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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-22
(45)【発行日】2022-08-01
(54)【発明の名称】医療用制御装置、および制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/045 20060101AFI20220725BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20220725BHJP
   A61B 90/50 20160101ALI20220725BHJP
   A61B 90/25 20160101ALI20220725BHJP
【FI】
A61B1/045 622
A61B1/00 552
A61B90/50
A61B90/25
A61B1/00 654
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2018034550
(22)【出願日】2018-02-28
(65)【公開番号】P2019146882
(43)【公開日】2019-09-05
【審査請求日】2021-02-12
(73)【特許権者】
【識別番号】313009556
【氏名又は名称】ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田村 秀
【審査官】北島 拓馬
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/017532(WO,A1)
【文献】特開2017-176307(JP,A)
【文献】特開2014-229972(JP,A)
【文献】特開2008-062069(JP,A)
【文献】特開平06-030335(JP,A)
【文献】特開2005-066080(JP,A)
【文献】国際公開第2016/149308(WO,A1)
【文献】特表2015-521913(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0055410(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 - 1/32
A61B 13/00 -18/18
A61F 2/01
A61N 7/00 - 7/02
A61B 34/00 -90/98
B25J 1/00 -21/02
G02B 19/00 -21/00
G02B 21/06 -21/36
G02B 23/24 -23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像デバイスの移動に関する状態に基づいて、前記撮像デバイスにより撮像される画像の表示を制御する表示制御部を備え、
前記表示制御部は、
前記撮像デバイスの移動に関する状態が、前記撮像デバイスの移動が可能ではない第1状態の場合、動画を構成する時系列の複数のフレーム画像からなる、医療用撮像画像を表示画面に表示させ、
前記撮像デバイスの移動に関する状態が、前記第1状態から前記撮像デバイスの移動が可能である第2状態に切り替えられた場合、前記フレーム画像の内1枚の前記医療用撮像画像を医療用静止画像として前記表示画面に表示させ、前記撮像デバイスの移動に応じて前記医療用静止画像の前記表示画面の表示を変更する、医療用制御装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記医療用静止画像が前記表示画面内において前記撮像デバイスの水平方向の移動に対応する方向に動いたように見えるように、前記医療用静止画像の表示を変える、請求項1に記載の医療用制御装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記撮像デバイスの水平方向の移動に対応して、前記医療用静止画像における表示画面に表示させる領域の位置を変える、請求項1または2に記載の医療用制御装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記撮像デバイスの垂直方向の移動に対応して、前記医療用静止画像をぼかす、請求項1~3のいずれか1つに記載の医療用制御装置。
【請求項5】
前記医療用静止画像は、前記第1状態から前記第2状態へと変化するときに撮像された医療用撮像画像の静止画像である、請求項1~のいずれか1つに記載の医療用制御装置。
【請求項6】
前記医療用静止画像は、前記第1状態から前記第2状態へと変化するときに拡大率を下げて撮像された医療用撮像画像の静止画像であり、
前記表示制御部は、拡大率を下げる前に撮像されていた撮像範囲を示すオブジェクトを、前記医療用静止画像に表示させる、請求項1に記載の医療用制御装置。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記撮像デバイスの水平方向の移動に対応して前記オブジェクトの表示位置を変える、請求項に記載の医療用制御装置。
【請求項8】
前記撮像デバイスは、複数のリンクが関節部によって互いに連結され、所定の回転軸で回転可能に構成されるアームにより支持され、
前記表示制御部は、前記所定の回転軸における回転角度の変化に基づいて、前記撮像デバイスの移動を特定する、請求項1~のいずれか1つに記載の医療用制御装置。
【請求項9】
複数のリンクが関節部によって互いに連結されて構成されるアームと、
前記アームにより支持されている前記撮像デバイスと、
を備える、請求項1~のいずれか1つに記載の医療用制御装置。
【請求項10】
撮像デバイスの移動に関する状態に基づいて、前記撮像デバイスにより撮像される画像の表示を制御する表示制御部を備え、
前記表示制御部は、
前記撮像デバイスの移動に関する状態が、前記撮像デバイスの移動が可能ではない第1状態の場合、動画を構成する時系列の複数のフレーム画像からなる、医療用撮像画像を表示画面に表示させ、
前記撮像デバイスの移動に関する状態が、前記第1状態から前記撮像デバイスの移動が可能である第2状態に切り替えられ、前記移動が開始した場合、前記移動が開始する前に取得した前記フレーム画像の内1枚の前記医療用撮像画像を医療用静止画像として前記表示画面に表示させ、前記撮像デバイスの移動に応じて前記医療用静止画像の前記表示画面での表示を変更する、医療用制御装置。
【請求項11】
撮像デバイスの移動に関する状態に基づいて、前記撮像デバイスにより撮像される画像の表示を制御する表示制御部を備え、
前記表示制御部は、
前記撮像デバイスの移動に関する状態が、前記撮像デバイスの移動が可能ではない第1状態の場合、動画を構成する時系列の複数のフレーム画像からなる、医療用撮像画像を表示画面に表示させ、
前記撮像デバイスの移動に関する状態が、前記第1状態から前記撮像デバイスの移動が可能である第2状態に切り替えられた場合、または、前記第2状態に切り替えられた後、前記移動が開始した場合、1枚のフレーム画像からなる医療用静止画像を取得し、前記撮像デバイスの移動に対応する方向に動いたように見えるように、前記医療用静止画像の前記表示画面での表示を変更する、医療用制御装置。
【請求項12】
撮像デバイスの移動に関する状態に基づいて、前記撮像デバイスにより撮像される画像の表示を制御する表示制御部を備え、
前記表示制御部は、
前記撮像デバイスの移動に関する状態が、前記撮像デバイスの移動が可能ではない第1状態の場合、表示画面への表示を前記撮像デバイスにより撮像される動画像である医療用撮像画像に切り替え、
前記撮像デバイスの移動に関する状態が、前記撮像デバイスの移動が可能である第2状態の場合、前記表示画面への表示を前記撮像デバイスにより撮像される静止画像である医療用静止画像に切り替え、前記撮像デバイスの移動に応じて前記表示画面の表示を変更する、医療用制御装置。
【請求項13】
前記表示制御部は、前記医療用静止画像が前記表示画面内において前記撮像デバイスの水平方向の移動に対応する方向に動いたように見えるように、前記医療用静止画像の表示を変える、請求項12に記載の医療用制御装置。
【請求項14】
前記表示制御部は、前記撮像デバイスの水平方向の移動に対応して、前記医療用静止画像における表示画面に表示させる領域の位置を変える、請求項12または13に記載の医療用制御装置。
【請求項15】
前記表示制御部は、前記撮像デバイスの垂直方向の移動に対応して、前記医療用静止画像をぼかす、請求項12~14のいずれか1つに記載の医療用制御装置。
【請求項16】
前記医療用静止画像は、前記第1状態から前記第2状態へと変化するときに撮像された医療用撮像画像の静止画像である、請求項12~15のいずれか1つに記載の医療用制御装置。
【請求項17】
前記医療用静止画像は、前記第1状態から前記第2状態へと変化するときに拡大率を下げて撮像された医療用撮像画像の静止画像であり、
前記表示制御部は、拡大率を下げる前に撮像されていた撮像範囲を示すオブジェクトを、前記医療用静止画像に表示させる、請求項12に記載の医療用制御装置。
【請求項18】
前記表示制御部は、前記撮像デバイスの水平方向の移動に対応して前記オブジェクトの表示位置を変える、請求項17に記載の医療用制御装置。
【請求項19】
前記第2状態から前記第1状態へと変化した場合、前記表示制御部は、前記第2状態から前記第1状態へと変化した後に撮像された医療用撮像画像を、表示画面に表示させる、請求項12~18のいずれか1つに記載の医療用制御装置。
【請求項20】
前記表示制御部は、前記第1状態と前記第2状態とを切り替える所定の切替操作の検出結果に基づいて、前記移動に関する状態を特定する、請求項12~19のいずれか1つに記載の医療用制御装置。
【請求項21】
前記撮像デバイスは、複数のリンクが関節部によって互いに連結され、所定の回転軸で回転可能に構成されるアームにより支持され、
前記表示制御部は、前記所定の回転軸における回転角度の変化に基づいて、前記撮像デバイスの移動を特定する、請求項12~20のいずれか1つに記載の医療用制御装置。
【請求項22】
複数のリンクが関節部によって互いに連結されて構成されるアームと、
前記アームにより支持されている前記撮像デバイスと、
を備える、請求項12~21のいずれか1つに記載の医療用制御装置。
【請求項23】
撮像デバイスの移動に関する状態に基づいて、前記撮像デバイスにより撮像される画像の表示を制御するステップを有し、
前記制御するステップでは、
前記撮像デバイスの移動に関する状態が、前記撮像デバイスの移動が可能ではない第1状態の場合、表示画面への表示を前記撮像デバイスにより撮像される動画像である医療用撮像画像に切り替え
前記撮像デバイスの移動に関する状態が、前記撮像デバイスの移動が可能である第2状態の場合、前記表示画面への表示を前記撮像デバイスにより撮像される静止画像である医療用静止画像に切り替え、前記撮像デバイスの移動に応じて前記表示画面の表示を変更する、医療用制御装置により実行される制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療用制御装置、医療用観察装置、および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療現場においては、例えば、脳神経外科手術などの微細手術(マイクロサージャリ)をサポートするためや、内視鏡手術を行うために、患部などの観察対象を拡大観察することが可能な医療用観察装置が用いられる場合がある。医療用観察装置としては、例えば、光学式の顕微鏡を備える医療用観察装置と、電子撮像式の顕微鏡として機能する撮像デバイスを備える医療用観察装置とが挙げられる。以下では、上記光学式の顕微鏡を備える医療用観察装置を「光学式の医療用観察装置」と示す。また、以下では、上記撮像デバイスを備える医療用観察装置を、「電子撮像式の医療用観察装置」または単に「医療用観察装置」と示す場合がある。また、以下では、医療用観察装置が備える撮像デバイスにより観察対象が撮像された撮像画像(動画像または静止画像)を「医療用撮像画像」と示す。
