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特許7109724ロッド部材埋設用キャップ及びロッド部材の埋設工法
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  • 特許-ロッド部材埋設用キャップ及びロッド部材の埋設工法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-22
(45)【発行日】2022-08-01
(54)【発明の名称】ロッド部材埋設用キャップ及びロッド部材の埋設工法
(51)【国際特許分類】
   E02D 13/10 20060101AFI20220725BHJP
   E02D 7/22 20060101ALI20220725BHJP
【FI】
E02D13/10
E02D7/22
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018192100
(22)【出願日】2018-10-10
(65)【公開番号】P2020060043
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】505047784
【氏名又は名称】株式会社オムテック
(74)【代理人】
【識別番号】100120145
【弁理士】
【氏名又は名称】田坂 一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100140866
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 武史
(72)【発明者】
【氏名】後藤 泰博
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-002162(JP,A)
【文献】特開2016-173028(JP,A)
【文献】実開昭54-133604(JP,U)
【文献】特開2015-193976(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 13/10
E02D 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
杭打機のリーダに沿って昇降する作業装置により、回転させながら埋設するロッド部材を、前記作業装置に連結するロッド部材埋設用キャップにおいて、
前記ロッド部材の外径より大きい内径で形成された筒形状を形成し、内部に配置された前記ロッド部材を保持する本体を有し、
前記本体は、内部に配置された前記ロッド部材の外周面に面する部分が開閉可能であることを特徴とするロッド部材埋設用キャップ。
【請求項2】
前記ロッド部材の上部には、外周面から突起する突起部が形成され、
前記本体には、前記突起部と係合する係合部が形成され、
前記係合部は、前記本体の上部側に形成された上部係合部と、前記本体の下部側に形成された下部係合部と、前記上部係合部と前記下部係合部とに連通し、前記突起部がスライド移動可能に形成された溝部と、を有し、
前記溝部は、少なくとも一部が前記本体を貫通していることを特徴とする請求項1に記載のロッド部材埋設用キャップ。
【請求項3】
前記本体は、固定部と、前記固定部に回動可能に連結された回動部と、を有し、
前記回動部は、複数の部材が連結されることで、前記ロッド部材の外周方向において、少なくとも前記ロッド部材の外周の半分を覆い、
前記本体は、前記回動部の前記複数の部材が連結されることで閉じた状態となり、前記回動部の前記複数の部材の連結が解除されることで、開いた状態となることを特徴とする請求項1又は2に記載のロッド部材埋設用キャップ。
【請求項4】
杭打機のリーダに沿って昇降する作業装置により、ロッド部材を回転させながら埋設するロッド部材の埋設工法であって、
前記ロッド部材を、前記作業装置に連結するロッド部材埋設用キャップが、
前記ロッド部材の外径より大きい内径で形成された筒形状を形成し、内部に配置された前記ロッド部材を保持する本体を有し、
前記本体は、内部に配置された前記ロッド部材の外周面に面する部分が開閉可能であり、
前記ロッド部材の上部には、外周面から突起する突起部が形成され、
前記本体には、前記突起部と係合する係合部が形成され、
