IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • -触覚提示装置及び触覚提示方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-22
(45)【発行日】2022-08-01
(54)【発明の名称】触覚提示装置及び触覚提示方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20220725BHJP
   A61F 9/08 20060101ALI20220725BHJP
【FI】
G06F3/01 560
A61F9/08
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018132321
(22)【出願日】2018-07-12
(65)【公開番号】P2020009363
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】599011687
【氏名又は名称】学校法人 中央大学
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】中村 太郎
(72)【発明者】
【氏名】山田 泰之
(72)【発明者】
【氏名】奥井 学
(72)【発明者】
【氏名】林 拓宗
【審査官】木内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-054891(JP,A)
【文献】国際公開第2012/093725(WO,A1)
【文献】特表2012-532384(JP,A)
【文献】特開2011-044679(JP,A)
【文献】特開2004-071765(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
A61F 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮性を有する弾性体からなり、触覚を提示する提示面を有する触覚提示手段と、
提示する触覚に応じて前記触覚提示手段に張力を付与し、前記提示面を伸縮させる張力付与手段と、を備える触覚提示装置であって、
前記触覚提示手段は、弾性率が異なる複数の弾性体を備え、
前記複数の弾性体により形成された前記提示面を、前記張力付与手段が提示する触覚に応じて前記複数の弾性体の中から選択的に張力を付与することを特徴とする触覚提示装置。
【請求項2】
伸縮性を有する弾性体に、触覚を提示する提示面を設け、前記提示面を伸縮させて触覚を提示する触覚提示方法であって、
前記提示面を弾性率の異なる複数の弾性体により形成し、前記複数の弾性体の中から選択的に張力を付与して触覚を提示することを特徴とする触覚提示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触覚提示装置及び触覚提示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電極をマトリックス状に複数配置し、電気刺激により触覚を提示するものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-328596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような電極による触覚の提示は、電極を有限の間隔で離散的にしか配置できないため、提示できる触覚も段階的なものとなってしまうという問題がある。
本発明は、上記問題点を解決すべく、連続的な触覚の提示が可能な触覚提示装置及び触覚提示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための触覚提示装置の構成として、伸縮性を有する弾性体からなり、触覚を提示する提示面を有する触覚提示手段と、提示する触覚に応じて前記触覚提示手段に張力を付与し、前記提示面を伸縮させる張力付与手段と、を備える触覚提示装置であって、触覚提示手段は、弾性率が異なる複数の弾性体を備え、複数の弾性体により形成された提示面を、張力付与手段が提示する触覚に応じて複数の弾性体の中から選択的に張力を付与する構成とした。