【0003】
このような中、鏡体部の移動・固定に連動して鏡体部において観察される観察像を三次元/二次元に変更する、光学式の医療用観察装置に関する技術が開発されている。上記技術としては、例えば下記の特許文献1に記載の技術が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-66080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電子撮像式の医療用観察装置は、撮像デバイスの高画質化や撮像された撮像画像が表示される表示装置の高画質化などに伴い、光学式の医療用観察装置と同等以上の画質が得られるようになっている。また、電子撮像式の医療用観察装置を用いる使用者(例えば、術者や術者の助手などの医療従事者。以下、単に「使用者」と示す場合がある。)は、光学式の医療用観察装置を用いる場合のように光学式の顕微鏡を構成する接眼レンズを覗き込む必要はないので、撮像デバイスの位置をより自由に移動させることが可能である。そのため、電子撮像式の医療用観察装置が用いられることによって、撮像デバイスの位置の移動により手術をより柔軟にサポートすることができるという利点があり、医療現場での電子撮像式の医療用観察装置の利用が進んでいる。
【0006】
上記のように、電子撮像式の医療用観察装置の使用者は撮像デバイスの位置を自由に移動させることが可能であるので、使用者は、撮像デバイスの位置を移動させることにより撮像範囲を変えることが可能である。ここで、拡大率が高い状態で撮像デバイスにより撮像が行われている場合を考えると、撮像デバイスの位置を移動させることによって、表示画面に表示される医療用撮像画像の揺れ(いわゆる、画揺れ)が大きくなることが想定される。撮像デバイスの移動に伴って医療用撮像画像の揺れが大きくなる場合には、“使用者が、表示画面に表示される医療用撮像画像を見ながら、所望の撮像範囲が撮像されるように撮像デバイスを移動させること”は、困難である。
【0007】
また、拡大率が高い状態では被写界深度が浅いため、例えば観察対象である術部に対して撮像デバイスが奥行方向へ少しずれただけで、表示画面に表示される医療用撮像画像は、ぼやけた画像となる。さらに、表示画面に表示される医療用撮像画像がぼやけた画像となった場合には、“使用者が、表示画面に表示される医療用撮像画像を見ながら、所望の撮像範囲が撮像されるように撮像デバイスを移動させること”は、ますます困難となる。
【0008】
よって、撮像デバイスの移動に伴って上記のような事態が生じる場合には、医療用観察装置を用いる使用者の利便性が低下する可能性がある。
【0009】
ここで、仮に、例えば特許文献1に記載の技術のような、鏡体部の移動・固定に連動して三次元/二次元を切り替える技術を、電子撮像式の医療用観察装置に適用することができたとしても、上記のような事態が生じうる。
【0010】
本開示では、医療用観察装置を用いる使用者の利便性の向上を図ることが可能な、新規かつ改良された医療用制御装置、医療用観察装置、および制御方法を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示によれば、撮像デバイスの移動に関する状態に基づいて、上記撮像デバイスにより撮像される医療用撮像画像の表示を制御する表示制御部を備え、上記表示制御部は、上記撮像デバイスの移動に関する状態が、上記撮像デバイスの移動が可能ではない第1状態の場合、上記医療用撮像画像を表示画面に表示させ、上記撮像デバイスの移動に関する状態が、上記撮像デバイスの移動が可能である第2状態の場合、医療用静止画像を上記表示画面に表示させ、上記撮像デバイスの移動に応じて上記表示画面の表示を変更する、医療用制御装置が、提供される。
【0012】
また、本開示によれば、複数のリンクが関節部によって互いに連結されて構成されるアームと、上記アームにより支持されている撮像デバイスと、上記撮像デバイスの移動に関する状態に基づいて、上記撮像デバイスにより撮像される医療用撮像画像の表示を制御する表示制御部と、を備え、上記表示制御部は、上記撮像デバイスの移動に関する状態が、上記撮像デバイスの移動が可能ではない第1状態の場合、上記医療用撮像画像を表示画面に表示させ、上記撮像デバイスの移動に関する状態が、上記撮像デバイスの移動が可能である第2状態の場合、医療用静止画像を上記表示画面に表示させ、上記撮像デバイスの移動に応じて上記表示画面の表示を変更する、医療用観察装置が、提供される。
【0013】
また、本開示によれば、撮像デバイスの移動に関する状態に基づいて、上記撮像デバイスにより撮像される医療用撮像画像の表示を制御するステップを有し、上記制御するステップでは、上記撮像デバイスの移動に関する状態が、上記撮像デバイスの移動が可能ではない第1状態の場合、上記医療用撮像画像を表示画面に表示させ、上記撮像デバイスの移動に関する状態が、上記撮像デバイスの移動が可能である第2状態の場合、医療用静止画像を上記表示画面に表示させ、上記撮像デバイスの移動に応じて上記表示画面の表示を変更する、医療用制御装置により実行される制御方法が、提供される。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、医療用観察装置を用いる使用者の利便性の向上を図ることができる。
【0015】
なお、上記の効果は必ずしも限定的なものではなく、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書に示されたいずれかの効果、または本明細書から把握されうる他の効果が奏されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態に係る医療用観察システムの構成の一例を示す説明図である。
図2】本実施形態に係る医療用観察システムが使用されるユースケースの一例を示す説明図である。
図3】本実施形態に係る医療用観察装置が備える撮像デバイスの構成の一例を説明するための説明図である。
図4】本実施形態に係る医療用観察装置の構成の一例を示す機能ブロック図である。
図5】本実施形態に係る制御方法に係る処理の第1の例を説明するための説明図である。
図6】本実施形態に係る制御方法に係る処理の第1の例を説明するための説明図である。
図7】本実施形態に係る制御方法に係る処理の第2の例を説明するための説明図である。
図8】本実施形態に係る制御方法に係る処理の第3の例を説明するための説明図である。
図9】本実施形態に係る制御方法に係る処理の一例を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0018】
また、以下では、下記に示す順序で説明を行う。
1.本実施形態に係る医療用観察システム、および本実施形態に係る制御方法
[1]医療用観察システムの構成
[1-1]表示装置200
[1-2]医療用観察装置100
[2]本実施形態に係る制御方法
[2-1]本実施形態に係る制御方法の概要
[2-2]本実施形態に係る制御方法に係る処理
[2-3]本実施形態に係る制御方法に係る処理の具体例
[3]本実施形態に係る制御方法が用いられることにより奏される効果の一例
2.本実施形態に係るプログラム
【0019】
(本実施形態に係る医療用観察システム、および本実施形態に係る制御方法)
以下、本実施形態に係る医療用観察システムの一例を説明しつつ、本実施形態に係る制御方法について説明する。
【0020】
以下では、本実施形態に係る医療用観察装置が本実施形態に係る制御方法に係る処理を行う場合、すなわち、本実施形態に係る医療用観察装置が医療用制御装置として機能する場合について、主に説明する。なお、本実施形態に係る医療用観察システムにおいて、医療用制御装置として機能する装置は、本実施形態に係る医療用観察装置に限られない。例えば、本実施形態に係る医療用観察システムでは、後述する表示装置が、本実施形態に係る制御方法に係る処理を行う医療用制御装置として機能してもよい。また、本実施形態に係る医療用観察システムでは、メディカルコントローラなどの本実施形態に係る制御方法に係る処理を行うことが可能な任意の装置が、医療用制御装置として機能しうる。
【0021】
[1]医療用観察システムの構成
図1は、本実施形態に係る医療用観察システム1000の構成の一例を示す説明図である。医療用観察システム1000は、例えば、医療用観察装置100と、表示装置200とを有する。
【0022】
なお、本実施形態に係る医療用観察システムは、図1に示す例に限られない。
【0023】
例えば、本実施形態に係る医療用観察システムは、医療用観察装置100における各種動作を制御する医療用制御装置(図示せず)を、さらに有していてもよい。図1に示す医療用観察システム1000では、後述するように、医療用観察装置100が本実施形態に係る制御方法に係る処理を行う制御部(後述する)を備えることにより、医療用観察装置100が医療用制御装置(図示せず)の機能を有している例を示している。
【0024】
医療用制御装置(図示せず)としては、例えば、“メディカルコントローラ”や、“サーバなどのコンピュータ”など、本実施形態に係る制御方法に係る処理を行うことが可能な任意の機器が、挙げられる。また、医療用制御装置(図示せず)は、例えば、上記のような機器に組み込むことが可能な、IC(Integrated Circuit)であってもよい。
【0025】
また、本実施形態に係る医療用観察システムは、医療用観察装置100と表示装置200とを複数有する構成であってもよい。医療用観察装置100を複数有する場合、医療用観察装置100それぞれにおいて、後述する医療用観察装置100における制御方法に係る処理が行われる。また、本実施形態に係る医療用観察システムが医療用観察装置100と表示装置200とを複数有する構成である場合、医療用観察装置100と表示装置200とが一対一に対応付けられていてもよいし、複数の医療用観察装置100が1つの表示装置200に対応付けられていてもよい。複数の医療用観察装置100が1つの表示装置200に対応付けられている場合、表示装置200では、例えば切り替え操作などが行われることによって、どの医療用観察装置100において撮像された医療用撮像画像を表示画面に表示させるのかが、切り替えられる。
【0026】
図2は、本実施形態に係る医療用観察システム1000が使用されるユースケースの一例を示す説明図である。
【0027】
医療用観察装置100が備える撮像デバイス(後述する)によって、観察対象の患者PA(医療行為を受ける対象の患者)が撮像される。上記医療行為を受ける対象の患者が撮像された撮像画像が、医療用撮像画像の一例に該当する。
【0028】
医療用観察装置100において撮像された医療用撮像画像は、表示装置200の表示画面に表示される。そして、医療用観察装置100を用いて医療行為を行う術者OP(医療用観察装置100の使用者の一例)は、表示装置200の表示画面に表示されている医療用撮像画像を見ながら、患者PAに対して医療行為を行う。
