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特許7109996マスクブランク、位相シフトマスクおよび半導体デバイスの製造方法
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  • 特許-マスクブランク、位相シフトマスクおよび半導体デバイスの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-22
(45)【発行日】2022-08-01
(54)【発明の名称】マスクブランク、位相シフトマスクおよび半導体デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 1/32 20120101AFI20220725BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20220725BHJP
【FI】
G03F1/32
G03F7/20 521
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018103482
(22)【出願日】2018-05-30
(65)【公開番号】P2019207361
(43)【公開日】2019-12-05
【審査請求日】2021-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(74)【代理人】
【識別番号】100150865
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 司
(72)【発明者】
【氏名】前田 仁
(72)【発明者】
【氏名】宍戸 博明
(72)【発明者】
【氏名】橋本 雅広
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-145920(JP,A)
【文献】特開2018-063441(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
G03F 1/00~1/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性基板上に、位相シフト膜を備えたマスクブランクであって、
前記位相シフト膜は、前記透光性基板側から第1層および第2層の順に積層した構造を含み、
前記第1層は、前記透光性基板の表面に接して設けられ、
前記第1層および前記第2層のArFエキシマレーザーの露光光の波長における屈折率をそれぞれn、nとしたとき、n<nの関係を満たし、
前記第1層および前記第2層の前記露光光の波長における消衰係数をそれぞれk、kとしたとき、k<kの関係を満たし、
前記第1層および前記第2層の膜厚をそれぞれd、dとしたとき、d<dの関係を満たし、
前記第1層の膜厚dは、10nmよりも大きく33nm未満であり、
前記第2層の膜厚d は、33nm以上50nm以下であり、
前記第1層の屈折率n は1.8以上2.2未満であり、
前記第1層の消衰係数k は0.05以上0.15以下であり、
前記第2層の屈折率n は2.2以上3.0以下であり、
前記第2層の消衰係数k は0.2以上0.5以下であることを特徴とするマスクブランク。
【請求項2】
前記透光性基板の前記露光光の波長における屈折率をnとしたとき、n<n<nの関係を満たし、
前記透光性基板の前記露光光の波長における消衰係数をkとしたとき、k<k<kの関係を満たすことを特徴とする請求項記載のマスクブランク。
【請求項3】
前記透光性基板の屈折率nは1.6以下であり、前記透光性基板の消衰係数kは0.01以下であることを特徴とする請求項記載のマスクブランク。
【請求項4】
前記位相シフト膜は、前記露光光を15%以上の透過率で透過させる機能と、前記位相シフト膜を透過した前記露光光に対して前記位相シフト膜の厚さと同じ距離だけ空気中を通過した前記露光光との間で150度以上200度以下の位相差を生じさせる機能とを有することを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のマスクブランク。
【請求項5】
前記第1層は、ケイ素と窒素と酸素とからなる材料、または半金属元素および非金属元素から選ばれる1以上の元素とケイ素と窒素と酸素とからなる材料で形成され、
前記第2層は、ケイ素と窒素とからなる材料、または半金属元素および非金属元素から選ばれる1以上の元素とケイ素と窒素とからなる材料で形成されていることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のマスクブランク。
【請求項6】
前記第2層の窒素の含有量は、前記第1層の窒素の含有量よりも多いことを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のマスクブランク。
【請求項7】
前記位相シフト膜は、前記第2層の上に第3層を備え、
前記第3層の前記露光光の波長における屈折率をnとしたとき、n<n<nの関係を満たし、
前記第3層の前記露光光の波長における消衰係数をkとしたとき、k<k<kの関係を満たし、
前記第3層の膜厚をdとしたとき、d<d<dの関係を満たし、
前記第3層の膜厚d は、2nm以上10nm以下であり、
前記第3層の屈折率n1.0以上1.8未満であり、
前記第3層の消衰係数kは1.0以上2.0以下であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のマスクブランク。
【請求項8】
前記第3層は、ケイ素と窒素とからなる材料、または半金属元素および非金属元素から選ばれる1以上の元素とケイ素と窒素とからなる材料で形成されていることを特徴とする請求項記載のマスクブランク。
【請求項9】
前記位相シフト膜は、前記第3層の上に第4層を備え、
前記第4層の前記露光光の波長における屈折率をnとしたとき、n<n<nの関係を満たし、
前記第4層の前記露光光の波長における消衰係数をkとしたとき、k<k<kの関係を満たし、
前記第4層の膜厚d は、2nm以上10nm以下であり、
前記第4層の屈折率n1.5以上1.7以下であり、
前記第4層の消衰係数k0.00以上0.02以下であることを特徴とする請求項7または8記載のマスクブランク。
【請求項10】
前記第4層は、ケイ素と酸素とからなる材料、または半金属元素および非金属元素から選ばれる1以上の元素とケイ素と酸素とからなる材料で形成されていることを特徴とする請求項記載のマスクブランク。
【請求項11】
前記位相シフト膜は、前記第2層の上に第3A層を備え、
前記第3A層の前記露光光の波長における屈折率をn3Aとしたとき、n3A<n<nの関係を満たし、
前記第3A層の前記露光光の波長における消衰係数をk3Aとしたとき、k3A<k<kの関係を満たし、
前記第3A層の膜厚d 3A は、2nm以上30nm以下であり、
前記第3A層の屈折率n3A1.5以上1.7以下であり、
前記第3A層の消衰係数k3A0.00以上0.02以下であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のマスクブランク。
【請求項12】
前記第3A層は、ケイ素と酸素とからなる材料、または半金属元素および非金属元素から選ばれる1以上の元素とケイ素と酸素とからなる材料で形成されていることを特徴とする請求項1記載のマスクブランク。
【請求項13】
請求項1から1のいずれかに記載のマスクブランクの前記位相シフト膜に転写パターンが設けられていることを特徴とする位相シフトマスク。
【請求項14】
請求項1記載の位相シフトマスクを用い、半導体基板上のレジスト膜に転写パターンを露光転写する工程を備えることを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスクブランクおよびそのマスクブランクを用いて製造された位相シフトマスクに関するものである。また、本発明は、上記の位相シフトマスクを用いた半導体デバイスの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体デバイスの製造工程では、フォトリソグラフィー法を用いて微細パターンの形成が行われている。また、この微細パターンの形成には通常何枚もの転写用マスクと呼ばれている基板が使用される。半導体デバイスのパターンを微細化するに当たっては、転写用マスクに形成されるマスクパターンの微細化に加え、フォトリソグラフィーで使用される露光光源の波長の短波長化が必要となる。半導体装置製造の際の露光光源としては、近年ではKrFエキシマレーザー(波長248nm)から、ArFエキシマレーザー(波長193nm)へと短波長化が進んでいる。
【0003】
転写用マスクの種類としては、従来の透光性基板上にクロム系材料からなる遮光パターンを備えたバイナリマスクの他に、ハーフトーン型位相シフトマスクが知られている。
特許文献1には、遮光膜と表面及び裏面反射防止膜とを備えるバイナリーマスクブランクが開示されている。この特許文献1では、遮光帯からの反射に起因する、隣接ショットへ影響するフレア(Flare)や、パターンエリア内での露光量超過エラー(Dose Error)を抑制するために、遮光膜の下に接して形成され、珪素、遷移金属、酸素及び窒素を含み、膜の屈折率nが1.0~3.5、膜の消衰係数kが2.5以下、膜厚t2が5~40nmである裏面反射防止膜を備えている。そして、透明基板側からの光の入射に対する反射率(以下、裏面反射率という。)が約30%以下であり、具体的には、その実施例に示されるように、約29%や約23%となるバイナリーマスクブランクを実現している。
【0004】
特許文献2には、透光性基板上に、ArF露光光を所定の透過率で透過し、かつ透過するArF露光光に対して所定量の位相シフトを生じさせる機能を有する位相シフト膜が設けられたハーフトーン型位相シフトマスクブランクが開示されている。この特許文献2では、位相シフト膜を、高透過層と低透過層を含む積層構造としている。さらに、高透過層は、窒素含有量が相対的に多いSiN系膜を適用し、低透過層は、窒素含有量が相対的に少ないSiN系膜を適用している。
【0005】
また、近年、半導体デバイス上のレジスト膜に露光転写を行う際に使用される照明システムも高度化、複雑化している。特許文献3には、基板上のマスクパターンの結像を向上させるためにリソグラフィ装置の照射源を構成する方法が開示されている。この方法は、照射源をピクセル群に分割する工程であって、各ピクセル群が照射源の瞳面に1つまたは複数の照射源ポイントを含む、工程と、各ピクセル群の偏光状態を変化させて、各ピクセル群の偏光状態の変化からもたらされる、複数のクリティカルディメンションのそれぞれに対する漸進的効果を求める工程と、求められた漸進的効果を用いて、複数のクリティカルディメンションのそれぞれに関する第1の複数の感度係数を計算する工程と、初期の照射源を選択する工程と、計算された第1の複数の感度係数を用いて、初期の照射源のピクセル群の偏光状態の変化の結果としてリソグラフィのメトリックを繰返し計算する工程であって、初期の照射源のピクセル群の偏光状態の変化が、変更された照射源を生成する工程と、繰返し計算の結果に基づいて初期の照射源を調節する工程とを含むものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5054766号公報
【文献】特開2014-137388号公報
【文献】特開2012-74695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、転写パターンのさらなる微細化が望まれており、露光転写を行う際に使用される照明システムも高度化、複雑化してきている。例えば、特許文献3における照明システムでは、照射源の位置や角度を最適化するように制御される。このような、複雑な照明システムにおいて、比較的短波長のArFエキシマレーザーの露光光で転写用マスクに対して露光を行う場合、その転写用マスクの透光性基板内で多重反射による迷光が生じやすくなっている。半導体デバイス上のレジスト膜に露光転写を行う際にこの迷光が転写用マスクの透光性基板におけるパターン形成領域の外に設けられたバーコードやアライメントマークに到達すると、半導体デバイス上のレジスト膜に映り込む現象が起こる。この現象が起こると半導体デバイス上のレジスト膜にCDばらつきが生じる。透光性基板上の薄膜に形成されるバーコードやアライメントマークは、転写用マスクの識別や位置合わせのために必要不可欠のものであるため、これらを除去することは現実的ではない。また、一般に、露光転写を行う際に使用される照明システムに、転写用マスクの露光領域の外側に露光光が照射されることを遮断するためのシャッター機構が設けられている。しかし、上述した照射源の位置や角度の最適化による露光光の斜入射成分の増大により、転写用マスクの露光領域内に照射された露光光が透光性基板内で露光領域の外側の領域に多重反射して生じる迷光を抑制することは困難である。このような事情から、従来においては許容されていた裏面反射率が約30%程度のマスクブランクでは、転写パターンのさらなる微細化の要求を満たすことが困難となってきている。
