(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】新規なシクロアルケノン化合物又はその塩
(51)【国際特許分類】
C07C 49/753 20060101AFI20220722BHJP
A61K 31/122 20060101ALI20220722BHJP
A61K 31/16 20060101ALI20220722BHJP
A61K 31/27 20060101ALI20220722BHJP
A61K 31/275 20060101ALI20220722BHJP
A61P 13/10 20060101ALI20220722BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20220722BHJP
A61P 25/02 20060101ALI20220722BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20220722BHJP
A61P 29/02 20060101ALI20220722BHJP
C07C 235/80 20060101ALI20220722BHJP
C07C 255/31 20060101ALI20220722BHJP
C07C 271/12 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
C07C49/753 A CSP
A61K31/122
A61K31/16
A61K31/27
A61K31/275
A61P13/10
A61P21/00
A61P25/02
A61P25/28
A61P29/02
C07C235/80
C07C255/31
C07C271/12
(21)【出願番号】P 2022518890
(86)(22)【出願日】2021-08-06
(86)【国際出願番号】 JP2021029246
(87)【国際公開番号】W WO2022030606
(87)【国際公開日】2022-02-10
【審査請求日】2022-03-23
(31)【優先権主張番号】P 2020135328
(32)【優先日】2020-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000207827
【氏名又は名称】大鵬薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】重野 和彦
(72)【発明者】
【氏名】野間 崇央
(72)【発明者】
【氏名】箱崎 敦志
【審査官】二星 陽帥
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-515058(JP,A)
【文献】特開2002-241271(JP,A)
【文献】特表2019-504018(JP,A)
【文献】特表2011-513423(JP,A)
【文献】特表2015-533794(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 49/753 - 271/12
A61K 31/122 - 31/275
A61P 13/10 - 29/02
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)
【化1】
(式中、Xは、-CH
2-、-CH(CH
3)-、-CH
2-CH
2-、又は-CH=CH-であり、
R
1は、-CH
2OR
4、-CH
2OCON(R
5)
2、-CONHR
6、又はシアノ基であり、
R
2は、同一又は相異なって、水素原子、若しくはメチル基であるか、又は2個のR
2が隣接する炭素原子と共にシクロプロピル基を形成しても良く、
R
3は、水素原子、メチル基、-CH
2OR
7、又はハロゲン原子であり、
R
4は、C
mH
2m+1であり、
R
5は、同一又は相異なって、水素原子、又はメチル基であり、
R
6は、水素原子、又はメチル基であり、
R
7は、C1-C3アルキル基であり、
mは、1~14の整数であり、
nは、1
1~1
4の整数であり、
ただし、
R
4が直鎖状のアルキル基である場合、mとnの合計は、12~17の整数であり、R
4が分岐鎖状のアルキル基である場合、前記分岐鎖状のアルキル基の最も長い直鎖の炭素数をm
bとし、m
bとnの合計は、12~17の整数である。)で表される化合物又はその塩。
【請求項2】
下記一般式(I)
【化2】
(式中、Xは、-CH
2-、-CH(CH
3)-、-CH
2-CH
2-、又は-CH=CH-であり、
R
1は、-CH
2OR
4、-CH
2OCON(R
5)
2、-CONHR
6、又はシアノ基であり、
R
2は、同一又は相異なって、水素原子、若しくはメチル基であるか、又は2個のR
2が隣接する炭素原子と共にシクロプロピル基を形成しても良く、
R
3は、水素原子、メチル基、-CH
2OR
7、又はハロゲン原子であり、
R
4は、C
mH
2m+1であり、
R
5は、同一又は相異なって、水素原子、又はメチル基であり、
R
6は、水素原子、又はメチル基であり、
R
7は、C1-C3アルキル基であり、
mは、1~14の整数であり、
nは、1
1~14の整数であり、
ただし、
R
4が直鎖状のアルキル基である場合、mとnの合計は、12~15の整数であり、R
4が分岐鎖状のアルキル基である場合、分岐鎖のアルキル基の最も長い直鎖の炭素数をm
bとし、m
bとnの合計は、12~15の整数である。)で表される化合物又はその塩。
【請求項3】
下記一般式(I)
【化3】
(式中、Xは、-CH
2-、-CH(CH
3)-、-CH
2-CH
2-、又は-CH=CH-であり、
R
1は、-CH
2OR
4、-CH
2OCON(CH
3)
2、-CONHR
6、又はシアノ基であり、
R
2は、同一又は相異なって、水素原子、若しくはメチル基であるか、又は2個のR
2が隣接する炭素原子と共にシクロプロピル基を形成しても良く、
R
3は、水素原子、メチル基、-CH
2OCH
3、又はヨウ素原子であり、
ただし、
R
2が同一又は相異なって、水素原子、若しくはメチル基である場合、R
3は、水素原子、メチル基、-CH
2OCH
3、又はヨウ素原子であり、
2個のR
2が隣接する炭素原子と共にシクロプロピル基を形成する場合、R
3は、メチル基、-CH
2OCH
3、又はヨウ素原子であり、
R
4は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、又はイソプロピル基であり、
nは、11~14の整数であり、
ただし、
R
4がメチル基である場合、nは、11~14の整数であり、
R
4がエチル基、又はイソプロピル基である場合、nは、11~13の整数であり、
R
4がn-プロピル基である場合、nは、11又は12であり、
R
6は、水素原子、又はメチル基である。)で表される化合物又はその塩。
【請求項4】
一般式(I)中、
Xは、-CH
2-、-CH
2-CH
2-、又は-CH=CH-である、請求項1~3のいずれか1項記載の化合物又はその塩。
【請求項5】
一般式(I)中、
R
1は、-CH
2OR
4、-CONH
2、又はシアノ基であり、
R
2は、同一又は相異なって、水素原子、又はメチル基であるか、又は2個のR
2が隣接する炭素原子と共にシクロプロピル基を形成しても良く、
R
3は、水素原子、メチル基、-CH
2OCH
3、又はヨウ素原子であり、
ただし、
R
3が水素原子である場合、R
2は水素原子であり、
R
3がメチル基、-CH
2OCH
3、又はヨウ素原子である場合、R
2は同一又は相異なって、水素原子、又はメチル基であるか、又は2個のR
2が隣接する炭素原子と共にシクロプロピル基を形成しても良く、
R
4は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、又はイソプロピル基であり、
nは、11~14の整数であり、
ただし、
R
4がメチル基である場合、nは、11~14の整数であり、
R
4がエチル基、又はイソプロピル基である場合、nは、11~13の整数であり、
R
4がn-プロピル基である場合、nは、11又は12である、請求項1~4のいずれか1項記載の化合物又はその塩。
【請求項6】
一般式(I)中、
Xは、-CH
2-、又は-CH
2-CH
2-であり、
R
1は、-CH
2OR
4、又は-CONH
2であり、
R
2は、メチル基であり、
R
3は、メチル基、又は-CH
2OCH
3であり、
R
4は、メチル基、エチル基、又はイソプロピル基であり、
nは、11~14の整数であり、
ただし、
R
4がメチル基である場合、nは、11~14の整数であり、
R
4がエチル基、又はイソプロピル基である場合、nは、11~13の整数である、請求項1~5のいずれか1項記載の化合物又はその塩。
【請求項7】
一般式(I)中、
Xは、-CH
2-CH
2-である、請求項1~6のいずれか1項記載の化合物又はその塩。
【請求項8】
化合物が、次の(1)~(10)のいずれかに記載の化合物である、請求項1~7のいずれか1項記載の化合物又はその塩。
(1)3-(12-メトキシドデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、
(2)3-(12-エトキシドデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、
(3)3-(12-イソプロポキシドデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、
(4)3-(13-メトキシトリデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、
(5)3-(13-エトキシトリデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、
(6)3-(13-イソプロポキシトリデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、
(7)3-(14-メトキシテトラデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、
(8)3-(14-エトキシテトラデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、
(9)3-(14-イソプロポキシテトラデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、
(10)3-(15-メトキシペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン。
【請求項9】
化合物が、3-(15-メトキシペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オンである、請求項1~8のいずれか1項記載の化合物又はその塩。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項記載の化合物又はその塩を有効成分として含有する神経突起成長剤。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか1項記載の化合物又はその塩を有効成分として含有する神経変性疾患治療剤。
【請求項12】
請求項1~9のいずれか1項記載の化合物又はその塩を有効成分として含有する筋萎縮性側索硬化症治療剤。
【請求項13】
請求項1~9のいずれか1項記載の化合物又はその塩を有効成分として含有する疼痛治療剤。
【請求項14】
請求項1~9のいずれか1項記載の化合物又はその塩を有効成分として含有する下部尿路障害治療剤。
【請求項15】
請求項1~9のいずれか1項記載の化合物又はその塩と、薬学的担体とを含有する医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、神経成長促進作用を有する新規なシクロアルケノン化合物又はその塩、及びこれを有効成分として含有する医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
神経変性疾患は、その障害される神経の部位によって中枢性と末梢性に大別される。中枢性神経の代表的な疾患として、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、脳脊髄損傷などがある。一方、末梢性神経が障害される代表的な疾患には、神経障害性疼痛や感覚鈍磨などの知覚神経障害と便秘や排尿障害などを伴う自律神経障害がある。神経変性疾患における病態の発症機序は様々であるが、神経突起の変性・萎縮や神経細胞死が起きると考えられている。それらの疾患に対して、神経障害を改善する根本的な治療薬は乏しいのが現状である。
【0003】
特許文献1には、3-(15-ヒドロキシペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オンが、神経成長促進作用を示し、認知症等の脳疾患予防・治療用の医薬として有用であることが開示され、特許文献2には同化合物が排尿障害治療剤として有用であることが開示されている。しかしながら、3-(15-ヒドロキシペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オンは、通常処方において薬物動態が不十分である(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開WO1999/008987号公報
【文献】国際公開WO2002/066024号公報
【文献】国際公開WO2013/147072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の課題は、優れた神経突起成長作用を有する新規化合物又はその塩、及びこれを含有する医薬組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、一般式(I)で表されるシクロアルケノン化合物が、神経成長促進作用(神経突起成長作用及び/又は有突起細胞割合を増加させる作用)を有し、神経変性疾患を含む神経成長の促進により改善する疾患、疼痛及び/又は下部尿路障害を治療するための医薬として有用であることを見出した。
【0007】
すなわち、本開示は、以下の〔1〕~〔15〕を提供する。〔1〕下記一般式(I)
【0008】
【化1】
(式中、Xは、-CH
2-、-CH(CH
3)-、-CH
2-CH
2-、又は-CH=CH-であり、
R
1は、-CH
2OR
4、-CH
2OCON(R
5)
2、-CONHR
6、又はシアノ基であり、
R
2は、同一又は相異なって、水素原子、若しくはメチル基であるか、又は2個のR
2が隣接する炭素原子と共にシクロプロピル基を形成しても良く、
R
3は、水素原子、メチル基、-CH
2OR
7、又はハロゲン原子であり、
R
4は、C
mH
2m+1であり、
R
5は、同一又は相異なって、水素原子、又はメチル基であり、
R
6は、水素原子、又はメチル基であり、
R
7は、C1-C3アルキル基であり、
mは、1~14の整数であり、
nは、1~15の整数であり、
ただし、
R
4が直鎖状のアルキル基である場合、mとnの合計は、12~17の整数であり、R
4が分岐鎖状のアルキル基である場合、前記分岐鎖状のアルキル基の最も長い直鎖の炭素数をm
bとし、m
bとnの合計は、12~17の整数である。)で表される化合物又はその塩。
【0009】
〔2〕下記一般式(I)
【0010】
【化2】
(式中、Xは、-CH
2-、-CH(CH
3)-、-CH
2-CH
2-、又は-CH=CH-であり、
R
1は、-CH
2OR
4、-CH
2OCON(R
5)
2、-CONHR
6、又はシアノ基であり、
R
2は、同一又は相異なって、水素原子、若しくはメチル基であるか、又は2個のR
2が隣接する炭素原子と共にシクロプロピル基を形成しても良く、
R
3は、水素原子、メチル基、-CH
2OR
7、又はハロゲン原子であり、
R
4は、C
mH
2m+1であり、
R
5は、同一又は相異なって、水素原子、又はメチル基であり、
R
6は、水素原子、又はメチル基であり、
R
7は、C1-C3アルキル基であり、
mは、1~14の整数であり、
nは、1~14の整数であり、
ただし、
R
4が直鎖状のアルキル基である場合、mとnの合計は、12~15の整数であり、R
4が分岐鎖状のアルキル基である場合、前記分岐鎖状のアルキル基の最も長い直鎖の炭素数をm
bとし、m
bとnの合計は、12~15の整数である。)で表される化合物又はその塩。
【0011】
〔3〕下記一般式(I)
【0012】
【化3】
(式中、Xは、-CH
2-、-CH(CH
3)-、-CH
2-CH
2-、又は-CH=CH-であり、
R
1は、-CH
2OR
4、-CH
2OCON(CH
3)
2、-CONHR
6、又はシアノ基であり、
R
2は、同一又は相異なって、水素原子、若しくはメチル基であるか、又は2個のR
2が隣接する炭素原子と共にシクロプロピル基を形成しても良く、
R
3は、水素原子、メチル基、-CH
2OCH
3、又はヨウ素原子であり、
ただし、
R
2が同一又は相異なって、水素原子、若しくはメチル基である場合、R
3は、水素原子、メチル基、-CH
2OCH
3、又はヨウ素原子であり、
2個のR
2が隣接する炭素原子と共にシクロプロピル基を形成する場合、R
3は、メチル基、-CH
2OCH
3、又はヨウ素原子であり、
R
4は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、又はイソプロピル基であり、
ただし、
R
4がメチル基である場合、nは、11~14の整数であり、
R
4がエチル基、又はイソプロピル基である場合、nは、11~13の整数であり、
R
4がn-プロピル基である場合、nは、11又は12であり、
R
6は、水素原子、又はメチル基である。)で表される化合物又はその塩。
【0013】
〔4〕一般式(I)中、
Xは、-CH2-CH2-、-CH2-CH2-、又は-CH=CH-である、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の化合物又はその塩。
【0014】
〔5〕一般式(I)中、
R1は、-CH2OR4、-CONH2、又はシアノ基であり、
R2は、同一又は相異なって、水素原子、又はメチル基であるか、又は2個のR2が隣接する炭素原子と共にシクロプロピル基を形成しても良く、
R3は、水素原子、メチル基、-CH2OCH3、又はヨウ素原子であり、
ただし、
R3が水素原子である場合、R2は水素原子であり、
R3がメチル基、-CH2OCH3、又はヨウ素原子である場合、R2は同一又は相異なって、水素原子、又はメチル基であるか、又は2個のR2が隣接する炭素原子と共にシクロプロピル基を形成しても良く、
R4は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、又はイソプロピル基であり、
ただし、
R4がメチル基である場合、nは、11~14の整数であり、
R4がエチル基、又はイソプロピル基である場合、nは、11~13の整数であり、
R4がn-プロピル基である場合、nは、11又は12である、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の化合物又はその塩。
【0015】
〔6〕一般式(I)中、
Xは、-CH2-、又は-CH2-CH2-であり、
R1は、-CH2OR4、又は-CONH2であり、
R2は、メチル基であり、
R3は、メチル基、又は-CH2OCH3であり、
R4は、メチル基、エチル基、又はイソプロピル基であり、
ただし、
R4がメチル基である場合、nは、11~14の整数であり、
R4がエチル基、又はイソプロピル基である場合、nは、11~13の整数である、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の化合物又はその塩。
【0016】
〔7〕一般式(I)中、
Xは、-CH2-CH2-である、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の化合物又はその塩。
【0017】
〔8〕化合物が、次の(1)~(10)のいずれかに記載の化合物である、〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の化合物又はその塩。
(1)3-(12-メトキシドデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、
(2)3-(12-エトキシドデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、
(3)3-(12-イソプロポキシドデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、
(4)3-(13-メトキシトリデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、
(5)3-(13-エトキシトリデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、
(6)3-(13-イソプロポキシトリデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、
(7)3-(14-メトキシテトラデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、
(8)3-(14-エトキシテトラデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、
(9)3-(14-イソプロポキシテトラデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、
(10)3-(15-メトキシペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン。
【0018】
〔9〕化合物が、3-(15-メトキシペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オンである、〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の化合物又はその塩。
【0019】
〔10〕〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の化合物又はその塩を有効成分として含有する神経成長促進剤。
【0020】
〔11〕〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の化合物又はその塩を有効成分として含有する神経変性疾患治療剤。
【0021】
〔12〕〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の化合物又はその塩を有効成分として含有する筋萎縮性側索硬化症治療剤。
【0022】
〔13〕〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の化合物又はその塩を有効成分として含有する疼痛治療剤。
【0023】
〔14〕〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の化合物又はその塩を有効成分として含有する下部尿路障害治療剤。
【0024】
〔15〕〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の化合物又はその塩と、薬学的担体とを含有する医薬組成物。
【発明の効果】
【0025】
本開示によれば、神経成長促進作用を有する化合物として有用な上記一般式(I)で表される新規化合物又はその塩が提供される。また、優れた薬物動態及び/又は排尿機能の改善作用を有する化合物として有用な上記一般式(I)で表される新規化合物又はその塩が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】各群における残尿量のグラフ。数値は平均±S.E.を示す。各群のn数は、左から右へ10, 10, 12及び12。
* :p<0.05, ダネット検定によりVehicleに対して有意差を示すN.S.:ダネット検定によりVehicleに対して有意差を示さない# :p<0.05, Student t検定により化合物24に対して有意差を示す## :p<0.01, Student t検定によりVehicleに対して有意差を示す
【発明を実施するための形態】
【0027】
本開示の一般式(I)で示される化合物は、いずれの先行文献にも記載されていない新規の化合物である。
【0028】
本開示の一般式(I)で表される化合物において、Xは、-CH2-、-CH(CH3)-、-CH2-CH2-、又は-CH=CH-であり、好ましくは-CH2-、-CH(CH3)-、又は-CH2-CH2-である。
本開示の1つの態様において、本開示の一般式(I)で表される化合物において、Xは、-CH2-、-CH2-CH2-、又は-CH=CH-である。Xは、好ましくは-CH2-、又は-CH2-CH2-であり、より好ましくは-CH2-CH2-である。
【0029】
本開示の一般式(I)で表される化合物において、R1は、-CH2OR4、-CH2OCON(R5)2、-CONHR6、又はシアノ基である。R1は、好ましくは-CH2OR4、-CH2OCON(CH3)2、-CONHR6、又はシアノ基であり、より好ましくは-CH2OR4、-CONH2、又はシアノ基であり、より好ましくは-CH2OCH3、-CH2OC2H5、-CH2OCH(CH3)2、-CH2OCH2CH2CH3、-CONH2、又はシアノ基であり、より好ましくは-CH2OCH3、-CH2OC2H5、又は-CH2OCH(CH3)2、-CH2OCH2CH2CH3であり、最も好ましくは-CH2OCH3である。
