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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-22
(45)【発行日】2022-08-01
(54)【発明の名称】重合性樹脂組成物及びその硬化物
(51)【国際特許分類】
   C08F 290/06 20060101AFI20220725BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20220725BHJP
【FI】
C08F290/06
H01B7/00 301
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018083181
(22)【出願日】2018-04-24
(65)【公開番号】P2019011458
(43)【公開日】2019-01-24
【審査請求日】2020-12-23
(31)【優先権主張番号】P 2017129205
(32)【優先日】2017-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003506
【氏名又は名称】第一工業製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【弁理士】
【氏名又は名称】前澤 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100203091
【弁理士】
【氏名又は名称】水鳥 正裕
(72)【発明者】
【氏名】高村 直宏
【審査官】工藤 友紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-274131(JP,A)
【文献】特開平04-298582(JP,A)
【文献】国際公開第2014/128991(WO,A1)
【文献】特開平08-134376(JP,A)
【文献】特開2003-238643(JP,A)
【文献】特開2015-028156(JP,A)
【文献】特表平09-504561(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00- 18/87
C08F 290/00-290/14
C08L 51/00- 51/10
C08L 75/00- 75/16
H01B 7/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸基を有するアクリレート及び水酸基を有するメタクリレートの少なくとも一方と、共役ジエン系ポリマーポリオール及びその水素添加物の少なくとも一方と、脂環族ポリイソシアネートとの反応によって得られた化合物、及び、
希釈剤としてのアクリレート及びメタクリレートの少なくとも一方、
を含み、
前記化合物に含まれるイソシアネート基、アクリロイル基及びメタクリロイル基の合計量に対するアクリロイル基及びメタクリロイル基の量が、12.5~50モル%である、重合性樹脂組成物。
【請求項2】
水酸基を有するアクリレート及び水酸基を有するメタクリレートの少なくとも一方と、共役ジエン系ポリマーポリオール及びその水素添加物の少なくとも一方と、ポリイソシアネートとの反応によって得られた化合物、及び、
非環式アクリルアミド及び非環式メタクリルアミドの少なくとも一方
を含み、
前記化合物に含まれるイソシアネート基、アクリロイル基及びメタクリロイル基の合計量に対するアクリロイル基及びメタクリロイル基の量が、12.5~50モル%である、重合性樹脂組成物。
【請求項3】
水酸基を有するアクリレート及び水酸基を有するメタクリレートの少なくとも一方と、共役ジエン系ポリマーポリオール及びその水素添加物の少なくとも一方と、ポリイソシアネートとの反応によって得られた化合物を含み、
前記化合物に含まれるイソシアネート基、アクリロイル基及びメタクリロイル基の合計量に対するアクリロイル基及びメタクリロイル基の量が、12.5~50モル%であり、
金属の被覆に用いられる重合性樹脂組成物。
【請求項4】
電線と該電線の端部に接続された接続端子とを備えたワイヤーハーネスにおける前記電線と前記接続端子との接続部分の被覆に用いられる、請求項に記載の重合性樹脂組成物。
【請求項5】
水酸基を有するアクリレート及び水酸基を有するメタクリレートの少なくとも一方と、共役ジエン系ポリマーポリオール及びその水素添加物の少なくとも一方と、ポリイソシアネートとの反応によって得られた化合物を含み、
前記化合物に含まれるイソシアネート基、アクリロイル基及びメタクリロイル基の合計量に対するアクリロイル基及びメタクリロイル基の量が、12.5~50モル%であり、
回路基板の被覆保護に用いられる重合性樹脂組成物。
【請求項6】
活性エネルギー線、加熱、及び、空気中の水の少なくとも1つによって重合して硬化させることが可能な、請求項1~のいずれかに記載の重合性樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1~のいずれかに記載の重合性樹脂組成物が重合して硬化した、硬化物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合性樹脂組成物及びその硬化物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば電気配線や回路基板などにおいて、防湿絶縁、防錆、ガスや異物からの保護などを目的として、それらの表面を被覆する重合性樹脂組成物が用いられている。かかる重合性樹脂組成物においては、金属に対する優れた密着性とともに、加熱及び加湿条件下での硬化物の電気絶縁性、すなわち耐湿熱性が求められる。
【0003】
例えば、自動車等の車両に配索される被覆電線の端末の電線には端子金具が接続されている。車両の燃費向上のために軽量化が進められており、この軽量化を図るべく、電線の材料にアルミニウムやアルミニウム合金が採用されている。かかる被覆電線では、電線の端末と端子金具との接続部分を光硬化性樹脂組成物(重合性樹脂組成物)で被覆することによって、該接続部分の防錆が図られている(特許文献1~3参照)。
【0004】
しかし、特許文献1~3の技術では、重合性樹脂組成物が重合した硬化物の上記金属製の接続部分に対する密着性が十分とはいい難く、耐湿熱性も十分とはいい難い。また、特許文献2の技術では、密着性を向上させるために、重合性樹脂組成物と接続部分との間にカップリング剤を介在させる必要があり、この点からも、重合性樹脂組成物自体の密着性が十分とはいい難い。
【0005】
一方、従来、冷蔵庫や洗濯機などの家庭用電化製品や、電気給湯器、家庭用燃料電池など制御用の電子回路を多数搭載した製品が存在している。これらの製品に搭載されている回路基板は、防湿絶縁、ホコリ等の異物付着の防止、振動や熱に対する保護を目的として、硬化性樹脂による封止が行われている。それらの樹脂としては、2液硬化のウレタン樹脂やエポキシ樹脂、シリコン樹脂、もしくはそれらの溶剤希釈品が使用されており、加熱乾燥や、硬化剤を用いた架橋反応を伴うことから、長い養生時間を必要とし、生産性の向上に課題があった。
【0006】
そこで、従来の2液硬化のウレタン樹脂やエポキシ樹脂、シリコン樹脂を用いた厚膜のポッテイングを代替する方法として、コンフォーマルコーティングと称させる薄膜絶縁被覆による加工が行われている。この工法は、封止性能は従来のポッテイング等には劣るものの、注液するためのケースが不要であり、また、樹脂厚みが数cm度のポッテイングに対して厚み100μm程度と樹脂の使用量が少なく、装置全体の軽量化が可能であることから、広まりつつある。現在、コンフォーマルコーティングに用いられる樹脂に関する発明も盛んに行われており(特許文献4~6参照)、各種ポリオール成分とイソシアネートを反応させ、末端を水酸基含有アクリレート化合物でキャッピングしたウレタンアクリレート樹脂組成物を用いた光硬化性の樹脂組成物が開発されている。しかしながら、これら従来の重合性樹脂組成物は、金属と樹脂の複合体である回路基板に対する密着性が十分とはいい難く、耐湿熱性についても十分とはいい難いものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2014-116195号公報
【文献】特開2015-151617号公報
【文献】特開2015-106516号公報
【文献】特開2014-201593号公報
【文献】特開2017-125120号公報
【文献】特開2011-032405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の実施形態は、硬化物が金属に対して優れた密着性を有し、耐湿熱性にも優れることを可能とする重合性樹脂組成物及びその硬化物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態に係る重合性樹脂組成物は、水酸基を有するアクリレート及び水酸基を有するメタクリレートの少なくとも一方と、共役ジエン系ポリマーポリオール及びその水素添加物の少なくとも一方と、ポリイソシアネートとの反応によって得られた化合物を含み、前記化合物に含まれるイソシアネート基、アクリロイル基及びメタクリロイル基の合計量に対するアクリロイル基及びメタクリロイル基の量が、12.5~50モル%である。
【0010】
本発明の実施形態に係る硬化物は、前記重合性樹脂組成物が重合して硬化したものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施形態によれば、硬化物が金属に対して優れた密着性を有し、しかも、耐湿熱性にも優れることを可能とする重合性樹脂組成物及びその硬化物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る重合性樹脂組成物及びその硬化物について詳細に説明する。
【0013】
本実施形態の重合性樹脂組成物は、水酸基を有するアクリレート及び水酸基を有するメタクリレートの少なくとも一方と、共役ジエン系ポリマーポリオール及びその水素添加物の少なくとも一方と、ポリイソシアネートとの反応によって得られた化合物を含み、前記化合物に含まれるイソシアネート基、アクリロイル基及びメタクリロイル基の合計量に対するアクリロイル基及びメタクリロイル基の量が、12.5~50モル%である。
【0014】
以下、「水酸基を有するアクリレート及び水酸基を有するメタクリレートの少なくとも一方」を、「水酸基を有するアクリレート等」という場合がある。
「共役ジエン系ポリマーポリオール及びその水素添加物の少なくとも一方」を、「共役ジエン系ポリマーポリオール等」という場合がある。
「アクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくともいずれか」を、以下、「(メタ)アクリロイル基」という場合がある。
また、上記反応によって得られた化合物を、「ウレタンアクリレート化合物」という場合がある。
【0015】
本実施形態の重合性樹脂組成物に含まれる上記化合物は、例えば、共役ジエン系ポリマーポリオール及びその水素添加物の少なくとも一方と、ポリイソシアネートとがウレタン結合で重合されてなる、両末端にイソシアネート基を有するウレタン化合物の、両末端のイソシアネート基のうちの一方に、水酸基を有するアクリレート及び水酸基を有するメタクリレートの少なくとも一方を反応させて(メタ)アクリロイル基が導入されている、ウレタンアクリレート化合物である。
【0016】
共役ジエン系ポリマーポリオール及びその水素添加物の少なくとも一方と、ポリイソシアネートとに起因して、上記ウレタンアクリレート化合物は、ウレタン結合を有する。
前記水酸基を有するアクリレート及び水酸基を有するメタクリレートの少なくとも一方に起因して、上記化合物は、一方の末端に(メタ)アクロイル基を有する。
前記ポリイソシアネートに起因して、上記ウレタンアクリレート化合物は、他方の末端にイソシアネート基を有する。
【0017】
一実施形態に係るウレタンアクリレート化合物は、(メタ)アクリロイル基及び/又はイソシアネート基を両末端に有し、該両末端間に共役ジエン系ポリマーポリオール等に起因する基を有するとともに、該共役ジエン系ポリマーポリオール等に起因する基の両端にウレタン結合を介してポリイソシアネートに起因する基を有するものである。
前記ウレタンアクリレート化合物の両末端に存在する前記(メタ)アクリロイル基及び/又はイソシアネート基について、イソシアネート基は、前記ポリイソシアネートに起因する基が持つイソシアネート基であり、(メタ)アクリロイル基は、前記ポリイソシアネートに起因する基に対してウレタン結合を介して結合された水酸基を有するアクリレート等が持つ(メタ)アクリロイル基である。
そして、両末端のイソシアネート基及び(メタ)アクリロイル基の合計量に対するイソシアネート基の量が50~87.5モル%、かつ(メタ)アクリロイル基の量が12.5~50モル%であることを満足する。
上記ウレタンアクリレート化合物は、一方の末端にイソシアネート基を有しかつ他方の末端に(メタ)アクリロイル基を有するものからなるが、これとともに、両末端にイソシアネート基を有するもの、及び/又は、両末端に(メタ)アクリロイル基を有するものを含んでもよい。
【0018】
前記水酸基を有するアクリレート及び水酸基を有するメタクリレートの少なくとも一方は、上記化合物の末端に、(メタ)アクロイル基を導入するための出発物質である。この水酸基を有するアクリレート等は、分子内に水酸基を1つ有していてもよい。
【0019】
前記水酸基を有するアクリレートとしては、アクリル酸の誘導体が挙げられる。アクリル酸の誘導体としては、例えば、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレートなどのヒドロキシアルキルアクリレート、および、そのカプロラクトン付加体や、そのアルキレンオキサイド付加体等が挙げられる。
前記水酸基を有するメタクリレートとしては、メタクリル酸の誘導体が挙げられる。メタクリル酸の誘導体としては、例えば、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレートなどのヒドロキシアルキルメタクリレート、および、そのカプロラクトン付加体や、そのアルキレンオキサイド付加体等が挙げられる。
以下、アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも一方を、「(メタ)アクリル酸」という場合がある。また、アクリレート及びメタクリレートの少なくとも一方を、「(メタ)アクリレート」という場合がある。
【0020】
アクリロイル基は、CH=CHCO-で表わされる基である。
メタクリロイル基は、CH=CCHCO-で表わされる基である。
【0021】
かかる(メタ)アクリロイル基は、二重結合を有しているため、この二重結合に起因して、紫外線(UV)、電子線、マイクロ波といった活性エネルギー線が照射されることによって、互いに重合し得る。この他、活性エネルギー線の照射の他、熱重合開始剤を用いた熱重合、湿気硬化剤を用いた湿気重合、酸素遮断下での嫌気重合等によっても、(メタ)アクリロイル基を互いに重合し得る。
【0022】
前記共役ジエン系ポリマーポリオール及びその水素添加物の少なくとも一方は、ポリイソシアネートと反応して、ウレタン結合を生成し、これによって上記ウレタンアクリレート化合物内にウレタン結合を導入し得るものである。該ポリオールとしては、2つの水酸基を有するジオール、即ち、両末端に水酸基を持つ共役ジエン系ポリマー及びその水素添加物が挙げられる。
【0023】
共役ジエン系ポリマーポリオールとしては、例えば、両末端が水酸化された末端水酸化ポリブタジエン、両末端が水酸化された末端水酸化ポリイソプレンなどが挙げられる。
共役ジエン系ポリマーポリオールの水素添加物としては、前記末端水酸化ポリブタジエンを水添したものである末端水酸化水添ポリブタジエン、前記末端水酸化ポリイソプレンを水添したものである末端水酸化水添ポリイソプレンなどが挙げられる。
【0024】
共役ジエン系ポリマーポリオール等は、ジエン系モノマー基、または、その水素化物基(以下、これらを「ジエン系モノマー基等」という場合がある。)を有している。かかるジエン系モノマー基、または、その水素化物基としては、例えば、下記一般式(1)、(2)で表わされる基の少なくとも一方が挙げられる。
【0025】
【化1】
ここで、Rは、CH=CH、または、CHCHであり、Rは、CH=CH、または、CHCHである。
上記一般式(1)において、xは、1~100の整数が好ましい。
上記一般式(2)において、yは、1~100の整数が好ましい。
【0026】
上記共役ジエン系ポリマーポリオール等の分子内のジエン系モノマー基等の量は、特に限定されず、適宜設定し得る。例えば、かかる量は、共役ジエン系ポリマーポリオール等を構成する全モノマーを100モル%として、10~100モル%でもよく、50~100モル%でもよく、80~100モル%でもよい。
なお、上記共役ジエン系ポリマーポリオール等は、これら以外の基を有していてもよい。
【0027】
上記一般式(1)、(2)で例示される基を有する共役ジエン系ポリマーポリオール等は、ポリテトラメチレングリコールやポリエチレングリコールといったジオール化合物よりも、親水性が低い。よって、このように親水性が低い分、共役ジエン系ポリマーポリオール等に起因する基が上記ウレタンアクリレート化合物に導入されることによって、重合性樹脂組成物及びこれを重合して得られた硬化物が耐水性に優れるものとなる。
【0028】
共役ジエン系ポリマーポリオール等は、分子量が大きいほどウレタンアクリレート化合物内に含まれるウレタン結合の密度が下がることで、重合性樹脂組成物を低粘度化することができる。そのため、例えば、低粘度の重合性樹脂組成物を得たい場合には、共役ジエン系ポリマーポリオール等の数平均分子量Mnを2000~5000としてもよい。