【0008】
そこで、本発明は、従来の課題を解決するためになされたものであり、透光性基板上に位相シフト膜を備えたマスクブランクにおいて、ArFエキシマレーザーの露光光に対して所定の透過率で透過する機能とその透過するArFエキシマレーザーの露光光に対して所定の位相差を生じさせる機能を兼ね備える位相シフト膜であり、さらに裏面反射率の低減された位相シフト膜を備えるマスクブランクを提供することを目的としている。また、このマスクブランクを用いて製造される位相シフトマスクを提供することを目的としている。そして、本発明は、このような位相シフトマスクを用いた半導体デバイスの製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を達成するため、本発明は以下の構成を有する。
(構成1)
透光性基板上に、位相シフト膜を備えたマスクブランクであって、
前記位相シフト膜は、前記透光性基板側から第1層および第2層の順に積層した構造を含み、
前記第1層は、前記透光性基板の表面に接して設けられ、
前記第1層および前記第2層のArFエキシマレーザーの露光光の波長における屈折率をそれぞれn、nとしたとき、n<nの関係を満たし、
前記第1層および前記第2層の前記露光光の波長における消衰係数をそれぞれk、kとしたとき、k<kの関係を満たし、
前記第1層および前記第2層の膜厚をそれぞれd、dとしたとき、d<dの関係を満たすことを特徴とするマスクブランク。
【0010】
(構成2)
前記第1層の屈折率nは1.8以上であり、前記第1層の消衰係数kは0.15以下であることを特徴とする構成1記載のマスクブランク。
(構成3)
前記第2層の屈折率nは2.2以上であり、前記第2層の消衰係数kは0.2以上であることを特徴とする構成1または2に記載のマスクブランク。
【0011】
(構成4)
前記透光性基板の前記露光光の波長における屈折率をnとしたとき、n<n<nの関係を満たし、
前記透光性基板の前記露光光の波長における消衰係数をkとしたとき、k<k<kの関係を満たすことを特徴とする構成1から3のいずれかに記載のマスクブランク。
(構成5)
前記透光性基板の屈折率nは1.6以下であり、前記透光性基板の消衰係数kは0.01以下であることを特徴とする構成4記載のマスクブランク。
【0012】
(構成6)
前記位相シフト膜は、前記露光光を15%以上の透過率で透過させる機能と、前記位相シフト膜を透過した前記露光光に対して前記位相シフト膜の厚さと同じ距離だけ空気中を通過した前記露光光との間で150度以上200度以下の位相差を生じさせる機能とを有することを特徴とする構成1から5のいずれかに記載のマスクブランク。
(構成7)
前記第1層は、ケイ素と窒素と酸素とからなる材料、または半金属元素および非金属元素から選ばれる1以上の元素とケイ素と窒素と酸素とからなる材料で形成され、
前記第2層は、ケイ素と窒素とからなる材料、または半金属元素および非金属元素から選ばれる1以上の元素とケイ素と窒素とからなる材料で形成されていることを特徴とする構成1から6のいずれかに記載のマスクブランク。
【0013】
(構成8)
前記第2層の窒素の含有量は、前記第1層の窒素の含有量よりも多いことを特徴とする構成1から7のいずれかに記載のマスクブランク。
(構成9)
前記位相シフト膜は、前記第2層の上に第3層を備え、
前記第3層の前記露光光の波長における屈折率をnとしたとき、n<n<nの関係を満たし、
前記第3層の前記露光光の波長における消衰係数をkとしたとき、k<k<kの関係を満たすことを特徴とする構成1から8のいずれかに記載のマスクブランク。
【0014】
(構成10)
前記第3層の膜厚をdとしたとき、d<d<dの関係を満たすことを特徴とする構成9記載のマスクブランク。
(構成11)
前記第3層の屈折率nは1.8未満であり、前記第3層の消衰係数kは1.0以上であることを特徴とする構成9または10に記載のマスクブランク。
【0015】
(構成12)
前記第3層は、ケイ素と窒素とからなる材料、または半金属元素および非金属元素から選ばれる1以上の元素とケイ素と窒素とからなる材料で形成されていることを特徴とする構成9から11のいずれかに記載のマスクブランク。
【0016】
(構成13)
前記位相シフト膜は、前記第3層の上に第4層を備え、
前記第4層の前記露光光の波長における屈折率をnとしたとき、n<n<nの関係を満たし、
前記第4層の前記露光光の波長における消衰係数をkとしたとき、k<k<kの関係を満たすことを特徴とする構成9から12のいずれかに記載のマスクブランク。
【0017】
(構成14)
前記第4層の屈折率nは1.7以下であり、前記第4層の消衰係数kは0.02以下であることを特徴とする構成13記載のマスクブランク。
(構成15)
前記第4層は、ケイ素と酸素とからなる材料、または半金属元素および非金属元素から選ばれる1以上の元素とケイ素と酸素とからなる材料で形成されていることを特徴とする構成13または14に記載のマスクブランク。
【0018】
(構成16)
前記位相シフト膜は、前記第2層の上に第3A層を備え、
前記第3A層の前記露光光の波長における屈折率をn3Aとしたとき、n3A<n<nの関係を満たし、
前記第3A層の前記露光光の波長における消衰係数をk3Aとしたとき、k3A<k<kの関係を満たすことを特徴とする構成1から8のいずれかに記載のマスクブランク。
【0019】
(構成17)
前記第3A層の屈折率n3Aは1.7以下であり、前記第3A層の消衰係数k3Aは0.02以下であることを特徴とする構成16記載のマスクブランク。
【0020】
(構成18)
前記第3A層は、ケイ素と酸素とからなる材料、または半金属元素および非金属元素から選ばれる1以上の元素とケイ素と酸素とからなる材料で形成されていることを特徴とする構成16または17に記載のマスクブランク。
【0021】
(構成19)
構成1から18のいずれかに記載のマスクブランクの前記位相シフト膜に転写パターンが設けられていることを特徴とする位相シフトマスク。
(構成20)
構成19記載の位相シフトマスクを用い、半導体基板上のレジスト膜に転写パターンを露光転写する工程を備えることを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、透光性基板上に位相シフト膜を備えており、その位相シフト膜は、ArFエキシマレーザーの露光光に対して所定の透過率で透過する機能とその透過するArFエキシマレーザーの露光光に対して所定の位相差を生じさせる機能を兼ね備えつつ、裏面反射率の低減された位相シフト膜を備えるマスクブランクを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1の実施形態におけるマスクブランクの構成を示す断面図である。
図2】本発明の第2の実施形態におけるマスクブランクの構成を示す断面図である。
図3】本発明の第3の実施形態におけるマスクブランクの構成を示す断面図である。
図4】本発明の第4の実施形態におけるマスクブランクの構成を示す断面図である。
図5】本発明の第1から第4の実施形態における位相シフトマスクの製造工程を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明者らは、位相シフト膜において、ArFエキシマレーザーの露光光(以降、単に露光光という場合もある。)を所定の透過率で透過する機能と所定の位相差を生じさせる機能を兼ね備えつつ、裏面反射率をさらに低減する手段について、鋭意研究を行った。
【0025】
転写用マスクに対する露光時に生じる迷光は、位相シフトマスクの透光性基板の裏側(位相シフト膜が設けられていない側)の表面(裏面)から入射した露光光の一部が、透光性基板と位相シフト膜との界面で反射され、さらに透光性基板の裏面と空気との界面で再度反射され、透光性基板の表側の表面の位相シフト膜がない領域から出射した光に起因するものと考えられる。この迷光によって生じる、バーコードやアライメントマークの映り込みを抑制するには、透光性基板に照射される露光光の光強度に対する迷光の光強度を0.2%以下にすることが望まれる。位相シフトマスクにおいて、転写パターンが形成される領域の外周の領域に設けられる遮光帯(位相シフト膜と遮光膜との積層構造)は、透過率が0.2%以下であることが好ましいとされている。この透過率であれば、露光光が透過しても半導体デバイス上のレジスト膜のCDばらつきに与える影響は実質的にないとされている。
【0026】
位相シフトマスクに対してArFエキシマレーザーの露光光で露光を行う場合、空気中から透光性基板の裏面に露光光が入射する際に、透光性基板の裏面で反射する光が入射光の5%程度生じる(すなわち、透光性基板の内部に入射する露光光の光強度は5%程度減少する。)。さらに、透光性基板と位相シフト膜との界面で反射された一部の露光光が、透光性基板の裏面と空気との界面で反射されるときに、一部の光は反射されず、裏面から出射する。これらの点を検討した結果、透光性基板上に位相シフト膜のみが存在する状態において、露光光に対する透光性基板側(裏面側)の反射率(裏面反射率)が9%以下であれば、迷光の光強度を0.2%以下にすることができ、バーコードやアライメントマークの映り込みを抑制できるという考えに至った。
【0027】
なお、位相シフト膜の裏面反射率を実際に測定する場合、透光性基板の位相シフト膜が設けられている側とは反対側の表面(裏面)に測定光を照射して反射光の光強度を測定し、その反射光の光強度から裏面反射率を求めている。その測定された反射光の光強度は、空気と透光性基板との界面で反射された光と、そこで反射されずに透光性基板に入射した測定光が透光性基板と位相シフト膜との界面で反射され、さらに透光性基板の裏面と空気との界面で再反射されずに空気中に出射した光(その界面に入射した光の4%弱の光)とを少なくとも含んだ光の光強度になる。すなわち、上記の裏面反射率が9%以下とは、透光性基板と位相シフト膜との界面で反射された光以外の反射光も含んだ光で求められる裏面反射率である。
【0028】
そして、本発明者は、ArFエキシマレーザーの露光光を所定の透過率で透過する機能と所定の位相差を生じさせる機能を兼ね備えつつ、9%以下の裏面反射率を実現するための、位相シフト膜を備えたマスクブランクの構成を検討した。
従来の位相シフト膜を形成する材料は、屈折率nができる限り大きく、かつ消衰係数kが大き過ぎず小さ過ぎない範囲内にあるものが好ましいとされている。従来の位相シフト膜は、主に位相シフト膜の内部でArFエキシマレーザーの露光光を吸収することで所定の透過率でArFエキシマレーザーの露光光を透過させつつ、その透過するArFエキシマレーザーの露光光に対して所定の位相差を生じさせる設計思想となっているためである。単層構造の位相シフト膜では、位相シフト膜に求められる機能(位相シフト膜内を透過するArFエキシマレーザーの露光光に対して所定の透過率と位相差を生じさせる機能)を有しつつ、9%以下の裏面反射率を実現することが難しい。そこで、本発明者は、位相シフト膜を複数の層で構成して、これらの層全体において、ArFエキシマレーザーの露光光を所定の透過率で透過する機能と所定の位相差を生じさせる機能を兼ね備えつつ、9%以下の裏面反射率を実現することを検討した。ArFエキシマレーザーの露光光に対する位相シフト膜の裏面反射率を低減するには、透光性基板と位相シフト膜との界面での反射光と、位相シフト膜を構成する層間の界面での反射光との干渉効果も利用することが必要となる。
【0029】