【0030】
本開示の一般式(I)で表される化合物において、R2は、同一又は相異なって、水素原子、若しくはメチル基であるか、又は2個のR2が隣接する炭素原子と共にシクロプロピル基を形成しても良い。R2は、好ましくは同一又は相異なって、水素原子、又はメチル基であり、より好ましくはメチル基である。
【0031】
本開示の一般式(I)で表される化合物において、R3は、水素原子、メチル基、-CH2OR8、又はハロゲン原子である。
【0032】
R3で示される「ハロゲン原子」は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、好ましくはヨウ素原子である。
【0033】
R3は、好ましくは水素原子、メチル基、-CH2OCH3、又はハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、メチル基、-CH2OCH3、又はヨウ素原子であり、より好ましくはメチル基、-CH2OCH3、又はヨウ素原子であり、より好ましくはメチル基、又は-CH2OCH3であり、最も好ましくはメチル基である。
【0034】
本開示の1つの態様において、R2が同一又は相異なって、水素原子、若しくはメチル基である場合、R3は水素原子、メチル基、-CH2OCH3、又はヨウ素原子である。本開示の別の態様において、2個のR2が隣接する炭素原子と共にシクロプロピル基を形成する場合、R3はメチル基、-CH2OCH3、又はヨウ素原子である。R3は、好ましくはR2が同一又は相異なって、水素原子、若しくはメチル基である場合、水素原子、メチル基、-CH2OCH3、又はヨウ素原子である。本開示のまた別の態様において、2個のR2が隣接する炭素原子と共にシクロプロピル基を形成する場合、R3はメチル基である。
【0035】
本開示の一般式(I)で表される化合物において、R4は、CmH2m+1である。R4は、好ましくはメチル基、エチル基、n-プロピル基、又はイソプロピル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、又はイソプロピル基であり、より好ましくはメチル基である。
【0036】
本開示の一般式(I)で表される化合物において、mは、1~14の整数である。mは好ましくは1~3の整数である。
【0037】
本開示の一般式(I)で表される化合物において、nは、1~15の整数である。nは好ましくは1~14の整数であり、より好ましくは11~14の整数である。好ましくは、R4がメチル基である場合、nは11~14の整数である。好ましくは、R4がエチル基、又はイソプロピル基である場合、11~13の整数である。好ましくは、R4がn-プロピル基である場合、11又は12である。
【0038】
本開示の一般式(I)で表される化合物において、R4が直鎖状のアルキル基である場合、mとnの合計は、12~17の整数であり、R4が分岐鎖状のアルキル基である場合、分岐鎖状アルキル基の最も長い直鎖の炭素数をmbとし、mbとnの合計は、12~17の整数である。より好ましくは、R4が直鎖状のアルキル基である場合、mとnの合計は、12~15の整数であり、R4が分岐鎖状のアルキル基である場合、分岐鎖状のアルキル基の最も長い直鎖の炭素数をmbとし、mbとnの合計は、12~15の整数である。
【0039】
本開示の一般式(I)で表される化合物において、mbとは、R4が分岐鎖状のアルキル基である場合に、分岐鎖状アルキル基の最も長い直鎖の炭素数を示す整数である。例えば、mが3である場合、R4がイソプロピル基であれば、mbは2である。また、mが4である場合、R4がsec-ブチル基、又はイソブチル基であれば、mbは3であり、tert-ブチル基であれば、mbは2である。
【0040】
本開示の一般式(I)で表される化合物において、R5は、同一又は相異なって、水素原子、又はメチル基である。R5は、好ましくはメチル基である。
【0041】
本開示の一般式(I)で表される化合物において、R6は、水素原子、又はメチル基である。R6は、好ましくは水素原子である。
【0042】
本開示の一般式(I)で表される化合物において、R7は、C1-C3アルキル基であり、好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基であり、より好ましくはメチル基である。
【0043】
一般式(I)で表されるより化合物において、好ましい化合物は以下を満たす:
Xは、-CH2-、-CH2-CH2-、又は-CH=CH-であり、
R1は、-CH2OR4、-CH2OCON(CH3)2、-CONHR6、又はシアノ基であり、
R2は、同一又は相異なって、水素原子、若しくはメチル基であるか、又は2個のR2が隣接する炭素原子と共にシクロプロピル基を形成しても良く、
R3は、水素原子、メチル基、-CH2OCH3、又はヨウ素原子であり、
ただし、
R2が同一又は相異なって、水素原子、若しくはメチル基である場合、R3は、水素原子、メチル基、-CH2OCH3、又はヨウ素原子であり、
2個のR2が隣接する炭素原子と共にシクロプロピル基を形成する場合、R3は、メチル基、-CH2OCH3、又はヨウ素原子であり、
R4は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、又はイソプロピル基であり、
ただし、
R4がメチル基である場合、nは、11~14の整数であり、
R4がエチル基、又はイソプロピル基である場合、nは、11~13の整数であり、
R4がn-プロピル基である場合、nは、11又は12であり、
R6は、水素原子、又はメチル基である。
【0044】
一般式(I)で表される化合物において、より好ましい化合物は以下を満たす:
Xは、-CH2-、-CH2-CH2-、又は-CH=CH-であり、
R1は、-CH2OR4、-CONH2、又はシアノ基であり、
R2は、同一又は相異なって、水素原子、又はメチル基であるか、又は2個のR2が隣接する炭素原子と共にシクロプロピル基を形成しても良く、
R3は、水素原子、メチル基、-CH2OCH3、又はヨウ素原子であり、
ただし、
R3が水素原子である場合、R2は水素原子であり、
R3がメチル基、-CH2OCH3、又はヨウ素原子である場合、R2は同一又は相異なって、水素原子、又はメチル基であるか、又は2個のR2が隣接する炭素原子と共にシクロプロピル基を形成しても良く、
R4は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、又はイソプロピル基であり、
ただし、
R4がメチル基である場合、nは、11~14の整数であり、
R4がエチル基、又はイソプロピル基である場合、nは、11~13の整数であり、
R4がn-プロピル基である場合、nは、11又は12である。
【0045】
一般式(I)で表される化合物において、より好ましい化合物は以下を満たす:
Xは、-CH2-、又は-CH2-CH2-であり、
R1は、-CH2OR4、-CONH2、又はシアノ基であり、
R2は、同一又は相異なって、水素原子、又はメチル基であるか、又は2個のR2が隣接する炭素原子と共にシクロプロピル基を形成しても良く、
R3は、水素原子、メチル基、-CH2OCH3、又はヨウ素原子であり、
ただし、
R3が水素原子である場合、R2は水素原子であり、
R3がメチル基、-CH2OCH3、又はヨウ素原子である場合、R2は同一又は相異なって、水素原子、又はメチル基であるか、又は2個のR2が隣接する炭素原子と共にシクロプロピル基を形成しても良く、
R4は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、又はイソプロピル基であり、
ただし、
R4がメチル基である場合、nは、11~14の整数であり、
R4がエチル基、又はイソプロピル基である場合、nは、11~13の整数であり、
R4がn-プロピル基である場合、nは、11又は12である。
【0046】
一般式(I)で表される化合物において、より好ましい化合物は以下を満たす:
Xは、-CH2-CH2-であり、
R1は、-CH2OR4、-CONH2、又はシアノ基であり、
R2は、同一又は相異なって、水素原子、又はメチル基であるか、又は2個のR2が隣接する炭素原子と共にシクロプロピル基を形成しても良く、
R3は、水素原子、メチル基、-CH2OCH3、又はヨウ素原子であり、
ただし、
R3が水素原子である場合、R2は水素原子であり、 R3がメチル基、-CH2OCH3、又はヨウ素原子である場合、R2は同一又は相異なって、水素原子、又はメチル基であるか、又は2個のR2が隣接する炭素原子と共にシクロプロピル基を形成しても良く、
R4は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、又はイソプロピル基であり、
ただし、
R4がメチル基である場合、nは、11~14の整数であり、
R4がエチル基、又はイソプロピル基である場合、nは、11~13の整数であり、
R4がn-プロピル基である場合、nは、11又は12である。
【0047】
一般式(I)で表される化合物において、より好ましい化合物は以下を満たす:
Xは、-CH2-CH2-であり、
R1は、-CH2OR4、又は-CONH2であり、
R2は、メチル基であり、
R3は、メチル基であり、R4は、メチル基、エチル基、又はイソプロピル基であり、ただし、
R4がメチル基である場合、nは、11~14の整数であり、
R4がエチル基、又はイソプロピル基である場合、nは、11~13の整数である。
【0048】
一般式(I)で表される化合物において、より好ましい化合物は以下を満たす:
Xは、-CH2-CH2-であり、
R1は、-CH2OR4であり、
R2は、メチル基であり、
R3は、メチル基であり、R4は、メチル基、エチル基、又はイソプロピル基であり、ただし、
R4がメチル基である場合、nは、11~14の整数であり、
R4がエチル基、又はイソプロピル基である場合、nは、11~13の整数である。
【0049】
本開示の態様の1つにおいて、一般式(I)で表される好ましい化合物は以下を満たす:
Xは、-CH2-CH2-であり、
R1は、-CH2OR4、-CH2OCON(CH3)2、-CONHR6、又はシアノ基であり、
R2は、同一又は相異なって、水素原子、若しくはメチル基であるか、又は2個のR2が隣接する炭素原子と共にシクロプロピル基を形成しても良く、
R3は、水素原子、メチル基、-CH2OR7、又はヨウ素原子であり、
ただし、
R2が同一又は相異なって、水素原子、若しくはメチル基である場合、R3は、水素原子、メチル基、-CH2OR7、又はハロゲン原子であり、 2個のR2が隣接する炭素原子と共にシクロプロピル基を形成する場合、R3は、メチル基、-CH2OR7、又はハロゲン原子であり、
R4は、CmH2m+1であり、
R6は、水素原子、又はメチル基であり、
R7は、C1-C3アルキル基であり、
mは、1~14の整数であり、
nは、1~14の整数であり、
ただし、
mが1~14の整数であって、かつR4が直鎖状のアルキル基である場合、mとnの合計は、12~15の整数であり、mが1~14の整数であって、かつR4が分岐鎖状のアルキル基である場合、分岐鎖状アルキル基の最も長い直鎖の炭素数をmbとし、mbとnの合計は、12~15の整数である。
【0050】
本開示の態様の1つにおいて、一般式(I)で表される好ましい化合物は以下を満たす:
Xは、-CH2-CH2-であり、
R1は、-CH2OR4、-CH2OCON(CH3)2、-CONHR6、又はシアノ基であり、
R2は、同一又は相異なって、水素原子、若しくはメチル基であるか、又は2個のR2が隣接する炭素原子と共にシクロプロピル基を形成しても良く、
R3は、水素原子、メチル基、-CH2OCH3、又はヨウ素原子であり、
ただし、
R2が同一又は相異なって、水素原子、若しくはメチル基である場合、R3は、水素原子、メチル基、-CH2OCH3、又はヨウ素原子であり、 2個のR2が隣接する炭素原子と共にシクロプロピル基を形成する場合、R3は、メチル基、-CH2OCH3、又はヨウ素原子であり、
R4は、CmH2m+1であり、
R6は、水素原子、又はメチル基であり、
mは、1~14の整数であり、
nは、1~14の整数であり、
ただし、
mが1~14の整数であって、かつR4が直鎖状のアルキル基である場合、mとnの合計は、12~15の整数であり、mが1~14の整数であって、かつR4が分岐鎖状のアルキル基である場合、分岐鎖状のアルキル基の最も長い直鎖の炭素数をmbとし、mbとnの合計は、12~15の整数である。
【0051】
本開示の態様の1つにおいて、一般式(I)で表される好ましい化合物は以下を満たす:
Xは、-CH2-CH2-であり、
R1は、-CH2OR4、-CH2OCON(CH3)2、-CONHR6、又はシアノ基であり、
R2は、同一又は相異なって、水素原子、若しくはメチル基であるか、又は2個のR2が隣接する炭素原子と共にシクロプロピル基を形成しても良く、
R3は、水素原子、メチル基、-CH2OCH3、又はヨウ素原子であり、
ただし、
R2が同一又は相異なって、水素原子、若しくはメチル基である場合、R3は、水素原子、メチル基、-CH2OCH3、又はヨウ素原子であり、 2個のR2が隣接する炭素原子と共にシクロプロピル基を形成する場合、R3は、メチル基、-CH2OCH3、又はヨウ素原子であり、
R4は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、又はイソプロピル基であり、
ただし、
R4がメチル基である場合、nは、11~14の整数であり、
R4がエチル基、又はイソプロピル基である場合、nは、11~13の整数であり、
R4がn-プロピル基である場合、nは、11又は12であり、
R6は、水素原子、又はメチル基である。
【0052】
本開示の態様の1つにおいて、一般式(I)で表されるより好ましい化合物は、以下を満たす:
Xは、-CH2-CH2-であり、
R1は、-CH2OR4、-CONH2、又はシアノ基であり、
R2は、同一又は相異なって、水素原子、又はメチル基であるか、又は2個のR2が隣接する炭素原子と共にシクロプロピル基を形成しても良く、
R3は、水素原子、メチル基、-CH2OCH3、又はヨウ素原子であり、
ただし、
R3が水素原子である場合、R2は水素原子であり、
R3がメチル基、-CH2OCH3、又はヨウ素原子である場合、R2は同一又は相異なって、水素原子、又はメチル基であるか、又は2個のR2が隣接する炭素原子と共にシクロプロピル基を形成しても良く、R4は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、又はイソプロピル基であり、
ただし、
R4がメチル基である場合、nは、11~14の整数であり、
R4がエチル基、又はイソプロピル基である場合、nは、11~13の整数であり、 R4がn-プロピル基である場合、nは、11又は12である。
【0053】
本開示の態様の1つにおいて、一般式(I)で表される好ましい化合物は以下を満たす:
Xは、-CH2-、-CH(CH3)-、-CH2-CH2-、又は-CH=CH-であり、
R1は、-CH2OR4、-CH2OCON(CH3)2、-CONHR6、又はシアノ基であり、
R2は、同一又は相異なって、水素原子、若しくはメチル基であるか、又は2個のR2が隣接する炭素原子と共にシクロプロピル基を形成しても良く、
R3は、水素原子、メチル基、-CH2OCH3、又はヨウ素原子であり、
ただし、
R2が同一又は相異なって、水素原子、若しくはメチル基である場合、R3は、水素原子、メチル基、-CH2OCH3、又はヨウ素原子であり、 2個のR2が隣接する炭素原子と共にシクロプロピル基を形成する場合、R3は、メチル基、-CH2OCH3、又はヨウ素原子であり、
R4は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、又はイソプロピル基であり、
ただし、
R4がメチル基である場合、nは、11~14の整数であり、
R4がエチル基、又はイソプロピル基である場合、nは、11~13の整数であり、
R4がn-プロピル基である場合、nは、11又は12であり、
R6は、水素原子、又はメチル基である。
【0054】
本開示の態様の1つにおいて、一般式(I)で表される好ましい化合物は以下を満たす:
Xは、-CH2-、-CH(CH3)-、-CH2-CH2-、又は-CH=CH-であり、
R1は、-CH2OR4、-CONH2、又はシアノ基であり、
R2は、同一又は相異なって、水素原子、又はメチル基であるか、又は2個のR2が隣接する炭素原子と共にシクロプロピル基を形成しても良く、
R3は、水素原子、メチル基、-CH2OCH3、又はヨウ素原子であり、
ただし、
R3が水素原子である場合、R2は水素原子であり、
R3がメチル基、-CH2OCH3、又はヨウ素原子である場合、R2は同一又は相異なって、水素原子、又はメチル基であるか、又は2個のR2が隣接する炭素原子と共にシクロプロピル基を形成しても良く、
R4は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、又はイソプロピル基であり、
ただし、
R4がメチル基である場合、nは、11~14の整数であり、
R4がエチル基、又はイソプロピル基である場合、nは、11~13の整数であり、
R4がn-プロピル基である場合、nは、11又は12である。
【0055】
本開示の態様の1つにおいて、一般式(I)で表される好ましい化合物は以下を満たす:
Xは、-CH2-、-CH(CH3)-、又は-CH2-CH2-であり、
R1は、-CH2OR4、-CONH2、又はシアノ基であり、
R2は、同一又は相異なって、水素原子、又はメチル基であるか、又は2個のR2が隣接する炭素原子と共にシクロプロピル基を形成しても良く、
R3は、水素原子、メチル基、-CH2OCH3、又はヨウ素原子であり、
ただし、
R3が水素原子である場合、R2は水素原子であり、
R3がメチル基、-CH2OCH3、又はヨウ素原子である場合、R2は同一又は相異なって、水素原子、又はメチル基であるか、又は2個のR2が隣接する炭素原子と共にシクロプロピル基を形成しても良く、
R4は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、又はイソプロピル基であり、
ただし、
R4がメチル基である場合、nは、11~14の整数であり、
R4がエチル基、又はイソプロピル基である場合、nは、11~13の整数であり、
R4がn-プロピル基である場合、nは、11又は12である。
【0056】
具体的な本開示の化合物としては、以下の実施例にて製造される化合物が例示できるが、これらには限定されない。
【0057】
好適な本開示の化合物としては以下のものが例示できる:
(1)3-(12-メトキシドデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、
(2)3-(12-エトキシドデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、
(3)3-(12-イソプロポキシドデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、
(4)3-(13-メトキシトリデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、
(5)3-(13-エトキシトリデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、
(6)3-(13-イソプロポキシトリデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、
(7)3-(14-メトキシテトラデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、
(8)3-(14-エトキシテトラデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、
(9)3-(14-イソプロポキシテトラデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、
(10)3-(15-メトキシペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン。
【0058】
一般式(I)で表される化合物において、最も好ましい化合物は、3-(15-メトキシペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オンである。
【0059】
次に、本開示に係る化合物の製造法について説明する。
【0060】
本開示の化合物(I)は、例えば、下記の製造法又は実施例に示す方法等により製造することができる。ただし、化合物(I)の製造法はこれら反応例に限定されるものではない。
【0061】
【0062】
上記反応工程式1において、X、R2、R3、R4及びnは前記に同じであり、L1は脱離基を表す。
上記反応工程式1に示す方法においては、式(1a)で示される水酸基を有する化合物において、水酸基と式(1b)で示される脱離性官能基を有する化合物と反応させることによりエーテル誘導体(1c)へと誘導することができる。
【0063】
即ち化合物(1b)のL1は、脱離性官能基であればいずれでもよく、例えば塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メチルスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、p-トルエンスルホニルオキシ基等が挙げられる。
【0064】
適当な溶媒中、式(1a)で示されるヒドロキシ化合物1モルに対し、0.5~50モル、好ましくは0.8~20モルの式(1b)で示される化合物を用い、式(1a)で示される化合物1モルに対し、0.5~10モル、好ましくは0.8~5モルの塩基存在下、-50℃から100℃、好ましくは-20℃から80℃で反応させることにより、式(1c)で示されるエーテル化合物を得ることができる。
【0065】
適当な溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものなら特に制限は無く、例えばジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ベンゼン、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等が挙げられ、それらを単独で或いは混合して用いることができる。
【0066】
塩基としては、無機塩基、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等、有機塩基、例えばピリジン、ルチジン、コリジン、4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク-7-エン、tert-ブトキシカリウム、tert-ブトキシナトリウム等、及び酸化銀、炭酸銀等を用いることが出来る。
【0067】
【0068】
上記反応工程式2において、X、R2、R3及びnは前記に同じであり、L2はハロゲン原子、R11はC1~C7アルキル基、R12は前記のR4又は水酸基の保護基を表す。
【0069】
上記反応工程式2に示す方法においては、式(2a)で示されるエノールエーテルを有する化合物において、金属存在下、式(2b)で示されるハロゲン原子を有する化合物と反応させることによりエノン誘導体(2c)へと誘導することができる。
【0070】
即ち化合物(2b)のL2は、ハロゲン原子であればいずれでもよく、例えば塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0071】
R11はC1~C7アルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等が挙げられる。
【0072】
R12は前記のR4又は水酸基の保護基であり、水酸基の保護基としては、例えばメトキシメチル基、テトラヒドロピラニル基、ベンジル基、tert-ブチルジメチルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基等が挙げられる。
【0073】
適当な溶媒中、式(2a)で示されるエノールエーテル化合物1モルに対し、0.5~50モル、好ましくは0.8~10モルの式(2b)で示される化合物を用い、式(2a)で示される化合物1モルに対し、0.5~100モル、好ましくは0.8~30モルの金属存在下、0℃から150℃、好ましくは20℃から120℃で反応させることにより、式(2c)で示されるエノン化合物を得ることができる。
【0074】
適当な溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものなら特に制限は無く、例えばベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、キシレン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルtert-ブチルエーテル、n-ヘキサン、n-ヘプタン、シクロヘキサン、アセトニトリル、ヘキサメチルリン酸トリアミド及びスルホラン等が挙げられ、それらを単独で或いは混合して用いることができる。
