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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-22
(45)【発行日】2022-08-01
(54)【発明の名称】トリガースプレイヤー
(51)【国際特許分類】
   B05B 11/00 20060101AFI20220725BHJP
   B65D 47/34 20060101ALI20220725BHJP
【FI】
B05B11/00 102E
B05B11/00 102G
B65D47/34 100
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020219863
(22)【出願日】2020-12-29
(65)【公開番号】P2022104727
(43)【公開日】2022-07-11
【審査請求日】2022-02-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390028196
【氏名又は名称】キャニヨン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103805
【弁理士】
【氏名又は名称】白崎 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100126516
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 綽勝
(74)【代理人】
【識別番号】100132104
【弁理士】
【氏名又は名称】勝木 俊晴
(74)【代理人】
【識別番号】100211753
【弁理士】
【氏名又は名称】岡崎 紳吾
(72)【発明者】
【氏名】赤築 充昭
【審査官】市村 脩平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0319244(US,A1)
【文献】特開2018-069186(JP,A)
【文献】特開2007-289840(JP,A)
【文献】特開2016-026862(JP,A)
【文献】特開2013-057311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B11/00-11/06
B65D35/44-35/54
39/00-55/16
83/00
83/08-83/76
F04B9/00-15/08
F16K31/12-31/165
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内の液を吸い上げて噴出するためのトリガースプレイヤーにおいて、
前記液が流通する第1流路、該第1流路に連通され前記液を貯留可能なメインシリンダ部、該メインシリンダ部に連通された第2流路、該第2流路に連通されたサブシリンダ部、該サブシリンダ部に連通された第3流路、及び、前記第3流路の先端に設けられたノズル部、を有するベース体と、
前記メインシリンダ部の内壁に沿って摺動可能なピストン部と、
該ピストン部に連結され該ピストン部をスライドさせるためのトリガーと、
前記第1流路及び前記メインシリンダ部の間、並びに、前記メインシリンダ部及び前記第2流路の間、を前記メインシリンダ部内の圧力に応じて開閉する第1バルブと、
前記第2流路及び前記サブシリンダ部の間、並びに、前記サブシリンダ部及び前記第3流路の間、を流通する前記液の圧力に応じて開閉する第2バルブと、
を備え、
前記第2バルブが、
前記該サブシリンダ部の内壁に沿って摺動可能な第2バルブピストン部と、
該第2バルブピストン部を付勢するための逆ドーム状のドームスプリング部と、
を有し、
前記ドームスプリング部が弾性変形するものであり、
前記ドームスプリング部の径が、前記第2バルブピストン部の径よりも大きいトリガースプレイヤー。
【請求項2】
容器内の液を吸い上げて噴出するためのトリガースプレイヤーにおいて、
前記液が流通する第1流路、該第1流路に連通され前記液を貯留可能なメインシリンダ部、該メインシリンダ部に連通された第2流路、該第2流路に連通されたサブシリンダ部、該サブシリンダ部に連通された第3流路、及び、前記第3流路の先端に設けられたノズル部、を有するベース体と、
前記メインシリンダ部の内壁に沿って摺動可能なピストン部と、
該ピストン部に連結され該ピストン部をスライドさせるためのトリガーと、
前記第1流路及び前記メインシリンダ部の間、並びに、前記メインシリンダ部及び前記第2流路の間、を前記メインシリンダ部内の圧力に応じて開閉する第1バルブと、
