(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-22
(45)【発行日】2022-08-01
(54)【発明の名称】冷却構造のチャネル接続部を冷却するための移行マニホールド
(51)【国際特許分類】
F01D 11/08 20060101AFI20220725BHJP
F02C 7/18 20060101ALI20220725BHJP
【FI】
F01D11/08
F02C7/18 E
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017204128
(22)【出願日】2017-10-23
【審査請求日】2020-10-16
(32)【優先日】2016-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ロバート・バーノス
(72)【発明者】
【氏名】イブラヒム・セゼル
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第08388300(US,B1)
【文献】特開2015-017607(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0057960(US,A1)
【文献】特開2010-001764(JP,A)
【文献】特開2005-140119(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 9/04
F01D 11/08
F01D 25/12
F02C 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンエンジンの冷却構造であって、当該冷却構造が、
前縁(104)
、後縁(106)
、第1の側部(108)
、第2の側部(110)
及びキャビティ(118)とを有する本体(102)と、
前記キャビティ(118)から延び、前記第1の側部(108)に沿って配置された冷却空気マイクロチャネル(74)の第1セット(68)と、
前記キャビティ(118)から延び、前記第2の側部(110)に沿って配置された冷却空気マイクロチャネル(74)の第2セット(70)と
を備え
ており、
前記冷却空気マイクロチャネル(74)
の第1のセット及び第2のセットの各々の冷却空気マイクロチャネルが、吸気端(76)と、該吸気端(76)に連結されたループ状部分(78)と、排気端(82)と、前記吸気端(76)
及び前記排気端(82)
の少なくとも一方と流体連通し
た少なくとも1つの移行マニホールド(88)をさらに備え
ており、前記少なくとも1つの移行マニホールド(88)が、前記排気端(82)と流体連通した排気移行マニホールド(88)を含んでおり、冷却空気マイクロチャネルの第1のセット又は第2のセットの排気移行マニホールド(88)が、冷却空気マイクロチャネルの他方のセットのうちの隣接する冷却空気マイクロチャネルのループ状部分(78)の中央部分内に配置されている、冷却構造。
【請求項2】
前記キャビティ(118)から延び、前記前縁(104)
及び前記後縁(106)に沿って配置された冷却空気マイクロチャネル(74)の第3セット(72)を備える、請求項1に記載の冷却構造。
【請求項3】
前記
少なくとも1つの移行マニホールド(88)が、
該少なくとも1つの移行マニホールドと流体連通した冷却空気マイクロチャネ
ルの断面積
と同一又はそれよりも大きい断面積を有する、請求項1
又は請求項2に記載の冷却構造。
【請求項4】
前記
排気移行マニホールド(88)が、略半径方向外側の方向に延びる、請求項1
乃至請求項3のいずれか1項に記載の冷却構造。
【請求項5】
前記排気端(82)が、前記ループ状部分の略半径方向外側に位置する、請求項4に記載の冷却構造。
【請求項6】
前記吸気端(76)が、前記キャビティ(118)と流体連通している、請求項1
乃至請求項5のいずれか1項に記載の冷却構造。
【請求項7】
前記排気端(82)が、ガスタービン(10)の高温ガス経路と流体連通している、請求項1
乃至請求項6のいずれか1項に記載の冷却構造。
【請求項8】
前記キャビティ(118)が、燃焼ガス側(112)から半径方向外側に配置され、前記キャビティ(118)
が、傾斜した外周壁(120)をさらに画定する、請求項1
乃至請求項7のいずれか1項に記載の冷却構造。
【請求項9】
各吸気端(76)が、前記傾斜した外周壁(120)の周囲に配置され、かつ冷却流路(44)から前記キャビティ(118)を介して圧縮された冷却空気を受け入れるように構成されている、請求項8に記載の冷却構造。
