(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-22
(45)【発行日】2022-08-01
(54)【発明の名称】車両情報表示システム
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20220725BHJP
B60R 16/023 20060101ALI20220725BHJP
B60R 16/03 20060101ALI20220725BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20220725BHJP
H02J 50/12 20160101ALI20220725BHJP
H02J 50/80 20160101ALI20220725BHJP
H02J 50/90 20160101ALI20220725BHJP
【FI】
B60R16/02 620B
B60R16/023 Z
B60R16/03 Z
B60K35/00 Z
H02J50/12
H02J50/80
H02J50/90
(21)【出願番号】P 2018086551
(22)【出願日】2018-04-27
【審査請求日】2021-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 圭祐
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-011734(JP,A)
【文献】特開2002-272019(JP,A)
【文献】特開2010-250530(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0355656(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
B60R 16/023
B60R 16/03
B60K 35/00
H02J 50/12
H02J 50/80
H02J 50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力の供給源であり、非接触で電力を伝送可能である第1電力伝送コイル、非接触で信号を伝送可能である第1信号伝送コイル、及び、前記第1電力伝送コイルと第1信号伝送コイルとが設けられ嵌合凹部が形成された第1ケースを有するマスタ側機器と、
前記マスタ側機器からの電力の供給先であり、車両情報を表示可能な表示部、前記第1電力伝送コイルと非接触で電力を伝送可能である第2電力伝送コイル、前記第1信号伝送コイルと非接触で信号を伝送可能である第2信号伝送コイル、及び、前記表示部と前記第2電力伝送コイルと第2信号伝送コイルとが設けられ前記嵌合凹部に嵌合可能である第2ケースを有するメータ機器とを備え、
前記マスタ側機器と前記メータ機器とは、前記第1ケースの前記嵌合凹部と前記第2ケースとが相互に嵌合した状態で前記第1電力伝送コイルと前記第2電力伝送コイルとが
前記嵌合凹部と前記第2ケースとの嵌合方向に沿って対向し、前記第1信号伝送コイルと前記第2信号伝送コイルとが
前記嵌合方向と直交する方向に沿って対向した位置関係となることを特徴とする、
車両情報表示システム。
【請求項2】
前記マスタ側機器は、定期的に前記メータ機器側に、前記第1電力伝送コイルを介した電力の送電、及び、前記第1信号伝送コイルを介した接続要求の送信を行うマスタ側制御部を有し、
前記メータ機器は、前記マスタ側機器から、前記第2電力伝送コイルを介して受電した電力に応じて動作し、前記第2信号伝送コイルを介して受信した前記接続要求に応答するメータ側制御部を有し、
前記マスタ側制御部、及び、前記メータ側制御部は、当該メータ側制御部による応答後に前記表示部での表示に必要なデータの送受信を行う、
請求項1に記載の車両情報表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両情報表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に適用される従来の車両情報表示システムとして、例えば、特許文献1には、車両の各種状態を示す状態表示と、車両において発生した警報状態を示す警報表示とを行う車両用表示システムが開示されている。車両用表示システムは、状態表示を行う状態表示ユニットと警報表示を行う警報表示ユニットとを、各々個別のハウジングに収容することで互いに分離して構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の特許文献1に記載の車両用表示システムは、例えば、車両の使用態様の多様化に伴い、車両情報を表示する部分を利用者の好みや必要等に応じて変更し易い構成にすることが望まれている。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、車両情報を表示する部分を容易に交換することができる車両情報表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る車両情報表示システムは、電力の供給源であり、非接触で電力を伝送可能である第1電力伝送コイル、非接触で信号を伝送可能である第1信号伝送コイル、及び、前記第1電力伝送コイルと第1信号伝送コイルとが設けられ嵌合凹部が形成された第1ケースを有するマスタ側機器と、前記マスタ側機器からの電力の供給先であり、車両情報を表示可能な表示部、前記第1電力伝送コイルと非接触で電力を伝送可能である第2電力伝送コイル、前記第1信号伝送コイルと非接触で信号を伝送可能である第2信号伝送コイル、及び、前記表示部と前記第2電力伝送コイルと第2信号伝送コイルとが設けられ前記嵌合凹部に嵌合可能である第2ケースを有するメータ機器とを備え、前記マスタ側機器と前記メータ機器とは、前記第1ケースの前記嵌合凹部と前記第2ケースとが相互に嵌合した状態で前記第1電力伝送コイルと前記第2電力伝送コイルとが対向し、前記第1信号伝送コイルと前記第2信号伝送コイルとが対向した位置関係となることを特徴とする。
【0007】
