、-NR15(CH-、-NR15(C)-、-CONR15-、-N
15CO-、-C(O)O-、-OC(O)-、-O-、-S-、-S(O)-、-S
-、-SONR15-、-NR15SO-および-P(O)OH-からなる群か
ら選択される;
ここで、
(PEG)
【化2】
【0010】
であり、ここで、nは1~30の整数である;
EDAは、以下の構造:
【化3】
【0011】
を有するエチレンジアミン部分であり、ここで、yは1~6の整数であり、rは0または
1である;
ピペリジン-4-アミノは、
【化4】
【0012】
である;
各R12およびR15は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、ポリエチレン
グリコール部分、アリールおよび置換アリールから選択され、ここで、任意の2つの隣接
したR12基は環状に連結されて、ピペラジニル環を形成していてもよい;ならびに
13は、水素、アルキル、置換アルキル、アリールおよび置換アリールから選択さ
れる。
【0013】
ある実施形態においては、T、T、TおよびTならびにV、V、Vおよ
びVは以下の表から選択される。
【表1】
【0014】
ある実施形態においては、Lは以下の構造の1つから選択される。
【化5】
【0015】
前記式中、
各fは、独立して、0または1~12の整数である;
各yは、独立して、0または1~20の整数である;
各nは、独立して、0または1~30の整数である;
各pは、独立して、0または1~20の整数である;
各hは、独立して、0または1~12の整数である;
各Rは、独立して、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキ
ニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アミノ、置換アミノ、カルボキシ
ル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アル
キルアミド、置換アルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、
アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換
シクロアルキル、ヘテロシクリルおよび置換ヘテロシクリルである;ならびに
各R’は、独立して、H、アミノ酸の側鎖基、アルキル、置換アルキル、アルケニル
、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アミノ
、置換アミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルア
ミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換アルキルアミド、スルホニル、チオアルコキ
シ、置換チオアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリー
ル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリルおよび置換ヘテロシクリルで
ある。
【0016】
ある実施形態においては、メイタンシノイドは式:
【化6】
【0017】
のものである。
【0018】
ある実施形態においては、Tは(C-C12)アルキルであり、Vは-CO-で
あり、Tは4APであり、Vは-CO-であり、Tは(C-C12)アルキルで
あり、Vは-CO-であり、Tは存在せず、Vは存在しない。
【0019】
ある実施形態においては、リンカーLは以下の構造:
【化7】
【0020】
(式中、各fは、独立して、1~12の整数であり、nは1~30の整数である)を含む
【0021】
ある実施形態においては、抗CD22抗体は、図8A~8Cに示されているCD22ア
ミノ酸配列のアミノ酸1~847(アミノ酸1-847)、アミノ酸1~759(アミノ
酸1-759)、アミノ酸1~751(アミノ酸1-751)またはアミノ酸1~670
(アミノ酸1-670)におけるエピトープに結合する。
【0022】
ある実施形態においては、抗CD22抗体は式(II):
(FGly’)X2030 (II)
(式中、
FGly’は式(I)の修飾アミノ酸残基である;
20はプロリンまたはアラニン残基である;
30は塩基性アミノ酸または脂肪族アミノ酸である;
は存在しても存在しなくてもよく、存在する場合には、任意のアミノ酸でありう
るが、該配列が該コンジュゲートのN末端に存在する場合には、Xは存在する;ならび

およびXは、それぞれ独立して、任意のアミノ酸である)
の配列を含む。
【0023】
ある実施形態においては、該配列はL(FGly’)TPSRである。
【0024】
ある実施形態においては、Z30はR、K、H、A、G、L、V、IおよびPから選択
され、XはL、M、SおよびVから選択され、XおよびXは、それぞれ独立して、
S、T、A、V、GおよびCから選択される。
【0025】
ある実施形態においては、該修飾アミノ酸残基は抗CD22抗体の重鎖定常領域のC末
端に位置する。
【0026】
ある実施形態においては、該重鎖定常領域は式(II):
(FGly’)X2030 (II)
(式中、
FGly’は式(I)の修飾アミノ酸残基である;
20はプロリンまたはアラニン残基である;
30は塩基性アミノ酸または脂肪族アミノ酸である;
は存在しても存在しなくてもよく、存在する場合には、任意のアミノ酸でありう
るが、該配列が該コンジュゲートのN末端に存在する場合には、Xは存在する;ならび

およびXは、それぞれ独立して、任意のアミノ酸である)
の配列を含み、ここで、該配列はアミノ酸配列SLSLSPGのC末端に存在する。
【0027】
ある実施形態においては、該重鎖定常領域は配列SPGSL(FGly’)TPSRG
Sを含む。
【0028】
ある実施形態においては、Z30はR、K、H、A、G、L、V、IおよびPから選択
され、XはL、M、SおよびVから選択され、XおよびXは、それぞれ独立して、
S、T、A、V、GおよびCから選択される。
【0029】
ある実施形態においては、該修飾アミノ酸残基は抗CD22抗体の軽鎖定常領域内に位
置する。
【0030】
ある実施形態においては、該軽鎖定常領域は式(II):
(FGly’)X2030 (II)
(式中、
FGly’は式(I)の修飾アミノ酸残基である;
20はプロリンまたはアラニン残基である;
30は塩基性アミノ酸または脂肪族アミノ酸である;
は存在しても存在しなくてもよく、存在する場合には、任意のアミノ酸でありう
るが、該配列が該コンジュゲートのN末端に存在する場合には、Xは存在する;ならび

およびXは、それぞれ独立して、任意のアミノ酸である)
の配列を含み、ここで、該配列は配列KVDNALのC末端に存在し、および/または配
列QSGNSQのN末端に存在する。
【0031】
ある実施形態においては、該軽鎖定常領域は配列KVDNAL(FGly’)TPSR
QSGNSQを含む。
【0032】
ある実施形態においては、Z30はR、K、H、A、G、L、V、IおよびPから選択
され、XはL、M、SおよびVから選択され、XおよびXは、それぞれ独立して、
S、T、A、V、GおよびCから選択される。
【0033】
ある実施形態においては、該修飾アミノ酸残基は抗CD22抗体の重鎖CH1領域内に
位置する。
【0034】
ある実施形態においては、該重鎖CH1領域は式(II):
(FGly’)X2030 (II)
(式中、
FGly’は式(I)の修飾アミノ酸残基である;
20はプロリンまたはアラニン残基である;
30は塩基性アミノ酸または脂肪族アミノ酸である;
は存在しても存在しなくてもよく、存在する場合には、任意のアミノ酸でありう
るが、該配列が該コンジュゲートのN末端に存在する場合には、Xは存在する;ならび

およびXは、それぞれ独立して、任意のアミノ酸である)
の配列を含み、ここで、該配列は配列SWNSGAのC末端に存在し、および/または配
列GVHTFPのN末端に存在する。
【0035】
ある実施形態においては、該重鎖CH1領域は配列SWNSGAL(FGly’)TP
SRGVHTFPを含む。
【0036】
ある実施形態においては、Z30はR、K、H、A、G、L、V、IおよびPから選択
され、XはL、M、SおよびVから選択され、XおよびXは、それぞれ独立して、
S、T、A、V、GおよびCから選択される。
【0037】
ある実施形態においては、該修飾アミノ酸残基は抗CD22抗体の重鎖CH2領域内に
位置する。
【0038】
ある実施形態においては、該修飾アミノ酸残基は抗CD22抗体の重鎖CH3領域内に
位置する。
【0039】
本開示の幾つかの態様は、本明細書に記載されているコンジュゲートと医薬上許容され
る賦形剤とを含む医薬組成物を含む。
【0040】
本開示の幾つかの態様は、本明細書に記載されているコンジュゲートの有効量を対象に
投与することを含む方法を含む。
【0041】
本開示の幾つかの態様は対象における癌の治療方法を含む。該方法は、本明細書に記載
されているコンジュゲートを含む医薬組成物の治療的有効量を対象に投与することを含み
、ここで、該投与は、対象における癌を治療するのに有効である。
【0042】
本開示の幾つかの態様は、対象における標的部位へ薬物を送達する方法を含む。該方法
は、本明細書に記載されているコンジュゲートを含む医薬組成物を対象に投与することを
含み、ここで、該投与は、対象における標的部位において該コンジュゲートから薬物の治
療的有効量を放出するのに有効である。
【0043】
定義
以下の用語は、特に示されていない限り、以下の意味を有する。定義されていない用語
はいずれも、当技術分野において認識されている意味を有する。
【0044】
「アルキル」は、1~10個の炭素原子、例えば1~6個の炭素原子、または1~5個
、または1~4個、または1~3個の炭素原子を有する1価飽和脂肪族ヒドロカルビル基
を意味する。この語は、例えば直鎖および分岐ヒドロカルビル基、例えばメチル(CH
-)、エチル(CHCH-)、n-プロピル(CHCHCH-)、イソプロピ
ル((CHCH-)、n-ブチル(CHCHCHCH-)、イソブチル(
(CHCHCH-)、sec-ブチル((CH)(CHCH)CH-)、
t-ブチル((CHC-)、n-ペンチル(CHCHCHCHCH-)
およびネオペンチル((CHCCH-)を含む。
【0045】
「置換アルキル」なる語は、アルキル鎖内の1以上の炭素原子(C炭素原子以外)が
、所望により、ヘテロ原子、例えば-O-、-N-、-S-、-S(O)-(ここで、
nは0~2である)、-NR-(ここで、Rは水素またはアルキルである)などで置換さ
れていてもよく、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、
シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミ
ノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲ
ン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリ
ールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアル
コキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリ
ールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミ
ノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO
-アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリールおよび-NRからな
る群から選択される1~5個の置換基を有する(ここで、R’およびR’’は同一であっ
ても異なっていてもよく、水素、所望により置換されていてもよいアルキル、シクロアル
キル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールおよび複
素環から選択される)、本明細書に定義されているアルキル基を意味する。
【0046】
「アルキレン」は、-O-、-NR10-、-NR10C(O)-、-C(O)NR
-から選択される1以上の基が所望により介在していてもよい、好ましくは1~6個、
より好ましくは1~3個の炭素原子を有する直鎖または分岐2価脂肪族ヒドロカルビル基
を意味する。この語は、例えば、メチレン(-CH-)、エチレン(-CHCH
)、n-プロピレン(-CHCHCH-)、イソプロピレン(-CHCH(CH
)-)、(-C(CHCHCH-)、(-C(CHCHC(O)-
)、(-C(CHCHC(O)NH-)、(-CH(CH)CH-)などを
含む。
【0047】
「置換アルキレン」は、後記の「置換」の定義において炭素に関して記載されている置
換基で1~3個の水素が置換されているアルキレン基を意味する。
【0048】
「アルカン」なる語は、本明細書に定義されているアルキル基およびアルキレン基を意
味する。
【0049】
「アルキルアミノアルキル」、「アルキルアミノアルケニル」および「アルキルアミノ
アルキニル」なる語はR’NHR’’-なる基を意味し、ここで、R’は、本明細書に定
義されているアルキル基であり、R’’は、本明細書に定義されているアルキレン、アル
ケニレンまたはアルキニレン基である。
【0050】
「アルカリール」または「アルアルキル」なる語は-アルキレン-アリールおよび-置
換アルキレン-アリールなる基を意味し、ここで、アルキレン、置換アルキレンおよびア
リールは本明細書に定義されている。
【0051】
「アルコキシ」は-O-アルキルなる基を意味し、ここで、アルキルは本明細書に定義
されているとおりである。アルコキシは、例えばメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、
イソプロポキシ、n-ブトキシ、t-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペントキシなど
を含む。「アルコキシ」なる語はアルケニル-O-、シクロアルキル-O-、シクロアル
ケニル-O-およびアルキニル-O-なる基をも意味し、ここで、アルケニル、シクロア
ルキル、シクロアルケニルおよびアルキニルは本明細書に定義されているとおりである。
【0052】
「置換アルコキシ」なる語は置換アルキル-O-、置換アルケニル-O-、置換シクロ
アルキル-O-、置換シクロアルケニル-O-および置換アルキニル-O-なる基を意味
し、ここで、置換アルキル、置換アルケニル、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニ
ルおよび置換アルキニルは本明細書に定義されているとおりである。
【0053】
「アルコキシアミノ」なる語は-NH-アルコキシなる基を意味し、ここで、アルコキ
シは本明細書に定義されている。
【0054】
「ハロアルコキシ」なる語は、アルキル基上の1以上の水素原子がハロ基で置換された
アルキル-O-基を意味し、例えばトリフルオロメトキシなどのような基を含む。
【0055】
「ハロアルキル」なる語は、アルキル基上の1以上の水素原子がハロ基で置換された前
記置換アルキル基を意味する。そのような基の例には、限定的なものではないが、フルオ
ロアルキル基、例えばトリフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロエチルなど
が含まれる。
【0056】
「アルキルアルコキシ」なる語は、-アルキレン-O-アルキル、アルキレン-O-置
換アルキル、置換アルキレン-O-アルキルおよび置換アルキレン-O-置換アルキルな
る基を意味し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルキレンおよび置換アルキレンは本
明細書に定義されているとおりである。
【0057】
「アルキルチオアルコキシ」なる語は、-アルキレン-S-アルキル、アルキレン-S
-置換アルキル、置換アルキレン-S-アルキルおよび置換アルキレン-S-置換アルキ
ルなる基を意味し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルキレンおよび置換アルキレン
は本明細書に定義されているとおりである。
【0058】
「アルケニル」は、2~6個の炭素原子、好ましくは2~4個の炭素原子を有し、少な
くとも1個、好ましくは1~2個の二重結合不飽和部位を有する直鎖または分岐ヒドロカ
ルビル基を意味する。この語は、例えば、ビ-ビニル、アリルおよびブタ-3-エン-1
-イルを含む。この語にはシスおよびトランス異性体またはこれらの異性体の混合物が含
まれる。
【0059】
「置換アルケニル」なる語は、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シ
クロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシ
ルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシ
ル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カル
ボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロ
オキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、
ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロ
キシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-
SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-置換アルキ
ル、-SO-アリールおよび-SO-ヘテロアリールから選択される1~5個の置換
基または1~3個の置換基を有する本明細書に定義されているアルケニル基を意味する。
【0060】
「アルキニル」は、2~6個の炭素原子、好ましくは2~3個の炭素原子を有し、少な
くとも1個、好ましくは1~2個の三重結合不飽和部位を有する直鎖または分枝1価ヒド
ロカルビル基を意味する。そのようなアルキニル基の例には、アセチレニル(C≡CH)
およびプロパルギル(-CHC≡CH)が含まれる。
【0061】
「置換アルキニル」なる語は、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シ
クロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシ
ルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシ
ル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カル
ボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロ
オキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、
ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロ
キシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-
SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-置換アルキ
ル、-SO-アリールおよび-SO-ヘテロアリールから選択される1~5個の置換
基または1~3個の置換基を有する本明細書に定義されているアルキニル基を意味する。
【0062】
「アルキニルオキシ」は、アルキニルが本明細書に定義されているとおりである-O-
アルキニル基を意味する。アルキニルオキシには、例えばエチニルオキシ、プロピニルオ
キシなどが含まれる。
【0063】
「アシル」は、HC(O)-、アルキル-C(O)-、置換アルキル-C(O)-、ア
ルケニル-C(O)-、置換アルケニル-C(O)-、アルキニル-C(O)-、置換ア
ルキニル-C(O)-、シクロアルキル-C(O)-、置換シクロアルキル-C(O)-
、シクロアルケニル-C(O)-、置換シクロアルケニル-C(O)-、アリール-C(
O)-、置換アリール-C(O)-、ヘテロアリール-C(O)-、置換ヘテロアリール
-C(O)-、ヘテロシクリル-C(O)-および置換ヘテロシクリル-C(O)-を意
味し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置
換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロア
ルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環(基
)および置換複素環(基)は本明細書に定義されているとおりである。例えば、アシルは
「アセチル」基CHC(O)-を含む。
【0064】
「アシルアミノ」は-NR20C(O)アルキル、-NR20C(O)置換アルキル、
NR20C(O)シクロアルキル、-NR20C(O)置換シクロアルキル、-NR20
C(O)シクロアルケニル、-NR20C(O)置換シクロアルケニル、-NR20C(
O)アルケニル、-NR20C(O)置換アルケニル、-NR20C(O)アルキニル、
-NR20C(O)置換アルキニル、-NR20C(O)アリール、-NR20C(O)
置換アリール、-NR20C(O)ヘテロアリール、-NR20C(O)置換ヘテロアリ
ール、-NR20C(O)複素環および-NR20C(O)置換複素環なる基を意味し、
ここで、R20は水素またはアルキルであり、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置
換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シ
クロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置
換ヘテロアリール、複素環(基)および置換複素環(基)は本明細書に定義されていると
おりである。
【0065】
「アミノカルボニル」または「アミノアシル」なる語は-C(O)NR2122なる
基を意味し、ここで、R21およびR22は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル
、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール
、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘ
テロアリール、置換ヘテロアリール、複素環(基)および置換複素環(基)からなる群か
ら選択され、所望により、R21およびR22は、それらに結合している窒素と一緒に連
結されて複素環基または置換複素環基を形成していてもよく、アルキル、置換アルキル、
アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シク
ロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテ
ロアリール、置換ヘテロアリール、複素環(基)および置換複素環(基)は本明細書に定
義されているとおりである。
【0066】
「アミノカルボニルアミノ」は-NR21C(O)NR2223なる基を意味し、こ
こで、R21、R22およびR23は、独立して、水素、アルキル、アリールまたはシク
ロアルキルから選択され、あるいは2つのR基が連結されてヘテロシクリル基を形成して
いる。
【0067】
「アルコキシカルボニルアミノ」なる語は-NRC(O)ORなる基を意味し、ここで
、各Rは、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリールまたは
ヘテロシクリルであり、ここで、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリールお
よびヘテロシクリルは本明細書に定義されているとおりである。
【0068】
「アシルオキシ」なる語は、アルキル-C(O)O-、置換アルキル-C(O)O-、
シクロアルキル-C(O)O-、置換シクロアルキル-C(O)O-、アリール-C(O
)O-、置換アリール-C(O)O-およびヘテロシクリル-C(O)O-なる基を意味
し、ここで、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール
、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルは本明細書に定義されているとおりである。
【0069】
「アミノスルホニル」は-SONR2122なる基を意味し、ここで、R21およ
びR22は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、
アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロア
ルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリー
ル、複素環基、置換複素環基からなる群から選択され、所望により、R21およびR22
は、それらに結合している窒素と一緒に連結されて複素環基または置換複素環基を形成し
ていてもよく、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置
換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロア
ルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環(基
)および置換複素環(基)は本明細書に定義されているとおりである。
【0070】
「スルホニルアミノ」は-NR21SO22なる基を意味し、ここで、R21およ
びR22は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、
アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロア
ルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリー
ル、複素環基および置換複素環基からなる群から選択され、所望により、R21およびR
22は、それらに結合している窒素と一緒に連結されて複素環基または置換複素環基を形
成していてもよく、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル
、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シク
ロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環
(基)および置換複素環(基)は本明細書に定義されているとおりである。
【0071】
「アリール」または「Ar」は、単環(例えば、フェニル基に存在するもの)または複
数の縮合環を有する環系(そのような芳香環系の例にはナフチル、アントリルおよびイン
ダニルが含まれる)を有する6~18個の炭素原子の1価芳香族炭素環基を意味し、該縮
合環は芳香族であってもなくてもよいが、ただし、結合点は芳香環の原子を介したもので
ある。この語は、例えば、例として、フェニルおよびナフチルを含む。アリール置換基に
関する定義によって特段に制限されない限り、そのようなアリール基は、所望により、ア
シルオキシ、ヒドロキシ、チオール、アシル、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アル
キニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、置換アルキル、置換アルコキシ、置換アル
ケニル、置換アルキニル、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニル、アミノ、置換ア
ミノ、アミノアシル、アシルアミノ、アルカリール、アリール、アリールオキシ、アジド
、カルボキシル、カルボキシルアルキル、シアノ、ハロゲン、ニトロ、ヘテロアリール、
ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、アミノアシルオキシ、オ
キシアシルアミノ、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオヘ
テロアリールオキシ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-
SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリ
ール、-SO-ヘテロアリールおよびトリハロメチルから選択される1~5個の置換基
または1~3個の置換基で置換されていてもよい。
【0072】
「アリールオキシ」は-O-アリール(ここで、アリールは本明細書に定義されている
とおりである)なる基を意味し、例えばフェノキシ、ナフトキシなどを含み、所望により
置換されていてもよいアリール基(同様に本明細書に定義されているとおりである)を含
む。
【0073】
「アミノ」は-NHなる基を意味する。
【0074】
「置換アミノ」なる語は-NRRなる基を意味し、ここで、各Rは、独立して、水素、
アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アル
ケニル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリ
ール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルからなる群から選択され、ただし、少なくと
も1つのRは水素ではない。
【0075】
「アジド」なる語は-Nなる基を意味する。
【0076】
「カルボキシル」、「カルボキシ」または「カルボキシラート」は-COHまたはそ
の塩を意味する。
【0077】
「カルボキシエステル」または「カルボキシエステル」、または「カルボキシアルキル
」または「カルボキシアルキル」なる語は-C(O)O-アルキル、-C(O)O-置換
アルキル、-C(O)O-アルケニル、-C(O)O-置換アルケニル、-C(O)O-
アルキニル、-C(O)O-置換アルキニル、-C(O)O-アリール、-C(O)O-
置換アリール、-C(O)O-シクロアルキル、-C(O)O-置換シクロアルキル、-
C(O)O-シクロアルケニル、-C(O)O-置換シクロアルケニル、-C(O)O-
ヘテロアリール、-C(O)O-置換ヘテロアリール、-C(O)O-複素環および-C
(O)O-置換複素環なる基を意味し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、
置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、
シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、
置換ヘテロアリール、複素環(基)および置換複素環(基)は本明細書に定義されている
とおりである。
【0078】
「(カルボキシエステル)オキシ」または「カルボナート」は-O-C(O)O-アル
キル、-O-C(O)O-置換アルキル、-O-C(O)O-アルケニル、-O-C(O
)O-置換アルケニル、-O-C(O)O-アルキニル、-O-C(O)O-置換アルキ
ニル、-O-C(O)O-アリール、-O-C(O)O-置換アリール、-O-C(O)
O-シクロアルキル、-O-C(O)O-置換シクロアルキル、-O-C(O)O-シク
ロアルケニル、-O-C(O)O-置換シクロアルケニル、-O-C(O)O-ヘテロア
リール、-O-C(O)O-置換ヘテロアリール、-O-C(O)O-複素環および-O
-C(O)O-置換複素環なる基を意味し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニ
ル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキ
ル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリー
ル、置換ヘテロアリール、複素環(基)および置換複素環(基)は本明細書に定義されて
いるとおりである。
【0079】
「シアノ」または「ニトリル」は-CNなる基を意味する。
【0080】
「シクロアルキル」は、縮合、架橋およびスピロ環系を含む単環式または多環式環を有
する3~10個の炭素原子の環状アルキル基を意味する。適切なシクロアルキル基の例に
は、例えば、アダマンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロオ
クチルなどが含まれる。そのようなシクロアルキル基には、例えば、シクロプロピル、シ
クロブチル、シクロペンチル、シクロオクチルなどのような単環構造、またはアダマンタ
ニルなどのような多環構造が含まれる。
【0081】
「置換シクロアルキル」なる語は、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコ
キシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル
、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノア
シルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、
チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリ
ールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ
、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル
、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキ
ル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-ア
ルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリールおよび-SO-ヘテロアリール
から選択される1~5個の置換基または1~3個の置換基を有するシクロアルキル基を意
味する。
【0082】
「シクロアルケニル」は、単環または複数の環を有し、少なくとも1つの二重結合、好
ましくは1~2個の二重結合を有する、3~10個の炭素原子の非芳香族環状アルキル基
を意味する。
【0083】
「置換シクロアルケニル」なる語は、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、
置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ
、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミ
ノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシル、
カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシ
クロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキ
シ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒ
ドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル
、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-置換ア
ルキル、-SO-アリールおよび-SO-ヘテロアリールから選択される1~5個の
置換基または1~3個の置換基を有するシクロアルケニル基を意味する。
【0084】
「シクロアルキニル」は、単環または多環を有し、少なくとも1つの三重結合を有する
、5~10個の炭素原子の非芳香族シクロアルキル基を意味する。
【0085】
「シクロアルコキシ」は-O-シクロアルキルを意味する。
【0086】
「シクロアルケニルオキシ」は-O-シクロアルケニルを意味する。
【0087】
「ハロ」または「ハロゲン」はフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを意味する。
【0088】
「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」は-OHなる基を意味する。
【0089】
「ヘテロアリール」は、1~15個の炭素原子、例えば1~10個の炭素原子と、環内
の酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1~10個のヘテロ原子との芳香族基
を意味する。そのようなヘテロアリール基は単環(例えば、ピリジニル、イミダゾリルま
たはフリルなど)または縮合多環(例えば、インドリジニル、キノリニル、ベンゾフラン
、ベンゾイミダゾリルまたはベンゾチエニルのような基におけるもの)を環系内に有する
ことが可能であり、ここで、環系内の少なくとも1つの環は芳香族である。原子価要件を
満たすために、そのようなヘテロアリール環内の任意のヘテロ原子はHまたは置換基(例
えば、アルキル基または本明細書に記載されている他の置換基)に結合していても結合し
ていなくてもよい。ある実施形態においては、ヘテロアリール基の窒素および/または硫
黄環原子は、所望により、N-オキシド(N→O)、スルフィニルまたはスルホニル部分
を与えるように酸化されていてもよい。この語は、例えば、ピリジニル、ピロリル、イン
ドリル、チオフェニルおよびフラニルを含む。ヘテロアリール置換基に関する定義によっ
て特段に制限されない限り、そのようなヘテロアリール基は、所望により、アシルオキシ
、ヒドロキシ、チオール、アシル、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シ
クロアルキル、シクロアルケニル、置換アルキル、置換アルコキシ、置換アルケニル、置
換アルキニル、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニル、アミノ、置換アミノ、アミ
ノアシル、アシルアミノ、アルカリール、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキ
シル、カルボキシルアルキル、シアノ、ハロゲン、ニトロ、ヘテロアリール、ヘテロアリ
ールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、アミノアシルオキシ、オキシアシル
アミノ、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオヘテロアリー
ルオキシ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテ
ロアリール、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリールおよび
-SO-ヘテロアリールおよびトリハロメチルから選択される1~5個の置換基または
1~3個の置換基で置換されていてもよい。
【0090】
「ヘテロアルアルキル」なる語は-アルキレン-ヘテロアリールなる基を意味し、ここ
で、アルキレンおよびヘテロアリールは本明細書に定義されている。この語は、例えばピ
リジルメチル、ピリジルエチル、インドリルメチルなどを含む。
【0091】
「ヘテロアリールオキシ」は-O-ヘテロアリールを意味する。
【0092】
「複素環」、「複素環式(複素環基)」、「ヘテロシクロアルキル」および「ヘテロシ
クリル」は、1~10個のヘテロ原子を含む3~20個の環原子を有する、縮合架橋およ
びスピロ環系を含む単環または縮合多環を有する飽和または不飽和基を意味する。これら
の環原子は窒素、硫黄または酸素から選択され、ここで、縮合環系においては、環の1以
上はシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであることが可能であり、ただし、
結合点は非芳香環を介したものである。ある実施形態においては、ヘテロアリール基の窒
素および/または硫黄原子は、所望により、N-オキシド、-S(O)-または-SO
-部分を与えるように酸化されていてもよい。原子価要件を満たすために、そのような複
素環内の任意のヘテロ原子は1以上のHまたは1以上の置換基(例えば、アルキル基また
は本明細書に記載されている他の置換基)に結合していても結合していなくてもよい。
【0093】
複素環およびヘテロアリールの例には、限定的なものではないが、アゼチジン、ピロー
ル、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インド
リジン、イソインドール、インドール、ジヒドロインドール、インダゾール、プリン、キ
ノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチルピリジン、キノキサリン、キ
ナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、ア
クリジン、フェナントロリン、イソチアゾール、フェナジン、イソオキサゾール、フェノ
キサジン、フェノチアジン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピペリジン、ピペラジン、
インドリン、フタルイミド、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン、4,5,6,
7-テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン、チアゾール、チアゾリジン、チオフェン、ベ
ンゾ[b]チオフェン、モルホリニル、チオモルホリニル(チアモルホリニルとも称され
る)、1,1-ジオキソチオモルホリニル、ピペリジニル、ピロリジン、テトラヒドロフ
ラニルなどが含まれる。
【0094】
複素環置換基に関する定義によって特段に制限されない限り、そのような複素環基は、
所望により、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シク
ロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、
置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ
、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、
チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、
チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘ
テロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコ
キシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-
SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリ
ール、-SO-ヘテロアリールおよび縮合複素環から選択される1~5個または1~3
個の置換基で置換されていてもよい。
【0095】
「ヘテロシクリルオキシ」は-O-ヘテロシクリルなる語を意味する。
【0096】
「ヘテロシクリルチオ」なる語は複素環-S-なる基を意味する。
【0097】
「ヘテロシクレン」なる語は、本明細書に定義されている複素環から形成されるジラジ
カル基を意味する。
【0098】
「ヒドロキシアミノ」なる語は-NHOHなる基を意味する。
【0099】
「ニトロ」は-NOなる基を意味する。
【0100】
「オキソ」は(=O)なる原子を意味する。
【0101】
「スルホニル」はSO-アルキル、SO-置換アルキル、SO-アルケニル、S
-置換アルケニル、SO-シクロアルキル、SO-置換シクロアルキル、SO
-シクロアルケニル、SO-置換シクロアルケニル、SO-アリール、SO-置換
アリール、SO-ヘテロアリール、SO-置換ヘテロアリール、SO-複素環およ
びSO-置換複素環なる基を意味し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、
置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、
シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、
置換ヘテロアリール、複素環(基)および置換複素環(基)は本明細書に定義されている
とおりである。スルホニルは、例えば、メチル-SO-、フェニル-SO-および4
-メチルフェニル-SO-を含む。
【0102】
「スルホニルオキシ」は-OSO-アルキル、OSO-置換アルキル、OSO
アルケニル、OSO-置換アルケニル、OSO-シクロアルキル、OSO-置換シ
クロアルキル、OSO-シクロアルケニル、OSO-置換シクロアルケニル、OSO
-アリール、OSO-置換アリール、OSO-ヘテロアリール、OSO-置換ヘ
テロアリール、OSO-複素環およびOSO-置換複素環なる基を意味し、ここで、
アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、
シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリ
ール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環(基)および置換複
素環(基)は本明細書に定義されているとおりである。
【0103】
「アミノカルボニルオキシ」なる語は-OC(O)NRRなる基を意味し、ここで、各
Rは、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリールまたは複素
環基であり、ここで、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環
基は本明細書に定義されているとおりである。
【0104】
「チオール」は-SHなる基を意味する。
【0105】
「チオキソ」または「チオケト」なる語は(=S)なる原子を意味する。
【0106】
「アルキルチオ」または「チオアルコキシ」なる語は-S-アルキルなる基を意味し、
ここで、アルキルは本明細書に定義されているとおりである。ある実施形態においては、
該硫黄は-S(O)-へと酸化されうる。該スルホキシドは1以上の立体異性体として存
在しうる。
【0107】
「置換チオアルコキシ」なる語は-S-置換アルキルなる基を意味する。
【0108】
「チオアリールオキシ」なる語はアリール-S-なる基を意味し、ここで、アリール基
は本明細書に定義されているとおりであり、同様に本明細書に定義されている所望により
置換されていてもよいアリール基を含む。
【0109】
「チオヘテロアリールオキシ」なる語はヘテロアリール-S-なる基を意味し、ここで
、ヘテロアリール基は本明細書に定義されているとおりであり、同様に本明細書に定義さ
れている所望により置換されていてもよいアリール基を含む。
【0110】
「チオヘテロシクロオキシ」なる語はヘテロシクリル-S-なる基を意味し、ここで、
ヘテロシクリル基は本明細書に定義されているとおりであり、同様に本明細書に定義され
ている所望により置換されていてもよいヘテロシクリル基を含む。
【0111】
本明細書の開示に加えて、特定の基またはラジカルを修飾するために用いられた場合の
「置換(されている)」なる語は、その特定の基またはラジカルの、1以上の水素原子が
、それぞれ、互いに独立して、後記で定義される同一の又は異なる置換基で置換されてい
ることを意味する。
【0112】
本明細書において個々の語に関して開示されている基に加えて、特定の基またはラジカ
ルにおける飽和炭素原子上の1以上の水素を置換するための置換基(単一炭素上の任意の
2つの水素は=O、=NR70、=N-OR70、=Nまたは=Sで置換されうる)は
、特に示されていない限り、-R60、ハロ、=O、-OR70、-SR70、-NR
80、トリハロメチル、-CN、-OCN、-SCN、-NO、-NO、=N
-N、-SO70、-SO、-SOOR70、-OSO70、-
OSO、-OSOOR70、-P(O)(O(M、-P(O)
(OR70)O、-P(O)(OR70、-C(O)R70、-C(S)R
、-C(NR70)R70、-C(O)O、-C(O)OR70、-C(S)O
70、-C(O)NR8080、-C(NR70)NR8080、-OC(O)R
70、-OC(S)R70、-OC(O)O、-OC(O)OR70、-OC(S
)OR70、-NR70C(O)R70、-NR70C(S)R70、-NR70CO
、-NR70CO70、-NR70C(S)OR70、-NR70C(O)N
8080、-NR70C(NR70)R70および-NR70C(NR70)NR
80であり、ここで、R60は、所望により置換されていてもよいアルキル、シクロ
アルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルキル、
アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリールアルキルからなる群
から選択され、各R70は、独立して、水素またはR60であり、各R80は、独立して
、R70であるか、あるいは2つのR80が、それらが結合している窒素原子と一緒にな
って、5、6または7員ヘテロシクロアルキル(これは、所望により、O、NおよびSか
らなる群から選択される1~4個の同一の又は異なる追加的ヘテロ原子を含んでいてもよ
く、ここで、Nは-HまたはC-Cアルキル置換基を有しうる)を形成しており、各
は、正味の単一正電荷を有する対イオンである。各Mは、独立して、例えばアルカ
リイオン、例えばK、Na、Li;アンモニウムイオン、例えばN(R60
;またはアルカリ土類イオン、例えば[Ca2+0.5、[Mg2+0.5または[
Ba2+0.5(下付きの「0.5」は、そのような2価アルカリ土類イオンの対イオ
ンの一方が本発明の化合物のイオン化形態であることが可能であり、他方の典型的な対イ
オン、例えば塩化物イオンであることが可能であること、あるいは本明細書に開示されて
いる2つのイオン化化合物がそのような2価アルカリ土類イオンの対イオンとして働きう
ること、あるいは本発明の二重イオン化化合物がそのような2価アルカリ土類イオンの対
イオンとして働きうることを意味する)でありうる。具体例として、-NR8080
-NH、-NH-アルキル、N-ピロリジニル、N-ピペラジニル、4N-メチル-ピ
ペラジン-1-イルおよびN-モルホリニルを含むと意図される。
【0113】
本明細書の開示に加えて、「置換」アルケン、アルキン、アリールおよびヘテロアリー
ル基における不飽和炭素原子上の水素の置換基は、特に示されていない限り、-R60
ハロ、-O、-OR70、-SR70、-S、-NR8080、トリハロ
メチル、-CF、-CN、-OCN、-SCN、-NO、-NO、-N、-SO
70、-SO 、-SO70、-OSO70、-OSO 、-O
SO70、-PO -2(M、-P(O)(OR70)O、-P(O)
(OR70、-C(O)R70、-C(S)R70、-C(NR70)R70、-C
、-CO70、-C(S)OR70、-C(O)NR8080、-C(
NR70)NR8080、-OC(O)R70、-OC(S)R70、-OCO
、-OCO70、-OC(S)OR70、-NR70C(O)R70、-NR70
C(S)R70、-NR70CO 、-NR70CO70、-NR70C(S
)OR70、-NR70C(O)NR8080、-NR70C(NR70)R70およ
び-NR70C(NR70)NR8080であり、ここで、R60、R70、R80
よびMは既に定義されているとおりであるが、ただし、置換アルケンまたはアルキンの
場合、置換基は-O、-OR70、-SR70または-Sではない。
【0114】
本明細書において個々の語に関して開示されている基に加えて、「置換」ヘテロアルキ
ルおよびシクロヘテロアルキル基における窒素原子上の水素の置換基は、特に示されてい
ない限り、-R60、-O、-OR70、-SR70、-S、-NR80
80、トリハロメチル、-CF、-CN、-NO、-NO、-S(O)70、-
S(O)、-S(O)OR70、-OS(O)70、-OS(O)
、-OS(O)OR70、-P(O)(O(M、-P(O)(OR
70)O、-P(O)(OR70)(OR70)、-C(O)R70、-C(S)
70、-C(NR70)R70、-C(O)OR70、-C(S)OR70、-C(O
)NR8080、-C(NR70)NR8080、-OC(O)R70、-OC(S
)R70、-OC(O)OR70、-OC(S)OR70、-NR70C(O)R70
-NR70C(S)R70、-NR70C(O)OR70、-NR70C(S)OR70
、-NR70C(O)NR8080、-NR70C(NR70)R70および-NR
C(NR70)NR8080であり、ここで、R60、R70、R80およびM
既に定義されているとおりである。
【0115】
本明細書の開示に加えて、ある実施形態においては、置換されている基は、1、2、3
または4個の置換基、1、2または3個の置換基、1または2個の置換基、あるいは1個
の置換基を有する。
【0116】
前記で定義された全ての置換基においては、それ自体に対する更なる置換基を有する置
換基を定めることにより得られるポリマー(例えば、置換アリール基により更に置換され
たなどの置換アリール基でそれ自体が置換された置換基としての置換アリール基を有する
置換アリール)は本発明には含まれないと意図されると理解される。そのような場合、そ
のような置換の最大数は3である。例えば、本発明において特に想定される置換アリール
基の連続的置換は置換アリール-(置換アリール)-置換アリールに限定される。
【0117】
特に示されていない限り、本明細書において明示的に定義されていない置換基の命名は
、官能基の末端部分、およびそれに続く、結合点側の隣接官能基を明示することによって
なされる。例えば、置換基「アリールアルキルオキシカルボニル」は(アリール)-(ア
ルキル)-O-C(O)-なる基を意味する。
【0118】
1以上の置換基を含有する本明細書に開示されている基のいずれに関しても、勿論、そ
のような基は、立体的に不可能および/または合成的に実施不可能ないずれの置換または
置換パターンをも含まないと理解される。または、対象化合物は、これらの化合物の置換
から生じる全ての立体化学異性体を含む。
【0119】
「医薬上許容される塩」なる語は、患者、例えば哺乳動物への投与に関して許容される
塩(与えられた投与計画に関して許容されうる哺乳動物安全性を示す対イオンを含有する
塩)を意味する。そのような塩は、医薬上許容される無機または有機塩基、および医薬上
許容される無機または有機酸から誘導されうる。「医薬上許容される塩」は、当技術分野
でよく知られた種々の有機および無機対イオンから誘導される、化合物の医薬上許容され
る塩を意味し、単なる例示に過ぎないが、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシ
ウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムなど包含し、該分子が塩基性官能基を
含有する場合には、有機または無機酸の塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、ギ酸塩、酒石
酸塩、ベシル酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩などを包含する。
【0120】
「その塩」なる語は、酸のプロトンが金属カチオンまたは有機カチオンなどのようなカ
チオンにより置換された場合に形成される化合物を意味する。適用可能な場合には、該塩
は医薬上許容される塩である。尤も、患者への投与を意図したものでない中間体化合物の
塩には、これは要求されない。例えば、本化合物の塩には、該化合物が無機または有機酸
によってプロトン化されてカチオンを形成し、該無機または有機酸の共役塩基が該塩のア
ニオン成分として存在するものが含まれる。
【0121】
「溶媒和物」は、溶媒分子と溶質の分子またはイオンとの組合せによって形成される複
合体を意味する。溶媒は有機化合物、無機化合物または両方の混合物でありうる。溶媒の
幾つかの例には、限定的なものではないが、メタノール、N,N-ジメチルホルムアミド
、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシドおよび水が含まれる。溶媒が水である場合
、形成される溶媒和物は水和物である。
【0122】
「立体異性体」は、同じ原子結合性を有するが空間における異なる原子配置を有する化
合物を意味する。立体異性体には、シス-トランス異性体、EおよびZ異性体、エナンチ
オマーならびにジアステレオマーが含まれる。
【0123】
「互変異性体」は、原子の電子結合および/またはプロトンの位置においてのみ異なる
、分子の交互性(alternate)形態を意味し、例えば、エノール-ケトおよびイ
ミン-エナミン互変異性体、または-N=C(H)-NH-環原子配置を含有するヘテロ
アリール基、例えばピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾールおよ
びテトラゾールの互変異性体を包含する。他の互変異性環原子配置も可能であると当業者
は認識するであろう。
【0124】
「またはその塩もしくは溶媒和物もしくは立体異性体」なる語は、塩、溶媒和物および
立体異性体の順列(permutation)の全て、例えば、対象化合物の立体異性体
の医薬上許容される塩の溶媒和物を含むと意図されると理解される。
【0125】
「薬学的有効量」および「治療的有効量」は、特定されている障害もしくは疾患または
その症状の1以上を治療するのに、および/または該疾患もしくは障害の発生を予防する
のに十分な化合物の量を意味する。腫瘍原性増殖性障害に関しては、薬学的または治療的
有効量は、とりわけ、腫瘍の退縮を引き起こし、または腫瘍の増殖速度を減少させるのに
十分な量を含む。
【0126】
「患者」はヒトおよび非ヒト対象、特に哺乳動物対象を意味する。
【0127】
本明細書中で用いる「治療する」または「治療」なる語は、患者、例えば哺乳動物(特
にヒト)において疾患または医学的状態を治療すること、またはそのような治療を意味し
、(a)疾患または医学的状態の発生の予防、例えば、対象における予防的処置、(b)
疾患または医学的状態の改善、例えば、患者における疾患または医学的状態の排除または
退縮、(c)例えば疾患または医学的状態の進展を減速または停止させることによる、疾
患または医学的状態の抑制、あるいは(d)患者における疾患または医学的状態の症状の
緩和を含む。
【0128】
「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」なる語は、任意長のアミノ酸の
重合体形態を示すために本明細書において互換的に用いられる。特に示されていない限り
、「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は、遺伝的にコードされている
及びコードされていないアミノ酸、化学的または生化学的に修飾または誘導体化されたア
ミノ酸、ならびに修飾ペプチド骨格を有するポリペプチドを含みうる。この語は融合タン
パク質を含み、限定的なものではないが、異種アミノ酸配列を含有する融合タンパク質、
異種(非相同)および同種(相同)リーダー配列を含有する融合体、(例えば、組換え細
菌宿主細胞における産生を促進するための)少なくとも1つのN末端メチオニン残基を含
有するタンパク質、免疫学的にタグ化されたタンパク質などを含む。
【0129】
「天然アミノ酸配列」または「親アミノ酸配列」は、修飾アミノ酸残基を含有させるた
めの修飾の前のポリペプチドのアミノ酸配列を示すために本明細書において互換的に用い
られる。
【0130】
「アミノ酸類似体」、「非天然アミノ酸」などの語は互換的に用いられることが可能で
あり、天然に存在するタンパク質において一般に見出される1以上のアミノ酸と構造およ
び/または全体的形状において類似したアミノ酸様化合物を含む(例えば、Alaまたは
A、CysまたはC、AspまたはD、GluまたはE、PheまたはF、Glyまたは
G、HisまたはH、IleまたはI、LysまたはK、LeuまたはL、Metまたは
M、AsnまたはN、ProまたはP、GlnまたはQ、ArgまたはR、Serまたは
S、ThrまたはT、ValまたはV、TrpまたはW、TyrまたはY)。アミノ酸類
似体には、修飾側鎖または主鎖を有する天然アミノ酸も含まれる。アミノ酸類似体にはま
た、天然に存在するD体と同じ立体化学を有するアミノ酸類似体、およびアミノ酸類似体
のL体を含む。幾つかの例においては、アミノ酸類似体は1以上の天然アミノ酸の主鎖(
バックボーン)構造および/または側鎖構造を共有し、差異は分子内の1以上の修飾基で
ある。このような修飾には、限定的なものではないが、原子(例えば、N)の、関連原子
(例えば、S)による置換、基(例えば、メチルまたはヒドロキシルなど)または原子(
例えば、ClまたはBrなど)の付加、基の欠失、共有結合の置換(単結合の、二重結合
による置換など)、またはそれらの組合せが含まれる。例えば、アミノ酸類似体は、α-
ヒドロキシ酸およびα-アミノ酸などが含まれうる。
【0131】
「アミノ酸側鎖」または「アミノ酸の側鎖」などの語は、天然アミノ酸、非天然アミノ
酸およびアミノ酸類似体を含むアミノ酸残基のα-炭素に結合した置換基を示すために用
いられうる。アミノ酸側鎖には、本明細書に記載されている修飾アミノ酸および/または
コンジュゲートの文脈で記載されているアミノ酸側鎖も含まれうる。
【0132】
「炭水化物」などの語は、単糖、二糖、オリゴ糖および多糖の単量体単位および/また
は重合体を示すために用いられうる。糖なる語は、より小さな炭水化物、例えば単糖、二
糖を示すために用いられうる。「炭水化物誘導体」なる語は、関心のある炭水化物の官能
基の1以上が置換されている(任意の簡便な置換基により置換されている)または修飾さ
れている(任意の簡便な化学法を用いて別の基に変換されている)または存在しない(例
えば、除去されている、またはHにより置換されている)、化合物を含む。種々の炭水化
物および炭水化物誘導体が入手可能であり、対象化合物およびコンジュゲートにおける使
用のために適合化されうる。
【0133】
「抗体」なる語は最も広い意味で用いられ、モノクローナル抗体(完全長モノクローナ
ル抗体を含む)、ポリクローナル抗体および多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)
、ヒト化抗体、一本鎖抗体、キメラ抗体、抗体フラグメント(例えば、Fabフラグメン
ト)などを含む。抗体は標的抗原に結合しうる(Janeway,C.,Travers
,P.,Walport,M.,Shlomchik(2001)Immuno Bio
logy,5th Ed.,Garland Publishing,New York
)。標的抗原は、抗体の1以上の可変領域により形成される相補性決定領域(CDR)に
より認識される、エピトープとも称される1以上の結合部位を有しうる。
【0134】
「天然抗体」なる語は、抗体の重鎖および軽鎖が多細胞生物の免疫系により産生されペ
ア形成している抗体を意味する。脾臓、リンパ節、骨髄および血清は、天然抗体を産生す
る組織の例である。例えば、抗原で免疫された最初の動物から単離される抗体産生細胞に
より産生される抗体は天然抗体である。
【0135】
「ヒト化抗体」または「ヒト化免疫グロブリン」なる語は、ヒト抗体からの対応位置の
アミノ酸で置換された1以上のアミノ酸(例えば、フレームワーク領域、定常領域または
CDR)を含有する非ヒト(例えば、マウスまたはウサギ)抗体を意味する。一般に、ヒ
ト化抗体は、同じ抗体の非ヒト化形態と比較して低減した、ヒト宿主における免疫応答を
生成する。抗体は、当技術分野で公知の種々の技術を用いてヒト化されることが可能であ
り、そのような技術には、例えば、CDRグラフティング(EP 239,400;PC
T公開WO 91/09967;米国特許第5,225,539号、第5,530,10
1号および第5,585,089号)、ベニアリングまたはリサーフェシング(EP 5
92,106;EP 519,596;Padlan,Molecular Immun
ology 28(4/5):489-498(1991);Studnickaら,P
rotein Engineering 7(6):805-814(1994);Ro
guskaら,PNAS 91:969-973(1994))、および鎖シャッフリン
グ(米国特許第5,565,332号)が含まれる。ある実施形態においては、抗原結合
に重要なフレームワーク残基を特定するたの、CDRおよびフレームワーク残基の相互作
用のモデリング、ならびに特定の位置における異常フレームワーク残基を特定するための
配列比較により、フレームワーク置換を特定する(例えば、米国特許第5,585,08
9号;Riechmannら,Nature 332:323(1988)を参照された
い)。本発明における使用が想定される抗体をヒト化するための追加的な方法は米国特許
第5,750,078号、第5,502,167号、第5,705,154号、第5,7
70,403号、第5,698,417号、第5,693,493号、第5,558,8
64号、第4,935,496号および第4,816,567号ならびにPCT公開WO
98/45331およびWO 98/45332に記載されている。特定の実施形態に
おいては、対象ウサギ抗体は、US20040086979およびUS20050033
031に記載されている方法に従いヒト化されうる。したがって、前記抗体は、当技術分
野でよく知られた方法を用いてヒト化されうる。
【0136】
「キメラ抗体」なる語は、異なる種に属する抗体可変領域および定常領域遺伝子から、
典型的には遺伝子工学によって軽鎖および重鎖遺伝子が構築された抗体を意味する。例え
ば、マウスモノクローナル抗体由来の遺伝子の可変セグメントはガンマ1およびガンマ3
のようなヒト定常セグメントに連結されうる。治療用キメラ抗体の一例は、マウス抗体由
来の可変または抗原結合ドメインと、ヒト抗体由来の定常またはエフェクタードメインと
から構成されるハイブリッドタンパク質であるが、他の哺乳類種由来のドメインも使用さ
れうる。
【0137】
免疫グロブリンポリペプチド免疫グロブリン軽または重鎖可変領域は、3つの超可変領
域(「相補性決定領域」または「CDR」とも称される)が間に介在しているフレームワ
ーク領域(FR)から構成される。フレームワーク領域およびCDRの範囲は決定されて
いる(“Sequences of Proteins of Immunologic
al Interest”,E.Kabatら,U.S.Department of
Health and Human Services,1991を参照されたい)。抗
体のフレームワーク領域は構成軽鎖および重鎖の組合せフレームワーク領域であり、CD
Rを配置し整列させる働きをする。CDRは主に、抗原のエピトープへの結合をもたらす
【0138】
本開示の全体を通して、免疫グロブリン重鎖および免疫グロブリン軽鎖における残基の
番号付けは、Kabatら,Sequences of Proteins of Im
munological Interest,5th Ed.Public Healt
h Service,National Institutes of Health,
Bethesda,Md.(1991)(これを参照により明示的に本明細書に組み入れ
ることとする)におけるものと同様である。
【0139】
「親Igポリペプチド」は、本明細書に記載されているアルデヒドタグ付き定常領域を
欠くアミノ酸配列を含むポリペプチドである。親ポリペプチドは天然配列定常領域を含む
ことが可能であり、あるいは既存アミノ酸配列修飾(例えば、付加、欠失および/または
置換)を含有する定常領域を含むことが可能である。
【0140】
Igポリペプチドとの関連において、「定常領域」なる語は当技術分野において十分に
理解されており、Ig重鎖またはIg軽鎖のC末端領域を意味する。Ig重鎖定常領域は
CH1、CH2およびCH3ドメイン(および重鎖がμまたはε重鎖である場合にはCH
4ドメイン)を含む。天然Ig重鎖においては、CH1、CH2、CH3(および存在す
る場合にはCH4)ドメインは重鎖可変(VH)領域の直後(C末端)から始まり、それ
ぞれ約100アミノ酸~約130アミノ酸の長さを有する。天然Ig軽鎖においては、定
常領域は軽鎖可変(VL)領域の直後(C末端)から始まり、約100アミノ酸~120
アミノ酸の長さを有する。
【0141】
本明細書中で用いる「CDR」または「相補性決定領域」なる語は、重鎖および軽鎖ポ
リペプチドの両方の可変領域内に見出される不連続抗原結合部位を意味すると意図される
。CDRはKabatら,J.Biol.Chem.252:6609-6616(19
77);Kabatら,U.S.Dept.of Health and Human
Services,“Sequences of proteins of immun
ological interest”(1991);Chothiaら,J.Mol.