前記係合部は、前記本体の上部側に形成された上部係合部と、前記本体の下部側に形成された下部係合部と、前記上部係合部と前記下部係合部とに連通し、前記突起部が通過可能に形成された溝部と、を有しており、
前記本体を開き、前記ロッド部材の前記突起部を、前記上部係合部に係合させてから、前記本体を閉じ、
前記作業装置を降下させながら、前記ロッド部材を回転させて埋設し、
その後、前記突起部と前記上部係合部との係合を解除し、前記突起部の位置に前記溝部を配置し、前記溝部において前記突起部が通過するように、前記作業装置を上昇させ、前記突起部の位置に前記下部係合部を配置し、前記突起部を、前記下部係合部に係合させ、
前記作業装置を降下させながら、前記ロッド部材を回転させて、さらに埋設するロッド部材の埋設工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロッド部材埋設用キャップ及びロッド部材の埋設工法に関し、詳しくは、杭打機のリーダに沿って昇降する作業装置により、回転させながら埋設するロッド部材を、前記作業装置に連結するロッド部材埋設用キャップ及びロッド部材の埋設工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鋼管杭等のロッド部材は、杭打機のリーダに沿って昇降する作業装置に設けられたロッド部材埋設用キャップに基端側を係合させることで、作業装置の回転力が伝達され、回転しながら先端側から埋設される。ロッド部材は、基端側を、ロッド部材埋設用キャップの下端から挿入することで、ロッド部材埋設用キャップに係合される。
【0003】
このようなロッド部材埋設用キャップとして、鋼管杭を下方から挿入可能な鋼管杭挿入筒と、鋼管杭挿入筒の上端に設けられた回転駆動装置連結部と、鋼管杭挿入筒の内周面に設けられて鋼管杭の上部外周に突設した係合突起が通過可能な突起挿通溝と、突起挿通溝の上部及び下部にそれぞれ設けられた上部係合部及び下部係合部とを備える鋼管杭連結用キャップが提案されている(特許文献1)。
特許文献1の鋼管杭連結用キャップによれば、地盤改良仕様の杭打機で鋼管杭の埋設作業を行う際に一般的な定尺長さの鋼管杭を使用することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-2162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の鋼管杭連結用キャップは、上部係合部及び下部係合部の2つの係合部を上下方向に設けるため、係合部を1つしか設けない場合に比べ、上下方向のサイズが大きくなる。
このため、例えば、杭打機のリーダの高さが低い場合、作業装置をリーダの高さ一杯に上げても、鋼管杭連結用キャップの下端が、ロッド部材の基端まで上がらず、ロッド部材の基端側を、ロッド部材埋設用キャップの下端から挿入することができない場合があった。
【0006】
本発明は、杭打機のリーダの高さが低い場合でも、ロッド部材を、作業装置に連結することを可能とするロッド部材埋設用キャップ及びロッド部材の埋設工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 杭打機のリーダに沿って昇降する作業装置により、回転させながら埋設するロッド部材を、前記作業装置に連結するロッド部材埋設用キャップにおいて、
前記ロッド部材の外径より大きい内径で形成された筒形状を形成し、内部に配置された前記ロッド部材を保持する本体を有し、
前記本体は、内部に配置された前記ロッド部材の外周面に面する部分が開閉可能であることを特徴とするロッド部材埋設用キャップ。
【0008】
(1)の発明によれば、ロッド部材埋設用キャップは、杭打機のリーダに沿って昇降する作業装置により、回転させながら埋設するロッド部材を、作業装置に連結するものであり、本体を有する。
本体は、ロッド部材の外径より大きい内径で形成された筒形状を形成し、内部に配置されたロッド部材を保持し、内部に配置されたロッド部材の外周面に面する部分が開閉可能である。
【0009】
このような構成によれば、ロッド部材を埋設する場合、本体を開き、ロッド部材の外周面側から、本体内部にロッド部材を配置し、本体を閉じることで、ロッド部材を、本体で保持し、作業装置に連結し、回転させながら埋設することができる。
これにより、杭打機のリーダの高さが低く、作業装置をリーダの高さ一杯に上げても、ロッド部材埋設用キャップの下端が、ロッド部材の基端まで上がらない場合でも、ロッド部材の外周面側から、本体内部にロッド部材を配置し保持できる。
