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特許7109660DFT-S-OFDMのためのシンボル組み込みスキーム
<図1>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】DFT-S-OFDMのためのシンボル組み込みスキーム
(51)【国際特許分類】
   H04L 27/26 20060101AFI20220722BHJP
【FI】
H04L27/26 110
H04L27/26 200
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021517159
(86)(22)【出願日】2019-06-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-16
(86)【国際出願番号】 JP2019025997
(87)【国際公開番号】W WO2020021971
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2020-12-02
(31)【優先権主張番号】18306014.4
(32)【優先日】2018-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503163527
【氏名又は名称】ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 46, 1119 NS Schiphol Rijk, The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(72)【発明者】
【氏名】チョチーナ、クリスティーナ
【審査官】吉江 一明
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2017/022056(JP,A1)
【文献】再公表特許第2015/019964(JP,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0004352(KR,A)
【文献】特開2009-239539(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0341198(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 27/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信システム上で無線信号を用いて、少なくともQ個のシンボル(A;...;AQ-1)からなるグループを送信する方法であって、前記無線信号は、少なくともM個の異なる周波数上で送信を行うように構成された少なくとも1つの送信アンテナを備える放射器によって放射されるように意図され、MはL・Kに等しく、L及びKは正の整数であり、QはLよりも小さい正の整数であり、前記無線信号は、
MサイズのDFTをシンボルブロックX=(X,...XM-1)に適用し、k=0~M-1である各第kの周波数について、周波数領域における複素シンボルSを取得することと、
送信アンテナに対応するIDFTモジュールの出力において、前記周波数領域において、k=0~M-1である各第kの周波数の複素シンボルS又はSの関数を表す信号を取得することと、
前記複素シンボルS又はSの関数を表す信号に対応する前記無線信号を放射することと、
によって提供され、
前記方法は、
前記シンボルブロック内のQ個の位置nを以下のように求めることと、
【数1】
前記無線信号によって前記Q個のシンボルを送信することであって、各iについて、前記無線信号内の前記シンボル のサンプルは、M個のシンボルからなるブロックに前記DFTを適用し前記IDFTモジュールによって出力される結果と等しく、位置n+mLにあるシンボル
【数2】
の値はそれぞれ
【数3】
であり、kは0≦k<Kの整数であり、mは0≦m<Kの整数であり、jは虚数であるようになっていることと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記Q個のシンボルを送信することは、各i及び各mについて、前記シンボル
【数4】
を値
【数5】
に設定することによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、前記DFTを適用する前に、
【数6】
である前記シンボル
【数7】
の値を0に設定することと、前記IDFTモジュールの出力において後続の信号を取得することとを更に含み、
各i及び各mについて、前記Q個のシンボルを送信することは、前記IDFTモジュールの出力における前記後続の信号に前記サンプルを加えることによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、前記DFTを適用する前に、
【数8】
である前記シンボル
【数9】
の値を0に設定することと、DFTモジュールの出力において後続の信号を取得することとを更に含み、
各i及び各mについて、前記Q個のシンボルを送信することは、前記DFTモジュールの出力における前記後続の信号に前記サンプルを加えることによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
個のシンボル
【数10】
からなる少なくともK’個のグループが前記無線信号において送信され、前記Qは正の整数であり、ΣQ≦Lであり、K’≦Kであり、
前記方法は、各pについて、
整数kと、前記シンボルブロック内のQ個の位置n とを以下のように求めることと、
【数11】
及び
【数12】
前記無線信号によって前記Q個のシンボルを送信することであって、各iについて、前記無線信号内の前記シンボルのサンプルA は、M個のシンボルからなるブロックに前記DFTを適用し前記IDFTモジュールによって出力される結果と等しく、位置n +mLにあるシンボル
【数13】
の値はそれぞれ
【数14】
であり、
【数15】
であるようになっていることと、
を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
ΣQ≠L、∀n≠n であり、
【数16】
である場合には、前記シンボルXの値は、前記DFTを適用する前に0に設定される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
K’<Kである、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
K’=Kである、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つのpについて、L=Qcであり、cは正の整数であり、
【数17】
である、請求項5~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つのpについて、
【数18】
である、請求項5~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
コード命令を含むコンピュータプログラム製品であって、前記コード命令がプロセッサによって実行されると、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法を実行する、コンピュータプログラム製品。
【請求項12】
無線通信システム上で無線信号を用いて、少なくともQ個のシンボル(A;...;AQ-1)からなるグループを送信するデバイスであって、前記無線信号は、少なくともM個の異なる周波数上で送信を行うように構成された少なくとも1つの送信アンテナを備える放射器によって放射されるように意図され、MはL・Kに等しく、L及びKは正の整数であり、QはLよりも小さい正の整数であり、前記無線信号は、
MサイズのDFTモジュールをシンボルブロックX=(X,...XM-1)に適用し、k=0~M-1である各第kの周波数について、周波数領域における複素シンボルSを取得することと、
送信アンテナに対応するIDFTモジュールの出力において、前記周波数領域において、k=0~M-1である各第kの周波数の複素シンボルS又はSの関数を表す信号を取得することと、
前記複素シンボルS又はSの関数を表す信号に対応する前記無線信号を放射することと、
によって提供され、
前記デバイスは、
前記シンボルブロック内のQ個の位置nを以下のように求めることと、
【数19】
前記Q個のシンボルを前記無線信号によって送信することと、
を行うように構成され、
各iについて、前記無線信号内の前記シンボル のサンプルは、M個のシンボルからなるブロックに前記DFTモジュールを適用し前記IDFTモジュールによって出力される結果と等しく、位置n+mLにあるシンボル
【数20】
の値はそれぞれ
【数21】
であり、kは0≦k<Kの整数であり、mは0≦m<Kの整数であり、jは虚数であるようになっている、デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には、電気通信システムの領域に関し、より具体的には、OFDM伝送方式を用いた通信に関する参照信号のようなシンボルの組み込みに関する。
【背景技術】
【0002】
シンボルが周波数領域において特定のコム(combs)を占有するように、シンボルを組み込むことが必要となる場合がある。例えば、標準規格では、周波数領域における特定のサブキャリア上に参照信号(復調参照信号-DMRS(demodulation reference signals)等)が設定されることを必要とする場合がある。
