(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】高分子材料用発泡倍率向上剤、高分子材料用発泡剤組成物、及び樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
C09K 3/00 20060101AFI20220722BHJP
C08L 21/00 20060101ALI20220722BHJP
C08K 5/3445 20060101ALI20220722BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20220722BHJP
C08K 5/23 20060101ALI20220722BHJP
C08K 3/26 20060101ALI20220722BHJP
C08K 3/28 20060101ALI20220722BHJP
C08J 9/06 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
C09K3/00 111B
C08L21/00 ZAB
C08K5/3445
C08L101/00
C08K5/23
C08K3/26
C08K3/28
C08J9/06
(21)【出願番号】P 2022523584
(86)(22)【出願日】2021-12-23
(86)【国際出願番号】 JP2021047786
【審査請求日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】P 2020216789
(32)【優先日】2020-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021138729
(32)【優先日】2021-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000206901
【氏名又は名称】大塚化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青▲柳▼ 誠一
【審査官】上條 のぶよ
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/045575(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第109705489(CN,A)
【文献】特開2015-007145(JP,A)
【文献】特表2020-506999(JP,A)
【文献】特開2013-053178(JP,A)
【文献】特開2012-214624(JP,A)
【文献】国際公開第2012/081561(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/00
C08L 21/00
C08K 5/3445
C08L 101/00
C08K 5/23
C08K 3/26
C08K 3/28
C08J 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子材料用発泡倍率向上剤であって、
5-ピラゾロン、3-メチル-5-ピラゾロン、3-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、3-フェニル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、3-プロピル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、3-ウンデシル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、4-(2-ヒドロキシエチル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、4-ベンジル-3-メチル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、5-メチル-2-(4-ニトロフェニル)-1H-ピラゾール-3(2H)-オン、5-メチル-2-フェニル-2,4-ジヒドロ-3H-ピラゾール-3-オン、1,3-ジフェニル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、及び3-メチル-1-フェニル-5-ピラゾロンからなる群より選ばれる
化合物、及び該化合物の塩からなる群より選ばれる少なくとも一種を含
み、
前記高分子材料がゴム、及び熱可塑性樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種であり、
アゾジカルボンアミド、N,N´-ジニトロソペンタンメチレンテトラミン、p,p´-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、パラトルエンスルホニルヒドラジド、p-トルエンスルホニルセミカルバジド、ジアゾアミノベンゼン、ヒドラゾジカルボンアミド、バリウムアゾジカルボキシレート、アゾビスイソブチロニトリル、クエン酸モノナトリウム、重曹、炭酸水素アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、酢酸アルミニウム、亜硝酸アンモニウム、及びホウ化水素ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の化学発泡剤による発泡倍率を向上させるための、
高分子材料用発泡倍率向上剤。
【請求項2】
前記高分子材料がゴムである、請求項1に記載の高分子材料用発泡倍率向上剤。
【請求項3】
前記ゴムが、ジエン系ゴム、及び非ジエン系ゴムからなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項2に記載の高分子材料用発泡倍率向上剤。
【請求項4】
前記高分子材料が
熱可塑性樹脂である、請求項1に記載の高分子材料用発泡倍率向上剤。
【請求項5】
高分子材料用発泡剤組成物であって、
請求項1~
4の何れか1項に記載の発泡倍率向上剤
、及び
アゾジカルボンアミド、N,N´-ジニトロソペンタンメチレンテトラミン、p,p´-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、パラトルエンスルホニルヒドラジド、p-トルエンスルホニルセミカルバジド、ジアゾアミノベンゼン、ヒドラゾジカルボンアミド、バリウムアゾジカルボキシレート、アゾビスイソブチロニトリル、クエン酸モノナトリウム、重曹、炭酸水素アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、酢酸アルミニウム、亜硝酸アンモニウム、及びホウ化水素ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の化学発泡剤を含み、
前記高分子材料がゴム、及び熱可塑性樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種である、
高分子材料用発泡剤組成物。
【請求項6】
樹脂組成物であって、
成分(a):ポリエチレン、
成分(b):
アゾジカルボンアミド、N,N´-ジニトロソペンタンメチレンテトラミン、p,p´-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、パラトルエンスルホニルヒドラジド、p-トルエンスルホニルセミカルバジド、ジアゾアミノベンゼン、ヒドラゾジカルボンアミド、バリウムアゾジカルボキシレート、アゾビスイソブチロニトリル、クエン酸モノナトリウム、重曹、炭酸水素アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、酢酸アルミニウム、亜硝酸アンモニウム、及びホウ化水素ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の化学発泡剤、及び
成分(c):
5-ピラゾロン、3-メチル-5-ピラゾロン、3-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、3-フェニル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、3-プロピル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、3-ウンデシル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、4-(2-ヒドロキシエチル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、4-ベンジル-3-メチル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、5-メチル-2-(4-ニトロフェニル)-1H-ピラゾール-3(2H)-オン、5-メチル-2-フェニル-2,4-ジヒドロ-3H-ピラゾール-3-オン、1,3-ジフェニル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、及び3-メチル-1-フェニル-5-ピラゾロンからなる群より選ばれる化合物
、及び該化合物の塩
からなる群より選ばれる少なくとも一種
を含み、
前記成分(a)100質量に対して、
前記成分(b)0.1質量部~50質量部、及び
前記成分(c)0.1質量部~50質量部
を含む、樹脂組成物。
【請求項7】
前記成分(a)は、低密度ポリエチレン(LDPE)である、請求項
6に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
前
記化学発泡剤は、
アゾジカルボンアミド、ジアゾアミノベンゼン、バリウムアゾジカルボキシレート、及びアゾビスイソブチロニトリルからなる群より選ばれる少なくとも一種のアゾ系化学発泡剤である、請求項
6又は7に記載の樹脂組成物。
【請求項9】
前
記化学発泡剤は、重曹である、請求項
6又は7に記載の樹脂組成物。
【請求項10】
請求項
6~
9の何れか1項に記載の樹脂組成物を発泡させた発泡体。
【請求項11】
請求項
6~
9の何れか1項に記載の樹脂組成物、又は請求項
10に記載の発泡体を用いて作製された断熱材、養生材、目地材、面戸材、被覆材、遮水材、遮音材、フローター、緩衝材、衝撃吸収材、敷物芯材、又は玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子材料用発泡倍率向上剤、及び高分子材料用発泡剤組成物に関する。
本発明は、樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
発泡体は、軽量性及び断熱性等に優れていることから、タイヤ部品、自動車外装・内装部品、家電部品等で広く使用されている。
【0003】
上記発泡体は、一般的に、樹脂やゴム等の高分子材料に発泡剤を添加させることで製造することができる。軽量性及び断熱性等の発泡体性能の更なる向上に加え、発泡剤の使用量の削減による経済的制約等が求められており、優れた発泡倍率を有する発泡体の需要が高い。
【0004】
優れた発泡倍率を有する発泡体を製造する方法として、例えば特許文献1では、化学発泡剤と特定の平均粒子径を有するマイクロカプセルとの併用が開示されている。
【0005】
また、本出願人は、従来、発泡ビーズに防虫剤を含有せしめた後、発泡ビーズ法に依り成形する事を特徴とする防虫性樹脂発泡体の製造方法(特許文献2)、発泡体層を具備する自動車用天井材に於いて、前記発泡体層には、ヒドラジド化合物、アゾール化合物又はアジン化合物から選ばれる少なくとも1種が含有されている事を特徴とする自動車用天井材(特許文献3)等を開発している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2007-246578号公報
【文献】特開昭61-44934号公報
【文献】特開2000-6730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のような事情に鑑み、本発明の目的とするところは、第一に、高分子材料に優れた発泡倍率を付与することができる高分子材料用発泡倍率向上剤を提供することにある。
【0008】
また、本発明は、第二に、高い発泡倍率と微細な(緻密な)気泡とを有する発泡体を得る為の樹脂組成物を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第一の本発明
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、第一に、所定のピラゾロン系化合物は、高分子材料の発泡倍率を顕著に向上させることを見出した。
本発明者は、かかる知見に基づきさらに研究を重ね、第一の本発明を完成するに至った。
【0010】
第一の本発明は、以下の高分子材料用発泡倍率向上剤、及び高分子材料用発泡剤組成物を提供する。
項1.
下記式(1)で表される化合物、及び該化合物の塩からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、高分子材料用発泡倍率向上剤。
【化1】
〔式(1)中、R
1、R
2、R
3及びR
4は同一又は異なって、水素原子、アルキル基、アラルキル基、又はアリール基を示す。これら各基は、それぞれ1個以上の置換基を有していてもよい。〕
項2.
前記高分子材料がゴムである、項1に記載の高分子材料用発泡倍率向上剤。
項3.
前記ゴムが、ジエン系ゴム、及び非ジエン系ゴムからなる群より選ばれる少なくとも一種である、項2に記載の高分子材料用発泡倍率向上剤。
項4.
前記高分子材料が樹脂である、項1に記載の高分子材料用発泡倍率向上剤。
項5.
前記樹脂が、熱硬化性樹脂、及び熱可塑性樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種である、項4に記載の高分子材料用発泡倍率向上剤。
項6.
前記式(1)で表される化合物において、R
1、R
3及びR
4が水素原子、R
2がメチル基である、項1~5の何れかに記載の高分子材料用発泡倍率向上剤。
項7.
項1~6の何れかに記載の発泡倍率向上剤及び化学発泡剤を含む、高分子材料用発泡剤組成物。
項8.
前記化学発泡剤が、アゾジカルボンアミド、N,N´-ジニトロソペンタンメチレンテトラミン、p,p´-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、パラトルエンスルホニルヒドラジド、p-トルエンスルホニルセミカルバジド、ジアゾアミノベンゼン、ヒドラゾジカルボンアミド、バリウムアゾジカルボキシレート、アゾビスイソブチロニトリル、クエン酸モノナトリウム、重曹、炭酸水素アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、酢酸アルミニウム、亜硝酸アンモニウム、及びホウ化水素ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも一種である、項7に記載の高分子材料用発泡剤組成物。
【0011】
第二の本発明
本発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、第二に、ポリエチレン及び化学発泡剤を含む樹脂組成物に、ピラゾロン系の化合物を加える事に依り、この樹脂組成物を発泡させる事に依り、高い発泡倍率と微細な(緻密な)気泡とを有する発泡体を得る事が出来る事を見出した。
【0012】
本発明者は、かかる知見に基づき、更に研究を重ね、第二の本発明を完成するに至った。
【0013】
即ち、本発明は、以下の樹脂組成物を提供する。
【0014】
項1.
樹脂組成物であって、
成分(a):ポリエチレン、
成分(b):化学発泡剤、及び
成分(c):下記式(1)で表される化合物又はその塩
【0015】
【化2】
〔式中、R
1は、水素原子、アルキル基、又はアラルキル基を示し、R
2、R
3及びR
4は、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、アラルキル基、又はアリール基を示し、これら各基は、夫々1個以上の置換基を更に有していても良い。〕
を含み、
前記成分(a)100質量に対して、
前記成分(b)0.1質量部~50質量部、及び
前記成分(c)0.1質量部~50質量部
を含む、樹脂組成物。
【0016】
項2.
