IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社計装サービスの特許一覧

<>
  • 特許-コンテナの吊支装置 図1
  • 特許-コンテナの吊支装置 図2
  • 特許-コンテナの吊支装置 図3
  • 特許-コンテナの吊支装置 図4
  • 特許-コンテナの吊支装置 図5
  • 特許-コンテナの吊支装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-22
(45)【発行日】2022-08-01
(54)【発明の名称】コンテナの吊支装置
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/08 20060101AFI20220725BHJP
   B66C 19/00 20060101ALI20220725BHJP
   B66C 13/40 20060101ALI20220725BHJP
【FI】
B66C13/08 N
B66C19/00 B
B66C13/40 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018169470
(22)【出願日】2018-09-11
(65)【公開番号】P2020040784
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】515298383
【氏名又は名称】株式会社計装サービス
(74)【代理人】
【識別番号】100103975
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 拓也
(72)【発明者】
【氏名】永徳 定
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-079634(JP,A)
【文献】特開2018-111609(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0221215(US,A1)
【文献】特開昭57-081089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/00-15/06
B66C 19/00-23/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレーンに懸吊具を介して吊り下げ状態に取り付ける吊枠と、この吊枠に配設した油圧シリンダと、この油圧シリンダのシリンダチューブから上方に突出したピストンロッドの上端にその上端を連結し、下端をコンテナにおける扉を設けている一側部の上面側に係脱自在に連結させる可動側吊索と、上端を上記吊枠に連結し、下端をコンテナの他側部の上面側に係脱自在に連結させる固定側吊索とを備えていて、上記油圧シリンダを作動させることにより可動側吊索を下方に移動させて上記固定側吊索の下端を支点としてコンテナを傾動させるように構成してあり、さらに、上記油圧シリンダの作動に連動して上記吊枠と共にコンテナをさらに傾斜させる方向に作動させるコンテナ傾斜機構を備えていることを特徴とするコンテナの吊支装置。
【請求項2】
油圧シリンダの未作動時には可動側吊索の上端を連結させているピストンロッドが上死点に達した位置まで伸長していてコンテナを水平状態の姿勢でもって吊支するように構成していることを特徴とする請求項1に記載のコンテナの吊支装置。
【請求項3】
コンテナ傾斜機構は、吊枠に立設したブラケットの上端部中央にスプロケットとこのスプロケットよりも大径のドラムとの中心部を固着させている回転軸を支持させ、この回転軸の両端部を上記懸吊具の下端部によって支持させてあり、さらに、上記スプロケットにチェーンの上部を掛け渡していると共にこのチェーンの下端を上記油圧シリンダのピストンロッドの先端に連結している一方、上端側を上記ドラムの外周面に固着した補巻ワイヤの下端をコンテナの他側端部の上面側に着脱自在に連結していることを特徴とする請求項1に記載のコンテナの吊支装置。
【請求項4】
油圧シリンダの油圧回路は、ピストンによって仕切られたシリンダチューブ内の上下室間に接続してこれらの上下室を連通させている管路と、この管路中に設けられ、遠隔操作によって作動して管路を開閉させる電磁弁とからなることを特徴とする請求項1に記載のコンテナの吊支装置。
【請求項5】
油圧シリンダの油圧回路は、ピストンによって仕切られたシリンダチューブ内の上下室間に接続してこれらの上下室を連通させている第一の管路と、上下室を連通させている第二管路とを備え、上記第一管路に遠隔操作によって作動してシリンダチューブ内の下室から上室方向のみに圧油を流動させる第一電磁弁を設ける一方、上記第二管路に遠隔操作によって作動してシリンダチューブ内の上室から下室方向のみに圧油を流動させる第二電磁弁を設けてあり、さらに、上記第二管路の内径を上記第一管路の内径よりも大径に形成していることを特徴とする請求項1または請求項4に記載のコンテナの吊支装置。