これらの点を考慮した結果、位相シフト膜を、透光性基板側から第1層および第2層の順に積層した構造とし、第1層を透光性基板の表面に接して設けられるようにし、ArFエキシマレーザーの露光光の波長における第1層、第2層の屈折率n、n、消衰係数k、k、および膜厚d、dをそれぞれ調整することで、ArFエキシマレーザーの露光光に対する所定の透過率と所定の位相差を兼ね備えつつ、9%以下の裏面反射率となる位相シフト膜を形成できることを見出した。本発明は、以上のような鋭意検討によってなされたものである。なお、以降の説明において、特に断りの無い限り、屈折率、消衰係数、透過率、位相差の値は、ArFエキシマレーザーの露光光に対する値である。
【0030】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るマスクブランク100の構成を示す断面図である。図1に示す本発明のマスクブランク100は、透光性基板1上に、位相シフト膜2、遮光膜3およびハードマスク膜4がこの順に積層された構造を有する。
透光性基板1は、合成石英ガラスのほか、石英ガラス、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、低熱膨張ガラス(SiO-TiOガラス等)などで形成することができる。これらの中でも、合成石英ガラスは、ArFエキシマレーザー光に対する透過率が高く、マスクブランクの透光性基板1を形成する材料として特に好ましい。
透光性基板1の屈折率nは、1.6以下であることが好ましく、1.59以下であるとより好ましく、1.58以下であるとさらに好ましい。一方、透光性基板1の屈折率nは、1.5以上であることが好ましく、1.52以上であるとより好ましく、1.54以上であるとさらに好ましい。また、透光性基板1の消衰係数kは、0.01以下であることが好ましい。なお、透光性基板1の消衰係数kの下限値は0.00である。
【0031】
位相シフト膜2は、位相シフト膜2の内部を透過した露光光と空気中を透過した露光光との間で十分な位相シフト効果を生じさせるには、露光光に対する透過率が15%以上であると好ましく、16%以上であるとより好ましい。他方、位相シフト膜2の露光光に対する透過率は、40%以下であると好ましく、36%以下であるとより好ましい。
【0032】
位相シフト膜2は、適切な位相シフト効果を得るために、透過するArFエキシマレーザーの露光光に対し、この位相シフト膜2の厚さと同じ距離だけ空気中を通過した光との間で生じる位相差が150度以上200度以下の範囲になるように調整されていることが好ましい。位相シフト膜2における前記位相差の下限値は、155度以上であることが好ましく、160度以上であるとより好ましい。他方、位相シフト膜2における前記位相差の上限値は、190度以下であることが好ましい。
【0033】
位相シフト膜2は、透光性基板1上に位相シフト膜2のみが存在する状態において、ArFエキシマレーザーの露光光に対する裏面反射率が9%以下であることが好ましい。
【0034】
位相シフト膜2は、透光性基板1側から、第1層21、第2層22が積層した構造を有する。位相シフト膜2の全体で、上記の透過率、位相差、裏面反射率の各条件を少なくとも満たす必要がある。位相シフト膜2が上記の各条件を満たすには、第1層21の屈折率nと第2層22の屈折率nがn<nの関係を満たし、第1層21の消衰係数kと第2層22の消衰係数kがk<kの関係を満たす必要があることを、本発明者は見出した。
その上で、第1層21の屈折率nは、1.8以上であると好ましく、1.85以上であるとより好ましい。また、第1層21の屈折率nは、2.2未満であると好ましく、2.15以下であるとより好ましい。第1層21の消衰係数kは、0.15以下であることが好ましく、0.14以下であるとより好ましい。また、第1層21の消衰係数kは、0.05以上であると好ましく、0.06以上であるとより好ましい。なお、第1層21の屈折率nおよび消衰係数kは、第1層21の全体を光学的に均一な1つの層とみなして導出された数値である。
さらに、透光性基板1の屈折率n、第1層21の屈折率n、第2層22の屈折率nがn<n<nの関係を満たし、透光性基板1の消衰係数k、第1層21の消衰係数k、第2層22の消衰係数kがk<k<kの関係を満たすことが好ましい。
【0035】
位相シフト膜2が上記の各条件を満たすには、第2層22の屈折率nは、2.2以上であることが好ましく、2.25以上であるとより好ましい。また、第2層22の屈折率nは、3.0以下であると好ましく、2.8以下であるとより好ましい。また、第2層22の消衰係数kは、0.2以上であることが好ましく、0.25以上であるとより好ましい。また、第2層22の消衰係数kは、0.5以下であると好ましく、0.4以下であるとより好ましい。なお、第2層22の屈折率nおよび消衰係数kは、第2層22の全体を光学的に均一な1つの層とみなして導出された数値である。
【0036】
位相シフト膜2を含む薄膜の屈折率nと消衰係数kは、その薄膜の組成だけで決まるものではない。その薄膜の膜密度や結晶状態なども屈折率nや消衰係数kを左右する要素である。このため、反応性スパッタリングで薄膜を成膜するときの諸条件を調整して、その薄膜が所望の屈折率nおよび消衰係数kとなるように成膜する。第1層21、第2層22を、上記の屈折率nと消衰係数kの範囲にするには、反応性スパッタリングで成膜する際に、貴ガスと反応性ガス(酸素ガス、窒素ガス等)の混合ガスの比率を調整することだけに限られない。反応性スパッタリングで成膜する際における成膜室内の圧力、スパッタリングターゲットに印加する電力、ターゲットと透光性基板1との間の距離等の位置関係など多岐にわたる。これらの成膜条件は成膜装置に固有のものであり、形成される第1層21、第2層22が所望の屈折率nおよび消衰係数kになるように適宜調整されるものである。
【0037】
さらに、位相シフト膜2が上記の各条件を満たすには、上記の第1層21、第2層22の光学特性に加えて、第1層21の膜厚dと第2層22の膜厚dとが、d<dの関係を満たすことが少なくとも必要である。
【0038】
第1層21の膜厚dは、33nm未満であると好ましく、32nm以下であるとより好ましい。また、第1層21の膜厚dは、10nmより大きいことが好ましく、15nm以上であるとより好ましい。
【0039】
第2層22の膜厚dは、33nm以上であると好ましく、34nm以上であるとより好ましい。また、第2層22の膜厚dは、50nm以下であることが好ましく、48nm以下であるとより好ましい。
【0040】
第1層21は、ケイ素と窒素と酸素とからなる材料、または半金属元素および非金属元素から選ばれる1以上の元素とケイ素と窒素と酸素とからなる材料で形成されることが好ましい。また、第2層22は、ケイ素と窒素とからなる材料、または半金属元素および非金属元素から選ばれる1以上の元素とケイ素と窒素とからなる材料で形成されることが好ましい。この半金属元素の中でも、ホウ素、ゲルマニウム、アンチモン及びテルルから選ばれる1以上の元素を含有させると、スパッタリングターゲットとして用いるケイ素の導電性を高めることが期待できるため、好ましい。また、この非金属元素の中でも、窒素、炭素、フッ素及び水素から選ばれる1以上の元素を含有させると好ましい。この非金属元素には、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)およびキセノン(Xe)等の貴ガスも含まれる。
【0041】
第2層22の窒素の含有量は、第1層21の窒素の含有量よりも多いことが好ましい。第1層21の窒素の含有量は、40原子%以下であることが好ましく、30原子%以下であることがより好ましい。また、第1層21の窒素の含有量は、10原子%以上であることが好ましく、15原子%以上であることがより好ましい。一方、第2層22の窒素の含有量は、45原子%以上であることが好ましく、50原子%以上であることがより好ましく、55原子%以上であることがさらに好ましい。第2層22は、屈折率が高い材料で形成されることが好ましいが、窒素含有量を多くすることで屈折率を高くすることができるためである。
【0042】
第1層21の酸素の含有量は、第2層22の酸素の含有量よりも多いことが好ましい。第1層21の酸素の含有量は、10原子%以上であることが好ましく、15原子%以上であることがより好ましい。また、第1層21の酸素の含有量は、45原子%以下であることが好ましく、40原子%以下であることがより好ましい。一方、第2層22の酸素の含有量は、5原子%以下であることが好ましく、2原子%以下であることがより好ましい。第2層22は、酸素を含有しないことがさらに好ましい。第2層22の酸素の含有量が増えるにつれて第2層22の屈折率が低下するためである。
【0043】
第1層21は、透光性基板1の表面に接して設けられる。第1層21が透光性基板1の表面と接した構成とした方が、上記の位相シフト膜2の第1層21、第2層の積層構造によって生じる裏面反射率を低減する効果がより得られるためである。
【0044】
位相シフト膜2における第1層21、第2層22は、スパッタリングによって形成されるが、DCスパッタリング、RFスパッタリングおよびイオンビームスパッタリングなどのいずれのスパッタリングも適用可能である。成膜レートを考慮すると、DCスパッタリングを適用することが好ましい。導電性が低いターゲットを用いる場合においては、RFスパッタリングやイオンビームスパッタリングを適用することが好ましいが、成膜レートを考慮すると、RFスパッタリングを適用するとより好ましい。
【0045】
マスクブランク100は、位相シフト膜2上に遮光膜3を備える。一般に、バイナリマスクでは、転写パターンが形成される領域(転写パターン形成領域)の外周領域は、露光装置を用いて半導体ウェハ上のレジスト膜に露光転写した際に外周領域を透過した露光光による影響をレジスト膜が受けないように、所定値以上の光学濃度(OD)を確保することが求められている。この点については、位相シフトマスクの場合も同じである。通常、位相シフトマスクを含む転写用マスクの外周領域では、ODが2.7以上であると好ましい。位相シフト膜2は所定の透過率で露光光を透過する機能を有しており、位相シフト膜2だけでは所定値の光学濃度を確保することは困難である。このため、マスクブランク100を製造する段階で位相シフト膜2の上に、不足する光学濃度を確保するために遮光膜3を積層しておくことが必要とされる。このようなマスクブランク100の構成とすることで、位相シフトマスク200(図5参照)を製造する途上で、位相シフト効果を使用する領域(基本的に転写パターン形成領域)の遮光膜3を除去すれば、外周領域に所定値の光学濃度が確保された位相シフトマスク200を製造することができる。
【0046】
遮光膜3は、単層構造および2層以上の積層構造のいずれも適用可能である。また、単層構造の遮光膜3および2層以上の積層構造の遮光膜3の各層は、膜または層の厚さ方向でほぼ同じ組成である構成であっても、層の厚さ方向で組成傾斜した構成であってもよい。
【0047】
図1に記載の形態におけるマスクブランク100は、位相シフト膜2の上に、他の膜を介さずに遮光膜3を積層した構成としている。この構成の場合の遮光膜3は、位相シフト膜2にパターンを形成する際に用いられるエッチングガスに対して十分なエッチング選択性を有する材料を適用する必要がある。この場合の遮光膜3は、クロムを含有する材料で形成することが好ましい。遮光膜3を形成するクロムを含有する材料としては、クロム金属のほか、クロムに酸素、窒素、炭素、ホウ素およびフッ素から選ばれる一以上の元素を含有する材料が挙げられる。
【0048】
一般に、クロム系材料は、塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスでエッチングされるが、クロム金属はこのエッチングガスに対するエッチングレートがあまり高くない。塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスのエッチングガスに対するエッチングレートを高める点を考慮すると、遮光膜3を形成する材料としては、クロムに酸素、窒素、炭素、ホウ素およびフッ素から選ばれる一以上の元素を含有する材料が好ましい。また、遮光膜3を形成するクロムを含有する材料にモリブデン、インジウムおよびスズのうち一以上の元素を含有させてもよい。モリブデン、インジウムおよびスズのうち一以上の元素を含有させることで、塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスに対するエッチングレートをより速くすることができる。
【0049】