【0029】
また、術者OPは、フットスイッチFSなどの医療用観察装置100の外部の操作デバイス、または、医療用観察装置100が備える操作デバイス(後述する)を操作することによって、医療用観察装置100が備えるアーム(後述する)や撮像デバイス(後述する)などを動作させ、医療用観察装置100を所望の状態にさせる。
【0030】
以下、医療用観察システム1000を構成する各装置について、説明する。
【0031】
[1-1]表示装置200
表示装置200は、医療用観察システム1000における表示手段であり、医療用観察装置100からみて外部の表示デバイスに該当する。表示装置200は、例えば、医療用観察装置100において撮像された医療用撮像画像(動画像、または、静止画像。以下、同様とする。)や、UI(User Interface)に係る画像などの、様々な画像を表示画面に表示する。以下では、静止画像である医療用撮像画像を「医療用静止画像」と示す場合がある。また、表示装置200は、任意の方式により3D表示が可能な構成を有していてもよい。表示装置200における表示は、例えば、医療用観察装置100、または、医療用制御装置(図示せず)によって制御される。
【0032】
医療用観察システム1000において表示装置200は、手術室の壁面や天井、床面などの、手術室内において術者などの手術に関わる者により視認されうる任意の場所に設置される。表示装置200としては、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイなどが挙げられる。
【0033】
なお、表示装置200は、上記に示す例に限られない。
【0034】
例えば、表示装置200は、ヘッドマウントディスプレイやアイウェア型の装置などのような、術者などが身体に装着して用いる任意のウェアラブル装置であってもよい。
【0035】
表示装置200は、例えば、表示装置200が備えているバッテリなどの内部電源から供給される電力、または、接続されている外部電源から供給される電力などによって、駆動する。
【0036】
[1-2]医療用観察装置100
医療用観察装置100は、電子撮像式の医療用観察装置である。例えば手術時に医療用観察装置100が用いられる場合、術者(医療用観察装置100の使用者の一例)は、医療用観察装置100により撮像されて、表示装置200の表示画面に表示された医療用撮像画像を参照しながら術部(患部)を観察し、当該術部に対して、術式に応じた手技などの各種処置を行う。
【0037】
図1に示すように、医療用観察装置100は、例えば、ベース102と、アーム104と、撮像デバイス106とを備える。
【0038】
また、図1では示していないが、医療用観察装置100は、例えば、MPU(Micro Processing Unit)などの演算回路で構成される、1または2以上のプロセッサ(図示せず)と、ROM(Read Only Memory。図示せず)と、RAM(Random Access Memory。図示せず)と、記録媒体(図示せず)と、通信デバイス(図示せず)とを、備えていてもよい。医療用観察装置100は、例えば、医療用観察装置100が備えているバッテリなどの内部電源から供給される電力、または、接続されている外部電源から供給される電力などによって、駆動する。
【0039】
プロセッサ(図示せず)は、医療用観察装置100における制御部(後述する)として機能する。ROM(図示せず)は、プロセッサ(図示せず)が使用するプログラムや演算パラメータなどの制御用データを記憶する。RAM(図示せず)は、プロセッサ(図示せず)により実行されるプログラムなどを一時的に記憶する。
【0040】
記録媒体(図示せず)は、医療用観察装置100における記憶部(図示せず)として機能する。記録媒体(図示せず)には、例えば、本実施形態に係る制御方法に係るデータや、各種アプリケーションなどの、様々なデータが記憶される。ここで、記録媒体(図示せず)としては、例えば、ハードディスクなどの磁気記録媒体や、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリなどが挙げられる。また、記録媒体(図示せず)は、医療用観察装置100から着脱可能であってもよい。
【0041】
通信デバイス(図示せず)は、医療用観察装置100が備える通信手段であり、表示装置200などの外部装置と、無線または有線で通信を行う役目を果たす。ここで、通信デバイス(図示せず)としては、例えば、IEEE802.15.1ポートおよび送受信回路(無線通信)や、IEEE802.11ポートおよび送受信回路(無線通信)、通信アンテナおよびRF回路(無線通信)、あるいはLAN端子および送受信回路(有線通信)などが挙げられる。
【0042】
[1-2-1]ベース102
ベース102は、医療用観察装置100の基台であり、アーム104の一端が接続されて、アーム104と撮像デバイス106とを支持する。
【0043】
また、ベース102には例えばキャスタが設けられ、医療用観察装置100は、キャスタを介して床面と接地する。キャスタが設けられることにより、医療用観察装置100は、キャスタによって床面上を容易に移動することが可能である。
【0044】
[1-2-2]アーム104
アーム104は、複数のリンクが関節部によって互いに連結されて構成される。
【0045】
また、アーム104は、撮像デバイス106を支持する。アーム104により支持された撮像デバイス106は3次元的に移動可能であり、移動後の撮像デバイス106は、アーム104によって、位置および姿勢が保持される。
【0046】
より具体的には、アーム104は、例えば、複数の関節部110a、110b、110c、110d、110e、110fと、関節部110a、110b、110c、110d、110e、110fによって互いに回動可能に連結される複数のリンク112a、112b、112c、112d、112e、112fとから構成される。関節部110a、110b、110c、110d、110e、110fそれぞれの回転可能範囲は、アーム104の所望の動きが実現されるように、設計段階や製造段階などにおいて任意に設定される。
【0047】
つまり、図1に示す医療用観察装置100では、アーム104を構成する6つの関節部110a、110b、110c、110d、110e、110fに対応する6つの回転軸(第1軸O1、第2軸O2、第3軸O3、第4軸O4、第5軸O5、および第6軸O6。医療用観察装置100における所定の回転軸の一例)によって、撮像デバイス106の移動に関して6自由度が実現されている。より具体的には、図1に示す医療用観察装置100では、並進3自由度、および回転3自由度の6自由度の動きが実現される。
【0048】
関節部110a、110b、110c、110d、110e、110fそれぞれには、アクチュエータ(図示せず)が設けられ、関節部110a、110b、110c、110d、110e、110fそれぞれは、アクチュエータ(図示せず)の駆動によって、対応する回転軸で回転する。アクチュエータ(図示せず)の駆動は、例えば、後述する制御部として機能するプロセッサ、または、外部の医療用制御装置(図示せず)によって制御される。
【0049】
関節部110a、110b、110c、110d、110e、110fそれぞれには、6つの回転軸(所定の回転軸の一例。以下、同様とする。)における回転角度をそれぞれ検出することが可能なセンサが、設けられうる。本実施形態に係るセンサとしては、例えば、ロータリエンコーダなどの角度センサや、角速度センサなどの、6つの回転軸それぞれにおける回転角度を得ることが可能な任意のセンサが、挙げられる。
【0050】
関節部110a、110b、110c、110d、110e、110fそれぞれが、アクチュエータ(図示せず)の駆動により対応する回転軸で回転することによって、例えばアーム104を伸ばす、縮める(折り畳む)などの、様々なアーム104の動作が、実現される。
【0051】
関節部110aは、略円柱形状を有し、関節部110aの先端部分(図1における下端部分)で、撮像デバイス106(図1における撮像デバイス106の上端部分)を、撮像デバイス106の中心軸と平行な回転軸(第1軸O1)まわりに回動可能なように支持する。ここで、医療用観察装置100は、第1軸O1が撮像デバイス106における光軸と一致するように構成される。つまり、図1に示す第1軸O1まわりに撮像デバイス106を回動させることによって、撮像デバイス106により撮像された医療用撮像画像は、視野が回転するように変更される画像となる。
【0052】
リンク112aは、略棒状の部材であり、関節部110aを固定的に支持する。リンク112aは、例えば、第1軸O1と直交する方向に延伸され、関節部110bに接続される。
【0053】
関節部110bは、略円柱形状を有し、リンク112aを、第1軸O1と直交する回転軸(第2軸O2)まわりに回動可能なように支持する。また、関節部110bには、リンク112bが固定的に接続される。
【0054】
リンク112bは、略棒状の部材であり、第2軸O2と直交する方向に延伸される。また、リンク112bには、関節部110bと関節部110cとがそれぞれ接続される。
【0055】
関節部110cは、略円柱形状を有し、リンク112bを、第1軸O1および第2軸O2それぞれと互いに直交する回転軸(第3軸O3)まわりに回動可能なように支持する。また、関節部110cには、リンク112cの一端が固定的に接続される。
【0056】
ここで、第2軸O2および第3軸O3まわりにアーム104の先端側(撮像デバイス106が設けられる側)が回動することによって、水平面内での撮像デバイス106の位置が変更されるように、撮像デバイス106を移動させることができる。つまり、医療用観察装置100では、第2軸O2および第3軸O3まわりの回転が制御されることにより、医療用撮像画像の視野を平面内で移動させることが可能になる。
【0057】
リンク112cは、一端が略円柱形状を有し、他端が略棒状を有する部材である。リンク112cの一端側には、関節部110cの中心軸と略円柱形状の中心軸とが同一となるように、関節部110cが固定的に接続される。また、リンク112cの他端側には、関節部110dが接続される。
【0058】
関節部110dは、略円柱形状を有し、リンク112cを、第3軸O3と直交する回転軸(第4軸O4)まわりに回動可能なように支持する。関節部110dには、リンク112dが固定的に接続される。
【0059】
リンク112dは、略棒状の部材であり、第4軸O4と直交するように延伸される。リンク112dの一端は、関節部110dの略円柱形状の側面に当接するように、関節部110dに固定的に接続される。また、リンク112dの他端(関節部110dが接続される側とは反対側の端)には、関節部110eが接続される。
【0060】
関節部110eは、略円柱形状を有し、リンク112dの一端を、第4軸O4と平行な回転軸(第5軸O5)まわりに回動可能なように支持する。また、関節部110eには、リンク112eの一端が固定的に接続される。
【0061】
ここで、第4軸O4および第5軸O5は、撮像デバイス106を垂直方向に移動させうる回転軸である。第4軸O4および第5軸O5まわりにアーム104の先端側(撮像デバイス106が設けられる側)が回動することによって、撮像デバイス106の垂直方向の位置が変わる。よって、第4軸O4および第5軸O5まわりにアーム104の先端側(撮像デバイス106が設けられる側)が回動することによって、撮像デバイス106と、患者の術部などの観察対象との距離を変えることが、可能となる。
