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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-22
(45)【発行日】2022-08-01
(54)【発明の名称】熱交換補助装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/46 20110101AFI20220725BHJP
   F24F 3/00 20060101ALI20220725BHJP
   F24F 5/00 20060101ALI20220725BHJP
   F25D 9/00 20060101ALI20220725BHJP
   F25B 27/00 20060101ALI20220725BHJP
   F24F 1/16 20110101ALN20220725BHJP
【FI】
F24F1/46
F24F3/00 B
F24F5/00 101A
F24F5/00 101Z
F25D9/00 B
F25B27/00 P
F24F1/16
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018175110
(22)【出願日】2018-09-19
(65)【公開番号】P2020046116
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】500575972
【氏名又は名称】株式会社リビエラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】今 喜代美
(72)【発明者】
【氏名】今 修一郎
(72)【発明者】
【氏名】今 祐治郎
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-163239(JP,A)
【文献】特開2015-078813(JP,A)
【文献】特開2016-017721(JP,A)
【文献】特開2004-301470(JP,A)
【文献】特開2011-141073(JP,A)
【文献】特開平02-037238(JP,A)
【文献】特開平08-005191(JP,A)
【文献】特開2014-031991(JP,A)
【文献】特開2013-155949(JP,A)
【文献】特開2013-076527(JP,A)
【文献】特開昭54-081649(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00-13/32
F25D 9/00
F25B 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風機と、前記送風機から受ける空気を通過させて外部から供給される冷温水と熱交換するラジエータと、前記ラジエータを通過した空気を取り入れて流通させる第一のダクト部と、前記第一のダクト部の下流側に接続されて前記第一のダクト部内の空気を吐出する空気吐出部とを具備し、
前記空気吐出部が、熱源機器の熱源側空気熱交換器の空気吸込み面へ空気を吹き付けるように設けられており、
前記熱源機器の前記熱源側空気熱交換器から排出される空気を回収して、この空気を前記送風機の吸込み側へ戻す第二のダクト部を具備したことを特徴とする熱交換補助装置
【請求項2】
前記空気吐出部は、前記熱源機器の前記熱源側空気熱交換器の前記空気吸込み面に近接して、該空気吸込み面を覆うように形成されていることを特徴とする請求項1記載の熱交換補助装置。
【請求項3】
前記第二のダクト部により前記送風機の吸込み側へ戻される空気の量を調整する空気流量調整装置を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の熱交換補助装置。
【請求項4】
前記ラジエータに冷温水を循環させる冷温水循環経路を有し、この冷温水循環経路には、循環する冷温水を自然水と熱交換する水熱交換器と、循環する冷温水を一時貯溜してから流す一時貯溜タンクとが設けられていることを特徴とする請求項1~3何れか1項記載の熱交換補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、チラーや、冷凍機、ショーケース、空調機、給湯器等、冷凍サイクルを有する既設の熱源機器における熱源側空気熱交換器の熱交換を補助する熱交換補助装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
