(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-22
(45)【発行日】2022-08-01
(54)【発明の名称】暗号通貨取引システム、方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20220725BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2017249072
(22)【出願日】2017-12-26
【審査請求日】2020-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】317018893
【氏名又は名称】株式会社bitgrit
(74)【代理人】
【識別番号】100098899
【氏名又は名称】飯塚 信市
(74)【代理人】
【識別番号】100163865
【氏名又は名称】飯塚 健
(72)【発明者】
【氏名】向縄 嘉律哉
【審査官】山崎 誠也
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-164039(JP,A)
【文献】特表2016-524234(JP,A)
【文献】馬場 雪乃,データ解析コンペティションを用いたクラウドソーシングによる予測モデルの構築 (1J5-OS-18b-2),一般社団法人 人工知能学会 第28回全国大会論文集CD-ROM,日本,一般社団法人 人工知能学会,2014年05月12日,p.1-4
【文献】スマートコントラクト(smart contract)とは,[online],2017年06月15日,[令和3年11月25日検索], インターネット<URL:https://web.archive.org/web/20170615231232/http://bit-economy.news/smartcontract/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のデータに関する解析結果を示す解析データの募集を行うウェブサイトを提供する情報提供部と、
データ解析者から前記解析データを受信する受信部と、
前記解析データを所定の評価基準により評価してランキングを生成するランキング生成部と、
前記ランキングに応じて暗号通貨の取引処理を行う取引処理部と、
所定のテーマに関連するデータセットを受信するデータセット受信部と、
前記データセットの受信に応じて、前記データセットの提供者に対して暗号通貨の取引処理を行うデータセット用取引処理部と、を備える暗号通貨取引システム。
【請求項2】
前記暗号通貨は、取引情報に相当するブロックチェーンを含み、かつ、前記ブロックチェーンには、さらに、所定の条件を満たした場合に執行される所定の契約内容が含まれている、請求項1に記載の暗号通貨取引システム。
【請求項3】
前記暗号通貨取引システムは、さらに、
前記解析データの募集期限を管理する期限管理部を備え、
前記暗号通貨は、取引情報に相当するブロックチェーンを含み、かつ、前記ブロックチェーンには、さらに、前記募集期限の到来という取引条件を満足した場合に、前記ランキングの上位者に関して暗号通貨の取引処理を行うという内容の情報が含まれている、請求項1に記載の暗号通貨取引システム。
【請求項4】
前記暗号通貨の取引処理は、所定の暗号通貨提供者と前記データ解析者との間で行われ、
前記暗号通貨のブロックチェーンには、さらに、前記暗号通貨提供者の暗号通貨に関する送付元アドレスから所定のコントラクトアドレスへと暗号通貨を事前に送信し、前記募集期限の到来という前記取引条件を満足した場合に、前記暗号通貨を前記コントラクトアドレスから前記データ解析者の暗号通貨に関する受け取りアドレスへと送信するという内容の情報が含まれている、請求項3に記載の暗号通貨取引システム。
【請求項5】
前記暗号通貨提供者は、前記暗号通貨
取引システムの運営者である、請求項4に記載の暗号通貨提供システム。
【請求項6】
前記所定のデータは、人工知能関連のトレーニングデータであり、
前記解析データは、
人工知能関連テーマに対応する予測結果データであり、
前記ランキングは前記予測結果データを所定の正解データと比較することにより生成された予測精度ランキングである、請求項1に記載の暗号通貨取引システム。
【請求項7】
前記テーマに関連して、前記データセットを機械学習することにより得られた学習済モデルを受信する受信部と、
前記ウェブサイト上での前記学習済モデルの取引を可能とする学習データ取引処理部と、を備える請求項