【0062】
リンク112eは、一辺が鉛直方向に延伸するとともに他辺が水平方向に延伸する略L字形状を有する第1の部材と、当該第1の部材の水平方向に延伸する部位から鉛直下向きに延伸する棒状の第2の部材とが、組み合わされて構成される部材である。リンク112eの第1の部材の鉛直方向に延伸する部位には、関節部110eが固定的に接続される。また、リンク112eの第2の部材には、関節部110fが接続される。
【0063】
関節部110fは、略円柱形状を有し、リンク112eを、鉛直方向と平行な回転軸(第6軸O6)まわりに回動可能なように支持する。また、関節部110fには、リンク112fが固定的に接続される。
【0064】
リンク112fは、略棒状の部材であり、鉛直方向に延伸される。リンク112fの一端は、関節部110fが接続される。また、リンク112fの他端(関節部110fが接続される側とは反対側の端)は、ベース102に固定的に接続される。
【0065】
アーム104が上記に示す構成を有することによって、医療用観察装置100では、撮像デバイス106の移動に関して6自由度が実現される。
【0066】
なお、アーム104の構成は、上記に示す例に限られない。
【0067】
例えば、アーム104の関節部110a、110b、110c、110d、110e、110fそれぞれには、関節部110a、110b、110c、110d、110e、110fそれぞれにおける回転を規制するブレーキが設けられていてもよい。本実施形態に係るブレーキとしては、例えば、機械的に駆動するブレーキや、電気的に駆動する電磁ブレーキなど、任意の方式のブレーキが挙げられる。
【0068】
上記ブレーキの駆動は、例えば、後述する制御部として機能するプロセッサ、または、外部の医療用制御装置(図示せず)によって制御される。上記ブレーキの駆動が制御されることにより、医療用観察装置100では、アーム104の動作モードが設定される。アーム104の動作モードとしては、例えば、固定モードとフリーモードとが挙げられる。
【0069】
ここで、本実施形態に係る固定モードとは、例えば、アーム104に設けられる各回転軸における回転がブレーキにより規制されることにより、撮像デバイス106の位置および姿勢が固定される動作モードである。アーム104が固定モードとなることによって、医療用観察装置100の動作状態は、撮像デバイス106の位置および姿勢が固定される固定状態となる。
【0070】
また、本実施形態に係るフリーモードとは、上記ブレーキが解除されることにより、アーム104に設けられる各回転軸が自由に回転可能となる動作モードである。例えば、フリーモードでは、術者による直接的な操作によって撮像デバイス106の位置および姿勢を調整することが可能となる。ここで、本実施形態に係る直接的な操作とは、例えば、術者が手で撮像デバイス106を把持し、当該撮像デバイス106を直接移動させる操作のことを意味する。
【0071】
例えば、上記のようなアーム104の動作モードの切り替えによって、アーム104により支持される撮像デバイス106は、撮像デバイス106の移動が可能ではない状態(以下、「第1状態」と示す。)と、撮像デバイス106の移動が可能である状態(以下、「第2状態」と示す。)との間で切り替わる。具体例を挙げると、アーム104の動作モードが固定モードである場合に、撮像デバイス106は第1状態となり、アーム104の動作モードがフリーモードである場合に、撮像デバイス106は第2状態となる。
【0072】
上記のように、第1状態および第2状態それぞれは、撮像デバイス106の移動が可能であるか否かを示す状態である。以下では、第1状態および第2状態を総称して、「撮像デバイス106の移動に関する状態」と示す場合がある。また、以下では、アーム104の動作モードの切り替えによって、撮像デバイス106の移動に関する状態が変化する場合を例に挙げる。
【0073】
[1-2-3]撮像デバイス106
撮像デバイス106は、アーム104により支持され、例えば患者の術部などの観察対象を撮像する。撮像デバイス106における撮像は、例えば、後述する制御部として機能するプロセッサ、または、外部の医療用制御装置(図示せず)によって制御される。
【0074】
撮像デバイス106は、例えば電子撮像式の顕微鏡に対応する構成を有する。
【0075】
図3は、本実施形態に係る医療用観察装置100が備える撮像デバイス106の構成の一例を説明するための説明図である。
【0076】
撮像デバイス106は、例えば、撮像部材120と、略円筒形状を有する筒状部材122とを有し、撮像部材120は、筒状部材122内に設けられる。
【0077】
筒状部材122の下端(図3における下側の端)の開口面には、例えば、撮像部材120を保護するためのカバーガラス(図示せず)が設けられる。
【0078】
また、例えば筒状部材122の内部には光源(図示せず)が設けられ、撮像時には、当該光源からカバーガラス越しに被写体に対して照明光が照射される。照明光が照射された被写体からの反射光(観察光)が、カバーガラス(図示せず)を介して撮像部材120に入射することにより、撮像部材120によって被写体を示す画像信号(医療用撮像画像を示す画像信号)が得られる。
【0079】
撮像部材120としては、各種の公知の電子撮像式の顕微鏡部に用いられている構成を適用することが可能である。
【0080】
一例を挙げると、撮像部材120は、例えば、光学系120aと、光学系120aを通過した光により観察対象の像を撮像する撮像素子を含むイメージセンサ120bとで構成される。光学系120aは、例えば、対物レンズ、ズームレンズおよびフォーカスレンズなどの1または2以上のレンズとミラーなどの光学素子で構成される。イメージセンサ120bとしては、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子を複数用いたイメージセンサが、挙げられる。
【0081】
撮像部材120は、光学系120aおよびイメージセンサ120bで構成される撮像デバイスを、2つ以上有することにより、いわゆるステレオカメラとして機能する。
【0082】
また、撮像部材120が撮像デバイスを2つ以上有する構成である場合、一部の撮像デバイスは、等倍で撮像を行う撮像デバイス(もしくは、通常の拡大観察時における拡大率よりも低い拡大率で撮像を行う撮像デバイス)であってもよい。上記一部の撮像デバイスは、例えば、撮像デバイス106におけるサブカメラとして機能する。
【0083】
撮像部材120を構成する撮像デバイスには、ズーム機能(光学ズーム機能と電子ズーム機能との一方または双方)、AF(Auto Focus)機能などの、一般的に電子撮像式の顕微鏡部に備えられる1または2以上の機能が搭載される。
【0084】
また、撮像部材120は、例えば4K、8Kなどの、いわゆる高解像度での撮像が可能な構成であってもよい。撮像部材120が高解像度での撮像が可能に構成されることにより、所定の解像度(例えば、Full HD画質など)を確保しつつ、例えば50インチ以上などの大画面の表示画面を有する表示装置200に画像を表示させることが可能となるので、当該表示画面を見る術者の視認性が向上する。また、撮像部材120が高解像度での撮像が可能に構成されることにより、撮像画像が電子ズーム機能によって拡大されて表示装置200の表示画面に表示されたとしても、所定の解像度を確保することが可能となる。さらに、電子ズーム機能を用いて所定の解像度が確保される場合には、撮像デバイス106における光学ズーム機能の性能を抑えることが可能となるので、撮像デバイス106の光学系をより簡易にすることができ、撮像デバイス106をより小型に構成することができる。
【0085】
撮像デバイス106には、例えば、撮像デバイス106の動作を制御するための各種の操作デバイスが設けられる。例えば図3では、ズームスイッチ124と、フォーカススイッチ126と、動作モード変更スイッチ128とが、撮像デバイス106に設けられている。なお、ズームスイッチ124、フォーカススイッチ126、および動作モード変更スイッチ128が設けられる位置と形状とが、図3に示す例に限られないことは、言うまでもない。
【0086】
ズームスイッチ124とフォーカススイッチ126とは、撮像デバイス106における撮像条件を調整するための操作デバイスの一例である。
【0087】
ズームスイッチ124は、例えば、ズーム倍率(拡大率)を大きくするズームインスイッチ124aと、ズーム倍率を小さくするズームアウトスイッチ124bとで構成される。ズームスイッチ124に対する操作が行われることによりズーム倍率が調整されて、ズームが調整される。
【0088】
フォーカススイッチ126は、例えば、観察対象(被写体)までの焦点距離を遠くする遠景フォーカススイッチ126aと、観察対象までの焦点距離を近くする近景フォーカススイッチ126bとで構成される。フォーカススイッチ126に対する操作が行われることにより焦点距離が調整されて、フォーカスが調整される。
【0089】
動作モード変更スイッチ128は、撮像デバイス106におけるアーム104の動作モードを変更するための操作デバイスの一例である。動作モード変更スイッチ128に対する操作が行われることにより、アーム104の動作モードが変更される。アーム104の動作モードとしては、例えば上述したように、固定モードとフリーモードとが挙げられる。
【0090】
動作モード変更スイッチ128に対する操作の一例としては、動作モード変更スイッチ128を押下する操作が、挙げられる。例えば、術者が動作モード変更スイッチ128を押下している間、アーム104の動作モードがフリーモードとなり、術者が動作モード変更スイッチ128を押下していないときには、アーム104の動作モードが固定モードとなる。
【0091】
動作モード変更スイッチ128に対する操作が行われ、アーム104の動作モードが変更されることによって、撮像デバイス106の移動に関する状態は、第1状態と第2状態との間で切り替わる。
【0092】
また、撮像デバイス106には、各種操作デバイスに対する操作を行う操作者が操作を行う際の操作性や利便性などをより高めるために、例えば、滑り止め部材130と、突起部材132とが設けられる。
【0093】
滑り止め部材130は、例えば操作者が筒状部材122を手などの操作体で操作を行う際に、操作体の滑りを防止するために設けられる部材である。滑り止め部材130は、例えば、摩擦係数が大きい材料で形成され、凹凸などのより滑りにくい構造を有する。
【0094】
突起部材132は、操作者が筒状部材122を手などの操作体で操作を行う際に、当該操作体が光学系120aの視野を遮ってしまうことや、当該操作体で操作を行う際に、カバーガラス(図示せず)に当該操作体が触れることにより当該カバーガラスが汚れることなどを、防止するために設けられる部材である。
【0095】
なお、滑り止め部材130および突起部材132それぞれが設けられる位置と形状とが、図3に示す例に限られないことは、言うまでもない。また、撮像デバイス106には、滑り止め部材130と突起部材132との一方または双方が設けれられていなくてもよい。
【0096】
撮像デバイス106における撮像により生成された画像信号(画像データ)は、例えば後述する制御部として機能するプロセッサにおいて、画像処理が行われる。本実施形態に係る画像処理としては、例えば、ガンマ補正、ホワイトバランスの調整、電子ズーム機能に係る画像の拡大または縮小、または、画素間補正などの各種処理のうちの、1または2以上の処理が、挙げられる。なお、本実施形態に係る医療用観察システムが、医療用観察装置100における各種動作を制御する医療用制御装置(図示せず)を有する場合には、本実施形態に係る画像処理は、当該医療用制御装置(図示せず)において行われてもよい。
