(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】固体撮像素子
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20220722BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
H01L27/146 D
G02B5/20 101
(21)【出願番号】P 2021068668
(22)【出願日】2021-04-14
【審査請求日】2021-04-14
(32)【優先日】2020-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507296388
【氏名又は名称】采▲ぎょく▼科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】VisEra Technologies Company Limited
【住所又は居所原語表記】No.12,Dusing Rd.1, Hsinchu Science Park,Hsin-Chu City,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】とこしえ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】李 京樺
(72)【発明者】
【氏名】張 育淇
(72)【発明者】
【氏名】塗 宗儒
【審査官】西出 隆二
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-225667(JP,A)
【文献】特開2019-186516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
G02B 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体撮像素子であって、
複数の光電変換素子と、
前記光電変換素子上に設置され、且つ、複数のカラーフィルターセグメントを有するカラーフィルター層と、
前記複数のカラーフィルターセグメント間に設置されるパーティショングリッドと、
前記カラーフィルター層上に設置され、且つ、複数のパターン化セグメントを有するパターン化構造と、
前記カラーフィルター層、および、前記パーティショングリッド上に設置され、前記複数のパターン化セグメントを囲む透明層と、を有し、
前記複数のパターン化セグメントの少なくとも一つが、前記パーティショングリッド上に設置されることを特徴とする固体撮像素子。
【請求項2】
前記パターン化構造の屈折率は、前記透明層の屈折率より低く、前記パターン化構造の前記屈折率は、1.2~1.65の間であり、前記複数のパターン化セグメントそれぞれの厚さは、前記透明層の厚さ以下であることを特徴とする請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項3】
前記複数のパターン化セグメントの一つは、前記複数のカラーフィルターセグメントの一つ上に設置される、あるいは、前記複数のパターン化セグメントの少なくとも二個は、前記複数のカラーフィルターセグメントの一つの上に設置されることを特徴とする請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項4】
前記固体撮像素子の断面図において、前記パーティショングリッドは、複数のパーティショングリッドセグメントに分割され、互いに隣接して配置される前記複数のパーティショングリッドセグメントの二個間の距離は、 画素サイズを定義し、前記画素サイズに対する前記複数のパターン化セグメントそれぞれの幅の比率は、0.5より小さいことを特徴とする請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項5】
前記複数のカラーフィルターセグメント間に設置される金属グリッド、および、
前記透明層上に設置され
、入射光を集光する複数の
集光構造、を有し、
前記パーティショングリッドは、前記金属グリッドの少なくとも一部を被覆することを特徴とする請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項6】
前記複数の
集光構造は、それぞれ、前記複数のカラーフィルターセグメントの一つに対応する、あるいは、前記複数の
集光構造は、それぞれ、前記複数のカラーフィルターセグメントの少なくとも二個に対応することを特徴とする請求項5に記載の固体撮像素子。
【請求項7】
前記固体撮像素子の上面において、前記複数のパターン化セグメントは、複数のパターン化アレイを形成し、前記複数のパターン化アレイは、互いに隣接して配置される前記複数のカラーフィルターセグメントの二個、あるいは、対角線上に配置される前記複数のカラーフィルターセグメントの二個に対応することを特徴とする請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項8】
