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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-22
(45)【発行日】2022-08-01
(54)【発明の名称】流体殺菌装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/10 20060101AFI20220725BHJP
   C02F 1/32 20060101ALI20220725BHJP
【FI】
A61L2/10
C02F1/32
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018018420
(22)【出願日】2018-02-05
(65)【公開番号】P2019134888
(43)【公開日】2019-08-15
【審査請求日】2020-08-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】新関 彰一
(72)【発明者】
【氏名】浦 健太
【審査官】岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-061413(JP,A)
【文献】特開2014-233646(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107428563(CN,A)
【文献】特開2014-036226(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0144898(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02907527(EP,A1)
【文献】特開2018-008213(JP,A)
【文献】特開2017-154118(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0114465(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/10
C02F 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺菌対象の流体が流れる処理流路を区画し、開口を有する筐体と、
前記開口を通じて、前記処理流路内の流体に向けて紫外光を照射する光源と、
前記開口に設けられる窓部材であって、前記光源からの紫外光が入射する入射面および前記処理流路内に向けて紫外光が出射する出射面を有する窓部材と、
前記入射面の中央領域と、前記入射面の前記中央領域より外側の外周領域との双方において前記入射面と接触する接触部と、前記光源から前記接触部に向けて延在する接続部とを含み、熱伝導材料で構成され、前記光源の点灯時に前記光源にて生じる熱を用いて前記窓部材を加熱する加熱体と、を備えることを特徴とする流体殺菌装置。
【請求項2】
前記接触部は、前記光源からの紫外光を通すための複数の貫通孔を有することを特徴とする請求項1に記載の流体殺菌装置。
【請求項3】
殺菌対象の流体が流れる処理流路を区画し、開口を有する筐体と、
前記開口を通じて、前記処理流路内の流体に向けて紫外光を照射する光源と
前記開口に設けられる窓部材であって、前記光源からの紫外光が入射する入射面および前記処理流路内に向けて紫外光が出射する出射面を有する窓部材と、
前記入射面の一部に配設される電熱線と、
前記電熱線の表面を被覆し、前記電熱線が配設されていない箇所において前記入射面を被覆するように設けられ、前記紫外光を透過する材料の被覆層と、を備えることを特徴とする流体殺菌装置。
【請求項4】
前記被覆層は、前記入射面上の前記電熱線の端部に設けられる電極部を被覆しないように構成され、前記電極部を通じて前記電熱線に電力が供給されることを特徴とする請求項3に記載の流体殺菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体殺菌装置に関し、特に、紫外光を照射して流体を殺菌する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外光には殺菌能力があることが知られており、医療や食品加工の現場などでの殺菌処理に紫外光照射装置が用いられる。また、水などの流体に連続的に紫外光を照射して流体を殺菌する装置も知られている。紫外線ランプを用いる流体殺菌装置では、流路と紫外線ランプの間に紫外線を透過する保護管が設けられる。保護管の結露を防止するため、保護管の内部に乾燥した気体または予熱した気体が供給される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-61413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