また、上記車両情報表示システムでは、前記マスタ側機器は、定期的に前記メータ機器側に、前記第1電力伝送コイルを介した電力の送電、及び、前記第1信号伝送コイルを介した接続要求の送信を行うマスタ側制御部を有し、前記メータ機器は、前記マスタ側機器から、前記第2電力伝送コイルを介して受電した電力に応じて動作し、前記第2信号伝送コイルを介して受信した前記接続要求に応答するメータ側制御部を有し、前記マスタ側制御部、及び、前記メータ側制御部は、当該メータ側制御部による応答後に前記表示部での表示に必要なデータの送受信を行うものとすることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る車両情報表示システムは、電力の供給源であるマスタ側機器が第1電力伝送コイル、第1信号伝送コイル、及び、第1ケースを有して構成される。また、車両情報表示システムは、マスタ側機器からの電力の供給先であるメータ機器が表示部、第2電力伝送コイル、第2信号伝送コイル、及び、第2ケースを有して構成される。そして、車両情報表示システムは、第1ケースの嵌合凹部と第2ケースとが相互に嵌合した状態で、第1電力伝送コイルと第2電力伝送コイルとが対向し、第1信号伝送コイルと第2信号伝送コイルとが対向した位置関係となる。この構成により、車両情報表示システムは、第1電力伝送コイルと第2電力伝送コイルとが相互に非接触で電力を伝送することができ、第1信号伝送コイルと第2信号伝送コイルとが相互に非接触で信号を伝送することができる。この結果、車両情報表示システムは、メータ機器の第2ケースをマスタ側機器の第1ケースの嵌合凹部に嵌合することで、メータ機器とマスタ側機器との間で、容易に電力、及び、信号を伝送可能な状態に接続することができる。この結果、車両情報表示システムは、車両情報を表示する部分を容易に交換することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る車両情報表示システムの概略構成を表す模式的なブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る車両情報表示システムの概略構成を表す模式的な断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る車両情報表示システムの概略構成を表す模式的な分解斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る車両情報表示システムの概略構成を表す模式的な斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る車両情報表示システムにおける制御の一例を表すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施形態に係る車両情報表示システムの使用態様の一例を表す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。なお、
図2、
図3、
図4は、第1ケースの一部を省略して図示している。
【0011】
[実施形態]
図1に示す車両情報表示システム1は、車両に適用され、種々の車両情報の表示を行うためのシステムである。車両情報表示システム1は、電源からの電力を車両情報の表示機器側に伝送する際に、少なくとも一部分をワイヤレス化し、非接触電力伝送とするワイヤレス給電システムである。本実施形態の車両情報表示システム1は、電源側の機器と表示機器との間で、電力、及び、信号の双方を非接触で伝送する構成とされることで、車両情報を表示する部分を利用者の好みや必要等に応じて交換、変更しカスタマイズし易い構成としたものである。車両情報表示システム1は、
図1に示す構成要素を車両に搭載することで実現される。以下、各図を参照して車両情報表示システム1の各構成について詳細に説明する。
【0012】
具体的には、車両情報表示システム1は、
図1に示すように、マスタ側機器10と、メータ機器20とを備える。マスタ側機器10とメータ機器20とは、上述したように、電力、及び、信号を非接触で伝送可能に接続される。本実施形態の車両情報表示システム1は、例えば、メータ機器20として、複数のメータ機器20A、20Bからいずれかを適宜選択して使用可能に構成される。車両情報表示システム1で使用されるメータ機器20は、複数のメータ機器20A、20Bから適宜選択し、交換、変更可能である。なお、以下の説明では、メータ機器20Aとメータ機器20Bとを特に区別して説明する必要がない場合には、単に「メータ機器20」という場合がある。
【0013】
マスタ側機器10は、メータ機器20への電力の供給源である。マスタ側機器10は、上述の電源側の機器に相当し、言い換えれば、送電(給電)側機器に相当する。マスタ側機器10は、例えば、電源線L1、接地(GND)線L2、通信線L3等を介して、バッテリや発電機等の電源、当該電源からの電力を各部に分配する電源分配機能部品、電力供給や信号通信を制御する制御機能部品等と接続される。電源線L1は、各部を駆動させる電力を伝送するための配索体である。接地線L2は、いわゆるアース(接地)をとるための配索体である。通信線L3は、各種通信信号を伝送するための配索体である。
【0014】
メータ機器20は、マスタ側機器10からの電力の供給先であり、マスタ側機器10に対するスレーブ側機器を構成する。メータ機器20は、上述の表示機器に相当し、言い換えれば、受電側機器に相当する。メータ機器20は、表示部26を有し、当該表示部26がマスタ側機器10からの電力によって駆動し車両情報を表示可能である。表示部26によって表示される車両情報は、例えば、車両の速度、走行用動力源の出力回転数、積算走行距離、冷却水温、燃料残量、バッテリ蓄電量、各種の警告灯(ウォーニングランプ、いわゆるテルテール)、シフトポジション、方向指示方向、ナビゲーション情報等を含んでいてもよい。メータ機器20は、車両の製造時に当該車両に設置されるものであってもよいし、車両の製造後に後付けで車両に設けられるいわゆるアフター品やカスタマイズメータ等を構成するものであってもよい。ここでは、一例として、メータ機器20Aは、アナログ計器であり、表示部26としてアナログ式の表示部26Aを有する。表示部26Aは、車両情報として、車両に関する種々の計測値を指針26Aa(
図3等参照)によってアナログ式で表示する。一方、メータ機器20Bは、デジタル計器であり、表示部26としてデジタル式の表示部26Bを有する。表示部26Bは、車両情報として、車両に関する種々の計測値をディスプレイ(LCD)26Baの画像によってデジタル式で表示する。メータ機器20A、20Bは、例えば、速度計、回転計、水温計、油圧計、ブースト計等を構成する。なお、以下の説明では、表示部26Aと表示部26Bとを特に区別して説明する必要がない場合には、単に「表示部26」という場合がある。
【0015】
そして、マスタ側機器10は、第1電力伝送コイル11、第1信号伝送コイル12、第1磁性体13、第1電子回路14、及び、第1ケース15を有する。一方、メータ機器20は、第2電力伝送コイル21、第2信号伝送コイル22、第2磁性体23、第2電子回路24、及び、第2ケース25を有する。マスタ側機器10、メータ機器20は、この他、第1電力伝送コイル11、第1信号伝送コイル12、第2電力伝送コイル21、第2信号伝送コイル22等が設けられる部分を除いて、金属材料によって形成され電磁波(電磁力)を遮蔽することでノイズ対策部品として機能するシールド部材等を有して構成されてもよい。