したがって、杭打機のリーダの高さが低い場合でも、ロッド部材を、作業装置に連結することを可能とするロッド部材埋設用キャップを提供できる。
【0010】
(2) 前記ロッド部材の上部には、外周面から突起する突起部が形成され、
前記本体には、前記突起部と係合する係合部が形成され、
前記係合部は、前記本体の上部側に形成された上部係合部と、前記本体の下部側に形成された下部係合部と、前記上部係合部と前記下部係合部とに連通し、前記突起部がスライド移動可能に形成された溝部と、を有し、
前記溝部は、少なくとも一部が前記本体を貫通していることを特徴とする(1)に記載のロッド部材埋設用キャップ。
【0011】
(2)の発明によれば、ロッド部材の上部には、外周面から突起する突起部が形成されている。
そして、本体には、突起部と係合する係合部が形成され、係合部は、上部係合部と、下部係合部と、溝部と、を有する。
上部係合部は、本体の上部側に形成されている。
下部係合部は、本体の下部側に形成されている。
溝部は、上部係合部と下部係合部とに連通し、突起部がスライド移動可能に形成されており、少なくとも一部が本体を貫通している。
【0012】
ここで、杭打機の作業装置は、地表面上に立設するリーダに沿って昇降するため、地表面より下に降ろすことはできない。そして、埋設完了後におけるロッド部材の基端レベル(例えば、杭頭レベル)が地表面より下に設定されている場合がある。このような場合、作業装置にロッド部材を連結するロッド部材埋設用キャップの上下方向のサイズを比較的大きくすることで、作業装置が地表面より上までしか降ろせない場合でも、ロッド部材埋設用キャップの下部側を地表面より下に降ろすことで、地表面より下の所定レベルまで、ロッド部材を埋設することができる。
【0013】
また、上記のような状況において、さらに、杭打機のリーダの高さが低く、作業装置をリーダの高さ一杯に上げても、ロッド部材埋設用キャップの下端が、ロッド部材の基端まで上がらない場合もある。
【0014】
(2)の構成によれば、上記のような場合、まず、本体を開き、ロッド部材の突起部を、上部係合部に係合させてから、本体を閉じ、作業装置を降下させながら、ロッド部材を回転させて埋設し、その後、突起部と上部係合部との係合を解除し、突起部の位置に溝部を配置し、溝部において突起部が通過するように、作業装置を上昇させ、突起部の位置に下部係合部を配置し、突起部を、下部係合部に係合させ、作業装置を降下させながら、ロッド部材を回転させて、さらに埋設することが可能となる。
これにより、杭打機のリーダの高さが低く、作業装置をリーダの高さ一杯に上げても、ロッド部材埋設用キャップの下端が、ロッド部材の基端まで上がらない場合でも、地表面より下の所定レベルまで、ロッド部材を埋設することができる。
【0015】
(3) 前記本体は、固定部と、前記固定部に回動可能に連結された回動部と、を有し、
前記回動部は、複数の部材が連結されることで、前記ロッド部材の外周方向において、少なくとも前記ロッド部材の外周の半分を覆い、
前記本体は、前記回動部の前記複数の部材が連結されることで閉じた状態となり、前記回動部の前記複数の部材の連結が解除されることで、開いた状態となることを特徴とする(1)又は(2)に記載のロッド部材埋設用キャップ。
【0016】
(3)の発明によれば、本体は、固定部と、回動部と、を有する。
回動部は、固定部に回動可能に連結され、複数の部材が連結されることで、ロッド部材の外周方向において、少なくともロッド部材の外周の半分を覆う。
そして、本体は、回動部の複数の部材が連結されることで閉じた状態となり、回動部の複数の部材の連結が解除されることで、開いた状態となる。
【0017】
これにより、本体の一部(回動部)だけを回動させることで、本体を閉じた状態としたり、開いた状態としたりすることが可能になるので、本体全体を動かす場合に比べて、作業効率が向上する。
【0018】
(4) 杭打機のリーダに沿って昇降する作業装置により、ロッド部材を回転させながら埋設するロッド部材の埋設工法であって、
前記ロッド部材を、前記作業装置に連結するロッド部材埋設用キャップが、
前記ロッド部材の外径より大きい内径で形成された筒形状を形成し、内部に配置された前記ロッド部材を保持する本体を有し、