【0003】
このために、それらのシンボル(例えば、DMRS)は、所望のコムの所望のサブキャリア上において周波数領域に直接組み込まれ、周波数領域における他のシンボルは、その場合、コムによって使用されてないサブキャリアを用いて処理される。その結果、周波数領域のコムを用いたシンボルは、他のシンボルから独立して組み込まれる。したがって、DFTsOFDM方式のような方式のシングルキャリア特性は維持されず、ピーク対平均電力比(PAPR:peak to average power ratio)が大きくなる。PAPRが大きくなることを回避するために、新たな標準規格NR(new radio:新無線)では、DMRSのみが組み込まれ、他のシンボルは0に設定されたままであるが、スペクトル効率の損失は大きくなる。
【0004】
したがって、周波数領域におけるコムを占有するシンボルグループを他のシンボルと多重化することは、PAPRが大きくなるとともに、干渉が大きくなるおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記状況を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、本発明は、無線通信システム上で無線信号を用いて、少なくともQ個のシンボル(A;...;AQ-1)からなるグループを送信する方法に関し、この無線信号は、少なくともM個の異なる周波数上で送信を行うように構成された少なくとも1つの送信アンテナを備える放射器によって放射されるように意図され、MはL・Kに等しく、L及びKは正の整数であり、QはLよりも小さい正の整数であり、この無線信号は、
MサイズDFTをシンボルブロックX=(X,...XM-1)に適用し、k=0~M-1である各第kの周波数について、周波数領域における複素シンボルSを取得することと、
送信アンテナに対応するIDFTモジュールの出力において、周波数領域において、k=0~M-1である各第kの周波数の複素シンボルS又はSの関数を表す信号を取得することと、
信号に対応する無線信号を放射することと、
によって提供され、
上記方法は、
シンボルブロック内のQ個の位置nを以下のように求めることと、
【数1】
Q個のシンボルを無線信号によって送信することであって、各iについて、無線信号内のシンボルAのサンプルは、M個のシンボルからなるブロックにDFTを適用しIDFTモジュールによって出力される結果と等しく、位置n+mLにあるシンボル
【数2】
の値はそれぞれ
【数3】
であり、kは0≦k<Kの整数であり、mは0≦m<Kの整数であり、jは虚数であるようになっていることと、
を含む。
【0007】
Q個のシンボルのそのような送信によって、DFTsOFDM方式のシングルキャリア特性を維持しながら、周波数領域におけるこれらのシンボルのサンプルがコム構造に配置されることが可能になる。その上、他のシンボル(
【数4】
であるn+mLと異なる位置にある)が本発明に従って同じDFTsOFDMシンボルにおいて多重化される場合であっても、シングルキャリア特性は維持される。
【0008】
DFTsOFDM方式のシングルキャリア特性は維持される。なぜならば、Q個のシンボルのサンプルを送信する無線信号は、位置n+mLにあるシンボル
【数5】
の値がそれぞれ
【数6】
であるM個のシンボルからなるブロックに対してDFT及びIDFTを適用することによって取得される無線信号と同じであるからである。IDFTサイズは、一般にDFTサイズよりも大きい。すなわち、本発明に従ってQ個のシンボルを送信する無線信号は、本発明に従ってM個のシンボルからなるブロック内に配置されたシンボルをDFTsOFDM方式によって処理することによって取得される無線信号と同じである。したがって、DFTsOFDM方式のシングルキャリア特性は維持される。
【0009】
本発明によれば、周波数領域におけるQ個のシンボルのサンプルは、コム構造に配置される。すなわち、Q個のシンボルは、周波数領域における特定の周波数しか占有せず、これらの特定の周波数は、インデックスk、k+K、k+2K、...、k+(L-1)Kを有する周波数である。
【0010】
加えて、シンボルグループの各シンボルAの位相シフトを繰り返すことによって、これらのQ個のシンボルの送信品質が高められる。実際、シンボルAはK回繰り返され、各繰り返し間の位相シフトは
【数7】
である。その結果、シンボルブロック内のK個のシンボルを用いて各シンボルAを送信することによって、これらのシンボルの送信品質が高められる。したがって、Q個のシンボルに関して発生する送信エラーは少なくなる。
【0011】
このシンボルの位相シフトの繰り返しは、参照信号を送信するのに有利に用いることができる。実際、シンボルAの値が受信機から知られており、受信機が位置及び適用された位相シフトを知っている場合には、受信機は、シンボルA及びその位相がシフトされたコピーを受信したときにカナル品質(canal quality)を推論する関連情報を有する。したがって、シンボルA及びその位相シフトされた全てのコピーは、参照信号として用いることができる。その結果、特に高速の位相シフトを追跡するとき、シンボルA及びその位相がシフトされた全てのコピーは、他のシンボルと多重化されているとともにDFTsOFDMシンボル内で時間的に分散しているので、参照信号として関係する。
【0012】
その上、K及びQを都合よく選ぶことによってQ個のシンボルの送信の品質を制御することが可能である。実際、シンボルグループのサイズQ及び位相シフトの繰り返し数Kは、そのグループのシンボルに必要とされる送信の品質に関して選ぶことができる。例えば、K及びQは、Q個のシンボルからなるグループによって表される情報ビットの効果的な符号化速度に直接関連しているので、K及びQを都合よく選択することは、制御データを送信する場合に、送信品質を向上させるために用いることができる。制御データを送信するシンボルグループは、エラー発生の少ない送信を必要とする場合があるのに対して、ユーザデータを送信するシンボルグループからシンボルの送信に対して発生したエラーの影響は、通信にあまり重要でない場合がある。例えば、DFTsOFDMシンボルごとの所与の固定送信電力について、K及びQは、Q個のシンボルからなるグループの電力と、残りのシンボルの電力との間の比に直接関連しているので、K及びQを都合よく選択することは、例えば、チャネル推定品質に関する目標要件を満たすQ個のシンボルからなるグループによって表される参照信号を送信する場合に用いることができる。例えば、Q=M/4及びK=2を選ぶと、Q個のシンボルからなるグループを搬送する送信電力の2分の1が用いられ、このシンボルグループは、周波数領域におけるサブキャリアの2分の1に存在する(周波数構造の2分の1を占有するコムを占有する:コム1/2周波数構造と呼ばれる)(1つおきのサブキャリアがQ個のシンボルからなるグループに関する情報を含む)。したがって、Q個のシンボルからなるグループは、例えば、50%のオーバーヘッド及びコム1/2周波数構造を有するDMRSとして都合よく用いることができる。例えば、Q=M/8及びK=2を選ぶと、Q個のシンボルからなるグループを搬送する送信電力の4分の1が用いられ、このシンボルグループは、周波数領域におけるサブキャリアの2分の1に存在する(1つおきのサブキャリアがQ個のシンボルからなるグループに関する情報を含む)。したがって、Q個のシンボルからなるグループは、例えば、25%のオーバーヘッド及びコム1/2周波数構造を有するDMRSとして都合よく用いることができる。例えば、Q=M/8及びK=4を選ぶと、Q個のシンボルからなるグループを搬送する送信電力の2分の1が用いられ、このシンボルグループは、周波数領域におけるサブキャリアの4分の1に存在する(4つごとのサブキャリアがQ個のシンボルからなるグループに関する情報を含み、周波数構造の4分の1を占有するコムを占有する:コム1/4周波数構造と呼ばれる)。したがって、Q個のシンボルからなるグループは、例えば、50%のオーバーヘッド及びコム1/4周波数構造を有するDMRSとして都合よく用いることができる。更に別の例として、Q及び場合によってKは、目標実効符号化速度がQ個のシンボルからなるグループの送信について達成されるように選ぶことができる:所与の数の情報ビットを搬送するために、Qを増加させることによって、より多くの冗長ビット数が可能になり、Kを増加させることによって、繰り返しの数が増加する。
【0013】
所与のMについて、Kを好都合に選ぶことは、Lを都合よく選ぶことと同等であることに留意されたい。なぜならば、KL=Mであるからである。(K,L)を都合よく選択すると、Q個のシンボルからなるグループによって表される系列によって用いられるコムの周波数構造が確定する。さらに、Qを都合よく選択すると、Q個のシンボルからなるグループによって表される系列を搬送するのに利用される電力量が確定する(使用されるコム内のL個のサブキャリア上への電力ブーストレベル、又は系列のオーバーヘッド、又は系列によって用いられる実効符号化速度のインジケータのいずれかとして解釈することができる)。
【0014】
DFTは、離散フーリエ変換を意味する。
【0015】
IDFTは、逆離散フーリエ変換を意味する。
【0016】