【0016】
第1電力伝送コイル11は、第2電力伝送コイル21と非接触で電力を伝送可能な導体コイルである。第2電力伝送コイル21は、第1電力伝送コイル11と非接触で電力を伝送可能な導体コイルである。つまり、第1電力伝送コイル11と第2電力伝送コイル21とは、相互間で非接触で電力を伝送可能である。第1電力伝送コイル11、第2電力伝送コイル21は、例えば、いわゆるスパイラル型の導体コイルによって構成されてもよいし、ソレノイド(ヘリカル)型の導体コイルによって構成されてもよい。スパイラル型の導体コイルは、導電性を有する素線が中心軸線を中心として当該中心軸線周りに渦巻状に巻き回されて形成される。一方、ソレノイド型の導体コイルは、導電性を有する素線が中心軸を中心として当該中心軸線周りに螺旋状に巻き回されて形成される。ここでは、第1電力伝送コイル11、第2電力伝送コイル21は、例えば、中心軸線C(
図2、
図3、
図4等参照)周りに渦巻状に巻き回されて形成されたスパイラル型の導体コイルによって構成される。第1電力伝送コイル11と第2電力伝送コイル21とは、互いに対向した状態で、電磁誘導方式、電磁界共鳴方式等、種々の方式によって非接触で電力を伝送することができる。第1電力伝送コイル11と第2電力伝送コイル21とは、一方が電力を送電する送電コイルとなり、他方が電力を受電する受電コイルとなる。ここでは、第1電力伝送コイル11と第2電力伝送コイル21とは、典型的には、マスタ側コイルである第1電力伝送コイル11が送電コイルとなり、メータ側コイルである第2電力伝送コイル21が受電コイルとなる。
【0017】
第1信号伝送コイル12は、第2信号伝送コイル22と非接触で信号を伝送可能な導体コイルである。第2信号伝送コイル22は、第1信号伝送コイル12と非接触で信号を伝送可能な導体コイルである。つまり、第1信号伝送コイル12と第2信号伝送コイル22とは、相互間で非接触で信号を伝送可能(無線通信)である。第1信号伝送コイル12、第2信号伝送コイル22は、例えば、いわゆるスパイラル型の導体コイルによって構成されてもよいし、ソレノイド型の導体コイルによって構成されてもよい。ここでは、第1信号伝送コイル12、第2信号伝送コイル22は、例えば、中心軸線C(
図2、
図3、
図4等参照)周りに螺旋状に巻き回されて形成されたソレノイド型の導体コイルによって構成される。第1信号伝送コイル12、第2信号伝送コイル22は、高周波エネルギを電磁波(電波)として空間に放射(送信)したり、空間の電磁波(電波)を高周波エネルギへ相互に変換(受信)したりする通信アンテナを構成する。第1信号伝送コイル12と第2信号伝送コイル22とは、互いに対向した状態で、種々の方式によって非接触で信号を伝送することができる。第1信号伝送コイル12と第2信号伝送コイル22とは、一方が信号を送電する送信アンテナとなり、他方が信号を受電する受信アンテナとなる。
【0018】
第1磁性体13、第2磁性体23は、第1電力伝送コイル11、第2電力伝送コイル21が発生させる磁束を通過させることで相対する第1電力伝送コイル11、第2電力伝送コイル21間の結合を強めるためのものである。また、第1磁性体13、第2磁性体23は、第1電力伝送コイル11、第2電力伝送コイル21からの磁束が第1信号伝送コイル12、第2信号伝送コイル22や後述の基板14A、24A等に届き難くする機能も有する。第1磁性体13、第2磁性体23は、例えば、酸化鉄を主成分にコバルト、ニッケル、マンガン等の金属材料を混合焼結したものである。第1磁性体13、第2磁性体23は、例えば、円状に形成される。第1磁性体13は、第1電力伝送コイル11と隣接して設けられる。第2磁性体23は、第2電力伝送コイル21と隣接して設けられる。
【0019】
第1電子回路14は、マスタ側機器10の種々の機能を実現するための回路である。同様に、第2電子回路24は、メータ機器20の種々の機能を実現するための回路である。第1電子回路14は、基板14A(
図2、
図3、
図4等参照)、及び、当該基板14Aに実装され種々の機能を発揮する素子(電子部品)によって構成される。第1電子回路14は、第1電力伝送コイル11、第1信号伝送コイル12と電気的に接続されている。また、第1電子回路14は、基板14Aに接続されたコネクタ14B(
図2、
図3、
図4等参照)等を介して、電源線L1、接地線L2、通信線L3と電気的に接続されている。第2電子回路24は、基板24A(
図2、
図4等参照)、及び、当該基板24Aに実装され種々の機能を発揮する素子(電子部品)によって構成される。第2電子回路24は、第2電力伝送コイル21、第2信号伝送コイル22、表示部26と電気的に接続されている。基板14A、24Aは、例えば、プリント回路基板(Printed Circuit Board:PCB)や導電性の金属材料からなる回路体としてのバスバを絶縁性の樹脂材料で被覆し基板化したバスバプレート基板等によって構成される。
【0020】
ここでは一例として、第1電子回路14は、電源部14a、トランシーバ14b、マスタ側制御部としての制御部14c、インバータ14d、ベースバンド部14e、RF(Radio Frequency/高周波)回路14f等を含んで構成される。電源部14aは、電源線L1、接地線L2、制御部14c、トランシーバ14b等に接続される。電源部14aは、電源から電源線L1等を介して電力が供給され、トランシーバ14b、制御部14c等を動作させるための電力を生成し供給する。トランシーバ14bは、通信線L3、制御部14c等に接続される。トランシーバ14bは、電気信号の送受信を行うための通信回路によって構成される。制御部14cは、インバータ14d、ベースバンド部14e等に接続される。制御部14cは、インバータ14d、ベースバンド部14e等を含むマスタ側機器10の各部を制御するものであり、中央演算回路等を含むマイクロコンピュータを主体とする集積回路によって構成される。インバータ14dは、電源線L1、第1電力伝送コイル11等に接続される。インバータ14dは、複数のスイッチング素子等を含んで構成される。インバータ14dは、電源線L1からの直流電力を所定の周波数の交流電力に変換し第1電力伝送コイル11に供給する。また、第1電子回路14は、インバータ14dと第1電力伝送コイル11との間に所定の電力伝送周波数に合わせて設計された共振コンデンサ14gが実装されている。第1電子回路14は、第1電力伝送コイル11と共振コンデンサ14gとによってLC共振回路が構成される。ベースバンド部14eは、制御部14c、RF回路14f等に接続され、RF回路14fは、第1信号伝送コイル12に接続される。ベースバンド部14e、RF回路14fは、第1信号伝送コイル12を介して送受信される近接無線通信のための電気信号に対して種々の処理を施す。マスタ側機器10は、上記のように構成される第1電子回路14によって、第1電力伝送コイル11を介した電力伝送、及び、第1信号伝送コイル12を介した信号伝送が制御される。