【0075】
前記金属はリチウム、ナトリウム、ストロンチウム、マグネシウム又は亜鉛等であり、好ましくはリチウム、又はマグネシウムである。
【0076】
【0077】
上記反応工程式3において、X、R2、R3、R5及びnは前記に同じである。
上記反応工程式3に示す方法においては、式(3a)で示される水酸基を有する化合物において、水酸基を有する化合物又はその活性種と式(3b)で示されるアミン化合物又はその塩を常法により縮合させることにより、カーバメート誘導体(3c)へと誘導することができる。
【0078】
即ち、縮合に際しては、式(3a)で示される水酸基を有する化合物にトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等の有機塩基の存在下又は非存在下、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、N,N-ジメチルアセトアミド等の反応に不活性な溶媒中、-20℃~150℃、好ましくは0℃~100℃で、トリホスゲン、1,1'-カルボニルジイミダゾール(CDI)、クロロ蟻酸フェニル、クロロ蟻酸-4-ニトロフェニル、クロロ蟻酸エチル等を作用させて調製される脱離基を有する活性種を使用するのが好適である。
【0079】
式(3a)の活性種としては、例えば、脱離基を有するものがあげられ、単離して反応に用いる場合も、反応系中で調製して単離することなく反応に用いる場合もあるが、脱離基としては塩素原子、イミダゾリル基、フェノキシ基、4-ニトロフェノキシ基、又はエトキシ基等が挙げられる。
【0080】
式(3b)で示されるアミン化合物の塩としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸などの無機酸や炭酸、メタンスルホン酸などの有機酸との酸付加塩が挙げられる。
また、式(3a)で示される水酸基を有する化合物又はその活性種1モルに対し、0.5~100モル、好ましくは0.8~50モルの式(3b)で示されるアミン化合物又はその塩を用い、上記縮合剤を使用する場合、その使用量は式(3a)で示される水酸基を有する化合物又はその塩1モルに対し、0.5~20モル、好ましくは0.8~3モルである。
【0081】
反応は、使用する活性種や縮合剤によっても異なるが、通常ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、トルエン等の芳香族炭化水素類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、酢酸エチル等のエステル類、メタノール、エタノール等のアルコール類、水、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ピリジン等の反応に不活性な溶媒中、-20℃~150℃、好ましくは0℃~100℃で行うことができる。
【0082】
反応に際し、式(3a)で示される水酸基を有する化合物又はその活性種1モルに対し、0.5~20モル、好ましくは0.8~5モルのトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N-メチルモルホリン、N,N-ジエチルアニリン、4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジン、ピリジン等の塩基存在下反応を行うことにより、反応が円滑に進行する場合がある。
【0083】
【0084】
上記反応工程式4において、X、R2、R3、R6及びnは前記に同じである。
上記反応工程式4に示す方法においては、工程1において、式(4a)で示される水酸基を有する化合物においては、水酸基をカルボン酸へと酸化することにより式(4b)で示されるカルボン酸誘導体とした後、工程2において、該カルボン酸誘導体(4b)を式(4c)で示されるアミン化合物と縮合させることにより、アミド誘導体(4d)へと誘導することができる。更に工程3において、該アミド誘導体(4d)を脱水させることにより、ニトリル誘導体(4e)へと誘導することができる。
【0085】
<工程1>
即ち、式(4a)で示される化合物の水酸基をカルボン酸へと酸化する方法としては、アルデヒドを単離して用いる場合も、直接カルボン酸へ酸化する場合もあるが、適当な溶媒中、慣用されている適当な酸化剤を、式(4a)で示される水酸基を有する化合物1モルに対し、0.5~30モル、好ましくは0.8~20モル用いて、-80~150℃程度、好ましくは-80~120℃程度の温度下で、反応させればよい。
【0086】
酸化剤としては、例えば活性二酸化マンガン、過マンガン酸カリウム等のマンガン試薬、ピリジニウムクロロクロメート(PCC)、ピリジニウムジクロメート(PDC)、三酸化クロム等のクロム試薬、次亜塩素酸ナトリウムもしくは次亜塩素酸カルシウム-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ フリーラジカル(TEMPO)、ジメチルスルホキシド(DMSO)酸化(DMSO-無水酢酸、DMSO-無水トリフルオロ酢酸、DMSO-塩化オキザリル、DMSO-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、DMSO-1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、DMSO-三酸化硫黄ピリジンコンプレックス)等が挙げられる。
【0087】
適当な溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものならば特に制限は無く、例えば水、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジメチルスルホキシド、tert-ブチルアルコール、ピリジン、トリエチルアミン等が挙げられ、それらを単独で或いは混合して用いることができる。
【0088】
<工程2>
本工程は、式(4b)で表される化合物のカルボキシル基と、市販品または、公知の方法によって製造できるアミン化合物(4c)とのアミド化反応により、式(4d)で表されるアミド化合物を得る方法である。
【0089】
アミド化の方法は、従来公知の方法によって行うことが可能であり、縮合剤の存在下で反応させる方法、又カルボン酸部分を従来公知の方法により活性化させ反応性誘導体とし、次いで該誘導体とアミンとをアミド化する方法、が例示される(いずれの方法も、「ペプチド合成の基礎と実験」(泉屋信夫他、丸善株式会社、1983年)を参照のこと)。
【0090】
縮合剤としては、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N,N'-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC)、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリスジメチルアミノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、7-アザベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリスピロリジノホスホニウムホスフェート(PyAOP)、ブロモトリスピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BroP)、クロロトリス(ピロリジン-1-イル)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyCroP)、3-(ジエトキシホスホリロキシ)-1,2,3-ベンゾトリアジン-4(3H)-オン(DEPBT)、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)、4-(5,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリン塩酸塩(DMTMM)等が挙げられ、そのときの添加剤として1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(HOAt)、N-ヒドロキシスクシンイミド(HOSu)等が挙げられる。これらの使用量は、式(4b)で表される化合物1モルに対して、通常1~100モル、好ましくは約1~10モル程度である。
【0091】
また、必要に応じて塩基を添加することができる。塩基としては、例えば、有機アミン類(例、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N-メチルモルホリン、1,8-ジアザピシクロ[5,4,0]ウンデカ-7-エン、ピリジン、N,N-ジメチルアニリン等)、アルカリ金属塩(例、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、金属水素化物(例、水素化カリウム、水素化ナトリウム等)、アルカリ金属アルコキシド、(例、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウム tert-ブトキシド、カリウム tert-ブトキシド等)等が挙げられる。塩基の使用量は、式(4b)で表される化合物1モルに対して、通常1~100モル、好ましくは約1~10モル程度である。
【0092】
反応に用いる溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさないものであればよく、例えば、アルコール類(例、メタノール等)、炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタンなど)、ニトリル類(例えば、アセトニトリルなど)、エーテル類(例えば、ジメトキシエタン、テトラヒドロフランなど)、非プロトン性極性溶媒(例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、など)あるいはそれらの混合物が用いられる。反応時間は0.1~100時間であり、好ましくは0.5~24時間である。反応温度としては0℃~溶媒の沸騰する温度であり、好ましくは0℃~100℃である。
【0093】
<工程3>
本工程は、式(4d)で表されるアミド化合物を脱水反応により、式(4e)で表されるニトリル化合物を得る方法である。
【0094】
即ち、脱水に際しては、式(4d)で示されるアミド結合を有する化合物にトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等の有機塩基の存在下又は非存在下、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、N,N-ジメチルアセトアミド等の反応に不活性な溶媒中、-20℃~150℃、好ましくは0℃~100℃で、トリフルオロ酢酸無水物、無水酢酸、トリホスゲン、Burgess試薬、p-トルエンスルホニルクロリド、ベンゼンスルホニルクロリド、塩化チオニル、オキシ塩化リン等を作用させる方法が例示される。
【0095】
上記脱水剤を使用する場合、その使用量は式(4d)で示されるアミド結合を有する化合物1モルに対し、0.5~20モル、好ましくは0.8~5モルである。
反応は、使用する塩基や脱水剤によっても異なるが、通常ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、トルエン等の芳香族炭化水素類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、酢酸エチル等のエステル類、メタノール、エタノール等のアルコール類、水、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ピリジン等の反応に不活性な溶媒中、-20℃~150℃、好ましくは0℃~100℃で行うことができる。
【0096】
反応に際し、式(4d)で示されるアミド結合を有する化合物1モルに対し、0.5~20モル、好ましくは0.8~5モルのトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N-メチルモルホリン、N,N-ジエチルアニリン、4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジン、ピリジン等の塩基存在下反応を行うことにより、反応が円滑に進行する場合がある。
【0097】
【0098】
上記反応工程式5において、R2、R3、R4及びnは前記に同じであり、L3は脱離性官能基を表し、例えばフェニルセレニル基である。
【0099】
上記反応工程式5に示す方法においては、工程1において、式(5a)で示されるケトン基を有する化合物においては、ケトン基のα位に官能基を導入することにより式(5b)で示される化合物とした後、工程2において、化合物(5b)を酸化することにより、ジエノン化合物(5c)へと誘導することができる。
【0100】
<工程1>
即ち、式(5a)で示される化合物のケトン基のα位に官能基を導入する方法としては、エノールエーテルを単離して用いる場合も、反応系中で調製して単離することなく反応に用いる場合もあるが、適当な溶媒中、慣用されている適当な塩基を、式(5a)で示されるケトン基を有する化合物1モルに対し、0.5~30モル、好ましくは0.8~10モル用いて、-100~120℃程度、好ましくは-80~100℃程度の温度下で、反応させればよい。
【0101】
塩基としては、例えば、有機アミン類(例、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N-メチルモルホリン、1,8-ジアザピシクロ[5,4,0]ウンデカ-7-エン、ピリジン、N,N-ジメチルアニリン等)、アルカリ金属塩(例、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、金属水素化物(例、水素化カリウム、水素化ナトリウム等)、アルカリ金属アルコキシド、(例、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウム tert-ブトキシド、カリウム tert-ブトキシド等)、金属試薬(例、メチルリチウム、n-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラザミド等)が挙げられる。
【0102】
適当な溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものならば特に制限は無く、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジメチルスルホキシド、ピリジン、トリエチルアミン等が挙げられ、それらを単独で或いは混合して用いることができる。
【0103】
導入する官能基としてはフェニルセレニル基などであり、使用する試薬としてフェニルセレニルクロリド、フェニルセレニルブロミドなどが挙げられる。
【0104】
<工程2>
本工程は、式(5b)で表される化合物を脱離反応により、式(5c)で表されるジエノン化合物を得る方法である。適当な溶媒中、慣用されている適当な酸化剤を、式(5b)で示される脱離性官能基を有する化合物1モルに対し、0.5~30モル、好ましくは0.8~10モル用いて、-50~120℃程度、好ましくは-20~100℃程度の温度下で、反応させればよい。
【0105】
酸化剤としては、例えば、過酸化水素水、メタクロロ過安息香酸、過酢酸等が挙げられる。
【0106】
適当な溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものならば特に制限は無く、例えば、水、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジメチルスルホキシド、ピリジン、トリエチルアミン等が挙げられ、それらを単独で或いは混合して用いることができる。
【0107】
【0108】
上記反応工程式6において、X、R2、R3、R4及びnは前記に同じであり、Yはハロゲン原子を表す。
上記反応工程式6に示す方法においては、式(6a)で示されるエノン基を有する化合物において、ハロゲン原子を導入することにより式(6b)で示される化合物へと誘導することができる。ハロゲン化試薬は、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などを用いる方法、N-クロロスクシンイミド、N-ブロモスクシンイミド、N-ヨードスクシンイミドを用いる方法により行うことができる。
【0109】
ハロゲン化試薬は式(6a)で示されるエノン基を有する化合物1モルに対し、0.5~30モル、好ましくは0.8~10モル程度用いる。
【0110】
溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさないものであればよく、例えば、炭化水素類(例、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭化水素類(例、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン等)、ニトリル類(例、アセトニトリル等)、エーテル類(例、ジメトキエタン、テトラヒドロフラン等)、アルコール類(例、メタノール、エタノール等)、非プロトン性極性溶媒(例、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド等)、ピリジン、トリエチルアミン、水等が挙げられ、それらを単独で或いは混合して用いることができる。
【0111】
反応温度としては-20℃~溶媒の沸騰する温度であり、好ましくは0℃~100℃である。
反応に際し、式(6a)で示されるエノン基を有する化合物1モルに対し、0.1~10モル、好ましくは0.2~5モルの炭酸カリウム、4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジン、トリメチルシリルアジド等の試薬存在下反応を行うことにより、反応が円滑に進行する場合がある。
【0112】
【0113】
上記反応工程式7において、X、R2、R4、R7及びnは前記に同じであり、L2はハロゲン原子を表し、R13は水素原子又はC1~C4アルキル基を表す。
【0114】
上記反応工程式7に示す方法においては、工程1において、式(7a)で示されるエノールエーテルを有する化合物において、金属存在下、式(7b)で示されるハロゲン原子を有する化合物と反応させることによりエノン誘導体(7c)へと誘導することができる。更に工程2において、式(7c)で示される化合物の水酸基をエーテル化させることによりエーテル誘導体(7d)へと誘導することができる。
【0115】
<工程1>
化合物(7b)のL2は、ハロゲン原子であればいずれでもよく、例えば塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
R13は水素原子又はC1~C4アルキル基であり、例えば水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等が挙げられる。
【0116】
適当な溶媒中、式(7a)で示されるエノールエーテル化合物1モルに対し、0.5~50モル、好ましくは0.8~10モルの式(7b)で示される化合物を用い、式(7a)で示される化合物1モルに対し、0.5~100モル、好ましくは0.8~30モルの金属存在下、0℃から150℃、好ましくは20℃から120℃で反応させることにより、式(7c)で示されるエノン化合物を得ることができる。
【0117】
適当な溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものなら特に制限は無く、例えばベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、キシレン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルtert-ブチルエーテル、n-ヘキサン、n-ヘプタン、シクロヘキサン、アセトニトリル、ヘキサメチルリン酸トリアミド及びスルホラン等が挙げられ、それらを単独で或いは混合して用いることができる。
【0118】
前記金属はリチウム、ナトリウム、ストロンチウム、マグネシウム又は亜鉛等であり、好ましくはリチウム、又はマグネシウムである。
【0119】
<工程2>
式(7c)で示される水酸基を有する化合物をエーテル化させる試薬としては、トリメチルオキソニウム テトラフルオロボレート、トリエチルオキソニウム ヘキサフルオロボレート等が挙げられる。
【0120】
適当な溶媒中、式(7c)で示される水酸基を有する化合物1モルに対し、0.5~50モル、好ましくは0.8~20モルのエーテル化試薬を用い、-50℃から120℃、好ましくは-20℃から100℃で反応させることにより、式(7d)で示されるエーテル化合物を得ることができる。
【0121】
適当な溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものなら特に制限は無く、例えばジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ベンゼン、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等が挙げられ、それらを単独で或いは混合して用いることができる。
【0122】
反応に際し、式(7c)で示される水酸基を有する化合物1モルに対し、0.5~20モル、好ましくは0.8~10モルの1,8-ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン等の試薬存在下反応を行うことにより、反応が円滑に進行する場合がある。
【0123】
本開示化合物は、通常の分離手段により容易に単離精製できる。係る手段としては、例えば溶媒抽出、再結晶、分取用逆相高速液体クロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、分取薄層クロマトグラフィー等を例示できる。
【0124】
本開示化合物が、光学異性体、立体異性体、回転異性体、互変異性体等の異性体を有する場合には、特に明記しない限り、いずれの異性体も混合物も本開示化合物に包含される。例えば、本開示化合物に光学異性体が存在する場合には、特に明記しない限り、ラセミ体から分割された光学異性体も本開示化合物に包含される。これらの異性体は、自体公知の合成手法、分離手法(濃縮、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、再結晶など)によりそれぞれを単一化合物として得ることができる。
【0125】
本開示化合物又はその塩は、アモルファス及び/または結晶であってもよい。本開示化合物又はその塩の範囲は、結晶形が単一のものも複数の多形の混合物であるものも、ならびにそれらとアモルファスとの混合物も包含する。結晶は、自体公知の結晶化法を適用して、結晶化することによって製造することができる。本開示化合物又はその塩は、溶媒和物(例えば、水和物等)であっても、無溶媒和物であってもよく、いずれも本開示化合物又はその塩に包含される。同位元素(例えば、3H、14C、35S、125Iなど)などで標識された化合物も、本開示化合物又はその塩に包含される。
【0126】
本開示化合物又はその製造中間体の塩は、有機化学の分野で用いられる慣用的なものを意味する。本開示化合物の塩は、薬学的に許容される塩であることが好ましい。
【0127】
本開示化合物又はその製造中間体の塩は、例えばカルボキシル基を有する場合の当該カルボキシル基における塩基付加塩又はアミノ基若しくは塩基性の複素環基を有する場合の当該アミノ基若しくは塩基性複素環基における酸付加塩の塩類を挙げることができる。
【0128】
該塩基付加塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;例えばカルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;例えばアンモニウム塩;例えばトリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、プロカイン塩、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン塩等の有機アミン塩等が挙げられる。
【0129】
該酸付加塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、過塩素酸塩等の無機酸塩;例えば酢酸塩、ギ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、トリフルオロ酢酸塩等の有機酸塩;例えばメタンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩等のスルホン酸塩等が挙げられる。
【0130】
本開示の範囲には、生体内において本開示化合物に変換される、任意の薬学的に許容される修飾体(プロドラッグ)が含まれる。
【0131】
本開示化合物又はその塩は、その優れた神経成長促進作用、例えば神経突起成長作用及び/又は有突起細胞割合を増加させる作用等の作用により、神経変性疾患を含む神経成長の促進により改善する疾患、疼痛及び/又は下部尿路障害の予防や治療のための医薬として有用である。
【0132】
神経変性疾患を含む神経成長の促進により改善する疾患、疼痛及び/又は下部尿路障害における病態の発症機序は様々であるが、その一因として、神経突起の変性・萎縮や神経細胞死が挙げられる。そのため、神経成長の促進によりこれらの疾患の予防や治療を行うことができる。