空冷式の室外機による冷暖房及び冷凍機等の運転は、常に外気温度に影響される。特に、夏場における冷房運転では、外気温度が高くなればなるほど、消費エネルギーが増え、逆に冬場における暖房運転では、外気温度が下がれば下がるほど、消費エネルギーが増えてしまう。また、雪国においては、空気熱交換器に雪が付着して凍結し、無駄なデフロスト運転が頻繁に起こり暖房運転が中断されてしまうという不具合も発生する。
そこで、室外機を水冷式に変えることも考えられるが、既設の設備が無駄になってしまう上、イニシャルコストが膨大にかかるので、現実的でない。
【0003】
このような問題を解決するために、例えば特許文献1に記載される発明では、冷凍サイクルを構成する空気調和機と、貯水槽に貯水した水を補助空気熱交換器に循環させるようにした補助装置とを備え、前記空気調和機の室外熱交換器に補助空気熱交換器を近接して、補助空気熱交換器により一度熱交換した後の空気を、室外熱交換器に通過させ再度熱交換して、外気温度の悪影響を受け難くし、冷凍サイクルの効率を向上しようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-78813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術によれば、空気調和機の室外熱交換器の近くに、補助空気熱交換器を配置する必要がある。このため、例えば、空気調和機が多数ある場合には、その空気調和機の室外熱交換器毎に、補助空気熱交換器を具備する必要がある。
また、例えば空冷チラーのように、3方の側面に横断面コ字状に曲げられた空気熱交換器(プレートフィンコイル)を有する場合には、この空気熱交換器に沿ってコ字状に補助空気熱交換器を配置する必要が生じ、構成が複雑でコスト高になってしまう。また、上記何れの態様においても、外気が補助空気交換器により抵抗を受けたり、補助空気熱交換器に当たった空気や通過した空気が横方向へ漏れたり等して、効率の低下が懸念される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題に鑑みて、本発明は、以下の構成を具備するものである。
送風機と、前記送風機から受ける空気を通過させて外部から供給される冷温水と熱交換するラジエータと、前記ラジエータを通過した空気を取り入れて流通させる第一のダクト部と、前記第一のダクト部の下流側に接続されて前記第一のダクト部内の空気を吐出する空気吐出部とを具備し、前記空気吐出部が、熱源機器の熱源側空気熱交換器の空気吸込み面へ空気を吹き付けるように設けられており、前記熱源機器の前記熱源側空気熱交換器から排出される空気を回収して、この空気を前記送風機の吸込み側へ戻す第二のダクト部を具備したことを特徴とする熱交換補助装置
【発明の効果】
【0007】
本発明は、以上説明したように構成されているので、簡素な構造により既設の熱源機器の熱源側空気熱交換器の熱交換を効率よく補助することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る熱交換補助装置の一例について、その要部を示す平面図であり、(a)は熱交換補助装置を熱源機器に装着する前の状態を示し、(b)は熱交換補助装置を熱源機器に装着した後の状態を示す。
図2】本発明に係る熱交換補助装置の一例について、要部を断面で示す概略構造図である。
図3】本発明に係る熱交換補助装置の他例について、要部を断面で示す概略構造図である。
図4】本発明に係る熱交換補助装置の他例について、要部を断面で示す概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施の形態では、以下の特徴を開示している。
第一の特徴は、送風機と、前記送風機から受ける空気を通過させて外部から供給される冷温水と熱交換するラジエータと、前記ラジエータを通過した空気を取り入れて流通させる第一のダクト部と、前記第一のダクト部の下流側に接続されて前記第一のダクト部内の空気を吐出する空気吐出部とを具備し、前記空気吐出部が、熱源機器の熱源側空気熱交換器の空気吸込み面へ空気を吹き付けるように設けられている(図1図4参照)。
