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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】情報処理装置およびシステム
(51)【国際特許分類】
   A63H 33/26 20060101AFI20220722BHJP
   A63H 33/42 20060101ALI20220722BHJP
   A63H 5/00 20060101ALI20220722BHJP
   A63F 13/95 20140101ALI20220722BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
A63H33/26 Z
A63H33/42 Z
A63H5/00 C
A63F13/95 A
G06K7/10 148
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021087173
(22)【出願日】2021-05-24
(62)【分割の表示】P 2020067789の分割
【原出願日】2016-06-03
(65)【公開番号】P2021121352
(43)【公開日】2021-08-26
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小清水 生花
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 公彦
(72)【発明者】
【氏名】下村 雄三
(72)【発明者】
【氏名】畑山 裕貴
【審査官】宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-16317(JP,A)
【文献】特開2012-10760(JP,A)
【文献】特開2005-28104(JP,A)
【文献】国際公開第2015/118545(WO,A1)
【文献】特開2007-143826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00 - 37/00
A63F 13/00 - 13/98
G06K 7/00 - 7/14
G06K 19/00 - 19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の情報を電子的に保持した情報保持媒体が着脱自在に取り付けられるよう構成された取付部と、
前記取付部への前記情報保持媒体の取り付けを検知する検知部と、
前記情報保持媒体と非接触通信可能に構成された非接触通信部と、
ユーザ入力を受け付ける受付部と、
を備える情報処理装置であって、
前記非接触通信部は、少なくとも、前記検知部が取り付けを検知したとき、および、前記検知部が取り付けを検知していない状態で前記受付部がユーザ入力を受け付けたときに活性化され、
前記情報保持媒体が保持している情報には、外観からは状態が判別不能なステータス情報が含まれており、
前記情報処理装置はさらに、
前記検知部が取り付けを検知した場合、非接触通信部を介して前記情報保持媒体から得られた情報に基づくメイン演出を出力し、前記検知部が取り付けを検知していない状態で前記受付部がユーザ入力を受け付けた場合で、かつ前記情報保持媒体が前記非接触通信部の通信範囲内にある場合、非接触通信を介して前記情報保持媒体から得られた情報に基づく演出で、前記メイン演出とは異なる演出を出力する出力部を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記受付部は前記検知部よりもユーザによるアクセスが容易な位置に設けられる請求項に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記非接触通信部は、前記検知部が取り付けを検知している状態で前記受付部が所定のユーザ入力を受け付けることにより、非接触通信を介して前記情報保持媒体に保持されるステータス情報を更新可能となる請求項またはに記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記情報処理装置および前記情報保持媒体はそれぞれを主玩具体、副玩具体とする玩具を構成し、前記情報保持媒体は前記玩具に関連するキャラクタまたはアイテムと関連付けられており、
前記ステータス情報は前記キャラクタまたはアイテムのステータスを特定するための情報を含む請求項1からのいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の情報保持媒体および情報処理装置を備えるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