Biol.196:901-917(1987);およびMacCallumら,J.M
ol.Biol.262:732-745(1996)に記載されており、ここで、その
定義は、互いに比較された場合のアミノ酸残基の重複またはサブセットを含む。それでも
、抗体またはそのグラフト化抗体もしくは変異体のCDRを示すためのいずれの定義の適
用も、本明細書において定義され用いられている用語の範囲内であると意図される。前記
引用文献のそれぞれにより定義されているCDRを含むアミノ酸残基を、比較として以下
の表1に示す。
【表2】
【0142】
ポリペプチド、ペプチドまたはタンパク質のアミノ酸配列に関して用いる「遺伝的にコ
ード可能な」は、該アミノ酸配列が、該アミノ酸配列をコードする核酸の転写および翻訳
により産生されうるアミノ酸残基から構成されていることを意味し、ここで、転写および
/または翻訳は、細胞において、または無細胞インビトロ転写/翻訳系において生じうる
【0143】
「制御配列」なる語は、特定の発現系(例えば、哺乳類細胞、細菌細胞、無細胞合成な
ど)において、機能的に連結されたコード配列の発現を促進するDNA配列を意味する。
原核生物系に適した制御配列には、例えば、プロモーター、所望により、オペレーター配
列、およびリボソーム結合部位が含まれる。真核細胞系はプロモーター、ポリアデニル化
シグナルおよびエンハンサーを利用しうる。
【0144】
核酸が「機能的に連結」されていると言えるのは、それが別の核酸配列に対して機能的
な関係で配置されている場合である。例えば、プレ配列または分泌リーダーのDNAがポ
リペプチドのDNAに機能的に連結されていると言えるのは、それが、該ポリペプチドの
分泌に関与するプレタンパク質として発現される場合であり、プロモーターまたはエンハ
ンサーがコード配列に機能的に連結されていると言えるのは、それが該配列の転写に影響
を及ぼす場合であり、あるいはリボソーム結合部位がコード配列に機能的に連結されてい
ると言えるのは、翻訳の開始を促進するようにそれが位置している場合である。一般に、
「機能的に連結(されている)」は、連結されているそれらのDNA配列が連続的であり
、分泌リーダーの場合には、連続的であり、かつ、リーディングフレーム内にあることを
意味する。連結はライゲーションまたは増幅反応により達成される。配列を連結するため
に、通常の慣例に従い、合成オリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーが使用されう
る。
【0145】
本明細書中で用いる「発現カセット」なる語は、(例えば、関心のある構築物内への連
結に適した制限部位の使用により、または関心のある構築物内もしくは宿主細胞ゲノム内
への相同組換えにより)核酸内に挿入されうる核酸(通常はDNA)のセグメントを意味
する。一般に、核酸セグメントは、関心のあるポリペプチドをコードするポリヌクレオチ
ドを含み、カセットおよび制限部位は、転写および翻訳のための適切なリーディングフレ
ームでのカセットの挿入を容易にするように設計される。発現カセットは、宿主細胞にお
ける関心ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現を促進するエレメントをも含
みうる。これらのエレメントには、限定的なものではないが、プロモーター、最小プロモ
ーター、エンハンサー、応答エレメント、ターミネーター配列、ポリアデニル化配列など
が含まれる。
【0146】
本明細書中で用いる「単離(された)」なる語は、関心のある化合物が、該化合物が天
然で存在する環境とは異なる環境中に存在すること示すと意図される。「単離(された)
」は、化合物が、関心のある化合物に関して実質的に富化したサンプル内に存在すること
、および/または関心のある化合物が部分的もしくは実質的に精製されていることを含む
意である。
【0147】
本明細書中で用いる「実質的に精製(された)」なる語は、化合物が、その天然環境か
ら実質的に取り出されており、それに天然で付随している他の成分から少なくとも60%
、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なく
とも95%、少なくとも98%、または98%以上取り出されている(free)ことを
意味する。
【0148】
「生理的条件」なる語は、生細胞に適合した条件、例えば、生細胞に適合した温度、p
H、塩分などの主に水性の条件を含むと意図される。
【0149】
「反応相手」は、別の反応相手と特異的に反応して反応生成物を生成する分子または分
子部分を意味する。典型的な反応相手には、スルファターゼモチーフおよびホルミルグリ
シン生成酵素(FGE)のシステインまたはセリンが含まれ、これは、該モチーフにおい
てシステインまたはセリンの代わりにホルミルグリシン(FGly)を含有する変換アル
デヒドタグの反応生成物を生成するように反応する。他の典型的な反応相手には、変換ア
ルデヒドタグのfGly残基のアルデヒド(例えば、反応性アルデヒド基)および「アル
デヒド反応性反応相手」が含まれ、これはアルデヒド反応性基および関心のある部分を含
み、修飾gGly残基を介して修飾ポリペプチドにコンジュゲート化された関心のある部
分を有する修飾アルデヒドタグ付きポリペプチドの反応生成物を生成するように反応する
【0150】
「N末端」は、遊離アミン基を有するポリペプチドの末端アミノ酸残基を意味し、非N
末端アミノ酸残基におけるアミン基は通常、ポリペプチドの共有結合バックボーンの一部
を形成する。
【0151】
「C末端」は、遊離カルボキシル基を有するポリペプチドの末端アミノ酸残基を意味し
、非C末端アミノ酸残基におけるカルボキシル基は通常、ポリペプチドの共有結合バック
ボーンの一部を形成する。
【0152】
ポリペプチドまたはポリペプチドのアミノ酸配列に関して用いる「内部部位」は、N末
端またはC末端には存在しない、該ポリペプチドの領域を意味する。
【0153】
本発明をより詳細に説明する前に、本発明は、記載されている特定の態様に限定される
ものではなく、したがって、勿論、変動しうると理解されるべきである。また、本明細書
中で用いられる用語は、特定の態様を説明することを目的としたものであるに過ぎず、本
発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、該用語は限定的なもの
ではないと理解されるべきである。
【0154】
値の範囲が示されている場合、その範囲の上限と下限との間の、文脈に明らかに矛盾し
ない限り下限の単位の10分の1までの各介在値、およびその示されている範囲内の任意
の他の示されている又は介在する値が本発明に含まれると理解される。これらの、より小
さい範囲の、上限および下限は、独立して、より小さい範囲内に含まれることが可能であ
り、示されている範囲内のいずれかの特に除外される限界がありうることを前提として、
同様に本発明に含まれる。示されている範囲がそれらの限界の一方または両方を含む場合
、それらの含まれる限界の一方または両方を除外する範囲も本発明に含まれる。
【0155】
本発明の或る特徴は、明瞭化のために別々の実施形態の文脈で記載されているが、単一
実施形態において組合されて提供されることも可能であると理解される。逆に、本発明の
種々の特徴は、簡潔化のために単一実施形態の文脈で記載されているが、別々に又は任意
の適当な部分的組合せ(サブコンビネーション)として提供されることも可能である。本
発明に関する実施形態の、全ての組合せは、そのような組合せが、例えば安定化合物(す
なわち、製造、単離、特徴づけ、および生物活性に関する試験が可能な化合物)である化
合物である発明内容を含む限りにおいて、各個の組合せが個々に且つ明示的に本明細書に
開示されている場合と同様に、本発明に特に含まれ、本明細書に開示されている。また、
種々の実施形態およびそれらの要素(例えば、そのような変形形態を記載する実施形態に
おいて挙げられている化学基の要素)の、全ての部分的組合せも、各個の部分的組合せが
個々に且つ明示的に本明細書に開示されている場合と同様に、本発明に特に含まれ、本明
細書に開示されている。
【0156】
特に示されていない限り、本明細書中で用いる全ての科学技術用語は、本発明が属する
技術分野の当業者に一般に理解されているのと同じ意味を有する。本明細書に記載されて
いるものと類似した又は等価な任意の方法および材料も本発明の実施または試験において
使用されうるが、以下においては好ましい方法および材料を記載する。本明細書中に挙げ
られている全ての刊行物を、該刊行物が引用されている対象である方法および/または材
料を開示し記載するために、参照により本明細書に組み入れることとする。
【0157】
本明細書および添付の特許請求の範囲で用いる単数形は、文脈に明らかに矛盾しない限
り、複数対象物を含むことに注意すべきである。更に、特許請求の範囲は、任意の随意的
(すなわち、所望により含まれていてもよい)要素を除くように書かれうることに注意す
べきである。したがって、この陳述は、特許請求の範囲の要素の列挙に関する「専ら」、
「だけ」などのような排他的用語の使用または「消極的」な限定の使用のための先行的基
礎として働くと意図される。
【0158】
本発明の或る特徴は、明瞭化のために別々の実施形態の文脈で記載されているが、単一
実施形態において組合されて提供されることも可能であると理解される。逆に、本発明の
種々の特徴は、簡潔化のために単一実施形態の文脈で記載されているが、別々に又は任意
の適当な部分的組合せ(サブコンビネーション)として提供されることも可能である。
【0159】
本明細書に記載されている刊行物は本出願の出願日の前のそれらの開示のために記載さ
れているに過ぎない。本明細書におけるいずれのものも、本発明が先行発明としてそのよ
うな刊行物に先行する権利を有さないと認めるものと解釈されるべきではない。更に、示
されている公開日は、独立して証明されることを要しうる実際の公開日とは異なりうる。
【0160】
詳細な説明
本開示は抗CD22抗体-メイタンシンコンジュゲート構造体を提供する。本開示はま
た、そのようなコンジュゲートの製造方法およびその使用方法も含む。それぞれの実施形
態は以下の節において更に詳細に説明される。
【0161】
抗体-薬物コンジュゲート
本開示はコンジュゲート、例えば抗体-薬物コンジュゲートを提供する。「コンジュゲ
ート」は、第1部分(例えば、抗体)が第2部分(例えば、薬物)に安定に結合している
ものを意味する。例えば、メイタンシンコンジュゲートは、別の部分(例えば、抗体)に
安定に結合しているメイタンシン(例えば、メイタンシン活性物質部分)を含む。「安定
に結合(している)」は、ある部分が標準条件下で別の部分または構造に結合しているこ
とを意味する。ある実施形態においては、第1部分と第2部分とは1以上の共有結合によ
り互いに結合している。
【0162】
ある実施形態においては、該コンジュゲートは、第2部分にコンジュゲート化されたポ
リペプチドを含むポリペプチドコンジュゲートである。ある実施形態においては、ポリペ
プチドにコンジュゲート化される部分は、関心のある種々の部分のいずれか、例えば、検
出可能標識、薬物、水溶性ポリマー、または膜もしくは表面への該ポリペプチドの固定化
のための部分(これらに限定されるものではない)でありうる。ある実施形態においては
、該コンジュゲートはメイタンシンコンジュゲートであり、この場合、ポリペプチドはメ
イタンシンまたはメイタンシン活性物質部分にコンジュゲート化されている。「メイタン
シン」、「メイタンシン部分」、「メイタンシン活性物質部分」および「メイタンシノイ
ド」はメイタンシンならびにその類似体および誘導体、ならびに薬学的に活性なメイタン
シン部分および/またはその一部を意味する。ポリペプチドにコンジュゲート化されるメ
イタンシンは、種々のメイタンシノイド部分のいずれか、例えば、本明細書に記載されて
いるメイタンシンならびにその類似体および誘導体(これらに限定されるものではない)
でありうる。
【0163】
関心のある部分は、ポリペプチドの任意の所望の部位において、ポリペプチドにコンジ
ュゲート化されうる。したがって、本開示は、例えば、ポリペプチドのC末端またはC末
端付近の部位においてコンジュゲート化された部分を有する修飾ポリペプチドを提供する
。他の例には、ポリペプチドのN末端またはN末端付近の位置においてコンジュゲート化
された部分を有する修飾ポリペプチドが含まれる。具体例には、ポリペプチドのC末端と
N末端との間の位置(例えば、ポリペプチドの内部部位)においてコンジュゲート化され
た部分を有する修飾ポリペプチドも含まれる。修飾ポリペプチドが2以上の部分にコンジ
ュゲート化されている場合、前記のものの組合せも可能である。
【0164】
ある実施形態においては、本開示のコンジュゲートは、アミノ酸残基のα-炭素におい
てポリペプチドのアミノ酸残基にコンジュゲート化されたメイタンシンを含む。換言すれ
ば、メイタンシンコンジュゲートは、ポリペプチドにおける1以上のアミノ酸残基の側鎖
が、メイタンシンに結合するように(例えば、本明細書に記載されているリンカーを介し
てメイタンシンに結合するように)修飾されている、ポリペプチドを含む。例えば、メイ
タンシンコンジュゲートは、ポリペプチドにおける1以上のアミノ酸残基のα-炭素が、
メイタンシンに結合するように(例えば、本明細書に記載されているリンカーを介してメ
イタンシンに結合するように)修飾されている、ポリペプチドを含む。
【0165】
本開示の実施形態は、1以上の部分、例えば2個の部分、3個の部分、4個の部分、5
個の部分、6個の部分、7個の部分、8個の部分、9個の部分または10個またはそれ以
上の部分にポリペプチドがコンジュゲート化されているコンジュゲートを含む。該部分は
、ポリペプチドにおける1以上の部位においてポリペプチドにコンジュゲート化されうる
。例えば、1以上の部分がポリペプチドの単一アミノ酸残基にコンジュゲート化されうる
。幾つかの場合には、1つの部分がポリペプチドのアミノ酸残基にコンジュゲート化され
る。他の実施形態では、2つの部分がポリペプチドの同一アミノ酸残基にコンジュゲート
化されうる。他の実施形態では、第1部分はポリペプチドの第1アミノ酸残基にコンジュ
ゲート化され、第2部分はポリペプチドの第2アミノ酸残基にコンジュゲート化される。
前記のものの組合せも可能であり、例えば、ポリペプチドは第1アミノ酸残基において第
1部分にコンジュゲート化され、第2アミノ酸残基において2つの他の部分にコンジュゲ
ート化される。他の組合せも可能であり、限定的なものではないが例えば、ポリペプチド
は第1アミノ酸残基において第1および第2部分にコンジュゲート化され、第2アミノ酸
残基において第3および第4部分にコンジュゲートされる、などである。
【0166】
1以上の部分にコンジュゲート化される、1以上のポリペプチドアミノ酸残基は、天然
に存在するアミノ酸、非天然アミノ酸またはそれらの組合せでありうる。例えば、コンジ
ュゲートは、ポリペプチドの、天然に存在するアミノ酸残基にコンジュゲート化された部
分を含みうる。他の例においては、コンジュゲートは、ポリペプチドの非天然アミノ酸残
基にコンジュゲート化された部分を含みうる。1以上の部分が、前記の単一の天然または
非天然アミノ酸残基においてポリペプチドにコンジュゲート化されうる。ポリペプチドに
おける1以上の天然または非天然のアミノ酸残基が、本明細書に記載されている1以上の
部分にコンジュゲート化されうる。例えば、ポリペプチドにおける2個(またはそれ以上
)のアミノ酸残基(例えば、天然または非天然アミノ酸残基)がそれぞれ、1個または2
個の部分にコンジュゲート化されて、ポリペプチドにおける複数の部位が修飾されうる。
【0167】
本明細書に記載されているとおり、ポリペプチドは1以上の部分にコンジュゲート化さ
れうる。ある実施形態においては、関心のある部分は化学的部分、例えば薬物または検出
可能な標識である。例えば、薬物(例えば、メイタンシン)がポリペプチドにコンジュゲ
ート化されることが可能であり、あるいは他の実施形態においては、検出可能な標識がポ
リペプチドにコンジュゲートされることが可能である。したがって、例えば、本開示の実
施形態は、限定的なものではないが以下のものを含む:ポリペプチドと薬物とのコンジュ
ゲート、ポリペプチドと検出可能な標識とのコンジュゲート、2以上の薬物とポリペプチ
ドとのコンジュゲート、2以上の検出可能な標識とポリペプチドとのコンジュゲートなど
【0168】
ある実施形態においては、ポリペプチドおよび関心のある部分はカップリング部分を介
してコンジュゲート化される。例えば、ポリペプチドおよび関心のある部分はそれぞれ、
カップリング部分に結合(例えば、共有結合)することが可能であり、したがって、ポリ
ペプチドおよび関心のある部分(例えば、メイタンシンのような薬物)を共にカップリン
グ部分を介して間接的に結合させることが可能である。幾つかの場合においては、カップ
リング部分はヒドラジニル-インドリルまたはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニル化合物
、またはヒドラジニル-インドリルまたはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニル化合物の誘
導体を含む。例えば、関心のある部分(例えば、メイタンシン)をヒドラジニル-インド
リルまたはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルカップリング部分を介してポリペプチドに
結合させるための一般的スキームは、以下の一般的反応スキームにおいて示される。ヒド
ラジニル-インドリイルおよびヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルカップリング部分は、
本明細書においては、それぞれ、ヒドラジノ-イソ-ピクテット-スペングラー(HIP
S)カップリング部分およびアザ-ヒドラジノ-イソ-ピクテット-スペングラー(アザ
HIPS)カップリング部分とも称される。
【化8】
【0169】
前記反応スキームにおいて、Rは、ポリペプチドにコンジュゲート化される、関心のあ
る部分(例えば、メイタンシン)である。前記反応スキームにおいて示されているとおり
、2-ホルミルグリシン残基(fGly)を含むポリペプチドを、カップリング部分(例
えば、ヒドラジニル-インドリルまたはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルカップリング
部分)を含むように修飾された薬物(例えば、メイタンシン)と反応させて、カップリン
グ成分に結合したポリペプチドコンジュゲートを得、そのようにして、カップリング成分
を介してメイタンシンをポリペプチドに結合させる。
【0170】
本明細書に記載されているとおり、該部分は、限定的なものではないが例えば、検出可
能な標識または薬物(例えば、メイタンシノイド)のような化学的部分などの種々の部分
のいずれかであることが可能であり、R’およびR’’は、それぞれ独立して、任意の所
望の置換基、限定的なものではないが例えば、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニ
ル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アミ
ノ、置換アミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシル
アミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換アルキルアミド、スルホニル、チオアルコ
キシ、置換チオアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリ
ール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリルおよび置換ヘテロシクリル
でありうる。ZはCR11、NR12、N、OまたはSであることが可能であり、ここで
、R11およびR12は、それぞれ独立して、前記のR’およびR’’に関して記載され
ている置換基のいずれかから選択される。
【0171】
本明細書に記載されているコンジュゲートおよび化合物において示されているとおり、
他のヒドラジニル-インドリルまたはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルカップリング部
分も可能である。例えば、ヒドラジニル-インドリルまたはヒドラジニル-ピロロ-ピリ
ジニルカップリング部分は、リンカーに結合(例えば、共有結合)するように修飾されう
る。したがって、本開示の実施形態は、リンカーを介して薬物(例えば、メイタンシン)
に結合したヒドラジニル-インドリルまたはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルカップリ
ング部分を含む。ヒドラジニル-インドリルまたはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルカ
ップリング部分を薬物(例えば、メイタンシン)に結合させうるリンカーの種々の実施形
態は本明細書に詳細に記載されている。
【0172】
ある実施形態においては、関心のある部分へのコンジュゲート化の前にポリペプチドが
修飾され、関心のある部分にポリペプチドがコンジュゲート化されうる。ポリペプチドの
修飾は、関心のある部分へのコンジュゲート化に適した1以上の反応性基を含有する修飾
ポリペプチドを与えうる。幾つかの場合には、ポリペプチドは1以上のアミノ酸残基にお
いて修飾されて、関心のある部分(例えば、前記のヒドラジニル-インドリルまたはヒド
ラジニル-ピロロ-ピリジニルカップリング部分のようなカップリング部分を含む部分)
に結合するのに適した1以上の反応性基を与えうる。例えば、ポリペプチドは、反応性ア
ルデヒド基(例えば、反応性アルデヒド)を含むように修飾されうる。反応性アルデヒド
は「アルデヒドタグ」または「ald-タグ」に含まれることが可能であり、これらの語
は、本明細書中で用いられる場合、2-ホルミルグリシン残基(本明細書においては「F
Gly」と称される)を含有するようにホルミルグリシン生成酵素(FGE)の作用によ
り変換された、スルファターゼモチーフ(例えば、L(C/S)TPSR)に由来するア
ミノ酸配列を意味する。FGEにより生成されるFGly残基は「ホルミルグリシン」と
も称されうる。換言すれば、「アルデヒドタグ」なる語は、「変換された」スルファター
ゼモチーフ(すなわち、システインまたはセリン残基がFGEの作用によりFGlyに変
換された、スルファターゼモチーフ、例えばL(FGly)TPSR)を含むアミノ酸配
列を示すために本明細書中で用いられる。変換されるスルファターゼモチーフは、「未変
換」スルファターゼモチーフ(すなわち、システインまたはセリン残基がFGEの作用に
よりFGlyに未だ変換されていないが、変換可能である、スルファターゼモチーフ、例
えば、配列L(C/S)TPSRを有する未変換スルファターゼモチーフ)を含むアミノ
酸配列に由来しうる。スルファターゼモチーフに対するホルミルグリシン生成酵素(FG
E)の作用の文脈で用いられる「変換」は、スルファターゼモチーフにおけるシステイン
またはセリン残基の、ホルミルグリシン(FGly)残基への生化学的修飾(例えば、C
ysからFGly、またはSerからFGly)を意味する。アルデヒドタグの追加的態
様、および部位特異的タンパク質修飾におけるそれらの使用は、米国特許第7,985,
783号および米国特許第8,729,232号(それらのそれぞれの開示を参照により
本明細書に組み入れることとする)に記載されている。
【0173】
幾つかの場合においては、FGly残基を含有する修飾ポリペプチドは、化合物(例え
ば、ヒドラジニル-インドリルまたはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルカップリング部
分を含有する化合物)とのFGlyの反応により、関心のある部分にコンジュゲート化さ
れうる。例えば、FGly含有ポリペプチドを、ポリペプチドへの薬物のコンジュゲート
化をもたらすのに適した条件下、反応相手を含有する薬物と接触させることが可能である
。幾つかの場合においては、反応相手を含有する薬物は前記のヒドラジニル-インドリル
またはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルカップリング部分を含みうる。例えば、メイタ
ンシンは、ヒドラジニル-インドリルまたはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルカップリ
ング部分を含むように修飾されうる。幾つかの場合においては、メイタンシンはヒドラジ
ニル-インドリルまたはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルに結合し、例えば、本明細書
に詳細に記載されているとおり、リンカーを介してヒドラジニル-インドリルまたはヒド
ラジニル-ピロロ-ピリジニルに共有結合する。
【0174】
ある実施形態においては、本開示のコンジュゲートは、少なくとも1つの修飾アミノ酸
残基を有するポリペプチド(例えば抗体、例えば抗CD22抗体)を含む。ポリペプチド
の修飾アミノ酸残基は、前記のとおり、ヒドラジニル-インドリルまたはヒドラジニル-
ピロロ-ピリジニルカップリング部分を含有する薬物(例えば、メイタンシン)にカップ
リング(結合)されうる。ある実施形態においては、ポリペプチド(例えば、抗CD22
抗体)の修飾アミノ酸残基は、前記のとおりにFGly残基に変換されたシステインまた
はセリン残基から誘導されうる。ある実施形態においては、前記のヒドラジニル-インド
リルまたはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルカップリング部分を含有する薬物にFGl
y残基をコンジュゲート化させて、本開示のコンジュゲートを得、ここで、薬物はヒドラ
ジニル-インドリルまたはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルカップリング部分を介して
ポリペプチドにコンジュゲート化されている。本明細書中で用いるFGly’なる語は、
関心のある部分(例えば、メイタンシノイドのような薬物)にカップリングされるポリペ
プチド(例えば、抗CD22抗体)の修飾アミノ酸残基を意味する。
【0175】
ある実施形態においては、該コンジュゲートは、本明細書に記載されている式(I)の
、少なくとも1つの修飾アミノ酸残基を含む。例えば、該コンジュゲートは、式(I)の
側鎖を有する少なくとも1つの修飾アミノ酸残基を含みうる。
【化9】
【0176】
[式中、
ZはCRまたはNである;
は水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、
置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シク
ロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリルおよび置換ヘテロシクリルから選択さ
れる;
およびRは、それぞれ独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル
、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アミノ
、置換アミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルア
ミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換アルキルアミド、スルホニル、チオアルコキ
シ、置換チオアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリー
ル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリルおよび置換ヘテロシクリルか
ら選択され、あるいはRとRとは、所望により、環状に連結されて、5または6員ヘ
テロシクリルを形成していてもよい;
各Rは、独立して、水素、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換
アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アミノ、置換
アミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、
アミノアシル、アルキルアミド、置換アルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置
換チオアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シ
クロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリルおよび置換ヘテロシクリルから選択
される;
Lは、-(T-V-(T-V-(T-V-(T-V
-を含むリンカーであり、ここで、a、b、cおよびdは、それぞれ独立して、0また
は1であり、a、b、cおよびdの合計は1~4である;
、T、TおよびTは、それぞれ独立して、(C-C12)アルキル、置
換(C-C12)アルキル、(EDA)、(PEG)、(AA)、-(CR13
OH)-、ピペリジン-4-アミノ(4AP)、アセタール基、ヒドラジン、ジスルフ
ィドおよびエステルから選択され、ここで、EDAはエチレンジアミン部分であり、PE
Gはポリエチレングリコールまたは修飾ポリエチレングリコールであり、AAはアミノ酸
残基であり、wは1~20の整数であり、nは1~30の整数であり、pは1~20の整
数であり、hは1~12の整数である;
、V、VおよびVは、それぞれ独立して、共有結合、-CO-、-NR
-、-NR15(CH-、-NR15(C)-、-CONR15-、-N
15CO-、-C(O)O-、-OC(O)-、-O-、-S-、-S(O)-、-S
-、-SONR15-、-NR15SO-および-P(O)OH-からなる群か
ら選択され、ここで、qは1~6の整数である;
各R13は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリールおよび置換アリー
ルから選択される;
各R15は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニ
ル、アルキニル、置換アルキニル、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アリ
ール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シク
ロアルキル、ヘテロシクリルおよび置換ヘテロシクリルから選択される;
はメイタンシノイドである;ならびに
は抗CD22抗体である]。
【0177】
ある実施形態においては、ZはCRまたはNである。ある実施形態においては、Zは
CRである。ある実施形態においては、ZはNである。
【0178】
ある実施形態においては、Rは水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換ア
ルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置
換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリルおよび置換ヘ
テロシクリルから選択される。ある実施形態においては、Rは水素である。ある実施形
態においては、Rはアルキルまたは置換アルキル、例えば、C1-6アルキルまたはC
1-6置換アルキル、あるいはC1-4アルキルまたはC1-4置換アルキル、あるいは
1-3アルキルまたはC1-3置換アルキルである。ある実施形態においては、R
アルケニルまたは置換アルケニル、例えば、C2-6アルケニルまたはC2-6置換アル
ケニル、あるいはC2-4アルケニルまたはC2-4置換アルケニル、あるいはC2-3
アルケニルまたはC2-3置換アルケニルである。ある実施形態においては、Rはアル
キニルまたは置換アルキニル、例えば、C2-6アルケニルまたはC2-6置換アルケニ
ル、あるいはC2-4アルケニルまたはC2-4置換アルケニル、あるいはC2-3アル
ケニルまたはC2-3置換アルケニルである。ある実施形態においては、Rはアリール
または置換アリール、例えば、C5-8アリールまたはC5-8置換アリール、例えば、
アリールまたはC置換アリール、あるいはCアリールまたはC置換アリールで
ある。ある実施形態においては、Rはヘテロアリールまたは置換ヘテロアリール、例え
ば、C5-8ヘテロアリールまたはC5-8置換ヘテロアリール、例えば、Cヘテロア
リールまたはC置換ヘテロアリール、あるいはCヘテロアリールまたはC置換ヘテ
ロアリールである。ある実施形態においては、Rはシクロアルキルまたは置換シクロア
ルキル、例えば、C3-8シクロアルキルまたはC3-8置換シクロアルキル、あるいは
3-6シクロアルキルまたはC3-6置換シクロアルキル、あるいはC3-5シクロア
ルキルまたはC3-5置換シクロアルキルである。ある実施形態においては、Rはヘテ
ロシクリルまたは置換ヘテロシクリル、例えば、C3-8ヘテロシクリルまたはC3-8
置換ヘテロシクリル、あるいはC3-6ヘテロシクリルまたはC3-6置換ヘテロシクリ
ル、あるいはC3-5ヘテロシクリルまたはC3-5置換ヘテロシクリルである。
【0179】
ある実施形態においては、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、アルキル、置
換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、
置換アルコキシ、アミノ、置換アミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、
アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換アルキルアミド、ス
ルホニル、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリ
ール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリルおよ
び置換ヘテロシクリルから選択され、あるいはRとRとは、所望により、環状に連結
されて、5または6員ヘテロシクリルを形成していてもよい。
【0180】
ある実施形態においては、Rは水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換ア
ルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アミノ、置換ア
ミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、ア
ミノアシル、アルキルアミド、置換アルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換
チオアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シク
ロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリルおよび置換ヘテロシクリルから選択さ
れる。ある実施形態においては、Rは水素である。ある実施形態においては、Rはア
ルキルまたは置換アルキル、例えば、C1-6アルキルまたはC1-6置換アルキル、あ
るいはC1-4アルキルまたはC1-4置換アルキル、あるいはC1-3アルキルまたは
1-3置換アルキルである。ある実施形態においては、Rはアルケニルまたは置換ア
ルケニル、例えば、C2-6アルケニルまたはC2-6置換アルケニル、あるいはC2-
アルケニルまたはC2-4置換アルケニル、あるいはC2-3アルケニルまたはC2-
置換アルケニルである。ある実施形態においては、Rはアルキニルまたは置換アルキ
ニルである。ある実施形態においては、Rはアルコキシまたは置換アルコキシである。
ある実施形態においては、Rはアミノまたは置換アミノである。ある実施形態において
は、Rはカルボキシルまたはカルボキシルエステルである。ある実施形態においては、
はアシルまたはアシルオキシである。ある実施形態においては、Rはアシルアミノ
またはアミノアシルである。ある実施形態においては、Rはアルキルアミドまたは置換
アルキルアミドである。ある実施形態においては、Rはスルホニルである。ある実施形
態においては、Rはチオアルコキシまたは置換チオアルコキシである。ある実施形態に
おいては、Rはアリールまたは置換アリール、例えば、C5-8アリールまたはC5-
置換アリール、例えば、CアリールまたはC置換アリール、あるいはCアリール
またはC置換アリールである。ある実施形態においては、Rはヘテロアリールまたは
置換ヘテロアリール、例えば、C5-8ヘテロアリールまたはC5-8置換ヘテロアリー
ル、例えば、CヘテロアリールまたはC置換ヘテロアリール、あるいはCヘテロア
リールまたはC置換ヘテロアリールである。ある実施形態においては、Rはシクロア
ルキルまたは置換シクロアルキル、例えば、C3-8シクロアルキルまたはC3-8置換
シクロアルキル、あるいはC3-6シクロアルキルまたはC3-6置換シクロアルキル、
あるいはC3-5シクロアルキルまたはC3-5置換シクロアルキルである。ある実施形
態においては、Rはヘテロシクリルまたは置換ヘテロシクリル、例えば、C3-6ヘテ
ロシクリルまたはC3-6置換ヘテロシクリル、あるいはC3-5ヘテロシクリルまたは
3-5置換ヘテロシクリルである。
【0181】
ある実施形態においては、Rは水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換ア
ルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アミノ、置換ア
ミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、ア
ミノアシル、アルキルアミド、置換アルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換
チオアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シク
ロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリルおよび置換ヘテロシクリルから選択さ
れる。ある実施形態においては、Rは水素である。ある実施形態においては、Rはア
ルキルまたは置換アルキル、例えば、C1-6アルキルまたはC1-6置換アルキル、あ
るいはC1-4アルキルまたはC1-4置換アルキル、あるいはC1-3アルキルまたは
1-3置換アルキルである。ある実施形態においては、Rはアルケニルまたは置換ア
ルケニル、例えば、C2-6アルケニルまたはC2-6置換アルケニル、あるいはC2-
アルケニルまたはC2-4置換アルケニル、あるいはC2-3アルケニルまたはC2-
置換アルケニルである。ある実施形態においては、Rはアルキニルまたは置換アルキ
ニルである。ある実施形態においては、Rはアルコキシまたは置換アルコキシである。
ある実施形態においては、Rはアミノまたは置換アミノである。ある実施形態において
は、Rはカルボキシルまたはカルボキシルエステルである。ある実施形態においては、
はアシルまたはアシルオキシである。ある実施形態においては、Rはアシルアミノ
またはアミノアシルである。ある実施形態においては、Rはアルキルアミドまたは置換
アルキルアミドである。ある実施形態においては、Rはスルホニルである。ある実施形
態においては、Rはチオアルコキシまたは置換チオアルコキシである。ある実施形態に
おいては、Rはアリールまたは置換アリール、例えば、C5-8アリールまたはC5-
置換アリール、例えば、CアリールまたはC置換アリール、あるいはCアリール
またはC置換アリールである。ある実施形態においては、Rはヘテロアリールまたは
置換ヘテロアリール、例えば、C5-8ヘテロアリールまたはC5-8置換ヘテロアリー
ル、例えば、CヘテロアリールまたはC置換ヘテロアリール、あるいはCヘテロア
リールまたはC置換ヘテロアリールである。ある実施形態においては、Rはシクロア
ルキルまたは置換シクロアルキル、例えば、C3-8シクロアルキルまたはC3-8置換
シクロアルキル、あるいはC3-6シクロアルキルまたはC3-6置換シクロアルキル、
あるいはC3-5シクロアルキルまたはC3-5置換シクロアルキルである。ある実施形
態においては、Rはヘテロシクリルまたは置換ヘテロシクリル、例えば、C3-8ヘテ
ロシクリルまたはC3-8置換ヘテロシクリル、C3-6ヘテロシクリルまたはC3-6
置換ヘテロシクリル、あるいはC3-5ヘテロシクリルまたはC3-5置換ヘテロシクリ
ルである。
【0182】
ある実施形態においては、RとRとは、所望により、環状に連結されて、5または
6員ヘテロシクリルを形成していてもよい。ある実施形態においては、RとRとは環
状に連結されて、5または6員ヘテロシクリルを形成している。ある実施形態においては
、RとRとは環状に連結されて、5員ヘテロシクリルを形成している。ある実施形態
においては、RとRとは環状に連結されて、6員ヘテロシクリルを形成している。
【0183】
ある実施形態においては、各Rは、独立して、水素、ハロゲン、アルキル、置換アル
キル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換ア
ルコキシ、アミノ、置換アミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシル
オキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換アルキルアミド、スルホニ
ル、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、
置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリルおよび置換
ヘテロシクリルから選択される。
【0184】
各Rの種々の可能性を以下に更に詳細に説明する。ある実施形態においては、R
水素である。ある実施形態においては、各Rは水素である。ある実施形態においては、
はハロゲン、例えばF、Cl、BrまたはIである。ある実施形態においては、R
はFである。ある実施形態においては、RはClである。ある実施形態においては、R
はBrである。ある実施形態においては、RはIである。ある実施形態においては、
はアルキルまたは置換アルキル、例えば、C1-6アルキルまたはC1-6置換アル
キル、あるいはC1-4アルキルまたはC1-4置換アルキル、あるいはC1-3アルキ
ルまたはC1-3置換アルキルである。ある実施形態においては、Rはアルケニルまた
は置換アルケニル、例えば、C2-6アルケニルまたはC2-6置換アルケニル、あるい
はC2-4アルケニルまたはC2-4置換アルケニル、あるいはC2-3アルケニルまた
