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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-22
(45)【発行日】2022-08-01
(54)【発明の名称】負荷試験装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/34 20200101AFI20220725BHJP
【FI】
G01R31/34 E
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018004793
(22)【出願日】2018-01-16
(65)【公開番号】P2019124557
(43)【公開日】2019-07-25
【審査請求日】2021-01-08
(73)【特許権者】
【識別番号】391028328
【氏名又は名称】株式会社辰巳菱機
(74)【代理人】
【識別番号】100082658
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 儀一郎
(72)【発明者】
【氏名】近藤 豊嗣
【審査官】島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-049015(JP,A)
【文献】国際公開第2015/075885(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3160347(JP,U)
【文献】特開2009-210732(JP,A)
【文献】特開2008-046842(JP,A)
【文献】特開2016-017486(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0328657(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体内に複数本の抵抗棒を配置して構成した抵抗部と、該抵抗部の下側に配置した冷却ファンを有して構成され、前記抵抗部は複数本の抵抗棒を水平方向に配置して1つの抵抗棒群を形成すると共に、該抵抗棒群を複数段積み重ねて構成され、抵抗部の側面には抵抗棒の端部に設けられた取付部が取付保持される取付板と前記抵抗棒の軸方向と平行する側面に設けられた覆い板により抵抗部の側面が覆われた負荷試験装置であり、
前記抵抗棒の両端に設けられた取付部が取付保持される取付板は、一方側の取付板が前記抵抗部の側面全体を覆う大きさで、前記取付部が貫通して取付保持される取付穴が複数穿設されて構成され、他方側の側面全体を覆う取付板は前記1つの抵抗棒群を取付保持する取付板を抵抗棒群の数にあわせて複数枚の取付板で構成し、これを積み重ねて形成されてなり、
前記取付板に取付保持される前記抵抗棒の取付部先端側にはキャップ状のセンサー部材が装着され、前記センサー部材は、熱を検知して、色が変化する部材により形成され、あるいは熱で色が変化する発光塗料が塗布されて形成されて前記取付板から外側に露出し、外部より可視出来る構成とされ、
該センサー部材は、前記抵抗棒の両端部が配置されている側の枠体両外側面に取り付けられた保護板によりカバーされてなると共に、前記保護板は前記センサー部材の色変化が認識できる色に形成された、
ことを特徴とする負荷試験装置。
【請求項2】
枠体内に複数本の抵抗棒を配置して構成した抵抗部と、該抵抗部の下側に配置した冷却ファンを有して構成され、前記抵抗部は複数本の抵抗棒を水平方向に配置して1つの抵抗棒群を形成すると共に、該抵抗棒群を複数段積み重ねて構成され、抵抗部の側面には抵抗棒の端部に設けられた取付部が取付保持される取付板と前記抵抗棒の軸方向と平行する側面に設けられた覆い板により抵抗部の側面が覆われた負荷試験装置であり、
前記抵抗棒群は、奇数段目の抵抗棒群の抵抗棒の間に偶数段目の抵抗棒群の抵抗棒が配置されるように複数段積み重ね、奇数段目と偶数段目の前記抵抗棒群における抵抗棒の位置が重ならないように配置し、