前記成分(a)は、低密度ポリエチレン(LDPE)である、前記項1に記載の樹脂組成物。
【0017】
項3.
前記成分(b)は、有機系化学発泡剤、又は無機系化学発泡剤である、前記項1又は2に記載の樹脂組成物。
【0018】
項4.
前記有機系化学発泡剤は、アゾ系化学発泡剤である、前記項3に記載の樹脂組成物。
【0019】
項5.
前記無機系化学発泡剤は、重曹である、前記項3に記載の樹脂組成物。
【0020】
項6.
前記式(1)で表される化合物又はその塩において、前記R1、前記R3及び前記R4は水素原子であり、前記R2はメチル基である、前記項1~5の何れか1項に記載の樹脂組成物。
【0021】
項7.
前記項1~6の何れか1項に記載の樹脂組成物を発泡させた発泡体。
【0022】
項8.
前記項1~6の何れか1項に記載の樹脂組成物、又は前記項7の発泡体を用いて作製された断熱材、断熱材、養生材、目地材、面戸材、被覆材、遮水材、遮音材、フローター、緩衝材、衝撃吸収材、敷物芯材、又は玩具。
【発明の効果】
【0023】
第一に、本発明の高分子材料用発泡倍率向上剤、及び高分子材料用発泡剤組成物は、高分子材料に優れた発泡倍率を付与することができる。
第二に、本発明の樹脂組成物を発泡させる事に依り、高い発泡倍率と微細な(緻密な)気泡とを有する発泡体を得る事が出来る。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、第一及び第二の本発明を詳細に説明する。
【0025】
本明細書において、「含む」及び「含有」は、「含む(comprise)」、「実質的にのみからなる(consist essentially of)」、及び「のみからなる(consist of)」のいずれも包含する概念である。
【0026】
本明細書において、数値範囲を「A~B」で示す場合、A以上B以下を意味する。
【0027】
第一の本発明
(1.高分子材料用発泡倍率向上剤)
本発明の高分子材料用発泡倍率向上剤は、式(1)で表される化合物、及び該化合物の塩(以下、当該化合物又はその塩を総称して、単に「化合物(1)」ともいう。)から選ばれる少なくとも一種の化合物を含む。
【0028】
【化3】
〔式中、R
1、R
2、R
3及びR
4は、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、アラルキル基、又はアリール基を示し、これら各基は、それぞれ1個以上の置換基をさらに有していてもよい。〕
【0029】
化合物(1)における「アルキル基」としては、特に限定はなく、例えば、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基が挙げられ、具体的には、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル等の炭素数1~4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、更に、1-エチルプロピル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、3-メチルペンチル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、5-プロピルノニル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル等を加えた炭素数5~18の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等の炭素数3~8の環状アルキル基等が挙げられる。
【0030】
化合物(1)における「アラルキル基」としては、特に限定はなく、例えば、ベンジル、フェネチル、トリチル、1-ナフチルメチル、2-(1-ナフチル)エチル、2-(2-ナフチル)エチル基等が挙げられる。
【0031】
化合物(1)における「アリール基」としては、特に限定はなく、例えば、フェニル、ビフェニル、ナフチル、ジヒドロインデニル、9H-フルオレニル基等が挙げられる。
【0032】
これらアルキル基、アラルキル基、及びアリール基は、置換可能な任意の位置にそれぞれ1個以上の置換基を有していてもよい。該「置換基」としては、特に限定はなく、例えば、ハロゲン原子、アミノ基、アミノアルキル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、ホルミル基、ニトリル基、ニトロ基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、水酸基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基等が挙げられる。該置換基は、好ましくは1~5個、より好ましくは1~3個有していてもよい。
【0033】
上記置換基としての「ハロゲン原子」としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、及びアスタチン原子が挙げられ、好ましくはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子である。
【0034】
上記置換基としての「アミノ基」としては、-NH2で表されるアミノ基だけでなく、例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、n-プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n-ブチルアミノ、イソブチルアミノ、s-ブチルアミノ、t-ブチルアミノ、1-エチルプロピルアミノ、n-ペンチルアミノ、ネオペンチルアミノ、n-ヘキシルアミノ、イソヘキシルアミノ、3-メチルペンチルアミノ基等の直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1~6程度のモノアルキルアミノ基;ジメチルアミノ、エチルメチルアミノ、ジエチルアミノ基等の直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1~2程度のアルキル基を2つ有するジアルキルアミノ基等の置換アミノ基も含まれる。
【0035】
上記置換基としての「アミノアルキル基」としては、特に限定はなく、例えば、アミノメチル、メチルアミノメチル、エチルアミノメチル、ジメチルアミノメチル、エチルメチルアミノメチル、ジエチルアミノメチル、2-アミノエチル、2-(メチルアミノ)エチル、2-(エチルアミノ)エチル、2-(ジメチルアミノ)エチル、2-(エチルメチルアミノ)エチル、2-(ジエチルアミノ)エチル、3-アミノプロピル、3-(メチルアミノ)プロピル、3-(エチルアミノ)プロピル、3-(ジメチルアミノ)プロピル、3-(エチルメチルアミノ)プロピル、3-(ジエチルアミノ)プロピル基等の炭素数1~7程度のアミノアルキル基、モノアルキル置換アミノアルキル基又はジアルキル置換アミノアルキル基等が挙げられる。
【0036】
上記置換基としての「アルコキシカルボニル基」としては、特に限定はなく、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル基等の炭素数1~4の直鎖状又は分岐鎖状アルコキシカルボニル基が挙げられる。
【0037】
上記置換基としての「アシル基」としては、特に限定はなく、例えば、アセチル、プロピオニル、ピバロイル基等の炭素数1~4の直鎖状又は分岐鎖状アルキルカルボニル基が挙げられる。
【0038】
上記置換基としての「アシルオキシ基」としては、特に限定はなく、例えば、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、n-ブチリルオキシ基等の炭素数1~4の直鎖状又は分岐鎖状アシルオキシ基等が挙げられる。
【0039】
上記置換基としての「アミド基」としては、特に限定はなく、例えば、アセトアミド、ベンズアミド基等のカルボン酸アミド基;チオアセトアミド、チオベンズアミド基等のチオアミド基;N-メチルアセトアミド、N-ベンジルアセトアミド基等のN-置換アミド基;等が挙げられる。
【0040】
上記置換基としての「カルボキシアルキル基」としては、特に限定はなく、例えば、カルボキシメチル、カルボキシエチル、カルボキシ-n-プロピル、カルボキシ-n-ブチル、カルボキシ-n-ペンチル、カルボキシ-n-ヘキシル基等のカルボキシアルキル基が挙げられる。
【0041】
上記置換基としての「ヒドロキシアルキル基」としては、特に限定はなく、例えば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシ-n-プロピル、ヒドロキシ-n-ブチル基等のヒドロキシアルキル基が挙げられる。
【0042】
上記置換基としての「アルコキシ基」としては、特に限定はなく、例えば、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルコキシ基が挙げられ、具体的には、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシ基の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基;シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘプチルオキシ、シクロオクチルオキシ基等の環状アルコキシ基等が挙げられる。
【0043】
上記置換基としての「アリールオキシ基」としては、特に限定はなく、例えば、フェノキシ、ビフェニルオキシ、ナフトキシ基等が挙げられる。
【0044】
上記置換基としての「アルキルチオ基」としては、特に限定はなく、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、及びn-プロピルチオ基等が挙げられる。
【0045】
上記置換基としての「アリールチオ基」としては、特に限定はなく、例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基、ビフェニルチオ基等が挙げられる。
【0046】
式(1)で表される化合物としては、R1が水素原子である化合物が好ましい。
【0047】
また、式(1)で表される化合物としては、R2が、水素原子、炭素数1~4の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、アラルキル基、又はアリール基である化合物が好ましく、水素原子、又は炭素数1~4の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基である化合物がより好ましく、メチル基である化合物が更に好ましい。
【0048】
さらに、式(1)で表される化合物としては、R3及びR4の少なくとも一方が水素原子である化合物が好ましく、R3及びR4が共に水素原子である化合物がより好ましい。
【0049】
上記した中でも、式(1)で表される化合物としては、R1が水素原子であり、R2が水素原子、炭素数1~4の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、アラルキル基、又はアリール基であり、R3及びR4が共に水素原子である化合物が好ましく、R1が水素原子であり、R2が水素原子、又は炭素数1~4の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基であり、R3及びR4が共に水素原子である化合物が更に好ましく、R1が水素原子であり、R2がメチル基であり、R3及びR4が共に水素原子である化合物が特に好ましい。
【0050】
式(1)で表される化合物としては、例えば、5-ピラゾロン、3-メチル-5-ピラゾロン、3-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、3-フェニル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、3-プロピル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、3-ウンデシル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、4-(2-ヒドロキシエチル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、4-ベンジル-3-メチル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、5-メチル-2-(4-ニトロフェニル)-1H-ピラゾール-3(2H)-オン、5-メチル-2-フェニル-2,4-ジヒドロ-3H-ピラゾール-3-オン、及び1,3-ジフェニル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン等が挙げられる。
【0051】