前記第2流路及び前記サブシリンダ部の間、並びに、前記サブシリンダ部及び前記第3流路の間、を流通する前記液の圧力に応じて開閉する第2バルブと、
を備え、
前記第2バルブが、
前記該サブシリンダ部の内壁に沿って摺動可能な第2バルブピストン部と、
該第2バルブピストン部を付勢するための逆ドーム状のドームスプリング部と、
を有し、
前記ドームスプリング部が弾性変形するものであり、
前記第2バルブピストン部が、前記サブシリンダ部の内壁に当接される外スカート部と、該外スカート部よりも下方で前記サブシリンダ部の内壁に当接される内スカート部とを有し、
前記外スカート部の径と、前記内スカート部の径とが同じであり、
前記第2バルブピストン部が摺動することにより、前記サブシリンダ部の内壁と、前記内スカート部との間に隙間が生じ、該隙間を介して、前記液が前記第2流路から前記第3流路に流通するトリガースプレイヤー。
【請求項3】
容器内の液を吸い上げて噴出するためのトリガースプレイヤーにおいて、
前記液が流通する第1流路、該第1流路に連通され前記液を貯留可能なメインシリンダ部、該メインシリンダ部に連通された第2流路、該第2流路に連通されたサブシリンダ部、該サブシリンダ部に連通された第3流路、及び、前記第3流路の先端に設けられたノズル部、を有するベース体と、
前記メインシリンダ部の内壁に沿って摺動可能なピストン部と、
該ピストン部に連結され該ピストン部をスライドさせるためのトリガーと、
前記第1流路及び前記メインシリンダ部の間、並びに、前記メインシリンダ部及び前記第2流路の間、を前記メインシリンダ部内の圧力に応じて開閉する第1バルブと、
前記第2流路及び前記サブシリンダ部の間、並びに、前記サブシリンダ部及び前記第3流路の間、を流通する前記液の圧力に応じて開閉する第2バルブと、
を備え、
前記第2バルブが、
前記該サブシリンダ部の内壁に沿って摺動可能な第2バルブピストン部と、
該第2バルブピストン部を付勢するための逆ドーム状のドームスプリング部と、
を有し、
前記ドームスプリング部が弾性変形するものであり、
少なくとも、前記第2流路、前記サブシリンダ部及び前記第3流路を覆うように前記ベース体に取り付けられたカバー体を更に備え、
前記カバー体に、前記ドームスプリング部が当接される支持壁面が設けられているトリガースプレイヤー。
【請求項4】
容器内の液を吸い上げて噴出するためのトリガースプレイヤーにおいて、
前記液が流通する第1流路、該第1流路に連通され前記液を貯留可能なメインシリンダ部、該メインシリンダ部に連通された第2流路、該第2流路に連通されたサブシリンダ部、該サブシリンダ部に連通された第3流路、及び、前記第3流路の先端に設けられたノズル部、を有するベース体と、
前記メインシリンダ部の内壁に沿って摺動可能なピストン部と、
該ピストン部に連結され該ピストン部をスライドさせるためのトリガーと、
前記第1流路及び前記メインシリンダ部の間、並びに、前記メインシリンダ部及び前記第2流路の間、を前記メインシリンダ部内の圧力に応じて開閉する第1バルブと、
前記第2流路及び前記サブシリンダ部の間、並びに、前記サブシリンダ部及び前記第3流路の間、を流通する前記液の圧力に応じて開閉する第2バルブと、
を備え、
前記第2バルブが、
前記該サブシリンダ部の内壁に沿って摺動可能な第2バルブピストン部と、
該第2バルブピストン部を付勢するための逆ドーム状のドームスプリング部と、
を有し、
前記ドームスプリング部が弾性変形するものであり、
前記サブシリンダ部の内壁には長溝部が設けられており、
前記第2バルブが開くと、前記液が、前記第2流路から前記長溝部を介して前記第3流路を流通するトリガースプレイヤー。
【請求項5】
前記長溝部が、縦長であり、一定の間隔をおいて周方向に複数設けられている請求項記載のトリガースプレイヤー。
【請求項6】
前記第2バルブが前記メインシリンダ部よりも上方に配置されている請求項1~5のいずれか1項に記載のトリガースプレイヤー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリガースプレイヤーに関し、更に詳しくは、トリガーの操作により、液を噴出させる、若しくは、液の噴出を停止させるトリガースプレイヤーに関する。
【背景技術】
【0002】
トリガーを操作することにより、容器に収容された液を吸い上げ、一定量の液を貯留し、それを連続して噴出させる、いわゆる蓄圧式のトリガースプレイヤーが知られている。
かかるトリガースプレイヤーは、一般に、貯留された液が容器内に逆流することを防ぐための弁(以下「第1バルブ」ともいう。)と、噴出後に、残存する液が逆流することを防ぐための弁(以下「第2バルブ」ともいう。)とを有している。
【0003】