【請求項6】
可動側吊索と固定側吊索との下端部は、コンテナ上に着床させてコンテナに着脱自在に連結させるコンテナ吊用スプレッダの一側部上面と他側部上面とにそれぞれ取り外し可能に連結していることを特徴とする請求項1に記載のコンテナの吊支装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナの吊支装置、詳しくは、クレーンのフック等から吊り下げてコンテナを吊索を介して吊支し、荷下ろし場所においてコンテナを傾斜させてコンテナ内の粉粒状物等の内容物を外部に排出させることができるコンテナ吊支装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、土砂やチップ状物、或いは大豆等の穀物などの粉粒状物を収容しているコンテナをクレーンによって吊り上げて荷下ろし場所まで搬送し、荷下ろし場所においてコンテナを傾斜させると共にコンテナの扉を開放させることにより、荷下ろし場所で待機している船やトラック等に内容物を排出、投入する装置が開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、軌道に沿って走行するクレーンの両側水平フレームの下方に両側支持フレームをそれぞれ互いに平行となるように配設してこれらの水平フレームと支持フレーム間を複数本のリンク部材が互いに枢支されてパンタグラフ状に形成された平衡機構によって連結すると共に、上記支持フレームをクレーンに設置したチェーンブロックによって上記平衡機構を介して昇降自在に構成している一方、上記支持フレームに、コンテナの両側面中央部を回動自在に支持したビームの両端下面に係脱自在に係止してコンテナを支持する支持機構を配設すると共に、支持フレームの下面側に電動シリンダの作動によってコンテナを傾動させる可動枠を回動自在に枢着してなる装置が開示されている。
【0004】
この装置によれば、支持機構によってコンテナを吊支し、荷下ろし場所において平衡機構を作動させてコンテナを降下させ、電動シリンダのアクチェータを伸長させれば、可動枠が回動してこの可動枠における下方に回動する一端部がコンテナの上端面一端部を押圧してコンテナが可動枠と共に傾動し、一端部側のコンテナの側面に設けている扉が斜め下方に向けた状態となってこの扉を開放することにより内容物を荷下ろし場所に待機しているトラック等に排出、投入することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特公昭61-5997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記コンテナの内容物排出装置によれば、支持機構によってビームを介し、コンテナの両側面中央部を回動自在に支持した状態にしてコンテナの一端部を電動シリンダのアクチェータの伸長によって押し下げることによりコンテナを傾動させるように構成しているので、アクチェータを最大限まで伸長させてもコンテナの傾斜角が制限されて20度程度にまでしか傾斜させることができず、コンテナの扉を開放させてもコンテナからの内容物の排出速度が遅くて排出に長時間を要すると共に内容物の排出が円滑に行われず、一部の内容物がコンテナ内に残存する事態が発生するといった問題点がある。
【0007】
さらに、クレーンに吊支されたコンテナを傾斜させる機構とは別に、コンテナを水平状態に支持する平衡機構を必要として構造が複雑となり、装置が高価につくばかりでなく平衡機構の下端側に配設している支持フレームがコンテナの傾動の妨げになる虞れがある。
【0008】
また、コンテナの吊支は、コンテナの両側面中央部を回動自在に支持しているビームの両端部下面に上記支持フレームに配設している支持機構の下端支持板を係脱自在に係止させることによって行っているので、重量の大きいコンテナを吊支することが困難であると共に支持板の係止状態が完全に行われていない場合やビームから不測に外れる虞れがあって事故が発生する危険性があった。
【0009】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、コンテナを水平姿勢を保持した安定した状態で簡単且つ確実に荷下ろし場所まで吊支して搬送することができると共に、荷下ろし場所において、コンテナを内容物が円滑に排出可能な角度まで簡単且つ正確に傾斜させて内容物を円滑に短時間で排出することができるコンテナ吊支装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のコンテナの吊支装置は、請求項1に記載したように、クレーンに懸吊具を介して吊り下げ状態に取り付ける吊枠と、この吊枠に配設した油圧シリンダと、この油圧シリンダのシリンダチューブから上方に突出したピストンロッドの上端にその上端を連結し、下端をコンテナにおける扉を設けている一側部の上面側に係脱自在に連結させる可動側吊索と、上端を上記吊枠に連結し、下端をコンテナの他側部の上面側に係脱自在に連結させる固定側吊索とを備えていて、上記油圧シリンダを作動させることにより可動側吊索を下方に移動させて上記固定側吊索の下端を支点としてコンテナを傾動させるように構成してあり、さらに、上記油圧シリンダの作動に連動して上記吊枠と共にコンテナをさらに傾斜させる方向に作動させるコンテナ傾斜機構を備えていることを特徴とする。
