(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-22
(45)【発行日】2022-08-01
(54)【発明の名称】調理用排気装置
(51)【国際特許分類】
F24F 7/06 20060101AFI20220725BHJP
F24F 13/28 20060101ALI20220725BHJP
B01D 47/06 20060101ALI20220725BHJP
【FI】
F24F7/06 101A
F24F13/28
B01D47/06 A
(21)【出願番号】P 2021044940
(22)【出願日】2021-03-18
【基礎とした実用新案登録】
【原出願日】2018-11-29
【審査請求日】2021-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】599054307
【氏名又は名称】高田 功一
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】高田 功一
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-211173(JP,A)
【文献】特開平11-033329(JP,A)
【文献】実開平03-047020(JP,U)
【文献】米国特許第05359990(US,A)
【文献】特開平06-015131(JP,A)
【文献】特開2003-139368(JP,A)
【文献】米国特許第6895954(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
F24F 13/28
B01D 47/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下面が開口する遮蔽板からなる天蓋を有する排気装置であって、
前記遮蔽板は排気ダクトを接続するための開口部を有する天板、当該天板を四方から囲む直立した左右の側板と前板、後板が一体的に構成され、当該左右の側板と前板、後板の下端部に排水の為の溝を形成することでその内部に開口空部が形成され、
前記開口空部内に、前記天板と平行な仕切板
を配置し、当該仕切板の左右端部からそれぞれ前記左右の側板と平行な整流板を
下方に向けて着脱可能に配置し、前記天板と仕切板との間及び左右の側板と整流板との間に通風路を形成し、当該通風路内にはフィルターと当該フィルターの上部に給水接続した
水膜を形成するための噴霧ノズルを配置し、前記溝と整流板の下端との間に形成した隙間から汚染空気を吸引することを特徴とする調理用排気装置。
【請求項2】
前記フィルターは、前記左右の側板と整流板との間に着脱可能に複数枚配置可能であることを特徴とする請求項1に記載の調理用排気装置。
【請求項3】
前記通風路内に、前記フィルターを洗浄するための洗浄用ノズルを給湯配管、或いは給水配管したことを特徴とする請求項1又は2に記載の調理用排気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機構的に排気気流を縮流加速し、その遠心力によって排気中に含まれる油脂及び塵埃等を分離除去する調理用排気装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、厨房内おいてオイルミスト、燃焼ガス等の発生源となる調理器具の上部には排気ダクトを通して汚染空気を排気する排気ファンを取付ている。
さらに、排気ダクトの開口端には、下面が開口する遮蔽板からなる天蓋を設けて、汚染空気の排気効率をたかめるとともに、フィルターケースを取付けて、グリスフィルターを設置して、油分を捕集するものが一般的である(例えば、特許文献1)。
しかし、上記従来の天蓋では汚染空気の吸引の流れが天蓋中央に集中する為、フィルターケース、特に底部の汚れは著しく、メンテナンスの頻度によっては、油脂が落下する事態になりかねない。
そのため、フィルターケースを壁付けにして調理器具への油脂の落下を防ぐ場合もあるが、調理器具との距離が遠くなるほど排気効率は悪くなることを考えると、上策とはいえない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、天蓋内部で充分な油分除去をおこなうとともに、天蓋内部の汚れを最小限にとどめ、調理器具への油脂の落下を防ぐことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する為に本発明は
イ.下面が開口する遮蔽板からなる天蓋において、遮蔽板は排気ダクトを接続するための開口を有する天板、該天板を四方から囲む直立した左右の側板と前板、後板が一体的に構成され、下端に排水の為の溝と一角に排水口を形成し、内部は開口空部を形成する
ロ.上記開口空部に、天板と平行に仕切板を配置する
ハ.上記開口空部に、左右の側板と平行に整流板を、形成された溝との間に隙間ができるように、着脱可能に配置する
二.上記整流板と左右の側板との間にフィルターを着脱可能に配置する
へ.上記フィルターの上部に給水接続した噴霧ノズルを取り付ける
以上の構成からなることを特徴とする調理用排気装置である。