【0021】
一方、第2電子回路24は、AC/DC回路(整流回路)24a、電源部24b、メータ側制御部としての制御部24c、ベースバンド部24d、RF回路24e等を含んで構成される。AC/DC回路24aは、第2電力伝送コイル21、電源部24b等に接続される。AC/DC回路24aは、複数の整流素子(ダイオード)等を含んで構成される。AC/DC回路24aは、マスタ側機器10側から第1電力伝送コイル11、第2電力伝送コイル21等を介して伝送され、受電した交流電力を直流電力に変換、整流し、電源部24b等を介して表示部26に供給する。また、第2電子回路24は、第2電力伝送コイル21とAC/DC回路(整流回路)24aとの間に所定の電力伝送周波数に合わせて設計された共振コンデンサ24fが実装されている。第2電子回路24は、第2電力伝送コイル21と共振コンデンサ24fとによってLC共振回路が構成される。また、第2電子回路24は、AC/DC回路(整流回路)24aの電源部24b側には平滑コンデンサ24gが実装されている。電源部24bは、AC/DC回路24a、制御部24c、表示部26等に接続される。電源部24bは、AC/DC回路24aで変換された直流電力が供給され、表示部26、制御部24c等を動作させるための電力を生成し供給する。ここで、表示部26のうち表示部26Aは、電源部24bからの電力によって駆動し指針26Aa(
図3等参照)を回動させるステッピングモータや当該モータの駆動を制御するモータドライバ回路等を含んで構成される。また、表示部26のうち表示部26Bは、電源部24bからの電力によって駆動し車両情報に関する画像を表示するディスプレイ26Baや当該ディスプレイの駆動を制御するLCD制御回路等を含んで構成される。制御部24cは、ベースバンド部24d、表示部26等に接続される。制御部24cは、ベースバンド部24d、表示部26等を含むメータ機器20の各部を制御するものであり、中央演算回路等を含むマイクロコンピュータを主体とする集積回路によって構成される。ベースバンド部24dは、制御部24c、RF回路24e等に接続され、RF回路24eは、第2信号伝送コイル22に接続される。ベースバンド部24d、RF回路24eは、第2信号伝送コイル22を介して送受信される近接無線通信のための電気信号に対して種々の処理を施す。メータ機器20は、上記のように構成される第2電子回路24によって、第2電力伝送コイル21を介した電力伝送、及び、第2信号伝送コイル22を介した信号伝送が制御される。
【0022】
第1ケース15、第2ケース25は、それぞれマスタ側機器10、メータ機器20の各部が組み付けられるものである。第1ケース15は、第1電力伝送コイル11と第1信号伝送コイル12と第1磁性体13と第1電子回路14を構成する基板14Aとが設けられる第1筐体である。第2ケース25は、第2電力伝送コイル21と第2信号伝送コイル22と第2磁性体23と第2電子回路24を構成する基板24Aと表示部26とが設けられる第2筐体である。第1ケース15、第2ケース25は、例えば、絶縁性を有する樹脂材料によって形成される。なお、基板14Aによって構成される第1電子回路14は、一部の構成が第1ケース15外に設けられていてもよい。
【0023】
本実施形態の第1ケース15と第2ケース25とは、
図2、
図3、
図4に示すように、相互に嵌合可能に構成される。第1ケース15は、嵌合凹部16を有し、第2ケース25は、嵌合凹部16に嵌合可能に形成される。そして、本実施形態のマスタ側機器10とメータ機器20とは、第1ケース15の嵌合凹部16と第2ケース25とが相互に嵌合した状態で第1電力伝送コイル11と第2電力伝送コイル21とが対向し、第1信号伝送コイル12と第2信号伝送コイル22とが対向した位置関係となるように構成される。
【0024】
より具体的には、第1ケース15は、内部に収容空間部15Aが形成された箱状に形成される。第1ケース15は、収容空間部15A内に、第1電力伝送コイル11、第1信号伝送コイル12、第1磁性体13、及び、基板14Aを収容する。第1電力伝送コイル11、第1信号伝送コイル12、第1磁性体13、及び、基板14Aは、収容空間部15Aに、保持部材等を介して位置決めされ、保持される。第1電力伝送コイル11、第1信号伝送コイル12、第1磁性体13、及び、基板14Aは、接着剤等を介して各部に固定されてもよい。そして、第1ケース15は、箱状の外面に上記嵌合凹部16が凹部状に形成される。嵌合凹部16は、中心軸線Cを中心とした円柱状の空間部として形成される。言い換えれば、第1ケース15は、箱状の外面に上記嵌合凹部16が円柱凹部状に形成される。嵌合凹部16は、第2ケース25が嵌合可能な空間部である。
【0025】
ここで、中心軸線Cは、典型的には、上述した第1電力伝送コイル11、第1信号伝送コイル12、第2電力伝送コイル21、第2信号伝送コイル22の中心軸線Cと略一致している。第1ケース15と第2ケース25との嵌合方向は、この中心軸線Cに沿った方向である。なお、以下の説明では、中心軸線Cに沿った方向を「軸線方向X」といい、軸線方向Xと直交する方向を「径方向Y」という場合がある。上記嵌合方向は、当該軸線方向Xに相当する。
【0026】
第1電力伝送コイル11は、収容空間部15A内において、嵌合凹部16の底部16aと軸線方向Xに沿って対向して位置する。底部16aは、嵌合凹部16の軸線方向Xの一方側の奥部の端面(底面)であり、第2ケース25が挿入される開口16bと軸線方向Xに沿って対向する面である。第1信号伝送コイル12は、収容空間部15A内において、嵌合凹部16の側部16cの径方向Yの外側に当該側部16cの外周面に巻き付けられるようにして位置する。側部16cは、嵌合凹部16の軸線方向Xに沿った面であり、円筒形状の曲面を構成する部分である。第1磁性体13は、収容空間部15A内において、軸線方向Xに対して第1電力伝送コイル11の一方側、ここでは、第1信号伝送コイル12側とは反対側に当該第1電力伝送コイル11と隣接して位置する。言い換えれば、第1磁性体13は、収容空間部15A内において、軸線方向Xに対して第1電力伝送コイル11を挟んで第1信号伝送コイル12側とは反対側に位置する。第1磁性体13は、板厚方向が軸線方向Xとなるように位置する。基板14Aは、収容空間部15A内において、軸線方向Xに対して第1磁性体13の一方側、ここでは、第1電力伝送コイル11側とは反対側に当該第1磁性体13とは間隔をあけて位置する。言い換えれば、基板14Aは、収容空間部15A内において、軸線方向Xに対して第1磁性体13を挟んで第1電力伝送コイル11側とは反対側に位置する。つまり、上述の第1磁性体13は、軸線方向Xに対して第1電力伝送コイル11と基板14Aとの間に位置する。マスタ側機器10は、上記のように、収容空間部15A内において、軸線方向Xに沿って一方側から他方側に向けて、基板14A、第1磁性体13、第1電力伝送コイル11、第1信号伝送コイル12の順で並び、かつ、各部が中心軸線Cを中心として同軸で位置する。