【請求項10】
圧縮機セクション(12)と、
前記圧縮機
セクション(12)の下流に位置する燃焼セクション(18)内の
少なくとも1つの燃焼器(20)と、
前記燃焼セクション(18)の下流に位置するタービンセクション(22)
と
を備えるガスタービン(10)であって、
当該ガスタービン(10)
が、請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の冷却構造を
複数含む、ガスタービン(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、ガスタービンの冷却構造に関し、より具体的には、構造の縁部冷却を最大限にして制御する、チャネルの吸気および排気接続部を冷却するための移行マニホールドに関する。
【背景技術】
【0002】
大型の強力な産業用ガスタービンエンジンでは、燃焼器内で発生した高温ガス流をタービンに通して機械的仕事を生じる。タービンは、次第に減少する温度で高温ガス流と反応するステータベーンおよびロータブレードの1つまたは複数の列または段を含む。より高い温度のガス流をタービンに通すことによって、タービンの効率、したがってエンジンの効率を高めることができる。ただし、タービンの入口温度は、タービン、特に第1段のベーンおよびブレードの材料特性、ならびにこれらの第1段の翼形部の冷却能力の大きさに制限される。
【0003】
第1段のロータブレードおよびステータベーンは、最も高いガス流温度に曝され、ガス流がタービン段を通過するにつれて温度が徐々に低下する。冷却空気を内部冷却通路に通し、冷却空気をフィルム冷却孔に排出して、冷却空気のブランケット層を提供して、冷却表面を高温ガス流から保護することによって、第1段および第2段の翼形部(ブレードおよびベーン)ならびにシュラウドおよび他の構造体は冷却されなければならない。
【0004】
タービンロータブレードは、ブレード先端とのギャップを形成するシュラウドによって形成された冷却表面内で回転する。シュラウドは、リングキャリア内に固定された多数のセグメントから形成される。ギャップを通過する高温ガス流漏れは、タービン効率を低下させるだけでなく、シュラウド上にホットスポットを形成して、寿命を縮めるような浸食または他の熱による損傷をもたらす。
【0005】
マイクロチャネルの吸気端および排気端の現行の製造プロセスでは、端部を各端部が役立つ正しいチャネルと整列させるために高精度の機械加工が必要とされる。これらの製造上の制限は、冷却空気流の計量のための吸気端および排気端のサイズ、断面積および流れ面積の柔軟性を妨げる。現行の許容スタッキングでは、マイクロチャネルを測定することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【0007】
本開示の態様および利点は、以下の説明に一部が記載されるか、またはその説明から明らかにすることができ、あるいは本開示の実施を通じて理解することができる。
【0008】
ガスタービンエンジンの冷却構造の一実施形態は、前縁、後縁、第1の側部、第2の側部、およびキャビティを備えた本体を有する。冷却空気マイクロチャネルの第1セットは、キャビティから延び、第1の側部に沿って配置される。冷却空気マイクロチャネルの第2セットは、キャビティから延び、第2の側部に沿って配置される。冷却空気マイクロチャネルの各セットは、隣接するマイクロチャネルと流体連通し、また、吸気端、排気端、およびそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つと流体連通している少なくとも1つの移行マニホールドを有する。
【0009】
別の実施形態は、圧縮機セクションと、圧縮機の下流に位置する燃焼セクション内の複数の燃焼器と、燃焼セクションの下流に位置するタービンセクションとを有するガスタービン内で実施される、上記の冷却構造を有する。
【0010】
本開示の、これらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲を参照することによってより良く理解されよう。添付の図面は、本明細書に組み込まれて、本明細書の一部を構成し、本開示の実施形態を例示し、説明と共に本開示の原理を説明するのに役立つ。
【0011】
最良の形態を含み、当業者を対象とする、完全かつ実施可能な程度の開示が本明細書に記載され、以下の添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明のさまざまな実施形態を組み込むことができる典型的なガスタービンの概略図である。
【