1に記載の暗号通貨取引システム。
【請求項8】
前記暗号通貨取引システムのユーザからのコメントを受信し前記ウェブサイト上に表示させる連絡処理部と、
前記コメントを行った者に対して暗号通貨の移転処理を行う移転処理部と、を備える請求項1に記載の暗号通貨取引システム。
【請求項9】
所定のデータに関する解析結果を示す解析データの募集を行うウェブサイトを提供する情報提供ステップと、
データ解析者から前記解析データを受信する受信ステップと、
前記解析データを所定の評価基準により評価してランキングを生成するランキング生成ステップと、
前記ランキングに応じて暗号通貨の取引処理を行う取引処理ステップと、
所定のテーマに関連するデータセットを受信するデータセット受信ステップと、
前記データセットの受信に応じて、前記データセットの提供者に対して暗号通貨の取引処理を行うデータセット用取引処理ステップとを備え
、暗号通貨取引システムにより実行される暗号通貨取引方法。
【請求項10】
コンピュータを、
所定のデータに関する解析結果を示す解析データの募集を行うウェブサイトを提供する情報提供ステップと、
データ解析者から前記解析データを受信する受信ステップと、
前記解析データを所定の評価基準により評価してランキングを生成するランキング生成ステップと、
前記ランキングに応じて暗号通貨の取引処理を行う取引処理ステップと、
所定のテーマに関連するデータセットを受信するデータセット受信ステップと、
前記データセットの受信に応じて、前記データセットの提供者に対して暗号通貨の取引処理を行うデータセット用取引処理ステップと、を実行する暗号通貨取引装置として機能させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、インターネット等を介して所定のウェブサイトを提供するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、暗号通貨が社会的に認知されつつあり、その取引も盛んになっている。暗号通貨は、ブロックチェーン技術を応用した仮想通貨であり、分散型ネットワークを認証主体とするセキュアな二者間取引を可能とするものである。
【0003】
また、暗号通貨を用いた様々なアプリケーション、ウェブシステム等も考案されており、例えば、特許文献1には、サッカーの予想投票を暗号通貨を用いて行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、インターネット上に存在する膨大なデジタルデータ、すなわちビッグデータを解析等して如何に価値ある情報とするかが課題となっている。
【0006】
しかしながら、現状においては、ビッグデータ等の解析を行うデータサイエンティスト等の解析技術者は、未だ質・量共に十分でなく、また、人工知能技術を初めとする解析アルゴリズムも未だ改善の余地がある。
【0007】
本発明は、上述の技術的背景の下になされたものであり、その目的とすることころは、暗号通貨を利用してデータサイエンティスト等の解析技術者へと適切なインセンティブを付与し、それにより、ひいては、解析技術者の質的・量的改善、解析アルゴリズムの改良に寄与することが可能な暗号通貨取引システムを提供することにある。
【0008】
本発明のさらに他の目的並びに作用効果については、明細書の以下の記述を参照することにより、当業者であれば容易に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の技術的課題は、以下の構成を有する暗号通貨取引システム、方法、プログラムにより解決することができる。
【0010】
すなわち、本開示に係る暗号通貨取引システムは、所定のデータに関する解析結果を示す解析データの募集を行うウェブサイトを提供する情報提供部と、データ解析者から前記解析データを受信する受信部と、前記解析データを所定の評価基準により評価してランキングを生成するランキング生成部と、前記ランキングに応じて暗号通貨の取引処理を行う取引処理部と、を備えている。
【0011】
このような構成によれば、評価ランキングに基づいてデータサイエンティスト等のデータ解析者に対して暗号通貨を用いた適切な利益を与えることができるので、データサイエンティスト等の解析技術者へと適切なインセンティブを付与することができ、ひいては、解析技術者の質的・量的改善、解析アルゴリズムの改良に寄与することができる。しかもこの種のデータ解析技術に国境は無いところ、報酬は法定通貨ではなく暗号通貨で提供されるので、世界中のデータ解析者に対して迅速かつ公平に利益を与えることができる。
