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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-22
(45)【発行日】2022-08-01
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20220725BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20220725BHJP
   H01L 23/522 20060101ALI20220725BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20220725BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20220725BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20220725BHJP
   H05B 33/06 20060101ALI20220725BHJP
   H05B 33/22 20060101ALI20220725BHJP
   G02F 1/1343 20060101ALI20220725BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALI20220725BHJP
【FI】
G09F9/30 330
G09F9/30 338
G09F9/30 365
H01L21/90 B
H01L21/90 D
H01L29/78 612C
H05B33/14 A
H01L27/32
H05B33/06
H05B33/22 Z
G02F1/1343
G02F1/1368
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018020276
(22)【出願日】2018-02-07
(65)【公開番号】P2019138975
(43)【公開日】2019-08-22
【審査請求日】2021-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梶山 憲太
【審査官】中村 直行
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/029644(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/024577(WO,A1)
【文献】特開2006-049409(JP,A)
【文献】特開2004-333642(JP,A)
【文献】特開2004-179659(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0046847(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00 - 9/46
H01L 51/50
H01L 27/32
H05B 33/00 - 33/28
H01L 21/768
H01L 29/786
G02F 1/1343
G02F 1/1368
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1パッド部及び前記第1パッド部に接続された第1配線部を含む第1配線層と、
前記第1配線層を覆う第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜上に形成され、前記第1パッド部の一部と平面視で重複し、前記第1配線部と平面視で重複しない第2パッド部を含む第2配線層と、
少なくとも前記第1パッド部と前記第1配線部との境界と平面視で重複するエッチストップ層と、
前記第2配線層を覆う第2絶縁膜であって、前記第2絶縁膜、前記第1絶縁膜及び前記第1パッド部を貫通する第1領域と、前記第2絶縁膜を貫通し、前記第2パッド部を底とする第2領域と、前記エッチストップ層を底とする第3領域を少なくとも含むコンタクトホールが形成された、第2絶縁膜と、
前記コンタクトホールの内側に形成され、前記第1パッド部と前記第2パッド部とに接続された第3配線層と、
を備える表示装置。
【請求項2】
第1パッド部及び前記第1パッド部に接続された第1配線部を含む第1配線層と、
前記第1配線層を覆う第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜上に形成され、前記第1パッド部の一部と平面視で重複し、前記第1配線部と平面視で重複しない第2パッド部を含む第2配線層と、
少なくとも前記第1パッド部と前記第1配線部との境界と平面視で重複するエッチストップ層と、