【0010】
第二の特徴として、前記空気吐出部は、熱源機器の熱源側空気熱交換器の空気吸込み面に近接して、該空気吸込み面を覆うように形成されている(図1図4参照)。
【0011】
第三の特徴は、熱源機器の熱源側空気熱交換器から排出される空気を回収して、この空気を前記送風機の吸込み側へ戻す第二のダクト部を具備した(図3参照)。
【0012】
第四の特徴は、前記第二のダクト部により前記送風機の吸込み側へ戻される空気の量を調整する空気流量調整装置を設けた(図3参照)。
【0013】
第五の特徴は、前記ラジエータに冷温水を循環させる冷温水循環経路を有し、この冷温水循環経路には、循環する冷温水を自然水と熱交換する水熱交換器と、循環する冷温水を一時貯溜してから流す一時貯溜タンクとが設けられている(図2図4参照)。
【0014】
<第一の実施態様>
次に、上記特徴を有する第一の実施態様について、図面に基づいて詳細に説明する。
図1及び図2は、本発明に係る熱交換補助装置の一例を示す。
【0015】
この熱交換補助装置1は、送風機10と、送風機10から受ける空気を通過させて外部から供給される冷温水と熱交換するラジエータ20と、ラジエータ20を通過した空気を取り入れる集合管部30と、集合管部30の下流側に接続されて空気を流通させる第一のダクト部40と、第一のダクト部40の下流側に接続され第一のダクト部40から供給される空気を吐出する複数の空気吐出部50と、ラジエータ20に冷温水を循環させる冷温水循環経路60と、冷温水循環経路60と熱交換をする自然水循環経路70とを具備し、空気吐出部50によって熱源機器Aの熱源側空気熱交換器a1の空気吸込み面へ空気を吹き付けて、熱源側空気熱交換器a1による熱交換作用を補助する。
【0016】
ここで、当該熱交換補助装置1の熱交換補助の対象となる熱源機器は、例えば、チラーや、エアコン、冷凍機、給湯器等、冷凍サイクルを有する機器であればよい。この熱源機器は、ヒートポンプ式機器や、冷房専用機器、暖房専用機器とすることが可能である。
図1~3に例示する熱源機器Aは、ヒートポンプ式エアコンの室外機であり、空冷の熱源側空気熱交換器a1と、この熱源側空気熱交換器a1に空気を流通させるファンa2とを備える。
熱源側空気熱交換器a1は、図示例によれば、略矩形平板状のプレートフィンコイルを上から視て略L字型に曲げたものである。
【0017】
送風機10には、例えば、プロペラファンや、シロッコファン、ターボファン等を用いることが可能である。
【0018】
ラジエータ20は、適宜な隙間を置いて略平行に配設された多数の熱交換フィン21と、これら熱交換フィン21に蛇行状に挿通された通水管22とを備え、送風機10により送られて前記隙間を流通する空気と、通水管22を流れる液体(冷温水)との熱交換を行う。
【0019】
集合管部30は、ラジエータ20の送出側の空気を集めるように形成され、図示例によれば、送風機10及びラジエータ20の側方を覆う筒状部31と、該筒状部31の下流側に接続されて開口面積を縮小する縮小管部32とを備え、筒状部31の上流側の開口を吸込み口にしている。
【0020】
第一のダクト部40は、長尺な円筒状又は角筒状のたダクトである。この第一のダクト部40は、複数の熱源機器Aの設置状況に応じて、直管状ダクトや、エルボ状ダクトを適宜に接続して構成される。
この第一のダクト部40は、上流側が集合管部30に連通しており、最も下流側の端部が閉鎖されている。
【0021】
空気吐出部50は、第一のダクト部40の周壁面に分岐するようにして設けられる。詳細に説明すれば、この空気吐出部50は、第一のダクト部40からT字状に分岐された分岐管部51と、この分岐管部51の下流側に接続されたフード部52とを一体に備える。
【0022】
分岐管部51は、図示例によれば、短尺の直管であるが、長尺状の直管や、蛇腹管等、熱源機器Aの設置状況に応じて適宜な長さ及び形状の管体が用いられる。
【0023】
フード部52は、熱源機器Aの熱源側空気熱交換器a1の空気吸込み面に近接して、該空気吸込み面を覆うフード状に形成されている。