【0012】
前記暗号通貨は、取引情報に相当するブロックチェーンを含み、かつ、前記ブロックチェーンには、さらに、所定の条件を満たした場合に執行される所定の契約内容が含まれていてもよい。
【0013】
また、前記暗号通貨取引システムは、さらに、前記解析データの募集期限を管理する期限管理部を備え、前記暗号通貨は、取引情報に相当するブロックチェーンを含み、かつ、前記ブロックチェーンには、さらに、前記募集期限の到来という取引条件を満足した場合に、前記ランキングの上位者に関して暗号通貨の取引処理を行うという内容の情報が含まれている、ものであってもよい。
【0014】
さらに、前記暗号通貨の取引処理は、所定の暗号通貨提供者と前記データ解析者との間で行われ、前記暗号通貨のブロックチェーンには、さらに、前記暗号通貨提供者の暗号通貨に関する送付元アドレスから所定のコントラクトアドレスへと暗号通貨を事前に送信し、前記募集期限の到来という前記取引条件を満足した場合に、前記暗号通貨を前記コントラクトアドレスから前記データ解析者の暗号通貨に関する受け取りアドレスへと送信するという内容の情報が含まれている、ものであってもよい。
【0015】
また、前記暗号通貨提供者は、前記暗号通貨提供システムの運営者であってもよい。
【0016】
さらに、前記所定のデータは、人工知能関連のトレーニングデータであり、前記解析データは、前記人工知能関連テーマに対応する予測結果データであり、前記ランキングは前記予測結果データを所定の正解データと比較することにより生成された予測精度ランキングであってもよい。
【0017】
また、前記暗号通貨取引システムは、さらに、ユーザの設定したユーザテーマを受信するユーザテーマ受信部と、前記ユーザテーマに関連するデータセットを受信するデータセット受信部と、前記データセットの受信に応じて、前記データセットの提供者に対して暗号通貨の取引処理を行うデータセット用取引処理部と、を備えるものであってもよい。
【0018】
さらに、前記ユーザテーマに関連して、前記データセットを機械学習することにより得られた学習済モデルを受信する受信部と、前記ウェブサイト上での前記学習済モデルの取引を可能とする学習データ取引処理部と、を備えるものであってもよい。
【0019】
また、前記暗号通貨取引システムのユーザからのコメントを受信し前記ウェブサイト上に表示させる連絡処理部と、前記コメントを行った者に対して暗号通貨の移転処理を行う移転処理部と、を備えるものであってもよい。
【0020】
本開示は、暗号通貨取引方法として観念することもできる。すなわち、本開示に係る暗号通貨取引方法は、所定のデータに関する解析結果を示す解析データの募集を行うウェブサイトを提供する情報提供ステップと、データ解析者から前記解析データを受信する受信ステップと、前記解析データを所定の評価基準により評価してランキングを生成するランキング生成ステップと、前記ランキングに応じて暗号通貨の取引処理を行う取引処理ステップと、を備える。
【0021】
また、本開示はコンピュータプログラムとして観念することもできる。すなわち、本開示に係るコンピュータプログラムは、コンピュータを、所定のデータに関する解析結果を示す解析データの募集を行うウェブサイトを提供する情報提供ステップと、データ解析者から前記解析データを受信する受信ステップと、前記解析データを所定の評価基準により評価してランキングを生成するランキング生成ステップと、前記ランキングに応じて暗号通貨の取引処理を行う取引処理ステップと、を備えるものである。
【発明の効果】
【0022】
本開示によれば、データサイエンティスト等の解析技術者へと適切なインセンティブを付与することができ、ひいては、解析技術者の質的・量的改善、解析アルゴリズムの改良に寄与することができる暗号通貨取引システム、方法、プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】
図2は、コンペティションページの画面図(その1)である。
【
図3】
図3は、コンペティションページの画面図(その2)である。
【
図4】
図4は、コンペティションページの画面図(その3)である。
【
図5】
図5は、ランキング上位者への暗号通貨の移転処理に係るフローチャートである。
【
図6】
図6は、フォーラムページの画面図(その1)である。
【
図7】
図7は、フォーラムページの画面図(その2)である。
【
図8】
図8は、データセットページの画面図(その1)である。
【
図9】
図9は、データセットページの画面図(その2)である。
【
図10】