前記第2配線層を覆う第2絶縁膜であって、前記第2絶縁膜、前記第1絶縁膜及び前記第1パッド部を貫通する第1領域と、前記第2絶縁膜を貫通し、前記第2パッド部を底とする第2領域とを少なくとも含むコンタクトホールが形成された、第2絶縁膜と、
前記コンタクトホールの内側に形成され、前記第1パッド部と前記第2パッド部とに接続された第3配線層と、
を備え
前記第2パッド部と前記エッチストップ層とが同層に形成される表示装置。
【請求項3】
第1パッド部及び前記第1パッド部に接続された第1配線部を含む第1配線層と、
前記第1配線層を覆う第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜上に形成され、前記第1パッド部の一部と平面視で重複し、前記第1配線部と平面視で重複しない第2パッド部を含む第2配線層と、
少なくとも前記第1パッド部と前記第1配線部との境界と平面視で重複するエッチストップ層と、
前記第2配線層を覆う第2絶縁膜であって、前記第2絶縁膜、前記第1絶縁膜及び前記第1パッド部を貫通する第1領域と、前記第2絶縁膜を貫通し、前記第2パッド部を底とする第2領域とを少なくとも含むコンタクトホールが形成された、第2絶縁膜と、
前記コンタクトホールの内側に形成され、前記第1パッド部と前記第2パッド部とに接続された第3配線層と、
を備え
前記第2パッド部と前記エッチストップ層とが一体に形成される表示装置。
【請求項4】
前記第2パッド部と前記エッチストップ層とが別体で形成される、
請求項1から3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1配線層は多結晶シリコンで形成される、
請求項1から3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1配線層、前記第2配線層及び前記第3配線層が画素回路を構成する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
第1パッド部及び前記第1パッド部に接続された第1配線部を含む第1配線層と、
前記第1配線層を覆う第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜上に形成され、前記第1パッド部の一部と平面視で重複し、前記第1配線部と平面視で重複しない第2パッド部を含む第2配線層と、
少なくとも前記第1パッド部と前記第1配線部との境界と平面視で重複するエッチストップ層と、
前記第2配線層を覆う第2絶縁膜であって、前記第2絶縁膜、前記第1絶縁膜及び前記第1パッド部を貫通する第1領域と、前記第2絶縁膜を貫通し、前記第2パッド部を底とする第2領域とを少なくとも含むコンタクトホールが形成された、第2絶縁膜と、
前記コンタクトホールの内側に形成され、前記第1パッド部と前記第2パッド部とに接続された第3配線層と、
を備え、
前記第1配線層、前記第2配線層及び前記第3配線層が画素回路を構成し、
前記画素回路は、第1薄膜トランジスタと第2薄膜トランジスタとを含み、
前記第1薄膜トランジスタと前記第2薄膜トランジスタとは、前記コンタクトホールの内側に形成された前記第3配線層を介して互いに接続される表示装置。
【請求項8】
前記第1薄膜トランジスタは、前記第1パッド部及び前記第1配線部を含む、ソース電極及びドレイン電極の一方が映像信号線に接続され、他方が前記第2薄膜トランジスタに接続されたサンプリング用薄膜トランジスタである、
請求項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第2薄膜トランジスタは、第2パッド部を含む、ゲート電極が前記第1薄膜トランジスタに接続され、ソース電極及びドレイン電極の一方が発光素子に接続された駆動用薄膜トランジスタである、
請求項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記画素回路は、前記第1薄膜トランジスタと前記第2薄膜トランジスタとの間に接続されたコンデンサをさらに含み、
前記第2パッド部は、前記コンデンサの一部を構成する、
請求項に記載の表示装置。
【請求項11】
第1パッド部及び前記第1パッド部に接続された第1配線部を含む第1配線層と、
前記第1配線層を覆う第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜上に形成され、前記第1パッド部の一部と平面視で重複し、前記第1配線部と平面視で重複しない第2パッド部を含む第2配線層と、
少なくとも前記第1パッド部と前記第1配線部との境界と平面視で重複するエッチストップ層と、