前記抵抗棒の両端に設けられた取付部が取付保持される取付板は、一方側は前記抵抗部の側面全体を覆う大きさで、前記取付部が貫通して取付保持される取付穴が複数穿設された第一取付板で構成し、他方側は前記抵抗棒群の数にあわせた複数枚の第二取付板で構成し、該第二取付板は前記1つの抵抗棒群を取付保持する複数の取付穴が設けられて形成され、
前記第二取付板は、偶数段に使用される第二取付板を、奇数段に使用される第二取付板につき180度回転させて使用したとき、奇数段と偶数段の第二取付板における取付穴の位置が重ならない様形成された第二取付板で構成し、奇数段と偶数段の第二取付板につき同じ第二取付板の使用を可能とし、
前記取付板に取付保持される前記抵抗棒の取付部先端側にはキャップ状のセンサー部材が装着され、前記センサー部材は、熱を検知して、色が変化する部材により形成され、あるいは熱で色が変化する発光塗料が塗布されて形成されて前記取付板から外側に露出し、外部より可視出来る構成とされ、
該センサー部材は、前記抵抗棒の両端部が配置されている側の枠体両外側面に取り付けられた保護板によりカバーされてなると共に、前記保護板は前記センサー部材の色変化が認識できる色に形成された、
ことを特徴とする負荷試験装置。
【請求項3】
前記枠体の上下面は開口して形成され、前記冷却ファンの送風導入口、送風排出口として形成されると共に、送風排出口となる前記上面にはメッシュ状の上面保護板により送風排出可能にしてカバーした、
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の負荷試験装置。
【請求項4】
前記枠体の上側に取り付けられた抵抗部と抵抗部の下側に取り付けられた冷却ファンにより構成される負荷試験装置は、前記抵抗部と冷却ファンが水平方向に並べた状態で稼働できる、
ことを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載の負荷試験装置。
【請求項5】
前記抵抗棒の端部に設けられた取付部は、前記取付板の取付穴に装着された絶縁部材を介して前記取付板に取り付けられ、
前記絶縁部材は、前記取付穴を貫通する軸方向に貫通穴を有する絶縁部材本体と該絶縁部材本体の両端部から外側に各々膨出する膨出部とを有して構成され、
前記抵抗棒の取付部が前記貫通穴に挿入されて取付板に取り付けられた、
ことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3または請求項4記載の負荷試験装置。
【請求項6】
前記絶縁部材は、耐熱シリコン部材からなり、該耐熱シリコン部材は、伸縮自在な柔軟性を有し、かつ摩擦抵抗の大きい部材であり、前記貫通穴に挿入された抵抗棒の取付部は前記絶縁部材に圧縮保持され、取付板より離脱不可の構成とされた、
ことを特徴とする請求項5記載の負荷試験装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、非常用発電機などの負荷試験用の負荷試験装置を有する負荷試験装置に係り、特に操作者単独で運搬可能な小型の負荷試験装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来負荷試験装置には、複数の負荷抵抗の直列接続や並列接続の接続条件を選択的に切り替えることで、発電機などの電源の出力に応じた負荷試験を行うようにした、いわゆる乾式負荷試験装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-25752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の負荷試験装置は、抵抗部を覆う覆い板が透明ではなく、あるいは透明でなくとも内部が可視出来る材質の板でないため、内部の異常、例えば抵抗部の内部に取り付けられた抵抗棒の異常を外部より可視出来ないため、異常の検知が遅れてしまうとの課題があった。
【0005】
かくして、本発明は、抵抗部を覆う覆い板を透明材質の取付板にし、あるいは透明でなくとも内部が可視出来る材質の取付板とし、これにより内部の異常、例えば抵抗部の内部に取り付けられた抵抗棒の交換時期の検知や抵抗棒の作動異常を外部より可視出来、もって迅速、かつ確実な負荷試験が行える負荷試験装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の負荷試験装置は、