周波数領域におけるシンボルXのサンプル、及び、無線信号内のシンボルXのサンプルは、それぞれ、DFTを適用した周波数領域における結果、及び、シンボルXを除いてシンボルが0に設定されたシンボルブロック(そのようなシンボルブロックはX(n)と呼ばれる)に対するDFTsOFDM方式の処理のIDFTの出力における結果を意味する。類推すると、周波数領域におけるシンボルAのサンプル、及び、無線信号内のシンボルAのサンプルによって、それぞれ、DFTを適用した周波数領域における結果、及び、シンボルAを含むシンボルを除いて、すなわち、
【数8】
であるシンボル
【数9】
を除いて、シンボルが0に設定されたシンボルブロックに対するDFTsOFDM方式の処理のIDFTの出力における結果が理解される。
【0017】
これらの定義は、DFT及びDFTsOFDM方式が線形方式であるので関係している。
【0018】
その上、重なり合う場合がある各シンボルX(又はシンボルA)のサンプルは、DFTによって出力される無線信号及び/又は周波数領域信号に寄与する。ブロックシンボルX=(X,...,XM-1)に対して方式を適用することから得られる無線信号は、nが0~M-1の整数であるシンボルXのサンプルの和に等しい。ここで、異なるシンボルXのサンプルは、数学的観点から、IDFTのサイズN及び送信アンテナの個数を次元として有する多次元構造として見ることができる。
【0019】
したがって、シンボルブロックのシンボルXの無線信号内のサンプルによって、Xの値がρに設定されたブロックX(n)にDFTsOFDM方式を適用することによって無線信号内のサンプルを取得することができるような値ρが存在することが分かる。シンボルAの無線信号内のサンプルは、位置n+mLにあるシンボル
【数10】
に対して相対的に定義される。すなわち、シンボルAのサンプルは、
【数11】
であるシンボル
【数12】
のサンプルの和である。値ρは、以下では、シンボルブロックのシンボルXのサンプルの対応する値(又はシンボルXの対応する値)と呼ばれる。
【0020】
このことは、シンボルX又はシンボルAの無線信号内のサンプルのみを定義しているが、そのようなサンプルを取得することができる方法を限定するものではない。実際、シンボルX又はシンボルAの無線信号内のサンプルは、異なる方法でも取得することができる。
【0021】
例えば、シンボルブロック内の位置n+mLにあるシンボル
【数13】
は、それぞれ値
【数14】
に設定され、DFTsOFDM方式がこのシンボルブロックに適用される(DFT前(pre-DFT)組み込みと呼ばれる)。
【0022】
別の例では、シンボルブロック内の位置n+mLにあるシンボル
【数15】
は、シンボルブロック内でそれぞれ0に設定され、シンボルAの周波数領域におけるサンプルが、DFTの出力又はIDFTの入力において加えられる(DFT後(post-DFT)組み込みと呼ばれる)。
【0023】
更に別の例では、シンボルブロック内の位置n+mLにあるシンボル
【数16】
は、シンボルブロック内でそれぞれ0に設定され、シンボルAの無線信号におけるサンプルが、IDFTの出力において加えられる(IDFT後(post-IDFT)組み込みと呼ばれる)。
【0024】
一方、上述したように、これらの全ての場合において、無線信号内のサンプル及び無線信号そのものは、そのシンボルが特定の値に設定されたM個のシンボルからなるブロックに対するDFTsOFDM方式の適用結果として完全に定義される。シンボルXのサンプルの特定の値は、シンボルXのサンプルの対応する値である。サンプルAの特定の値は、0≦m<Kであるシンボル
【数17】
のサンプルの対応する値である。
【0025】
これらの特定の値は、Q個のシンボルが周波数領域において又はIDFTの出力において加えるときの理論値である。
【0026】
本発明に従って定義されるQ個のシンボル以外のM-Q・K個のシンボルは、自由に用いることができる。すなわち、周波数領域におけるそれらのサンプルがコム構造に配置されるようにそれらのシンボルを実装して、又はそのように実装せずに用いることができ、これらのシンボルは、制御データ、参照信号又はユーザデータ等の任意のタイプのシンボルから得られる。
【0027】
例えば、Q個のシンボルAは、参照信号(CAZAC系列又は有利にはZadoff-Chu系列から得られる)とすることができ、M-Q・K個の他のシンボルは、ユーザデータ及び/又は他の制御データ及び/又は他のタイプの参照信号を含むことができる。これとは逆に、Q個のシンボルAは、ユーザデータとすることができ、M-Q・K個の他のシンボルは、参照信号を含むことができ、及び/又はユーザデータ及び/又は制御データ等も含むことができる。
【0028】
シンボル
【数18】
の値
【数19】
は、
【数20】
である。したがって、
【数21】
は、シンボルAを搬送するシンボルブロックのシンボルのうちの1つである。受信機側では、0≦m<Kであるシンボル
【数22】
のサンプルからシンボルAを容易に取り出すことができる。シンボルAは、例えば、QPSK変調シンボルのような変調シンボル、又は、CAZAC系列等の所与の系列からのシンボル、若しくは、例えば、制御されたPAPRを有する既定の系列からのシンボルである。シンボル
【数23】
は、位相シフトを有するシンボルAである。シンボル
【数24】
が設定される値は、例えば、デジタル変調方式の位相シフトされたシンボルとすることもできるし、CAZAC系列又は制御されたPAPRを有する別の既定の系列から取り出された位相シフトされたシンボルとすることもできる。シンボルAのサンプルは、0≦m<Kであるシンボル
【数25】
のサンプルと同じである。
【0029】
インデックスk及び整数Kはコムを定義する。実際、(k;K)によって定義されるコム(以下、コムkという)は、周波数インデックスk、k+K、k+2K、...、k+(L-1)Kを有するサブキャリアを占有する。したがって、Q個のシンボルAは、コムkに対応するサブキャリアのみを占有する。
【0030】
送信アンテナはM個の周波数上で送信するように構成される。すなわち、送信アンテナによって放出される信号は、M個の割り当てられたサブキャリアごとに1つずつの、M個の複素シンボルにNサイズIDFTを適用することによって与えられる。IDFTに先行して、M個のサブキャリアは、サブキャリアマッピングモジュールによって、より多くの数のN個のサブキャリア上にマッピングすることができる。これらのサブキャリアのうちのN-M個は、0に設定されるので割り当てられないサブキャリアであり、M個の他のサブキャリアは、M個の複素シンボルがマッピングされるM個の割り当てられたサブキャリアである。この場合、IDFTモジュールはサイズNからなる。
【0031】
無線信号は送信アンテナによって与えられる信号と理解されたい。
【0032】
シンボルブロックに対して適用されるこの方式は、DFTsOFDM方式である。すなわち、DFTモジュール、サブキャリアマッピングモジュール及びIDFTモジュールが連続的に適用される。
【0033】
すなわち、MサイズDFTがシンボルブロックX=(X,...XM-1)に適用され、k=0~M-1である各第kの周波数について、周波数領域における複素シンボルSが取得される。送信アンテナに対応するIDFTモジュールの出力において、周波数領域において、k=0~M-1である各第kの周波数の複素シンボルS又はSの関数を表す信号が取得される。
【0034】
したがって、Q個のシンボルをDFT前方法又はIDFT後方法で組み込むとき、この方式は、
- MサイズDFTをシンボルブロックX=(X,...XM-1)に適用し、k=0~M-1である各第kの周波数について、周波数領域における複素シンボルSを取得することと、
- 送信アンテナに対応するIDFTモジュールの出力において、周波数領域において、k=0~M-1である各第kの周波数の複素シンボルSを表す信号を取得することと、
として記述することができる。
【0035】
加えて、Q個のシンボルをDFT後方法で組み込むとき、この方式は、
- MサイズDFTをシンボルブロックX=(X,...XM-1)に適用し、k=0~M-1である各第kの周波数について、周波数領域における複素シンボルSを取得することと、
- 送信アンテナに対応するIDFTモジュールの出力において、周波数領域において、k=0~M-1である各第kの周波数について、Q個のシンボルの第kの周波数に対応する周波数領域におけるサンプルが加えられた複素シンボルSを表す信号を取得することと、
として記述することができる。
【0036】
本発明の一態様によれば、Q個のシンボルを送信することは、各i及び各mについて、シンボル
【数26】
を値
【数27】
に設定することによって行われる。
【0037】
この実施の形態では、Q個のシンボルは、DFT前レベルにおいて、シンボルブロックに組み込まれる。そのような実施態様は、任意の標準的な放射器において容易に適合することができ、その結果、全ての送信機において実施することができる。その上、Q個のシンボルのサンプルのIDFT後処理又はメモリ記憶等の追加の操作は必要ない。
【0038】
本発明の一態様によれば、方法は、DFTを適用する前に、
【数28】
であるシンボル
【数29】
の値を0に設定することと、IDFTモジュールの出力において後続の信号を取得することとを更に含み、
各i及び各mについて、Q個のシンボルを送信することは、IDFTモジュールの出力における上記後続の信号にサンプルを加えることによって行われる。
【0039】