また、第2層22を形成する材料との間でドライエッチングに対するエッチング選択性が得られるのであれば、遮光膜3を遷移金属とケイ素を含有する材料で形成してもよい。遷移金属とケイ素を含有する材料は遮光性能が高く、遮光膜3の厚さを薄くすることが可能となるためである。遮光膜3に含有させる遷移金属としては、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ハフニウム(Hf)、ニッケル(Ni)、バナジウム(V)、ジルコニウム(Zr)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、亜鉛(Zn)、ニオブ(Nb)、パラジウム(Pd)等のいずれか1つの金属またはこれらの金属の合金が挙げられる。遮光膜3に含有させる遷移金属元素以外の金属元素としては、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、スズ(Sn)およびガリウム(Ga)などが挙げられる。
【0050】
一方、別の実施形態のマスクブランク100として、位相シフト膜2側からクロムを含有する材料からなる層と遷移金属とケイ素を含有する材料からなる層がこの順に積層した構造の遮光膜3を備えてもよい。この場合におけるクロムを含有する材料および遷移金属とケイ素を含有する材料の具体的な事項については、上記の遮光膜3の場合と同様である。
【0051】
マスクブランク100は、位相シフト膜2と遮光膜3が積層した状態において、ArFエキシマレーザーの露光光に対する裏面反射率が9%以下であることが好ましい。
【0052】
マスクブランク100において、遮光膜3をエッチングするときに用いられるエッチングガスに対してエッチング選択性を有する材料で形成されたハードマスク膜4を遮光膜3の上にさらに積層させた構成とすると好ましい。ハードマスク膜4は、基本的に光学濃度の制限を受けないため、ハードマスク膜4の厚さは遮光膜3の厚さに比べて大幅に薄くすることができる。そして、有機系材料のレジスト膜は、このハードマスク膜4にパターンを形成するドライエッチングが終わるまでの間、エッチングマスクとして機能するだけの膜の厚さがあれば十分であるので、従来よりも大幅に厚さを薄くすることができる。レジスト膜の薄膜化は、レジスト解像度の向上とパターン倒れ防止に効果があり、微細化要求に対応していく上で極めて重要である。
【0053】
このハードマスク膜4は、遮光膜3がクロムを含有する材料で形成されている場合は、ケイ素を含有する材料で形成されることが好ましい。なお、この場合のハードマスク膜4は、有機系材料のレジスト膜との密着性が低い傾向があるため、ハードマスク膜4の表面をHMDS(Hexamethyldisilazane)処理を施し、表面の密着性を向上させることが好ましい。なお、この場合のハードマスク膜4は、SiO、SiN、SiON等で形成されるとより好ましい。
【0054】
また、遮光膜3がクロムを含有する材料で形成されている場合におけるハードマスク膜4の材料として、前記のほか、タンタルを含有する材料も適用可能である。この場合におけるタンタルを含有する材料としては、タンタル金属のほか、タンタルに窒素、酸素、ホウ素および炭素から選らばれる一以上の元素を含有させた材料などが挙げられる。たとえば、Ta、TaN、TaO、TaON、TaBN、TaBO、TaBON、TaCN、TaCO、TaCON、TaBCN、TaBOCNなどが挙げられる。また、ハードマスク膜4は、遮光膜3がケイ素を含有する材料で形成されている場合、前記のクロムを含有する材料で形成されることが好ましい。
【0055】
マスクブランク100において、ハードマスク膜4の表面に接して、有機系材料のレジスト膜が100nm以下の膜厚で形成されていることが好ましい。DRAM hp32nm世代に対応する微細パターンの場合、ハードマスク膜4に形成すべき転写パターン(位相シフトパターン)に、線幅が40nmのSRAF(Sub-Resolution Assist Feature)が設けられることがある。しかし、この場合でも、レジストパターンの断面アスペクト比が1:2.5と低くすることができるので、レジスト膜の現像時、リンス時等にレジストパターンが倒壊や脱離することを抑制できる。なお、レジスト膜は、膜厚が80nm以下であるとより好ましい。
【0056】
図2は、本発明の第2の実施形態に係るマスクブランク110の構成を示す断面図である。本実施形態におけるマスクブランク110では、位相シフト膜2は、透光性基板1側から、第1層21、第2層22、第3層23が積層した構造を有する。第1層21、第2層22については、好適な屈折率や消衰係数、膜厚は、第1の実施形態において述べた通りであるので、説明を省略する。透光性基板1、遮光膜3、ハードマスク膜4の構成に関しても、第1の実施形態において述べた通りである。
【0057】
第3層23は、その表層部分を除き、ケイ素と窒素とからなる材料、または半金属元素および非金属元素から選ばれる1以上の元素とケイ素と窒素とからなる材料で形成されることが好ましい。
第1層21の屈折率n、第2層22の屈折率n、第3層23の屈折率nは、n<n<nの関係を満たすことが好ましい。また、第1層21の消衰係数k、第2層22の消衰係数k、第3層23の消衰係数kは、k<k<kの関係を満たすことが好ましい。その上で、第3層23の屈折率nは、1.8未満であることが好ましく、1.75以下であるとより好ましい。また、第3層23の屈折率nは、1.0以上であることが好ましく、1.2以上であるとより好ましい。第3層23の消衰係数kは、1.0以上であることが好ましく、1.2以上であるとより好ましい。また、第3層23の消衰係数kは、2.0以下であることが好ましく、1.8以下であるとより好ましい。
【0058】
第1層21の膜厚d、第2層22の膜厚d、第3層23の膜厚dは、d<d<dの関係を満たすことが好ましい。その上で、第3層23の膜厚dは10nm以下であると好ましく、9nm以下であるとより好ましい。また、第3層23の膜厚dは、2nm以上であることが好ましく、3nm以上であるとより好ましい。
【0059】
第3層23の窒素の含有量は、第2層22の窒素の含有量よりも少ないことが好ましい。第3層23の窒素の含有量は、35原子%以下であることが好ましく、30原子%以下であることがより好ましい。また、第3層23の窒素の含有量は、5原子%以上であることが好ましく、10原子%以上であることがより好ましい。第3層23の酸素の含有量は、第1層21の酸素の含有量よりも少ないことが好ましい。第3層23の酸素の含有量は、10原子%以下であることが好ましく、5原子%以下であることがより好ましい。
本実施形態におけるマスクブランク110は、上述のような構成とすることにより、略180度の位相差を生じさせることができるとともに、第1実施形態のマスクブランク100に比して、裏面反射率のさらなる低減が可能となる。
【0060】
図3は、本発明の第3の実施形態に係るマスクブランク120の構成を示す断面図である。本実施形態におけるマスクブランク120では、位相シフト膜2は、透光性基板1側から、第1層21、第2層22、第3層23、第4層24が積層した構造を有する。第1層21、第2層22、第3層23については、好適な屈折率や消衰係数、膜厚は、第1及び第2の実施形態において述べた通りであるので、説明を省略する。透光性基板1、遮光膜3、ハードマスク膜4の構成に関しても、第1の実施形態において述べた通りである。
【0061】
第4層24は、ケイ素と酸素とからなる材料、または半金属元素および非金属元素から選ばれる1以上の元素とケイ素と酸素とからなる材料で形成されていことが好ましい。
また、第1層21の屈折率n、第2層22の屈折率n、第3層23の屈折率n、第4層24の屈折率nは、n<n<nの関係とn<n<nの関係を同時に満たすことが好ましい。また、第1層21の消衰係数k、第2層22の消衰係数k、第3層23の消衰係数k、第4層24の消衰係数をkは、k<k<kの関係とk<k<kの関係を同時に満たすことが好ましい。その上で、第4層24の屈折率nは、1.7以下であることが好ましく、1.65以下であるとより好ましい。また、第4層24の屈折率nは、1.50以上であることが好ましく、1.52以上であるとより好ましい。また、第4層24の消衰係数kは、0.02以下であることが好ましく、0.01以下であるとより好ましい。また、第4層24の消衰係数kは、0.00以上であることが好ましい。
【0062】
第4層24の厚さは10nm以下であると好ましく、9nm以下であるとより好ましい。また、第4層24の厚さは、2nm以上であることが好ましく、3nm以上であるとより好ましい。
第4層24の酸素の含有量は、第1層21の酸素の含有量よりも多いことが好ましい。第4層24の酸素の含有量は、50原子%以上であることが好ましく、55原子%以下であることがより好ましい。
【0063】
本実施形態におけるマスクブランク120は、上述のような構成とすることにより、略180度の位相差を生じさせることができるとともに、窒素含有量が多いケイ素含有膜で発生しやすいヘイズの発生を抑制することができ、第1実施形態のマスクブランク100に比して、裏面反射率のさらなる低減が可能となる。
【0064】
図4は、本発明の第4の実施形態に係るマスクブランク130の構成を示す断面図である。本実施形態におけるマスクブランク130では、位相シフト膜2は、透光性基板1側から、第1層21、第2層22、第3A層25が積層した構造を有する。第1層21、第2層22については、好適な屈折率や消衰係数、膜厚は、第1の実施形態において述べた通りであるので、説明を省略する。透光性基板1、遮光膜3、ハードマスク膜4の構成に関しても、第1の実施形態において述べた通りである。
【0065】
第3A層25は、ケイ素と酸素とからなる材料、または半金属元素および非金属元素から選ばれる1以上の元素とケイ素と酸素とからなる材料で形成されることが好ましい。
第1層21の屈折率n、第2層22の屈折率n、第3A層25の屈折率n3Aは、n3A<n<nの関係を満たすことが好ましい。また、第1層21の消衰係数k、第2層22の消衰係数k、第3A層25の消衰係数k3Aは、k3A<k<kの関係を満たすことが好ましい。その上で、第3A層25の屈折率n3Aは、1.7以下であることが好ましく、1.65以下であるとより好ましい。また、第3A層25の屈折率n3Aは、1.50以上であることが好ましく、1.52以上であるとより好ましい。また、第3A層25の消衰係数k3Aは、0.02以下であることが好ましく、0.01以下であるとより好ましい。また、第3A層25の消衰係数k3Aは、0.00以上であることが好ましい。
【0066】
第1層21の膜厚d、第2層22の膜厚d、第3A層25の膜厚d3Aは、d3A<d<dの関係を満たすことが好ましい。その上で、第3A層25の膜厚d3Aは30nm以下であると好ましく、25nm以下であるとより好ましい。また、第3A層25の膜厚d3Aは、2nm以上であることが好ましく、3nm以上であるとより好ましい。
第3A層25の酸素の含有量は、第1層21の酸素の含有量よりも多いことが好ましい。第3A層25の酸素の含有量は、50原子%以上であることが好ましく、55原子%以下であることがより好ましい。
【0067】
本実施形態におけるマスクブランク130は、上述のような構成とすることにより、略180度の位相差を生じさせることができるとともに、第1実施形態のマスクブランク100に比して、裏面反射率のさらなる低減が可能となる。
【0068】
図5に、第1から第4の実施形態のマスクブランク100、110、120、130から製造される本発明の第1から第4の実施形態に係る位相シフトマスク200、210、220、230とその製造工程を示す。
図5(g)に示されているように、位相シフトマスク200、210、220、230は、マスクブランク100、110、120、130の位相シフト膜2に転写パターンである位相シフトパターン2aが形成され、遮光膜3に遮光パターン3bが形成されていることを特徴としている。マスクブランク100、110、120、130にハードマスク膜4が設けられている構成の場合、この位相シフトマスク200、210、220、230の作成途上でハードマスク膜4は除去される。
【0069】