具体例としては、例えば、スプレイ液を含む可撓性のコンテナを有するボデイ、このボデイ中のシリンダ、シリンダ中の可動ピストン、並びにこのボデイ中に設けた回転可能なトリガー式動作レバ-より構成されたスプレイヤーが知られている(例えば、特許文献1参照)。
かかるスプレイヤーにおいては、バルブピストン(第2バルブ)は、コイル状のスプリングにより上下移動するようになっている。
また、容器の口に取り付けられ、液体が噴霧されるノズルを備え、ポンプ室が形成さている本体と、本体とプランジャーのステムに取り付けられポンプ室内を密閉してスライドするトリガーレバーと、トリガーレバーの作動により、容器からの液体の吸引を制御する一方向弁とを有するスプレイヤーが知られている(例えば、特許文献2参照)。かかるスプレイヤーにおいては、第1セクションのピストン(第2バルブ)が板バネ状のスプリングにより閉塞状態となるように保持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】欧州特許出願公開第0798050号明細書
【文献】国際公開第2013/079418号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、トリガースプレイヤーにおいては、トリガーの操作に対して応答良く液を噴出させること(以下「噴出応答性」という。)、及び、一定の量をムラ無く連続して噴出させること(以下「噴出安定性」という。)の向上が従来からの大きな課題となっている。
このため、上記特許文献1記載のコイル状のスプリングや上記特許文献2記載の板バネ状のスプリングのように、様々なタイプの第2バルブが開発されているが、噴出応答性及び噴出安定性を十分に満足させるものは得られていない。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、噴出応答性及び噴出安定性に優れるトリガースプレイヤーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、第2バルブとして、第2バルブピストン部と、弾性変形する逆ドーム状のドームスプリング部とを有するものを採用することにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明のトリガースプレイヤー、容器内の液を吸い上げて噴出するためのトリガースプレイヤーにおいて、液が流通する第1流路、該第1流路に連通され液を貯留可能なメインシリンダ部、該メインシリンダ部に連通された第2流路、該第2流路に連通されたサブシリンダ部、該サブシリンダ部に連通された第3流路、及び、第3流路の先端に設けられたノズル部、を有
するベース体と、メインシリンダ部の内壁に沿って摺動可能なピストン部と、該ピストン部に連結され該ピストン部をスライドさせるためのトリガーと、第1流路及びメインシリンダ部の間、並びに、メインシリンダ部及び第2流路の間、をメインシリンダ部内の圧力に応じて開閉する第1バルブと、第2流路及びサブシリンダ部の間、並びに、サブシリンダ部及び第3流路の間、を流通する液の圧力に応じて開閉する第2バルブと、を備え、第2バルブが、該サブシリンダ部の内壁に沿って摺動可能な第2バルブピストン部と、該第2バルブピストン部を付勢するための逆ドーム状のドームスプリング部と、を有し、ドームスプリング部が弾性変形するものである。
【0009】
本発明のトリガースプレイヤー、第2バルブがメインシリンダ部よりも上方に配置されていることが好ましい
【0010】
本発明のトリガースプレイヤー、ドームスプリング部の径が、第2バルブピストン部の径よりも大きいことが好ましい
【0011】
本発明のトリガースプレイヤー、第2バルブピストン部が、サブシリンダ部の内壁に当接される外スカート部と、該外スカート部よりも下方でサブシリンダ部の内壁に当接される内スカート部とを有し、外スカート部の径と、内スカート部の径とが同じであり、第2バルブピストン部が摺動することにより、サブシリンダ部の内壁と、内スカート部との間に隙間が生じ、該隙間を介して、液が第2流路から第3流路に流通することが好ましい
【0012】
本発明のトリガースプレイヤー、少なくとも、第2流路、サブシリンダ部及び第3流路を覆うようにベース体に取り付けられたカバー体を更に備え、カバー体に、ドームスプリング部が当接される支持壁面が設けられていることが好ましい
【0013】
本発明のトリガースプレイヤーは、サブシリンダ部の内壁には長溝部が設けられており、第2バルブが開くと、液が、第2流路から長溝部を介して第3流路を流通することが好ましい
【0014】
本発明のトリガースプレイヤー、長溝部が、縦長であり、一定の間隔をおいて周方向に複数設けられていることが好ましい
【発明の効果】