図10は、データセットページの画面図(その3)である。
【
図11】
図11は、データセットの受信に基づく暗号通貨の移転処理に係るフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る暗号通貨取引システム、方法、プログラムの実施の一形態を、添付の図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0025】
<1.第1の実施形態>
<1.1 システム構成>
図1は、暗号通貨取引システム600の全体構成について示している。同図から明らかな通り、暗号通貨取引システム600においては、ウェブページの提供と後述の種々の情報処理を行う情報処理サーバ200、暗号通貨の取引に関する処理を行う暗号通貨取引サーバ300、種々のデータを送信するユーザコンピュータ400とが、インターネットを介して接続されている。情報処理サーバ200、暗号通貨取引サーバ300、ユーザコンピュータ400は、いずれも、CPU等から成り種々のプログラムを実行する制御部、揮発性及び不揮発性のメモリ等から成る記憶部、入力操作等を受け付ける入力部、スピーカ等を介して音声を出力する音声出力部、ディスプレイ等の表示部、他の機器との通信を行う通信ユニット等を有しバスを介してそれぞれ接続されている。
【0026】
なお、ユーザコンピュータ400は、パーソナルコンピュータ以外の装置であってもよく、例えば、タブレット端末、スマートフォン等の情報処理装置であってもよい。また、同図においては、ユーザコンピュータ400が2つ示されているものの実際には多数のユーザコンピュータが接続されている。さらに、同図においては、情報処理サーバ200及び暗号通貨取引サーバ300は、夫々1台として図示されているものの、1台でなくともよく、例えば、複数台で並列的な処理を行ってもよいし、機能を複数台で分散した構成であってもよい。
【0027】
<1.2 システムの表示と動作>
次に、暗号通貨取引システム600の動作について説明する。ユーザコンピュータ400からインターネットを介して情報処理サーバ200へと接続すると、ユーザコンピュータ400の表示部上にはウェブブラウザを介して以下で説明する「コンペティション」、「フォーラム」、「データセット」、「AIマーケット」、「人材募集」の5つのページのいずれかがタブを用いて選択的に表示される。なお、ウェブブラウザへの表示、表示ページの操作、データのダウンロード及びアップロード等については、既知の種々の技術が適用可能である。
【0028】
<1.2.1 「コンペティション」ページの表示と動作>
図2は、データサイエンティスト等のデータ解析者がデータの解析技術を競うことができるコンペティションページ61について示した画面図である。同図から明らかな通り、画面上部には横一列に「データセット」タブ1、「AIマーケット」タブ3、「人材募集」タブ4、「コンペティション」タブ6、「フォーラム」タブ9が配置され、それぞれ選択により、対応するページへと遷移することができるよう構成されており、同図においては、コンペティションタブ6がアクティブとなっている。
【0029】
なお、
図2は、ログイン後の画面図を示しおり、画面図右上のログアウトボタン5を選択することにより、いつでもログアウトすることができる。ログインは、ユーザがユーザIDとパスワードを入力し、情報処理サーバ200がそれを登録データと照合して認証することにより行われる。なお、本実施形態においては、アカウント情報には、名前やEメールアドレス等の連絡情報の他、暗号通貨の取引を行う上で必要な情報、例えば、暗号通貨の送信アドレスと受け取りアドレス等が含まれている。
【0030】
コンペティションページ61にはコンペティション一覧とのタイトルの下に表領域が設けられている。表領域は、各コンペティションの提供者名を表示する提供者名列62、各コンペティションのコンペティション名を表示するコンペティション名列63、各コンペティションの締め切りを示す締切列64とを有し、各行には上から、各列62~64に対応する内容が表示されている。例えば、表中の第1行65には、提供者名として「A社」、コンペティション名として「売行予測」、締切として「●月×日まで」との記載があり、以降の各行66~69にはそれぞれ対応する内容が表示されている。すなわち、コンペティションページ61からは、現在行われているコンペティションとコンペティションを提供している者の名前、コンペティションの応募締切を把握することができる。また、コンペティションの形式をとることで、コンペティションを提供している企業等は、自社のデータ分析を依頼できると共に、優秀なデータサイエンティストとつながりをもつこともできる。なお、各行65~69は選択可能に構成されており、各行65~69を選択することにより下位のページへと遷移することができる。