本発明の第1から第4の実施形態に係る位相シフトマスク200、210、220、230の製造方法は、前記のマスクブランク100、110、120、130を用いるものであり、ドライエッチングにより遮光膜3に転写パターンを形成する工程と、転写パターンを有する遮光膜3をマスクとするドライエッチングにより位相シフト膜2に転写パターンを形成する工程と、遮光パターンを有するレジスト膜(第2のレジストパターン)6bをマスクとするドライエッチングにより遮光膜3に遮光パターン3bを形成する工程とを備えることを特徴としている。以下、図5に示す製造工程にしたがって、本発明の位相シフトマスク200、210、220、230の製造方法を説明する。なお、ここでは、遮光膜3の上にハードマスク膜4が積層したマスクブランク100、110、120、130を用いた位相シフトマスク200、210、220、230の製造方法について説明する。また、遮光膜3にはクロムを含有する材料を適用し、ハードマスク膜4にはケイ素を含有する材料を適用した場合について述べる。
【0070】
まず、マスクブランク100、110、120、130におけるハードマスク膜4に接して、レジスト膜をスピン塗布法によって形成する。次に、レジスト膜に対して、位相シフト膜2に形成すべき転写パターン(位相シフトパターン)である第1のパターンを電子線で露光描画し、さらに現像処理等の所定の処理を行い、位相シフトパターンを有する第1のレジストパターン5aを形成した(図5(a)参照)。続いて、第1のレジストパターン5aをマスクとして、フッ素系ガスを用いたドライエッチングを行い、ハードマスク膜4に第1のパターン(ハードマスクパターン4a)を形成した(図5(b)参照)。
【0071】
次に、レジストパターン5aを除去してから、ハードマスクパターン4aをマスクとして、塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスを用いたドライエッチングを行い、遮光膜3に第1のパターン(遮光パターン3a)を形成する(図5(c)参照)。続いて、遮光パターン3aをマスクとして、フッ素系ガスを用いたドライエッチングを行い、位相シフト膜2に第1のパターン(位相シフトパターン2a)を形成し、かつハードマスクパターン4aを除去した(図5(d)参照)。
【0072】
次に、マスクブランク100、110、120、130上にレジスト膜をスピン塗布法によって形成した。次に、レジスト膜に対して、遮光膜3に形成すべきパターン(遮光パターン)である第2のパターンを電子線で露光描画し、さらに現像処理等の所定の処理を行い、遮光パターンを有する第2のレジストパターン6bを形成した(図5(e)参照)。続いて、第2のレジストパターン6bをマスクとして、塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスを用いたドライエッチングを行い、遮光膜3に第2のパターン(遮光パターン3b)を形成した(図5(f)参照)。さらに、第2のレジストパターン6bを除去し、洗浄等の所定の処理を経て、位相シフトマスク200、210、220、230を得た(図5(g)参照)。
【0073】
前記のドライエッチングで使用される塩素系ガスとしては、Clが含まれていれば特に制限はない。たとえば、Cl、SiCl、CHCl、CHCl、CCl、BCl等があげられる。また、前記のドライエッチングで使用されるフッ素系ガスとしては、Fが含まれていれば特に制限はない。たとえば、CHF、CF、C、C、SF等があげられる。特に、Cを含まないフッ素系ガスは、ガラス基板に対するエッチングレートが比較的低いため、ガラス基板へのダメージをより小さくすることができる。
【0074】
本発明の位相シフトマスク200、210、220、230は、前記のマスクブランク100、110、120、130を用いて作製されたものである。このため、転写パターンが形成された位相シフト膜2(位相シフトパターン2a)はArFエキシマレーザーの露光光に対する透過率が15%以上であり、かつ位相シフトパターン2aを透過した露光光と位相シフトパターン2aの厚さと同じ距離だけ空気中を通過した露光光との間における位相差が150度以上200度以下の範囲内となっている。また、この位相シフトマスク200は、遮光パターン3bが積層していない位相シフトパターン2aの領域(位相シフトパターン2aのみが存在する透光性基板1上の領域)における裏面反射率が9%以下になっている。これにより、位相シフトマスク200を用いて転写対象物(半導体ウェハ上のレジスト膜等)へ露光転写を行ったときに、上記の迷光によって露光転写像に与える影響を抑制することができる。
【0075】
本発明の半導体デバイスの製造方法は、前記の位相シフトマスク200、210、220、230を用い、半導体基板上のレジスト膜に転写パターンを露光転写することを特徴としている。位相シフトマスク200、210、220、230は、ArFエキシマレーザーの露光光に対して所定の透過率で透過する機能とその透過するArFエキシマレーザーの露光光に対して所定の位相差を生じさせる機能を兼ね備え、裏面反射率が9%以下と従来のものに比して大幅に低減されている。このため、この位相シフトマスク200、210、220、230を露光装置にセットし、その位相シフトマスク200、210、220、230の透光性基板1側からArFエキシマレーザーの露光光を照射して転写対象物(半導体ウェハ上のレジスト膜等)へ露光転写する工程を行っても、位相シフトマスク200、210、220、230に形成されたバーコードやアライメントマークの転写対象物への映り込みを抑制できることができ、高い精度で転写対象物に所望のパターンを転写することができる。
【0076】
一方、上記の本発明の第1から第4の各実施形態で示した位相シフト膜の構成とは異なる、別の発明の位相シフト膜の構成であっても、ArFエキシマレーザーの露光光に対する所定の透過率と所定の位相差を兼ね備えつつ、9%以下の裏面反射率となる位相シフト膜を実現することは可能である。例えば、この別の発明のマスクブランクは、透光性基板上に、位相シフト膜を備えたマスクブランクであって、位相シフト膜は、透光性基板側から第1B層、第2B層、第3B層および第4B層の順に積層した構造を含み、第1B層は、前記透光性基板の表面に接して設けられ、第1B層、第2B層、第3B層および第4B層のArFエキシマレーザーの露光光の波長における屈折率をそれぞれn1B、n2B、n3B、n4Bとしたとき、n4B<n1B<n2Bおよびn4B<n3B<n2Bの関係を同時に満たし、第1B層、第2B層、第3B層および第4B層の露光光の波長における消衰係数をそれぞれk1B、k2B、k3B、k4Bとしたとき、k4B<k1B<k2Bおよびk4B<k3B<k2Bの関係を同時に満たし、第1B層、第2B層、第3B層および第4B層の膜厚をそれぞれd1B、d2B、d3B、d4Bとしたとき、d1B>d3B>d4Bおよびd2B>d3B>d4Bの関係を同時に満たすことを特徴とするマスクブランクがあげられる。なお、透光性基板、遮光膜、ハードマスク膜の構成に関しては、上記の第1の実施形態において述べたものと同様である。また、位相シフト膜に関しても、以降に記述する点以外については、上記の第1の実施形態において述べたものと同様である。
【0077】
第1B層および第3B層は、ケイ素と窒素と酸素とからなる材料、または半金属元素および非金属元素から選ばれる1以上の元素とケイ素と窒素と酸素とからなる材料で形成されることが好ましい。また、第2B層は、ケイ素と窒素とからなる材料、または半金属元素および非金属元素から選ばれる1以上の元素とケイ素と窒素とからなる材料で形成されることが好ましい。第4B層は、ケイ素と酸素とからなる材料、または半金属元素および非金属元素から選ばれる1以上の元素とケイ素と酸素とからなる材料で形成されることが好ましい。
【0078】
第1B層の屈折率n1Bは、1.8以上であると好ましく、1.85以上であるとより好ましい。また、第1B層の屈折率n1Bは、2.2未満であると好ましく、2.15以下であるとより好ましい。第1B層の消衰係数k1Bは、0.15以下であることが好ましく、0.14以下であるとより好ましい。また、第1B層の消衰係数k1Bは、0.05以上であると好ましく、0.06以上であるとより好ましい。第1B層の膜厚d1Bは、35nm以下であると好ましく、33nm以下であるとより好ましい。また、第1B層の膜厚d1Bは、20nmより大きいことが好ましく、21nm以上であるとより好ましい。
【0079】
第2B層の屈折率n2Bは、2.2以上であることが好ましく、2.25以上であるとより好ましい。また、第2B層の屈折率n2Bは、3.0以下であると好ましく、2.8以下であるとより好ましい。また、第2B層の消衰係数k2Bは、0.2以上であることが好ましく、0.25以上であるとより好ましい。また、第2B層の消衰係数k2Bは、0.5以下であると好ましく、0.4以下であるとより好ましい。第2B層の膜厚d2Bは、35nm以下であると好ましく、33nm以下であるとより好ましい。また、第2B層の膜厚d2Bは、20nmより大きいことが好ましく、21nm以上であるとより好ましい。
【0080】
第3B層の屈折率n3Bは、1.8以上であると好ましく、1.85以上であるとより好ましい。また、第3B層の屈折率n3Bは、2.2未満であると好ましく、2.15以下であるとより好ましい。第3B層の消衰係数k3Bは、0.15以下であることが好ましく、0.14以下であるとより好ましい。また、第3B層の消衰係数k3Bは、0.05以上であると好ましく、0.06以上であるとより好ましい。第3B層の膜厚d3Bは、20nm以下であると好ましく、19nm以下であるとより好ましい。また、第3B層の膜厚d3Bは、10nm以上であることが好ましく、15nm以上であるとより好ましい。
【0081】
第4B層の屈折率n4Bは、1.7以下であることが好ましく、1.65以下であるとより好ましい。また、第4B層の屈折率n4Bは、1.50以上であることが好ましく、1.52以上であるとより好ましい。また、第4B層の消衰係数k4Bは、0.1以下であることが好ましく、0.01以下であるとより好ましい。また、第4B層の消衰係数k4Bは、0.00以上であることが好ましい。第4B層の膜厚d4Bは、10nmよりも小さいことが好ましく、9nm以下であるとより好ましい。また、第4B層の膜厚d4Bは、2nm以上であることが好ましく、3nm以上であるとより好ましい。
【0082】
第2B層の窒素の含有量は、第1B層および第3B層の窒素の含有量よりも多いことが好ましい。第1B層および第3B層の窒素の含有量は、40原子%以下であることが好ましく、30原子%以下であることがより好ましい。また、第1B層および第3B層の窒素の含有量は、10原子%以上であることが好ましく、15原子%以上であることがより好ましい。一方、第2B層の窒素の含有量は、45原子%以上であることが好ましく、50原子%以上であることがより好ましく、55原子%以上であることがさらに好ましい。第2層Bは、屈折率が高い材料で形成されることが好ましいが、窒素含有量を多くすることで屈折率を高くすることができるためである。
【0083】
第1B層および第3B層の酸素の含有量は、第2B層の酸素の含有量よりも多いことが好ましい。第1B層および第3B層の酸素の含有量は、10原子%以上であることが好ましく、15原子%以上であることがより好ましい。また、第1B層および第3B層の酸素の含有量は、45原子%以下であることが好ましく、40原子%以下であることがより好ましい。一方、第2B層の酸素の含有量は、5原子%以下であることが好ましく、2原子%以下であることがより好ましい。第2B層は、酸素を含有しないことがさらに好ましい。第2B層の酸素の含有量が増えるにつれて第2層22の屈折率が低下するためである。
【0084】
第4B層の酸素の含有量は、第1B層、第2B層および第3B層の酸素の含有量よりも多いことが好ましい。第4B層の酸素の含有量は、50原子%以上であることが好ましく、55原子%以下であることがより好ましい。
【0085】
一方、上記の第1から第4の実施形態のマスクブランクから位相シフトマスクを製造する場合と同様の手順で、この別の発明のマスクブランクから位相シフトマスクを製造することができる。この別の発明の位相シフトマスクは、上記の別の発明のマスクブランクの位相シフト膜に転写パターンである位相シフトパターンが形成され、遮光膜に遮光パターンが形成されていることを特徴としている。
【0086】