前記固体撮像素子の上面において、 前記複数のパターン化セグメントは、複数のパターン化アレイを形成し、前記複数のパターン化アレイは、それぞれ、x2個の前記複数のパターン化セグメントを有し、xは、3以上の正の整数であることを特徴とする請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項9】
前記複数のパターン化セグメントの断面は、それぞれ、三角形、長方形、台形、半円形に形成されることを特徴とする請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項10】
前記複数のカラーフィルターセグメントは、それぞれ、前記複数の光電変換素子の一つに対応する、あるいは、前記複数のカラーフィルターセグメントは、それぞれ、前記複数の光電変換素子の少なくとも二個に対応することを特徴とする請求項1に記載の固体撮像素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イメージセンサーに関するものであって、特に、ペタルフレア現象(petal flares)を減少させる固体撮像素子(solid-state image sensor)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
固体撮像素子(電荷結合素子 (CCD)イメージセンサー、相補型MOS (CMOS)イメージセンサー等)は、たとえば、デジタル静止画カメラ、デジタルビデオカメラ等の各種イメージ捕捉装置に幅広く用いられている。固体撮像素子の感光部分は、各画素で形成され、且つ、感光部分で受光される光線量にしたがって、信号電荷が生成される。このほか、感光部分で生成される信号電荷が送信、および、増幅されて、イメージ信号が得られる。
【0003】
固体撮像素子において、パーティショングリッド(partition grid)が用いられて、異なるカラーフィルター層を分離する。しかし、同じパーティショングリッドの周期配置のせいで、格子回折問題を有しやすく、得られたイメージが、色分散(ペタルフレア現象)とゴースト像を生じる。よって、固体撮像素子の設計と製造において、依然として問題が残っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、固体撮像素子を提供し、固体撮像素子は、複数のパターン化セグメントを有するパターン化構造を有し、パーティショングリッドが回折を生成するのを防止して、これにより、固体撮像素子の光電変換素子からのイメージ信号の品質を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のいくつかの実施形態において、固体撮像素子が提供される。固体撮像素子は、複数の光電変換素子を有する。固体撮像素子はさらに、光電変換素子上に設置されるカラーフィルター層を有する。カラーフィルター層は、複数のカラーフィルターセグメントを有する。固体撮像素子はさらに、カラーフィルターセグメント間に設置されたパーティショングリッドを有する。さらに、固体撮像素子は、カラーフィルター層上に設置されるパターン化構造を有する。パターン化構造は、複数のパターン化セグメントを有する。固体撮像素子はさらに、カラーフィルター層、および、パーティショングリッド上に設置される透明層を有する。透明層は、パターン化セグメントを囲む。少なくとも一つのパターン化セグメントが、パーティショングリッド上に設置される。
【0006】
いくつかの実施形態において、パターン化構造の屈折率は、透明層の屈折率より低い。
【0007】
いくつかの実施形態において、パターン化構造の屈折率は、1.2~1.65である。
【0008】
いくつかの実施形態において、各パターン化セグメントの厚さは、透明層の厚さ以下である。
【0009】
いくつかの実施形態において、一パターン化セグメントは一カラーフィルターセグメント上に設置される。
【0010】
いくつかの実施形態において、少なくとも二個のパターン化セグメントは、一カラーフィルターセグメント上に設置される。
【0011】
いくつかの実施形態において、固体撮像素子の断面図において、パーティショングリッドは、複数のパーティショングリッドセグメンに分割され、互いに隣接して配置される二個のパーティショングリッドセグメント間の距離が、画素サイズを定義し、且つ、各パターン化セグメントの幅と画素サイズの比率は、0.5より小さい。
【0012】
いくつかの実施形態において、固体撮像素子はさらに、カラーフィルターセグメント間に設置される金属グリッドを有する。パーティショングリッドは、少なくとも一部の金属グリッドを被覆する。
【0013】
いくつかの実施形態において、固体撮像素子はさらに、透明層上に設置される複数の集光構造(condensing structures)を有する。
【0014】
いくつかの実施形態において、各集光構造の材料は、透明層の材料と同じである。
【0015】
いくつかの実施形態において、各集光構造は、一カラーフィルターセグメントに対応する。
【0016】
いくつかの実施形態において、各集光構造は、少なくとも二個のカラーフィルターセグメントに対応する。
