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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-22
(45)【発行日】2022-08-01
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/34 20060101AFI20220725BHJP
【FI】
E02F3/34
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018122416
(22)【出願日】2018-06-27
(65)【公開番号】P2020002606
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-05-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安田 馨
(72)【発明者】
【氏名】荻原 英章
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-262829(JP,A)
【文献】特開2001-020310(JP,A)
【文献】特表2016-516928(JP,A)
【文献】特開平10-121505(JP,A)
【文献】特公昭50-000848(JP,B1)
【文献】特開平09-316911(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪に支持される車体と、
前記車体に対して回転可能に連結され、前記車体に対して駆動可能なブームと、
前記ブームに回転可能に連結され、前記ブーム対して駆動可能なアームと、
開口部を有し、前記アームに回転可能に連結され、前記開口部が前方を向くように前記アームに対して駆動可能なバケットと、
前記車体及び前記ブームのそれぞれに連結され、前記ブームを駆動するブームアクチュエータと、
前記ブーム及び前記アームのそれぞれに回転可能に連結され、前記アームを駆動するアームアクチュエータと、
前記アーム及び前記バケットのそれぞれに回転可能に連結され、前記バケットを駆動するバケットアクチュエータと、を備え
前記アームと前記バケットと前記バケットアクチュエータとは、4節リンク機構を介して連結され、
前記4節リンク機構は、
前記バケットに固定され、バケットピンを介して前記アームの先端部に回転可能に連結され、バケットシリンダトップピンを介して前記バケットアクチュエータの先端部に回転可能に連結されるブラケットと、
第1リンクピンを介して前記アームに回転可能に連結される基端部と、第2リンクピンを介して前記バケットアクチュエータに回転可能に連結される先端部とを有するリンク部材と、を有する、
作業機械。
【請求項2】
前記車輪は、後輪及び前輪を含み、
前記車体は、前記後輪に支持される後部車体と、関節機構を介して前記後部車体に連結され前記前輪に支持される前部車体とを含む、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記車体の車幅方向において、前記バケットの寸法は、前記車体の寸法よりも大きい、
請求項1又は請求項2に記載の作業機械。
【請求項4】
前記ブームは、前記車体の車幅方向の中心に対して一方側に配置される第1ブームと、他方側に配置される第2ブームとを含み、
前記アームは、前記第1ブームに連結される第1アームと、前記第2ブームに連結される第2アームとを含む、
請求項3に記載の作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械の一種として、ホイールローダが知られている。ホイールローダは、ブームとバケットとを有する。ホイールローダは、バケットで掘削対象を掘削し、掘削した掘削物を運搬車両の荷台に積み込む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-186929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バケットで掘削対象を掘削するとき、ホイールローダは、バケットを地面に近付けた状態で掘削対象に向かって前進して、バケットを地面と掘削対象との境界の近傍に挿入する。