図2】本開示のさまざまな実施形態による、例示的なロータブレードおよび第2段のシュラウドブロックアセンブリの一部を含むタービンセクションの一部の拡大断面側面図である。
【
図3】ガスタービンの第1段に典型的なタービンシュラウドブロックアセンブリを形成するために外側タービンシュラウドセグメントに連結された内側タービンシュラウドセグメントの一実施形態の斜視図である。
【
図4】さまざまなチャネル経路および関連する移行マニホールドの配置を示す冷却構造の実施形態の部分図である。
【
図5】
図5A~
図5Cはそれぞれ、移行マニホールドおよび関連するマイクロチャネルの実施形態の平面図および断面図である。
【
図6】
図6A~
図6Cはそれぞれ、移行マニホールドおよび関連するマイクロチャネルの別の実施形態の平面図および断面図である。
【
図7】
図7A~
図7Cはそれぞれ、移行マニホールドおよび関連するマイクロチャネルの別の実施形態の平面図および断面図である。
【
図8】
図8Aおよび
図8Bはそれぞれ、拡大された移行マニホールドと共に使用することができる吸気端および排気端の異なる形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書および図面における符号の反復使用は、本開示の同じまたは類似の特徴もしくは要素を表すことを意図している。
【0014】
以下、本発明の本実施形態について詳しく説明するが、その1つまたは複数の例が、添付の図面に示されている。詳細な説明では、図面中の特徴を参照するために数値および文字による記号が使用されている。図面および説明の中で同じまたは類似の記号は、本発明の同じまたは類似の部品を参照するために使用されている。本明細書で使用する場合、用語「第1の」、「第2の」、および「第3の」は、ある構成要素を別の構成要素から区別するために交換可能に使用されることができ、個々の構成要素の位置または重要性を示すことを意図するものではない。用語「上流」および「下流」は、流体経路における流体の流れに対する相対的な方向を指す。例えば、「上流」は流体が流れてくる方向を指し、「下流」は流体が流れていく方向を指す。用語「半径方向に」は、特定の構成要素の軸方向中心線に実質的に垂直な相対方向を指し、用語「軸方向に」は、特定の構成要素の軸方向中心線に実質的に平行な相対方向を指す。「断面積」は、本明細書では、冷却空気または他の流体が流れる通路の平面領域として規定される。本明細書で使用する「マイクロチャネル」は、約800ミクロン(μm)~約3ミリメートル(mm)の水力直径を有する小さなチャネルであり、高温表面領域の温度を許容範囲内に維持するために、冷却構造の高温表面の近くに配置されて、冷却構造に冷却流体(例えば、圧縮機冷却空気)を輸送し、熱を交換する。グループを記述するために本明細書で使用する「セット」という用語は、「少なくとも1つの」マイクロチャネルまたは「少なくとも1つの」要素として規定される。
【0015】
各例は、本発明の限定としてではなく、本発明の例示として提示される。実際、本開示の範囲または趣旨を逸脱せずに、修正および変更が本発明において可能であることは、当業者にとって明らかであろう。例えば、一実施形態の一部として図示または説明された特徴を別の実施形態で使用し、さらに別の実施形態を得ることができる。よって、本発明は、添付の請求項およびそれらの均等物の範囲内にある、そのような修正形態および変形形態をカバーすることを意図している。本発明の例示的な実施形態は、説明の目的で産業用ガスタービンに関して一般的に説明されるが、当業者であれば、本発明の実施形態を任意のターボ機械に適用することができ、特許請求の範囲に具体的に列挙しない限り、産業用ガスタービンに限定されないことを容易に理解するであろう。産業用、舶用、または陸上用のガスタービンが本明細書に示され説明されているが、本明細書に示され説明される本開示は、特許請求の範囲に特に明記されない限り、陸上用および/または産業用、および/または舶用のガスタービンに限定されない。例えば、本明細書に記載される開示は、限定されるものではないが、航空機転用タービンまたは舶用ガスタービンならびに航空機エンジンタービンを含む任意のタイプのタービンに使用され得る。
【0016】
本明細書の冷却構造は、構造の完全性を保つために、強制冷却空気源との直接接触を必要とする任意の構造として規定される。これらの構造は、タービンシュラウド、ノズル、ブレード、およびタービンの任意の他の高温ガス経路構成要素の部分を含むことができる。
【0017】
