(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-22
(45)【発行日】2022-08-01
(54)【発明の名称】3D印刷のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
B29C 64/393 20170101AFI20220725BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20220725BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20220725BHJP
【FI】
B29C64/393
B33Y10/00
B33Y50/02
(21)【出願番号】P 2021066314
(22)【出願日】2021-04-09
(62)【分割の表示】P 2019537048の分割
【原出願日】2017-09-21
【審査請求日】2021-05-07
(32)【優先日】2016-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515028229
【氏名又は名称】ユニバーシティ・オブ・サウス・アラバマ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クワン-ティン・シャオ
【審査官】清水 研吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-159630(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0173443(US,A1)
【文献】国際公開第2015/139095(WO,A1)
【文献】特表2016-518267(JP,A)
【文献】特開平08-203717(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3D印刷ワークピースにおける知的財産コンプライアンスを検証する方法であって、
(a)3Dプリンタを使用したワークピースの印刷中にワークピース内にIDモジュールを印刷するステップと、
(b)IDモジュールを読み取って、IDコードを取得するステップと、
(c)IDコードを認証サーバに送信するステップと、
(d)肯定的または否定的な認証を示す認証信号を認証サーバから受信するステップと、
を含
み、
第1のIDモジュールがワークピース内の第1の位置に印刷され、方法が、ワークピースの印刷中に第2の位置で3Dプリンタを使用してワークピース内に第2のIDモジュールを印刷するステップと、第1および第2のIDモジュールの相対位置を検出するステップと、前記相対位置を品質管理サーバに送信するステップと、品質管理サーバから品質管理確認信号を受信するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
IDモジュールが、ワークピースの3D印刷中に読み取られ、方法が、認証信号が否定的な認証を示す場合にワークピースの3D印刷を中止するステップを含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
認証信号が肯定的な認証を示す場合、方法は、3Dプリンタに関連するライセンシーを識別するステップと、ライセンシーにロイヤリティーを発生させるステップと、を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
認証信号が肯定的な認証を示す場合、方法は、IDコードを使用して検証済みの認可済みワークピースの記録を作成するステップを含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項5】
品質管理サーバが、第1および第2のIDモジュールの相対位置を第1および第2のIDモジュールの相対位置についての設計仕様と比較し、品質管理確認信号が、第1および第2のIDモジュールの相対位置が第1および第2のIDモジュールの相対位置についての設計仕様の許容範囲内にあるかどうかを通信する、請求項
1に記載の方法。
【請求項6】
品質管理信号が、品質管理サーバの識別子を認証する安全な証明書を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項7】
品質管理信号が、品質管理サーバの秘密鍵を使用して暗号化され、認証信号が、品質管理サーバの公開鍵を使用して復号することができる、請求項
1に記載の方法。
【請求項8】
認証信号が、認証サーバの識別子を認証する安全な証明書を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項9】
認証信号が、認証サーバの秘密鍵を使用して暗号化され、認証信号が、認証サーバの公開鍵を使用して復号することができる、請求項
1に記載の方法。
【請求項10】
IDモジュールが、ワークピースの3D印刷後に読み取られ、方法が、認証信号が否定的な認証を示す場合に電子模倣通知を送信するステップを含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項11】
IDモジュールが、ID番号を符号化するように構成された所定の物理的特性を有する複数の粒子を含み、所定の物理的特性が、比熱、音波屈折率、比密度、放射線不透過性、熱伝導率、電気伝導率、高周波誘導スペクトル、粗さ、および硬さから選択される、請求項
1に記載の方法。
【請求項12】
IDモジュールが、ワークピースを修理する前に読み取られ、方法が、認証信号が否定的な認証を示す場合にワークピースの修理を中止するステップを含む、請求項
1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2016年9月22日に出願された米国仮特許出願第62/495,739号(係属中)の利益を引用している。その出願の内容は、引用によりその全体が本明細書に組み込まれている。
【0002】
本開示は、新規な3D印刷ヘッド、およびこの新規な印刷ヘッドによって可能にされた新規な3D付加製造プロセスに関する。このシステムおよび方法は、3D印刷の多くの望ましい機能に対処するものである。
【背景技術】
【0003】
付加製造(Additive Manufacturing:AM)とサブトラクティブ製造(Subtractive Manufacturing:SM)
付加製造(AM)は、従来の「サブトラクティブ製造(SM)」アプローチではなく、対照的な概念を採用している。従来のSMプロセスでは、材料のバルクが機械加工され(例えば、切断、穴あけ、フライス削りなど)、バルク材料の一部が除去されて部品の所望の形状を形成する。AMプロセスでは、原料が層ごとに付加されて部品の所望の形状を形成する。AMプロセスにはさまざまなプロセスがあり、まだ開発途上である。一般的に言って、AMプロセスはSMプロセスと比較して、材料を節約し、より複雑な形状を作り出すことができる。多くの場合、特別な工具投資や開発が必要ないので、AMは少量生産(プロトタイピングなど)のコストも削減する。一方、AMプロセスによって処理される部品は、使用される材料およびAMプロセス中に生じる欠陥のために、SMプロセスによって処理される部品よりも一般的に弱い。さらに、AMプロセスには製造業界で完全には受け入れられなくさせる多くの制限がある。それにもかかわらず、AMの可能性は重要であり、研究者はAMプロセスを改善することに興味を持っている。一般的に言って、AMプロセスにはさまざまな種類があるが、それらは4つの異なるクラスに分類することができる。
【0004】
付加製造プロセスのクラス
ステレオリソグラフィ(Stereolithography:SLA):AMの最初のクラスは、ラピッドプロトタイピング(RP)を目的としてCharles Hullによって発明されたステレオリソグラフィを用いて1980年代に初めて実現された。SLAにおいて、液相の光硬化性樹脂はリザーバによって保持される。可動プラットフォームはリザーバの内側に配置され、もともと光硬化性樹脂に浸されている。レーザビームまたはUV光のような光源が、プラットフォーム上の樹脂の薄層を硬化させるために所望の2D印刷パターンでプラットフォームに適用される。次にプラットフォームを光源のためにごくわずかな距離だけ離して移動させ、次に光源を再度適用して、次の2Dの樹脂層を既存の硬化樹脂層の上に硬化して堆積させる。光源の印刷パターンを徐々に変更することによって、2D印刷された樹脂層のパターンを変更して、すべての2D層の堆積が完了したら、所望の3D部品形状を次第に形成することができる。光源がリザーバの上に置かれている場合、プラットフォームは、SLAプロセス中に徐々に下方に移動すべきであり、これはトップダウン印刷と呼ばれる。一方、光源がリザーバの下にある(リザーバがガラス底を有する)場合、プラットフォームは、SLAプロセス中に徐々に上方に移動する。SLAは、約100nm以内に制御することができる非常に優れた分解能を有する。しかしながら、SLAに使用するための光硬化性ポリマの選択は非常に限られている。したがって、SLAによって処理することができる材料もまた非常に限られている。さらに、光走査方向およびzスタッキングプロセスは、SLA印刷部品の異方性挙動を引き起こし、空隙を導入し得る。
【0005】