本発明に係る調理用排気装置は、汚染空気の発生源の上部に天蓋状に設置する排気装置であって、排気ダクトを接続するための開口を有する天板、該天板を四方から囲む直立した左右の側板と前板、後板が一体的に構成され、下端には排水の為の溝と形成された4角の内一角に排水口を形成し、内側に開口空部が形成され、該開口空部内に、汚染空気の通風路を形成するように、天板と平行に仕切板を配置し、左右の側板と平行に整流板を下端に形成された溝との間に隙間ができるように、着脱可能に配置し、通風路内にはフィルターを着脱可能に設置し、該フィルターの上部に噴霧ノズルを給水接続し、排気ファンの稼働により、隙間から入った汚染空気が通風路内のフィルターと噴霧ノズルから噴霧された水によって、汚水として排水され、洗浄された空気が排気ダクト側に吸引するようにしたことを特徴とし、上記通風路内に、形状、仕様の異なるフィルター、或いは同様のフィルターが複数枚設置されていてもよい。
また、上記通風路内に設置したフィルターを排気ファンの停止と同時に自動洗浄するための洗浄用ノズルを給湯配管、或いは給水配管してあってもよい。
【発明の効果】
【0006】
この発明は、遮蔽板による開口空部に仕切板と、整流板の配置によって、汚染空気の通風路を形成したもので、該整流板の下端との間に形成された隙間から汚染空気の吸引がなされる構造であるので、汚染空気の流れが天蓋中央へ向かうことがなく、開口空部の壁面の汚れを最小限にとどめ、調理器具への油脂の落下を防ぐことができる。
さらに、通風路に、設けられたフィルターと該フィルター上部に給水接続した噴霧ノズルによって、汚染空気の汚れを排水として取り除き、天蓋内部において充分な油分除去ができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係る調理用排気装置の全体構成を示す断面図である。
【
図2】本発明に係る調理用排気装置の内部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に本発明に係る実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明に係る調理用排気装置の全体構成を示す断面図、
図2は内部を示す斜視図である。
天蓋1は、排気ダクト取付開口2aを有する天板2、四方を構成する左右の側板3、前板4、後板5が一体的に構成され、下端には排水の為の溝6と、形成された4角の内、一角に排水口7を形成し、内部は開口空部8を形成している。
【0009】
図1に示すように、開口空部8に、天板2と互いに平行に取付けた仕切板9と、左右の側板3と平行に取り付けた整流板10によって通風路11を形成する。
整流板10と溝6との間に隙間12を形成し、左右の隙間12が汚染空気の吸引口となる。
通風路11の側板3と整流板10の間にフィルター13を設け、フィルター13は、側板3に取付金具14を設けて差込み、着脱可能とする。
整流板10を取り付けるには取付金具14と整流板10を当接させてネジ止めし、着脱可能とする。
フィルター13の上部に給水接続した噴霧ノズル15を設置する。
上記のように構成した天蓋1において、排気ファンの駆動によって、上昇した汚染空気が開口空部8から溝6と整流板10との隙間12から吸引され、通風路11に入る。
【0010】
通風路11に入った汚染空気はフィルター13を通過する時、フィルター13の上部に設けた噴霧ノズル15から噴霧された噴霧水がフィルター上に膜を作り、排気気流を縮流加速してその遠心力によって分離された油分や粉塵をフィルター13上に捕捉するとともに、汚水として排水口7から排水する。
汚染空気は、多くの油分や粉塵が汚水として排水された後、排気ダクト16を通して排気ファンより排気される。
以上述べたように、この実施形態では、開口空部8に仕切板9と整流板10を配置して通風路11を形成し、整流板10と溝6との間に形成された隙間12に汚染空気を吸引するようにしたので、開口空部8の壁面の汚れを最小限にとどめることができる。
また、通風路11に取付けたフィルター13は、複数枚設置することができるので、より高い油分の除去率が可能であり、複数枚設置の場合は、種類の違うフィルター、例えばバッフルフィルターとメッシュフィルター等の組み合わせができ、より微細な汚れが捕集できる。
整流板10と同様、着脱可能であるので、フィルターの洗浄が容易であり、排気効率を維持することができる。
さらに、通風路内に、給湯配管した洗浄用ノズル17を配置し、送風機の停止と同時に温湯による自動洗浄をおこなうようになっているのでフィルター洗浄の頻度を減らし油分の捕集率を持続する。
【0011】
本発明は、以上のように構成されているので、通風路11内で、充分な油分除去をおこなうと共に、調理器具への油脂の落下を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0012】
1 天蓋
2 天板
2a 排気ダクト取付開口
3 側板
4 前板
5 後板
6 溝
7 排水口
8 開口空部
9 仕切板
10 整流板
11 通風路
12 隙間
13 フィルター
14 取付金具
15 噴霧ノズル
16 排気ダクト
17 洗浄用ノズル