流体に紫外光を照射するための窓部材の結露をより効率的に防止できることが好ましい。
【0005】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その例示的な目的のひとつは、効率的に窓部材の結露を防止できる流体殺菌装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様の流体殺菌装置は、殺菌対象の流体が流れる処理流路と、処理流路内の流体に向けて紫外光を照射する光源と、光源と処理流路の間に設けられる窓部材であって、光源からの紫外光が入射する入射面および処理流路内に向けて紫外光が出射する出射面を有する窓部材と、入射面の一部と接触するように設けられ、窓部材を加熱する加熱体と、を備える。
【0007】
この態様によると、窓部材の入射面に接触して窓部材を加熱する加熱体が設けられるため、窓部材を効率的に加熱して結露の発生を防止できる。
【0008】
加熱体は、入射面の中央領域と、入射面の中央領域より外側の外周領域との双方において入射面と接触するように設けられてもよい。
【0009】
加熱体は、光源と熱的に接続され、光源が発する熱を用いて窓部材を加熱してもよい。
【0010】
加熱体は、入射面の一部と接触する接触部と、光源から接触部に向けて延在する接続部とを含んでもよい。
【0011】
加熱体は、入射面上に配設される電熱線を含んでもよい。
【0012】
加熱体は、入射面上の電熱線の端部に設けられる電極部をさらに含み、電極部を通じて電力が供給されてもよい。
【0013】
電熱線の表面を被覆するように設けられ、電熱線よりも紫外光の反射率が高い材料の被覆層をさらに備えてもよい。
【0014】
電熱線の表面および入射面の双方を被覆するように設けられ、紫外光を透過する材料の被覆層をさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、効率的に窓部材の結露を防止する流体殺菌装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1の実施の形態に係る流体殺菌装置の構成を概略的に示す断面図である。
図2図1の接触部の構成を概略的に示す平面図である。
図3図1の光源および接続部の構成を概略的に示す平面図である。
図4】変形例に係る流体殺菌装置の構成を概略的に示す断面図である。
図5図4の接続部の構成を概略的に示す平面図である。
図6】第2の実施の形態に係る流体殺菌装置の構成を概略的に示す断面図である。
図7図6の加熱体の構成を概略的に示す平面図である。
図8】変形例に係る窓部材の構成を概略的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0018】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る流体殺菌装置10の構成を概略的に示す図である。流体殺菌装置10は、処理流路12と、光源14と、窓部材16と、加熱体40とを備える。流体殺菌装置10は、筐体20の内部に区画される処理流路12を流れる流体に紫外光Aを照射して殺菌処理を施すために用いられる。窓部材16に接触する加熱体40を設けることで、窓部材16の結露が防止される。
【0019】
筐体20は、処理流路12を区画する容器である。筐体20は、流入口21と、流出口22と、窓部材16が設けられる開口24と、を有する。筐体20の材質は特に問わないが、少なくとも筐体20の内面23が紫外光に対する耐久性および反射率が高い材料であることが好ましい。筐体20の内面23は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素系樹脂やアルミニウム(Al)などの金属材料で構成されることが好ましい。
【0020】
光源14は、筐体20の外側に設けられ、開口24を通じて筐体20の内部の処理流路12に紫外光Aを照射する。光源14は、複数の発光素子30と、基板32とを有する。複数の発光素子30は、基板32の実装面34に並んで配置されている。発光素子30は、いわゆるUV-LED(Ultra Violet-Light Emitting Diode)である。発光素子30は、発光の中心波長またはピーク波長が約200nm~350nmの範囲に含まれ、殺菌効率の高い波長である260nm~290nm付近の紫外光を発することが好ましい。このような紫外光LEDとして、例えば、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)を用いたものが知られている。