中でも、式(1)で表される化合物としては、5-ピラゾロン、3-メチル-5-ピラゾロン、3-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、3-フェニル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、及び3-プロピル-1H-ピラゾール-5(4H)-オンがより好ましく、3-メチル-5-ピラゾロンが特に好ましい。
【0052】
本発明の高分子材料用発泡倍率向上剤は、上記した化合物を一種のみ単独で含んでもよいし、二種以上を混合して含んでもよい。
【0053】
式(1)で表される化合物の中には、互変異性体を生じるものがある。互変異性化が可能である(例えば、溶液中である)場合に、互変異性体の化学平衡に達し得る。化合物(1)は、例えば、式(2)~(7)で表されるような互変異性体として存在することができる。
【0054】
前記式(1)において、R1及びR3が水素原子である化合物(化合物(1)-A)には、以下の式(2)~(4)で表される互変異性体が存在する。
【0055】
【化4】
〔式中、R
2及びR
4は前記に同じである。〕
【0056】
前記式(1)において、R3が水素原子である化合物(化合物(1)-B)には、以下の式(5)~(6)で表される互変異性体が存在する。
【0057】
【化5】
〔式中、R
1、R
2及びR
4は前記に同じである。〕
【0058】
前記式(1)において、R1が水素原子である化合物(化合物(1)-C)には、以下の式(7)で表される互変異性体が存在する。
【0059】
【化6】
〔式中、R
2、R
3及びR
4は前記に同じである。〕
【0060】
上記式(2)~(7)で表される互変異性体と、化合物(1)とは、何れの異性体も共存する平衡状態に達している。よって、別段の記載がない限り、本明細書において、化合物(1)のすべての互変異性体の形態は、本発明の範囲内である。
【0061】
また、式(1)で表される化合物の塩としては、特に限定はなく、あらゆる種類の塩が含まれる。このような塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩等の無機酸塩;酢酸塩、メタンスルホン酸塩等の有機酸塩;ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;ジメチルアンモニウム、及びトリエチルアンモニウム等のアンモニウム塩等が挙げられる。
【0062】
本発明の高分子材料用発泡倍率向上剤は、上記した化合物(1)のみからなる態様であってもよいし、その目的及び効果を損なわない範囲内で、その他の物質を含むことも好ましい。
【0063】
かかる高分子材料用発泡率向上剤の使用量は、後述する高分子材料100質量部に対して、0.1~100質量部とすることが好ましく、0.5~60質量部とすることがより好ましく、1~50質量部とすることがさらに好ましい。
【0064】
(1.2.高分子材料)
本発明の高分子材料用発泡倍率向上剤に適用することのできる高分子材料としては、特に限定はなく、公知の高分子材料を広く使用することが可能である。例えば、ゴム、樹脂、熱硬化性エラストマー、熱可塑性エラストマー等である。
【0065】
ゴムとしては、特に制限はなく、例えば、ジエン系ゴム、非ジエン系ゴム、並びにジエン系ゴムと非ジエン系ゴムとの混合物等が挙げられる。
【0066】
ジエン系ゴムとしては、天然ゴム、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン-イソプレン-ブタジエンゴム(SIBR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、スチレン-イソプレン-スチレン三元ブロック共重合体(SIS)、スチレン-ブタジエン-スチレン三元ブロック共重合体(SBS)等、及びこれらの変性ジエン系ゴムが挙げられる。中でも、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエン共重合体ゴムが好ましい。
【0067】
天然ゴムとしては天然ゴムラテックス、技術的格付けゴム(TSR)、スモークドシート(RSS)、ガタパーチャ、杜仲由来天然ゴム、グアユール由来天然ゴム、ロシアンタンポポ由来天然ゴムなどが挙げられ、更にこれら天然ゴムを変性した、エポキシ化天然ゴム、メタクリル酸変性天然ゴム、ハロゲン変性天然ゴム、脱蛋白天然ゴム、マレイン酸変性天然ゴム、スルホン酸変性天然ゴム、スチレン変性天然ゴムなどの変性天然ゴムなどを使用することも好ましい。
【0068】
変性ジエン系ゴムには、主鎖変性、片末端変性、両末端変性などの変性手法によるジエン系ゴムが包含される。ここで、変性ジエン系ゴムの変性官能基としては、エポキシ基、アミノ基、アルコキシシリル基、水酸基などの各種官能基が挙げられ、これら官能基は1種又は2種以上が変性ジエン系ゴムに含まれていてもよい。
【0069】
ジエン系ゴムの製造方法は、特に制限はなく、乳化重合、溶液重合、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合などが挙げられる。また、合成ジエン系ゴムのガラス転移点も、特に制限はない。
【0070】
非ジエン系ゴムとしては、ブチルゴム、エチレン-プロピレンゴム(EPM)、エチレン-プロピレン-ジエン三元共重合体ゴム(EPDM)、ウレタンゴム(U)、六フッ化プロピレン‐フッ化ビニリデン共重合体(FKM)、テトラフルオロエチレン‐プロピレン共重合体(FEPM)、テトラフルオロエチレン‐パーフルオロビニルエーテル共重合体(FFKM)、メチルシリコーンゴム(MQ)、ビニル・メチルシリコーンゴム(VMQ)、フェニル・メチルシリコーンゴム(PMQ)、アクリルゴム(ACM)、多硫化ゴム(T)、エピクロルヒドリンゴム(CO,ECO)等、及びこれらの変性非ジエン系ゴムが挙げられる。中でも、ブチルゴム、エチレン-プロピレン-ジエン三元共重合体ゴム(EPDM)が好ましい。
【0071】
変性非ジエン系ゴムには、主鎖変性、片末端変性、両末端変性などの変性手法による非ジエン系ゴムが包含される。ここで、変性非ジエン系ゴムの変性官能基としては、エポキシ基、アミノ基、アルコキシシリル基、水酸基などの各種官能基が挙げられ、これら官能基は1種又は2種以上が変性合成非ジエン系ゴムに含まれていてもよい。
【0072】
非ジエン系ゴムの製造方法は、特に制限はなく、乳化重合、溶液重合、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合などが挙げられる。また、合成非ジエン系ゴムのガラス転移点においても、特に制限はない。
【0073】
また、天然ゴム及びジエン系ゴムの二重結合部のシス/トランス/ビニルの比率については、特に制限はなく、いずれの比率においても好適に用いることができる。また、ジエン系ゴムの数平均分子量および分子量分布についても、特に制限はなく、数平均分子量500~3000000、分子量分布1.5~15が好ましい。非ジエン系ゴムとしては、公知のものを広く使用することができる。
【0074】
ゴムは、1種単独で又は2種以上を混合(ブレンド)して用いることができる。
【0075】
ゴムの中でも、天然ゴム、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)を使用することが好ましい。
【0076】
樹脂としては、特に限定はなく、例えば、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0077】
熱硬化性樹脂としては、ポリウレタン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、熱硬化性ポリイミド等が挙げられる。
【0078】
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂、アクリロニトリル-スチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
【0079】
これらの樹脂の中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリウレタンが好ましく、ポリエチレンがより好ましい。
【0080】
(1.3.化学発泡剤)
本発明の高分子材料用発泡倍率向上剤は、化学発泡剤と併用することにより、高分子材料に優れた発泡倍率を付与することができる。
【0081】
化学発泡剤としては、特に限定はなく、公知の化学発泡剤を広く使用することが可能である。例えば、アゾジカルボンアミド、N,N´-ジニトロソペンタンメチレンテトラミン、p,p´-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、パラトルエンスルホニルヒドラジド、p-トルエンスルホニルセミカルバジド、ジアゾアミノベンゼン、ヒドラゾジカルボンアミド、バリウムアゾジカルボキシレート、アゾビスイソブチロニトリル、クエン酸モノナトリウムなど有機酸及びそれらの金属塩等の有機系化学発泡剤及び、重曹、炭酸水素アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、酢酸アルミニウム、亜硝酸アンモニウム、ホウ化水素ナトリウム等の無機系化学発泡剤が挙げられる。
【0082】
上記化学発泡剤は、1種単独で、又は2種以上を混合(ブレンド)して用いることができる。
【0083】
上記化学発泡剤の中でも、アゾジカルボンアミド、p,p´-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、又は重曹が好ましい。
【0084】
これら発泡剤は、その表面を化学処理したものであってもよい。このような発泡剤は、発泡剤の固化防止、分散性、粉塵抑制、加工性、保存性等の点で優れる。また、このような発泡剤を用いて得られる組成物、及び発泡体は、機械物性の向上、気泡の微細化等の点で優れる。
【0085】
アゾジカルボンアミド(ADCA)のメジアン径は、好ましくは、1μm~40μm程度であり、より好ましくは、2μm~25μmであり、更に好ましくは、4μm~20μmである。本発明の樹脂組成物に、メジアン径が1μm~40μm程度のアゾジカルボンアミドを用いる事に依り、高い発泡倍率と微細な(緻密な)気泡とを有する発泡体を得る事が出来る。
【0086】
本発明の高分子用発泡倍率向上剤と化学発泡剤とを併用する場合、その配合量は、本発明の高分子用発泡倍率向上剤中の化合物(1)100質量部に対して、化学発泡剤を10~10000質量部使用することが好ましく、50~5000質量部使用することがより好ましく、100~4000質量部使用することがさらに好ましく、100~3000質量部使用することが特に好ましい。
【0087】
本発明の高分子材料発泡倍率向上剤と化学発泡剤とを併用する場合、本発明の高分子材料発泡倍率向上剤中の化合物(1)及び化学発泡剤の合計質量を100質量部に対する化合物(1)の使用量は、0.1~100質量部とすることが好ましく、0.5~50質量部とすることがより好ましく、0.8~40質量部とすることが更に好ましく、1~30質量部とすることが特に好ましい。
【0088】
(1.4.発泡助剤)
本発明の高分子材料用発泡倍率向上剤は、発泡助剤を併用することも好ましい。
【0089】
かかる発泡助剤としては特に限定はなく、従来より発泡助剤として汎用されているものを使用することができる。例えば、尿素化合物、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ベンゼンスルフィン酸亜鉛、トルエンスルホン酸亜鉛、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛、炭酸亜鉛などの亜鉛化合物、二酸化鉛、及び三塩基性鉛などの鉛化合物等が挙げられ、その中でも酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ベンゼンスルフィン酸亜鉛、又は炭酸亜鉛を使用することが好ましい。
【0090】
上記発泡助剤は、1種単独で、又は2種以上を混合(ブレンド)して用いることができる。
【0091】
本発明の高分子材料用発泡倍率向上剤と発泡助剤とを併用する場合、その配合量は、本発明の高分子用発泡倍率向上剤中の化合物(1)100質量部に対して、0.1~1000質量部とすることが好ましく、0.5~500質量部とすることがより好ましく、1~200質量部とすることが更に好ましく、5~100質量部とすることが特に好ましい。
【0092】
本発明の高分子材料用発泡倍率向上剤と発泡助剤とを併用する場合、本発明の高分子材料用発泡倍率向上剤中の化合物(1)、及び発泡助剤の合計質量を100質量部としたときの化合物(1)の割合は、0.1~100質量部とすることが好ましく、0.5~80質量部とすることがより好ましく、1~70質量部とすることが更に好ましく、5~50質量部とすることが特に好ましい。
【0093】
(1.5.その他配合剤)