【0017】
いくつかの実施形態において、固体撮像素子の上面図において、パターン化セグメントは、複数のパターン化アレイを形成する。
【0018】
いくつかの実施形態において、パターン化アレイは、互いに隣接して配置される二個のカラーフィルターセグメントに対応する。
【0019】
いくつかの実施形態において、二個のカラーフィルターセグメントに対応するパターン化アレイは、対角線上に配置される。
【0020】
いくつかの実施形態において、各パターン化アレイは x2 個のパターン化セグメントを有し、x は3以上の正の整数である。
【0021】
いくつかの実施形態において、固体撮像素子の断面図において、各パターン化セグメントは、三角形、長方形、台形、半円形として形成される。
【0022】
いくつかの実施形態において、各カラーフィルターセグメントは、一光電変換素子に対応する。
【0023】
いくつかの実施形態において、各カラーフィルターセグメントは、少なくとも二個の光電変換素子に対応する。
【発明の効果】
【0024】
本発明の固体撮像素子は、複数のパターン化セグメントを有するパターン化構造を有し、パーティショングリッドが回折を生成するのを防止して、固体撮像素子の光電変換素子からのイメージ信号の品質を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1A】本発明のいくつかの実施形態による製造の各種段階固体撮像素子の部分断面図である。
【
図1B】本発明のいくつかの実施形態による製造の各種段階固体撮像素子の部分断面図である。
【
図1C】本発明のいくつかの実施形態による製造の各種段階固体撮像素子の部分断面図である。
【
図1D】本発明のいくつかの実施形態による製造の各種段階固体撮像素子の部分断面図である。
【
図1E】本発明のいくつかの実施形態による製造の各種段階固体撮像素子の部分断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態による固体撮像素子の部分的上面図である。
【
図3】本発明の別の実施形態による固体撮像素子の断面図である。
【
図4A】本発明の異なる実施形態によるの固体撮像素子の部分的上面図である。
【
図4B】本発明の異なる実施形態によるの固体撮像素子の部分的上面図である。
【
図4C】本発明の異なる実施形態によるの固体撮像素子の部分的上面図である。
【
図4D】本発明の異なる実施形態によるの固体撮像素子の部分的上面図である。
【
図4E】本発明の異なる実施形態によるの固体撮像素子の部分的上面図である。
【
図5A】本発明の異なる実施形態による固体撮像素子の部分的断面図である。
【
図5B】本発明の異なる実施形態による固体撮像素子の部分的断面図である。
【
図5C】本発明の異なる実施形態による固体撮像素子の部分的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の開示は、多くの異なる実施形態、あるいは、例を提供して、提供される主題の異なる特徴を実施する。特定の例のコンポーネンツ、および、配置が以下で記載されて、本発明を簡潔にする。これらは、もちろん、単なる例であり、限定することを意図しない。たとえば、記載中の、第一特徴が第二特徴上に形成されるというのは、第一特徴、および、第二特徴が直接接触して形成される実施形態を有し、また、追加特徴が、第一特徴と第二特徴間に形成され、第一特徴、および、第二特徴が直接接触していない実施形態も有している。
【0027】
理解すべきことは、説明される工程の前、その期間、あるいは、その後に、追加工程が実行され、且つ、いくつかの工程は、説明される方法のその他の実施形態において、代替されたり、省略されたりすることである。
【0028】
さらに、記述を容易にするために、空間的相対用語、たとえば、 “下” “下方” “下部” “上” “上方” “上部” 等が用いられて、図面中で説明される一素子、あるいは、特徴ともう一つの素子、あるいは、特徴間の関係を記述する。空間的相対用語は、図面中で示される方位に加えて、使用中、あるいは、操作中の装置の異なる方位を包含することを目的とする。装置は正しい方向に置かれ(90度、あるいは、その他の方位で回転)、且つ、ここで用いられる空間的相対記述子は同様に解釈される。
【0029】
本発明において、用語“約”、および、“実質上”は、通常、状態値の+/-20%、状態値の+/-10% 、状態値の+/-5% 、状態値の+/-3%、状態値の+/-2%、状態値の+/-1% 、および、さらにいっそう、状態値の+/-0.5%を意味する。本発明の状態値は近似値である。つまり、特定の記述がないとき、状態値は、“約”や“実質上”の意味を含む。
【0030】
特に定義されない限り、ここで用いられる全用語(技術、および、科学用語を含む)は、当業者により理解されるものと同じ意義を有する。さらに、通常用いられる辞典で定義される用語は、特に定義されない限り、従来の技術の文脈中のそれらの意義と一致する意味を有するものとして解釈され、且つ、理想化、あるいは、過度に正式に解釈されるべきではない。