バケットですくった掘削物を運搬車両の荷台に積み込むとき、ホイールローダは、掘削対象から離れるように後進した後、運搬車両に向かって前進しながらブームを上昇させる。ブームの上昇によりバケットを荷台よりも高い位置に配置した後、ホイールローダは、バケットをダンプ動作させてバケットから荷台に掘削物を排出する。このように、掘削対象を掘削する掘削作業においては、バケットは地面に近い低い位置に位置付けられ、掘削物を荷台に積み込む積込作業においては、バケットは荷台よりも高い位置に位置付けられる。そのため、ホイールローダは、掘削作業と積込作業との間においてバケットを上下方向に大きく移動させる必要がある。バケットを上下方向に大きく移動する必要がある場合、大きい動力が必要になるため、ホイールローダの燃料消費量が増大する可能性がある。また、ホイールローダを前進又は後進させながらバケットを上下方向に大きく移動する必要がある場合、バケットの移動距離及び移動時間が長くなるため、ホイールローダの作業時間が長くなる。
【0005】
本発明の態様は、燃料消費量を削減し、作業時間を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に従えば、車輪に支持される車体と、前記車体に対して駆動可能なブームと、前記ブーム対して駆動可能なアームと、開口部を有し、前記開口部が前方を向くように前記アームに対して駆動可能なバケットと、前記ブームを駆動するブームアクチュエータと、前記アームを駆動するアームアクチュエータと、前記バケットを駆動するバケットアクチュエータと、を備える作業機械が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の態様によれば、燃料消費量を削減し、作業時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る作業機械を模式的に示す側面図である。
図2図2は、実施形態に係る作業機械を模式的に示す平面図である。
図3図3は、実施形態に係る作業機械を模式的に示す図である。
図4図4は、実施形態に係る作業機の一部を模式的に示す図である。
図5図5は、実施形態に係る作業機の一部を模式的に示す図である。
図6図6は、実施形態に係る作業機械の動作を示す図である。
図7図7は、実施形態に係る作業機械の掘削作業を示す模式図である。
図8図8は、実施形態に係る作業機械の積込作業を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
[作業機械]
図1は、本実施形態に係る作業機械1を模式的に示す側面図である。図2は、本実施形態に係る作業機械1を模式的に示す平面図である。本実施形態において、作業機械1は、ホイールローダである。作業機械1は、バケット13ですくった掘削物を運搬車両の荷台に積み込む。
【0011】
図1及び図2に示すように、作業機械1は、車輪4に支持される車体2と、車体2を支持して走行する走行装置3と、車体2に支持される作業機10とを備える。
【0012】
車体2は、前部車体2Fと、後部車体2Rと、前部車体2Fと後部車体2Rとを屈曲可能に連結する関節機構9とを有する。後部車体2Rに運転室6が設けられる。運転室6に運転シート7及び操作装置8が設けられる。作業機械1の操作者は、運転シート7に着座した状態で操作装置8を操作する。なお、運転室6に運転シート7及び操作装置8の一方又は両方が設けられなくてもよい。
【0013】
走行装置3は、車体2を支持する。走行装置3は、関節機構9と、車輪4とを含む。関節機構9は、ステアリングシリンダを含む。関節機構9の一端部は、前部車体2Fに連結され、関節機構9の他端部は、後部車体2Rに連結される。ステアリングシリンダが伸縮することによって、車体2が屈曲する。車体2が屈曲することによって、作業機械1が旋回する。車輪4は、車体2に搭載されている図示しないエンジンが発生する動力により回転する。車輪4は、前部車体2Fを支持する2つの前輪4Fと、後部車体2Rを支持する2つの後輪4Rとを含む。車輪4にタイヤ5が装着される。タイヤ5は、前輪4Fに装着される前タイヤ5Fと、後輪4Rに装着される後タイヤ5Rとを含む。車輪4が回転することによって、作業機械1は地面RSを走行する。