前記第2配線層を覆う第2絶縁膜であって、前記第2絶縁膜、前記第1絶縁膜及び前記第1パッド部を貫通する第1領域と、前記第2絶縁膜を貫通し、前記第2パッド部を底とする第2領域とを少なくとも含むコンタクトホールが形成された、第2絶縁膜と、
前記コンタクトホールの内側に形成され、前記第1パッド部と前記第2パッド部とに接続された第3配線層と、
複数の画素回路を備え、
前記複数の画素回路の少なくとも1つにおいて、前記コンタクトホールが前記第1パッド部と前記第1配線部との境界を平面視で含み、前記第3配線層の外縁が平面視で前記第1配線部と重複する前記コンタクトホールの内縁から内方に離れる表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL表示装置等の表示装置では、各々の画素に設けられた発光素子を駆動するための画素回路が、複数の配線層と複数の絶縁膜とが交互に積層された積層体内に形成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
図18Aは、本発明者が先に考えた接続構造を示す平面図であり、図18Bは、本発明者が先に考えた接続構造を示す断面図である。コンタクトホール6aの内側には信号線層3の穴埋め部31が形成されている。穴埋め部31は、平面視でコンタクトホール6aの全体を含むように形成されている。穴埋め部31は、コンタクトホール6aの内側で半導体層1のパッド部11とゲート層2のパッド部21とに接続されている。これにより、半導体層1のパッド部11とゲート層2のパッド部21とが穴埋め部31を介して電気的に接続される。ここで、穴埋め部31は、パッド部11の貫通穴1aを埋め、貫通穴1aの内縁でパッド部11に接続されている。通常は、図18A及び図18Bに示すようにコンタクトホール6aはパッド部11又は12の領域内に形成され、穴埋め部31はコンタクトホール6aの内側全体に形成される。しかしながら、コンタクトホール6a又は穴埋め部31の形成位置に製造誤差が生じると、半導体層1とゲート層2との間に接続不良が起こるおそれがある。具体例として、図19Aに従来の接続構造を示す平面図、及び図19Bに従来の接続構造を示す断面図をそれぞれ示す。コンタクトホール6aの内縁の位置がパッド部11と配線部12との境界19(図18Aを参照)を超えて配線部12に至ると、コンタクトホール6aは半導体層1を貫通するため、パッド部11と配線部12とが分断されてしまう。さらに、穴埋め部31の外縁の位置がコンタクトホール6aの配線部12側の内縁よりも内方に外れ、穴埋め部31と配線部12との間に隙間1cが形成されると、配線部12は穴埋め部31からも分断されてしまう。その結果、半導体層1とゲート層2との電気的接続が不良となる。
【0004】
このように、上記のような従来の表示装置では、第1配線層と第2配線層の両方が露出するコンタクトホールを形成し、その内側に第3配線層を形成する。その上で、第3配線層を介して第1配線層と第2配線層とを電気的に接続することがあるが、コンタクトホール又は第3配線層の形成位置に製造誤差が生じると、第1配線層と第2配線層との間に接続不良が起こるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、画素回路における配線層間の接続不良を抑制することが可能な表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の表示装置は、第1パッド部及び前記第1パッド部に接続された第1配線部を含む第1配線層と、前記第1配線層を覆う第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜上に形成され、前記第1パッド部の一部と平面視で重複し、前記第1配線部と平面視で重複しない第2パッド部を含む第2配線層と、少なくとも前記第1パッド部と前記第1配線部との境界と平面視で重複するエッチストップ層と、前記第2配線層を覆う第2絶縁膜であって、前記第2絶縁膜、前記第1絶縁膜及び前記第1パッド部を貫通する第1領域と、前記第2絶縁膜を貫通し、前記第2パッド部を底とする第2領域とを少なくとも含むコンタクトホールが形成された、第2絶縁膜と、前記コンタクトホールの内側に形成され、前記第1パッド部と前記第2パッド部とに接続された第3配線層と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る表示装置の外観斜視図である。
図2】表示装置の電気的構成を示すブロック図である。
図3】表示装置の断面構造を示す断面図である。
図4A】接続構造の例を模式的に示す平面図である。
図4B】接続構造の例を模式的に示す断面図である。
図5A】接続構造の例を模式的に示す平面図である。
図5B】接続構造の例を模式的に示す断面図である。
図6A】接続構造の例を模式的に示す平面図である。
図6B】接続構造の例を模式的に示す断面図である。