演出を出力可能な情報読取装置と該情報読取装置に着脱可能な情報保持媒体とを備える情報処理システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。このシステムでは、情報保持媒体の裏面にディジタルコードを表す凸部が設けられ、情報保持媒体が情報読取装置に装着される過程で情報読取装置の検出部がこのディジタルコードを読み出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5583826号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、情報読取装置以外の装置で情報保持媒体からディジタルコードを読み出すためには、情報読取装置の検出部と同様な構成の検出部を設ける必要がある。既存の携帯端末やゲーム機や店頭筐体にそのような検出部を組み込むには、それなりの手間とコストがかかる。そこで、本発明者は、情報保持媒体の利用範囲を広げるために、情報保持媒体に非接触通信機能を持たせることに想到した。非接触通信機能を有する既存の装置で利用される情報を情報保持媒体に電子的に保持させることで、そのような装置でも情報保持媒体を利用した遊びを提供することが可能となる。
【0005】
しかしながら、一般に、情報保持媒体の外観からは、その情報保持媒体に保持される情報の内容をうかがい知ることはできない。
【0006】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、情報保持媒体に保持される情報をより簡易に確認できる技術の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様は、情報処理装置に関する。この情報処理装置は、情報保持媒体が着脱自在に取り付けられるよう構成された取付部と、取付部への情報保持媒体の取り付けを検知する検知部と、情報保持媒体と非接触通信可能に構成された非接触通信部と、検知部が取り付けを検知していない場合かつ情報保持媒体が非接触通信部の通信範囲内にある場合、非接触通信を介して情報保持媒体から得られた情報に基づく演出を出力する出力部と、を備える。
本発明の別の態様は、情報処理装置である。この情報処理装置は、所定の情報を電子的に保持した情報保持媒体が着脱自在に取り付けられるよう構成された取付部と、取付部への情報保持媒体の取り付けを検知する検知部と、情報保持媒体と非接触通信可能に構成された非接触通信部と、ユーザ入力を受け付ける受付部と、を備える。非接触通信部は、少なくとも、検知部が取り付けを検知したとき、および、検知部が取り付けを検知していない状態で受付部がユーザ入力を受け付けたときに活性化される。情報保持媒体が保持している情報には、外観からは状態が判別不能なステータス情報が含まれている。情報処理装置はさらに、検知部が取り付けを検知した場合、非接触通信部を介して情報保持媒体から得られた情報に基づくメイン演出を出力し、検知部が取り付けを検知していない状態で受付部がユーザ入力を受け付けた場合で、かつ情報保持媒体が非接触通信部の通信範囲内にある場合、非接触通信部を介して情報保持媒体から得られた情報に基づく演出で、メイン演出とは異なる演出を出力する出力部を備える。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を装置、方法、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、情報保持媒体に保持される情報をより簡易に確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態に係る玩具を用いた遊び方の一例を示す模式図である。
図2】実施の形態に係る玩具の模式図である。
図3図2の副玩具体の不揮発性メモリに保持される情報の一例を示すデータ構造図である。
図4図2の主玩具体の機能および構成を示すブロック図である。
図5図4のメイン演出情報保持部の一例を示すデータ構造図である。
図6図4の簡易演出情報保持部の一例を示すデータ構造図である。
図7図2の主玩具体における一連の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面において説明上重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0012】
実施の形態に係る玩具は、情報処理装置である主玩具体と、情報保持媒体である副玩具体と、を備える。副玩具体を主玩具体に取り付けると、主玩具体が副玩具体とNFC(Near Field Communication)を行い、データを読み出す。さらに、このフローとは別に、副玩具体が主玩具体に取り付けられていなくても、主玩具体のボタンを押すことで主玩具体のNFC機能が起動される。ここで副玩具体が近くにあると、主玩具体は副玩具体からデータを読み出して、副玩具体のステータスを音声等で通知する。これにより、ユーザはわざわざ副玩具体を主玩具体に取り付けなくても副玩具体のステータスを知ることができる。
【0013】