【0021】
窓部材16は、光源14と処理流路12の間に設けられ、光源14からの紫外光Aを処理流路12に向けて透過させる。窓部材16は、光源14からの紫外光Aが入射する入射面17と、処理流路12に向けて紫外光Aが出射する出射面18とを有する。窓部材16は、紫外光の透過率が高い材料で構成されることが好ましく、紫外光の透過率が80%以上となるよう構成されることが好ましい。窓部材16は、石英(SiO)などのガラス材料、サファイア(Al)または非晶質のフッ素系樹脂で構成される。
【0022】
窓部材16は、筐体20の開口24を塞ぐように設けられる。窓部材16は、例えば、筐体20の開口24に形成される凹部26に嵌め込まれる。窓部材16と筐体20の間には、Oリングなどのシール部材28が設けられ、窓部材16と筐体20の隙間が密閉される。
【0023】
加熱体40は、窓部材16と接触するように設けられ、窓部材16を加熱して窓部材16の結露を防止する。加熱体40は、窓部材16にて結露が発生しうる入射面17の一部と接触するように設けられる。加熱体40は、光源14と熱的に接続されており、光源14が発する熱を用いて窓部材16を加熱するよう構成される。加熱体40は、熱伝導性の高い材料で構成されることが望ましく、例えば、銅(Cu)やアルミニウム(Al)などの金属材料で構成される。特にアルミニウムは、紫外光の反射材料として用いることもできるため、加熱体40の構成材料として好適である。
【0024】
加熱体40は、接触部42と、基部44と、接続部46とを有する。接触部42は、窓部材16と接触する部分であり、窓部材16の入射面17に沿って設けられる平板状の部材である。接触部42は、光源14からの紫外光を通すための複数の貫通孔38を有する。接触部42のうち、貫通孔38が設けられる部分は窓部材16と接触していない箇所であり、貫通孔38が設けられていない部分は窓部材16と接触する箇所である。接触部42は、窓部材16の入射面17と直接的に接触してもよいし、熱伝導性を高めるためのグリスなどを介して間接的に接触してもよい。本明細書において、加熱体40の「接触」とは、上述の直接的な接触と間接的な接触の双方の意味を含む。
【0025】
接触部42は、窓部材16の開口領域Cの全体にわたって入射面17と貫通孔38以外の部分で接触していることが好ましい。ここで、開口領域Cとは、筐体20の開口24が形成されている領域に相当し、光源14からの紫外光Aが透過可能な範囲のことをいう。接触部42は、例えば、窓部材16の入射面17の中央領域C1と、入射面17の中央領域C1より外側の外周領域C2との双方において入射面17と接触するように設けられることが好ましい。中央領域C1と外周領域C2の境界は、特に限定されないが、例えば、開口領域Cの面積を二等分するように規定できる。入射面17の中央領域C1と外周領域C2の双方にて接触部42が接触することで、窓部材16をより均一に加熱することが可能となり、部分的な結露の発生を防止できる。例えば、接触部42が外周領域C2のみに接触することで、中央領域C1に結露が発生してしまうような状況を防ぐことができる。
【0026】
窓部材16の開口領域Cのうち、接触部42が接触する部分の面積割合は、30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。接触部42の接触面積の割合を30%以上または50%以上とすることで、窓部材16を好適に加熱できる。一方、光源14の紫外光Aの透過量の低下を防ぐため、接触部42の接触面積の割合は、80%以下または70%以下とすることが好ましい。
【0027】
基部44は、光源14と接触する部分である。基部44は、光源14の裏側に設けられており、基板32の実装面34とは反対側の裏面36と接触するように設けられる。基部44は、基板32の裏面36の少なくとも一部と接触するように設けられる。基部44は、光源14との熱的接続性を高めるために基板32の裏面36の全体にわたって形成されてもよい。
【0028】
接続部46は、基部44から接触部42に向けて延在し、基部44および接触部42を熱的に接続する。接続部46は、例えば、光源14からの紫外光Aの照射方向に延びる柱状部材または筒状部材により構成される。接続部46は、ヒートパイプを含んでもよい。例えば、基部44から接触部42への熱伝達効率が高まるように、ヒートパイプの高温部を基部44に取り付け、ヒートパイプの低温部を接触部42に取り付けてもよい。
【0029】