【0133】
本明細書において、神経成長の促進により改善する疾患は、神経変性疾患、事故等で起きる外傷性の神経障害(脳挫傷、脊髄損傷など)、又は精神疾患(統合失調症、うつ病、双極性障害など)である。
【0134】
本明細書において、神経変性疾患は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、ギランバレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、多発性硬化症、視神経脊髄炎などが挙げられ、好ましくは筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病、アルツハイマー型認知症、又はレビー小体型認知症であり、より好ましくは萎縮性側索硬化症(ALS)である。
【0135】
本明細書において、疼痛は、末梢神経障害性疼痛(糖尿病性疼痛、帯状疱疹後疼痛、線維筋痛症、化学療法誘発性末梢神経障害など)、中枢神経障害性疼痛(脳卒中後疼痛、脊髄損傷後疼痛など)が挙げられ、好ましくは末梢神経障害性疼痛(糖尿病性疼痛、帯状疱疹後疼痛、線維筋痛症、化学療法誘発性末梢神経障害など)であり、より好ましくは糖尿病性疼痛、又は化学療法誘発性末梢神経障害である。
【0136】
本明細書において、下部尿路障害は、腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、混合性尿失禁、過活動膀胱、低活動膀胱、神経因性膀胱、不安定膀胱、膀胱・尿道協調不全(DSD)、収縮力低下随伴性排尿筋過活動(DHIC)、膀胱炎や前立腺炎等による頻尿などが挙げられ、好ましくは腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、混合性尿失禁、過活動膀胱、低活動膀胱、又は神経因性膀胱であり、より好ましくは過活動膀胱、又は低活動膀胱である。
【0137】
本開示化合物又はその塩は医薬として用いるにあたっては、必要に応じて薬学的担体を配合し、予防又は治療目的に応じて各種の投与形態を採用可能であり、該形態としては、例えば、経口剤、注射剤、坐剤、軟膏剤、貼付剤等のいずれでもよく、好ましくは、経口剤が採用される。これらの投与形態は、各々当業者に公知慣用の製剤方法により製造できる。
【0138】
薬学的担体としては、製剤素材として慣用の各種有機或いは無機担体物質が用いられ、固形製剤における賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤等として配合される。また、必要に応じて防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤、安定化剤等の製剤添加物を用いることもできる。
【0139】
経口用固形製剤を調製する場合は、本開示化合物に、必要に応じて賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味・矯臭剤等を加えた後、常法により錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等を製造することができる。
【0140】
賦形剤としては、乳糖、白糖、D-マンニトール、ブドウ糖、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、微結晶セルロース、無水ケイ酸等が挙げられる。結合剤としては、水、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、α-デンプン液、ゼラチン液、D-マンニトール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、エチルセルロース、シェラック、リン酸カルシウム、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。崩壊剤としては、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、乳糖等が挙げられる。滑沢剤としては、精製タルク、ステアリン酸塩ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ホウ砂、ポリエチレングリコール等が挙げられる。着色剤としては、酸化チタン、酸化鉄等が挙げられる。矯味・矯臭剤としては白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸等が挙げられる。
【0141】
経口用液体製剤を調製する場合は、本開示化合物に矯味剤、緩衝剤、安定化剤、矯臭剤等を加えて常法により内服液剤、シロップ剤、エリキシル剤等を製造することができる。
【0142】
矯味・矯臭剤としては、前記に挙げられたものでよく、緩衝剤としては、クエン酸ナトリウム等が、安定剤としては、トラガント、アラビアゴム、ゼラチン等が挙げられる。必要により、腸溶性コーティング又は、効果の持続を目的として、経口製剤に公知の方法により、コーティングを施すこともできる。このようなコーティング剤にはヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリオキシエチレングリコール、Tween80(登録商標)等が挙げられる。
【0143】
注射剤を調製する場合は、本開示化合物にpH調節剤、緩衝剤、安定化剤、等張化剤、局所麻酔剤等を添加し、常法により皮下、筋肉内及び静脈内用注射剤を製造することができる。
【0144】
pH調節剤及び緩衝剤としては、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等が挙げられる。安定化剤としては、ピロ亜硫酸ナトリウム、EDTA、チオグリコール酸、チオ乳酸等が挙げられる。局所麻酔剤としては、塩酸プロカイン、塩酸リドカイン等が挙げられる。等張化剤としては、塩化ナトリウム、ブドウ糖、D-マンニトール、グリセリン等が挙げられる。
【0145】
上記の各投与単位形態中に配合されるべき本開示化合物の量は、これを適用すべき患者の症状により、或いはその剤形等により一定ではないが、一般に投与単位形態あたり、経口剤では0.05~1000mg、注射剤では0.01~500mg、坐剤では1~1000mgとするのが望ましい。
【0146】
また、上記投与形態を有する薬剤の1日あたりの投与量は、患者の症状、体重、年齢、性別等によって異なり一概には決定できないが、本開示化合物として通常成人(体重50kg)1日あたり0.05~5000mg、好ましくは0.1~1000mgとすればよく、これを1日1回又は2~3回程度に分けて投与するのが好ましい。
【0147】
本開示は、以下の態様にも関する。
〔1〕下記一般式(I)
【0148】
【化11】
(式中、Xは、-CH
2-、-CH(CH
3)-、-CH
2-CH
2-、又は-CH=CH-であり、
R
1は、-CH
2OR
4、-CH
2OCON(R
5)
2、-CONHR
6、又はシアノ基であり、
R
2は、同一又は相異なって、水素原子、若しくはメチル基であるか、又は2個のR
2が隣接する炭素原子と共にシクロプロピル基を形成しても良く、
R
3は、水素原子、メチル基、-CH
2OR
7、又はハロゲン原子であり、
R
4は、C
mH
2m+1であり、
R
5は、同一又は相異なって、水素原子、又はメチル基であり、
R
6は、水素原子、又はメチル基であり、
R
7は、C1-C3アルキル基であり、
mは、1~14の整数であり、
nは、1~15の整数であり、
ただし、
R
4が直鎖状のアルキル基である場合、mとnの合計は、12~17の整数であり、R
4が分岐鎖状のアルキル基である場合、前記分岐鎖状のアルキル基の最も長い直鎖の炭素数をm
bとし、m
bとnの合計は、12~17の整数である。)で表される化合物又はその塩。
【0149】
〔2〕下記一般式(I)
【0150】
【化12】
(式中、Xは、-CH
2-、-CH(CH
3)-、-CH
2-CH
2-、又は-CH=CH-であり、
R
1は、-CH
2OR
4、-CH
2OCON(R
5)
2、-CONHR
6、又はシアノ基であり、
R
2は、同一又は相異なって、水素原子、若しくはメチル基であるか、又は2個のR
2が隣接する炭素原子と共にシクロプロピル基を形成しても良く、
R
3は、水素原子、メチル基、-CH
2OR
7、又はハロゲン原子であり、
R
4は、C
mH
2m+1であり、
R
5は、同一又は相異なって、水素原子、又はメチル基であり、
R
6は、水素原子、又はメチル基であり、
R
7は、C1-C3アルキル基であり、
mは、1~14の整数であり、
nは、1~14の整数であり、
ただし、
R
4が直鎖状のアルキル基である場合、mとnの合計は、12~15の整数であり、R
4が分岐鎖状のアルキル基である場合、前記分岐鎖状のアルキル基の最も長い直鎖の炭素数をm
bとし、m
bとnの合計は、12~15の整数である。)で表される化合物又はその塩。
【0151】
〔3〕下記一般式(I)
【0152】
【化13】
(式中、Xは、-CH
2-、-CH(CH
3)-、-CH
2-CH
2-、又は-CH=CH-であり、
R
1は、-CH
2OR
4、-CH
2OCON(CH
3)
2、-CONHR
6、又はシアノ基であり、
R
2は、同一又は相異なって、水素原子、若しくはメチル基であるか、又は2個のR
2が隣接する炭素原子と共にシクロプロピル基を形成しても良く、
R
3は、水素原子、メチル基、-CH
2OCH
3、又はヨウ素原子であり、
ただし、
R
2が同一又は相異なって、水素原子、若しくはメチル基である場合、R
3は、水素原子、メチル基、-CH
2OCH
3、又はヨウ素原子であり、
2個のR
2が隣接する炭素原子と共にシクロプロピル基を形成する場合、R
3は、メチル基、-CH
2OCH
3、又はヨウ素原子であり、
R
4は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、又はイソプロピル基であり、
ただし、
R
4がメチル基である場合、nは、11~14の整数であり、
R
4がエチル基、又はイソプロピル基である場合、nは、11~13の整数であり、
R
4がn-プロピル基である場合、nは、11又は12であり、
R
6は、水素原子、又はメチル基である。)で表される化合物又はその塩。
【0153】
〔4〕一般式(I)中、
Xは、-CH2-CH2-、-CH2-CH2-、又は-CH=CH-である、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の化合物又はその塩。
【0154】
〔5〕一般式(I)中、
R1は、-CH2OR4、-CONH2、又はシアノ基であり、
R2は、同一又は相異なって、水素原子、又はメチル基であるか、又は2個のR2が隣接する炭素原子と共にシクロプロピル基を形成しても良く、
R3は、水素原子、メチル基、-CH2OCH3、又はヨウ素原子であり、
ただし、
R3が水素原子である場合、R2は水素原子であり、
R3がメチル基、-CH2OCH3、又はヨウ素原子である場合、R2は同一又は相異なって、水素原子、又はメチル基であるか、又は2個のR2が隣接する炭素原子と共にシクロプロピル基を形成しても良く、
R4は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、又はイソプロピル基であり、
ただし、
R4がメチル基である場合、nは、11~14の整数であり、
R4がエチル基、又はイソプロピル基である場合、nは、11~13の整数であり、
R4がn-プロピル基である場合、nは、11又は12である、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の化合物又はその塩。
【0155】
〔6〕一般式(I)中、
Xは、-CH2-、又は-CH2-CH2-であり、
R1は、-CH2OR4、又は-CONH2であり、
R2は、メチル基であり、
R3は、メチル基、又は-CH2OCH3であり、
R4は、メチル基、エチル基、又はイソプロピル基であり、
ただし、
R4がメチル基である場合、nは、11~14の整数であり、
R4がエチル基、又はイソプロピル基である場合、nは、11~13の整数である、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の化合物又はその塩。
【0156】
〔7〕一般式(I)中、
Xは、-CH2-CH2-である、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の化合物又はその塩。
【0157】
〔8〕化合物が、次の(1)~(10)のいずれかに記載の化合物である、〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の化合物又はその塩。
(1)3-(12-メトキシドデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、
(2)3-(12-エトキシドデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、
(3)3-(12-イソプロポキシドデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、
(4)3-(13-メトキシトリデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、
(5)3-(13-エトキシトリデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、
(6)3-(13-イソプロポキシトリデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、
(7)3-(14-メトキシテトラデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、
(8)3-(14-エトキシテトラデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、
(9)3-(14-イソプロポキシテトラデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、
(10)3-(15-メトキシペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン。
【0158】
〔9〕化合物が、3-(15-メトキシペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オンである、〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の化合物又はその塩。
【0159】
〔10〕〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の化合物又はその塩を有効成分として含有する神経成長促進剤。
【0160】
〔11〕〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の化合物又はその塩を有効成分として含有する神経変性疾患治療剤。
【0161】
〔12〕〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の化合物又はその塩を有効成分として含有する筋萎縮性側索硬化症治療剤。
【0162】
〔13〕〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の化合物又はその塩を有効成分として含有する疼痛治療剤。
【0163】
〔14〕〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の化合物又はその塩を有効成分として含有する下部尿路障害治療剤。
【0164】
〔15〕〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の化合物又はその塩と、薬学的担体とを含有する医薬組成物。
【0165】
〔16〕神経成長の促進により改善する疾患を治療するための、〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の化合物又はその塩。
〔17〕神経成長促進剤を製造するための、〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の化合物又はその塩の使用。
【0166】
〔18〕神経成長の促進により改善する疾患を治療するための方法であって、それを必要とする対象に、〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の化合物又はその塩の有効量を投与することを含む、方法。
〔19〕神経成長の促進により改善する疾患を治療するための、[15]に記載の医薬組成物。
【0167】
〔20〕神経変性疾患を治療するための、〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の化合物又はその塩。
〔21〕神経変性疾患治療剤を製造するための、〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の化合物又はその塩。
【0168】
〔22〕神経変性疾患を治療するための方法であって、それを必要とする対象に、〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の化合物又はその塩の有効量を投与することを含む、方法。
〔23〕神経変性疾患を治療するための、[15]に記載の医薬組成物。
【0169】
〔24〕筋萎縮性側索硬化症を治療するための、〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の化合物又はその塩。
〔25〕筋萎縮性側索硬化症治療剤を製造するための、〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の化合物又はその塩の使用。
【0170】
〔26〕筋萎縮性側索硬化症を治療するための方法であって、それを必要とする対象に、〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の化合物又はその塩の有効量を投与することを含む、方法。
〔27〕筋萎縮性側索硬化症を治療するための、[15]に記載の医薬組成物。
【0171】
[28]疼痛を治療するための、〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の化合物又はその塩。[29]疼痛治療剤を製造するための、〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の化合物又はその塩の使用。
[30]疼痛を治療するための方法であって、それを必要とする対象に、〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の化合物又はその塩の有効量を投与することを含む、方法。
【0172】
〔31〕疼痛を治療するための、[15]に記載の医薬組成物。
[32]下部尿路障害を治療するための、〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の化合物又はその塩。
【0173】
[33]下部尿路障害治療剤を製造するための、〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の化合物又はその塩の使用。
[34]下部尿路障害を治療するための方法であって、それを必要とする対象に、〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の化合物又はその塩の有効量を投与することを含む、方法。
〔35〕下部尿路障害を治療するための、[15]に記載の医薬組成物。
【実施例】
【0174】
以下、実施例を挙げて本発明の実施形態を更に具体的に説明するが、本開示はこれらによって何ら限定されるものではない。本発明の実施形態は実施例により十分に説明されているが、当業者により種々の変更や修飾が可能であろうことは理解される。したがって、そのような変更や修飾が本開示の範囲を逸脱するものでない限り、それらは本開示に包含される。
【0175】
実施例で用いた各種試薬は、特に記載の無い限り市販品を使用した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーには、和光純薬製 Wakosil C-300(登録商標),Wakogel C-300(登録商標)、バイオタージ製SNAP-ULTRA(登録商標)Silicaプレパックドカラム、又は塩基性シリカゲルカバイオタージ製KP-NH(登録商標)プレパックドカラムを用いた。NMRスペクトルは、AL400(400MHz;日本電子(JEOL))、Mercury400(400MHz;アジレント・テクノロジー)、400MHz Bruker AVANCE NEO 400 NMR Spectrometer (400MHz;BURKER)又は500MHz Bruker AVANCE III HD NMR Spectrometer (500MHz;BURKER)型スペクトロメータを使用し、重溶媒中にテトラメチルシランを含む場合は内部基準としてテトラメチルシランを用い、それ以外の場合には内部基準としてNMR溶媒を用いて測定し、全δ値をppmで示した。マイクロウェーブ反応は、Biotage製Initiatorを用いて行った。
【0176】
また、LCMSスペクトルはWaters製ACQUITY SQD(四重極型)を用いて下記条件にて測定した。
カラム:Waters製ACQUITY UPLC(登録商標)BEH C18,2.1×50mm,1.7μm
MS検出:ESI positive
UV検出:254及び280nm
カラム流速:0.5mL/min
移動相:水/アセトニトリル(0.1%ギ酸)
インジェクション量:1μL
グラジエント(table 1)
Time(min) Water Acetonitrile
0 50 50
0.1 50 50
1.1 2 98
3.0 STOP
【0177】
また、逆相分取HPLC精製はGILSON社製分取システムを用いて下記条件にて実施した。
カラム:Waters製 Xselect CSH Prep C18 5μm OBD (19×50mm)+(19×100mm)
UV検出:254nm
カラム流速:18mL/min
移動相:水/アセトニトリル(0.1%ギ酸)インジェクション量:0.1-0.5mL
【0178】
略号の意味を以下に示す。
【0179】
s:シングレット
d:ダブレット
t:トリプレット
q:カルテット
m:マルチプレット
br:ブロード
DMSO:ジメチルスルホキシド
【0180】
化合物1から化合物8は、例えば、化合物1~5は国際公開WO99/08987号公報化合物6は国際公開WO2017/125087号公報、化合物7及び8はTetrahedron (1998),54(27),7735-7748に記載の製造方法に基づき合成することもできるし、下記に示した方法で合成することもできる。化合物4は3-(15-ヒドロキシペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オンであり、一般式(I)におけるR1が-CH2OHである点が本開示の一般式(I)の化合物と異なる。
【0181】
3-(12-ヒドロキシドデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物1)の合成
12-ブロモドデカン-1-オ-ル10.6gのクロロホルム100mL 溶液にピリジニウム p-トルエンスルホネート1.01gと3,4-ジヒドロ-2H-ピラン5.5mLのクロロホルム10mL溶液を加えて室温にて1時間撹拌した。氷冷下、反応溶液に炭酸水素ナトリウム水溶液を加えてクロロホルムにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して残渣を得た。
【0182】
リチウム金属694mgにテトラヒドロフラン40mLを加え、37℃に加温した。上記で得られた残渣と3-イソブトキシ-2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1オン4.20gのテトラヒドロフラン溶液30mLを滴下し、50℃にて2時間撹拌した。反応溶液を氷冷したのち、水20mLを加えて室温にて2時間撹拌した。セライトで不溶物を濾別したのち、酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をメタノール40mLとテトラヒドロフラン20mLに溶解し、p-トルエンスルホン酸 1水和物380mgを加えて室温にて2時間撹拌した。氷冷下、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて、減圧下溶媒留去したのち、酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物4.76gを得た。
【0183】
物性値:m/z[M+H]+ 324.8 [M+Na]+ 345.2
NMR(CDCl3) δppm 1.15 (s, 6H), 1.20-1.65 (m, 21H), 1.76 (s, 3H), 1.80 (t, J = 6.9 Hz, 2H), 2.12-2.25 (m, 2H), 2.37-2.52 (m, 2H), 3.58-3.70 (m, 2H).