一方、上記の本発明の半導体デバイスの製造方法についても、上記の別の発明の位相シフトマスクを用いることが可能である。この別の発明の位相シフトマスクも、ArFエキシマレーザーの露光光に対して所定の透過率で透過する機能とその透過するArFエキシマレーザーの露光光に対して所定の位相差を生じさせる機能を兼ね備え、裏面反射率が9%以下と従来のものに比して大幅に低減されている。このため、この別の発明の位相シフトマスクを露光装置にセットし、その別の発明の位相シフトマスクの透光性基板側からArFエキシマレーザーの露光光を照射して転写対象物(半導体ウェハ上のレジスト膜等)へ露光転写する工程を行っても、その別の発明の位相シフトマスクに形成されたバーコードやアライメントマークの転写対象物への映り込みを抑制できることができ、高い精度で転写対象物に所望のパターンを転写することができる。
【実施例
【0087】
以下、実施例により、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
[マスクブランクの製造]
主表面の寸法が約152mm×約152mmで、厚さが約6.35mmの合成石英ガラスからなる透光性基板1を準備した。この透光性基板1は、端面及び主表面を所定の表面粗さに研磨され、その後、所定の洗浄処理および乾燥処理を施されたものである。この透光性基板1の光学特性を測定したところ、屈折率nが1.556、消衰係数kが0.00であった。
【0088】
次に、枚葉式RFスパッタ装置内に透光性基板1を設置し、ケイ素(Si)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)ガス、酸素(O)および窒素(N)の混合ガスをスパッタリングガスとするRFスパッタリングにより、透光性基板1の表面に接してケイ素、酸素および窒素からなる位相シフト膜2の第1層21(SiON膜 Si:O:N=40原子%:35原子%:25原子%)を29.5nmの厚さで形成した。続いて、ケイ素(Si)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)および窒素(N)の混合ガスをスパッタリングガスとする反応性スパッタリング(RFスパッタリング)により、第1層21上に、ケイ素および窒素からなる位相シフト膜2の第2層22(SiN膜 Si:N=43原子%:57原子%)を41.5nmの厚さで形成した。以上の手順により、透光性基板1の表面に接して第1層21、第2層22が積層した位相シフト膜2を71nmの厚さで形成した。なお、第1層21、第2層22の組成は、X線光電子分光法(XPS)による測定によって得られた結果である。以下、他の膜に関しても同様である。
【0089】
次に、位相シフト量測定装置(レーザーテック社製 MPM193)を用いて、その位相シフト膜2の波長193nmの光に対する透過率と位相差を測定したところ、透過率が27.4%、位相差が183.2度(deg)であった。さらに、この位相シフト膜2の第1層21、第2層22の各光学特性を分光エリプソメーター(J.A.Woollam社製 M-2000D)で測定したところ、第1層21は屈折率nが1.990、消衰係数kが0.085であり、第2層22は、屈折率nが2.595、消衰係数kが0.357であった。ArFエキシマレーザーの露光光の波長の光に対する位相シフト膜2の裏面反射率は3.7%であり、9%を下回るものであった。
【0090】
次に、枚葉式DCスパッタ装置内に位相シフト膜2が形成された透光性基板1を設置し、クロム(Cr)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)、二酸化炭素(CO)、窒素(N)およびヘリウム(He)の混合ガスをスパッタリングガスとする反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、位相シフト膜2上にCrOCNからなる遮光膜3(CrOCN膜 Cr:O:C:N=55原子%:22原子%:12原子%:11原子%)を59.5nmの厚さで形成した。この透光性基板1上に位相シフト膜2と遮光膜3が積層した状態におけるArFエキシマレーザーの露光光の波長の光に対する裏面反射率は0.5%であり、9%を下回るものであった。この位相シフト膜2と遮光膜3の積層構造における波長193nmの光に対する光学濃度(OD)を測定したところ、3.0以上であった。また、別の透光性基板1を準備し、同じ成膜条件で遮光膜3のみを成膜し、その遮光膜3の光学特性を上記分光エリプソメーターで測定したところ、屈折率nが1.92、消衰係数kが1.50であった。
【0091】
次に、枚葉式RFスパッタ装置内に、位相シフト膜2および遮光膜3が積層された透光性基板1を設置し、二酸化ケイ素(SiO)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)ガスをスパッタリングガスとし、RFスパッタリングにより遮光膜3の上に、ケイ素および酸素からなるハードマスク膜4を5nmの厚さで形成した。以上の手順により、透光性基板1上に、3層構造の位相シフト膜2、遮光膜3およびハードマスク膜4が積層した構造を備えるマスクブランク100を製造した。
【0092】
[位相シフトマスクの製造]
次に、この実施例1のマスクブランク100を用い、以下の手順で実施例1の位相シフトマスク200を作製した。最初に、ハードマスク膜4の表面にHMDS処理を施した。続いて、スピン塗布法によって、ハードマスク膜4の表面に接して、電子線描画用化学増幅型レジストからなるレジスト膜を膜厚80nmで形成した。次に、このレジスト膜に対して、位相シフト膜2に形成すべき位相シフトパターンである第1のパターンを電子線描画し、所定の現像処理および洗浄処理を行い、第1のパターンを有する第1のレジストパターン5aを形成した(図5(a)参照)。このとき、第1のレジストパターン5aには、パターン形成領域外において、バーコードやアライメントマークに対応する形状のパターンも併せて形成した。
【0093】
次に、第1のレジストパターン5aをマスクとし、CFガスを用いたドライエッチングを行い、ハードマスク膜4に第1のパターン(ハードマスクパターン4a)を形成した(図(b)参照)。このとき、ハードマスク膜4には、パターン形成領域外において、バーコードやアライメントマークに対応する形状のパターンも併せて形成した。その後、第1のレジストパターン5aを除去した。

【0094】
続いて、ハードマスクパターン4aをマスクとし、塩素と酸素の混合ガス(ガス流量比 Cl:O=10:1)を用いたドライエッチングを行い、遮光膜3に第1のパターン(遮光パターン3a)を形成した(図5(c)参照)。このとき、遮光膜3には、パターン形成領域外において、バーコードやアライメントマークに対応する形状のパターンも併せて形成した。次に、遮光パターン3aをマスクとし、フッ素系ガス(SF+He)を用いたドライエッチングを行い、位相シフト膜2に第1のパターン(位相シフトパターン2a)を形成し、かつ同時にハードマスクパターン4aを除去した(図5(d)参照)。このとき、位相シフト膜2には、パターン形成領域外において、バーコードやアライメントマークに対応する形状のパターンも併せて形成した。
【0095】
次に、遮光パターン3a上に、スピン塗布法によって、電子線描画用化学増幅型レジストからなるレジスト膜を膜厚150nmで形成した。次に、レジスト膜に対して、遮光膜に形成すべきパターン(遮光パターン)である第2のパターンを露光描画し、さらに現像処理等の所定の処理を行い、遮光パターンを有する第2のレジストパターン6bを形成した(図5(e)参照)。続いて、第2のレジストパターン6bをマスクとして、塩素と酸素の混合ガス(ガス流量比 Cl:O=4:1)を用いたドライエッチングを行い、遮光膜3に第2のパターン(遮光パターン3b)を形成した(図5(f)参照)。さらに、第2のレジストパターン6bを除去し、洗浄等の所定の処理を経て、位相シフトマスク200を得た(図5(g)参照)。
【0096】
この位相シフトマスク200に対し、AIMS193(Carl Zeiss社製)を用いて、ArFエキシマレーザーの露光光で半導体デバイス上のレジスト膜に露光転写したときにおける露光転写像のシミュレーションを行った。このシミュレーションで得られた露光転写像を検証したところ、設計仕様を十分に満たしていた。また、露光転写像には、バーコードやアライメントマークの映り込みに起因するCDばらつきは見られなかった。以上のことから、この実施例1のマスクブランクから製造された位相シフトマスク200は、露光装置にセットしてArFエキシマレーザーの露光光による露光転写を行っても、半導体デバイス上のレジスト膜に対して高精度で露光転写を行うことができるといえる。
【0097】
(実施例2)
[マスクブランクの製造]
実施例2のマスクブランク110は、位相シフト膜2以外については、実施例1と同様の手順で製造した。この実施例2の位相シフト膜2は、第2層22の上に第3層23を形成している。具体的には、枚葉式RFスパッタ装置内に透光性基板1を設置し、ケイ素(Si)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)ガス、酸素(O)および窒素(N)の混合ガスをスパッタリングガスとするRFスパッタリングにより、透光性基板1の表面に接してケイ素、酸素および窒素からなる位相シフト膜2の第1層21(SiON膜 Si:O:N=40原子%:35原子%:25原子%)を29.5nmの厚さで形成した。続いて、ケイ素(Si)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)および窒素(N)の混合ガスをスパッタリングガスとする反応性スパッタリング(RFスパッタリング)により、第1層21上に、ケイ素および窒素からなる位相シフト膜2の第2層22(SiN膜 Si:N=43原子%:57原子%)を41.5nmの厚さで形成した。続いて、ケイ素(Si)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)および窒素(N)の混合ガスをスパッタリングガスとする反応性スパッタリング(RFスパッタリング)により、第2層22上に、ケイ素および窒素からなる位相シフト膜2の第3層23(Si:N=68原子%:32原子%)を3nmの厚さで形成した。以上の手順により、透光性基板1の表面に接して第1層21、第2層22、第3層23が積層した位相シフト膜2を74nmの厚さで形成した。
【0098】
上記位相シフト量測定装置を用いて、その位相シフト膜2のArFエキシマレーザーの露光光の波長(波長193nm)の光に対する透過率と位相差を測定したところ、透過率が19.6%、位相差が175.8度(deg)であった。さらに、この位相シフト膜2の第1層21、第2層22、第3層23の各光学特性を上記分光エリプソメーターで測定したところ、第1層21は屈折率nが1.990、消衰係数kが0.085であり、第2層22は、屈折率nが2.595、消衰係数kが0.357であり、第3層23は、屈折率nが1.648、消衰係数kが1.861であった。位相シフト膜2のArFエキシマレーザーの露光光の波長の光に対する裏面反射率(透光性基板1側の反射率)は6.3%であり、9%を下回るものであった。
【0099】
以上の手順により、透光性基板1上に、第1層21、第2層22、第3層23とからなる位相シフト膜2、遮光膜3およびハードマスク膜4が積層した構造を備える実施例2のマスクブランク110を製造した。なお、この実施例2のマスクブランク110は、透光性基板1上に位相シフト膜2と遮光膜3が積層した状態におけるArFエキシマレーザーの露光光の波長の光に対する裏面反射率(透光性基板1側の反射率)は6.9%であり、9%を下回るものであった。この位相シフト膜2と遮光膜3の積層構造における波長193nmの光に対する光学濃度(OD)を測定したところ、3.0以上であった。
【0100】
[位相シフトマスクの製造]
次に、この実施例2のマスクブランク110を用い、実施例1と同様の手順で、実施例2の位相シフトマスク210を作製した。
【0101】
この位相シフトマスク210に対し、AIMS193(Carl Zeiss社製)を用いて、ArFエキシマレーザーの露光光で半導体デバイス上のレジスト膜に露光転写したときにおける露光転写像のシミュレーションを行った。このシミュレーションで得られた露光転写像を検証したところ、設計仕様を十分に満たしていた。また、露光転写像には、バーコードやアライメントマークの映り込みに起因するCDばらつきは見られなかった。以上のことから、この実施例2のマスクブランクから製造された位相シフトマスク210は、露光装置にセットしてArFエキシマレーザーの露光光による露光転写を行っても、半導体デバイス上のレジスト膜に対して高精度で露光転写を行うことができるといえる。