本構成によれば、提示面が連続的に伸縮変形するため、連続的に触覚を提示することができる。また、前記触覚提示手段は、複数の弾性体を備え、前記複数の弾性体により形成された前記提示面を、前記張力付与手段が提示する触覚に応じて前記複数の弾性体の中から選択的に張力を付与することにより、より多彩な触覚を提示することができる。また、前記複数の弾性体は、弾性率が異なる構成としたことにより、さらに多彩な触覚を提示することができる。
また、上記課題を解決するための触覚提示方法の形態として、伸縮性を有する弾性体に、人の皮膚を接触させて触覚を提示する提示面を設け、前記提示面を伸縮させて触覚を提示する触覚提示方法であって、提示面を弾性率の異なる複数の弾性体により形成し、複数の弾性体の中から選択的に張力を付与して触覚を提示するようにした。
本形態によれば、提示面が連続的に伸縮変形するため、連続的に触覚を提示することができる。また、前記提示面を複数の弾性体により形成し、前記複数の弾性体の中から選択的に張力を付与して触覚を提示することにより、より多彩な触覚を提示することができる。また、前記複数の弾性体の弾性率を異ならせることにより、さらに多彩な触覚を提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】触覚提示装置の構成図である。
図2】触覚提示手段の他の形態を示す図である。
図3】触覚提示手段の他の形態を示す図である。
図4】触覚提示手段の他の形態を示す図である。
図5】触覚提示装置の他の形態の構成図である。
図6】触覚提示手段の他の形態を示す図である。
図7】触覚提示手段の他の形態を示す図である。
【0007】
以下、発明の実施形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明される特徴の組み合わせのすべてが発明の解決手段に必須であるとは限らず、選択的に採用される構成を含むものである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施形態1
図1は、本実施形態に係る触覚提示方法を実施する触覚提示装置の一実施形態を示す図である。
図1に示すように、触覚提示装置1は、触覚提示手段10と、駆動制御手段11とを備える。
触覚提示手段10は、人が手のひらで握ることにより、手のひらに触覚を提示する装置である。触覚提示手段10は、円筒部12と、円筒部の両端を閉塞する端部壁13;13と、円筒部12及び端部壁13;13に囲まれる中空部14とを備える。円筒部12及び端部壁13;13は、伸縮性を有する弾性素材で構成される。本実施形態では、円筒部12及び端部壁13;13は、同一の弾性率を有する素材で構成される。中空部14は、駆動制御手段11と接続され、駆動制御手段11から中空部14に空気を供給することで、図1(b)に示すように円筒部12が膨張し、また、空気を排出することで、図1(a)に示すように円筒部12が収縮するように構成される。
【0009】
駆動制御手段11は、給排制御部11Aと、触覚制御部11Bとを備える。給排制御部11Aは、中空部14に空気を供給、中空部14から空気を排出可能に構成される。給排制御部11Aは、チューブ15を介して中空部14と接続される。触覚制御部11Bは、触覚提示手段10を介して人に提示する触覚に応じて給排制御部11Aによる空気の供給や排出動作を制御する。
つまり、駆動制御装置は、円筒部12に張力を付与する張力付与手段として機能する。
【0010】
そして、図1(a)に示すように、触覚提示手段10の円筒部12を手のひらで握った状態で、中空部14に空気を供給することにより、円筒部12が膨張して人に対して握った手を押し広げようとする感覚と、円筒部12の膨張により伸長する円筒部12の表面に接触した皮膚が伸張する感覚とを提示することができる。
また、膨張した状態から中空部14から空気を排出することにより、円筒部12が収縮して人に対して広げた手を握りしめるようにする感覚と、円筒部12の収縮により収縮する円筒部12の表面に接触する皮膚が収縮する感覚とを提示することができる。つまり、円筒部12の表面が触覚の提示面として機能する。
【0011】