一方、高粘度の重合性樹脂組成物を得たい場合には、例えば、共役ジエン系ポリマーポリオール等の数平均分子量Mnを800~1800としてもよい。
【0029】
ここで、数平均分子量Mnの測定は、示差屈折率検出器として島津製作所RID-6Aを使用し、テトラヒドロフランを溶剤としたGPC測定にて実施することができる。
【0030】
前記ポリイソシアネートは、上記ウレタンアクリレート化合物内にウレタン結合を導入し、且つ、上記ウレタンアクリレート化合物の末端にイソシアネート基を導入するための出発物質である。
【0031】
かかるポリイソシアネートとしては、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートを挙げることができる。これらのうち、脂環族ポリイソシアネートが好ましい。
【0032】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネート、3-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネート等を挙げることができる。
【0033】
脂環族ポリイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添キシリレンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。
【0034】
芳香族ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’-ジベンジルジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0035】
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、α,α,α,α-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0036】
また、ポリイソシアネートとしては、これらの有機イソシアネートの2量体、3量体やビューレット化イソシアネート等の変性体を挙げることができる。尚、これらは、単独で又は2種以上を併用して用いることもできる。
【0037】
前記イソシアネート基は、NCOで表わされるものである。かかるイソシアネート基は、活性水素基と反応してウレタン結合を形成することによって互いに重合し得る。本実施形態では、イソシアネート基は、空気中の水を介して互いに重合し得る。硬化物中にイソシアネート基が残存することによって、金属などの基材と高い密着性を発現し得る。
【0038】
本実施形態においては、例えば、重合性樹脂組成物が硬化する際には、上記ウレタンアクリレート化合物内の一方の末端の(メタ)アクリロイル基同士が重合し得るのに加えて、他方の末端のイソネアネート基同士が空気中の水を介して重合し得る。このとき、イソシアネート基が(メタ)アクリロイル基と同じかそれよりも多い方が、得られる硬化物の金属に対する密着性がより優れる傾向にある。
【0039】
従って、例えばかかる観点を考慮して(メタ)アクリロイル基及びイソシアネート基の量の比を適宜設定し得る。
例えば、上記ウレタンアクリレート化合物の分子内の(メタ)アクリロイル基とイソシアネート基との合計量(100モル%)に対する(メタ)アクリロイル基の量は、12.5~50モル%であり、25~50モル%であることがより好ましい。上記比率が12.5~50モル%であることによって、金属に対する密着性が一層優れたものとなる。
なお、上記ウレタンアクリレート化合物の分子内の(メタ)アクリロイル基とイソシアネート基との合計量に対するイソシアネート基の量は、50~87.5モル%であり、50~75モル%であることがより好ましい。
【0040】
上記ウレタンアクリレート化合物は、例えば、上記で例示される共役ジエン系ポリオール等と、上記で例示されるポリイソシアネートと、上記で例示される水酸基を有するアクリレート等とを出発物質とし、これらを反応させることによって得られる。
【0041】
より具体的には、例えば、上記で例示される共役ジエン系ポリオール等と、上記で例示されるポリイソシアネートとを、希釈剤及び重合禁止剤の存在下で反応させて(第1段階の反応)、両末端にイソシアネート基を有する中間体としてのウレタン化合物を生成し、該中間体に上記で例示される水酸基を有するアクリレート等を反応させることによって(第2段階の反応)、上記ウレタンアクリレート化合物を得ることができる。すなわち、上記共役ジエン系ポリオール等の水酸基(活性水素基)とポリイソシアネートのイソシアネート基とをウレタン結合で連結することによって、この連結体を主骨格として有し、その両末端にイソシアネート基を有する中間体を一旦生成し、この中間体の両末端のイソシアネート基の一方に水酸基を有するアクリレート等の水酸基(活性水素基)をウレタン結合で連結することによって、上記ウレタンアクリレート化合物を得ることができる。
【0042】
出発物質としての、水酸基を有するアクリレート等、ポリイソシアネート、及び、共役ジエン系ポリマーポリオール等の配合量は、例えば、ウレタンアクリレート化合物中の上記末端の(メタ)アクロイル基、及び末端のイソシアネート基の含有量が上記した範囲となるように、適宜設定し得る。例えば、ポリイソシアネートの配合量は、共役ジエン系ポリマーポリオール等の配合量に対して、モル比で1.1~2.0倍でもよい。また、水酸基を有するアクリレート等の配合量は、上記中間体の両末端のイソシアネート基の量に対して、モル比で0.125~0.5倍でもよい。
【0043】
上記ウレタンアクリレート化合物は、上記の基以外に、他の基を有していてもよい。
【0044】
重合性樹脂組成物は、上記ウレタンアクリレート化合物の他、希釈剤、重合禁止剤、重合開始剤や、重合促進剤、触媒等の添加剤を含有していてもよい。重合性樹脂組成物中に含まれる上記ウレタンアクリレート化合物の量は、特に限定されず、例えば、1~99質量%でもよく、好ましくは10~90質量%でもよい。
【0045】
重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノンモノメチルエーテル、p-ベンゾキノン、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,5-ジフェニルパラベンゾキノンなどのハイドロキノン類、テトラメチルピペリジニル-N-オキシラジカル(TEMPO)などのN-オキシラジカル類、t-ブチルカテコールなどの置換カテコール類、フェノチアジン、ジフェニルアミン、フェニル-β-ナフチルアミンなどのアミン類、クペロン、ニトロソベンゼン、ピクリン酸、分子状酸素、硫黄、塩化銅(II)等が挙げられる。
重合性樹脂組成物が重合禁止剤を含有することによって、上記ウレタンアクリレート化合物が不意に重合することを防止することができる。
重合性樹脂組成物中に含まれる重合禁止剤の量は、特に限定されず、例えば、0.0001~5質量%でもよく、好ましくは0.01~1質量%でもよい。
【0046】
希釈剤としては、例えば、イソボロニルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ラウリルアクリレート、イソステアリルアクリレート、フェノキシエタノールアクリレート等のアクリレート、イソボロニルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、イソステアリルメタクリレート、フェノキシエタノールメタクリレート等のメタクリレート等が挙げられる。
ここで、重合性樹脂組成物が、希釈剤として、かかる(メタ)アクリロイル基を有する成分をさらに含有する場合には、該重合性樹脂組成物が硬化する際、上記ウレタンアクリレート化合物の(メタ)アクリロイル基が互いに重合するのに加えて、上記ウレタンアクリレートの(メタ)アクリロイル基と上記希釈剤の(メタ)アクリロイル基とが重合することになるため、より重合性に優れた重合性樹脂組成物となる。
【0047】
希釈剤としては、また、非環式アクリルアミド及び非環式メタクリルアミドの少なくとも一方(以下、非環式(メタ)アクリルアミドという場合がある。)を用いてもよい。例えば、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミドなどのN,N-ジアルキルアクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、N,N-ジエチルメタクリルアミドなどのN,N-ジアルキルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどのジアルキルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、イソプロピルアクリルアミドなどのモノアルキル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
これらはいずか1種用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。非環式(メタ)アクリルアミドも、希釈剤としての(メタ)アクリロイル基を有する成分と同様、上記ウレタンアクリレート化合物の(メタ)アクリロイル基と重合させることができる。
重合性樹脂組成物中に含まれる希釈剤(好ましくは、非環式(メタ)アクリルアミド)の量は、特に限定されず、例えば、1~90質量%でもよく、好ましくは10~70質量%でもよい。
【0048】
重合開始剤としては、従来公知の重合開始剤が挙げられ、例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン等の芳香族ケトン類、アントラセン、α-クロロメチルナフタレン等の芳香族化合物、ジフェニルスルフィド、チオカーバメイト等のイオウ化合物、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3-メチルアセトフェノン、4-クロロベンゾフェノン、4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-プロパン-1-オン、2-ベンジルー2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1,4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、オリゴ(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-(1-メチルビニル)フェニル)プロパノン)等が挙げられる。
なお、重合開始剤の市販品としては、例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製の商品名:イルガキュア 184、369、651、500、819、907、784、2959、CGI1700、CGI1750、CGI1850、CG24-61、ダロキュア 1116、1173、BASF社製の商品名:ルシリン TPO、UCB社製の商品名:ユベクリル P36、フラテツリ・ランベルティ社製の商品名:エザキュアー KIP150、KIP65LT、KIP100F、KT37、KT55、KTO46、KIP75/B等が挙げられる。
重合性樹脂組成物が重合開始剤を有することによって、活性エネルギー線、特に紫外線が照射されることによって重合され易くなる。
重合性樹脂組成物中に含まれる重合開始剤の量は、特に限定されず、例えば、0.0001~10質量%でもよく、好ましくは0.1~5質量%でもよい。
【0049】
空気中の水による硬化(湿気硬化)を促進する触媒としては、ジモルホリノジエチルエーテル、N-エチルモルホリン等が挙げられる。
【0050】
重合性樹脂組成物の用途としては、金属に付着される用途が挙げられる。例えば、電気配線における金属を被覆する用途や、回路基板における絶縁用薄膜(コンフォーマルコート)としての用途、ディスプレイ用光学粘接着剤等が挙げられ、防湿絶縁塗料、防錆塗料、耐熱被覆材料等として用いることができる。
【0051】
一実施形態において、重合性樹脂組成物は、電線と該電線の端部に接続された金属製の接続端子とを備えたワイヤーハーネスにおける前記電線と前記接続端子との接続部分に被覆される用途に用いられてもよい。すなわち、重合性樹脂組成物の用途は、例えば、ワイヤーハーネスの端部処理用であってもよい。
【0052】
ここで、ワイヤーハーネスは、通常、塩化ビニル製のフィルムで被覆された電線の端部と接続端子(コネクタ)とが接続されることによって形成されているため、重合性樹脂組成物が上記接続部分を被覆するように硬化して形成された硬化物は、塩化ビニル製のフィルムと接触することになる。このような場合であっても、硬化物は、塩化ビニル製のフィルムを脆化させ難いため、その分、ワイヤーハーネスが耐湿熱性に優れたものとなる。このように、重合性樹脂組成物がワイヤーハーネスの上記接続部分の被覆用であることによって、該重合性樹脂組成物がより有用なものとなる。
【0053】
一実施形態において、重合性樹脂組成物は、回路基板の被覆保護、より詳細にはコンフォーマルコーティングに用いられてもよい。コンフォーマルコーティングは、電子回路基板や電子回路実装基板などの各種回路基板に対して、環境条件からの有害な影響を防ぐバリヤとして施される、回路基板の表面形状に沿う薄膜の絶縁被膜である。
【0054】
ここで、該重合性樹脂組成物からなる被膜は、回路基板の配線部に相当する銅に高い密着性を有しつつ、基板の樹脂部であるガラスエポキシ部にも高い密着性を有する。また、耐湿熱性、即ち高温高湿条件下での高い電気絶縁性を有する。更に、紫外線による硬化でも十分な特性が発揮できることに加えて、湿気硬化を併用することで、回路基板において紫外線が当たりにくい暗部においても高い保護性能を発揮することができる。
【0055】
本実施形態の重合性樹脂組成物が付着される金属としては、例えば、上記用途に応じて適宜設定され得る。かかる金属としては、例えば、アルミニウム及びその合金や、銅及びその合金等が挙げられる。
【0056】
ここで、例えば、電線の材料としてアルミニウムやその合金が採用される場合には、電線の表面でアルミニウム成分が酸化して絶縁性のアルミナ層が形成され、このアルミナ層に起因して電気抵抗が上昇し、その結果、発熱が発生する場合がある。しかし、このように発熱し易いアルミニウムやその合金に付着された場合であっても、電線を被覆している塩化ビニル製のフィルムの脆化や割れを抑制し得る。この点で、硬化物の耐湿熱性を向上させ得る。
【0057】
本実施形態の重合性樹脂組成物は、活性エネルギー線、加熱、及び、空気中の水(活性水素基)の少なくともいずれか(1つ、または、2つ以上)によって重合して硬化させることが可能であってもよい。具体的には、活性エネルギー線によって(メタ)アクリロイル基同士が重合し得る。加熱、または、空気中の水によってイソシアネート基同士が重合し得る。なお、本実施形態の重合性樹脂組成物は、これら以外によって重合して硬化させることが可能であってもよい。
【0058】
次に、本実施形態の硬化物について説明する。本実施形態の硬化物は、本実施形態の重合性樹脂組成物が重合して硬化したものである。
【0059】
例えば、硬化物は、重合性樹脂組成物を上記した金属上に塗布し、重合して硬化させることによって得られる。また、硬化物は、重合性樹脂組成物を上記した回路基板上に塗布し、重合して硬化させることによって得られる。
【0060】
重合性樹脂組成物を重合する方法としては、上記したように、活性エネルギー線、加熱、または、空気中の水(活性水素基)等によってこれを重合する方法が、挙げられる。これら活性エネルギー線、加熱、及び、空気中の水の少なくともいずれかを行うことによって重合性樹脂組成物を重合してもよい。但し、重合性樹脂組成物を重合する方法は、下記の方法に特に限定されるものではない。
【0061】
重合性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射することによって、上記化合物の、重合性の二重結合を有する(メタ)アクリロイル基同士を重合させ得る。活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、マイクロ波等が挙げられる。活性エネルギー線の照射量は、重合性樹脂組成物を硬化させ得る程度に適宜設定し得る。
紫外線を照射する場合には、重合性樹脂組成物が、前述したような重合開始剤を含有していることが好ましい。これにより、重合性樹脂組成物を重合させ易くなる。
なお、前述したように、熱重合開始剤を使った熱重合、湿気硬化剤を使用した湿気重合、酸素遮断下で金属面と接している場合の嫌気重合によって、(メタ)アクリロイル基同士を重合させてもよい。
【0062】
重合性樹脂組成物を加熱することによって、熱エネルギーを付与することができ、これにより、上記化合物のイソシアネート基同士を空気中の水(活性水素基)を介して重合させ得る。加熱する手段としては、例えば、赤外線、熱風、マイクロ波、蒸気、紫外線照射時の輻射熱によって重合性樹脂組成物を加熱することが挙げられる。加熱温度及び加熱時間は、重合性樹脂組成物を硬化させ得る程度に適宜設定し得る。
【0063】
空気中の水と接触させることによって、上記イソシアネート基同士を空気中の水(活性水素基)を介して重合させ得る。この場合には、塗布した重合性樹脂組成物を空気と接触させるだけで、重合が開始する。従って、塗布された重合性樹脂組成物において、上記した活性エネルギー線が十分に照射されなかった部分や、上記した加熱が十分に行われなかった部分が存在しても、空気と接触するだけで、上記イソシアネート基が重合し得る。