【0184】
3-(13-ヒドロキシトリデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物2)の合成
13-ブロモトリデカン-1-オ-ル5.59gのクロロホルム60mL 溶液にピリジニウム p-トルエンスルホネート502mgと3,4-ジヒドロ-2H-ピラン2.7mLのクロロホルム5mL溶液を加えて室温にて1時間撹拌した。氷冷下、反応溶液に炭酸水素ナトリウム水溶液を加えてクロロホルムにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して残渣を得た。
【0185】
リチウム金属347mgにテトラヒドロフラン20mLを加え、32℃に加温した。上記で得られた残渣と3-イソブトキシ-2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1オン2.10gのテトラヒドロフラン溶液15mLを滴下し、70℃にて2時間撹拌した。反応溶液を氷冷したのち、水10mL を加えて室温にて1時間撹拌した。セライトで不溶物を濾別したのち、酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をメタノール20mLとテトラヒドロフラン10mLに溶解し、p-トルエンスルホン酸 1水和物190mgを加えて室温にて2時間撹拌した。氷冷下、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて、減圧下溶媒留去したのち、酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物2.57gを得た。
【0186】
物性値:m/z[M+H]+ 338.8 [M+Na]+ 359.3
NMR(CDCl3) δppm 1.15 (s, 6H), 1.20-1.65 (m, 23H), 1.76 (s, 3H), 1.80 (t, J = 6.9 Hz, 2H), 2.10-2.23 (m, 2H), 2.40-2.52 (m, 2H), 3.55-3.73 (m, 2H).
【0187】
3-(14-ヒドロキシテトラデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物3)の合成
14-ブロモテトラデカン-1-オ-ル5.87gのクロロホルム60mL溶液にピリジニウム p-トルエンスルホネート502mgと3,4-ジヒドロ-2H-ピラン2.7mLのクロロホルム5mL溶液を加えて室温にて2時間撹拌した。氷冷下、反応溶液に炭酸水素ナトリウム水溶液を加えてクロロホルムにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して残渣を得た。
【0188】
リチウム金属347mgにテトラヒドロフラン20mLを加え、32℃に加温した。上記で得られた残渣と3-イソブトキシ-2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1オン2.10gのテトラヒドロフラン溶液15mLを滴下し、80℃にて2時間撹拌した。反応溶液を氷冷したのち、水10mLを加えて室温にて1時間撹拌した。セライトで不溶物を濾別したのち、酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をメタノール20mLとテトラヒドロフラン10mLに溶解し、p-トルエンスルホン酸 1水和物190mgを加えて室温にて2時間撹拌した。氷冷下、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて、減圧下溶媒留去したのち、酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物2.98gを得た。
【0189】
物性値:m/z[M+H]+ 352.7 [M+Na]+ 373.3
NMR(CDCl3) δppm 1.15 (s, 6H), 1.20-1.65 (m, 25H), 1.76 (s, 3H), 1.80 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 2.10-2.23 (m, 2H), 2.38-2.52 (m, 2H), 3.58-3.72 (m, 2H).
【0190】
3-(16-ヒドロキシヘキサデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物5)の合成
16-ブロモヘキサデカン-1-オ-ル6.42gのクロロホルム60mL溶液にピリジニウム p-トルエンスルホネート502mgと3,4-ジヒドロ-2H-ピラン2.74mLのクロロホルム5mL溶液を加えて室温にて3時間撹拌した。氷冷下、反応溶液に炭酸水素ナトリウム水溶液を加えてクロロホルムにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して残渣を得た。
【0191】
リチウム金属347mgにテトラヒドロフラン20mLを加え、32℃に加温した。上記で得られた残渣と3-イソブトキシ-2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1オン2.10gのテトラヒドロフラン溶液15mLを滴下し、50℃にて3時間撹拌した。反応溶液を氷冷したのち、水10mLを加えて室温にて1時間撹拌した。セライトで不溶物を濾別したのち、酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をメタノール20mLとテトラヒドロフラン10mLに溶解し、p-トルエンスルホン酸 1水和物190mgを加えて室温にて5時間撹拌した。氷冷下、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて、減圧下溶媒留去したのち、酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物3.02gを得た。
【0192】
物性値:m/z[M+H]+ 379.6 [M+Na]+ 401.4
NMR(CDCl3) δppm 1.15 (s, 6H), 1.20-1.65 (m, 29H), 1.75 (s, 3H), 1.73-1.85 (m, 2H), 2.10-2.23 (m, 2H), 2.40-2.53 (m, 2H), 3.55-3.70 (m, 2H).
【0193】
2,4,4-トリメチル-3-(15-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)ペンタデシル)シクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物6)の合成
3-(15-ヒドロキシペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物4、大鵬薬品工業株式会社)729mgの塩化メチレン7mL溶液にピリジニウム p-トルエンスルホネート50mg、3,4-ジヒドロ-2H-ピラン0.27mLを加え、3時間撹拌した。氷冷下、反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物811mgを得た。
【0194】
物性値:m/z[M+H]+ 449.5
NMR(CDCl3) δppm 1.17 (s, 6H), 1.20-1.90 (m, 37H), 2.10-2.25 (m, 2H), 2.45-2.52 (m, 2H), 3.35-3.45 (m, 1H), 3.48-3.60 (m, 1H), 3.70-3.82 (m, 1H), 3.85-3.98 (m, 1H), 4.57-4.63 (m, 1H).
【0195】
3-(15-ヒドロキシペンタデシル)-2-メチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物7)の合成
15-ブロモペンタデカン-1-オ-ル3.07gのクロロホルム30mL溶液にピリジニウム p-トルエンスルホネート251mgと3,4-ジヒドロ-2H-ピラン1.4mLのクロロホルム5mL溶液を加えて室温にて3時間撹拌した。氷冷下、反応溶液に炭酸水素ナトリウム水溶液を加えてクロロホルムにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して残渣(4.1g)を得た。得られた残渣1.17gと3-イソブトキシ-2-メチルシクロヘキサ-2-エン-1オン273mgのテトラヒドロフラン溶液8mLにリチウム金属95mgを加え、70℃にて4時間撹拌した。反応溶液を氷冷したのち、水を加えて室温にて0.5時間撹拌し、酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をメタノール2mLとテトラヒドロフラン4mLに溶解し、p-トルエンスルホン酸 1水和物29mgを加えて室温にて4時間撹拌した。反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて、酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物244mgを得た。
【0196】
物性値:m/z[M+H]+ 337.2
NMR(CDCl3) δppm 1.20-1.83 (m, 32H), 1.88-2.02 (m, 2H), 2.23-2.50 (m, 2H), 3.57-3.72 (m, 2H).
【0197】
3-(15-ヒドロキシペンタデシル)-4,4-ジメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物8)の合成
15-ブロモペンタデカン-1-オ-ル3.07gのクロロホルム30mL溶液にピリジニウム p-トルエンスルホネート251mgと3,4-ジヒドロ-2H-ピラン1.4mLのクロロホルム5mL溶液を加えて室温にて3時間撹拌した。氷冷下、反応溶液に炭酸水素ナトリウム水溶液を加えてクロロホルムにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して残渣(4.1g)を得た。得られた残渣1.17gと3-イソブトキシ-6,6-ジメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン294mgのテトラヒドロフラン溶液8mLにリチウム金属95mgを加え、70℃にて2時間撹拌した。反応溶液を氷冷したのち、水を加えて室温にて0.5時間撹拌し、酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をメタノール2mLとテトラヒドロフラン4mLに溶解し、p-トルエンスルホン酸 1水和物29mgを加えて室温にて4時間撹拌した。反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて、酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物366mgを得た。
【0198】
物性値:m/z[M+H]+ 351.5
NMR(CDCl3) δppm 1.18 (s, 6H), 1.20-1.63 (m, 27H), 1.86 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 2.15-2.28 (m, 2H), 2.43-2.50 (m, 2H), 3.57-3.72 (m, 2H), 5.81 (s, 1H).
【0199】
中間体1:15-(2,6,6-トリメチル-3-オキソシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ペンタデカナールの合成
塩化オキザリル1.1mLの塩化メチレン30mL溶液に-70℃でジメチルスルホキシド2.0mLを加えて15分間撹拌した後、3-(15-ヒドロキシペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物4、大鵬薬品工業株式会社)3.79gの塩化メチレン10mL溶液を10分間かけて滴下した。ドライアイス-アセトンバスをはずして20分かけて内温-30℃まで昇温した後、再度-70℃まで冷却してトリエチルアミン7.0mLを加えた後、室温下2時間撹拌した。氷冷下、反応溶液に飽和食塩水を加えて酢酸エチルとn-ヘキサンの混合溶媒にて抽出し、1mol/L 塩酸水、飽和重曹水、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物3.04gを得た。
【0200】
物性値:m/z[M+H]+ 363.9
NMR(CDCl3) δppm 1.15 (s, 6H), 1.24-1.51 (m, 22H), 1.53-1.65 (m, 2H), 1.75 (s, 3H), 1.73-1.88 (m, 2H), 2.15-2.24 (m, 2H), 2.38-2.53 (m, 4H), 9.76 (t, J = 2.0 Hz, 1H).
【0201】
中間体2:15-(2,6,6-トリメチル-3-オキソシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ペンタデカノイックアシッドの合成
中間体1である15-(2,6,6-トリメチル-3-オキソシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ペンタデカナール1.81gのtert-ブチルアルコール6mLと水2mLの混合溶液に氷冷下2-メチル-2-ブテン4mL、リン酸2水素カリウム1.02gを加えた。反応溶液に79%亜塩素酸ナトリウム1.71gの水5mL溶液を滴下し、室温にて1時間撹拌した。氷冷下、反応溶液に1mol/L塩酸水を加えて酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム)で精製し、標題化合物1.69gを得た。
【0202】
物性値:m/z[M+H]+ 379.8
NMR(CDCl3) δppm 1.15 (s, 6H), 1.20-1.45 (m, 22H), 1.55-1.65 (m, 2H), 1.76 (s, 3H), 1.75-1.85 (m, 2H), 2.13-2.26 (m, 2H), 2.35 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 2.46 (t, J = 6.8 Hz, 2H).
【0203】
中間体3:4-ニトロフェニル(15-(2,6,6-トリメチル-3-オキソシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ペンタデシル)カーボネートの合成
3-(15-ヒドロキシペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物4、大鵬薬品工業株式会社)729mgの塩化メチレン10mL溶液に氷冷下トリエチルアミン0.43mLとクロロ蟻酸4-ニトロフェニル443mgを加えて氷冷下1時間、室温下5時間撹拌した。氷冷下、反応溶液に水を加えて酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物1.03gを得た。
【0204】
物性値:m/z[M+H]+ 530.6
NMR(CDCl3) δppm 1.15 (s, 6H), 1.25-1.56 (m, 24H), 1.75 (s, 3H), 1.70-1.90 (m, 4H), 2.10-2.25 (m, 2H), 2.45 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 4.29 (t, J = 6.7 Hz, 2H), 7.39 (d, J = 9.3 Hz, 2H), 8.29 (d, J = 9.3 Hz, 2H).
【0205】
中間体4:15-メトキシペンタデカン-1-オ-ルの合成
15-ブロモペンタデカン-1-オ-ル3.07gのクロロホルム30mL溶液にピリジニウム p-トルエンスルホネート251mgと3,4-ジヒドロ-2H-ピラン1.35mLを加えて室温にて2時間撹拌した。氷冷下、反応溶液に炭酸水素ナトリウム水溶液を加えてクロロホルムにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をテトラヒドロフラン40mLに溶解し、ナトリウムメトキシド(5M メタノール溶液)10mLとヨウ化ナトリウム250mgを加えて70℃で2時間撹拌した。減圧留去して得られた残渣に氷冷下飽和塩化アンモニウム溶液を加えて酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣にメタノール10mLとテトラヒドロフラン5mLを加えて溶解し、p-トルエンスルホン酸一水和物95mgを加えて室温にて3時間撹拌した。氷冷下、反応溶液に炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて、減圧留去して得られた残渣を酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物2.15gを得た。
【0206】
中間体5:1-ブロモ-15-メトキシペンタデカンの合成
中間体4である15-メトキシペンタデカン-1-オ-ル2.07gの塩化メチレン25mL溶液に氷冷下四臭化炭素2.92gとトリフェニルホスフィン2.52gを加えて1時間撹拌した。反応溶液に炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/ヘキサン)で精製し、標題化合物2.28gを得た。
【0207】
物性値:
NMR(CDCl3) δppm 1.18-1.58 (m, 24H), 1.78-1.95 (m, 2H), 3.33 (s, 3H), 3.36 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 3.41 (t, J = 6.8 Hz, 2H).
【0208】
中間体6:6,6-ジメチル-4,6,7,8-テトラヒドロ-5H-ベンゾ[d][1,3]ジオキシ-5-ノンの合成
4,6,7,8-テトラヒドロ-5H-ベンゾ[d][1,3]ジオキシ-5-ノン1.25gのテトラヒドロフラン40mL溶液に-78℃にてリチウムヘキサメチルジシラザミド(1.3Mテトラヒドロフラン溶液)14.37mLを加え20分間撹拌した。反応溶液にヨウ化メチル1.45mLを加えて同温にて80分間、-45℃にて80分間撹拌した。反応溶液を-78℃に冷却してリチウムヘキサメチルジシラザミド(1.3Mテトラヒドロフラン溶液)3.80mLとヨウ化メチル0.28mLを加えて-45℃にて1時間撹拌した。反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて酢酸エチルにて抽出し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン)で精製し、標題化合物173.1mgを得た。
【0209】
中間体7:2-(ヒドロキシメチル)-3-(15-メトキシペンタデシル)-4,4-ジメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オンの合成
中間体6である6,6-ジメチル-4,6,7,8-テトラヒドロ-5H-ベンゾ[d][1,3]ジオキシ-5-ノン0.20gと中間体5で得られた1-ブロモ-15-メトキシペンタデカン0.42gのテトラヒドロフラン8.0mL溶液にリチウム金属0.11gを加えて70℃にて85分間撹拌した。反応溶液を氷冷したのち、0.5M塩酸水32mLを加えて室温にて30分間撹拌した。酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン)で精製し、標題化合物276mgを得た。
【0210】
物性値:m/z[M+H]+ 395.4
NMR(CDCl3) δppm 1.21 (s, 6H), 1.22-1.67 (m, 26H), 1.80-1.93 (m, 2H), 2.20-2.34 (m, 2H), 2.45-2.55 (m, 2H), 3.03 (t, J = 6.8 Hz, 1H), 3.35 (s, 3H), 3.39 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 4.32 (d, J = 7.0 Hz, 2H).