粉体ベースの付加製造(Powder-Based Additive Manufacturing:PB-AM):AMの2番目のクラスは粉体ベースのAMであり、これは3つのわずかに異なるAMプロセス、すなわち三次元印刷(3DP)、選択的レーザ焼結(SLS)、およびレーザエンジニアリングネットシェーピング(LENS)を含む。3DPプロセスでは、粉末床をプラットフォーム内に最初に配置し、次いで液体バインダを粉末上にインクジェット印刷して選択された位置で粉末をバインドさせ、2Dパターン層を形成する。ローラを使用して印刷層の上に次の粉末層を塗布し、次いでバインダを再びインクジェット印刷して別の粉末層をバインドさせて前の2Dパターン層の上に別の2Dパターンを形成する。2D印刷層を徐々に加えることによって、3D部品が最終的に形成され、粉末床の内側に埋め込まれる。3DPプロセスにおけるバインディングを強化するために、後熱が必要になる場合がある。3DPプロセスで使用される粉末は、金属、セラミック、ポリマなどからのものであり得る。しかしながら、粗い表面仕上げおよび低解像度が知られている欠点である。選択的レーザ焼結(SLS)は、3DPのバインダレス版である。SLSでは、高エネルギレーザビームを使用して粉末粒子を局所的に焼結し、それによってそれらを融合して3DPプロセスと同様の2Dパターン層を形成する。SLSに使用される粉末材料は、それらが焼結プロセスをサポートすることができなければならないので、より制限される。粉末がより高い溶融温度を必要とする場合、電子ビームを使用してレーザビームを代用することができる。SLSでは、表面品質は通常3DPよりは優れているが、SLAよりは劣る。SLSの変形は、ノズルを使用して基板上に粉末を広げるレーザエンジニアリングネットシェーピング(LENS)であり、粉末床の使用に置き換わる。基板が損傷部分である場合は、LENSプロセスを使用して損傷部分を修理することもできる。
【0006】
材料押し出しベースの付加製造(Materials Extrusion-based Additive Manufacturing:MEB-AM):MEB-AMのクラスで最もよく知られているプロセスは、溶融堆積モデル(FDM)である。このプロセスでは、プラスチックフィラメントが押し出しヘッドに供給され、押し出しヘッドはフィラメントを溶融させ、溶融したフィラメント材料のビードを平らな基板上に押し出して堆積させる。次に溶融ビードは急速に冷却されて固体状態になる。堆積プロセスを続けると、2D層が基板上に次第に形成される。互いの上に多くの2D層を順次堆積することによって、3D部品が最終的に形成される。ビードの層間の空隙のために、MEB-AMによって形成された部品は非常に異方性があり、それらの機械的特性は加工パラメータに大きく依存する。MEB-AMによって印刷される典型的な材料は、ポリポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、およびポリアリールエーテルケトン(PAEK)であり得る。
【0007】
材料ジェット付加製造(Materials Jetting Additive Manufacturing:MJ-AM):この方法は、インクジェットのプリンタヘッドを使用して、平坦な基板上に積み重ねられた光硬化性樹脂層を印刷する。各光硬化性樹脂層は、次の層が上に堆積される前に、光源(例えば、UV、レーザなど)によって硬化される。このプロセスは、光硬化性樹脂の化学的性質および不均一な硬化に関して問題がある。
【0008】
既存の付加製造(AM)プロセスの問題点と課題
AMプロセスの使用は依然として開発途上であるが、従来のサブトラクティブ製造(SM)プロセスで製造された部品と比較した不足もまた、AMプロセスを検討することに関心のある人々および現在のユーザによってより詳しく調べられている。
【0009】
経済的には、典型的には、AMプロセスからのユニット当たりの製造コストは、従来のSMプロセスと比較してはるかに高い。また、大量生産の場合、AMプロセスは通常SMよりも時間がかかる。ただし、SMが適していない場合のプロトタイピングや特殊部品の製造に、経済的にAMプロセスが適する場合がある。この点に関して、部品が複雑で高価であり、少量しか必要とされない場合、AMはSMよりも適している傾向がある。
【0010】
経済的な考慮に加えて、現在のAMプロセスは、SMプロセスと比較して多くの重要な耐荷重性構成要素についてAM部品を不適格にし得る技術的な問題を抱えている。具体的には、AM部品の材料強度は、ボイドおよび欠陥(ビード間の接合境界線または溶接線が互いの上に堆積するなど)のために低下する可能性がある。すべてのAMプロセスは、層ごとの堆積プロセスをとる。したがって、2つの層の間の接合境界は、各層の中心の材料と比較して、常にわずかに異なるプロセス条件および履歴を経験する。さらに、空気、湿気、塵埃、油、プロセス誘起応力、および温度履歴、光源露出履歴はすべて、接合境界が各層のコアと異なる原因となる。ボイドの存在もまた、従来のAM部品に関するよく知られた問題である。さまざまな研究者がさまざまなAMプロセスを使用して撮影した顕微鏡写真の多くは、AM製造部品に大きなボイドを示している。例えば、溶融ポリマビードの表面張力は、ビード冷却プロセス中に常にビード表面を突形状にすることが示されている。したがって、次の層を形成するビードが突状ビード表面の上に塗布されると、ほぼ三角形のボイドが形成される。一例として、
図1は、FDM(すなわち、溶融堆積モデリング)部品におけるポリマビードと三角ボイドとの間の幾何学的関係を示す図である。ボイドサイズは、ビードの直径または断面と同程度の大きさである。そのようなボイド形成は、AM部品がSM部品よりも弱くなり得る理由の1つである。このような弱さは、層の積層方向において特に顕著であり得る。急速硬化の残留応力、微細ビードの急速冷却、またはUV硬化などの他の要因も、材料の特性を変え得る。その結果、AM部品は積層方向に弱くなる傾向がある。さらに、疲労負荷および環境劣化に直面した場合、AM部品は通常SM部品よりも耐久性が劣る。
【0011】
他の技術的課題は、AMプロセスで繊維強化材料を使用する能力である。AMプロセスは平らな基板上への層ごとの堆積を利用するので、1つのアプローチはポリマ中に短い炭素繊維を混合し、FDM法によって短い繊維強化ポリマ部品を製造することである。このアプローチでは、FDMのビード押し出しプロセスは、押し出しプロセス中に短い繊維を整列させ、押し出されたビードは非常に異方性が高い。しかしながら、繊維はあまり長くなりえず、そうでなければそれは押し出し機のヘッドを詰まらせる。長い連続的繊維は短い繊維よりも著しく優れた強化材であるので、繊維長に対するこの制限はいくつかの用途を制限的にする。
【0012】
なされた進歩にもかかわらず、よく整列された短い炭素繊維強化ポリマ複合材料においてさえ、機械的特性は依然として従来の連続炭素繊維強化ポリマ複合材料よりも約一桁小さいことに留意すべきである。さらに、報告された研究のどれも、層ごとのFDMプロセスの原理によって引き起こされるボイドの問題を軽減するための解決策を示していない。このようなボイドの発生は、不均一な特性を引き起こし、疲労に対して弱くなり、そして耐環境性および耐久性を著しく低下させる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
図面を参照すると、本開示は、3D印刷用の印刷ヘッドアセンブリおよびそれを使用する方法を提供することによって従来技術を超える利点および代替物を提供する。印刷ヘッドは、引力を用いて形成および位置決めすることができるバッキング手段を組み込んでいる。これは、連続する各層を下の層に印刷する必要なしに、ヘッドが三次元で動くことができる実施形態の可能性を生み出す。
【0014】
第1の態様では、3D印刷アセンブリ用の印刷ヘッドが提供され、印刷ヘッドは、バッキング手段と、未固化印刷材料を含有するフィラメントを基板上に押し出す手段と、フィラメントを基板の表面に圧縮する手段と、基板を前記圧縮する手段に向かって押圧する手段と、押圧する手段の形状を動的に変化させる手段と、複合材の固化時にフィラメントに対して印刷ヘッドを前進させる手段と、を含む。
【0015】
第2の態様では、3D印刷アセンブリ用の印刷ヘッドが提供され、印刷ヘッドは、供給原料処理装置から未固化印刷材料を受け取り、フィラメントを基板上に押し出すように接続されたフィラメント出力ポートと、フィラメントが押し出されるとフィラメントと接触するように配置された押圧面と、基板と押圧面との間のフィラメントを圧縮するためにバッキング物品を押圧面に向けて引き付けるための場を放射するように構成された場エミッタと、を含む。
【0016】
第3の態様では、ワークピースを印刷するための3D印刷システムが提供され、このシステムは、上記の印刷ヘッドのいずれかと、第1のアンカーユニットであって、クランプ面と前記アンカーユニット上の結合パッドとの間でフィラメントをクランプするように構成され、印刷ヘッドに対するアンカーユニットの位置を維持するように構成されたアンカー位置コントローラを含む、第1のアンカーユニットと、を含む。
【0017】
第4の態様では、3D印刷によってワークピースを製造する方法が提供され、この方法は、未固化印刷材料を含むフィラメントを3D印刷ヘッドから基板上に押し出すステップと、引力場を放射してバッキング物品を引き付けて、基板と押圧面との間でフィラメントを圧縮するステップと、未固化複合材料を固化して固体印刷材料を生成するステップと、フィラメントに対して3D印刷ヘッドを前進させるステップと、を含む。
【0018】
第5の態様では、3D印刷ヘッドを使用してワークピースを修理する方法が提供され、この方法は、未硬化印刷材料を3D印刷ヘッドからワークピースの損傷領域に押し出すステップと、引力場を放射してバッキング物品を引き付けて、基板と押圧面との間で未固化印刷材料を圧縮するステップと、未固化印刷材料を固化して固体印刷材料を生成するステップと、ワークピースに対して3D印刷ヘッドを前進させるステップと、を含む。
【0019】