なお、上記した加熱を行うと共に、重合性樹脂組成物を空気中の水に接触させてもよい。
【0064】
以上の通り、本実施形態の重合性樹脂組成物は、水酸基を有するアクリレート等と、共役ジエン系ポリマーポリオール等と、ポリイソシアネートとの反応によって得られたウレタンアクリレート化合物を含み、前記ウレタンアクリレート化合物に含まれるイソシアネート基及び(メタ)アクリロイル基の合計量に対する(メタ)アクリロイル基の量が、12.5~50モル%である。
【0065】
かかる構成によれば、重合性樹脂組成物に含有されるウレタンアクリレート化合物は、その分子の末端に(メタ)アクリロイル基を有する。これによって、重合性樹脂組成物が硬化される際、アクリロイル基の重合性の二重結合に起因して、該アクリロイル基同士が反応し、これによって重合し得る。
また、該ウレタンアクリレート化合物は、その分子の他方の末端にイソシアネート基を有する。これによって、重合性樹脂組成物が硬化される際、イソシアネート基同士が空気中の水(活性水素基)を介して反応し、これによって重合し得る。
さらに、該ウレタンアクリレート化合物は、上記両末端の間に、共役ジエン系ポリマーポリオール等に起因する基を有する。これにより、上記のように、両末端の基に起因する重合が生じることに加えて、重合性樹脂組成物が硬化して得られる硬化物が、金属に対する密着性に優れたものとなり、また、耐湿熱性にも優れたものとなる。
加えて、該ウレタンアクリレート化合物に含まれるイソシアネート基及び(メタ)アクリロイル基の合計量に対する(メタ)アクリロイル基の量が、12.5~50モル%であることによって、硬化物の金属に対する密着性、及び、耐湿熱性が、一層優れたものとなる。
従って、重合性樹脂組成物が上記3つの基を有するウレタンアクリレート化合物を含有することによって、その硬化物が金属に対して優れた密着性を有し、しかも、耐湿熱性にも優れることを可能とする重合性樹脂組成物が提供される。
【0066】
本実施形態の重合性樹脂組成物においては、前記ポリイソシアネートが脂環族ポリイソシアネートであってもよい。これにより、より確実に、硬化物が金属に対して優れた密着性を有し、しかも、耐湿熱性にも優れる。
【0067】
本実施形態の重合性樹脂組成物においては、希釈剤として、非環式(メタ)アクリルアミドを更に含んでよい。これにより、透湿度を上昇させることなく、従って耐湿熱性の悪化を抑えながら、重合性樹脂組成物の粘度を下げることができるとともに、硬化物の伸度を高めることができる。
【0068】
本実施形態の重合性樹脂組成物は、金属の被覆に用いられることが好ましい。これによれば、より確実に、上記密着性及び耐湿熱性を発揮し得る。
【0069】
本実施形態の重合性樹脂組成物は、電線と該電線の端部に接続された接続端子とを備えたワイヤーハーネスにおける前記電線と前記接続端子との接続部分に被覆されるものであってもよい。
ワイヤーハーネスは、通常、塩化ビニル製のフィルムで被覆された電線の端部と接続端子(コネクタ)とが接続されることによって形成されているため、重合性樹脂組成物が上記接続部分を被覆するように硬化して形成された硬化物は、塩化ビニル製のフィルムと接触することになる。このような場合であっても、硬化物が塩化ビニル製のフィルムを脆化させ難いため、その分、ワイヤーハーネスが耐湿熱性に優れたものとなる。
しかも、本実施形態の重合性樹脂組成物であると、シランカップリング剤を特に介在させなくても、十分な密着性が発揮される。
ここで、密着性を向上させるべく、接続部分の表面を酸系材料で処理したり、その表面にプライマー層を形成したりすることも考えられる。しかし、プライマー層を形成することは、コスト及び生産タクトの増加につながり、酸系材料で処理することは、接続部分の腐食につながるおそれがある。これに対し、本実施形態の重合性樹脂組成物によれば、プライマー層を形成したり、酸系材料で処理したりしなくても、接続部分に対する硬化物の密着性が優れたものとなる。よって、コストや生産タクトの増加を抑制することができ、また、接続部分の腐食も抑制し得る。
以上より、重合性樹脂組成物がワイヤーハーネスの上記接続部分の被覆用であることによって、該重合性樹脂組成物がより有用なものとなる。
【0070】
本実施形態の重合性樹脂組成物は、回路基板の被覆保護に用いられるものであってもよい。
本実施形態によれば、上記ウレタンアクリレート化合物が末端に重合性を有した二重結合を持ち、もう一方の末端にイソシアネート残基を有するため、回路基板の配線部に相当する銅に高い密着性を有しつつ、基板の樹脂部であるガラスエポキシ部にも高い密着性を有する。
また、防湿絶縁樹脂に要求される高温高湿条件下においても高い電気絶縁性を有し、耐湿熱性に優れる。
更に、紫外線による硬化でも十分な特性が発揮できることに加えて、湿気硬化を併用することで、回路基板において紫外線が当たりにくい暗部においても高い保護性能を発揮することができる。
このように、高温高湿環境下でも高い基材密着性と高い電気絶縁性を維持しているため、回路基板の保護材料として好適である。
また、紫外線照射量が低照射量でも高い重合率を示し、紫外線硬化に加えて湿気硬化も可能である。しかも、湿気硬化併用時に、密着性などの物性変化を起こさない。
また、重合性樹脂組成物は、上記ウレタンアクリレート化合物にイソシアネート基が残っているにもかかわらず、保存安定性に優れる。
【0071】
本実施形態の重合性樹脂組成物においては、活性エネルギー線、加熱、及び、空気中の水の少なくとも1つによって重合して硬化させることが可能であってもよい。これによれば、重合性樹脂組成物が硬化させ易いものとなる。
【0072】
本実施形態の硬化物は、前記重合性樹脂組成物が重合して硬化したものである。本実施形態の硬化物によれば、金属に対する密着性に優れ、しかも耐湿熱性にも優れた硬化物が提供される。
【0073】
以上の通り、本実施形態によれば、硬化物が金属に対して優れた密着性を有し、しかも、耐湿熱性にも優れることを可能とする重合性樹脂組成物及びその硬化物が提供される。
【実施例
【0074】
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、「%」、「部」とあるのは、特に言及のない限り質量基準であることを意味する。
【0075】
[合成例1](UA-1の作製)
攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、末端水酸化ポリブタジエン(日本曹達株式会社製G1000、数平均分子量1,400)4200g(3.0mol)、イソホロンジイソシアネート888.8g(4.0mol)、イソボロニルアクリレート1287g、及び、ハイドロキノンモノメチルエーテル2gを仕込み、70℃まで昇温させ、70℃で4時間攪拌した(第1段階の反応)。その後、2-ヒドロキシエチルアクリレート(日本触媒株式会社製BHEA、分子量116)58g(0.5mol)をさらに加え、さらに、70℃で2時間反応させた(第2段階の反応)。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間に末端水酸化ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-1を得た。
【0076】
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートの量の比率は、第1段階の反応で得られた中間体(ウレタン化合物)の両末端のイソシアネート基の合計量の25モル%に相当した。すなわち、ウレタンアクリレート化合物における末端のアクリロイル基(以下、遊離アクリロイル基という場合がある。)と、末端のイソシアネート基(以下、遊離イソシアネート基という場合がある)との合計量に対する、遊離アクリロイル基の量の比率が25モル%、遊離イソシアネート基の量の比率が75モル%となるように、2-ヒドロキシエチルアクリレートの仕込み量を設定した。このとき、遊離イソシアネート基の比率を質量で表わすと、0.98質量%に相当する。
【0077】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、ブロモフェノールブルーを指示薬に用い、過剰量のジブチルアミンとイソシアネートを反応させ、残存量を塩酸で滴定する事により測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率の理論値が0.98質量%であるのに対し、実測値が0.98質量%であり、理論値と実測値とが略一致した。この結果、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0078】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、サーモフィッシャー社製の製品名Nicolet6700を用いたFT-IR測定によって、2260cm-1近傍のイソシアネート基由来の吸収スペクトルの変化量として測定した。その結果、遊離イソシアネート基の上記比率の理論値が75モル%であるのに対し、測定値が75モル%であった(遊離アクリロイル基の量:25モル%)。この結果からも、遊離イソシアネート基及び遊離アクロリル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0079】
[合成例2](UA-2の作製)
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートを116g(1.0mol)に変更した点以外は、合成例1と同様の操作を行った。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間に末端水酸化ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-2を得た。
【0080】
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートの量の比率は、第1段階の反応で得られた中間体(ウレタン化合物)の両末端のイソシアネート基の合計量の50モル%に相当した。すなわち、ウレタンアクリレート化合物における遊離アクリロイル基と、遊離イソシアネート基との合計量に対する、遊離アクリロイル基の量の比率が50モル%、遊離イソシアネート基の量の比率が50モル%となるように、2-ヒドロキシエチルアクリレートの仕込み量を設定した。このとき、遊離イソシアネート基の比率を質量で表わすと、0.65質量%に相当する。
【0081】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様の滴定法で測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率の理論値が0.65質量%であるのに対し、実測値が0.65質量%であり、理論値と実測値とが略一致した。この結果、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0082】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様のFT-IR測定によって測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率の理論値が50モル%であるのに対し、実測値が50モル%であった(遊離アクリロイル基の量:50モル%)。この結果からも、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0083】
[合成例3](UA-3の作製)
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートを29g(0.25mol)に変更した点以外は、合成例1と同様の操作を行った。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間に末端水酸化ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-3を得た。
【0084】
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートの量の比率は、第1段階の反応で得られた中間体(ウレタン化合物)の両末端のイソシアネート基の合計量の12.5モル%に相当した。すなわち、ウレタンアクリレート化合物における遊離アクリロイル基と、遊離イソシアネート基との合計量に対する、遊離アクリロイル基の量の比率が12.5モル%、遊離イソシアネート基の量の比率が87.5モル%となるように、2-ヒドロキシエチルアクリレートの仕込み量を設定した。このとき、遊離イソシアネート基の比率を質量で表わすと、1.44質量%に相当する。
【0085】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様の滴定法で測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率は、理論値が1.44質量%であるのに対し、実測値が1.44質量%であり、理論値と実測値とが略一致した。この結果、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0086】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様のFT-IR測定によって測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率は、理論値が87.5モル%であるのに対し、測定値が87.5モル%であった(遊離アクリロイル基の量:12.5モル%)。この結果からも、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0087】
[合成例4](UA-4の作製)
攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、末端水酸化ポリブタジエン(日本曹達株式会社製G1000、数平均分子量1,400)4200g(3.0mol)、ヘキサメチレンジイソシアネート672.8g(4.0mol)、イソボロニルアクリレート1218g、及び、ハイドロキノンモノメチルエーテル2gを仕込み、70℃まで昇温させ、70℃で4時間攪拌した。その後、2-ヒドロキシエチルアクリレート(日本触媒株式会社製BHEA、分子量116)58g(0.5mol)をさらに加え、さらに、70℃で2時間反応させた。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間に末端水酸化ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-4を得た。
【0088】
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートの量の比率は、第1段階の反応で得られた中間体(ウレタン化合物)の両末端のイソシアネート基の合計量の25モル%に相当した。すなわち、ウレタンアクリレート化合物における遊離アクリロイル基と、遊離イソシアネート基との合計量に対する、遊離アクリロイル基の量の比率が25モル%、遊離イソシアネート基の量の比率が75モル%となるように、2-ヒドロキシエチルアクリレートの仕込み量を設定した。このとき、遊離イソシアネート基の比率を質量で表わすと、1.02質量%に相当する。
【0089】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様の滴定法で測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率の理論値が1.02質量%であるのに対し、実測値が1.00質量%であり、理論値と実測値とが略一致した。この結果、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0090】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様のFT-IR測定によって測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率の理論値が75モル%であるのに対し、実測値が73.5モル%であった(遊離アクリロイル基の量:26.5モル%)。この結果からも、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0091】
[合成例5](UA-5の作製)
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートを116g(1.0mol)に変更した点以外は、合成例4と同様の操作を行った。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間に末端水酸化ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-5を得た。
【0092】
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートの量の比率は、第1段階の反応で得られた中間体(ウレタン化合物)の両末端のイソシアネート基の合計量の50モル%に相当した。すなわち、ウレタンアクリレート化合物における遊離アクリロイル基と、遊離イソシアネート基との合計量に対する、遊離アクリロイル基の量の比率が50モル%、遊離イソシアネート基の量の比率が50モル%となるように、2-ヒドロキシエチルアクリレートの仕込み量を設定した。このとき、遊離イソシアネート基の比率を質量で表わすと、0.34質量%に相当する。