【0014】
以下の説明においては、上下方向、前後方向、及び車幅方向という用語を用いて各部の位置関係について説明する。上下方向とは、地面RSと接触するタイヤ5の接地面と直交する方向をいう。前後方向とは、車輪4の回転軸及び上下方向と直交する方向をいう。車幅方向とは、車輪4の回転軸と平行な方向をいう。車幅方向は、車体2の幅方向を示し、左右方向と同義である。
【0015】
上方とは、上下方向においてタイヤ5の接地面から離れる方向をいい、下方とは、上下方向において上方の反対方向をいう。前方とは、車輪4から作業機10に向かう方向をいい、後方とは、前後方向において前方の反対方向をいう。左方とは、前方を向いて運転シート7に着座した操作者を基準として左側の方向をいい、右方とは左右方向において左方の反対方向をいう。
【0016】
操作装置8は、図示しないアクセルペダル、ブレーキペダル、ステアリングレバー又はステアリングホイール、前後進切換スイッチ、及び作業機操作レバーを含む。
【0017】
操作者は、操作装置8のアクセルペダル、ブレーキペダル、ステアリングレバー、及び前後進切換スイッチを操作して、走行装置3の駆動、制動、旋回、及び前後進の切り換えを実施することができる。操作装置8のアクセルペダル及びブレーキペダルが操作されることにより、走行装置3は、駆動、制動、及び走行速度の調整を実施する。操作装置8のステアリングレバー又はステアリングホイールが操作されることにより、作業機械1は、旋回する。前後進切換レバーが操作されることにより、作業機械1は、前進と後進との切り換えを実施する。
【0018】
作業機10は、車体2に支持される。作業機10は、車体2に連結されるブーム11と、ブーム11に連結されるアーム12と、開口部13Mを有し、開口部13Mが前方を向くようにアーム12に連結されるバケット13とを有する。
【0019】
ブーム11は、前部車体2Fに回転可能に連結され、前部車体2Fに対して駆動可能である。ブーム11は、ブーム回転軸AXaを中心に回転可能である。ブーム回転軸AXaは、車幅方向に延在する。ブーム11は、基端部と先端部とを有する。ブーム11の基端部が前部車体2Fに連結される。ブーム11の先端部にアーム12が連結される。
【0020】
アーム12は、ブーム11に回転可能に連結され、ブーム11に対して駆動可能である。アーム12は、アーム回転軸AXbを中心に回転可能である。アーム回転軸AXbは、ブーム回転軸AXaと平行である。アーム12は、基端部と先端部とを有する。アーム12の基端部がブーム11の先端部に連結される。アーム12の先端部にバケット13が連結される。
【0021】
バケット13は、アーム12に回転可能に連結され、アーム12に対して駆動可能である。バケット13は、バケット回転軸AXcを中心に回転可能である。バケット回転軸AXcは、ブーム回転軸AXa及びアーム回転軸AXbと平行である。バケット13は、開口部13M及び刃先を含む先端部13Bを有する。バケット13は、掘削物をすくい取る。作業機械1は、バケット13ですくった掘削物を運搬車両の荷台に排出する。バケット13から排出された掘削物は、荷台に積み込まれる。
【0022】
バケット13は、開口部13Mが前方を向くようにアーム12に連結される。ブーム11及びアーム12が下降し、バケット13が地面RSに接触している状態で、バケット13の開口部13Mは、前方を向く。掘削物は、開口部13Mを介してバケット13の内側に入り、バケット13に保持される。バケット13に保持されている掘削物は、開口部13Mを介してバケット13から排出される。作業機10は、フロントローディング方式の作業機である。
【0023】
図2に示すように、ブーム11は、車体2の車幅方向の中心に対して左側に配置される第1ブーム11Aと、右側に配置される第2ブーム11Bとを含む。アーム12は、車体2の車幅方向の中心に対して左側に配置される第1アーム12Aと、右側に配置される第2アーム12Bとを含む。第1アーム12Aは、第1ブーム11Aに連結される。第2アーム12Bは、第2ブーム11Bに連結される。第1ブーム11Aと第2ブーム11Bとは、ブーム連結部材14を介して連結される。ブーム連結部材14は、第1ブーム11Aの長手方向の中央部と第2ブーム11Bの長手方向の中央部とを連結する。第1アーム12Aと第2アーム12Bとは、アーム連結部材15を介して連結される。アーム連結部材15は、第1アーム12Aの長手方向の中央部と第2アーム12Bの長手方向の中央部とを連結する。