【0097】
医療用観察装置100は、例えば、表示制御信号と、上記のような画像処理が行われた画像信号とを、表示装置200に送信する。
【0098】
表示制御信号と画像信号とが表示装置200に送信されることによって、表示装置200の表示画面には、観察対象が撮像された医療用撮像画像(例えば、術部が撮像された撮像画像)が、光学ズーム機能と電子ズーム機能との一方または双方によって所望の倍率に拡大または縮小されて表示される。
【0099】
医療用観察装置100は、例えば図1図3を参照して示したハードウェア構成を有する。
【0100】
なお、本実施形態に係る医療用観察装置のハードウェア構成は、図1図3を参照して示した構成に限られない。
【0101】
例えば、本実施形態に係る医療用観察装置は、ベース102を備えず、手術室などの天井や壁面などにアーム104が直接取り付けられる構成であってもよい。例えば、天井にアーム104が取り付けられる場合には、本実施形態に係る医療用観察装置は、アーム104が天井から吊り下げられる構成となる。
【0102】
また、図1では、アーム104が、撮像デバイス106の駆動に関して6自由度が実現されるように構成されている例を示しているが、アーム104の構成は、撮像デバイス106の駆動に関する自由度が6自由度となる構成に限られない。例えば、アーム104は、用途に応じて撮像デバイス106を適宜移動しうるように構成されればよく、関節部およびリンクの数や配置、関節部の駆動軸の方向などは、アーム104が所望の自由度を有するように適宜設定することが可能である。
【0103】
また、図1図3では、撮像デバイス106の動作を制御するための各種の操作デバイスが、撮像デバイス106に設けられる例を示しているが、図1図3に示す操作デバイスのうちの一部または全部は、撮像デバイス106に設けられなくてもよい。一例を挙げると、撮像デバイス106の動作を制御するための各種の操作デバイスは、本実施形態に係る医療用観察装置を構成する撮像デバイス106以外の他の部位に設けられていてもよい。また、他の例を挙げると、撮像デバイス106の動作を制御するための各種の操作デバイスは、フットスイッチやリモートコントローラなどの、外部の操作デバイスであってもよい。
【0104】
また、撮像デバイス106は、複数の観察モードを切り替えることが可能な構成であってもよい。本実施形態に係る観察モードとしては、例えば、自然光で撮像を行う観察モード、特殊光で撮像を行う観察モード、NBI(Narrow Band Imaging)などの画像強調観察技術を利用して撮像を行う観察モードなどが、挙げられる。本実施形態に係る特殊光とは、例えば、近赤外線の波長帯域の光や、5-ALA(5-Aminolevulinic Acid)を用いた蛍光観察の蛍光波長帯域の光など、特定の波長帯域の光である。
【0105】
複数の観察モードを切り替えることが可能な撮像デバイス106の構成の一例としては、例えば、“特定の波長帯域の光を透過させ、他の波長帯域の光を透過させないフィルタと、当該フィルタを光路上に選択的に配置する移動機構と、を備える構成”が、挙げられる。本実施形態に係るフィルタが透過させる特定の波長帯域としては、例えば、近赤外線の波長帯域(例えば、約0.7[マイクロメートル]~2.5[マイクロメートル]の波長帯域)や、5-ALAを用いた蛍光観察による蛍光波長帯域(例えば、約0.6[マイクロメートル]~0.65[マイクロメートル]の波長帯域)、ICG(Indocyanine Green)の蛍光波長帯域(例えば、約0.82[マイクロメートル]~0.85[マイクロメートル]の波長帯域)などが、挙げられる。
【0106】
なお、撮像デバイス106には、透過させる波長帯域が異なる複数のフィルタが設けられていてもよい。また、上記では、フィルタが光路上に配置されることにより、特定の波長帯域の光で撮像が行われる例を示したが、特定の波長帯域の光で撮像を行うための撮像デバイス106の構成が、上記に示す例に限られないことは、言うまでもない。
【0107】
次に、図1に示す医療用観察装置100を、機能ブロックを用いて説明する。図4は、本実施形態に係る医療用観察装置100の構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0108】
医療用観察装置100は、例えば、アーム部152と、撮像部154と、通信部156と、制御部158とを備える。
【0109】
アーム部152は、アーム104で構成され、撮像部154を構成する撮像デバイス106を支持する。
【0110】
撮像部154は、撮像デバイス106で構成され、観察対象を撮像する。撮像部154における撮像は、例えば制御部158によって制御される。
【0111】
通信部156は、医療用観察装置100が備える通信手段であり、表示装置200などの外部装置と無線または有線で通信を行う役目を果たす。通信部156は、例えば上述した通信デバイス(図示せず)で構成される。通信部156における通信は、例えば制御部158によって制御される。
【0112】
制御部158は、例えば上述したプロセッサ(図示せず)で構成され、医療用観察装置100全体を制御する役目を果たす。また、制御部158は、後述する制御方法に係る処理を主導的に行う役目を果たす。なお、制御部158における制御方法に係る処理は、複数の処理回路(例えば、複数のプロセッサなど)で分散して行われてもよい。
【0113】
より具体的には、制御部158は、例えば、撮像制御部160と、アーム制御部162と、表示制御部164とを有する。
【0114】
撮像制御部160は、撮像部154を構成する撮像デバイス106を制御する。撮像デバイス106の制御としては、例えば、少なくともズーム機能(光学ズーム機能および電子ズーム機能)を含む、AF機能の制御などの一般的に電子撮像式の顕微鏡部に備えられる1または2以上の機能の制御が、挙げられる。
【0115】
アーム制御部162は、アーム部152を構成するアーム104の駆動を制御する。アーム104の駆動の制御の一例としては、例えば、“関節部110a、110b、110c、110d、110e、110fそれぞれに対応するアクチュエータ(図示せず)に対して、駆動を制御する制御信号を印加すること”などが挙げられる。
【0116】
表示制御部164は、例えば、表示制御信号と画像信号とを通信部156を構成する通信デバイス(図示せず)に伝達し、表示制御信号と画像信号とを表示装置200に対して送信させることによって、表示装置200における表示を制御する。なお、通信部156における通信の制御は、制御部158を構成する通信制御部(図示せず)により行われてもよい。
【0117】
また、表示制御部164は、後述する制御方法に係る処理を行い、撮像デバイス106の移動に関する状態に基づいて、医療用撮像画像の表示を制御する。本実施形態に係る制御方法に係る処理の一例、および本実施形態に係る制御方法に係る処理より実現される医療用撮像画像の表示の一例については、後述する。
【0118】
制御部158は、例えば、表示制御部164を有することにより、本実施形態に係る制御方法に係る処理を主導的に行う役目を果たす。また、制御部158は、例えば、撮像制御部160、アーム制御部162、および表示制御部164を有することによって、医療用観察装置100全体を制御する役目を果たす。
【0119】
なお、制御部158の機能構成は、図4に示す例に限られない。
【0120】
例えば、制御部158は、本実施形態に係る制御方法に係る処理の切り分け方に応じた構成など、医療用観察装置100が有する機能の切り分け方に応じた、任意の構成を有することが可能である。
【0121】
医療用観察装置100は、例えば図4に示す構成によって、後述する本実施形態に係る制御方法に係る処理を行う。
【0122】
なお、本実施形態に係る医療用観察装置の機能構成は、図4に示す構成に限られない。
【0123】
例えば、本実施形態に係る医療用観察装置は、図4に示す撮像制御部160、アーム制御部162、および表示制御部164のうちの一部または全部を、制御部158とは個別に備える(例えば、別の処理回路で実現する)ことができる。
【0124】
また、本実施形態に係る医療用観察装置において本実施形態に係る制御方法に係る処理を実現するための機能構成は、図4に示す構成に限られず、例えば、本実施形態に係る医療用観察装置は、本実施形態に係る制御方法に係る処理の切り分け方に応じた機能構成をとることが可能である。
【0125】
また、例えば、通信部156と同様の機能、構成を有する外部の通信デバイスを介して外部装置と通信を行う場合には、本実施形態に係る医療用観察装置は、通信部156を備えていなくてもよい。
【0126】
また、本実施形態に係る医療用観察システムが、医療用制御装置(図示せず)を有する構成であり、本実施形態に係る医療用観察装置が当該医療用制御装置(図示せず)により制御される場合、本実施形態に係る医療用観察装置は、制御部158を備えていなくてもよい。
【0127】
ここで、医療用制御装置(図示せず)は、例えば、制御部158と同様の機能、構成を有する制御部を備えることによって、後述する本実施形態に係る制御方法に係る処理を行い、また、本実施形態に係る医療用観察装置が備えるアーム部152や撮像部154などの各構成要素における動作を制御する。医療用制御装置(図示せず)は、備えている通信デバイス、または、接続されている外部の通信デバイスを介して、本実施形態に係る医療用観察装置と通信を行うことによって、本実施形態に係る医療用観察装置が備える各構成要素における動作を制御する。
【0128】
さらに、本実施形態に係る医療用観察システムが、医療用制御装置(図示せず)を有する構成であり、本実施形態に係る医療用観察装置が当該医療用制御装置(図示せず)により制御される場合、本実施形態に係る医療用観察装置は、制御部158の一部の機能を有さない構成をとることも可能である。
【0129】
[2]本実施形態に係る制御方法
次に、本実施形態に係る制御方法について、説明する。以下では、本実施形態に係る制御方法に係る処理を医療用観察装置100(より具体的には、例えば医療用観察装置100を構成する制御部158)が行う場合を例に挙げる。なお、上述したように、本実施形態に係る医療用観察システムにおいて、本実施形態に係る制御方法に係る処理は、医療用制御装置(図示せず)により行われてもよい。
【0130】
[2-1]本実施形態に係る制御方法の概要
アーム104の動作モードがフリーモードである場合(撮像デバイス106が第2状態である場合)には、医療用観察装置100の使用者は撮像デバイス106の位置を自由に移動させることが可能である。上述したように、撮像デバイス106は拡大率(ズーム倍率)を変更することが可能である。そのため、拡大率が高い状態で撮像デバイス106により撮像が行われている場合を考えると、撮像デバイス106の位置の移動に伴って、例えば下記のような事態が生じうる。
・表示装置200の表示画面に表示される医療用撮像画像の揺れ(画揺れ)が大きくなる
・撮像デバイス106の位置が、術部などの観察対象に対して奥行方向へ少しずれただけで、表示装置200の表示画面に表示される医療用撮像画像は、ぼやけた画像となる
【0131】