【0093】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様の滴定法で測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率の理論値が0.34質量%であるのに対し、実測値が0.33質量%であり、理論値と実測値とが略一致した。この結果、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0094】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様のFT-IR測定によって測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率の理論値が50モル%であるのに対し、実測値が50モル%であった(遊離アクリロイル基の量:50モル%)。この結果からも、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0095】
[合成例6](UA-6の作製)
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートを29g(0.25mol)に変更した点以外は、合成例4と同様の操作を行った。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間に末端水酸化ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-6を得た。
【0096】
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートの量の比率は、第1段階の反応で得られた中間体(ウレタン化合物)の両末端のイソシアネート基の合計量の12.5モル%に相当した。すなわち、ウレタンアクリレート化合物における遊離アクリロイル基と、遊離イソシアネート基との合計量に対する、遊離アクリロイル基の量の比率が12.5モル%、遊離イソシアネート基の量の比率が87.5モル%となるように、2-ヒドロキシエチルアクリレートの仕込み量を設定した。このとき、遊離イソシアネート基の比率を質量で表わすと、0.79質量%に相当する。
【0097】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様の滴定法で測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率は、理論値が0.79質量%であるのに対し、実測値が0.78質量%であり、理論値と実測値とが略一致した。この結果、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0098】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様のFT-IR測定によって測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率は、理論値が87.5モル%であるのに対し、測定値が86.4モル%であった(遊離アクリロイル基の量:13.6モル%)。この結果からも、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0099】
[合成例7](UA-7の合成)
攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、末端水酸化水添ポリブタジエン(日本曹達株式会社製GI1000、数平均分子量1,500)4500g(3.0mol)、イソホロンジイソシアネート888.8g(4.0mol)、イソボロニルアクリレート1362g、及び、ハイドロキノンモノメチルエーテル2gを仕込み、70℃まで昇温させ、70℃で4時間攪拌した。その後、2-ヒドロキシエチルアクリレート(日本触媒株式会社製BHEA、分子量116)58g(0.5mol)をさらに加え、さらに、70℃で2時間反応させた。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間に末端水酸化水添ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-7を得た。
【0100】
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートの量の比率は、第1段階の反応で得られた中間体(ウレタン化合物)の両末端のイソシアネート基の合計量の25モル%に相当した。すなわち、ウレタンアクリレート化合物における遊離アクリロイル基と、遊離イソシアネート基との合計量に対する、遊離アクリロイル基の量の比率が25モル%、遊離イソシアネート基の量の比率が75モル%となるように、2-ヒドロキシエチルアクリレートの仕込み量を設定した。このとき、遊離イソシアネート基の比率を質量で表わすと、0.93質量%に相当する。
【0101】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様の滴定法で測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率の理論値が0.93質量%であるのに対し、実測値が0.93質量%であり、理論値と実測値とが略一致した。この結果、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0102】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様のFT-IR測定によって測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率の理論値が75モル%であるのに対し、実測値が76.2モル%であった(遊離アクリロイル基の量:23.8モル%)。この結果からも、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0103】
[合成例8](UA-8の作製)
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートを116g(1.0mol)に変更した点以外は、合成例7と同様の操作を行った。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間に末端水酸化水添ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-8を得た。
【0104】
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートの量の比率は、第1段階の反応で得られた中間体(ウレタン化合物)の両末端のイソシアネート基の合計量の50モル%に相当した。すなわち、ウレタンアクリレート化合物における遊離アクリロイル基と、遊離イソシアネート基との合計量に対する、遊離アクリロイル基の量の比率が50モル%、遊離イソシアネート基の量の比率が50モル%となるように、2-ヒドロキシエチルアクリレートの仕込み量を設定した。このとき、遊離イソシアネート基の比率を質量で表わすと、0.61質量%に相当する。
【0105】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様の滴定法で測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率の理論値が0.61質量%であるのに対し、実測値が0.62質量%であり、理論値と実測値とが略一致した。この結果、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0106】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様のFT-IR測定によって測定したところ、イソシアネート基の上記比率の理論値が50モル%であるのに対し、実測値が50.8モル%であった(遊離アクリロイル基の量:49.2モル%)。この結果からも、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0107】
[合成例9](UA-9の作製)
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートを29g(0.25mol)に変更した点以外は、合成例7と同様の操作を行った。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間に末端水酸化水添ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-9を得た。
【0108】
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートの量の比率は、第1段階の反応で得られた中間体(ウレタン化合物)の両末端のイソシアネート基の合計量の12.5モル%に相当した。すなわち、ウレタンアクリレート化合物における遊離アクリロイル基と、遊離イソシアネート基との合計量に対する、遊離アクリロイル基の量の比率が12.5モル%、遊離イソシアネート基の量の比率が87.5モル%となるように、2-ヒドロキシエチルアクリレートの仕込み量を設定した。このとき、遊離イソシアネート基の比率を質量で表わすと、1.08質量%に相当する。
【0109】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様の滴定法で測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率は、理論値が1.08質量%であるのに対し、実測値が1.09質量%であり、理論値と実測値とが略一致した。この結果、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0110】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様のFT-IR測定によって測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率は、理論値が87.5モル%であるのに対し、測定値が87.5モル%であった(遊離アクリロイル基の量:12.5モル%)。この結果からも、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0111】
[合成例10](UA-10の作製)
攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、末端水酸化水添ポリブタジエン(日本曹達株式会社製GI1000、数平均分子量1,500)4500g(3.0mol)、ヘキサメチレンジイソシアネート672.8(4.0mol)、イソボロニルアクリレート1300g、及び、ハイドロキノンモノメチルエーテル2gを仕込み、70℃まで昇温させ、70℃で4時間攪拌した。その後、2-ヒドロキシエチルアクリレート(日本触媒株式会社製BHEA、分子量116)58g(0.5mol)をさらに加え、さらに、70℃で2時間反応させた。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間に末端水酸化水添ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-10を得た。
【0112】
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートの量の比率は、第1段階の反応で得られた中間体(ウレタン化合物)の両末端のイソシアネート基の合計量の25モル%に相当した。すなわち、ウレタンアクリレート化合物における遊離アクリロイル基と、遊離イソシアネート基との合計量に対する、遊離アクリロイル基の量の比率が25モル%、遊離イソシアネート基の量の比率が75モル%となるように、2-ヒドロキシエチルアクリレートの仕込み量を設定した。このとき、遊離イソシアネート基の比率を質量で表わすと、0.96質量%に相当する。
【0113】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様の滴定法で測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率の理論値が0.96質量%であるのに対し、実測値が0.95質量%であり、理論値と実測値とが略一致した。この結果、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0114】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様のFT-IR測定によって測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率の理論値が75モル%であるのに対し、実測値が74.2モル%であった(遊離アクリロイル基の量:25.8モル%)。この結果からも、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0115】
[合成例11](UA-11の作製)
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートを116g(1.0mol)に変更した点以外は、合成例10と同様の操作を行った。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間に末端水酸化水添ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-11を得た。
【0116】
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートの量の比率は、第1段階の反応で得られた中間体(ウレタン化合物)の両末端のイソシアネート基の合計量の50モル%に相当した。すなわち、ウレタンアクリレート化合物における遊離アクリロイル基と、遊離イソシアネート基との合計量に対する、遊離アクリロイル基の量の比率が50モル%、遊離イソシアネート基の量の比率が50モル%となるように、2-ヒドロキシエチルアクリレートの仕込み量を設定した。このとき、遊離イソシアネート基の比率を質量で表わすと、0.33質量%に相当する。
【0117】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様の滴定法で測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率の理論値が0.33質量%であるのに対し、実測値が0.34質量%であり、理論値と実測値とが略一致した。この結果、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0118】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様のFT-IR測定によって測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率の理論値が50モル%であるのに対し、実測値が51.5モル%であった(遊離アクリロイル基の量:48.5モル%)。この結果からも、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0119】
[合成例12](UA-12の作製)
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートを29g(0.25mol)に変更した点以外は、合成例10と同様の操作を行った。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間に末端水酸化水添ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-12を得た。
【0120】
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートの量の比率は、第1段階の反応で得られた中間体(ウレタン化合物)の両末端のイソシアネート基の合計量の12.5モル%に相当した。すなわち、ウレタンアクリレート化合物における遊離アクリロイル基と、遊離イソシアネート基との合計量に対する、遊離アクリロイル基の量の比率が12.5モル%、遊離イソシアネート基の量の比率が87.5モル%となるように、2-ヒドロキシエチルアクリレートの仕込み量を設定した。このとき、遊離イソシアネート基の比率を質量で表わすと、0.77質量%に相当する。
【0121】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様の滴定法で測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率は、理論値が0.77質量%であるのに対し、実測値が0.76質量%であり、理論値と実測値とが略一致した。この結果、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0122】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様のFT-IR測定によって測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率は、理論値が87.5モル%であるのに対し、測定値が86.4モル%であった(遊離アクリロイル基の量:13.6モル%)。この結果からも、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0123】
[合成例13](UA-13の作製)
攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、ポリテトラメチレングリコール(三菱化学株式会社製PTMG1500、分子量1,500)4500g(3.0mol)、イソホロンジイソシアネート888.8(4.0mol)、イソボロニルアクリレート1362g、及び、ハイドロキノンモノメチルエーテル2gを仕込み、70℃まで昇温させ、70℃で3時間攪拌した。その後、2-ヒドロキシエチルアクリレート(日本触媒株式会社製BHEA、分子量116)116g(1mol)をさらに加え、さらに、70℃で2時間反応させた。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間にポリテトラメチレングリコール(PTMG)に由来する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-13を得た。
【0124】
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートの量の比率は、第1段階の反応で得られた中間体(ウレタン化合物)の両末端のイソシアネート基の合計量の50モル%に相当した。すなわち、ウレタンアクリレート化合物における遊離アクリロイル基と、遊離イソシアネート基との合計量に対する、遊離アクリロイル基の量の比率が50モル%、遊離イソシアネート基の量の比率が50モル%となるように、2-ヒドロキシエチルアクリレートの仕込み量を設定した。このとき、遊離イソシアネート基の比率を質量で表わすと、0.31質量%に相当する。
【0125】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様の滴定法で測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率の理論値が0.31質量%であるのに対し、実測値が0.30質量%であり、理論値と実測値とが略一致した。この結果、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0126】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様のFT-IR測定によって測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率の理論値が50モル%であるのに対し、実測値が48.4モル%であった(遊離アクリロイル基の量:51.6モル%)。この結果からも、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0127】
[合成例14](UA-14の作製)
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートを29g(0.25mol)に変更した点以外は、合成例13と同様の操作を行った。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間にPTMGに由来する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-14を得た。
【0128】
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートの量の比率は、第1段階の反応で得られた中間体(ウレタン化合物)の両末端のイソシアネート基の合計量の12.5モル%に相当した。すなわち、ウレタンアクリレート化合物における遊離アクリロイル基と、遊離イソシアネート基との合計量に対する、遊離アクリロイル基の量の比率が12.5モル%、遊離イソシアネート基の量の比率が87.5モル%となるように、2-ヒドロキシエチルアクリレートの仕込み量を設定した。このとき、遊離イソシアネート基の比率を質量で表わすと、0.72質量%に相当する。
【0129】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様の滴定法で測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率は、理論値が0.72質量%であるのに対し、実測値が0.73質量%であり、理論値と実測値とが略一致した。この結果、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0130】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様のFT-IR測定によって測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率は、理論値が87.5モル%であるのに対し、測定値が88.7モル%であった(遊離アクリロイル基の量:11.3モル%)。この結果からも、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0131】
[合成例15](UA-15の作製)
攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、ポリエチレングリコール(第一工業製薬株式会社製PEG1500、分子量1,500)4500g(3.0mol)、イソホロンジイソシアネート888.8(4.0mol)、イソボロニルアクリレート1362g、及び、ハイドロキノンモノメチルエーテル2gを仕込み、70℃まで昇温させ、70℃で3時間攪拌した。その後、2-ヒドロキシエチルアクリレート(日本触媒株式会社製BHEA、分子量116)116g(1mol)をさらに加え、70℃で2時間反応させた。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間にポリエチレングリコール(PEG)に由来する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-15を得た。
【0132】
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートの量の比率は、第1段階の反応で得られた中間体(ウレタン化合物)の両末端のイソシアネート基の合計量の50モル%に相当した。すなわち、ウレタンアクリレート化合物における遊離アクリロイル基と、遊離イソシアネート基との合計量に対する、遊離アクリロイル基の量の比率が50モル%、遊離イソシアネート基の量の比率が50モル%となるように、2-ヒドロキシエチルアクリレートの仕込み量を設定した。このとき、遊離イソシアネート基の比率を質量で表わすと、0.31質量%に相当する。
【0133】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様の滴定法で測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率の理論値が0.31質量%であるのに対し、実測値が0.30質量%であり、理論値と実測値とが略一致した。この結果、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0134】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様のFT-IR測定によって測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率の理論値が50モル%であるのに対し、実測値が48.4モル%であった(遊離アクリロイル基の量:51.6モル%)。この結果からも、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0135】
[合成例16](UA-16の作製)
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートを29g(0.25mol)に変更した点以外は、合成例15と同様の操作を行った。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間にPEGに由来する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-16を得た。
【0136】
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートの量の比率は、第1段階の反応で得られた中間体(ウレタン化合物)の両末端のイソシアネート基の合計量の12.5モル%に相当した。すなわち、ウレタンアクリレート化合物における遊離アクリロイル基と、遊離イソシアネート基との合計量に対する、遊離アクリロイル基の量の比率が12.5モル%、遊離イソシアネート基の量の比率が87.5モル%となるように、2-ヒドロキシエチルアクリレートの仕込み量を設定した。このとき、遊離イソシアネート基の比率を質量で表わすと、0.72質量%に相当する。
【0137】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様の滴定法で測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率は、理論値が0.72質量%であるのに対し、実測値が0.70質量%であり、理論値と実測値とが略一致した。この結果、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0138】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様のFT-IR測定によって測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率は、理論値が87.5モル%であるのに対し、測定値が85.1モル%であった(遊離アクリロイル基の量:14.9モル%)。この結果からも、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0139】
[合成例17](UA-17の作製)
攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、末端水酸化ポリブタジエン(日本曹達株式会社製G1000、数平均分子量1,400)4200g(3.0mol)、イソホロンジイソシアネート888.8g(4.0mol)、イソボロニルアクリレート1287g、及び、ハイドロキノンモノメチルエーテル2gを仕込み、70℃まで昇温させ、70℃で4時間攪拌した。その後、2-ヒドロキシエチルアクリレート(日本触媒株式会社製BHEA、分子量116)23.2g(0.2mol)をさらに加え、70℃で2時間反応させた。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間に末端水酸化ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-17を得た。
【0140】
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートの量の比率は、第1段階の反応で得られた中間体(ウレタン化合物)の両末端のイソシアネート基の合計量の10モル%に相当した。すなわち、ウレタンアクリレート化合物における遊離アクリロイル基と、遊離イソシアネート基との合計量に対する、遊離アクリロイル基の量の比率が10モル%、遊離イソシアネート基の量の比率が90モル%となるように、2-ヒドロキシエチルアクリレートの仕込み量を設定した。このとき、遊離イソシアネート基の比率を質量で表わすと、0.95質量%に相当する。
【0141】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様の滴定法で測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率は、理論値が0.95質量%であるのに対し、実測値が0.94質量%であり、理論値と実測値とが略一致した。この結果、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0142】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様のFT-IR測定によって測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率は、理論値が90モル%であるのに対し、測定値が89.9モル%であった(遊離アクリロイル基の量:10.1モル%)。この結果からも、遊離イソシアネート基及びイソシアネート基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0143】
[合成例18](UA-18の作製)
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレート(日本触媒株式会社製BHEA、分子量116)を139g(1.2mol)に変更した点以外は、合成例17と同様の操作を行った。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間に末端水酸化ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-18を得た。
【0144】
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートの量の比率は、第1段階の反応で得られた中間体(ウレタン化合物)の両末端のイソシアネート基の合計量の60モル%に相当した。すなわち、ウレタンアクリレート化合物における遊離アクリロイル基と、遊離イソシアネート基との合計量に対する、遊離アクリロイル基の量の比率が60モル%、遊離イソシアネート基の量の比率が40モル%となるように、2-ヒドロキシエチルアクリレートの仕込み量を設定した。このとき、遊離イソシアネート基の比率を質量で表わすと、0.52質量%に相当する。
【0145】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様の滴定法で測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率は、理論値が0.52質量%であるのに対し、実測値が0.50質量%であり、理論値と実測値とが略一致した。この結果、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0146】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様のFT-IR測定によって測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率は、理論値が40モル%であるのに対し、測定値が38.5モル%であった(遊離アクリロイル基の量:61.5モル%)。この結果からも、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0147】
[合成例19](UA-19の作製)
攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、末端水酸化ポリブタジエン(日本曹達株式会社製G1000、数平均分子量1,400)4200g(3.0mol)、ヘキサメチレンジイソシアネート672.8g(4.0mol)、イソボロニルアクリレート1233g、及び、ハイドロキノンモノメチルエーテル1.8gを仕込み、70℃まで昇温させ、70℃で3時間攪拌した。その後、2-ヒドロキシエチルアクリレート(日本触媒株式会社製BHEA、分子量116)23.2g(0.2mol)をさらに加え、70℃で2時間反応させた。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間に末端水酸化ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-19を得た。
【0148】
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートの量の比率は、第1段階の反応で得られた中間体(ウレタン化合物)の両末端のイソシアネート基の合計量の10モル%に相当した。すなわち、ウレタンアクリレート化合物における遊離アクリロイル基と、遊離イソシアネート基との合計量に対する、遊離アクリロイル基の量の比率が10モル%、遊離イソシアネート基の量の比率が90モル%となるように、2-ヒドロキシエチルアクリレートの仕込み量を設定した。このとき、遊離イソシアネート基の比率を質量で表わすと、0.96質量%に相当する。
【0149】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様の滴定法で測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率は、理論値が0.96質量%であるのに対し、実測値が0.96質量%であり、理論値と実測値とが略一致した。この結果、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0150】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様のFT-IR測定によって測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率は、理論値が90モル%であるのに対し、測定値が90モル%であった(遊離アクリロイル基の量:10モル%)。この結果からも、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0151】
[合成例20](UA-20の作製)