第6の態様では、上記の修理方法に従って修理されているワークピースが提供され、ワークピースが、固化マトリックスにおける長さが少なくとも1mmの複数の繊維を有する複合材料を含む。
【0020】
第7の態様では、複合材料からなる3D印刷ワークピースが提供され、前記複合材料が、リモートセンサによって読み取られるように構成されたID番号を収容する埋め込みIDモジュールを含む複数の繊維およびマトリックスを含む。
【0021】
第8の態様では、複合材料からなる3D印刷ワークピースが提供され、前記複合材料が、信号に応答するように構成された埋め込みIDモジュールを含む複数の繊維およびマトリックスを含む。
【0022】
第9の態様では、3D印刷ワークピースにおける知的財産コンプライアンスを検証する方法が提供され、この方法は、3Dプリンタを使用したワークピースの印刷中にワークピース内にIDモジュールを印刷するステップと、IDコードを取得するためにIDモジュールを読み取るステップと、IDコードを認証サーバに送信するステップと、肯定的または否定的な認証を示す認証信号を認証サーバから受信するステップと、を含む。
【0023】
3D印刷ヘッドのいくつかの実施形態では、局所押圧ユニットおよび局所場エミッタは協調的に動作する。本開示の例示的な一態様では、局所押圧ユニットは、協調的に動作する少なくとも1つの局所押圧面を有する少なくとも1つの局所押圧パッドをさらに含み得る。本開示のさらなる例示的な態様では、局所場エミッタは、局所押圧面6に対して実質的に垂直な場を放射することができる。本開示のさらなる例示的な態様では、局所場エミッタによって放射された場は、局所化された力を誘起して、少なくとも1つのバッキング物品を局所押圧面6に向かって相対的に引っ張ることができる。本開示のさらなる例示的な態様では、少なくとも1つの新しいフィラメント9は、フィラメント出力ポートから押し出されてもよく、新しいフィラメントの形状および位置が押圧面およびバッキング物品によって制御されるように、局所押圧面6とバッキング物品との間の空間を通して方向付けられる。本開示のさらなる例示的な態様では、アセンブリは少なくとも1つのカッタ11を備えることができ、カッタは必要に応じて新しいフィラメントを切断するために印刷ヘッドと連携して動作する。最後に、本開示のさらなる例示的な態様では、印刷ヘッドアセンブリは、少なくとも1つのテンショナを備えることができ、テンショナは、新しいフィラメントに対する抵抗を制御することができる。
【0024】
上記は、特許請求された主題のいくつかの態様の基本的な理解を提供するために単純化された要約を提示する。この要約は広範囲の概要ではない。これは、不可欠な要素または重要な要素を特定すること、または特許請求される主題の範囲を線引きすることを意図していない。その唯一の目的は、後で提示するより詳細な説明の前置きとして、いくつかの概念を簡略化した形で提示することである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】先行技術の溶融堆積モデリング部品におけるポリマビードと三角ボイドとの間の幾何学的関係を示す図である。
【
図2】印刷ヘッドの実施形態の説明図である。これは図示および説明の目的のためだけであり、限定のためではない。
【
図3(a)】印刷ヘッドを使用して湾曲形状部品を印刷する方法の一実施形態の説明図である。
【
図3(b)】印刷ヘッドを使用して湾曲形状部品を印刷する方法の一実施形態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示は、新規な付加製造(すなわち3D印刷)方法および装置に関する。1つの例示的な特徴によれば、本開示と一致する方法および装置は、プラットフォームまたは支持媒体チャンバを必要とせずに層ごとに堆積された構造を構築する性能を提供する。
【0027】
別の例示的な特徴によれば、本開示と一致する方法および装置を使用して、モールド(支持材料の一時的な足場または耐久性のあるモールド工具)を必要とせず、6軸印刷または7軸印刷またはより高度な3D印刷のような3D方向における印刷(堆積)方向を制御することができる。
【0028】
別の例示的な特徴によれば、本開示と一致する方法および装置を使用して、従来のAMプロセスと比較して積層方向の強度を高めることができる。現在のすべてのAMプロセスは、粉末、液体、インク、溶融材料などの使用にかかわらず、層ごとの堆積である。層ごとの追加プロセスは、欠陥、例えばボイド、残留応力などを導入する。これらの種類の欠陥は、堆積方向がx、y、またはzであるにもかかわらず、現在のすべてのAMプロセスに現れる可能性がある。
【0029】
別の例示的な特徴によれば、本開示と一致する方法および装置を使用して、連続的繊維強化複合材料、不連続的繊維強化複合材料、ならびに繊維強化を含まない材料などのさまざまな材料を印刷することができる。対照的に、現在の(FDMのような)AMプロセスは、上述のような製造上の問題のために、短い不連続的繊維強化複合材料または/および繊維強化なしの材料しか印刷できないという欠点を有する。
【0030】
新規な自由曲面構造(FFCS)印刷ヘッド
図2は、3D印刷ヘッド:自由曲面構造(FFCS)印刷ヘッドの例示的な実施形態の図である。これは図示および説明の目的のためだけのものであり、限定を意図するものではない。
図2で番号付けされている要素は次のとおりである:
【0031】
要素1:印刷ヘッド。
要素1-1:ポリマフィラメント、繊維トウ、微粒子、ナノ粒子、インク、またはそれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない、入ってくる供給原料を受け取って処理するための機構。
【0032】
要素2:印刷ヘッド1の一部であるフィラメント出力ポート。印刷ヘッド1は、1つまたは複数のフィラメント出力ポートを有し得る。
【0033】
要素3:印刷ヘッド1の一部である局所場エミッタ。印刷ヘッド1は、1つまたは複数の局所場エミッタを有し得る。
【0034】
要素4:印刷ヘッド1の一部である局所押圧ユニット。印刷ヘッド1は、1つまたは複数の局所押圧ユニットを有し得る。
【0035】
要素5:局所押圧ユニット4と関連する局所押圧パッド。局所押圧ユニット4は、1つまたは複数の局所押圧パッドを有し得る。
【0036】
要素6:局所押圧パッド5と関連する局所押圧面。局所押圧パッドは、1つまたは複数の局所押圧面を有し得る。例えば、可能な構成を限定するものではないが、押圧パッド5は、異なる形状を有し得る異なるサブ領域を収容することができ、サブ領域間にチャネルを有し得る。押圧パッド5はまた、摩擦を減らすために、ボールローラまたはシリンダローラを含むがこれらに限定されない、いくつかの可動部品を収容し得る。
【0037】
要素7:局所場エミッタ3によって放射された場。
【0038】
要素8:場7に応答し、場7と協働してバッキング物品8に場の誘起力を発生させることができるバッキング物品。少なくとも1つのバッキング物品を用いて場7と関連付けることができる。
【0039】
要素9:フィラメント出力ポート2から押し出される新しいフィラメント。新しいフィラメント9は、3D部品の最新の堆積を形成するために使用される。
【0040】
要素10:テンショナ。
【0041】
要素11:新しいフィラメント9を切断するためのカッタ。
【0042】
要素12:印刷ヘッド1の位置(座標および角度)を制御するためのロボットアームなどの印刷ヘッド位置制御機構。
【0043】
要素13:3D部品の既存の堆積層。例えば、これに限定されないが、既存の堆積層は、新しいフィラメント9の層を層ごとに堆積することによって確立することができる。
【0044】
要素14:印刷ヘッド1に対する局所押圧ユニット4の相対位置を制御するための相対位置コントローラ。
【0045】
要素15:印刷ヘッド1の補助ローラ。
【0046】
新規な印刷ヘッド1の動作概念は、
図2を用いて説明することができ、
図2は説明の目的のためだけであり、本開示の範囲および詳細を限定するものではない。
図2に示すように、図示の例示的な印刷ヘッド1は、少なくとも1つのフィラメント出力ポート2と、少なくとも1つの接続された局所場エミッタ3と、少なくとも1つの接続された局所押圧ユニット4とを含む。本出願の目的のために、用語「接続された」は、これらの要素が協調して使用され、移動され、そして制御されることを意味する。これらの間の接続は、(ギアボックス、油圧シリンダ、ベルト、アクチュエータ、またはサーボなどであるがこれらに限定されない)追加の協調制御機構と直接的に取り付けられてもよいし、または間接的に関連付けられてもよい。また、接続関係は固定されても調整可能でもよい。これはまた、入ってくる供給原料を受け取って処理するための機構1-1も有する。本開示において使用に適した供給原料は、ポリマフィラメント、繊維トウ、微粒子、ナノ粒子、インク、またはそれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない。図示の例示の構造では、局所押圧ユニット4は、少なくとも1つの局所押圧パッド5を有する。局所押圧パッド5は、少なくとも1つの局所押圧面6を有する。局所押圧面6は、局所押圧パッド5に押圧される物体に対する局所押圧パッド5の有効接触面として定義される。説明だけの目的として、物体が4つの平らなサブパッドを含む局所押圧パッド5に対して押圧される場合、4つの局所押圧面がある。比較的平坦な物体を押圧するために局所押圧パッド5としてシリンダローラが使用される場合、局所押圧面6は、シリンダローラと比較的平坦な物体との間の小さい接触領域である。3D印刷の実施のために、局所押圧面6は、印刷ヘッド1によって印刷される部分よりもかなり小さいことに留意されたい。局所押圧面6のサイズが小さいほど、印刷ヘッド1の解像度が高くなることに留意されたい。