はC2-3置換アルケニルである。ある実施形態においては、Rはアルキニルまたは置
換アルキニルである。ある実施形態においては、Rはアルコキシまたは置換アルコキシ
である。ある実施形態においては、Rはアミノまたは置換アミノである。ある実施形態
においては、Rはカルボキシルまたはカルボキシルエステルである。ある実施形態にお
いては、Rはアシルまたはアシルオキシである。ある実施形態においては、Rはアシ
ルアミノまたはアミノアシルである。ある実施形態においては、Rはアルキルアミドま
たは置換アルキルアミドである。ある実施形態においては、Rはスルホニルである。あ
る実施形態においては、Rはチオアルコキシまたは置換チオアルコキシである。ある実
施形態においては、Rはアリールまたは置換アリール、例えば、C5-8アリールまた
はC5-8置換アリール、例えば、CアリールまたはC置換アリール、あるいはC
アリールまたはC置換アリール(例えば、フェニルまたは置換フェニル)である。ある
実施形態においては、Rはヘテロアリールまたは置換ヘテロアリール、例えば、C5-
ヘテロアリールまたはC5-8置換ヘテロアリール、例えば、Cヘテロアリールまた
はC置換ヘテロアリール、あるいはCヘテロアリールまたはC置換ヘテロアリール
である。ある実施形態においては、Rはシクロアルキルまたは置換シクロアルキル、例
えば、C3-8シクロアルキルまたはC3-8置換シクロアルキル、あるいはC3-6
クロアルキルまたはC3-6置換シクロアルキル、あるいはC3-5シクロアルキルまた
はC3-5置換シクロアルキルである。ある実施形態においては、Rはヘテロシクリル
または置換ヘテロシクリル、例えば、C3-8ヘテロシクリルまたはC3-8置換ヘテロ
シクリル、C3-6ヘテロシクリルまたはC3-6置換ヘテロシクリル、あるいはC3-
ヘテロシクリルまたはC3-5置換ヘテロシクリルである。
【0185】
ある実施形態においては、Wはメイタンシノイドである。メイタンシノイドの更なる
説明は本明細書の開示において見出される。
【0186】
ある実施形態においては、Wは抗CD22抗体である。抗CD22抗体の更なる説明
は本明細書の開示において見出される。
【0187】
ある実施形態においては、式(I)の化合物はリンカーLを含む。リンカーは、1以上
の関心のある部分および/または1以上のポリペプチドにカップリング部分を結合させる
ために使用されうる。幾つかの実施形態においては、リンカーはカップリング部分をポリ
ペプチドまたは化学的部分に結合させる。リンカーは任意の簡便な位置においてカップリ
ング部分に結合(例えば、共有結合)しうる。例えば、リンカーはヒドラジニル-インド
リルまたはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルカップリング部分を薬物(例えば、メイタ
ンシン)に結合させうる。ヒドラジニル-インドリルまたはヒドラジニル-ピロロ-ピリ
ジニルカップリング部分は、リンカー(およびそれによる薬物、例えばメイタンシン)を
ポリペプチド、例えば抗CD22抗体にコンジュゲート化させるために使用されうる。
【0188】
ある実施形態においては、Lはカップリング部分をWに結合させ、したがって、カッ
プリング部分はリンカーLを介してWに間接的に結合する。前記のとおり、Wはメイ
タンシノイドであり、したがって、Lはカップリング部分をメイタンシノイドに結合させ
、例えば、カップリング部分はリンカーLを介してメイタンシノイドに間接的に結合する
【0189】
本コンジュゲートおよび化合物においては任意の簡便なリンカーが使用されうる。ある
実施形態においては、Lは、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、ア
ルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アミノ、置換アミノ、カルボ
キシル、カルボキシルエステル、アシルアミノ、アルキルアミド、置換アルキルアミド、
アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換
シクロアルキル、ヘテロシクリルおよび置換ヘテロシクリルから選択される群を含む。あ
る実施形態においては、Lはアルキルまたは置換アルキル基を含む。ある実施形態におい
ては、Lはアルケニルまたは置換アルケニル基を含む。ある実施形態においては、Lはア
ルキニルまたは置換アルキニルを含む。ある実施形態においては、Lはアルコキシまたは
置換アルコキシ基を含む。ある実施形態においては、Lはアミノまたは置換アミノ基を含
む。ある実施形態においては、Lはカルボキシルまたはカルボキシルエステル基を含む。
ある実施形態においては、Lはアシルアミノ基を含む。ある実施形態においては、Lはア
ルキルアミドまたは置換アルキルアミド基を含む。ある実施形態においては、Lはアリー
ルまたは置換アリール基を含む。ある実施形態においては、Lはヘテロアリールまたは置
換ヘテロアリール基を含む。ある実施形態においては、Lはシクロアルキルまたは置換シ
クロアルキル基を含む。ある実施形態においては、Lはヘテロシクリルまたは置換ヘテロ
シクリル基を含む。
【0190】
ある実施形態において、Lはポリマー(重合体)を含む。例えば、ポリマーには、ポリ
アルキレングリコールおよびその誘導体、例えばポリエチレングリコール、メトキシポリ
エチレングリコール、ポリエチレングリコールホモポリマー、ポリプロピレングリコール
ホモポリマー、エチレングリコールとプロピレングリコールとのコポリマー(例えば、該
ホモポリマーおよびコポリマーは置換されていない、または一方の末端においてアルキル
基で置換されている)、ポリビニルアルコール、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニル
ピロリドン、これらの組合せなどが含まれる。ある実施形態においては、ポリマーはポリ
アルキレングリコールである。ある実施形態においては、ポリマーはポリエチレングリコ
ールである。後記で更に詳細に記載されているコンジュゲートおよび化合物において示さ
れているとおり、他のリンカーも可能である。
【0191】
幾つかの実施形態においては、Lは、式-(L-(L-(L-(L
-により示されるリンカーであり、ここで、L、L、LおよびLは、それ
ぞれ独立して、リンカー単位であり、a、b、cおよびdは、それぞれ独立して、0また
は1であり、a、b、cおよびdの合計は1~4である。
【0192】
ある実施形態においては、a、b、cおよびdの合計は1である。ある実施形態におい
ては、a、b、cおよびdの合計は2である。ある実施形態においては、a、b、cおよ
びdの合計は3である。ある実施形態においては、a、b、cおよびdの合計は4である
。ある実施形態においては、a、b、cおよびdはそれぞれ1である。ある実施形態にお
いては、a、bおよびcはそれぞれ1であり、dは0である。ある実施形態においては、
aおよびbはそれぞれ1であり、cおよびdはそれぞれ0である。ある実施形態において
は、aは1であり、b、cおよびdはそれぞれ0である。
【0193】
ある実施形態においては、Lはヒドラジニル-インドリルまたはヒドラジニル-ピロ
ロ-ピリジニルカップリング部分(例えば、前記式(I)において示されるもの)に結合
している。ある実施形態においては、Lは、存在する場合には、Wに結合している。
ある実施形態においては、Lは、存在する場合には、Wに結合している。ある実施形
態においては、Lは、存在する場合には、Wに結合している。
【0194】
本リンカーにおいては任意の簡便なリンカー単位が使用されうる。関心のあるリンカー
単位には、限定的なものではないが、ポリマー、例えばポリエチレングリコール、ポリエ
チレンおよびポリアクリレートの単位、アミノ酸残基、炭水化物系ポリマーまたは炭水化
物残基およびその誘導体、ポリヌクレオチド、アルキル基、アリール基、複素環基、それ
らの組合せ、ならびにそれらの置換形態が含まれる。幾つかの実施形態においては、L
、L、LおよびL(存在する場合)のそれぞれは、ポリエチレングリコール、修飾
ポリエチレングリコール、アミノ酸残基、アルキル基、置換アルキル、アリール基、置換
アリール基およびジアミン(例えば、アルキレンジアミンを含む連結基)から、独立して
選択される1以上の基を含む。
【0195】
幾つかの実施形態においては、L(存在する場合)はポリエチレングリコール、修飾
ポリエチレングリコール、アミノ酸残基、アルキル基、置換アルキル、アリール基、置換
アリール基またはジアミンを含む。幾つかの実施形態においては、Lはポリエチレング
リコールを含む。幾つかの実施形態においては、Lは修飾ポリエチレングリコールを含
む。幾つかの実施形態においては、Lはアミノ酸残基を含む。幾つかの実施形態におい
て、Lはアルキル基または置換アルキルを含む。幾つかの実施形態においては、L
アリール基または置換アリール基を含む。幾つかの実施形態においては、Lはジアミン
(例えば、アルキレンジアミンを含む連結基)を含む。
【0196】
幾つかの実施形態においては、L(存在する場合)はポリエチレングリコール、修飾
ポリエチレングリコール、アミノ酸残基、アルキル基、置換アルキル、アリール基、置換
アリール基またはジアミンを含む。幾つかの実施形態においては、Lはポリエチレング
リコールを含む。幾つかの実施形態においては、Lは修飾ポリエチレングリコールを含
む。幾つかの実施形態においては、Lはアミノ酸残基を含む。幾つかの実施形態におい
て、Lはアルキル基または置換アルキルを含む。幾つかの実施形態においては、L
アリール基または置換アリール基を含む。幾つかの実施形態においては、Lはジアミン
(例えば、アルキレンジアミンを含む連結基)を含む。
【0197】
幾つかの実施形態においては、L(存在する場合)はポリエチレングリコール、修飾
ポリエチレングリコール、アミノ酸残基、アルキル基、置換アルキル、アリール基、置換
アリール基またはジアミンを含む。幾つかの実施形態においては、Lはポリエチレング
リコールを含む。幾つかの実施形態においては、Lは修飾ポリエチレングリコールを含
む。幾つかの実施形態においては、Lはアミノ酸残基を含む。幾つかの実施形態におい
て、Lはアルキル基または置換アルキルを含む。幾つかの実施形態においては、L
アリール基または置換アリール基を含む。幾つかの実施形態においては、Lはジアミン
(例えば、アルキレンジアミンを含む連結基)を含む。
【0198】
幾つかの実施形態においては、L(存在する場合)はポリエチレングリコール、修飾
ポリエチレングリコール、アミノ酸残基、アルキル基、置換アルキル、アリール基、置換
アリール基またはジアミンを含む。幾つかの実施形態においては、Lはポリエチレング
リコールを含む。幾つかの実施形態においては、Lは修飾ポリエチレングリコールを含
む。幾つかの実施形態においては、Lはアミノ酸残基を含む。幾つかの実施形態におい
て、Lはアルキル基または置換アルキルを含む。幾つかの実施形態においては、L
アリール基または置換アリール基を含む。幾つかの実施形態においては、Lはジアミン
(例えば、アルキレンジアミンを含む連結基)を含む。
【0199】
幾つかの実施形態においては、Lは、-(L-(L-(L-(L
-を含むリンカーであり、ここで、
-(L-は-(T-V-である;
-(L-は-(T-V-である;
-(L-は-(T-V-である;および
-(L-は-(T-V-である;
ここで、T、T、TおよびTは、存在する場合には、連結鎖(テザー(te
ther))基である;
、V、VおよびVは、存在する場合には、共有結合または連結官能基であ
る;ならびに
a、b、cおよびdは、それぞれ独立して、0または1であり、a、b、cおよびd
の合計は1~4である。
【0200】
前記のとおり、ある実施形態においては、Lはヒドラジニル-インドリルまたはヒド
ラジニル-ピロロ-ピリジニルカップリング部分(例えば、前記式(I)に示されている
もの)に結合している。したがって、ある実施形態においては、Tはヒドラジニル-イ
ンドリルまたはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルカップリング部分(例えば、前記式(
I)に示されているもの)に結合している。ある実施形態においては、VはW(メイ
タンシノイド)に結合している。ある実施形態においては、Lは、存在する場合には、
に結合している。したがって、ある実施形態においては、Tは、存在する場合には
、Wに結合しており、あるいはVは、存在する場合には、Wに結合している。ある
実施形態においては、Lは、存在する場合には、Wに結合している。したがって、あ
る実施形態においては、Tは、存在する場合には、Wに結合しており、あるいはV
は、存在する場合には、Wに結合している。ある実施形態においては、Lは、存在す
る場合には、Wに結合している。したがって、ある実施形態においては、Tは、存在
する場合には、Wに結合しており、あるいはVは、存在する場合には、Wに結合し
ている。
【0201】
連結鎖基T、T、TおよびTに関しては、任意の簡便な連結鎖基が本リンカー
において使用されうる。幾つかの実施形態においては、T、T、TおよびTはそ
れぞれ、(C-C12)アルキル、置換(C-C12)アルキル、(EDA)、(
PEG)、(AA)、-(CR13OH)-、ピペリジン-4-アミノ(4AP)
、アセタール基、ジスルフィド、ヒドラジンおよびエステルから、独立して選択される1
以上の基を含み、ここで、wは1~20の整数であり、nは1~30の整数であり、pは
1~20の整数であり、hは1~12の整数である。
【0202】
ある実施形態においては、a、b、cおよびdの合計が2であり、T-V、T
、T-V、またはT-Vが(PEG)-COである場合、nは6ではない
。例えば、幾つかの場合においては、リンカーは以下の構造:
【化10】
【0203】
(式中、nは6ではない)を有しうる。
【0204】
ある実施形態においては、a、b、cおよびdの合計が2であり、T-V、T
、T-V、またはT-Vが(C-C12)アルキル-NR15である場合
、(C-C12)アルキルはC-アルキルではない。例えば、幾つかの場合において
は、リンカーは以下の構造:
【化11】
【0205】
(式中、gは4ではない)を有しうる。
【0206】
ある実施形態においては、連結鎖基(例えば、T、T、Tおよび/またはT
は(C-C12)アルキルまたは置換(C-C12)アルキルを含む。ある実施形態
においては、(C-C12)アルキルは、1~12個の炭素原子、例えば1~10個の
炭素原子、または1~8個の炭素原子、または1~6個の炭素原子、または1~5個の炭
素原子、または1~4個の炭素原子、または1~3個の炭素原子を含む直鎖または分岐ア
ルキル基である。幾つかの場合においては、(C-C12)アルキルはアルキルまたは
置換アルキル、例えばC-C12アルキル、またはC-C10アルキル、またはC
-Cアルキル、またはC-Cアルキルでありうる。幾つかの場合においては、(C
-C12)アルキルはC-アルキルである。例えば、(C-C12)アルキルはア
ルキレンまたは置換アルキレン、例えばC-C12アルキレン、またはC-C10
ルキレン、またはC-Cアルキレン、またはC-Cアルキレンでありうる。幾つ
かの場合においては、(C-C12)アルキルはC-アルキレンである。
【0207】
ある実施形態においては、置換(C-C12)アルキルは、1~12個の炭素原子、
例えば1~10個の炭素原子、または1~8個の炭素原子、または1~6個の炭素原子、
または1~5個の炭素原子、または1~4個の炭素原子、または1~3個の炭素原子を含
む直鎖または分岐置換アルキル基である。幾つかの場合においては、置換(C-C12
)アルキルは置換アルキル、例えば置換C-C12アルキル、または置換C-C10
アルキル、または置換C-Cアルキル、または置換C-Cアルキルでありうる。
幾つかの場合においては、置換(C-C12)アルキルは置換C-アルキルである。
例えば、置換(C-C12)アルキルは置換アルキレン、例えば置換C-C12アル
キレン、または置換C-C10アルキレン、または置換C-Cアルキレン、または
置換C-Cアルキレンでありうる。幾つかの場合においては、置換(C-C12
アルキルは置換C-アルキレンである。
【0208】
ある実施形態においては、連結鎖基(例えば、T、T、Tおよび/またはT
はエチレンジアミン(EDA)部分、例えば、EDA含有連結鎖を含む。ある実施形態に
おいては、(EDA)は1以上のEDA部分を含み、ここで、例えば、wは1~50の
整数、例えば、1~40の整数、1~30の整数、1~20の整数、1~12の整数、1
~6の整数、例えば、1、2、3、4、5または6である。連結エチレンジアミン(ED
A)部分は、所望により、1以上の簡便な位置において、任意の簡便置換基、例えばアル
キル、置換アルキル、アシル、置換アシル、アリールまたは置換アリールで置換されてい
てもよい。ある実施形態においては、EDA部分は構造:
【化12】
【0209】
により示され、ここで、yは1~6の整数であり、rは0または1であり、各R12は、
独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、
置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アミノ、置換アミノ、カルボキシル、カ
ルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルア
ミド、置換アルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリー
ル、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロ
アルキル、ヘテロシクリルおよび置換ヘテロシクリルから選択される。ある実施形態にお
いては、yは1、2、3、4、5または6である。ある実施形態においては、yは1であ
り、rは0である。ある実施形態においては、yは1であり、rは1である。ある実施形
態においては、yは2であり、rは0である。ある実施形態においては、yは2であり、
rは1である。ある実施形態においては、各R12は、独立して、水素、アルキル、置換
アルキル、アリールおよび置換アリールから選択される。ある実施形態においては、ED
Aの任意の2つの隣接したR12基が環状に連結されて、例えばピペラジニル環を形成し
ていてもよい。ある実施形態においては、yは1であり、2つの隣接したR12基はアル
キル基であり、環状に連結されてピペラジニル環を形成している。ある実施形態において
は、yは1であり、隣接したR12基は、水素、アルキル(例えば、メチル)および置換
アルキル(例えば、低級アルキル-OH、例えばエチル-OHまたはプロピル-OH)か
ら選択される。
【0210】
ある実施形態においては、該連結鎖基は4-アミノ-ピペリジン(4AP)部分(本明
細書においてはピペリジン-4-アミノ,P4Aとも称される)を含む。4AP部分は、
所望により、1以上の簡便な位置において、任意の簡便な置換基、例えば、アルキル、置
換アルキル、ポリエチレングリコール部分、アシル、置換アシル、アリールまたは置換ア
リールで置換されていてもよい。ある実施形態においては、4AP部分は構造:
【化13】
【0211】
により示され、ここで、R12は、水素、アルキル、置換アルキル、ポリエチレングリコ
ール部分(例えば、ポリエチレングリコールまたは修飾ポリエチレングリコール)、アル
ケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、
アミノ、置換アミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、ア
シルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換アルキルアミド、スルホニル、チオア
ルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロ
アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリルおよび置換ヘテロシク
リルから選択される。ある実施形態においては、R12はカルボキシ修飾ポリエチレング
リコールである。
【0212】
ある実施形態においては、R12は、式:(PEG)により示されるポリエチレング
リコール部分を含み、これは構造:
【化14】
【0213】
により表されることが可能であり、ここで、kは1~20、例えば1~18、または1~
16、または1~14、または1~12、または1~10、または1~8、または1~6
、または1~4、または1もしくは2の整数、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、
9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20である
。幾つかの場合においては、kは2である。ある実施形態においては、R17はOH、C
OOHまたはCOORから選択され、ここで、Rはアルキル、置換アルキル、アルケニル
、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリ
ール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリルおよ
び置換ヘテロシクリルから選択される。ある実施形態においては、R17はCOOHであ
る。
【0214】
ある実施形態においては、連結鎖基(例えば、T、T、Tおよび/またはT
は(PEG)を含み、ここで、(PEG)はポリエチレングリコールまたは修飾ポリ
エチレングリコール連結単位である。ある実施形態においては、(PEG)は構造:
【化15】
【0215】
により示され、ここで、nは1~50、例えば1~40、1~30、1~20、1~12
または1~6の整数、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、
13、14、15、16、17、18、19または20である。幾つかの場合においては
、nは2である。幾つかの場合においては、nは3である。幾つかの場合においては、n
は6である。幾つかの場合においては、nは12である。
【0216】
ある実施形態においては、連結鎖基(例えば、T、T、Tおよび/またはT
は(AA)を含み、ここで、AAはアミノ酸残基である。任意の簡便なアミノ酸が使用
されうる。関心のあるアミノ酸には、限定的なものではないが、L-およびD-アミノ酸
、天然に存在するアミノ酸、例えば、20種の主要アルファ-アミノ酸およびベータ-ア
ラニンのいずれか、非天然アミノ酸(例えば、アミノ酸類似体)、例えば、非天然アルフ
ァ-アミノ酸および/または非天然ベータ-アミノ酸などが含まれる。ある実施形態にお
いては、pは1~50、例えば1~40、1~30、1~20、1~12または1~6の
整数、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、1
5、16、17、18、19または20である。ある実施形態においては、pは1である
。ある実施形態においては、pは2である。
【0217】
ある実施形態においては、連結鎖基(例えば、T、T、Tおよび/またはT
は、式:-(CR13OH)-により示される部分を含み、ここで、hは0であるか、
あるいはnは1~50、例えば1~40、1~30、1~20、1~12または1~6の
整数、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12である。ある
実施形態においては、hは1である。ある実施形態においては、hは2である。ある実施
形態においては、R13は水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル
、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アミノ、置換アミノ、カ
ルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシ
ル、アルキルアミド、置換アルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換チオアル
コキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキ
ル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリルおよび置換ヘテロシクリルから選択される。あ
る実施形態においては、R13は水素である。ある実施形態においては、R13はアルキ
ルまたは置換アルキル、例えば、C1-6アルキルまたはC1-6置換アルキル、あるい
はC1-4アルキルまたはC1-4置換アルキル、あるいはC1-3アルキルまたはC
-3置換アルキルである。ある実施形態においては、R13はアルケニルまたは置換アル
ケニル、例えば、C2-6アルケニルまたはC2-6置換アルケニル、あるいはC2-4
アルケニルまたはC2-4置換アルケニル、あるいはC2-3アルケニルまたはC2-3
置換アルケニルである。ある実施形態においては、R13はアルキニルまたは置換アルキ
ニルである。ある実施形態においては、R13はアルコキシまたは置換アルコキシである
。ある実施形態においては、R13はアミノまたは置換アミノである。ある実施形態にお
いては、R13はカルボキシルまたはカルボキシルエステルである。ある実施形態におい
ては、R13はアシルまたはアシルオキシである。ある実施形態においては、R13はア
シルアミノまたはアミノアシルである。ある実施形態においては、R13はアルキルアミ
ドまたは置換アルキルアミドである。ある実施形態においては、R13はスルホニルであ
る。ある実施形態においては、R13はチオアルコキシまたは置換チオアルコキシである
。ある実施形態においては、R13はアリールまたは置換アリール、例えば、C5-8
リールまたはC5-8置換アリール、例えば、CアリールまたはC置換アリール、あ
るいはCアリールまたはC置換アリールである。ある実施形態においては、R13
ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリール、例えば、C5-8ヘテロアリールまたはC
-8置換ヘテロアリール、例えば、CヘテロアリールまたはC置換ヘテロアリール、
あるいはCヘテロアリールまたはC置換ヘテロアリールである。ある実施形態におい
ては、R13はシクロアルキルまたは置換シクロアルキル、例えば、C3-8シクロアル
キルまたはC3-8置換シクロアルキル、あるいはC3-6シクロアルキルまたはC3-
置換シクロアルキル、あるいはC3-5シクロアルキルまたはC3-5置換シクロアル
キルである。ある実施形態においては、R13はヘテロシクリルまたは置換ヘテロシクリ
ル、例えば、C3-8ヘテロシクリルまたはC3-8置換ヘテロシクリル、C3-6ヘテ
ロシクリルまたはC3-6置換ヘテロシクリル、あるいはC3-5ヘテロシクリルまたは
3-5置換ヘテロシクリルである。
【0218】
ある実施形態においては、R13は水素、アルキル、置換アルキル、アリールおよび置
換アリールから選択される。これらの実施形態においては、アルキル、置換アルキル、ア
リールおよび置換アリールは、R13に関して前記で記載されているとおりである。
【0219】
連結官能基V、V、VおよびVに関しては、任意の簡便な連結官能基が本リン
カーにおいて使用されうる。関心のある連結官能基には、限定的なものではないが、アミ
ノ、カルボニル、アミド、オキシカルボニル、カルボキシ、スルホニル、スルホキシド、
スルホニルアミノ、アミノスルホニル、チオ、オキシ、ホスホ、ホスホルアミダート、チ
オホスホライダートなどが含まれる。幾つかの実施形態においては、V、V、V
よびVは、それぞれ独立して、共有結合、-CO-、-NR15-、-NR15(CH
-、-NR15(C)-、-CONR15-、-NR15CO-、-C(O
)O-、-OC(O)-、-O-、-S-、-S(O)-、-SO-、-SONR
-、-NR15SO-および-P(O)OH-からなる群から選択され、ここで、q
は1~6の整数である。ある実施形態においては、qは1~6の整数(例えば、1、2、
3、4、5または6)である。ある実施形態においては、qは1である。ある実施形態に
おいては、qは2である。
【0220】
幾つかの実施形態においては、各R15は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル
、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコ
キシ、アミノ、置換アミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキ
シ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換アルキルアミド、スルホニル、
チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換
ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリルおよび置換ヘテ
ロシクリルから選択される。
【0221】
各R15の種々の可能性を以下に更に詳細に説明する。ある実施形態においては、R
は水素である。ある実施形態においては、各R15は水素である。ある実施形態におい
ては、R15はアルキルまたは置換アルキル、例えば、C1-6アルキルまたはC1-6
置換アルキル、あるいはC1-4アルキルまたはC1-4置換アルキル、あるいはC1-
アルキルまたはC1-3置換アルキルである。ある実施形態においては、R15はアル
ケニルまたは置換アルケニル、例えば、C2-6アルケニルまたはC2-6置換アルケニ
ル、あるいはC2-4アルケニルまたはC2-4置換アルケニル、あるいはC2-3アル
ケニルまたはC2-3置換アルケニルである。ある実施形態においては、R15はアルキ
ニルまたは置換アルキニルである。ある実施形態においては、R15はアルコキシまたは
置換アルコキシである。ある実施形態においては、R15はアミノまたは置換アミノであ
る。ある実施形態においては、R15はカルボキシルまたはカルボキシルエステルである
。ある実施形態においては、R15はアシルまたはアシルオキシである。ある実施形態に
おいては、R15はアシルアミノまたはアミノアシルである。ある実施形態においては、
15はアルキルアミドまたは置換アルキルアミドである。ある実施形態においては、R
15はスルホニルである。ある実施形態においては、R15はチオアルコキシまたは置換
チオアルコキシである。ある実施形態においては、R15はアリールまたは置換アリール
、例えば、C5-8アリールまたはC5-8置換アリール、例えば、Cアリールまたは
置換アリール、あるいはCアリールまたはC置換アリールである。ある実施形態
においては、R15はヘテロアリールまたは置換ヘテロアリール、例えば、C5-8ヘテ
ロアリールまたはC5-8置換ヘテロアリール、例えば、CヘテロアリールまたはC
置換ヘテロアリール、あるいはCヘテロアリールまたはC置換ヘテロアリールである
。ある実施形態においては、R15はシクロアルキルまたは置換シクロアルキル、例えば
、C3-8シクロアルキルまたはC3-8置換シクロアルキル、あるいはC3-6シクロ
アルキルまたはC3-6置換シクロアルキル、あるいはC3-5シクロアルキルまたはC
3-5置換シクロアルキルである。ある実施形態においては、R15はヘテロシクリルま
たは置換ヘテロシクリル、例えば、C3-8ヘテロシクリルまたはC3-8置換ヘテロシ
クリル、C3-6ヘテロシクリルまたはC3-6置換ヘテロシクリル、あるいはC3-5
ヘテロシクリルまたはC3-5置換ヘテロシクリルである。
【0222】
ある実施形態においては、各R15は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、ア
ルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、カルボキシル、カルボキシル
エステル、アシル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シ
クロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリルおよび置換ヘテロシクリルから選択
される。これらの実施形態において、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換
アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシ
ル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、
置換シクロアルキル、ヘテロシクリルおよび置換ヘテロシクリル置換基は、前記でR15
に関して記載されているとおりである。
【0223】
ある実施形態においては、該連結鎖(テザー(tether))基には、アセタール基
、ジスルフィド、ヒドラジンまたはエステルが含まれる。幾つかの実施形態においては、
該連結鎖基には、アセタール基が含まれる。幾つかの実施形態においては、該連結鎖基に
は、ジスルフィドが含まれる。幾つかの実施形態においては、該連結鎖基には、ヒドラジ
ンが含まれる。幾つかの実施形態においては、該連結鎖基には、エステルが含まれる。
【0224】
前記のとおり、幾つかの実施形態においては、Lは、-(T-V-(T-V
-(T-V-(T-V-を含むリンカーであり、ここで、a、b
、cおよびdは、それぞれ独立して、0または1であり、a、b、cおよびdの合計は1
~4である。
【0225】
幾つかの実施形態においては、本リンカーにおいて、
は、(C-C12)アルキルおよび置換(C-C12)アルキルから選択さ
れる;
、TおよびTは、それぞれ独立して、(C-C12)アルキル、置換(C
-C12)アルキル、(EDA)、(PEG)、(AA)、-(CR13OH)
-、4-アミノ-ピペリジン(4AP)、アセタール基、ヒドラジンおよびエステルか
ら選択される;ならびに
、V、VおよびVは、それぞれ独立して、共有結合、-CO-、-NR
-、-NR15(CH-、-NR15(C)-、-CONR15-、-N
15CO-、-C(O)O-、-OC(O)-、-O-、-S-、-S(O)-、-S
-、-SONR15-、-NR15SO-および-P(O)OH-からなる群か
ら選択され、ここで、qは1~6の整数である;
ここで、
(PEG)
【化16】
【0226】
であり、ここで、nは1~30の整数である;
EDAは、以下の構造:
【化17】
【0227】
を有するエチレンジアミン部分であり、ここで、yは1~6の整数であり、rは0または
1である;
4-アミノ-ピペリジン(4AP)は、
【化18】
【0228】
である;
AAはアミノ酸残基であり、ここで、pは1~20の整数である;
各R15およびR12は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリールおよ
び置換アリールから選択され、ここで、任意の2つの隣接したR12基は環状に連結され
て、ピペラジニル環を形成していてもよい;ならびに
13は、水素、アルキル、置換アルキル、アリールおよび置換アリールから選択さ
れる。
【0229】
ある実施形態においては、T、T、TおよびTならびにV、V、Vおよ
びVは以下の表、例えば、以下の表の1つの行から選択される。
【表3】
【0230】
ある実施形態においては、Lは、-(L-(L-(L-(L
-を含むリンカーであり、ここで、-(L-は-(T-V-であり、-(
-は-(T-V-であり、-(L-は-(T-V-であ
り、-(L-は-(T-V-である。
【0231】
ある実施形態においては、Tは(C-C12)アルキルであり、Vは-CO-で
あり、Tは(AA)であり、Vは-NR15-であり、Tは(PEG)であり
、Vは-CO-であり、Tは存在せず、Vは存在しない。
【0232】
ある実施形態においては、Tは(C-C12)アルキルであり、Vは-CO-で
あり、Tは(EDA)であり、Vは-CO-であり、Tは(CR13OH)
あり、Vは-CONR15-であり、Tは(C-C12)アルキルであり、V
-CO-である。
【0233】
ある実施形態においては、Tは(C-C12)アルキルであり、Vは-CO-で
あり、Tは(AA)であり、Vは-NR15-であり、Tは(C-C12)ア
ルキルであり、Vは-CO-であり、Tは存在せず、Vは存在しない。
【0234】
ある実施形態においては、Tは(C-C12)アルキルであり、Vは-CONR
15-であり、Tは(PEG)であり、Vは-CO-であり、Tは存在せず、V
は存在せず、Tは存在せず、Vは存在しない。
【0235】
ある実施形態においては、Tは(C-C12)アルキルであり、Vは-CO-で
あり、Tは(AA)であり、Vは存在せず、Tは存在せず、Vは存在せず、T
は存在せず、Vは存在しない。
【0236】
ある実施形態においては、Tは(C-C12)アルキルであり、Vは-CONR
15-であり、Tは(PEG)であり、Vは-NR15-であり、Tは存在せず
、Vは存在せず、Tは存在せず、Vは存在しない。
【0237】
ある実施形態においては、Tは(C-C12)アルキルであり、Vは-CO-で
あり、Tは(AA)であり、Vは-NR15-であり、Tは(PEG)であり
、Vは-NR15-であり、Tは存在せず、Vは存在しない。
【0238】
ある実施形態においては、Tは(C-C12)アルキルであり、Vは-CO-で
あり、Tは(EDA)であり、Vは-CO-であり、Tは存在せず、Vは存在
せず、Tは存在せず、Vは存在しない。
【0239】
ある実施形態においては、Tは(C-C12)アルキルであり、Vは-CONR
15-であり、Tは(C-C12)アルキルであり、Vは-NR15-であり、T
は存在せず、Vは存在せず、Tは存在せず、Vは存在しない。
【0240】
ある実施形態においては、Tは(C-C12)アルキルであり、Vは-CONR
15-であり、Tは(PEG)であり、Vは-CO-であり、Tは(EDA)
であり、Vは存在せず、Tは存在せず、Vは存在しない。
【0241】
ある実施形態においては、Tは(C-C12)アルキルであり、Vは-CO-で
あり、Tは(EDA)であり、Vは存在せず、Tは存在せず、Vは存在せず、
は存在せず、Vは存在しない。
【0242】
ある実施形態においては、Tは(C-C12)アルキルであり、Vは-CONR
15-であり、Tは(PEG)であり、Vは-CO-であり、Tは(AA)
あり、Vは存在せず、Tは存在せず、Vは存在しない。
【0243】
ある実施形態においては、Tは(C-C12)アルキルであり、Vは-CO-で
あり、Tは(EDA)であり、Vは-CO-であり、Tは(CR13OH)
あり、Vは-CO-であり、Tは(AA)であり、Vは存在しない。
【0244】
ある実施形態においては、Tは(C-C12)アルキルであり、Vは-CO-で
あり、Tは(AA)であり、Vは-NR15-であり、Tは(C-C12)ア
ルキルであり、Vは-CO-であり、Tは(AA)であり、Vは存在しない。
【0245】
ある実施形態においては、Tは(C-C12)アルキルであり、Vは-CO-で
あり、Tは(AA)であり、Vは-NR15-であり、Tは(PEG)であり
、Vは-CO-であり、Tは(AA)であり、Vは存在しない。
【0246】
ある実施形態においては、Tは(C-C12)アルキルであり、Vは-CO-で
あり、Tは(AA)であり、Vは-NR11-であり、Tは(PEG)であり
、Vは-SO-であり、Tは(AA)であり、Vは存在しない。
【0247】
ある実施形態においては、Tは(C-C12)アルキルであり、Vは-CO-で
あり、Tは(EDA)であり、Vは-CO-であり、Tは(CR13OH)
あり、Vは-CONR15-であり、Tは(PEG)であり、Vは-CO-であ
る。
【0248】
ある実施形態においては、Tは(C-C12)アルキルであり、Vは-CO-で
あり、Tは(CR13OH)であり、Vは-CO-であり、Tは存在せず、V
は存在せず、Tは存在せず、Vは存在しない。
【0249】
ある実施形態においては、Tは(C-C12)アルキルであり、Vは-CONR
15-であり、Tは置換(C-C12)アルキルであり、Vは-NR15-であり
、Tは(PEG)であり、Vは-CO-であり、Tは存在せず、Vは存在しな
い。
【0250】
ある実施形態においては、Tは(C-C12)アルキルであり、Vは-SO
であり、Tは(C-C12)アルキルであり、Vは-CO-であり、Tは存在せ
ず、Vは存在せず、Tは存在せず、Vは存在しない。
【0251】
ある実施形態においては、Tは(C-C12)アルキルであり、Vは-CONR
15-であり、Tは(C-C12)アルキルであり、Vは存在せず、Tは(CR
13OH)であり、Vは-CONR15-であり、Tは存在せず、Vは存在しな
い。
【0252】
ある実施形態においては、Tは(C-C12)アルキルであり、Vは-CO-で
あり、Tは(AA)であり、Vは-NR15-であり、Tは(PEG)であり
、Vは-CO-であり、Tは(AA)であり、Vは-NR15-である。
【0253】
ある実施形態においては、Tは(C-C12)アルキルであり、Vは-CO-で
あり、Tは(AA)であり、Vは-NR15-であり、Tは(PEG)であり
、Vは-P(O)OH-であり、Tは(AA)であり、Vは存在しない。
【0254】
ある実施形態においては、Tは(C-C12)アルキルであり、Vは-CO-で
あり、Tは(EDA)であり、Vは存在せず、Tは(AA)であり、Vは存
在せず、Tは存在せず、Vは存在しない。
【0255】
ある実施形態においては、Tは(C-C12)アルキルであり、Vは-CO-で
あり、Tは(EDA)であり、Vは-CO-であり、Tは(CR13OH)
あり、Vは-CONR15-であり、Tは(C-C12)アルキルであり、V
-CO(AA)である。
【0256】
ある実施形態においては、Tは(C-C12)アルキルであり、Vは-CONR
15-であり、Tは(C-C12)アルキルであり、Vは-NR15-であり、T
は存在せず、Vは-CO-であり、Tは存在せず、Vは存在しない。
【0257】
ある実施形態においては、Tは(C-C12)アルキルであり、Vは-CONR
15-であり、Tは(C-C12)アルキルであり、Vは-NR15-であり、T
は存在せず、Vは-CO-であり、Tは(C-C12)アルキルであり、V
-NR15-である。
【0258】
ある実施形態においては、Tは(C-C12)アルキルであり、Vは-CO-で
あり、Tは(EDA)であり、Vは-CO-であり、Tは(CR13OH)
あり、Vは-CONR15-であり、Tは(PEG)であり、Vは-CO(AA
である。
【0259】
ある実施形態においては、Tは(C-C12)アルキルであり、Vは-CO-で
あり、Tは4APであり、Vは-CO-であり、Tは(C-C12)アルキルで
あり、Vは-CO-であり、Tは(AA)であり、Vは存在しない。
【0260】
ある実施形態においては、Tは(C-C12)アルキルであり、Vは-CO-で
あり、Tは4APであり、Vは-CO-であり、Tは(C-C12)アルキルで
あり、Vは-CO-であり、Tは存在せず、Vは存在しない。
【0261】