前記本体は、内部に配置された前記ロッド部材の外周面に面する部分が開閉可能であり、
前記ロッド部材の上部には、外周面から突起する突起部が形成され、
前記本体には、前記突起部と係合する係合部が形成され、
前記係合部は、前記本体の上部側に形成された上部係合部と、前記本体の下部側に形成された下部係合部と、前記上部係合部と前記下部係合部とに連通し、前記突起部が通過可能に形成された溝部と、を有しており、
前記本体を開き、前記ロッド部材の前記突起部を、前記上部係合部に係合させてから、前記本体を閉じ、
前記作業装置を降下させながら、前記ロッド部材を回転させて埋設し、
その後、前記突起部と前記上部係合部との係合を解除し、前記突起部の位置に前記溝部を配置し、前記溝部において前記突起部が通過するように、前記作業装置を上昇させ、前記突起部の位置に前記下部係合部を配置し、前記突起部を、前記下部係合部に係合させ、
前記作業装置を降下させながら、前記ロッド部材を回転させて、さらに埋設するロッド部材の埋設工法。
【0019】
(4)の発明によれば、(2)の発明と同様に、杭打機のリーダの高さが低く、作業装置をリーダの高さ一杯に上げても、ロッド部材埋設用キャップの下端が、ロッド部材の基端まで上がらない場合でも、地表面より下の所定レベルまで、ロッド部材を埋設することができる。
したがって、杭打機のリーダの高さが低い場合でも、ロッド部材を、作業装置に連結することを可能とするロッド部材の埋設工法を提供できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、杭打機のリーダの高さが低い場合でも、ロッド部材を、作業装置に連結することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係るロッド部材埋設用キャップが取り付けられた杭打機を示す図である。
図2】前記実施形態に係るロッド部材埋設用キャップを説明する図である。
図3】前記実施形態に係るロッド部材埋設用キャップを説明する図である。
図4】本実施形態に係るロッド部材埋設用キャップが取り付けられた杭打機において、ロッド部材等を埋設する手順を説明する図である。
図5】本実施形態に係るロッド部材埋設用キャップが取り付けられた杭打機において、ロッド部材等を埋設する手順を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明において、同一の構成には、同一の符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。
図1は、本発明の実施形態に係るロッド部材埋設用キャップ1が取り付けられた杭打機100を示す図である。
杭打機100は、杭打機100を駆動する動力源、杭打機100を走行させ無限軌道等の走行部等が設けられた駆動装置110と、駆動装置110により垂直に支持されたリーダ120と、リーダ120に沿って昇降し、ロッド部材Pを、回転させながら埋設する作業装置(例えば、オーガモータ等)130と、作業装置130の下端側に取り付けられたロッド部材埋設用キャップ1と、を備える。
【0023】
また、本実施形態において、ロッド部材Pは、例えば、鋼管杭で構成され、上下方向に延びる軸部P1と、軸部P1の外周面の少なくとも下部に形成された螺旋形状の羽根P2と、軸部P1の外周面の上部において、軸部P1の外周面から突起する突起部P3と、を備える。
突起部P3は、軸部P1の外周面に、軸部P1の外周方向において、180°間隔(軸部P1の外周において対向する位置)に2つ設けられている。なお、突起部P3は、2つに限らず、3つ以上設けてもよい。
【0024】
また、ロッド部材Pは、1つの部材に限らず、例えば、下端側に羽根を備える下杭と、下杭の上端に接続される上杭とで構成してもよい。この場合、下杭と上杭とにそれぞれ突起部P3を備える。また、上杭は、1つに限らず、複数接続してもよい。
【0025】
なお、ロッド部材Pは、軸部の外周面から突起する突起部が設けられており、杭打機の作業装置により回転させながら地盤面に埋設するものであれば、鋼管杭に限らす、例えば、掘削ドリル等であっても、本実施形態に係るロッド部材埋設用キャップ1を適用することができる。
【0026】
このような杭打機100によれば、作業装置130にはロッド部材埋設用キャップ1が取り付けられており、このロッド部材埋設用キャップ1により、ロッド部材Pを保持する。ロッド部材Pは、作業装置130からの回転力が、ロッド部材埋設用キャップ1を介して伝達され、作業装置130がリーダ120に沿って降下することにより、先端側の羽根P2が地盤に食い込み埋設される。