図2は、図1の接触部42の構成を概略的に示す平面図である。図1は、図2のB-B線断面に相当する。接触部42は、開口領域Cの形状に対応して円板状に構成される。複数の貫通孔38は、円形開口であり、三角格子状に並んで配置される。複数の貫通孔38は、中央領域C1および外周領域C2の双方において均一な間隔で配置される。なお、貫通孔38の形状および配置は特に限定されない。貫通孔38の開口形状は、円形に限られず、三角形、四角形、六角形などの多角形であってもよいし、楕円形、扇形、環状扇形などであってもよいし、これらの形状の組み合わせであってもよい。貫通孔38の配置は、四角格子状であってもよいし、不規則であってもよい。その他、複数の発光素子30のそれぞれの正面にいずれかの貫通孔38が位置するように複数の貫通孔38が配置されてもよい。貫通孔38のサイズも特に限定されず、各発光素子30の実装面積と同程度であってもよいし、実装面積より小さくてもよいし、実装面積より大きくてもよい。
【0030】
図3は、図1の光源14および接続部46の構成を概略的に示す平面図である。図1は、図3のB-B線断面に相当する。基板32は、開口領域Cの形状に対応して円板状に構成されており、複数の発光素子30は、基板32の上に三角格子状に並んで配置される。接続部46は、円筒状に構成され、光源14の外周を囲うように設けられる。接続部46は、周方向に連続的に設けられてもよいし、周方向に離散的に設けられてもよい。接続部46は、例えば周方向に間隔を空けて並べられる複数のヒートパイプで構成されてもよい。
【0031】
つづいて、流体殺菌装置10の動作について説明する。殺菌対象となる水などの流体が流入口21から筐体20の内部に流入し、処理流路12を流体が流れる。光源14を点灯させ、光源14からの紫外光Aを処理流路12を流れる流体に照射する。処理流路12にて紫外光Aが照射された流体は流出口22から排出される。光源14が発する熱は、加熱体40に伝わり、加熱体40は、光源14からの熱を用いて窓部材16を加熱する。窓部材16が加熱体40により加熱されるため、処理対象の流体の温度が低い場合であっても、窓部材16の入射面17に発生しうる結露を防止できる。
【0032】
本実施の形態によれば、窓部材16の入射面17の結露を防止することにより、結露により生じる水分によって発光素子30や基板32の配線等において生じうる不具合を防ぐことができる。また、窓部材16の入射面17に付着する水滴によって窓部材16の透過率が低下し、殺菌処理能力が低下することを防ぐことができる。これにより、流体殺菌装置10を安定的に動作させることができる。
【0033】
本実施の形態によれば、窓部材16の入射面17に接触する加熱体40を用いて窓部材16を加熱するため、熱風などを当てて加熱する方式と比べて加熱機構を簡素化でき、熱効率を高めることができる。光源14で発生する熱を利用するため、ヒータなどの発熱機構を設ける場合と比べて装置全体としての消費電力を抑えることができる。
【0034】
図4は、変形例に係る流体殺菌装置110の構成を概略的に示す断面図である。本変形例は、光源14から接触部42に向けて延びる第2接続部148が追加的に設けられる点で上述の実施の形態と相違する。以下、本変形例について上述の実施の形態との相違点を中心に説明し、共通する部分について記載を適宜省略する。
【0035】
流体殺菌装置110は、処理流路12と、光源14と、窓部材16と、加熱体140とを備える。加熱体140は、接触部42と、基部44と、接続部146とを有する。接触部42および基部44は、上述の実施の形態と同様に構成される。接続部146は、基部44から接触部42に向けて延在する第1接続部147と、光源14から接触部42に向けて延在する第2接続部148とを有する。第1接続部147は、上述の実施の形態に係る接続部46と同様に構成される。第2接続部148は、複数の発光素子30の間に配置され、基板32の実装面34と接触する。
【0036】
図5は、図4の接続部146の構成を概略的に示す断面図であり、図4のD-D線断面を示す。図示されるように、第1接続部147は、光源14の外周を囲うように円筒状に形成され、第2接続部148は、複数の発光素子30の間を仕切るように格子状に形成される。第2接続部148は、例えば、隣接する発光素子30の間に配置される。第2接続部148は、矩形状の各発光素子30の四辺のそれぞれに沿うように配置され、各発光素子30が収容される矩形状の小部屋を区画するように配置される。第2接続部148は、円弧状に配置されてもよく、例えば、各発光素子30が収容される小部屋が円形状や扇形状となるように構成されてもよい。第2接続部148は、必ずしも各発光素子30が一つずつ仕切られるように設けられなくてもよい。例えば、第2接続部148により仕切られる一つの小部屋内に二つ、三つまたは四つといった特定数(複数の)発光素子30が収容されるように設けられてもよい。
【0037】