【0102】
(実施例3)
[マスクブランクの製造]
実施例3のマスクブランク120は、位相シフト膜2以外については、実施例1と同様の手順で製造した。この実施例3の位相シフト膜2は、第3層23の上に第4層24を形成している。具体的には、枚葉式RFスパッタ装置内に透光性基板1を設置し、ケイ素(Si)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)ガス、酸素(O)および窒素(N)の混合ガスをスパッタリングガスとするRFスパッタリングにより、透光性基板1の表面に接してケイ素、酸素および窒素からなる位相シフト膜2の第1層21(SiON膜 Si:O:N=40原子%:35原子%:25原子%)を29.5nmの厚さで形成した。続いて、ケイ素(Si)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)および窒素(N)の混合ガスをスパッタリングガスとする反応性スパッタリング(RFスパッタリング)により、第1層21上に、ケイ素および窒素からなる位相シフト膜2の第2層22(SiN膜 Si:N=43原子%:57原子%)を41.5nmの厚さで形成した。続いて、ケイ素(Si)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)および窒素(N)の混合ガスをスパッタリングガスとする反応性スパッタリング(RFスパッタリング)により、第2層22上に、ケイ素および窒素からなる位相シフト膜2の第3層23(Si:N=68原子%:32原子%)を3nmの厚さで形成した。続いて、ケイ素(Si)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)および酸素(O)の混合ガスをスパッタリングガスとする反応性スパッタリング(RFスパッタリング)により、第3層23上に、ケイ素および酸素からなる位相シフト膜2の第4層24(SiO膜 Si:O=33原子%:67原子%)を3nmの厚さで形成した。以上の手順により、透光性基板1の表面に接して第1層21、第2層22、第3層23、第4層24が積層した位相シフト膜2を77nmの厚さで形成した。
【0103】
上記位相シフト量測定装置を用いて、その位相シフト膜2のArFエキシマレーザーの露光光の波長(波長193nm)の光に対する透過率と位相差を測定したところ、透過率が20.1%、位相差が178.0度(deg)であった。さらに、この位相シフト膜2の第1層21、第2層22、第3層23、第4層24の各光学特性を上記分光エリプソメーターで測定したところ、第1層21は屈折率nが1.990、消衰係数kが0.085であり、第2層22は、屈折率nが2.595、消衰係数kが0.357であり、第3層23は、屈折率nが1.648、消衰係数kが1.861であり、第4層24は、屈折率nが1.590、消衰係数kが0.000であった。位相シフト膜2のArFエキシマレーザーの露光光の波長の光に対する裏面反射率(透光性基板1側の反射率)は5.8%であり、9%を下回るものであった。
【0104】
以上の手順により、透光性基板1上に、第1層21、第2層22、第3層23、第4層24とからなる位相シフト膜2、遮光膜3およびハードマスク膜4が積層した構造を備える実施例3のマスクブランク120を製造した。なお、この実施例3のマスクブランク120は、透光性基板1上に位相シフト膜2と遮光膜3が積層した状態における波長193nmの光に対する裏面反射率(透光性基板1側の反射率)は7.7%であり、9%を下回るものであった。この位相シフト膜2と遮光膜3の積層構造における波長193nmの光に対する光学濃度(OD)を測定したところ、3.0以上であった。
【0105】
[位相シフトマスクの製造]
次に、この実施例3のマスクブランク120を用い、実施例1と同様の手順で、実施例3の位相シフトマスク220を作製した。
【0106】
この位相シフトマスク220に対し、AIMS193(Carl Zeiss社製)を用いて、ArFエキシマレーザーの露光光で半導体デバイス上のレジスト膜に露光転写したときにおける露光転写像のシミュレーションを行った。このシミュレーションで得られた露光転写像を検証したところ、設計仕様を十分に満たしていた。また、露光転写像には、バーコードやアライメントマークの映り込みに起因するCDばらつきは見られなかった。以上のことから、この実施例3のマスクブランクから製造された位相シフトマスク220は、露光装置にセットしてArFエキシマレーザーの露光光による露光転写を行っても、半導体デバイス上のレジスト膜に対して高精度で露光転写を行うことができるといえる。
【0107】
(実施例4)
[マスクブランクの製造]
実施例4のマスクブランク130は、位相シフト膜2以外については、実施例1と同様の手順で製造した。この実施例4の位相シフト膜2は、第2層22の上に、第3層23と組成の異なる第3A層25を形成している。具体的には、枚葉式RFスパッタ装置内に透光性基板1を設置し、ケイ素(Si)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)ガス、酸素(O)および窒素(N)の混合ガスをスパッタリングガスとするRFスパッタリングにより、透光性基板1の表面に接してケイ素、酸素および窒素からなる位相シフト膜2の第1層21(SiON膜 Si:O:N=40原子%:35原子%:25原子%)を29.5nmの厚さで形成した。続いて、ケイ素(Si)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)および窒素(N)の混合ガスをスパッタリングガスとする反応性スパッタリング(RFスパッタリング)により、第1層21上に、ケイ素および窒素からなる位相シフト膜2の第2層22(SiN膜 Si:N=43原子%:57原子%)を41.5nmの厚さで形成した。続いて、ケイ素(Si)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)および酸素(O)の混合ガスをスパッタリングガスとする反応性スパッタリング(RFスパッタリング)により、第2層22上に、ケイ素および酸素からなる位相シフト膜2の第3A層25(SiO膜 Si:O=33原子%:67原子%)を3nmの厚さで形成した。以上の手順により、透光性基板1の表面に接して第1層21、第2層22、第3A層25が積層した位相シフト膜2を74nmの厚さで形成した。
【0108】
上記位相シフト量測定装置を用いて、その位相シフト膜2のArFエキシマレーザーの露光光の波長(波長193nm)の光に対する透過率と位相差を測定したところ、透過率が27.7%、位相差が179.3度(deg)であった。さらに、この位相シフト膜2の第1層21、第2層22、第3A層25の各光学特性を上記分光エリプソメーターで測定したところ、第1層21は屈折率nが1.990、消衰係数kが0.085であり、第2層22は、屈折率nが2.595、消衰係数kが0.357であり、第3A層25は、屈折率n3Aが1.590、消衰係数k3Aが0.000であった。位相シフト膜2のArFエキシマレーザーの露光光の波長の光に対する裏面反射率(透光性基板1側の反射率)は8.4%であり、9%を下回るものであった。
【0109】
以上の手順により、透光性基板1上に、第1層21、第2層22、第3A層25とからなる位相シフト膜2、遮光膜3およびハードマスク膜4が積層した構造を備える実施例4のマスクブランク130を製造した。なお、この実施例4のマスクブランク130は、透光性基板1上に位相シフト膜2と遮光膜3が積層した状態におけるArFエキシマレーザーの露光光の波長の光に対する裏面反射率(透光性基板1側の反射率)は8.3%であり、9%を下回るものであった。この位相シフト膜2と遮光膜3の積層構造における波長193nmの光に対する光学濃度(OD)を測定したところ、3.0以上であった。
【0110】
[位相シフトマスクの製造]
次に、この実施例4のマスクブランク130を用い、実施例1と同様の手順で、実施例4の位相シフトマスク230を作製した。
【0111】
この位相シフトマスク230に対し、AIMS193(Carl Zeiss社製)を用いて、ArFエキシマレーザーの露光光で半導体デバイス上のレジスト膜に露光転写したときにおける露光転写像のシミュレーションを行った。このシミュレーションで得られた露光転写像を検証したところ、設計仕様を十分に満たしていた。また、露光転写像には、バーコードやアライメントマークの映り込みに起因するCDばらつきは見られなかった。以上のことから、この実施例4のマスクブランクから製造された位相シフトマスク230は、露光装置にセットしてArFエキシマレーザーの露光光による露光転写を行っても、半導体デバイス上のレジスト膜に対して高精度で露光転写を行うことができるといえる。
【0112】
(実施例5)
[マスクブランクの製造]
実施例5のマスクブランク130は、位相シフト膜2以外については、実施例1と同様の手順で製造した。この実施例5の位相シフト膜2は、第1層21、第2層22、第3A層25のそれぞれの膜厚を実施例4のものから変更している。具体的には、枚葉式RFスパッタ装置内に透光性基板1を設置し、ケイ素(Si)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)ガス、酸素(O)および窒素(N)の混合ガスをスパッタリングガスとするRFスパッタリングにより、透光性基板1の表面に接してケイ素、酸素および窒素からなる位相シフト膜2の第1層21(SiON膜 Si:O:N=40原子%:35原子%:25原子%)を31nmの厚さで形成した。続いて、ケイ素(Si)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)および窒素(N)の混合ガスをスパッタリングガスとする反応性スパッタリング(RFスパッタリング)により、第1層21上に、ケイ素および窒素からなる位相シフト膜2の第2層22(SiN膜 Si:N=43原子%:57原子%)を38nmの厚さで形成した。続いて、ケイ素(Si)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)および酸素(O)の混合ガスをスパッタリングガスとする反応性スパッタリング(RFスパッタリング)により、第2層22上に、ケイ素および酸素からなる位相シフト膜2の第3A層25(SiO膜 Si:O=33原子%:67原子%)を20nmの厚さで形成した。以上の手順により、透光性基板1の表面に接して第1層21、第2層22、第3A層25が積層した位相シフト膜2を89nmの厚さで形成した。
【0113】
上記位相シフト量測定装置を用いて、その位相シフト膜2のArFエキシマレーザーの露光光の波長(波長193nm)の光に対する透過率と位相差を測定したところ、透過率が35.2%、位相差が189.6度(deg)であった。さらに、この位相シフト膜2の第1層21、第2層22、第3A層25の各光学特性を上記分光エリプソメーターで測定したところ、第1層21は屈折率nが1.990、消衰係数kが0.085であり、第2層22は、屈折率nが2.595、消衰係数kが0.357であり、第3A層25は、屈折率n3Aが1.590、消衰係数k3Aが0.000であった。位相シフト膜2のArFエキシマレーザーの露光光の波長の光に対する裏面反射率(透光性基板1側の反射率)は5.4%であり、9%を下回るものであった。
【0114】
以上の手順により、透光性基板1上に、第1層21、第2層22、第3A層25とからなる位相シフト膜2、遮光膜3およびハードマスク膜4が積層した構造を備える実施例5のマスクブランク130を製造した。この位相シフト膜2と遮光膜3の積層構造における波長193nmの光に対する光学濃度(OD)を測定したところ、3.0以上であった。
【0115】
[位相シフトマスクの製造]
次に、この実施例5のマスクブランク130を用い、実施例1と同様の手順で、実施例5の位相シフトマスク230を作製した。
【0116】