【0031】
図3は、第1行65のいずれかの表示領域を選択することにより表示された第2コンペティションページ651について示している。第2コンペティションページ651の左上には、「A社売れ行き予測コンペティション」との表題表示領域が配置され、右上には「締切:●月×日まで」と記載された締切表示領域652が配置されている。画面中段には、コンペティションについて説明する説明表示領域653が設けられ、コンペティションの内容について説明がなされている。本実施形態において、コンペティションの内容は、コンペティションを提供した者が予め用意した所定のデータをトレーニングデータとしてユーザが任意の機械学習器により学習を行い、所定の入力データに対する予測結果データの精度を競うというものである。なお、この精度の判定は、例えば、実際のデータに基づく所定の正解データ(例えば、実測データ)との差分に基づいて客観的に行われる。
【0032】
説明表示領域653の直下には、トレーニングデータをダウンロードするためのダウンロードファイル表示領域654が配置され、ダウンロードファイル表示領域654にはさらに選択可能なファイル名表示領域655が設けられている。このファイル名表示領域655を選択すると所定の確認画面の表示の後、ダウンロードが開始する。なお、本実施形態においては、例えば、ダウンロード対象ファイルは、A社の過去の売上データ等のデータであり、容量は5ギガバイトである。
【0033】
ファイル名表示領域655の直下には、アップロードファイル表示領域656が配置され、アップロードファイル表示領域656には、さらに、アップロードファイル表示欄657とアップロード決定ボタン658とが配置されている。すなわち、ユーザコンピュータ400を操作して、アップロードファイル表示欄657においてアップロードの対象となるファイルを選択し、アップロード決定ボタン658を選択することで、予測結果データ等に相当する任意のファイルを情報処理サーバ200へとアップロードすることができる。また、締切表示領域652の直下には、ランキングページ遷移ボタン659が配置され、同ランキングページ遷移ボタン659を選択することで、さらに下位のページへと移動することができる。
【0034】
図4は、ランキングページ遷移ボタン659を選択することにより表示された第3コンペティションページ71について示している。第3コンペティションページ71の左上には、「A社売れ行き予測コンペティションランキング」との表題が表示され、画面右上には締切表示領域72が配置されている。表題の直下にはランキングが表示され、同ランキングは、順位について示す順位表示列73、ユーザ名について示すユーザ名表示列74、締切の到来により獲得可能となる暗号通貨の量を示す獲得コイン表示列75とを有している。ランキングは、上位から複数の行76~79を有しており、それぞれ対応する内容について表示している。例えば、第1行目76からは、V氏の順位が現在1位であり、締切満了時の獲得予定の暗号通貨が15,000コインであることが見て取れる。
【0035】
図5は、ランキング上位者への暗号通貨の移転処理に係るフローチャートである。情報処理サーバ200は、各コンペティションの期限(締切)を管理する期限管理部を備えており、期限管理部は、ユーザコンピュータ400から、応募締切に相当する所定時間が経過するまで、予測結果データ等に相当するファイルのアップロードを受け付ける処理を行いつつ待機する(S101NO)。その後、情報処理サーバ200は、所定時間が経過すると(S101YES)、所定時間経過時点におけるランキング上位者を特定する処理(S102)を行うと共に暗号通貨取引サーバ300へとランキング上位者に関する情報を送信する(S103)。例えば、
図4の画面図に示される状態において、締切時間を経過すると、第1位がV氏、第2位がW氏、第3位がX氏、第4位がY氏、第5位がZ氏であることが特定・送信される。
【0036】