【0011】
上記のように構成したコンテナ吊支装置において、請求項2に係る発明は、油圧シリンダの未作動時には可動側吊索の上端を連結させているピストンロッドが上死点に達した位置まで伸長していてコンテナを水平状態の姿勢でもって吊支するように構成していることを特徴とする。
【0012】
請求項3に係る発明は、上記コンテナ傾斜機構は、吊枠に立設したブラケットの上端部中央にスプロケットとこのスプロケットよりも大径のドラムとの中心部を固着させている回転軸を支持させ、この回転軸の両端部を上記懸吊具の下端部によって支持させてあり、さらに、上記スプロケットにチェーンの上部を掛け渡していると共にこのチェーンの下端を上記油圧シリンダのピストンロッドの先端に連結している一方、上端側を上記ドラムの外周面に固着した補巻ワイヤの下端をコンテナの他側端部の上面側に着脱自在に連結していることを特徴とする。
【0013】
請求項4に係る発明は、油圧シリンダの油圧回路は、ピストンによって仕切られたシリンダチューブ内の上下室間に接続してこれらの上下室を連通させている管路と、この管路中に設けられ、遠隔操作によって作動して管路を開閉させる電磁弁とからなることを特徴とする。
【0014】
さらに、請求項5に係る発明は、上記請求項4に記載の発明において、油圧シリンダの油圧回路は、ピストンによって仕切られたシリンダチューブ内の上下室間に接続してこれらの上下室を連通させている第一の管路と、上下室を連通させている第二管路とを備え、上記第一管路に遠隔操作によって作動してシリンダチューブ内の下室から上室方向のみに圧油を流動させる第一電磁弁を設ける一方、上記第二管路に遠隔操作によって作動してシリンダチューブ内の上室から下室方向のみに圧油を流動させる第二電磁弁を設けてあり、さらに、上記第二管路の内径を上記第一管路の内径よりも大径に形成していることを特徴とする。
【0015】
請求項6に係る発明は、可動側吊索と固定側吊索との下端部は、コンテナ上に着床させてコンテナに着脱自在に連結させるコンテナ吊用スプレッダの一側部上面と他側部上面とにそれぞれ取り外し可能に連結していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明によれば、クレーンの巻上索の下端にフック等を介して吊り下げられた吊枠には油圧シリンダが配設されていて、この油圧シリンダのシリンダチューブから上方に突出したピストンロッドの上端に可動側吊索の上端を連結し、この可動側吊索の下端をコンテナにおける扉を設けている一側部の上面側に係脱自在に連結する一方、上記吊枠に固定側吊索の上端部を連結していて、この固定側吊索の下端をコンテナの他側部の上面側に係脱自在に連結するように構成しているので、油圧シリンダのピストンロッドを上方に伸長させた状態に保持しておくことによって可動側吊索と固定側吊索を介してコンテナを水平に保持した姿勢にして吊り上げることができ、荷下ろし場所まで安定した吊り姿勢でもって確実に搬送することができる。
【0017】
さらに、荷下ろし場所において、上記油圧シリンダを遠隔操作で作動させれば、ピストンロッドが収縮して可動側吊索が下方に移動し、コンテナが固定吊索の下端を支点として下方に傾斜して扉によって閉止されている排出口を斜め下方に向けることができると同時に、ピストンロッドの下方への収縮に連動してコンテナ傾動機構が作動し、上記吊支と共にコンテナをさらに下方に大きく傾動させることができ、この状態にしてコンテナの扉を開放させることによってコンテナから内容物を円滑に短時間で排出することができる。
【0018】
その上、コンテナ内の内容物が排出されてコンテナが空の状態になると、コンテナが自重による復元力で、傾斜していた状態から水平状態に復帰させることができ、次の荷下ろし作業の準備が迅速に完了して荷下ろし作業が連続的に効率よく行うことができる。
【0019】
請求項2に係る発明によれば、油圧シリンダの未作動時には可動側吊索の上端を連結させているピストンロッドが上死点に達した位置まで伸長していてコンテナを水平状態の姿勢でもって吊支するように構成しているので、この状態からピストンロッドを下支点に達するまで下動させれば、荷下ろし時におけるコンテナの傾斜角度を常に一定角度にすることができ、クレーンによって荷下ろし場所まで搬送される全てのコンテナを一定の傾斜角度にして内容物の排出作業が円滑に行うことができる。
【0020】