これによって、Q個のシンボル以外のシンボルブロックのM-Q・K個のシンボルのみをDFTsOFDMと同様の方式によって処理することが可能になる。したがって、Q個のシンボルは、シンボルブロックの他のシンボルと異なる方法で処理することができる。これによって、例えば、Q個のシンボルのサンプルを一度だけで処理することが可能になる。これによって、例えば、Q個のシンボルのサンプル及び/又は他のシンボルのサンプルに対して適用される特定の処理によって、Q個のシンボルのサンプルと他のシンボルのサンプルとの干渉を制御することが可能になる。
【0040】
Q個のシンボルのサンプルは、他のシンボルとは別個に計算され、Q個のシンボルをサンプル
【数30】
の対応する値にDFT前に設定することによって、すなわち、
【数31】
であるシンボル
【数32】
の値を上記対応する値に設定することによって取得されたサンプルと同一又は少なくとも同等(すなわち、高電力サンプルの点で同一)のサンプルが取得される。これらのQ個のシンボルのサンプルは、
【数33】
の対応する値(すなわち、
【数34】
)に設定された、
【数35】
であるシンボル
【数36】
の値を有するシンボルブロックに対して特定の方式を適用することによって計算されたサンプルとすることができ、シンボルブロックの他のシンボルの値は0に設定される。
【0041】
後続の信号は、IDFTの出力において、DFTsOFDMと同様の方式によって提供される信号である。この信号は、この場合、シンボル
【数37】
の値が、
【数38】
の少なくとも幾つかの対について、有利には、全てについて0に設定されたシンボルブロックにこの方式を適用することによって取得される。
【0042】
本発明の一態様によれば、方法は、DFTを適用する前に、
【数39】
であるシンボル
【数40】
の値を0に設定することと、DFTモジュールの出力において後続の信号を取得することとを更に含み、
各i及び各mについて、Q個のシンボルを送信することは、DFTモジュールの出力における上記後続の信号にサンプルを加えることによって行われる。
【0043】
これによって、Q個のシンボル以外のシンボルブロックのM-Q・K個のシンボルのみをDFTによって処理することが可能になる。したがって、Q個のシンボルは、シンボルブロックの他のシンボルと異なる方法で処理することができる。これによって、例えば、Q個のシンボルの周波数領域におけるサンプルを一度だけで処理することが可能になる。これによって、例えば、特定の処理(例えば、周波数領域におけるサンプルのフィルタリング)によって、Q個のシンボルのサンプルと他のシンボルのサンプルとの干渉を制御することが可能になる。
【0044】
Q個のシンボルのサンプルは、DFTに関して他のシンボルとは別個に計算され、Q個のシンボルをサンプル
【数41】
の対応する値にDFT前に設定することによって、すなわち、
【数42】
であるシンボル
【数43】
の値を上記対応する値に設定することによって取得されたサンプルと同一又は少なくとも同等(すなわち、高電力サンプルの点で同一)のサンプルが取得される。DFTモジュールの出力において加えられたQ個のシンボルの周波数領域におけるサンプルは、
【数44】
の対応する値(すなわち、
【数45】
)に設定された、
【数46】
であるシンボル
【数47】
の値を有するシンボルブロックに対してDFTを適用することによって計算されたサンプルとすることができ、シンボルブロックの他のシンボルの値は0に設定される。
【0045】
後続の信号は、DFTの出力において、DFTsOFDMと同様の方式によって提供される信号である。この信号は、この場合、シンボル
【数48】
の値が、
【数49】
の少なくとも幾つかの対について、有利には、全てについて0に設定されたシンボルブロックにDFTを適用することによって取得される。
【0046】
本発明の一態様によれば、Q個のシンボル
【数50】
からなる少なくともK’個のグループが無線信号において送信され、Qは正の整数であり、ΣQ≦Lであり、K’≦Kであり、
上記方法は、各pについて、
整数kと、シンボルブロック内のQ個の位置n とを以下のように求めることと、
【数51】
及び
【数52】
個のシンボルを無線信号によって送信することであって、各iについて、無線信号内のシンボルのサンプルA は、M個のシンボルからなるブロックにDFTを適用したもののIDFTモジュールによって出力される結果と等しく、位置n +mLにあるシンボル
【数53】
の値はそれぞれ
【数54】
であり、
【数55】
であるようになっていることと、
を含む。
【0047】
これによって、DFTsOFDM方式のシングルキャリア特性を維持するとともに、各グループのシンボルのサンプルが周波数領域におけるコム構造に配置されるように幾つかのシンボルグループを処理することが可能になる。各コムは、そのインデックスk及びKによって定義される。実際、(k;K)によって定義されるコム(以下、コムkという)は、周波数インデックスk、k+K、k+2K、...、k+(L-1)Kを有するサブキャリアを占有する。したがって、各コムは、周波数領域における異なる周波数を占有し、他のコムと重なり合わない。したがって、Q個のシンボルA からなる各グループは、他のグループと周波数領域において直交するように処理され、これによって、受信機側において、Q個のシンボルA からなる各グループを無線信号から容易に取り出すことが可能になる。実際、周波数領域において直交することによって、受信機側においてQ個のシンボルからなるグループを互いに分離することが可能になり、受信機における周波数領域処理が単純化される。
【0048】
各シンボルグループは、特定のタイプのシンボル、例えば、参照信号若しくは他の制御データ又はユーザデータに用いることができる。したがって、各グループの全てのシンボルは、受信機側において異なるタイプのシンボルを容易に分離することを可能にする特定のタイプのシンボルとすることができ、これによって、異なるタイプのシンボルを互いに独立して処理することが可能になる。したがって、複数のタイプのシンボル、又は、より一般的には、受信機側において異なるタイプの処理を必要とするシンボルグループを1つのDFTsOFDMシンボル内に多重化することができる。
【0049】
例えば、受信機におけるそのような処理によって、参照信号を抽出して、無線信号を変更したチャネル摂動(位相シフト、振幅等)を評価し、これらの摂動を補償するように復号化モジュールを適合させることが可能になり、これによって、無線信号の復号化の効率を高めることが可能になる。
【0050】
各シンボルグループのサイズQは、そのグループのシンボルに必要とされる送信の品質に関して選ぶことができる。例えば、制御データを送信するシンボルグループは、エラー発生の少ない送信を必要とする場合があるのに対して、データを送信するシンボルグループからシンボルの送信に対して発生したエラーの影響は、通信にあまり重要でない場合がある。
【0051】
本発明の一態様によれば、ΣQ≠L、∀n≠n であり、
【数56】
である場合には、シンボルXの値は、DFTを適用する前に0に設定される。
【0052】
これによって、Q個のシンボルからなるK’個のグループのシンボルの送信を強化することが可能になる。実際、Q個のシンボルA からなる各グループは、周波数領域において直交しており、シンボルブロックの他のシンボルは0に設定されているので、これらの他のシンボルからの干渉が発生する可能性はない。
【0053】
本発明の一態様によれば、K’<Kである。
【0054】
これによって、コムを未使用のまま残すことが可能になる。実際、周波数領域において、サイズLの最大K個のコムを使用することができ、K’<Kに設定すると、K’個のコムのみが使用され、K-K’個のコムは未使用のまま残される。これらの未使用のコムは、他の使用されるコムと周波数領域において直交しており、別の放射器によって実施される送信において使用することができる。例えば、同じ基地局と通信する2つのモバイルデバイスは、異なるコムを使用してアップリンク送信を実施することができ、その結果、基地局では、周波数領域において各モバイルデバイスからのアップリンク信号を分離することが容易である。
【0055】
本発明の一態様によれば、K’=Kである。
【0056】
これによって、送信において全てのコムを用いること、すなわち、送信において利用可能な全てのサブキャリアを用いることが可能になり、シンボルブロックのシンボル間の干渉が低減され、送信容量が高められる。
【0057】
本発明の一態様によれば、少なくとも1つのpについて、L=Qcであり、cは正の整数であり、
【数57】
である。
【0058】
この場合には、Q個のシンボルを搬送するシンボルブロック内のシンボルは、時間領域におけるコムに配置される。シンボルブロックに対してDFTを適用するとき、周波数領域におけるQ個のシンボルのサンプルはコムkにある。その上、時間領域におけるコム構造に起因して、サブキャリアkを占有するQ個のシンボルの周波数領域におけるサンプルは、サブキャリアk+KQ、k+2KQ、...、k+(c-1)KQを占有するサンプルと同一である。
【0059】
サブキャリアk+Kを占有するQ個のシンボルの、シンボルの周波数領域におけるサンプルは、サブキャリアk+K(Q+1)、k+K(2Q+1)、...、k+K((c-1)Q+1)を占有するサンプルと同一である。
【0060】
周波数領域におけるKQのステップを有するこの繰り返しパターンは、k+2K、...、k+(Q-1)Kを占有するQ個のシンボルのサンプルとともに生じる。
【0061】
その結果、周波数領域において、Q個のシンボルのサンプルは繰り返し構造を有する。この繰り返し構造によって、シンボルを取り出す計算複雑度が低減される。実際、受信機は、同じ複素シンボルを異なるサブキャリアで数回受信する。これによって、これらの複素シンボルの無線チャネルを通じた送信中の劣化の影響、及び、干渉の影響が低減される。