ランキング上位者に関する情報を受信するまで待機状態(S104NO)であった暗号通貨取引サーバ300は、ランキング上位者に関する情報を受信すると(S104YES)、暗号通貨取引システム600の運営者等の図示しない暗号通貨提供者の暗号通貨に関する送信元アドレスから予めコントラクトアドレスへと送付された暗号通貨を、各ランキング上位者の暗号通貨に関する受け取りアドレスへと移転する処理を行う(S105)。このとき、各コントラクトアドレスに存在する暗号通貨のブロックチェーンには、暗号通貨提供者の暗号通貨に関する送付元アドレスから、所定のコントラクトアドレスへと暗号通貨を事前に送信し、募集期限の到来という取引条件を満足した場合に、暗号通貨をコントラクトアドレスからランキング上位者の暗号通貨に関する受け取りアドレスへと送信するという内容の情報が含まれている。
【0037】
このような構成によれば、ブロックチェーン技術を応用して安全に利益を提供することができる。
【0038】
また、法定通貨ではなく、ランキング上位者には、暗号通貨が提供されるので、この種のデータ解析技術に国境は無いところ、世界中のデータ解析者に対して迅速かつ公平に利益を与えることができる。
【0039】
なお、本実施形態においては、運営者等の暗号通貨提供者から暗号通貨が送信されることとしたが、例えば、コンペティション提供者である企業等の暗号通貨に関する送信元アドレスから送信してもよい。
【0040】
<1.2.2 「フォーラム」ページの表示と動作>
次に、暗号通貨取引システム600のユーザ間において意見交換等を行うことができるフォーラムページ群の表示と動作について説明する。
【0041】
図6は、フォーラムタブ9がアクティブとなることにより表示される第1フォーラムページ91に関する画面図である。同図左上には、トピック一覧という標題が表示され、その直下には表が表示されている。同表は、日時を表示するための日時表示列93、意見交換のトピックのタイトルについて表示するタイトル表示列94、トピックを提起したユーザの名前を表示するトピック提起者名表示列95とを備えており、各列には対応する内容が表示されている。同表の各行96~100には、トピックと、そのトピックを提起した日、トピックを提起した者とが表示されており、例えば、第1列96から、「Neural Networkの重みについて」というタイトルのトピックが、閲覧日の17時23分に、A氏により提起されたことが看取される。また、各行96~100はそれぞれ選択可能に構成されており、各行96~100を選択することにより、各トピックに関する下位のフォーラムページへと遷移することができる。
【0042】
図7は、
図6において表の第1行目96を選択したときに表示される第2フォーラムページ961を示している。同図左上には、「Neural Networkの重みについて」との標題が表示され、その直下にはトピック提供者(同図の場合、A氏)によるコメント(質問、意見等を含む)を表示するトピック提供者コメント表示領域962が配置されている。このトピック提供者コメント表示領域962に表示されたコメントに対して、他のユーザ又はトピック提供者は、応答するようにコメントすることができ、これらのコメントは、トピック提供者コメント表示領域962の下側に順に表示される。同図においては、A氏のコメントに対してX氏とY氏が応答しており、コメントしているユーザの画像を表示するコメント者表示領域9631、9641とその右側に配置されユーザのコメントを表示するコメント表示領域9632、9634とが、左右に対になるよう配置されている。
【0043】
各コメント表示領域9632、9642には、当該コメントに関連して各コメント者に対してこれまでに提供された暗号通貨の量を示す総獲得暗号通貨表示領域9633、9643が備えられている。また、各コメント表示領域9632、9642の右下には、新たに自分がコメント提供者に対して提供したい暗号通貨の量を指定する送信暗号通貨量選択領域9634、9644と、それを決定してユーザが自身で選択した暗号通貨量を送信する決定ボタン9635、9645とが配置されている。この決定ボタン9635、9645が選択されると、指定した暗号通貨量に関する情報と、暗号通貨の送信側と受信側のユーザ情報とが暗号通貨取引サーバ300へと送信される。暗号通貨取引サーバ300は、指定した暗号通貨量に関する情報と、暗号通貨の送信側と受信側のユーザ情報とを受信すると、ユーザ間における暗号通貨の取引処理を行う。すなわち、ユーザは、フォーラム内で有益な情報を提供した者に対して自身の暗号通貨を任意の量提供することができる。
【0044】
このような構成によれば、ユーザは有用なコメントに対して、互いに暗号通貨の供与ができるので、ウェブサイトの活性化を促すことができると共に、有益なコメントを呼び込むことができる。
【0045】
<1.2.3 「データセット」ページの表示と動作>