請求項3に係る発明によれば、上記コンテナ傾斜機構は、吊枠に立設したブラケットの上端部中央にスプロケットとこのスプロケットよりも大径のドラムとの中心部を固着させている回転軸を支持させ、この回転軸の両端部を上記懸吊具の下端部によって支持させていると共に、上記スプロケットにチェーンの上部を掛け渡し、このチェーンの下端を上記油圧シリンダのピストンロッドの先端に連結してあり、さらに、端側を上記ドラムの外周面に固着した補巻ワイヤの下端をコンテナの他側端部の上面側に着脱自在に連結しているので、荷下ろし場所において上記油圧シリンダのピストンロッドを下方に向かって収縮させれば、上記のようにコンテナを吊支している可動側吊索と固定側吊索とによってコンテナが傾斜すると同時にスプロケットに掛け渡しているチェーンが上記ピストンロッドによって引かれて上記ドラムがスプロケットと一体的に回動し、補巻ワイヤがドラムに巻き寄せられてコンテナをさらに大きく傾斜させることができる。
【0021】
このコンテナの傾斜角度は、上記ピストンロッドのストローク(伸長量)に比例し、ピストンロッドのストロークを一定となるように制御することによって上述したように内容物排出時におけるコンテナの傾斜角度を常に一定角度にすることができ、荷下ろし作業が確実且つ能率よく行うことができる。
【0022】
請求項4に係る発明によれば、上記油圧シリンダの油圧回路は、ピストンによって仕切られたシリンダチューブ内の上下室間に接続してこれらの上下室を連通させている管路と、この管路中に設けられ、遠隔操作によって作動して管路を開閉させる電磁弁とからなるので、油圧シリンダのピストンロッドを上方に伸長させてコンテナを水平に保持している状態においては、コンテナの荷重によって油圧シリンダの下室内の圧油が加圧されており、この状態から、荷下ろし場所において遠隔操作により上記電磁弁を開放すれば、上記圧油によるコンテナの荷重の支持力が解かれて圧油が管路を通じて油圧シリンダの下室から上室側に流動しながら、ピストンロッドがコンテナの荷重によって下方に収縮し、可動側吊索が下方に移動してコンテナを、固定側吊索の下端を支点として所定の傾斜角度にまで簡単且つ確実に傾動させることができる。
【0023】
また、コンテナからの内容物の排出が完了すると、コンテナの自重による復元力によって補巻ワイヤが下方に引っ張られてドラムはスプロケットと共に上記とは逆方向に回動し、スプロケットに掛け渡しているチェーンによって油圧シリンダのピストンロッドが圧油を上室側から下室側に戻しながら上方に伸長して次の荷下ろしが開始できる状態に復帰させることができる。
【0024】
さらに、請求項5に係る発明によれば、上記油圧シリンダの油圧回路は、ピストンによって仕切られたシリンダチューブ内の上下室間に接続してこれらの上下室を連通させている第一の管路と、上下室を連通させている第二管路とを備え、上記第一管路に遠隔操作によって作動してシリンダチューブ内の下室から上室方向のみに圧油を流動させる第一電磁弁を設ける一方、上記第二管路に遠隔操作によって作動してシリンダチューブ内の上室から下室方向のみに圧油を流動させる第二電磁弁を設けているので、コンテナがクレーンによって荷下ろし場所にまで搬送された時に、遠隔操作によって上記第一電磁弁を開放させると、コンテナの荷重によって圧油が第一管路を通じてシリンダチューブ内の下室から上室側に流動しながらピストンロッドが下方に収縮し、上述したように可動側吊索が下方に移動してコンテナを、固定側吊索の下端を支点として所定の傾斜角度にまで確実に傾動させることができる。
【0025】
しかるのち、上記第一電磁弁を閉じれば、コンテナの傾斜角度を上記所定の角度に保持しておくことができ、コンテナの内容物を排出口から円滑に排出させることができる。そして、内容物の排出が終了したのち、上記第二電磁弁を開放すると、上述したように、コンテナの自重による復元力によって補巻ワイヤが下方に引っ張られてドラムがスプロケットと共に上記とは逆方向に回動し、スプロケットに掛け渡しているチェーンによって油圧シリンダのピストンロッドが圧油を第二管路を通じて上室側から下室側に戻しながら上方に伸長して次の荷下ろしが開始できる状態に自動的に復帰させることができる。
【0026】
また、上記第一管路の内径を上記第二管路の内径に比べて小径に形成しているので、第一管路を通じて圧油を油圧シリンダの下室から上室に戻す時間を第二管路を通じて圧油を油圧シリンダの上室から下室に戻す時間よりも長くすることができ、従って、第一電磁弁の開放によって圧油を第一管路を通じて油圧シリンダの下室から上室にゆっくりと戻してコンテナの傾斜角度を徐々に大きくしながら、コンテナを所定の傾斜角度まで安定した状態で傾動させることができる一方、第二電磁弁の開放によって圧油を第二管路を通じて油圧シリンダの上室から下室に急速に戻して空のコンテナを元の水平姿勢に素早く復帰させることができる。
【0027】
なお、クレーンによる上記コンテナの吊り上げは、請求項6に記載したように、可動側吊索と固定側吊索との下端部をコンテナ吊用スプレッダの一側部上面と他側部上面とにそれぞれ取り外し可能に連結しておき、このスプレッダをコンテナ上に着床してコンテナに係合させ、スプレッダを介して行うように構成しておくことが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明コンテナ吊支装置の一部を断面した正面図。