このように、触覚提示手段10を伸縮性を有する弾性体により構成し、弾性体の表面に人の皮膚を接触させて円筒部12を膨張させたり収縮させたりすることにより、連続的な触覚を提示することができる。即ち、円筒部12を、例えば、少ない膨張状態から大きく膨張させたり、少ない収縮状態から大きく収縮させたり、膨張状態から収縮させたり、或いは、収縮状態から膨張させたりすることにより、皮膚の接触する円筒部12の表面が連続的に、伸長、収縮、伸長から収縮、収縮から伸長するため、触覚を連続的(滑らか)に、提示することができる。また、触覚を面によって提示することができるため、触覚提示手段10の膨張や収縮等の一つの動作において複数の触覚を同時に提示することができる。これにより、例えば、手の感覚がマヒした人の触覚のリハビリにおいて、単なる手の開閉運動をによるものと異なり、皮膚への刺激が大きくなるため、よりリハビリ効果を大きくすることができる。
【0012】
実施形態2
図2は、触覚提示手段10の他の形態を示す図である。図2に示す触覚提示手段10は、人が指先で触れることにより、指先に触覚を提示する。同図に示す触覚提示手段10は、弾性率が一様な伸縮する弾性体、例えばゴム片18により構成され、指先を接触させて触覚を提示する提示面10aを備える。ゴム片18の端部には、該ゴム片18に張力を付与、開放する図外の張力付与手段が接続され、図中矢印Xで示す方向に外力Pを加える。この外力Pによりゴム片18が伸縮する。
【0013】
そして、矢印Xに示す方向に沿って指先を提示面10aに接触させた状態で、矢印Xの+方向にゴム片18を伸張させることにより、触覚提示手段10の提示面10aに接触する指先の皮膚が矢印Xの+方向に引き伸ばされるため、指先に矢印Xの+方向に移動する触覚を提示することができる。また、矢印Xの-方向にゴム片18を伸張させることにより、触覚提示手段10の提示面10aに接触する指先の皮膚が矢印Xの-方向に引き伸ばされるため、指先に矢印Xの-方向に移動する触覚を提示することができる。
このように触覚提示手段10を構成し、提示面10aに指先を接触させて触覚提示手段10の伸縮を制御することにより、連続的に伸縮する提示面10aから指先に対して連続的な刺激を与えることができるため、例えば、上述のような指先が移動する触覚を滑らかに提示することができる。
【0014】
実施形態3
図3は、指先に触覚を提示する場合の触覚提示手段10の他の形態を示す図である。図3(a)に示す触覚提示手段10は、弾性率の同じゴム片18A~18Dを指の幅方向に層状に配置し、独立して指の延長方向に伸縮可能に構成したものである。つまり、触覚提示手段10には、ゴム片18A~18Dにより指先を接触させる提示面10aが形成される。各ゴム片18A~18Dの端部には、独立して各ゴム片18A~18Dに張力を付与、開放する図外の張力付与手段が接続され、図中矢印Xで示す方向に外力Pを加える。この外力Pによりゴム片18A~18Dが伸縮する。
【0015】
そして、図3(b)に示すように、矢印Xに示す方向に沿うように指を向け、指先を提示面10aに接触させた状態で、例えば、矢印Xの+方向にゴム片18A;18Cを伸張させることにより、ゴム片18A;18Cに接触する指先の皮膚が矢印Xの+方向に引き伸ばされるため、指先のゴム片18A;18Cが接触する部分だけ矢印Xの+方向に移動する触覚を提示することができる。また、矢印Xの-方向にゴム片18A;18Cを伸張させることにより、ゴム片18A;18Cに接触する指先の皮膚が矢印Xの-方向に引き伸ばされるため、指先のゴム片18A;18Cが接触する部分だけ矢印Xの-方向に移動する触覚を提示することができる。
【0016】
実施形態4
図4は、指先に触覚を提示する場合の触覚提示手段10の他の形態を示す図である。図3では、弾性率の同じ異なるゴム片18A;18B;18C;18Dを指の幅方向に層状に配置したが、ゴム片に限定されない。例えば、図4(a)、(b)の拡大図に示すような編み込みスリーブ19A~19Dを指の幅方向に層状に配置し、各スリーブ19A~19Dを独立して指の延長方向に伸縮可能に構成してもよい。スリーブ19A~19Dの端部には、該スリーブ19A~19Dに個別に張力を付与、開放する図外の張力付与手段が接続され、図中矢印Xで示す方向に外力Pを加える。この張力付与手段による外力Pにより、スリーブ19A~19Dは、図4(b)の拡大図に示すように、外力Pを加えた方向に伸張し、外力Pと直交する方向には収縮する。そして、外力Pを除くことで、図4(a)の拡大図に示すように外力Pを加える前の状態に戻る復元性(弾性)を有する弾性体として機能する素材である。