【0062】
加えて、この繰り返し構造によって、特にシンボルがDFT前方法で組み込まれていないときに、Q個のシンボルを処理する計算複雑度が低減される。実際、その場合には、コムkの最初のQ個のサブキャリア上の周波数領域におけるサンプル、すなわち、k、k+K、k+2K、...、k+(Q-1)Kによってインデックスされるコムkのサブキャリア上のサンプルのみを計算する必要がある。
【0063】
上述したように、時間領域におけるシンボルの位相シフトの繰り返しは、参照信号を送信するのに有利に用いることができる。その上、高速の位相シフトを追跡するには、Q個のシンボルを搬送するシンボルブロック内のシンボルが時間領域においてコムに配置されているときが有利である。なぜならば、その場合、DFTsOFDMシンボルにおいて、シンボルA及びその位相シフトされた全てのコピーが時間的に分散しているだけでなく、全てのシンボルA及びそれらの位相シフトされたコピーも時間的に分散しているからである。すなわち、Q個のシンボルを搬送するシンボルは、時間領域においてcのステップを有するコムに配置される。その結果、この構造は、参照信号の組み込みに特に関係している。
【0064】
本発明の一態様によれば、少なくとも1つのpについて、、
【数58】
である。
【0065】
この場合には、Q個のシンボルを搬送するシンボルブロック内のシンボルは、時間領域において、局在化された方法で配置される。すなわち、0~K-1の各mについて、シンボル
【数59】
は、シンボルブロック内で隣接したシンボルである。
【0066】
したがって、受信機は、時間領域において、Q個のシンボルを他のシンボルから分離することがより容易である。実際、シンボルブロック内の時間領域における隣接したシンボルは、DFTsOFDM方式が適用されると、無線信号内で隣接したサンプルを生成する。したがって、受信機は、無線信号内のこれらの隣接したサンプルを(例えば、時間窓を用いて)、それらのサンプルがDFTsOFDMシンボルにおいて分散している場合(K・L個の時間窓を必要とする場合がある)よりも複雑でない方法(必要とされる時間窓は多くともK個である)で抽出することができる。
【0067】
加えて、Q個のシンボルに対する、シンボルブロック内のM-Q個の他のシンボルの時間領域における干渉はより小さい。実際、Q個のシンボルは、時間的に隣接したシンボルの
【数60】
を搬送する最初のシンボルと、
【数61】
を搬送する最後のシンボルとによって他のシンボルからの干渉から保護される。
【0068】
周波数領域におけるコム構造に起因して、Q個のシンボルを含む無線信号の抽出されえた部分に対する干渉を周波数領域において削減することが更に可能である。
【0069】
その上、時間領域における局在化された構造に起因して、周波数領域におけるQ個のシンボルのサンプルは、Q個のシンボル
【数62】
に対して適用されるQサイズDFTの結果をオーバーサンプリングしたものである。CAZAC系列、より具体的にはZadoff-Chu系列に対して適用されるそのようなQサイズDFTの結果も、それぞれCAZAC系列、Zadoff-Chu系列である。この結果をオーバーサンプリングしたものは、これらのQ個のシンボルの周波数領域におけるサンプル(CAZAC系列又はZadoff-Chu系列から生成される)である。このオーバーサンプリングしたものは、低い包絡線変動、すなわち、低いPAPRを有し、或る直交多重化容量を有する。加えて、そのようなオーバーサンプリングによって、Q個のシンボルのサンプルを低い計算複雑度で周波数領域に直接加えることが可能になる。
【0070】
本発明の第2の態様は、プロセッサによって実行されると上述した方法を実行するコード命令を含む、コンピュータプログラム製品に関する。
【0071】
本発明の第3の態様は、少なくともQ個のシンボル(A;...;AQ-1)からなるグループを無線通信システム上で送信される無線信号において送信するデバイスに関し、この無線信号は、少なくともM個の異なる周波数上で送信を行うように構成された少なくとも1つの送信アンテナを備える放射器によって放射されるように意図され、MはL・Kに等しく、L及びKは正の整数であり、QはLよりも小さい正の整数であり、上記無線信号は、
MサイズDFTモジュールをシンボルブロックX=(X,...XM-1)に適用し、k=0~M-1である各第kの周波数について、周波数領域における複素シンボルSを取得することと、
送信アンテナに対応するIDFTモジュールの出力において、周波数領域において、k=0~M-1である各第kの周波数の複素シンボルSを表す信号を取得することと、
信号に対応する無線信号を放射することと、
によって提供され、
上記デバイスは、
シンボルブロック内のQ個の位置nを以下のように求めることと、
【数63】
Q個のシンボルを無線信号によって送信することと、
を行うように構成され、
各iについて、無線信号内のシンボルのサンプルaは、M個のシンボルからなるブロックにDFTを適用したもののIDFTモジュールによって出力される結果と等しく、位置n+mLにあるシンボル
【数64】
の値はそれぞれ
【数65】
であり、kは0≦k<Kの整数であり、mは0≦m<Kの整数であり、jは虚数であるようになっている。
【0072】
本発明は、添付図面の図に、限定としてではなく例として示される。添付図面において、同様の参照符号は同様の要素を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0073】
図1】DFTsOFDMタイプの送信機及び受信機を示す図である。
図2】従来のDFTsOFDM送信機を図式化したブロック図である。
図3】本発明によるシンボルブロック内のQ個のシンボルの局在化の一例を詳細に示す図である。
図4】本発明によるQ個のシンボルのDFT前組み込みを図式化したブロック図である。
図5】本発明によるQ個のシンボルのDFT後組み込みを図式化したブロック図である。
図6】本発明によるQ個のシンボルのIDFT後組み込みを図式化したブロック図である。
図7.1】本発明によるシンボルのDFT前組み込みのステップを表すフローチャートである。
図7.2】本発明によるシンボルのDFT後組み込みのステップを表すフローチャートである。
図7.3】本発明によるIDFT後組み込みのステップを表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0074】
図1には、無線信号を受信機1.2に送信する送信機1.1が示されている。受信機1.2は送信機1.1のセル内に存在する。この送信は、OFDMベースのシステムにおいてはDFTsOFDMベースの送信である。この例では、送信機1.1は固定局であり、受信機1.2はモバイル端末であり、LTEにおいては、それらは基地局及びユーザ機器と呼ばれる。送信機1.1はモバイル端末とすることもでき、受信機1.2は固定局とすることもできる。
【0075】
送信機1.1は、1つの通信モジュール(COM_trans)1.3と、1つの処理モジュール(PROC_trans)1.4と、メモリユニット(MEMO_trans)1.5とを備える。MEMO_trans1.5は、コンピュータプログラムを取り出す不揮発性ユニットと、シンボル組み込みパラメータを取り出す揮発性ユニットとを備える。PROC_trans1.4は、本発明によるQ個のシンボルを送信するように構成されている。COM_trans1.3は、受信機1.2に無線信号を送信するように構成されている。通信モジュール1.3、処理モジュール1.4及びメモリユニット1.5は、前述したように、Q個のシンボルを送信するデバイスを構成することができる。
【0076】
受信機1.2は、1つの通信モジュール(COM_recei)1.6と、1つの処理モジュール(PROC_recei)1.7と、メモリユニット(MEMO_recei)1.8とを備える。MEMO_recei1.8は、コンピュータプログラムを取り出す不揮発性ユニットを備える。PROC_recei1.7は、無線信号からQ個のシンボルを取り出すように構成されている。COM_recei1.6は、送信機1.1から無線信号を受信するように構成されている。
【0077】
図2には、従来のDFTsOFDM送信機1.1のブロック図が示されている。このようなDFTsOFDM送信機は、シンボルブロック(X、...XM-1)に対してDFTsOFDM方式を適用して無線信号を取得する。このようなDFTsOFDM方式は、DFTの入力に存在するシンボルブロックのPAPRに応じて、小さいピーク対平均電力比(PAPR)を保証するシングルキャリア特性を有する。図2の例では、DFTsOFDM送信機は、1つの送信アンテナTx2.0において放射することによって無線信号を放射する。これは、非限定的であり、DFTsOFDM送信機は、幾つかの送信アンテナを用いることによって送信することもできる。
【0078】
無線信号を提供するために、MサイズDFT(離散フーリエ変換)モジュール2.1がシンボルブロックX=(X,...XM-1)に適用される。シンボルブロックのシンボルは、QPSKデジタル変調方式又はQAMのような他の任意のデジタル変調方式によって取得することもできるし、制御されたPAPRを有する系列(例えば、CAZAC系列)のシンボルとすることもできる。
【0079】
DFTモジュール2.1の出力において、M個の複素シンボルが周波数領域において取得される。これらのシンボルは、