図2】その側面図。
図3】コンテナを吊り上げている状態の正面図。
図4】その側面図。
図5】コンテナを傾斜させた状態の正面図。
図6】油圧回路の変形例を示す回路図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、本発明の具体的な実施の形態を図面について説明すると、図1図2において、コンテナの吊支装置は吊枠1を備えてあり、この吊枠1にワイヤロープ等の索条からなる可動側吊索2と固定側吊索3を介してコンテナAを吊支するように構成している。
【0030】
上記吊枠1は左右方向に長い平面長方形状の上面板1aと、この上面板1aの両側端における幅方向の中央部下面にその上端面が固着されて上面板1aの両側端から下方に垂設している一定長さを有する両側枠体1b、1bと、これらの両側枠体1b、1bの下端部における前面間と後面間とにそれぞれ架設されて両側枠体1b、1bの下端部前後面に両側端部をそれぞれ固着している溝形鋼からなる前後水平枠体1c、1dと、上端面が吊枠1の上面板1aの下面中央部に固着され、下端が上記前後水平枠体1c、1dの中央部上に固定されている中央縦枠体1eと、この中央縦枠体1eと上記両側枠1b、1bにおける他方の側枠1bと上部対向面間に固着している水平補強枠体1fとからなる。
【0031】
上記吊枠1の前後水平枠体1c、1dの対向面間に形成されている空間部における一側部内には油圧シリンダ4のシリンダチューブ4aの上端部が挿入されていて、その上端部を前後水平枠体1c、1dに連結、支持させることにより油圧シリンダ4を上下方向に向けた状態にして吊枠1の一側部に配設している。
【0032】
前後水平枠体1c、1dに油圧シリンダ4のシリンダチューブ4aの上端部を支持させる具体的の構造としては、シリンダチューブ4aの上端部の前後面にピン14、14を突設しておき、これらのピン14、14を前後水平枠体1c、1dの一側部に貫設している支持孔15、15に挿通、支持させた構造としているが、その他の支持構造を採用してもよい。
【0033】
油圧シリンダ4のピストン4bには上方に向かって突設したピストンロッド4cと下方に向かって突設したピストンロッド4dとが設けられてあり、シリンダチューブ4aから上方に突出したピストンロッド4cの上端部はブロック形状の頭部4eに形成されている。このピストンロッド4cの上端頭部4eは、上記吊枠1における一側部側の側枠体1bと中央縦枠体1eとの垂直な対向面に設けているガイド面16、16にその両側面を摺接させながら上下方向に昇降移動できるように構成している。
【0034】
さらに、上記ピストンロッド4cの上端頭部4eにはこの頭部4eの前後面中央部間を貫通した状態にして頭部4eに固定された支軸17が設けられてあり、頭部4eの前後面から突出したこの支軸17の前後両端部に上記可動側吊索2を2本、前後にしてそれぞれの上端部をアイ加工することによって形成している吊環部2aを係止させている。なお、これらの可動側吊索2、2の吊環部2aは支軸17の両端に固定したナット部材等によって支軸17から不測に外れるのを阻止している。
【0035】
一方、上記吊枠1における他側部に設けている上記水平補強枠体1f上には上記ピストンロッド4cの頭部4eと同形の索条取付部材5が固着されていて、この索条取付部材5の前後面中央部間に、上記ピストンロッド4cの頭部4eと同様に、該索条取付部材5を貫通した状態にして固定した支軸18が設けられてあり、索条取付部材5の前後面から突出したこの支軸18の前後両端部に上記固定側吊索3を2本、前後にしてそれぞれの上端部をアイ加工することによって形成している吊環部3aを係止させている。これらの固定側吊索3、3の吊環部3aも支軸18の両端にナット部材等を固定して支軸18から不測に外れるのを阻止されている。
【0036】
なお、吊枠1に対する上記索条取付部材5の固定位置は、上記油圧シリンダ4のピストン4bを上死点まで移動させてピストンロッド4cを最大限まで伸長させた際の頭部4eの高さ位置と同じ高さ位置に設けているが、頭部4eよりも下方に位置に固定しておいてもよく、要するに、ピストンロッド4cを最大限まで伸長させた状態において、可動側吊索2と固定側吊索3とによりコンテナAを水平状態にして吊支できるように構成しておけばよい。
【0037】
上記油圧シリンダ4の油圧回路20は図1に示すように、ピストン4bによって仕切られたシリンダチューブ4a内の上下室間に接続してこれらの上下室を連通させている第一管路21と、この第一管路21中に設けられ、コントローラによる遠隔操作によって作動してシリンダチューブ4a内の下室から上室方向のみに圧油を流動させる第一電磁弁22と、上記シリンダチューブ4a内の上下室間に接続してこれらの上下室を連通させている第二管路23と、この第二管路23中に設けられ、コントローラによる遠隔操作によって作動してシリンダチューブ4a内の上室から下室方向のみに圧油を流動させる第二電磁弁24とから構成されてあり、さらに、上記第二管路23の内径を上記第一管路21の内径よりも大径に形成している。