【0017】
そして、図4(b)に示すように、矢印Xに示す方向に沿うように指を向け、指先を提示面10aに接触させた状態で、例えば、矢印Xの+方向にスリーブ19A;19Cを伸張させることにより、ゴム片18A;18Cに接触する指先の皮膚が矢印Xの+方向に引き伸ばされつつ矢印Xと直交する方向(指先の幅方向)に狭められるため、指先のスリーブ19A;19Cに接触する部分だけ矢印Xの+方向に移動しつつ挟まれる触覚を提示することができる。また、矢印Xの-方向にスリーブ19A;19Cを伸張させることにより、スリーブ19A;19Cに接触する指先の皮膚が矢印Xの-方向に引き伸ばされつつ矢印Xと直交する方向に狭められるため、指先のスリーブ19A;19Cが接触する部分だけ矢印Xの-方向に移動しつつ挟まれる触覚を提示することができる。
【0018】
実施形態5
図5は、本実施形態に係る触覚提示方法を実施するための触覚提示装置1の概略構成図である。図5に示すように、触覚提示装置1は、触覚提示手段10と、弾性力制御手段30と、張力付与手段40と、触覚制御手段50とを備える。
上記実施形態3,4では、指先の幅方向に複数の弾性体を配置し、指先の幅方向に異なる触覚を提示するように触覚提示手段10を構成したが、例えば、図5に示すように構成することにより指先により詳細な触覚を提示することができる。
【0019】
本実施形態に係る触覚提示手段10は、全体としてゴム等の伸縮可能な素材で構成された弾性体よりなり、正方形状に形成された提示面10aを備える。提示面10aは、複数の小領域20により構成される。なお、以下の説明では、指の幅方向をX軸、指の延長方向をY軸として方向を規定して説明するが、説明の便宜上設定した方向であって特に限定されるものではない。また、図5に示す触覚提示手段10の形状は、正方形の平面状に示してあるが、これについても説明の便宜上採用した形状であって、その形状は限定されない。
提示面10aは、各辺に沿って碁盤目状に区画された複数の小領域20を備える。各小領域20は、弾性率が可変に構成される。小領域20は、例えば、流体を封入可能な空間(流体室)として形成され、小領域への加減圧により弾性率が可変に構成される。各小領域20は、弾性力制御手段30と個別に接続され、弾性力制御手段30により流体の加圧や減圧が制御される。例えば、小領域20の大きさは、提示対象の指先の接触面積よりも小さい大きさが好ましい。
【0020】
弾性力制御手段30は、流体の加減圧をすることにより小領域毎の弾性率を制御する。
【0021】
張力付与手段40は、触覚提示手段10に所定の張力を付与する。図5に示すように、張力付与手段40は、x軸の正方向に張力を付与する+x張力付与部40Aと、x軸の負方向に張力を付与する-x張力付与部40Bと、y軸の正方向に張力を付与する+y張力付与部40Cと、y軸の負方向に張力を付与する-y張力付与部40Dとを備え、
各張力付与部40A~40Dは、触覚提示手段10を囲むように触覚提示手段10の周囲に触覚提示手段10の各辺に対して独立して張力を付与可能に設けられている。
【0022】
触覚制御手段50は、弾性力制御手段30及び張力付与手段40と接続され、弾性力制御手段30及び張力付与手段40の動作を制御することにより、所定の触覚を提示対象に提示するための制御をする。
【0023】
図6は、触覚提示手段10の提示動作の一例を示す図である。
図6(a)は、各小領域20の弾性を変化させず、張力付与手段40を駆動して、触覚提示手段10の辺aに+X方向,辺bに-X方向,辺cに+Y方向,辺dに-Y方向の張力を付与することで触覚を提示する動作を示している。
図6(b)は、x方向+側の端部及び-側の端部の所定範囲(グレーで示す範囲)の弾性を、他の部位よりも固くした状態で、各張力付与部40A~40Dを動作させることにより触覚提示手段10の辺aに+X方向,辺bに-X方向,辺cに+Y方向,辺dに-Y方向の張力を付与することで触覚を提示する動作を示している。