撮像デバイス106の移動に伴って医療用撮像画像の揺れが大きくなる場合には、“使用者が、表示画面に表示される医療用撮像画像を見ながら、所望の撮像範囲が撮像されるように撮像デバイス106を移動させること”は、困難である。また、撮像デバイス106の移動に伴って医療用撮像画像の揺れが大きくなる場合には、使用者が酔いを感じてしまう可能性がある。さらに、表示画面に表示される医療用撮像画像がぼやけた画像となった場合には、“使用者が、表示画面に表示される医療用撮像画像を見ながら、所望の撮像範囲が撮像されるように撮像デバイス106を移動させること”は、ますます困難となる。
【0132】
よって、撮像デバイス106の移動に伴って上記のような事態が生じる場合には、医療用観察装置100を用いる使用者の利便性が低下する可能性がある。
【0133】
そこで、医療用観察装置100は、撮像デバイス106の移動に関する状態に基づいて医療用撮像画像の表示を制御することによって、撮像デバイス106の移動に伴い生じうる上記のような事態の発生を防止する。また、撮像デバイス106の移動に伴い生じうる上記のような事態の発生が防止されることによって、医療用観察装置100を用いる使用者の利便性の向上を図ることができる。
【0134】
[2-2]本実施形態に係る制御方法に係る処理
次に、本実施形態に係る制御方法に係る処理について、より具体的に説明する。
【0135】
医療用観察装置100は、撮像デバイス106の移動に関する状態に基づいて医療用撮像画像の表示を制御する。より具体的には、医療用観察装置100は、本実施形態に係る制御方法に係る処理として、例えば、下記の(1)に示す第1の例に係る処理~下記の(3)に示す第3の例に係る処理のいずれかを、行う。
【0136】
(1)制御方法に係る処理の第1の例
医療用観察装置100は、撮像デバイス106の移動に関する状態が、撮像デバイス106の移動が可能ではない第1状態の場合、医療用撮像画像を表示画面に表示させる。
【0137】
また、医療用観察装置100は、撮像デバイス106の移動が可能である第2状態の場合、医療用観察装置100は、医療用静止画像(医療用撮像画像の一例)を、表示画面に表示させる。
【0138】
例えば、医療用観察装置100は、撮像デバイス106の移動に関する状態が第1状態から第2状態へと変化した場合に、医療用静止画像を、表示画面に表示させる。
【0139】
医療用観察装置100は、第1状態と第2状態とを切り替える所定の切替操作の検出結果に基づいて、移動に関する状態が第1状態であるか、または、移動に関する状態が第2状態であるかを、特定する。所定の切替操作としては、例えば、動作モード変更スイッチ128に対する操作や、リモートコントローラなどの外部の操作デバイスに対する操作が、挙げられる。
【0140】
制御方法に係る処理の第1の例に係る医療用静止画像とは、第1状態から第2状態へと変化するときに撮像された医療用撮像画像の静止画像である。第1状態から第2状態へと変化するときに撮像された医療用撮像画像の静止画像としては、例えば下記に示す例が、挙げられる。
・所定の切替操作が検出された時点に撮像デバイス106により撮像された静止画像
・所定の切替操作が検出された時点に撮像デバイス106により撮像された動画像を構成するフレーム画像
・所定の切替操作が検出された後であって、撮像デバイス106の移動が検出される前に、撮像デバイス106により撮像された静止画像
・所定の切替操作が検出された後であって、撮像デバイス106の移動が検出される前に、撮像デバイス106により撮像された動画像を構成するフレーム画像
【0141】
図5は、本実施形態に係る制御方法に係る処理の第1の例を説明するための説明図であり、制御方法に係る処理の第1の例に係る医療用静止画像の一例を示している。
【0142】
医療用静止画像を表示画面に表示させると、医療用観察装置100は、撮像デバイス106の移動に応じて表示画面の表示を変更する。医療用観察装置100は、例えば、表示画面に表示させた医療用静止画像の表示を、撮像デバイス106の移動に対応するように変えることによって、撮像デバイス106の移動に応じて表示画面の表示を変更する。
【0143】
医療用静止画像の表示を撮像デバイス106の移動に対応するように変えるとは、例えば、“医療用静止画像が、表示画面内において撮像デバイス106の水平方向の移動に対応する方向に動いたように見えるように、医療用静止画像の表示を変えること”をいう。“医療用静止画像が、表示画面内において撮像デバイス106の水平方向の移動に対応する方向に動いたように見える”とは、例えば、“撮像デバイス106の水平方向の移動に対応して、医療用静止画像が表示画面内において上下左右方向(斜め方向も含む)に動いたように見えること”をいう。
【0144】
図6は、本実施形態に係る制御方法に係る処理の第1の例を説明するための説明図であり、撮像デバイス106の水平方向の移動に対応して変更される医療用静止画像の表示の一例を示している。図6のAは、“撮像デバイス106が水平方向に移動する前に表示画面に表示されている医療用静止画像の一例”を示している。図6のB、図6のCそれぞれは、“撮像デバイス106が水平方向に移動した後に表示画面に表示される医療用静止画像の一例”を示している。
【0145】
例えば、撮像デバイス106が、図6のAに示す点P1に対応する位置から図6のAに示す点P2に対応する位置へと移動した場合、医療用観察装置100は、表示画面内において医療用静止画像が右方向に動いたように見えるように、医療用静止画像の表示を変える(図6のB)。
【0146】
また、例えば、撮像デバイス106が、図6のAに示す点P1に対応する位置から図6のAに示す点P3に対応する位置へと移動した場合、医療用観察装置100は、表示画面内において医療用静止画像が下方向に動いたように見えるように、医療用静止画像の表示を変える(図6のC)。
【0147】
医療用観察装置100は、例えば、医療用観察装置100における6つの回転軸(所定の回転軸の一例)それぞれにおける回転角度の変化に基づいて、撮像デバイス106の移動を特定する。6つの回転軸それぞれの回転角度の変化が分かれば、アーム104の形状の変化を特定することができ、アームの形状の変化からアーム104により支持されている撮像デバイス106の移動方向および移動量を推定することができる。なお、撮像デバイス106の移動の特定方法は、上記に示す例に限られず、医療用観察装置100は、撮像デバイス106の移動方向および移動量を特定すること(または推定すること)が可能な任意の方法により、撮像デバイス106の移動を特定してもよい。
【0148】
撮像デバイス106の移動方向としては、撮像デバイス106の水平方向と、撮像デバイス106の垂直方向との一方または双方が、挙げられる。撮像デバイス106の水平方向の移動とは、例えば“医療用観察装置100が設置されている床などの基準面に対する撮像デバイス106の高さ(以下、単に「撮像デバイス106の高さ」と示す。)が変化しない状態で、撮像デバイス106が移動すること”をいう。また、撮像デバイス106の垂直方向の移動とは、例えば“撮像デバイス106の高さのみが変化するように、撮像デバイス106が移動すること”をいう。撮像デバイス106の水平方向の移動と撮像デバイス106の垂直方向の移動とが組み合わさることによって、撮像デバイス106は、アーム104の稼働範囲内で任意に移動しうる。
【0149】
例えば撮像デバイス106の水平方向の移動が特定された場合、医療用観察装置100は、撮像デバイス106の水平方向の移動に対応して、“医療用静止画像における表示画面に表示させる領域”の位置を変えることによって、図6のB、図6のCに示す例のような、医療用静止画像の表示を実現する。“医療用静止画像における表示画面に表示させる領域”の位置を変えることにより、画が存在しない領域(例えば図6では、当該領域を黒べたで表している。)を含む医療用静止画像が、表示画面に表示される。なお、撮像デバイス106が水平方向に移動した後に表示画面に表示される医療用静止画像の例が、図6のB、図6のCに示す例に限られないことは、言うまでもない。
【0150】
例えば撮像デバイス106の垂直方向の移動が特定された場合、医療用観察装置100は、撮像デバイス106の垂直方向の移動に対応して、医療用静止画像をぼかす。医療用静止画像をぼかすことによって、撮像デバイス106が垂直方向に移動したことを、使用者などに対して視覚的に通知することができる。
【0151】
医療用観察装置100は、例えば“撮像デバイス106の垂直方向の移動量に応じた係数を適用したフィルタ処理を、医療用静止画像に対して行うこと”によって、撮像デバイス106の垂直方向の移動に対応して医療用静止画像をぼかす。また、医療用観察装置100は、例えば“撮像デバイス106の垂直方向の移動量に対応するフィルタを選択し、選択されたフィルタを用いたフィルタ処理を、医療用静止画像に対して行うこと”によって、撮像デバイス106の垂直方向の移動に対応して医療用静止画像をぼかしてもよい。本実施形態に係るフィルタ処理としては、例えば、平均化フィルタやガウシアンフィルタなどの、画像のぼかし効果を得ることが可能な任意のフィルタを用いる処理が、挙げられる。なお、医療用静止画像をぼかす処理はフィルタ処理に限られず、医療用観察装置100は、画像のぼかし効果を得ることが可能な任意のアルゴリズムの演算を医療用静止画像に対して行うことによって、医療用静止画像をぼかしてもよい。
【0152】
なお、撮像デバイス106の垂直方向の移動が特定された場合における処理は、上記に示す例に限られない。
【0153】
例えば、医療用観察装置100は、撮像デバイス106の垂直方向の移動に対応して、撮像デバイス106の垂直方向の移動を示す通知画像を、表示画面にさらに表示させてもよい。通知画像が表示されることによって、撮像デバイス106が垂直方向に移動したことを、使用者などに対して視覚的に通知することができる。医療用観察装置100は、撮像デバイス106の垂直方向の移動に対応して医療用静止画像をぼかさずに通知画像を表示させてもよいし、撮像デバイス106の垂直方向の移動に対応して医療用静止画像をぼかすと共に通知画像を表示させてもよい。
【0154】
本実施形態に係る通知画像としては、例えば、撮像デバイス106の垂直方向の移動を示すインジゲータ(例えば、移動方向および移動量を示すインジゲータ)が、挙げられる。また、本実施形態に係る通知画像は、例えば、撮像デバイス106が垂直方向に移動したことを示す文字列と、撮像デバイス106が垂直方向に移動したことを示すアイコンとの一方または双方によって、撮像デバイス106の垂直方向の移動を示してもよい。
【0155】
医療用観察装置100は、例えば、医療用静止画像に通知画像をアルファブレンドすることによって、通知画像を表示画面にさらに表示させる。なお、通知画像を表示画面に表示させる方法は、上記に示す例に限られず、医療用観察装置100は、POP(Picture On Picture)などの任意の表示制御によって、通知画像を表示画面に表示させてもよい。
【0156】
上記のように、医療用観察装置100は、撮像デバイス106の移動に関する状態が第1状態から第2状態へと変化した場合、医療用静止画像を表示画面に表示させる。また、医療用観察装置100は、例えば図6に示す例のように、表示画面に表示させた医療用静止画像の表示を、撮像デバイス106の移動に対応するように変える。
【0157】
医療用静止画像は静止画像であり、医療用静止画像の表示は、表示制御によって撮像デバイス106の移動に対応するように変えられる。よって、使用者などの表示画面の表示を見る者は、医療用静止画像の揺れ(画揺れ)を感じる可能性が低減された状態で、撮像デバイス106の移動を視覚的に認識することができる。