【0031】
本発明は、以下の実施形態で、参照符号、および/または、文字を繰り返す。この反復は、簡潔、且つ、はっきりとさせる目的のためであり、討論される各種実施形態、および/または、配置間の関係を決定付けるものではない。
【0032】
固体撮像素子は、受光ユニットに入射する光線の方向によって、大まかに二個のグループに分類される。ひとつは、読み取り回路の配線層が形成される半導体基板の前面側に入射する光線を受光する表面照射 (FSI)イメージセンサーである。もうひとつは、配線層が形成されない半導体基板の背面に入射する光線を受光する裏面照射 (BSI)イメージセンサーである。カラー画像を画像化するため、カラーフィルター層が、FSI、および、BSIイメージセンサー中に提供される。FSI、および、BSIイメージセンサーは、通常、パーティショングリッドを有して、カラーフィルター層を分離し、混色を防止する。
【0033】
図1A~
図1Eは、本発明のいくつかの実施形態による固体撮像素子10の製造の各種段階の部分的断面図である。注意すべきことは、わかりやすくするために、
図1A~
図1E中で、固体撮像素子10のいくつかの素子が省略されていることである。
【0034】
図1Aを参照すると、たとえば、ウェハ、あるいは、チップである半導体基板101が提供される。半導体基板101は、前面101F、および、前面101Fと反対の背面101Bを有する。複数の光電変換素子103、たとえば、フォトダイオードが半導体基板101中に形成される。
【0035】
いくつかの実施形態において、半導体基板101中の光電変換素子103は、隔離構造 (図示しない)、たとえば、シャロ―トレンチアイソレーション(STI)領域、あるいは、ディープトレンチアイソレーション (DTI)領域により、互いに隔離される。隔離構造は、エッチングプロセスを用いて、トレンチを形成し、トレンチに絶縁材、あるいは、誘電材を充填して、半導体基板101中に形成される。
【0036】
図1Aに示されるように、いくつかの実施形態において、光電変換素子103は、半導体基板101の背面101B上に形成され、配線層105は、半導体基板101の前面101F上に形成されるが、本発明はこれらに制限されない。配線層105は、相互接続構造であり、複数の誘電層中に組み込まれる複数の導電線とビアを有し、且つ、さらに、固体撮像素子10に必要な各種電気回路を有する。入射光は、背面101B側に放射され、光電変換素子103により受光される。
【0037】
図1Aに示されるように、いくつかの実施形態において、高誘電率 (high-κ)膜107が、半導体基板101の背面101B上に形成されるとともに、光電変換素子103を被覆する。高誘電率膜107の材料は、酸化ハフニウム(HfO
2)、酸化ハフニウムタンタル(HfTaO)、酸化ハフニウムチタン (HfTiO)、酸化ジルコニウムハフニウム(HfZrO)、五酸化タンタル(Ta
2O
5)、適当なその他の高誘電率の誘電材、あるいは、それらの組み合わせを有するが、本発明はこれらに制限されない。高誘電率膜107は、蒸着プロセスにより形成される。蒸着プロセスは、たとえば、化学気相蒸着 (CVD)、プラズマエッチャント化学気相蒸着 (PECVD)、原子層堆積(ALD)、あるいは、その他の蒸着技術である。高誘電率膜107は、高屈折率、および、光吸収能力を有する。
【0038】
図1Aに示されるように、いくつかの実施形態において、バッファ層109が、高誘電率膜107上に形成される。バッファ層109の材料は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、適当なその他の絶縁材料、あるいは、それらの組み合わせを有するが、本発明はこれらに制限されない。バッファ層109は、蒸着プロセスにより形成される。蒸着プロセスは、たとえば、スピンオンコート(spin-on coating)、化学気相蒸着、流動性化学気相蒸着 (FCVD)、プラズマエッチャント化学気相蒸着、物理的気相蒸着(PVD)、あるいは、その他の蒸着技術である。
【0039】
図1Bを参照すると、金属グリッド111が、半導体基板101上に形成される。特に、金属グリッド111は、バッファ層109上に形成される。いくつかの実施形態において、金属グリッド111の材料は、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、金属窒化物(たとえば、窒化チタン(TiN))、その他の適当な材料、あるいは、それらの組み合わせを有するが、本発明はこれらに制限されない。金属グリッド111は、金属層をバッファ層109上に蒸着し、その後、フォトリソグラフィ、および、エッチングプロセスを用いて、金属層をパターン化して形成されるが、本発明はこれらに制限されない。
【0040】
