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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-22
(45)【発行日】2022-08-01
(54)【発明の名称】取り出しシステム
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/08 20060101AFI20220725BHJP
【FI】
B25J13/08 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017213244
(22)【出願日】2017-11-02
(65)【公開番号】P2019084605
(43)【公開日】2019-06-06
【審査請求日】2020-09-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】大鶴 佳秀
【審査官】稲垣 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特開平1-162649(JP,A)
【文献】特開2017-19005(JP,A)
【文献】実開平7-7886(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負圧により被搬送物を吸着する吸着部を具備した吸着ハンド、及び、前記吸着部に負圧を作用させるポンプを具備した吸着装置と、
前記吸着ハンドを前記被搬送物が載置された載置部から搬送先に移動する移動装置であって、前記吸着ハンドを、前記吸着部が重力方向に沿って下方に向き、かつ前記吸着部の吸着面が前記重力方向に交差する姿勢から前記重力方向に直交する水平方向を軸として回転可能な反転部を具備する移動装置と、
前記吸着装置、及び前記移動装置を制御する制御装置であって、前記被搬送物を撮像する撮像装置の映像に基づいて前記被搬送物の表裏を反転して搬送先に移動する必要があると判断すると、前記吸着部によって前記被搬送物を吸着し、前記移動装置によって前記被搬送物を前記搬送先の上方まで搬送し、前記反転部によって前記吸着ハンドを、前記被搬送物が前記吸着部の上方に位置し、かつ前記吸着面に略直交する方向が前記重力方向に対して傾斜する姿勢にした後に、前記吸着部による前記被搬送物の吸着を解除する制御装置と、
を具備する取り出しシステム。
【請求項2】
負圧により被搬送物を吸着する吸着部を具備した吸着ハンド、及び、前記吸着部に負圧を作用させるポンプを具備した吸着装置と、
搬送面を有するコンベアと、
前記吸着ハンドを前記被搬送物が載置された載置部から前記搬送面に移動する移動装置であって、前記吸着ハンドを、前記吸着部が重力方向に沿って下方に向き、かつ前記吸着部の吸着面が前記重力方向に交差する姿勢から前記重力方向に直交する水平方向を軸として回転可能な反転部を具備する移動装置と、
前記被搬送物を撮影する撮像装置と、
前記吸着装置、及び前記移動装置を制御する制御装置であって、前記撮像装置の映像に基づいて前記被搬送物の表裏を反転して前記搬送面に移動する必要があると判断すると、前記吸着部によって前記被搬送物を吸着し、前記移動装置によって前記被搬送物を前記搬送面の上方まで搬送し、前記反転部によって前記吸着ハンドを、前記被搬送物が前記重力方向に沿って前記吸着部の上方に位置し、かつ前記吸着面に略直交する方向が前記重力方向に対して傾斜する姿勢にした後に、前記吸着部による前記被搬送物の吸着を解除する制御装置と、
を具備する取り出しシステム。
【請求項3】
前記吸着部は複数設けられ、
前記制御装置は、前記被搬送物の表裏を反転する必要があると判断すると、前記撮像装置の映像に基づいて使用する前記吸着部を選択し、使用される前記吸着部が複数の場合は、前記移動装置により、使用される複数の前記吸着部の略中心が前記被搬送物の略中心に対向する姿勢で、前記吸着部の前記吸着面を前記被搬送物に接触させ、使用される複数の前記吸着部により吸着させる
請求項2に記載の取り出しシステム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記吸着ハンドが、前記被搬送物が前記重力方向に沿って前記吸着部の上方に位置し、かつ、前記吸着面に略直交する方向が前記重力方向に対して傾斜する姿勢になると、使用される複数の前記吸着部のうち、使用される複数の前記吸着部の略中心より前記コンベアから離間する方向において吸着された前記吸着部による吸着を解除し、その後、前記移動装置により前記被搬送物を前記搬送面に近接する方向に移動して前記搬送面に当接させて残りの前記吸着部による前記被搬送物の吸着を解除する
請求項2に記載の取り出しシステム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記吸着ハンドが、前記被搬送物が前記重力方向に沿って前記吸着部の上方に位置し、かつ、前記吸着面に略直交する方向が前記重力方向に対して傾斜する姿勢になると、前記移動装置により前記被搬送物を前記搬送面に近接する方向に移動して前記搬送面に当接させ、使用される複数の前記吸着部のうち、使用される複数の前記吸着部の略中心より前記コンベアから離間する方向において吸着された前記吸着部による吸着を解除し、その後、残りの前記吸着部による被搬送物の吸着を解除する
請求項2に記載の取り出しシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、載置部から荷物を取り出し、選択的に反転する取り出しシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の郵便物を1つずつ取り出して消印を押印する取り出し押印システムが知られている。この種の取り出し押印システムは、ベルトと摺動させることで取り出した郵便物をベルトにより挟持して搬送し、搬送先で郵便物に消印を押印する押印システムを有している。
【0003】
また、載置テーブル等に集積された荷物を1つずつ取り出し、取り出した荷物を他の位置に移動させるピッキングロボットが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-222377号公報
【文献】特開2007-76753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、省スペース化、及び高効率化を達成できる取り出しシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、取り出しシステムは、負圧により被搬送物を吸着する吸着部を具備した吸着ハンド、及び、前記吸着部に負圧を作用させるポンプを具備した吸着装置と、前記吸着ハンドを前記被搬送物が載置された載置部から搬送先に移動する移動装置であって、前記吸着ハンドを、前記吸着部が重力方向に沿って下方に向き、かつ前記吸着部の吸着面が前記重力方向に交差する姿勢から前記重力方向に直交する水平方向を軸として回転可能な反転部を具備する移動装置と、前記吸着装置、及び前記移動装置を制御する制御装置であって、前記被搬送物を撮像する撮像装置の映像に基づいて前記被搬送物の表裏を反転して搬送先に移動する必要があると判断すると、前記吸着部によって前記被搬送物を吸着し、前記移動装置によって前記被搬送物を前記搬送先の上方まで搬送し、前記反転部によって前記吸着ハンドを、前記被搬送物が前記吸着部の上方に位置し、かつ前記吸着面に略直交する方向が前記重力方向に対して傾斜する姿勢にした後に、前記吸着部による前記被搬送物の吸着を解除する制御装置と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係る取り出し押印システムの構成を模式的に示す平面図。
図2】同取り出し押印システムに用いられる取り出しシステムの構成を示すブロック図。
図3】同取り出しシステムに用いられる搬送装置を示す側面図。
図4】同搬送装置を示す正面図。
図5】同搬送装置を示す正面図。
図6】同搬送装置に用いられる吸着ハンドを示す下面図。
図7】同取り出し押印システムに用いられる押印システムの構成を示すブロック図。
図8】同搬送システム動作の一例を示す流れ図。
図9】同取り出しシステムを用いた郵便物の反転作業の一例を示す流れ図。
図10】同押印システムを用いた消印の押印作業の一例を示す流れ図。