【0158】
よって、医療用観察装置100は、撮像デバイス106の移動に伴い生じうる上記のような事態の発生を防止することができるので、医療用観察装置100を用いる使用者の利便性の向上を図ることができる。
【0159】
なお、第1の例に係る制御方法に係る処理は、上記に示す例に限られない。
【0160】
例えば、撮像デバイス106の移動に関する状態が、撮像デバイス106の移動が可能である第2状態から、撮像デバイス106の移動が可能ではない第1状態へと変化した場合、医療用観察装置100は、第2状態から第1状態へと変化した後に撮像された医療用撮像画像を、表示画面に表示させる。つまり、医療用観察装置100は、第2状態から第1状態への遷移をトリガとして、表示画面に表示される画像を、医療用静止画像から、撮像デバイス106により撮像されているリアルタイムな医療用撮像画像へと切り替える。
【0161】
上述したように、医療用観察装置100は、動作モード変更スイッチ128に対する操作などの所定の切替操作の検出結果に基づいて移動に関する状態を特定する。つまり、医療用観察装置100は、術者などの医療用観察装置100の使用者による意図的な操作をトリガとして、表示画面に表示される画像を、医療用静止画像からリアルタイムな医療用撮像画像へと切り替える。
【0162】
ここで、医療用静止画像からリアルタイムな医療用撮像画像へと切り替えられるとき、移動に関する状態は、撮像デバイス106の移動が可能ではない第1状態である。そのため、医療用静止画像からリアルタイムな医療用撮像画像へと切り替えられたときには、撮像デバイス106の移動に伴い生じうる上記のような事態は、発生しない。つまり、上記のような事態が発生することに起因する利便性の低下はない。
【0163】
(2)制御方法に係る処理の第2の例
撮像デバイス106の移動に関する状態が、撮像デバイス106の移動が可能ではない第1状態から、撮像デバイス106の移動が可能である第2状態へと変化した場合、医療用観察装置100は、医療用静止画像として、第1状態から第2状態へと変化するときに拡大率を下げて撮像された医療用撮像画像の静止画像を、表示画面に表示させる。
【0164】
また、拡大率を下げて撮像された医療用撮像画像の静止画像を、医療用静止画像として表示させるとき、医療用観察装置100は、“拡大率を下げる前に撮像されていた撮像範囲を示すオブジェクト”を、表示させる。
【0165】
第1状態から第2状態へと変化するときに拡大率を下げて撮像された医療用撮像画像の静止画像としては、例えば下記に示す例が、挙げられる。
・所定の切替操作が検出された時点に拡大率を下げて撮像デバイス106により撮像された静止画像
・所定の切替操作が検出された時点に拡大率を下げて撮像デバイス106により撮像された動画像を構成するフレーム画像
・所定の切替操作が検出された後であって、撮像デバイス106の移動が検出される前に、撮像デバイス106により拡大率を下げて撮像された静止画像
・所定の切替操作が検出された後であって、撮像デバイス106の移動が検出される前に、撮像デバイス106により拡大率を下げて撮像された動画像を構成するフレーム画像
【0166】
撮像デバイス106により拡大率を下げて撮像される医療用撮像画像の静止画像としては、例えば、“撮像デバイス106を構成する光学系120aが調整されて撮像された医療用撮像画像の静止画像”が挙げられる。また、撮像デバイス106を構成する撮像部材120が、上述したサブカメラとして機能する撮像デバイスを有する場合、撮像デバイス106により拡大率を下げて撮像される医療用撮像画像の静止画像は、当該サブカメラにより撮像された医療用撮像画像の静止画像であってもよい。
【0167】
図7は、本実施形態に係る制御方法に係る処理の第2の例を説明するための説明図であり、制御方法に係る処理の第2の例に係る医療用静止画像の一例を示している。
【0168】
例えば図7に示すように、医療用観察装置100は、拡大率を下げる前に撮像されていた撮像範囲を示すオブジェクトRを、医療用静止画像上に表示させる。
【0169】
撮像デバイス106が水平方向に移動した場合、医療用観察装置100は、撮像デバイス106の水平方向の移動に対応してオブジェクトRの表示位置を変える。医療用観察装置100は、オブジェクトRが表示画面内において撮像デバイス106の水平方向の移動に対応して上下左右方向に動いたように見えるように、オブジェクトRの表示位置を変える。
【0170】
撮像デバイス106が垂直方向に移動した場合、医療用観察装置100は、上記第1の例に係る制御方法に係る処理と同様に、撮像デバイスの垂直方向の移動に対応して医療用静止画像をぼかす。また、撮像デバイス106が垂直方向に移動した場合、医療用観察装置100は、上記第1の例に係る制御方法に係る処理と同様に、通知画像を表示画面にさらに表示させてもよい。
【0171】
例えば図7に示すように、医療用観察装置100は、撮像デバイス106の移動に関する状態が第1状態から第2状態へと変化した場合、拡大率を下げて撮像された医療用撮像画像の静止画像を、拡大率を下げる前に撮像されていた撮像範囲を示すオブジェクトと共に、表示画面に表示させる。また、医療用観察装置100は、上記撮像範囲を示すオブジェクトの表示位置を、撮像デバイス106の水平方向の移動に対応して変える。
【0172】
医療用静止画像は静止画像であり、拡大率を下げる前に撮像されていた撮像範囲を示すオブジェクトの表示位置は、撮像デバイス106の移動に対応するように変えられる。よって、使用者などの表示画面の表示を見る者は、医療用静止画像の揺れ(画揺れ)を感じる可能性が低減された状態で、撮像デバイス106の移動を視覚的に認識することができる。
【0173】
よって、医療用観察装置100は、撮像デバイス106の移動に伴い生じうる上記のような事態の発生を防止することができるので、医療用観察装置100を用いる使用者の利便性の向上を図ることができる。
【0174】
なお、第2の例に係る制御方法に係る処理は、上記に示す例に限られない。
【0175】
例えば、撮像デバイス106の移動に関する状態が、撮像デバイス106の移動が可能である第2状態から、撮像デバイス106の移動が可能ではない第1状態へと変化した場合、医療用観察装置100は、第1の例に係る制御方法に係る処理と同様に、第2状態から第1状態へと変化した後に撮像された医療用撮像画像を、表示画面に表示させてもよい。
【0176】
(3)制御方法に係る処理の第3の例
撮像デバイス106の移動に関する状態が、撮像デバイス106の移動が可能ではない第1状態から、撮像デバイス106の移動が可能である第2状態へと変化した場合に、医療用観察装置100が表示させる医療用静止画像は、第1の制御方法に係る処理における医療用静止画像、および第2の制御方法に係る処理における医療用静止画像に限られない。
【0177】
例えば第1の制御方法に係る処理が行われる場合、図6に示すように画が存在しない領域を含む医療用静止画像が表示画面に表示される。これに対して、第3の制御方法に係る処理を行う医療用観察装置100は、図6に示すような画が存在しない領域を、図7に示すような拡大率を下げて撮像された医療用撮像画像に基づき補間する。つまり、第3の制御方法に係る処理が行われる場合、図6に示すような画が存在しない領域を含まない医療用静止画像が、表示画面に表示されることとなる。
【0178】
図8は、本実施形態に係る制御方法に係る処理の第3の例を説明するための説明図であり、撮像デバイス106の水平方向の移動に対応して変更される医療用静止画像の表示の一例を示している。図8のAは、“撮像デバイス106が水平方向に移動する前に表示画面に表示されている医療用静止画像の一例”を示している。図8のB、図8のCそれぞれは、“撮像デバイス106が水平方向に移動した後に表示画面に表示される医療用静止画像の一例”を示している。
【0179】
例えば、撮像デバイス106が、図8のAに示す点P1に対応する位置から図8のAに示す点P2に対応する位置へと移動した場合、医療用観察装置100は、表示画面内において医療用静止画像が右方向に動いたように見えるように、医療用静止画像の表示を変える(図8のB)。
【0180】
撮像デバイス106が水平方向に移動した場合、医療用観察装置100は、第1の制御方法に係る処理と同様に、“医療用静止画像における表示画面に表示させる領域”の位置を変えることによって、医療用静止画像が右方向に動いたように見えるように、医療用静止画像の表示を変える。ここで、“医療用静止画像における表示画面に表示させる領域”の位置を変えた場合、図6のBに示すように画が存在しない領域を含んでしまう。
【0181】
そこで、医療用観察装置100は、拡大率を下げて撮像された医療用撮像画像に基づいて、画が存在しない領域部分を補間する。補間に用いられる拡大率を下げて撮像された医療用撮像画像は、例えば第2の制御方法に係る処理と同様に取得される。医療用観察装置100は、拡大率を下げて撮像された医療用撮像画像から、医療用静止画像における画が存在しない領域に対応する領域を、特定する。医療用観察装置100は、例えば、特徴点を検出してマッチングするなどの任意の画像マッチング処理によって、上記医療用静止画像における画が存在しない領域に対応する領域を、特定する。そして、医療用観察装置100は、特定された領域部分を電子ズームにより拡大し、拡大された画像により上記画が存在しない領域部分を補間する。なお、画が存在しない領域部分を補間する処理の例が、上記に示す例に限られないことは、言うまでもない。
【0182】
また、例えば、撮像デバイス106が、図8のAに示す点P1に対応する位置から図8のAに示す点P3に対応する位置へと移動した場合、医療用観察装置100は、表示画面内において医療用静止画像が下方向に動いたように見えるように、医療用静止画像の表示を変える(図8のC)。医療用観察装置100は、上記“医療用静止画像が右方向に動いたように見えるように医療用静止画像の表示を変える例”と同様の処理を行う。
【0183】
第3の制御方法に係る処理が行われることによって、例えば、図8のBに示す領域R1、および図8のCに示す領域R2に示すように画が存在しない領域部分が補間され、その結果、画が存在しない領域を含まない医療用静止画像が、表示画面に表示される。
【0184】
撮像デバイス106が垂直方向に移動した場合、医療用観察装置100は、上記第1の例に係る制御方法に係る処理と同様に、撮像デバイスの垂直方向の移動に対応して医療用静止画像をぼかす。また、撮像デバイス106が垂直方向に移動した場合、医療用観察装置100は、上記第1の例に係る制御方法に係る処理と同様に、通知画像を表示画面にさらに表示させてもよい。
【0185】
第3の制御方法に係る処理は、画が存在しない領域部分の補間を行うことを除き、基本的に上記第1の制御方法に係る処理と同様である。よって、第3の制御方法に係る処理を行う医療用観察装置100では、上記第1の制御方法に係る処理を行う医療用観察装置100と同様に、医療用観察装置100を用いる使用者の利便性の向上を図ることができる。
【0186】
なお、第3の例に係る制御方法に係る処理は、上記に示す例に限られない。
【0187】
例えば、撮像デバイス106の移動に関する状態が、撮像デバイス106の移動が可能である第2状態から、撮像デバイス106の移動が可能ではない第1状態へと変化した場合、医療用観察装置100は、第1の例に係る制御方法に係る処理と同様に、第2状態から第1状態へと変化した後に撮像された医療用撮像画像を、表示画面に表示させてもよい。