【0027】
第2ケース25は、内部に収容空間部25Aが形成された筒状に形成される。第2ケース25は、嵌合凹部16に嵌合可能でかつ中心軸線Cを中心とした円筒状に形成される。第2ケース25は、軸線方向Xの一方の端部25aが閉塞端面を構成し、軸線方向Xに沿った側部25bが円筒形状の曲面を構成する。そして、第2ケース25は、軸線方向Xの他方側に表示部26の表示面27が露出する。第2ケース25は、収容空間部25A内に、第2電力伝送コイル21、第2信号伝送コイル22、第2磁性体23、基板24A、及び、表示部26を収容する。第2電力伝送コイル21、第2信号伝送コイル22、第2磁性体23、基板24A、及び、表示部26は、収容空間部25Aに、保持部材等を介して位置決めされ、保持される。第2電力伝送コイル21、第2信号伝送コイル22、第2磁性体23、基板24A、及び、表示部26は、接着剤等を介して各部に固定されてもよい。第2電力伝送コイル21は、収容空間部25A内において、第2ケース25の端部25aと軸線方向Xに沿って対向して位置する。端部25aは、第2ケース25の軸線方向Xの一方側の端部であり、表示部26の表示面27と軸線方向Xに沿って対向する面である。第2信号伝送コイル22は、収容空間部25A内において、第2ケース25の側部25bの径方向Yの内側に当該側部25bの内周面に巻き回されるようにして位置する。第2磁性体23は、収容空間部25A内において、軸線方向Xに対して第2電力伝送コイル21の一方側、ここでは、第2信号伝送コイル22側に当該第1電力伝送コイル11と隣接して位置する。言い換えれば、第2磁性体23は、収容空間部15A内において、軸線方向Xに対して第2電力伝送コイル21と第2信号伝送コイル22との間に位置する。第2磁性体23は、板厚方向が軸線方向Xとなるように位置する。基板24Aは、収容空間部25A内において、軸線方向Xに対して第2磁性体23の一方側、ここでは、第2電力伝送コイル21側とは反対側に当該第2磁性体23とは間隔をあけて位置する。つまり、上述の第2磁性体23は、軸線方向Xに対して第2電力伝送コイル21と基板24Aとの間に位置する。さらに言えば、基板24Aは、収容空間部25A内において、軸線方向Xに対して第2信号伝送コイル22の第2磁性体23側とは反対側に当該第2信号伝送コイル22とは間隔をあけて位置する。表示部26は、収容空間部25A内において、軸線方向Xに対して基板24Aの第2信号伝送コイル22側とは反対側に当該基板24A上に実装されるようにして位置する。メータ機器20は、上記のように、収容空間部25A内において、軸線方向Xに沿って一方側から他方側に向けて、表示部26、基板24A、第2信号伝送コイル22、第2磁性体23、第2電力伝送コイル21の順で並び、かつ、各部が中心軸線Cを中心として同軸で位置する。そして、メータ機器20は、上述したように、第2ケース25の軸線方向Xの端部25a側とは反対側に表示部26の表示面27が露出する。当該表示面27は、表示部26において車両情報を表示する面である。表示面27は、例えば、表示部26Aにおいては、指針26Aa、及び、当該指針26Aaによって指し示される目盛等が設けられた文字板26Abによって構成される。また、表示面27は、例えば、表示部26Bにおいては、画像を表示するディスプレイ26Baによって構成される。
【0028】
上記のように構成されるマスタ側機器10とメータ機器20とは、第1ケース15の嵌合凹部16と第2ケース25とが相互に嵌合した状態(以下、単に「嵌合状態」という場合がある。)で、第2ケース25の略全体が嵌合凹部16内に位置する。マスタ側機器10とメータ機器20とは、第1ケース15と第2ケース25とが嵌合状態で保持される。第1ケース15と第2ケース25とは、嵌合状態で、底部16aと端部25aとが軸線方向Xに沿って対向し、当該対向する底部16aと端部25aとが共に当該径方向Yに沿って延在する。また、第1ケース15と第2ケース25とは、嵌合状態で、側部16cが外側、側部25bが内側に位置して当該側部16cと当該側部25bとが径方向Yに沿って対向し、当該対向する側部16cと側部25bとが共に当該軸線方向Xに沿って延在する。
【0029】
そして、マスタ側機器10とメータ機器20とは、嵌合状態で、第1電力伝送コイル11と第2電力伝送コイル21とが軸線方向Xに沿って対向した位置関係となるように、第1電力伝送コイル11、第2電力伝送コイル21の位置が設定されている。第1電力伝送コイル11と第2電力伝送コイル21とは、嵌合状態で、軸線方向Xに沿って、嵌合凹部16の底部16a、及び、第2ケース25の端部25aを挟んで対向して位置する。この構成により、マスタ側機器10とメータ機器20とは、電力伝送の際に、第1電力伝送コイル11の電磁界と第2電力伝送コイル21の電磁界とが結合する結合軸方向(以下、「電力伝送時結合軸方向」という場合がある。)が軸線方向Xに沿った方向となる。
【0030】
また、マスタ側機器10とメータ機器20とは、嵌合状態で第1信号伝送コイル12と第2信号伝送コイル22とが径方向Yに沿って対向した位置関係となるように、第1信号伝送コイル12、第2信号伝送コイル22の位置が設定されている。第1信号伝送コイル12と第2信号伝送コイル22とは、嵌合状態で、径方向Yに沿って、嵌合凹部16の側部16c、及び、第2ケース25の側部25bを挟んで対向し、第2信号伝送コイル22が第1信号伝送コイル12の内側に位置する。この構成により、マスタ側機器10とメータ機器20とは、信号伝送の際に、第1信号伝送コイル12の電磁界と第2信号伝送コイル22の電磁界とが結合する結合軸方向(以下、「信号伝送時結合軸方向」という場合がある。)が径方向Yに沿った方向となる。
【0031】