図6(c)は、y方向+側の端部及び-側の端部の所定範囲(グレーで示す範囲)の弾性を、他の部位よりも固くした状態で、各張力付与部40A~40Dを動作させることにより触覚提示手段10の辺aに+X方向,辺bに-X方向,辺cに+Y方向,辺dに-Y方向の張力を付与することで触覚を提示する動作を示している。
図6(d)は、x方向+側の端部及び-側の端部の所定範囲(グレーで示す範囲)、及びy方向+側の端部及び-側の端部の所定範囲(グレーで示す範囲)の弾性を、中央部分の弾性よりも固くした状態で、各張力付与部40A~40Dを動作させることにより触覚提示手段10の辺aに+X方向,辺bに-X方向,辺cに+Y方向,辺dに-Y方向の張力を付与することで触覚を提示する動作を示している。
【0024】
上述のように、提示面10aの弾性(率)を部分的に変化させて、触覚提示手段10を各方向に張力を付与して変位を生じさせることにより、提示面10aに設定された弾性に応じて、提示面10aに接触する皮膚の伸張が変化するため、指先に異なる触覚を提示することができる。また、伸縮のタイミングを変えることで、物体の搬送や滑る感覚等も提示することができる。
なお、触覚の提示動作は、上記4つに限定されず、各辺に付与する張力に勾配を与えたり、しても良い。
【0025】
図7は、触覚提示手段10の他の形態を示す図である。図6では、触覚提示手段10を構成する弾性体自体の弾性を変化させて、触覚を提示するようにしたが、図7に示すように、触覚を提示するようにしても良い。
図7に示す触覚提示手段10は、弾性体からなる断面正方形の角筒24を碁盤目状に配置して構成したものである。複数の角筒24を碁盤目状に配置した状態において各角筒24の一端側の開口部には、伸縮性を有する弾性体からなるシート部材26が設けられて閉塞される。シート部材26の弾性率は、角筒24の弾性率よりも小さく設定される。また、各角筒24の他端側は、角筒24の内部に空気を供給、排出するための図外の管が個別に接続される。この図外の管は、例えば、上述の駆動制御手段11の給排制御部11Aと接続される。
【0026】
そして、管を介して指先の接触する所定の位置に空気を供給し、シート部材26を膨張させて張力を付与することにより、シート部材26に接触する指先が押圧されるとともに、シート部材26に接触する皮膚が膨張分伸張する触覚を提示することができる。つまり、駆動制御手段11がシート部材26の張力を付与する張力付与手段として機能する。
【0027】
上述の触覚提示手段10を構成する素材は、例えば、シリコーンゴムやその他の合成ゴム、天然ラテックスゴム等、弾性を有し伸縮自在な素材が好適である。
【0028】
以上説明したように、縮性を有する弾性体に、人の皮膚を接触させて触覚を提示する提示面を設け、提示面を伸縮させることができれば、弾性体の形状や提示面を伸縮させる張力付与手段の構成は、触覚を提示する部位に応じて適宜変更すれば良い。
【0029】
即ち、触覚提示手段10を伸縮性を有する弾性体により構成し、人の皮膚が接触する触覚提示手段10の表面を伸縮させることにより、触覚提示手段10の表面の全体が連続的に伸縮することになり、この触覚提示手段10に接触する人の皮膚も全体的に伸縮することになる。したがって、触覚提示手段10を伸縮量を変化させたり、伸縮方向を変化させたりしたときに、触覚提示手段10の伸縮変化が連続的となるため、人に対して滑らかな触覚を提示することができる。
さらに、身体が接触した状態で物体を伸び縮みさせて、皮膚を伸縮させることにより、接触個所によって伸縮のタイミングを変えることで物体の搬送や、滑っているような感覚等の触覚を提示することができる。さらに、上述のようにリハビリ等に用いた場合、通常の他動運動にはない刺激を与えることができ、リハビリ効果を増進させることができる。
【符号の説明】
【0030】
1 触覚提示装置、10 触覚提示手段、10a 提示面、11 駆動制御手段、
40 張力付与手段。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7