本発明の高分子材料用発泡倍率向上剤は、化合物(1)以外にも、その目的及び効果を損なわない範囲内で、様々な配合剤を添加しても良い。例えば、カーボンブラック、無機充填剤、老化防止剤、オゾン防止剤、軟化剤、加工助剤、ワックス、樹脂、オイル、ステアリン酸等の炭素数8~30の脂肪酸、脂肪酸金属塩、酸化亜鉛(ZnO)、加硫促進剤、加硫遅延剤、加硫剤(硫黄)、架橋助剤、架橋剤、顔料、染料、粘着性付与剤、気泡核剤、悪臭吸着剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、遮光剤、金属不活性剤、消光剤、防曇剤、防黴剤、抗菌剤、防臭剤、可塑剤、帯電防止剤、界面活性剤、重合禁止剤、増感剤、硬化促進剤、希釈材、流動性調整剤、レベリング剤、粘着剤、接着剤、滑剤、離型剤、潤滑剤、固体潤滑剤、強化剤、相溶化剤、導電剤、アンチブロッキング剤、アンチトラッキング剤、蓄光剤、難燃剤、分散剤等を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。
【0094】
本発明の高分子材料用発泡倍率向上剤をゴム成分へ適用する場合、カーボンブラックを添加することができる。カーボンブラックとしては、特に制限はなく、例えば、市販品のカーボンブラック、Carbon-Silica Dual phase filler等が挙げられる。
【0095】
具体的に、カーボンブラックとしては、例えば、高、中又は低ストラクチャーのSAF、ISAF、IISAF、N110、N134、N220、N234、N330、N339、N375、N550、HAF、FEF、GPF、SRFグレードのカーボンブラック等が挙げられる。中でも、好ましいカーボンブラックは、SAF、ISAF、IISAF、N134、N234、N330、N339、N375、HAF、又はFEFグレードのカーボンブラックである。
【0096】
カーボンブラックのDBP吸収量としては、特に制限はなく、好ましくは60~200cm3/100g、より好ましくは70~180cm3/100g、特に好ましくは80~160cm3/100gである。
【0097】
また、カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA、JISK6217-2:2001に準拠して測定する)は、好ましくは30~200m2/g、より好ましくは40~180m2/g、特に好ましくは50~160m2/gである。
【0098】
本発明の高分子材料用発泡倍率向上剤をゴム成分へ適用する場合、無機充填剤を添加することができる。無機充填材としては、通常使用される無機化合物であれば、特に制限はない。使用できる無機化合物としては、例えば、シリカ;γ-アルミナ、α-アルミナ等のアルミナ(Al2O3);ベーマイト、ダイアスポア等のアルミナ一水和物(Al2O3・H2O);ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム[Al(OH)3];炭酸アルミニウム[Al2(CO3)3]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)2]、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、アタパルジャイ(5MgO・8SiO2・9H2O)、チタン白(TiO2)、チタン黒(TiO2n-1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)2]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al2O3)、クレー(Al2O3・2SiO2)、カオリン(Al2O3・2SiO2・2H2O)、パイロフィライト(Al2O3・4SiO2・H2O)、ベントナイト(Al2O3・4SiO2・2H2O)、ケイ酸アルミニウム(Al2SiO5、Al4・3SiO4・5H2O等)、ケイ酸マグネシウム(Mg2SiO4、MgSiO3等)、ケイ酸カルシウム(Ca2・SiO4等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al2O3・CaO・2SiO2等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO4)、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、水酸化ジルコニウム[ZrO(OH)2・nH2O]、炭酸ジルコニウム[Zr(CO3)2]、アクリル酸亜鉛、メタクリル酸亜鉛、各種ゼオライトのように電荷を補正する水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む結晶性アルミノケイ酸塩等が挙げられる。これらの無機充填材は、ゴム成分高分子材料との親和性を向上させるために、該無機充填材の表面が有機処理されていてもよい。
【0099】
本発明の高分子材料用発泡倍率向上剤をゴム成分へ適用する場合、無機充填材としては、ゴム強度を付与する観点からシリカが好ましく、より好ましくはシリカ単独で、又はシリカとゴム工業界で通常使用される無機化合物の1種以上とを併用することができる。無機
充填材として、シリカ及びシリカ以外の上記無機化合物を併用する場合には、無機充填材の全成分の合計量が上記範囲となるように適宜調整すればよい。シリカは、ゴム強度を付与することができるため添加することが好ましい。
【0100】
シリカとしては、市販のあらゆるものが使用できる。中でも、好ましいシリカとしては、湿式シリカ、乾式シリカ、又はコロイダルシリカであり、より好ましくは湿式シリカである。これらのシリカは、ゴム成分との親和性を向上させるために、シリカの表面が有機処理されていてもよい。
【0101】
シリカのBET比表面積としては、特に制限はなく、例えば、40~350m2/gの範囲が挙げられる。BET比表面積がこの範囲であるシリカは、ゴム靱性及びゴム成分中への分散性を両立できるという利点がある。該BET比表面積は、ISO5794/1に準拠して測定される。
【0102】
この観点から、好ましいシリカとしては、BET比表面積が80~300m2/gの範囲にあるシリカであり、より好ましくは、BET比表面積100~270m2/gであるシリカであり、特に好ましくは、BET比表面積110~270m2/gの範囲にあるシリカである。
【0103】
かかるシリカの市販品としては、Quechen Silicon ChemicalCo.,Ltd.製の商品名「HD165MP」(BET比表面積=165m2/g)、「HD115MP」(BET比表面積=115m2/g)、「HD200MP」(BET比表面積=200m2/g)、「HD250MP」(BET比表面積=250m2/g)、東ソー・シリカ株式会社製の商品名「ニップシールAQ」(BET比表面積=205m2/g)、「ニップシールKQ」(BET比表面積=240m2/g)、デグッサ社製の商品名「ウルトラジルVN3」(BET比表面積=175m2/g)等が挙げられる。
【0104】
また、上記カーボンブラック及び/又は無機充填材が配合された本発明の高分子材料用発泡倍率向上剤においては、カーボンブラック及び/又はシリカによる高分子材料の強度を高める目的等で、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤、ジルコネートカップリング剤を配合してもよい。
【0105】
上記カーボンブラック及び/又は無機充填材と併用可能なシランカップリング剤としては特に制限されず、市販品を好適に使用することができる。このようなシランカップリング剤として、例えばスルフィド系、ポリスルフィド系、チオエステル系、チオール系、オレフィン系、エポキシ系、アミノ系、アルキル系のシランカップリング剤が挙げられる。
【0106】
スルフィド系のシランカップリング剤としては、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-メチルジメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3-メチルジメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3-メチルジメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(3-モノエトキシジメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-モノエトキシジメチルシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3-モノエトキシジメチルシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3-モノメトキシジメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-モノメトキシジメチルシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3-モノメトキシジメチルシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-モノエトキシジメチルシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2-モノエトキシジメチルシリルエチル)トリスルフィド、ビス(2-モノエトキシジメチルシリルエチル)ジスルフィド等が挙げられる。これらの内、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドが特に好ましい。
【0107】
チオエステル系のシランカップリング剤としては、例えば、3-ヘキサノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3-オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3-デカノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3-ラウロイルチオプロピルトリエトキシシラン、2-ヘキサノイルチオエチルトリエトキシシラン、2-オクタノイルチオエチルトリエトキシシラン、2-デカノイルチオエチルトリエトキシシラン、2-ラウロイルチオエチルトリエトキシシラン、3-ヘキサノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3-オクタノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3-デカノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3-ラウロイルチオプロピルトリメトキシシラン、2-ヘキサノイルチオエチルトリメトキシシラン、2-オクタノイルチオエチルトリメトキシシラン、2-デカノイルチオエチルトリメトキシシラン、2-ラウロイルチオエチルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0108】
チオール系のシランカップリング剤としては、例えば、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-[エトキシビス(3,6,9,12,15-ペンタオキサオクタコサン-1-イルオキシ)シリル]-1-プロパンチオール等を挙げることができる。
【0109】
オレフィン系のシランカップリング剤としては、例えば、ジメトキシメチルビニルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルエトキシビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-(メトキシジメトキシジメチルシリル)プロピルアクリレート、3-(トリメトキシシリル)プロピルアクリレート、3-[ジメトキシ(メチル)シリル]プロピルメタクリレート、3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、3-[ジメトキシ(メチル)シリル]プロピルメタクリレート、3-(トリエトキシシリル)プロピルメタクリレート、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレート等を挙げることができる。
【0110】
エポキシ系のシランカップリング剤としては、例えば、3-グリシジルオキシプロピル(ジメトキシ)メチルシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、ジエトキシ(3-グリシジルオキシプロピル)メチルシラン、トリエトキシ(3-グリシジルオキシプロピル)シラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらの内、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
【0111】