図1は、実施の形態に係る玩具を用いた遊び方の一例を示す模式図である。玩具は主玩具体102と副玩具体104とを備える。玩具は所定の世界観に基づく遊びをユーザに提供する。世界観は著作物や非著作物に基づいてもよく、または空想や現実や史実に基づいてもよい。玩具の世界観では、キャラクタやアイテムが存在し、それらに係るストーリーや性能が設定される。ユーザは玩具を利用することで、そのような世界観のなかで遊びを楽しむことができる。副玩具体104は、玩具に関連するキャラクタまたはアイテムと関連付けられており、該キャラクタまたはアイテムの属性や強さや状態などのステータスを保持する。ユーザは主玩具体102に副玩具体104を取り付けて主玩具体102のボタン等を操作することで、副玩具体104に保持されるステータスを更新することができる。
【0014】
また、副玩具体104は携帯型ゲーム装置106や店頭筐体108とNFC可能に構成されている。ユーザは携帯型ゲーム装置106や店頭筐体108と副玩具体104とを通信させることで、副玩具体104に保持されるデータを利用した遊びを携帯型ゲーム装置106や店頭筐体108で楽しむことができる。例えば、店頭筐体108は、副玩具体104に保持されるステータスによって異なる演出を提供する。このように、副玩具体104を媒体として主玩具体102、携帯型ゲーム装置106、店頭筐体108を連動させることができる。
【0015】
多くの副玩具体104を所有するユーザが、そのうちのひとつのステータスを主玩具体102で更新したとする。次にユーザは主玩具体102と多くの副玩具体104とを持って店頭筐体108の設置されている店舗に赴き、ステータスを更新した副玩具体104を使って遊ぼうとする。ここで、ステータスは副玩具体104の不揮発性メモリにデータとして保持されているので、外見からはどの副玩具体104がステータス更新後の副玩具体104か分からない。副玩具体104をひとつひとつ主玩具体102に取り付けて確認すれば分かるが、手間である。
【0016】
そこで、本実施の形態によると、ユーザは主玩具体102に副玩具体104を取り付けなくても副玩具体104のステータスを知ることができる。したがって、ステータスが更新された副玩具体104を特定するためにかかる時間を短縮することができる。また、副玩具体104のそれぞれのステータスの確認作業を簡単化できる。
【0017】
図2は、玩具100の模式図である。主玩具体102は、取付部202と、検知部204と、スピーカ206と、ボタン208と、を備える。取付部202は、副玩具体104が着脱自在に取り付けられるよう構成される。取付部202は、副玩具体104が収まるスペース212と、スペース212に挿入された副玩具体104と係合する係合部(不図示)とを含む。
【0018】
検知部204は、取付部202への副玩具体104の取り付けおよび取付部202からの副玩具体104の取り外しを検知する。検知部204は4つのスイッチを含む。副玩具体104の裏面には突起が設けられており、副玩具体104が取付部202に取り付けられる過程および取付部202から取り外される過程でその突起が検知部204の4つのスイッチを所定の順序で押し込む。副玩具体104の裏面の突起は、特許文献1に記載される情報保持媒体の例に倣い、副玩具体104を特定するデジタルコードを表す単位データ部を構成する。取り付けの場合と取り外しの場合とで4つのボタンにより読み出されるデジタルコードは異なる。特にデータの順序が逆になる。したがって、この差異に基づいて取り付け/取り外しの別が判定される。検知部204は副玩具体104が取付部202に取り付けられる過程でデジタルコードを読み出し、読み出されたデジタルコードを含む検知信号を生成する。検知部204は、生成された検知信号を後述の制御部に送信する。検知部204は副玩具体104が取付部202から取り外される過程で逆順のデジタルコードを読み出し、読み出された逆順のデジタルコードを含む検知信号を制御部に送信する。
【0019】
スピーカ206は、音による演出を出力する。
ボタン208は、押し下げられると押下信号を生成して後述の制御部に送信することで、ユーザ入力を受け付ける。ボタン208は主玩具体102の側面に設けられている。これに対して検知部204の4つのボタンは取付部202のスペース212の入り口付近に設けられている。したがって、ボタン208は検知部204よりもユーザによるアクセスが容易な位置に設けられる。ユーザが指で検知部204のボタンを直接押し下げることは困難である。
【0020】
副玩具体104の内部には、NFC用のアンテナコイル214と、アンテナコイル214と接続された半導体チップ216と、が設けられている。半導体チップ216は不揮発性メモリと処理ユニットとを有する。不揮発性メモリには副玩具体104に対応するキャラクタまたはアイテムのステータスが保持される。処理ユニットはアンテナコイル214を用いたNFCを制御し、かつ不揮発性メモリに保持されるデータの操作(読み出し、書き込み、更新等)を制御する。
【0021】
図3は、副玩具体104の不揮発性メモリに保持される情報の一例を示すデータ構造図である。不揮発性メモリに保持される情報は、副玩具体104に対応するキャラクタを特定するキャラクタIDと、該キャラクタのレベルと、該キャラクタの経験値と、必殺技の実行可否を示す必殺技チャージフラグと、ボーナス取得の可否を示すボーナスフラグと、を含む。