【0015】
本発明のトリガースプレイヤーにおいては、第2バルブのドームスプリング部が弾性変形するものであるので、当該ドームスプリング部の伸縮により、第2バルブピストン部が上下移動することになる。
このとき、ドームスプリング部が逆ドーム状となっているので、伸縮の際には、ドームスプリング部の周方向に均一な力が働くことになる。
これにより、トリガースプレイヤーにおいては、第2バルブピストン部を均等に上下移動させることが可能となる。
その結果、液の流量にムラが生じ難くなり、噴出安定性が向上する。
また、第2バルブピストン部がスムーズに上下移動することになるので、噴出応答性にも優れるものとなる。
【0016】
本発明のトリガースプレイヤーにおいては、第2バルブをメインシリンダ部よりも上方に配置することが好ましい。
この場合、第2バルブが邪魔にならないため、メインシリンダ部の横方向の長さを極力長くすることができる。
そうすると、メインシリンダ部の径を小さくすることができることから、トリガーを引くために要する力を弱めることができる。
その結果、非力な幼児やお年寄りであっても、トリガーを容易に引くことが可能となる。
【0017】
本発明のトリガースプレイヤーにおいては、ドームスプリング部の径が、第2バルブピストン部の径よりも大きいことが好ましい。
この場合、第2バルブピストン部の上下移動が安定すると共に、よりスムーズとなるので、噴出応答性がより優れるものとなる。
また、第2バルブの伸縮に要する上下方向のスペースを極力小さくすることができる。
【0018】
本発明のトリガースプレイヤーにおいては、第2バルブピストン部がサブシリンダ部の内壁に当接された外スカート部及び内スカート部を有するので、サブシリンダ部内は、第2バルブピストン部により、2重にシールされた状態となる。
そして、第2バルブピストン部が、サブシリンダ部の内壁に沿って上方に摺動すると、外スカート部がシールした状態を維持しつつ、サブシリンダ部の内壁と内スカート部との間に生じた隙間を液が流通するようになっているので、液を速やかに流通させることができる。
また、外スカート部の径と、内スカート部の径とが同じであるので、第2バルブピストン部が上下移動したとしても、外スカート部と内スカート部とサブシリンダ部とに囲まれた空隙部の容積は変化しない。
これにより、液の噴出後に、ノズル部から液だれが生じることを防止することができる。
【0019】
本発明のトリガースプレイヤーにおいては、カバー体を備えることにより、ベース体が汚れることを防止することができる。
また、カバー体に、ドームスプリング部が当接される支持壁面を設けることにより、支持壁面を別途設ける必要がなくなるため、トリガースプレイヤーの構造をシンプル且つコンパクトにすることができる。
【0020】
本発明のトリガースプレイヤーにおいては、サブシリンダ部の内壁に長溝部を設けることにより、十分な量の液を流通させることが可能となる。
すなわち、液を、第2流路からサブシリンダ部内を介して第3流路に流通させるだけでなく、第2流路から長溝部を介して第3流路に流通させることができる。
なお、かかる長溝部は、縦長であり、一定の間隔をおいて周方向に複数設けられていることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本実施形態に係るトリガースプレイヤーを容器に取り付けた状態を示す斜視図である。
図2図2は、本実施形態に係るトリガースプレイヤーを示す側面断面図である。
図3図3は、本実施形態に係るトリガースプレイヤーのサブシリンダ部を縦方向に切断した場合の内部を示す斜視図である。
図4図4は、本実施形態に係るトリガースプレイヤーの第2バルブを示す側面図である。
図5(a)】図5(a)は、本実施形態に係るトリガースプレイヤーのトリガーを後方に回動させている途中の状態を示す側面断面図である。
図5(b)】図5(b)は、図5(a)に示す状態から、トリガーを後方に回動させ終わり、且つ、液の噴出が終わった状態を示す側面断面図である。
図5(c)】図5(c)は、図5(b)に示す状態から、トリガーを前方に回動させている途中の状態を示す側面断面図である。
図6図6は、本実施形態に係るトリガースプレイヤーにおいて、第2バルブが押し上げられた状態を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0023】
図1は、本実施形態に係るトリガースプレイヤーを容器に取り付けた状態を示す斜視図である。
図1に示すように、トリガースプレイヤー100は、液が貯留された容器Bに取り付けて用いられる。
そして、トリガー30を操作することにより、液を所定方向に所定量噴出することができる。