アミノ系のシランカップリング剤としては、例えば、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-エトキシシリル-N-(1,3-ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらの内、3-アミノプロピルトリエトキシシランが好ましい。
【0112】
アルキル系のシランカップリング剤としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n-ヘキシルトリメトキシシラン、n-ヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、n-オクチルトリエトキシシラン、n-デシルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらの内、メチルトリエトキシシランが好ましい。
【0113】
これらシランカップリング剤の中でも、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドを特に好ましく使用することができる。
【0114】
カーボンブラック及び/又は無機充填剤と併用可能なチタネートカップリング剤としては特に制限されず、市販品を好適に使用することができる。このようなチタネートカップリング剤として、例えばアルコキシド系、キレート系、アシレート系のチタネートカップリング剤が挙げられる。
【0115】
アルコキシド系のチタネートカップリング剤としては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラオクチルチタネート、テトラターシャリーブチルチタネート、テトラステアリルチタネート等を挙げることができる。これらの内、テトライソプロピルチタネートが好ましい。
【0116】
キレート系のチタネートカップリング剤としては、例えば、チタンアセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンエチルアセトアセテート、ドデシルベンゼンスルホン酸チタン化合物、リン酸チタン化合物、チタンオクチレングリコレート、チタンエチルアセトアセテート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンエタノールアミネート、チタンオクチレングリコレート、チタンアミノエチルアミノエタノレート等を挙げることができる。これらの内、チタンアセチルアセトネートが好ましい。
【0117】
アシレート系のチタネートカップリング剤としては、例えば、チタンイソステアレート等を挙げることができる。
【0118】
カーボンブラック及び/又は無機充填剤と併用可能なアルミネートカップリング剤としては特に制限されず、市販品を好適に使用することができる。このようなアルミネートカップリング剤として、9-オクタデセニルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムセカンダリーブトキシド、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムビスエチルアセトアセテートモノアセチルアセトネート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート等が挙げることができる。これらの内、9-オクタデセニルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレートが好ましい。カーボンブラック及び/又は無機充填剤と併用可能なジルコネートカップリング剤としては特に制限されず、市販品を好適に使用することができる。このようなジルコネートカップリング剤として、例えばアルコキシド系、キレート系、アシレート系のジルコネートカップリング剤が挙げられる。
【0119】
アルコキシド系のジルコニウム系カップリング剤としては、例えば、ノルマルプロピルジルコネート、ノルマルブチルジルコネート等を挙げることができる。この内、ノルマルブチルジルコネートが好ましい。
【0120】
キレート系のジルコネートカップリング剤としては、例えば、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムモノアセチルアセトネート、ジルコニウムエチルアセトアセテート、ジルコニウムラクテートアンモニウム塩等を挙げることができる。この内、ジルコニウムテトラアセチルアセトネートが好ましい。
【0121】
アシレート系のジルコネートカップリング剤としては、例えば、ステアリン酸ジルコニウム、オクチル酸ジルコニウム等を挙げることができる。この内、ステアリン酸ジルコニウムが好ましい。
【0122】
本発明においては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤、ジルコネートカップリング剤は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0123】
(1.6.用途)
本発明の高分子材料用発泡倍率向上剤を用いて作製された発泡体は、様々な用途に用いることができる。例えば、タイヤ、音響用部材、シール材、ホース、ベルト、電線被覆、及び断熱材等である。
【0124】
タイヤとしては、例えば、空気入りタイヤ(ラジアルタイヤ、バイアスタイヤ等)、ソリッドタイヤ等が挙げられる。
【0125】
タイヤの用途としては、特に制限はなく、例えば、乗用車用タイヤ、高荷重用タイヤ、モーターサイクル(自動二輪車)用タイヤ、スタッドレスタイヤ等が挙げられ、中でも、スタッドレスタイヤに好適に使用できる。
【0126】
音響部材としては、スピーカーエッジ、吸音材、遮音材、防振材、除振材等を挙げることができる。
【0127】
シール材としては、ゴムパッキン、オイルシール、止水材、目打ち材、ウェザーストリップ、及びガラスランチャンネル等を挙げることができる。
【0128】
ホースとしては、ラジエーターホース、水道用ホース、及びコンクリート運搬用ホース等を挙げることができる。
【0129】
ベルトとしては、伝動ベルト、コンベアベルト、及びVベルト等を挙げることができる。
【0130】
電線被覆としては、送電線用の被覆等を挙げることができる。
【0131】
断熱材としては、冷媒、熱媒等を輸送するための配管用断熱材、床・壁などの断熱材等を挙げることができる。
【0132】
(2.高分子材料用発泡剤組成物)
本発明の高分子材料用発泡剤組成物は、本発明の高分子材料用発泡倍率向上剤に、更に化学発泡剤を含む。
【0133】
本発明の高分子材料用発泡剤組成物に含まれる化学発泡剤は、上記した化学発泡剤と同様のものを使用することができる。中でも、アゾジカルボンアミド、p,p‘-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、及び、重曹が好ましい。
【0134】
本発明の高分子材料発泡剤組成物は、高分子材料用発泡倍率向上剤中の化合物(1)、及び化学発泡剤の合計質量を100質量部としたときの化合物(1)の割合は、0.1~99.5質量部とすることが好ましく、0.5~50質量部とすることがより好ましく、0.8~40質量部とすることが更に好ましく、1~30質量部とすることが特に好ましい。
【0135】
本発明の高分子材料用発泡剤組成物に適用することのできる高分子材料としては、特に制限はなく、公知の高分子材料を広く使用することが可能で、上記した材料を使用すればよい。中でも、ゴム、樹脂を使用することが好ましい。
【0136】
本発明の高分子材料用発泡剤組成物は、発泡助剤を含んでいても良い。発泡助剤としても、上記した発泡助剤と同様のものを使用することができる。中でも尿素化合物、酸化亜鉛を使用することが好ましい。
【0137】
本発明の高分子材料発泡剤組成物に発泡助剤を含む場合、高分子材料用発泡倍率向上剤中の化合物(1)、及び発泡助剤の合計質量を100質量部としたときの化合物(1)の割合は、0.1~99.5質量部とすることが好ましく、0.5~80質量部とすることがより好ましく、1~70質量部とすることが更に好ましく、5~50質量部とすることが特に好ましい。
【0138】
本発明の高分子材料用発泡剤組成物は、高分子発泡倍率向上剤、化学発泡剤、及び発泡助剤以外に、様々な配合剤を添加しても良く、上記した配合剤と同様のものを添加することができる。
【0139】
本発明の高分子材料用発泡剤組成物は、高分子材料用発泡倍率向上剤及び化学発泡剤等が混合された状態で使用することができる。その場合、高分子材料用発泡倍率向上剤及び化学発泡剤等を所定量又は適量秤量して、公知の方法で混合することができる。混合は、例えば、回転ボールミル、振動ボールミル、遊星ミル、ペイントシェーカー、ロッキングミル、ロッキングミキサー、ビーズミル、撹拌機等を用いて、湿式及び乾式のどちらでも行うことができる。
【0140】
本発明の高分子材料用発泡剤組成物を用いて作製された発泡体は、様々な用途で用いることができ、上記した用途が想定される。
【0141】
第二の本発明
(1)樹脂組成物
本発明の樹脂組成物は、
成分(a):ポリエチレン、
成分(b):化学発泡剤、及び
成分(c):下記式(1)で表される化合物又はその塩
【0142】
【0143】
式(1)中、R1は、水素原子、アルキル基、又はアラルキル基を示し、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、アラルキル基、又はアリール基を示す。
【0144】
式(1)中、これら各基は、夫々1個以上の置換基を更に有していても良い。
【0145】
本発明の樹脂組成物は、
前記成分(a)成分100質量に対して、
前記成分(b)成分0.1質量部~50質量部、及び
前記成分(c)成分0.1質量部~50質量部を含む。
【0146】
本発明の樹脂組成物は、単に成分(a)と成分(b)と成分(c)とを混合しただけのものであっても良く、成分(a)、成分(b)、及び成分(c)を如何なる順序で混合した態様も含まれる。
【0147】
(1-1)成分(a):ポリエチレン
本発明の樹脂組成物は、成分(a)としてポリエチレンを含む。
【0148】
本発明の樹脂組成物で使用するポリエチレン(PE)としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンを用いることができるが、好ましくは低密度ポリエチレン、より好ましくは、(分岐鎖状)低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等を用いる。
【0149】
本発明の樹脂組成物において、前記成分(a)は、好ましくは、低密度ポリエチレン(LDPE)である。本発明の樹脂組成物にLDPEを用いる事に依り、高い発泡倍率と微細な(緻密な)気泡とを有する発泡体を得る事が出来る。
【0150】
低密度ポリエチレン(LDPE)は、好ましくは、例えば、メタロセン触媒により重合された低密度ポリエチレン、ラジカル開始剤を用いて高圧ラジカル重合により製造される高圧法低密度ポリエチレン(HP-LDPE)、遷移金属触媒を用いて配位イオン重合により製造される直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等を用いる。
【0151】
低密度ポリエチレン(LDPE)
LDPEのメルトマスフローレイト(MFR)は、日本工業規格 JIS K 7210-1:2014 (ISO 1133-1:2011) プラスチック-熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の求め方-第1部:標準的試験方法に従う値である。MFRは、10分間当たりのグラム数(g/10min)で表される。
【0152】
LDPEのMFRは、好ましくは、0.1 g/10min~50 g/10min程度であり、より好ましくは、1 g/10min~20 g/10min程で度あり、更に好ましくは、2 g/10min~10 g/10min程度であり、特に好ましくは、3 g/10min~5 g/10min程度である。本発明の樹脂組成物にMFRが0.1 g/10min~50 g/10min程度のLDPEを用いる事に依り、高い発泡倍率と微細な(緻密な)気泡とを有する発泡体を得る事が出来る。
【0153】
LDPEの密度(kg/m3)は、日本工業規格 JIS K 7112 : 1999 プラスチック-非発泡プラスチックの密度及び比重の測定方法に従う値である。
【0154】
LDPEの密度は、好ましくは、900 kg/m3~950 kg/m3程度であり、より好ましくは、910 kg/m3~940 kg/m3程度であり、更に好ましくは、920 kg/m3~930 kg/m3程度である。本発明の樹脂組成物に密度が900 kg/m3~950 kg/m3程度のLDPEを用いる事に依り、高い発泡倍率と微細な(緻密な)気泡とを有する発泡体を得る事が出来る。
【0155】
(1-2)成分(b):化学発泡剤
本発明の樹脂組成物は、成分(b)として化学発泡剤を含む。
【0156】
化学発泡剤は、特に限定はなく、公知の化学発泡剤を広く使用する事が可能である。