図11】同取り出しシステムで用いられる載置テーブルから認識テーブルまで郵便物を搬送する際の、郵便物に対する吸着ハンドの第1の姿勢を模式的に示す説明図。
図12】同取り出しシステムで用いられる載置テーブルから認識テーブルまで郵便物を搬送する際の、郵便物に対する吸着ハンドの第1の姿勢を模式的に示す説明図。
図13】同取り出しシステムで用いられる載置テーブルから認識テーブルまで郵便物を搬送する際の、郵便物に対する吸着ハンドの第1の姿勢を模式的に示す説明図。
図14】同認識テーブルから第1のベルトコンベアまで郵便物を搬送する際の、郵便物に対する吸着ハンドの第2の姿勢を模式的に示す説明図。
図15】同第1のベルトコンベア上での同郵便物の姿勢を模式的に示す説明図。
図16】同第1のベルトコンベアの搬送面に郵便物が当接した状態を模式的に示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
一実施形態に係る取り出し押印システム10を、図1乃至図16を用いて説明する。図1は、取り出し押印システム10の構成を模式的に示す平面図である。図2は、取り出し押印システム10に用いられる取り出しシステム20の構成を示すブロック図である。図3は、取り出しシステム20に用いられる搬送装置90を示す側面図である。図4は、搬送装置90を示す正面図である。図5は、搬送装置90を示す正面図である。
【0009】
図6は、搬送装置90に用いられる吸着ハンド92を示す下面図である。図7は、取り出し押印システム10に用いられる押印システム130の構成を示すブロック図である。図8は、取り出しシステム20を用いた郵便物Mの取り出し作業の一例を示す流れ図である。
【0010】
図9は、取り出しシステム20を用いた郵便物Mの反転作業の一例を示す流れ図である。図10は、押印システム130を用いた押印作業の一例を示す流れ図である。図11乃至図13は、載置テーブル5から認識テーブルまで郵便物Mを搬送する際の、郵便物Mに対する吸着ハンド92第1の姿勢を模式的に示す説明図である。図14は、認識テーブル40から第1のベルトコンベア70まで郵便物Mを搬送する際の、郵便物Mに対する吸着ハンド92の第2の姿勢を模式的に示す説明図である。図15は、第1のベルトコンベア70の搬送面71上での郵便物Mの姿勢を模式的に示す説明図である。図16は、搬送面71上に郵便物Mが当接した状態を模式的に示す説明図である。
【0011】
図1及び図2に示すように、取り出し押印システム10は、郵便物Mが載置された載置部の一例である載置テーブル5から郵便物Mを取り出す取り出しシステム20、及び、取り出しシステム20によって取り出された郵便物Mに消印を押印する押印システム130を有している。取り出し押印システム10は、一例として、郵便局で用いられている。郵便物Mは、取り出しシステム20で取り出されて搬送先へ搬送される被搬送物の一例である。郵便物Mは、葉書や封筒である。
【0012】
取り出しシステム20は、載置テーブル5に載置された郵便物Mを撮影する第1のカメラ30、郵便物Mを載置可能な認識テーブル40、認識テーブル40の載置面41に載置された郵便物Mを撮影する第2のカメラ50、認識テーブル40に郵便物Mが載置されているか否かを検知する第1の検知センサ60、第1のベルトコンベア70、及び、第1のベルトコンベア70の郵便物Mをリリースするリリース位置P1に対して所定高さ位置に郵便物Mがあるか否かを検知する第2の検知センサ80を有している。
【0013】
さらに、取り出しシステム20は、載置テーブル5から郵便物Mを認識テーブル40の載置面41まで搬送し、さらに、郵便物Mを認識テーブル40から第1のベルトコンベア70まで搬送する搬送装置90、第1のベルトコンベア70及び搬送装置90を駆動する第1のサブ制御装置100、並びに、第1のメイン制御装置110を有している。
【0014】
さらに、取り出しシステム20は、押印システム130の後述する第2のベルトコンベア140の上流端に郵便物Mがあるか否かを検知する第3の検知センサ120を有している。
【0015】
第1のカメラ30は、載置テーブル5に載置された複数の郵便物Mの中から、搬送装置90により取り出す優先順位が一番高い郵便物Mを第1のメイン制御装置110が特定できる映像を撮影可能なカメラである。
【0016】
本実施形態では、優先順位が一番高い郵便物は、一例として、載置テーブル5に載置された郵便物Mの中で一番高い位置に配置された郵便物である。この為、第1のカメラ30は、第1のメイン制御装置110が一番高い位置に配置された郵便物Mを特定可能とする為に、一例として、3Dカメラが用いられている。なお、第1のカメラ30は、カラーカメラであってもよい。
【0017】
認識テーブル40は、郵便物Mを載置可能な載置面41を有している。載置面41は、重力方向に直交する、水平な平面である。本実施形態では、重力が作用する方向を下方向として上下方向を設定する。載置面41は、少なくとも1つの郵便物Mを載置可能な面積を有している。
【0018】
第2のカメラ50は、載置面41に載置された郵便物Mが表の姿勢であるか否かを第1のメイン制御装置110が判定可能となる映像を撮影可能に構成されている。第2のカメラ50は、一例として、カラーカメラである。本実施形態では、表の姿勢は、切手が貼られた面(表の面)が上方を向いている姿勢である。
【0019】
第1の検知センサ60は、一例として、透過型のフォトセンサである。第1の検知センサ60は、投光器61、及び受光器62を有している。投光器61は、載置面41の縁に設置されている。投光器61は、載置面41の中心を通る光を照射可能に構成されている。受光器62は、載置面41の縁において投光器61に対向する位置に設置されている。
【0020】
第1のベルトコンベア70は、押印システム130の後述する第2のベルトコンベア140に隣接する位置に配置されている。第1のベルトコンベア70の搬送方向は、第2のベルトコンベア140へ向かう方向である。本実施形態では、第1のベルトコンベア70の搬送方向は、一例として一方向である。なお、他の例では、第1のベルトコンベア70は、搬送方向を逆方向に変更可能に構成されてもよい。
【0021】
第2の検知センサ80は、一例として、透過型のフォトセンサである。第2の検知センサ80は、投光器81、及び受光器82を有している。投光器81は、第1のベルトコンベア70のリリース位置P1を挟んだ幅方向一端において、搬送面71に対して所定高さの位置に設置されている。なお、第1のベルトコンベア70の幅方向は、第1のベルトコンベア70による搬送方向に直交する方向である。
【0022】
所定高さは、郵便物Mがこの所定高さか搬送面71に落下しても郵便物Mに損傷が発生しない程度の高さである。受光器82は、第1のベルトコンベア70のリリース位置P1を挟んで幅方向他端に設置されている。
【0023】
図3乃至図6に示すように、搬送装置90は、負圧により郵便物Mを吸着する吸着装置91、及び、吸着装置91に用いられる吸着ハンド92を移動する移動装置93を有している。
吸着装置91は、図6に示すように、移動装置93に設置された吸着ハンド92、ポンプ91a(図2に示す)、及びポンプ91aに接続された配管94(図3に示す)を有している。吸着ハンド92は、基部92a、及び基部92aに設けられた吸着パッド92bを有している。基部92aは、一例として、板状に形成されている。
【0024】
吸着パッド92bは、筒状であり、その一端開口により郵便物Mを吸着する。吸着パッド92bは、一例としてゴム等の樹脂から形成されている。吸着パッド92bは、負圧により郵便物Mを吸着した状態において、その軸方向に若干量縮小可能とする為に、一例として、蛇腹の円筒状に形成されている。
【0025】
吸着パッド92bは、一例として、複数設けられており、本実施形態では一例として3つ設けられている。3つの吸着パッド92bは、それぞれの中心線Cが三角形の頂点を通る位置に配置されている。なお、本実施形態では、3つの吸着パッド92bのそれぞれの中心線Cは、一例として、正三角形の頂点を通る位置に配置されている。中心線Cは、直線である。他の例では、3つの吸着パッド92bのそれぞれの中心線Cは、正三角形ではない三角形の頂点を通る位置に配置されてもよい。
【0026】