【0022】
図4は、主玩具体102の機能および構成を示すブロック図である。ここに示す各ブロックは、ハードウエア的には、コンピュータのCPUをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウエア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウエア、ソフトウエアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、本明細書に触れた当業者には理解されるところである。
【0023】
主玩具体102はさらに、非接触通信部210と、制御部402と、電源部404と、メイン演出情報保持部406と、簡易演出情報保持部408と、を備える。非接触通信部210は、副玩具体104と非接触通信可能に構成される。副玩具体104と非接触通信部210との間の非接触通信は、Felica(登録商標)やISO/IEC 14443(TypeA、TypeB)やISO/IEC 18092(Near Field Communication)やISO/IEC 15693やISO/IEC 21481(NFC IP-2)やBluetooth(登録商標)やWiFiダイレクト等の公知の電磁波による非接触通信技術により実現されてもよい。これらの非接触通信技術では、装置と装置とが直接(ルータや基地局等を介さず)通信する。あるいはまた、非接触通信は、IrDA等の光通信技術や超音波等の音波を利用する音波通信技術により実現されてもよい。本実施の形態では、非接触通信はNFCにより実現される。
【0024】
制御部402は主玩具体102の動作を統括的に制御する。この機能は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、メモリ等の電子部品によって実現される。
電源部404は主玩具体102の各部に電力を供給する。電源部404は電池を含んでもよい。
【0025】
図5は、メイン演出情報保持部406の一例を示すデータ構造図である。メイン演出情報保持部406は、デジタルコードと、ボーナスフラグと、メイン音データと、を対応付けて保持する。メイン音データはスピーカ206から出力される演出としての音を規定するデータである。メイン演出情報保持部406では、デジタルコード(すなわち、副玩具体104)が同じでもボーナスフラグの状態が異なると異なるメイン音データが特定される。ボーナスフラグ「N」に対応するメイン音データは例えば「(副玩具体104に対応するキャラクタのテーマ曲)+(該キャラクタの台詞)+(該キャラクタの名前)」という音声を規定し、ボーナスフラグ「Y」に対応するメイン音データは例えば「(副玩具体104に対応するキャラクタのテーマ曲)+(効果音)+(該キャラクタの台詞)+(該キャラクタの名前)」という音声を規定する。
【0026】
図6は、簡易演出情報保持部408の一例を示すデータ構造図である。簡易演出情報保持部408は、キャラクタIDと、ボーナスフラグと、簡易音データと、を対応付けて保持する。簡易音データはスピーカ206から出力される演出としての音を規定するデータである。簡易演出情報保持部408では、キャラクタIDが同じでもボーナスフラグの状態が異なると異なる簡易音データが特定される。ボーナスフラグ「N」に対応する簡易音データは例えば「(キャラクタIDで特定されるキャラクタの名前)」という音声を規定し、ボーナスフラグ「Y」に対応する簡易音データは例えば「(キャラクタIDで特定されるキャラクタの名前)+(ボーナスフラグのオンを知らせるための音声)」という音声を規定する。ユーザは(ボーナスフラグのオンを知らせるための音声)の有無で、ボーナスフラグのオンオフを特定することができる。同じキャラクタ、同じボーナスフラグの状態、で比べた場合、メイン音データが規定する音声は簡易音データが規定する音声よりも長い。
【0027】
主玩具体102の各部の機能の詳細をフローチャートを用いて説明する。図7は、主玩具体102における一連の処理の流れを示すフローチャートである。処理は副玩具体104が主玩具体102に取り付けられていない状態から始まる。この状態では、非接触通信部210は非活性化状態となっており、通信のための電磁波は発せられていない。
【0028】
制御部402は、検知部204が副玩具体104の取付部202への取り付けを検知したか、またはボタン208が押し下げられたか、または検知エラーが発生したか、を判定する(S702)。より具体的には、制御部402は、検知部204から検知信号を受けた場合、受けた検知信号に含まれるデジタルコードを抽出する。制御部402は、抽出されたデジタルコードがメイン演出情報保持部406に登録されている場合、検知部204が取り付けを検知したと判定する。なお、逆順のデジタルコードが抽出された場合は、制御部402は検知部204が取り外しを検知したと判定し、登録されていない場合は検知部204にて何らかの検知エラーが発生したものと判定する。また、制御部402は、ボタン208から押下信号を受けた場合、ボタン208がユーザ入力を受け付けたと判定する。