【0211】
中間体8:6-イソブトキシスピロ[2,5]オクタ-5-エン-4-オンの合成
スピロ[2,5]オクタン-4,6-ジオン0.50gのシクロヘキサン6.5mL溶液に、イソブタノール0.54gとp-トルエンスルホン酸一水和物31mgを加えて70℃にて6時間撹拌した。反応溶液にモレキュラーシーブス4A1.0gを加え、16時間加熱撹拌した。室温まで放冷したのち、酢酸エチルで不溶物を濾別して飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン)で精製し、標題化合物0.51gを得た。
【0212】
中間体9:5-メチルスピロ[2,5]オクタン-4,6-ジオンの合成
スピロ[2,5]オクタン-4,6-ジオン1.0gと水酸化カリウム2.0gをメタノール10mL、水20mLに溶解して70℃に加温し、ヨウ化メチル2mLを40分毎に4回加えて撹拌した。室温まで冷却して減圧留去して得られた残渣に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて塩化メチレンで抽出し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン)で精製し、標題化合物0.3gを得た。
【0213】
中間体10:6-イソブトキシ-5-メチルスピロ[2,5]オクタ-5-エン-4-オンの合成
中間体9である5-メチルスピロ[2,5]オクタン-4,6-ジオン200mgをトルエンに溶解し、イソブタノール2.0当量とp-トルエンスルホン酸一水和物0.043当量を加えて70℃にて1日間撹拌した。反応溶液にモレキュラーシーブス4A400mgを加え、120℃で1日間撹拌した。室温まで放冷したのち、酢酸エチルで不溶物を濾別して飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン)で精製し、標題化合物73.8mgを得た。
【0214】
中間体11:3-イソブトキシ-2,4,5-トリメチルシクロペンタ-2-エン-1-オンの合成
3-イソブトキシ-2-メチルシクロペンタ-2-エン-1-オン1.00gのテトラヒドロフラン50mL溶液に-78℃にてリチウムヘキサメチルジシラザミド(1.3Mテトラヒドロフラン溶液)9.60mLを加え10分間撹拌した。反応溶液にヨウ化メチル0.78mLを加えて同温にて10分間、-45℃にて3時間撹拌した。反応溶液を-78℃に冷却してリチウムヘキサメチルジシラザミド(1.3Mテトラヒドロフラン溶液)1.20mLとヨウ化メチル0.10mLを加えて同温にて40分間、-45℃にて1時間撹拌した。氷冷下、反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて酢酸エチルにて抽出し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン)で精製し、標題化合物419mgを得た。
【0215】
中間体12:メチル 15-(2,6,6-トリメチル-3-オキソシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ペンタデカノエートの合成
中間体2である15-(2,6,6-トリメチル-3-オキソシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ペンタデカノイックアシッド379mgのアセトニトリル5mL、N,N-ジメチルホルムアミド1mL溶液に1-ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物168mg、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩230mg、メタノール0.4mLを加え、室温にて1時間撹拌した。反応溶液にトリエチルアミン0.21mL溶液を加え、室温にて16時間撹拌した。氷冷下、反応溶液に炭酸水素ナトリウム溶液を加えて、酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して、標題化合物を386mg得た。
【0216】
中間体13:メチル 15-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ペンタデカノエートの合成
中間体12であるメチル 15-(2,6,6-トリメチル-3-オキソシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ペンタデカノエート118mgのテトラヒドロフラン2mL、メタノール1mL溶液に氷冷下水素化ホウ素ナトリウム34mgを加えて2時間撹拌した。反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて、酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残留物を塩化メチレン3mLに溶解し、トリエチルアミン126μL、tert-ブチルジメチルクロロシラン90mg、4-ジメチルアミノピリジン7mgを加えて、室温にて2時間撹拌した。反応液に水を加えて酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物116mgを得た。
【0217】
中間体14:16-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)-2-メチルメチルヘキサデカ-2-ノールの合成
中間体13であるメチル 15-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ペンタデカノエート108mgのテトラヒドロフラン2mL溶液に氷冷下0.96mol/L メチルマグネシウムブロミドのテトラヒドロフラン溶液2.2mLを加えて1時間撹拌した。反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて、酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物89mgを得た。
【0218】
中間体15:tert-ブチル((3-(15-メトキシ-15-メチルヘキサデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)オキシ)ジメチルシランの合成
中間体14である16-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)-2-メチルメチルヘキサデカ-2-ノール509mgのテトラヒドロフラン10mL溶液に氷冷下55%水素化ナトリウム130mgを加え室温にて1時間撹拌した。反応溶液にヨウ化エメチル125μLを加えて室温下2日間撹拌した。氷冷下、反応溶液に飽和塩化アンモニウム溶液を加えて酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/ヘキサン)で精製し、標題化合物435mgを得た。
【0219】
中間体16:3-(15-ブロモペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オンの合成
3-(15-ヒドロキシペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物4、大鵬薬品工業株式会社)3.64gの塩化メチレン40mL溶液に氷冷下四臭化炭素3.65gとトリフェニルホスフィン3.15gを加えて3時間撹拌した。反応溶液に炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣にジエチルエ-テル:ヘキサン(1:1)の混合溶液を加えて不溶物を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/クロロホルム)で精製し、標題化合物4.18gを得た。
【0220】
物性値:m/z[M+H]+ 427.1, 429.2
NMR(CDCl3) δppm 1.15 (s, 6H), 1.20-1.52 (m, 24H), 1.76 (s, 3H), 1.70-1.85 (m, 4H), 2.10-2.23 (m, 2H), 2.38-2.51 (m, 2H), 3.41 (t, J = 6.9 Hz, 2H).
【0221】
中間体17:3-イソブトキシ-2,5,5-トリメチルシクロペンタ-2-エン-1-オンの合成
リチウムジイソプロピルアミド(1Mヘキサン・テトラヒドロフラン溶液)120mLをテトラヒドロフラン400mLに加え、ドライアイス-アセトンバスにて3-イソブトキシ-2-メチルシクロペンタ-2-エン-1-オン20.0gのテトラヒドロフラン100mL溶液を加え、さらにヨウ化メチル0.78mLを加え10分間撹拌した。反応溶液にヨウ化メチル7.36mLを加えて20℃まで昇温して10分間撹拌した。反応溶液をドライアイス-アセトンバスで冷却してリチウムジイソプロピルアミド(1Mヘキサン・テトラヒドロフラン溶液)120mLとヨウ化メチル7.36mLを加えて15℃まで昇温して15分間撹拌した。氷冷下、反応溶液に水を加えてジイソプロピルエーテルにて抽出し、10%食塩水、飽和食塩水で洗浄して無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン)で精製し、標題化合物14.6gを得た。
【0222】
物性値:m/z[M+H]+ 197.2
NMR(CDCl3) δppm 1.01 (d, J = 6.8 Hz, 6H), 1.15 (s, 6H), 1.64 (t, J = 1.8 Hz, 3H), 1.95-2.15 (m, 1H), 2.48 (q, J = 1.8 Hz, 2H), 3.89 (d, J = 6.8 Hz, 2H).
【0223】
中間体18:3-(12-ヒドロキシドデシル)-2,4,4-トリメチルシクロペンタ-2-エン-1-オンの合成
12-ブロモドデカン-1-オ-ル3.81gのクロロホルム39.6mL 溶液にピリジニウム p-トルエンスルホネート361mgと3,4-ジヒドロ-2H-ピラン1.97mLを加えて室温にて1時間撹拌したのち、p-トルエンスルホネート180mgと3,4-ジヒドロ-2H-ピラン985μLを加えて室温にて30分間撹拌した。氷冷下、反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えてクロロホルムにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して残渣を得た。
リチウム金属249mgにテトラヒドロフラン10.8mLを加え、40℃に加温した。上記で得られた残渣と中間体17である3-イソブトキシ-2,5,5-トリメチルシクロペンタ-2-エン-1-オン1.41gのテトラヒドロフラン溶液10.8mLを滴下し、50℃にて2時間撹拌した。反応溶液を氷冷したのち、水7mLを加えて室温にて30分間撹拌した。セライトで不溶物を濾別したのち、酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をメタノール14.4mLとテトラヒドロフラン10.8mLに溶解し、p-トルエンスルホン酸 1水和物137mgを加えて室温にて49分間撹拌した。氷冷下、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて、減圧下溶媒留去したのち、酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン)で精製し、標題化合物1.88gを得た。
【0224】
物性値:m/z[M+H]+ 309.4
NMR(CDCl3) δppm 1.20 (s, 6H), 1.23-1.75 (m, 21H), 1.70 (s, 3H), 2.28 (s, 2H), 2.20-2.40 (m, 2H), 3.66 (t, J = 6.6 Hz, 2H).
【0225】
中間体19:3-(14-ヒドロキシテトラデシル)-2,4,4-トリメチルシクロペンタ-2-エン-1-オンの合成
14-ブロモテトラデカン-1-オ-ル1.99gのクロロホルム20.8mL 溶液にピリジニウム p-トルエンスルホネート171mgと3,4-ジヒドロ-2H-ピラン931μLを加えて室温にて45分間撹拌したのち、p-トルエンスルホネート85mgと3,4-ジヒドロ-2H-ピラン466μLを加えて室温にて30分間撹拌した。氷冷下、反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えてクロロホルムにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して残渣を得た。
リチウム金属131mgにテトラヒドロフラン5.66mLを加え、40℃に加温した。上記で得られた残渣と中間体17である3-イソブトキシ-2,5,5-トリメチルシクロペンタ-2-エン-1-オン740mgのテトラヒドロフラン溶液5.66mLを滴下し、50℃にて2時間撹拌した。反応溶液を氷冷したのち、水3.7mLを加えて室温にて撹拌した。セライトで不溶物を濾別したのち、酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をメタノール7.55mLとテトラヒドロフラン3.77mLに溶解し、p-トルエンスルホン酸 1水和物72mgを加えて室温にて1時間撹拌した。氷冷下、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて、減圧下溶媒留去したのち、酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン)で精製し、標題化合物832mgを得た。
【0226】
物性値:m/z[M+H]+ 337.5
NMR(CDCl3) δppm 1.21 (s, 6H), 1.23-1.65 (m, 25H), 1.70 (s, 3H), 2.28 (s, 2H), 2.20-2.40 (m, 2H), 3.60-3.70 (m, 2H).
【0227】
中間体20:3-(15-ヒドロキシペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロペンタ-2-エン-1-オンの合成
15-ブロモペンタデカン-1-オ-ル4.42gのクロロホルム39.6mL 溶液にピリジニウム p-トルエンスルホネート361mgと3,4-ジヒドロ-2H-ピラン1.97mLを加えて室温にて45分間撹拌したのち、p-トルエンスルホネート180mgと3,4-ジヒドロ-2H-ピラン985μLを加えて室温にて1時間撹拌した。氷冷下、反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えてクロロホルムにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して残渣を得た。
リチウム金属249mgにテトラヒドロフラン10.8mLを加え、40℃に加温した。上記で得られた残渣と中間体17である3-イソブトキシ-2,5,5-トリメチルシクロペンタ-2-エン-1-オン1.41gのテトラヒドロフラン溶液10.8mLを滴下し、50℃にて2時間撹拌した。反応溶液を氷冷したのち、水7.19mLを加えて室温にて撹拌した。セライトで不溶物を濾別したのち、酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をメタノール14.4mLとテトラヒドロフラン7.19mLに溶解し、p-トルエンスルホン酸 1水和物137mgを加えて室温にて1時間撹拌した。氷冷下、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて、減圧下溶媒留去したのち、酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン)で精製し、標題化合物2.08gを得た。
【0228】
物性値:m/z[M+H]+ 351.5
NMR(CDCl3) δppm 1.20 (s, 6H), 1.23-1.68 (m, 27H), 1.70 (s, 3H), 2.28 (s, 2H), 2.20-2.40 (m, 2H), 3.60-3.70 (m, 2H).
【0229】
中間体21:15-(2,5,5-トリメチル-3-オキソシクロペンタ-1-エン-1-イル)ペンタデカナールの合成
中間体20である3-(15-ヒドロキシペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロペンタ-2-エン-1-オン1.00gの塩化メチレン7.98mL溶液にジメチルスルホキシド3.18mLを加えて氷冷下、トリエチルアミン3.18mL、ピリジン三酸化硫黄錯体1.82gを加えた後、室温下30分間撹拌した。氷冷下、反応溶液に水を加えて酢酸エチルとn-ヘプタンの混合溶媒にて抽出し、0.1mol/L 塩酸水、飽和塩化アンモニウム水溶液、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン)で精製し、標題化合物530mgを得た。
【0230】
中間体22:15-(2,5,5-トリメチル-3-オキソシクロペンタ-1-エン-1-イル)ペンタデカノイックアシッドの合成
中間体21である15-(2,5,5-トリメチル-3-オキソシクロペンタ-1-エン-1-イル)ペンタデカナール530mgのtert-ブチルアルコール1.83mLと水0.609mLの混合溶液に氷冷下2-メチル-2-ブテン1.22mL、リン酸2水素カリウム310mgを加えた。反応溶液に80%亜塩素酸ナトリウム515mgの水1.52mL溶液を滴下し、室温にて1時間撹拌した。氷冷下、反応溶液に1mol/L塩酸水を加えて酢酸エチルにて抽出し、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液と飽和食塩水の混液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム)で精製し、標題化合物505mgを得た。
【0231】
物性値:m/z[M+H]+ 365.5
NMR(CDCl3) δppm 1.21 (s, 6H), 1.23-1.55 (m, 22H),1.58-1.73 (m, 2H), 1.70 (s, 3H), 2.29 (s, 2H), 2.25-2.45 (m, 4H).
【0232】
実施例1:3-(12-メトキシドデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物11)の合成
3-(12-ヒドロキシドデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物1)161mgのテトラヒドロフラン2.0mL溶液に氷冷下tert-ブトキシナトリウム72mgを加え30分間撹拌した。反応溶液にヨウ化メチル62μLを加えて氷冷下0.5時間、室温下2時間撹拌した。氷冷下、反応溶液に飽和塩化アンモニウム溶液を加えて酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物114mgを得た。
【0233】
実施例2:3-(12-エトキシドデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物12)の合成
3-(12-ヒドロキシドデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物1)161mgのテトラヒドロフラン2.0mL溶液に氷冷下55%水素化ナトリウム43mgを加え30分間撹拌した。反応溶液にヨウ化エチル80μLを加えて氷冷下1時間、室温下24時間撹拌した。氷冷下、反応溶液に飽和塩化アンモニウム溶液を加えて酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物57mgを得た。
【0234】
実施例3:3-(12-イソプロポキシドデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物13)の合成
3-(12-ヒドロキシドデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物1)161mgの2-ヨ-ドプロパン0.57mL溶液に酸化銀232mgを加えて室温下7日間撹拌した。反応溶液をtert-ブチルメチルエーテルで希釈し、セライトで不溶物を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物106mgを得た。
【0235】
実施例4:2,4,4-トリメチル-3-(12-プロポキシドデシル)シクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物14)の合成
3-(12-ヒドロキシドデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物1)323mgのテトラヒドロフラン5.0mL溶液に氷冷下55%水素化ナトリウム86mgを加え30分間撹拌した。反応溶液にヨウ化プロピル0.20mLを加えて氷冷下1時間、室温下2日間撹拌した。氷冷下、反応溶液に飽和塩化アンモニウム溶液を加えて酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物102mgを得た。
【0236】
実施例5:3-(12-ブトキシドデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物15)の合成
3-(12-ヒドロキシドデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物1)323mgのテトラヒドロフラン5.0mL溶液に氷冷下55%水素化ナトリウム86mgを加え30分間撹拌した。反応溶液にヨウ化ブチル0.23mLを加えて氷冷下1時間、室温下2日間撹拌した。氷冷下、反応溶液に飽和塩化アンモニウム溶液を加えて酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物101mgを得た。
【0237】
実施例6:3-(13-メトキシトリデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物16)の合成
3-(13-ヒドロキシトリデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物2)168mgのテトラヒドロフラン3.0mL溶液に氷冷下tert-ブトキシナトリウム72mgを加え30分間撹拌した。反応溶液にヨウ化メチル62μLを加えて氷冷下0.5時間、室温下30時間撹拌した。氷冷下、反応溶液に飽和塩化アンモニウム溶液を加えて酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物119mgを得た。
【0238】
実施例7:3-(13-エトキシトリデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物17)の合成
3-(13-ヒドロキシトリデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物2)168mgのテトラヒドロフラン3.0mL溶液に氷冷下55%水素化ナトリウム43mgを加え30分間撹拌した。反応溶液にヨウ化エチル80μLを加えて氷冷下1時間、室温下4日間撹拌した。氷冷下、反応溶液に飽和塩化アンモニウム溶液を加えて酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物72mgを得た。
【0239】
実施例8:3-(13-イソプロポキシトリデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物18)の合成
3-(13-ヒドロキシトリデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物2)161mgの2-ヨ-ドプロパン0.57mL溶液に酸化銀232mgを加えて室温下5日間撹拌した。反応溶液をtert-ブチルメチルエーテルで希釈し、セライトで不溶物を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物71mgを得た。
【0240】
実施例9:2,4,4-トリメチル-3-(13-プロポキシトリデシル)シクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物19)の合成
3-(13-ヒドロキシトリデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物2)337mgのテトラヒドロフラン5.0mL溶液に氷冷下55%水素化ナトリウム86mgを加え30分間撹拌した。反応溶液にヨウ化プロピル0.20mLを加えて氷冷下1時間、室温下5日間撹拌した。氷冷下、反応溶液に飽和塩化アンモニウム溶液を加えて酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物76mgを得た。
【0241】
実施例10:3-(13-ブトキシトリデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物20)の合成
3-(13-ヒドロキシトリデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物2)337mgのテトラヒドロフラン5.0mL溶液に氷冷下55%水素化ナトリウム86mgを加え30分間撹拌した。反応溶液にヨウ化ブチル0.23mLを加えて氷冷下1時間、室温下5日間撹拌した。氷冷下、反応溶液に飽和塩化アンモニウム溶液を加えて酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物71mgを得た。
【0242】
実施例11:3-(14-メトキシテトラデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物21)の合成
3-(14-ヒドロキシテトラデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物3)175mgのテトラヒドロフラン3.0mL溶液に氷冷下tert-ブトキシナトリウム72mgを加え30分間撹拌した。反応溶液にヨウ化メチル62μLを加えて氷冷下0.5時間、室温下24時間撹拌した。氷冷下、反応溶液に飽和塩化アンモニウム溶液を加えて酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物133mgを得た。
【0243】
実施例12:3-(14-エトキシテトラデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物22)の合成
3-(14-ヒドロキシテトラデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物3)175mgのテトラヒドロフラン3.0mL溶液に氷冷下55%水素化ナトリウム43mgを加え30分間撹拌した。反応溶液にヨウ化エチル80μLを加えて氷冷下1時間、室温下3日間撹拌した。氷冷下、反応溶液に飽和塩化アンモニウム溶液を加えて酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物66mgを得た。
【0244】
実施例13:3-(14-イソプロポキシテトラデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物23)の合成