限定ではなく例として、局所押圧面6の面積は、印刷される部分の表面積の1/16未満であり得る。局所場エミッタ3は、局所押圧面6にほぼ垂直(すなわち直角)に少なくとも1つの場7を放射することができる。局所場エミッタ3によって放射された場7は、局所的な力を誘起して、1つまたは複数のバッキング物品8を局所押圧面6に向かって相対的に引っ張る。反対の場はまたバッキング物品8を局所押圧面6から相対的に離れる方向に押すこともできることに留意されたい。本開示での使用に適したバッキング物品8は、限定されないが、小さな鋼球、局所場エミッタ3によって放射される磁場(場7のタイプ)に反応し、局所押圧面6に向かって引っ張られる鉄粒子を含有するポリマ物品、または連続片もしくは複数片の可撓性ゴムを含む。本開示では、局所押圧面6の位置および形状は、各新しいフィラメント9が配置されるように設計されている正確な経路に沿って移動するための局所成形工具表面としての役割を果たすように正確に制御される。これは、局所押圧ユニット4の下で押圧される新しいフィラメント9の曲率を正確に制御するために行われる。フィラメント出力ポート2から押し出されたばかりの新しいフィラメント9は非常に柔軟であり成形することができる(すなわち、固化していない)(例えば、FDMフィラメントは押し出されたばかりのときに溶融している)ので、局所押圧面6(または複数の協調局所押圧面6のアセンブリ)の形状および位置を正確に制御することは、3D印刷部品においてその役割を果たすために新しいフィラメント9の(局所押圧面6に面する)所望の表面形状および位置を正確に制御するのに非常に有効であり得る。プロセス起因の残留応力の蓄積または設計された予荷重応力要件は、3D部品印刷が完了したとき、または設計されたサービスで使用されたときにフィラメントの位置および形状を変える可能性があることに留意されたい。したがって、好ましい実施では、配置プロセス中の新しいフィラメント配置の位置および形状設計は、そのような予想される変化を補償するべきである。さらに、好ましい実施形態では、適切な数値シミュレーション(有限要素解析など)を使用してそのような変化を推測し、予測された変化を部品設計に組み込むことができる。また、
図2に示すように、局所場エミッタ3によって放射された場7は、バッキング物品8と遠隔的に相互作用している。したがって、場7を制御してバッキング物品8にかかる場の誘起力を調整することができ、これにより、局所成形工具表面の役割を果たしている局所押圧面6に及ぼされる圧縮力を効果的に制御することができる。これは、局所押圧面6に対して圧縮されている(新しいフィラメント9のような、しかしこれに限定されない)対象の局所的な形状、位置、および材料圧縮を定義することができる。
【0047】
別の例示的なシステムでは、バッキング物品8と局所押圧面6との係合を解除するために場7をオフにすることができる。本開示の別の実施形態では、バッキング物品8を押圧面6から反発させるように場7の方向を切り替えることができる。本開示での使用に適した場の例は、それだけには限定されないが、磁場、静電場、流体圧力(バッキング物品8に圧力によって誘起された力を伝導するための適切なチャネルがある場合、真空圧など)、またはそれらの任意の組み合わせを含む。複数の場を使用することにより、部品印刷プロセス中に1つの場の有効性が低下した場合に、より多くの制御能力を得ることができ、または異なる適用可能な場に移行/切り替えを行うことができる。場の強さを変えることによって、局所押圧面6とバッキング物品8との間に挿入された任意の物体の局所的な材料の圧縮および膨張を制御することができる。
【0048】
局所圧縮制御は、所望の局所材料特性を制御し、ボイド含有量を減少させ、さらに残留応力も制御するか、または形状記憶材料(形状記憶ポリマまたは形状記憶合金など)の変形を、それらが局所的押圧面6とバッキング物品8との間に配置されている間に予負荷するのを助けることができることに留意されたい。新しいフィラメント9に繊維(例えば炭素繊維)が装填されている場合、(一部のFRPプリプレグで予め製造された樹脂ブリードチャネルのような)新しいフィラメント9、または局所加圧パッド5、または印刷ヘッド1と協働する付属品のいずれかに関連する適切なマトリックス除去機構を用いて、場を制御し、それによって圧縮を制御し、マトリックス除去機構を介してフィラメント9の過剰なマトリックスを除去することができる。これにより、新しいフィラメント9内に高い繊維体積分率が生じる。本開示での使用に適したマトリックス除去機構の例は、限定するわけではないが、局所押圧パッド5によって新しいフィラメント9から搾り出された過剰な樹脂マトリックスを集めるために低圧容器に接続された樹脂フローチャネルまたは樹脂ブリード織物を含む。局所押圧面6の垂直方向における材料圧縮制御(およびまた膨張可能材料の膨張制御)に加えて、フィラメント方向に沿った新しいフィラメント9の張力/圧縮を制御することも可能である。
【0049】
図2に示すテンショナ10は、フィラメント出力ポート2から局所押圧面6に向かって引っ張られている間に、新しいフィラメント9に対する抵抗を制御することができる。したがって、新しいフィラメント9の張力も、局所押圧面6の下で圧縮されている間にテンショナ10によって制御することができる。さらに、クランプとして、2つ以上(すなわち複数)の組の局所押圧面6およびバッキング物品8を使用することができる。複数のクランプを協調的に相対的に移動させて制御することによって、予荷重応力を変化させ、クランプ間の材料層を変形させることができる。これは、材料特性を局所的に設計するためのさらなる自由度を開く。別の注記では、材料層が形状記憶合金または形状記憶ポリマなどの少なくとも1つの形状記憶材料を含む場合、そのような材料層は、印刷プロセス中のこの予張力または予変形アプローチによって局所的にプログラムされることができる。形状記憶材料がプログラムされることによって、印刷ヘッド1によって4D部品も印刷することができる。圧縮はまた、従来のFDMプロセスにおける一般的な欠陥であるフィラメントスタッキングによるフィラメント間ボイドを減らすのを助けることができる。
【0050】
必要に応じて、新しいフィラメント9を切断するために、カッタ11を印刷ヘッド1に装備することができる。本開示における使用に適したカッタ11は、これらに限定されないが、ブレード、レーザ、または超音波カッタを含む。
【0051】
図示の例示の構成では、印刷ヘッド1は、ロボットアームまたはロボットなどの印刷ヘッド位置制御機構12に取り付けられている。印刷ヘッド1の「位置(position)」は、印刷ヘッド1の「位置(location)」および「位置合わせ(alignment)」を指すことに留意されたい。説明の目的のためだけに、3D空間において、オブジェクトの位置は(x、y、z)座標として表すことができ、位置合わせは、x、y、z軸座標系に対するオブジェクトの任意の線の2つの角度として表すことができ、例えば、球面座標系は、2つの角度を用いてベクトルの位置合わせ(方向)を定義する。
【0052】
層ごとの堆積中に、より多くの新しいフィラメント9を追加することによって、1つまたは複数の既存の堆積層13と、既存の堆積層13の上に配置され得る追加の新しいフィラメント9とが存在する。印刷ヘッド1が通過すると、新しいフィラメント9がフィラメント出力ポート2から押し出されて既存の堆積層13の上に適用されることができる。適用可能であれば、材料圧縮制御およびフィラメント張力制御を適用して、所望の応力および所望の繊維体積分率の下で新しいフィラメント9を既存の堆積層13に圧縮および結合することができる。場7は圧縮を制御するために使用することができ、テンショナ10は新しいフィラメント9に張力を加えるために使用することができる。局所押圧面6およびバッキング物品8の複数の組によって形成される複数のクランプは、新しいフィラメント9が一組の押圧面6およびバッキング物品8によって既存の層13に圧縮および結合されている間に、既存の堆積層13の位置、形状、および変形を制御するのも助けることができる。
【0053】
別の例示的なシステムによれば、既存の堆積層13は、3D印刷部品の一部として組み込まれるインサートとして、3D印刷以外の他の堆積方法または好ましい製造方法によっても作製することができる。このプラクティスにより、(コスト、品質、機能性などによる)好ましい製造方法を用いた他の材料および機能的物体も、印刷ヘッド1による3D部品印刷に使用することが可能になる。そのようなシナリオの適切な例は、ワイヤレスセンサモジュールまたはアクチュエータモジュールなどの機能モジュールを3D部品に組み込むことである。多くの機能モジュールは、典型的には、3D印刷部品に組み込まれる前にエクスビボで組み立てられ試験されることが好ましい。時には、無線センサモジュールは、3D印刷プロセス中にパラメータを感知することによって印刷プロセスを助けることもできる。多くの場合、センサモジュールは、印刷処理後の部品のライフサイクル中にも使用することができる。センサモジュールによって検出することができるパラメータの適切な例は、これらに限られないが、応力、歪み、電気的特性(比誘電率および導電率など)、熱的特性(例えば、熱伝導率または比熱を測定するための小さな熱線法の使用)、機械的特性(例えば、粗さおよび硬さ)、座標(すなわち、位置)、および/または角度(例えば、GPS、加速度計、方向センサなどを使用)、圧力、温度、湿度、化学成分、音響特性(例えば、音波屈折率または反射率)、密度、放射線不透過性、およびセンサ識別番号(印刷部品の他のセンサモジュールと区別するため)、を含む。3D印刷部品の機能に影響を及ぼし得る生成されたアクチュエータモジュールのパラメータまたは励起の適切な例は、これらに限定されないが、応力、力、歪み、熱、音、電波、および磁気波を含む。