【0029】
まずステップS702において制御部402が取り付けを検知した場合(S702の「取付検知」)を説明する。制御部402は非接触通信部210を起動し、非接触通信部210と副玩具体104との非接触通信を介して副玩具体104に保持されるボーナスフラグを取得する(S706)。制御部402は、メイン演出情報保持部406を参照し、ステップS702で取得されたデジタルコードおよびステップS706で取得されたボーナスフラグに対応するメイン音データを特定する(S708)。制御部402は特定されたメイン音データをスピーカ206に渡し、スピーカ206はメイン音データを再生する(S710)。その結果、スピーカ206からメイン音データに対応する音声が出力される。
【0030】
制御部402は、検知部204が副玩具体104の取付部202からの取り外しを検知したか、またはボタン208が押し下げられたか、または検知エラーが発生したか、を判定する(S712)。特に制御部402は、ボタン208から押下信号を受けた場合、ボタン208の押下状態が所定の期間続くか否かを判定する。この判定は、例えば押下信号が所定の期間アサートされ続けるか否かによって、または所定の期間内にボタン208の解放を示すリリース信号をボタン208から受けるか否かによって、行われてもよい。制御部402は、ボタン208の押下状態が所定の期間続いたと判定された場合(S712の「押し下げ検知」)、非接触通信部210と副玩具体104との非接触通信を介して副玩具体104に保持されるボーナスフラグを更新する(S714)。例えば、「N」であったボーナスフラグは「Y」へ、または「Y」であったボーナスフラグは「N」へ、更新される。その後、処理はステップS712に戻る。なお、制御部402は、ボタン208の押下状態が所定の期間続いたと判定された場合(S712の「押し下げ検知」)、非接触通信部210と副玩具体104との非接触通信を介して副玩具体104に保持されるボーナスフラグを更新する処理を行なうかどうかの抽選処理を行うようにしてもよい。そして、抽選処理の結果、当選した場合にのみボーナスフラグの更新が行なわれるようにしても良い。また、制御部402は、ボタン208の押下状態が所定の期間続かなかったと判定された場合(例えば、押下信号のアサートが所定の期間経過前に停止した場合や、期間内にボタン208の解放を示すリリース信号をボタン208から受けた場合)は、ボーナスフラグを更新する処理は行なわない。このように、ボーナスフラグを更新する処理が開始されるに当って、単にボタン208が押し下げられたかどうかだけでなく、所定のユーザ入力(本実施形態でいえば、ボタン209を所定の期間押し下げる)を必要とすることで、誤ってボーナスフラグが更新されることを避けることができ、また、本実施形態のようにすれば、所定の期間内であればユーザはやはり更新をしないというように翻意することもできるようになる、つまり、更新実行を最終確定するまでの猶予期間が設けることができるので、よりユーザにとって遊びやすいものとなる。
【0031】
制御部402は、検知信号を受け、受けた検知信号に含まれるデジタルコードがメイン演出情報保持部406に登録されていない場合、検知部204が取り外しを検知したと判定し(S712の「取り外し検知」)、処理を終了する。
また、制御部402は、ステップS702、S712のそれぞれにおいて、検知エラーの発生を検知した場合、エラー音声をスピーカ206から出力させるなどの所定のエラー処理(S726)を行った後、処理を終了する。
【0032】
次に、ステップS702において制御部402がボタン208の押し下げを検知した場合(S702の「押し下げ検知」)を説明する。制御部402は、非接触通信部210を起動する(S716)。より具体的には、制御部402は、非接触通信部210を非活性化状態から活性化状態にする。これは、例えば電源部404から非接触通信部210への電力供給を開始させることにより実現されてもよいし、または非接触通信部210に動作開始の信号を供給することにより実現されてもよい。非接触通信部210が活性化されると、非接触通信部210に含まれるアンテナから電磁波が発せられる。非接触通信部210は、アンテナが受ける信号を監視することで副玩具体104が通信可能範囲にあるか否かを判定する(S718)。非接触通信部210は、例えば非接触通信部210のアンテナから送信された信号に対する副玩具体104からの応答の有無を判定する。応答がない場合(S718のNO)、非接触通信部210はステップS718を繰り返す。応答を受けた場合(S718のYES)、制御部402は、非接触通信部210と副玩具体104との非接触通信を介して副玩具体104に保持されるキャラクタIDおよびボーナスフラグを取得する(S720)。制御部402は、簡易演出情報保持部408を参照し、ステップS720で取得されたキャラクタIDおよびボーナスフラグに対応する簡易音データを特定する(S722)。制御部402は特定された簡易音データをスピーカ206に渡し、スピーカ206は簡易音データを再生する(S724)。その結果、スピーカ206から簡易音データに対応する音声が出力される。その後、処理は終了する。なお、ステップS716、S718において、制御部402は、ボタン208の解放を示すリリース信号をボタン208から受けるとそこで処理を終了する。