このフード部52は、分岐管部51から下流へ向けて拡大する拡大管(ディフューザー)状に形成されるとともに、その下流側端部が、熱源側空気熱交換器a1の交差する二つの吸込み面の略全部をL字状に覆う(図1図3参照)。
【0024】
集合管部30、第一のダクト部40及び空気吐出部50は、その外面側が、断熱材により断熱処理されている。この断熱材には、例えば、ウレタンフォームや、グラスウール、その他の周知の断熱材を用いることが可能である。
【0025】
また、冷温水循環経路60は、配管接続された循環流路中に、上述したラジエータ20の二次側の部分と、二次側の液(冷温水)を自然水循環経路70側の自然水と熱交換する水熱交換器61と、二次側を循環する液を一時貯溜してから流す一時貯溜タンク62と、冷温水を強制的に搬送するポンプ63とを備える(図2参照)。
【0026】
水熱交換器61は、一次側の自然水(例えば地下水等)と、二次側の液(例えば、防食不凍液や水等)とを、多数のプレートを介して熱交換するようにしたプレート式熱交換器である。
この水熱交換器61の一次側には、後述する自然水循環経路70を構成する配管が接続され、二次側には、冷温水循環経路60を構成する配管が接続される。
【0027】
一時貯溜タンク62は、側壁及び上下の壁部を有する中空密閉状のタンクであり、その上部側に水熱交換器61の下流側の配管を接続している。そして、この一時貯溜タンク62の下部側には吐出口が設けられ、この吐出口には、ポンプ63を介してラジエータ20の入口へ向かう配管が接続されている。
この一時貯溜タンク62は、供給される液を一時貯溜した後に一定量ずつ徐々に吐出するように、前記吐出口の管内径を、流入側の管内径よりも小さくしている。
なお、他例としては、一時貯溜タンク62内の貯水量が所定量以上になったことを水位センサにより感知し、この感知状態に応じて吐出口を電動バルブにより開放する態様や、一時貯溜タンク62内の貯水量が所定量以上になった場合にフロート弁により吐出口を開放する態様等とすることも可能である。
【0028】
自然水循環経路70は、配管接続された循環流路中に、上述したラジエータ20の一次側部分と、地中に埋め込まれた地下水往還装置71と、一次側の液を地表におて強制的に搬送するポンプ72とを具備している。なお、ポンプ72は、必要に応じて、地中の地下水往還装置71内に設けられた水中ポンプに置換してもよい。
【0029】
地下水往還装置71は、地下水脈から地下水を吸い上げて、この地下水を、水熱交換器61により熱交換した後に、地下水脈へ戻す装置である。この地下水往還装置71には、例えば、特開2006-9335号公報に開示された地中装置を用いることが可能である。
なお、他例としては、この地下水往還装置71を、河川水や湖水をポンプで汲み上げて水熱交換器61に流通させる構成や、雨水槽に貯水した雨水をポンプで汲み上げて水熱交換器61に流通させる構成等に置換することも可能である。
【0030】
次に、上記構成の熱交換補助装置1について、その特徴的な作用効果を詳細に説明する。
上記構成の熱交換補助装置1は、図1(a)(b)に示すように、複数の熱源機器Aに対し、複数の空気吐出部50を装着するようにして用いられる。
【0031】
前記装着状態において、冷温水循環経路60に冷温水を循環するとともに、自然水循環経路70に自然水を循環して、送風機10による送風を行えば、外気が、送風機10を介して集合管部30内へ侵入し、ラジエータ20によって熱交換される。そして、その熱交換後の空気は、第一のダクト部40内を通過して、各空気吐出部50から熱源機器Aの熱源側空気熱交換器a1に吹き付けられる。
このため、熱源機器A側においては、熱源側空気熱交換器a1を外気に直接触れるようにした場合と比較し、良好な空気熱交換を行うことができる。
【0032】
例えば、熱源機器A(ヒートポンプ式エアコンの室外機)が冷房運転をしているときに、地下水往還装置71によって温度15°C前後の地下水を汲み上げて自然水循環経路70に循環させ、この地下水の熱を自然水循環経路70及び冷温水循環経路60に伝達した場合、外気が前記地下水の温度よりも高ければ、その外気をラジエータ20によって冷却し、その冷風を、高温の各熱源側空気熱交換器a1に吹き付けることができるので、熱源機器Aの冷房効率を向上させることができる。