枠体内に複数本の抵抗棒を配置して構成した抵抗部と、該抵抗部の下側に配置した冷却ファンを有して構成され、前記抵抗部は複数本の抵抗棒を水平方向に配置して1つの抵抗棒群を形成すると共に、該抵抗棒群を複数段積み重ねて構成され、抵抗部の側面には抵抗棒の端部に設けられた取付部が取付保持される取付板と前記抵抗棒の軸方向と平行する側面に設けられた覆い板により抵抗部の側面が覆われた負荷試験装置であり、
前記抵抗棒の両端に設けられた取付部が取付保持される取付板は、一方側の取付板が前記抵抗部の側面全体を覆う大きさで、前記取付部が貫通して取付保持される取付穴が複数穿設されて構成され、他方側の側面全体を覆う取付板は前記1つの抵抗棒群を取付保持する取付板を抵抗棒群の数にあわせて複数枚の取付板で構成し、これを積み重ねて形成されてなり、
前記取付板に取付保持される前記抵抗棒の取付部先端側にはキャップ状のセンサー部材が装着され、前記センサー部材は、熱を検知して、色が変化する部材により形成され、あるいは熱で色が変化する発光塗料が塗布されて形成されて前記取付板から外側に露出し、外部より可視出来る構成とされ、
該センサー部材は、前記抵抗棒の両端部が配置されている側の枠体両外側面に取り付けられた保護板によりカバーされてなると共に、前記保護板は前記センサー部材の色変化が認識できる色に形成された、
ことを特徴とし、
または、
枠体内に複数本の抵抗棒を配置して構成した抵抗部と、該抵抗部の下側に配置した冷却ファンを有して構成され、前記抵抗部は複数本の抵抗棒を水平方向に配置して1つの抵抗棒群を形成すると共に、該抵抗棒群を複数段積み重ねて構成され、抵抗部の側面には抵抗棒の端部に設けられた取付部が取付保持される取付板と前記抵抗棒の軸方向と平行する側面に設けられた覆い板により抵抗部の側面が覆われた負荷試験装置であり、
前記抵抗棒群は、奇数段目の抵抗棒群の抵抗棒の間に偶数段目の抵抗棒群の抵抗棒が配置されるように複数段積み重ね、奇数段目と偶数段目の前記抵抗棒群における抵抗棒の位置が重ならないように配置し、
前記抵抗棒の両端に設けられた取付部が取付保持される取付板は、一方側は前記抵抗部の側面全体を覆う大きさで、前記取付部が貫通して取付保持される取付穴が複数穿設された第一取付板で構成し、他方側は前記抵抗棒群の数にあわせた複数枚の第二取付板で構成し、該第二取付板は前記1つの抵抗棒群を取付保持する複数の取付穴が設けられて形成され、
前記第二取付板は、偶数段に使用される第二取付板を、奇数段に使用される第二取付板につき180度回転させて使用したとき、奇数段と偶数段の第二取付板における取付穴の位置が重ならない様形成された第二取付板で構成し、奇数段と偶数段の第二取付板につき同じ第二取付板の使用を可能とし、
前記取付板に取付保持される前記抵抗棒の取付部先端側にはキャップ状のセンサー部材が装着され、前記センサー部材は、熱を検知して、色が変化する部材により形成され、あるいは熱で色が変化する発光塗料が塗布されて形成されて前記取付板から外側に露出し、外部より可視出来る構成とされ、
該センサー部材は、前記抵抗棒の両端部が配置されている側の枠体両外側面に取り付けられた保護板によりカバーされてなると共に、前記保護板は前記センサー部材の色変化が認識できる色に形成された、
ことを特徴とし、
または、
前記枠体の上下面は開口して形成され、前記冷却ファンの送風導入口、送風排出口として形成されると共に、送風排出口となる前記上面にはメッシュ状の上面保護板により送風排出可能にしてカバーした、
ことを特徴とし、
または、
前記枠体の上側に取り付けられた抵抗部と抵抗部の下側に取り付けられた冷却ファンにより構成される負荷試験装置は、前記抵抗部と冷却ファンが水平方向に並べた状態で稼働できる、
ことを特徴とし、
または、
前記抵抗棒の端部に設けられた取付部は、前記取付板の取付穴に装着された絶縁部材を介して前記取付板に取り付けられ、
前記絶縁部材は、前記取付穴を貫通する軸方向に貫通穴を有する絶縁部材本体と該絶縁部材本体の両端部から外側に各々膨出する膨出部とを有して構成され、
前記抵抗棒の取付部が前記貫通穴に挿入されて取付板に取り付けられた、
ことを特徴とし、
または、