【0024】
第1ブーム11A及び第2ブーム11Bのそれぞれは、ブーム回転軸AXaを中心に回転可能である。第1アーム12A及び第2アーム12Bのそれぞれは、アーム回転軸AXbを中心に回転可能である。
【0025】
車体2の車幅方向において、バケット13の寸法は、車体2の寸法よりも大きい。車幅方向において、車体2の中心とバケット13の中心とは一致する。車幅方向において、運転室6に配置されている運転シート7は、第1ブーム11Aと第2ブーム11Bとの間、及び第1アーム12Aと第2アーム12Bとの間に配置される。
【0026】
図3は、本実施形態に係る作業機械1を模式的に示す図である。図3に示すように、作業機械1は、ブーム11を駆動するブームアクチュエータであるブームシリンダ21と、アーム12を駆動するアームアクチュエータであるアームシリンダ22と、バケット13を駆動するバケットアクチュエータであるバケットシリンダ23とを有する。ブームシリンダ21、アームシリンダ22、及びバケットシリンダ23のそれぞれは、車体2に搭載されている油圧ポンプから供給される作動油に基づいて動力を発生する油圧シリンダである。油圧ポンプは、車体2に搭載されているエンジンが発生する動力により駆動する。エンジンは、ディーゼルエンジンであり、燃料が供給されることにより駆動する。なお、油圧ポンプの駆動源は、エンジンでなくてもよく、蓄電体及びモータを含む電気駆動源でもよい。油圧ポンプの駆動源として、エンジン及び電気駆動源の両方が利用されてもよい。
【0027】
ブームシリンダ21は、ブーム11を駆動する動力を発生する。ブームシリンダ21の一端部は、前部車体2Fに連結される。ブームシリンダ21の他端部は、ブーム11に連結される。ブームシリンダ21が伸縮することにより、ブーム11は、ブーム回転軸AXaを中心に回転する。ブームシリンダ21が伸びると、ブーム11が上げ動作し、ブームシリンダ21が縮むと、ブーム11が下げ動作する。
【0028】
アームシリンダ22は、アーム12を駆動する動力を発生する。アームシリンダ22の一端部は、ブーム11に連結される。アームシリンダ22の他端部は、アーム12に連結される。アームシリンダ22が伸縮することにより、アーム12は、アーム回転軸AXbを中心に回転する。アームシリンダ22が伸びると、アーム12が上げ動作し、アームシリンダ22が縮むと、アーム12が下げ動作する。
【0029】
バケットシリンダ23は、バケット13を駆動する動力を発生する。バケットシリンダ23の一端部は、アーム12に連結される。バケットシリンダ23の他端部は、バケット13に連結される。バケットシリンダ23が伸縮することにより、バケット13は、バケット回転軸AXcを中心に回転する。バケットシリンダ23が伸びると、バケット13がダンプ動作し、バケットシリンダ23が縮むと、バケット13がチルト動作する。
【0030】
バケット13のダンプ動作とは、バケット13の開口部13Mが下方を向き先端部13Bが地面に近付くようにバケット13が回転する動作をいう。バケット13のチルト動作とは、開口部13Mが上方を向き先端部13Bが地面から離れるようにバケット13が回転する動作をいう。バケット13がダンプ動作することにより、バケット13に保持されている掘削物がバケット13から排出される。バケット13がチルト動作することにより、バケット13は掘削物をすくい取る。
【0031】
なお、アームシリンダ22及びバケットシリンダ23の一方又は両方が、車体2に対して駆動可能でもよい。
【0032】
操作者は、操作装置8の作業機操作レバーを操作して、ブームシリンダ21の作動、アームシリンダ22の作動、及びバケットシリンダ23の作動を実施することができる。
【0033】
図4は、本実施形態に係る作業機10の一部を模式的に示す図である。図4は、アーム12とバケット13とバケットシリンダ23とを連結する連結機構30を示す。連結機構30は、4つの回転軸(節)が環状に構成される4節リンク機構を含む。連結機構30は、4つの回転軸に対応する第1の回転軸を含むバケットピン33Aと、第2の回転軸を含む第1リンクピン33Bと、第3の回転軸を含む第2リンクピン33Cと、第4の回転軸を含むバケットシリンダトップピン33Dとを有する。連結機構30の4つの回転軸のそれぞれは、車幅方向に延在する。アーム12とバケット13とバケットシリンダ23とは、4節リンク機構を介して連結される。