図1Bを参照すると、パーティショングリッド121が、半導体基板101上に形成される。特に、パーティショングリッド121が金属グリッド111に対応するように形成され、これにより、パーティショングリッド121は、金属グリッド111の少なくとも一部を被覆する。いくつかの実施形態において、パーティショングリッド121の材料は、屈折率が約1.0~1.99の範囲の透明な誘電材を有するが、本発明はこれらに制限されない。パーティショングリッド121は、バッファ層109上に透明誘電層を蒸着し、その後、フォトリソグラフィ、および、エッチングプロセスを用いて、透明誘電層をパターン化することにより形成されるが、本発明はこれらに制限されない。
【0041】
図1Cを参照すると、カラーフィルター層115が、半導体基板101上に形成される。特に、カラーフィルター層115は、光電変換素子103上に形成される(すなわち、光電変換素子103と対応させつつ、光電変換素子103上にカラーフィルター層115が形成される)。
図1Cに示されるように、カラーフィルター層115は、複数のカラーフィルターセグメント115Sを有する。カラーフィルターセグメント115Sは、同じ色、あるいは、異なる色に対応する。たとえば、
図1Cにおいて、カラーフィルターセグメント115の一つは赤色カラーフィルターセグメント (すなわち、赤カラーフィルターセグメント115SR)であり、もう一つのカラーフィルターセグメント115は、緑色カラーフィルターセグメント (すなわち、緑カラーフィルターセグメント115SG)であるが、本発明はこれらに制限されない。いくつかのその他の実施形態において、カラーフィルターセグメント115は、青色カラーフィルターセグメント、白色カラーフィルターセグメント等も有する。
【0042】
図1Cに示されるように、金属グリッド111、および、パーティショングリッド121は、カラーフィルターセグメント115S間に設置される。つまり、金属グリッド111、および、パーティショングリッド121が形成されて、カラーフィルターセグメント115Sを互いに分離するが、本発明はこれらに制限されない。
図1Cに示される実施形態において、各カラーフィルターセグメント115Sは、一光電変換素子103に対応するが、本発明はこれらに制限されない。いくつかのその他の実施形態において、各カラーフィルターセグメント115Sは、少なくとも二個の光電変換素子103 (たとえば、四個の(2×2)光電変換素子103)に対応してもよい。
【0043】
図1Dを参照すると、パターン化構造125が、カラーフィルター層115上に形成される。特に、パターン化構造125は、カラーフィルター層115とパーティショングリッド121両方の上に形成されるが、本発明はこれらに制限されない。いくつかの実施形態において、パターン化構造125の材料は、パーティショングリッド121の材料と同じか、あるいは、類似する。たとえば、パターン化構造125の材料は、屈折率が約1.0~1.99の範囲の透明誘電材を有するが、本発明はこれらに制限されない。パターン化構造125は、カラーフィルター層115とパーティショングリッド121両方に、透明な誘電層を蒸着した後、フォトリソグラフィ、および、エッチングプロセスにより、透明な誘電層をパターン化することにより形成されるが、本発明はこれらに制限されない。
【0044】
図1Dに示されるように、パターン化構造125は、複数のパターン化セグメント125Sを有する。本発明の実施形態において、少なくとも一つのパターン化セグメント125Sが、パーティショングリッド121上に設置される。
図1Dに示される実施形態において、いくつかのパターン化セグメント125Sが、カラーフィルターセグメント115 (赤カラーフィルターセグメント115SR、および、緑カラーフィルターセグメント115SGを有する)上に設置されるが、本発明はこれらに制限されない。いくつかのその他の実施形態において、カラーフィルターセグメント115S上に、パターン化セグメントがない。
【0045】
さらに、
図1Dの実施形態において、一つのパターン化セグメント115Sが、一つのカラーフィルターセグメント115S (たとえば、赤カラーフィルターセグメント115SR、あるいは、緑カラーフィルターセグメント115SG)上に設置されるが、本発明はこれらに制限されない。いくつかのその他の実施形態において、少なくとも二個の (二個、あるいは、それ以上)パターン化セグメント115Sが、一カラーフィルターセグメント115S上に設置される。
【0046】
図1Eを参照すると、透明層127が、カラーフィルター層115、および、パーティショングリッド121上に形成されて、固体撮像素子10を形成する。特に、
図1Eに示されるように、透明層127は、パターン化セグメント125Sを囲む。つまり、透明層127が、パターン化セグメント125S間の空間を充填する。いくつかの実施形態において、透明層127は有機層であるが、本発明はこれらに制限されない。いくつかの実施形態において、透明層127の材料は、ガラス、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリウレタン、その他の任意の適当な材料、あるいは、それらの組み合わせを有するが、本発明はこれらに制限されない。透明層127は、蒸着プロセスにより形成される。蒸着プロセスの例は上述しているので、ここで繰り返さない。
【0047】