なお、容器Bの形状や材質は、特に限定されず、公知のものを適宜採用することができる。
また、液は、噴出可能であれば特に限定されず、公知のものを適宜採用することができる。
【0024】
図2は、本実施形態に係るトリガースプレイヤーを示す側面断面図である。
図2に示すように、トリガースプレイヤー100は、ベース体10と、ベース体10のメインシリンダ部2に取り付けられたピストン部20と、当該ピストン部20に連結され、且つ、ベース体10に枢着されたトリガー30と、ベース体10に内蔵され液の流通をコントロールするための第1バルブV1及び第2バルブV2と、ベース体10を覆うためのカバー体50と、ベース体10のノズル部4に取り付けられたノズルキャップ40と、ベース体10を容器に取り付けるためのキャップ60と、ベース体10の第1流路1aに連通するように取り付けられたチューブ70とを有する。
すなわち、トリガースプレイヤー100は、ベース体10と、ベース体10に取り付けられた、ピストン部20、トリガー30、第1バルブV1、第2バルブV2、カバー体50、ノズルキャップ40、キャップ60及びチューブ70とからなる。
【0025】
トリガースプレイヤー100においては、トリガー30を回動させることにより、容器B内の液が、チューブ70を介してベース体10に吸い上げられ、ベース体10内を流通し、ベース体10のノズル部4からノズルキャップ40を介して噴出されるようになっている。
なお、ベース体10における液の流通経路の詳細については後述する。
【0026】
ベース体10は、側面視で逆L字状となっている。なお、本明細書においては、トリガースプレイヤー100のノズル部4側を「前」、その反対側を「後」としている。
ベース体10においては、上下方向に延びる部分において、液が流通する第1流路1aと、該第1流路1aに連通され液を貯留可能なメインシリンダ部2と、当該メインシリンダ部2に連通された第2流路1bとが設けられており、前後方向に延びる部分において、第2流路1bに連通されたサブシリンダ部3と、該サブシリンダ部3に連通された第3流路1cと、第3流路1cの先端に設けられたノズル部4とが設けられている。
【0027】
ベース体10において、その下端には、チューブ70が取り付けられている。
第1流路1aは、上下方向に延びており、その下端部が、互いの内部が連通するように、チューブ70と接している。
また、第1流路1aは、その上端部近傍の側壁に第1流通孔1a1が設けられており、当該第1流通孔1a1を介して、第1流路1aの内部とメインシリンダ部2の内部(以下「シリンダ内空間A」ともいう。)とが連通している。
【0028】
第2流路1bは、上下方向に延びており、その上端部が、互いの内部が連通するように、サブシリンダ部3に連結されている。
また、第2流路1bは、その下端部近傍の側壁に第2流通孔1b1が設けられており、当該第2流通孔1b1を介して、第2流路1bの内部とシリンダ内空間Aとが連通している。
なお、第1流通孔1a1が設けられた側壁、及び、第2流通孔1b1が設けられた側壁は、メインシリンダ部2の底壁2a(図2でいうメインシリンダ部2の右側の壁)に相当する。
したがって、トリガースプレイヤー100においては、第1流路1a及び第2流路1bは、共に上下方向に延びており、メインシリンダ部2を介して、内部が連通されている。
【0029】
メインシリンダ部2は、横向きの円筒状となっている。
また、メインシリンダ部2は、その底壁2aに接するように、第1バルブV1が取り付けられている。
第1バルブV1は、いわゆる逆止弁であり、シリンダ内空間Aと第1流通孔1a1との接続部分を開閉する弁体12を有している。
なお、第1バルブV1が取り付けられる底壁2aの第1流通孔1a1周縁が、弁体12に対する弁座の役割を担っている。
【0030】
トリガースプレイヤー100においては、メインシリンダ部2に、ピストン部20が取り付けられている。
すなわち、シリンダ内空間Aは、ピストン部20により、密閉された状態となっている。
また、ピストン部20は、その一端が弓状のトリガー30の中腹部に枢着されており、トリガー30は、その上端が、ベース体10の第3流路1cの下側に枢着されている。
ベース体10に対してトリガー30を後方に引くようにして回動させると、ピストン部20がそれに連動して、メインシリンダ部2の内壁に沿って、メインシリンダ部2の長さ方向(前後方向)に摺動する。
これにより、シリンダ内空間Aの圧力が変動することになる。
なお、トリガー30を、後方に引いた状態から解放すると、トリガー30に取り付けられたバネ80により、トリガー30は、元の位置に戻るように回動する。
【0031】