吸着パッド92bの先端面は、郵便物Mを吸着する際に郵便物Mに接触する吸着面92cである。全ての吸着パッド92bの吸着面92cは、同一平面上に配置されている。吸着面92cは、吸着パッド92bの中心線(中心軸)に直交する平面となる。
【0027】
また3つの吸着パッド92bは、本実施形態では、図4に示すように、搬送装置90の後述する反転部99の第4の回転軸R4が第1のベルトコンベア70の幅方向に平行となり、さらに、吸着ハンド92の姿勢が、吸着面92cが水平方向に直交する姿勢となると、3つの吸着パッド92bの中心線Cがそれぞれ上下方向にずれて配置される位置関係を有している。なお、水平方向は、重力方向に直交する方向、すなわち、上下方向に直交する方向である。
【0028】
なお、本実施形態では、吸着パッド92bが筒状に形成されていることから、搬送装置90の反転部99の第4の回転軸R4が第1のベルトコンベア70の幅方向に平行となり、さらに、吸着ハンド92の姿勢が、吸着面92cが水平方向に直交する姿勢となると、3つの吸着パッド92bの中心線Cが水平方向に平行となる。
【0029】
また、本実施形態では、吸着パッド92bは、想定される様々な郵便物Mを吸着して安定して搬送可能とする為に、一例として3つ設けられている。しかしながら、吸着パッド92bの数は3つに限定されるものではない。吸着パッド92bの数は、吸着パッド92bの大きさや、搬送する対象物の大きさに応じて、適宜変更可能である。
【0030】
ポンプ91aは、配管94を介して各吸着パッド92bに連結されている。各配管94内には、当該配管94内を大気と連通する状態及び閉じた状態を切り替える弁の一例である電磁バルブ94aが設けられている。電磁バルブ94aが閉じた状態でポンプ91aが駆動されると、吸着パッド92bに負圧が生じる。ポンプ91aの駆動が停止され、さらに、電磁バルブ94aが開くと、吸着パッド92b内が大気圧と同圧となり、所謂真空破壊がなされた状態となる。各配管94の電磁バルブ94aの開閉は、第1のメイン制御装置110により独立して行われる。
【0031】
さらに、各配管94には、圧力センサ94bが設けられている。圧力センサ94bは、配管94内の圧力を検知可能に構成されている。圧力センサ94bの検知結果は、第1のメイン制御装置110に送信される。
【0032】
移動装置93には、吸着ハンド92が固定されている。移動装置93は、機能1乃至機能7を有している。
機能1は、吸着ハンド92を、載置テーブル5の範囲内で、吸着パッド92bを下方に向けた姿勢で水平方向及び上下方向に移動する機能である。
機能2は、載置テーブル5の範囲内で、郵便物Mに対する吸着ハンド92の姿勢を第1の姿勢とする機能である。第1の姿勢とは、複数の吸着パッド92bが用いられる場合は、これら複数の吸着パッド92b間の中心C1が郵便物Mの中心C2に対向し、さらに、郵便物Mに設定される線L1に対して吸着パッド92bが対称に配置される姿勢である。線L1は、本実施形態では一例として、郵便物Mの対角線である。
【0033】
例えば、図11に示すように、3つの吸着パッド92bが用いられる場合の第1の姿勢は、3つの吸着パッド92b間の中心C1が郵便物Mの中心C2に対向する姿勢である。さらに、第1の姿勢は、本実施形態では郵便物Mに設定される線L1対角線であることから、1つの吸着パッド92bの中心が線L1上に配置される姿勢である。
【0034】
また、図12に示すように、2つの吸着パッド92bが用いられる場合の第1の姿勢は、2つの吸着パッド92b間の中心C1が郵便物Mの中心C2と対向し、さらに、2つの吸着パッド92bのそれぞれの中心線Cが線L1を通る姿勢である。また、図13に示すように、1つの吸着パッド92bが用いられる場合の第1の姿勢は、1つの吸着パッド92bの中心線Cが、郵便物Mの中心C2を通る姿勢である。
【0035】
なお、本実施形態では、郵便物Mに設定される線L1の一例として対角線が用いられたがこれに限定されない。他の例では、郵便物Mが長方形状である場合は、線L1は、郵便物Mの中心C2を通り、さらに長手方向に平行な線であってもよい。
【0036】
機能3は、吸着ハンド92を載置テーブル5から認識テーブル40まで移動する機能である。
機能4は、吸着ハンド92を、認識テーブル40の載置面41の範囲内で、吸着パッド92bの開口を下方に向けた姿勢で上下移動する機能である。
機能5は、吸着ハンド92を、郵便物Mに対する吸着ハンド92の姿勢を第2の姿勢とする機能である。第2の姿勢とは、実際に使用される吸着パッド92bが複数ある場合、これら実際に使用される複数の吸着パッド92b間の略中心C1が、郵便物Mの略中心C2に対向する姿勢である。ここで言う略中心は、中心、及び中心に近い位置を含む。すなわち、厳密に中心であることに限定されない。換言すると、実際に使用される複数の吸着パッド92b間の中心C1が、郵便物Mの中心C2に対向する姿勢であることが好ましいが、移動装置93の移動精度や、第2のカメラ50の撮影映像に基づく郵便物Mの中心位置の特定の精度によっては、中心どうしを対向させるよう移動装置93を駆動させた場合であっても、実際には、ずれが生じる可能性がある。実際に使用される複数の吸着パッド92b間の略中心C1が、郵便物Mの略中心C2に対向する姿勢とは、このずれを含むものである。このように、使用される複数の吸着パッド92b間の中心C1が郵便物Mの中心C2に対向することにより、少なくとも1つの吸着パッド92bの中心が郵便物Mの中心C2よりも一方側に配置され、少なくとも1つの吸着パッド92bの中心が郵便物Mの中心C2よりも他方側に配置される。
本実施形態では、3つ以上の吸着パッド92bが用いられる場合、すなわち3つの以上の吸着パッド92bで吸着する場合では、3つ以上の吸着パッド92b間の中心C1が郵便物Mの中心C2と対向し、さらに、1つの吸着パッド92bの中心が郵便物Mの中心C2よりも長手方向一端側に配置され、残りの吸着パッド92b間の中心が郵便物Mの中心C2よりも長手方向他端側に配置される姿勢である。
【0037】
2つ吸着パッド92bが用いられる場合、すなわち2つの吸着パッド92bにより吸着する場合では、第2の姿勢は、この2つの吸着パッド92bの間の中心C1が郵便物Mの中心C2に対向し、さらに、1つの吸着パッド92bの中心が郵便物Mの中心C2よりも長手方向一端側に配置され、残りの1つの吸着パッド92bの中心が郵便物Mの中心C2よりも長手方向他端側に配置される姿勢である。
【0038】
なお、本実施形態では3つの吸着パッド92bの位置関係は、図4に示すように、搬送装置90の後述する反転部99の第4の回転軸R4が第1のベルトコンベア70の幅方向に平行となり、さらに、吸着ハンド92の姿勢が、3つの吸着パッド92bの吸着面92cが水平方向に直交する姿勢となると、3つの吸着パッド92bの中心線Cがそれぞれ上下方向にずれて配置される位置関係を有している。この為、後述する反転部の第4の回転軸R4を郵便物Mの幅方向と平行となる姿勢を維持したまま、郵便物Mに対する吸着ハンド92の位置を調整することにより、吸着ハンド92の姿勢を第2の姿勢とすることが可能となる。
すなわち、3つの吸着パッド92bを用いる場合の第2の姿勢では、郵便物Mに対する3つの吸着パッド92bの位置関係は、図14に示す位置関係となる。2つの吸着パッド92bを用いる場合は、3つのいずれか2つの吸着パッド92bが選択され、これら2つの吸着パッド92bの中心を郵便物Mの中心に対向させると、第2の姿勢となる。なお、選択される2つの吸着パッド92bは、予め決定されている。1つの吸着パッド92bが用いられる場合、この用いられる吸着パッド92bの中心を郵便物Mの中心に対向させることにより、第2の姿勢となる。用いられる1つの吸着パッド92bは、予め決定されている。このように、3つの吸着パッド92bを、図14に示す位置から郵便物Mの面方向に平行に移動するだけで、2つの吸着パッド92bが用いられる場合の第2の姿勢、及び1つの吸着パッド92bが用いられる場合の第2の姿勢にすることが可能となる。
【0039】
郵便物Mの幅方向とは、郵便物Mが一方向に長い矩形状である場合、郵便物Mの短手方向に平行となる方向である。郵便物Mの平面形状が正方形である場合は、郵便物Mの四辺のいずれか1つの平行となる方向とする。
【0040】
このように、本実施形態では、吸着ハンド92の第2の姿勢となると、反転部99の第4の回転軸R4は、郵便物Mの幅方向に平行となる。
【0041】