【数66】
である。すなわち、M個の割り当てられたサブキャリアの中の第lのサブキャリアごとに1つの複素シンボルが取得される。これらの複素シンボルは、周波数領域において、サブキャリアマッピングモジュール2.2を用いて、NサイズIDFTモジュール2.3のN個の入力のうちのM個の入力にマッピングされる。このサブキャリアマッピングに関して、複素シンボルのベクトル
【数67】
が、サブキャリアマッピングモジュール2.2を介してN個の存在するサブキャリアのうちのM個の割り当てられたサブキャリアにマッピングされる。このサブキャリアマッピングは、例えば、局在化させることができる。すなわち、ベクトルSのM個の要素は、N個の存在するサブキャリアの中のM個の連続したサブキャリアにマッピングされる。サブキャリアマッピングは、例えば、分散させることができる。すなわち、ベクトルSのM個の要素は、帯域幅全体にわたって等距離にマッピングされ、0が未使用のサブキャリアを占有する。
【0080】
次に、Nサイズ逆DFTモジュール2.3が、サブキャリアマッピングモジュール2.2の結果のベクトル
【数68】
に適用され、その結果、送信アンテナ2.0を介して送信されるDFTsOFDMシンボルが生成される。より正確には、IDFTモジュール2.3の出力において、信号
【数69】
が取得される。この信号は、DFTsOFDMシンボルに対応する時間間隔の間、N個の存在するサブキャリアのうちのM個の割り当てられたサブキャリアを占有する。この信号
【数70】
は、この時間間隔の間、その周波数領域表現が、l=0~M-1を有する各第lの占有されたサブキャリアの複素シンボルSである時間領域信号である。この時間領域信号
【数71】
は、DFTsOFDMシンボルに対応する。したがって、信号
【数72】
内のサンプルは、DFTsOFDMシンボル内のサンプルを指す。
【0081】
IDFTの後、任意選択でサイクリックプレフィックスを付加することができる。
【0082】
図3には、本発明によるシンボルブロック内のQ個のシンボルの局在化の一例が示されている。
【0083】
Q個のシンボルは、コム構造に配置されたこれらのQ個から得られる周波数領域におけるサンプルを取得することを可能にするシンボルブロックX=(X,...XM-1)内の特定の位置に位置決めされる。
【0084】
各シンボルAについて、位相シフトを繰り返したものが、シンボルブロックのシンボル
【数73】
において操作される。すなわち、位置n+mLにおけるシンボル
【数74】
は、ω=ej2π/Mである
【数75】
にそれぞれ設定される。したがって、mが1~K-1であるシンボル
【数76】
は、
【数77】
に設定された
【数78】
から位相シフトを繰り返したものである。したがって、シンボル
【数79】
は、シンボルAのシフトを繰り返したものである。
【0085】
そのようなシンボルブロックに対してMサイズDFTモジュール2.1を適用すると、Q個のシンボル、すなわち、
【数80】
である
【数81】
から(少なくとも部分的に)得られる周波数領域における複素シンボルのみが、第kのコムを占有する複素シンボルとなる。これらの複素シンボルはS、Sk+K、...、Sk+(L-1)Kである。したがって、周波数領域におけるQ個のシンボルのサンプルは、第kのコムのサブキャリアのみを占有する。第kのコム又はコムkは、mが0~K-1であるインデックスk+m・Kのサブキャリアから構成されるサブキャリアコムである。
【0086】
簡略化するために、図3において、Sk+qKは、Q個のシンボルのみから得られるものとみなされる。すなわち、Sk+qK=A’(q)であり、A’(q)は、
【数82】
であるAによって定義される。一方、n+m・Lと異なる位置にあるシンボルが非ゼロ値に設定される場合、これらのシンボルの周波数領域におけるサンプルは、第kのコムのサブキャリアを占有することができる。これらのサンプルは、Q個のシンボルに関して干渉とみなされる。
【0087】
図3の例では、DFTは、Q個のシンボルが事前に組み込まれているシンボルブロックに対して適用される。そのような実施形態は、Q個のシンボルのDFT前組み込みと呼ばれる。
【0088】
図4は、本発明によるQ個のシンボルの組み込みがDFT前組み込みであるDFTsOFDM送信機のブロック図である。
【0089】
適用されるDFTsOFDM方式は、図2において説明したものと同一である。したがって、MサイズDFTモジュール、サブキャリアマッピングモジュール及びNサイズIDFTモジュールが、シンボルブロックX=(X,...XM-1)に連続的に適用され、Txによって放射される無線信号が取得される。Q個のシンボルのDFT前組み込みにおいて前述したのと同様に、シンボル
【数83】
の値は、
【数84】
である
【数85】
に設定される。
【0090】
変調器モジュール4.0は、シンボルブロック内の、
【数86】
である位置n+mLと衝突しない位置に変調シンボルを挿入するように構成されている。加えて、組み込み器モジュール4.1は、
【数87】
に設定されたシンボル
【数88】
をシンボルブロックに加えるように構成されている。組み込み器モジュール4.1は、シンボルブロック内の、
【数89】
である位置n+mLと衝突しない位置への変調シンボルの挿入を回避するように変調器モジュール4.0に通知するように構成することもできるし、変調器モジュール4.0をそのように構成するように構成することもできる。
【0091】
したがって、Q個のシンボルの組み込みに先行して、組み込み器モジュール4.1は、以下のようなシンボルブロック内のQ個の位置nを求める。
【数90】
【0092】
組み込み器モジュール4.1は、
【数91】
である位置nを事前に構成することによって静的な方法で構成することができる。幾つかの構成も事前にプログラミングすることができ、例えば、数Qごとに1つの構成又は数Qごとに限られた数の構成を事前にプログラミングすることができる。構成は、暗黙的な方法で(例えば、送信機によって知られている他のパラメータに基づいて)行うこともできるし、明示的な方法で(例えば、制御チャネルを介して基地局によって与えられる、例えば、命令に基づいて)行うこともできるし、それらの2つを組み合わせたもので行うこともできる。
【0093】
図3に記載した事例では、Q個のシンボルからなる1つのグループのみが本発明に従ってシンボルブロックに組み込まれる。しかしながら、各グループが異なるコムに関係していることを除いて、幾つかのシンボルグループを前述したのと同じ方法で組み込むことができる。
【0094】
個のシンボル
【数92】
からなるK’個のグループがシンボルブロックに組み込まれる場合には、組み込み器モジュール4.1は、1~K’の各pについて、以下のように整数k及びシンボルブロック内のQ個の位置n を求める。
【数93】
及び
【数94】
【0095】
組み込み器モジュール4.1は、次に、
【数95】
に設定されたシンボル
【数96】
をシンボルブロック内の位置n +mLに加えるように構成されている。変調器モジュール4.0は、それに応じて構成される。グループのQ個のシンボルのそれぞれは、その結果、1つのシンボルグループのみが本発明に従って組み込まれる場合と同じ方法で組み込まれる。
【0096】
加えて、DFTが適用されたQ個のシンボルからなる各グループから得られる複素シンボルは、異なるコムのサブキャリア上にある。したがって、Q個のシンボルからなるグループの周波数領域におけるサンプルは第kのコム上にある一方、Q個のシンボルからなるグループの周波数領域におけるサンプルは第kp’のコム上にある。このように、異なるグループのシンボルの周波数領域におけるサンプルは重畳せず、周波数領域において直交している。
【0097】
各シンボルグループの周波数領域直交性のため、各グループからのシンボルは互いに干渉しない。
【0098】
Q個のシンボル(1つのシンボルグループのみが組み込まれている場合)又はQ個のシンボルからなるK’個のグループのシンボルが、完全なシンボルブロックを占有しない場合、そのシンボルブロックの他のシンボルを0に設定することが有利である。前述したように、これによって、シンボルブロックの他のシンボルからの干渉が、組み込まれたシンボルに対して発生することが回避される。変調器モジュール4.0は、次に、シンボルが組み込み器モジュール4.1によって組み込まれていない位置におけるシンボルを0に設定するように構成されている。したがって、この場合には、変調器モジュール4.0の出力におけるシンボルブロックは0のみから構成される。
【0099】
幾つかのシンボルグループが、周波数領域におけるK’個の異なるコムを用いて組み込まれている場合、コムの数K’は、Kよりも小さく設定することができる。すなわち、コムk、...、kK’は、周波数領域における全てのサブキャリアを占有するとは限らず、少なくとも別のコムを形成するサブキャリアのグループは未使用のまま残される。したがって、送信機1.1のような幾つかの送信機が近くにあり、互いの信号に干渉を誘発する可能性があるとき、1つの送信機は、コムk、...、kK’を用いて本発明に従ってシンボルを放射することができ、他の送信機は、異なるコム、すなわち、mが0~L-1であり、kがk、...、kK’と異なるインデックスk+mKを有するサブキャリアを含むコムを用いることができる。したがって、送信機によって放射される無線信号は、周波数領域において直交しており、したがって、それらの無線信号は互いに対する干渉を誘発せず、受信機では、周波数領域において分離するのが容易である。これは、送信機が基地局の同じセル内にいるモバイル端末であり、したがって、組み込みがアップリンク送信において実施されるときに特に関係している。これは、送信機が、例えば、都市部の状況において互いに接近した基地局であるときにも関係している。