本発明の実施形態において、パターン化構造125の屈折率は、透明層127の屈折率より低い。たとえば、パターン化構造125の屈折率は、約1.2~約1.65の範囲であるが、本発明はこれらに制限されない。
【0048】
いくつかの実施形態において、
図1Eに示されるように、パターン化構造125の厚さT1 (すなわち、各パターン化セグメント125Sの厚さT1)は、透明層127の厚さT2以下である。さらに、透明層127は、ほぼ平坦な上表面127Tを有する。つまり、透明層127は、パターン化構造125の平坦層に属するが、本発明はこれらに制限されない。
【0049】
いくつかの実施形態において、
図1Eに示されるように、固体撮像素子10の断面図において、パーティショングリッド121は、複数のパーティショングリッドセグメント121Sに分割される。二個の隣接するパーティショングリッドセグメント121S間の距離 (二個の隣接するパーティショングリッドセグメント121Sの中心軸間の距離)は、画素サイズPWを定義する。さらに、パターン化セグメント125Sは同じ幅Wを有する。いくつかの実施形態において、各パターン化セグメント125Sの幅Wと画素サイズPWの比率(W/PW:画素サイズPWに対する各パターン化セグメント125Sの幅Wの比率)は0.5より小さい。
【0050】
いくつかの実施形態において、固体撮像素子10は、相補型MOS (CMOS)イメージセンサー、あるいは、電荷結合素子 (CCD)イメージセンサーであるが、本発明はそれらに制限されない。
【0051】
図1Eに示される固体撮像素子10は、裏面照射 (BSI)イメージセンサーであるが、本発明はこれらに制限されない。いくつかのその他の実施形態において、固体撮像素子は、表面照射 (FSI)イメージセンサーである。
図1Eに示される半導体基板101、および、配線層105は、FSIイメージセンサーでは逆になる。FSI イメージセンサーにおいて、入射光は、前面101F側に放射され、配線層105を通過するとともに、その後、半導体基板101の背面101B上に形成される光電変換素子103により受光される。
【0052】
図2は、本発明の一実施形態による固体撮像素子10の部分的上面図である。たとえば、
図1Eは、
図2の線A-Aに沿った固体撮像素子10の部分的断面図である。なお、
図2の線B-B’に沿った固体撮像素子10の部分的断面図が、
図1Eになるよう、固体撮像素子10が構成されてもよい。パターン化構造125 (パターン化セグメント125S)をさらにはっきりと示すために、
図2で、透明層127が省略されていることである。
【0053】
図1E、および、
図2を参照すると、固体撮像素子10は、複数の光電変換素子103を有する。固体撮像素子10はさらに、光電変換素子103上に設置されるカラーフィルター層115を有する。カラーフィルター層115は、複数のカラーフィルターセグメント115Sを有する。固体撮像素子10はさらに、カラーフィルターセグメント115S間に設置されるパーティショングリッド121を有する。さらに、固体撮像素子10は、カラーフィルター層115上に設置されるパターン化構造125を有する。パターン化構造125は、複数のパターン化セグメント125Sを有する。固体撮像素子10はさらに、カラーフィルター層115、および、パーティショングリッド121上に設置される透明層127を有する。透明層127は、パターン化セグメント125Sを囲む。少なくとも一つのパターン化セグメント125Sが、パーティショングリッド121上に設置される。
【0054】
本発明の実施形態によると、固体撮像素子10は複数のパターン化セグメント125Sを有し、透明層127はパターン化セグメント125Sを囲み、パターン化セグメント125Sの屈折率は、透明層127の屈折率より低い。パーティショングリッド121が回折を生成するのを防止し、これにより、固体撮像素子10の光電変換素子103からのイメージ信号の品質を改善する。
【0055】
図3は、本発明の別の実施形態による固体撮像素子12の断面図である。同様に、簡潔にするため、
図3において、固体撮像素子12のいくつかの素子の図示は省略されている。
【0056】
図3に示される固体撮像素子12は、
図1Eに示される固体撮像素子10と類似する構造を有する。
図1Eの固体撮像素子10との差異は、
図3の固体撮像素子12がさらに、透明層127上に複数の
集光構造(condensing structures)129を有することである。いくつかの実施形態において、
集光構造129は、入射光を集光するのに用いられる。いくつかの実施形態において、
集光構造129の材料は、透明層127の材料と同じか、あるいは、類似する。たとえば、
集光構造129の材料は、ガラス、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリウレタン、その他の任意の適当な材料、あるいは、それらの組み合わせを有するが、本発明はこれらに制限されない。いくつかの実施形態において、
集光構造129は、フォトレジストリフロー法(photoresist reflow method)、熱エンボス加工(hot embossing method)、任意のその他の適当な方法、あるいは、それらの組み合わせにより形成される。いくつかの実施形態において、