ある実施形態においては、リンカーは以下の構造の1つにより示される。
【化19】
【0262】
前記のリンカー構造の或る実施形態においては、各fは、独立して、0または1~12
の整数である;各yは、独立して、0または1~20の整数である;各nは、独立して、
0または1~30の整数である;各pは、独立して、0または1~20の整数である;各
hは、独立して、0または1~12の整数である;各Rは、独立して、水素、アルキル、
置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ
、置換アルコキシ、アミノ、置換アミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル
、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換アルキルアミド、
スルホニル、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロア
リール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリルお
よび置換ヘテロシクリルである;ならびに各R’は、独立して、H、アミノ酸の側鎖基、
アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、
アルコキシ、置換アルコキシ、アミノ、置換アミノ、カルボキシル、カルボキシルエステ
ル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換アルキ
ルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、置換アリール
、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロ
シクリルおよび置換ヘテロシクリルである。前記のリンカー構造の或る実施形態において
は、各fは、独立して、0、1、2、3、4、5または6である;各yは、独立して、0
、1、2、3、4、5または6である;各nは、独立して、0、1、2、3、4、5また
は6である;各pは、独立して、0、1、2、3、4、5または6である;および各hは
、独立して、0、1、2、3、4、5または6である。前記のリンカー構造の或る実施形
態においては、各Rは、独立して、H、メチルまたは-(CH-OHであり、ここ
で、mは1、2、3または4(例えば、2)である。
【0263】
リンカーLの或る実施形態においては、Tは(C-C12)アルキルであり、V
は-CO-であり、Tは4APであり、Vは-CO-であり、Tは(C-C12
)アルキルであり、Vは-CO-であり、Tは存在せず、Vは存在しない。ある実
施形態においては、Tはエチレンであり、Vは-CO-であり、Tは4APであり
、Vは-CO-であり、Tはエチレンであり、Vは-CO-であり、Tは存在せ
ず、Vは存在しない。ある実施形態においては、Tはエチレンであり、Vは-CO
-であり、Tは4APであり、Vは-CO-であり、Tはエチレンであり、V
-CO-であり、Tは存在せず、Vは存在せず、ここで、T(例えば、4AP)は
以下の構造:
【化20】
【0264】
を有し、ここで、R12はポリエチレングリコール部分(例えば、ポリエチレングリコー
ルまたは修飾ポリエチレングリコール)である。
【0265】
ある実施形態においては、リンカーLは以下の構造:
【化21】
【0266】
(式中、各fは、独立して、1~12の整数であり、nは1~30の整数である)を含む
【0267】
ある実施形態においては、fは1である。ある実施形態においては、fは2である。あ
る実施形態においては、fの1つは2であり、fの1つは1である。
【0268】
ある実施形態においては、nは1である。
【0269】
ある実施形態においては、前記リンカー構造の左側はヒドラジニル-インドリルまたは
ヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルカップリング部分に結合しており、前記リンカー構造
の右側はメイタンシンに結合している。
【0270】
前記構造に示される化学物質、リンカーおよびカップリング部分はいずれも、本化合物
およびコンジュゲートにおける使用に適合化されうる。
【0271】
ヒドラジニル-インドリルおよびヒドラジニル-ピロロ-ピリジニル化合物ならびにコ
ンジュゲートの製造方法に関する更なる開示は、2013年3月11日付け出願の米国特
許出願公開第2014/0141025号および2014年11月26日付け出願の米国
特許出願公開第2015/0157736号(それらのそれぞれの開示を参照により本明
細書に組み入れることとする)に見出される。
【0272】
抗CD22抗体
前記のとおり、本コンジュゲートは置換基Wとして抗CD22抗体を含むことが可能
であり、ここで、抗CD22抗体は、2-ホルミルグリシン(FGly)残基を含むよう
に修飾されている。本明細書中で用いるアミノ酸は、例えば以下のようなそれらの標準的
な名称、それらの標準的な3文字略語および/またはそれらの標準的な1文字略語により
示されうる:アラニンまたはAlaまたはA;システインまたはCysまたはC;アスパ
ラギン酸またはAspまたはD;グルタミン酸またはGluまたはE;フェニルアラニン
またはPheまたはF;グリシンまたはGlyまたはG;ヒスチジンまたはHisまたは
H;イソロイシンまたはIleまたはI;リジンまたはLysまたはK;ロイシンまたは
LeuまたはL;メチオニンまたはMetまたはM;アスパラギンまたはAsnまたはN
;プロリンまたはProまたはP;グルタミンまたはGlnまたはQ;アルギニンまたは
ArgまたはR;セリンまたはSerまたはS;スレオニンまたはThrまたはT;バリ
ンまたはValまたはV;トリプトファンまたはTrpまたはW;およびチロシンまたは
TyrまたはY。
【0273】
幾つかの場合においては、適切な抗CD22抗体はCD22ポリペプチドに特異的に結
合し、ここで、エピトープはCD22抗原内のアミノ酸残基(例えば、図8A~8Cに示
されているCD22アミノ酸配列のアミノ酸1-847(1~847)内、アミノ酸1-
759内、アミノ酸1-751内、またはアミノ酸1-670内)を含む。
【0274】
CD22エピトープは、図8A~8Cに示されているヒトCD22アイソフォーム4の
アミノ酸配列の約500アミノ酸~約670アミノ酸の連続的伸長に対して少なくとも約
75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約
95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または100%のアミノ酸配列同一性
を有するポリペプチドにより形成されうる。CD22エピトープは、図8A~8Cに示さ
れているヒトCD22アイソフォーム3のアミノ酸配列の約500アミノ酸~約751ア
ミノ酸の連続的伸長に対して少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約8
5%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約9
9%または100%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドにより形成されうる。C
D22エピトープは、図8A~8Cに示されているヒトCD22アイソフォーム2のアミ
ノ酸配列の約500アミノ酸~約759アミノ酸の連続的伸長に対して少なくとも約75
%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95
%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または100%のアミノ酸配列同一性を有
するポリペプチドにより形成されうる。CD22エピトープは、図8A~8Cに示されて
いるヒトCD22アイソフォーム1のアミノ酸配列の約500アミノ酸~約847アミノ
酸の連続的伸長に対して少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%
、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%
または100%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドにより形成されうる。
【0275】
「CD22抗原」または「CD22ポリペプチド」は、図8A~8Cに示されているヒ
トCD22アイソフォーム1、2、3または4のアミノ酸配列の約500アミノ酸(aa
)~約847aa(アイソフォーム1)、~約759aa(アイソフォーム2)、~約7
51aa(アイソフォーム3)または~約670aa(アイソフォーム4)の連続的伸長
に対して少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約
95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または100%のアミノ酸配列同一性
を有するアミノ酸配列を含みうる。
【0276】
幾つかの場合においては、適切な抗CD22抗体はCD22への高いアフィニティの結
合を示す。例えば、幾つかの場合においては、適切な抗CD22抗体は少なくとも約10
-7M、少なくとも約10-8M、少なくとも約10-9M、少なくとも約10-10
、少なくとも約10-11Mまたは少なくとも約10-12Mまたは約10-12M以上
のアフィニティでCD22に結合する。幾つかの場合においては、適切な抗CD22抗体
は約10-7M~約10-8M、約10-8M~約10-9M、約10-9M~約10
10M、約10-10M~約10-11M、または約10-11M~約10-12M、ま
たは10-12M以上のアフィニティで、CD22上に存在するエピトープに結合する。
【0277】
幾つかの場合においては、適切な抗CD22抗体はCD22内のエピトープへの結合に
関して第2抗CD22抗体と競合し、および/または第2抗CD22抗体と同じ、CD2
2内のエピトープに結合する。幾つかの場合においては、CD22内のエピトープへの結
合に関して第2抗CD22抗体と競合する抗CD22抗体はまた、第2抗CD22抗体と
同じエピトープに結合する。幾つかの場合においては、CD22内のエピトープへの結合
に関して第2抗CD22抗体と競合する抗CD22抗体は、第2抗CD22抗体により結
合されるエピトープと重複するエピトープに結合する。幾つかの場合においては、抗CD
22抗体はヒト化されている。
【0278】
幾つかの場合においては、適切な抗CD22抗体は、細胞表面上でCD22を発現する
細胞においてアポトーシスを誘導しうる。
【0279】
幾つかの場合においては、本コンジュゲートにおける使用に適した抗CD22抗体は、
CD22を過剰発現するヒト腫瘍細胞の増殖を抑制し、この場合、該抑制はインビトロ、
インビボまたはインビトロとインビボとの両方で生じる。例えば、幾つかの場合において
は、本コンジュゲートにおける使用に適した抗CD22抗体は、CD22を過剰発現する
ヒト腫瘍細胞の増殖を、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%
、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%
、少なくとも約70%、少なくとも約80%または80%以上、例えば、少なくとも約8
5%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約9
9%または100%抑制する。
【0280】
幾つかの場合においては、適切な抗CD22抗体は、CD22エピトープ[例えば、C
D22抗原内(例えば、図8A~8Cに示されているCD22アミノ酸配列のアミノ酸1
-847内、アミノ酸1-759内、アミノ酸1-751内またはアミノ酸1-670内
)のアミノ酸残基を含むエピトープ]への結合に関して、IYDMS(VH CDR1;
配列番号//)、YISSGGGTTYYPDTVKG(VH CDR2;配列番号//
)およびHSGYGSSYGVLFAY(VH CDR3;配列番号//)から選択され
る重鎖相補性決定領域(CDR)を含む抗体と競合する。幾つかの場合においては、該抗
CD22抗体はヒト化されている。幾つかの場合においては、適切な抗CD22抗体は、
CD22エピトープ[例えば、CD22抗原内(例えば、図8A~8Cに示されているC
D22アミノ酸配列のアミノ酸1-847内、アミノ酸1-759内、アミノ酸1-75
1内またはアミノ酸1-670内)のアミノ酸残基を含むエピトープ]への結合に関して
、RASQDISNYLN(VL CDR1;配列番号//)、YTSILHS(VL
CDR2;配列番号//)およびQQGNTLPWT(VL CDR3;配列番号//)
から選択される軽鎖CDRを含む抗体と競合する。幾つかの場合においては、該抗CD2
2抗体はヒト化されている。
【0281】
幾つかの場合においては、適切な抗CD22抗体は、CD22エピトープ[例えば、C
D22抗原内(例えば、図8A~8Cに示されているCD22アミノ酸配列のアミノ酸1
-847内、アミノ酸1-759内、アミノ酸1-751内またはアミノ酸1-670内
)のアミノ酸残基を含むエピトープ]への結合に関して、VH CDR IYDMS(V
H CDR1;配列番号//)、YISSGGGTTYYPDTVKG(VH CDR2
;配列番号//)およびHSGYGSSYGVLFAY(VH CDR3;配列番号//
)を含む抗体と競合する。幾つかの場合においては、該抗CD22抗体はヒト化されてい
る。幾つかの場合においては、適切な抗CD22抗体は、CD22エピトープ[例えば、
CD22抗原内(例えば、図8A~8Cに示されているCD22アミノ酸配列のアミノ酸
1-847内、アミノ酸1-759内、アミノ酸1-751内またはアミノ酸1-670
内)のアミノ酸残基を含むエピトープ]への結合に関して、VL CDR RASQDI
SNYLN(VL CDR1;配列番号//)、YTSILHS(VL CDR2;配列
番号//)およびQQGNTLPWT(VL CDR3;配列番号//)を含む抗体と競
合する。幾つかの場合においては、該抗CD22抗体はヒト化されている。幾つかの場合
においては、適切な抗CD22抗体は、CD22エピトープ[例えば、CD22抗原内(
例えば、図8A~8Cに示されているCD22アミノ酸配列のアミノ酸1-847内、ア
ミノ酸1-759内、アミノ酸1-751内またはアミノ酸1-670内)のアミノ酸残
基を含むエピトープ]への結合に関して、VH CDR IYDMS(VH CDR1;
配列番号//)、YISSGGGTTYYPDTVKG(VH CDR2;配列番号//
)およびHSGYGSSYGVLFAY(VH CDR3;配列番号//)ならびにVL
CDR RASQDISNYLN(VL CDR1;配列番号//)、YTSILHS
(VL CDR2;配列番号//)およびQQGNTLPWT(VL CDR3;配列番
号//)を含む抗体と競合する。幾つかの場合においては、該抗CD22抗体はヒト化さ
れている。
【0282】
幾つかの場合においては、適切な抗CD22抗体はVH CDR IYDMS(VH
CDR1;配列番号//)、YISSGGGTTYYPDTVKG(VH CDR2;配
列番号//)およびHSGYGSSYGVLFAY(VH CDR3;配列番号//)を
含む。幾つかの場合においては、該抗CD22抗体はヒト化されている。適切な抗CD2
2抗体はVL CDR RASQDISNYLN(VL CDR1;配列番号//)、Y
TSILHS(VL CDR2;配列番号//)およびQQGNTLPWT(VL CD
R3;配列番号//)を含む。幾つかの場合においては、該抗CD22抗体はヒト化され
ている。幾つかの場合においては、適切な抗CD22抗体はVH CDR IYDMS(
VH CDR1;配列番号//)、YISSGGGTTYYPDTVKG(VH CDR
2;配列番号//)およびHSGYGSSYGVLFAY(VH CDR3;配列番号/
/)ならびにVL CDR RASQDISNYLN(VL CDR1;配列番号//)
、YTSILHS(VL CDR2;配列番号//)およびQQGNTLPWT(VL
CDR3;配列番号//)を含む。幾つかの場合においては、該抗CD22抗体はヒト化
されている。
【0283】
幾つかの場合においては、適切な抗CD22抗体は、以下のアミノ酸配列:EVQLV
ESGGGLVKPGGSLRLSCAASGFAFSIYDMSWVRQAPGKGL
EWVAYISSGGGTTYYPDTVKGRFTISRDNAKNSLYLQMSS
LRAEDTAMYYCARHSGYGSSYGVLFAYWGQGTLVTVSS(配
列番号//)を含む抗CD22 VH領域内に存在するVH CDRを含む。幾つかの場
合においては、該抗CD22抗体はヒト化されている。
【0284】
幾つかの場合においては、適切な抗CD22抗体は、以下のアミノ酸配列:DIQMT
QSPSSLSASVGDRVTITCRASQDISNYLNWYQQKPGKAVK
LLIYYTSILHSGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQQEDFAT
YFCQQGNTLPWTFGGGTKVEIKR(配列番号//)を含む抗CD22
VL領域内に存在するVL CDRを含む。幾つかの場合においては、該抗CD22抗体
はヒト化されている。
【0285】
幾つかの場合においては、適切な抗CD22抗体は、EVQLVESGGGLVKPG
GSLRLSCAASGFAFSIYDMSWVRQAPGKGLEWVAYISSGG
GTTYYPDTVKGRFTISRDNAKNSLYLQMSSLRAEDTAMYY
CARHSGYGSSYGVLFAYWGQGTLVTVSS(配列番号//)に存在す
るVH CDRおよびDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDIS
NYLNWYQQKPGKAVKLLIYYTSILHSGVPSRFSGSGSGTD
YTLTISSLQQEDFATYFCQQGNTLPWTFGGGTKVEIKR(配
列番号//)に存在するVL CDRを含む。幾つかの場合においては、該抗CD22抗
体はヒト化されている。
【0286】
幾つかの場合においては、適切な抗CD22抗体は、a)アミノ酸配列EVQLVES
GGGLVKPGGSLXLSCAASGFAFSIYDMSWVRQAPGKGLE
WVAYISSGGGTTYYPDTVKGRFTISRDNAKNXLYLQMX
SLRAEDTAMYYCARHSGYGSSYGVLFAYWGQGTLVTVSS(
配列番号1)[ここで、XはK(Lys)またはR(Arg)である;XはS(Se
r)またはT(Thr)である;およびXはN(Asn)またはS(Ser)である]
を有するVH領域を含む重鎖と、b)免疫グロブリン軽鎖とを含む。
【0287】
軽鎖は、生じる抗体がCD22に特異的に結合する限り、任意の適切なVアミノ酸配
列を有しうる。
【0288】
典型的なVアミノ酸配列は、
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDISNYLNWYQQ
KPGKAVKLLIYYTSILHSGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSL
QQEDFATYFCQQGNTLPWTFGGGTKVEIKR(配列番号7;VK1
);
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDISNYLNWYQQ
KPGKAVKLLIYYTSILHSGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSL
QPEDFATYFCQQGNTLPWTFGGGTKVEIKR(配列番号8;VK2
);および
DIQMTQSPSSVSASVGDRVTITCRASQDISNYLNWYQQ
KPGKAPKLLIYYTSILHSGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSL
QPEDFATYFCQQGNTLPWTFGGGTKVEIKR(配列番号9;VK4

を含む。
【0289】
したがって、例えば、適切な抗CD22抗体は、a)配列番号1に記載されているアミ
ノ酸配列を有するVH領域を含む重鎖と、VK1のVL領域を含む軽鎖とを含みうる。他
の場合においては、適切な抗CD22抗体は、a)配列番号1に記載されているアミノ酸
配列を有するVH領域を含む重鎖と、VK2のVL領域を含む軽鎖とを含みうる。更に他
の場合においては、該抗CD22抗体は、a)配列番号1に記載されているアミノ酸配列
を有するVH領域を含む重鎖と、VK4のVL領域を含む軽鎖とを含みうる。
【0290】
幾つかの場合においては、適切な抗CD22抗体は、a)アミノ酸配列:DIQMTQ
SPSSXSASVGDRVTITCRASQDISNYLNWYQQKPGKAX
KLLIYYTSILHSGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQXEDF
ATYFCQQGNTLPWTFGGGTKVEIK(配列番号2)[ここで、XはL
(Leu)またはV(Val)である;XはV(Val)またはP(Pro)である;
およびXはQ(Gln)またはP(Pro)である]を含む免疫グロブリン軽鎖と、b
)免疫グロブリン重鎖とを含む。該重鎖は、
EVQLVESGGGLVKPGGSLKLSCAASGFAFSIYDMSWVR
QAPGKGLEWVAYISSGGGTTYYPDTVKGRFTISRDNAKNT
LYLQMSSLRAEDTAMYYCARHSGYGSSYGVLFAYWGQGTL
VTVSS(配列番号3;VH3);
EVQLVESGGGLVKPGGSLRLSCAASGFAFSIYDMSWVR
QAPGKGLEWVAYISSGGGTTYYPDTVKGRFTISRDNAKNS
LYLQMSSLRAEDTAMYYCARHSGYGSSYGVLFAYWGQGTL
VTVSS(配列番号4;VH4);
EVQLVESGGGLVKPGGSLKLSCAASGFAFSIYDMSWVRQ
APGKGLEWVAYISSGGGTTYYPDTVKGRFTISRDNAKNSL
YLQMNSLRAEDTAMYYCARHSGYGSSYGVLFAYWGQGTLV
TVSS(配列番号5;VH5);および
EVQLVESGGGLVKPGGSLKLSCAASGFAFSIYDMSWVRQ
APGKGLEWVAYISSGGGTTYYPDTVKGRFTISRDNAKNSL
YLQMSSLRAEDTAMYYCARHSGYGSSYGVLFAYWGQGTLV
TVSS(配列番号6;VH6)
から選択されるアミノ酸配列を含みうる。
【0291】
幾つかの場合においては、適切な抗CD22抗体は、以下のアミノ酸配列:EVQLV
ESGGGLVKPGGSLRLSCAASGFAFSIYDMSWVRQAPGKGL
EWVAYISSGGGTTYYPDTVKGRFTISRDNAKNSLYLQMSS
LRAEDTAMYYCARHSGYGSSYGVLFAYWGQGTLVTVSS(配
列番号//)を含むVH領域を含む。
【0292】
幾つかの場合においては、適切な抗CD22抗体は、以下のアミノ酸配列:EVQLV
ESGGGLVKPGGSLRLSCAASGFAFSIYDMSWVRQAPGKGL
EWVAYISSGGGTTYYPDTVKGRFTISRDNAKNSLYLQMSS
LRAEDTAMYYCARHSGYGSSYGVLFAYWGQGTLVTVSS(配
列番号//)を含むVH領域と、以下のアミノ酸配列:DIQMTQSPSSLSASV
GDRVTITCRASQDISNYLNWYQQKPGKAVKLLIYYTSILH
SGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQQEDFATYFCQQGNTLP
WTFGGGTKVEIKR(配列番号//)を含むVL領域とを含む。
【0293】
修飾定常領域配列
前記のとおり、抗CD22抗体のアミノ酸配列は、インビボ(例えば、細胞におけるa
ldタグ含有タンパク質の翻訳時に)またはインビトロ(例えば、無細胞系においてal
dタグ含有タンパク質をFGEと接触させることにより)でホルミルグリシン生成酵素(
FGE)の作用により2-ホルミルグリシン(FGly)残基に変換(酸化)されうるセ
リンまたはシステイン残基を含有するスルファターゼモチーフを含むように修飾される。
そのようなスルファターゼモチーフは本明細書においてはFGE修飾部位とも称されうる
【0294】
スルファターゼモチーフ
アルデヒドタグの最小スルファターゼモチーフは、通常、5または6アミノ酸残基の長
さ、通常、6アミノ酸残基以下の長さである。Igポリペプチドにおいて提供されるスル
ファターゼモチーフは少なくとも5または6アミノ酸残基であり、16、15、14、1
3、12、11、10、9、8または7アミノ酸残基未満の長さのスルファターゼモチー
フを定めるためには、例えば、5~16、6~16、5~15、6~15、5~14、6
~14、5~13、6~13、5~12、6~12、5~11、6~11、5~10、6
~10、5~9、6~9、5~8または6~8アミノ酸残基の長さでありうる。
【0295】
ある実施形態においては、関心のあるポリペプチドには、ポリペプチドにおいてスルフ
ァターゼモチーフの配列を得るために、天然アミノ酸配列に対して1以上のアミノ酸残基
、例えば2以上、または3以上、または4以上、または5以上、または6以上、または7
以上、または8以上、または9以上、または10以上、または11以上、または12以上
、または13以上、または14以上、または15以上、または16以上、または17以上
、または18以上、または19以上、または20以上のアミノ酸残基が挿入され、欠失し
ており、置換されているものが含まれる。ある実施形態においては、該ポリペプチドは、
該ポリペプチドの天然アミノ酸配列に対する、アミノ酸配列の20、19、18、17、
16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3または2個以
下のアミノ酸残基の修飾(挿入、付加、欠失および/または置換)を含む。該ポリペプチ
ド(例えば、抗CD22抗体)に固有のアミノ酸配列が所望のスルファターゼモチーフの
残基の1以上を含有する場合、残基の修飾の総数は、例えば、所望のスルファターゼモチ
ーフの配列を得るための、天然アミノ酸残基に隣接するアミノ酸残基の部位特異的修飾(
挿入、付加、欠失、置換)により減少されうる。ある実施形態においては、標的抗CD2
2ポリペプチドの天然アミノ酸配列の修飾の度合は、(例えば、NまたはC末端に対して
)挿入、欠失、置換または付加されるアミノ酸残基の数を最小にするように最小化される
。標的抗CD22ポリペプチドのアミノ酸配列修飾の度合の最小化は、そのような修飾が
抗CD22の機能および/または構造に及ぼしうる影響を最小にしうる。
【0296】
特に関心のあるアルデヒドタグは少なくとも最小スルファターゼモチーフ(「コンセン
サススルファターゼモチーフ」とも称される)を含むものであるが、より長いアルデヒド
タグも本開示により想定され且つ包含され、本開示の組成物および方法において有用であ
りうると容易に理解されることに注目すべきである。したがって、アルデヒドタグは5ま
たは6残基の最小スルファターゼモチーフを含むことが可能であり、あるいはより長いこ
とも可能であり、該モチーフのN末端および/またはC末端に追加的アミノ酸残基が隣接
していることが可能な最小スルファターゼモチーフを含みうる。例えば、5または6個の
アミノ酸残基のアルデヒドタグ、および5、6、7、8、9、10、11、12、13、
14、15、16、17、18、19、20個またはそれ以上のアミノ酸残基の、より長
いアミノ酸配列のアルデヒドタグも想定される。
【0297】
アルデヒドタグはIg重鎖のC末端またはその付近に存在しうる。例えば、アルデヒド
タグは天然野生型Ig重鎖のC末端の1、2、3、4、5、6、7、8、9または10ア
ミノ酸内に存在しうる。アルデヒドタグはIg重鎖のCH1ドメイン内に存在しうる。ア
ルデヒドタグはIg重鎖のCH2ドメイン内に存在しうる。アルデヒドタグはIg重鎖の
CH3ドメイン内に存在しうる。アルデヒドタグはIg軽鎖定常領域、例えばカッパ軽鎖
定常領域またはラムダ軽鎖定常領域に存在しうる。
【0298】
ある実施形態においては、使用されるスルファターゼモチーフは式:
102030 (I’)
により示されることが可能であり、ここで、
10はシステインまたはセリン(これは(C/S)によっても表されうる)である

20はプロリンまたはアラニン残基(これは(P/A)によっても表されうる)の
いずれかである;
30は塩基性アミノ酸(例えば、アルギニン(R)、そしてリジン(K)またはヒ
スチジン(H)、例えばリジンでありうる)または脂肪族アミノ酸(アラニン(A)、グ
リシン(G)、ロイシン(L)、バリン(V)、イソロイシン(I)またはプロリン(P
)、例えばA、G、L、VまたはI)である;
は存在しても存在しなくてもよく、存在する場合には、任意のアミノ酸、例えば
脂肪族アミノ酸、硫黄含有アミノ酸または極性非荷電アミノ酸(すなわち、芳香族アミノ
酸または荷電アミノ酸以外)、例えばL、M、V、SまたはT、例えばL、M、Sまたは
Vでありうるが、スルファターゼモチーフが標的ポリペプチドのN末端に存在する場合に
は、Xは存在する;
およびXは、独立して、任意のアミノ酸でありうるが、通常は脂肪族アミノ酸
、極性非荷電アミノ酸または硫黄含有アミノ酸(すなわち、芳香族アミノ酸または荷電ア
ミノ酸以外)、例えばS、T、A、V、GまたはC、例えばS、T、A、VまたはGであ
る。
【0299】
抗CD22重鎖および/または軽鎖のアミノ酸配列は、式:X1020
30の少なくとも5アミノ酸の配列を与えるように修飾されることが可能であり、ここ
で、
10はシステインまたはセリンである;
20はプロリンまたはアラニン残基である;
30は脂肪族アミノ酸または塩基性アミノ酸である;
は存在しても存在しなくてもよく、存在する場合には、任意のアミノ酸であるが
、異種スルファターゼモチーフが該ポリペプチドのN末端に存在する場合には、Xは存
在する;
およびXは、それぞれ独立して、任意のアミノ酸である;
該配列はIg定常領域の溶媒接近可能ループ領域内に又はそれに隣接して存在し、該
配列はIg重鎖のC末端には存在しない。
【0300】
該スルファターゼモチーフは、一般に、選択されたFGE(例えば、アルデヒドタグ付
きポリペプチドが発現される宿主細胞内に存在するFGE、または無細胞インビトロ法に
おいてアルデヒドタグ付きポリペプチドと接触されることになるFGE)により変換され
うるように選択される。
【0301】
例えば、FGEが真核生物FGE(例えば哺乳類FGE、例えばヒトFGE)である場
合、スルファターゼモチーフは式:
CXPX30 (I’’)
のものであることが可能であり、ここで、
は存在しても存在しなくてもよく、存在する場合には、任意のアミノ酸、例えば
脂肪族アミノ酸、硫黄含有アミノ酸または極性非荷電アミノ酸(すなわち、芳香族アミノ
酸または荷電アミノ酸以外)、例えばL、M、SまたはVでありうるが、スルファターゼ
モチーフが標的ポリペプチドのN末端に存在する場合には、Xは存在する;
およびXは、独立して、任意のアミノ酸、例えば脂肪族アミノ酸、硫黄含有ア
ミノ酸または極性非荷電アミノ酸(すなわち、芳香族アミノ酸または荷電アミノ酸以外)
、例えばS、T、A、V、GまたはC、例えばS、T、A、VまたはGである;
30は塩基性アミノ酸(例えば、アルギニン(R)、そしてリジン(K)またはヒ
スチジン(H)、例えばリジンでありうる)または脂肪族アミノ酸(アラニン(A)、グ
リシン(G)、ロイシン(L)、バリン(V)、イソロイシン(I)またはプロリン(P
)、例えばA、G、L、VまたはI)である。
【0302】
スルファターゼの具体例には、LCTPSR(配列番号//)、MCTPSR(配列番
号//)、VCTPSR(配列番号//)、LCSPSR(配列番号//)、LCAPS
R(配列番号//)、LCVPSR(配列番号//)、LCGPSR(配列番号//)、
ICTPAR(配列番号//)、LCTPSK(配列番号//)、MCTPSK(配列番
号//)、VCTPSK(配列番号//)、LCSPSK(配列番号//)、LCAPS
K(配列番号//)、LCVPSK(配列番号//)、LCGPSK(配列番号//)、
LCTPSA(配列番号//)、ICTPAA(配列番号//)、MCTPSA(配列番
号//)、VCTPSA(配列番号//)、LCSPSA(配列番号//)、LCAPS
A(配列番号//)、LCVPSA(配列番号//)およびLCGPSA(配列番号//
)が含まれる。
【0303】
FGly含有配列
修飾抗CD22重鎖および/または軽鎖に対するFGEの作用に際して、スルファター
ゼモチーフ内のセリンまたはシステインがFGlyに変換される。したがって、FGly
含有スルファターゼモチーフは式:
(FGly)X2030 (I’’’)
のものであることが可能であり、ここで、
FGlyはホルミルグリシン残基である;
20はプロリンまたはアラニン残基(これは(P/A)によっても表されうる)の
いずれかである;
30は塩基性アミノ酸(例えば、アルギニン(R)、そしてリジン(K)またはヒ
スチジン(H)、通常はリジンでありうる)または脂肪族アミノ酸(アラニン(A)、グ
リシン(G)、ロイシン(L)、バリン(V)、イソロイシン(I)またはプロリン(P
)、例えばA、G、L、VまたはI)である;
は存在しても存在しなくてもよく、存在する場合には、任意のアミノ酸、例えば
脂肪族アミノ酸、硫黄含有アミノ酸または極性非荷電アミノ酸(すなわち、芳香族アミノ
酸または荷電アミノ酸以外)、例えばL、M、V、SまたはT、例えばL、M、Sまたは
Vでありうるが、スルファターゼモチーフが標的ポリペプチドのN末端に存在する場合に
は、Xは存在する;
およびXは、独立して、任意のアミノ酸、例えば脂肪族アミノ酸、硫黄含有ア
ミノ酸または極性非荷電アミノ酸(すなわち、芳香族アミノ酸または荷電アミノ酸以外)
、例えばS、T、A、V、GまたはC、例えばS、T、A、VまたはGでありうる。
【0304】
前記のとおり、FGly残基を含有する修飾ポリペプチドは、FGlyと薬物(例えば
、前記のヒドラジニル-インドリルまたはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルカップリン
グ部分を含有する薬物)との反応により薬物(例えば、メイタンシノイド)にコンジュゲ
ート化されて、FGly’含有スルファターゼモチーフを与えうる。本明細書中で用いる
FGly’なる語は、メイタンシノイドのような薬物にカップリングされるスルファター
ゼモチーフの修飾アミノ酸残基(例えば、式(I)の修飾アミノ酸残基)を意味する。し
たがって、FGly’含有スルファターゼモチーフは式:
(FGly’)X2030 (II)
のものであることが可能であり、ここで、
FGly’は式(I)の修飾アミノ酸残基である;
20はプロリンまたはアラニン残基(これは(P/A)によっても表されうる)の
いずれかである;
30は塩基性アミノ酸(例えば、アルギニン(R)、そしてリジン(K)またはヒ
スチジン(H)、通常はリジンでありうる)または脂肪族アミノ酸(アラニン(A)、グ
リシン(G)、ロイシン(L)、バリン(V)、イソロイシン(I)またはプロリン(P
)、例えばA、G、L、VまたはI)である;
は存在しても存在しなくてもよく、存在する場合には、任意のアミノ酸、例えば
脂肪族アミノ酸、硫黄含有アミノ酸または極性非荷電アミノ酸(すなわち、芳香族アミノ
酸または荷電アミノ酸以外)、例えばL、M、V、SまたはT、例えばL、MまたはVで
ありうるが、スルファターゼモチーフが標的ポリペプチドのN末端に存在する場合には、
は存在する;
およびXは、独立して、任意のアミノ酸、例えば脂肪族アミノ酸、硫黄含有ア
ミノ酸または極性非荷電アミノ酸(すなわち、芳香族アミノ酸または荷電アミノ酸以外)
、例えばS、T、A、V、GまたはC、例えばS、T、A、VまたはGでありうる。
【0305】
ある実施形態においては、式(I)の修飾アミノ酸残基は抗CD22抗体の重鎖定常領
域のC末端に位置する。幾つかの場合においては、該重鎖定常領域は式:
(FGly’)X2030 (II)
の配列を含み、ここで、
FGly’は式(I)の修飾アミノ酸残基である;
20はプロリンまたはアラニン残基(これは(P/A)によっても表されうる)の
いずれかである;
30は塩基性アミノ酸(例えば、アルギニン(R)、そしてリジン(K)またはヒ
スチジン(H)、通常はリジンでありうる)または脂肪族アミノ酸(アラニン(A)、グ
リシン(G)、ロイシン(L)、バリン(V)、イソロイシン(I)またはプロリン(P
)、例えばA、G、L、VまたはI)である;
は存在しても存在しなくてもよく、存在する場合には、任意のアミノ酸、例えば
脂肪族アミノ酸、硫黄含有アミノ酸または極性非荷電アミノ酸(すなわち、芳香族アミノ
酸または荷電アミノ酸以外)、例えばL、M、V、SまたはT、例えばL、MまたはVで
ありうるが、スルファターゼモチーフが標的ポリペプチドのN末端に存在する場合には、
は存在する;
およびXは、独立して、任意のアミノ酸、例えば脂肪族アミノ酸、硫黄含有ア
ミノ酸または極性非荷電アミノ酸(すなわち、芳香族アミノ酸または荷電アミノ酸以外)
、例えばS、T、A、V、GまたはC、例えばS、T、A、VまたはGでありうる;
該配列はアミノ酸配列QKSLSLSPGKのC末端側に存在し、該配列は、天然野
生型Ig重鎖定常領域には存在しない1、2、3、4、5個または5~10個のアミノ酸
を含みうる。
【0306】
ある実施形態においては、該重鎖定常領域は、Ig重鎖のC末端において、例えば天然
SLSLSPGK(配列番号//)配列の代わりに、配列SLSLSPGSL(FGly
’)TPSRGSを含む。
【0307】
ある実施形態においては、式(I)の修飾アミノ酸残基は抗CD22抗体の軽鎖定常領
域に位置する。幾つかの実施形態においては、該軽鎖定常領域は式:
(FGly’)X2030 (II)
の配列を含み、ここで、
FGly’は式(I)の修飾アミノ酸残基である;
20はプロリンまたはアラニン残基(これは(P/A)によっても表されうる)の
いずれかである;
30は塩基性アミノ酸(例えば、アルギニン(R)、そしてリジン(K)またはヒ
スチジン(H)、通常はリジンでありうる)または脂肪族アミノ酸(アラニン(A)、グ
リシン(G)、ロイシン(L)、バリン(V)、イソロイシン(I)またはプロリン(P
)、例えばA、G、L、VまたはI)である;
は存在しても存在しなくてもよく、存在する場合には、任意のアミノ酸、例えば
脂肪族アミノ酸、硫黄含有アミノ酸または極性非荷電アミノ酸(すなわち、芳香族アミノ
酸または荷電アミノ酸以外)、例えばL、M、V、SまたはT、例えばL、MまたはVで
ありうるが、スルファターゼモチーフが標的ポリペプチドのN末端に存在する場合には、
は存在する;
およびXは、独立して、任意のアミノ酸、例えば脂肪族アミノ酸、硫黄含有ア
ミノ酸または極性非荷電アミノ酸(すなわち、芳香族アミノ酸または荷電アミノ酸以外)
、例えばS、T、A、V、GまたはC、例えばS、T、A、VまたはGでありうる;
該配列はアミノ酸配列KVDNAL(配列番号//)のC末端側に存在し、および/
またはアミノ酸配列QSGNSQ(配列番号//)のN末端側に存在する。
【0308】
ある実施形態においては、該軽鎖定常領域は配列KVDNAL(FGly’)TPSR
QSGNSQ(配列番号//)を含む。
【0309】
ある実施形態においては、式(I)の修飾アミノ酸残基は抗CD22抗体の重鎖CH1
領域に位置する。ある実施形態においては、該重鎖CH1領域は式:
(FGly’)X2030 (II)
の配列を含み、ここで、
FGly’は式(I)の修飾アミノ酸残基である;
20はプロリンまたはアラニン残基(これは(P/A)によっても表されうる)の
いずれかである;
30は塩基性アミノ酸(例えば、アルギニン(R)、そしてリジン(K)またはヒ
スチジン(H)、通常はリジンでありうる)または脂肪族アミノ酸(アラニン(A)、グ
リシン(G)、ロイシン(L)、バリン(V)、イソロイシン(I)またはプロリン(P
)、例えばA、G、L、VまたはI)である;
は存在しても存在しなくてもよく、存在する場合には、任意のアミノ酸、例えば
脂肪族アミノ酸、硫黄含有アミノ酸または極性非荷電アミノ酸(すなわち、芳香族アミノ
酸または荷電アミノ酸以外)、例えばL、M、V、SまたはT、例えばL、MまたはVで
ありうるが、スルファターゼモチーフが標的ポリペプチドのN末端に存在する場合には、
は存在する;
およびXは、独立して、任意のアミノ酸、例えば脂肪族アミノ酸、硫黄含有ア
ミノ酸または極性非荷電アミノ酸(すなわち、芳香族アミノ酸または荷電アミノ酸以外)
、例えばS、T、A、V、GまたはC、例えばS、T、A、VまたはGでありうる;
該配列はアミノ酸配列SWNSGA(配列番号//)のC末端側に存在し、および/
またはアミノ酸配列GVHTFP(配列番号//)のN末端側に存在する。
【0310】
ある実施形態においては、該重鎖CH1領域は配列SWNSGAL(FGly’)TP
SRGVHTFP(配列番号//)を含む。
【0311】
修飾部位
前記のとおり、抗CD22抗体のアミノ酸配列は、インビボ(例えば、細胞におけるa
ldタグ含有タンパク質の翻訳時に)またはインビトロ(例えば、無細胞系においてal
dタグ含有タンパク質をFGEと接触させることにより)でFGEの作用によりFGly
残基に変換(酸化)されうるセリンまたはシステイン残基を含有するスルファターゼモチ
ーフを含むように修飾される。本開示のコンジュゲートを製造するために使用される抗C
D22ポリペプチドは、少なくとも、Ig定常領域、例えばIg重鎖定常領域(例えば、
少なくともCH1ドメイン;少なくともCH1およびCH2ドメイン;CH1、CH2お
よびCH3ドメイン;またはCH1、CH2、CH3およびCH4ドメイン)、またはI
g軽鎖定常領域を含む。そのようなIgポリペプチドは本明細書においては「標的Igポ
リペプチド」または「標的抗CD22抗体」または「標的抗CD22 Igポリペプチド
」と称される。
【0312】
スルファターゼモチーフが導入される抗CD22抗体内の部位は任意の簡便な部位であ
りうる。前記のとおり、標的抗CD22ポリペプチドの天然アミノ酸配列の修飾の度合は
、(例えば、NまたはC末端に対して)挿入、欠失、置換および/または付加されるアミ
ノ酸残基の数を最小にするように最小化される。標的抗CD22ポリペプチドのアミノ酸
配列修飾の度合の最小化は、そのような修飾が抗CD22の機能および/または構造に及
ぼしうる影響を最小にしうる。
【0313】
抗CD22抗体重鎖定常領域は、任意の重鎖アイソタイプ、非天然Ig重鎖定常領域(
コンセンサスIg重鎖定常領域を含む)のIg定常領域を含みうる。Ig定常領域は、ア
ルデヒドタグを含むように修飾されることが可能であり、ここで、アルデヒドタグはIg
定常領域の溶媒接近可能ループ領域内に又はそれに隣接して存在する。前記のスルファタ