【0054】
1つの例示的な構成では、印刷ヘッド1に対する局所押圧ユニット4の相対位置を制御することが好ましい。この構成では、印刷ヘッド1に対する局所押圧ユニット4の相対位置を制御するための相対位置コントローラ14がある。
【0055】
印刷解像度をさらに向上させるために、局所押圧面6は異なる形状を有し得る。本開示と一致する1つの例示的なシステムでは、印刷ヘッド1は、局所押圧面6の異なる形状を置き換えることができる。別の例示的なシステムでは、局所印刷ユニット4は、局所印刷面6の形状を調整することができる。説明の目的であり制限するものではないが、局所印刷面は、平らな面から凹面、凸面、またはサドル面などの曲面に変えて、印刷部品の詳細を作製することができる。この変更は、異なる印刷パッドを交換することによって、または局所印刷面を形成するためにアクチュエータ変形可撓性膜を使用することによって達成することができる。
【0056】
他の例示的な構成によれば、複数の局所押圧ユニット4を印刷ヘッド1に使用することができる。他の例示的な構成によれば、複数の局所押圧パッド5を印刷ヘッド1に使用することができる。他の例示的な構成によれば、複数の局所押圧パッド5を局所押圧ユニット4に使用することができる。他の例示的な構成によれば、局所的押圧パッド5は、複数の局所押圧面6を有し得る。他の例示的な構成によれば、局所押圧パッド5は、シリンダローラまたはボールローラなどの1つまたは複数の回転要素を有し得る。
【0057】
本開示と一致する1つの例示的なシステムによれば、バッキング物品8は、3D印刷部品103に取り付けることができ、3D印刷部品103の一部である。本開示と一致する他の例示的なシステムでは、バッキング物品8は、3D印刷部品103から取り外すことができる。本開示と一致する他の例示的なシステムでは、バッキング物品8は、印刷プロセスの前に事前製造される。本開示と一致する別の例示的なシステムでは、バッキング物品8は印刷プロセス中に製造される。本開示と一致する他の例示的なシステムでは、バッキング物品8を新しいフィラメント9に含めることができる。本開示と一致する別の例示的なシステムでは、バッキング物品8を既存の堆積層13に含めることができる。本開示と一致する他の例示的なシステムでは、バッキング物品8は新しいフィラメント9に含まれない。本開示と一致する他の例示的なシステムでは、バッキング物品8は、既存の堆積層13に含まれない。
【0058】
一例であり限定ではないが、本開示と一致する使用に適したバッキング物品の例は、限定するものではないが、印刷ヘッド用に予め製造された付属品として供給される鋼粒子で充填された軟質ゴムパッドの小片を含む。これらの小さなゴムパッドは、3D印刷部品103から取り外すことができ、印刷プロセスが終了した後に取り出すことができる。そのような小片のゴムパッドは再利用可能であり得、必ずしも3D印刷プロセス後に3D印刷部品103の一部にはならない。本開示と一致する1つの例示的なシステムでは、鋼性の繊維または粒子は、新しいフィラメント9への、または新しいフィラメント9からの特定の種類のポリママトリックスに充填されてもよく、それによってちょうどフィラメント出力ポート2から押し出しながら新しいフィラメント9とバッキング物品8の2つの役割を有する新しいフィラメントを確立することができる。その後、第2の新しいフィラメント9を第1のフィラメントの上に堆積させることができ、第1のフィラメントは今や既存の堆積層13とバッキング物品8の2つの役割を担う。この例示的な構造では、バッキング物品8は3D印刷部品103の一部となる(第1のフィラメント層が除去されない場合)。
【0059】
他の例示的なシステムによれば、鋼性の繊維または粒子を含有する第1のフィラメント層は、3D印刷部品の他の部分の役割を損なうことなくポリママトリックスのそのような除去を達成できる限り除去される。例えば、水溶性ポリマを第1の鋼充填フィラメントのポリママトリックスとして使用し、続いて印刷プロセスの後に水で溶解することができる。この例示的なシステムによれば、これらのポリマが水によって洗い流されないように、他のフィラメント中の異なる種類のポリマを使用することができる。
【0060】
他の例示的なシステムによれば、第1のフィラメントのポリママトリックスは、pH感受性であるか、または特定の環境にさらされた後に分解し得る。当業者には、この目的のためにも使用され得る他の水溶性工具材料が知られていよう。第1のフィラメントの除去は、3D印刷プロセス中、3D印刷プロセス後、または3D印刷部品の使用中に、例えば第1の鋼充填フィラメントが3D部品と共に残っている場合に達成することができ、その磁場応答特性を使用して、組み立てプロセス中または(誘導加熱層としての)結合線の亀裂を直している間に、3D印刷部品103を他の部品と接着接合するのを助けることができる。
【0061】
本開示と一致する他の例示的なシステムによれば、磁気応答特性を使用して印加磁場によってクランプ力を発生させることができる。例えば、印刷ヘッド1が損傷3D印刷部品103の上に修理を印刷するために使用され、損傷部品がその中にこの磁気応答層(すなわちバッキング層8)を有する場合、印刷ヘッド1を使用して、損傷部品を修理するために損傷領域の上に新しいフィラメントを圧縮して結合することができる。この場合、修理プロセスの前に損傷領域を最初にクリーニングする必要がある。
【0062】
本開示と一致する他の例示的なシステムによれば、修理プロセスのための新しいフィラメントは、部品103の元のフィラメントと同じ種類のフィラメントである。本開示と一致する他の例示的なシステムによれば、修理プロセスのための新しいフィラメントは、部品103の元のフィラメントとは異なる種類のフィラメントである。例えば、元のフィラメントが炭素繊維強化エポキシである場合、損傷層を除去し、修理のために同じ炭素繊維強化エポキシを印刷することができる。一方、炭素繊維強化エポキシ層の損傷が部品103の浅い表面層の亀裂(剥離または割れなど)のように最小である場合、樹脂フィルムフィラメントを損傷領域に印刷して押し付け、部品103を修理するために補修用樹脂を亀裂に流し込んで埋めることができる。
【0063】
本開示と一致する他の例示的なシステムによれば、鋼性の繊維または粒子を含有する第1のフィラメントは、3D印刷部品には残らない。例えば、鋼性の繊維または粒子が何らかの理由で3D印刷部品の最適化された機能に干渉する場合である。例えば、鋼は部品の重量を増やし、使用中に錆びることがある。さらに、ステンレス鋼は膨張性があり、市場分析に応じて費用対効果に合わない場合がある。
【0064】
バッキング物品8が新しいフィラメント9にも既存の堆積層13にも含まれていない場合、バッキング物品搬送機構を印刷システムに含めて、バッキング物品8を印刷ヘッド1の近くに配置し、場7によって捕捉することができる。限定ではなく単なる例として、本開示での使用に適したバッキング物品搬送機構は、これらに限定されないが、バッキング物品8を印刷ヘッド1の近くに搬送するための補助ロボットまたはそのアーム、バッキング物品8を近くの目標領域に発射するための発射装置、目標領域の近くに小さいバッキング物品を噴霧する(または吹く)ための噴霧器(または送風機)、またはより長い距離からバッキング物品8を引き付けるための非常に強い場7、またはそれらの任意の組み合わせを含む。例えば、近くのトレイからバッキング物品8をピックアップするために場7の強度を高めることができる。別の例は、補助ロボット(またはロボットアーム)に場7と同じ場も放射させ、バッキング物品8を印刷ヘッド1の近くに搬送し、バッキング物品8を取り除くために印刷ヘッド1からの場強度を徐々に増加させることである。本開示と一致する別の例示的なシステムによれば、印刷ヘッド1がバッキング物品8を補助ロボット(またはロボットアーム)に渡すことを可能にするために、プロセスが逆にされる。
【0065】
印刷ヘッド1は、フィラメントおよび印刷材料の熱管理および固化制御にも対処することができる。そのような制御は、温度、熱、紫外線、超音波、およびレーザによって達成することができる。本開示と一致する1つの例示的なシステムによれば、印刷ヘッド1は、少なくとも1つの冷却構成要素、例えば水冷チャネルまたは熱電冷却器を備える。本開示と一致する他の例示的なシステムによれば、印刷ヘッド1は、加熱のための少なくとも1つのエネルギ源を備え得る。適切なエネルギ源の例は、これらに限定されないが、電気加熱素子、UVランプ、超音波源加熱、誘導加熱素子、マイクロ波加熱素子、またはレーザ源を含む。新しいフィラメント9が導電性材料を含有する場合、誘導加熱は、新しいフィラメント9の厚さにかかわらず、新しいフィラメント9の均一で速い加熱に非常に効果的であり得ることに留意されたい。
【0066】
1つの例示的なシステムによれば、誘導加熱は、厚い新しいフィラメント9を加熱するために使用され、新しいフィラメント9は導電性である。本開示と一致する別の例示的なシステムでは、印刷ヘッド1は、新しいフィラメント9と既存の堆積層13との間の最良のバインディング結果を達成するために、既存の堆積層13に予熱または予冷を施す能力を有する。本開示と一致する別の例示的なシステムでは、既存の堆積層13を予熱または予冷する能力を使用して、熱応力、ポリマ収縮による応力、相変化起因の収縮による応力など、プロセス起因の残留応力を低減する。
【0067】
本開示と一致する1つの例示的なシステムでは、バッキング物品8は既存の堆積層13とは異なる。しかしながら、本開示と一致する別の例示的なシステムでは、バッキング物品8も既存の堆積層13とすることができる。したがって、場は、既存の堆積層13に力を直接誘起する。例えば、真空の吸引(圧力場)を使用して、固体の不透過性の既存の堆積層13を局所押圧面6に向かって引っ張り、固体の不透過性の既存の堆積層13に新しいフィラメント9を圧縮して堆積することができる。あるいは、堆積層13がかなりの量の鉄量を含有する場合は、磁場を直接印加して同じ結果を達成することができる。