図7】接続構造の例を模式的に示す平面図である。
図8A】接続構造の例を模式的に示す平面図である。
図8B】接続構造の例を模式的に示す断面図である。
図9】画素回路の例を示す回路図である。
図10】画素回路の例を示す平面図である。
図11】半導体層(第1配線層)の例を示す平面図である。
図12】ゲート層(第2配線層)の例を示す平面図である。
図13】半導体層及びゲート層の例を示す平面図である。
図14】電源線層の例を示す平面図である。
図15】信号線層(第3配線層)の例を示す平面図である。
図16】信号線層及び画素電極の例を示す平面図である。
図17】ゲート層(第2配線層)の他の例を示す平面図である。
図18A】従来の接続構造を示す平面図である。
図18B】従来の接続構造を示す断面図である。
図19A】従来の接続構造を示す平面図である。
図19B】従来の接続構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実施の形態に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
さらに、本発明の実施形態の詳細な説明において、ある構成物と他の構成物の位置関係を規定する際、「上に」「下に」とは、ある構成物の直上あるいは直下に位置する場合のみでなく、特に断りの無い限りは、間にさらに他の構成物を介在する場合を含むものとする。
【0010】
図1は、実施形態に係る表示装置の外観斜視図である。表示装置100は、例えば有機発光ダイオード(OLED)を表示素子として含む有機EL表示装置である。表示装置100はアレイ基板200を備えている。アレイ基板200には、例えば赤、緑及び青からなる複数色の単位画素(サブピクセル)を組み合わせたフルカラーの画素Pがマトリクス状に配列した表示領域210が形成されている。
【0011】
図2は、表示装置の電気的構成を示すブロック図である。アレイ基板200は、表示領域210(図1を参照)に設けられる画素アレイ部202を備えている。同図は、画素アレイ部202に含まれる1つの単位画素の回路構成を示している。単位画素は、有機発光ダイオード(OLED)204及び画素回路206を含んでいる。画素回路206は、サンプリングTFT208、駆動TFT210及びキャパシタ212を含んでいる。駆動TFT210は、例えばp型MOSFETである。
【0012】
さらに、アレイ基板200は、画素アレイ部202を駆動するための走査線駆動回路214、映像線駆動回路216、駆動電源回路218及び制御装置220を備えている。走査線駆動回路214、映像線駆動回路216及び駆動電源回路218は、表示領域210(図1を参照)を囲む額縁領域に設けられる。
【0013】
走査線駆動回路214は、単位画素の水平方向の並び(画素行)ごとに設けられた走査信号線222に接続されている。走査線駆動回路214は、制御装置220からのタイミング信号に応じて、サンプリングTFT208をオン状態にするための電圧を走査信号線222に順番に印加する(すなわち、画素行を順番に選択する)。
【0014】
映像線駆動回路216は、単位画素の垂直方向の並び(画素列)ごとに設けられた映像信号線224に接続されている。映像線駆動回路216は、走査線駆動回路214による画素行の選択に合わせて、選択された画素行に含まれる各々のサンプリングTFT208に制御装置220からの映像信号に応じた電圧を印加する。これにより、選択された画素行に含まれる各々のキャパシタ212には、サンプリングTFT208を通じて映像信号に応じた電圧が書き込まれる。
【0015】
駆動電源回路218は、単位画素の垂直方向の並び(画素列)ごとに設けられた駆動電源線226に接続されている。駆動電源回路218は、駆動電源線226及び駆動TFT210を通じてOLED204に電流を供給する。このとき、駆動TFT210は、キャパシタ212に書き込まれた電圧に対応する量の電流をOLED204に供給する。これにより、OLED204が発光する。
【0016】
図3は、表示装置の断面構造を示す断面図である。同図では、断面構造を見易くするため、一部の層のハッチングを省略している。以下の説明では、積層方向を上方向とする。
【0017】
基板300は、例えばガラス、又はポリイミド等の可撓性がある樹脂からなる。基板300の上面はアンダーコート層304によって覆われている。アンダーコート層304上には半導体層306が形成されており、半導体層306はゲート絶縁膜308によって覆われている。ゲート絶縁膜308上にはゲート電極310が形成されており、ゲート電極310はパシベーション膜312によって覆われている。ドレイン電極314及びソース電極316は、ゲート絶縁膜308とパシベーション膜312とを貫通して半導体層306に接続されている。半導体層306、ゲート電極310、ドレイン電極314及びソース電極316により薄膜トランジスタ302が構成される。薄膜トランジスタ302は、複数の単位画素のそれぞれに対応するように設けられている。アンダーコート層304、ゲート絶縁膜308及びパシベーション膜312は、例えばSiO又はSiN等の無機絶縁材料で形成されている。半導体層306は、例えばLTPS(Low Temperature Poly-Silicon)等の半導体で構成されている。