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレート(日本触媒株式会社製BHEA、分子量116)を139g(1.2mol)に変更した点以外は、合成例19と同様の操作を行った。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間に末端水酸化ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-20を得た。
【0152】
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートの量の比率は、第1段階の反応で得られた中間体(ウレタン化合物)の両末端のイソシアネート基の合計量の60モル%に相当した。すなわち、ウレタンアクリレート化合物における遊離アクリロイル基と、遊離イソシアネート基との合計量に対する、遊離アクリロイル基の量の比率が60モル%、遊離イソシアネート基の量の比率が40モル%となるように、2-ヒドロキシエチルアクリレートの仕込み量を設定した。このとき、遊離イソシアネート基の比率を質量で表わすと、0.27質量%に相当する。
【0153】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様の滴定法で測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率は、理論値が0.27質量%であるのに対し、実測値が0.26質量%であり、理論値と実測値とが略一致した。この結果、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0154】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様のFT-IR測定によって測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率は、理論値が40モル%であるのに対し、測定値が38.5モル%であった(遊離アクリロイル基の量:61.5モル%)。この結果からも、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0155】
[合成例21](UA-21の作製)
合成例1におけるイソボロニルアクリレートをテトラヒドロフルフリルアクリレートに変更した点以外は、合成例1と同様の操作を行った。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間に末端水酸化ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-21を得た。
【0156】
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートの量の比率は、第1段階の反応で得られた中間体(ウレタン化合物)の両末端のイソシアネート基の合計量の25モル%に相当した。すなわち、ウレタンアクリレート化合物における遊離アクリロイル基と、遊離イソシアネート基との合計量に対する、遊離アクリロイル基の量の比率が25モル%、遊離イソシアネート基の量の比率が75モル%となるように、2-ヒドロキシエチルアクリレートの仕込み量を設定した。このとき、遊離イソシアネート基の比率を質量で表わすと、0.65質量%に相当する。
【0157】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様の滴定法で測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率の理論値が0.65質量%であるのに対し、実測値が0.65質量%であり、理論値と実測値とが略一致した。この結果、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0158】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様のFT-IR測定によって測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率の理論値が75モル%であるのに対し、実測値が75モル%であった(遊離アクリロイル基の量:25モル%)。この結果からも、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0159】
[合成例22](UA-22の作製)
合成例1における2-ヒドロキシエチルアクリレート(日本触媒株式会社製BHEA、分子量116)の量を232g(2.0mol)に変更した点以外は、合成例1と同様の操作を行った。これによって、分子内に、両末端にアクリロイル基と、両末端間に末端水酸化ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-22を得た。
【0160】
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートの量の比率は、第1段階の反応で得られた中間体(ウレタン化合物)の両末端のイソシアネート基の合計量の100モル%に相当した。すなわち、ウレタンアクリレート化合物における遊離アクリロイル基と、遊離イソシアネート基との合計量に対する、遊離アクリロイル基の量の比率が100モル%、遊離イソシアネート基の量の比率が0モル%(遊離イソシアネート基が存在しない)となるように、2-ヒドロキシエチルアクリレートの仕込み量を設定した。このとき、遊離イソシアネート基の比率を質量で表わすと、0質量%に相当する。
【0161】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様の滴定法で測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率の理論値が0質量%であるのに対し、実測値が0.1質量%以下であり、理論値と実測値とが略一致した。この結果、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。また、遊離イソシアネートが殆ど存在していないことがわかった。
【0162】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様のFT-IR測定によって測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率の理論値が0モル%であるのに対し、実測値が0モル%であった(遊離アクリロイル基の量:100モル%)。この結果からも、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。また、遊離イソシアネートが殆ど存在していないことがわかった。
【0163】
[合成例23](UA-23の作製)
合成例22で得られたUA-22 100部に対して、イソホロンジイソシアネートを2部添加することによって、分子内に、両末端にアクリロイル基と、両末端間に末端水酸化ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、ポリイソシアネートと、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを含有する重合性樹脂組成物UA-23を得た。すなわち、ウレタンアクリレート化合物には遊離イソシアネート基が存在していないが、該化合物とは別途のポリイソシアネートに、該ウレタンアクリレート化合物の両末端のアクリロイル基の量に対して0.37質量%(50モル%)の遊離イソシアネート基が存在している、重合性樹脂組成物UA-23を得た。
【0164】
[合成例24](UA-24の合成)
攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、末端水素化ポリブタジエン(日本曹達株式会社製G1000、数平均分子量1,400)4200g(3.0mol)、イソホロンジイソシアネート888.8g(4.0mol)、イソボロニルアクリレート1287g、ハイドロキノンモノメチルエーテル2gを仕込み、70℃まで昇温させ、70℃で4時間攪拌した。その後、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(日本触媒株式会社製HEMA、分子量130)65g(0.5mol)をさらに加え、さらに、70℃で2時間反応させた。これによって、分子内に、一方の末端にメタクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端の間に末端水素化ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-24を得た。
【0165】
仕込んだ2-ヒドロキシエチルメタクリレートの量の比率は、第1段階の反応で得られた中間体(ウレタン化合物)の両末端のイソシアネート基の合計量の25モル%に相当した。すなわち、ウレタンアクリレート化合物における遊離メタクリロイル基と、遊離イソシアネート基との合計量に対する、遊離メタクリロイル基の量の比率が25モル%、遊離イソシアネート基の量の比率が75モル%となるように、2-ヒドロキシエチルメタクリレートの仕込み量を設定した。このとき、遊離イソシアネート基の比率を質量で表わすと、0.65質量%に相当する。
【0166】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様の滴定法で測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率の理論値が0.65質量%であるのに対し、実測値が0.65質量%であり、理論値と実測値とが略一致した。この結果、遊離イソシアネート基及び遊離メタクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0167】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様のFT-IR測定によって測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率の理論値が75モル%であるのに対し、実測値が75.1モル%であった(遊離メタクリロイル基の量:24.9モル%)。この結果からも、遊離イソシアネート基及び遊離メタクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0168】
[合成例25](UA-25の作製)
仕込んだ2-ヒドロキシエチルメタクリレートを130g(1.0mol)に変更した点以外は、合成例24と同様の操作を行った。これによって、分子内に、一方の末端にメタクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間に末端水酸化ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アクリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-25を得た。
【0169】
仕込んだ2-ヒドロキシエチルメタクリレートの量の比率は、第1段階の反応で得られた中間体(ウレタン化合物)の両末端のイソシアネート基の合計量の50モル%に相当した。すなわち、ウレタンアクリレート化合物における遊離メタクリロイル基と、遊離イソシアネート基との合計量に対する、遊離メタクリロイル基の量の比率が50モル%、遊離イソシアネート基の量の比率が50モル%となるように、2-ヒドロキシエチルメタクリレートの仕込み量を設定した。このとき、遊離イソシアネート基の比率を質量で表わすと、0.32質量%に相当する。
【0170】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様の滴定法で測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率の理論値が0.32質量%であるのに対し、実測値が0.31質量%であり、理論値と実測値とが略一致した。この結果、遊離イソシアネート基及び遊離メタクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0171】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様のFT-IR測定によって測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率の理論値が50モル%であるのに対し、実測値が50モル%であった(遊離メタクリロイル基の量:50モル%)。この結果からも、遊離イソシアネート基及び遊離メタクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0172】
[合成例26](UA-26の作製)
仕込んだ2-ヒドロキシエチルメタクリレートを32.5g(0.25mol)に変更した点以外は、合成例24と同様の操作を行った。これによって、分子内に、一方の末端にメタクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間に末端水酸化ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アクリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-26を得た。
【0173】
仕込んだ2-ヒドロキシエチルメタクリレートの量の比率は、第1段階の反応で得られた中間体(ウレタン化合物)の両末端のイソシアネート基の合計量の12.5モル%に相当した。すなわち、ウレタンアクリレート化合物における遊離メタクリロイル基と、遊離イソシアネート基との合計量に対する、遊離メタクリロイル基の量の比率が12.5モル%、遊離イソシアネート基の量の比率が87.5モル%となるように、2-ヒドロキシエチルメタクリレートの仕込み量を設定した。このとき、遊離イソシアネート基の比率を質量で表わすと、0.76質量%に相当する。
【0174】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様の滴定法で測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率は、理論値が0.76質量%であるのに対し、実測値が0.76質量%であり、理論値と実測値とが略一致した。この結果、遊離イソシアネート基及び遊離メタクリレート基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0175】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様のFT-IR測定によって測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率は、理論値が87.5モル%であるのに対し、測定値が87.4モル%であった(遊離メタクリロイル基の量:12.6モル%)。この結果からも、遊離イソシアネート基及び遊離メタクリレート基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0176】
[合成例27](UA-27の作製)
攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、末端水酸化ポリブタジエン(日本曹達株式会社製G3000、数平均分子量3,000)4500g(1.5mol)、イソホロンジイソシアネート555.5g(2.5mol)、イソボロニルアクリレート1264g、及び、ハイドロキノンモノメチルエーテル1.8gを仕込み、70℃まで昇温させ、70℃で3時間攪拌した。その後、2-ヒドロキシエチルアクリレート(日本触媒株式会社製BHEA、分子量116)58g(0.50mol)をさらに加え、さらに、70℃で2時間反応させた。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間に末端水酸化ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-27を得た。
【0177】
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートの量の比率は、第1段階の反応で得られた中間体(ウレタン化合物)の両末端のイソシアネート基の合計量の25モル%に相当した。すなわち、ウレタンアクリレート化合物における遊離アクリロイル基と、遊離イソシアネート基との合計量に対する、遊離アクリロイル基の量の比率が25モル%、遊離イソシアネート基の量の比率が75モル%となるように、2-ヒドロキシエチルアクリレートの仕込み量を設定した。このとき、遊離イソシアネート基の比率を質量で表わすと、0.99質量%に相当する。
【0178】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様の滴定法で測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率の理論値が0.99質量%であるのに対し、実測値が0.98質量%であり、理論値と実測値とが略一致した。この結果、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0179】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様のFT-IR測定によって測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率の理論値が75モル%であるのに対し、実測値が74.2モル%であった(遊離アクリロイル基の量:25.8モル%)。この結果からも、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0180】