前記絶縁部材は、耐熱シリコン部材からなり、該耐熱シリコン部材は、伸縮自在な柔軟性を有し、かつ摩擦抵抗の大きい部材であり、前記貫通穴に挿入された抵抗棒の取付部は前記絶縁部材に圧縮保持され、取付板より離脱不可の構成とされた、
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、負荷試験装置内部の異常、例えば抵抗部の内部に取り付けられた抵抗棒の交換時期などの検知や抵抗棒の作動異常を外部より容易に可視出来、ひいては確実な負荷試験が行えるとの優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明による負荷試験装置の構成説明図(1)である。
図2】本発明による負荷試験装置の構成説明図(2)である。
図3】本発明による負荷試験装置の構成説明図(3)である。
図4】本発明による負荷試験装置の構成説明図(4)である。
図5】本発明による負荷試験装置の操作パネルの構成説明図である。
図6】本発明による負荷試験装置の構成説明図(5)である。
図7】本発明による負荷試験装置の動作を説明する説明図である。
図8】本発明による負荷試験装置の動作を説明するフローである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明による小型負荷試験装置の実施例を図に基づいて説明する。
【0010】
図1乃至図8に本発明による一実施例の構成を示す。
図において符号20は負荷試験装置を示す。
該負荷試験装置20は、いわゆる低容量、低電圧タイプ発電機の負荷試験装置であり、重量が30kg程度で操作者単独での移動が可能であり、かつ取り扱いが容易なものとなっている。
【0011】
本発明による負荷試験装置は、複数の抵抗棒4を有して構成された抵抗部5とその下に配置された冷却ファン2とを備えて構成されているが、従来技術には見られない斬新なアイディアが各箇所に施され、非常に使い勝手が良く、安全性に優れた負荷試験装置20として構成されている。
【0012】
符号1は、本発明の負荷試験装置20の外形を構成する装置形成枠体である。各図から理解されるように該装置形成枠体1は、略方形枠体状、たとえば縦長四角枠体状の枠体形状として形成されている。本実施例では、若干縦長の四角枠体形状の枠体に枠組みされて形成されているがその形状に限定されない。
【0013】
この方形体状の枠体をなす装置形成枠体1を構成する部材の材質についても何ら限定されないが、耐熱性、耐衝撃性、耐候性に優れた材質であることが好ましい。さらに、絶縁性のあるものであれば尚好ましい。一般的には、金属部材で構成しても構わない。構成例としては、金属製のL型アングルを用い、これを縦長四角枠体形状の枠体に形成することが考えられる。
【0014】
そして、縦長四角枠体形状をなす装置形成枠体1の高さ方向に向かい、そのほぼ中間位置に冷却ファン2の取付支持部19が設けられている。この取付支持部19に冷却ファン2からの風が下側から上側に向かって流れるように冷却ファン2が取り付けられる。
【0015】
ここで、該冷却ファン2の大きさについてであるが、図示するように前記装置形成枠体1の枠体内に収まるよう、すなわち上面から下面にかけての面幅内に収まる大きさに形成されている。さらに、前記縦長四角体形状をなす装置形成枠体1の両脇に空間部が形成できる大きさにすることが好ましい。前記両脇の空間部に操作パネル7そして回路部8などの設置が要請されるからである。
【0016】
冷却ファン2の上方には複数の抵抗棒4が取り付けられた抵抗部5が構成されている。図示する実施例において、抵抗棒4は、所定の長さに形成された筒状をなす抵抗棒本体の内部に抵抗値の高い抵抗線(例えばニクロム線)が配置され、その周囲に粉状の絶縁部材が充填される。そして、抵抗棒本体の外周面からは複数の放熱フィンが外側に張り出し形成されて、抵抗棒に通電が行われたとき、発生する抵抗熱をスムーズに放熱できるよう構成されている。
【0017】
抵抗棒4は、直線状の棒状をなして構成されているが、その両端には、前記抵抗線に接続され、外部に露出する取付部3を有して構成されている。
【0018】