【0018】
ドレイン電極314及びソース電極316は層間絶縁膜318によって覆われており、層間絶縁膜318は平坦化膜322によって覆われている。層間絶縁膜318と平坦化膜322との間には信号線317が形成されている。ドレイン電極314、ソース電極316及び信号線317は、例えばAl、Ag、Cu、Ni、Ti、Mo等を含む導電性材料で形成されている。層間絶縁膜318は、例えばSiO又はSiN等の無機絶縁材料で形成されている。平坦化膜322は、例えばアクリル樹脂等の有機絶縁材料で形成され、平坦な上面を有している。
【0019】
平坦化膜322上には画素電極324が形成されている。画素電極324は、平坦化膜322と層間絶縁膜318とを貫通してソース電極316に接続された接続電極320に接続されている。画素電極324は、複数の単位画素のそれぞれに対応するように個別に設けられている。本実施形態では、表示パネル10はトップエミッション型であり、画素電極324は反射電極として形成されている。接続電極320は、例えばITO、IZO等の導電性酸化物で形成されている。画素電極324は、例えばAl、Ag、Cu、Ni、Ti、Mo等を含む導電性材料や、ITO、IZO等の導電性酸化物を含んで形成されている。
【0020】
画素電極324は画素分離膜334によって覆われている。画素分離膜334はリブ又はバンクとも呼ばれる。画素分離膜334には、画素電極324が底に露出する開口334aが形成されている。開口334aを形成する画素分離膜334の内縁部分は画素電極324の周縁部分に載っており、画素分離膜334は、断面視で底部から上方に向かうに従って幅が細くなる順テーパー形状を有している。画素分離膜334は、例えばアクリル樹脂やポリイミド樹脂等の有機絶縁材料で形成されている。
【0021】
画素分離膜334の開口334aの底に露出した画素電極324上には、発光層326が形成されている。発光層326とともに、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層及び電子注入層の少なくとも一層が形成されてもよい。発光層326は、隣り合う開口334a上及びそれらの間の画素分離膜334に亘って連続的に、表示領域Aの全体に広がる一様な膜(いわゆるベタ膜)として蒸着形成されている。この場合、発光層326は単色で発光し、カラーフィルタや色変換層によって例えば赤、緑及び青からなる複数色のそれぞれの成分が取り出される。又は、発光層326は、マスクを用いて互いに離れるように個別に蒸着形成されてもよい。この場合、発光層326は、複数の単位画素のそれぞれに対応して例えば赤、緑及び青からなる複数色で発光する。なお、発光層326は蒸着形成に限らず、塗布形成されてもよい。
【0022】
発光層326及び画素分離膜334は対向電極328によって覆われている。対向電極328は、表示領域Aの全体に広がる一様な膜(いわゆるベタ膜)として形成されている。発光層326並びに発光層326を挟む画素電極324及び対向電極328によって有機発光ダイオード(OLED)が構成され、画素電極324と対向電極328の一方が陽極、他方が陰極となり、発光層326は画素電極324と対向電極328との間を流れる電流によって発光する。対向電極328は、例えばITO、IZO等の透明導電材料又はMgAg等の金属薄膜で形成される。
【0023】
画素分離膜334及び対向電極328は、封止膜(パシベーション膜)330によって覆われることで封止され、水分から遮断される。封止膜330は、例えばSiO又はSiN等の無機絶縁材料で形成されている。封止膜330は、保護膜336によって覆われている。保護膜336は、例えばアクリル樹脂等の有機絶縁材料で形成されており、機械的な耐性を確保する。
【0024】
以下、画素回路における接続構造について説明する。図4A及び図4Bは、接続構造の例を模式的に示す平面図及び断面図である。アレイ基板は、半導体層1と、半導体層1を覆う絶縁膜5と、絶縁膜5上に形成されたゲート層2と、ゲート層2を覆う絶縁膜6と、絶縁膜6上に形成された信号線層3とを備えている。画素回路は、半導体層1、ゲート層2及び信号線層3によって構成されている。
【0025】