1つの吸着パッド92bが用いられる場合の第2の姿勢は、この1つの吸着パッド92bの中心線Cが郵便物Mの中心C2を通る姿勢である。
【0042】
機能6は、吸着ハンド92を、認識テーブル40から第1のベルトコンベア70のリリース位置P1の上方まで移動する機能である。
機能7は、図5に示すように、吸着ハンド92を、吸着パッド92bの吸着面92cが水平方向に直交する姿勢から、吸着面92cに直交する線及び水平線L2の間のなす角度が所定値(90-α)度となる姿勢まで回転する機能である。αは、90度以下の値である。吸着面92cに直交する線の一例は、本実施形態では吸着パッド92bの中心線Cとなる。
【0043】
この角度αは、郵便物Mを第1のベルトコンベア70の搬送面71に載置する際に郵便物Mの延長面及び搬送面71の間の角度となる。αは、郵便物Mをスムーズに搬送面71に載置する為に予め設定された角度である。αは、一例として80度である。
【0044】
移動装置93は、機能1乃至機能7を達成する為に、一例として、スカラロボットが用いられている。移動装置93は、図1図3乃至図5に示すように、基部93a、肩部95、肩部95に支持された腕部96、腕部96に支持された上下移動部97、上下移動部97に支持された回転部98、及び、回転部98に支持された反転部99を有している。
【0045】
基部93aは、取り出し押印システム10が設置される設置場所の床面等に固定されている。なお、基部93aは、車輪などを介して、移動可能であってもよい。
【0046】
肩部95は、一例として、水平方向に所定の長さを有している。肩部95は、その一端部が基部93aに、上下方向に平行な第1の回転軸R1回りに回転可能に支持されている。肩部95は、一例として、両方向に360度回転可能である。肩部95は、電動モータ等のアクチュエータにより、独立して回転可能である。肩部95の位置はセンサにより検出される。肩部95の移動量は制御可能である。
【0047】
腕部96は、その一端部が、肩部95の他端部に、上下方向に平行な第2の回転軸R2回りに両方向に回転可能に設けられている。腕部96は、一例として両方向に360度回転可能である。腕部96は、電動モータ等のアクチュエータにより、独立して回転可能である。腕部96の位置はセンサにより検出される。腕部96の移動量は制御可能である。
【0048】
上下移動部97は、腕部96の他端部に支持されている。上下移動部97は、腕部96に対して上下方向に移動可能である。上下移動部97は、電動モータ等のアクチュエータにより、独立して移動可能である。上下移動部97の位置はセンサにより検出される。上下移動部97の移動量は制御可能である。
【0049】
回転部98は、上下移動部97の下端部に設けられている。回転部98は、上下方向に平行な第3の回転軸R3回りに両方向に回転可能である。回転部98は、一例として、両方向に360度回転可能である。回転部98は、電動モータ等のアクチュエータにより独立して回転可能である。回転部98の回転位置はセンサにより検出される。回転部98の回転量は制御可能である。
【0050】
反転部99は、図3乃至図5に示すように、回転部98に設けられており、水平方向に平行な第4の回転軸R4回りに両方向に回転可能に設けられている。この為、反転部99は、本実施形態では、回転部98とともに回転する。反転部99は、吸着ハンド92を、吸着パッド92bが下方に向き、かつ、吸着面92cが上下方向に略直交する姿勢から、第4の回転軸R4回りに回転可能に構成されている。なお、ここで言う略直交する姿勢とは、直交する姿勢、及び、直交に近い姿勢を含む。すなわち、厳密に直交する姿勢に限定されない。移動装置93の移動精度によって、吸着面92cが上下方向に直交する姿勢にするべく反転部99を駆動しても、若干ずれる場合がある。略直交する姿勢は、このずれを許容するものである。反転部99は、一例として、両方向に360度回転可能である。さらに、反転部99は、電動モータ等のアクチュエータにより独立して回転可能である。反転部99の回転位置はセンサにより検出される。反転部99の回転量は制御可能である。
【0051】
第1のサブ制御装置100は、第1のメイン制御装置110からの指示に基づき、搬送装置90及び第1のベルトコンベア70の動作を制御する。
【0052】
第3の検知センサ120は、押印システム130の後述する第2のベルトコンベア140の上流端に設置されており、第2のベルトコンベア140の上流端に郵便物Mがあるか否かを検知可能に構成されている。第3の検知センサ120は、一例として、透過型のフォトセンサである。
【0053】
第1のメイン制御装置110は、第1のカメラ30により撮影された映像に基づいて、載置テーブル5に郵便物Mが載置されているか否かを判断する。また、第1のメイン制御装置110は、第1のカメラ30により撮影された映像に基づいて、載置テーブル5に載置された郵便物Mのうち、認識テーブル40まで搬送する優先度が一番高い郵便物Mを特定する。
【0054】
また、第1のメイン制御装置110は、特定した郵便物Mの中心C2の水平方向の位置及び上下方向の位置を検出する。また、第1のメイン制御装置110は、第1の検知センサ60の検出結果に基づいて、認識テーブル40の載置面41に郵便物Mが載置されているか否かを判断する。また、第1のメイン制御装置110は、第2のカメラ50により撮影された映像に基づいて、載置面41に載置された郵便物Mの中心位置を検出する。
【0055】
押印システム130は、図1及び図7に示すように、インクテーブル135、第2のベルトコンベア140、第2のベルトコンベア140に設けられた第4の検知センサ150、第3のカメラ160、郵便物Mに消印を押印する押印装置170、第2のベルトコンベア140及び押印装置170を駆動する第2のサブ制御装置180、並びに、第2のメイン制御装置190を有している。
【0056】
インクテーブル135は、消印を押印する為の判子に補充するインクが載置される。なお、判子にインクを補充する必要がない場合は、インクテーブル135はなくてよい。
第2のベルトコンベア140は、第1のベルトコンベア70の下流側に配置されている。第2のベルトコンベア140は、第1のベルトコンベア70との間に、郵便物Mが落下することがない程度の隙間を有して配置されている。第2のベルトコンベア140は、消印が押印された郵便物Mを所定の搬送先まで搬送する。所定の搬送先は、一例として、消印が押印された郵便物Mを収容する箱である。
【0057】
第4の検知センサ150は、第2のベルトコンベア140に設定された、消印の押印位置P2に郵便物Mがあるか否かを検知可能に構成されている。押印位置P2は、予め設定されている。第4の検知センサ150は、一例として、透過型のフォトセンサである。第4の検知センサ150の投光器151は、第2のベルトコンベア140の押印位置P2を挟んだ幅方向一端に設置されている。第4の検知センサ150の受光器152は、押印位置P2を挟んだ幅方向他端に設置されている。
【0058】
第3のカメラ160は、押印位置P2を上方から撮影可能に構成されている。第3のカメラ160は、第2のメイン制御装置190が郵便物Mの切手の水平方向の位置及び上下方向の位置を検出可能となる映像を撮影する。第3のカメラ160は、一例として、3Dカメラである。
【0059】
押印装置170は、消印として押印される判子が固定された押印ハンド171を有している。押印装置170は、押印位置P2に配置された郵便物Mに消印を押印可能に構成されている。押印装置170は、機能8、機能9、及び機能10を有している。
【0060】
機能8は、インクテーブル135上で判子を上下移動する機能である。
【0061】
機能9は、判子をインクテーブル135から第2のベルトコンベア140の押印位置P2上の配置された郵便物Mの切手上まで移動する機能である。
【0062】
機能10は、切手上で判子を上下移動する機能である。
【0063】
押印装置170は、機能8乃至機能10を達成する為に、一例として、移動装置93と同様の構成を有している。この為、押印装置170において移動装置93と同様の機能を有する構成は、移動装置93と同一の符号を付して説明を省略する。
【0064】
第2のサブ制御装置180は、第2のベルトコンベア140及び押印装置170を駆動する。
【0065】