本明細書に記載の移行マニホールドは、改良された見通し線および製造のための目標領域を提供するために、マイクロチャネルの吸気端および排気端の近くに配置される。移行マニホールドを、約0.2ミリメートル(mm)~約3ミリメートル(mm)の範囲の水力直径を有する従来のチャネル、ミニチャネル、マイクロチャネルなどを含む任意のサイズの冷却通路に適用することができる。移行マニホールドは、流量計量を可能にし、マイクロチャネルを通る冷却空気流を制御することができるように、サイズを変えることもできる。一般的に半径方向の多様なマニホールド深さは、他のマイクロチャネルまたは他の本体機構の周りの流れの方向転換を可能にし、そうでなければ、可能な交差を避けるために見通し線および十分な材料リガメントを必要とする。
【0018】
隣接するマイクロチャネルより大きな断面積および冷却空気流面積を有する移行マニホールドは、吸気端および排気端を製造するためのより大きな目標を提供し、既存の製造上の限界を克服するためにより大きな計量孔を受け入れることができる。吸気端および排気端の計量領域は、チャネル寸法の製造ばらつきの影響を受けにくい制御された流れおよび圧力を可能にする。排気流を機構間でルーティングするのではなく、上向きにルーティングしかつ縁部上で冷却することによって、冷却チャネルを、縁部に沿って互いにより接近して移動させることができ、より多くの縁部表面を効果的に冷却することができる。吸気流を、構成要素の前縁、後縁、または側縁で、到達しにくいチャネルに供給し、方向付けることができる。目標とする移行マニホールドのサイズを大きくすることにより、製造可能な吸気端および排気端のサイズも大きくすることができ、これにより、ラウンド形、レーストラック形、または他の形状の吸気/排気プロファイルを可能にし、製造中のバックストライキ(backstrike)のリスクを低減する。
【0019】
移行マニホールドは、マニホールドが吸気端または排気端でタップされているかどうかに応じて、冷却空気流の方向および経路を柔軟にすることができる。移行マニホールドは、円筒形、正方形、長方形、または冷却空気をチャネルに通す他の形状を含む任意の形状を取ることができる。移行マニホールドは、鋳造され、穿孔され、EDM(放電加工)され、粉砕され得るか、付加的に製造され得るか、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。単一または複数の移行マニホールドを各マイクロチャネルで使用することができる
移行マニホールド機構を、EDMプランジや、粉砕、鋳造、プリントなどで既存のチャネル設計に組み込むことができるため、追加の製造工程は必要とされない。既存のEDMまたは鋳造による製造方法をわずかに変更することによって、チャネル形成と共に同じ製造工程に機構を追加することができる。
【0020】
ここで図面を参照すると、同じ参照符号は同じ構成要素を指し、
図1は本発明のさまざまな実施形態を組み込むことができるガスタービン10の例を示している。図示のように、ガスタービン10は、一般に、ガスタービン10の上流端に配置された入口14と、圧縮機セクション12を少なくとも部分的に取り囲むケーシング16とを有する圧縮機セクション12を含む。ガスタービン10は、圧縮機セクション12の下流に少なくとも1つの燃焼器20を有する燃焼セクション18と、燃焼セクション18の下流のタービンセクション22とをさらに含む。図示のように、燃焼セクション18は、複数の燃焼器20を含むことができる。シャフト24が、ガスタービン10を軸方向に貫通して延びている。
【0021】
動作中、空気26は、圧縮機セクション12の入口14に引き込まれ、次第に圧縮されて圧縮空気28を燃焼セクション18に提供する。圧縮空気28は、燃焼セクション18に流入し、燃焼器20内の燃料と混合されて可燃混合物を形成する。可燃混合物は、燃焼器20で燃焼され、それにより燃焼器20からタービンノズル34の第1段32を横切ってタービンセクション22に流れる高温ガス30を発生させる。タービンセクションは、一般に、タービンノズル34の隣接列によって軸方向に分離された1または複数の列のロータブレード36を含む。ロータブレード36は、ロータディスクを介してロータシャフト24に連結される。タービンケーシング38は、ロータブレード36およびタービンノズル34を少なくとも部分的に入れる。ロータブレード36の列の各々またはいくつかは、タービンケーシング38内に配置されたシュラウドブロックアセンブリ40によって周方向に囲まれてもよい。高温ガス30は、タービンセクション22を流れる際に急速に膨張する。熱および/または運動エネルギーが高温ガス30からロータブレード36の各段に伝達され、それによりシャフト24が回転して機械的仕事を生じる。シャフト24は、発電機(図示せず)のような負荷に連結されて電気を生成することができる。加えて、または代わりに、シャフト24を使用して、ガスタービンの圧縮機セクション12を駆動することができる。