すなわち、ロッド部材埋設用キャップ1は、杭打機100のリーダ120に沿って昇降する作業装置130により、回転させながら埋設するロッド部材Pを、作業装置130に連結する物である。
【0027】
図2及び図3は、前記実施形態に係るロッド部材埋設用キャップ1を説明する図である。図2は、ロッド部材埋設用キャップ1の閉じた状態を示し、図3は、ロッド部材埋設用キャップ1の開いた状態を示している。また、各図において、(a)は側面図を示し、(b)は(a)に示すXX断面図を示している。
【0028】
ロッド部材埋設用キャップ1は、本体10と、本体10の上端に設けられ、ロッド部材埋設用キャップ1を作業装置130(図1参照)に装着する装着部20と、を備える。
本体10は、ロッド部材Pの軸部P1(図1参照)の外径より大きく、2つの突起部P3の先端間の寸法より小さい内径で形成された筒形状を形成し、内部に配置されたロッド部材Pを保持し、内部に配置されたロッド部材Pの軸部P1の外周面に面する部分(装着部20が設けられた面を上面した場合の側面)が開閉可能である。
【0029】
詳細には、本体10は、固定部11と、回動部12と、を有する。
固定部11は、装着部20との相対的な位置が変わらず、筒形状に形成された本体10の周方向における略半分の側面を形成する。
【0030】
回動部12は、固定部11に回動可能に連結され、第1部材121及び第2部材122が連結されることで、筒形状に形成された本体10の周方向における略半分の側面を形成し、ロッド部材Pの外周方向において、少なくともロッド部材Pの外周の半分を覆う。
【0031】
第1部材121及び第2部材122は、それぞれ、一方の上下方向に延びる側縁が固定部11に回動可能に連結され、他方の上下方向に延びる側縁が互いに連結又は解除可能に形成されている。
【0032】
このように構成することで、本体10は、回動部12における第1部材121及び第2部材122の他方の上下方向に延びる側縁が互いに連結されることで閉じた状態となり、第1部材121及び第2部材122の当該側縁の連結が解除されることで、開いた状態となる。
【0033】
また、本体10には、ロッド部材Pの突起部P3(図1参照)と係合する係合部13が形成され、係合部13は、上部係合部131と、下部係合部132と、溝部133と、を有する。
上部係合部131は、本体10の上部側に形成され、本体10の周方向に延びる溝である。
下部係合部132は、本体10の下部側に形成され、本体10の周方向に延びる溝である。
溝部133は、上部係合部131と下部係合部132とに連通し、突起部P3がスライド移動可能に形成されており、少なくとも一部が本体10を貫通している。詳細には、溝部133は、上部係合部131の略中央から、下部係合部132の略中央に向かい、下部係合部132から本体10の下端まで、上下方向に延びる溝である。
【0034】
上部係合部131、下部係合部132及び溝部133は、ロッド部材Pの突起部P3(図1参照)と同じ数だけ、同じ対応関係で形成されている。本実施形態では、上述したように、突起部P3は、軸部P1の外周方向において、180°間隔(軸部P1の外周において対向する位置)に2つ設けられている。このため、上部係合部131、下部係合部132及び溝部133も、180°間隔(本体10の周方向において対向する位置)に2つ設けられている。
【0035】
詳細には、本実施形態において、上部係合部131、下部係合部132及び溝部133は、固定部11と回動部12とにそれぞれ形成されている。
固定部11においては、略中央部に、上部係合部131、下部係合部132及び溝部133が形成されている。
また、回動部12において、上部係合部131、下部係合部132及び溝部133は、第1部材121及び第2部材122に跨がって形成されている。すなわち、回動部12において、上部係合部131、下部係合部132及び溝部133は、第1部材121及び第2部材122の互いに連結又は解除する側縁に、略半分ずつ形成されており、第1部材121及び第2部材122が互いに連結された状態で、固定部11に形成された上部係合部131、下部係合部132及び溝部133と対向する位置において、これらと同一形状の溝となる。