第2のメイン制御装置190は、第4の検知センサ150の検出結果に基づいて、押印位置P2に郵便物Mがあるかい否かを判断する。また、第2のメイン制御装置190は、第3のカメラ160により撮影された映像に基づいて、郵便物Mの切手の水平方向での位置、及び切手の上下方向の位置を検出する。
【0066】
次に、取り出しシステム20の動作を説明する。図8に示すように、第1のメイン制御装置110は、まず、押印システム130において処理が滞っていないか判断する。この一例として、本実施形態では、第1のメイン制御装置110は、第2のベルトコンベア140に設けられた第3の検知センサ120の検知結果に基づいて、第2のベルトコンベア140の上流端に郵便物Mがあるか否かを判断する(ステップST1)。
【0067】
郵便物Mがある場合(ステップST1のYes)、第2のベルトコンベア140に不備がある、郵便物Mが第1のベルトコンベア70及び第2のベルトコンベア140の間で引っ掛かっている、または、第2のベルトコンベア140に郵便物Mが詰まっている状態が想定される。これらの場合、第1のメイン制御装置110は、押印システム130に郵便物Mを送ることができないと判断する。
【0068】
第1のメイン制御装置110は、第2のベルトコンベア140の上流端に郵便物Mがないと判断すると(ステップST1のNo)、吸着ハンド92を初期位置に移動し、さらに初期姿勢に変位する(ステップST2)。初期位置は、一例として、第1のベルトコンベア70のリリース位置P1の上方の位置である。
【0069】
第1のメイン制御装置110は、吸着ハンド92が初期位置に移動し、さらに初期姿勢となると、第2のカメラ50により撮影された映像に基づいて、認識テーブル40の載置面41に郵便物Mがあるか否かを判断する。第1のメイン制御装置110は、郵便物Mがないと判断すると(ステップST3のYes)、第1のカメラ30により撮影された映像に基づいて、載置テーブル5上の郵便物の認識処理を開始する(ステップST4)。
【0070】
第1のメイン制御装置110は、第1のカメラ30により撮影された映像に基づいて、載置テーブル5上に郵便物Mがあるか否かを判断する(ステップST5)。第1のメイン制御装置110は、載置テーブル5上に郵便物Mがないと判断すると(ステップST5のNo)、取り出しシステム20の動作を終了する。
【0071】
第1のメイン制御装置110は、載置テーブル5上に郵便物Mがあると判断すると(ステップST5のYes)、第1のカメラ30により撮影された映像に基づいて、取り出す優先順位が一番高い郵便物を、次に取り出す対象として特定する。本実施形態では、一番高い位置に配置された郵便物Mが、次に取り出される郵便物として特定される(ステップST6)。
【0072】
第1のメイン制御装置110は、第1のサブ制御装置100を制御することにより搬送装置90を駆動して、特定された郵便物Mを載置テーブル5から取り出して認識テーブル40の載置面41まで搬送する搬送作業を開始する(ステップST7)。
【0073】
例えば図11乃至図13に示すように、第1のメイン制御装置110は、第1のカメラ30により撮影された映像に基づいて、特定された郵便物Mの中心C2の水平方向での位置、及び上下方向の位置を検出する。さらに、特定された郵便物Mから線L1を検出する。
【0074】
第1のメイン制御装置110は、特定された郵便物Mのサイズに基づいて、3つの吸着パッド92bのうち、用いる吸着パッド92bを決定する。第1のメイン制御装置110は、用いる吸着パッド92bの数に基づいて、図11乃至図13に示すように特定された郵便物Mに対する吸着ハンド92の第1の姿勢を決定する。
【0075】
第1のメイン制御装置110は、第1のサブ制御装置100を制御することによって移動装置93を駆動して、吸着ハンド92を特定された郵便物Mの上方に配置し、第1の姿勢とする。
【0076】
第1のメイン制御装置110は、吸着ハンド92が第1の姿勢となると、ポンプ91aを駆動して、吸着ハンド92を郵便物Mに当接するまで下方に移動する。第1のメイン制御装置110は、吸着ハンド92が第1の姿勢で特定された郵便物Mを吸着する位置まで下がると移動装置93の駆動を停止する。第1のメイン制御装置110は、圧力センサ94bの検出結果に基づいて郵便物Mが吸着されたと判断すると、郵便物Mを認識テーブル40の載置面41まで搬送する。
【0077】
第1のメイン制御装置110は、郵便物Mを載置面41まで搬送すると、ポンプ91aの駆動を停止し、さらに、電磁バルブ94aを開くことによって郵便物Mを分離する(ステップST8)。これにより、郵便物Mは、認識テーブル40の載置面41上に載置される。
【0078】
第1のメイン制御装置110は、載置面41上に郵便物Mが載置されていると判断すると(ステップST3のNo)、第1のサブ制御装置100を制御することによって搬送装置90を駆動して、郵便物Mを載置面41から第1のベルトコンベア70まで搬送する(ステップST9)。この際、載置面41上での郵便物Mの姿勢が表の姿勢でない場合は、郵便物Mの姿勢を反転し、郵便物Mを表の姿勢で第1のベルトコンベア70の搬送面71上に載置する。
【0079】
この郵便物Mを認識テーブル40から第1のベルトコンベア70まで搬送する動作について、図9を用いて詳細に説明する。まず、第2のカメラ50は、載置面41上に載置された郵便物Mを撮影する。第1のメイン制御装置110は、第2のカメラ50により撮影された映像に基づいて、郵便物Mの水平方向の位置、郵便物Mの上下方向の位置、郵便物Mの姿勢、及び、郵便物Mのサイズを検出する(ステップST91)。
【0080】
第1のメイン制御装置110は、第2のカメラ50により撮影された映像に基づいて、郵便物Mが裏の姿勢であるか否かを判断する。第1のメイン制御装置110は、郵便物Mが表の姿勢であると判断すると(ステップST92のNo)、郵便物Mのサイズに基づいて、用いる吸着パッド92bを決定する。郵便物Mのサイズと吸着パッド92bの数との関係は、予め記憶されている。第1のメイン制御装置110は、この予め記憶されている情報に基づいて、用いる吸着パッド92bを決定する(ステップST93)。
【0081】
第1のメイン制御装置110は、用いる吸着パッド92bを決定すると、第1のサブ制御装置100を制御することによって移動装置93を駆動し、吸着ハンド92を載置面41上に移動する。さらに、第1のメイン制御装置110は、移動装置93を駆動することにより、吸着ハンド92を、郵便物Mに対して第1の姿勢に変位する(ステップST94)。第1の姿勢では、吸着パッド92bの中心線Cは、上下方向に平行となる。
【0082】
第1のメイン制御装置110は、吸着ハンド92の姿勢を第1の姿勢に変位すると、用いる吸着パッド92bに連結された配管94の電磁バルブ94aを閉じ、さらに、ポンプ91aを駆動する。
【0083】
第1のメイン制御装置110は、電磁バルブ94aを閉じてポンプ91aを駆動すると、郵便物Mの上下方向の位置情報に基づいて、吸着ハンド92を下方に移動し、吸着ハンド92の姿勢を第1の姿勢のまま、郵便物Mに押し付ける。第1のメイン制御装置110は、吸着ハンド92が、郵便物Mを吸着する位置まで下がると、移動装置93の駆動を停止する。ポンプ91aが駆動されることにより吸着パッド92b内が負圧となるので、郵便物Mが吸着パッド92bに吸着される(ステップST95)。
【0084】
第1のメイン制御装置110は、圧力センサ94bの検出結果に基づいて、吸着パッド92bに郵便物Mが吸着されたか否かを判断する。第1のメイン制御装置110は、吸着パッド92bに郵便物Mが吸着されたと判断すると、第1のサブ制御装置100を制御することにより移動装置93を駆動して、郵便物Mを第1のベルトコンベア70のリリース位置P1の上方の位置まで搬送する(ステップST96)。
【0085】
このときの吸着ハンド92の姿勢は、郵便物Mの表の面が上方に向く姿勢であり、一例とし、吸着パッド92bの中心線Cが上下方向に平行となる姿勢である。
【0086】
第1のメイン制御装置110は、郵便物Mをリリース位置P1の上方の位置まで搬送すると、第1のサブ制御装置100を制御することにより移動装置93の上下移動部97を駆動して、吸着ハンド92及び郵便物Mを下方に移動する。
【0087】
第1のメイン制御装置110は、第2の検知センサ80の検知結果に基づいて、郵便物Mがリリース位置P1まで下がったことを検出すると、吸着ハンド92の移動を停止する(ステップST97)。