第3流路1cは、前後方向に延びており、その後端部が、互いの内部が連通するように、サブシリンダ部3に連結されている。
また、第3流路1cは、その前端部が、互いの内部が連通するように、ノズル部4に連結されている。
【0032】
サブシリンダ部3は、縦向きの円筒状となっている。
図3は、本実施形態に係るトリガースプレイヤーのサブシリンダ部を縦方向に切断した場合の内部を示す斜視図である。
図3に示すように、サブシリンダ部3は、その内壁3aに、縦長状に凹んだ長溝部3bが設けられている。
かかる長溝部3bは、サブシリンダ部3の内壁3aの周方向に等間隔で複数設けられている。
【0033】
トリガースプレイヤー100においては、サブシリンダ部3の内壁3aに長溝部3bを設けることにより、内部の容積が大きくなっている。
また、長溝部3bは、等間隔で複数設けられているので、長溝部3b同士の間のサブシリンダ部3の内壁3aには第2バルブV2が当接可能となっているものの、当該長溝部3bの底部分には、第2バルブV2は当接不能となっている。
また、長溝部3bの第3流路1cに対応する位置には、貫通孔3cが設けられている。これにより、長溝部3bを流通する液は、貫通孔3cを介して、第3流路1cを流通することになる。
【0034】
図2に戻り、サブシリンダ部3は、その内部に、第2バルブV2が配置されている。
ここで、トリガースプレイヤー100において、第2バルブV2は、メインシリンダ部2よりも上方に配置される。
すなわち、サブシリンダ部3は、メインシリンダ部2よりも上方に形成されることになる。
これにより、メインシリンダ部2の横方向の長さを長くすることができるので、容積を変えず、メインシリンダ部2の径を小さすることができる。
その結果、トリガーを引くために要する力を弱めることができる。
【0035】
図4は、本実施形態に係るトリガースプレイヤーの第2バルブを示す側面図である。
図4に示すように、第2バルブV2は、サブシリンダ部3の内壁3aに沿って摺動可能な第2バルブピストン部11aと、該第2バルブピストン部11aを下方に付勢するためのドームスプリング部11bと、を有する。
【0036】
ドームスプリング部11bは、第2バルブピストン部11aの芯棒部11a3に連結された逆ドーム状となっている。
ドームスプリング部11bは、弾性変形するものである。このため、少なくともドームスプリング部11bは、樹脂等の弾性変形する素材で製造される。
第2バルブV2においては、ドームスプリング部11bの弾性変形に基づいて、第2バルブピストン部11aが上下移動する。
【0037】
第2バルブピストン部11aは、芯棒部11a3と、芯棒部11a3に連結され芯棒部11a3の周囲に設けられた鐘状の内スカート部11a2と、芯棒部11a3に連結され内スカート部11a2の周囲に設けられた鐘状の外スカート部11a1とを有する。なお、芯棒部11a3と内スカート部11a2との間、及び、内スカート部11a2と外スカート部11a1との間、には空隙部が設けられており、該空隙部には液が収容可能となっている。
ここで、外スカート部11a1の最大径R1と、内スカート部11a2の最大径R2とは、同じになっている。
このため、第2バルブV2は、サブシリンダ部3に取り付けられると、外スカート部11a1及び内スカート部11a2の両方が同時にサブシリンダ部3の内壁に当接されることになる。
また、外スカート部11a1の径と、内スカート部11a2の径とが同じであるので、第2バルブピストン部11aが上下移動したとしても、外スカート部11a1と内スカート部11a2とサブシリンダ部3とに囲まれた空隙部の容積は変化しない。
これにより、液の噴出後に、ノズル部4から液だれが生じることを防止することができる。
【0038】
トリガースプレイヤー100において、上述したように、ドームスプリング部11bは、逆ドーム状となっている。
このため、上述した弾性変形の際には、ドームスプリング部11bの周方向に均一な力が働くことになる。
これにより、トリガースプレイヤー100においては、第2バルブピストン部11aを偏りなく均等に上下移動させることが可能となる。
その結果、液の流量にムラが生じ難くなり、噴出安定性がより向上する。
また、第2バルブピストン部11aがスムーズに上下移動することになるので、噴出応答性にも優れるものとなる。
【0039】
ドームスプリング部11bの最大径R3は、第2バルブピストン部11aの内スカート部及び外スカート部の径(R1,R2)よりも大きく、1.5倍以上の大きさであることが好ましい。
この場合、第2バルブピストン部11aの上下移動が安定すると共に、弾性変形がよりスムーズとなるので、噴出応答性がより優れるものとなる。
また、第2バルブV2の伸縮に要する上下方向のスペースを極力小さくすることができる。