【0100】
送信機1.1が全てのサブキャリアを占有するとは限らないコムを用いる実施形態の代替形態として、送信機1.1は、全てのサブキャリアを用いる本発明に従ってシンボルのK’個のグループを組み込む。すなわち、K’=Kである。したがって、サブキャリアのそれぞれは、1つのコムk~kK’に関係したインデックスを有する。これによって、本発明による送信に全てのコムを用いることが可能になる。すなわち、Q個のシンボルからなるK’個のグループのシンボルを送信するために送信において利用可能な全てのサブキャリアを用いることが可能になる。したがって、最大サブキャリアが、Q個のシンボルからなるK’個のグループのシンボルの送信には最大サブキャリアを用いることによって、干渉を低減することが可能になる。
【0101】
又は、他の実施形態と組み合わせて、Q個のシンボルからなるグループからのシンボルは、シンボルブロック内のコム、すなわち、時間領域に配置することができる。すなわち、対
【数97】
ごとに、2つのシンボル
【数98】
及び
【数99】
(Q個のシンボルからなるグループのシンボルを搬送する)が、シンボルブロック内のc-1個の位置から間隔を空けて配置される。すなわち、シンボルブロック内のQ個の位置n は、以下のように求められる。
【数100】
ただし、L=Qcであり、cは正の整数である。したがって、組み込み器モジュール4.1は、これらの求められた位置に従ってシンボルブロック内の位置に、
【数101】
に設定されたシンボル
【数102】
を加えるように構成されている。
【0102】
前述したように、これは、サブキャリアkを占有するQ個のシンボルからなるグループのシンボルの周波数領域におけるサンプルが、サブキャリアk+KQ、k+2KQ、...、k+(c-1)KQを占有するサンプルと同一であることが必要である。シンボルブロック内の他のシンボルが0であるか、又は、他のシンボルも周波数領域においてコムを占有するように配置されている場合、すなわち、他のシンボルからの干渉が発生しない場合には、複素シンボル
【数103】
は同一である。
【0103】
サブキャリアk+Kを占有するQ個のシンボルからなるグループのシンボルの周波数領域におけるサンプルは、サブキャリアk+K(Q+1)、k+K(2Q+1)、...、k+K((c-1)Q+1)を占有するサンプルと同一である。シンボルブロック内の他のシンボルが0であるか、又は、他のシンボルも周波数領域においてコムを占有するように配置されている場合、すなわち、他のシンボルからの干渉が発生しない場合には、複素シンボル
【数104】
は同一である。
【0104】
+2K、...、k+(Q-1)Kを占有するサンプルも同じ方法で繰り返される。
【0105】
その結果、周波数領域において、Q個のシンボルからなるグループのシンボルのサンプルは繰り返し構造を有する。この繰り返し構造によって、シンボルを取り出す計算複雑度が低減される。実際、受信機は、同じ複素シンボルを異なるサブキャリアで数回受信する。これによって、これらの複素シンボルの無線チャネルを通じた送信中の劣化の影響、及び、干渉の影響が低減される。
【0106】
又は、他の実施形態と組み合わせて、Q個のシンボルからなるグループからのシンボルは、シンボルブロック(時間領域)内に隣接して配置することができる。すなわち、各対
【数105】
について、2つのシンボル
【数106】
及び
【数107】
(Q個のシンボルからなるグループのシンボルを搬送する)は、シンボルブロック内の隣接した位置にある。すなわち、
【数108】
である。したがって、組み込み器モジュール4.1は、シンボルブロック内のこれらの求められた位置に従って、
【数109】
に設定されたシンボル
【数110】
を加えるように構成されている。
【0107】
Q(又はQ)個のシンボルは、制御データ、参照信号又はユーザデータ等の任意のシンボルタイプのシンボルとすることができる。Q個のシンボルが参照信号シンボルであるとき、有利には、Q個のシンボルをCAZAC系列として選ぶことができ、有利には、Q個のシンボルをZadoff-Chu系列として選ぶことができる。
【0108】
図5には、本発明によるQ個のシンボルのDFT後組み込みのブロック図が示されている。この実施形態は、以下で説明するように、Q個のシンボルからなるK’個のグループのそれぞれに適用することができる。
【0109】
この実施形態では、シンボルブロックへのQ個のシンボルの組み込みは行われない(すなわち、図4に示すように、シンボルブロックのシンボルの値を直接設定することによって行われない)。組み込みはDFT後に行われる。
【0110】
適用される方式は、図2に示すものと同一であり、したがって、異なるモジュールは、同じ参照符号を用いて参照される。
【0111】
変調器モジュール5.0は、DFTモジュール2.1を適用する前に、
【数111】
であるシンボル
【数112】
の値を0に設定するように構成されている。変調器モジュール5.0は、位置構成を送信することができる組み込み器モジュール5.1によって構成することができる。シンボルブロックの他のシンボルは、変調器モジュール5.0によって自由に設定することができる。
【0112】
この不完全なシンボルブロックXZeroに対してDFTモジュール2.1が適用される。DFTモジュール2.1の出力において、M個の複素シンボルが周波数領域において取得される。これらの複素シンボルは、
【数113】
である。これらのM個の複素シンボルは、DFTモジュール2.1の出力において後続の信号を形成する。
【0113】
組み込み器モジュール5.1は、DFTモジュール2.1の出力において、この後続の信号SZeroに信号SIncorを加える。信号SIncorは、例えば、
【数114】
であるシンボル
【数115】
の事前に計算されたサンプルである。すなわち、シンボルブロック内の
【数116】
であるシンボル
【数117】
の値を設定するのではなく、例えば、これらのシンボルの値が前述したようにDFT前に(シンボルブロックに直接)設定された場合にDFTの出力において取得されたサンプルと同一又は少なくとも同等のサンプルを取得するように、Q個のシンボルのサンプルが計算される。例えば、SIncorは、
【数118】
であるシンボル
【数119】
の値がそれぞれ値
【数120】
に設定されるシンボルブロックにDFTを適用することによって取得することができる。
【0114】
次に、SIncor及びSZeroの和から得られた複素シンボルが、図2において説明したように、サブキャリアマッピングモジュール2.2を用いて、周波数領域においてNサイズIDFTモジュール2.3のN個の入力のうちのM個にマッピングされる。次に、Nサイズ逆DFTモジュール2.3が、サブキャリアマッピングモジュール2.2の結果のベクトル
【数121】
に適用され、その結果、送信アンテナ2.0を介して送信されるDFTsOFDMシンボルが生成される。
【0115】
信号SIncor及びSZeroを加える前に、値が0に設定された
【数122】
であるシンボル
【数123】
の信号SZero内のサンプルが周波数領域においても0に等しいことを確保するために、信号SZeroをフィルタリングすることが有利である。したがって、これによって、信号SIncorに対する信号SZeroの干渉を削減することが可能になる。
【0116】
Q個のシンボルがDFTモジュール2.1の出力(DFT後)において組み込まれる図5の実施形態では、加算器の出力において取得される信号Sは、Q個のシンボルがDFT前に組み込まれたときのDFTモジュール2.1の出力における信号と同一(又は少なくとも同等)である。加えて、加算器の出力において取得される信号Sは、組み込まれていないシンボルを除いて、値が0に設定されたシンボルブロック内のシンボルと、
【数124】
であるシンボル
【数125】
のサンプルの対応する値とによって完全に定義される。
【0117】
したがって、DFT前組み込み(図4)について示した全ての特徴をDFT後組み込みに適用することができる。
【0118】
したがって、図5において説明したように、Q個のシンボルからなる各グループの組み込みは、DFT後に行うことができる。
【0119】
図4の実施形態と同様に、組み込み器モジュール5.1は、
【数126】
である位置nを事前に構成することによって静的な方法で構成することができる。幾つかの構成も事前にプログラミングすることができ、例えば、数Qごとに1つの構成又は数Qごとに限られた数の構成を事前にプログラミングすることができる。構成は、暗黙的な方法で(例えば、送信機によって知られている他のパラメータに基づいて)行うこともできるし、明示的な方法で(例えば、制御チャネルを介して基地局によって与えられる、例えば、命令に基づいて)行うこともできるし、それらの2つを組み合わせたもので行うこともできる。
【0120】
図6には、本発明によるQ個のシンボルのIDFT後組み込みのブロック図が示されている。この実施形態は、以下で説明するように、Q個のシンボルからなるK’個のグループのそれぞれに適用することができる。
【0121】
この実施形態では、シンボルブロックへのQ個のシンボルの組み込みも行われない(すなわち、図4に示すように、シンボルブロックのシンボルの値を直接設定することによって行われない)し、周波数領域へのQ個のシンボルの組み込み(図6に示すように)も行われない。組み込みはIDFT後に行われる。