【0033】
熱源機器Aによって暖房運転をしているときに、地下水往還装置71によって温度15°C前後の地下水を汲み上げて自然水循環経路70に循環させ、この地下水の熱を自然水循環経路70及び冷温水循環経路60に伝達した場合、外気が地下水の温度よりも低ければ、その外気をラジエータ20によって加熱し、その温風を、低温の各熱源側空気熱交換器a1に吹き付けることができるので、熱源機器Aの暖房効率を向上させることができる。なお、地下水の温度は、一年中、ある程度一定に保たれることが知られている。
【0034】
また、熱交換補助装置1によれば、熱源側空気熱交換器a1の空気吸込み面を覆うようにして、空気吐出部50を配設している。このため、冬場に熱源機器Aを暖房運転した場合に、低温の熱源側空気熱交換器a1が直接冷気に曝されるのを防ぐことができ、ひいては、熱源側空気熱交換器a1に霜や雪が付着して無駄なデフロスト運転が頻繁に繰り返されるようなことを防ぐことができる。
【0035】
よって、本実施の形態の熱交換補助装置1によれば、従来技術のように複数の熱交換器に応じて複数の補助空気熱交換器を具備する必要がなく、簡素な構造により既設の熱源機器Aの熱源側空気熱交換器a1の熱交換を効率よく補助し、各熱源機器Aの運転効率を向上させることができる。
【0036】
<第二の実施態様>
次に、第二の実施態様について説明する。
なお、以下に示す実施態様は、上記した熱交換補助装置1に対し、構成を追加したり一部を変更したりしたものであるため、主に、その追加変更箇所について詳述し、共通する部分については重複する詳細説明を省略する。
【0037】
図3に示す熱交換補助装置2は、上述した熱交換補助装置1に対し、集合管部30を集合管部30’に置換し、熱源機器Aの熱源側空気熱交換器a1から排出される空気を回収する回収管110と、回収管110により回収した空気を送風機10の吸込み側へ戻す第二のダクト部120と、第二のダクト部120により送風機10の吸込み側へ戻される空気の量を調整する空気流量調整装置130とを追加したものである。
【0038】
集合管部30’は、上記集合管部30’に対し、吸込み部33と吸込み管34を追加したものである。
【0039】
吸込み部33は、送風機10の吸込み側を覆うとともに下流側へ向かって拡大する拡大管状に形成され、筒状部31に一体的に接続される。
吸込み管34は、吸込み部33の上流側に直管状に接続された管体であり、その上流側の吸込み口を開口している。
この吸込み管34内には、後述する空気流量調整装置130を構成する第一のダンパー装置131と外気温センサ134が設けられる。
【0040】
外気温センサ134は、例えば測温抵抗体等を用いた温度センサであり、第一のダンパー装置131よりも上流側で外気温を測定し、その外気温を示す電気信号を図示しない制御回路へ送る。
【0041】
なお、他例としては、吸込み部33と筒状部31の間に隙間を有する態様や、吸込み部33を省いて吸込み管34から吐出される空気が送風機10に吹き付けられる態様等とすることも可能である。
【0042】
回収管110は、熱源機器Aのファンa2の下流側を覆うとともに下流側へむかって縮小する縮小管部111と、この縮小管部111の下流側に接続されるとともに第二のダクト部120に対し合流するように接続される合流管部112とを一体に具備している。
図示例によれば、縮小管部111は空気吐出部50と別体に構成しているが、他例としては、縮小管部111を空気吐出部50と一体に構成することも可能である。
合流管部112は、図示例によれば直管状に形成しているが、例えば、蛇腹管やエルボ管等、現場状況に応じた態様とすることが可能である。
【0043】
第二のダクト部120は、複数の熱源機器Aの並び方向へわたる長尺状のダクト本体121と、ダクト本体121の下流側に接続されて送風機10の吸込み側へ向かう戻り管部122とを備え、連続する空気流路を形成する。
【0044】
ダクト本体121の最上流側(図3によれば右端側の図示しない部分)は、閉鎖されている。
ダクト本体121の最下流側は、後述する空気流量調整装置130を構成する第三のダンパー装置133を介して外気に連通している。
【0045】