3-(14-ヒドロキシテトラデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物3)175mgの2-ヨ-ドプロパン0.57mL溶液に酸化銀232mgを加えて室温下6日間撹拌した。反応溶液をtert-ブチルメチルエーテルで希釈し、セライトで不溶物を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物43mgを得た。
【0245】
実施例14:3-(15-メトキシペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物24)の合成
3-(15-ヒドロキシペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物4、大鵬薬品工業株式会社)95mgのテトラヒドロフラン0.8mL溶液に氷冷下55%水素化ナトリウム30mgを加え30分間撹拌した。反応溶液にヨウ化メチル50μLを加えて氷冷下1時間、室温下15時間撹拌した。氷冷下、反応溶液に飽和塩化アンモニウム溶液を加えて酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物47mgを得た。
【0246】
実施例15:3-(15-エトキシペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物25)の合成
3-(15-ヒドロキシペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物4、大鵬薬品工業株式会社)109mgのテトラヒドロフラン1.5mL溶液に氷冷下55%水素化ナトリウム33mgを加え30分間撹拌した。反応溶液にヨウ化エチル72μLを加えて氷冷下1時間、室温下2日間撹拌した。氷冷下、反応溶液に飽和塩化アンモニウム溶液を加えて酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物55mgを得た。
【0247】
実施例16:3-(15-イソプロポキシペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物26)の合成
3-(15-ヒドロキシペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物4、大鵬薬品工業株式会社)109mgの2-ヨ-ドプロパン0.30mL溶液に酸化銀139mgを加えて室温下6日間撹拌した。反応溶液をジエチルエーテルで希釈し、セライトで不溶物を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物65mgを得た。
【0248】
実施例17:3-(15-(メトキシ-d3)ペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物27)の合成
3-(15-ヒドロキシペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物4、大鵬薬品工業株式会社)182mgのテトラヒドロフラン3.0mL溶液に氷冷下55%水素化ナトリウム55mgを加え30分間撹拌した。反応溶液にヨウ化メチル-d3 93μLを加えて氷冷下1時間、室温下5時間撹拌した。氷冷下、反応溶液に飽和塩化アンモニウム溶液を加えて酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物151mgを得た。
【0249】
実施例18:3-(15-メトキシペンタデシル-15,15-d2)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物28)の合成
中間体2である15-(2,6,6-トリメチル-3-オキソシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ペンタデカノイックアシッド717mgのテトラヒドロフラン15mL溶液に氷冷下トリエチルアミン0.98mLとクロロ炭酸エチル0.59mLを加え30分間撹拌した。反応溶液に重水素化ホウ素ナトリウム544mgの重水3.0mL溶液を加えて同温にて0.5時間撹拌した。氷冷下、反応溶液に飽和塩化アンモニウム溶液を加えて酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、3-(15-ヒドロキシペンタデシル-15,15-d2)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン548mgを得た。得られた3-(15-ヒドロキシペンタデシル-15,15-d2)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン183mgのテトラヒドロフラン3.0mL溶液に氷冷下55%水素化ナトリウム43mgを加え30分間撹拌した。反応溶液にヨウ化メチル93μLを加えて氷冷下1時間、室温下3日間撹拌した。氷冷下、反応溶液に飽和塩化アンモニウム溶液を加えて酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物100mgを得た。
【0250】
実施例19:3-(16-メトキシヘキサデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物29)の合成
3-(16-ヒドロキシヘキサデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物5)189mgのテトラヒドロフラン3.0mL溶液に氷冷下tert-ブトキシナトリウム72mgを加え30分間撹拌した。反応溶液にヨウ化メチル62μLを加えて氷冷下0.5時間、室温下9時間撹拌した。氷冷下、反応溶液に飽和塩化アンモニウム溶液を加えて酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物127mgを得た。
【0251】
実施例20:3-(16-エトキシヘキサデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物30)の合成
3-(16-ヒドロキシヘキサデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物5)189mgのテトラヒドロフラン3.0mL溶液に氷冷下55%水素化ナトリウム44mgを加え30分間撹拌した。反応溶液にヨウ化エチル80μLを加えて氷冷下1時間、室温下4日間撹拌した。氷冷下、反応溶液に飽和塩化アンモニウム溶液を加えて酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物46mgを得た。
【0252】
実施例21:3-(16-イソプロポキシヘキサデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物31)の合成
3-(16-ヒドロキシヘキサデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物5)189mgの2-ヨ-ドプロパン0.57mL溶液に酸化銀232mgを加えて室温下5日間撹拌した。反応溶液をtert-ブチルメチルエーテルで希釈し、セライトで不溶物を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物106mgを得た。
【0253】
実施例22:15-(2,6,6-トリメチル-3-オキソシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ペンタデカナミド(化合物32)の合成
中間体2である15-(2,6,6-トリメチル-3-オキソシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ペンタデカノイックアシッド379mgのアセトニトリル5mL溶液に1-ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物168mg、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩230mgを加え、室温にて15分間撹拌した。反応溶液に28%アンモニア水0.5mLを加え、室温にて18時間撹拌した。氷冷下、反応溶液に炭酸水素ナトリウム溶液を加えて、析出した固体を濾取して減圧乾燥することで、標題化合物299mgを得た。
【0254】
実施例23:N-メチル-15-(2,6,6-トリメチル-3-オキソシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ペンタデカナミド(化合物33)の合成
中間体2である15-(2,6,6-トリメチル-3-オキソシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ペンタデカノイックアシッド379mgのアセトニトリル5mL溶液に1-ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物168mg、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩230mgを加え、室温にて15分間撹拌した。反応溶液に2mol/L メチルアミン-テトラヒドロフラン溶液1mLを加え、室温にて14時間撹拌した。氷冷下、反応溶液に炭酸水素ナトリウム溶液を加えて、析出した固体を濾取して減圧乾燥することで、標題化合物340mgを得た。
【0255】
実施例24:15-(2,6,6-トリメチル-3-オキソシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ペンタデカニトリル(化合物34)の合成
実施例22で得られた15-(2,6,6-トリメチル-3-オキソシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ペンタデカナミド113mgの塩化メチレン2mL溶液にBurgess試薬108mgを加え2時間撹拌した。反応溶液を減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物104mgを得た。
【0256】
実施例25:15-(2,6,6-トリメチル-3-オキソシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ペンタデシルカーバメート(化合物35)の合成
中間体3である4-ニトロフェニル(15-(2,6,6-トリメチル-3-オキソシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ペンタデシル)カーボネート265mgのテトラヒドロフラン5mL溶液に28%アンモニア水0.5mLを加え、室温にて1時間撹拌した。反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて、酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物169mgを得た。
【0257】
実施例26:15-(2,6,6-トリメチル-3-オキソシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ペンタデシルジメチルカーバメート(化合物36)の合成
中間体3である4-ニトロフェニル(15-(2,6,6-トリメチル-3-オキソシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ペンタデシル)カーボネート159mgのテトラヒドロフラン3mL溶液に氷冷下2mol/L ジメチルアミン-テトラヒドロフラン溶液0.2mLを加え、室温にて3時間撹拌した。氷冷下、反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて、酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物113mgを得た。
【0258】
実施例27:3-(15-メトキシペンタデシル)シクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物37)の合成
3-エトキシシクロヘキサ-2-エン-1オン1.40gと中間体5である1-ブロモ-15-メトキシペンタデカン3.86gのテトラヒドロフラン50mL溶液にリチウム金属694mgを加えて70℃にて22時間撹拌した。反応溶液を氷冷したのち、0.5M塩酸水を加えて室温にて30分間撹拌した。酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物2.10gを得た。
【0259】
実施例28:3-(15-メトキシペンタデシル)-2-メチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物38)の合成
3-(15-ヒドロキシペンタデシル)-2-メチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物7)101mgのテトラヒドロフラン2.0mL溶液にtert-ブトキシナトリウム43mg、ヨウ化メチル34μLを加えて、室温下44時間撹拌した。氷冷下、反応溶液に飽和塩化アンモニウム溶液を加えて酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物38mgを得た。
【0260】
実施例29:3-(15-メトキシペンタデシル)-4,4-ジメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物39)の合成
3-メトキシ-6,6-ジメチルシクロヘキサ-2-エン-1オン154mgと中間体5である1-ブロモ-15-メトキシペンタデカン642mgのテトラヒドロフラン6mL溶液にリチウム金属80mgを加えて70℃にて8時間撹拌した。反応溶液を氷冷したのち、0.5M塩酸水を加えて室温にて30分間撹拌した。酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物224mgを得た。
【0261】
実施例30:2-ヨード-3-(15-メトキシペンタデシル)-4,4-ジメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物40)の合成
実施例29で得られた3-(15-メトキシペンタデシル)-4,4-ジメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン729mgのクロロホルム5mL溶液に氷冷下トリメチルシリルアジド0.63mLを加えて、3時間撹拌した。反応溶液に氷冷下ヨウ素2.03gとピリジン2mLのクロロホルム2mL溶液を加えて室温にて3日間撹拌した。10%亜硫酸ナトリウム水溶液を加えて酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物693mgを得た。
【0262】
実施例31:3-(15-メトキシペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2、5-ジエン-1-オン(化合物41)の合成
実施例14で得られた3-(15-メトキシペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン200mgのテトラヒドロフラン4.0mL溶液に氷冷下リチウムヘキサメチルジシラザミド(1.3Mテトラヒドロフラン溶液)609μLを加え30分間撹拌した。反応溶液にクロロトリメチルシラン100μLを加えて室温下1時間撹拌した。反応溶液に炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて酢酸エチルにて抽出し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をテトラヒドロフラン5.0mLに溶解し、-78℃にてリチウムヘキサメチルジシラザミド(1.3Mテトラヒドロフラン溶液)609μLを加え30分間撹拌した。反応溶液にフェニルセレニルクロリド102mgのテトラヒドロフラン5.0mL溶液を滴下して同温にて30分間撹拌した後、室温まで昇温した。反応溶液に水を加えて酢酸エチルにて抽出し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製して得られた3-(15-メトキシペンタデシル)-2,4,4-トリメチル-6-(フェニルセレニル)シクロヘキサ-2-エン-1-オン155mgの塩化メチレン16mL溶液にm-クロロ過安息香酸71.5mgを加えて室温下2時間撹拌した。反応溶液にチオ硫酸ナトリウム水溶液を加えて塩化メチレンにて抽出し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物65.2mgを得た。
【0263】
実施例32:2-(メトキシメチル)-3-(15-メトキシペンタデシル)-4,4-ジメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物42)の合成
中間体7である2-(ヒドロキシメチル)-3-(15-メトキシペンタデシル)-4,4-ジメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン60mgの塩化メチレン1.0mL溶液に氷冷下1,8-ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン212mgとトリメチルオキソニウム テトラフルオロボレート146mgを加えて室温にて1時間撹拌した。反応溶液に1M塩酸水を加えて中和し、酢酸エチルにて抽出し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン)で精製し、標題化合物50mgを得た。
【0264】
実施例33:4-(15-メトキシペンタデシル)スピロ[2,5]オクタ-4-エン-6-オンの(化合物43)合成
中間体8である6-イソブトキシスピロ[2,5]オクタ-5-エン-4-オン0.2gと中間体5である1-ブロモ-15-メトキシペンタデカン0.5gのテトラヒドロフラン8mL溶液にリチウム金属0.1gを加えて70℃にて3時間撹拌した。反応溶液を氷冷したのち、0.5M塩酸水を加えて室温にて30分間撹拌した。酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン)で精製し、標題化合物0.36gを得た。
【0265】
実施例34:4-(15-メトキシペンタデシル)-5-メチルスピロ[2,5]オクタ-4-エン-6-オン(化合物44)の合成
中間体10である6-イソブトキシ-5-メチルスピロ[2,5]オクタ-5-エン-4-オン73.8mgと中間体5である1-ブロモ-15-メトキシペンタデカン1.2当量のテトラヒドロフラン溶液にリチウム金属14当量を加えて70℃にて4時間撹拌した。反応溶液を氷冷したのち、0.5M塩酸水を加えて室温にて30分間撹拌した。酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン)で精製し、標題化合物77.9mgを得た。
【0266】
実施例35:3-(15-メトキシペンタデシル)-2-メチルシクロペンタ-2-エン-1-オン(化合物45)の合成
3-イソブトキシ-2-メチルシクロペンタ-2-エン-1-オン63.6mgと中間体5である1-ブロモ-15-メトキシペンタデカン232.1mgのテトラヒドロフラン3.0mL溶液にリチウム金属38.3mgを加えて70℃にて4時間撹拌した。反応溶液を氷冷したのち、0.5M塩酸水を加えて室温にて30分間撹拌した。酢酸エチルにて抽出し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン)で精製し、標題化合物89.0mgを得た。
【0267】
実施例36:3-(15-メトキシペンタデシル)-2,4,5-トリメチルシクロペンタ-2-エン-1-オン(化合物46)の合成
中間体11である3-イソブトキシ-2,4,5-トリメチルシクロペンタ-2-エン-1-オン75.6mgと中間体5である1-ブロモ-15-メトキシペンタデカン230mgのテトラヒドロフラン3.0mL溶液にリチウム金属35.5mgを加えて70℃にて3.5時間撹拌した。反応溶液を氷冷したのち、0.5M塩酸水を加えて室温にて20分間撹拌した。酢酸エチルにて抽出し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン)で精製し、標題化合物112.5mgを得た。
【0268】
実施例37:3-(15-メトキシペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロペンタ-2-エン-1-オン(化合物69)の合成
中間体17である3-イソブトキシ-2,5,5-トリメチルシクロペンタ-2-エン-1-オン981mgと中間体5である1-ブロモ-15-メトキシペンタデカン2.89gのテトラヒドロフラン15mL溶液にリチウム金属156mgを加えて70℃にて5時間撹拌した。反応溶液を氷冷したのち、1M塩酸水を加えて室温にて30分間撹拌した。酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物1.68gを得た。
【0269】
実施例38:3-(12-メトキシドデシル)-2,4,4-トリメチルシクロペンタ-2-エン-1-オン(化合物70)の合成
3-(12-ヒドロキシドデシル)-2,4,4-トリメチルシクロペンタ-2-エン-1-オン(中間体18)300mgのテトラヒドロフラン3.9mL溶液に氷冷下tert-ブトキシナトリウム140mgを加え30分間撹拌した。反応溶液にヨウ化メチル122μLを加えて氷冷下0.5時間、室温下1時間撹拌した。氷冷下、反応溶液に飽和塩化アンモニウム溶液を加えて酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン)で精製し、標題化合物199mgを得た。
【0270】
実施例39:2,4,4-トリメチル-3-(12-プロポキシドデシル)シクロペンタ-2-エン-1-オン(化合物71)の合成
3-(12-ヒドロキシドデシル)-2,4,4-トリメチルシクロペンタ-2-エン-1-オン(中間体18)500mgのテトラヒドロフラン8.09mL溶液に氷冷下55%水素化ナトリウム141mgを加え30分間撹拌した。反応溶液にヨウ化プロピル323μLを加えて氷冷下1時間、室温下44時間撹拌した。氷冷下、反応溶液に飽和塩化アンモニウム溶液を加えて酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン)で精製し、標題化合物119mgを得た。
【0271】
実施例40:3-(14-メトキシテトラデシル)-2,4,4-トリメチルシクロペンタ-2-エン-1-オン(化合物72)の合成
3-(14-ヒドロキシテトラデシル)-2,4,4-トリメチルシクロペンタ-2-エン-1-オン(中間体19)250mgのテトラヒドロフラン2.98mL溶液に氷冷下tert-ブトキシナトリウム107mgを加え30分間撹拌した。反応溶液にヨウ化メチル122μLを加えて氷冷下30分間、室温下3時間撹拌した。氷冷下、反応溶液に飽和塩化アンモニウム溶液を加えて酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン)で精製し、標題化合物174mgを得た。
【0272】
実施例41:2,4,4-トリメチル-3-(14-エトキシテトラデシル)シクロペンタ-2-エン-1-オン(化合物73)の合成
3-(14-ヒドロキシテトラデシル)-2,4,4-トリメチルシクロペンタ-2-エン-1-オン(中間体19)500mgのテトラヒドロフラン5.95mL溶液に氷冷下55%水素化ナトリウム130mgを加え30分間撹拌した。反応溶液にヨウ化エチル246μLを加えて氷冷下1時間、室温下21時間撹拌した。氷冷下、反応溶液に飽和塩化アンモニウム溶液を加えて酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン)で精製し、標題化合物274mgを得た。
【0273】
実施例42:15-(2,5,5-トリメチル-3-オキソシクロペンタ-1-エン-1-イル)ペンタデカナミド(化合物74)の合成
中間体22である15-(2,5,5-トリメチル-3-オキソシクロペンタ-1-エン-1-イル)ペンタデカノイックアシッド250mgのアセトニトリル3.44mL溶液に1-ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物115mg、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩158mgを加え、室温にて16分間撹拌した。反応溶液に28%アンモニア水343μLを加え、室温にて17時間撹拌し、28%アンモニア水170μLを追加し、室温にて4時間撹拌し、28%アンモニア水343μLを追加し、室温にて20時間撹拌した。氷冷下、反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加えて、減圧下溶媒留去したのち、酢酸エチル、水を添加して分液した。有機層にヘプタンを添加して10%食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム)で精製し、標題化合物146mgを得た。
【0274】
実施例43:15-(2,5,5-トリメチル-3-オキソシクロペンタ-1-エン-1-イル)ペンタデカニトリル(化合物75)の合成
実施例42で得られた15-(2,5,5-トリメチル-3-オキソシクロペンタ-1-エン-1-イル)ペンタデカナミド73mgの塩化メチレン2mL溶液にBurgess試薬71mgを加え2時間撹拌した。反応溶液を減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物51mgを得た。
【0275】
参考例1:3-(15-メトキシ-15-メチルヘキサデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オ-ル(化合物47)の合成
中間体14であるtert-ブチル((3-(15-メトキシ-15-メチルヘキサデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)オキシ)ジメチルシラン366mgのテトラヒドロフラン5mL溶液に1mol/L フッ化テトラブチルアンモニウムのテトラヒドロフラン溶液1.4mLを加えて室温にて2日間撹拌した。反応溶液を減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物272mgを得た。
【0276】
参考例2:3-(15-メトキシ-15-メチルヘキサデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物48)の合成
参考例1で得られた3-(15-メトキシ-15-メチルヘキサデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オ-ル204mgのクロロホルム10mL溶液に活性二酸化マンガン435mgを加えて4日間撹拌した。不溶物をセライトで濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物199mgを得た。
【0277】
参考例3:2,4,4-トリメチル-3-(15-(トリフルオロメトキシ)ペンタデシル)-シクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物49)の合成