次に、一のユーザが設定した課題に対して、他のユーザがその回答又は回答作成の基礎となるトレーニングデータをアップロードすることができるデータセットページ群について説明する。
【0046】
図8は、データセットタブ1がアクティブとなることにより表示される第1データセットページ11に関する画面図である。同図左上には、「課題リスト」の表示がなされ、その直下には、「新規課題」との文字表示12がなされると共に、新規課題選択欄12と投稿決定ボタン14とが配置されている。この新規課題選択欄12にて新規課題に関する文章を含むデータファイル選択して、投稿ボタン14を選択することで、ユーザは任意の課題を提供することができる。例えば、ユーザは、「歌手の声から顔を予測することができるか」等といった課題を入力することができる。
【0047】
新規課題選択欄13の下には、「これまでに投稿された課題」との文字表示15と、その直下に過去の課題について示す表領域が設けられている。表領域は、課題の概要について示す課題概要列16と、課題の説明の冒頭部分が表示される課題説明列17とを有しており、各行18~20にはそれぞれ過去の課題が並んでいる。例えば、第1行目18には「歌手の声から顔を予測できるか」といった課題概要が表示されると共に、その詳細な説明が隣接して表示されている。なお、各行18~20は、それぞれ選択可能に構成されており、各行18~20のいずれかの領域を選択することにより、各課題に対応する下位のデータセットページへと遷移することができる。
【0048】
図9は、第1行目18を選択することにより表示される第2データセットページ180について示している。同図最上部には、「歌手の声から顔を予測できるか?」との課題が明示されており、その直下には「予測結果のアップロード」との文字と共に、トレーニングデータを用いて得られた学習器を用いて作成された予測データを選択するためのデータ選択欄182、及び、選択した予測データのアップロードを決定するアップロード決定ボタン183が配置されている。すなわち、ユーザはトレーニングデータを用いて課題に則して生成した予測データファイルをアップロードすることができる。なお、後述するようにこのアップロードされたデータは、予め用意した正解データとの比較により予測精度順に順位づけされることとなる。また、データ選択欄182の直下には「データセットのアップロード」との文字表示184と共に、任意のデータセットを選択可能なデータ選択欄185、及び、選択したデータのアップロードを決定するためのアップロード決定ボタン186が配置されている。すなわち、ユーザは課題に関連して必要となるトレーニングデータをアップロードすることができる。なお、後述のように、トレーニングデータをアップロードしたユーザは所定の暗号通貨を受領できる。
【0049】
図11は、データセットの受信に基づく暗号通貨の移転処理に係るフローチャートである。処理開始時点において、情報処理サーバ200は、トレーニングデータとなるデータセットのアップロードを受け付ける処理を行いつつ待機状態にある(S201NO)。その後、所定のデータセットの受信を完了すると(S201YES)、情報処理サーバ200は、データセットの受信の完了を示す情報と、課題を提供したユーザに関する情報と、データセットのアップロードを行ったユーザに関する情報とを、暗号通貨取引サーバ300へと送信する(S202)。当該情報を受信するまで待機状態(S203NO)にあった暗号通貨取引サーバ300は、情報を受信すると(S203YES)、課題提供者の暗号通貨に関する送信元アドレスから予めコントラクトアドレスへと送付された暗号通貨を、データセットのアップロードを行ったユーザの暗号通貨に関する受け取りアドレスへと移転する処理を行う(S204)。このとき、各コントラクトアドレスに存在する暗号通貨のブロックチェーンには、課題提供者の暗号通貨に関する送付元アドレスから、所定のコントラクトアドレスへと暗号通貨を事前に送信し、所定のデータセットの受信完了という取引条件を満足した場合に、暗号通貨をコントラクトアドレスからデータセットのアップロードを行ったユーザの暗号通貨に関する受け取りアドレスへと送信するという内容の情報が含まれている。
【0050】
このような構成によれば、ブロックチェーン技術を応用して安全に利益を提供することができる。また、データセットの提供行為に対しても適切な利益を提供することで、ウェブサイトにおいて機械学習の基礎となるデータセットの拡充を図ることができる。
【0051】