【0068】
弱い場の誘起力は、最適な材料圧縮制御およびクランプ力を提供することができない場合がある。したがって、場の誘起力は、上述したように本開示の本質的な能力を達成するために有意な材料圧縮制御およびクランプ力を生み出すために十分に強い必要がある。本開示と一致する1つの例示的なシステムでは、局所場エミッタ3によって放射される場は、局所押圧面6を貫通する。本開示と一致する別の例示的なシステムでは、局所場エミッタ3によって放射された場7は、局所押圧面6を貫通しない。本開示と一致する別の例示的なシステムでは、局所場エミッタ3によって放射された場7は、周囲領域に印加され、局所押圧面6を貫通しない。
【0069】
既存の堆積層13が(空気などの流体に対して)透過性である場合には、場7、(真空)圧力場、およびバッキング物品8は、非多孔質膜材料で作ることができる。しかしながら、磁場および鉄含有バッキング物品は、圧力場に基づく手法よりも効果的であり得ることが想定される。バッキング物品8に対してより能力の高い制御を生み出すためには、圧力場を磁場と共に使用することの組み合わせが望ましい場合がある。
【0070】
中空物体を3D印刷することが望ましい場合がある。本開示と一致する1つの例示的なシステムによれば、バッキング物品8は、新しいフィラメント9と既存の堆積層13との間のキャビティ内に封入することができる。これは、新しいフィラメント9の印刷された堆積と既存の堆積層13との間に開いた中空の間隙を作り出し、それによって中空エンベロープ/キャビティの3D印刷を可能にする。キャビティ内に封入されたバッキング物品8は、3D印刷された物体の内側に残されるか、または部品が印刷された後に取り除かれ得る。例えば、バッキング物品8として小さいステンレス鋼球を使用し、バッキング物品を使用して中空3D部品を印刷する場合、中空3D印刷部品を通る小さな開口部を介してボールを取り出すことができる。
【0071】
局所押圧パッド5および局所押圧ユニット4はまた、多くの追加の特徴を組み込むこともできる。局所押圧パッド5は、真空を引くかまたは過剰な樹脂マトリックスもしくは空気(または揮発性ガス)を除去するのを助けるために、多孔性またはいくつかの真空チャネルを有し得る。局所押圧ユニット4はまた、新しいフィラメント9および既存の堆積層13およびそれらの間の結合界面の物理的または化学的特性を検出するためのセンサも有し得る。本開示における使用に適した特性は、これらに限定されないが、材料硬度、空隙、温度、ポリママトリックスの硬化度、厚さ、繊維体積分率、モジュラス、およびレオロジー挙動を含む。本開示における使用に適したセンサは、これらに限定されないが、超音波センサ、音響エミッションセンサ、熱電対、誘電体センサ、材料硬度センサ、および小型顕微鏡レンズ/カメラを含む。
【0072】
印刷ヘッド1はセンサを内蔵することもできる。例えば、印刷ヘッド1は、印刷領域の近くの温度を監視し、加熱および冷却管理(予熱および予冷を含む)を補助するためのサーモグラフィカメラを組み込むことができる。印刷ヘッド1はまた、部品を印刷している空間における自身の位置を決定することができるセンサを組み込むことができる。例えば、視覚センサは、新しい3D印刷部品を印刷するように割り当てられている狭い作業空間内で周囲に当たる(または干渉する)ことを回避するために、印刷ヘッド1がその相対位置を検出することを可能にする。本開示の重要な特徴の1つは、プラットフォームまたは支持媒体チャンバを必要としないことである。これは、最初に3D部品を現場から離れた場所(オフサイト)で印刷してからその部品を現場に出荷するのではなく、3D部品を現場にて(オンサイト)印刷する能力を可能にするため、重要である。したがって、本開示のオンサイト3D印刷能力は、そのような実用的なシナリオにとって非常に有用であろう。また、現場の状況に合わせて3D印刷部品を修正する必要がある場合は、オンサイト印刷能力を簡単に実現することができる。
【0073】
本開示と一致する1つの例示的なシステムによれば、印刷ヘッド1は、例えば、印刷ヘッド1によって放射された信号または場に応答することができるセンサまたは/およびアクチュエータモジュールまたは小粒子または繊維を追加するなど、部品に埋め込まれたまたは堆積された1つまたは複数の機能モジュールを介して3D印刷部品103と相互作用するための機構を追加する。粒子または繊維は、バーコード、QRコード、線形コードなどの迅速な識別に適した任意のパターンに配置することができる。一例は、印刷プロセス中にモジュールによって測定された(表面温度とは対照的な)部品内部の温度を得ることである。別の例は、識別読取機構を利用していくつかのモジュールの識別番号を検索することであり、これらのモジュールは、戦略的な場所に配置され、3D印刷プロセスおよび/または後の組み立ておよび/または二次加工(切断、トリミングなど)の際に、部品の重要な位置の特定を補助するように設計される。モジュールから収集されたその他の任意のパラメータは、製造プロセスを補助するために使用することができ、一意のモジュール識別番号で登録することができる。各3D印刷部品103が一意のモジュール識別番号を有するモジュールを有する場合、3D印刷部品103の完全な製造履歴を記録し、そのデータを品質管理、サービス、および修理のための基準として使用することができる。
【0074】
本開示と一致する別の例示的なシステムでは、前述の機構(印刷ヘッド1が1つまたは複数の機能モジュールを介して3D印刷部品103と相互作用するための)をセキュリティ保護として使用することができる。印刷ヘッド1と3D印刷部品103との間の相互作用機構が3D印刷および後の組み立て、サービスまたは修理の間に必要なステップである場合には、まず、印刷ファイルを検証するためのこれらのモジュールを取得しないと、他の人は、(たとえ印刷ファイルを有していたとしても)最初に3D部品設計IP所有者から本物のモジュールを取得しないと3D部品を成功裏に印刷することができない。次に、ハッカーが悪意を持って3D印刷の設計ファイルを変更した場合、すべての主要モジュールとモジュール識別番号に関連して記録された履歴とを望ましい製造公差内で一致させる見込みは、依然として非常に低く、いずれにせよ製造システムによって容易に検出される。例えば、ハッカーが印刷ヘッド1の移動経路を変更して、フィラメント堆積経路がモジュールAからモジュールBへ移動するという当初設計された経路ではなく、モジュールAからモジュールCへ移動するように変更されると、ハッカーが変更した印刷経路の下でモジュールA、B、Cによって登録された温度履歴は、大幅に異なる加熱シーケンス/タイミングの元の設計の下でモジュールA、B、Cによって登録された温度履歴と明らかに異なる。誘電特性、超音波応答などのようなより多くの物理的パラメータも履歴に含む場合、経路が悪意を持って変更されているかどうかを検出することはさらに容易になる。そのような機能モジュールを10個配備すると、悪意を持って印刷経路を変更して、システムによって発見されずにこれらの不良部品が印刷されるのを見ることは極めて困難になる。例えば、炭素繊維複合材部品が印刷される場合、その元のプライシーケンス(すなわち各プライの繊維方向)は一般に、特定の負荷環境に関して弾性応答(振動、疲労、プライ関連破損モードなど)における特定の基準を達成するように慎重に設計される。さらに、例えば、(約30層以上の繊維層を有する厚さ3mmの飛行機の表皮の典型的な複合材料について)ハッカーが内層の繊維方向を変え、目に見える表面層の繊維方向を変えないままにした場合、セクションごとに破砕してテストしない限り、どのテストでも検出することは非常に困難である。これは、おそらく、新しい部品を作るよりも広範囲で時間がかかる。本開示のこの実施形態によって可能になるセキュリティは、許可なしに印刷ファイルを変更して印刷することについてハッカーの悪意のある攻撃を阻止するのに非常に役立つであろう。
【0075】
3D印刷ワークピースにおける知的財産コンプライアンスを検証する方法の例示的実施形態は、3Dプリンタを使用したワークピースの印刷中にワークピース内にIDモジュールを印刷することを含む。その後、IDモジュールが読み取られIDコードが取得され、これが認証サーバに送信される。次いで、肯定的または否定的な認証を示す認証信号が認証サーバから受信される。IDモジュールが読み取られるタイミングに応じて、この方法はさまざまな種類の知的財産の検証に使用することができる。
【0076】
例えば、IDモジュールは、ワークピースの設計が海賊版ではないことを保証する手段として、印刷プロセス中に読み取られることがある。一旦IDモジュールが印刷されると、IDモジュールが読み取られ、そしてIDコードが認証サーバで検証されて、設計ファイルが許可されたユーザによって使用されることを保証する。許可信号が肯定的であれば、印刷を続けることができる。許可信号が否定的である(設計ファイルが海賊版であることを意味する)場合、印刷は中止される。海賊版設計ファイルを破壊するために海賊版設計ファイルに上書きすること、第三者に海賊行為通知を送信すること、既に印刷されたワークピースの一部を印刷ヘッドに破壊させること、または3Dプリンタのファームウェアを上書きすることなど、否定的な許可信号に対する追加の応答が使用され得る。
【0077】
肯定的な認証信号は、追加のアクションをトリガーし得る。例えば、IDコードに関連するライセンシーが識別されることができ、ワークピースを印刷するためのライセンシーのアカウントに使用料を徴収することができる。別の例として、記録はワークピースから作成され得、ワークピース保管のチェーン内の当事者(例えば、商品を認証したい買い手)によって調査されることができる。