マスタ側機器10とメータ機器20とは、上記のように構成されることで、電力伝送時結合軸方向と信号伝送時結合軸方向とが異なる方向となり、ここでは、相互に直交する位置関係となる。言い換えれば、マスタ側機器10とメータ機器20とは、電力伝送時結合軸方向と信号伝送時結合軸方向とが相互に直交する位置関係となるように、第1電力伝送コイル11、第1信号伝送コイル12、第2電力伝送コイル21、第2信号伝送コイル22が配置される。この構成により、マスタ側機器10とメータ機器20とは、電力伝送時の第1電力伝送コイル11と第2電力伝送コイル21との結合、及び、信号伝送時の第1信号伝送コイル12と第2信号伝送コイル22との結合が相対的に強くなるようにすることができる。その上で、この構成により、マスタ側機器10とメータ機器20とは、第1電力伝送コイル11、第2電力伝送コイル21と第1信号伝送コイル12、第2信号伝送コイル22との結合が相対的に弱くなるようにすることができる。この結果、マスタ側機器10とメータ機器20とは、効率の良い電力伝送、及び、品質の良い信号伝送を実現することができる。
【0032】
また、マスタ側機器10とメータ機器20とは、上記のように構成されることで、嵌合状態で、当該嵌合状態を維持しながら、第1ケース15と第2ケース25とが回転軸線Rを構成する中心軸線C周りに相対回転することが可能となる。この構成により、車両情報表示システム1は、例えば、メータ機器20を中心軸線C周りに対して利用者の好みの角度で設置することができる。
【0033】
なお、車両情報表示システム1は、マスタ側機器10に対してメータ機器20を中心軸線C周りの所定の角度位置で固定するための位置固定部を備えていてもよい。この場合、位置固定部は、例えば、ガイド凹部、及び、ガイド凸部を含んで構成されてもよい。ここで、ガイド凹部、又は、ガイド凸部の一方は、嵌合凹部16の側部16cに設けられ、ガイド凹部、又は、ガイド凸部の他方は、第2ケース25の側部25b設けられる。例えば、ガイド凹部は、第2ケース25の側部25bに設けられる場合、当該側部25bの端部25a側の端から中心軸線Cに沿って形成される。また、ガイド凸部は、嵌合凹部16の側部16cに設けられる場合、当該側部16cの底部16a側の端から中心軸線Cに沿って形成される。そして、位置固定部は、ガイド凸部が中心軸線Cに沿ってガイド凹部に挿入されるような位置関係で、第1ケース15の嵌合凹部16と第2ケース25とが嵌合されることで、ガイド凸部とガイド凹部とよって、マスタ側機器10に対してメータ機器20を中心軸線C周りの所定の角度位置で固定することができる。またさらに、位置固定部は、ガイド凸部を挿入可能なガイド凹部が側部25bに複数設けられることで、所望の複数の角度位置でメータ機器20をマスタ側機器10に固定可能な構成とすることもできる。これらの構成により、車両情報表示システム1は、ユーザビリティやカスタマイズ性をさらに向上することが可能となる。なお、ガイド凹部は、例えば、嵌合凹部16の側部16cに設けられる場合、当該側部16cの開口16b側の端から中心軸線Cに沿って形成されることとなる。また、ガイド凸部は、第2ケース25の側部25bに設けられる場合、当該側部25bの端部25a側とは反対側の端から中心軸線Cに沿って形成されることとなる。
【0034】
次に、
図5を参照して、メータ機器20がマスタ側機器10の嵌合凹部16に設けられた後の当該メータ機器20の認証や必要なデータのやり取りについて説明する。当該認証や必要なデータのやり取りの概略を説明すると、まず、マスタ側制御部としての制御部14cは、定期的にメータ機器20側に、第1電力伝送コイル11を介した電力の送電、及び、第1信号伝送コイル12を介した接続要求の送信を行う。そして、メータ側制御部としての制御部24cは、マスタ側機器10から、第2電力伝送コイル21を介して受電した電力に応じて動作し、第2信号伝送コイル22を介して受信した接続要求に応答する。そして、制御部14c、及び、制御部24cは、当該制御部24cによる応答後に表示部26での表示に必要なデータの送受信を行う。以下、当該制御の詳細の一例を説明する。
【0035】
まず、マスタ側機器10側の制御部14cは、例えば、車両のイグニッションがONされ、マスタ側機器10が「Power ON」され起動すると(ステップS1)、初期化処理を行う(ステップS2)。制御部14cは、例えば、初期化処理として、各種タイマや一時的な記憶領域のクリア等を行う。
【0036】
次に、制御部14cは、インバータ14dをONとし、第1電力伝送コイル11を介した電力の伝送、すなわち、無線給電を開始する(ステップS3)。制御部14cは、第1電力伝送コイル11を介した電力の伝送を、所定の周期で定期的に行う。
【0037】
次に、制御部14cは、応答無し時間の計時を行うためのタイマの計時値(カウント値)をクリアし当該応答無し時間の初期化を行う(ステップS4)。
【0038】
次に、制御部14cは、応答無し時間の計時を開始する(ステップS5)。
【0039】
次に、制御部14cは、第1信号伝送コイル12を介した接続要求の送信を行い(ステップS6)、ステップS7の処理に移行する。制御部14cは、第1信号伝送コイル12を介した接続要求の送信を、所定の周期で定期的に行う。
【0040】
一方、メータ機器20側の制御部24cは、当該メータ機器20がマスタ側機器10の嵌合凹部16に設けられると、ステップS3の処理でマスタ側機器10の第1電力伝送コイル11から送電された電力を第2電力伝送コイル21を介して受電し、メータ機器20が「Power ON」され起動する(ステップS201)。
【0041】
次に、制御部24cは、初期化処理を行う(ステップS202)。制御部24cは、例えば、初期化処理として、各種タイマや一時的な記憶領域のクリア等を行う。
【0042】
次に、制御部24cは、マスタ側機器10から接続要求があるか否かを判定する(ステップS203)。
【0043】
制御部24cは、ステップS6の処理でマスタ側機器10の第1信号伝送コイル12から送信された接続要求を、第2信号伝送コイル22を介して受信し、マスタ側機器10から接続要求があると判定した場合(ステップS203:Yes)、接続要求の応答処理を行い(ステップS204)、ステップS205の処理に移行する。制御部24cは、接続要求の応答処理として、第2信号伝送コイル22を介した応答信号の送信を行うことで接続要求に対する応答を行う。制御部24cは、マスタ側機器10から接続要求がないと判定した場合(ステップS203:No)、接続要求があると判定するまでこのステップS203の処理を繰り返し実行する。
【0044】
そして、制御部14cは、ステップS7の処理では、メータ機器20から接続要求に対する応答があったか否かを判定する(ステップS7)。
【0045】