半導体層1は第1配線層の例であり、上記図3の半導体層306を含んでいる。絶縁膜5は第1絶縁膜の例であり、上記図3のゲート絶縁膜308に相当する。ゲート層2は第2配線層の例であり、上記図3のゲート電極310を含んでいる。絶縁膜6は第2絶縁膜の例であり、上記図3のパシベーション膜312に相当する。信号線層3は第3配線層の例であり、上記図3のドレイン電極314及びソース電極316を含んでいる。
【0026】
半導体層1は、例えば多結晶シリコンで形成され、不純物ドーピングによって導電性を付与されている。半導体層1は、パッド部11及びパッド部11に接続された配線部12を含んでいる。パッド部11は、配線層同士を接続するための部分である。パッド部11は、配線部12の端部に設けられており、配線部12よりも幅広に形成されている。ゲート層2も、パッド部21及びパッド部21に接続された配線部22を含んでいる。
【0027】
パッド部21は、半導体層1のパッド部11の一部と平面視で重複するように設けられている。また、パッド部21は、半導体層1の配線部12と平面視で重複しないように設けられている。図示の例では、パッド部21は、半導体層1のパッド部11のうち、配線部12とは反対側の部分と重複している。これに限らず、パッド部21は、配線部12と重複しない限り、パッド部11の何れの部分と重複してもよい。
【0028】
パッド部11又は21の領域内にはコンタクトホール6aが形成されている。コンタクトホール6aは、絶縁膜5,6及びパッド部11を貫通する第1領域61と、絶縁膜6を貫通し、パッド部21を底とする第2領域62とを含むように形成されている。第1領域61は、パッド部11のうち、パッド部21と重複しない範囲に形成される。パッド部11は半導体で形成されているため、コンタクトホール6aの形成過程において絶縁膜5,6とともにエッチングされ、パッド部11には貫通穴1aが形成される。
【0029】
コンタクトホール6aの内側には信号線層3の穴埋め部31が形成されている。穴埋め部31は、平面視でコンタクトホール6aの全体を含むように形成されている。穴埋め部31は、コンタクトホール6aの内側で半導体層1のパッド部11とゲート層2のパッド部21とに接続されている。これにより、半導体層1のパッド部11とゲート層2のパッド部21とが穴埋め部31を介して電気的に接続される。ここで、穴埋め部31は、パッド部11の貫通穴1aを埋め、貫通穴1aの内縁でパッド部11に接続されている。
【0030】
図4A及び図4Bの説明に戻り、そこで本実施形態では、少なくともパッド部11と配線部12との境界19と平面視で重複するエッチストップ層4を設けることで、上記のような接続不良を防止している。
【0031】
エッチストップ層4は、境界19と平面視で重複するとともに、境界19を含むパッド部11の一部と、境界19を含む配線部12の一部とも平面視で重複している。境界19は、例えばパッド部11の外形線を延長した仮想的な線である。図示の例では、エッチストップ層4は境界19の全部と平面視で重複しているが、これに限らず、境界19の一部と平面視で重複してもよい。
【0032】
エッチストップ層4が形成されることで、半導体層1のうち、エッチストップ層4と平面視で重複する領域が、コンタクトホール6aの形成過程でエッチングされなくなるので、パッド部11と配線部12の分断を防止し、一体のままにしておくことが可能となる。
【0033】
本例では、エッチストップ層4は、ゲート層2のパッド部21及び配線部22と同層に形成されている。すなわち、エッチストップ層4はゲート層2に含まれている。また、本例では、エッチストップ層4はパッド部21と別体で形成され、パッド部21から物理的かつ電気的に分離されている。
【0034】
上記の例では、コンタクトホール6aが、絶縁膜5,6及びパッド部11を貫通する第1領域61と、絶縁膜6を貫通し、パッド部21を底とする第2領域62とのみを含んでいるが、これに限らず、図5A及び図5Bに示すように、コンタクトホール6aは、第1領域61及び第2領域62に加えて、エッチストップ層4を底とする第3領域63をさらに含んでもよい。この例では、半導体層1の貫通穴1aは、平面視でエッチストップ層4とゲート層2のパッド部21との間に形成される。また、穴埋め部31はエッチストップ層4にも接続される。
【0035】
エッチストップ層4が形成されることにより、図6A及び図6Bに示すようにコンタクトホール6a又は穴埋め部31の形成位置に製造誤差が生じたとしても、パッド部11と配線部12との分断を防止し、半導体層1とゲート層2との電気的接続を良好に保つことが可能となる。具体的には、コンタクトホール6aの内縁の位置がパッド部11と配線部12との境界19を超えて配線部12上に至って、コンタクトホール6aが平面視で境界19を含んだとしても、境界19及びその近傍がエッチストップ層4により保護されるので、パッド部11と配線部12との分断が防止される。このため、穴埋め部31の外縁の位置がコンタクトホール6aの配線部12側の内縁から内方に離れたとしても、穴埋め部31を介した半導体層1とゲート層2との電気的接続が実現可能である。