複数の抵抗棒4は、水平方向に向かい、所定の間隔をあけて複数本配置され、抵抗棒群12が構成される。本実施例では5本の抵抗棒4が水平方向に配置されて1つの抵抗棒群12が構成されている。しかしながら、この抵抗棒群12を構成する抵抗棒4の本数には何ら制限はなく、6本でも8本でも10本でも構わない。そして、これらの抵抗棒4は直列に接続されて使用される。尚、並列に接続して使用することもある。
【0019】
さらに、水平方向に5本配置された抵抗棒4、すなわち抵抗棒群12は上下方向に向かい所定の間隔をあけて複数段配置されている。本実施例では前記抵抗棒群12を6段配置してある。この複数段の段数形成についても何ら制限はなく、6段に限定されるものではない。
【0020】
しかも図から理解されるように、上下方向に対向する上側に配置された抵抗棒群12を構成する複数本の抵抗棒4とその下側に配置された抵抗棒群12を構成する複数本の抵抗棒4は、決して上下方向に重なる位置に配置されてはいない。
【0021】
図4は本実施例の平面図であるが、上から本実施例の負荷試験装置20を見てみると、10本の抵抗棒4が水平方向に配置されているごとく見える。この様に上下に対向するそれぞれの5本の抵抗棒4、すなわち抵抗棒群12は、一方側、すなわち例えば上側に設置された5本の抵抗棒4からなる抵抗棒群12が、他方側、すなわち例えば下側に設置された抵抗棒群12における抵抗棒4の間に位置するように配置されるのである。
【0022】
この様な配置形態とすることにより、抵抗部5の下側に設置された冷却ファン2からの風を複数段配置された抵抗棒群12の抵抗棒4にまんべんなく送風することが出来、もって非常に効率の良い抵抗棒4に対する放熱作用が実現できるのである。
【0023】
次に、符号6は、前記複数の抵抗棒4の一端部側につき、取り付けて固定し、かつ保持する機能を持つ第1取付板を示す。図から理解されるように、第1取付板6は抵抗部5の一方側の側面全体を覆う大きさに形成されている。この第1取付板6の材質について何ら限定はないが、耐熱性、耐衝撃性、耐候性に優れた素材であることが好ましい。さらに、絶縁性のあるものであれば尚好ましい。また金属部材で構成しても構わない。
【0024】
この第1取付板6には、前記したように複数本の抵抗棒4の一方側端部が貫通して保持される取付穴が穿設されており、この取付穴に耐熱シリコン部材などで形成された絶縁部材9を介して前記抵抗棒4の一方側端部が取り付けられることとなる。
【0025】
ここで絶縁部材9の形状などにつき説明すると、該絶縁部材9は、取付穴を貫通する軸方向に貫通穴を有する絶縁部材本体21と該絶縁部材本体の両端部から外側に各々円筒状に膨出する膨出部22とを有して構成されている。
【0026】
そして、第1取付板6の表裏面に前記膨出部22の端面が密着すると共に、前記絶縁部材本体21が確実に取付穴に装着して取り付けられる。
【0027】
前記絶縁部材9の取付穴への装着は、まず片方の膨出部22を手などで押さえて小さくし、その状態から、絶縁部材9を取付穴に挿入して、小さくした一方側の膨出部22を挿入する側面の反対側の側面に出し、その後膨出部22は広がり、第1取付板6の他方側面に膨出する。そして、もう一方側の膨出部22は第1取付板6の挿入側側面に膨出することとなる。
【0028】
そして、前記抵抗棒4の一方側端部に設けられた取付部3は、前記絶縁部材9の貫通穴に挿入されて第1取付板6に取り付けられる。
【0029】
前記耐熱シリコン部材などからなる絶縁部材9は、伸縮自在な柔軟性を有し、かつ摩擦抵抗の大きい部材であるため、前記貫通穴に挿入された抵抗棒4の一方側端部の取付部3は確実に絶縁部材9に圧縮保持され、ひいては第1取付板6に確実に保持されて離脱することがない。また負荷試験中にがたつくこともない。騒音も発生させない。
【0030】
符号10は接続線であり、該接続線10により複数本の抵抗棒4が直列に接続されるものとなる。場合によっては並列に接続して使用される。
【0031】
次に、符号11は第2取付板を示す。図示するように、該第2取付板11は、第1取付板6が取り付けられた抵抗部5側面の反対側側面に取り付けられるものである。
【0032】