【0033】
以上の構成による玩具100の動作を説明する。
ユーザは副玩具体104を主玩具体102の取付部202に取り付ける。すると、検知部204が副玩具体104の取り付けを検知し、該検知に応じて非接触通信部210が活性化される。取付部202に取り付けられた副玩具体104と非接触通信部210とが非接触通信する。その結果、スピーカ206は、副玩具体104のキャラクタに対応し副玩具体104のボーナスフラグの状態に依存する音声を出力する。さらに、取付部202に副玩具体104が取り付けられている状態でユーザがボタン208を押し込んでその状態を維持すると、非接触通信を介して副玩具体104に保持されるボーナスフラグを更新可能となる。この更新は後のボタン208の操作によりキャンセル可能であってもよい。これが玩具100の主な遊び方である。
【0034】
これに対して、ユーザが副玩具体104を主玩具体102に取り付けることなしに副玩具体104のボーナスフラグの状態を知りたい場合は、ユーザは主玩具体102を副玩具体104に近づけるかまたは「かざし」、ボタン208を押し下げる。この状態では、検知部204は副玩具体104の取付部202への取り付けを検知していないが、ユーザによるボタン208の押し下げに応じて非接触通信部210が活性化される。そして、副玩具体104が非接触通信部210の通信可能範囲内にある場合、非接触通信部210は副玩具体104と非接触通信する。その結果、スピーカ206は、副玩具体104のボーナスフラグの状態を示す音声を出力する。なお、ユーザが副玩具体104を主玩具体102に取り付けることなしに副玩具体104のボーナスフラグの状態を知りたい場合、まずボタン208を押し下げて非接触通信部210を活性化させた後、主玩具体104に副玩具体104を近づけるか「かざす」(非接触通信部210の通信可能範囲内に副玩具体104に近づける、ただし、主玩具体104の取付部202に取り付けることはしない)ことで副玩具体104のボーナスフラグの状態を示す音声がスピーカ206から出力されるようにしてもよい。
【0035】
本実施の形態に係る玩具100によると、ユーザは副玩具体104を主玩具体102に取り付けなくても副玩具体104に保持される情報の内容を知ることができる。例えばボーナスフラグは電子データとして副玩具体104の不揮発性メモリに保持されているので、副玩具体104の外見からボーナスフラグの状態を知ることはできない。副玩具体104を主玩具体102に取り付ければボーナスフラグの状態が分かるものの、取り付け・取り外しは手間である。そこで、本実施の形態に係る玩具100では、ユーザは主玩具体102のボタン208を押して副玩具体104にかざすことで副玩具体104のボーナスフラグの状態を知ることができる。これにより、ユーザの利便性が向上する。特に、同様な外見の副玩具体104を多く所持するユーザが所望のボーナスフラグの状態を有する副玩具体104を探すときに、いちいち取り付け・取り外しをしなくてもよい点で有利である。
【0036】
また、副玩具体104のボーナスフラグの状態によって携帯型ゲーム装置106や店頭筐体108の演出や動作が異なりうる。このような状況において、本実施の形態に係る玩具100によると、ユーザは、携帯型ゲーム装置106や店頭筐体108と副玩具体104とを非接触通信させて遊ぶ前に、副玩具体104のボーナスフラグをより簡単に確認することができる。
【0037】
また、主な遊び方では、副玩具体104を主玩具体102に取り付けると、ボタン208の長押しにより副玩具体104のボーナスフラグの更新が可能となる。ここで、ボーナスフラグの確認のために副玩具体104を主玩具体102に取り付けた場合、誤ってボタン208を押し下げることで意図せずボーナスフラグが更新される虞がある。そこで、本実施の形態に係る玩具100では、副玩具体104を主玩具体102に取り付けなくてもボーナスフラグの状態を確認できるので、上記のような意図しないボーナスフラグの更新を抑制するか防止することができる。
【0038】
また、本実施の形態に係る玩具100では、メイン音データが規定する音声は簡易音データが規定する音声よりも長い。したがって、メイン音データでは玩具100の主な遊び方に対応する楽しく盛りだくさんな演出を行う一方、簡易音データではボーナスフラグの状態の確認を目的とした簡潔な演出を行うことができる。
【0039】
以上、実施の形態に係る玩具100について説明した。この実施の形態は例示であり、その各構成要素や各処理の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0040】