この位相シフトマスク230に対し、AIMS193(Carl Zeiss社製)を用いて、ArFエキシマレーザーの露光光で半導体デバイス上のレジスト膜に露光転写したときにおける露光転写像のシミュレーションを行った。このシミュレーションで得られた露光転写像を検証したところ、設計仕様を十分に満たしていた。また、露光転写像には、バーコードやアライメントマークの映り込みに起因するCDばらつきは見られなかった。以上のことから、この実施例5のマスクブランクから製造された位相シフトマスク230は、露光装置にセットしてArFエキシマレーザーの露光光による露光転写を行っても、半導体デバイス上のレジスト膜に対して高精度で露光転写を行うことができるといえる。
【0117】
(実施例6)
[マスクブランクの製造]
実施例6のマスクブランク110は、位相シフト膜2以外については、実施例1と同様の手順で製造した。この実施例6の位相シフト膜2は、第1層21、第2層22の膜厚を実施例2のものから変更し、さらに、第3層23の組成および膜厚を実施例2のものから変更している。具体的には、枚葉式RFスパッタ装置内に透光性基板1を設置し、ケイ素(Si)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)ガス、酸素(O)および窒素(N)の混合ガスをスパッタリングガスとするRFスパッタリングにより、透光性基板1の表面に接してケイ素、酸素および窒素からなる位相シフト膜2の第1層21(SiON膜 Si:O:N=40原子%:35原子%:25原子%)を31nmの厚さで形成した。続いて、ケイ素(Si)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)および窒素(N)の混合ガスをスパッタリングガスとする反応性スパッタリング(RFスパッタリング)により、第1層21上に、ケイ素および窒素からなる位相シフト膜2の第2層22(SiN膜 Si:N=43原子%:57原子%)を35nmの厚さで形成した。続いて、ケイ素(Si)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)、酸素(O)および窒素(N)の混合ガスをスパッタリングガスとする反応性スパッタリング(RFスパッタリング)により、第2層22上に、ケイ素、酸素および窒素からなる位相シフト膜2の第3層23(Si:O:N=40原子%:35原子%:25原子%)を17nmの厚さで形成した。以上の手順により、透光性基板1の表面に接して第1層21、第2層22、第3層23が積層した位相シフト膜2を83nmの厚さで形成した。
【0118】
上記位相シフト量測定装置を用いて、その位相シフト膜2のArFエキシマレーザーの露光光の波長(波長193nm)の光に対する透過率と位相差を測定したところ、透過率が33.4%、位相差が191.5度(deg)であった。さらに、この位相シフト膜2の第1層21、第2層22、第3層23の各光学特性を上記分光エリプソメーターで測定したところ、第1層21は屈折率nが1.990、消衰係数kが0.085であり、第2層22は、屈折率nが2.595、消衰係数kが0.357であり、第3層23は、屈折率nが1.990、消衰係数kが0.085であった。位相シフト膜2のArFエキシマレーザーの露光光の波長の光に対する裏面反射率(透光性基板1側の反射率)は4.7%であり、9%を下回るものであった。
【0119】
以上の手順により、透光性基板1上に、第1層21、第2層22、第3層23とからなる位相シフト膜2、遮光膜3およびハードマスク膜4が積層した構造を備える実施例6のマスクブランク110を製造した。この位相シフト膜2と遮光膜3の積層構造における波長193nmの光に対する光学濃度(OD)を測定したところ、3.0以上であった。
【0120】
[位相シフトマスクの製造]
次に、この実施例6のマスクブランク110を用い、実施例1と同様の手順で、実施例6の位相シフトマスク210を作製した。
【0121】
この位相シフトマスク210に対し、AIMS193(Carl Zeiss社製)を用いて、ArFエキシマレーザーの露光光で半導体デバイス上のレジスト膜に露光転写したときにおける露光転写像のシミュレーションを行った。このシミュレーションで得られた露光転写像を検証したところ、設計仕様を十分に満たしていた。また、露光転写像には、バーコードやアライメントマークの映り込みに起因するCDばらつきは見られなかった。以上のことから、この実施例6のマスクブランクから製造された位相シフトマスク210は、露光装置にセットしてArFエキシマレーザーの露光光による露光転写を行っても、半導体デバイス上のレジスト膜に対して高精度で露光転写を行うことができるといえる。
【0122】
(参考例1)
[マスクブランクの製造]
参考例1のマスクブランクは、別の発明のマスクブランクに係る参考例である。この参考例1のマスクブランクは、位相シフト膜以外については、実施例1と同様の手順で製造した。この参考例1の位相シフト膜2は、透光性基板側から第1B層、第2B層、第3B層および第4B層が順に積層した構造を備える。第1B層は、実施例1の第1層21と同じ材料を用いているが、膜厚を31nmに変更している。第2B層は、実施例1の第2層22と同じ材料を用いているが、膜厚を30nmに変更している。第3B層は、実施例1の第1層21と同じ材料を用いているが、膜厚を15nmに変更している。第4B層は、実施例3の第4層24と同じ材料を用いており、膜厚も3nmと同じとしている。以上の手順により、透光性基板の表面に接して第1B層、第2B層、第3B層および第4B層が積層した位相シフト膜を79nmの厚さで形成した。
【0123】
上記位相シフト量測定装置を用いて、その位相シフト膜のArFエキシマレーザーの露光光の波長(波長193nm)の光に対する透過率と位相差を測定したところ、透過率が38.5%、位相差が175.1度(deg)であった。位相シフト膜2のArFエキシマレーザーの露光光の波長の光に対する裏面反射率(透光性基板1側の反射率)は8.9%であり、9%を下回るものであった。
【0124】
以上の手順により、透光性基板上に、第1B層、第2B層、第3B層および第4B層とからなる位相シフト膜、遮光膜およびハードマスク膜が積層した構造を備える参考例1のマスクブランクを製造した。この位相シフト膜と遮光膜の積層構造における波長193nmの光に対する光学濃度(OD)を測定したところ、3.0以上であった。
【0125】
[位相シフトマスクの製造]
次に、この参考例1のマスクブランクを用い、実施例1と同様の手順で、参考例1の位相シフトマスクを作製した。
【0126】
この参考例1の位相シフトマスクに対し、AIMS193(Carl Zeiss社製)を用いて、ArFエキシマレーザーの露光光で半導体デバイス上のレジスト膜に露光転写したときにおける露光転写像のシミュレーションを行った。このシミュレーションで得られた露光転写像を検証したところ、設計仕様を十分に満たしていた。また、露光転写像には、バーコードやアライメントマークの映り込みに起因するCDばらつきは見られなかった。以上のことから、この参考例1のマスクブランクから製造された位相シフトマスクは、露光装置にセットしてArFエキシマレーザーの露光光による露光転写を行っても、半導体デバイス上のレジスト膜に対して高精度で露光転写を行うことができるといえる。
【0127】
(比較例1)
[マスクブランクの製造]
この比較例1のマスクブランクは、位相シフト膜以外については、実施例1と同様の手順で製造した。この比較例1の位相シフト膜は、単層構造に変更している。具体的には、枚葉式RFスパッタ装置内に透光性基板を設置し、ケイ素(Si)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)および窒素(N)の混合ガスをスパッタリングガスとする反応性スパッタリング(RFスパッタリング)により、透光性基板の表面に接してケイ素および窒素からなる位相シフト膜(SiN膜 Si:N=43原子%:57原子%)を60nmの厚さで形成した。
【0128】
この位相シフト膜の光学特性を上記分光エリプソメーターで測定したところ、屈折率nが2.638、消衰係数kが0.363であった。ただし、この単層構造の位相シフト膜は、位相差が178.5度(deg)になるように調整したところ、透過率は18.6%になった。位相シフト膜と遮光膜の積層構造におけるArFエキシマレーザーの露光光に対する光学濃度(OD)を3.0以上となるようにするため、遮光膜は、組成および光学特性は同じとしたが、厚さは55.8nmに変更した。位相シフト膜のArFエキシマレーザーの露光光に対する裏面反射率は25.8%であり、9%を大幅に上回るものであった。
【0129】
以上の手順により、透光性基板上に、SiNの単層構造からなる位相シフト膜、遮光膜およびハードマスク膜が積層した構造を備える比較例1のマスクブランクを製造した。なお、この比較例1のマスクブランクは、透光性基板上に位相シフト膜と遮光膜が積層した状態におけるArFエキシマレーザーの露光光に対する裏面反射率は20.0%であり、9%を大幅に上回るものであった。
【0130】
[位相シフトマスクの製造]
次に、この比較例1のマスクブランクを用い、実施例1と同様の手順で、比較例1の位相シフトマスクを作製した。
【0131】
作製した比較例1のハーフトーン型位相シフトマスクに対し、AIMS193(Carl Zeiss社製)を用いて、ArFエキシマレーザーの露光光で半導体デバイス上のレジスト膜に露光転写したときにおける露光転写像のシミュレーションを行った。このシミュレーションで得られた露光転写像を検証したところ、バーコードやアライメントマークの映り込みに起因するCDばらつきが見られ、設計仕様を満たせていなかった。以上のことから、この比較例1のマスクブランクから製造された位相シフトマスクは、半導体デバイス上のレジスト膜に対して高精度で露光転写を行うことができなくなるといえる。
【0132】
(比較例2)
[マスクブランクの製造]
この比較例2のマスクブランクは、位相シフト膜以外については、実施例1と同様の手順で製造した。この比較例2の位相シフト膜は、第1層、第2層、第3層の膜厚を、40.0nm、35.5nm、3.5nmにそれぞれ変更している。この位相シフト膜2は、第2層の厚さが第1層の厚さよりも小さくなっている。なお、位相シフト膜2の第1層、第2層、第3層のそれぞれの屈折率、消衰係数は実施例1と同一である。
【0133】
この位相シフト膜は、位相差が176.3度(deg)であり、透過率は19.9%になった。位相シフト膜と遮光膜の積層構造における波長193nmの光に対する光学濃度(OD)を3.0以上となるようにするため、遮光膜は、組成および光学特性は実施例1と同じとしたが、厚さは55.6nmに変更した。位相シフト膜のArFエキシマレーザーの露光光に対する裏面反射率は12.1%であり、9%を大幅に上回るものであった。
【0134】
以上の手順により、透光性基板上に、位相シフト膜、遮光膜およびハードマスク膜が積層した構造を備える比較例2のマスクブランクを製造した。なお、この比較例2のマスクブランクは、透光性基板上に位相シフト膜と遮光膜が積層した状態におけるArFエキシマレーザーの露光光に対する裏面反射率は16.9%であり、9%を大幅に上回るものであった。
【0135】
[位相シフトマスクの製造]
次に、この比較例2のマスクブランクを用い、実施例1と同様の手順で、比較例2の位相シフトマスクを作製した。
【0136】
作製した比較例2のハーフトーン型位相シフトマスクに対し、AIMS193(Carl Zeiss社製)を用いて、ArFエキシマレーザーの露光光で半導体デバイス上のレジスト膜に露光転写したときにおける露光転写像のシミュレーションを行った。このシミュレーションで得られた露光転写像を検証したところ、バーコードやアライメントマークの映り込みに起因するCDばらつきが見られ、設計仕様を満たせていなかった。以上のことから、この比較例2のマスクブランクから製造された位相シフトマスクは、半導体デバイス上のレジスト膜に対して高精度で露光転写を行うことができなくなるといえる。
【符号の説明】
【0137】
1 透光性基板
2 位相シフト膜
21 第1層
22 第2層
23 第3層
24 第4層
25 第3A層
2a 位相シフトパターン
3 遮光膜
3a,3b 遮光パターン
4 ハードマスク膜
4a ハードマスクパターン
5a 第1のレジストパターン
6b 第2のレジストパターン
100、110、120、130 マスクブランク
200、210、220、230 位相シフトマスク
図1
図2
図3
図4
図5