【0188】
[2-3]本実施形態に係る制御方法に係る処理の具体例
図9は、本実施形態に係る制御方法に係る処理の一例を示す流れ図である。
【0189】
医療用観察装置100は、医療用撮像画像(動画像)を表示画面に表示させる(S100)。ステップS100において表示画面に表示される医療用撮像画像は、撮像デバイス106により撮像されているリアルタイムな医療用撮像画像である。
【0190】
医療用観察装置100は、アーム104の動作モードがフリーモードに移行したか否かを判定する(S102)。医療用観察装置100は、例えば、動作モード変更スイッチ128に対する操作に基づいて、フリーモードに移行したか否かを判定する。ステップS102の処理は、撮像デバイス106の移動が可能ではない第1状態から、撮像デバイス106の移動が可能である第2状態へと変化したか否かを判定する処理に該当する。
【0191】
ステップS102においてフリーモードに移行したと判定されない場合、医療用観察装置100は、ステップS100からの処理を繰り返す。
【0192】
また、ステップS102においてフリーモードに移行したと判定された場合、医療用観察装置100は、医療用静止画像を表示画面に表示させる(S104)。そして、医療用観察装置100は、撮像デバイス106の移動に対応するように、医療用静止画像の表示を変える(S106)。医療用観察装置100は、上述した(1)に示す第1の例に係る処理~上述した(3)に示す第3の例に係る処理のいずれかによって、医療用静止画像の表示を変える。
【0193】
医療用観察装置100は、アーム104の動作モードが固定モードに移行したか否かを判定する(S108)。医療用観察装置100は、例えば、動作モード変更スイッチ128に対する操作に基づいて、固定モードに移行したか否かを判定する。ステップS108の処理は、撮像デバイス106の移動が可能である第2状態から、撮像デバイス106の移動が可能ではない第1状態へと変化したか否かを判定する処理に該当する。
【0194】
ステップS108において固定モードに移行したと判定されない場合、医療用観察装置100は、ステップS106からの処理を繰り返す。また、ステップS108において固定モードに移行したと判定された場合、医療用観察装置100は、ステップS100からの処理を繰り返す。
【0195】
医療用観察装置100は、本実施形態に係る制御方法に係る処理として、例えば図9に示す処理を行う。なお、本実施形態に係る制御方法に係る処理の例が、図9に示す例に限られないことは、言うまでもない。
【0196】
[3]本実施形態に係る制御方法が用いられることにより奏される効果の一例
本実施形態に係る制御方法が用いられることによって、例えば下記に示す効果が奏される。なお、本実施形態に係る制御方法が用いられることにより奏される効果が、下記に示す例に限られないことは、言うまでもない。
・医療用観察装置100は、動作モード変更スイッチ128に対するフリーモードへと移行させる操作のような、アーム104のブレーキを解除する操作の検出すると、表示装置200の表示画面に表示される医療用撮像画像を、動画像から静止画像へと切り替える。また、医療用観察装置100は、撮像デバイス106を支持するアーム104の動きに基づいて、表示させている静止画像の表示を変える。ここで、アーム104は、撮像デバイス106を支持しているので、アーム104の動きに基づき静止画像の表示を変えることは、撮像デバイス106の移動に対応して静止画像の表示を変えることに該当する。よって、医療用観察装置100の使用者などの表示画面の表示を見る者は、表示画面に表示されている医療用撮像画像の揺れ(画揺れ)を感じる可能性が低減された状態で、撮像デバイス106の移動を視覚的に認識することができる。
・“表示画面に表示されている医療用撮像画像の揺れ(画揺れ)を感じる可能性が低減された状態で、撮像デバイス106の移動が視覚的に認識されること”によって、医療用観察装置100の使用者は、撮像デバイス106が高倍率で撮像を行っている場合であっても、“表示画面に表示される医療用撮像画像を見ながら、所望の撮像範囲が撮像されるように撮像デバイス106を移動させること”ができる。
・“表示画面に表示されている医療用撮像画像の揺れ(画揺れ)を感じる可能性が低減された状態で、撮像デバイス106の移動が視覚的に認識されること”によって、医療用観察装置100の使用者が感じる可能性がある医療用撮像画像の揺れによる酔いを、低減することができる。
【0197】
(本実施形態に係るプログラム)
コンピュータシステムを、本実施形態に係る医療用観察装置(または、本実施形態に係る制御装置)として機能させるためのプログラム(例えば、本実施形態に係る制御方法に係る処理を実行することが可能なプログラム)が、コンピュータシステムにおいてプロセッサなどにより実行されることによって、医療用観察装置を用いる使用者の利便性の向上を図ることができる。ここで、本実施形態に係るコンピュータシステムとしては、単体のコンピュータ、または、複数のコンピュータが挙げられる。本実施形態に係るコンピュータシステムによって、本実施形態に係る制御方法に係る一連の処理が行われる。
【0198】
また、コンピュータシステムを、本実施形態に係る医療用観察装置(または、本実施形態に係る制御装置)として機能させるためのプログラムが、コンピュータシステムにおいてプロセッサなどにより実行されることによって、上述した本実施形態に係る制御方法に係る処理によって実現される表示によって奏される効果を、奏することができる。
【0199】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0200】
例えば、上記では、コンピュータシステムを、本実施形態に係る医療用観察装置として機能させるためのプログラム(コンピュータプログラム)が提供されることを示したが、本実施形態は、さらに、上記プログラムを記憶させた記録媒体も、併せて提供することができる。
【0201】
上述した構成は、本実施形態の一例を示すものであり、当然に、本開示の技術的範囲に属するものである。
【0202】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0203】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
撮像デバイスの移動に関する状態に基づいて、前記撮像デバイスにより撮像される医療用撮像画像の表示を制御する表示制御部を備え、
前記表示制御部は、
前記撮像デバイスの移動に関する状態が、前記撮像デバイスの移動が可能ではない第1状態の場合、前記医療用撮像画像を表示画面に表示させ、
前記撮像デバイスの移動に関する状態が、前記撮像デバイスの移動が可能である第2状態の場合、医療用静止画像を前記表示画面に表示させ、前記撮像デバイスの移動に応じて前記表示画面の表示を変更する、医療用制御装置。
(2)
前記表示制御部は、前記医療用静止画像が前記表示画面内において前記撮像デバイスの水平方向の移動に対応する方向に動いたように見えるように、前記医療用静止画像の表示を変える、(1)に記載の医療用制御装置。
(3)
前記表示制御部は、前記撮像デバイスの水平方向の移動に対応して、前記医療用静止画像における表示画面に表示させる領域の位置を変える、(1)または(2)に記載の医療用制御装置。
(4)
前記表示制御部は、前記撮像デバイスの垂直方向の移動に対応して、前記医療用静止画像をぼかす、(1)~(3)のいずれか1つに記載の医療用制御装置。
(5)
前記表示制御部は、前記撮像デバイスの垂直方向の移動に対応して、前記垂直方向の移動を示す通知画像を表示画面にさらに表示させる、(1)~(4)のいずれか1つに記載の医療用制御装置。
(6)
前記医療用静止画像は、前記第1状態から前記第2状態へと変化するときに撮像された医療用撮像画像の静止画像である、(1)~(5)のいずれか1つに記載の医療用制御装置。
(7)
前記医療用静止画像は、前記第1状態から前記第2状態へと変化するときに拡大率を下げて撮像された医療用撮像画像の静止画像であり、
前記表示制御部は、拡大率を下げる前に撮像されていた撮像範囲を示すオブジェクトを、前記医療用静止画像に表示させる、(1)に記載の医療用制御装置。
(8)
前記表示制御部は、前記撮像デバイスの水平方向の移動に対応して前記オブジェクトの表示位置を変える、(7)に記載の医療用制御装置。
(9)
前記第2状態から前記第1状態へと変化した場合、前記表示制御部は、前記第2状態から前記第1状態へと変化した後に撮像された医療用撮像画像を、表示画面に表示させる、(1)~(8)のいずれか1つに記載の医療用制御装置。
(10)
前記表示制御部は、前記第1状態と前記第2状態とを切り替える所定の切替操作の検出結果に基づいて、前記移動に関する状態を特定する、(1)~(9)のいずれか1つに記載の医療用制御装置。
(11)
前記撮像デバイスは、複数のリンクが関節部によって互いに連結され、所定の回転軸で回転可能に構成されるアームにより支持され、
前記表示制御部は、前記所定の回転軸における回転角度の変化に基づいて、前記撮像デバイスの移動を特定する、(1)~(10)のいずれか1つに記載の医療用制御装置。
(12)
複数のリンクが関節部によって互いに連結されて構成されるアームと、
前記アームにより支持されている前記撮像デバイスと、
を備える、(1)~(11)のいずれか1つに記載の医療用制御装置。
(13)
複数のリンクが関節部によって互いに連結されて構成されるアームと、
前記アームにより支持されている撮像デバイスと、
前記撮像デバイスの移動に関する状態に基づいて、前記撮像デバイスにより撮像される医療用撮像画像の表示を制御する表示制御部と、
を備え、
前記表示制御部は、
前記撮像デバイスの移動に関する状態が、前記撮像デバイスの移動が可能ではない第1状態の場合、前記医療用撮像画像を表示画面に表示させ、
前記撮像デバイスの移動に関する状態が、前記撮像デバイスの移動が可能である第2状態の場合、医療用静止画像を前記表示画面に表示させ、前記撮像デバイスの移動に応じて前記表示画面の表示を変更する、医療用観察装置。
(14)
撮像デバイスの移動に関する状態に基づいて、前記撮像デバイスにより撮像される医療用撮像画像の表示を制御するステップを有し、
前記制御するステップでは、
前記撮像デバイスの移動に関する状態が、前記撮像デバイスの移動が可能ではない第1状態の場合、前記医療用撮像画像を表示画面に表示させ、
前記撮像デバイスの移動に関する状態が、前記撮像デバイスの移動が可能である第2状態の場合、医療用静止画像を前記表示画面に表示させ、前記撮像デバイスの移動に応じて前記表示画面の表示を変更する、医療用制御装置により実行される制御方法。
【符号の説明】
【0204】
100 医療用観察装置
102 ベース
104 アーム
106 撮像デバイス
110a、110b、110c、110d、110e、110f 関節部
112a、112b、112c、112d、112e、112f リンク
120 撮像部材
122 筒状部材
124 ズームスイッチ
126 フォーカススイッチ
128 動作モード変更スイッチ
152 アーム部
154 撮像部
156 通信部
158 制御部
160 撮像制御部
162 アーム制御部
164 表示制御部
200 表示装置
1000 医療用観察システム
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図9