ーゼモチーフのアミノ酸配列を得るために、Ig定常領域は、1、2、3、4、5、6、
7、8、9、10、11、12、13、14、15もしくは16アミノ酸または16アミ
ノ酸以上の挿入および/または置換により修飾されうる。
【0314】
幾つかの場合においては、アルデヒドタグ付き抗CD22抗体はアルデヒドタグ付きI
g重鎖定常領域(例えば、少なくともCH1ドメイン;少なくともCH1およびCH2ド
メイン;CH1、CH2およびCH3ドメイン;またはCH1、CH2、CH3およびC
H4ドメイン)を含む。アルデヒドタグ付きIg重鎖定常領域は、FGly修飾Igポリ
ペプチドを得るためにFGEにより修飾されうる少なくとも1つのスルファターゼモチー
フを含むように修飾された、IgA、IgM、IgD、IgE、IgG1、IgG2、I
gG3もしくはIgG4アイソタイプ重鎖またはその任意のアロタイプ変異体の重鎖定常
領域配列、例えば、ヒト重鎖定常領域配列もしくはサル重鎖定常領域配列、ハイブリッド
重鎖定常領域、合成重鎖定常領域、またはコンセンサス重鎖定常領域配列などを含みうる
。Ig重鎖のアロタイプ変異体は当技術分野で公知である。例えば、Jefferisお
よびLefranc(2009)MAbs 1:4を参照されたい。
【0315】
幾つかの場合においては、アルデヒドタグ付き抗CD22抗体はアルデヒドタグ付きI
g軽鎖定常領域を含む。アルデヒド標識Ig軽鎖定常領域は、FGly修飾抗CD22抗
体ポリペプチドを得るためにFGEにより修飾されうる少なくとも1つのスルファターゼ
モチーフを含むように修飾された、カッパ軽鎖、ラムダ軽鎖の定常領域配列、例えば、ヒ
トカッパまたはラムダ軽鎖定常領域、ハイブリッド軽鎖定常領域、合成軽鎖定常領域また
はコンセンサス軽鎖定常領域配列などを含みうる。典型的な定常領域には、ヒトガンマ1
およびガンマ3領域が含まれる。スルファターゼモチーフを除いて、修飾定常領域は野生
型アミノ酸配列を有してもよく、またはそれは、野生型アミノ酸配列に対して少なくとも
70%同一(例えば、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%同一
)であるアミノ酸配列を有しうる。
【0316】
幾つかの実施形態においては、スルファターゼモチーフはIgポリペプチド重鎖のC末
端以外の又はそれに加えた位置に存在する。前記のとおり、単離されたアルデヒドタグ付
き抗CD22ポリペプチドは、前記のスルファターゼモチーフを含むように修飾された重
鎖定常領域を含むことが可能であり、ここで、該スルファターゼモチーフは抗CD22ポ
リペプチド重鎖定常領域の表面接近可能ループ領域に又はそれに隣接して存在する。
【0317】
幾つかの場合においては、標的抗CD22免疫グロブリンは前記のスルファターゼモチ
ーフを含むように修飾され、ここで、該修飾は1以上のアミノ酸残基の挿入、欠失および
/または置換を含む。ある実施形態においては、スルファターゼモチーフは、1)アミノ
酸122-127;2)アミノ酸137-143;3)アミノ酸155-158;4)ア
ミノ酸163-170;5)アミノ酸163-183;6)アミノ酸179-183;7
)アミノ酸190-192;8)アミノ酸200-202;9)アミノ酸199-202
;10)アミノ酸208-212;11)アミノ酸220-241;12)アミノ酸24
7-251;13)アミノ酸257-261;14)アミノ酸269-277;15)ア
ミノ酸271-277;16)アミノ酸284-285;17)アミノ酸284-292
;18)アミノ酸289-291;19)アミノ酸299-303;20)アミノ酸30
9-313;21)アミノ酸320-322;22)アミノ酸329-335;23)ア
ミノ酸341-349;24)アミノ酸342-348;25)アミノ酸356-365
;26)アミノ酸377-381;27)アミノ酸388-394;28)アミノ酸39
8-407;29)アミノ酸433-451;および30)アミノ酸446-451の1
以上に対応するIgG1重鎖定常領域の領域内に又はそれに隣接して存在し、ここで、ア
ミノ酸の番号付けは、図9Bに示されているヒトIgGのアミノ酸の番号付けに基づく。
【0318】
幾つかの場合においては、標的抗CD22免疫グロブリンは前記のスルファターゼモチ
ーフを含むように修飾され、ここで、該修飾は1以上のアミノ酸残基の挿入、欠失および
/または置換を含む。ある実施形態においては、スルファターゼモチーフは、1)アミノ
酸1-6;2)アミノ酸16-22;3)アミノ酸34-47;4)アミノ酸42-49
;5)アミノ酸42-62;6)アミノ酸34-37;7)アミノ酸69-71;8)ア
ミノ酸79-81;9)アミノ酸78-81;10)アミノ酸87-91;11)アミノ
酸100-121;12)アミノ酸127-131;13)アミノ酸137-141;1
4)アミノ酸149-157;15)アミノ酸151-157;16)アミノ酸164-
165;17)アミノ酸164-172;18)アミノ酸169-171;19)アミノ
酸179-183;20)アミノ酸189-193;21)アミノ酸200-202;2
2)アミノ酸209-215;23)アミノ酸221-229;24)アミノ酸22-2
28;25)アミノ酸236-245;26)アミノ酸217-261;27)アミノ酸
268-274;28)アミノ酸278-287;29)アミノ酸313-331;およ
び30)アミノ酸324-331の1以上に対応するIgG1重鎖定常領域の領域内に又
はそれに隣接して存在し、ここで、アミノ酸の番号付けは、配列番号//(ヒトIgG1
定常領域;図9Bに示されている配列)に記載されているヒトIgG1のアミノ酸の番号
付けに基づく。
【0319】
IgG1重鎖の典型的な表面接近可能ループ領域には以下のものが含まれる:図9A
よび9Bに示されている、1)ASTKGP(配列番号//);2)KSTSGGT(配
列番号//);3)PEPV(配列番号//);4)NSGALTSG(配列番号//)
;5)NSGALTSGVHTFPAVLQSSGL(配列番号//);6)QSSGL
(配列番号//);7)VTV;8)QTY;9)TQTY(配列番号//);10)H
KPSN(配列番号//);11)EPKSCDKTHTCPPCPAPELLGG(配
列番号//);12)FPPKP(配列番号//);13)ISRTP(配列番号//)
;14)DVSHEDPEV(配列番号//);15)SHEDPEV(配列番号//)
;16)DG;17)DGVEVHNAK(配列番号//);18)HNA;19)QY
NST(配列番号//);20)VLTVL(配列番号//);21)GKE;22)N
KALPAP(配列番号//);23)SKAKGQPRE(配列番号//);24)K
AKGQPR(配列番号//);25)PPSRKELTKN(配列番号//);26)
YPSDI(配列番号//);27)NGQPENN(配列番号//);28)TPPV
LDSDGS(配列番号//);29)HEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列
番号//);および30)SLSPGK(配列番号//)。
【0320】
幾つかの場合においては、標的免疫グロブリンは前記のスルファターゼモチーフを含む
ように修飾され、ここで、該修飾は1以上のアミノ酸残基の挿入、欠失および/または置
換を含む。ある実施形態においては、スルファターゼモチーフは、1)アミノ酸1-6;
2)アミノ酸13-24;3)アミノ酸33-37;4)アミノ酸43-54;5)アミ
ノ酸58-63;6)アミノ酸69-71;7)アミノ酸78-80;8)87-89;
9)アミノ酸95-96;10)114-118;11)122-126;12)134
-136;13)144-152;14)159-167;15)175-176;16
)184-188;17)195-197;18)204-210;19)216-22
4;20)231-233;21)237-241;22)252-256;23)26
3-269;24)273-282;25)アミノ酸299-302の1以上に対応する
IgG2重鎖定常領域の領域内に又はそれに隣接して存在し、ここで、アミノ酸の番号付
けは、配列番号//(ヒトIgG2定常領域;図9Bにも示されている)に記載されてい
るアミノ酸配列の番号付けに基づく。
【0321】
IgG2重鎖の典型的な表面接近可能ループ領域には以下のものが含まれる:図9B
示されている、1)ASTKGP(配列番号//);2)PCSRSTSESTAA(配
列番号//);3)FPEPV(配列番号//);4)SGALTSGVHTFP(配列
番号//);5)QSSGLY(配列番号//);6)VTV;7)TQT;8)HKP
;9)DK;10)VAGPS(配列番号//);11)FPPKP(配列番号//);
12)RTP;13)DVSHEDPEV(配列番号//);14)DGVEVHNAK
(配列番号//);15)FN;16)VLTVV(配列番号//);17)GKE;1
8)NKGLPAP(配列番号//);19)SKTKGQPRE(配列番号//);2
0)PPS;21)MTKNQ(配列番号//);22)YPSDI(配列番号//);
23)NGQPENN(配列番号//);24)TPPMLDSDGS(配列番号//)
;25)GNVF(配列番号//);および26)HEALHNHYTQKSLSLSP
GK(配列番号//)。
【0322】
幾つかの場合においては、標的免疫グロブリンは前記のスルファターゼモチーフを含む
ように修飾され、ここで、該修飾は1以上のアミノ酸残基の挿入、欠失および/または置
換を含む。ある実施形態においては、スルファターゼモチーフは、1)アミノ酸1-6;
2)アミノ酸13-22;3)アミノ酸33-37;4)アミノ酸43-61;5)アミ
ノ酸71;6)アミノ酸78-80;7)87-91;8)アミノ酸97-106;9)
111-115;10)147-167;11)173-177;16)185-187
;13)195-203;14)210-218;15)226-227;16)238
-239;17)246-248;18)255-261;19)267-275;20
)282-291;21)アミノ酸303-307;22)アミノ酸313-320;2
3)アミノ酸324-333;24)アミノ酸350-352;25)アミノ酸359-
365;および26)アミノ酸372-377の1以上に対応するIgG3重鎖定常領域
の領域内に又はそれに隣接して存在し、ここで、アミノ酸の番号付けは、配列番号//(
ヒトIgG3定常領域;図9Bにも示されている)に記載されているアミノ酸配列の番号
付けに基づく。
【0323】
IgG3重鎖の典型的な表面接近可能ループ領域には以下のものが含まれる:図9B
示されている、1)ASTKGP(配列番号//);2)PCSRSTSGGT(配列番
号//);3)FPEPV(配列番号//);4)SGALTSGVHTFPAVLQS
SG(配列番号//);5)V;6)TQT;7)HKPSN(配列番号//);8)R
VELKTPLGD(配列番号//);9)CPRCPKP(配列番号//);10)P
KSCDTPPPCPRCPAPELLGG(配列番号//);11)FPPKP(配列
番号//);12)RTP;13)DVSHEDPEV(配列番号//);14)DGV
EVHNAK(配列番号//);15)YN;16)VL;17)GKE;18)NKA
LPAP(配列番号//);19)SKTKGQPRE(配列番号//);20)PPS
REEMTKN(配列番号//);21)YPSDI(配列番号//);22)SSGQ
PENN(配列番号//);23)TPPMLDSDGS(配列番号//);24)GN
I;25)HEALHNR(配列番号//);および26)SLSPGK(配列番号//
)。
【0324】
幾つかの場合においては、標的免疫グロブリンは前記のスルファターゼモチーフを含む
ように修飾され、ここで、該修飾は1以上のアミノ酸残基の挿入、欠失および/または置
換を含む。ある実施形態においては、スルファターゼモチーフは、1)アミノ酸1-5;
2)アミノ酸12-23;3)アミノ酸32-36;4)アミノ酸42-53;5)アミ
ノ酸57-62;6)アミノ酸68-70;7)アミノ酸77-79;8)アミノ酸86
-88;9)アミノ酸94-95;10)アミノ酸101-102;11)アミノ酸10
8-118;12)アミノ酸122-126;13)アミノ酸134-136;14)ア
ミノ酸144-152;15)アミノ酸159-167;16)アミノ酸175-176
;17)アミノ酸185-186;18)アミノ酸196-198;19)アミノ酸20
5-211;20)アミノ酸217-226;21)アミノ酸232-241;22)ア
ミノ酸253-257;23)アミノ酸264-265;24)269-270;25)
アミノ酸274-283;26)アミノ酸300-303;27)アミノ酸399-41
7の1以上に対応するIgG4重鎖定常領域の領域内に又はそれに隣接して存在し、ここ
で、アミノ酸の番号付けは、配列番号//(ヒトIgG4定常領域;図9Bにも示されて
いる)に記載されているアミノ酸配列の番号付けに基づく。
【0325】
IgG4重鎖の典型的な表面接近可能ループ領域には以下のものが含まれる:図9B
示されている、1)STKGP(配列番号//);2)PCSRSTSESTAA(配列
番号//);3)FPEPV(配列番号//);4)SGALTSGVHTFP(配列番
号//);5)QSSGLY(配列番号//);6)VTV;7)TKT;8)HKP;
9)DK;10)YG;11)CPAPEFLGGPS(配列番号//);12)FPP
KP(配列番号//);13)RTP;14)DVSQEDPEV(配列番号//);1
5)DGVEVHNAK(配列番号//);16)FN;17)VL;18)GKE;1
9)NKGLPSS(配列番号//);20)SKAKGQPREP(配列番号//);
21)PPSQEEMTKN(配列番号//);22)YPSDI(配列番号//);2
3)NG;24)NN;25)TPPVLDSDGS(配列番号//);26)GNVF
(配列番号//);および27)HEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号/
/)。
【0326】
幾つかの場合においては、標的免疫グロブリンは前記のスルファターゼモチーフを含む
ように修飾され、ここで、該修飾は1以上のアミノ酸残基の挿入、欠失および/または置
換を含む。ある実施形態においては、スルファターゼモチーフは、1)アミノ酸1-13
;2)アミノ酸17-21;3)アミノ酸28-32;4)アミノ酸44-54;5)ア
ミノ酸60-66;6)アミノ酸73-76;7)アミノ酸80-82;8)アミノ酸9
0-91;9)アミノ酸123-125;10)アミノ酸130-133;11)アミノ
酸138-142;12)アミノ酸151-158;13)アミノ酸165-174;1
4)アミノ酸181-184;15)アミノ酸192-195;16)アミノ酸199;
17)アミノ酸209-210;18)アミノ酸222-245;19)アミノ酸252
-256;20)アミノ酸266-276;21)アミノ酸293-294;22)アミ
ノ酸301-304;23)アミノ酸317-320;24)アミノ酸329-353の
1以上に対応するIgA重鎖定常領域の領域内に又はそれに隣接して存在し、ここで、ア
ミノ酸の番号付けは、配列番号//(ヒトIgA;図9Bにも示されている)に記載され
ているアミノ酸配列の番号付けに基づく。
【0327】
IgA重鎖の典型的な表面接近可能ループ領域には以下のものが含まれる:図9Bに示
されている、1)ASPTSPKVFPLSL(配列番号//);2)QPDGN(配列
番号//);3)VQGFFPQEPL(配列番号//);4)SGQGVTARNFP
(配列番号//);5)SGDLYTT(配列番号//);6)PATQ(配列番号//
);7)GKS;8)YT;9)CHP;10)HRPA(配列番号//);11)LL
GSE(配列番号//);12)GLRDASGV(配列番号//);13)SSGKS
AVQGP(配列番号//);14)GCYS(配列番号//);15)CAEP(配列
番号//);16)PE;17)SGNTFRPEVHLLPPPSEELALNEL(
配列番号//);18)ARGFS(配列番号//);19)QGSQELPREKY(
配列番号//);20)AV;21)AAED(配列番号//);22)HEAL(配列
番号//);および23)IDRLAGKPTHVNVSVVMAEVDGTCY(配列
番号//)。
【0328】
スルファターゼモチーフはIg重鎖のそのような修飾部位のこれらのアミノ酸配列内に
又はそれらに隣接して提供されうる。例えば、これらの修飾部位の隣接N末端側および/
または隣接C末端側にスルファターゼモチーフを提供するために、Ig重鎖ポリペプチド
はこれらのアミノ酸配列の1以上において修飾されうる(例えば、ここで、該修飾は1以
上のアミノ酸残基の挿入、欠失および/または置換を含む)。代替的または追加的に、I
g重鎖修飾部位のいずれかの2つの残基の間にスルファターゼモチーフを提供するために
、Ig重鎖ポリペプチドはこれらのアミノ酸配列の1以上において修飾されうる(例えば
、ここで、該修飾は1以上のアミノ酸残基の挿入、欠失および/または置換を含む)。幾
つかの実施形態においては、Ig重鎖ポリペプチドは、2つのモチーフを含むように修飾
されることが可能であり、該モチーフは互いに隣接していてもよく、あるいは1、2、3
、4個またはそれ以上(例えば、約1~約25個、約25~約50個、または約50~約
100個、またはそれ以上)のアミノ酸によって隔てられていてもよい。代替的または追
加的に、天然アミノ酸配列がスルファターゼモチーフ配列のアミノ酸残基の1以上を提供
する場合、Ig重鎖ポリペプチドアミノ酸配列の修飾部位の選択されたアミノ酸残基を修
飾して、該修飾部位においてスルファターゼモチーフを得ることが可能である(例えば、
ここで、該修飾は1以上のアミノ酸残基の挿入、欠失および/または置換を含む)。
【0329】
したがって、スルファターゼモチーフを得るために、表面接近可能ループ領域のアミノ
酸配列が修飾されることが可能であり、ここで、該修飾は挿入、欠失および/または置換
を含みうる。例えば、該修飾がCH1ドメイン内に存在する場合、表面接近可能ループ領
域はアミノ酸配列NSGALTSG(配列番号//)を有することが可能であり、アルデ
ヒドタグ付き配列は例えばNSGALCTPSRG(配列番号//)であることが可能で
あり、例えば、ここで、NSGALTSG(配列番号//)配列の「TS」残基は「CT
PSR」(配列番号//)で置換されていて、スルファターゼモチーフは配列LCTPS
R(配列番号//)を有する。もう1つの例としては、該修飾がCH2ドメイン内に存在
する場合、表面接近可能ループ領域はアミノ酸配列NKALPAP(配列番号//)を有
することが可能であり、アルデヒドタグ付き配列は例えばNLCTPSRAP(配列番号
//)であることが可能であり、例えば、ここで、NKALPAP(配列番号//)配列
の「KAL」残基は「LCTPSR」(配列番号//)で置換されていて、スルファター
ゼモチーフは配列LCTPSR(配列番号//)を有する。もう1つの例としては、該修
飾がCH2/CH3メイン内に存在する場合、表面接近可能ループ領域はアミノ酸配列K
AKGQPR(配列番号//)を有することが可能であり、アルデヒドタグ付き配列は例
えばKAKGLCTPSR(配列番号//)であることが可能であり、例えば、ここで、
KAKGQPR(配列番号//)配列の「GQP」残基は「LCTPS」(配列番号//
)で置換されていて、スルファターゼモチーフは配列LCTPSR(配列番号//)を有
する。
【0330】
前記のとおり、単離されたアルデヒドタグ付き抗CD22 Igポリペプチドは、前記
のスルファターゼモチーフを含むように修飾された軽鎖定常領域を含むことが可能であり
、ここで、該スルファターゼモチーフはIgポリペプチド軽鎖定常領域の表面接近可能ル
ープ領域内に又はそれに隣接して存在する。軽鎖定常領域の表面接近可能ループ領域の例
示的典型例は図9Aおよび9Cに示されている。
【0331】
幾つかの場合においては、標的免疫グロブリンは前記のスルファターゼモチーフを含む
ように修飾され、ここで、該修飾は1以上のアミノ酸残基の挿入、欠失および/または置
換を含む。ある実施形態においては、スルファターゼモチーフは、1)アミノ酸130-
135;2)アミノ酸141-143;3)アミノ酸150;4)アミノ酸162-16
6;5)アミノ酸163-166;6)アミノ酸173-180;7)アミノ酸186-
194;8)アミノ酸211-212;9)アミノ酸220-225;10)アミノ酸2
33-236の1以上に対応するIg軽鎖定常領域の領域内に又はそれに隣接して存在し
、ここで、アミノ酸の番号付けは、図9Cに示されているヒトカッパ軽鎖のアミノ酸配列
の番号付けに基づく。幾つかの場合においては、標的免疫グロブリンは前記のスルファタ
ーゼモチーフを含むように修飾され、ここで、該修飾は1以上のアミノ酸残基の挿入、欠
失および/または置換を含む。ある実施形態においては、スルファターゼモチーフは、1
)アミノ酸1-6;2)アミノ酸12-14;3)アミノ酸21;4)アミノ酸33-3
7;5)アミノ酸34-37;6)アミノ酸44-51;7)アミノ酸57-65;8)
アミノ酸83-83;9)アミノ酸91-96;10)アミノ酸104-107の1以上
に対応するIg軽鎖定常領域の領域内に又はそれに隣接して存在し、ここで、アミノ酸の
番号付けは配列番号//(ヒトカッパ軽鎖;図9Cに記載されているアミノ酸配列)に基
づく。
【0332】
Ig軽鎖(例えば、ヒトカッパ軽鎖)の典型的な表面接近可能ループ領域には以下のも
のが含まれる:図9Aおよび9Cに示されている、1)RTVAAP(配列番号//);
2)PPS;3)Gly(例えば、図9Cに示されているヒトカッパ軽鎖配列の150位
のGlyを参照されたい);4)YPREA(配列番号//);5)PREA(配列番号
//);6)DNALQSGN(配列番号//);7)TEQDSKDST(配列番号/
/);8)HK;9)HQGLSS(配列番号//);および10)RGEC(配列番号
//)。
【0333】
Igラムダ軽鎖の典型的な表面接近可能ループ領域には以下のものが含まれる:図9C
に示されている、QPKAAP(配列番号//)、PPS、NK、DFYPGAV(配列
番号//)、DSSPVKAG(配列番号//)、TTP、SN、HKS、EGおよびA
PTECS(配列番号//)。
【0334】
幾つかの場合においては、標的免疫グロブリンは前記のスルファターゼモチーフを含む
ように修飾され、ここで、該修飾は1以上のアミノ酸残基の挿入、欠失および/または置
換を含む。ある実施形態においては、スルファターゼモチーフは、1)アミノ酸1-6;
2)アミノ酸12-14;3)アミノ酸121-22;4)アミノ酸31-37;5)ア
ミノ酸44-51;6)アミノ酸55-57;7)アミノ酸61-62;8)アミノ酸8
1-83;9)アミノ酸91-92;10)アミノ酸102-105の1以上に対応する
ラットIg軽鎖定常領域の領域内に又はそれに隣接して存在し、ここで、アミノ酸の番号
付けは、配列番号//(図9Cに示されている配列)に示されているラット軽鎖のアミノ
酸配列の番号付けに基づく。
【0335】
幾つかの場合においては、スルファターゼモチーフは抗CD22重鎖定常領域のCH1
領域内に導入される。幾つかの場合においては、スルファターゼモチーフ、抗CD22重
鎖のC末端またはその付近(例えば、該C末端から1~10アミノ酸以内)に導入される
。幾つかの場合においては、スルファターゼモチーフは軽鎖定常領域内に導入される。
【0336】
幾つかの場合においては、スルファターゼモチーフは抗CD22重鎖定常領域のCH1
領域内、例えば、図9Aに示されているIgG1重鎖アミノ酸配列のアミノ酸121-2
19内に導入される。例えば、幾つかの場合においては、スルファターゼモチーフはアミ
ノ酸配列:ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPE
PVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSS
LGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVE(配列番号//)内に導入される。
例えば、これらの実施形態の幾つかにおいては、アミノ酸配列GALTSGVH(配列番
号//)はGALCTPSRGVH(配列番号//)へと修飾され、ここで、スルファタ
ーゼモチーフはLCTPSR(配列番号//)である。
【0337】
幾つかの場合においては、スルファターゼモチーフは抗CD22重鎖のC末端またはそ
の付近に導入され、例えば、スルファターゼモチーフは抗CD22重鎖のC末端から1ア
ミノ酸、2アミノ酸(aa)、3aa、4aa、5aa、6aa、7aa、8aa、9a
aまたは10aa以内に導入される。1つの非限定的な例として、抗CD22重鎖のC末
端リジン残基はアミノ酸配列SLCTPSRGS(配列番号//)により置換されうる。
【0338】
幾つかの場合においては、スルファターゼモチーフは抗CD22抗体の軽鎖の定常領域
内に導入される。1つの非限定的な例においては、幾つかの場合には、スルファターゼモ
チーフは抗CD22抗体の軽鎖の定常領域内に導入され、ここで、スルファターゼモチー
フはKVDNAL(配列番号//)のC末端側および/またはQSGNSQ(配列番号/
/)のN末端側に存在する。例えば、幾つかの場合においては、スルファターゼモチーフ
はLCTPSR(配列番号//)であり、抗CD22軽鎖はアミノ酸配列KVDNALL
CTPSRQSGNSQ(配列番号//)を含む。
【0339】
典型的な抗CD22抗体
幾つかの場合においては、適切な抗CD22抗体は、CD22エピトープ(例えば、図
8A~8Cに示されているCD22アミノ酸配列のアミノ酸1-847内、アミノ酸1-
759内、アミノ酸1-751内またはアミノ酸1-670内のエピトープ)への結合に
関して、IYDMS(VH CDR1;配列番号//)、YISSGGGTTYYPDT
VKG(VH CDR2;配列番号//)およびHSGYGSSYGVLFAY(VH
CDR3;配列番号//)から選択される重鎖VH CDRを含む抗体と競合する。幾つ
かの場合においては、該抗CD22抗体はヒト化されている。幾つかの場合においては、
該抗CD22抗体は前記のスルファターゼモチーフを含むように修飾され、ここで、該修
飾は1以上のアミノ酸残基の挿入、欠失および/または置換を含む。ある実施形態におい
ては、スルファターゼモチーフは、1)アミノ酸1-6;2)アミノ酸16-22;3)
アミノ酸34-47;4)アミノ酸42-49;5)アミノ酸42-62;6)アミノ酸
34-37;7)アミノ酸69-71;8)アミノ酸79-81;9)アミノ酸78-8
1;10)アミノ酸87-91;11)アミノ酸100-121;12)アミノ酸127
-131;13)アミノ酸137-141;14)アミノ酸149-157;15)アミ
ノ酸151-157;16)アミノ酸164-165;17)アミノ酸164-172;
18)アミノ酸169-171;19)アミノ酸179-183;20)アミノ酸189
-193;21)アミノ酸200-202;22)アミノ酸209-215;23)アミ
ノ酸221-229;24)アミノ酸22-228;25)アミノ酸236-245;2
6)アミノ酸217-261;27)アミノ酸268-274;28)アミノ酸278-
287;29)アミノ酸313-331;および30)アミノ酸324-331の1以上
に対応するIgG1重鎖定常領域の領域内に又はそれに隣接して存在し、ここで、アミノ
酸の番号付けは、配列番号//(図9Bに示されているヒトIgG1定常領域)に示され
ているヒトIgG1のアミノ酸の番号付けに基づく。幾つかの場合においては、該抗CD
22抗体は前記のスルファターゼモチーフを含むように修飾され、ここで、該修飾は1以
上のアミノ酸残基の挿入、欠失および/または置換を含み、例えば、ここで、スルファタ
ーゼモチーフは、1)アミノ酸1-6;2)アミノ酸12-14;3)アミノ酸21;4
)アミノ酸33-37;5)アミノ酸34-37;6)アミノ酸44-51;7)アミノ
酸57-65;8)アミノ酸83-83;9)アミノ酸91-96;10)アミノ酸10
4-107の1以上に対応するIgカッパ定常領域の領域内に又はそれに隣接して存在し
、ここで、アミノ酸の番号付けは配列番号//(ヒトカッパ軽鎖;図9Cに示されている
アミノ酸配列)に基づく。
【0340】
幾つかの場合においては、適切な抗CD22抗体は、CD22エピトープ(例えば、図
8A~8Cに示されているCD22アミノ酸配列のアミノ酸1-847内、アミノ酸1-
759内、アミノ酸1-751内またはアミノ酸1-670内のエピトープ)への結合に
関して、RASQDISNYLN(VL CDR1;配列番号//)、YTSILHS(
VL CDR2;配列番号//)およびQQGNTLPWT(VL CDR3;配列番号
//)から選択される軽鎖CDRを含む抗体と競合する。幾つかの場合においては、該抗
CD22抗体はヒト化されている。幾つかの場合においては、該抗CD22抗体は前記の
スルファターゼモチーフを含むように修飾され、ここで、該修飾は1以上のアミノ酸残基
の挿入、欠失および/または置換を含む。ある実施形態においては、スルファターゼモチ
ーフは、1)アミノ酸122-127;2)アミノ酸137-143;3)アミノ酸15
5-158;4)アミノ酸163-170;5)アミノ酸163-183;6)アミノ酸
179-183;7)アミノ酸190-192;8)アミノ酸200-202;9)アミ
ノ酸199-202;10)アミノ酸208-212;11)アミノ酸220-241;
12)アミノ酸247-251;13)アミノ酸257-261;14)アミノ酸269
-277;15)アミノ酸271-277;16)アミノ酸284-285;17)アミ
ノ酸284-292;18)アミノ酸289-291;19)アミノ酸299-303;
20)アミノ酸309-313;21)アミノ酸320-322;22)アミノ酸329
-335;23)アミノ酸341-349;24)アミノ酸342-348;25)アミ
ノ酸356-365;26)アミノ酸377-381;27)アミノ酸388-394;
28)アミノ酸398-407;29)アミノ酸433-451;および30)アミノ酸
446-451の1以上に対応するIgG1重鎖定常領域の領域内に又はそれに隣接して
存在し、ここで、アミノ酸の番号付けは、図9Bに示されているヒトIgG1の番号付け
に基づく。幾つかの場合においては、該抗CD22抗体は前記のスルファターゼモチーフ
を含むように修飾され、ここで、該修飾は1以上のアミノ酸残基の挿入、欠失および/ま
たは置換を含み、例えば、ここで、スルファターゼモチーフは、1)アミノ酸1-6;2
)アミノ酸12-14;3)アミノ酸21;4)アミノ酸33-37;5)アミノ酸34
-37;6)アミノ酸44-51;7)アミノ酸57-65;8)アミノ酸83-83;
9)アミノ酸91-96;10)アミノ酸104-107の1以上に対応するIgカッパ
定常領域の領域内に又はそれに隣接して存在し、ここで、アミノ酸の番号付けは配列番号
//(ヒトカッパ軽鎖;図9Cに示されているアミノ酸配列)に基づく。
【0341】
幾つかの場合においては、適切な抗CD22抗体は、CD22エピトープ(例えば、図
8A~8Cに示されているCD22アミノ酸配列のアミノ酸1-847内、アミノ酸1-
759内、アミノ酸1-751内またはアミノ酸1-670内のエピトープ)への結合に
関して、VH CDR:IYDMS(VH CDR1;配列番号//)、YISSGGG
TTYYPDTVKG(VH CDR2;配列番号//)およびHSGYGSSYGVL
FAY(VH CDR3;配列番号//)を含む抗体と競合する。幾つかの場合において
は、該抗CD22抗体はヒト化されている。幾つかの場合においては、該抗CD22抗体
は前記のスルファターゼモチーフを含むように修飾され、ここで、該修飾は1以上のアミ
ノ酸残基の挿入、欠失および/または置換を含む。ある実施形態においては、スルファタ
ーゼモチーフは、1)アミノ酸1-6;2)アミノ酸16-22;3)アミノ酸34-4
7;4)アミノ酸42-49;5)アミノ酸42-62;6)アミノ酸34-37;7)
アミノ酸69-71;8)アミノ酸79-81;9)アミノ酸78-81;10)アミノ
酸87-91;11)アミノ酸100-121;12)アミノ酸127-131;13)
アミノ酸137-141;14)アミノ酸149-157;15)アミノ酸151-15
7;16)アミノ酸164-165;17)アミノ酸164-172;18)アミノ酸1
69-171;19)アミノ酸179-183;20)アミノ酸189-193;21)
アミノ酸200-202;22)アミノ酸209-215;23)アミノ酸221-22
9;24)アミノ酸22-228;25)アミノ酸236-245;26)アミノ酸21
7-261;27)アミノ酸268-274;28)アミノ酸278-287;29)ア
ミノ酸313-331;および30)アミノ酸324-331の1以上に対応するIgG
1重鎖定常領域の領域内に又はそれに隣接して存在し、ここで、アミノ酸の番号付けは、
配列番号//(図9Bに示されているヒトIgG1定常領域)に示されているヒトIgG
1のアミノ酸の番号付けに基づく。幾つかの場合においては、該抗CD22抗体は前記の
スルファターゼモチーフを含むように修飾され、ここで、該修飾は1以上のアミノ酸残基
の挿入、欠失および/または置換を含み、例えば、ここで、スルファターゼモチーフは、
1)アミノ酸1-6;2)アミノ酸12-14;3)アミノ酸21;4)アミノ酸33-
37;5)アミノ酸34-37;6)アミノ酸44-51;7)アミノ酸57-65;8
)アミノ酸83-83;9)アミノ酸91-96;10)アミノ酸104-107の1以
上に対応するIgカッパ定常領域の領域内に又はそれに隣接して存在し、ここで、アミノ
酸の番号付けは配列番号//(ヒトカッパ軽鎖;図9Cに示されているアミノ酸配列)に
基づく。
【0342】
幾つかの場合においては、適切な抗CD22抗体は、CD22エピトープ(例えば、図
8A~8Cに示されているCD22アミノ酸配列のアミノ酸1-847内、アミノ酸1-
759内、アミノ酸1-751内またはアミノ酸1-670内のエピトープ)への結合に
関して、VL CDR:RASQDISNYLN(VL CDR1;配列番号//)、Y
TSILHS(VL CDR2;配列番号//)およびQQGNTLPWT(VL CD
R3;配列番号//)を含む抗体と競合する。幾つかの場合においては、該抗CD22抗
体はヒト化されている。幾つかの場合においては、該抗CD22抗体は前記のスルファタ
ーゼモチーフを含むように修飾され、ここで、該修飾は1以上のアミノ酸残基の挿入、欠
失および/または置換を含む。ある実施形態においては、スルファターゼモチーフは、1
)アミノ酸1-6;2)アミノ酸16-22;3)アミノ酸34-47;4)アミノ酸4
2-49;5)アミノ酸42-62;6)アミノ酸34-37;7)アミノ酸69-71
;8)アミノ酸79-81;9)アミノ酸78-81;10)アミノ酸87-91;11
)アミノ酸100-121;12)アミノ酸127-131;13)アミノ酸137-1
41;14)アミノ酸149-157;15)アミノ酸151-157;16)アミノ酸
164-165;17)アミノ酸164-172;18)アミノ酸169-171;19
)アミノ酸179-183;20)アミノ酸189-193;21)アミノ酸200-2
02;22)アミノ酸209-215;23)アミノ酸221-229;24)アミノ酸
22-228;25)アミノ酸236-245;26)アミノ酸217-261;27)
アミノ酸268-274;28)アミノ酸278-287;29)アミノ酸313-33
1;および30)アミノ酸324-331の1以上に対応するIgG1重鎖定常領域の領
域内に又はそれに隣接して存在し、ここで、アミノ酸の番号付けは、配列番号//(図9
Bに示されているヒトIgG1定常領域)に示されているヒトIgG1のアミノ酸の番号
付けに基づく。幾つかの場合においては、該抗CD22抗体は前記のスルファターゼモチ
ーフを含むように修飾され、ここで、該修飾は1以上のアミノ酸残基の挿入、欠失および
/または置換を含み、例えば、ここで、スルファターゼモチーフは、1)アミノ酸1-6
;2)アミノ酸12-14;3)アミノ酸21;4)アミノ酸33-37;5)アミノ酸
34-37;6)アミノ酸44-51;7)アミノ酸57-65;8)アミノ酸83-8
3;9)アミノ酸91-96;10)アミノ酸104-107の1以上に対応するIgカ
ッパ定常領域の領域内に又はそれに隣接して存在し、ここで、アミノ酸の番号付けは配列
番号//(ヒトカッパ軽鎖;図9Cに示されているアミノ酸配列)に基づく。
【0343】
幾つかの場合においては、適切な抗CD22抗体は、CD22エピトープ(例えば、図
8A~8Cに示されているCD22アミノ酸配列のアミノ酸1-847内、アミノ酸1-
759内、アミノ酸1-751内またはアミノ酸1-670内のエピトープ)への結合に
関して、VH CDR:IYDMS(VH CDR1;配列番号//)、YISSGGG
TTYYPDTVKG(VH CDR2;配列番号//)およびHSGYGSSYGVL
FAY(VH CDR3;配列番号//)ならびにVL CDR:RASQDISNYL
N(VL CDR1;配列番号//)、YTSILHS(VL CDR2;配列番号//
)およびQQGNTLPWT(VL CDR3;配列番号//)を含む抗体と競合する。
幾つかの場合においては、該抗CD22抗体はヒト化されている。幾つかの場合において
は、該抗CD22抗体は前記のスルファターゼモチーフを含むように修飾され、ここで、
該修飾は1以上のアミノ酸残基の挿入、欠失および/または置換を含む。ある実施形態に
おいては、スルファターゼモチーフは、1)アミノ酸1-6;2)アミノ酸16-22;
3)アミノ酸34-47;4)アミノ酸42-49;5)アミノ酸42-62;6)アミ
ノ酸34-37;7)アミノ酸69-71;8)アミノ酸79-81;9)アミノ酸78
-81;10)アミノ酸87-91;11)アミノ酸100-121;12)アミノ酸1
27-131;13)アミノ酸137-141;14)アミノ酸149-157;15)
アミノ酸151-157;16)アミノ酸164-165;17)アミノ酸164-17
2;18)アミノ酸169-171;19)アミノ酸179-183;20)アミノ酸1
89-193;21)アミノ酸200-202;22)アミノ酸209-215;23)
アミノ酸221-229;24)アミノ酸22-228;25)アミノ酸236-245
;26)アミノ酸217-261;27)アミノ酸268-274;28)アミノ酸27
8-287;29)アミノ酸313-331;および30)アミノ酸324-331の1
以上に対応するIgG1重鎖定常領域の領域内に又はそれに隣接して存在し、ここで、ア
ミノ酸の番号付けは、配列番号//(図9Bに示されているヒトIgG1定常領域)に示
されているヒトIgG1のアミノ酸の番号付けに基づく。幾つかの場合においては、該抗
CD22抗体は前記のスルファターゼモチーフを含むように修飾され、ここで、該修飾は
1以上のアミノ酸残基の挿入、欠失および/または置換を含み、例えば、ここで、スルフ
ァターゼモチーフは、1)アミノ酸1-6;2)アミノ酸12-14;3)アミノ酸21
;4)アミノ酸33-37;5)アミノ酸34-37;6)アミノ酸44-51;7)ア
ミノ酸57-65;8)アミノ酸83-83;9)アミノ酸91-96;10)アミノ酸
104-107の1以上に対応するIgカッパ定常領域の領域内に又はそれに隣接して存
在し、ここで、アミノ酸の番号付けは配列番号//(ヒトカッパ軽鎖;図9Cに示されて
いるアミノ酸配列)に基づく。
【0344】
幾つかの場合においては、適切な抗CD22抗体はVH CDR:IYDMS(VH
CDR1;配列番号//)、YISSGGGTTYYPDTVKG(VH CDR2;配
列番号//)およびHSGYGSSYGVLFAY(VH CDR3;配列番号//)を
含む。幾つかの場合においては、該抗CD22抗体はヒト化されている。幾つかの場合に
おいては、該抗CD22抗体は前記のスルファターゼモチーフを含むように修飾され、こ
こで、該修飾は1以上のアミノ酸残基の挿入、欠失および/または置換を含む。ある実施
形態においては、スルファターゼモチーフは、1)アミノ酸1-6;2)アミノ酸16-
22;3)アミノ酸34-47;4)アミノ酸42-49;5)アミノ酸42-62;6
)アミノ酸34-37;7)アミノ酸69-71;8)アミノ酸79-81;9)アミノ
酸78-81;10)アミノ酸87-91;11)アミノ酸100-121;12)アミ
ノ酸127-131;13)アミノ酸137-141;14)アミノ酸149-157;
15)アミノ酸151-157;16)アミノ酸164-165;17)アミノ酸164
-172;18)アミノ酸169-171;19)アミノ酸179-183;20)アミ
ノ酸189-193;21)アミノ酸200-202;22)アミノ酸209-215;
23)アミノ酸221-229;24)アミノ酸22-228;25)アミノ酸236-
245;26)アミノ酸217-261;27)アミノ酸268-274;28)アミノ
酸278-287;29)アミノ酸313-331;および30)アミノ酸324-33
1の1以上に対応するIgG1重鎖定常領域の領域内に又はそれに隣接して存在し、ここ
で、アミノ酸の番号付けは、配列番号//(図9Bに示されているヒトIgG1定常領域
)に示されているヒトIgG1のアミノ酸の番号付けに基づく。幾つかの場合においては
、該抗CD22抗体は前記のスルファターゼモチーフを含むように修飾され、ここで、該
修飾は1以上のアミノ酸残基の挿入、欠失および/または置換を含み、例えば、ここで、
スルファターゼモチーフは、1)アミノ酸1-6;2)アミノ酸12-14;3)アミノ
酸21;4)アミノ酸33-37;5)アミノ酸34-37;6)アミノ酸44-51;
7)アミノ酸57-65;8)アミノ酸83-83;9)アミノ酸91-96;10)ア
ミノ酸104-107の1以上に対応するIgカッパ定常領域の領域内に又はそれに隣接
して存在し、ここで、アミノ酸の番号付けは配列番号//(ヒトカッパ軽鎖;図9Cに示
されているアミノ酸配列)に基づく。
【0345】
幾つかの場合においては、適切な抗CD22抗体はVL CDR:RASQDISNY
LN(VL CDR1;配列番号//)、YTSILHS(VL CDR2;配列番号/
/)およびQQGNTLPWT(VL CDR3;配列番号//)を含む。幾つかの場合
においては、該抗CD22抗体はヒト化されている。幾つかの場合においては、該抗CD
22抗体は前記のスルファターゼモチーフを含むように修飾され、ここで、該修飾は1以
上のアミノ酸残基の挿入、欠失および/または置換を含む。ある実施形態においては、ス
ルファターゼモチーフは、1)アミノ酸1-6;2)アミノ酸16-22;3)アミノ酸
34-47;4)アミノ酸42-49;5)アミノ酸42-62;6)アミノ酸34-3
7;7)アミノ酸69-71;8)アミノ酸79-81;9)アミノ酸78-81;10
)アミノ酸87-91;11)アミノ酸100-121;12)アミノ酸127-131