戻り管部122は、ダクト本体121の下流側において、第三のダンパー装置133よりも上流側で周壁からT字状に分岐された管体である。この戻り管部122の下流側の端部は、吸込み管34の周壁に接続され、第二のダクト部120内の空気を吸込み管34内へ戻す流路を形成している。
この戻り管部122内には、戻り空気温センサ122aと、後述する第二のダンパー装置132とが設けられる。
【0046】
なお、ダクト本体121、戻り管部122、吸込み部33及び吸込み部33等は、第一のダクト部40等と同様にして断熱処理されている。
【0047】
戻り空気温センサ122aは、例えば測温抵抗体等を用いた温度センサであり、第二のダクト部120内の空気の温度を測定し、その温度に応じた電気信号を図示しない制御回路へ送る。
【0048】
空気流量調整装置130は、吸込み管34内における戻り管部122よりも上流側に設けられた第一のダンパー装置131と、戻り管部122内の戻り空気温センサ122aよりも下流側に設けられた第二のダンパー装置132と、ダクト本体121における戻り管部122の分岐箇所よりも下流端側に設けられた第三のダンパー装置133と、図示しない制御回路とを備え、前記制御回路によって、第一~第三のダンパー装置131,132,133を適宜に制御する。
【0049】
第一~第三のダンパー装置131,132,133の各々は、管内で回転するように支持された流量調整板pと、流量調整板pを回転させる電動モータ(図示せず)とを具備してなる。流量調整板pは、管内に空気流通させる位置(例えば、管の中心軸に略平行する位置)と、管内の空気の流れを遮る位置(例えば、管の中心軸に略直交する位置)との間で略90度回転する。前記電動モータは、例えばステッピングモータやサーボモータ等からなり、前記制御回路からの指令により、前記流量調整板pの回転角度を調整する。
【0050】
次に、上記構成の熱交換補助装置2について、その特徴的な作用効果を詳細に説明する。
熱交換補助装置2によれば、上述した熱交換補助装置1と同様にして、地下水の熱を利用して、各熱源機器Aの運転効率を向上させることができる。
その上、熱交換補助装置2では、第二のダクト部120によって各熱源機器Aの排熱を再利用することがでいる。
【0051】
詳細に説明すれば、空気流量調整装置130の制御により、第一のダンパー装置131を全閉、第二のダンパー装置132を全開、第三のダンパー装置133を全閉にした場合は、第一のダクト部40及び第二のダクト部120内に空気の循環経路が形成される(以降、循環モードと称する。)。
また、空気流量調整装置130の制御により、第一のダンパー装置131を全開、第二のダンパー装置132を全閉、第三のダンパー装置133を全開にした場合は、吸込み管34に吸い込まれる外気が、各熱源機器Aを通過した後、吸込み管34側へ戻されることなく、第三のダンパー装置133から外部へ排出される(以降、開放モードと称する。)。
【0052】
図示しない制御回路は、熱源機器Aの冷房運転中、当初、空気流量調整装置130を前記循環モードとし、外気温センサ134の温度と、戻り空気温センサ122aの温度を比較する。
そして、前記制御回路は、戻り空気温センサ122aの温度が、外気温センサ134の温度よりも低い場合、前記循環モードを継続する。また、戻り空気温センサ122aの温度が、外気温センサ134の温度よりも高くなった場合には、空気流量調整装置130を前記開放モードにし、温度の比較的低い外気を積極的に取り入れる。
【0053】
また、熱源機器Aを暖房運転した場合は、前記循環モード中、戻り空気温センサ122aの温度が、外気温センサ134の温度よりも低くなった場合に、空気流量調整装置130を前記開放モードに切り替え、温度の比較的高い外気を積極的に取り入れる。
【0054】
よって、熱交換補助装置2によれば、各熱源機器Aの排熱を再利用して、各熱源機器Aの運転効率を効果的に向上させることができ、排熱の放出が少ないので周囲環境への悪影響も少ない。
【0055】
なお、熱交換補助装置2によれば、第一~第三のダンパー装置131,132,133を全閉又は全開するようにしたが、他例としては、第一~第三のダンパー装置131,132,133の開放量をそれぞれ適宜に調整することも可能である。