集光構造129を形成する工程は、スピンコートプロセス、リソグラフィプロセス、エッチングプロセス、任意のその他の適当なプロセス、あるいは、それらの組み合わせを有するが、本発明はこれらに制限されない。
【0057】
いくつかの実施形態において、集光構造129は、半凸面レンズ(semi-convex lens)、あるいは、凸面レンズのようなマイクロレンズ構造であるが、本発明はこれらに制限されない。いくつかのその他の実施形態において、集光構造129は、マイクロプリズム構造(micro-pyramid structure)(たとえば、円錐、四角錐等)、あるいは、マイクロ台形構造(micro-trapezoidal structures)(たとえば、平坦頂錐(flat top cone)、面取りされた方錐(truncated square pyramid)等)である。あるいは、集光構造129は、傾斜インデックス構造(gradient-index structure)でもよい。
【0058】
図3に示される実施形態において、各
集光構造129は、カラーフィルターセグメント115Sの一つに対応する。たとえば、一つの
集光構造129は、赤カラーフィルターセグメント115SRに対応し、もう一つの
集光構造129は、緑カラーフィルターセグメント115SGに対応するが、本発明はこれらに制限されない。 いくつかのその他の実施形態において、各
集光構造129は、少なくとも二個のカラーフィルターセグメント115Sに対応する。
【0059】
図1Eに示される固体撮像素子10との差異は、
図3の各カラーフィルターセグメント115Sが、少なくとも二個の光電変換素子103’(たとえば、二個(2×1)、あるいは、四個(2×2)の光電変換素子103’)に対応することを含むが、本発明はこれらに制限されない。同様に、
図3に示される実施形態において、各
集光構造129は少なくとも二個の光電変換素子103’に対応するが、本発明はこれらに制限されない。各カラーフィルターセグメント115S、あるいは、各
集光構造129が対応する光電変換素子103の数量は必要に応じて調整することができる。
【0060】
さらに、固体撮像素子12の部分的上面図も、
図2に示される固体撮像素子10の部分的上面図に類似する。
図2を参照すると、固体撮像素子10の上面図において、パターン化セグメント125Sは、複数のパターン化アレイARを形成する。
図2に示されるように、パターン化アレイARは、X方向、および、Y方向に沿って互いに隣接して配置される四個のカラーフィルターセグメント115Sに対応し、各パターン化アレイARは、九個のパターン化セグメント125Sを有するが、本発明はこれらに制限されない。
【0061】
図4A~
図4Eは、本発明の異なる実施形態による固体撮像素子14、固体撮像素子16、固体撮像素子18、固体撮像素子20、および、固体撮像素子22の部分的上面図である。
【0062】
図4Aを参照すると、固体撮像素子14の上面図において、パターン化セグメント125Sは、複数のパターン化アレイARを形成する。
図4Aに示されるように、各パターン化アレイARは、九個のパターン化セグメント125Sを有するが、本発明はこれらに制限されない。さらに、パターン化アレイARは、X方向に沿って互いに隣接して配置される(たとえば、パターン化アレイAR2、および、パターン化アレイAR3)二個のカラーフィルターセグメント115S、あるいは、対角線上に配置される(たとえば、パターン化アレイAR1、および、パターン化アレイAR2)二個のカラーフィルターセグメント115Sに対応する。
【0063】
図4Bを参照すると、固体撮像素子16の上面図において、パターン化セグメント125Sは、複数のパターン化アレイARを形成する。
図4Bに示されるように、各パターン化アレイARは、九個のパターン化セグメント125Sを有するが、本発明はこれらに制限されない。さらに、パターン化アレイARは、対角線上に配置される (たとえば、パターン化アレイAR1、および、パターン化アレイAR2)カラーフィルターセグメント115Sに対応する。
【0064】
図4Cを参照すると、固体撮像素子18の上面図において、パターン化セグメント125Sは、複数のパターン化アレイARを形成する。
図4Cに示されるように、各パターン化アレイARは、九個のパターン化セグメント125Sを有するが、本発明はこれらに制限されない。さらに、パターン化アレイARは、Y方向に沿って互いに隣接して配置される(たとえば、パターン化アレイAR1、および、パターン化アレイAR4)カラーフィルターセグメント115Sに対応する。
【0065】
図4Dを参照すると、固体撮像素子20の上面図において、パターン化セグメント125Sは、複数のパターン化アレイARを形成する。