【0022】
図2は、本開示のさまざまな実施形態による例示的なロータブレード36および第2段のシュラウドブロックアセンブリ40の一部を含むタービンセクション22の一部の拡大断面側面図を示している。
図2に示すように、シュラウドブロックアセンブリ40は、通常、タービンケーシング38とロータブレード36の先端部42との間で半径方向に延びる。シュラウドブロックアセンブリ40は、冷却流路44と流体連通している。冷却流路44は、外側ケーシング38によって少なくとも部分的に画定され得る。シュラウドブロックアセンブリ40は、通常、シュラウドブロックアセンブリ40をタービンケーシング38に固定するための、および/またはタービンケーシング38内のロータブレード36の周りに環状アレイに配置された複数のシュラウドブロックセグメント100を支持するための取り付けハードウェア46を含む。
【0023】
図3は、ガスタービン10の第1段に典型的な、外側タービンシュラウドセグメント62に連結されてタービンシュラウドブロックアセンブリ40を形成する内側タービンシュラウドセグメント60の一実施形態の斜視図である。タービン10は、それぞれのタービン段の周りにリングを一緒に形成する複数のタービンシュラウドブロックアセンブリ40を含む。特定の実施形態では、タービン10は、タービン10の回転軸の周りに周方向90に配置された各タービンシュラウドセグメント40のためのそれぞれの外側タービンシュラウドセグメント62に連結された複数の内側タービンシュラウドセグメント60を含んでもよい。他の実施形態では、タービン10は、外側タービンシュラウドセグメント62に連結されてタービンブロックアセンブリ40を形成する複数の内側タービンシュラウドセグメント60を含んでもよい。
【0024】
図示されているように、内側タービンシュラウドセグメント60は、上流の縁すなわち前縁104および下流の縁すなわち後縁106を有する本体102を含み、その両方が高温ガス流路30に接する。本体102はまた、前縁104および後縁106に対して略垂直に配置された第1の側部108(例えば、第1のスラッシュ面)および第2の側部110(例えば、第2のスラッシュ面)を含む。本体102は、一対の対向する側をさらに含み、燃焼ガス側112は前縁104と後縁106との間に延び、後側114は、第1の側部108と第2の側部110との間に延びる。特定の実施形態では、本体102(特に、対向する側112,114)は、第1の側部108と第2の側部110との間の周方向90において、および/または前縁104と後縁106との間の軸方向92において、円弧形状であってもよい。後側114は、内側タービンシュラウドセグメント60と外側タービンシュラウドセグメント62との間に画定されたキャビティ118と接するように構成される。
【0025】
図4は、さまざまなチャネル74の経路および関連する移行マニホールド88の配置を示す冷却構造の実施形態の一部分である。図示されるように、本体102は、キャビティ118の傾斜した外周壁120から延びる複数のチャネル74を含み、冷却構造の第1の側部108に沿って配置される。本体102は、2~30個、またはそれ以上のチャネル74を含んでもよい。各チャネル74は、キャビティ118から吸気端76を介して冷却媒体200を受け入れ、排気ポート80で排気端82を介して使用済み冷却媒体を排出するように構成される。
【0026】
特定の実施形態では、チャネル74は、チャネル74に関して上述したような計量機構を含むことができる。いくつかの実施形態では、チャネルは、完全に鋳造され、液体ジェット誘導レーザ技術(液体マイクロジェットと呼ばれることもある)で切断され、付加製造プロセスで「3Dプリントされ」、EDM/ECMされ、または本体102内で燃焼ガス側112の近くで精密に機械加工されてもよい。冷却構造に使用できる付加製造技術には、バインダ噴射、指向性エネルギーデポジション、材料押出し、材料噴射、粉末床溶融、シートラミネーション、バット光重合、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0027】
図4~