【0038】
なお、上記第一管路21と第二管路23はそれぞれ独立した状態でシリンダチューブ4aの上下室間を連通させているが、図6に示すように、シリンダチューブ4aの上下室間に連通している内径が大径の第二管路23に、この第二管路23におけるシリンダチューブ4aの上下室に連通した管路部に内径が小径の第一管路21を接続した構造としておいてもよい。
【0039】
また、上記可動側吊索2と固定側吊索3とによってコンテナAを水平状に吊支している状態から上記油圧シリンダ4のピストンロッド4cを収縮させれば、このピストンロッド4cの上端頭部4eに連結している上記可動側吊索2が下方に移動してコンテナAが固定側吊索3の下端を支点として下方に向かって傾斜させることができるが、上記ピストンロッド4cのストローク長さではコンテナAの傾斜角が比較的小さくて斜め下向きとなったコンテナAの排出口からの内容物の排出が円滑に行われないので、上記吊枠1の上面板1a上に上記油圧シリンダ4のピストンロッド4cの下動(収縮)に連動してコンテナAをさらに同一方向に傾斜させるコンテナ傾斜機構Eを設けている。
【0040】
このコンテナ傾斜機構Eの構造の一例を次に説明する。
【0041】
上記吊枠1の上面板の前後端縁部上にはブラケット6、6が上方に向かって垂直状に突設してあり、これらの前後ブラケット6、6の上端部における中央、即ち、上記ピストンロッド4cの頭部4eと索条取付部材5間の中央部上方に位置する上端部に回動軸7の両端部を支持している。
【0042】
具体的には、この回動軸7は、前後方向に向けている両端部に軸受けとなる短筒体19、19を被せてこれらの前後短筒体19、19を上記前後ブラケット6、6の上端部中央に貫通状態で固着することにより、前後ブラケット6、6の上端部に短筒体19、19を介して回動軸7の両端部を回動自在に支持させている。
【0043】
前後ブラケット6、6間に露出している回転軸7の中央部にはスプロケット8の中心部が固着していると共に上記回転軸7の長さ方向の前部または後部にスプロケット8よりも大径のドラム9の中心部が固着していて、回動軸7の回動により、これらのスプロケット8とドラム9が一体的に同一方向に回転(回動)するように構成している。
【0044】
上記スプロケット8には一定長さのチェーン10の上部がスプロケット8を一周近くまで掛け渡されていてその先端部をスプロケット8に固定している一方、チェーン10の下部をスプロケット8から垂下させて吊枠1の上面板1aに設けている通孔を通じてその下端を上記油圧シリンダ4のピストンロッド4cの先端頭部4eに連結している。なお、チェーン10はその一端をスプロケット8に固定することなくスプロケット8に一定長さ部分を掛け渡した状態にしておいてもよい。
【0045】
一方、上記ドラム9の外周面に補巻ワイヤ11の上部を数回巻装してその先端部をドラム9に固着してあり、この補巻ワイヤ11の下端を上記固定側吊索3の下端が連結しているコンテナAの他側部側に着脱自在に連結するように構成している。なお、補巻ワイヤ11の下端をコンテナAに連結させる箇所は、コンテナAの他端部における前後方向の中央部であってもよく、或いは、補巻ワイヤ11を二股状に分岐させてコンテナAの他端部における前後部にその下端を着脱自在に連結するようにしておいてもよい。
【0046】
また、補巻ワイヤ11は上記のようにドラム9に数回巻装することなく、一定長さの上部をドラム9の外周面に一巻き近くまで巻装しておき、その先端部をドラム9に固定しておいてもよい。上記のようにコンテナAの傾斜機構Eが構成されている。
【0047】
さらに、クレーンの巻上索Bの下端に取り付けているフックCに係止させる係止孔13を上端中央部に設けている逆U字状に形成された懸吊具12の前後下端部に、上記前後ブラケット6、6の上端部から突出している回動軸7の両端短筒体19、19を支持させている。
【0048】
上記のように構成したコンテナ吊支装置によってコンテナAを吊支するには、上記油圧シリンダ4のピストンロッド4cの上端頭部4eに固定している支軸17にそれぞれの上端を連結している上記2本の可動側吊索2、2の下端をコンテナAにおける扉を設けている側の一側部上面に設けられた係止部に係脱自在に連結させる一方、吊枠1の他側部に設けている上記索条取付部材5に取付けた支軸18にそれぞれの上端を連結している上記2本の固定側吊索3、3の下端をコンテナAの他側部上面に設けられた係止部に係脱自在に連結させることによって行ってもよいが、図3図4に示すように、一般的に知られているコンテナ吊用スプレッダDを使用して吊支することが好ましい。
【0049】