【0088】
第1のメイン制御装置110は、移動装置93の駆動を停止すると、ポンプ91aの駆動を停止し、電磁バルブ94aを開く。ポンプ91aが停止され、さらに、電磁バルブ94aが開くことにより、吸着パッド92b内が大気圧と同圧となり、所謂真空破壊がなされた状態となる(ステップST98)。真空破壊がなされることにより吸着力がなくなるので、郵便物Mが吸着パッド92bより離脱し、搬送面71上に、表の面が上方に向く姿勢で、落下する(ステップST98)。
【0089】
第1のメイン制御装置110は、ポンプ91aの駆動を停止し、さらに、電磁バルブ94aを開くと、第1のサブ制御装置100を制御することによって移動装置93を駆動して、吸着ハンド92を上方に移動する(ステップST99)。第1のメイン制御装置110は、吸着ハンド92を上方に移動すると、ステップST1から動作を行う。
【0090】
また、第1のメイン制御装置110は、ステップST92において、認識テーブル40載置面41での郵便物Mが裏の姿勢であると判断すると(ステップST92のYes)、郵便物Mのサイズに基づいて、用いる吸着パッド92bの数を決定する(ステップST100)。
【0091】
第1のメイン制御装置110は、用いる吸着パッド92bを決定すると、第1のサブ制御装置100を制御することによって移動装置93を駆動して、吸着ハンド92を載置面41上に移動する。さらに、第1のメイン制御装置110は、移動装置93を駆動することによって、吸着ハンド92を、郵便物Mに対して第2の姿勢に変位する(ステップST101)。第2の姿勢では、吸着パッド92bの中心線Cは、上下方向に平行となる。
【0092】
第1のメイン制御装置110は、吸着ハンド92の姿勢を第2の姿勢に変位すると、電磁バルブ94aを閉じてポンプ91aを駆動する。第1のメイン制御装置110は、電磁バルブ94aを閉じ、さらにポンプ91aを駆動すると、郵便物Mの上下方向の位置情報に基づいて、吸着ハンド92を下方に移動し、郵便物Mに対する吸着ハンド92の姿勢を第2の姿勢のまま、吸着パッド92bを郵便物Mに押し付ける。ポンプ91aが駆動されることによって吸着パッド92b内が負圧となり、郵便物Mが吸着パッド92bに吸着される(ステップST102)。
【0093】
第1のメイン制御装置110は、圧力センサ94bの検出結果に基づいて、吸着パッド92bに郵便物Mが吸着されたか否かを判断する。第1のメイン制御装置110は、吸着パッド92bに郵便物Mを吸着されたと判断すると、第1のサブ制御装置100を制御することによって移動装置93を駆動して、郵便物Mを第1のベルトコンベア70のリリース位置P1上まで搬送する(ステップST103)。このときの吸着ハンド92の姿勢は、郵便物Mの表の面が上方に向く姿勢であり、一例とし、吸着パッド92bの中心線が上下方向に平行となる姿勢である。
【0094】
第1のメイン制御装置110は、郵便物Mがリリース位置P1の上方まで搬送されると、第1のサブ制御装置100を制御することによって移動装置93を駆動して、反転部99の第4の回転軸R4を第1のベルトコンベア70の幅方向と平行にする。さらに、第1のメイン制御装置110は、反転部99を駆動することによって、吸着ハンド92を、吸着パッド92bの中心線Cと水平方向に平行な水平線L2との間の角度が、(90-α)度となる姿勢に変位する(ステップST104)。すなわち、吸着面92cに略直交する方向が上下方向に対して傾斜する姿勢とする。吸着ハンド92のこの姿勢を、第3の姿勢とする。
【0095】
吸着ハンド92が第3の姿勢となることにより、郵便物Mの短手方向が第1のベルトコンベア70の幅方向に平行となり、さらに、郵便物Mの吸着パッド92bが吸着された吸着面の延長面及び第1のベルトコンベア70の搬送面71の間の角度がαとなる。
【0096】
さらに、吸着ハンド92が第3の姿勢となると、吸着パッド92bが3つ用いられている場合は、2つの吸着パッド92bが郵便物Mの中心C2よりも下方に配置され、1つの吸着パッド92bが郵便物Mの中心C2よりも上方に配置されることとなる。
【0097】
吸着パッド92bが2つ用いられている場合は、1つの吸着パッド92bが郵便物Mの中心C2よりも上方に配置され、他方の1つの吸着パッド92bが郵便物Mの中心C2よりも下方に配置される。
【0098】
第1のメイン制御装置110は、吸着パッド92bが2つ以上用いられている場合は、郵便物Mの中心より上方に配置された吸着パッド92bに連結された電磁バルブ94aを開く。電磁バルブ94aが開かれることにより、この電磁バルブ94aが設けられた配管94に連結された吸着パッド92bに、真空破壊がなされる(ステップST105)。
【0099】
真空破壊がなされることにより、この1つの吸着パッド92bによる郵便物Mの吸着が解除される。この為、郵便物Mは、郵便物Mの中心C2よりも下方に配置された吸着パッド92bによって吸着された状態が維持される。なお、1つの吸着パッド92bのみが用いられる場合は、第1のメイン制御装置110は、電磁バルブ94aを開かない。
【0100】
第1のメイン制御装置110は、2つ以上の吸着パッド92bが用いられている場合において上述のように一部の吸着パッド92bの真空破壊をなすと、第1のサブ制御装置100を制御することによって移動装置93を駆動して、吸着ハンド92を第3の姿勢のまま、下方に移動する。
【0101】
第1のメイン制御装置110は、第2の検知センサ80の検知結果に基づいて郵便物Mが搬送面71に対して所定高さ位置まで移動したことを検知すると、第1のサブ制御装置100を制御することによって移動装置93をさらに駆動して郵便物Mを第1のベルトコンベア70の搬送面71に当接させる(ステップST106)。
【0102】
なお、第2の検知センサ80によって検知される所定高さから搬送面71までの距離、及び、移動装置93による吸着ハンド92の上下方向の移動速度に基づいて、第2の検知センサ80により郵便物Mの下端が検知されてから、当該下端が搬送面71に当接するまでの時間は、予め求めることができる。本実施形態では、第1のメイン制御装置110は、この予め求められている当接所要時間に基づいて、郵便物Mが搬送面71に当接したと判断する。
【0103】
第1のメイン制御装置110は、第2の検知センサ80によって郵便物Mが検知されてから、当接所要時間時間が経過すると、郵便物Mが搬送面71に当接したと判断して、
移動装置93の駆動を停止する。
【0104】
なお、当接所用時間の経過直後に移動装置93の駆動を停止してもよい。または、当接所用時間の経過後、さらに所定時間の経過後に移動装置93の駆動を停止してもよい。例えば、郵便物Mの材質、厚さに応じて移動装置93の駆動の停止タイミングを決定してもよい。例えば、郵便物Mが硬い場合または郵便物の厚みが厚い場合は、当接所要時間が経過後すぐに移動装置93の駆動を停止する。例えば、郵便物Mが薄い場合または郵便物Mがやわらかい場合は、当接所要時間の経過後、さらに所定時間が経過した後に、移動装置93の駆動を停止してもよい。
【0105】
第1のメイン制御装置110は、移動装置93の駆動を停止すると、ポンプ91aの駆動を停止して、電磁バルブ94aを開く。ポンプ91aの駆動が停止され、さらに、電磁バルブ94aが開くことによって、吸着パッド92b内が大気圧となり、真空破壊がなされる(ステップST107)。
【0106】
吸着パッド92bの真空破壊がなされることによって、郵便物Mは、その下端と搬送面71との間の摩擦によって、表の面が上方に向く姿勢となる。さらに、吸着パッド92bの真空破壊がなされることによって、吸着パッド92bは、自身の弾性により元の長さに戻る。このとき、郵便物Mは、その下端部が第1のベルトコンベア70の搬送方向下流側に向かって押し出される。郵便物Mは、下端部が押し出されることにより、スムーズに表の面が上方に向く姿勢となる。
【0107】
吸着パッド92bから分離して搬送面71上に載置された郵便物Mは、第1のベルトコンベア70によって、押印システム130に搬送される。
【0108】
第1のメイン制御装置110は、ポンプ91aの駆動を停止し、さらに電磁バルブ94aを開くと、第1のサブ制御装置100を制御することによって移動装置93を駆動して、吸着ハンド92を上方に移動する(ステップST108)。
【0109】