図7に示す例示的な実施形態は、異なる位置で移行マニホールド88を使用することによって可能にされる多くのマイクロチャネルパターンを含む本体102を有する。内側タービンシュラウドセグメント60は、通常、圧縮機12からの冷却媒体200に近接している。内側タービンシュラウドセグメント60は、冷却媒体200または空気を圧縮機12から受け入れるための吸気端76を含む。冷却媒体200は、後側114からチャネル74に延びる本体102内に配置された吸気端76を介して内側タービンシュラウドセグメント60の本体102内のチャネル74に流れる。各チャネル74は、
図7Aに示されているように、ループ状部分78を含むことができ、ほとんどの任意のパターンは他の図に示されている。ただし、マイクロチャネルの経路およびパターンは、特定の方向または向きに限定されない。排気端82または吸気端76は、計量機構(例えば、チャネルの隣接する断面積に対してチャネルの一部の断面積を狭める、チャネル内に延びる本体102の一部分)を含むことができ、チャネル74内の冷却流体の流れを調節する。特定の実施形態では、各チャネル74自体(排気端部分を除く)は、計量機構(例えば、チャネル内に延びる本体102の一部を含む)として機能する。他の実施形態では、ループ状部分78または他のチャネル74部分に連結された吸気端76は、計量機構(例えば、吸気端76内に延びる本体102の一部)を含んでもよい。特定の実施形態では、チャネル74自体、排気端82、または吸気端76、またはそれらの組み合わせは、計量機構を含む。さらに、冷却流体は、第1の側部108、第2の側部110、前縁104、後縁106、またはそれらの組み合わせにおいて排気端82を介してチャネル74(および本体102)から出る。特定の実施形態では、チャネルは、第1の側部108に隣接して配置された吸気端76を有するチャネルの第1セット68と、第2の側部110に隣接して配置されたチャネルの第2セット70とで、交互のパターンで配置されてもよく、隣接するチャネルは反対の向きを有する。
【0028】
図4~
図8において、供給または吸気冷却空気流が直線矢印記号を用いて示され、排気冷却空気流が「曲がりくねった(squiggly)」矢印記号を用いて示されている。
図5A~
図5Cにおいて、t字形部分86は、前縁104に隣接する冷却チャネル74の長さを増加させることにより、より大きな冷却領域を提供する。チャネルの各セット68、70、および72において、t字形部分86は互いに隣接して配置され、対向する側のマイクロチャネル74からの排気端82を組み込むことができる。吸気端76は、キャビティ118からチャネル74と流体連通している吸気移行マニホールド88まで延びている。排気端82は、t字形部分86から略半径方向外側に配置され、それにより、t字形部分86を互いに隣接して配置することを可能にする。各排気端82は、t字形部分86から略半径方向外側に配置された複数の排気ポート80から冷却空気を排出するように構成された移行マニホールド88から延びている。特定の実施形態では、本体102は、本体102の残りの部分に配置されたチャネルとは異なる形状の後縁106に隣接して配置されたチャネルを含む。例えば、後縁106に隣接するチャネルはそれぞれ蛇行パターンを含んでもよい。
【0029】
図6A~
図6Cは、マイクロチャネル74を有する
図5の変形例の平面図および断面図を示しており、ここで、t字形部分86は、ブリッジ部分96と相互接続されている。ブリッジ部分88は、前縁104の全長がマイクロチャネル74によって冷却されるように、前縁104に十分なマイクロチャネル冷却面を追加する。チャネルの各セット68、70、および72において、t字形部分86は、対向する側のマイクロチャネル74からの排気端82を組み込んでいる。吸気端76は、キャビティ118からチャネル74と流体連通している吸気移行マニホールド88まで延びている。排気端82は、t字形部分86から略半径方向外側に配置され、それによって、t字形部分86が互いに流体連通するように、t字形部分86をブリッジ部分96によって延長することができる。各排気端82は、t字形部分86から略半径方向外側に配置された複数の排気ポート80から冷却空気を排出するように構成された移行マニホールド88から延びている。特定の実施形態では、本体102は、本体102の残りの部分に配置されたチャネルとは異なる形状の後縁106に隣接して配置されたチャネルを含む。例えば、後縁106に隣接するチャネルはそれぞれ蛇行パターンを含んでもよい。
【0030】
図7A~