【0157】
本発明の樹脂組成物において、前記成分(b)は、好ましくは、有機系化学発泡剤である。本発明の樹脂組成物に有機系化学発泡剤を用いる事に依り、高い発泡倍率と微細な(緻密な)気泡とを有する発泡体を得る事が出来る。
【0158】
有機系化学発泡剤は、好ましくは、アゾジカルボンアミド(ADCA)、N,N´-ジニトロソペンタンメチレンテトラミン、p,p´-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、p-トルエンスルホニルヒドラジド、p-トルエンスルホニルセミカルバジド、ジアゾアミノベンゼン、ヒドラゾジカルボンアミド、バリウムアゾジカルボキシレート、アゾビスイソブチロニトリル、クエン酸モノナトリウム等の有機酸及びそれらの金属塩等の有機系化学発泡剤である。
【0159】
本発明の樹脂組成物において、前記有機系化学発泡剤は、好ましくは、アゾ系化学発泡剤である。アゾ系化学発泡剤は、好ましくは、アゾジカルボンアミド(ADCA)である。
【0160】
本発明の樹脂組成物において、前記成分(b)は、好ましくは、無機系化学発泡剤である。本発明の樹脂組成物に無機系化学発泡剤を用いる事に依り、高い発泡倍率と微細な(緻密な)気泡とを有する発泡体を得る事が出来る。
【0161】
無機系化学発泡剤は、好ましくは、重曹、炭酸水素アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、酢酸アルミニウム、亜硝酸アンモニウム、ホウ化水素ナトリウム等の無機系化学発泡剤である。
【0162】
これら発泡剤は、その表面を化学処理したものであってもよい。このような発泡剤は、発泡剤の固化防止、分散性、粉塵抑制、加工性、保存性等の点で優れる。また、このような発泡剤を用いて得られる組成物、及び発泡体は、機械物性の向上、気泡の微細化等の点で優れる。
【0163】
本発明の樹脂組成物において、前記無機系化学発泡剤は、好ましくは、重曹である。
【0164】
前記化学発泡剤は、1種単独で、又は2種以上を混合(ブレンド)して用いる事が出来る。
【0165】
前記化学発泡剤の中でも、好ましくは、アゾジカルボンアミド(ADCA)、又は重曹である。本発明の樹脂組成物にADCA、又は重曹を用いる事に依り、高い発泡倍率と微細な(緻密な)気泡とを有する発泡体を得る事が出来る。
【0166】
アゾジカルボンアミド(ADCA)のメジアン径は、好ましくは、1μm~40μm程度であり、より好ましくは、2μm~25μmであり、更に好ましくは、4μm~20μmである。本発明の樹脂組成物に、メジアン径が1μm~40μm程度のアゾジカルボンアミドを用いる事に依り、高い発泡倍率と微細な(緻密な)気泡とを有する発泡体を得る事が出来る。
【0167】
本発明の樹脂組成物は、成分(a)100質量に対して、成分(b)を、0.1質量部~50質量部含む。本発明の樹脂組成物は、成分(a)100質量に対して、成分(b)を、好ましくは、1質量部~30質量部含み、より好ましくは、2質量部~25質量部含む。本発明の樹脂組成物において、成分(a)100質量に対して、成分(b)を、0.1質量部~50質量部とする事に依り、高い発泡倍率と微細な(緻密な)気泡とを有する発泡体を得る事が出来る。
【0168】
(1-3)成分(c):式(1)で表される化合物又はその塩
本発明の樹脂組成物は、成分(c)として下記式(1)で表される化合物又はその塩:
【0169】
【0170】
式(1)中、R1は、水素原子、アルキル基、又はアラルキル基を示し、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、アラルキル基、又はアリール基を示す。
【0171】
式(1)中、これら各基は、夫々1個以上の置換基を更に有していても良い。
【0172】
式(1)で表される化合物又はその塩を、当該化合物及びその塩を総称して、単に「化合物(1)」とも記す。
【0173】
化合物(1)におけるアルキル基
アルキル基は、好ましくは、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基である。
【0174】
アルキル基は、より好ましくは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル等の炭素数1~4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基である。
【0175】
アルキル基は、より好ましくは、1-エチルプロピル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、3-メチルペンチル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、5-プロピルノニル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル等を加えた炭素数5~18の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基である。
【0176】
アルキル基は、より好ましくは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等の炭素数3~8の環状アルキル基等である。
【0177】
化合物(1)におけるアラルキル基
アラルキル基は、好ましくは、ベンジル、フェネチル、トリチル、1-ナフチルメチル、2-(1-ナフチル)エチル、2-(2-ナフチル)エチル基等である。
【0178】
化合物(1)におけるアリール基
アリール基は、好ましくは、フェニル、ビフェニル、ナフチル、ジヒドロインデニル、9H-フルオレニル基等である。
【0179】
化合物(1)における置換基
アルキル基、アラルキル基、及びアリール基は、置換可能な任意の位置に、夫々1個以上の置換基を有していても良い。
【0180】
置換基は、好ましくは、ハロゲン原子、アミノ基、アミノアルキル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、ホルミル基、ニトリル基、ニトロ基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、水酸基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基等である。
【0181】
置換基は、好ましくは1~5個、より好ましくは1~3個有していても良い。
【0182】
置換基のハロゲン原子は、好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、及びアスタチン原子であり、より好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子である。
【0183】
置換基のアミノ基は、-NH2で表されるアミノ基だけでなく、メチルアミノ、エチルアミノ、n-プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n-ブチルアミノ、イソブチルアミノ、s-ブチルアミノ、t-ブチルアミノ、1-エチルプロピルアミノ、n-ペンチルアミノ、ネオペンチルアミノ、n-ヘキシルアミノ、イソヘキシルアミノ、3-メチルペンチルアミノ基等の直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1~6程度のモノアルキルアミノ基、ジメチルアミノ、エチルメチルアミノ、ジエチルアミノ基等の直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1~2程度のアルキル基を2つ有するジアルキルアミノ基等の置換アミノ基も含まれる。
【0184】
置換基のアミノアルキル基は、好ましくは、アミノメチル、メチルアミノメチル、エチルアミノメチル、ジメチルアミノメチル、エチルメチルアミノメチル、ジエチルアミノメチル、2-アミノエチル、2-(メチルアミノ)エチル、2-(エチルアミノ)エチル、2-(ジメチルアミノ)エチル、2-(エチルメチルアミノ)エチル、2-(ジエチルアミノ)エチル、3-アミノプロピル、3-(メチルアミノ)プロピル、3-(エチルアミノ)プロピル、3-(ジメチルアミノ)プロピル、3-(エチルメチルアミノ)プロピル、3-(ジエチルアミノ)プロピル基等の炭素数1~7程度のアミノアルキル基、モノアルキル置換アミノアルキル基、ジアルキル置換アミノアルキル基等である。
【0185】
置換基のアルコキシカルボニル基は、好ましくは、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル基等の炭素数1~4の直鎖状又は分岐鎖状アルコキシカルボニル基である。
【0186】
置換基のアシル基は、好ましくは、アセチル、プロピオニル、ピバロイル基等の炭素数1~4の直鎖状又は分岐鎖状アルキルカルボニル基である。
【0187】
置換基のアシルオキシ基は、好ましくは、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、n-ブチリルオキシ基等の炭素数1~4の直鎖状又は分岐鎖状アシルオキシ基である。
【0188】
置換基のアミド基は、好ましくは、アセトアミド、ベンズアミド基等のカルボン酸アミド基;チオアセトアミド、チオベンズアミド基等のチオアミド基;N-メチルアセトアミド、N-ベンジルアセトアミド基等のN-置換アミド基等である。
【0189】
置換基のカルボキシアルキル基は、好ましくは、カルボキシメチル、カルボキシエチル、カルボキシ-n-プロピル、カルボキシ-n-ブチル、カルボキシ-n-ペンチル、カルボキシ-n-ヘキシル基等のカルボキシアルキル基である。
【0190】
置換基のヒドロキシアルキル基は、好ましくは、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシ-n-プロピル、ヒドロキシ-n-ブチル基等のヒドロキシアルキル基である。
【0191】
置換基のアルコキシ基は、好ましくは、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルコキシ基であり、より好ましくは、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシ基の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基;シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘプチルオキシ、シクロオクチルオキシ基等の環状アルコキシ基等である。
【0192】
置換基のアリールオキシ基は、好ましくは、フェノキシ、ビフェニルオキシ、ナフトキシ基等である。
【0193】
置換基のアルキルチオ基は、好ましくは、メチルチオ基、エチルチオ基、及びn-プロピルチオ基等である。
【0194】
置換基のアリールチオ基は、好ましくは、フェニルチオ基、ナフチルチオ基、ビフェニルチオ基等である。
【0195】
化合物(1)は、好ましくは、R1が水素原子である化合物である。
【0196】
化合物(1)は、好ましくは、R2が、水素原子、炭素数1~4の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、アラルキル基、又はアリール基である化合物であり、より好ましくは、R2が、水素原子、又は炭素数1~4の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基である化合物であり、更に好ましくは、R2が、メチル基である化合物である。
【0197】
化合物(1)は、好ましくは、R3及びR4の少なくとも一方が水素原子である化合物であり、より好ましくは、R3及びR4が共に水素原子である化合物である。
【0198】
化合物(1)は、好ましくは、R1が水素原子であり、R2が水素原子、炭素数1~4の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、アラルキル基、又はアリール基であり、R3及びR4が共に水素原子である化合物である。
【0199】
化合物(1)は、より好ましくは、R1が水素原子であり、R2が水素原子、又は炭素数1~4の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基であり、R3及びR4が共に水素原子である化合物である。
【0200】
式(1)で表される化合物は、好ましくは、5-ピラゾロン、3-メチル-5-ピラゾロン、3-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、3-フェニル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、3-プロピル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、3-ウンデシル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、4-(2-ヒドロキシエチル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、4-ベンジル-3-メチル-1H-ピラゾール-5(4H)オン、及び5-メチル-2-(4-ニトロフェニル)-1H-ピラゾール-3(2H)-オン等である。