そして、この第2取付板11は第1取付板6のように抵抗部5の側面全体を覆うような大きさに形成されてはいない。すなわち、図6から理解されるように、水平方向に間隔をあけて取り付けられる複数本の抵抗棒4により構成された1つの抵抗棒群12が取り付けられる大きさの形状、例えば長方形状の板形状に形成される。
【0033】
本実施例では抵抗棒群12は6段に形成されているから必要とされる前記第2取付板11は6枚となっている。この様に、第2取付板11は、第1取付板6のように抵抗部側面全体が覆える1枚の板材として構成しない。なぜなら、第1取付板6及び第2取付板11の双方を抵抗部5側面全体が覆う1枚の板材として構成すると、抵抗部5内における抵抗棒4の取り付けが出来ないからである。また出来たとしても作業がきわめて面倒で困難である。
【0034】
さらに、ほかの理由として、ある箇所に取り付けた1本あるいは2本程度の抵抗棒4につき故障など不具合が発生したとき、第1取付板6及び第2取付板11の双方を抵抗部5側面全体が覆う1枚の板材として構成すると、本発明の負荷試験装置20における抵抗部5の両側面をすべて取り外して前記1本あるいは2本程度の抵抗棒4を交換しなければならないからである。本発明の負荷試験装置20であれば、抵抗部5において、不具合が生じている抵抗棒4が取り付けられた第2取付板11だけ取り外して、前記不具合の抵抗棒4を交換することが出来るからである。
【0035】
尚、第1取付板6については、第2取付板11と同様の構成である分割型の取付板として構成しても構わないものである。
【0036】
ここで、抵抗部5の作製過程につき説明すると、まず、抵抗部5の一側面全体を覆おう大きさの第1取付板6を抵抗部5の一方側側面に取り付ける。尚、この第1取付板6にはあらかじめ抵抗棒4の取り付け保持用の取付穴が所定位置に複数穿設されている。そして、この取付穴には前述した様に絶縁部材9が装着されている。
【0037】
次に、前記第1取付板6に設けられた最下段の抵抗棒群12用の取付穴それぞれに抵抗棒4の一方側端部を差し込む。本実施例では5本の抵抗棒を差し込む。ついで、前記抵抗棒4の他端側端部を長方形板状の第2取付板11に設けられたそれぞれの取付穴に差し込み、その後、この第2取付板11を抵抗部5の側面最下部に取り付ける。これが第1段目の抵抗棒群12の取り付けとなる。
【0038】
尚、第2取付板11に設けられたそれぞれの取付穴においても、伸縮自在な柔軟性を有し、かつ摩擦抵抗の大きい部材で構成された絶縁部材9が装着されている。
【0039】
さらに、第2段目の抵抗棒群12の取り付けも同様の方法で行う。ここで、第2段目の抵抗棒群12の取り付けに際しては、第1段目の抵抗棒群12の抵抗棒4の間に第2段目の抵抗棒群12の抵抗棒4が配置されるように取り付けなければならない。そのため、第2段目の抵抗棒群12を取り付ける第2取付板11は、第1段目の抵抗棒群12を取り付けた第2取付板11を180度回転させ、取付穴の位置をずらした形にして使用することになる。この様に使用すれば、取付穴の位置が異なった2種類の第2取付板11を必要としない。
【0040】
すなわち、第2取付板11を2種類作製するのではなく、1種類の第2取付板11を180度回転させ、同じ部材を使用することができるのである。
【0041】
図4に示されているように、抵抗棒4の長さは、装置形成枠体1の水平方向の縦側長さ符号Wの長さ内に収まるよう設置され、抵抗棒4の両端部が装置形成枠体1の外側面からはみ出ない長さにしてある。
【0042】
そして、抵抗棒4の両端部が配置されている装置形成枠体1の両外側面には透明色、あるいは半透明色、あるいは内部の前記抵抗棒4の端部が可視可能な色に形成された保護板13が取り付けられる。この保護板13の材質については限定されないが、耐熱性、耐衝撃性、耐候性に優れた素材であることが好ましい。さらに、絶縁性のあるものであれば尚好ましい。一例として樹脂部材が挙げられ、その中でポリカーボネート部材が挙げられる。
【0043】
符号14はセンサー部材を示し、第1取付板6及び/または第2取付板11に取り付けられた抵抗棒4の取付部3先端側に装着される。前記取付部3は第1取付板6あるいは第2取付板11から外側に露出しており、前記取付部3に装着されたセンサー部材14は外側より可視出来る構成となっている。
【0044】