;13)アミノ酸137-141;14)アミノ酸149-157;15)アミノ酸15
1-157;16)アミノ酸164-165;17)アミノ酸164-172;18)ア
ミノ酸169-171;19)アミノ酸179-183;20)アミノ酸189-193
;21)アミノ酸200-202;22)アミノ酸209-215;23)アミノ酸22
1-229;24)アミノ酸22-228;25)アミノ酸236-245;26)アミ
ノ酸217-261;27)アミノ酸268-274;28)アミノ酸278-287;
29)アミノ酸313-331;および30)アミノ酸324-331の1以上に対応す
るIgG1重鎖定常領域の領域内に又はそれに隣接して存在し、ここで、アミノ酸の番号
付けは、配列番号//(図9Bに示されているヒトIgG1定常領域)に示されているヒ
トIgG1のアミノ酸の番号付けに基づく。幾つかの場合においては、該抗CD22抗体
は前記のスルファターゼモチーフを含むように修飾され、ここで、該修飾は1以上のアミ
ノ酸残基の挿入、欠失および/または置換を含み、例えば、ここで、スルファターゼモチ
ーフは、1)アミノ酸1-6;2)アミノ酸12-14;3)アミノ酸21;4)アミノ
酸33-37;5)アミノ酸34-37;6)アミノ酸44-51;7)アミノ酸57-
65;8)アミノ酸83-83;9)アミノ酸91-96;10)アミノ酸104-10
7の1以上に対応するIgカッパ定常領域の領域内に又はそれに隣接して存在し、ここで
、アミノ酸の番号付けは配列番号//(ヒトカッパ軽鎖;図9Cに示されているアミノ酸
配列)に基づく。
【0346】
幾つかの場合においては、適切な抗CD22抗体はVH CDR:IYDMS(VH
CDR1;配列番号//)、YISSGGGTTYYPDTVKG(VH CDR2;配
列番号//)およびHSGYGSSYGVLFAY(VH CDR3;配列番号//)な
らびにVL CDR:RASQDISNYLN(VL CDR1;配列番号//)、YT
SILHS(VL CDR2;配列番号//)およびQQGNTLPWT(VL CDR
3;配列番号//)を含む。幾つかの場合においては、該抗CD22抗体はヒト化されて
いる。幾つかの場合においては、該抗CD22抗体は前記のスルファターゼモチーフを含
むように修飾され、ここで、該修飾は1以上のアミノ酸残基の挿入、欠失および/または
置換を含む。ある実施形態においては、スルファターゼモチーフは、1)アミノ酸1-6
;2)アミノ酸16-22;3)アミノ酸34-47;4)アミノ酸42-49;5)ア
ミノ酸42-62;6)アミノ酸34-37;7)アミノ酸69-71;8)アミノ酸7
9-81;9)アミノ酸78-81;10)アミノ酸87-91;11)アミノ酸100
-121;12)アミノ酸127-131;13)アミノ酸137-141;14)アミ
ノ酸149-157;15)アミノ酸151-157;16)アミノ酸164-165;
17)アミノ酸164-172;18)アミノ酸169-171;19)アミノ酸179
-183;20)アミノ酸189-193;21)アミノ酸200-202;22)アミ
ノ酸209-215;23)アミノ酸221-229;24)アミノ酸22-228;2
5)アミノ酸236-245;26)アミノ酸217-261;27)アミノ酸268-
274;28)アミノ酸278-287;29)アミノ酸313-331;および30)
アミノ酸324-331の1以上に対応するIgG1重鎖定常領域の領域内に又はそれに
隣接して存在し、ここで、アミノ酸の番号付けは、配列番号//(図9Bに示されている
ヒトIgG1定常領域)に示されているヒトIgG1のアミノ酸の番号付けに基づく。幾
つかの場合においては、該抗CD22抗体は前記のスルファターゼモチーフを含むように
修飾され、ここで、該修飾は1以上のアミノ酸残基の挿入、欠失および/または置換を含
み、例えば、ここで、スルファターゼモチーフは、1)アミノ酸1-6;2)アミノ酸1
2-14;3)アミノ酸21;4)アミノ酸33-37;5)アミノ酸34-37;6)
アミノ酸44-51;7)アミノ酸57-65;8)アミノ酸83-83;9)アミノ酸
91-96;10)アミノ酸104-107の1以上に対応するIgカッパ定常領域の領
域内に又はそれに隣接して存在し、ここで、アミノ酸の番号付けは配列番号//(ヒトカ
ッパ軽鎖;図9Cに示されているアミノ酸配列)に基づく。
【0347】
幾つかの場合においては、適切な抗CD22抗体は、以下のアミノ酸配列:EVQLV
ESGGGLVKPGGSLRLSCAASGFAFSIYDMSWVRQAPGKGL
EWVAYISSGGGTTYYPDTVKGRFTISRDNAKNSLYLQMSS
LRAEDTAMYYCARHSGYGSSYGVLFAYWGQGTLVTVSS(配
列番号//)を含む抗CD22 VH領域内に存在するVH CDRを含む。幾つかの場
合においては、該抗CD22抗体はヒト化されている。幾つかの場合においては、該抗C
D22抗体は前記のスルファターゼモチーフを含むように修飾され、ここで、該修飾は1
以上のアミノ酸残基の挿入、欠失および/または置換を含む。ある実施形態においては、
スルファターゼモチーフは、1)アミノ酸1-6;2)アミノ酸16-22;3)アミノ
酸34-47;4)アミノ酸42-49;5)アミノ酸42-62;6)アミノ酸34-
37;7)アミノ酸69-71;8)アミノ酸79-81;9)アミノ酸78-81;1
0)アミノ酸87-91;11)アミノ酸100-121;12)アミノ酸127-13
1;13)アミノ酸137-141;14)アミノ酸149-157;15)アミノ酸1
51-157;16)アミノ酸164-165;17)アミノ酸164-172;18)
アミノ酸169-171;19)アミノ酸179-183;20)アミノ酸189-19
3;21)アミノ酸200-202;22)アミノ酸209-215;23)アミノ酸2
21-229;24)アミノ酸22-228;25)アミノ酸236-245;26)ア
ミノ酸217-261;27)アミノ酸268-274;28)アミノ酸278-287
;29)アミノ酸313-331;および30)アミノ酸324-331の1以上に対応
するIgG1重鎖定常領域の領域内に又はそれに隣接して存在し、ここで、アミノ酸の番
号付けは、配列番号//(図9Bに示されているヒトIgG1定常領域)に示されている
ヒトIgG1のアミノ酸の番号付けに基づく。幾つかの場合においては、該抗CD22抗
体は前記のスルファターゼモチーフを含むように修飾され、ここで、該修飾は1以上のア
ミノ酸残基の挿入、欠失および/または置換を含み、例えば、ここで、スルファターゼモ
チーフは、1)アミノ酸1-6;2)アミノ酸12-14;3)アミノ酸21;4)アミ
ノ酸33-37;5)アミノ酸34-37;6)アミノ酸44-51;7)アミノ酸57
-65;8)アミノ酸83-83;9)アミノ酸91-96;10)アミノ酸104-1
07の1以上に対応するIgカッパ定常領域の領域内に又はそれに隣接して存在し、ここ
で、アミノ酸の番号付けは配列番号//(ヒトカッパ軽鎖;図9Cに示されているアミノ
酸配列)に基づく。
【0348】
幾つかの場合においては、適切な抗CD22抗体は、以下のアミノ酸配列:DIQMT
QSPSSLSASVGDRVTITCRASQDISNYLNWYQQKPGKAVK
LLIYYTSILHSGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQQEDFAT
YFCQQGNTLPWTFGGGTKVEIKR(配列番号//)を含む抗CD22
VL領域内に存在するVL CDRを含む。幾つかの場合においては、該抗CD22抗体
はヒト化されている。幾つかの場合においては、該抗CD22抗体は前記のスルファター
ゼモチーフを含むように修飾され、ここで、該修飾は1以上のアミノ酸残基の挿入、欠失
および/または置換を含む。ある実施形態においては、スルファターゼモチーフは、1)
アミノ酸1-6;2)アミノ酸16-22;3)アミノ酸34-47;4)アミノ酸42
-49;5)アミノ酸42-62;6)アミノ酸34-37;7)アミノ酸69-71;
8)アミノ酸79-81;9)アミノ酸78-81;10)アミノ酸87-91;11)
アミノ酸100-121;12)アミノ酸127-131;13)アミノ酸137-14
1;14)アミノ酸149-157;15)アミノ酸151-157;16)アミノ酸1
64-165;17)アミノ酸164-172;18)アミノ酸169-171;19)
アミノ酸179-183;20)アミノ酸189-193;21)アミノ酸200-20
2;22)アミノ酸209-215;23)アミノ酸221-229;24)アミノ酸2
2-228;25)アミノ酸236-245;26)アミノ酸217-261;27)ア
ミノ酸268-274;28)アミノ酸278-287;29)アミノ酸313-331
;および30)アミノ酸324-331の1以上に対応するIgG1重鎖定常領域の領域
内に又はそれに隣接して存在し、ここで、アミノ酸の番号付けは、配列番号//(図9B
に示されているヒトIgG1定常領域)に示されているヒトIgG1のアミノ酸の番号付
けに基づく。幾つかの場合においては、該抗CD22抗体は前記のスルファターゼモチー
フを含むように修飾され、ここで、該修飾は1以上のアミノ酸残基の挿入、欠失および/
または置換を含み、例えば、ここで、スルファターゼモチーフは、1)アミノ酸1-6;
2)アミノ酸12-14;3)アミノ酸21;4)アミノ酸33-37;5)アミノ酸3
4-37;6)アミノ酸44-51;7)アミノ酸57-65;8)アミノ酸83-83
;9)アミノ酸91-96;10)アミノ酸104-107の1以上に対応するIgカッ
パ定常領域の領域内に又はそれに隣接して存在し、ここで、アミノ酸の番号付けは配列番
号//(ヒトカッパ軽鎖;図9Cに示されているアミノ酸配列)に基づく。
【0349】
幾つかの場合においては、適切な抗CD22抗体は、EVQLVESGGGLVKPG
GSLRLSCAASGFAFSIYDMSWVRQAPGKGLEWVAYISSGG
GTTYYPDTVKGRFTISRDNAKNSLYLQMSSLRAEDTAMYY
CARHSGYGSSYGVLFAYWGQGTLVTVSS(配列番号//)内に存在
するVH CDR、およびDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQD
ISNYLNWYQQKPGKAVKLLIYYTSILHSGVPSRFSGSGSG
TDYTLTISSLQQEDFATYFCQQGNTLPWTFGGGTKVEIKR
(配列番号//)内に存在するVL CDRを含む。幾つかの場合においては、該抗CD
22抗体はヒト化されている。幾つかの場合においては、該抗CD22抗体は前記のスル
ファターゼモチーフを含むように修飾され、ここで、該修飾は1以上のアミノ酸残基の挿
入、欠失および/または置換を含む。ある実施形態においては、スルファターゼモチーフ
は、1)アミノ酸1-6;2)アミノ酸16-22;3)アミノ酸34-47;4)アミ
ノ酸42-49;5)アミノ酸42-62;6)アミノ酸34-37;7)アミノ酸69
-71;8)アミノ酸79-81;9)アミノ酸78-81;10)アミノ酸87-91
;11)アミノ酸100-121;12)アミノ酸127-131;13)アミノ酸13
7-141;14)アミノ酸149-157;15)アミノ酸151-157;16)ア
ミノ酸164-165;17)アミノ酸164-172;18)アミノ酸169-171
;19)アミノ酸179-183;20)アミノ酸189-193;21)アミノ酸20
0-202;22)アミノ酸209-215;23)アミノ酸221-229;24)ア
ミノ酸22-228;25)アミノ酸236-245;26)アミノ酸217-261;
27)アミノ酸268-274;28)アミノ酸278-287;29)アミノ酸313
-331;および30)アミノ酸324-331の1以上に対応するIgG1重鎖定常領
域の領域内に又はそれに隣接して存在し、ここで、アミノ酸の番号付けは、配列番号//
図9Bに示されているヒトIgG1定常領域)に示されているヒトIgG1のアミノ酸
の番号付けに基づく。幾つかの場合においては、該抗CD22抗体は前記のスルファター
ゼモチーフを含むように修飾され、ここで、該修飾は1以上のアミノ酸残基の挿入、欠失
および/または置換を含み、例えば、ここで、スルファターゼモチーフは、1)アミノ酸
1-6;2)アミノ酸12-14;3)アミノ酸21;4)アミノ酸33-37;5)ア
ミノ酸34-37;6)アミノ酸44-51;7)アミノ酸57-65;8)アミノ酸8
3-83;9)アミノ酸91-96;10)アミノ酸104-107の1以上に対応する
Igカッパ定常領域の領域内に又はそれに隣接して存在し、ここで、アミノ酸の番号付け
は配列番号//(ヒトカッパ軽鎖;図9Cに示されているアミノ酸配列)に基づく。
【0350】
幾つかの場合においては、適切な抗CD22抗体はVHアミノ酸配列EVQLVESG
GGLVKPGGSLRLSCAASGFAFSIYDMSWVRQAPGKGLEWV
AYISSGGGTTYYPDTVKGRFTISRDNAKNSLYLQMSSLRA
EDTAMYYCARHSGYGSSYGVLFAYWGQGTLVTVSS(配列番号
//)を含む。幾つかの場合においては、適切な抗CD22抗体はVLアミノ酸配列DI
QMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDISNYLNWYQQKPGK
AVKLLIYYTSILHSGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQQED
FATYFCQQGNTLPWTFGGGTKVEIKR(配列番号//)を含む。幾つ
かの場合においては、適切な抗CD22抗体はVHアミノ酸配列EVQLVESGGGL
VKPGGSLRLSCAASGFAFSIYDMSWVRQAPGKGLEWVAYI
SSGGGTTYYPDTVKGRFTISRDNAKNSLYLQMSSLRAEDT
AMYYCARHSGYGSSYGVLFAYWGQGTLVTVSS(配列番号//)
およびVLアミノ酸配列DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDI
SNYLNWYQQKPGKAVKLLIYYTSILHSGVPSRFSGSGSGT
DYTLTISSLQQEDFATYFCQQGNTLPWTFGGGTKVEIKR(
配列番号//)を含む。幾つかの場合においては、該抗CD22抗体は前記のスルファタ
ーゼモチーフを含むように修飾され、ここで、該修飾は1以上のアミノ酸残基の挿入、欠
失および/または置換を含む。ある実施形態においては、スルファターゼモチーフは、1
)アミノ酸1-6;2)アミノ酸16-22;3)アミノ酸34-47;4)アミノ酸4
2-49;5)アミノ酸42-62;6)アミノ酸34-37;7)アミノ酸69-71
;8)アミノ酸79-81;9)アミノ酸78-81;10)アミノ酸87-91;11
)アミノ酸100-121;12)アミノ酸127-131;13)アミノ酸137-1
41;14)アミノ酸149-157;15)アミノ酸151-157;16)アミノ酸
164-165;17)アミノ酸164-172;18)アミノ酸169-171;19
)アミノ酸179-183;20)アミノ酸189-193;21)アミノ酸200-2
02;22)アミノ酸209-215;23)アミノ酸221-229;24)アミノ酸
22-228;25)アミノ酸236-245;26)アミノ酸217-261;27)
アミノ酸268-274;28)アミノ酸278-287;29)アミノ酸313-33
1;および30)アミノ酸324-331の1以上に対応するIgG1重鎖定常領域の領
域内に又はそれに隣接して存在し、ここで、アミノ酸の番号付けは、配列番号//(図9
Bに示されているヒトIgG1定常領域)に示されているヒトIgG1のアミノ酸の番号
付けに基づく。
【0351】
ポリペプチドへのコンジュゲート化のための薬物
本開示は薬物-ポリペプチドコンジュゲートを提供する。薬物の例には、小分子薬物、
例えば癌化学療法剤が含まれる。例えば、該ポリペプチドが、腫瘍細胞に対する特異性を
有する抗体(またはそのフラグメント)である場合、該抗体は、微小管作用剤のような癌
化学療法剤に後にコンジュゲート化される修飾アミノ酸を含むように、本明細書に記載さ
れているとおりに修飾されうる。ある実施形態においては、該薬物はメイタンシノイドで
あり、これは以下の構造を有する。
【化22】
【0352】
前記のとおり、ある実施形態においては、Lは、式-(L-(L-(L
-(L-により示されるリンカーであり、ここで、L、L、LおよびL
は、それぞれ独立して、リンカー単位である。ある実施形態においては、Lはカップ
リング部分、例えばヒドラジニル-インドリルまたはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニル
カップリング部分(例えば、前記式(I)において示されるもの)に結合している。ある
実施形態においては、Lは、存在する場合には、W(メイタンシノイド)に結合して
いる。ある実施形態においては、Lは、存在する場合には、W(メイタンシノイド)
に結合している。ある実施形態においては、Lは、存在する場合には、W(メイタン
シノイド)に結合している。
【0353】
前記のとおり、ある実施形態においては、リンカー:-(L-(L-(L
-(L-は式:-(T-V-(T-V-(T-V
-(T-V-により示され、ここで、a、b、cおよびdは、それぞれ独立して
、0または1であり、a、b、cおよびdの合計は1~4である。ある実施形態において
は、前記のとおり、Lはヒドラジニル-インドリルまたはヒドラジニル-ピロロ-ピリ
ジニルカップリング部分(例えば、前記式(I)に示されているもの)に結合している。
したがって、ある実施形態においては、Tはヒドラジニル-インドリルまたはヒドラジ
ニル-ピロロ-ピリジニルカップリング部分(例えば、前記式(I)に示されているもの
)に結合している。ある実施形態においては、VはW(メイタンシノイド)に結合し
ている。ある実施形態においては、前記のとおり、Lは、存在する場合には、W(メ
イタンシノイド)に結合している。したがって、ある実施形態においては、Tは、存在
する場合には、W(メイタンシノイド)に結合しており、あるいはVは、存在する場
合には、W(メイタンシノイド)に結合している。ある実施形態においては、前記のと
おり、Lは、存在する場合には、W(メイタンシノイド)に結合している。したがっ
て、ある実施形態においては、Tは、存在する場合には、W(メイタンシノイド)に
結合しており、あるいはVは、存在する場合には、W(メイタンシノイド)に結合し
ている。ある実施形態においては、Lは、存在する場合には、W(メイタンシノイド
)に結合している。したがって、ある実施形態においては、Tは、存在する場合には、
(メイタンシノイド)に結合しており、あるいはVは、存在する場合には、W
メイタンシノイド)に結合している。
【0354】
本開示の実施形態は、ポリペプチド(例えば、抗CD22抗体)が1以上の薬物部分(
例えば、メイタンシノイド)、例えば2個の薬物部分、3個の薬物部分、4個の薬物部分
、5個の薬物部分、6個の薬物部分、7個の薬物部分、8個の薬物部分、9個の薬物部分
または10個以上の薬物部分にコンジュゲート化されているコンジュゲートを含む。薬物
部分は、本明細書に記載されているとおり、ポリペプチドにおける1以上の部位でポリペ
プチドにコンジュゲート化されうる。ある実施形態においては、コンジュゲートは0.1
~10、または0.5~10、または1~10、例えば1~9、または1~8、または1
~7、または1~6、または1~5、または1~4、または1~3、または1~2の範囲
の平均薬物対抗体比(DAR)(モル比)を有する。ある実施形態においては、コンジュ
ゲートは1~2、例えば1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7
、1.8、1.9または2の平均DARを有する。ある実施形態においては、コンジュゲ
ートは1.6~1.9の平均DARを有する。ある実施形態においては、コンジュゲート
は1.7の平均DARを有する。平均は算術平均を意味する。
【0355】
製剤
本開示のコンジュゲート(抗体コンジュゲートを含む)は種々の方法で製剤化されうる
。一般に、コンジュゲートがポリペプチド-薬物コンジュゲートである場合、コンジュゲ
ートは、ポリペプチドにコンジュゲート化された薬物、治療される状態および使用される
投与経路に適合する方法で製剤化(処方)される。
【0356】
コンジュゲート(例えば、ポリペプチド-薬物コンジュゲート)は任意の適切な形態、
例えば、医薬上許容される塩の形態で提供可能であり、経口、局所または非経口などの任
意の適切な投与経路のために製剤化されうる。コンジュゲートが液体注射剤として提供さ
れる場合(例えば、それらが静脈内に投与される又は組織内に直接的に投与される実施形
態)においては、コンジュゲートは、そのまま使用できる形態として、または再構成(還
元)可能な貯蔵安定性粉末もしくは液体(医薬上許容される担体および賦形剤から構成さ
れるもの)として提供されうる。
【0357】
コンジュゲートを製剤化するための方法は、容易に利用可能なものから適合化されうる
。例えば、コンジュゲートは、治療有効量のコンジュゲートと医薬上許容される担体(例
えば、生理食塩水)とを含む医薬組成物中で提供されうる。医薬組成物は、所望により、
他の添加剤(例えば、バッファー、安定剤、保存など)を含みうる。幾つかの実施形態に
おいては、該製剤は哺乳動物への投与に適しており、例えば、ヒトへの投与に適している
【0358】
治療方法
本開示のポリペプチド-薬物コンジュゲートは、親薬物(すなわち、ポリペプチドへの
コンジュゲート化の前の薬物)の投与による治療に適した、対象における状態または疾患
の治療において有用である。「治療」は、宿主を苦しめている状態に関連した症状の少な
くとも改善が達成されることを意味し、ここで、改善は、治療される状態に関連したパラ
メータ、例えば症状の度合の少なくとも減少を意味するものとして広義で用いられる。し
たがって、治療は、病的状態またはそれに関連した少なくとも症状が完全に抑制され、例
えば、その発生が予防され、または阻止され、または終結されて、宿主が該状態または該
状態を特徴づける少なくとも症状をもやは被らない状況をも含む。したがって、治療は、
(i)臨床症状の予防、すなわち、臨床症状の発生のリスクの低減、例えば、臨床症状を
発生させないこと、例えば、有害な状態への疾患の進行の予防;(ii)臨床症状の抑制
、すなわち、臨床症状の発生または更なる進展の阻止、例えば、活動性疾患の緩和または
完全な抑制;および/または(iii)臨床症状の軽減、すなわち、臨床症状の退縮を引
き起こすことを含む。
【0359】
癌の文脈における「治療」なる語は、固形腫瘍の増殖の低減、癌細胞の複製の抑制、全
体的な腫瘍負荷の低減、および癌に関連した1以上の症状の改善のいずれか又は全てを含
む。
【0360】
治療される対象は、治療を要するものであることが可能であり、ここで、治療される宿
主は、親薬物を使用する治療に適したものでありうる。したがって、種々の対象が、本明
細書に開示されているポリペプチド-薬物コンジュゲートを使用する治療に適しているで
あろう。一般に、そのような対象は「哺乳動物」であり、ヒトに関心が持たれる。他の対
象には、飼育ペット(例えば、イヌおよびネコ)、家畜(例えば、ウシ、ブタ、ヤギ、ウ
マなど)、げっ歯類(例えば、マウス、モルモットおよびラット、例えば、疾患の動物モ
デルにおけるもの)ならびに非ヒト霊長類(例えば、チンパンジーおよびサル)が含まれ
る。
【0361】
投与されるポリペプチド-薬物コンジュゲートの量は、最初は、親薬物の用量および/
または投与レジメンの指針に基づいて決定されうる。一般に、ポリペプチド-薬物コンジ
ュゲートは結合薬物の標的化運搬および/または血清半減期の改善をもたらすことが可能
であり、したがって、投与レジメンにおける用量の減少または投与の減少の少なくとも1
つをもたらしうる。したがって、ポリペプチド-薬物コンジュゲートは、本開示のポリペ
プチド-薬物コンジュゲートにおいてコンジュゲート化される前の親薬物と比較して、投
与レジメンにおける用量の減少および/または投与の減少をもたらしうる。
【0362】
更に、前記のとおり、ポリペプチド-薬物コンジュゲートは薬物運搬の化学量論の制御
をもたらしうるため、ポリペプチド-薬物コンジュゲートの投与量は、ポリペプチド-薬
物コンジュゲート当たりに提供される薬物分子の数に基づいて計算されうる。
【0363】
幾つかの実施形態においては、複数用量のポリペプチド-薬物コンジュゲートを投与す
る。ポリペプチド-薬物コンジュゲートの投与頻度は、例えば、症状の重症度、対象の状
態などのような種々の要因のいずれかに応じて変動しうる。例えば、幾つかの実施形態に
おいては、ポリペプチド-薬物コンジュゲートは月1回、月2回、月3回、隔週、週1回
(qwk)、週2回、週3回、週4回、週5回、週6回、隔日、毎日(qd/od)、1
日2回(bds/bid)または1日3回(tds/tid)などで投与される。
【0364】
癌の治療方法
本開示は、癌を有する個体に癌化学療法剤を投与するための方法を提供する。該方法は
、癌腫、肉腫、白血病およびリンパ腫を含む多種多様な癌の治療に有用である。
【0365】
本方法を用いて治療されうる癌腫には、食道癌、肝細胞癌、基底細胞癌(皮膚癌の一形
態)、扁平上皮細胞癌(種々の組織)、移行上皮癌(膀胱の悪性新生物)を含む膀胱癌、
気管支原性癌、結腸癌、結腸直腸癌、胃癌、肺の小細胞癌および非小細胞癌を含む肺癌、
副腎皮質癌、甲状腺癌、膵癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌
、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、腎細胞癌、非浸潤性乳管癌または、胆管癌、絨毛癌、セ
ミノーマ、胎児性癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、子宮癌、精巣癌、骨原性癌、上皮性癌
および鼻咽頭癌などが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0366】
本方法を用いて治療されうる肉腫には、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、脊
索腫、骨肉腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮細胞肉腫、滑膜腫、中
皮腫、ユーイング肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫および他の軟部組織肉腫が含まれるが、
これらに限定されるものではない。
【0367】
本方法を用いて治療されうる他の固形腫瘍には、神経膠腫、星細胞腫、髄芽細胞腫、頭
蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、黒色腫、
神経芽細胞腫および網膜芽細胞腫が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0368】
本方法を用いて治療されうる白血病には、a)慢性骨髄増殖性症候群(多分化能性造血
幹細胞の腫瘍性障害);b)急性骨髄性白血病(多分化能性造血幹細胞または制限された
系列可能性の造血細胞の腫瘍性トランスフォーメーション);c)慢性リンパ性白血病(
CLL;免疫学的に未熟で機能不全の小リンパ球のクローン増殖)、例えば、B細胞CL
L、T細胞CLL前リンパ球性白血病および毛様細胞白血病;ならびにd)急性リンパ芽
球性白血病(リンパ芽球の蓄積により特徴づけられる)が含まれるが、これらに限定され
るものではない。本方法を用いて治療されうるリンパ腫には、B細胞リンパ腫(例えば、
バーキットリンパ腫)、ホジキンリンパ腫、非ホジキンB細胞リンパ腫などが含まれるが
、これらに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0369】
図1図1パネルAは、標準的な分子生物学的技術を用いて抗体バックボーンに沿った所望の位置に挿入されたホルミルグリシン生成酵素(FGE)認識配列を示す。真核細胞にとって内因性であるFGEは、発現されると、コンセンサス配列内のCysの、ホルミルグリシン残基(FGly)への変換を触媒する。図1パネルBは、ヒドラジノ-イソ-ピクテット(Pictet)-スペングラー(Spengler)(HIPS)リンカーおよびペイロード(payload)と反応して部位特異的コンジュゲート化ADCを与えるアルデヒド部分(抗体当たり2個)を含有する抗体を示す。図1パネルCはHIPS化学を示し、これは中間体ヒドラゾニウムイオンを経由して進行し、ついで求核性インドールとの分子内アルキル化により、安定なC-C結合を形成する。
図2図2は、本開示の実施形態に従いHIPS-4APリンカーに結合したメイタンシンペイロードにC末端(CT)においてコンジュゲート化されたアルデヒドタグ付き抗CD22抗体の疎水性相互作用カラム(HIC)トレースを示す。
図3図3は、本開示の実施形態に従いHIPS-4APリンカーに結合したメイタンシンペイロードにC末端(CT)においてコンジュゲート化されたアルデヒドタグ付き抗CD22抗体のHICトレースを示す。
図4図4は、本開示の実施形態に従いHIPS-4APリンカーに結合したメイタンシンペイロードにC末端(CT)においてコンジュゲート化されたアルデヒドタグ付き抗CD22抗体の逆相クロマトグラフィー(PLRP)トレースを示す。
図5図5は、本開示の実施形態に従いHIPS-4APリンカーに結合したメイタンシンペイロードにC末端(CT)においてコンジュゲート化されたアルデヒドタグ付き抗CD22抗体の分析用サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)分析のグラフを示す。
図6図6Aは、本開示の実施形態に従いHIPS-4APリンカーに結合したメイタンシンペイロードにC末端(CT)においてコンジュゲート化された抗CD22 ADCに関するWSU-DLCL2細胞に対するインビトロ効力[Log抗体薬物コンジュゲート(ADC)濃度(nM)に対する生存率(%)]を示すグラフを示す。図6Bは、本開示の実施形態に従いHIPS-4APリンカーに結合したメイタンシンペイロードにC末端(CT)においてコンジュゲート化された抗CD22 ADCに関するRamos(ラモス)細胞に対するインビトロ効力[Log抗体薬物コンジュゲート(ADC)濃度(nM)に対する生存率(%)]を示すグラフを示す。
図7図7は、本開示の実施形態に従いHIPS-4APリンカーに結合したメイタンシンペイロードにC末端(CT)においてコンジュゲート化された抗CD22 ADCに関するWSU-DLCL2異種移植モデルに対するインビボ効力[日数に対する平均腫瘍体積(mm)]を示すグラフを示す。
図8図8A~8CはCD22アイソフォーム(isoform)のアミノ酸配列を示す(上から下へ配列番号//~配列番号//)。
図9図9Aはアルデヒドタグ付きIgポリペプチドの作製のための可能な修飾部位を示す部位地図を示す。上側の配列はIgG1軽鎖ポリペプチドの保存領域のアミノ酸配列(配列番号//)であり、Ig軽鎖における可能な修飾部位を示し、下側の配列は、Ig重鎖ポリペプチドの保存領域のアミノ酸配列(配列番号//;GenBankアクセッション番号AAG00909)であり、Ig重鎖における可能な修飾部位を示す。重鎖および軽鎖の番号付けは完全長の重鎖および軽鎖に基づく。図9BはIgG1(配列番号//)、IgG2(配列番号//)、IgG3(配列番号//)、IgG4(配列番号//)およびIgA(配列番号//)の免疫グロブリン重鎖定常領域のアライメントを示し、免疫グロブリン重鎖においてアルデヒドタグが設けられうる修飾部位を示す。重鎖および軽鎖の番号付けは完全重鎖および軽鎖に基づく。図9Cは免疫グロブリン軽鎖定常領域(配列番号//)のアライメントを示し、免疫グロブリン軽鎖においてアルデヒドタグが設けられうる修飾部位を示す。
図10図10は本開示の実施形態による種々のアナライトの検出のためのELISAフォーマットの図示を示す。
図11】本開示の抗CD22 ADCは高度に単量体であり、1.8の平均DARを有し、単一の軽鎖および重鎖種を含んでいた。単量体比率(99.2%)を評価するためにサイズ排除クロマトグラフィー(図11パネルA)により、そして薬物対抗体比(DAR)(これは1.8であった)を評価するために疎水性相互作用(HIC;図11パネルB)および逆相(PLRP)クロマトグラフィー(図11パネルC)により、抗CD22 ADCを評価した。
図12】本開示の抗CD22 ADCは野生型抗CD22抗体と同等にヒトCD22タンパク質に結合した。競合的ELISAを用いて、野生型(WT)抗CD22抗体への抗CD22 ADCの結合を比較した。データは平均±S.D.(n=4)として示されている。
図13】本開示の抗CD22 ADCは野生型抗CD22抗体と同様にCD22のインターナリゼーションを媒介した。NHL細胞株、Ramos、Granta-519およびWSU-DLCL2を使用して、WT抗CD22またはCAT-02-106のいずれかへの結合により媒介される細胞表面CD22のインターナリゼーションを比較した。
図14】本開示の抗CD22 ADCは親およびMDR1発現NHL腫瘍細胞に対してインビトロで同等に有効であった。RamosおよびWSU-DLCL2親(WT)細胞(図14パネルAおよびパネルC)、ならびにMDR1を発現するように操作されたそれらの系の変異体(MDR1+;図14パネルBおよびパネルD)を抗CD22 ADC活性のインビトロ細胞毒性試験のための標的として使用した。CAT-02抗体を使用して作製されたが、バリン-シトルリン切断性リンカーを使用してメイタンシンにコンジュゲート化されたαCD22 ADCおよび遊離メイタンシンを対照として使用した。追加的対照実験において、MDR1インヒビターであるシクロスポリンをWTまたはMDR1+ WSU-DLCL2細胞に加えた(図14パネルEおよびパネルF)。データは平均±S.D.(n=2)として示されている。
図15】本開示の抗CD22 ADCはオフターゲット細胞毒性を媒介しなかった。胃腫瘍細胞系であるNCI-N87を、漸増濃度の抗CD22 ADCの存在下、インビトロで5日間インキュベートした。ついで、MTSに基づく方法を用いて細胞生存性を評価した。データは平均±S.D.(n=2)として示されている。
図16】抗CD22 ADC関連ADC、HIPS-4AP-メイタンシンリンカーペイロードにコンジュゲート化された抗HER2はバイスタンダー殺傷を誘発しなかった。HER2+ NCI-N87細胞、HER2- Ramos細胞または両方の細胞の共培養を標的として使用して、インビトロ細胞毒性試験を行った。切断性バリン-シトルリン(vc)リンカーを介してMMAEにコンジュゲート化された抗HER2(2nM ペイロード)および遊離メイタンシン(2nM)をバイスタンダー殺傷に関する陽性対照として使用した。抗HER2 ADCを2nM ペイロードで投与した。データは平均±S.D.(n=2)として示されている。
図17】本開示の抗CD22 ADCはNHL由来WSU-DLCL2およびRamos異種移植モデルに対してインビボで有効であった。単一の10mg/kg用量(図17パネルA)としての、または4日ごとに合計4用量(q4d×4)で投与される複数の10mg/kg用量としての抗CD22 ADCで、またはビヒクルのみで、WSU-DLCL2異種移植片を含有する雌CB17 ICR SCIDマウス(8匹/群)を処理した。該単一または複数用量試験に関して、腫瘍が、それぞれ118または262mmの平均サイズに達したら、処理を開始した。(図17パネルC):Ramos異種移植片を含有する雌CB17 ICR SCIDマウス(12匹/群)をビヒクルのみで、または5もしくは10mg/kg CAT-02-106 q4d×4で処理した。腫瘍が246mmの平均サイズに達したら、投与を開始した。データは平均±S.E.M.として示されている。
図18】RamosおよびWSU-DLCL2細胞は、異なるレベルの細胞表面CD22を発現した。RamosおよびWSU-DLCL2細胞をフルオレセイン標識抗CD22抗体と共にインキュベートし、ついでフローサイトメトリーにより分析した。各細胞型に関するFL1チャネル(フルオレセインを検出)の平均蛍光強度がグラフに示されている。
図19】マウスの体重は本開示の抗CD22 ADCでの処理によっては影響されなかった。異種移植有効性試験におけるマウスの平均体重が示されている。(図19パネルA)単一用量WSU-DLCL2試験;(図19パネルB)複数用量WSU-DLCL2試験;(図19パネルC)Ramos試験。エラーバーはS.D.を示す。
図20】本開示の抗CD22 ADCは、最小の効果で60mg/kgまで、ラットにおいて投与されうる。Sprague-Dawleyラット(5匹/群)に6、20、40または60mg/kg用量のCAT-02-106を投与し、ついで12日間の観察期間を設けた。(図20パネルA)示されている時点で体重をモニターした。(図20パネルB)アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)および(図20パネルC)血小板数を投与後の第5日および第12日に評価した。データは平均±S.D.として示されている。
図21】本開示の抗CD22 ADCはカニクイザルB細胞に特異的に結合した。カニクイザル末梢血リンパ球をそれらの前方および側方散乱プロファイルに従いゲートした(左上)。フルオレセイン-イソチオシアナート(FITC)結合ストレプトアビジン(SA)のみ(右上)、またはビオチン化抗CD22 ADCおよびそれに続くFITC SAの存在下、細胞をインキュベートした。T細胞(CD3、左下)またはB細胞(CD20、右下)を認識する抗体とのコインキュベーションはB細胞集団へのCAT-02-106結合の特異性を実証した。
図22】本開示の抗CD22 ADCはヒト組織およびカニクイザル組織におけるB細胞特異的反応性を実証した。抗CD22 ADCは脾臓のB細胞に富む領域に結合した(上)。心臓組織は染色に関して陰性であった(中央)。散在性白血球以外は、肺切片は陰性であった(下)。
図23】カニクイザルにおいて本開示の抗CD22 ADCの60mg/kgの反復用量で副作用は観察されない。カニクイザル(2頭/性/群)に10、30または60mg/kgの抗CD22 ADCを、3週間に1回、合計2用量投与し、ついで21日間の観察期間を設けた。(図23パネルA)アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)、(図23パネルB)アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、(図23パネルC)血小板、および(図23パネルD)単球を、示されている時点でモニターした。データは平均±S.D.として示されている。
図24】(パネルAおよびパネルB) - 本開示の抗CD22 ADCでの処理はカニクイザルにおける末梢B細胞集団を減少させた。投与前、および第7日、第14日、第28日および第35日に、動物において観察されたB細胞(CD20+)、T細胞(CD3+)およびNK細胞(CD20-/CD3-)の比を検出するために、該毒性試験に登録されたカニクイザルからの末梢血単核細胞をフローサイトメトリーでモニターした。データは平均±S.D.として示されている。
図25】本開示の抗CD22 ADCは、ラット薬物動態試験により示されたとおり、非常に高いインビボ安定性を示した。Sprague-Dawleyラット(3匹/群)に3mg/kgの単一のi.v.ボーラス用量の抗CD22 ADCを投与した。血漿サンプルを、示されている時点で採取し、全抗体、全コンジュゲートおよび全ADC濃度(図10に示されているとおり)に関して分析した。
図26図26は表3を示し、これは、本開示の種々の実施形態における抗CD22 ADCが投与された動物における全ADC値の平均(±SD)薬物動態学的パラメータおよび毒物動態学的(TK)パラメータの要約である。
【0370】
実施例
以下の実施例は、本発明を製造し使用する方法の完全な開示および説明を当業者に示す
ために記載されており、本発明者が発明と見なすものの範囲を限定ものではなく、また、
後記の実験が、行った全て又は唯一の実験であることを示すものでもない。用いられてい
る数字(例えば、量、温度など)に関する精度を確保するための努力がなされているが、
幾らかの実験誤差および偏差が考慮されるべきである。特に示されていない限り、部は重
量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏度であり、圧力は大気圧または
それに近い圧力である。「平均」は算術平均を意味する。例えば以下のような標準的な略
語が用いられうる:bp,塩基対;kb,キロベース;pl,ピコリットル;sまたはs
ec,秒;min,分;hまたはhr,時間;aa,アミノ酸;kb,キロベース;bp
,塩基対;nt,ヌクレオチド;i.m.,筋肉内;i.p.,腹腔内;s.c.,皮下
;など。
【0371】
一般的合成法
開示されている化合物を合成するのに有用な一般的に公知の化学合成スキームおよび条
件を示す多数の一般的参考文献が利用可能である(例えば、SmithおよびMarch
,March’s Advanced Organic Chemistry:Reac
tions,Mechanisms,and Structure,Fifth Edi
tion,Wiley-Interscience,2001;またはVogel,A
Textbook of Practical Organic Chemistry,
Including Qualitative Organic Analysis,F
ourth Edition,New York:Longman,1978を参照され
たい)。
【0372】
本明細書に記載されている化合物は、クロマトグラフィー、例えばHPLC、分取薄層
クロマトグラフィー、フラッシュカラムクロマトグラフィーおよびイオン交換クロマトグ
ラフィーを含む当技術分野で公知の任意の精製法により精製されうる。順相および逆相な
らびにイオン性樹脂を含む任意の適切な固定相が使用されうる。ある実施形態においては
、開示されている化合物はシリカゲルおよび/またはアルミナクロマトグラフィーにより
精製される。例えば、Introduction to Modern Liquid
Chromatography,2nd Edition,L.R.Snyderおよび
J.J.Kirkland編,John Wiley and Sons,1979;な
らびにThin Layer Chromatography,E.Stahl編,Sp
ringer-Verlag,New York,1969を参照されたい。
【0373】
本化合物の製造方法のいずれかの実施中に、対象分子のいずれかにおける感受性または
反応性基を保護することが必要および/または望ましいかもしれない。これは、例えば以
下のような標準的な研究文書に記載されている通常の保護基を使用して行われうる:J.