制御部14cは、ステップS204の処理でメータ機器20の第2信号伝送コイル22から送信された応答信号を、第1信号伝送コイル12を介して受信し、メータ機器20から接続要求に対する応答があったと判定した場合(ステップS7:Yes)、メータ機器20の接続を認証し、ステップS8の処理に移行する。制御部14cは、メータ機器20から接続要求に対する応答がないと判定した場合(ステップS7:No)、応答が無い時間が予め設定された閾値以上経過したか否かを判定する(ステップS9)。制御部14cは、応答が無い時間が閾値未満であると判定した場合(ステップS9:No)、ステップS6の処理に戻って以降の処理を繰り返し実行する。制御部14cは、応答が無い時間が閾値以上経過したと判定した場合(ステップS9:Yes)、インバータ14dをOFFとし、第1電力伝送コイル11を介した電力の伝送、すなわち、無線給電を一旦停止し(ステップS20)、ステップS3の処理に戻って以降の処理を繰り返し実行する。
【0046】
そして、制御部14cは、ステップS8の処理では、応答無し時間の計時を行うためのタイマの計時値(カウント値)をクリアし当該応答無し時間の初期化を行う(ステップS8)。
【0047】
次に、制御部14cは、応答無し時間の計時を開始する(ステップS10)。
【0048】
次に、制御部14cは、第1信号伝送コイル12を介した送信データ要求の送信を行い(ステップS11)、ステップS12の処理に移行する。この送信データ要求は、メータ機器20側で使用する必要データを問い合わせるための要求である。
【0049】
そして、制御部24cは、ステップS205の処理では、マスタ側機器10から送信データ要求があるか否かを判定する(ステップS205)。
【0050】
制御部24cは、ステップS11の処理でマスタ側機器10の第1信号伝送コイル12から送信された送信データ要求を、第2信号伝送コイル22を介して受信し、マスタ側機器10から送信データ要求があると判定した場合(ステップS205:Yes)、第2信号伝送コイル22を介した必要データ情報の返信を行い(ステップS206)、ステップS207の処理に移行する。この必要データ情報は、メータ機器20の表示部26における表示で使用する必要データ(例えば、車両の速度、走行用動力源の出力回転数等の計測値データ等)を表す情報である。制御部24cは、マスタ側機器10から送信データ要求がないと判定した場合(ステップS205:No)、送信データ要求があると判定するまでこのステップS205の処理を繰り返し実行する。
【0051】
そして、制御部14cは、ステップS12の処理では、メータ機器20から必要データ情報の返信があったか否かを判定する(ステップS12)。
【0052】
制御部14cは、ステップS206の処理でメータ機器20の第2信号伝送コイル22から送信された必要データ情報を、第1信号伝送コイル12を介して受信し、メータ機器20から必要データ情報の返信があったと判定した場合(ステップS12:Yes)、ステップS14の処理に移行する。制御部14cは、メータ機器20から必要データ情報の返信がないと判定した場合(ステップS12:No)、応答が無い時間が予め設定された閾値以上経過したか否かを判定する(ステップS13)。制御部14cは、応答が無い時間が閾値未満であると判定した場合(ステップS13:No)、ステップS11の処理に戻って以降の処理を繰り返し実行する。制御部14cは、応答が無い時間が閾値以上経過したと判定した場合(ステップS13:Yes)、ステップS20の処理に移行する。
【0053】
そして、制御部14cは、ステップS14の処理では、応答無し時間の計時を行うためのタイマの計時値(カウント値)をクリアし当該応答無し時間の初期化を行う(ステップS14)。
【0054】
次に、制御部14cは、応答無し時間の計時を開始する(ステップS15)。
【0055】
次に、制御部14cは、車両の各部を統括的に制御するECU(Electronic Control Unit)等から通信線L3を介して、上記メータ機器20から返信された必要データ情報に応じた必要データを受信する(ステップS16)。
【0056】
次に、制御部14cは、ステップS16の処理で受信した必要データを、第1信号伝送コイル12を介してメータ機器20に送信し(ステップS17)、ステップS18の処理に移行する。
【0057】
そして、制御部24cは、ステップS207の処理では、マスタ側機器10から必要データを受信したか否かを判定する(ステップS207)。
【0058】
制御部24cは、ステップS17の処理でマスタ側機器10の第1信号伝送コイル12から送信された必要データを、第2信号伝送コイル22を介して受信し、マスタ側機器10から必要データを受信したと判定した場合(ステップS207:Yes)、データ受信後の応答処理を行い(ステップS208)、ステップS209の処理に移行する。制御部24cは、データ受信後の応答処理として、第2信号伝送コイル22を介した応答信号の送信を行うことで必要データ受信に対する応答を行う。そして、制御部24cは、ステップS209の処理では、表示部26による表示用のデータの更新を行う(ステップS209)。次に、制御部24cは、メータの表示方法に合わせたデータ表示処理を行い、表示部26に実際に表示させ(ステップS210)、ステップS207の処理に戻って以降の処理を繰り返し実行する。制御部24cは、マスタ側機器10から必要データを受信していないと判定した場合(ステップS207:No)、ステップS208の処理、及び、ステップS209の処理をとばしてステップS210の処理に移行する。
【0059】
そして、制御部14cは、ステップS18の処理では、メータ機器20からデータ受信の応答があったか否かを判定する(ステップS18)。
【0060】
制御部14cは、ステップS208の処理でメータ機器20の第2信号伝送コイル22から送信された応答信号を、第1信号伝送コイル12を介して受信し、メータ機器20からデータ受信の応答があったと判定した場合(ステップS18:Yes)、ステップS14の処理に戻って以降の処理を繰り返し実行する。制御部14cは、メータ機器20からデータ受信の応答がないと判定した場合(ステップS18:No)、応答が無い時間が予め設定された閾値以上経過したか否かを判定する(ステップS19)。制御部14cは、応答が無い時間が閾値未満であると判定した場合(ステップS19:No)、ステップS16の処理に戻って以降の処理を繰り返し実行する。制御部14cは、応答が無い時間が閾値以上経過したと判定した場合(ステップS19:Yes)、ステップS20の処理に移行する。
【0061】
制御部14c、及び、制御部24cは、例えば、車両のイグニッションがOFFされ、車両情報表示システム1が「Power OFF」されるまで上記の処理を繰り返し実行する。
【0062】