図7Cは、マイクロチャネル74を有する例示的な実施形態の平面図および断面図を示しており、ここで、ループ状部分78は、ループの中央部分内に配置された排気移行マニホールド88を有する。チャネルの各セット68、70、および72において、ループ状部分78は、対向する側のマイクロチャネル74から排気端82を組み込んでいる。吸気端76は、キャビティ118からチャネル74と流体連通している吸気移行マニホールド88まで延びている。排気端82は、ループ状部分78から略半径方向外側に配置される。各排気端82は、ループ状部分78から略半径方向外側に配置された複数の排気ポート80から冷却空気を排出するように構成された移行マニホールド88から延びている。特定の実施形態では、本体102は、本体102の残りの部分に配置されたチャネルとは異なる形状の後縁106に隣接して配置されたチャネルを含む。例えば、後縁106に隣接するチャネルはそれぞれ蛇行パターンを含んでもよい。チャネル74の形状もまた、プラグされたチャネルの場合に適切な冷却を提供するように最適化される。開示された内側タービンシュラウドセグメント60の実施形態は、(例えば、タービンシュラウドのための典型的な冷却システムよりも)少ない空気で冷却することを可能にし、その結果、冷却に利用されるチャージ可能な空気に関連するコストを低減する。
【0031】
図8Aおよび
図8Bは、移行マニホールド88の追加の形状および特徴を示している。
図8Aは、構造的完全性を維持するのに十分な金属リガメントで表面近くの既存のマイクロチャネル87をバイパスすることができる移行マニホールド88の深いプランジを示している。コーティング89を、熱的および構造的保護のために本体102の表面に適用することができる。深いプランジは、吸気端76および/または排気端82の接続部のためのより大きなまたはレーストラック形の孔を可能にする。
図8Bは、出口における移行マニホールド88の余分なプランジ深さを示しており、これにより、排気端82においてより大きいL/D(長さ/直径)のフィルム孔を可能にすることができる。
【0032】
ここに記載された説明は、最良の形態を含む本発明を開示するため、また、任意の装置またはシステムの作成および使用、ならびに任意の組み合わせられた方法の実行を含み、当業者が本発明を実施できるようにするために例を用いる。開示の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到するその他の例を含むことができる。このような他の例が請求項の字義通りの文言と異ならない構造要素を含む場合、または、それらが請求項の字義通りの文言と実質的な差異がない等価な構造要素を含む場合には、このような他の例は特許請求の範囲内であることを意図している。
[実施態様1]
前縁(104)と、後縁(106)と、第1の側部(108)と、第2の側部(110)と、キャビティ(118)とを有する本体(102)と、
前記キャビティ(118)から延び、前記第1の側部(108)に沿って配置された冷却空気マイクロチャネル(74)の第1セット(68)と、
前記キャビティ(118)から延び、前記第2の側部(110)に沿って配置された冷却空気マイクロチャネル(74)の第2セット(70)と
を備えた、ガスタービンエンジンの冷却構造であって、
前記冷却空気マイクロチャネル(74)の各セット(68、70、72)は、隣接するマイクロチャネル(74)と流体連通し、吸気端(76)、排気端(82)、およびそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つと流体連通している少なくとも1つの移行マニホールド(88)をさらに備える、
冷却構造。
[実施態様2]
前記キャビティ(118)から延び、前記前縁(104)および前記後縁(106)に沿って配置された冷却空気マイクロチャネル(74)の第3セット(72)を備える、実施態様1に記載の冷却構造。
[実施態様3]
前記移行マニホールド(88)の断面積が、前記隣接するマイクロチャネル(74)の断面積以上である、実施態様1に記載の冷却構造。
[実施態様4]
前記移行マニホールド(88)が、略半径方向外側の方向に延びる、実施態様1に記載の冷却構造。
[実施態様5]
前記吸気端(76)が、前記キャビティ(118)と流体連通している、実施態様1に記載の冷却構造。
[実施態様6]
前記排気端(82)が、ガスタービン(10)の高温ガス経路と流体連通している、実施態様1に記載の冷却構造。
[実施態様7]
前記キャビティ(118)が、燃焼ガス側(112)から半径方向外側に配置され、前記キャビティ(118)は、傾斜した外周壁(120)をさらに画定する、実施態様1に記載の冷却構造。
[実施態様8]
各吸気端(76)が、前記傾斜した外周壁(120)の周囲に配置され、冷却流路(44)から圧縮された冷却空気を受け入れるように構成されている、実施態様7に記載の冷却構造。
[実施態様9]
各マイクロチャネル(74)が、互いに隣接して配置され、前記少なくとも1つの移行マニホールド(88)と流体連通しているt字形部分(86)を備える、実施態様1に記載の冷却構造。