実施の形態では、図2に示されるような形状の主玩具体102および副玩具体104について説明したが、これに限られず、主玩具体102および副玩具体104のそれぞれの形状は任意のものでよい。例えば、主玩具体102はベルト型や腕時計型、ブレスレット型、ペンダント型、車両型、人形型、ハウス型等の玩具であってもよい。副玩具体104はミニカー型やメダル型や人形型等の形象物であってもよい。
【0041】
実施の形態では、検知部204は4つのボタンの押し下げにより副玩具体104の取り付け・取り外しを検知する場合について説明したが、これに限られず、取付部202への副玩具体104の取り付けや取付部202からの副玩具体104の取り外しを検知可能な任意の構成が採用されてもよい。例えば、赤外線や可視光を利用し光が遮られたときに存在を検知するような光学的な存在検知技術が使用されてもよい。あるいはまた、静電容量の変化を検出するような電気的な存在検知技術が使用されてもよい。副玩具体104が取付部202に取り付けられたらオンし、取り外された状態ではオフとなるスイッチが使用されてもよい。あるいはまた、特許文献1に記載される技術を使用して取り付け、取り外しを判定してもよい。
【0042】
実施の形態では、副玩具体104の裏面の突起が表すデジタルコードにより副玩具体104を特定する場合について説明したが、これに限られない。例えば、主玩具体102は、副玩具体104が取付部202に取り付けられた後の非接触通信により副玩具体104のキャラクタIDを読み出すことで、副玩具体104を特定してもよい。あるいはまた、検知部204が光学的に構成される場合は、主玩具体102は副玩具体104の表面に設けられたバーコード等を読み出すことで副玩具体104を特定してもよい。
【0043】
実施の形態では、主玩具体102は副玩具体104が取付部202に取り付けられた場合に非接触通信により副玩具体104からボーナスフラグを読み出す場合について説明したが、これに限られない。例えば、主玩具体102と副玩具体104とが接点で接続される場合は、主玩具体102はその接点を介してボーナスフラグを読み出してもよい。
【0044】
実施の形態では、副玩具体104のボーナスフラグの状態に基づく音声をスピーカ206が出力する場合について説明したが、これに限られず、非接触通信を介して副玩具体104から得られた情報に基づく演出を出力する出力部であれば任意の構成が採用されてもよい。例えば、主玩具体は、副玩具体104のボーナスフラグの状態に基づく映像、光、音声、動作のうちの少なくとも1つを演出効果として出力する出力部を備えてもよい。この場合、図5図6に示されるデータ構造において、映像であれば映像データ、光であれば点灯パターンのデータ、動作であれば可動部の動きを規定するデータ、が音データの代わりに保持されてもよい。あるいはまた、主玩具体は、LED(Light Emitting Diode)等の発光装置や振動源等の可動部を出力部として備えてもよい。
【0045】
実施の形態では、副玩具体104に電子的に保持され、主玩具体102により読み出される情報の例としてボーナスフラグを採用したが、これに限られず、副玩具体104に対応するキャラクタまたはアイテムのステータスを特定するための情報が採用されてもよい。例えば、レベルや経験値や必殺技チャージが採用されてもよい。あるいはまた、以下の条件を満たす情報が採用されてもよい。
(1)主玩具体102や携帯型ゲーム装置106や店頭筐体108から出力される演出を選択するために使用される、
(2)副玩具体104に電子的に保持される、
(3)副玩具体104の外観からは判別できない。
したがって、副玩具体104の表面に副玩具体104に対応するキャラクタが描かれている場合はキャラクタIDは上記の情報に該当しないが、そうでない場合はキャラクタIDは上記の情報に該当する。
【0046】
実施の形態では、検知部204が副玩具体104の取り付けを検知していない状態でボタン208の押し下げが検知されると非接触通信部210が活性化される場合について説明したが、これに限られない。例えば、検知部204が副玩具体104の取り付けを検知していない状態で、非接触通信部210は常時活性化状態になっていてもよい。あるいはまた、主玩具体102がマイクロフォン等の音声入力手段を有する場合は、該音声入力手段が所定のフレーズ(例えば、「読め」等)を検知した場合に、主玩具体102は非接触通信部210を活性化してもよい。あるいはまた、主玩具体102が振動検知手段を有する場合は、ユーザが主玩具体102を横に振るなどして該振動検知手段が所定の振動パターンを検知した場合に、主玩具体102は非接触通信部210を活性化してもよい。
【符号の説明】
【0047】
100 玩具、 102 主玩具体、 104 副玩具体、 106 携帯型ゲーム装置、 108 店頭筐体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7