第1のメイン制御装置110は、吸着ハンド92を初期位置まで上昇すると、第1のサブ制御装置100を制御することによって移動装置93を駆動して、搬送装置90を初期姿勢に変位する(ステップST109)。第1のメイン制御装置110は、搬送装置90を初期位置まで移動し、さらに初期姿勢に変位すると、ステップST1の制御に戻る。
【0110】
次に、押印システム130の動作を説明する。図10に示すように、第2のメイン制御装置190は、第2のベルトコンベア140の駆動を開始する(ステップST21)。第2のメイン制御装置190は、第2のベルトコンベア140の駆動を開始すると、第2のサブ制御装置180を制御することによって押印装置170を駆動して、判子をインクテーブル135上に移動する(ステップST22)。
【0111】
第2のメイン制御装置190は、第4の検知センサ150の検知結果に基づいて、第2のベルトコンベア140の押印位置P2に郵便物Mがあるか否かを判断する(ステップST23)。
【0112】
第2のメイン制御装置190は、押印位置P2に郵便物Mがあると判断すると(ステップST23のYes)、第2のベルトコンベア140の駆動を停止する(ステップST24)。第2のメイン制御装置190は、押印位置P2に郵便物Mが送られるまで、第2のベルトコンベア140の駆動を維持する(ステップST23のNo)。
【0113】
第2のメイン制御装置190は、第2のベルトコンベア140の駆動を停止すると、第3のカメラ160により撮影された、押印位置P2に配置された郵便物Mの映像に基づいて、切手の認識処理を開始する(ステップST25、及びステップS26)。
【0114】
取り出しシステム20から押印システム130に送られた郵便物Mは、表の面が上方を向く姿勢である。この為、切手がないと判断された場合(ステップST26のNo)は、郵便物Mに元々切手が貼られていないことが想定される。この場合、第2のメイン制御装置190は、押印システム130の動作を終了する。
【0115】
第2のメイン制御装置190は、切手があると判断すると(ステップST26のYes)、切手の位置を検出し、第2のサブ制御装置180を制御することによって押印装置170を駆動して、判子を切手の上方に移動する(ステップST27)。
【0116】
第2のメイン制御装置190は、判子を切手の上方に移動すると、第2のサブ制御装置180を制御することによって押印装置170を駆動して、判子を下方に移動する。第2のメイン制御装置190は、判子が切手に当接するまで、判子を下方に移動する(ステップST28)。
【0117】
第2のメイン制御装置190は、判子が切手に当接する位置まで移動されると、消印が切手に押印されたと判断して、第2のサブ制御装置180を制御することによって押印装置170を駆動して、判子を上昇する(ステップST29)。第2のメイン制御装置190は、判子を所定位置まで上昇すると、ステップST21の制御に戻る。
【0118】
このように構成された取り出し押印システム10の取り出しシステム20は、搬送装置90により、郵便物Mを載置テーブル5から取り出して第1のベルトコンベア70まで搬送するとともに、切手が貼られた表の面が上方を向いていない場合においては、郵便物Mの表裏を反転する。
【0119】
このように、1つの搬送装置90により、郵便物Mの搬送及び反転をすることができるので、取り出しシステム20の省スペース化を図ることが可能となる。さらに、郵便物Mを搬送する為の装置に加えて、郵便物Mを反転する為の別の装置を必要としないので、取り出しシステム20の低コスト化を図ることが可能となる。さらに、搬送装置90により載置テーブル5からの取り出し及び反転を行うことが可能となるので、作業効率を高効化することが可能となる。
【0120】
さらに、郵便物Mを、吸着ハンド92を第3の姿勢としたままで第1のベルトコンベア70の搬送面71に当接させることにより、郵便物Mの吸着面及び搬送面71の間の角度αを90度以下にできる。この為、吸着パッド92bによる吸着を解除すると、郵便物Mと搬送面71との間に生じる摩擦力により、郵便物Mがスムーズに反転され、切手が貼られた表の面を上方に向く姿勢にすることができる。
【0121】
さらに、郵便物Mを搬送面71に向かって下方に移動する際の吸着ハンド92の姿勢を第3の姿勢とすることにより、換言すると郵便物M及び搬送面71の間のなす角度αを80度等の90度未満とすることにより、郵便物Mをスムーズに反転することが可能となる。
【0122】
さらに、3つの吸着パッド92bの位置関係を、吸着ハンド92を第3の姿勢としたときに、1つの吸着パッド92bのみを郵便物Mの中心C2よりも上方に配置し、かつ、残りの2つの吸着パッド92bを郵便物Mの中心C2よりも下方に配置可能とする位置関係とすることにより、上方に配置された1つの吸着パッド92bのみを先に真空破壊し、その後に下方に配置された吸着パッド92bが真空破壊することによって、これら下方に配置された吸着パッド92bが元の長さに戻るときの力を利用して、郵便物Mをスムーズに反転できる。
【0123】
さらに、3つの吸着パッド92bの位置関係を、郵便物Mの第3の姿勢としたときに、2つの吸着パッド92bが郵便物Mの中心より下方に配置され、さらに、これら下方に配置された吸着パッド92bの中心線Cが上下方向にずれる位置関係とすることにより、郵便物Mの中心C2より上方に配置された吸着パッド92bが先に真空破壊された場合においても、郵便物Mが回転しようとするモーメントの発生を防止することができる。この為、郵便物Mが回転することに伴う郵便物Mの破れの発生を防止できる。
【0124】
さらに、郵便物Mを反転する必要がある場合は、認識テーブル40において郵便物Mに対する吸着ハンド92の姿勢を第2の姿勢とすることにより、第1のベルトコンベア70で吸着ハンド92の姿勢を第3の姿勢とすると、郵便物Mの下端縁が第1のベルトコンベア70の搬送面71に平行となる。
【0125】
この為、郵便物Mが搬送面71に当接する際には、郵便物Mの下端の縁全体が搬送面71に当接することとなるので、郵便物M及び搬送面71の間の摩擦力を大きくすることが可能となる。郵便物M及び搬送面71の間の摩擦力を大きくできることから、郵便物Mをスムーズに反転することが可能となる。
【0126】
さらに、吸着ハンド92を第3の姿勢としたときに郵便物Mの幅方向が第1のベルトコンベア70の幅方向と平行となることから、郵便物Mが吸着パッド92bから分離されて搬送面71上に載置された状態において、郵便物Mが搬送面71から外側にはみ出ることを防止できる。
【0127】
さらに、郵便物Mを載置テーブル5から認識テーブル40まで搬送する際の、郵便物Mに対する吸着ハンド92の姿勢を第1の姿勢とすることにより、郵便物Mを安定して搬送できる。
【0128】
さらに、押印システム130は、押印装置170により、郵便物Mの位置に応じて、消印を押印することが可能となる。
【0129】
なお、本実施形態では、第1のメイン制御装置110は、第1のカメラ30により撮影された映像に基づいて郵便物Mの高さ位置を検出し、この検出された高さ位置に基づいて、吸着ハンド92の下方に移動した際の停止位置を決定した。しかしながら、他の例として、吸着ハンド92に接触センサを設けて、この接触センサの検出結果に基づいて、吸着パッド92bの郵便物Mに対する当接を判断し、吸着ハンド92の下方への移動を停止してもよい。
【0130】
同様に、第1のメイン制御装置110は、第2のカメラ50により撮影された映像に基づいて認識テーブル40上での郵便物Mの高さ位置を検出し、この検出された高さ位置に基づいて、吸着ハンド92の下方に移動した際の停止位置を決定した。しかしながら、他の例として、吸着ハンド92に接触センサを設けて、この接触センサの検出結果に基づいて、吸着パッド92bの郵便物Mに対する当接を判断し、吸着ハンド92の下方への移動を停止してもよい。
【0131】
さらに、本実施形態では、取り出し押印システム10は、郵便物Mに消印を押印するシステムの一部として用いられたがこれに限定されない。例えば、郵便物M以外の被搬送物を載置部から取り出して、反転が必要な場合は反転して搬送先に搬送してもよい。
【0132】
さらに、本実施形態では、第1のベルトコンベア70及び第2のベルトコンベア140は、被搬送物を載置する搬送面を有し、この搬送面を移動することにより被搬送物を搬送するコンベアの一例である。コンベアは、ベルトコンベアのように無端ベルトを有する構造に限定されない。