【0078】
この方法はまた、自動化された品質管理(QC)を実行して、ワークピースにおける原因不明の設計偏差をチェックするためにも使用され得る。そのような方法では、ワークピースの構造および寸法は、1つまたは複数のモジュールの位置を決定し、その位置をQCサーバに報告することによってチェックすることができ、それによってワークピースが正しく製造されたことを保証する。例えば、本方法のいくつかの実施形態では、第1のIDモジュールはワークピースの第1の位置に印刷され、第2のIDモジュールはワークピースの第2の位置に印刷される。次に、第1および第2のIDモジュールの位置がプリンタまたは他のローカル装置によって検出され、その位置がQCサーバに送信される。次いで、QCサーバは、ワークピース内の第1および第2のモジュールの位置をワークピースの設計におけるそれらの意図された位置と比較し、QC確認信号を送信する。このアプローチは、プリンタハードウェアの欠陥、プリンタソフトウェアの欠陥、設計ファイルの不正コピー、およびプリンタソフトウェアまたは設計ファイルの悪意のある改ざんなど、複数の原因から発生するワークピースの欠陥を説明するために使用することができる。一般に、特定の許容誤差範囲内で、ある程度の偏差は許容される。本方法のいくつかの実施形態では、QC確認信号は、第1および第2のIDモジュールの相対位置が第1および第2のIDモジュールの相対位置についての設計仕様の許容範囲内にあるかどうかを通信する。
【0079】
この方法はまた、商取引の流れの中でワークピースを入手した当事者が、そのワークピースが不正な偽造物(「模倣品」)ではないことを検証するためにも使用することができる。そのようなバージョンの方法では、IDモジュールはワークピースを入手する当事者によって読み取られ、IDコードは認証サーバに送信される。認証サーバは、模倣の兆候についてIDコードをチェックする。そのような兆候には、IDコードが別のワークピースについて既に報告されていること、IDコードがライセンスを受けたワークピースのIDモジュールに使用されたことのある記録の欠如、および模倣ワークピースに関連するIDコードの記録が含まれる。模倣の1つまたは複数の兆候が見つかった場合、模倣信号を入手する当事者に送り返すことができる。
【0080】
プリンタと削除サーバ(例えば、認証サーバとQCサーバ)との間の通信を伴う方法の任意の実施形態では、送信者および/または受信者を認証するため、または通信を暗号化するためにセキュリティ対策を講じることができる。例えば、一方または両方の当事者が、送信者の識別子を認証する安全な証明書を送信することができる。さらに、送信者の秘密鍵を使用して任意の信号を暗号化することができ、送信者の公開鍵を使用して信号を復号することができる。
【0081】
本開示と一致する特定の実施形態では、3D印刷部品上の印刷ヘッド1のより相対的な動き制御を追加するために、1つまたは複数の補助ローラ15を印刷ヘッド1上に追加することができる。1つの例示的なシステムでは、補助ローラ15は印刷ヘッド1に接続される。他の例示的なシステムでは、補助ローラ15は、適切な場合局所押圧ユニット4に接続される。補助ローラ15を移動させて、既存の堆積層13上または/および新しいフィラメント9上の3D印刷部品103を押し、局所押圧面6上の圧力を低減および制御するのを補助することができる。補助ローラ15の他の主な用途は、局所押圧面6と既存の堆積層13との間の正確な間隙(すなわち距離)を制御することによって、新しいフィラメント9の正確な厚さを制御することである。必要な場合、補助ローラ15はまた、局所押圧パッド5を3D印刷部品103の表面から持ち上げるのを補助することができる。本開示の一実施形態では、少なくとも1つの補助ローラ15は、1つまたは複数のモータによって駆動される。したがって、補助ローラ15は、3D印刷部品の表面上を移動する印刷ヘッド1への追加の押し力または引きずり力を制御することができる。補助ローラ15によるこのような押しまたは引きずり制御はまた、新しいフィラメント9に加えられる張力を制御するために、テンショナ10および印刷ヘッド位置制御機構12を補助することもできる。補助ローラ15は電動化されることが好ましい。
【0082】
印刷ヘッド1は、単一の新しいフィラメント9または複数の新しいフィラメント9を取り扱うことができる。印刷ヘッド1は、単一の新しいフィラメント出力ポート2または複数のフィラメント出力ポート2を有し得る。印刷ヘッド1は、1種類の新しいフィラメント9または複数種類のフィラメント9を使用することができる。
【0083】
印刷ヘッドにより可能となった新規な印刷方法およびシステム
印刷ヘッド1は、従来の3D印刷方法と比較して異なる3D方法を取り、(他の付加製造方法で必要とされる)プラットフォームまたは支持媒体チャンバに頼ることなくフィラメントを(一般に)3D部品に直接印刷することを可能にする。本開示と一致する1つの例示的な実施において、新規の自由曲面構造(FFCS)印刷方法が本明細書において以下に記載される。
図3(a)および
図3(b)は、説明の目的でのみ使用されており、決して本発明を限定することを意図していない。
【0084】
図3は、印刷ヘッドを使用して湾曲形状部品を印刷する方法の説明図である。
【0085】
要素1:印刷ヘッド1。
図3では、上記の開示で記載されたそのすべての機能を有すると仮定される。
【0086】
要素8:場7に応答し、場7と協働してバッキング物品に場の誘起力を発生させることができるバッキング物品。
【0087】
要素12:印刷ヘッド1の位置(座標および角度)を制御するためのロボットアームなどの印刷ヘッド位置制御機構。
【0088】
要素101:3D印刷プロセス中に印刷されている3D印刷部品103を固定するために使用されるアンカーユニット。
【0089】
要素101-1:アンカーユニット101の位置を制御するためのアンカー位置制御機構。これは、ロボットアーム、地面に固定されたトラス、または周囲の環境などであり得る。
【0090】
要素101-2:アンカーユニットが印刷部品を保持するのを助けるための結合パッド。これは、アンカーユニット101とそれ自体との間に3D部品103をクランプするために効果的なクランプ力を提供するために使用され得る。
【0091】
要素103:3D印刷部品。これは、まだ3D印刷プロセス中の場合は、印刷中の部品の一部になり得る。
【0092】
要素105:印刷ヘッド1の移動方向。
【0093】
要素107:印刷ヘッド1および印刷ヘッド位置制御機構12を制御するためのコントローラ。
【0094】
3D部品103を印刷するために、1つ以上の印刷ヘッド1は、最初に、
図3(a)に示すように、アンカーユニット101によって固定されている一端を有する新しいフィラメント9のセクションを供給する。アンカーユニット101は、その位置を精密に制御するためのアンカー位置制御機構101-1を有する。結合パッド101-2は、アンカーユニット101が固化した新しいフィラメント9を効果的にクランプするのを助けるために使用することができる。印刷ヘッド1は、少なくとも1つのバッキング物品8を制御するために局所場エミッタ3から場7を放射し、少なくとも1つの局所押圧ユニット4と協働して新しいフィラメント9の位置(すなわち座標および角度)および圧縮を制御し、一旦印刷ヘッド1を出た新しいフィラメント9が所望の形状および圧縮で固化されるように上述した特徴として新しいフィラメント9を成形して固化させことによって機能する。上述のように新しいフィラメント9の張力を制御することもできることに留意されたい。印刷ヘッド1の局所押圧ユニット4および場エミッタ3による形状および圧縮制御の下で、印刷ヘッド1を移動させ、3次元空間内の設計経路に沿って徐々により多くの新しいフィラメント9を回転させて固化させることによって、3D部品103のより多くの堆積層を生成することができる。より多くの新しいフィラメント9を堆積させるための徐々に進展する印刷経路を用いてこの手順を繰り返すことによって、
図3(b)に示すように、3D印刷部品103を成長させ、既存の堆積層13の上部により多くの新しいフィラメント9を堆積させることができる。
図3(b)に示すように、適切な場合、複数組のアンカーユニット101を使用して、3D印刷部品103をよりよく支持することができる。3D印刷部品103のサイズが単一のアンカーユニット101で保持するには大きくなり過ぎる場合には、単一の組の強力で拡張性のあるアンカーシステムと比較して複数の組のアンカーシステムが非常に有用かつ費用効果的である。
【0095】
1つの例示的な実施によれば、アンカーユニット101は、結合パッド101-2を引き付け、その結果強いクランプ能力を提供するために局所場(磁場など)を使用することができる。別の例示的な実施によれば、アンカーユニット101は、アンカーユニット101を3D印刷部品103の異なる相対位置に移動させるために、クランプ力を解放(または低減)することによって、3D印刷部品103におけるその固定位置を移動して、3D印刷部品103を固定するためにその強いクランプ力を再開することができる。他の例示的な実施によれば、印刷ヘッド1はまた、3D印刷部品101を固定するためのアンカーシステムとして使用することもできる。上述のように、アンカーユニット101による支持と共に、それぞれの設計された新しいフィラメント9の配置経路に沿って移動し、既存の堆積層13を押し出された新しいフィラメント9に対して圧縮するように印刷ヘッド1を適切に制御することによって、モールドまたは支持媒体チャンバを使用せずに3D部品103を印刷することができる。
【0096】