図9に戻り、データ選択欄185の直下には「これまでにアップロードされたデータセット」との文字表示187と共に、表領域が設けられている。表領域は、データの内容について示すデータ内容表示列188と、データ形式、容量等のデータ詳細を示すデータ詳細表示列189とを備えている。各行191~192には、アップロードされたデータセットが表示されており、例えば、第1行目191からは、MP3形式で3GBの容量を有する「ミュージシャンAのリリースした曲の音楽データ」というデータセットがこれまでにアップロードされたことが看取される。また、第2データセットページの右上には「予測結果ランキングを見る」との表示を有するランキング遷移ボタン193が配置されている。同ランキング遷移ボタン193を選択すると、予測結果ランキングに関する下位のデータセットページへと遷移することができる。
【0052】
図10は、ランキング遷移ボタン193を選択することにより表示される第3データセットページ1930について示している。同図最上部には、「予測結果ランキング」との表示部と予測データの応募締切1935が配置されており、その直下には表領域が配置されている。表領域は、ランキング順位を示す順位表示列1931、投稿者を示す投稿者表示列1932、予測結果データの詳細を示す予測結果データ詳細表示列1933、及び、予測精度を示す予測精度表示列1934とを有している。各行1937~1942には、投稿者の現在の予測精度、順位、及び予測結果データの詳細が表示されている。例えば、第1行目1937からは、A氏のJPEG形式、100メガバイトの予測データが、予測精度98%で現在順位1位であることが看取される。このままの状態で締切日時が到来すると、暗号通貨取引サーバ300により、課題提起者からランキング上位者へと暗号通貨の移転処理がなされる。
【0053】
<1.2.4 「AIマーケット」ページの表示と動作>
次に、「AIマーケット」ページについて説明する。
図2等に示されるAIマーケットタブ3を選択すると学習済モデルを暗号通貨を介して売買することが可能なAIマーケットページが表示される。AIマーケットページにおいて、ユーザは、例えば、コンペティションページやデータセットページ等においてランキング上位となった学習器と暗号通貨とを交換・取引を行うことができる。
【0054】
これにより、特定のテーマや課題に関するデータ解析で得られた学習済モデルについて取引を行うことができ、データ解析者に適切な利益がもたらされるのにとどまらず、機械学習技術の利用者にとっては容易に適切な機械学習器の調達ができる。
【0055】
<1.2.5 「人材募集」ページの表示と動作>
次に、人材募集ページについて説明する。
図2等に示される人材募集タブ4を選択すると人材募集ページが表示される。人材募集ページには、企業からのデータサイエンティスト等に対する求人が表示され、閲覧ユーザは情報を得たり、或いは応募したりすることができる。なお、コンペティションページ等においてランキング上位となっていることを応募条件にすることも可能である。
【0056】
また、同人材募集ページでは、企業等の担当者等がユーザをスカウトすることも可能である。その際、企業は、ランキング順位等の実績に応じて登録ユーザをスクリーニングすることもできる。
【0057】
これにより、企業はデータ解析技術に長けた適切な人材とコンタクトすることができると共に、ユーザも就職の機会を得ることができる。
【0058】
<2.その他>
上述の実施形態においては、タブによりページを選択する形式の画面構成について説明したが、本開示はそのような構成に限定されない。従って、例えば、一画面にすべての機能を表示させてもよいし種々の構成が採用可能である。
【0059】
また、上述の実施形態においては、コンペティションの応募期限の到来やデータセットの受信完了を条件として暗号通貨を移転することとしたが、このような例に限定されない。従って、例えば、他の種々の条件の到来に応じて、暗号通貨を移転させてもよい。また、当該暗号通貨の移転と共に執行される種々の契約内容等が暗号通貨のブロックチェーン等に記録されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
インターネット等を介して所定のウェブサイトを提供するシステムを作成等する産業にて利用可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 データセットタブ
3 AIマーケットタブ
4 人材募集タブ
5 ログアウトボタン
6 コンペティションタブ
9 フォーラムタブ
200 情報処理サーバ
300 暗号通貨取引サーバ
400 ユーザコンピュータ
600 暗号通貨取引システム