[合成例28](UA-28の作製)
合成例27のイソボロニルアクリレートをジエチルアクリルアミドに変えた以外はUA-27と同様に合成することでUA-28を得た。
【0181】
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートの量の比率は、第1段階の反応で得られた中間体(ウレタン化合物)の両末端のイソシアネート基の合計量の25モル%に相当した。すなわち、ウレタンアクリレート化合物における遊離アクリロイル基と、遊離イソシアネート基との合計量に対する、遊離アクリロイル基の量の比率が25モル%、遊離イソシアネート基の量の比率が75モル%となるように、2-ヒドロキシエチルアクリレートの仕込み量を設定した。このとき、遊離イソシアネート基の比率を質量で表わすと、0.99質量%に相当する。
【0182】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様の滴定法で測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率の理論値が0.99質量%であるのに対し、実測値が1.00質量%であり、理論値と実測値とが略一致した。この結果、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0183】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様のFT-IR測定によって測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率の理論値が75モル%であるのに対し、実測値が75.8モル%であった(遊離アクリロイル基の量:24.2モル%)。この結果からも、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0184】
[合成例29](UA-29の作製)
攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、末端水酸化水添ポリブタジエン(日本曹達株式会社製GI3000、数平均分子量3,100)4650g(1.5mol)、イソホロンジイソシアネート555.5g(2.5mol)、イソボロニルアクリレート1301g、及び、ハイドロキノンモノメチルエーテル1.8gを仕込み、70℃まで昇温させ、70℃で3時間攪拌した。その後、2-ヒドロキシエチルアクリレート(日本触媒株式会社製BHEA、分子量116)58g(0.50mol)をさらに加え、さらに、70℃で2時間反応させた。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間に末端水酸化水添ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-29を得た。
【0185】
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートの量の比率は、第1段階の反応で得られた中間体(ウレタン化合物)の両末端のイソシアネート基の合計量の25モル%に相当した。すなわち、ウレタンアクリレート化合物における遊離アクリロイル基と、遊離イソシアネート基との合計量に対する、遊離アクリロイル基の量の比率が25モル%、遊離イソシアネート基の量の比率が75モル%となるように、2-ヒドロキシエチルアクリレートの仕込み量を設定した。このとき、遊離イソシアネート基の比率を質量で表わすと、0.97質量%に相当する。
【0186】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様の滴定法で測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率の理論値が0.97質量%であるのに対し、実測値が0.95質量%であり、理論値と実測値とが略一致した。この結果、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0187】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様のFT-IR測定によって測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率の理論値が75モル%であるのに対し、実測値が73.5モル%であった(遊離アクリロイル基の量:26.5モル%)。この結果からも、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0188】
[合成例30](UA-30の作製)
希釈モノマーをイソボロニルアクリレートから、ジエチルアクリルアミドに変えた以外は合成例29と同様に合成する事でUA-30を得た。
【0189】
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートの量の比率は、第1段階の反応で得られた中間体(ウレタン化合物)の両末端のイソシアネート基の合計量の25モル%に相当した。すなわち、ウレタンアクリレート化合物における遊離アクリロイル基と、遊離イソシアネート基との合計量に対する、遊離アクリロイル基の量の比率が25モル%、遊離イソシアネート基の量の比率が75モル%となるように、2-ヒドロキシエチルアクリレートの仕込み量を設定した。このとき、遊離イソシアネート基の比率を質量で表わすと、0.97質量%に相当する。
【0190】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様の滴定法で測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率の理論値が0.97質量%であるのに対し、実測値が0.96質量%であり、理論値と実測値とが略一致した。この結果、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0191】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様のFT-IR測定によって測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率の理論値が75モル%であるのに対し、実測値が74モル%であった(遊離アクリロイル基の量:26モル%)。この結果からも、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0192】
[合成例31](UA-31の作製)
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートを58g(0.50mol)に変更した点以外は、合成例13と同様の操作を行った。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間にPTMGに由来する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-31を得た。
【0193】
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートの量の比率は、第1段階の反応で得られた中間体(ウレタン化合物)の両末端のイソシアネート基の合計量の25モル%に相当した。すなわち、ウレタンアクリレート化合物における遊離アクリロイル基と、遊離イソシアネート基との合計量に対する、遊離アクリロイル基の量の比率が25モル%、遊離イソシアネート基の量の比率が75モル%となるように、2-ヒドロキシエチルアクリレートの仕込み量を設定した。このとき、遊離イソシアネート基の比率を質量で表わすと、0.93質量%に相当する。
【0194】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様の滴定法で測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率の理論値が0.93質量%であるのに対し、実測値が0.91質量%であり、理論値と実測値とが略一致した。この結果、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0195】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様のFT-IR測定によって測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率の理論値が75モル%であるのに対し、実測値が73.4モル%であった(遊離アクリロイル基の量:26.6モル%)。この結果からも、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0196】
[合成例32](UA-32の作製)
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートを58g(0.50mol)に変更した点以外は、合成例15と同様の操作を行った。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間にPEGに由来する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-32を得た。
【0197】
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートの量の比率は、第1段階の反応で得られた中間体(ウレタン化合物)の両末端のイソシアネート基の合計量の25モル%に相当した。すなわち、ウレタンアクリレート化合物における遊離アクリロイル基と、遊離イソシアネート基との合計量に対する、遊離アクリロイル基の量の比率が25モル%、遊離イソシアネート基の量の比率が75モル%となるように、2-ヒドロキシエチルアクリレートの仕込み量を設定した。このとき、遊離イソシアネート基の比率を質量で表わすと、0.93質量%に相当する。
【0198】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様の滴定法で測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率の理論値が0.93質量%であるのに対し、実測値が0.90質量%であり、理論値と実測値とが略一致した。この結果、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0199】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様のFT-IR測定によって測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率の理論値が75モル%であるのに対し、実測値が72.6モル%であった(遊離アクリロイル基の量:27.4モル%)。この結果からも、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0200】
[合成例33](UA-33の作製)
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートを11.6g(0.1mol)に変更した点以外は、合成例1と同様の操作を行った。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間に末端水酸化ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-33を得た。
【0201】
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートの量の比率は、第1段階の反応で得られた中間体(ウレタン化合物)の両末端のイソシアネート基の合計量の5モル%に相当した。すなわち、ウレタンアクリレート化合物における遊離アクリロイル基と、遊離イソシアネート基との合計量に対する、遊離アクリロイル基の量の比率が5モル%、遊離イソシアネート基の量の比率が95モル%となるように、2-ヒドロキシエチルアクリレートの仕込み量を設定した。このとき、遊離イソシアネート基の比率を質量で表わすと、1.25質量%に相当する。
【0202】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様の滴定法で測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率の理論値が1.25質量%であるのに対し、実測値が1.30質量%であり、理論値と実測値とが略一致した。この結果、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0203】
得られたウレタンアクリレート化合物の末端に残存する遊離イソシアネート基の量を、合成例1と同様のFT-IR測定によって測定したところ、遊離イソシアネート基の上記比率の理論値が95モル%であるのに対し、実測値が94.8モル%であった(遊離アクリロイル基の量:5.2モル%)。この結果からも、遊離イソシアネート基及び遊離アクリロイル基の比率について、理論値と実測値とが略一致することがわかった。
【0204】
[第1実施例](ワイヤーハーネスにおける接続部分の被覆用途)
合成例1~26の重合性樹脂組成物に、さらに下記の成分を添加して、各実施例及び比較例の重合性樹脂組成物を作製した。
【0205】
[実施例1]
合成例1で得られたUA-1 100部に、光重合開始剤として、1―ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製イルガキュア184)3部、及び、ジモルホリノジエチルエーテル三井化学ファイン社製DMDEE)0.1部を加え、均一に溶解させて、重合性樹脂組成物を得た。
【0206】
[実施例2~16,比較例1~10]
UA-1を、下記表1に示すUA-2~26に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2~16および比較例1~10の重合性樹脂組成物を得た。
【0207】
各実施例及び比較例で得られた重合性樹脂組成物を下記の方法で重合して硬化させ、下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0208】
[使用した基材]
アルミニウム製の基材として、JIS規格に規定されたA1050P(TP技研社製)を使用した。
銅製の基材として、JIS規格に規定されたC1020P(TP技研社製)を使用した。
樹脂製の基材として、PETフィルム(ルミラー、T-60、100μm、東レ社製)を用いた。
樹脂製の基材として、厚み1mmの軟質塩化ビニルフィルムを使用した。
【0209】
[硬化装置]
重合性樹脂組成物を硬化させる硬化装置として、紫外線(UV)照射装置を使用した。該UV照射装置として、メタルハライドランプを装着したベルトコンベアー式UV硬化装置(商品名CSN2-40A、GSユアサ社製)を使用した。照射条件は、積算照度を200mJ/cmとした。
【0210】
[硬化条件]
特に条件の明示がない場合、重合性樹脂組成物に積算照度200mJ/cmで紫外線を照射して該重合性樹脂組成物を硬化させた後、得られた硬化物を85℃で5分間加熱した。
【0211】
[貯蔵安定性]
各実施例及び比較例で得られた重合性樹脂組成物(試料)をガラス製密閉容器に入れ、50℃の恒温庫内にて3ヶ月保管し、加熱で劣化を促進させた後の粘度の変化を確認した。粘度の測定は、コーンプレート型粘度計によって行った(測定温度25℃)。
加熱開始前(初期値)に対する加熱後の粘度の変化が、10%以内の場合、貯蔵安定性が優れていると評価して「◎」で表わし、10%を超えて20%以内の場合、貯蔵安定性が良好であると評価して「○」で示し、20%を超える場合、やや貯蔵安定性が良好であると評価して「△」で示し、重合が生じてゲル化した場合、貯蔵安定性が不良であると評価して「×」で示した。
【0212】
[密着性]
各実施例及び比較例で得られた重合性樹脂組成物を、それぞれ、上記した各基材上に、アプリケーターを用いて100μmの膜厚で塗布した後、紫外線を照射して各重合性樹脂組成物を硬化させた(試料)。
各試料における基材上の硬化物(硬化物層)に対して、JIS-K5600-5-6に規定された碁盤目試験を行い、残存したマス数を密着性とした。
【0213】
[ゲル分率]
各実施例及び比較例で得られた重合性樹脂組成物を、それぞれ、PETフィルム上に、アプリケーターを用いて100μmの膜厚で塗布した後、紫外線を照射して硬化させた(試料)。試料を、塩化メチレンに18時間浸漬した後、取り出して回収し、乾燥させた。
浸漬後の硬化物の質量減少分を、浸漬前の硬化物の質量から差し引くことによって、重合性樹脂組成物のうち硬化(架橋)した分の質量を算出し、この質量の、浸漬前の質量に対する百分率を、ゲル分率として算出した。すなわち、浸漬前の質量をA、浸漬・乾燥後の質量をBとし、100-(A-B)×100/Aで示される計算式によって、ゲル分率を算出した。
【0214】
[表面固有抵抗値]
各実施例及び比較例で得られた重合性樹脂組成物を、それぞれ、PETフィルム上に100μmの膜厚で塗布した後、紫外線を照射して硬化させた(試料)。その後、温度85℃、湿度85%RHの恒温恒湿オーブン内に、試料を0時間~500時間設置した後、所定時間毎に該オーブンから取り出し、室温20℃、湿度60%RHの環境下にて1時間放置・調湿した後の試料の表面固有抵抗値を測定した。測定は、オーブンへの設置前の試料(初期値)、設置後100時間経過した試料、及び、設置後500時間経過した試料について実施した。表面固有抵抗は、川口電機製作所製のR-503によって測定した。