【0122】
適用される方式は、図2に示すものと同一であり、したがって、異なるモジュールは、同じ参照符号を用いて参照される。
【0123】
変調器モジュール6.0は、DFTモジュール2.1を適用する前に、
【数127】
であるシンボル
【数128】
の値を0に設定するように構成されている。変調器モジュール6.0は、位置構成を送信することができる組み込み器モジュール6.1によって構成することができる。シンボルブロックの他のシンボルは、変調器モジュール6.0によって自由に設定することができる。
【0124】
この不完全なシンボルブロックXZeroに対してDFTモジュール2.1が適用される。DFTモジュール2.1の出力において、M個の複素シンボルが周波数領域において取得される。これらの複素シンボルは、
【数129】
である。
【0125】
これらの複素シンボルは、図2において説明したように、周波数領域においてサブキャリアマッピングモジュール2.2を用いて、NサイズIDFTモジュール2.3のN個の入力のうちのM個にマッピングされる。
【0126】
次に、Nサイズ逆DFTモジュール2.3が、サブキャリアマッピングモジュール2.2の結果のベクトル
【数130】
に適用される。IDFTモジュール2.3の出力において、信号
【数131】
が取得される。この信号
【数132】
は、その周波数領域表現が、l=0~M-1である各第lの占有されたサブキャリアの複素シンボルSl,Zeroである時間領域信号である。
【0127】
これらのM個の複素シンボルは、IDFTモジュール2.3の出力において後続の信号を形成する。
【0128】
組み込み器モジュール5.1は、IDFTモジュール2.3の出力において、この後続の信号
【数133】
に信号
【数134】
を加える。信号
【数135】
は、
【数136】
であるシンボル
【数137】
の事前に計算されたサンプルである。すなわち、シンボルブロック内の
【数138】
であるシンボル
【数139】
の値を設定するのではなく、これらのシンボルの値が前述したようにDFT前に(シンボルブロックに直接)設定された場合にIDFTモジュール2.3の出力において取得されたサンプルと同一又は少なくとも同等のサンプルを取得するように、Q個のシンボルのサンプルが計算される。例えば、SIncorは、
【数140】
であるシンボル
【数141】
の値がそれぞれ値
【数142】
に設定され、他のシンボルの値が0に設定されるシンボルブロックにDFTsOFDM方式(DFTモジュール2.1、サブキャリアマッピングモジュール2.2及びIDFTモジュール2.3)を適用することによって取得することができる。
【0129】
次に、図2において説明したように、
【数143】
及び
【数144】
の和から得られる時間領域信号
【数145】
に対応するDFTsOFDMシンボルが、送信アンテナ2.0を介して送信される。
【0130】
IDFTの後、任意選択でサイクリックプレフィックスを付加することができる。
【0131】
信号
【数146】
及び
【数147】
を加える前に、値が0に設定された
【数148】
であるシンボル
【数149】
の信号
【数150】
内のサンプルも0に等しいことを確保するために、信号
【数151】
をフィルタリングすることが有利である。したがって、これによって、信号
【数152】
に対する信号
【数153】
の干渉を削減することが可能になる。
【0132】
Q個のシンボルがIDFTモジュール2.3の出力(IDFT後)において組み込まれる図6の実施形態では、加算器の出力において取得される信号
【数154】
は、Q個のシンボルがDFT前に組み込まれたときのIDFTモジュール2.3の出力における信号と同一(又は少なくとも同等)である。加えて、加算器の出力において取得される信号
【数155】
は、組み込まれていないシンボルを除いて、値が0に設定されたシンボルブロック内のシンボルと、
【数156】
であるシンボル
【数157】
のサンプルの対応する値とによって完全に定義される。
【0133】
したがって、DFT前組み込み(図4)について示した全ての特徴をIDFT後組み込みに適用することができる。
【0134】
したがって、図6において説明したように、Q個のシンボルからなる各グループの組み込みは、IDFT後に行うことができる。
【0135】
図4の実施形態と同様に、組み込み器モジュール6.1は、
【数158】
である位置nを事前に構成することによって静的な方法で構成することができる。幾つかの構成も事前にプログラミングすることができ、例えば、数Qごとに1つの構成又は数Qごとに限られた数の構成を事前にプログラミングすることができる。構成は、暗黙的な方法で(例えば、送信機によって知られている他のパラメータに基づいて)行うこともできるし、明示的な方法で(例えば、制御チャネルを介して基地局によって与えられる、例えば、命令に基づいて)行うこともできるし、それらの2つを組み合わせたもので行うこともできる。
【0136】
図7.1を参照すると、本発明によるシンボルのDFT前組み込みのステップを表すフローチャートが示されている。
【0137】
ステップS11において、組み込みモジュール4.1は、静的な方法で若しくは動的に(すなわち、組み込みモジュール4.1が、制御チャネルを通じて基地局によって与えられる、例えば、命令に従って再構成される)、又はこれらの2つのものの組み合わせによって構成される。動的な構成の場合、組み込みモジュール4.1は、MEMO_trans1.5に保存された命令に基づいて別の構成を選ぶことができる。実際、幾つかの構成は、組み込みモジュール4.1に事前にパラメータ化しておくことができ、それらの構成は、構成によって組み込まれるシンボルの数Qに従って順序付けることができる。構成は、Q個のシンボルAを搬送するシンボル
【数159】
の、シンボルブロックX内の位置nによる数値Q、M及び/又はLによって定義することができる。
【0138】
組み込みモジュール4.1は、選ばれた構成を変調器モジュール4.0に通知することができ、変調器モジュール4.0が、シンボルブロック内の
【数160】
である位置n+mLと衝突しない位置に変調シンボルを挿入することを可能にする。
【0139】
ステップS12において、組み込みモジュール4.1は、前述したように、
【数161】
である位置n+mLにあるシンボルXの各値をそれぞれ値
【数162】
に設定することによってQ個のシンボルを組み込む。
【0140】
ステップS13において、信号は、前述したように、DFTsOFDM方式をシンボルブロックに適用することによって処理される。
【0141】
ステップS14において、信号はTx2.0によって放射される。
【0142】
図7.2を参照すると、本発明によるシンボルのDFT後組み込みのステップを表すフローチャートが示されている。
【0143】
ステップS21において、組み込みモジュール5.1は、静的な方法で若しくは動的に又はこれらの2つのものの組み合わせによって、図7.1のように構成される。
【0144】
組み込みモジュール5.1は、選ばれた構成を変調器モジュール5.0に通知することができる。
【0145】
ステップS22において、組み込みモジュール5.1の構成に基づいて、変調器モジュール5.0は、図5において前述したように、
【数163】
であり、
【数164】
であるシンボル
【数165】
の値を0に設定する。
【0146】
ステップS23において、DFTモジュール2.1が、図5において前述したように、不完全なシンボルXZeroのブロックに対して適用される。
【0147】
ステップS24において、組み込みモジュール5.1は、図5において説明したように、信号SZeroに信号SIncorを加える。
【0148】
ステップS25において、残りのDFTsOFDM方式(サブキャリアマッピングモジュール2.2、IDFTモジュール2.3)が、SZero及びSIncorの和から得られる信号Sに対して適用される。
【0149】
ステップS26において、信号はTx2.0によって放射される。
【0150】
図7.3を参照すると、本発明によるシンボルのIDFT後組み込みのステップを表すフローチャートが示されている。
【0151】
ステップS31において、組み込みモジュール6.1は、静的な方法で若しくは動的に又はこれらの2つのものの組み合わせによって、図7.1のように構成される。
【0152】
組み込みモジュール6.1は、選ばれた構成を変調器モジュール6.0に通知することができる。
【0153】
ステップS32において、構成に基づいて、変調器モジュール6.0は、図6において前述したように、
【数166】
であり、
【数167】
であるシンボル
【数168】
の値を0に設定する。
【0154】
ステップS33において、信号は処理される。すなわち、シンボル(XZeroのブロックに対して、DFTsOFDM方式(DFTモジュール2.1、サブキャリアマッピングモジュール2.2、IDFTモジュール2.3)が適用される。
【0155】
ステップS34において、組み込みモジュール6.1は、IDFTモジュール2.3の出力信号
【数169】
に、信号
【数170】
を加える。信号
【数171】
は、図6において前述したように計算することができる。
【0156】
ステップS35において、信号はTx2.0によって放射される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7.1】
図7.2】
図7.3】