【0201】
式(1)で表される化合物は、より好ましくは、5-ピラゾロン、3-メチル-5-ピラゾロン、3-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、3-フェニル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、及び3-プロピル-1H-ピラゾール-5(4H)-オンである。
式(1)で表される化合物は、更に好ましくは、3-メチル-5-ピラゾロンである。
【0202】
本発明の樹脂組成物における成分(c)は、上記した化合物を一種のみ単独で含んでも良く、二種以上を混合して含んでも良い。
【0203】
化合物(1)の中には、互変異性体を生じるものがある。互変異性化が可能である(例えば、溶液中である)場合に、互変異性体の化学平衡に達し得る。
【0204】
化合物(1)は、例えば、式(2)~(7)で表される互変異性体として存在する。
【0205】
式(1)において、R1及びR3が水素原子である化合物(化合物(1)-A)は、以下の式(2)~(4)で表される互変異性体が存在する。
【0206】
【化9】
式中、R
2及びR
4は、前記に同じである。
【0207】
式(1)において、R3が水素原子である化合物(化合物(1)-B)は、以下の式(5)~(6)で表される互変異性体が存在する。
【0208】
【化10】
式中、R
1、R
2及びR
4は前記に同じである。
【0209】
式(1)において、R1が水素原子である化合物(化合物(1)-C)は、以下の式(7)で表される互変異性体が存在する。
【0210】
【化11】
式中、R
2、R
3及びR
4は前記に同じである。
【0211】
式(2)~(7)で表される互変異性体と、化合物(1)とは、何れの異性体も共存する平衡状態に達している。本明細書では、別段の記載がない限り、化合物(1)の全ての互変異性体の形態は、本発明の範囲内とする。
【0212】
式(1)で表される化合物の塩は、あらゆる種類の塩が含まれ、好ましくは、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩等の無機酸塩;酢酸塩、メタンスルホン酸塩等の有機酸塩;ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;ジメチルアンモニウム、及びトリエチルアンモニウム等のアンモニウム塩等である。
【0213】
本発明の樹脂組成物は、成分(a)100質量に対して、成分(c)を、0.1質量部~50質量部含む。本発明の樹脂組成物は、成分(a)100質量に対して、成分(c)を、好ましくは、0.1質量部~10質量部含み、より好ましくは、0.1質量部~5質量部含む。本発明の樹脂組成物において、成分(a)100質量に対して、成分(c)を、0.1質量部~50質量部とする事に依り、高い発泡倍率と微細な(緻密な)気泡とを有する発泡体を得る事が出来る。
【0214】
(1-4)成分(d):架橋剤
本発明の樹脂組成物は、好ましくは、成分(d)として架橋剤を含む。
【0215】
架橋剤は、好ましくは、ジクミルパーオキサイド(ジクミルペルオキシド)、ベンゾイルパーオキサイド、ジヘキシルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキシジ-イソプロピルベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、
2,5-ジメチル2,5-ジ-(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、p-ベンゾキノンジオキシム、酸化鉛、酸化亜鉛、メルカプトベンゾチアゾール、2,2´-ジベンゾチアゾリルジスルフィド等である。架橋剤は、より好ましくは、ジクミルパーオキサイドである。
【0216】
架橋剤は、一種のみ単独で含んでも良く、二種以上を混合して含んでも良い。
【0217】
本発明の樹脂組成物は、成分(a)100質量に対して、好ましくは、成分(d)を、0.1質量部~10質量部含む。本発明の樹脂組成物は、成分(a)100質量に対して、成分(d)を、より好ましくは、0.1質量部~5質量部含み、より好ましくは、0.1質量部~2質量部含む。本発明の樹脂組成物は、成分(a)100質量に対して、成分(d)を、0.1質量部~10質量部含む事に依り、高い発泡倍率と微細な(緻密な)気泡とを有する発泡体を得る事が出来る。
【0218】
(1-5)成分(e):発泡助剤
本発明の樹脂組成物は、好ましくは、成分(e)として発砲助剤を含む。
【0219】
発泡助剤は、好ましくは、尿素、尿素と脂肪酸及び脂肪酸金属塩との混合物;チオウレア、テトラメチルウレア、ジメチルチオウレア、セミカルバジド、カルボヒドラジド等の尿素化合物;酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ベンゼンスルフィン酸亜鉛、トルエンスルホン酸亜鉛、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛、炭酸亜鉛等の亜鉛化合物;二酸化鉛、三塩基性鉛等の鉛化合物である。
【0220】
発泡助剤は、一種単独で使用しても良く、二種以上を混合して使用しても良い。
【0221】
発泡助剤は、好ましくは、成分(b)のアゾジカルボンアミド、N,N´-ジニトロソペンタンメチレンテトラミン、p,p´-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、p-トルエンスルホニルヒドラジド、p-トルエンスルホニルセミカルバジド、ヒドラゾジカルボンアミド等と併用し、より好ましくは、アゾジカルボンアミドと併用する。
【0222】
(1-6)その他の配合剤
本発明の樹脂組成物は、好ましくは、カーボンブラック、無機充填剤(シリカ等)、シランカップリング剤、老化防止剤、オゾン防止剤、軟化剤、加工助剤、ワックス、樹脂、オイル、ステアリン酸等の炭素数8~30の脂肪酸、酸化亜鉛(ZnO)等を、適宜選択して配合する。
【0223】
(2)発泡体
本発明は、好ましくは、前記樹脂組成物を発泡させた発泡体である。
【0224】
本発明の樹脂組成物を発泡させる事に依り、高い発泡倍率と微細な(緻密な)気泡とを有する発泡体を得る事が出来る。
【0225】
前記発泡体は、成形する事に依り成形体となった態様も含む。
【0226】
(2-1)発泡倍率指数
本発明の発泡体は、成分(a):ポリエチレン、成分(b):化学発泡剤、及び成分(c):化合物(1)を含む組成物から製造された発泡体である。
【0227】
本発明の発泡体は、成分(a)、及び成分(b)を含み、成分(c)を含まない組成物から製造された発泡体発泡倍率指数に比べて、より大きな発泡倍率指数を有し、発泡倍率がより大きい発泡体である。
【0228】
発泡倍率指数は、下記式に基づき算出される値である。
【0229】
発泡倍率=発泡成形前の比重/発泡成形後の比重×100
発泡倍率指数=
(本発明の樹脂組成物から製造された発泡体の発泡倍率)
/(成分(c)を含まない樹脂組成物から製造された発泡体の発泡倍率)
×100
【0230】
(2-2)平均セル径指数
本発明の発泡体は、成分(a):ポリエチレン、成分(b):化学発泡剤、及び成分(c):化合物(1)を含む組成物から製造された発泡体である。
【0231】
本発明の発泡体は、成分(a)、及び成分(b)を含み、成分(c)を含まない組成物から製造された発泡体発泡倍率指数に比べて、より小さな平均セル径指数を有し、セル径がより緻密な発泡体である。
【0232】
平均セル径指数発泡倍率指数は、下記式に基づき算出される値である。
【0233】
平均セル径指数=
(本発明の樹脂組成物から製造された発泡体の平均セル径)
/(成分(c)を含まない樹脂組成物から製造された発泡体の平均セル径)
×100
【0234】
(3)発泡体の用途
本発明の樹脂組成物、又は発泡体の用途は、好ましくは、断熱材、養生材、目地材(シール材)、面戸材、被覆材、遮水材、遮音材、フローター、緩衝材、衝撃吸収材、敷物芯材、玩具等である。
【0235】
本発明の樹脂組成物、又は発泡体の用途は、より好ましくは、断熱材である。断熱材は、例えば、冷媒、熱媒等を輸送する為の配管用断熱材、床・壁等の断熱材である。
【0236】
(4)発泡体の製造方法
本発明の樹脂組成物は、前記成分(a)、成分(b)、及び成分(c)を混合する事に依り、製造することができる。本発明の樹脂組成物に、必要に応じて、その他の配合剤を混合する。前記成分(a)、成分(b)、及び成分(c)を混合する順序、その他の配合剤を配合する順序は、適宜設定すれば良い。
【0237】
本発明の発泡体は、前記成分(a)、成分(b)、及び成分(c)を含む樹脂組成物を発泡させる事に依り、製造することができる。本発明の発泡体は、樹脂組成物の混合物を加熱して、発泡を行う事に依り、製造することができる。
【0238】
加熱温度は、混合した成分(b)(化学発泡剤)が分解する温度以上であれば良く、好ましくは、50℃~300℃程度であり、より好ましくは、80℃~250℃程度であり、更に好ましくは、100℃~200℃程度である。
【0239】
加熱時間は、好ましくは、5秒間~24時間程度であり、より好ましくは、10秒間から12時間であり、更に好ましくは、5分間から3時間程度である。
【0240】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした例に何ら限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である
【実施例】
【0241】
以下、実施例に基づき、本発明の実施形態をより具体的に説明する。本発明は、これらに限定されるものではない。
【0242】
第一の本発明の具体的な実施形態
実施例1~4、及び比較例1~4:本発明の高分子材料用発泡倍率向上剤を樹脂に適用した発泡体の製造
下記表1に記載の各成分をその割合(質量部)でミキシングロールにて混合した。混合物を110℃に加熱したプレス機にて、縦160mm、横160mm、厚み3mmの金型を用いて、発泡前のシートを作成した。発泡前シートを220℃のギヤオーブンで加熱する事で発泡体を製造した。
【0243】
実施例1~4及び比較例1~4:発泡倍率指数
発泡倍率は電子比重計(ALFA MIRAGE製MDS-300)を用いて発泡成形前後の比重を測定し、発泡倍率を算出した。比較するために、発泡倍率向上剤を添加しない以外は、各実施例と同じ配合内容及び同じ製法で発泡体(比較例1~4)を作製し、その発泡倍率をそれぞれ100とした指数により表し、下記式に基づいて発泡倍率指数を算出した。なお、発泡倍率指数の値が大きい程、発泡倍率が大きく、発泡体として優れている。
式:発泡倍率
=発泡成形前の比重/発泡成形後の比重×100
式:発泡倍率指数
=(実施例1の発泡倍率)×100/(比較例1の発泡倍率)
式:発泡倍率指数
=(実施例2の発泡倍率)×100/(比較例2の発泡倍率)
式:発泡倍率指数
=(実施例3の発泡倍率)×100/(比較例3の発泡倍率)
式:発泡倍率指数
=(実施例4の発泡倍率)×100/(比較例4の発泡倍率)
【0244】
【表1】
尚、表1における各成分の詳細は、下記の通りである。
※1:低密度ポリエチレン(LDPE);住友化学社製、スミカセンL-405
※2:架橋剤;ジクミルパーオキサイド;日本油脂社製、パークミルD
※3:発泡剤A-1;アゾジカルボンアミド;大塚化学社製、ユニフォームAZ VI-50ST
※4:発泡剤A-2;アゾジカルボンアミド;大塚化学社製、ユニフォームAZ VI-25
※5:発泡剤A-3;アゾジカルボンアミド;大塚化学社製、ユニフォームAZ C-12I
※6:発泡剤B;重曹;大塚化学社製、ユニフォームAZ P-5
※7:高分子材料用発泡倍率向上剤A;大塚化学社製、3-メチル-5-ピラゾロン
【0245】
実施例5~8、及び比較例5~8:本発明の高分子材料用発泡倍率向上剤を樹脂に適用した発泡体の製造
下記表2に記載の各成分をその割合(質量部)でミキシングロールにて混合した。混合物の温度が40℃以下になるまで養生させた後、25℃で一晩養生して発泡前の組成物を得た。160℃に加熱したプレス機にて内径63mmφ*外径70mmφの金型を用いて、発泡体を製造した。
【0246】
実施例5~8及び比較例5~8:発泡倍率指数
発泡倍率は電子比重計(ALFA MIRAGE製MDS-300)を用いて発泡成形前後の比重を測定し、発泡倍率を算出した。比較するために、発泡倍率向上剤を添加しない以外は、各実施例と同じ配合内容及び同じ製法で発泡体(比較例5~8)を作製し、その発泡倍率をそれぞれ100とした指数により表し、下記式に基づいて発泡倍率指数を算出した。なお、発泡倍率指数の値が大きい程、発泡倍率が大きく、発泡体として優れている。