F.W.McOmie,“Protective Groups in Organic
Chemistry”,Plenum Press,London and New
York 1973,T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts,“Prote
ctive Groups in Organic Synthesis”,Third
edition,Wiley,New York 1999,“The Peptid
es”;Volume 3(E.GrossおよびJ.Meienhofer編),Ac
ademic Press,London and New York 1981,“M
ethoden der organischen Chemie”,Houben-W
eyl,4th edition,Vol.15/l,Georg Thieme Ve
rlag,Stuttgart 1974,H.-D.JakubkeおよびH.Jes
cheit,“Aminosauren,Peptide,Proteine”,Ver
lag Chemie,Weinheim,Deerfield BeachおよびBa
sel 1982,および/またはJochen Lehmann,“Chemie d
er Kohlenhydrate:Monosaccharide and Deri
vate”,Georg Thieme Verlag,Stuttgart 1974
。保護基は、当技術分野で公知の方法を用いて、簡便な後続段階で除去されうる。
【0374】
本化合物は、商業的に入手可能な出発物質および/または通常の合成方法により製造さ
れた出発物質を使用して、種々の合成経路により合成されうる。本明細書に開示されてい
る化合物を合成するために使用されうる合成経路の種々の例を以下のスキームに記載する
【0375】
実施例1
以下に示すスキーム1に従い、4-アミノ-ピペリジン(4AP)基を含有するリンカ
ーを合成した。
【化23】
【0376】
(9H-フルオレン-9-イル)メチル 4-オキソピペリジン-1-カルボキシラー
ト(200)の合成
磁気攪拌棒を含む100mL丸底フラスコにピペリジン-4-オン塩酸塩一水和物(1
.53g,10mmol)、Fmocクロリド(2.58g,10mmol)、炭酸ナト
リウム(3.18g,30mmol)、ジオキサン(20mL)および水(2mL)を加
えた。反応混合物を室温で1時間撹拌した。混合物をEtOAc(100mL)で希釈し
、水(1×100mL)で抽出した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下
で濃縮した。得られた物質を真空中で乾燥させて化合物200を白色固体として得た(3
.05g,収率95%)。
【0377】
H NMR(CDCl)δ 7.78(d,2H,J=7.6),7.59(d,
2H,J=7.2),7.43(t,2H,J=7.2),7.37(t,2H,J=7
.2),4.60(d,2H,J=6.0),4.28(t,2H,J=6.0),3.
72(br,2H),3.63(br,2H),2.39(br,2H),2.28(b
r,2H)。
【0378】
MS(ESI)m/z:[M+H]2020NOとしての計算値:322.
4;実測値:322.2。
【0379】
(9H-フルオレン-9-イル)メチル 4-((2-(2-(3-(tert-ブト
キシ)-3-オキソプロポキシ)エトキシ)エチル)アミノ)ピペリジン-1-カルボキ
シラート(201)の合成
磁気攪拌棒を含む乾燥シンチレーションバイアルにピペリジノン200(642mg,
2.0mmol)、HN-PEG-CO t-Bu(560mg,2.4mmol
)、4オングストロームモレキュラーシーブ(活性粉末,500mg)および1,2-ジ
クロロエタン(5mL)を加えた。混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物にトリア
セトキシ水素化ホウ素ナトリウム(845mg,4.0mmol)を加えた。混合物を室
温で5日間撹拌した。得られた混合物をEtOAcで希釈した。有機層を飽和NaHCO
(1×50mL)およびブライン(1×50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ
、濾過し、減圧下で濃縮して、化合物201を油状物として得、これを、更に精製するこ
となく次に進めた。
【0380】
13-(1-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)ピペリジン
-4-イル)-2,2-ジメチル-4,14-ジオキソ-3,7,10-トリオキサ-1
3-アザヘプタデカン-17-酸(202)の合成
磁気攪拌棒を含む乾燥シンチレーションバイアルに前工程からのN-Fmoc-ピペリ
ジン-4-アミノ-PEG-CO t-Bu(201)、無水コハク酸(270mg
,2.7mmol)およびジクロロメタン(5mL)を加えた。混合物を室温で18時間
撹拌した。反応混合物をEtOAcと飽和NaHCOとの間で分配した。水層をEtO
Ac(3×)で抽出した。水層をpH~3になるまでHCl(1M)で酸性化した。水層
をDCMで抽出した(3×)。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧
下で濃縮した。反応混合物をC18フラッシュクロマトグラフィー(0.1% 酢酸を含
有する10~100% MeCN/水で溶出)で精製した。生成物含有画分を減圧下で濃
縮し、ついでトルエン(3×50mL)と共沸させて残留酢酸を除去して、534mg(
42%,2工程)の化合物202を白色固体として得た。
【0381】
H NMR(DMSO-d)δ 11.96(br,1H),7.89(d,2H
,J=7.2),7.63(d,2H,J=7.2),7.42(t,2H,J=7.2
),7.34(t,2H,J=7.2),4.25-4.55(m,3H),3.70-
4.35(m,3H),3.59(t,2H,J=6.0),3.39(m,5H),3
.35(m,3H),3.21(br,1H),2.79(br,2H),2.57(m
,2H),2.42(q,4H,J=6.0),1.49(br,3H),1.37(s
,9H)。
【0382】
MS(ESI)m/z:[M+H]3547としての計算値:639
.3;実測値:639.2。
【0383】
(2S)-1-((1S,1S,3S,2R,4S,10E,12E,14R)
-8-クロロ-1-ヒドロキシ-8,14-ジメトキシ-3,2,7,10-テ
トラメチル-1,6-ジオキソ-7-アザ-1(6,4)-オキサジナナ-3(2,3
)-オキシラナ-8(1,3)-ベンゼンアシクロテトラデカファン-10,12-ジエ
ン-4-イル)オキシ)-2,3-ジメチル-1,4,7-トリオキソ-8-(ピペリジ
ン-4-イル)-11,14-ジオキサ-3,8-ジアザヘプタデカン-17-酸(20
3)の合成
2mLのDMF中のエステル202(227mg,0.356mmol)、ジイソプロ
ピルエチルアミン(174μL,1.065mmol)、N-デアセチルメイタンシン1
24(231mg,0.355mmol)の溶液にPyAOP(185mg,0.355
mmol)を加えた。溶液を30分間撹拌した。ピペリジン(0.5mL)を反応混合物
に加え、更に20分間撹拌した。粗反応混合物を、0~100% アセトニトリル:水の
勾配を用いるC18逆相クロマトグラフィーにより精製して、203.2mg(55%,
2工程)の化合物203を得た。
【0384】
17-(tert-ブチル) 1-((1S,1S,3S,2R,4S,10E
,12E,14R)-8-クロロ-1-ヒドロキシ-8,14-ジメトキシ-3
,2,7,10-テトラメチル-1,6-ジオキソ-7-アザ-1(6,4)-オキサ
ジナナ-3(2,3)-オキシラナ-8(1,3)-ベンゼンアシクロテトラデカファン
-10,12-ジエン-4-イル)(2S)-8-(1-(3-(2-((2-(((9
H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-1,2-ジメチルヒドラジニル)
メチル)-1H-インドール-1-イル)プロパノイル)ピペリジン-4-イル)-2,
3-ジメチル-4,7-ジオキソ-11,14-ジオキサ-3,8-ジアザヘプタデカン
ジオアート(204)の合成
DMF 1mL中のピペリジン203(203.2mg,0.194mmol)、エス
テル12(126.5mg,0.194mmol)、2,4,6-トリメチルピリジン(
77μL,0.582mmol)、HOAT(26.4mg,0.194mmol)の溶
液を30分間撹拌した。粗反応物を、0.1% ギ酸を含有する0~100% アセトニ
トリル:水の勾配を用いるC18逆相クロマトグラフィーにより精製して、280.5m
g(収率97%)の化合物204を得た。
【0385】
MS(ESI)m/z:[M+H]81106ClN18としての計算値
:1513.7;実測値:1514.0。
【0386】
(2S)-8-(1-(3-(2-((2-((9H-フルオレン-9-イル)メトキ
シ)カルボニル)-1,2-ジメチルヒドラジニル)メチル)-1H-インドール-1-
イル)プロパノイル)ピペリジン-4-イル)-1-(((1S,1S,3S,2
R,4S,10E,12E,14R)-8-クロロ-1-ヒドロキシ-8,14-
ジメトキシ-3,2,7,10-テトラメチル-1,6-ジオキソ-7-アザ-1(
6,4)-オキサジナナ-3(2,3)-オキシラナ-8(1,3)-ベンゼンアシクロ
テトラデカファン-10,12-ジエン-4-イル)オキシ)-2,3-ジメチル-1,
4,7-トリオキソ-11,14-ジオキサ-3,8-ジアザヘプタデカン-17-酸(
205)の合成
500μLの無水DCM中の化合物204(108mg,0.0714mmol)の溶
液にDCM中のSnClの1M溶液357μLを加えた。不均一混合物を1時間撹拌し
、ついで0.1% ギ酸を含有する0~100% アセトニトリル:水の勾配を用いるC
18逆相クロマトグラフィーにより精製して、78.4mg(収率75%)の化合物20
5を得た。
【0387】
MS(ESI)m/z:[M-H]7796ClN18としての計算値:
1455.7;実測値:1455.9。
【0388】
実施例2
以下に示すスキーム2に従い、4-アミノ-ピペリジン(4AP)基を含有するリンカ
ーを合成した。
【化24】
【0389】
tert-ブチル 4-オキソピペリジン-1-カルボキシラート(210)の合成
磁気攪拌棒を含む100mL丸底フラスコに、ピペリジン-4-オン塩酸塩一水和物(
1.53g,10mmol)、ジ-tert-ブチルジカーボナート(2.39g,11
mmol)、炭酸ナトリウム(1.22g,11.5mmol)、ジオキサン(10mL
)および水(1mL)を加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌した。混合物を水(10
0mL)で希釈し、EtOAc(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層をブライ
ンで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた物質を真空
中で乾燥して、1.74g(87%)の化合物210を白色固体として得た。
【0390】
H NMR(CDCl3)δ 3.73(t,4H,J=6.0),2.46(t,
4H,J=6.0),1.51(s,9H)。
【0391】
MS(ESI)m/z:[M+H]1018NO3としての計算値:200.
3;実測値:200.2。
【0392】
tert-ブチル 4-((2-(2-(3-(tert-ブトキシ)-3-オキソプ
ロポキシ)エトキシ)エチル)アミノ)ピペリジン-1-カルボキシラート(211)
磁気攪拌棒を含む乾燥シンチレーションバイアルにtert-ブチル 4-オキソピペ
リジン-1-カルボキシラート(399mg,2mmol)、HN-PEG-COO
t-Bu(550mg,2.4mmol)、4オングストロームモレキュラーシーブ(
活性化粉末,200mg)および1,2-ジクロロエタン(5mL)を加えた。混合物を
室温で1時間撹拌した。反応混合物にトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(845m
g,4mmol)を加えた。混合物を室温で3日間撹拌した。得られた混合物をEtOA
cと飽和水性NaHCOとの間に分配した。有機層をブラインで洗浄し、NaSO
で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、850mgの化合物211を粘性油状物として
得た。
【0393】
MS(ESI)m/z:[M+H]2141としての計算値:417
.3;実測値:417.2。
【0394】
13-(1-(tert-ブトキシカルボニル)ピペリジン-4-イル)-2,2-ジ
メチル-4,14-ジオキソ-3,7,10-トリオキサ-13-アザヘプタデカン-1
7-酸(212)
磁気攪拌棒を含む乾燥シンチレーションバイアルにtert-ブチル 4-((2-(
2-(3-(tert-ブトキシ)-3-オキソプロポキシ)エトキシ)エチル)アミノ
)ピペリジン-1-カルボキシラート211(220mg,0.5mmol)、無水コハ
ク酸(55mg,0.55mmol)、4-(ジメチルアミノ)ピリジン(5mg,0.
04mmol)およびジクロロメタン(3mL)を加えた。混合物を室温で24時間撹拌
した。反応混合物をフラッシュクロマトグラフィー(50~100% EtOAc/ヘキ
サンで溶出)により部分的に精製して117mgの化合物212を透明油状物として得、
これを、更に特徴づけすることなく次に進めた。
【0395】
MS(ESI)m/z:[M+H]2545としての計算値:517
.6;実測値:517.5。
【0396】
17-(tert-ブチル) 1-((1S,1S,3S,2R,4S,10E
,12E,14R)-8-クロロ-1-ヒドロキシ-8,14-ジメトキシ-3
,2,7,10-テトラメチル-1,6-ジオキソ-7-アザ-1(6,4)-オキサ
ジナナ-3(2,3)-オキシラナ-8(1,3)-ベンゼンアシクロテトラデカファン
-10,12-ジエン-4-イル)(2S)-8-(1-(tert-ブトキシカルボニ
ル)ピペリジン-4-イル)-2,3-ジメチル-4,7-ジオキソ-11,14-ジオ
キサ-3,8-ジアザヘプタデカンジオアート(213)の合成
磁気攪拌棒を含む乾燥シンチレーションバイアルに13-(1-(tert-ブトキシ
カルボニル)ピペリジン-4-イル)-2,2-ジメチル-4,14-ジオキソ-3,7
,10-トリオキサ-13-アザヘプタデカン-17-酸212(55mg,0.1mm
ol)、N-デアシルメイタンシン124(65mg、0.1mmol)、HATU(4
3mg、0.11mmol)、DMF(1mL)およびジクロロメタン(0.5mL)を
加えた。混合物を室温で8時間撹拌した。反応混合物をC18フラッシュクロマトグラフ
ィー(5~100% MeCN/水で溶出)で直接精製して、18mg(16%)の化合
物213を白色薄膜として得た。
【0397】
MS(ESI)m/z:[M+H]5787ClN17としての計算値:
1148.6;実測値:1148.7。
【0398】
(2S)-1-(((1S,1S,3S,2R,4S,10E,12E,14R
)-8-クロロ-1-ヒドロキシ-8,14-ジメトキシ-3,2,7,10-
テトラメチル-1,6-ジオキソ-7-アザ-1(6,4)-オキサジナナ-3(2,
3)-オキシラナ-8(1,3)-ベンゼンアシクロテトラデカファン-10,12-ジ
エン-4-イル)-2,3-ジメチル-1,4,7-トリオキソ-8-(ピペリジン-4
-イル)-11,14-ジオキサ-3,8-ジアザヘプタデカン-17-酸(214)の
合成
磁気攪拌棒を含む乾燥シンチレーションバイアルにメイタンシノイド213(31mg
,0.027mmol)およびジクロロメタン(1mL)を加えた。溶液を0℃に冷却し
、四塩化スズ(IV)(1.0M ジクロロメタン溶液、0.3mL,0.3mmol)
を加えた。反応混合物を0℃で1時間撹拌した。反応混合物をC18フラッシュクロマト
グラフィー(5~100% MeCN/水で溶出)で直接精製して、16mg(60%)
の化合物214を白色固体として得た(16mg,収率60%)。
【0399】
MS(ESI)m/z:[M+H]4871ClN15としての計算値:
992.5;実測値:992.6。
【0400】
(2S)-8-(1-(3-(2-((2-(((9H-フルオレン-9-イル)メト
キシ)カルボニル)-1,2-ジメチルヒドラジニル)メチル)-1H-インドール-1
-イル)プロパノイル)ピペリジン-4-イル)-1-(((1S,1S,3S,
2R,4S,10E,12E,14R)-8-クロロ-1-ヒドロキシ-8,14
-ジメトキシ-3,2,7,10-テトラメチル-1,6-ジオキソ-7-アザ-1
(6,4)-オキサジナナ-3(2,3)-オキシラナ-8(1,3)-ベンゼンアシク
ロテトラデカファン-10,12-ジエン-4-イル)-2,3-ジメチル-1,4,7
-トリオキソ-11,14-ジオキサ-3,8-ジアザヘプタデカン-17-酸(215
)の合成
磁気攪拌棒を含む乾燥シンチレーションバイアルにメイタンシノイド214(16mg
,0.016mmol)、(9H-フルオレン-9-イル)メチル 1,2-ジメチル-
2-((1-(3-オキソ-3-(ペルフルオロフェノキシ)プロピル)-1H-インド
ール-2-イル)メチル)ヒドラジン-1-カルボキシラート(5)(13mg,0.0
2mmol)、DIPEA(8μL,0.05mmol)およびDMF(1mL)を加え
た。溶液を室温で18時間撹拌した。反応混合物をC18フラッシュクロマトグラフィー
(5~100% MeCN/水で溶出)により直接精製して、18mg(77%)の化合
物215を白色固体として得た。
【0401】
MS(ESI)m/z:[M+H]7798ClN18としての計算値:
1457.7;実測値:1457.9。
【0402】
(2S)-1-(((1S,1S,3S,2R,4S,10E,12E,14R
)-8-クロロ-1-ヒドロキシ-8,14-ジメトキシ-3,2,7,10-
テトラメチル-1,6-ジオキソ-7-アザ-1(6,4)-オキサジナナ-3(2,
3)-オキシラナ-8(1,3)-ベンゼンアシクロテトラデカファン-10,12-ジ
エン-4-イル)オキシ)-8-(1-(3-(2-((1,2-ジメチルヒドラジニル
)メチル)-1H-インドール-1-イル)プロパノイル)ピペリジン-4-イル)-2
,3-ジメチル-1,4,7-トリオキソ-11,14-ジオキサ-3,8-ジアザヘプ
タデカン-17-酸(216)の合成
磁気攪拌棒を含む乾燥シンチレーションバイアルにメイタンシノイド215(18mg
,0.012mmol)、ピペリジン(20μL,0.02mmol)およびDMF(1
mL)を加えた。溶液を室温で20分間撹拌した。反応混合物をC18フラッシュクロマ
トグラフィー(1~60% MeCN/水で溶出)により直接精製して、15mg(98
%)の化合物216(本明細書においてはHIPS-4AP-メイタンシンまたはHIP
S-4-アミノ-ピペリジン-マイタンシンとも称される)を白色固体として得た。
【0403】
MS(ESI)m/z:[M+H]6288ClN16としての計算値:
1235.6;実測値:1236.0。
【0404】
実施例3
実験手順
概要
部位特異的コンジュゲート化抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を製造するための実
験を行った。部位特異的ADCの製造は、非天然アミノ酸であるホルミルグリシン(FG
ly)をタンパク質配列に組込むことを含むものであった。FGly(図1)を導入する
ために、短いコンセンサス配列であるCXPXR(ここで、Xはセリン、スレオニン、ア
ラニンまたはグリシンである)を、標準的な分子生物学クローニング技術を用いて、抗体
重鎖または軽鎖の保存領域内の所望の位置に挿入した。この「タグ付き」構築物は、ホル
ミルグリシン生成酵素(FGE)を共発現する細胞において組換え法で得られた。FGE
は、タグ内のシステインをFGly残基へ同時翻訳的に変換して、アルデヒド官能基(本
明細書においてはアルデヒドタグとも称される)を与えた。アルデヒド官能基はバイオ直
交型(bioorthogonal)コンジュゲート化のための化学的ハンドルとして機
能した。ヒドラジノ-イソ-ピクテット-スペングラー(HIPS)連結を用いて、ペイ
ロード(例えば薬物、例えば細胞毒素(例えばメイタンシン))をFGlyに結合させて
、細胞毒素ペイロードと抗体との間に安定な共有結合C-C結合を形成させた。このC-
C結合は、循環およびFcRnリサイクリング中にADCが遭遇する生理的関連条件、例
えばプロテアーゼ、低pHおよび還元試薬に対して安定だと予想された。アルデヒドタグ
を含有する抗体は種々の場所で製造されうる。重鎖C末端(CT)にアルデヒドタグを挿
入する効果を試験するための実験を行った。HIPSリンカーを介したメイタンシンペイ
ロードへのコンジュゲート化により製造された得られたADCに関して、生物物理学的お
よび機能的特徴づけを行った。
【0405】
タグ付き抗体のクローニング、発現および精製
アルデヒドタグ配列を、標準的な分子生物学技術を用いて、重鎖C末端(CT)に挿入
した。小規模製造のために、CHO-S細胞をヒトFGE発現構築物でトランスフェクト
し、FGE過剰発現細胞のプールを抗体の一過性産生のために使用した。より大規模な製
造のために、GPEx技術(Catalent,Inc.,Somerset,NJ)を
用いて、ヒトFGE(GPEx)を過剰発現するクローン細胞系を得た。ついで、該FG
Eクローンを使用して、抗体発現細胞のバルク安定プールを得た。プロテインAクロマト
グラフィー(MabSelect,GE Healthcare Life Scien
ces,Pittsburgh,PA)を用いて、馴化培地から抗体を精製した。精製抗
体を瞬間凍結し、更なる使用まで-80℃で保存した。
【0406】
バイオコンジュゲート化、精製およびHPLC分析
0.85% DMAを含有する50mM クエン酸ナトリウム、50mM NaCl(
pH7.4)中、C末端アルデヒドタグ付きαCD22抗体(15mg/mL)をHIP
S-4AP-メイタンシン(8モル当量の薬物:抗体)に37℃で72時間コンジュゲー
ト化した。移動相A:1.0M 硫酸アンモニウム、25mM リン酸ナトリウム(pH
7.0)および移動相B:25% イソプロパノール、18.75mM リン酸ナトリウ
ム(pH7.0)を使用する分取スケールの疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC
;GE Healthcare 17-5195-01)を用いて、非コンジュゲート化
抗体を除去した。未コンジュゲート化物質を溶出するために33% Bのアイソクラティ
ック勾配を用いて、ついでモノおよびジコンジュゲート化種を溶出するために41~95
% Bの直線勾配を用いた。最終生成物のDARを決定するために、移動相A:1.5M
硫酸アンモニウム、25mM リン酸ナトリウム(pH7.0)および移動相B:25
% イソプロパノール、18.75mM リン酸ナトリウム(pH7.0)を使用する分
析用HIC(Tosoh#14947,Grove City,OH)によりADCを調
べた。凝集を測定するために、300mM NaCl、25mMリン酸ナトリウム(pH
6.8)の移動相を使用する分析用サイズ排除クロマトグラフィー(SEC;Tosoh
#08541)を用いてサンプルを分析した。
【0407】
結果
重鎖C末端(CT)にアルデヒドタグを含有するように修飾されたαCD22抗体を、
前記のHIPS-4APリンカーに結合したメイタンシンペイロードにコンジュゲート化
した。コンジュゲート化反応の完了時に、未コンジュゲート化抗体を分取HICにより除
去し、残留遊離薬物をバッファー交換中にタンジェンシャルフロー濾過により除去した。
これらの反応は高収率であり、コンジュゲート化効率は84%以上であり、総収率は70
%を超えた。得られたADCは1.6~1.9の薬物対抗体比(DAR)を有し、主とし
て単量体であった。図2~5は、HICおよび逆相PLRPクロマトグラフィーにより決
定された代表的な粗反応物および精製ADCからのDARを示し、SECにより決定され
た単量体の完全性を示す。
【0408】
図2は、HIPS-4APリンカーに結合したメイタンシンペイロードにC末端(CT
)においてコンジュゲート化されたアルデヒドタグ付き抗CD22抗体の疎水性相互作用
カラム(HIC)トレースを示す。図2は、HICにより決定された粗(crude)D
ARが1.68であったことを示している。
【0409】
図3は、HIPS-4APリンカーに結合したメイタンシンペイロードにC末端(CT
)においてコンジュゲート化されたアルデヒドタグ付き抗CD22抗体のHICトレース
を示す。図3は、HICにより決定された最終DARが1.77であったことを示してい
る。
【0410】
図4は、HIPS-4APリンカーに結合したメイタンシンペイロードにC末端(CT
)においてコンジュゲート化されたアルデヒドタグ付き抗CD22抗体の逆相クロマトグ
ラフィー(PLRP)トレースを示す。図4は、RLRPにより決定された最終DARが
1.81であったことを示している。
【0411】
図5は、HIPS-4APリンカーに結合したメイタンシンペイロードにC末端(CT
)においてコンジュゲート化されたアルデヒドタグ付き抗CD22抗体の分析用サイズ排
除クロマトグラフィー(SEC)分析のグラフを示す。図5に示されているとおり、分析
用SECは最終生成物に関して98.2%の単量体を示した。
【0412】
インビトロ細胞毒性
CD22陽性B細胞リンパ腫細胞系であるRamosおよびWSU-DLCL2を、そ
れぞれ、ATCCおよびDSMZ細胞バンクから得た。該細胞を、10% ウシ胎仔血清
(Invitrogen,Grand Island,NY)およびGlutamax(
Invitrogen)で補足されたRPMI-1640培地(Cellgro,Man
assas,VA)において維持した。プレーティングの24時間前に、対数増殖が保証
されるように細胞を継代した。プレーティングの日に、5000細胞/ウェルを、10I
U ペニシリンおよび10μg/mL ストレプトマイシン(Cellgro)で補足さ
れた90μLの正常増殖培地内で、96ウェルプレートに播種した。細胞を種々の濃度の
10μLの希釈アナライトで処理し、プレートを37℃で5% COの雰囲気下でイン
キュベートした。5日後、100μL/ウェルのCell Titer-Glo試薬(P
romega,Madison,WI)を加え、Molecular Devices
SpectraMax M5プレートリーダーを使用して発光を測定した。GraphP
ad Prismソフトウェアをデータ分析に使用した。
【0413】
結果
αCD22 CT HIPS-4AP-メイタンシンは、遊離メイタンシンと比較して
、WSU-DLCL2およびRamos細胞に対して非常に強力な活性をインビトロで示
した(図6)。IC50濃度は、WSU-DLCL2細胞に対しては、ADCおよび遊離
薬物に関して、それぞれ0.018および0.086nMであり、Ramos細胞に対し
ては、ADCおよび遊離薬物に関して、それぞれ0.007および0.040nMであっ
た。
【0414】
図6Aは、HIPS-4APリンカーに結合したメイタンシンペイロードにC末端(C
T)においてコンジュゲート化された抗CD22 ADCに関するWSU-DLCL2細
胞に対するインビトロ効力[Log抗体薬物コンジュゲート(ADC)濃度(nM)に対
する生存率(%)]を示すグラフを示す。図6Bは、HIPS-4APリンカーに結合し
たメイタンシンペイロードにC末端(CT)においてコンジュゲート化された抗CD22
ADCに関するRamos細胞に対するインビトロ効力[Log抗体薬物コンジュゲー
ト(ADC)濃度(nM)に対する生存率(%)]を示すグラフを示す。
【0415】
異種移植研究
雌ICR SCIDマウス(8匹/群)に5×10個のWSU-DLCL2細胞を皮
下接種した。腫瘍が平均262mmに達した時点で処理を開始し、その時点で、ビヒク
ルのみ又はCTタグ付きαCD22HIPS-4AP-メイタンシン(10mg/kg)
を動物に静脈内投与した。投与は4日ごとに合計4用量(q4d×4回)行った。動物を
体重および腫瘍サイズに関して毎週2回モニターした。腫瘍が2000mmに達したら
動物を安楽死させた。
【0416】
結果
ビヒクル対照群における動物のエンドポイントまでの時間の中央値は16日であった。
したがって、その日に腫瘍増殖抑制率(TGI%)を計算した。TGI%は以下の式によ
り定義された。
【0417】
TGI(%)=(TV対照群-TV処理群)/TV対照×100
ここで、TVは腫瘍体積である。
【0418】
αCD22 HIPS-4AP-メイタンシンを投与した動物は第16日に90%のT
GIを示し、8つの腫瘍のうち5つが完全な退縮を示した(図7)。これらの完全退縮の
うちの3つは研究終了(第58日)まで持続可能であった。図7は、HIPS-4APリ
ンカーに結合したメイタンシンペイロードにC末端(CT)においてコンジュゲート化さ
れた抗CD22 ADCに関するWSU-DLCL2異種移植モデルに対するインビボ効
力[日数に対する平均腫瘍体積(mm)]を示すグラフを示す。図7における垂直矢印
は投与を示し、これは4日ごとに合計4用量(q4d×4)行った。
【0419】
実施例4
序論
血液由来の腫瘍は、米国で新たに診断された全癌症例の約10%を占める。これらのう
ち、非ホジキンリンパ腫(NHL)なる名称は、世界中で最も一般的に診断される上位1
0種類の癌のなかに一括して順位づけられている多様な群を示す。長期生存傾向は改善し
ているが、MDR1のような生体異物(xenobiotic)ポンプのアップレギュレ
ーションによる薬物排出を1つの原因とする再発性または難治性疾患を有する患者を助け
るための治療に対する、未だ満たされていない重大な臨床的要求が尚も存在する。MDR
1媒介性排出に抵抗性である非切断性メイタンシンペイロードを含有しCD22に対して
標的化される部位特異的コンジュゲート化抗体-薬物コンジュゲートを製造した。該構築
物はCD22+ NHL異種移植片に対して有効であり、副作用が観察されることなく6
0mg/kgでカニクイザルにおいて反復投与されうる。総合すると、該データは、この
薬物が、過去の療法に対してMDR1関連抵抗性を示すようになったCD22+ 腫瘍を
有する患者において有効に使用される可能性を有することを示した。CD22は、NHL
およびALLの治療のための臨床的に検証された標的である。本開示による抗CD22抗
体-薬物コンジュゲート(ADC)は再発性/難治性NHLおよびALL患者の治療に使
用されうる。
【0420】
材料および方法
アルデヒドタグ技術を用いて、抗CD22抗体を非切断性メイタンシンペイロードに部
位特異的にコンジュゲート化した。該ADCを生物物理学的および機能的の両方でインビ
トロで特徴づけした。ついで、マウスにおいて、2つの異種移植モデルを用いてインビボ
有効性を測定し、ラットおよびカニクイザルの両方において毒性試験を行った。薬力学的
試験をサルにおいて行い、薬物動態学的および毒物動態学的試験は該有効性および毒性試
験における全ADC暴露と比較した。
【0421】
結果
該ADCは、排出ポンプMDR1を過剰発現するように構築された細胞系に対してでさ
え、インビボで非常に強力であった。この構築物はNHL異種移植腫瘍モデルに対して1
0mg/kg×4用量において有効であり、カニクイザル毒性試験においては、該ADC
を60mg/kgで2回投与し、副作用は観察されなかった。これらの用量における全A
DCへの暴露(AUC0-infにより評価される)は、有効性を達成するために必要な
曝露が許容限界未満であることを示した。最後に、処理されたサルにおける薬力学的応答
の試験は、B細胞コンパートメントが選択的に減少(枯渇)したことを示しており、この
ことは、ADCが、顕著なオフターゲット毒性を伴うことなく、標的細胞を排除したこと
を示している。
【0422】
これらの結果は、該ADCが、過去の療法に対してMDR1関連抵抗性を示すようにな
ったCD22+腫瘍を有する患者において有効に使用されうることを示した。
【0423】
実施例5
序論
白血病、リンパ腫および骨髄腫は集団において非常に一般的であり、2015年に米国
で新たに診断された全癌症例の約10%を占める。これらの癌のうち、B細胞由来の悪性
疾患は、非ホジキンリンパ腫(NHL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)および急性リ
ンパ芽球性白血病(ALL)を含む大きな多様な群を構成する。同様に、1つの範疇とし
て、NHLは約60個のリンパ腫サブセットを含み、それらのうちの約85%はB細胞由
来であり、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)お
よびマントル細胞リンパ腫(MCL)を包含する。総合すると、NHL疾患は、観察され
る最も一般的な癌型であり、2012年に世界中で診断された10番目に多い癌として、
そして米国で7番目に多い癌として順位づけられている。長期的な傾向はほとんどの血液
癌の診断例に関して5年生存率において改善を示しているが、未だ満たされていない重大
な臨床的要求が尚も存在し、2004年から2010年に診断されたCLL患者の16%
、ALL患者の30%およびNHL患者の30%は5年生存エンドポイントを満たしてい
ない。
【0424】
CD22はB細胞系限局性細胞表面糖タンパク質の1つであり、これは、B細胞血液悪
性疾患の大部分においては発現されるが、造血幹細胞、記憶B細胞または他の正常非造血
組織においては発現されない。その発現パターンおよび迅速なインターナリゼーション動
力学はそれを抗体-薬物コンジュゲート(ADC)療法に対する標的とし、それは、NH
LおよびALLに対する臨床試験において、そのようなものとして検証されている。
【0425】
本明細書に記載されている実験においては、アルデヒドタグおよびヒドラジノ-イソ-
ピクテット-スペングラー(HIPS)化学に基づく部位特異的コンジュゲート化技術を
用いて、非切断性リンカーを介して抗体重鎖C末端に結合したメイタンシンペイロードを
配置した。遺伝的にコードされたアルデヒドタグは6アミノ酸配列LCTPSRを組込ん
だ。同時翻訳で、過剰発現ホルミルグリシン生成酵素(FGE)はコンセンサス配列内の
システインを、アルデヒド官能基を有するホルミルグリシン残基へと変換した。これをH
IPSリンカーペイロードと反応させてADCを得た。このアプローチはペイロード配置
とDARとの両方の制御をもたらし、非常に均質なADC調製物を与えた。部位特異的コ
ンジュゲート化ADCは、確率論的(stochastic)コンジュゲートと比較して
改善された薬物動態(PK)および効力をもたらした。これはおそらく、それぞれ無効分
子または過度毒性分子につながりうる、調製物中の過少および過剰コンジュゲート化種の
欠如によるものであろう。更に、抗CD22 ADC上で使用された非切断性リンカー-
メイタンシンペイロードはMDR1による排出に対して抵抗性であり、オフターゲットま
たはバイスタンダー殺傷をもたらさなかった。総合すると、これらの特徴は、前臨床試験
で観察された抗CD22 ADCの有効性および安全性に寄与した。
【0426】
材料および方法
概要
全ての動物試験は施設動物保護および使用委員会(Institutional An
imal Care and Use Committee)の指針に従い実施され、C
harles River Laboratories,Aragen Bioscie
nceまたはCovance Laboratoriesにおいて行われた。マウス抗メ
イタンシン抗体はProMabにより製造され、社内で検証された。ウサギ抗AF488
抗体はLife Technologiesから購入された。西洋ワサビペルオキシダー
ゼ(HRP)結合二次抗体はJackson Immunoresearchからのもの
であった。薬力学的試験に使用した抗体はBD Pharmingenからのものであっ
た。細胞系はATCCおよびDSMZ細胞バンクから入手され、それらにおいて、形態学
、核型決定およびPCRに基づくアプローチにより、本物であると証明された。
【0427】
タグ付き抗体のクローニング、発現および精製
標準的なクローニングおよび精製技術ならびにGPEx(登録商標)発現技術を用いて
、抗体を製造した。
【0428】
バイオコンジュゲート化、精製およびHPLC分析
Drakeら,Bioconjugate Chem.,2014,25,1331-
41に記載されているとおりにADCを製造し、特徴づけした。
【0429】
MDR1+ 細胞系の作製
MDR1(ABCB1)cDNAをSino Biologicalから得、ハイグロ
マイシン選択マーカーを含有するpEFプラスミド内にクローニングした。製造業者の説
明に従いRamos(ATCC CRL-1923)およびWSU-DLCL2(DSM
Z ACC 575)細胞をエレクトロポレーションするためにAMAXA Nucle
ofector(商標)装置を使用した。ハイグロマイシン(Invitrogen 1
0687010)で選択した後、該プールをパクリタキセル処理(25nMで最大10日
間)で濃縮して、機能的MDR1を含有する細胞を更に選択した。得られた細胞を、10
% ウシ胎仔血清(FBS)および1×GlutaMax(Gibco 35050-0
79)で補足されたRPMI(Gibco 21870-092)内でハイグロマイシン
選択下で維持した。
【0430】
インビトロ細胞毒性アッセイ
細胞系を100μLの増殖培地内で5×10細胞/ウェルの密度で96ウェルプレー
ト(Costar 3610)においてプレーティングし、5時間静置した。試験サンプ
ルの連続希釈をRPMI中で最終濃度の6倍で行い、20μLを細胞に加えた。37℃、
5% COで5日間インキュベートした後、Promega CellTiter 9
6(登録商標)AQueous One Solution細胞増殖アッセイ(G358
1)を製造業者の説明に従い使用して生存率を測定した。GI50曲線を、ADCの薬物
対抗体比(DAR)値を用いてGraphPad Prismにおいて計算し、用量をペ
イロード濃度に対して正規化した。
【0431】
異種移植研究
雌CB17 ICR SCIDマウスに、50% マトリゲル中のWSU-DLCL2
またはRamos細胞のいずれかを皮下接種した。腫瘍を週2回測定し、式:
【数1】
【0432】
(ここで、w=腫瘍の幅、およびl=腫瘍の長さ)により腫瘍体積を推定した。腫瘍が所
望の平均体積に達したら、動物を8~12匹のマウスの群に無作為化し、後記のとおりに
それらに投与した。試験終了時または腫瘍が2000mmに達したら、動物を安楽死さ
せた。
【0433】
ラット毒性試験および毒物動態(TK)分析
雄Sprague-Dawleyラット(試験開始時に8~9週齢)に6、20、40
または60mg/kgの抗CD22 ADCの単一静脈内用量を投与した(5匹/群)。
投与後12日間にわたり動物を観察した。第0日、第1日、第4日、第8日および第11
日に体重を記録した。血液を8時間ならびに第5日、第9日および第12日の時点で全動
物から採取し、毒物動態分析(全時点)ならびに臨床化学および血液学的分析(第5日お
よび第12日)に使用した。薬物動態分析に関して記載されているのと同じ条件および試
薬を用いて、ELISAにより毒物動態分析を行った。
【0434】
非ヒト霊長類の毒性およびTK試験
カニクイザル(2頭/性/群)に10、30または60mg/kgの抗CD22 AD
Cの2用量を投与し(21日ごと)、ついで21日間の観察期間を設けた。第1日の投与
の前ならびに第8日、第15日、第22日(投与前)、第29日、第36日および第42
日に体重を評価した。表2に示されているスケジュールに従い、毒物動態学的分析、臨床
化学的分析および血液学的分析のために血液を採取した。薬物動態分析に関して記載され
ているのと同じ条件および試薬を用いて、ELISAにより毒物動態分析を行った。ただ
し、この場合は、全抗体および全ADC測定のための捕捉試薬としてCD22-Hisタ
ンパク質を使用した。
【表4】
【0435】
非ヒト霊長類の薬力学的試験
抗CD22 ADC毒性試験に登録されたカニクイザルからの全血サンプルをフローサ
イトメトリーにより分析して、CD3+、CD20+およびCD3-/CD20-白血球
集団を評価した。簡潔に説明すると、全血の100μLアリコートに、フルオレセインお
よびフィコエリトリン結合アイソタイプ対照抗体またはフルオレセイン結合抗CD20お
よびフィコエリトリン結合抗CD3抗体のいずれかを加え、氷上で30分間インキュベー
トした。ついで赤血球を塩化アンモニウム溶液(Stem Cell Technolo
gies)で細胞溶解し、細胞をリン酸緩衝食塩水+1% FBSで2回洗浄した。標識
細胞を、FACSDiva(商標)ソフトウェアを実行するFACSCanto(商標)
装置において、フローサイトメトリーにより分析した。
【0436】
薬物動態(PK)試験設計
マウスの試験においては、初回投与の1時間後に開始し、観察期間にわたって継続する
種々の時点で、Ramos異種移植実験に使用した動物を3つの群においてサンプリング
した。ラットの試験の場合には、雄Sprague-Dawleyラット(1群3匹)に
ADCの3mg/kgのボーラスを静脈内投与した。投与後の1時間、8時間および24
時間ならびにならびに2,4,6,8,10,14および21日の時点で血漿を採取した
。血漿サンプルを使用まで-80℃で保存した。
【0437】
PKおよびTKサンプルの分析
全抗体、全ADC(DAR感受性)および全コンジュゲート(DAR1)の濃度を、
図10に図示されているとおりにELISAにより定量した。全抗体に関しては、コンジ
ュゲートを抗ヒトIgG特異的抗体で捕捉し、HRP結合抗ヒトFc特異的抗体で検出し
た。全ADCに関しては、コンジュゲートを抗ヒトFab特異的抗体で捕捉し、マウス抗
メイタンシン一次抗体およびそれに続くHRP結合抗マウスIgGサブクラス1特異的二
次抗体で検出した。全コンジュゲートに関しては、コンジュゲートを抗メイタンシン抗体
で捕捉し、HRP結合抗ヒトFc特異的抗体で検出した。Ultra TMB One-
Step ELISA基質(Thermo Fisher)を使用して、結合二次抗体を
検出した。硫酸で反応を停止させた後、SoftMax Proソフトウェアを備えたM
olecular Devices Spectra Max M5プレートリーダーで
450nmの吸光度を得ることによりシグナルを読み取った。GraphPad Pri
smおよびMicrosoft Excelソフトウェアを使用してデータを分析した。
【0438】
間接的ELISA CD22抗原結合
Maxisorp 96ウェルプレート(Nunc)をPBS中の1μg/mLのヒト
CD22-His(Sino Biological)で4℃で一晩コートした。プレー
トをカゼインバッファー(ThermoFisher)でブロッキングし、ついで抗CD
22野生型抗体およびADCを、200ng/mLから開始する2倍希釈の11段階系列
希釈物においてプレーティングした。該プレートを室温で2時間、振とうしながらインキ
ュベートした。リン酸緩衝食塩水(PBS) 0.1%Tween-20で洗浄した後、
結合アナライトをロバ抗ヒトFcγ特異的西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合二
次抗体で検出した。シグナルをUltra TMB(Pierce)で可視化し、2N
SOでクエンチした。Molecular Devices SpectraMa
x M5プレートリーダーを使用して450nmの吸光度を測定し、GraphPad
Prismを使用してデータを分析した。
【0439】
CD22+ NHL細胞系における抗CD22 ADC媒介性CD22インターナリゼ
ーション
Ramos、Granta-519およびWSU-DLCL2細胞(1e6/試験)を
標識バッファーのみ[PBS+1% ウシ胎仔血清(FBS)]において、または抗CD
22 ADC(1μg/試験)を含有する標識バッファーにおいてインキュベートした。
サンプルを4または37℃で2時間配置した。ついで細胞をフルオレセイン標識抗CD2
2と共に氷上で20分間インキュベートした。標識バッファー中で2回洗浄した後、FA
CSDiva(商標)ソフトウェアを実行するFACSCanto(商標)装置における
フローサイトメトリーにより細胞を分析した。4℃および37℃±ADCにおける細胞間
の蛍光における差は抗CD22 ADC媒介性インターナリゼーションとして解釈された
【0440】
カニクイザルおよびヒト組織の交差反応性試験
ビオチン化抗CD22 ADCおよびビオチン化HIPS-4AP-メイタンシンリン
カーペイロードコンジュゲート化アイソタイプ抗体を対照として使用して、Ensign
a Biosystems Inc.(Richmond,CA)により、組織交差反応
性試験が行われた。皮膚、心臓、肺、腎臓、肝臓、膵臓、胃、小腸、大腸および脾臓(陽
性対照)を含有する組織マイクロアレイを使用した。西洋ワサビペルオキシダーゼ結合ス
トレプトアビジンを使用し、ついでDAB基質で視覚化することにより、一次抗体を検出
した。
【0441】
HIPS-4AP-メイタンシンリンカーペイロードの合成
【化25】
【0442】
(9H-フルオレン-9-イル)メチル 1,2-ジメチルヒドラジン-1-カルボキ
シラート(2)
MeNHNHMe・2HCl(1)(5.0g,37.6mmol)をCHCN(8
0mL)に溶解した。EtN(22mL,158mmol)を加え、生じた沈殿物を濾
過により除去した。MeNHNHMeの残存溶液にFmocCl(0.49g,18.9
mmol,0.5当量)の溶液を-20℃で2.5時間かけて滴下した。ついで反応混合
物をEtOAcで希釈し、HO、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、真空中
で濃縮した。残渣をシリカ上のフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=
3:2)により精製して3.6g(34%)の化合物2を得た。
【0443】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.75-7.37(m,8H),4
.48(br s,2H),4.27(t,J=6.0Hz,1H),3.05(s,3
H),2.55(br s,3H)。
【化26】
【0444】
2-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)-1H-インドール(
4)
オーブン乾燥したフラスコにインドール-2-メタノール、3(1.581g,10.