コンテナ吊用スプレッダDには、その長さ方向の中央から左右両側に向かって互いに等しい間隔を存した上面における前後端部に、上記二本の前後可動側吊索2、2の下端と二本の前後固定側吊索3、3の下端とをそれぞれ係脱自在に連結させる係止具(図示せず)が突設されていると共に、上記固定側吊索3の下端連結箇所よりも外側の上面他側端部に上記ドラム9から下方に引き出されている補巻ワイヤ11の下端を着脱自在に連結させる係止具(図示せず)が設けられている。さらに、このコンテナ吊用スプレッダDの四隅部にはコンテナAの上端面四隅部に設けられている隅金具(図示せず)に係脱自在に結合するツィストロック金具dが設けられている。
【0050】
次に、上記のように構成したコンテナの吊支装置を使用して、土砂やチップ状物、或いは大豆等の穀物などの粉粒状物(以下、内容物という)を収容しているコンテナAをクレーンによって吊り上げ、荷下ろし場所においてコンテナAを吊支した状態でコンテナA内から内容物を外部に排出する使用態様を説明する。
【0051】
まず、クレーンの巻上索Bの下端フックCに吊枠1を吊り下げると共に、この吊枠1に配設している油圧シリンダ4のピストンロッド4cの上端頭部4eに上端部を支持させている前後2本の可動側吊索2、2の下端をコンテナ吊用スプレッダDの一側部側の前後端部に連結すると共に吊枠1の他側部側に固定している索条取付部材5に上端部を支持させている前後2本の固定側吊索3、3の下端をコンテナ吊用スプレッダDの他側部側の前後端部に連結し、さらに、吊枠1に設けているドラム9から引き出された補巻ワイヤ11の下端をコンテナ吊用スプレッダDの他側端に連結する。
【0052】
なお、コンテナAの内容物の排出口は、前後面と両側面とからなる四方周壁面における一側面側に設けられてあり、この一側面に上端を枢着している扉aによって開閉自在に閉止されていて、上記可動側吊索2を連結させている上記スプレッダDの長さ方向の一側部側をコンテナAの扉aを設けている一側部上に位置するようにスプレッダDをコンテナA上に着床させる。
【0053】
この状態にしてクレーンを作動させ、吊枠1から垂下している上記可動側吊索2と固定側吊索3とによりコンテナ吊用スプレッダDを吊り上げ、コンテナ集積場所までスプレッダDを移動させて所望のコンテナA上にスプレッダDを着床させ、その四隅部に設けているツィストロック金具dをコンテナAの隅金具に結合させることにより、コンテナAを吊り上げ可能な状態にする。
【0054】
クレーンによるコンテナAの吊り上げ開始時には、吊枠1に設けている上記油圧シリンダ4のピストン4bがシリンダチューブ4aの上死点に位置していてピストンロッド4cをシリンダチューブ4aから上方に向かって最大限まで伸長させてあり、この状態にして油圧回路20の第一、第二管路21、23に設けている第一,第二電磁弁22、24が閉じられているので、ピストンロッド4cが下方に収縮するのを阻止した状態に保持されている。
【0055】
従って、クレーンによりコンテナAを吊り上げると、コンテナAの荷重がピストンロッド4cを下方に収縮させようとする方向に作用するが、上記のようにこのピストンロッド4cの収縮が阻止されているので、ピストンロッド4cの上端頭部4eと吊枠1の他側部側に固定している索条取付部材5とにそれぞれ連結して可動側吊索2、2と固定側吊索3、3とによってスプレッダDを介し、コンテナAを図3に示すように、水平状態に吊支することができる。
【0056】
こうしてクレーンによりコンテナAを吊り上げて荷下ろし場所にまで搬送し、荷下ろし場所において遠隔操作により油圧回路20の第一管路21に設けている第一電磁弁22を開放すると、油圧シリンダ4のピストン4bが可動側吊索2を介してそのピストンロッド4cに作用しているコンテナAの荷重によって、シリンダチューブ4aの下側の室内の圧油を第一管路21を通じて上側の室内に送り込みながら下動し、ピストンロッド4cが収縮してこのピストンロッド4cの上端頭部4eに連結している可動側吊索2がピストンロッド4cと共に下方に移動してこの可動側吊索2によりスプレッダDを介して吊支されているコンテナAの一側部側がスプレッダDを介してコンテナAの他側部側を吊支している上記固定側吊索3の下端を支点として図5に示すように下方に傾動して扉aにより閉止されている排出口が斜め下方に向けられる。
【0057】
さらに、上記油圧シリンダ4のピストンロッド4cの下方への収縮によってこのピストン4bの上端頭部4eの上端面に連結しているチェーン10が下方に引き寄せられ、このチェーン10を掛け渡しているスプロケット8が図において時計回り方向に回動し、回動軸7にこのスプロケット8と共に固着しているドラム9が回動軸7の回動によってスプロケット8と一体に同一方向に所定角度だけ回動してこの回動により、上部がこのドラム9に巻回され且つ下端がコンテナA上に着床したスプレッダDの他側端部に連結している補巻ワイヤ11がドラム9の外周面に巻き上げられて上記可動側吊索2の下端を支点としてコンテナAの他側部側が上方に持ち上げられ、コンテナAをさらに大きく傾斜させる。
【0058】