1つの例示的な実施によれば、3D印刷システムは1つの印刷ヘッド1を有する。他の例示的な実施によれば、3D印刷のために複数の印刷ヘッド1が協働することができる。例えば、x個のロボットアーム(xは1、2、3…などとすることができる)によって制御されるx個の印刷ヘッド1を有し、コントローラ107のコマンドまたは複数のコントローラ107の協調したコマンドの下で一緒に動作することができる。各印刷ヘッド1は、新しいフィラメント9を堆積すること、アンカーユニット101として働くこと、埋め込まれた機能モジュール(無線センサモジュールまたはアクチュエータモジュールなど)と相互作用すること、3D印刷部品の製造パラメータを感知すること、(前述の視覚センサおよびサーモグラフィカメラを介するなどして)周囲環境を感知すること、情報をコントローラ107に送信すること、またはそれらの任意の組み合わせの役割を果たすことができる。他の例示的な実施によれば、コントローラ107は、印刷される部品の設計を分析し、3D部品を印刷するために単一の印刷ヘッド1または複数の印刷ヘッド1のいずれかを動作させるための最適化されたコマンドを生成することができる。
【0097】
バッキング物品8が新しいフィラメント9にも既存の堆積層13にも含まれていない場合、バッキング物品8を印刷ヘッド1の近くに配置するのを助けるバッキング物品搬送機構を印刷アセンブリに含めて、バッキング物品8が場7によって捕捉されるようにすることができる。バッキング物品搬送機構の適切な例は、これらに限定されないが、バッキング物品8を印刷ヘッド1の近くに搬送するための例えばドローン(またはロボットアーム)などの補助ロボット、バッキング物品8を目標領域の近くに発射するための発射装置、目標領域の近くに小さいバッキング物品を噴霧する(または吹く)ための噴霧器(または送風機)、バッキング物品8をより遠くから引き付けるための非常に強い場7、および前述のアプローチの任意の組み合わせを含む。1つの例示的な実施では、アンカーユニット101は、結合パッド101-2を引き付けるために局所場(磁場など)を使用することができ、結合パッド101-2は、バッキング物品搬送機構と同じ方法で搬送することができる。
【0098】
一部の状況では、いくつかの材料は重くて柔らかい可能性があり、したがって部品の厚さが薄く、他の寸法(すなわち長さおよび幅)の少なくとも1つが長い場合、固化したフィラメントおよび層は自身を支持できない。言い換えれば、3D印刷部品103の特定の部分が垂れ下がり、その相対位置を保持するのに十分堅くない可能性がある。これは、2つのアンカー位置間のスパンを減らすためにより多くのアンカーユニット101を使用することによって軽減することができる。設計修正が許されるなら、長さと幅を増やすために動く前に印刷された部分の剛性が十分に強くなるように印刷する(通常は厚さを増すことは部分をより硬くする)ほうがよい。一方、印刷ヘッド1の1つの重要な特徴は、この懸念を処理するための暗黙の解決策を既に有していることである。前述のように、印刷ヘッド1は、識別情報読み取り機構を使用して、いくつかのモジュールの識別番号を検索することができ、モジュールは、戦略的位置に配置され、3D印刷プロセス(または/および後に組み立てる、または/および二次加工、例えば切断、トリミングなど)の間に部品の重要な位置を見つけるのを助けるように設計されている。モジュール識別番号を部品設計ファイル内の対応する正しい位置と関連付けることができるので、モジュールの近くの設計された経路をたどることによって、垂れ下がっている既存の堆積層13の上に新しいフィラメント9を依然印刷することができ、バッキング物品8を使用して垂れ下がった既存の堆積層13を新しいフィラメント9と結合される正しい位置に戻すことができる。
【0099】
1つの例示的な実施によれば、複数の印刷ヘッド1または複数の可動アンカーユニット101を追加して、堆積させるべき新しいフィラメント9の設計された場所の近くで垂れ下がった(または柔らかい)3D部品103の材料の局所的な伸張および位置制御を実行することにより、結果をさらに向上させることができる。その目的は、印刷ヘッド1が作用するために、垂れ下がった3D部品から区分的に正確に位置決めされかつ十分に拡張された平面を形成することである。各印刷ヘッド1はまた、相対的に移動することができる複数の局所押圧ユニット4も備え得る。複数の局所押圧ユニット4はまた、複数の印刷ヘッド1または複数の可動アンカーユニット101を使用するのと同様の貢献も提供することができる。さらに、電動補助ローラ15は、局所押圧ユニット4の下で垂れ下がった部分を正確に動かすのを助けることもできる。すなわち、印刷ヘッド1の方法は、モールドおよび支持媒体チャンバがなくても、軟質材料の任意の部分で作られた3D部品の印刷を可能にすることができる。
【0100】
別の例示的な実施によれば、コントローラ107は、部品103の設計された3D印刷手順を処理し、印刷ヘッド位置制御機構12および印刷ヘッド1(フィラメント出力ポート2、場エミッタ5、および局所押圧ユニット4を含む)を制御して3D部品103を成功裏に印刷するために使用される。1つの例示的な実施では、コントローラ107は、少なくとも1組のアンカーユニット101およびアンカー位置制御機構101-1を制御するために使用される。別の例示的な実施では、コントローラ107は、印刷ヘッド1によって感知されたデータを分析し、その次のステップの制御コマンドにおける必要な調整のためにそのデータを元の設計と比較する。ほんの一例として、印刷ヘッド1によって感知されたデータは、3D印刷部品103に埋め込まれた少なくとも1つの機能モジュールの識別番号を含み得る。別の例示的な実施によれば、コントローラ107は、印刷ヘッド1によって感知されたデータを3D印刷部品103の加工履歴データに記録する。別の例示的な実施によれば、3D印刷部品103の加工履歴データは、少なくとも1つの機能モジュールに対応するパラメータを含む。
【0101】
新しい3D部品を印刷することに加えて、バッキング物品8または(新しいフィラメント9を損傷部分に圧縮および結合するために有効な場の誘起力を生み出すことができる)同等のものが部品の損傷した部分に与えられると、この方法は損傷部分の修理にも適用できる。例えば、バッキング物品8が損傷部分の既存の堆積層13に含まれる場合、損傷部分に新しいフィラメント9を印刷して損傷部分を修理または改造するために印刷ヘッド1を使用することができる。バッキング物品8と印刷ヘッド1とが協働して、新しいフィラメント9を損傷領域の損傷部分に圧縮して結合する。3D印刷修理の前に、事前のクリーニングと表面処理(表面の研磨やゴミの除去など)が必要になる場合があることに留意されたい。一方、バッキング物品8が損傷部分の既存の堆積層13に含まれていない場合、上述したのと同じ圧縮および結合の効果を達成するために、損傷部分に少なくとも1つのバッキング物品8を供給し、印刷ヘッド1と協働して損傷部分に新しいフィラメント9を印刷して損傷部分を修理または改造することができる。1つの例示的な実施によれば、この方法は、新しい部品を製造するために使用することができる。別の例示的な実施において、この方法は、損傷した部品を修理するために使用することができる。
【0102】
もちろん、前述のものの変形および修正は本開示の範囲内である。本発明を説明する文脈における(特に以下の特許請求の範囲の文脈における)用語「1つの(a)」および「1つの(an)」および「その(the)」および類似の指示対象の使用は、本明細書で他に指示がない限り、または文脈によって明らかに否定されない限り、単数形および複数形の両方を網羅すると解釈されるべきである。用語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、および「含有する、収容する(containing)」は、特に断りのない限り、オープンエンドの用語(すなわち、「含むが、限定されない」を意味する)として解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書において別段の指定がない限り、単にその範囲内に含まれる各個別の値を個々に指す簡潔な方法として役立つことを意図しており、それぞれ別々の値は、あたかも本明細書に個々に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載のすべての方法は、本明細書に別段の指示がない限りまたは文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実行することができる。本明細書で提供されるありとあらゆる例、または例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、単に本発明をよりよく明らかにするためのものであり、特に記載のない限り本発明の範囲を制限するものではない。本明細書中のいかなる言語も、特許請求されていない要素を本発明の実施に必須であると示すと解釈されるべきではない。
【0103】
本発明を実施するために本発明者が知っている最良の形態を含め、本発明の好ましい実施形態が本明細書に記載された。これらの好ましい実施形態の変形は、前述の説明を読めば当業者には明らかになるであろう。本発明者は、当業者がそのような変形を適切に行うことを期待し、そして本発明者は本明細書に具体的に記載されたものとは別の方法で本発明を実施することを意図する。したがって、本発明は、適用法によって許容されるように、本明細書に添付の特許請求の範囲に列挙されている主題のすべての修正形態および均等物を含む。さらに、そのすべての可能な変形形態における上記の要素の任意の組み合わせは、本明細書中に別段の指示がない限りまたは文脈によって明らかに矛盾しない限り、本発明に包含される。