【0133】
さらに、本実施形態では、郵便物Mの中C2、サイズ等の検出精度を向上する為に、認識テーブル40が用いられたがこれに限定されない。例えば、載置テーブル5上で第1のカメラ30で撮影された映像に基づいて、郵便物Mの中心C2、サイズ等必要な情報の検出精度が十分な場合は、認識テーブル40は用いなくてもよい。この場合、郵便物Mは、載置テーブル5から第1のベルトコンベア70に直接搬送される。
【0134】
さらに、本実施形態では、郵便物Mを吸着する吸着部の一例として、筒状の吸着パッド92bが用いられた吸着部の形状は筒状に限定されない。例えば、吸着部は、外観が直方体状に形成された外郭体を有し、この外郭体に吸着孔が形成された構成であってもよい。さらに、吸着孔が複数形成されてもよい。この場合、この吸着孔が吸着部となる。
【0135】
さらに、本実施形態では、郵便物Mを反転する場合、郵便物Mは上下方向に対して傾斜する姿勢で第1のベルトコンベア70の搬送面71に接触するまで移動された。すなわち、角度αが90度未満に設定された。他の例では、αは90度であってもよい。
【0136】
なお、αが90度未満となることにより、郵便物Mが上下方向に対して傾斜する為、郵便物M及び搬送面71の間に吸着ハンド92が配置されることとなる。
本実施形態では、反転部99は、一例として、第4の回転軸R4回りに両方向に360度回転可能に構成されたが、これに限定されない。反転部99は、吸着ハンド92を、吸着パッド92bが下方に向き、かつ吸着パッド92bの吸着面92cが上下方向(重力方向)に交差する姿勢から、郵便物Mが吸着パッド92bより上方に位置し、かつ吸着面92cに直交する方向が上下方向に対して傾斜する姿勢に回転可能であればよい。ここで言う、吸着パッド92bが下方に向き、かつ吸着パッド92bの吸着面92cが上下方向に交差する姿勢は、吸着面92cが上下方向に直交する姿勢に限定されない。しかしながら、この姿勢で吸着パッド92bによる吸着を解除して郵便物Mを第1のベルトコンベア70の搬送面71に落下させたときに、郵便物Mの表裏が反転することなく搬送面71上に落下する姿勢であることが好ましい。
本実施形態では、郵便物Mの表裏を反転する場合には、郵便物Mの中心より上方に位置する、実際に使用されている吸着パッド92bによる吸着を解除してから、郵便物Mを下方に移動して郵便物Mを搬送面71に接触させた。そして、郵便物Mが搬送面71に接触すると、郵便物Mの中心より下方に位置する、実際に使用されている吸着パッド92bによる吸着を解除した(ステップST105、ステップST106、及びステップST107)。すなわち、吸着ハンド92が、郵便物Mが重力方向に沿って吸着パッド92bの上方に位置し、かつ、吸着面92cに略直交する方向が前記重力方向に対して傾斜する姿勢になると、実際に吸着している複数の吸着パッド92bのうち、実際に吸着している複数の吸着パッド92bの略中心より第1のベルトコンベア70から離間する方向において吸着された吸着パッドによる吸着を解除し、その後、移動装置93により郵便物Mを搬送面71に近接する方向に移動して搬送面71に当接させて残りの吸着パッド92bによる郵便物Mの吸着を解除している。
しかしながら、郵便物Mを搬送面71に当接させてから、実際に使用されている吸着パッド92bによる吸着を解除してもよい。すなわち、移動装置93により郵便物Mを搬送面71に近接する方向に移動して搬送面71に当接させ、実際に使用されている複数の吸着パッド92bのうち、これら使用されている複数の吸着パッド92bの略中心より第1のベルトコンベア70から離間する方向において吸着された吸着パッド92bによる吸着を解除し、その後、残りの吸着パッド92bによる郵便物Mの吸着を解除してもよい。
【0137】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、本願出願当初の特許請求の範囲に記載された発明と同等の記載を付記する。
[1]
負圧により被搬送物を吸着する吸着部を具備した吸着ハンド、及び、前記吸着部に負圧を作用させるポンプを具備した吸着装置と、
前記吸着ハンドを前記被搬送物が載置された載置部から搬送先に移動する移動装置であって、前記吸着ハンドを、前記吸着部が重力方向に沿って下方に向き、かつ前記吸着部の吸着面が前記重力方向に交差する姿勢から前記重力方向に直交する水平方向を軸として回転可能な反転部を具備する移動装置と、
前記吸着装置、及び前記移動装置を制御する制御装置であって、前記被搬送物を撮像する撮像装置の映像に基づいて前記被搬送物の表裏を反転して搬送先に移動する必要があると判断すると、前記吸着部によって前記被搬送物を吸着し、前記移動装置によって前記被搬送物を前記搬送先の上方まで搬送し、前記反転部によって前記吸着ハンドを、前記被搬送物が前記吸着部の上方に位置し、かつ前記吸着面に略直交する方向が前記重力方向に対して傾斜する姿勢にした後に、前記吸着部による前記被搬送物の吸着を解除する制御装置と、
を具備する取り出しシステム。
[2]
負圧により被搬送物を吸着する吸着部を具備した吸着ハンド、及び、前記吸着部に負圧を作用させるポンプを具備した吸着装置と、
搬送面を有するコンベアと、
前記吸着ハンドを前記被搬送物が載置された載置部から前記搬送面に移動する移動装置であって、前記吸着ハンドを、前記吸着部が重力方向に沿って下方に向き、かつ前記吸着部の吸着面が前記重力方向に交差する姿勢から前記重力方向に直交する水平方向を軸として回転可能な反転部を具備する移動装置と、
前記被搬送物を撮影する撮像装置と、
前記吸着装置、及び前記移動装置を制御する制御装置であって、前記撮像装置の映像に基づいて前記被搬送物の表裏を反転して前記搬送面に移動する必要があると判断すると、前記吸着部によって前記被搬送物を吸着し、前記移動装置によって前記被搬送物を前記搬送面の上方まで搬送し、前記反転部によって前記吸着ハンドを、前記被搬送物が重力方向に沿って前記吸着部の上方に位置し、かつ前記吸着面に略直交する方向が前記重力方向に対して傾斜する姿勢にした後に、前記吸着部による前記被搬送物の吸着を解除する制御装置と、
を具備する取り出しシステム。
[3]
前記吸着部は複数設けられ、
前記制御装置は、前記被搬送物の表裏を反転する必要があると判断すると、前記撮像装置の映像に基づいて使用する吸着部を選択し、使用される前記吸着部が複数の場合は、
前記移動装置により、前記使用される複数の吸着部の略中心が前記被搬送物の略中心に対向する姿勢で、前記吸着部の前記吸着面を前記被搬送物に接触させ、前記使用される複数の吸着部により吸着させる
[2]に記載の取り出しシステム。
[4]
前記制御装置は、前記吸着ハンドが、前記被搬送物が重力方向に沿って前記吸着部の上方に位置し、かつ、前記吸着面に略直交する方向が前記重力方向に対して傾斜する姿勢になると、前記使用される複数の吸着部のうち、前記使用される複数の吸着部の略中心より前記コンベアから離間する方向において吸着された吸着部による吸着を解除し、その後、前記移動装置により前記被搬送物を前記搬送面に近接する方向に移動して前記搬送面に当接させて残りの前記吸着部による被搬送物の吸着を解除する
[2]に記載の取り出しシステム。
[5]
前記制御装置は、前記吸着ハンドが、前記被搬送物が重力方向に沿って前記吸着部の上方に位置し、かつ、前記吸着面に略直交する方向が前記重力方向に対して傾斜する姿勢になると、前記移動装置により前記被搬送物を前記搬送面に近接する方向に移動して前記搬送面に当接させ、前記使用される複数の吸着部のうち、前記使用される複数の吸着部の略中心より前記コンベアから離間する方向において吸着された吸着部による吸着を解除し、その後、残りの前記吸着部による被搬送物の吸着を解除する
[2]に記載の取り出しシステム。
【符号の説明】
【0138】
5…載置テーブル(載置部)、10…取り出し押印システム、20…取り出しシステム、70…第1のベルトコンベア(ベルトコンベア)、91…吸着装置、91a…ポンプ、92a…基部、92b…吸着パッド(吸着部)、93…移動装置、99…反転部、110…第1のメイン制御装置(制御装置)、C…中心線、M…郵便物(被搬送物)。
図1
図2
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