【0056】
<第三の実施態様>
図4に示す熱交換補助装置3は、上述した熱交換補助装置1に対し、熱交換補助の対象である熱源機器Aを熱源機器Bに置換し、これに応じて、空気吐出部50を、形状の異なる空気吐出部50’に変更したものである。
【0057】
熱源機器Bは、上面視略コ字状の熱源側空気熱交換器b1に対し三つの側面から吸込んだ空気を、天側のファンb2によって上方へ排出するようにした空冷ヒートポンプチラーである。
【0058】
空気吐出部50’は、分岐管部51の下流側に、熱源側空気熱交換器b1の3側面を囲むフード部53を接続してなる。
フード部53は、熱源側空気熱交換器b1の三つの空気吸込み面を全て覆うとともに、熱源側空気熱交換器b1の上方側を天板55により覆うように形成される。天板55には、ファンb2の排気孔54が設けられる。
【0059】
よって、上記構成の熱交換補助装置3によれば、上述した熱交換補助装置1と同様にして、地下水の熱を利用して、各熱源機器Aの運転効率を向上させることができる。
【0060】
なお、空気吐出部50’(図4参照)の他例としては、天板55を省いて、上方を略全て開放した態様とすることも可能である。
また、空気吐出部50’は、図示例によれば、熱源機器Aの三方の側面を覆うように形成したが、この空気吐出部50’の他例としては、熱源機器Aの四方の側面を覆うように形成することも可能である。
【0061】
また、上述した熱交換補助装置1,2,3において、第一のダクト部40及び/又は第二のダクト部120内の適宜箇所に、軸流ファンを設けて、ダクト内の空気の流動を補助するようにしてもよい。
【0062】
また、上記実施態様では、熱源機器A,Bをヒートポンプ式機器としているが、他例としては、これら熱源機器を冷房専用機器や暖房専用機器、冷凍サイクルを有する給湯器等とすることも可能である。
【0063】
また、上記実施態様では、同種類の複数の熱源機器A又はBに対応して、熱交換補助装置1,2又は3を構成したが、他例としては、異なる種類の複数の熱源機器に対応して熱交換補助装置を構成することも可能である。
【0064】
また、本発明は上述した実施態様に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
なお、本明細書の実施例に記載された態様をまとめると次のようになる。
送風機と、前記送風機から受ける空気を通過させて外部から供給される冷温水と熱交換するラジエータと、前記ラジエータを通過した空気を取り入れて流通させる第一のダクト部と、前記第一のダクト部の下流側に接続されて前記第一のダクト部内の空気を吐出する空気吐出部とを具備し、前記空気吐出部が、熱源機器の熱源側空気熱交換器の空気吸込み面へ空気を吹き付けるように設けられていることを特徴とする熱交換補助装置。
また、前記空気吐出部は、前記熱源機器の前記熱源側空気熱交換器の前記空気吸込み面に近接して、該空気吸込み面を覆うように形成されていることを特徴とする熱交換補助装置としてもよい。
また、前記熱源機器の前記熱源側空気熱交換器から排出される空気を回収して、この空気を前記送風機の吸込み側へ戻す第二のダクト部を具備する熱交換補助装置としてもよい。
前記第二のダクト部により前記送風機の吸込み側へ戻される空気の量を調整する空気流量調整装置を設けた熱交換補助装置としてもよい。
前記ラジエータに冷温水を循環させる冷温水循環経路を有し、この冷温水循環経路には、循環する冷温水を自然水と熱交換する水熱交換器と、循環する冷温水を一時貯溜してから流す一時貯溜タンクとが設けられている熱交換補助装置としてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1,2,3:熱交換補助装置
10:送風機
20:ラジエータ
30:集合管部
40:第一のダクト部
50:空気吐出部
60:冷温水循環経路
61:水熱交換器
62:一時貯溜タンク
63,72:ポンプ
70:自然水循環経路
71:地下水往還装置
120:第二のダクト部
122a:戻り空気温センサ
130:空気流量調整装置
131,132,133:第一~第三のダンパー装置
134:外気温センサ
A,B:熱源機器
a1,b1:熱源側空気熱交換器
a2,b2:ファン
図1
図2
図3
図4