以上で説明した車両情報表示システム1は、電力の供給源であるマスタ側機器10が第1電力伝送コイル11、第1信号伝送コイル12、及び、第1ケース15を有して構成される。また、車両情報表示システム1は、マスタ側機器10からの電力の供給先であるメータ機器20が表示部26、第2電力伝送コイル21、第2信号伝送コイル22、及び、第2ケース25を有して構成される。そして、車両情報表示システム1は、第1ケース15の嵌合凹部16と第2ケース25とが相互に嵌合した状態で、第1電力伝送コイル11と第2電力伝送コイル21とが対向し、第1信号伝送コイル12と第2信号伝送コイル22とが対向した位置関係となる。この構成により、車両情報表示システム1は、第1電力伝送コイル11と第2電力伝送コイル21とが相互に非接触で電力を伝送することができ、第1信号伝送コイル12と第2信号伝送コイル22とが相互に非接触で信号を伝送することができる。この結果、車両情報表示システム1は、例えば、結線作業等を行わなくても、メータ機器20の第2ケース25をマスタ側機器10の第1ケース15の嵌合凹部16に嵌合することで、メータ機器20とマスタ側機器10との間で、容易に電力、及び、信号を伝送可能な状態に接続することができる。この結果、車両情報表示システム1は、車両情報を表示する部分である表示部26を含むメータ機器20を容易に交換することができる。これにより、車両情報表示システム1は、車両の使用態様の多様化に伴い、車両情報を表示する部分を利用者の好みや必要等に応じて変更しカスタマイズし易い構成とすることができる。
【0063】
例えば、車両の使用態様の多様化の一例として、1台の車両を個人用として使用する一方、個人用として使用しない空いた時間を活用して、ライドシェア等のように有償で他人を乗車させるようなサービスを行う場合がある。このような場合に、車両情報表示システム1は、例えば、
図6に示すように、メータ機器20として、個人使用時用のメータ機器20Cとライドシェア時用のメータ機器20Dとを、車両の使用態様に応じて容易に交換して使用することができる。なお、
図6の例では、車両情報表示システム1は、マスタ側機器10の第1ケース15の一部を構成するインストルメントパネルINに略矩形柱状の嵌合凹部16が設けられており、当該嵌合凹部16に嵌合可能なメータ機器20C、20Dの第2ケース25が略直方体箱状に形成されている。そして、ライドシェア時用のメータ機器20Dは、メータ機器20Cとは異なり、例えば、車両情報として乗客による乗車時間や乗車距離等を表示するものとして構成されている。
【0064】
さらに、車両情報表示システム1は、マスタ側機器10とメータ機器20とが電気的な接点レスで、単に第2ケース25を嵌合凹部16に嵌合させるだけで、マスタ側機器10側とメータ機器20側との間で、非接触給電、及び、無線通信が可能な構成を実現することができる。この結果、車両情報表示システム1は、マスタ側機器10とメータ機器20との嵌合時に要する力を相対的に小さな力に抑制することができるので、この点でも車両情報を表示する部分を容易に交換することができる。さらに、車両情報表示システム1は、マスタ側機器10とメータ機器20とが電気的な接点レスな構造であるため、耐久性を向上することができ、例えば、メータ機器20の交換回数を相対的に多く許容することができ、高頻度の交換にも対応することができる。
【0065】
また、以上で説明した車両情報表示システム1は、第1信号伝送コイル12と第2信号伝送コイル22との信号伝送において、通信距離が短い(例えば、10mm以下程度)NFCのような近接無線通信を採用することで外部へのノイズ放出を抑制することができる。そしてこのことを利用し、車両情報表示システム1は、例えば、第1ケース15の嵌合凹部16の深さ(軸線方向Xに沿った長さ)を上記通信距離よりも十分に長く確保することで、第1信号伝送コイル12と第2信号伝送コイル22との信号伝送による通信内容を、外部から傍受し難い構成とすることもできる。また、車両情報表示システム1は、電気的な接点が第1ケース15、第2ケース25の外側には露出しない構成とすることもできるので、簡易な構成で適正な防水性能を確保し易い構成とすることができる。
【0066】
ここでは、以上で説明した車両情報表示システム1は、マスタ側機器10の制御部14cによって、定期的にメータ機器20側に、第1電力伝送コイル11を介した電力の送電、及び、第1信号伝送コイル12を介した接続要求の送信を行う。そして、車両情報表示システム1は、メータ機器20の制御部24cが、マスタ側機器10から第2電力伝送コイル21を介して受電した電力に応じて動作し、第2信号伝送コイル22を介して受信した接続要求に応答する。そして、車両情報表示システム1は、制御部24cによる応答後に、制御部14c、及び、制御部24cによって、表示部26での表示に必要なデータの送受信を行う。したがって、車両情報表示システム1は、マスタ側機器10に対してメータ機器20が応答した後にマスタ側機器10とメータ機器20との間で必要なデータの送受信が行われるので、セキュリティ性を向上することができる。
【0067】
なお、上述した本発明の実施形態に係る車両情報表示システムは、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【0068】
以上の説明では、嵌合凹部16は、中心軸線Cを中心とした円柱状の空間部として形成され、第2ケース25は、嵌合凹部16に嵌合可能でかつ中心軸線Cを中心とした円筒状に形成されるものとして説明したがこれに限らない。
図6で例示したように、嵌合凹部16は、略矩形柱状に形成され、第2ケース25は、嵌合凹部16に嵌合可能に略直方体箱状に形成されてもよく、さらに、他の形状であってもよい。
【0069】
また、以上で説明した制御部14cは、メータ機器20側に個別に必要データを問い合わせることなく、予め想定される全ての必要データをメータ機器20側に送信するようにしてもよい。この場合でも、制御部14c、及び、制御部24cは、制御部24cによる応答後に表示部26での表示に必要なデータの送受信を行うことで、セキュリティ性を向上することができる。
【0070】
以上の説明では、嵌合凹部16、第2ケース25の中心軸線Cは、第1電力伝送コイル11、第1信号伝送コイル12、第2電力伝送コイル21、第2信号伝送コイル22の中心軸線Cと一致しているものとして説明したがこれに限らず、相互に多少偏心していてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 車両情報表示システム
10 マスタ側機器
11 第1電力伝送コイル
12 第1信号伝送コイル
14c 制御部(マスタ側制御部)
15 第1ケース
16 嵌合凹部
20、20A、20B、20C、20D メータ機器
21 第2電力伝送コイル
22 第2信号伝送コイル
24c 制御部(メータ側制御部)
25 第2ケース
26、26A、26B 表示部