該センサー部材14は、例えば長時間、熱を検知することにより、部材の色が変化する様な、例えばキャップ状の部材により形成されており、長時間の装着状態で、例えば色が変化する性質を有する部材で形成される。また、部材自体に前記の性質がなくとも、熱により色が変化する塗料、例えば発光塗料などが塗布された部材をセンサー部材14としても構わない。
【0045】
従って、このセンサー部材14の色の変化を感知して抵抗棒4の交換時期などが容易に検知できるものとなっている。
【0046】
さらに、抵抗棒4や負荷試験装置20の動作異常により、抵抗棒4が急に加熱したときなどは、この熱を検知してその異常を知らせることが出来る構成となっている。
【0047】
その検知状態がスムーズに確認出来るよう前記保護板13を透明色、あるいは半透明色、あるいは内部の前記抵抗棒4の端部が可視可能な色に形成された保護板13としてある。該保護板13を用いない構成も考えられるが、作業の安全性や装置の保護のため保護板13を用いるのが好ましい。
【0048】
図4において、符号15はメッシュ状をなす上面保護板である。装置形成枠体1の下側に取り付けられた冷却ファン2の風は下から上に向かい送風される。下側には比較的低温の空気が存在しており、この低温の空気を冷却ファン2により上方に送風し、抵抗棒4の冷却に使用している。
【0049】
従って、この負荷試験装置20の上面は開放状態にしておく必要があるが、単に開放状態にしておくことは抵抗棒4になんらかの障害物が接触する可能性がある。よってメッシュ状をなす上面保護板15を設置して送風経路を確保すると共に安全性を確保しているのである。
【0050】
また、符号16はアングル状に形成された把持部であり、該把持部16は装置形成枠体1の上面両端側に2つ設けられている。
【0051】
本実施例における小型の負荷試験装置20はその重量が約30kg程度で構成され、下部に取り付けられたキャスター17と共に、操作者が単独でも移動でいるよう前記把持部16を装置の上面に形成して構成しているのである。
【0052】
図7図8は本発明の動作図の一例である。例えば、50Hz、200V、4.8KWの容量からなる発電機の負荷試験を行う場合、図7図8に示すような動作回路によって行われる。
【0053】
ここで、抵抗部5内には複数本の抵抗棒4が配置されているが、該抵抗棒4と平行方向における抵抗部5の側面構成につき説明する。
【0054】
図2及び図3に示すように、抵抗棒4と平行方向の抵抗部5の側面も覆い板18によって覆われて構成される。該覆い板18を構成する部材の材質についても何ら限定されないが、耐熱性、耐衝撃性、耐候性に優れた素材であることが好ましい。さらに、絶縁性のあるものであれば尚好ましい。金属部材で構成しても構わない。
【0055】
さらに透明性を有する部材で構成しても構わない。該覆い板18を透明部材あるいは透明性を有する部材で構成すれば、内部の抵抗棒4の状態がダイレクトに観察でき、動作不良等の不具合がスムーズに検知できる。
【0056】
この覆い板18及び第1取付板6、第2取付板11により、抵抗部5内の抵抗棒4は外部から方形体状に覆われ、もってきわめて安全性の高い装置に構成でき、さらには、冷却ファン2からの送風経路を抵抗部5内において、確実に下側から上側に向けて確保できることとしているのである。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明はいわゆる小型の負荷試験装置について説明したが、本発明は、高電圧、高容量タイプの発電機、さらには3相交流の高電圧、高容量タイプの発電機を負荷試験する大型負荷試験装置にも充分に適用されるものである。
【符号の説明】
【0058】
1 装置形成枠体
2 冷却ファン
3 取付部
4 抵抗棒
5 抵抗部
6 第1取付板
7 操作パネル
8 回路部
9 接続部材
10 接続線
11 第2取付板
12 抵抗棒群
13 保護板
14 センサー部材
15 上面保護板
16 把持部
17 キャスター
18 覆い板
19 取付支持部
20 負荷試験装置
21 絶縁部材本体
22 膨出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8