本変形例によれば、複数の発光素子30の間に第2接続部148を設けることで、光源14と接触部42の間の熱的な接続性を高めることができ、窓部材16の入射面17をより効率的に加熱できる。また、第2接続部148をアルミニウム(Al)等の紫外光反射率の高い材料で構成することで、各発光素子30から出力される紫外光を第2接続部148の表面で反射させながら窓部材16に向かわせることができる。これにより、窓部材16に入射する紫外光の強度分布を均一化し、流体への紫外光の照射効率を高めることができる。
【0038】
(第2の実施の形態)
図6は、第2の実施の形態に係る流体殺菌装置210の構成を概略的に示す断面図である。本実施の形態は、光源14の熱を利用して窓部材16を加熱するのではなく、窓部材16の入射面17に電熱線などの発熱体を設けることで窓部材16を加熱する。以下、第2の実施の形態について上述の実施の形態との相違点を中心に説明し、共通する部分について記載を適宜省略する。
【0039】
流体殺菌装置210は、処理流路12と、光源14と、窓部材16と、加熱体240とを備える。加熱体240は、電熱線242と、電極部244とを含む。電熱線242は、窓部材16の入射面17上に設けられ、入射面17の中央領域C1および外周領域C2の双方にわたって配設される。電極部244は、窓部材16の入射面17上に設けられ、電熱線242の端部に設けられる。電熱線242の電力は、基板32から電極部244に向けて延びる接続端子246を通じて基板32から供給される。
【0040】
図7は、図6の加熱体240の構成を概略的に示す平面図である。電熱線242は、入射面17の中央領域C1および外周領域C2の双方にわたって渦巻状に配設される。電極部244は、電熱線242の両端のそれぞれに設けられ、例えば、入射面17の外周領域C2に設けられる。電極部244は、中央領域C1や外周領域C2よりも外側の領域に設けられてもよい。電熱線242および電極部244は、入射面17に導電膜を蒸着したり、シート状の導電膜を入射面17に接着することにより形成できる。
【0041】
電熱線242の表面には、アルミニウム(Al)などの紫外光の反射率が高い材料で構成される被覆層が設けられてもよい。高反射率の被覆層を設けることにより、電熱線242に吸収される紫外光を反射させて処理流路12に向かわせることができ、流体に対する紫外光の照射効率を高めることができる。なお、電熱線242に対する電気的絶縁のため、電熱線242と被覆層の間に電気絶縁層が設けられてもよい。
【0042】
本実施の形態によれば、窓部材16の入射面17に設けられる電熱線242を用いて窓部材16を加熱し、窓部材16の結露を防止することができる。本実施の形態においても窓部材16の入射面17に接触する加熱体240を用いて窓部材16を加熱するため、熱風などを当てて加熱する方式と比べて加熱機構を簡素化でき、熱効率を高めることができる。
【0043】
図8は、変形例に係る窓部材216の構成を概略的に示す平面図である。本変形例に係る窓部材216は、窓部材216の入射面217の全体にわたって被覆層250がさらに設けられる点で上述の実施の形態と相違する。被覆層250は、加熱体240の電極部244に対応する位置に設けられる電極部開口252を有する。被覆層250は、電極部開口252を除いて、入射面217の開口領域Cの全体を被覆するように設けられ、入射面217に設けられる電熱線242の全体を被覆するように設けられる。
【0044】
被覆層250は、電気的絶縁性および防湿性を備える材料で構成され、紫外光の透過率が高い材料で構成されることが好ましい。被覆層250は、例えば、二酸化シリコン(SiO2)やフッ化マグネシウム(MgF)などの無機材料や、非晶性フッ素系樹脂やシリコーン樹脂などの有機材料で構成することができる。被覆層250を開口領域Cの全体にわたって設けることにより、結露により生じる水分が電熱線242に接触するのを防ぐことができ、電熱線242が部分的に短絡したり、電熱線242が水分で劣化したりするのを防止できる。
【0045】
以上、本発明を実施例にもとづいて説明した。本発明は上記実施の形態に限定されず、種々の設計変更が可能であり、様々な変形例が可能であること、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは、当業者に理解されるところである。
【0046】
上述の実施の形態では、水などの流体に紫外光を照射して殺菌処理を施すための装置として説明した。変形例においては、紫外光の照射により流体に含まれる有機物を分解させる浄化処理に本装置を用いてもよい。
【符号の説明】
【0047】
10…流体殺菌装置、12…処理流路、14…光源、16…窓部材、17…入射面、18…出射面、40…加熱体、42…接触部、46…接続部、C1…中央領域、C2…外周領域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8