この際、クレーンのフックCに係止している懸吊り具12の下端に上記回動軸7を介して支持されているブラケット6、6を介して吊り下げられた上記吊枠1も油圧シリンダ4のピストンロッド4cの収縮及び上記補巻ワイヤ11のドラム9の外周面への巻き上げによる引き寄せによって、図5に示すように上記回動軸7を支点として他側方に回動、傾斜し、この傾斜に伴って可動側吊索2と固定側吊索3とによる吊支されているコンテナAがさらに傾動しながら他側方に向かって後退するように移動する。
【0059】
上記のように、油圧シリンダ4の作動によって傾斜するコンテナAの具体的な傾斜角度の一例としては、可動側吊索2と固定側吊索3との長さを5240mm、可動側吊索2と固定側吊索3とにおけるスプレッダDの両側部にそれぞれの下端を連結させている連結点間の距離を3000mm、油圧シリンダ4のピストンロッド4cの最大ストローク長を1000mm、スプロケット8の直径を500mm 、ドラム9の直径を1350mmとした場合、上記ピストンロッド4cのストロークのみではコンテナAの傾斜角度が略20度となるようにしか構成することができないが、上記ドラム9の回動による補巻ワイヤ11の巻き上げによる傾斜機構Eを採用すると、コンテナAの傾斜角度を略40度となるように構成することができる。
【0060】
このように、荷下ろし場所において、第一電磁弁22を開放することにより、コンテナAを所定の傾斜角度にまで大きく傾斜させて扉aを荷下ろし場所で待機しているトラック或いは容器等に向けた状態にしたのち、上記第一電磁弁22を閉止させ、コンテナAの扉aを遠隔操作等によって開放させると、コンテナAの一側面に設けている排出口から内容物が排出されてトラックの荷台や容器等内に投入することができる。
【0061】
この際、コンテナAから内容物が排出されるに従って、コンテナAが自重によって一側部側が上方に、他側部側が下方に移動しようとする復元力が発生するが、上記第一電磁弁22の閉止によって油圧シリンダ4内の圧油が第一管路21を通じて上室側から下室側へ戻ろうとするのを阻止され、第二電磁弁24は閉止状態を保持しているので、コンテナAが上記大きな傾斜角度を保持しながらコンテナAの内容物を排出口から円滑に短時間で排出することができる。
【0062】
コンテナAの全ての内容物が排出されてコンテナAが空の状態になると、上記第二回路23に設けている第二電磁弁24を遠隔操作によって開放させる。この第二電磁弁24の開放によって油圧シリンダ4の上室と下室とが第二管路23を通じて連通し、上記コンテナAの復元力によってコンテナAの他側端に連結している上記補巻ワイヤ11がドラム9から下方に引き出されながらドラム9を上記とは逆方向(図において反時計回り方向)に回動させ、この回動によってドラム9と一体的にスプロケット8が同一方向に回動してこのスプロケット8に掛け渡しているチェーン10が元の掛け状態となるように上記とは逆方向に移動してこのチェーン10の下端をその頭部に連結させている上記油圧シリンダ4のピストンロッド4cがピストン4bによって上記第二管路23を通じて上室内の圧油を下室側に戻しながら上方に伸長させる。
【0063】
この際、第二管路23の内径を第一管路21の内径よりも大径に形成しているので、第二管路23に設けている上記第二電磁弁23の開放によって油圧シリンダ4内の圧油を第二管路23を通じて油圧シリンダの上室から下室に急速に戻して空のコンテナを元の水平姿勢に素早く復帰させることができる。
【0064】
こうして、ピストンロッド4cが元の位置まで伸長、復帰すると、可動側吊索2と固定側吊索3とによって空のコンテナAが水平状に吊支された状態となり、この空のコンテナAを適宜な集積場所まで上記クレーンによって搬送してその場所でこのコンテナA上からスプレッダDを取り外し、可動側吊索2と固定側吊索3とで吊り下げた状態でクレーンを操作して上記コンテナ集積場所まで移動させて、次のコンテナAのスプレッダDを介しての吊り上げ、荷下ろし場所までの運搬、荷下ろし場所におけるコンテナAの傾斜操作、コンテナAの扉aの開放による内容物の排出作業を行う。
【0065】
なお、上記実施例においては、油圧シリンダ4にその上下室間を連通させる第一、第二管路21、23を設けてこれらの第一、第二管路21、23にそれぞれ第一、第二電磁弁22、24を設けたが、油圧シリンダ4の上下室を一つの管路によって連通させ、この管路に一つの電磁弁を設けてなる油圧回路としておいても、コンテナAの傾斜状態から水平状態への復帰速度が遅くなるが、本発明の目的を達成することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 吊枠
2 可動側吊索
3 固定側吊索
4 油圧シリンダ
4a シリンダチューブ
4b ピストン
4c ピストンロッド
5 索条取付部材
7 回動軸
8 スプロケット
9 ドラム
10 チェーン
11 補巻ワイヤ
12 懸吊具
20 油圧回路
A コンテナ
B クレーンの巻上索
D スプレッダ
E 傾斜機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6