図4Dに示されるように、各パターン化アレイARは、九個のパターン化セグメント125Sを有するが、本発明はこれらに制限されない。さらに、パターン化アレイARは、Y方向に沿って互いに隣接して配置される(たとえば、パターン化アレイAR1、および、パターン化アレイAR4)二個のカラーフィルターセグメント115S、あるいは、対角線上に配置される (たとえば、パターン化アレイAR4、および、パターン化アレイAR5)二個のカラーフィルターセグメント115Sに対応する。
【0066】
図4Eを参照すると、固体撮像素子22の上面図において、パターン化セグメント125Sは、複数のパターン化アレイARを形成する。
図4Eに示されるように、各パターン化アレイARは、16個のパターン化セグメント125Sを有するが、本発明はこれらに制限されない。さらに、パターン化アレイARは、X方向、および、Y方向に沿って、互いに隣接して配置されるカラーフィルターセグメント115Sに対応する。
【0067】
各パターン化アレイAR中のパターン化セグメント125Sの数量は、前述の実施形態に制限されない。いくつかの実施形態において、各パターン化アレイARは、x2個のパターン化セグメント125Sを有し、且つ、x は、3以上の正の整数であるが、本発明はこれらに制限されない。さらに、各パターン化アレイAR中のパターン化セグメント125Sの数量は、可変である(それぞれである)。
【0068】
さらに、前述の実施形態の固体撮像素子の断面図において、各パターン化セグメント125Sは長方形で示されているが、本発明はこれらに制限されない。
【0069】
図5A~
図5Cは、本発明の異なる実施形態による固体撮像素子24、固体撮像素子26、固体撮像素子28の部分的断面図である。
【0070】
図5Aを参照すると、固体撮像素子24の断面図において、各パターン化セグメント125Sの断面は、三角形に形成される。
図5Bを参照すると、固体撮像素子26の断面図において、各パターン化セグメント125Sの断面は台形に形成される。
図5Cを参照すると、固体撮像素子28の断面図において、各パターン化セグメント125Sの断面は半円に形成される。固体撮像素子の断面図中の各パターン化セグメント125Sの形状は、前述の実施形態に制限されず、必要に応じて変化する。
【0071】
さらに、
図5A~
図5Cに示される実施形態において、各カラーフィルターセグメント115S (たとえば、緑カラーフィルターセグメント115SG、あるいは、赤カラーフィルターセグメント115SR)、あるいは、各
集光構造129は、一つの光電変換素子103に対応するが、本発明はこれらに制限されない。
【0072】
総合すると、本発明の実施形態によると、固体撮像素子は、複数のパターン化セグメント、および、パターン化セグメントを囲む透明層を有し、パターン化セグメントの屈折率は、透明層の屈折率より低い。パーティショングリッドが回折を生成するのを防止し、これにより、固体撮像素子の光電変換素子からのイメージ信号の品質を改善することができる。
【0073】
前述は、いくつかの施形態の特徴を説明するので、当業者は、本発明の態様をよりよく理解することができる。当業者なら理解できるように、たやすく、本発明を基礎として用いて、その他のプロセス、および、構造を設計、あるいは、修正されて、同じ目的を実現する、および/または、紹介される実施形態の同じ長所を達成することができる。当業者ならさらに理解できることは、このような等価構造は、本発明の精神と範囲を逸脱せず、且つ、それらは、精神と範囲を逸脱しない条件下で、各種変化、置換、修正を行うことができる。よって、保護範囲は、請求項によって決定されるべきである。また、本発明のいくつかの実施形態が上で開示されているが、それらは、本発明の範囲を制限することを意図しない。
【0074】
この明細書を通じた特徴、長所、あるいは、類似言語は、本発明で実現されるすべての特徴、および、長所が、本発明の任意の単一の実施形態である、あるいは、単一の実施形態中に存在すべきであることを暗示するものではない。むしろ、特徴、および、長所に言及した言語は、一実施形態と関連して記載される特定の特徴、長所、あるいは、特性が、本発明の少なくとも一つの実施形態中に含まれることを意味すると理解される。よって、この明細書を通じた特徴、および、長所、および、類似言語の討論は、必ずしも、同じ実施形態を参照しない。
【0075】
さらに、一つ以上の実施形態において、本発明の記載される特徴、長所、および、特性は、任意の適当な方式で組み合わされる。当業者なら理解できるように、この記載の観点において、本開示は、特定の実施形態の一つ以上の特定の特徴、あるいは、長所がなくても実施することができる。ほかの例では、追加特徴、および、長所は、本開示の全実施形態中に含まれないある実施形態中で広く認められる。
【符号の説明】
【0076】
101…半導体基板
101F…前面
101B…背面
103…光電変換素子
105…配線層
107…高誘電率膜
109…バッファ層
111…金属グリッド層
115…カラーフィルター層
115S…カラーフィルターセグメント
121…パーティショングリッド
121S…パーティショングリッドセグメント
125…パターン化構造
125S…パターン化セグメント
127…透明層
127T…上表面
129…集光構造
T1、T2…厚さ
W…幅
AR…パターン化アレイ