【0036】
次に、本実施形態に係るロッド部材埋設用キャップ1が取り付けられた杭打機100において、ロッド部材P等を埋設する手順について説明する。
図4及び図5は、本実施形態に係るロッド部材埋設用キャップ1が取り付けられた杭打機100において、ロッド部材P等を埋設する手順を説明する図である。
【0037】
まず、図1に示すように、回動部12の第1部材121及び第2部材122の連結を解除し、本体10を開いた状態とする。
そして、図4(a)に示すように、ロッド部材Pの下杭Paの突起部P3を、本体10の上部係合部131に係合させ、第1部材121及び第2部材122を連結し、本体10を閉じた状態とする。これにより、ロッド部材埋設用キャップ1を介して、下杭Paが作業装置130に連結される。
【0038】
次に、作業装置130を降下させながら、下杭Paを回転させて埋設し、所定位置(例えば、リーダ120の最下位置)に作業装置130を回転させながら降下させたら、作業装置130を埋設時とは逆の方向に回転させて、突起部P3と上部係合部131との係合を解除し、突起部P3の位置に溝部133を配置し、作業装置130を回転させずに上昇させる。この時、突起部P3は、溝部133を通過する。
そして、突起部P3の位置に、下部係合部132を配置し、作業装置130を埋設時の方向に回転させることで、突起部P3を下部係合部132に係合させ、作業装置130を降下させながら、下杭Paを回転させて、さらに埋設し、所定位置(例えば、リーダ120の最下位置)に作業装置130を回転させながら降下させる。これにより、図4(b)に示す状態となる。
【0039】
その後、作業装置130を埋設時とは逆の方向に回転させて、突起部P3と下部係合部132との係合を解除し、突起部P3の位置に溝部133を配置し、作業装置130を回転させずに上昇させ、ロッド部材埋設用キャップ1の下端側から下杭Paを抜く。この時、突起部P3は、溝部133を通過する。
【0040】
そして、下杭Paを埋設する手順と同様の手順で、図1に示すように、回動部12の第1部材121及び第2部材122の連結を解除し、本体10を開いた状態とし、図4(c)に示すように、ロッド部材Pの上杭Pbの突起部P3を、本体10の上部係合部131に係合させ、第1部材121及び第2部材122を連結し、本体10を閉じた状態とする。これにより、ロッド部材埋設用キャップ1を介して、上杭Pbが作業装置130に連結され、状態となる。
【0041】
その後、作業装置130を降下させ、下杭Paの上端と上杭Pbの下端とを連結し、下杭Pa及び上杭Pbを回転させて、さらに埋設し、所定位置(例えば、リーダ120の最下位置)に作業装置130を回転させながら降下させる。これにより、図5(a)に示す状態となる。
【0042】
その後、作業装置130を埋設時とは逆の方向に回転させて、突起部P3と上部係合部131との係合を解除し、突起部P3の位置に溝部133を配置し、作業装置130を回転させずに上昇させる。この時、突起部P3は、溝部133を通過する。
そして、突起部P3の位置に、下部係合部132を配置し、作業装置130を埋設時の方向に回転させることで、突起部P3を下部係合部132に係合させ、作業装置130を降下させながら、下杭Pa(図5(a)参照)及び上杭Pbを回転させて、さらに埋設し、所定位置(例えば、上杭Pbの杭頭が所定の杭頭レベルになる位置)に作業装置130を回転させながら降下させることで、図5(b)に示す状態となる。
【0043】
その後、作業装置130を埋設時とは逆の方向に回転させて、突起部P3と下部係合部132との係合を解除し、突起部P3の位置に溝部133を配置し、作業装置130を回転させずに上昇させ、ロッド部材埋設用キャップ1の下端側から下杭Paを抜く。この時、突起部P3は、溝部133を通過する。これにより、図5(c)に示す状態となる。
【0044】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0045】
1 ロッド部材埋設用キャップ
10 本体
11 固定部
12 回動部
13 係合部
20 装着部
100 杭打機
110 駆動装置
120 リーダ
121 第1部材
122 第2部材
130 作業装置
131 上部係合部
132 下部係合部
133 溝部
P ロッド部材
P1 軸部
P2 羽根
P3 突起部
Pa 下杭
Pb 上杭
図1
図2
図3
図4
図5