【0215】
[耐熱性]
各実施例及び比較例で得られた重合性樹脂組成物を、軟質塩化ビニルフィルム上に100μmの膜厚で、アプリケーターを用いて塗布した後、紫外線を照射して硬化させた(試料)。その後、150℃の空気雰囲気下に設定されたオーブン内に、24~300時間放置し、表1に示す所定時間毎に取り出し、取り出した試料の屈曲性を評価した。
屈曲性の評価は、各時間経過後に試料を取り出し、取り出した試料を90度、180度の角度となるように繰り返し折り曲げを行った際の、基材の脆化による割れ・破断、塗膜の剥離の有無を確認した。
基材の脆化による割れ・破断も、塗膜の剥離も発生しなかった場合、耐熱性が優れていると評価して「◎」で示し、塗膜の剥離は無いものの基材に亀裂が入った場合、耐熱性が良好であると評価して「○」で示し、基材の割れ・破断、及び、塗膜の剥離が発生した場合、耐熱性が不良であると評価して「×」と示した。
【0216】
[屈曲性]
各実施例及び比較例で得られた重合性樹脂組成物を、PETフィルム上に、100μmの膜厚で、アプリケーターを用いて塗布した後、窒素雰囲気下で、紫外線を照射して硬化させた(試料)。その後、試料について、JIS K5600-5-1-2013に従って耐屈曲性(円筒形マンドレル法)を評価し、塗膜の割れが発生した際のマンドレルの直径(mm)を記録した。
【0217】
[流動性1]
各実施例及び比較例で得られた重合性樹脂組成物を、紫外線を照射することなく、ガラス製ビーカーに厚さ100μmになる様に仕込み(試料)、温度85℃、湿度85%RHの恒温恒湿オーブン内に、試料を0.5時間~24時間放置し、表1に示す所定時間毎に試料を取り出し、取り出した試料の流動の有無、及び、指で触わること(指触)によるタックの有無を確認した。
流動の有無については、室温20℃まで冷却後、ビーカー底面の試料面が垂直方向になる様にビーカーを保持し、1時間後に試料が流動している場合を、流動性有り、そうでない場合を流動無しとした。
流動もタックも無い場合、流動性が良好であると評価して「◎」と示し、タックが有るが流動が無い場合、流動性が良好であると評価して「○」と示し、タックも流動も有る場合、流動性が不良であると評価して「×」と示した。
【0218】
[流動性2]
恒温恒湿オーブンを温度25℃、湿度60%に設定したこと以外は[流動性1]と同様にして、流動性を評価した。
流動もタックも無い場合、流動性が良好であると評価して「◎」と示し、タックが有るが流動が無い場合、流動性が良好であると評価して「○」と示し、タックも流動も有る場合、流動性が不良であると評価して「×」と示した。
【0219】
【表1】
【0220】
[評価結果]
実施例1~12、14~16のウレタンアクリレート化合物では、硬化物の主骨格を構成する成分となるジオールとして、末端水酸化ポリブタジエンまたは末端水酸化水添ポリブタジエンを用い、これらをそれぞれイソホロンジイソシアネート(IPDI)及びヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)で、両末端にイソシアネート基を有するようにウレタン化する第1段階の反応を行った後、アクリロイル基またはメタクリロイル基によって一方の末端を封鎖する第2段階の反応において、2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)または2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)の量を変更することによって、末端のイソシアネート基の量を調整した。
また、実施例13では、第1段階の反応において、イソボロニルアクリレートに代えてテトラヒドロフルフリルアクリレートを希釈剤として用いて、ウレタンアクリレート化合物を生成した。
【0221】
表1に示すように、分子内の一方の末端にアクリロイル基(重合性を有した二重結合)を有し、他方の末端にイソシアネート基を有し、両末端間に共役ジエン系ポリマーポリオール等に起因する基を有する実施例1~16、比較例5~8は、その重合性樹脂組成物が、貯蔵安定性に優れ、かつ硬化させた硬化物が、ゲル分率、表面固有抵抗、密着性、耐熱性、屈曲性及び流動性に優れるものであった。
これに対し、上記両末端間に共役ジエン系ポリマーポリオール等に起因する基を有しない比較例1~4の重合性樹脂組成物、及び、両末端にアクリロイル基を有する(末端にイソシアネート基を有さない)比較例9、10の重合性樹脂組成物は、実施例1~16、比較例5~8よりも、その硬化物が上記各特性において劣る傾向にあった。
【0222】
実施例1と比較例9とを比較すると、主骨格は同一でありながら、両末端の一方の末端にアクリロイル基を導入する(すなわち、他方の末端のイソシアネート基を残す)ことによって、特に、金属に対する密着性が顕著に向上することがわかった。
【0223】
実施例2と比較例10とを比較すると、両末端にアクリロイル基を導入した比較例10の化合物に、遊離イソシアネート基が実施例2と同程度となるようにイソシアネートを添加しても、金属に対する密着性は向上しなかった。この理由として、比較例10では、重合性樹脂組成物が硬化する際、イソシアネートが単純にホモポリマー化するのみであり、主骨格であるウレタンアクリレート化合物と金属との親和性に関与しないことによるものと考えられる。
【0224】
各評価項目についての結果は以下の通りである。
貯蔵安定性については、経時的な粘度の上昇が少ない程、安定であるといえる。
表1に示すように、実施例1~16においては、経時的な粘度の上昇が少なく、安定である傾向にあった。また、ウレタンアクリレート化合物中の遊離イソシアネート基の量が少ない程、安定である傾向にあった。
一方、グリコール系の構造を主骨格内に有する比較例1~4においては、実施例1~16よりも経時的に粘度が上昇する傾向にあった。この理由としては、グリコールに由来する構造を有する骨格自体が、ブタジエンや水添ブタジエン等のアルキル系の骨格に比べて、耐熱性が低く、このため、比較例1~4の方が、分解による低分子量化、架橋点の増加による影響を受け易いことによるものと考えられる。
【0225】
ゲル分率については、十分に紫外線が照射されれば、実施例1~16、比較例1~10のいずれにおいても、概ね十分な値が示される傾向にあった。
【0226】
表面固有抵抗については、実施例1~16の方が、比較例1~4よりも、加温・加湿条件下での表面固有抵抗が高く、絶縁性に優れていることがわかった。
【0227】
密着性については、実施例1~16の方が、比較例1~4よりも、金属との密着性に優れていることがわかった。また、実施例1~16、比較例1~4のいずれも、塩化ビニルとの密着性に優れていた。
【0228】
耐熱性は、加熱条件下での塩化ビニルの脆化を抑制し得る性能に相当するが、この耐熱性についても、上記共役ジエン系ポリマーポリオール等に起因する基を有する実施例1~16の方が、この基を有さない比較例1~4よりも、優れた耐久性を有することがわかった。すなわち、実施例1~16であると、150℃という高温環境下において長時間にわたり塩化ビニルを脆化させず、耐熱性に優れていた。
また、実施例1~3と実施例4~6との比較から、ポリイソシアネートとしてイソホロンジイソシアネートを出発物質として用いた場合には、ヘキサメチレンジイソシアネートを用いた場合よりも、塩化ビニルの脆化を、より十分に抑制し得る傾向にあることがわかった。
【0229】
屈曲性については、上記共役ジエン系ポリマーポリオール等に起因する基を有する実施例1~12の硬化物の方が、この基を有さない比較例1~4の硬化物よりも、屈曲性に優れていることがわかった。硬化物の割れが優れた耐久性を有することがわかった。
【0230】
紫外線が十分に照射されない状態での硬化、すなわち暗部での硬化(暗部硬化)を想定した、流動性の試験においては、温度及び湿度が高い流動性(1)の試験では、紫外線を照射しなくても(すなわち、暗部においても)、実施例1~16、比較例1~4のいずれも硬化を達成し得た。また、室内環境に近い条件での硬化性(重合性)を確認した流動性(2)の試験においても、一定の湿度環境下に置かれれば、紫外線を照射しなくても、硬化が達成され得ることがわかった。この流動性(2)の試験では、実施例1~16の方が比較例1~4よりも、硬化し易い傾向にあった。
また、湿度環境下での硬化のし易さについては、遊離イソシアネート基の量との相関が見られた。
【0231】
よって、一方の末端に(メタ)アクリロイル基、他方の末端にイソシアネート基を有するウレタンアクリレート化合物を含有する重合性樹脂組成物は、紫外線が十分に照射されない条件下においても、硬化し易いことがわかった。このことから、例えば、束ねた電線を用いてワイヤーハーネスを製造するにあたり、塗布された重合性樹脂組成物に紫外線を照射する際、紫外線が影になってしまう等によって紫外線が照射され難い部分や、比較的厚く塗布された重合性樹脂組成物の深部といった紫外線が照射され難い部分が生じても、これら部分をより十分に硬化し得ることがわかった。
【0232】
実施例1~3、比較例5、6においての比較、及び、実施例4~6、比較例7、8においての比較から、遊離イソシアネート基の比率が50~87.5モル%の範囲にあると、この範囲を外れる場合よりも、密着性及び耐熱性の双方を向上させ得ることがわかった。また、これら以外の特性についても優れる傾向にあった。
【0233】
実施例1~3と、実施例14~16との比較から、水酸基を有するメタクリレートを用いた場合においても、水酸基を有するアクリレートを用いた場合と同様に、各特性において優れる結果が得られ得ることがわかった。
【0234】
以上の結果、一方の末端に(メタ)アクリロイル基、他方の末端にイソシアネート基、両末端間に上記共役ジエン系ポリマーポリオール等に起因する基を有するウレタンアクリレート化合物を含有する重合性樹脂組成物は、金属に対する密着性に優れ、絶縁性の向上や塩化ビニルの脆化抑制といった点での耐湿熱性に優れるのみならず、貯蔵安定性を維持しつつ、重合性(硬化性)にも優れた重合性樹脂組成物が得られることがわかった。
また、かかる重合性樹脂組成物は、紫外線が十分に照射されない暗部においても優れた硬化性を有するため、自動車の配線や、その他の電気配線等の絶縁材料として好適であることがわかった。
【0235】
[第2実施例](回路基板の被覆用途)
合成例1~4,7~10,18,27~33の重合性樹脂組成物に、さらに下記の成分を添加して、各実施例及び比較例の重合性樹脂組成物を作製した。
【0236】
[実施例21]
合成例1で得られたUA-1 100部に、光重合開始剤として、1―ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製イルガキュア184)3部、及び、ジモルホリノジエチルエーテル(三井化学ファイン社製DMDEE)0.1部を加え、均一に溶解させて、重合性樹脂組成物を得た。
【0237】
[実施例22~32,比較例21~24]
UA-1を、下記表2に示すUA-2~4,7~10,18,27~33に変更した以外は実施例21と同様にして、実施例22~32および比較例21~24の重合性樹脂組成物を得た。
【0238】
各実施例及び比較例で得られた重合性樹脂組成物を下記の方法で重合して硬化させ、下記の方法で評価した。結果を表2に示す。
【0239】
[使用した基材]
銅製の基材として、JIS規格に規定されたC1020P(TP技研社製)を使用した。
ガラスエポキシ基板としては、グリーンエポキシ材E568(日立化成製)を使用した。その他の基材については、第1実施例と同じ。
【0240】
[硬化装置]
重合性樹脂組成物を硬化させる硬化装置として、紫外線(UV)照射装置を使用した。該UV照射装置として、メタルハライドランプを装着したベルトコンベアー式UV硬化装置(商品名CSN2-40A、GSユアサ社製)を使用した。照射条件は、積算照度を400mJ/cmとした。
【0241】
[硬化条件]
特に条件の明示がない場合、紫外線硬化条件としては、重合性樹脂組成物に積算照度400mJ/cmで紫外線を照射して該重合性樹脂組成物を硬化させた。
湿気硬化併用による硬化条件としては、上記条件で紫外線硬化させた後に、室温25℃、湿度60%RHの調湿環境に24時間静置した。
【0242】
[貯蔵安定性]
第1実施例と同じ方法で評価した。
【0243】
[粘度]
各実施例及び比較例で得られた重合性樹脂組成物の粘度を、コーンプレート型粘度計によって測定した。測定温度は、25℃と40℃とした。
【0244】
[密着性]
各実施例及び比較例で得られた重合性樹脂組成物を、それぞれ、銅基材及びガラスエポキシ基材上に、アプリケーターを用いて100μmの膜厚で塗布した後、紫外線を照射して各重合性組成物を硬化させた(試料)。また、湿気硬化併用による硬化条件で硬化させた試料も作製した。
各試料における基材上の硬化物(硬化物層)に対して、JIS-K5600-5-6に規定された碁盤目試験を行い、残存したマス数を密着性とした。
【0245】
[ゲル分率]
各実施例及び比較例で得られた重合性樹脂組成物を、それぞれ、PETフィルム上に、アプリケーターを用いて100μmの膜厚で塗布した後、紫外線を照射して硬化させた(試料)。また、湿気硬化併用による硬化条件で硬化させた試料も作製した。各試料について、第1実施例に記載の評価方法と同様の方法でゲル分率を算出した。
【0246】
[引張試験]
離型紙上に、アプリケーターを用いて100μmの膜厚で塗布した後、紫外線を照射して硬化させる事で、硬化フィルムを作成した。作成したフィルムを長さ5cm、幅0.5mmの短冊状に切断した。切断した試験片を、島津社製のオートグラフ(精密万能試験機)にて引っ張り試験(引張速度:50mm/分)を行い、試験片が破断した際の伸度と強度を記録した。
【0247】
[表面固有抵抗値]
各実施例及び比較例で得られた重合性樹脂組成物を、それぞれ、PETフィルム上に100μmの膜厚で塗布した後、紫外線を照射して硬化させた(試料)。その後、温度85℃、湿度85%RHの恒温恒湿オーブン内に、試料を500時間設置した後、オーブンから取り出し、室温20℃、湿度60%RHの環境下にて1時間放置・調湿した後の試料の表面固有抵抗値を測定した。測定は、オーブンへの設置前の試料(初期値)についても実施した。表面固有抵抗は、川口電機製作所製のR-503によって測定した。
【0248】
[マイグレーション試験]
各実施例及び比較例で得られた重合性樹脂組成物を、それぞれ、JIS Z3284-3に従い、II型くし型電極上にコーティングした後、紫外線を照射し硬化させることにより、膜厚30μmで硬化膜(試料)を作成した。また、湿気硬化併用による硬化条件で硬化させた試料も作製した。各試料について、温度80℃、湿度95%RHの環境下、電圧100Vにて1000時間の印加を行い、抵抗値の変化を確認した。絶縁抵抗値の変化と外観の腐食有無を評価した。
抵抗値が10Ωを維持するものは「〇」、10Ωは維持できないが10Ωを維持するものは「△」、10Ω以下になるものは「×」とした。
マイグレーション試験後の外観は目視で評価した。被覆樹脂に、異常が無いものを「〇」とした。肉やせ、ひび割れが発生しているものや、くしの間を短絡する錆が発生しているものを「×」とした。
【0249】
[透湿度]
JIS Z0208に従って、硬化膜の透湿度を測定した。離型紙を基材とし、膜厚50μmに塗布した後、400mJ/cmの紫外線照射にて硬化させて、試験片を作成した。
【0250】
【表2】
【0251】
[評価結果]
【0252】
表2に示すように、分子内の一方の末端にアクリロイル基を有し、他方の末端にイソシアネート基を有し、両末端間に共役ジエン系ポリマーポリオール等に起因する基を有する実施例21~32は、その重合性樹脂組成物が貯蔵安定性に優れ、かつ硬化させた硬化物が、透湿度、ゲル分率、引張特性、密着性、表面固有抵抗及び耐湿熱性(マイグレーション試験)に優れるものであった。
より詳細には、実施例21~32であると、銅基材とガラスエポキシ基材の双方に対して高い密着性を有するとともに、透湿度が低く、高温高湿条件に放置した後の表面固有抵抗値が高く、マイグレーション試験での抵抗値の変化も小さいことから、高温高湿条件下においても高い電気絶縁性を有しており、耐湿熱性に優れることがわかった。
また、紫外線による硬化でも十分な特性が発揮できるだけでなく、湿気硬化併用時にも密着性などの物性変化が小さかった。また、重合性樹脂組成物の保存安定性にも優れていた。
そのため、実施例21~32の重合性樹脂組成物は、回路基板の被覆保護に好適に用いられることがわかる。
【0253】
これに対し、上記両末端間に共役ジエン系ポリマーポリオール等に起因する基を有しない比較例21及び22の重合性樹脂組成物では、その硬化物が上記各特性において劣る傾向にあった。比較例23では、ウレタンアクリレート化合物におけるイソシアネート基の量が多すぎて貯蔵安定性に劣るとともに、アクリロイル基の量が少なすぎて紫外線硬化後に膜形状を維持することができなかった。比較例24では、ウレタンアクリレート化合物におけるイソシアネート基の量が少なく、密着性に劣っていた。
【0254】
実施例21と実施例24との比較、及び、実施例26と実施例29との比較から、ウレタンアクリレート化合物を構成する共役ジエン系ポリマーポリオール等の分子量が大きいほど、重合性樹脂組成物の粘度を低くことがわかった。
【0255】
実施例24と実施例25との比較、及び、実施例29と実施例30との比較から、希釈剤として非環式(メタ)アクリレートを用いることにより、透湿度を悪化させることなく、重合性樹脂組成物の粘度を下げることができ、また、硬化物の伸度を高められることがわかった。