【0036】
図7に示す例のように、エッチストップ層4がゲート層2のパッド部21と一体に形成され、パッド部21と物理的かつ電気的に接続されてもよい。この例では、エッチストップ層4とパッド部21との間にコンタクトホール6aの第1領域61(貫通穴1a)を形成するための隙間を確保しつつ、その脇を通る接続部29によりエッチストップ層4とパッド部21とが連続的に形成されている。
【0037】
図8A及び図8Bに示す例のように、エッチストップ層4は、ゲート層2のパッド部21及び配線部22と同層ではなく、別層に形成されてもよい。エッチストップ層4は、例えばゲート層2と同様の導電性材料で形成される。この例では、エッチストップ層4は、半導体層1上かつ絶縁膜5下に半導体層1とは別途形成されている。これに限らず、エッチストップ層4は絶縁膜6上に形成されてもよい。
【0038】
以下、画素回路の具体例について説明する。図9は、画素回路の具体例を示す回路図である。同図においては、半導体層(第1配線層)を破線で示し、ゲート層(第2配線層)を実線で示し、信号線層(第3配線層)を一点鎖線で示し、電源線層を二点鎖線で示している。
【0039】
図10は、画素回路の具体例を示す平面図である。図11図16は、図10に示す画素回路を層ごとに示す図である。図11は、半導体層の例を示す平面図である。図12は、ゲート層の例を示す平面図である。図13は、半導体層及びゲート層の例を示す平面図である。図14は、電源線層の例を示す平面図である。図15は、信号線層の例を示す平面図である。図16は、信号線層及び画素電極の例を示す平面図である。
【0040】
上記図2でも説明したように、画素回路は、サンプリングTFT208、駆動TFT210及びキャパシタ212を含んでおり、走査信号線222、映像信号線224及び駆動電源線226に接続されている。
【0041】
図11に示すように、半導体層はチャネル部71を有している。チャネル部71の両端部にはパッド部72,73がそれぞれ設けられている。パッド部72,73の位置にはコンタクトホール66,67がそれぞれ形成される。ここで、パッド部73、チャネル部72及びコンタクトホール67は、上記図4及び図4B等におけるパッド部11、配線部12及びコンタクトホール6aにそれぞれ相当する。
【0042】
また、半導体層は、一体に形成された容量部74及びチャネル部75を有している。容量部74とチャネル部75の両端部にはパッド部76,77がそれぞれ設けられている。パッド部76,77の位置にはコンタクトホール68,69がそれぞれ形成される。
【0043】
図12に示すように、ゲート層は、配線部81及び配線部81からL字状に延びるゲート部82を有している。配線部81は走査信号線222(図9を参照)に相当する。また、ゲート層はエッチストップ層83を有している。エッチストップ層83は、上記図4及び図4B等におけるエッチストップ層4に相当する。また、ゲート層は、一体に形成された容量部84、ゲート部85及び容量部86を有している。容量部84は、上記図4及び図4B等におけるパッド部21に相当する。
【0044】
なお、本例では、エッチストップ層83は容量部84と別体で形成されているが、図17に示す例のように、エッチストップ層83と容量部84とが接続部89を介して一体に形成されてもよい。接続部89は、上記図7における接続部29に相当する。
【0045】
図13に示すように、半導体層のチャネル部71と、ゲート層の配線部81及びゲート部82とは平面視で重複しており、これらはサンプリングTFT208(図9を参照)を構成している。また、半導体層のチャネル部75と、ゲート層のゲート部85とは平面視で重複しており、これらは駆動TFT210(図9を参照)を構成している。また、半導体層の容量部74と、ゲート層の容量部84,86とは平面視で重複しており、これらはキャパシタ212(図9を参照)を構成している。
【0046】
ゲート層の容量部84は、半導体層のパッド部73の一部と平面視で重複するように設けられている。また、ゲート層の容量部84は、半導体層のチャネル部71と平面視で重複しないように設けられている。コンタクトホール67は、半導体層のパッド部73を貫通する第1領域と、ゲート層の容量部84を底とする第2領域とを含むように形成される。エッチストップ層83は、半導体層のパッド部73とチャネル部71との境界と平面視で重複するように設けられている。コンタクトホール67は、エッチストップ層83を底とする第3領域を含んでもよい。
【0047】