74mmol)、TBSCl(1.789g,11.87mmol)およびイミダゾール
(2.197g,32.27mmol)を入れ、この混合物をCHCl(40mL,
無水物)に懸濁させた。16時間後、反応混合物を濃縮してオレンジ色残渣を得た。粗混
合物をEtO(50mL)に取り、AcOH水溶液(5%v/v,3×50mL)およ
びブライン(25mL)で洗浄した。合わせた有機層をNaSOで乾燥し、濃縮して
2.789g(99%)の化合物4を結晶性固体として得、これを、更に精製することな
く使用した。
【0445】
H NMR(500MHz,CDCl)δ 8.29(s,1H),7.57(d
,J=7.7Hz,1H),7.37(dd,J=8.1,0.6Hz,1H),7.1
9-7.14(m,1H),7.12-7.07(m,1H),6.32(d,J=1.
0Hz,1H),4.89(s,2H),0.95(s,9H),0.12(s,6H)
【0446】
13C NMR(101MHz,CDCl)δ 138.3,136.0,128.
6,121.7,120.5,119.8,110.9,99.0,59.4,26.1
,18.5,-5.2。
【0447】
HRMS(ESI) C1524NOSi[M+H]としての計算値:262.1
627;実測値:262.1625。
【0448】
メチル 3-(2-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)-1H
-インドール-1-イル)プロパノアート(6)
CHCN(25mL)中のインドール4(2.789μg,10.67mmol)の
溶液にアクリル酸メチル,5(4.80mL,53.3mmol)を加え、ついで1,8
-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(800μL,5.35mmol)
を加え、得られた混合物を還流した。18時間後、溶液を冷却し、濃縮してオレンジ色油
状物を得、これをシリカゲルクロマトグラフィー(9:1 ヘキサン:EtOAc)で精
製して3.543g(96%)の化合物6を無色油状物として得た。
【0449】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.58(d,J=7.8Hz,1H
),7.34(d,J=8.2Hz,1H),7.23-7.18(m,1H),7.1
2-7.07(m,1H),6.38(s,1H),4.84(s,2H),4.54-
4.49(m,2H),2.89-2.84(m,2H),0.91(s,9H),0.
10(s,6H)。
【0450】
13C NMR(101MHz,CDCl)δ 172.0,138.5,137.
1,127.7,122.0,121.0,119.8,109.3,101.8,58
.2,51.9,39.5,34.6,26.0,18.4,-5.2。
【0451】
HRMS(ESI) C1930NOSi[M+H]としての計算値:348.
1995;実測値:348.1996。
【0452】
メチル 3-(2-(ヒドロキシメチル)-1H-インドール-1-イル)プロパノア
ート(7)
0℃のTHF(20mL)中の化合物6(1.283g,3.692mmol)の溶液
にTHF中のフッ化テトラブチルアンモニウムの1.0M溶液(3.90mL,3.90
mmol)を加えた。15分後、反応混合物をEtO(20mL)で希釈し、NaHC
(飽和水溶液、3×20mL)で洗浄し、濃縮して淡緑色油状物を得た。該油状物を
シリカゲルクロマトグラフィー(2:1 ヘキサン:EtOAc)により精製して、82
2mg(95%)の7を白色結晶性固体として得た。
【0453】
H NMR(500MHz,CDCl)δ 7.60(d,J=7.8Hz,1H
),7.34(dd,J=8.2,0.4Hz,1H),7.27-7.23(m,1H
),7.16-7.11(m,1H),6.44(s,1H),4.77(s,2H),
4.49(t,J=7.3Hz,2H),3.66(s,3H),2.87(t,J=7
.3Hz,2H),2.64(s,1H)。
【0454】
13C NMR(126MHz,CDCl)δ 172.3,138.5,137.
0,127.6,122.2,121.1,119.9,109.3,102.3,57
.1,52.0,39.1,34.3。
【0455】
HRMS(ESI) C1315NNaO[M+Na]としての計算値:256
.0950;実測値:256.0946。
【0456】
メチル 3-(2-ホルミル-1H-インドール-1-イル)プロパノアート(8)
デス-マーチン ペルヨージナン(5.195g,12.25mmol)をCHCl
(20mL)とピリジン(2.70mL,33.5mmol)との混合物に懸濁させた
。5分後、得られた白色懸濁液をCHCl(10mL)中のメチル 3-(2-(ヒ
ドロキシメチル)-1H-インドール-1-イル)プロパノアート(7;2.611g,
11.19mmol)の溶液に移して赤褐色懸濁液を得た。1時間後、反応物をチオ硫酸
ナトリウム(10% 水溶液,5mL)およびNaHCO(飽和水溶液,5mL)でク
エンチした。水層をCHCl(3×20mL)で抽出した。合わせた抽出物をNa
SOで乾燥させ、濾過し、濃縮して褐色油状物を得た。シリカゲルクロマトグラフィー
(ヘキサン中の5~50% EtOAc)により精製して、2.165g(84%)の化
合物8を無色油状物として得た。
【0457】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 9.87(s,1H),7.73(d
t,J=8.1,1.0Hz,1H),7.51(dd,J=8.6,0.9Hz,1H
),7.45-7.40(m,1H),7.29(d,J=0.9Hz,1H),7.1
8(ddd,J=8.0,6.9,1.0Hz,1H),4.84(t,J=7.2Hz
,2H),3.62(s,3H),2.83(t,J=7.2Hz,2H)。
【0458】
13C NMR(101MHz,CDCl)δ 182.52,171.75,14
0.12,135.10,127.20,126.39,123.46,121.18,
118.55,110.62,51.83,40.56,34.97。
【0459】
HRMS(ESI) C1313NONa[M+Na]としての計算値:254
.0793;実測値:254.0786。
【0460】
3-(2-ホルミル-1H-インドール-1-イル)プロパン酸(9)
ジオキサン(100mL)に溶解したインドール8(2.369g,10.24mmo
l)の溶液にLiOH(4M水溶液、7.68mL、30.73mmol)を加えた。数
時間のうちに徐々に濃厚な白色沈殿物が生じた。21時間後、HCl(1M水溶液,30
mL)を滴下して、pH4の溶液を得た。溶液を濃縮し、得られた淡褐色油状物をEtO
Ac(50mL)に溶解し、水(2×50mL)およびブライン(20mL)で洗浄した
。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮してオレンジ色固体を得た。シリカゲ
ルクロマトグラフィー(0.1% 酢酸を含有するヘキサン中の10~50% EtOA
c)による精製は1.994g(84%)の化合物9を淡黄色固体として与えた。
【0461】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 9.89(s,1H),7.76(d
t,J=8.1,0.9Hz,1H),7.53(dd,J=8.6,0.9Hz,1H
),7.48-7.43(m,1H),7.33(d,J=0.8Hz,1H),7.2
1(ddd,J=8.0,6.9,1.0Hz,1H),4.85(t,J=7.2Hz
,2H),2.91(t,J=7.2Hz,2H)。
【0462】
13C NMR(101MHz,CDCl)δ 182.65,176.96,14
0.12,135.02,127.33,126.42,123.53,121.27,
118.76,110.55,40.19,34.82。
【0463】
HRMS(ESI) C1210NO M-H]としての計算値:216.06
66;実測値:216.0665。
【0464】
3-(2-((2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-1
,2-ジメチルヒドラジニル)メチル)-1H-インドール-1-イル)プロパン酸(1
0)
1,2-ジクロロエタン(無水,25mL)中の化合物9(1.193g,5.492
mmol)および(9H-フルオレン-9-イル)メチル-1,2-ジメチル ヒドラジ
ンカルボキシラート,2(2.147g,7.604mmol)の溶液にトリアセトキシ
水素化ホウ素ナトリウム(1.273g,6.006mmol)を加えた。得られた黄色
懸濁液を2時間撹拌し、ついでNaHCO(飽和水溶液,10mL)でクエンチし、つ
いでHCl(1M水溶液)を加えてpH4とした。有機層を分離し、水層をCHCl
(5×10mL)で抽出した。合せた有機抽出物をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃
縮してオレンジ色油状物を得た。C18シリカゲルクロマトグラフィー(水中の20~9
0% CHCN)による精製は1.656g(62%)の化合物10をワックス状桃色
固体として与えた。
【0465】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.76(d,J=7.4Hz,2H
),7.70-7.47(br m,3H),7.42-7.16(br m,6H),
7.12-7.05(m,1H),6.37(s,0.6H),6.05(s,0.4H
),4.75-4.30(br m,4H),4.23(m,1H),4.10(br
s,1H),3.55(br d,1H),3.11-2.69(m,5H),2.57
(br s,2H),2.09(br s,1H)。
【0466】
13C NMR(101MHz,CDCl)δ 174.90,155.65,14
3.81,141.42,136.98,134.64,127.75,127.48,
127.12,124.92,122.00,120.73,120.01,119.7
5,109.19,103.74,67.33,66.80,51.39,47.30,
39.58,39.32,35.23,32.10。
【0467】
HRMS(ESI) C2930[M+H]としての計算値:484.2
236;実測値:484.2222。
【0468】
(9H-フルオレン-9-イル)メチル 1,2-ジメチル-2-((1-(3-オキ
ソ-3-(ペルフルオロフェノキシ)プロピル)-1H-インドール-2-イル)メチル
)ヒドラジン-1-カルボキシラート(RED-004)
乾燥撹拌棒を含む乾燥した100mL 二頚丸底フラスコに化合物10(5.006g
,10.4mmol)を加えた。無水EtOAc(40mL)をシリンジにより加え、溶
液を20℃で5分間撹拌して、透明淡黄緑色溶液を得た。溶液を氷水浴内で0℃に冷却し
、3mLの無水EtOAc中のペンタフルオロフェノール(2098.8mg,11.4
mmol)を滴下した。溶液を0℃で5分間攪拌した。7mLの無水EtOAc中のDC
C(2348.0mg,11.4mmol)をシリンジによりゆっくり滴下した。溶液を
0℃で5分間撹拌し、ついで浴から取り出し、20℃に加温した。反応物を2時間撹拌し
、0℃に冷却し、濾過して透明淡黄緑色溶液を得た。溶液を50mLのEtOAcで希釈
し、2×25mLのHO、1×25mLの5M NaClで洗浄し、NaSOで乾
燥させた。溶液を濾過し、蒸発させ、高真空下で乾燥させて、6552.5mg(97%
)のRED-004を緑白色固体として得た。
【0469】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 780(d,J=7.2Hz,2H)
,7.58(m,3H),7.45-7.22(m,6H),7.14(dd(appt
.t),J=7.4Hz,1H),6.42&6.10(2 br s,1H),4.7
4(dd(appt.t),J=5.4Hz,2H),3.65-3.18(br,3H
),3.08&2.65(2 br s,3H),2.88(s,3H)。
【化27】
【0470】
(S)-3,4-ジメチルオキサゾリジン-2,5-ジオン(RED-194)
0℃の塩化メチレン(25ml)中のN-Boc-Ala-OH(11)(0.005
モル)の溶液に窒素下で1.2当量の三塩化リンを加えた。反応混合物を0℃で2時間撹
拌し、溶媒を減圧下で除去し、残渣を四塩化炭素(3×20ml)で洗浄してRED-1
94を得た。
【0471】
(1S,1S,3R,3R,2R,4S,10E,12E,14R)-8
クロロ-1-ヒドロキシ-8,14-ジメトキシ-3,2,7,10-テトラメチ
ル-1,6-ジオキソ-7-アザ-1(6,4)-オキサジナナ-3(2,3)-オキ
シラナ-8(1,3)-ベンゼンアシクロテトラデカファン-10,12-ジエン-4-
イル メチル-L-アラニナート(RED-062)
メイタンシノール(RED-063)(4.53g,8mmol)を無水DMF(11
mL)に溶解して透明無色溶液を得、これを、乾燥した二頚丸底フラスコにN下で移し
た。無水THF(44mL)を加え、ついでDIPEA(8.4mL,48mmol)を
加えた。RED-194(5.4g,42mmol)の溶液を加えて透明無色溶液を得た
。乾燥させた微粉化Zn(OTf)(8.7g,24mmol)を該撹拌溶液に加え、
反応混合物を20℃で2日間撹拌した。70mLの1.2M NaHCOおよび70m
LのEtOAcの溶液を加えることにより反応をクエンチした。得られた混合物は撹拌に
際して白色沈殿物を生成し、これを濾過により除去した。濾液をEtOAc(5×70m
L)で抽出し、乾燥させ(NaSO)、濃縮して、赤橙色油状物を得た。これをCH
Cl(15mL)に溶解し、Biotageシステム(2×Biotage Ult
ra 10gサンプルに吸着、CHCl中のMeOHの0~20%勾配での2×Bi
otage Ultra 100gカートリッジ上の精製)を用いて精製して、4.38
gのRED-062を淡桃色固体として得た(95% de,93.7%の所望のジアス
テレオマー)。
【化28】
【0472】
tert-ブチル 4-オキソピペリジン-1-カルボキシラート(13)
磁気攪拌棒を含む100mL 丸底フラスコにピペリジン-4-オン塩酸塩一水和物(
12)(1.53g,10mmol)、ジ-tert-ブチルジカルボナート(2.39
g,11mmol)、炭酸ナトリウム(1.22g,11.5mmol)、ジオキサン(
10mL)および水(1mL)を加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌した。混合物を
水(100mL)で希釈し、EtOAc(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層
をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた物
質を真空中で乾燥させて、1.74g(87%)の化合物13を白色固体として得た。
【0473】
H NMR(CDCl)δ 3.73(t,4H,J=6.0),2.46(t,
4H,J=6.0),1.51(s,9H)。
【0474】
MS(ESI)m/z:[M+H]1018NOとしての計算値:200.
3;実測値:200.2。
【0475】
tert-ブチル 4-((2-(2-(3-(tert-ブトキシ)-3-オキソプ
ロポキシ)エトキシ)エチル)アミノ)ピペリジン-1-カルボキシラート(14)
磁気攪拌棒を含む乾燥シンチレーションバイアルに化合物13(399mg,2mmo
l)、HN-PEG-COOt-Bu(550mg,2.4mmol)、4オングス
トロームモレキュラーシーブ(活性化粉末,200mg)および1,2-ジクロロエタン
(5mL)を加えた。混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物にトリアセトキシ水素
化ホウ素ナトリウム(845mg,4mmol)を加えた。混合物を室温で3日間撹拌し
た。得られた混合物をEtOAcと飽和水性NaHCOとの間に分配した。有機層をブ
ラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、850mgの化
合物14を粘性油状物として得た。
【0476】
MS(ESI)m/z:[M+H]2141としての計算値:417
.3;実測値:417.2。
【0477】
13-(1-(tert-ブトキシカルボニル)ピペリジン-4-イル)-2,2-ジ
メチル-4,14-ジオキソ-3,7,10-トリオキサ-13-アザヘプタデカン-1
7-酸(RED-195)
磁気攪拌棒を含む乾燥シンチレーションバイアルに化合物14(220mg,0.5m
mol)、無水コハク酸(55mg,0.55mmol)、4-(ジメチルアミノ)ピリ
ジン(5mg,0.04mmol)およびジクロロメタン(3mL)を加えた。混合物を
室温で24時間撹拌した。反応混合物をフラッシュクロマトグラフィー(50~100%
EtOAc/ヘキサンで溶出)で部分的に精製して117mgの化合物RED-195
を透明油状物として得、これを、更に特徴づけることなく次に進めた。
【0478】
MS(ESI)m/z:[M+H]2545としての計算値:517
.6;実測値:517.5。
【0479】
17-(tert-ブチル) 1-((1S,1S,3S,2R,4S,10E
,12E,14R)-8-クロロ-1-ヒドロキシ-8,14-ジメトキシ-3
,2,7,10-テトラメチル-1,6-ジオキソ-7-アザ-1(6,4)-オキサ
ジナナ-3(2,3)-オキシラナ-8(1,3)-ベンゼンアシクロテトラデカファン
-10,12-ジエン-4-イル) (2S)-8-(1-(tert-ブトキシカルボ
ニル)ピペリジン-4-イル)-2,3-ジメチル-4,7-ジオキソ-11,14-ジ
オキサ-3,8-ジアザヘプタデカンジオアート(RED-196)
磁気撹拌棒を含む乾燥シンチレーションバイアルにRED-195(445mg,0.
86mmol)、HATU(320mg,0.84mmol)、DIPEA(311mg
,2.42mmol)およびジクロロメタン(6mL)を加えた。反応混合物を室温で5
分間撹拌した。得られた溶液をRED-062(516mg,0.79mmol)に加え
、反応混合物を室温で更に30分間撹拌した。反応混合物をフラッシュクロマトグラフィ
ー(3~10% MeOH/DCMで溶出)で直接精製して、820mg(90%)のR
ED-196を淡褐色固体として得た。
【0480】
MS(ESI)m/z:[M+H]5787ClN17としての計算値:
1148.6;実測値:1148.8。
【0481】
(2S)-1-((1S,1S,3S,2R,4S,10E,12E,14R)
-8-クロロ-1-ヒドロキシ-8,14-ジメトキシ-3,2,7,10-テ
トラメチル-1,6-ジオキソ-7-アザ-1(6,4)-オキサジナナ-3(2,3
)-オキシラナ-8(1,3)-ベンゼンアシクロテトラデカファン-10,12-ジエ
ン-4-イル)オキシ)-2,3-ジメチル-1,4,7-トリオキソ-8-(ピペリジ
ン-4-イル)-11,14-ジオキサ-3,8-ジアザヘプタデカン-17-酸(RE
D-197)
磁気攪拌棒を含む乾燥シンチレーションバイアルにRED-196(31mg,0.0
27mmol)およびジクロロメタン(1mL)を加えた。溶液を0℃に冷却し、四塩化
スズ(IV)(1.0M ジクロロメタン溶液,0.3mL,0.3mmol)を加えた
。反応混合物を0℃で1時間撹拌した。反応混合物をC18フラッシュクロマトグラフィ
ー(5~100% MeCN/水で溶出)により直接精製して、16mg(60%)のR
ED-197を白色固体(16mg,収率60%)として得た。
【0482】
MS(ESI)m/z:[M+H]4871ClN15としての計算値:
992.5;実測値:992.6。
【0483】
(2S)-8-(1-(3-(2-((2-((9H-フルオレン-9-イル)メトキ
シ)カルボニル)-1,2-ジメチルヒドラジニル)メチル)-1H-インドール-1-
イル)プロパノイル)ピペリジン-4-イル)-1-(((1S,1S,3S,2
R,4S,10E,12E,14R)-8-クロロ-1-ヒドロキシ-8,14-
ジメトキシ-3,2,7,10-テトラメチル-1,6-ジオキソ-7-アザ-1(
6,4)-オキサジナナ-3(2,3)-オキシラナ-8(1,3)-ベンゼンアシクロ
テトラデカファン-10,12-ジエン-4-イル)オキシ)-2,3-ジメチル-1,
4,7-トリオキソ-11,14-ジオキサ-3,8-ジアザヘプタデカン-17-酸(
RED-198)
磁気攪拌棒を含む乾燥シンチレーションバイアルにRED-197(16mg,0.0
16mmol)、(9H-フルオレン-9-イル)メチル 1,2-ジメチル-2-((
1-(3-オキソ-3-(ペルフルオロフェノキシ)プロピル)-1H-インドール-2
-イル)メチル)ヒドラジン-1-カルボキシラート(12)(13mg,0.02mm
ol)、DIPEA(8μL,0.05mmol)およびDMF(1mL)の混合物を加
えた。溶液を室温で18時間撹拌した。反応混合物をC18フラッシュクロマトグラフィ
ー(5~100% MeCN/水で溶出)により直接精製して、18mg(77%)のR
ED-198を白色固体として得た。
【0484】
MS(ESI)m/z:[M+H]7798ClN18としての計算値:
1457.7;実測値:1457.9。
【0485】
(2S)-1-(((1S,1S,3S,2R,4S,10E,12E,14R
)-8-クロロ-1-ヒドロキシ-8,14-ジメトキシ-3,2,7,10-
テトラメチル-1,6-ジオキソ-7-アザ-1(6,4)-オキサジナナ-3(2,
3)-オキシラナ-8(1,3)-ベンゼンアシクロテトラデカファン-10,12-ジ
エン-4-イル)オキシ)-8-(1-(3-(2-((1,2-ジメチルヒドラジニル
)メチル)-1H-インドール-1-イル)プロパノイル)ピペリジン-4-イル)-2
,3-ジメチル-1,4,7-トリオキソ-11,14-ジオキサ-3,8-ジアザヘプ
タデカン-17-酸(RED-106)
磁気攪拌棒を含む乾燥シンチレーションバイアルにRED-197(18mg,0.0
12mmol)、ピペリジン(20μL,0.02mmol)およびDMF(1mL)を
加えた。溶液を室温で20分間撹拌した。反応混合物をC18フラッシュクロマトグラフ
ィー(1~60% MeCN/水で溶出)により直接精製して、15mg(98%)の化
合物RED-106を白色固体として得た。
【0486】
MS(ESI)m/z:[M+H]6288ClN16としての計算値:
1235.6;実測値:1236.0。
【0487】
結果と考察
抗CD22 ADCの製造および初期特徴づけ
使用した抗CD22抗体(CAT-02)はRFB4抗体のヒト化変異体であった。1
.6g/Lのバイオリアクター力価およびシステインからホルミルグリシンへの97%の
変換率を示すGPEx(登録商標)クローン細胞系を用いて、C末端タグ付き抗CD22
抗体を製造した。HIPS-4AP-メイタンシンリンカーペイロードを合成し(上記に
記載)、該アルデヒドタグ付き抗体にコンジュゲート化した。得られたADCを、単量体
含有率(99.2%)を評価するためにサイズ排除クロマトグラフィーにより、そして薬
物対抗体比(DAR)(これは1.8であった)を評価するために疎水性相互作用(HI
C)および逆相(PLRP)クロマトグラフィーにより特徴づけした(図11)。ヒトC
D22タンパク質に対するアフィニティおよびCD22+細胞上のインターナリゼーショ
ンに関して、それぞれ、ELISAに基づく方法(図12)およびフローサイトメトリー
に基づく方法(図13)を用いて、該ADCを野生型(タグ無し)抗CD22抗体と比較
した。両方の機能的尺度に関して、該ADCは該野生型抗体と同等に良好に機能し、この
ことは、コンジュゲート化がこれらのパラメータに影響を及ぼさないことを示した。
【0488】
抗CD22 ADCはMDR1の基質ではなく、オフターゲットまたはバイスタンダー
殺傷を促進しない
抗CD22 ADCの効力をRamosおよびWSU-DLCL2 HNL腫瘍細胞系
に対してインビトロで試験した。活性を、遊離メイタンシン、および切断性バリン-シト
ルリンジペプチドリンカーを介してメイタンシンにコンジュゲート化されたCAT-02
抗CD22抗体を使用して製造された関連ADCの活性と比較した。両方のADCは野生
型RamosおよびWSU-DLCL2細胞に対してサブナノモルの活性を示した(図1
4パネルAおよびパネルC)。生体異物(xenobiotic)排出ポンプMDR1を
発現するように操作された細胞の変異体においては、本開示の抗CD22 ADCのみが
その元の効力を保持した(図14パネルBおよびパネルD)。これとは対照的に、遊離メ
イタンシンは~10倍低い効力を示し、切断性メイタンシンを含有するADCは活性を実
質的に欠いていた。対照実験においては、MDR1インヒビターであるシクロスポリンで
のWSU-DLCL2細胞の同時処理は野生型細胞に影響を及ぼさなかったが、MDR1
+細胞における遊離メイタンシンおよび切断性ADCの元の効力を回復させた(図14
ネルEおよびパネルF)。総合すると、これらの結果は、本開示の抗CD22 ADCの
活性代謝物がMDR1排出の基質ではないことを示した。関連インビトロ細胞毒性試験に
おいては、本開示の抗CD22 ADCは、抗原陰性細胞系NCI-N87に影響を及ぼ
さなかった(図15)。このことは、それが5日間の細胞培養期間にわたってオフターゲ
ット活性を示さなかったことを示している。更に、HIPS-4AP-メイタンシンリン
カーペイロードにコンジュゲート化された、抗HER2に基づくADCは、抗原陽性細胞
との共培養において抗原陰性細胞のバイスタンダー殺傷をもたらさなかった(図16)。
このことは、該抗HER2 ADCコンジュゲートの場合と同じである本開示の抗CD2
2 ADCの活性代謝産物もバイスタンダー殺傷をもたらさないことを示唆している。
【0489】
抗CD22 ADCはNHL異種移植モデルに対して有効であった
抗CD22 ADCのインビボ有効性をWSU-DLCL2およびRamos異種移植
モデル(図17)(それらは、それぞれ、相対的により高いおよびより低い量のCD22
を発現した)に対して評価した(図18)。単一用量(単回投与)試験において、WSU
-DLCL2腫瘍を担持するマウスに10mg/kgの抗CD22 ADCまたはビヒク
ル対照を投与した。腫瘍が平均118mmになった時点で投与を開始した。ADCを投
与された動物のうち、25%(8匹中2匹)は部分的応答を示し、それらの腫瘍は第31
日までに4mmに退縮した。抗CD22 ADC処理群およびビヒクル対照群は、第3
1日までに、それぞれ、415および1783mmの平均腫瘍体積を有していた。つぎ
に、複数用量(多回投与)試験において、WSU-DLCL2異種移植片を担持するマウ
スを10mg/kgの抗CD22 ADCまたはビヒクル対照(4日ごとに合計4用量)
で処理した。腫瘍が平均262mmになった時点で投与を開始した。ADCを投与した
動物のうち、75%(8匹中6匹)が完全応答を示し、これらの38%(8匹中3匹)は
試験の終了(第59日)(最終投与の43日後)までそれを持続した。これとは対照的に
、ビヒクル対照群は第17日までに2191mmの平均腫瘍体積に達した。最後に、複
数用量試験において、Ramos異種移植片を担持するマウスを5または10mg/kg
の抗CD22 ADCまたはビヒクル対照(4日ごとに合計4用量)で処理した。腫瘍が
平均246mmになった時点で投与を開始した。予想どおり、5または10mg/kg
用量の投与を受けた群では、それぞれ63%または87%の腫瘍増殖遅延を示す用量効果
が観察された。特に、エンドポイントまでの時間の中央値は、ビヒクル対照群、5mg/
kg投与群および10mg/kg投与群に関して、それぞれ、12、19および22日で
あった。3つ全ての試験において、抗CD22 ADC投与群のマウスの体重への影響は
観察されなかった(図19)。
【0490】
抗CD22 ADCはラットおよびカニクイザルにおいて60mg/kgまで十分に耐
容された
抗CD22 ADCはげっ歯類CD22に結合しなかったが、これらの動物におけるA
DCの投与は該リンカーペイロードのオフターゲット毒性および安全性に関する情報を提
供した。前記のとおり、マウス異種移植試験においては、体重または臨床所見に対する投
与の影響は観察されなかった。探索的ラット毒性試験(図20)において、動物(1群あ
たり5匹)に6、20、40または60mg/kgの抗CD22 ADCの単一静脈内用
量を投与し、投与後12日間観察した。全ての動物は試験終了まで生存した。60mg/
kgで投与された動物は、ビヒクル対照群と比較して体重における10%の減少を示した
。最小ないし軽度の肝胆管損傷に適合した臨床化学変化が、40mg/kg以上で投与さ
れた動物において第5日に見出され、それはアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT
)、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)およびアルカリホスファターゼ(AL
P)の活性上昇を含んでいた。ほとんどの変化は第12日までに逆転していた。血液学に
関しては、中等度ないし顕著に減少した血小板数が、40mg/kg以上で投与された動
物において第5日に見出され、第12日までに完全に逆転していた。炎症に適合した変化
が、40mg/kgで投与された動物において第5日および第12日に見出され、それは
、僅かないし中程度に増加した好中球数および単球数、僅かに増加したグロブリン濃度お
よび減少したアルブミン:グロブリン比を含んでいた。
【0491】
抗CD22 ADCはカニクイザルCD22に結合し(図21)、サルにおいて、ヒト
と比較して類似した組織交差反応性プロファイルを示した(図22)。したがって、カニ
クイザルは、このADCのオンターゲット毒性およびオフターゲット毒性の両方を試験す
るための適切なモデルに相当した。探索的反復投与試験において、サル(2頭/性/群)
に10、30または60mg/kgの抗CD22 ADCを3週間に1回、合計2用量投
与し、ついで21日間の観察期間を設けた。全ての動物は研究終了まで生存した。臨床所
見、体重または摂食量における抗CD22 ADCに関連した変化は生じなかった。臨床
病理学的変化は、主として、30mg/kg以上で投与された動物で生じ、最小の肝損傷
、血小板消費および/または喪失の上昇ならびに炎症と合致していた(図23)。これら
の変化は30および60mg/kgならびに第1および第2の投与の後で類似しており、
微視的変化または臨床効果に関連しているとは予想されない大きさであった。30mg/
kg以上で投与された動物における最小の肝損傷に適合する変化は、第21日および第4
2日までに部分的に逆転していたALT、ASTおよびALP活性の上昇からなるもので
あった。投与から1週間以内に観察された僅かないし中等度に減少した血小板数は第21
日および第42日までにほとんど逆転していた。炎症に適合した変化は、最小限度ないし
中程度に増加した好中球数および単球数、僅かないし中程度に増加したグロブリン濃度お
よび最小限度で減少したアルブミン濃度であった。
【0492】
抗CD22 ADCの投与はカニクイザルにおいてB細胞減少をもたらした
交差反応性種における抗CD22 ADCの薬力学的効果を評価するために、反復投与
毒性試験において登録されたカニクイザルから採取されたサンプルにおける末梢血単核細
胞集団をモニターした。具体的には、投与前ならびに第7日、第14日、第28および第
35日に動物において観察されたB細胞(CD20+)、T細胞(CD3+)およびNK
細胞(CD20-/CD3-)の比を見出すために、フローサイトメトリーを用いた(図
5)。投与前の抗CD22 ADC処理動物においては、B細胞は全リンパ球の平均11
.6%を含んでいた。この値は第35日までに平均3.8%に減少した。これは、ベース
ラインレベルと比較して、測定B細胞集団における68%の平均減少に相当する(図24
)。B細胞減少は10~60mg/kgの全投与群において類似していたが、このことは
、該効果を得るためには最低用量で十分であったことを示している。一方、ビヒクル対照
処理動物におけるB細胞ならびに全群におけるT細胞およびNK細胞(非表示)は処理の
経過にわたってほとんど変化しなかった。これらの結果は、抗CD22 ADCが、有害
なオフターゲット毒性をもたらすことなく、カニクイザルCD22+細胞の減少をインビ
ボで選択的にもたらしうることを示した。
【0493】
マウス、ラットおよびカニクイザルにおける抗CD22 ADCの薬物動態および毒物
動態
抗CD22 ADCのインビボ安定性を評価するために、ラットにおける薬物動態(P
K)試験を行った。3mg/kgの単一用量の抗CD22 ADCの投与後の21日間に
わたり、動物(3匹/群)の末梢血における全抗体、全ADCおよび全コンジュゲートの
濃度をモニターした(表2および図25)。図10に示されているとおり、全ADCおよ
び全コンジュゲートアッセイは、それぞれ、DAR感受性およびDAR非感受性測定を用
いた。3つ全てのアナライトに関して得られたPKパラメーターは類似しており、このこ
とは、該コンジュゲートが循環において概ね安定していたことを示している。例えば、全
抗体、全ADCおよび全コンジュゲートの消失半減期は、それぞれ、9.48、6.13
および7.22日であった。
【0494】
つぎに、前記のRamos複数用量有効性試験からのマウスの末梢血において、抗CD
22 ADCアナライトの濃度を経時的に測定した。この分析の目的は、異種移植試験に
おいて有効用量で達成された全ADC曝露レベルを決定することであった(図26)。こ
の基準に関しては、22日間にわたる10mg/kg×4用量はRamosモデルにおい
て87%の腫瘍増殖遅延をもたらしたこと、および28日間にわたる10mg/kg×4
用量はWSU-DLCL2モデルにおいて75%の動物に完全応答(触診可能な腫瘍は残
存せず)をもたらしたことを思い出していただきたい。該マウスにおける10mg/kg
×4用量に関する時間0から無限大までの濃度対時間曲線下平均面積(AUC0-inf
)は2530±131(S.D.)日・μg/mLであった。
【0495】
最後に、前記のラットおよびカニクイザル毒性試験において投与された動物からの毒物
動態血漿サンプルにおける抗CD22 ADCアナライト濃度を評価した(図26)。こ
れらの分析の目的は、観察された毒性の存在または非存在と相関する用量で達成された全
ADC曝露レベルを決定することであった。該ラット試験に関しては、CmaxおよびA
UC0-inf値は用量に概ね比例していた。60mg/kg用量の平均AUC0-in
は5201±273日・μg/mLであった。該サル試験に関しては、Cmaxおよび
AUC0-inf値は用量に概ね比例していた。最初の60mg/kg用量の平均AUC
0-infは6140±667日・μg/mLであった。該抗体はカニクイザルモデルに
おいて抗原に結合したが、クリアランス(非表示)は全ての投与群において類似していた
。このことは、標的媒介性クリアランスメカニズムを飽和させるためには低い(10mg
/kg)用量で十分であること、したがって、抗原媒介性クリアランスがこの試験の結果
に有意な影響を及ぼさないことを示した。この観察はB細胞減少に対する抗CD22 A
DC処理の薬力学的効果と合致し、その度合は全ての投与群において類似していた。
【0496】
結論
MDR1発現細胞による排出に対して抵抗性である、メイタンシンペイロードに部位特
異的にコンジュゲート化されたCD22標的化ADCを製造した。該ADCは1.8のD
ARを有し、良好な生物物理学的特性を示し、有意(87%)な腫瘍増殖遅延から、2つ
のNHL異種移植モデルに対するインビボでの完全応答までの範囲の有効性をもたらした
。この有効性は、毒性を伴うレベルを十分に下回る曝露レベルで達成された。実際、反復
投与カニクイザル毒性試験においては、60mg/kgの最高用量においてさえも副作用
は認められず、このことは、より高い用量が使用されうることを示している。抗CD22
ADCは有効性と安全性との両方を兼ね備えていた。追加的な利点として、標的抗原、
親抗体およびメイタンシン系細胞毒性ペイロードを含む多数の基本成分がヒトにおいて使
用されており、安全性および毒性に関して十分に研究されている。ヒトの薬物動態学的お
よび毒性プロファイルを予測するための合理的なモデルであるカニクイザルに基づけば、
これらの研究の結果は、抗CD22 ADCが、MDR1のアップレギュレーションによ
り難治性疾患になっているNHL患者のようなNHL患者に治療上有用であることを示し
た。
【0497】
本発明はその特定の実施形態に関して記載されているが、本発明の真の精神および範囲
から逸脱することなく、種々の変更が施されることが可能であり、均等物が代用(置換)
されうる、と当業者に理解されるべきである。また、個々の状況、材料、組成物、方法、
方法工程または工程を本発明の目的、精神および範囲に適合させるために、多数の修飾が
施されうる。全てのそのような修飾は添付の特許請求の範囲の範囲内であると意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B-1】
図9B-2】
図9C
図10
図11
図12
図13
図14-1】
図14-2】
図14-3】
図14-4】
図14-5】
図14-6】
図15
図16
図17
図18
図19-1】
図19-2】
図20-1】
図20-2】
図21
図22
図23
図24
図25
図26
【配列表】
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