3-(15-ヒドロキシペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物4、大鵬薬品工業株式会社)365mg、トリフルオロメタンスルホン酸銀514mg、N-フルオロ-N'-(クロロメチル)トリエチレンジアミンビス(テトラフルオロボラート)531mg、フッ化カリウム174mgに酢酸エチル5mLを加え、室温にて2-フルオロピリジン172μL、(トリフルオロメチル)トリメチルシラン295μLを加えて25時間撹拌した。反応溶液を酢酸エチルで希釈し、セライトで不溶物を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物212mgを得た。
【0278】
参考例4:3-(15-(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)ペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物50)の合成
3-(15-ヒドロキシペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物4、大鵬薬品工業株式会社)182mgのN,N-ジメチルホルムアミド1mL溶液にイミダゾール102mg、tert-ブチルジメチルクロロシラン151mg を加え、室温にて2時間撹拌した。反応溶液に水を加えて酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物226mgを得た。
【0279】
参考例5:3-(15-フェノキシペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物51)の合成
3-(15-ヒドロキシペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物4、大鵬薬品工業株式会社)182mgとフェノール52mgのテトラヒドロフラン4mL溶液に氷冷下トリフェニルホスフィン144mgとジイソプロピルアゾジカルボキシレート0.12mLを加え1時間、室温にて22時間撹拌した。反応溶液を酢酸エチルにて希釈し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物125mgを得た。
【0280】
参考例6:3-(15-(ベンジルオキシ)ペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物52)の合成
3-(15-ヒドロキシペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物4、大鵬薬品工業株式会社)182mgのテトラヒドロフラン3mL溶液に氷冷下55%水素化ナトリウム55mgを加え30分間撹拌した。反応溶液にベンジルブロミド178μLを加えて氷冷下1時間、室温下3日間撹拌した。氷冷下、反応溶液に飽和塩化アンモニウム溶液を加えて酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物107mgを得た。
【0281】
参考例7:15-(2,6,6-トリメチル-3-オキソシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ペンタデシル ベンゾエート(化合物53)の合成
3-(15-ヒドロキシペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物4、大鵬薬品工業株式会社)1.82gの塩化メチレン20mL溶液に氷冷下トリエチルアミン1.05mL、ベンゾイルクロリド0.64mLを加え、室温にて2日間撹拌した。氷冷下、反応溶液に水を加えて酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物2.34gを得た。
【0282】
参考例8:N,N-ジメチル-15-(2,6,6-トリメチル-3-オキソシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ペンタデカナミド(化合物54)の合成
中間体2である15-(2,6,6-トリメチル-3-オキソシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ペンタデカノイックアシッド379mgのアセトニトリル5mL溶液に1-ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物168mg、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩230mgを加え、室温にて15分間撹拌した。反応溶液に2mol/L ジメチルアミン-テトラヒドロフラン溶液1mLを加え、室温にて14時間撹拌した。氷冷下、反応溶液に炭酸水素ナトリウム溶液を加えて、酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/クロロホルム)で精製し、標題化合物338mgを得た。
【0283】
参考例9:15-(2,6,6-トリメチル-3-オキソシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ペンタデシル メチルカーバメート(化合物55)の合成
中間体3である4-ニトロフェニル(15-(2,6,6-トリメチル-3-オキソシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ペンタデシル)カーボネート265mgのテトラヒドロフラン5mL溶液に氷冷下2mol/L メチルアミン-テトラヒドロフラン溶液0.3mLを加え、室温にて1時間撹拌した。氷冷下、反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて、酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物177mgを得た。
【0284】
参考例10:15-(2,6,6-トリメチル-3-オキソシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ペンタデシルエチルカーバメート(化合物56)の合成
中間体3である4-ニトロフェニル(15-(2,6,6-トリメチル-3-オキソシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ペンタデシル)カーボネート159mgのテトラヒドロフラン3mL溶液に氷冷下2mol/L エチルアミン-テトラヒドロフラン溶液0.2mLを加え、室温にて3時間撹拌した。氷冷下、反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて、酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物101mgを得た。
【0285】
参考例11:エチル(15-(2,6,6-トリメチル-3-オキソシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ペンタデシル)カーボネート(化合物57)の合成
中間体3である4-ニトロフェニル(15-(2,6,6-トリメチル-3-オキソシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ペンタデシル)カーボネート159mgのテトラヒドロフラン3mL溶液にエタノール175μL と1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7エン67μLを加え、室温にて22時間撹拌した。氷冷下、反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて、酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物36mgを得た。
【0286】
参考例12:2,4,4-トリメチル-3-(15-(メチルアミノ)ペンタデシル)シクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物58)の合成
中間体16である3-(15-ブロモペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン214mgのテトラヒドロフラン5mL溶液に2mol/L メチルアミン-テトラヒドロフラン溶液1mLを加え、室温にて4日間撹拌した。反応溶液に水を加えて、酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をNHシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/クロロホルム)で精製し、標題化合物98mgを得た。
【0287】
参考例13:3-(15-(ジメチルアミノ)ペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物59)の合成
中間体16である3-(15-ブロモペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン214mgのテトラヒドロフラン5mL溶液に2mol/L ジメチルアミン-テトラヒドロフラン溶液1mLを加え、室温にて3日間撹拌した。反応溶液に水を加えて、酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム)で精製し、標題化合物162mgを得た。
【0288】
参考例14:2-エチル-3-(15-メトキシペンタデシル)-4,4-ジメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物60)の合成
4,4-ジメチルシクロヘキサン-1,3-ジオン1.0gのエタノール20mL溶液に水酸化カリウム1当量、水8mL、ヨウ化エチル1.5当量を加えて70℃で1日間撹拌した。反応溶液を減圧乾燥して酢酸エチルで濾過したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(アセトン/ヘプタン)で精製し、2-エチル-4,4-ジメチルシクロヘキサン-1,3-ジオン221mgを得た。得られた2-エチル-4,4-ジメチルシクロヘキサン-1,3-ジオン221mgをトルエンに溶解し、イソブタノール2.0当量とp-トルエンスルホン酸一水和物0.043当量を加えて70℃にて1日間撹拌した。反応溶液にモレキュラーシーブス4A2.0当量を加え、120℃で1日間撹拌した。室温まで放冷したのち、酢酸エチルで不溶物を濾別して0.5mol/L水酸化ナトリウム水溶液を加えた。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン)で精製し、2-エチル-3-イソブトキシ-6,6-ジメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン143.8mgを得た。得られた2-エチル-3-イソブトキシ-6,6-ジメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン143.8mgと参考例5で得られた1-ブロモ-15-メトキシペンタデカン1.2当量のテトラヒドロフラン溶液にリチウム金属14当量を加えて70℃にて4時間撹拌した。反応溶液を氷冷したのち、0.5mol/L塩酸水を加えて室温にて30分間撹拌した。酢酸エチルにて抽出し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン)で精製し、標題化合物84.6mgを得た。
【0289】
参考例15:3-(15-メトキシペンタデシル)-4,4-ジメチル-2-プロピルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物61)の合成
4,4-ジメチルシクロヘキサン-1,3-ジオン3.0gのエタノール24mL溶液に水酸化カリウム1当量、水24mL、ヨウ化プロピル1.5当量を加えて70℃で1日間撹拌した。反応溶液を減圧乾燥して酢酸エチルで濾過したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(アセトン/ヘプタン)で精製し、4,4-ジメチル-2-プロピルシクロヘキサン-1,3-ジオン868.5mgを得た。得られた4,4-ジメチル-2-プロピルシクロヘキサン-1,3-ジオン868.5mgをトルエンに溶解し、イソブタノール2.0当量とp-トルエンスルホン酸一水和物0.043当量を加えて70℃にて1日間撹拌した。反応溶液にモレキュラーシーブス4A2.0当量を加え、120℃で1日間撹拌した。室温まで放冷したのち、酢酸エチルで不溶物を濾別して0.5mol/L水酸化ナトリウム水溶液を加えた。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン)で精製し、3-イソブトキシ-6,6-ジメチル-2-プロピルシクロヘキサ-2-エン-1-オン723mgを得た。得られた3-イソブトキシ-6,6-ジメチル-2-プロピルシクロヘキサ-2-エン-1-オン723mgと参考例5で得られた1-ブロモ-15-メトキシペンタデカン1.2当量のテトラヒドロフラン溶液にリチウム金属14当量を加えて70℃にて4時間撹拌した。反応溶液を氷冷したのち、0.5mol/L 塩酸水を加えて室温にて30分間撹拌した。酢酸エチルにて抽出し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン)で精製し、標題化合物78.1mgを得た。
【0290】
参考例16:2-イソプロピル-3-(15-メトキシペンタデシル)-4,4-ジメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物62)の合成
4,4-ジメチルシクロヘキサン-1,3-ジオン3.0gのエタノール44mL溶液に水酸化カリウム1当量、水24mL、ヨウ化イソプロピル1.5当量を加えて70℃で1日間撹拌した。反応溶液を減圧乾燥して酢酸エチルで濾過したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(アセトン/ヘプタン)で精製し、2-イソプロピル-4,4-ジメチルシクロヘキサン-1,3-ジオン168.5mgを得た。得られた2-イソプロピル-4,4-ジメチルシクロヘキサン-1,3-ジオン168.5mgをトルエンに溶解し、イソブタノール2.0当量とp-トルエンスルホン酸一水和物0.043当量を加えて70℃にて1日間撹拌した。反応溶液にモレキュラーシーブス4A2.0当量を加え、120℃で1日間撹拌した。室温まで放冷したのち、酢酸エチルで不溶物を濾別して0.5mol/L水酸化ナトリウム水溶液を加えた。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン)で精製し、3-イソブトキシ-2-イソプロピル-6,6-ジメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン70.2mgを得た。得られた3-イソブトキシ-2-イソプロピル-6,6-ジメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン70.2mgと参考例5で得られた1-ブロモ-15-メトキシペンタデカン1.2当量のテトラヒドロフラン溶液にリチウム金属14当量を加えて70℃にて4時間撹拌した。反応溶液を氷冷したのち、0.5mol/L塩酸水を加えて室温にて30分間撹拌した。酢酸エチルにて抽出し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン)で精製し、標題化合物28.5mgを得た。
【0291】
参考例17:3-(15-メトキシペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサン-1-オン(化合物63)の合成
実施例14で得られた3-(15-メトキシペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン100mgのエタノール5mL溶液にパラジウム炭素10mgを加え、水素雰囲気下4時間撹拌した。反応溶液をセライトで濾過したのち、減圧留去することで、標題化合物68.9mgを得た。
【0292】
参考例18:2-(15-メトキシペンタデシル)-1,3,3-トリメチルシクロヘキサ-1-エン(化合物64)の合成
アセトニトリル1mL、トリフルオロ酢酸1mL、酢酸1mLの混合溶液に氷冷下にて水素化ホウ素ナトリウム240mgを加えた。次いで実施例14で得られた3-(15-メトキシペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン200mgの塩化メチレン0.4mL溶液を加えて氷冷下2時間撹拌した。反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて塩化メチレンにて抽出し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/ヘキサン)で精製し、標題化合物138mgを得た。
【0293】
参考例19:3-(15-メトキシペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オ-ル(化合物65)の合成
実施例14で得られた3-(15-メトキシペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン150mgのメタノール3mL溶液に氷冷下塩化セリウム7水和物148mg、水素化ホウ素ナトリウム15mgを加え30分間撹拌したのち、室温で撹拌した。反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて酢酸エチルにて抽出して無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物130mgを得た。
【0294】
参考例20:3-(15-メトキシペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-アミン(化合物66)の合成
参考例19で得られた3-(15-メトキシペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オ-ル200mgのテトラヒドロフラン4mL溶液にフタルイミド154mg、トリフェニルホスフィン275mgを加え、氷冷下ジイソプロピルアゾジカルボキシレート204μLを加え、室温にて終夜撹拌した。反応溶液を減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製したのち、エタノール4mL、ヒドラジン1水和物107μLを加えて終夜加熱撹拌した。反応溶液を室温まで放冷したのち、析出物を濾別した濾液を減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物69.1mgを得た。
【0295】
参考例21:3-(15-メトキシペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン オキシム(化合物67)の合成
実施例14で得られた3-(15-メトキシペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン500mgのエタノール8mL溶液に水4mL、ヒドロキシアミン塩酸塩550mg、炭酸カリウム1.09gを加えマイクロウェーブ装置で70℃、2時間30分間撹拌した。反応溶液に水を加えて酢酸エチルにて抽出し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をNHシルカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/塩化メチレン)で精製し、標題化合物361mgを得た。
【0296】
参考例22:3-(15-メトキシペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン O-メチルオキシム(化合物68)の合成
実施例14で得られた3-(15-メトキシペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン300mgのエタノール3mL溶液にO-メチルヒドロキシアミン塩酸塩198mg、炭酸カリウム329mgを加えマイクロウェーブ装置で70℃、2時間30分間撹拌した。反応溶液に水を加えて酢酸エチルにて抽出し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別したのち、減圧留去して得られた残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン/ヘキサン)で精製し、標題化合物151mgを得た。
【0297】
【0298】
【0299】
【0300】
【0301】
【0302】
【0303】
【0304】
試験例1 薬物動態
化合物を必要量秤量し、0.5%ヒドロキシプロピルメチルセルロースにて薬剤懸濁液を調製した。各群のラットの数は2匹とし、それぞれの薬剤懸濁液を経口ゾンデを用いて雄性ラット(Crl:CD(SD))に経口投与した(本化合物の投与量は10mg/kg)。各採血ポイント(投与後0.5、1、2、4、8及び24時間)にて注射筒及び注射針を用いて頚静脈より採血した(抗凝固剤はヘパリンナトリウム)。採取した血液は遠心分離(13000rpm、2分、4℃)により血漿を調製し、除タンパク処理を行った後に血漿中の化合物濃度をLC/MS/MS(LCMS-8040(shimadzu)またはAPI4000(AB SCIEX)、LC:30-A,20-Aシリーズ (shimadzu)またはWaters Acquity (waters))にて測定した。
【0305】
表8に示したように、化合物24は化合物4に比べ、薬物血中濃度-時間曲線下面積AUCが1900倍以上、最高血中濃度Cmaxが1100倍向上していることが確認できた。また、一般式(I)中、R1が-CH2OR4、-CH2OCON(CH3)2、-CONHR6、又はシアノ基である化合物は、化合物4に対し、AUCがそれぞれ少なくとも100倍以上、1000倍以上、10倍以上、1900倍以上向上し、Cmaxがそれぞれ少なくとも30倍以上、200倍以上、10倍以上、1100倍以上向上していることが確認できた。そのため、一般式(I)で表される化合物は、既知化合物である化合物4よりも予想外に優れた薬物動態を有することが示された。
【0306】
【0307】
試験例2 糖尿病(DM)モデルラットにおける薬効評価
糖尿病モデルにおける化合物の効果を検討するため、Saitohらの方法を参考に(European Journal of Pharmacology 501(2004)143-149)シストメトリー法による膀胱機能を解析した。
【0308】
クエン酸緩衝液(0.1 M citric acid、pH4.2)にストレプトゾトシン(STZ)を32.5mg/mLになるよう溶解したSTZ溶液を調整し、SDラットに腹腔内投与(65mg/kg)することでDMモデルを惹起した。なお、shamラットには、STZ溶液の代わりにクエン酸緩衝液を処置する以外、同様の操作を行った。
【0309】
モデル作製翌日、4週後に覚醒条件下にて尾静脈より採血を行い、血糖値を測定した。血糖値測定には、アントセンスIII[株式会社堀場製作所]を用いた。尚、モデル作製翌日及び4週後の血糖値が300mg/dL以上の個体をDMモデル成立と判定し、以後の操作に用いた。
【0310】
被験物質(化合物4、24)の投与は、モデル作製翌日から開始した。Vehicle、または、化合物投与液を朝夕の1日2回、10mL/kgの容量で4週間経口投与した。被験物質の最終投与の翌日、ラットをイソフルラン麻酔下で開腹し、膀胱頂部より膀胱内圧測定用のカテーテル(PE-90、Becton Dickinson and Company)を挿入した。閉腹後、保定ケージにラットを入れ、イソフルラン麻酔解除から30分以上時間を置いた後、ウレタン溶液を皮下投与(0.8g/kg)した。
【0311】
膀胱に挿入したカテーテルのもう一端に三方活栓を介し圧トランスデューサー(DX-360、日本光電工業株式会社)とインフュージョンポンプ(TE-331S、テルモ株式会社)を接続した。生理食塩液の膀胱内持続注入(infusion rate: 12 mL/hr)時の膀胱内圧を圧トランスデューサー及びポリグラフ(AP-641G、日本光電工業株式会社)にて測定し、PowerLab(ML866、AD Instruments)を介してコンピューターに連続記録した(sampling rate: 20 /sec)。また、保定ケージの直下にセットした電子天秤[GX-200、株式会社エー・アンド・デイ]を用い排尿量を自動測定し、PowerLabを介しコンピューターに連続記録(sampling rate 20/sec)した。排尿機能パラメータの記録及び解析は、PowerLab専用解析ソフトChart 5 (ver. 5.5.6、AD Instruments)を用いて行った。
【0312】
ウレタン麻酔直後から、シストメトリー環境に慣らすため生理食塩液の膀胱内持続注入(infusion rate: 3 mL/hr)を約1.5時間実施した。シストメトリー環境の馴化後、シストメトリー(infusion rate: 12mL/hr)による排尿機能測定(膀胱内圧、排尿量、残尿量)を実施した。
【0313】
図1に示すように、化合物24は化合物4と比べ顕著な薬効を示すことが明らかとなった。
【0314】
試験例3 神経成長促進作用の測定
神経成長促進作用評価のため、Topalliらの方法を参考に(Brain Research 1030 (2004) 116-124)neurite bearing assay(有突起細胞割合)及びneurite length assay(神経突起長)を解析した。
【0315】
10% fetal bovine serum含有のDMEM培地にてND3神経細胞株(European Collection of Authenticated Cell Cultures)を24ウェルプレートに播種した(0.6×104cells / 1 mL)。24時間後、播種した細胞の培地を除去し、ジメチルスルホキシド(DMSO)にて段階希釈した本開示化合物をDMSO終濃度が0.1%になるように、0.1% bovine serum albumin含有のDMEMにて調整した溶液を細胞に添加した(評価はduplicateで行った)。添加6時間後に有突起細胞割合(細胞体の直径より長い突起を有する細胞数/総細胞数)及び1細胞あたりの神経突起長を解析した。なお、総細胞数、有突起細胞割合、及び1細胞あたりの神経突起長の解析にはMetaMorph Neurite Outgrowth Application Module(モレキュラーデバイスジャパン株式会社)を使用した。細胞数は、DMSOを添加したウェルの細胞数を1とした場合の相対細胞数を示した。各試験における3-(15-メトキシペンタデシル)-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(化合物24)の最大活性を1としたときの各化合物の相対活性を示した(表9)。なお、複数回試験を行った化合物に関しては、その平均値を示した。また細胞数が0.5以上のデータを採用した。そのため、細胞数が0.5未満であった場合、1細胞あたりの突起長及び有突起細胞割合は「-」と表記した。
【0316】
化合物24は、表9に示すように、1~100μM添加において、相対細胞数は0.5以上であった。
【0317】
【0318】
表10~13に示すように、本開示化合物は、優れた神経成長促進作用を有することを確認した。さらに、一部の化合物は化合物24と同等以上の神経成長促進作用を有することを確認した。
【0319】
【0320】
【0321】
【0322】
【0323】
この試験の結果、本開示化合物は神経成長促進作用を有することが明らかになった。