式:発泡倍率
=発泡成形前の比重/発泡成形後の比重×100
式:発泡倍率指数
=(実施例5の発泡倍率)×100/(比較例5の発泡倍率)
式:発泡倍率指数
=(実施例6の発泡倍率)×100/(比較例6の発泡倍率)
式:発泡倍率指数
=(実施例7の発泡倍率)×100/(比較例7の発泡倍率)
式:発泡倍率指数
=(実施例8の発泡倍率)×100/(比較例8の発泡倍率)
【0247】
【表2】
尚、表2における各成分の詳細は、下記の通りである。
※8:エチレン酢酸ビニル(EVA);東ソー社製、ウルトラセン630
※9:ステアリン酸;新日本理化社製、ステアリン酸50S
※10:炭酸カルシウムA;日東粉化社製、SS#30
※11:酸化亜鉛A;本荘ケミカル社製、微細亜鉛華
※12:発泡剤A-4;アゾジカルボンアミド;大塚化学社製、ユニフォームAZ HJ
※13:発泡剤C;p,p‘-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド;大塚化学社製、ユニフォームAZ 100
※14:発泡剤D;ジニトロソペンタメチレンテトラミン;三協化成社製、セルマイクA
※15:発泡助剤;大塚化学社製、ユニフォームAZ 01
【0248】
実施例9~15、及び比較例9~10:本発明の高分子材料用発泡倍率向上剤をゴムに適用した発泡体の製造
下記表3の工程Aに記載の各成分をその割合(質量部)で混合し、バンバリーミキサーで混合した。混合物の温度が60℃以下になるまで養生させた後、表3の工程Bに記載の各成分をその割合(質量部)で投入し、混合物の最高温度が70℃以下になるよう調整しながら混合して、発泡体を製造した。
【0249】
実施例9~15及び比較例9~10:発泡倍率指数
発泡倍率は電子比重計(ALFA MIRAGE製MDS-300)を用いて発泡成形前後の比重を測定し、発泡倍率を算出した。比較するために、発泡倍率向上剤を添加しない以外は、各実施例と同じ配合内容及び同じ製法で発泡体(比較例9~10)を作製し、その発泡倍率をそれぞれ100とした指数により表し、下記式に基づいて発泡倍率指数を算出した。なお、発泡倍率指数の値が大きい程、発泡倍率が大きく、発泡体として優れている。
式:発泡倍率
=発泡成形前の比重/発泡成形後の比重×100
式:発泡倍率指数
=(各実施例9~14の発泡倍率)×100/(比較例9の発泡倍率)
式:発泡倍率指数
=(実施例15の発泡倍率)×100/(比較例10の発泡倍率)
【0250】
【表3】
尚、表3における各成分の詳細は、下記の通りである。
※16:ブチルゴム;JSR社製、JSR BUTYL 365
※17:カーボンブラックA;東海カーボン社製、シーストSO(N550)
※18:ワックス;大内新興化学社製、サンノック
※19:オイル;出光昭和シェル社製、ダイアナプロセスオイルNR-26
※20:酸化亜鉛B;堺化学工業社製、「1種」
※21:加硫促進剤A;大内新興化学社製、ノクセラーM-P
※22:加硫促進剤B;大内新興化学社製、ノクセラーTT-P
※23:硫黄;細井化学工業社製、HK200-5
※24:発泡剤A-5;大塚化学社製、ユニフォームAZ VI-40(アゾジカルボンアミド)
【0251】
実施例16~26、及び比較例11~12:本発明の高分子材料用発泡倍率向上剤をゴムに適用した発泡体の製造
下記表4の工程Aに記載の各成分をその割合(質量部)で混合し、バンバリーミキサーで混合した。混合物の温度が60℃以下になるまで養生させた後、表4の工程Bに記載の各成分をその割合(質量部)で投入し、混合物の最高温度が70℃以下になるよう調整しながら混合して、発泡体を製造した。
【0252】
実施例16~26及び比較11~12:発泡倍率指数
発泡倍率は電子比重計(ALFA MIRAGE製MDS-300)を用いて発泡成形前後の比重を測定し、発泡倍率を算出した。比較するために、発泡倍率向上剤を添加しない以外は、各実施例と同じ配合内容及び同じ製法で発泡体(比較例11~12)を作製し、その発泡倍率をそれぞれ100とした指数により表し、下記式に基づいて発泡倍率指数を算出した。なお、発泡倍率指数の値が大きい程、発泡倍率が大きく、発泡体として優れている。
式:発泡倍率
=発泡成形前の比重/発泡成形後の比重×100
式:発泡倍率指数
=(各実施例16~23の発泡倍率)×100/(比較例11の発泡倍率)
式:発泡倍率指数
=(各実施例24~26の発泡倍率)×100/(比較例12の発泡倍率)
【0253】
【表4】
尚、表4における各成分の詳細は、下記の通りである。
※25:天然ゴム;GUANGKEN RUBBER社製、TSR-20
※26:ブタジエンゴム;宇部興産社製、UBEPOL BR 150B
※27:シリカ;東ソー社製、ニップシールAQ
※28:カーボンブラックB;東海カーボン社製、シースト7HM(N234)
※29:シランカップリング剤;Evonic Industries社製、Si69
※30:老化防止剤;大内新興化学社製、ノクラック6C
※31:加硫促進剤C;大内新興化学社製、ノクセラーCZ-G
【0254】
実施例27~32、及び比較例13~16:本発明の高分子材料用発泡倍率向上剤をゴムに適用した発泡体の製造
下記表5の工程Aに記載の各成分をその割合(質量部)で混合し、バンバリーミキサーで混合した。混合物の温度が60℃以下になるまで養生させた後、表5の工程Bに記載の各成分をその割合(質量部)で投入し、混合物の最高温度が70℃以下になるよう調整しながら混合して、発泡体を製造した。
【0255】
実施例27~32及び比較例13~16:発泡倍率指数
発泡倍率は電子比重計(ALFA MIRAGE製MDS-300)を用いて発泡成形前後の比重を測定し、発泡倍率を算出した。比較するために、発泡倍率向上剤を添加しない以外は、各実施例と同じ配合内容及び同じ製法で発泡体(比較例13~16)を作製し、その発泡倍率をそれぞれ100とした指数により表し、下記式に基づいて発泡倍率指数を算出した。なお、発泡倍率指数の値が大きい程、発泡倍率が大きく、発泡体として優れている。
式:発泡倍率
=発泡成形前の比重/発泡成形後の比重×100
式:発泡倍率指数
=(実施例27の発泡倍率)×100/(比較例13の発泡倍率)
式:発泡倍率指数
=(各実施例28~30の発泡倍率)×100/(比較例14の発泡倍率)
式:発泡倍率指数
=(実施例31の発泡倍率)×100/(比較例15の発泡倍率)
式:発泡倍率指数
=(実施例32の発泡倍率)×100/(比較例16の発泡倍率)
【0256】
【表5】
尚、表5における各成分の詳細は、下記の通りである。
※32:EPDM;住友化学社製、エスプレン505A
※33:カーボンブラックC;旭カーボン社製、#50
※34:炭酸カルシウム;東洋電化工業社製、軽質炭酸カルシウム
※35:加硫促進剤D;大内新興化学社製、ノクセラーM
※36:加硫促進剤E;大内新興化学社製、ノクセラーBZ-P
※37:加硫促進剤F;大内新興化学社製、ノクセラーTET-G
※38:加硫促進剤G;大内新興化学社製、ノクセラーTRA
※39:高分子材料用発泡倍率向上剤B;東京化成工業社製、3-メチル-1-フェニル-5-ピラゾロン
【0257】
第二の本発明の具体的な実施形態
(1)高発泡倍率発泡体の製造
表6~8に記載の各成分を、各割合(質量部)で、バンバリーミキサーで混合した。次いで、混合物を、220℃のギアオーブンで加熱して、高発泡倍率発泡体を製造した。
【0258】
(2)発泡倍率指数
発泡倍率は、電子比重計(ALFA MIRAGE製MDS-300)を用いて発泡成形前後の比重を測定し、発泡倍率を算出した。
【0259】
比較する為に、成分(c)を添加しない以外は、各実施例と同じ配合内容及び同じ製法で発泡体(比較例の発泡体)を作製し、その発泡倍率を夫々100とした指数により表し、下記式に基づいて発泡倍率指数を算出した。
【0260】
発泡倍率指数の値が大きい程、発泡倍率が大きく、発泡体として優れている。
【0261】
発泡倍率=(発泡成形前(未発泡体)の比重)/(発泡成形後(発泡体)の比重)×100
実施例1の発泡倍率指数=(実施例1の発泡倍率)/(比較例1の発泡倍率)×100
実施例2の発泡倍率指数=(実施例2の発泡倍率)/(比較例2の発泡倍率)×100
実施例3の発泡倍率指数=(実施例3の発泡倍率)/(比較例3の発泡倍率)×100
実施例4の発泡倍率指数=(実施例4の発泡倍率)/(比較例4の発泡倍率)×100
実施例5の発泡倍率指数=(実施例5の発泡倍率)/(比較例5の発泡倍率)×100
実施例6の発泡倍率指数=(実施例6の発泡倍率)/(比較例6の発泡倍率)×100
実施例7-1~7-5の各発泡倍率指数=
(実施例7-1~7-5の各発泡倍率)/(比較例7の発泡倍率)×100
実施例8の発泡倍率指数=(実施例8の発泡倍率)/(比較例8の発泡倍率)×100
実施例9の発泡倍率指数=(実施例9の発泡倍率)/(比較例9の発泡倍率)×100
実施例10の発泡倍率指数=(実施例10の発泡倍率)/(比較例10の発泡倍率)×100
実施例11-1~11-5の各発泡倍率指数=
(実施例11-1~11-5の各発泡倍率)/(比較例11の発泡倍率)×100
実施例12の発泡倍率指数=(実施例12の発泡倍率)/(比較例12の発泡倍率)×100
実施例13の発泡倍率指数=(実施例13の発泡倍率)/(比較例13の発泡倍率)×100
【0262】
(3)平均セル径指数
平均セル径は、ASTM D2842-69に準拠して、測定した。
【0263】
比較する為に、成分(c)を添加しない以外は、各実施例と同じ配合内容及び同じ製法で発泡体(比較例の発泡体)を作製し、その平均セル径を夫々100とした指数により表し、下記式に基づいて平均セル径指数を算出した。
【0264】
平均セル径指数の値が小さい程、セル径が緻密であり、発泡体として優れている。
【0265】
実施例1の平均セル径指数=(実施例1の平均セル径)/(比較例1の平均セル径)×100
実施例2の平均セル径指数=(実施例2の平均セル径)/(比較例2の平均セル径)×100
実施例3の平均セル径指数=(実施例3の平均セル径)/(比較例3の平均セル径)×100
実施例4の平均セル径指数=(実施例4の平均セル径)/(比較例4の平均セル径)×100
実施例5の平均セル径指数=(実施例5の平均セル径)/(比較例5の平均セル径)×100
実施例6の平均セル径指数=(実施例6の平均セル径)/(比較例6の平均セル径)×100
実施例7-1~7-5の各平均セル径指数=
(実施例7-1~7-5の各平均セル径)/(比較例7の平均セル径)×100
実施例8の平均セル径指数=(実施例8の平均セル径)/(比較例8の平均セル径)×100
実施例9の平均セル径指数=(実施例9の平均セル径)/(比較例9の平均セル径)×100
実施例10の平均セル径指数=(実施例10の平均セル径)/(比較例10の平均セル径)×100
実施例11-1~11-5の各平均セル径指数
=(実施例11-1~11-5の各平均セル径)/(比較例11の平均セル径)×100
実施例12の平均セル径指数=(実施例12の平均セル径)/(比較例12の平均セル径)×100
【0266】
(4)表6~8における各成分の詳細
※1:住友化学社製、スミカセンL-405(MFR:3.7 g/10min(JISK7210-1)、密度:924 kg/m3(JISK7112))
※2:ジクミルペルオキシド:日本油脂製、パークミルD(架橋剤)
※3:アゾジカルボンアミド、メジアン径:19.5μm、表面処理品
※4:アゾジカルボンアミド、メジアン径:15.0μm
※5:アゾジカルボンアミド、メジアン径:5.0μm
※6:重曹
※7:3-メチル-5-ピラゾロン
【0267】
【0268】
【0269】
【産業上の利用可能性】
【0270】
本発明では、第一に、本発明の高分子材料用発泡倍率向上剤、及び高分子材料用発泡剤組成物は、上記した式(1)で表される化合物及び該化合物の塩からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことにより、優れた発泡倍率を有する発泡体を提供することができる。
【0271】
本発明では、第二に、本発明の樹脂組成物は、成分(a):ポリエチレン、成分(b):化学発泡剤、及び成分(c):式(1)で表される化合物又はその塩を含み、この樹脂組成物を発泡させる事に依り、高い発泡倍率と微細な(緻密な)気泡とを有する発泡体を得る事が出来る。
【要約】
本発明は、高分子材料に優れた発泡倍率を付与することができる高分子材料用発泡倍率向上剤を提供することを目的とする。本発明は、高い発泡倍率と微細な(緻密な)気泡とを有する発泡体を得る為の樹脂組成物を提供する事を目的とする。
ピラゾロン系の化合物、及び該化合物の塩からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、高分子材料用発泡倍率向上剤。成分(a):ポリエチレン、成分(b):化学発泡剤、及び成分(c):ピラゾロン系の化合物を含み、前記成分(a)100質量に対して、前記成分(b)0.1質量部~50質量部、及び前記成分(c)0.1質量部~50質量部
を含む、樹脂組成物。