【0040】
図2に戻り、ノズル部4は、上述したように、第3流路1cの前端部に設けられており、第3流路1cを通過する液が噴出される部位である。
トリガースプレイヤー100において、ノズル部4には、当該ノズル部4を保護するため、若しくは、別の機能を付与するためのノズルキャップ40が取り付けられる。なお、ノズルキャップ40の機能としては、特に限定されず、回転によりON/OFFを切り替えるものや、液を泡状や霧状にするもの等が挙げられる。
【0041】
カバー体50は、ベース体10を保護するように当該ベース体10に覆うように取り付けられる。
これにより、少なくとも、ベース体10が汚れることを防止することができる。
また、カバー体50のサブシリンダ部3の上方に相当する位置には、ドームスプリング部11bが当接される支持壁面5が設けられている。
これにより、ドームスプリング部11bは、支持壁面5に当接された上端を基点として、伸縮することになる。
このように、トリガースプレイヤー100においては、カバー体50を利用して支持壁面5を設けることにより、ベース体10に支持壁面5を別途設ける必要がなくなるため、ベース体10の上下方向の長さを極力短くすることができる。
【0042】
トリガースプレイヤー100において、ベース体10の下端には、キャップ60が取り付けられている。かかるキャップ60は、容器Bの口部に螺合可能となっている。
このため、トリガースプレイヤー100は、キャップ60を、容器Bの口部に螺合することにより当該容器Bに取り付けられる。
なお、ベース体10は、キャップ60に対し、自由に回転することが可能となっている。
また、キャップ60を容器Bの口部に取り付ける際に、ベース体10の下端に形成された鍔部10aを、キャップ60と容器Bの口部との間で挟むことにより、ベース体10が容器Bに固定されるようになっている。
【0043】
図5(a)は、本実施形態に係るトリガースプレイヤーのトリガーを後方に回動させている途中の状態を示す側面断面図であり、図5(b)は、図5(a)に示す状態から、トリガーを後方に回動させ終わり、且つ、液の噴出が終わった状態を示す側面断面図であり、図5(c)は、図5(b)に示す状態から、トリガーを前方に回動させている途中の状態を示す側面断面図である。
図5(a)に示すように、トリガースプレイヤー100においては、トリガー30を後方に回動させると、ピストン部20が後方に移動することにより、メインシリンダ部2のシリンダ内空間Aに貯留された液(若しくは初期状態においては空気)が、当該ピストン部20により加圧された状態となる。
なお、第1バルブV1は閉じた状態が維持される。
そうすると、シリンダ内空間Aの液(若しくは初期状態においては空気)は、第2流通孔1b1を介して、第2流路1bに流入する。
そして、第2流路1bに流入した液(若しくは初期状態においては空気)は、サブシリンダ部3に流入し、第2バルブV2を押し上げる。
【0044】
図6は、本実施形態に係るトリガースプレイヤーにおいて、第2バルブが押し上げられた状態を説明するための説明図である。
図6に示すように、第2バルブV2においては、第2バルブピストン部11aがサブシリンダ部3の内壁3aに沿って上方に摺動することにより、外スカート部11a1がシールした状態を維持しつつ、サブシリンダ部3の内壁3aと、内スカート部11a2との間に隙間Sが生じる。
なお、本実施形態に係るトリガースプレイヤー100において、当該隙間Sは、長溝部3bにより形成されるものである。
そうすると、液(若しくは初期状態においては空気)は、隙間Sを介して、第3流路1cに流通することになる。
【0045】
すなわち、トリガースプレイヤー100において、第2バルブV2が液の流通経路を閉じている場合(図6でいう左側の状態)、サブシリンダ部3内は、外スカート部11a1及び内スカート部11a2によりシールされた状態となる。
このとき、長溝部3bは、外スカート部11a1がサブシリンダ部3の内壁3aに当接される位置と、内スカート部11a2がサブシリンダ部3の内壁3aに当接される位置との間の内壁3aに設けられている。
【0046】
そして、第2バルブV2が液の流通経路を開いている場合(図6でいう右側の状態)、サブシリンダ部3内は、外スカート部11a1によりシールされた状態が維持され、一方で、内スカート部11a2は長溝部3b同士の間の内壁3aに当接された状態となる。
このとき、液は、第2流路1bからサブシリンダ部3内の内スカート部11a2の下から、長溝部3b(隙間S)及び貫通孔3cを介して、第3流路1cに流通される。
また、これに加え、第2流路1bから、貫通孔3cが設けられていない長溝部3aを通って内スカート部11a2と外スカート部11a1との間に流入し、そこから貫通孔3cを介して、第3流路1cに流通されることになる。