[実施態様10]
各マイクロチャネル(74)の前記t字形部分(86)が、隣接するt字形部分(86)と流体連通している、実施態様9に記載の冷却構造。
[実施態様11]
各マイクロチャネル(74)がループ形状の吸気端(76)を備え、前記移行マニホールド(88)は前記ループの中央部分内に配置されている、実施態様1に記載の冷却構造。
[実施態様12]
圧縮機セクション(12)と、
前記圧縮機の下流に位置する燃焼セクション(18)内の複数の燃焼器(20)と、
前記燃焼セクション(18)の下流に位置するタービンセクション(22)と、
を備えるガスタービン(10)であって、
前記ガスタービン(10)は複数の冷却構造を含み、各冷却構造は、
前縁(104)、後縁(106)、第1の側部(108)、第2の側部(110)、およびキャビティ(118)を有する本体(102)と、
前記キャビティ(118)から延び、前記第1の側部(108)に沿って配置された冷却空気マイクロチャネル(74)の第1セット(68)と、
前記キャビティ(118)から延び、前記第2の側部(110)に沿って配置された冷却空気マイクロチャネル(74)の第2セット(70)と
を備え、
前記冷却空気マイクロチャネル(74)の各セット(68、70、72)は、隣接するマイクロチャネル(74)と流体連通し、吸気端(76)、排気端(82)、およびそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つと流体連通している少なくとも1つの移行マニホールド(88)をさらに備える、
ガスタービン(10)。
[実施態様13]
前記キャビティ(118)から延び、前記前縁(104)および前記後縁(106)に沿って配置された冷却空気マイクロチャネル(74)の第3セット(72)を備える、実施態様12に記載のガスタービン(10)。
[実施態様14]
前記移行マニホールド(88)の断面積が、前記隣接するマイクロチャネル(74)の断面積以上である、実施態様12に記載のガスタービン(10)。
[実施態様15]
前記吸気端(76)が、前記キャビティ(118)と流体連通している、実施態様12に記載のガスタービン(10)。
[実施態様16]
前記排気端(82)が、ガスタービン(10)の高温ガス経路と流体連通している、実施態様12に記載のガスタービン(10)。
[実施態様17]
前記キャビティ(118)が、燃焼ガス側(112)から半径方向外側に配置され、前記キャビティ(118)は、傾斜した外周壁(120)をさらに画定する、実施態様12に記載のガスタービン(10)。
[実施態様18]
各吸気端(76)が、前記傾斜した外周壁(120)の周囲に配置され、冷却流路(44)から圧縮された冷却空気を受け入れるように構成されている、実施態様17に記載のガスタービン(10)。
[実施態様19]
各マイクロチャネル(74)が、互いに隣接して配置され、前記少なくとも1つの移行マニホールド(88)と流体連通しているt字形部分(86)を備える、実施態様12に記載のガスタービン(10)。
[実施態様20]
各マイクロチャネル(74)の前記t字形部分(86)が、隣接するt字形部分(86)と流体連通している、実施態様19に記載のガスタービン(10)。
【符号の説明】
【0033】
10 ガスタービン
12 圧縮機セクション、圧縮機
14 入口
16 ケーシング
18 燃焼セクション
20 燃焼器
22 タービンセクション
24 ロータシャフト
26 空気
28 圧縮空気
30 高温ガス、高温ガス流路
32 第1段
34 タービンノズル
36 ロータブレード
38 タービンケーシング、外側ケーシング
40 タービンシュラウドブロックアセンブリ、タービンシュラウドセグメント
42 先端部
44 冷却流路
46 取り付けハードウェア
60 内側タービンシュラウドセグメント
62 外側タービンシュラウドセグメント
68 チャネルの第1セット
70 チャネルの第2セット
72 チャネルのセット
74 マイクロチャネル、冷却チャネル
76 吸気端
78 ループ状部分
80 排気ポート
82 排気端
86 t字形部分
87 マイクロチャネル
88 吸気移行マニホールド、排気移行マニホールド、ブリッジ部分
89 コーティング
90 周方向
92 軸方向
94 半径方向
96 ブリッジ部分
100 シュラウドブロックセグメント
102 本体
104 前縁
106 後縁
108 第1の側部
110 第2の側部
112 燃焼ガス側
114 後側
118 キャビティ
120 傾斜した外周壁
200 冷却媒体