図14に示すように、電源線層は配線部51を有している。配線部51は、コンタクトホール68を通じて半導体層の容量部74及びチャネル部75に設けられたパッド部76(図11を参照)に接続されている。配線部51は、駆動TFT210及びキャパシタ212に接続される駆動電源線226(図9を参照)に相当する。なお、配線部51は上記図3の信号線317に相当する。
【0048】
図15に示すように、信号線層は、配線部91及び配線部91に設けられたパッド部92を有している。配線部91に設けられたパッド部92は、コンタクトホール66を通じて半導体層のチャネル部71に設けられたパッド部72(図11を参照)に接続されている。配線部91は、サンプリングTFT208に接続される映像信号線224(図9を参照)を構成している。
【0049】
また、信号線層は穴埋め部93を有している。穴埋め部93は、上記図4及び図4B等における穴埋め部31に相当する。穴埋め部93は、平面視でコンタクトホール67の全体を含むように形成されている。穴埋め部93は、コンタクトホール67の内側で半導体層のパッド部73とゲート層の容量部84とに接続されている。これにより、半導体層のパッド部73とゲート層の容量部84とが穴埋め部93を介して電気的に接続される。
【0050】
すなわち、サンプリングTFT208と駆動TFT210とが、コンタクトホール67の内側に形成された穴埋め部93を介して互いに接続される(図9を参照)。より具体的には、サンプリングTFT208のチャネル部71の一方(すなわち、ソース電極及びドレイン電極の一方)は映像信号線224(91)に接続され、他方は駆動TFT210のゲート部85及びキャパシタ212の容量部84,86に接続される。
【0051】
また、信号線層は配線部94を有している。配線部94の両端部にはパッド部95,96がそれぞれ設けられている。配線部94に設けられたパッド部95は、コンタクトホール69を通じて半導体層の容量部74及びチャネル部75に設けられたパッド部77(図11を参照)に接続されている。
【0052】
図16に示すように、信号線層の上方には画素電極105が設けられている。具体的には、信号線層のパッド部96に、コンタクトホール101を通じて接続電極103が接続されており、接続電極103に画素電極105が接続されている。画素電極105を露出させる開口107は、平面視で画素電極105の内側に形成されている。接続電極103、画素電極105及び開口107は、上記図3の接続電極320、画素電極324及び開口334aにそれぞれ相当する。
【0053】
本実施形態においては、開示例として有機EL表示装置の場合を例示したが、その他の適用例として、液晶表示装置、その他の自発光型表示装置、あるいは電気泳動素子等を有する電子ペーパー型表示装置等、あらゆるフラットパネル型の表示装置が挙げられる。また、中小型から大型まで、特に限定することなく適用が可能であることは言うまでもない。
【0054】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0055】
1 半導体層(第1配線層)、11 パッド部(第1パッド部)、12 配線部12(第1配線部)、1a 貫通穴、2 ゲート層(第2配線層)、21 パッド部(第2パッド部)、22 配線部、3 信号線層、31 穴埋め部、4 エッチストップ層、5 絶縁膜(第1絶縁膜)、51 配線部、6 絶縁膜(第2絶縁膜)、6a コンタクトホール、61 第1領域、62 第2領域、63 第3領域、66-69 コンタクトホール、71 チャネル部、72,73 パッド部、74 容量部、75 チャネル部、76,77 パッド部、81 配線部、82 ゲート部、83 エッチストップ層、84 容量部、85 ゲート部、86 容量部、91 配線部、92 パッド部、93 穴埋め部、94 配線部、95,96 パッド部、100 表示装置、101 コンタクトホール、103 接続電極、105 画素電極、107 開口、200 アレイ基板、210 表示領域、202 画素アレイ部、204 OLED、206 画素回路、208 サンプリングTFT、210 駆動TFT、212 キャパシタ、214 走査線駆動回路、216 映像線駆動回路、218 駆動電源回路、220 制御装置、222 走査信号線、224 映像信号線、226 駆動電源線、302 薄膜トランジスタ、306 半導体層、308 ゲート絶縁膜、310 ゲート電極、312 パシベーション膜、314 ドレイン電極、316 ソース電極、317 信号線、318 層間絶縁膜、320、接続電極、322 平坦化膜、324 画素電極、326 発光層、334 画素分離膜、328 対向電極。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18A
図18B
図19A
図19B