これにより、十分な量の液を流通させることが可能となるので、噴出安定性が向上する。
また、サブシリンダ部3と外スカート部11a1とによりシールされた状態が維持されるため、液が漏洩することを防止できる。
【0047】
図5(a)に戻り、第3流路1cに流入した液(若しくは初期状態においては空気)は、ノズル部4からノズルキャップ40を介して、外部に噴出される。
そして、トリガー30を回動させ終わり、且つ、液(若しくは初期状態においては空気)の噴出により、シリンダ内空間Aの加圧された状態が解消されると、図5(b)に示すように、第2バルブV2は、ドームスプリング部11bの復元力により、第2バルブピストン部11aを押下げて流路を閉じる。
このとき、上述したように、外スカート部11a1と内スカート部11a2とサブシリンダ部3とに囲まれた空隙部の容積は変化しないので、ノズル部4から液だれが生じることを防止することができる。
【0048】
一方、図5(c)に示すように、トリガー30を回動させた状態から、当該トリガーを開放すると、バネ80により当該トリガー30は、元の位置に戻る。
このとき、ピストン部20が前方に移動することになるので、メインシリンダ部2のシリンダ内空間A内が負圧となる。
そうすると、その圧力により、容器から液が吸い上げられ、チューブ70を介して、第1流路1aに流入する。
第1流路1aに流入した液は、第1バルブV1の逆止弁を開き、メインシリンダ部2のシリンダ内空間Aに流入する。
そして、メインシリンダ部2内に液が貯留され、ピストン部20によりシリンダ内空間Aの負圧となった状態が解消されると、第1バルブV1の逆止弁が閉じられる。
【0049】
このように、トリガースプレイヤー100においては、トリガーの操作により、ベース体10に貯留された液を噴出させる、若しくは、液の噴出を停止させることができる。
また、トリガースプレイヤー100においては、第2バルブV2として、第2バルブピストン部11aと、弾性変形する逆ドーム状のドームスプリング部11bとを有するものを採用しているので、噴出応答性及び噴出安定性が優れるものとなる。
【0050】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0051】
本実施形態に係るトリガースプレイヤー100においては、ベース体10に、ピストン部20、トリガー30、第1バルブV1、第2バルブV2、カバー体50、ノズルキャップ40、キャップ60及びチューブ70が別体として取り付けられているが、これらは、それぞれ、ベース体10と一体になっていてもよい。
また、カバー体50、ノズルキャップ40、キャップ60及びチューブ70は、必須ではない。
【0052】
本実施形態に係るトリガースプレイヤー100においては、第1バルブV1として逆止弁を採用しているが、これに限定されない。
【0053】
本実施形態に係るトリガースプレイヤー100においては、サブシリンダ部3の内壁3aに長溝部3bが設けられているが、長溝部3bは必須ではない。
また、長溝部3bの形状、数、設けられる位置等も特に限定されない。
【0054】
本実施形態に係るトリガースプレイヤー100においては、第2バルブピストン部11aとドームスプリング部11bとが一体となっているが、分離可能となっていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明に係るトリガースプレイヤーは、容器に収容された液を吸い上げ、一定量の液を貯留し、それを連続して噴出させる、いわゆる蓄圧式のトリガースプレイヤーとして利用できる。
本発明に係るトリガースプレイヤーによれば、噴出応答性及び噴出安定性に優れるものとなる。
【符号の説明】
【0056】
1a・・・第1流路
1a1・・・第1流通孔
1b・・・第2流路
1b1・・・第2流通孔
1c・・・第3流路
10・・・ベース体
100・・・トリガースプレイヤー
10a・・・鍔部
11a・・・第2バルブピストン部
11a1・・・外スカート部
11a2・・・内スカート部
11a3・・・芯棒部
11b・・・ドームスプリング部
12・・・弁体
2・・・メインシリンダ部
20・・・ピストン部
2a・・・底壁
3・・・サブシリンダ部
30・・・トリガー
3a・・・内壁
3b・・・長溝部
3c・・・貫通孔
4・・・ノズル部
40・・・ノズルキャップ
5・・・支持壁面
50・・・カバー体
60・・・キャップ
70・・・チューブ
80・・・バネ
A・・・シリンダ内空間
B・・・容器
V1・・・第1バルブ
V2・・・第2バルブ
図1
図2
図3
図4
図5(a)】
図5(b)】
図5(c)】
図6