【0034】
バケット13の後部にブラケット34が固定される。アーム12の先端部とブラケット34とがバケットピン33Aにより連結される。バケットピン33Aは、バケット回転軸AXcを含む。
【0035】
連結機構30は、第1リンクピン33Bを介してアーム12に回転可能に連結されるリンク部材31を有する。リンク部材31の基端部が第1リンクピン33Bを介してアーム12に連結される。リンク部材31の先端部が第2リンクピン33Cを介してバケットシリンダ23に連結される。バケットシリンダ23の先端部が、バケットシリンダトップピン33Dを介してブラケット34に連結される。
【0036】
バケットシリンダ23が伸縮すると、ブラケット34及びバケット13は、バケット回転軸AXcを中心に回転する。
【0037】
図5は、本実施形態に係る作業機10の一部を模式的に示す図であって、連結機構30の他の実施形態を示す。図5に示す例において、連結機構30は、第1の回転軸を含むバケットピン33Eと、第2の回転軸を含む第1リンクピン33Fと、第3の回転軸を含む第2リンクピン33Gと、第4の回転軸を含む第3リンクピン33Hとを有する。
【0038】
また、連結機構30は、第1リンクピン33Fを介してアーム12に回転可能に連結されるリンク部材31と、第2リンクピン33Gを介してリンク部材31の先端部に連結され、第3リンクピン33Hを介してブラケット34に連結されるリンク部材32と有する。バケットシリンダ23の先端部は、バケットピン33E又はバケットピン33Eの近傍のバケット13に連結される。リンク部材31の中間部がリンクピン33Iを介してバケットシリンダ23に連結される。図5に示す例においても、バケットシリンダ23が伸縮すると、ブラケット34及びバケット13は、バケット回転軸AXcを中心に回転する。
【0039】
[動作]
次に、本実施形態に係る作業機械1の動作について説明する。作業機械1は、掘削対象DSをバケット13で掘削する掘削作業と、掘削作業によりバケット13ですくった掘削物を運搬車両LSの荷台BEに積み込む積込作業とを実施する。掘削対象DSとして、地山が例示される。掘削物として、土砂が例示される。運搬車両LSとして、ダンプトラックが例示される。
【0040】
作業機械1の動作形態として、「Vシェープ」、「移動無し掘削」、及び「掻き上げ掘削」が挙げられる。
【0041】
「Vシェープ」とは、作業機械1を前進又は後進させながらバケット13を上下方向に移動して掘削作業及び積込作業を行うことをいう。すなわち、「Vシェープ」とは、車輪4を回転させながら掘削作業及び積込作業を行うことをいう。
【0042】
「移動無し掘削」とは、作業機械1の走行装置3を移動させることなくバケット13を上下方向に移動して掘削作業及び積込作業を行うことをいう。すなわち、「移動無し掘削」とは、車輪4を回転させずに掘削作業及び積込作業を行うことをいう。
【0043】
「掻き上げ掘削」とは、バケット13の先端部13Bを地面RSに近付けた状態でバケット13を掘削対象DSに挿入した後、ブーム11及びアーム12を上げ動作して掘削対象DSをバケット13で掻き上げることをいう。
【0044】
図6は、本実施形態に係る作業機械1の動作を示す模式図であり、「Vシェープ」を示す図である。「Vシェープ」の動作形態で掘削対象DSを掘削するとき、作業機械1は、図6の矢印M1で示すように、掘削対象DSに向かって前進する。作業機械1は、バケット13で掘削対象DSを掘削する。
【0045】
掘削対象DSがバケット13により掘削され、バケット13が掘削物をすくった後、作業機械1は、図6の矢印M2で示すように、掘削対象DSから離れるように後進する。
【0046】
バケット13ですくった掘削物を運搬車両に積み込むとき、作業機械1は、図6の矢印M3で示すように、旋回しながら運搬車両LSに向かって前進する。作業機械1は、運搬車両LSに向かって前進しながらバケット13を上昇させる。作業機械1は、運搬車両LSに向かって前進しながらブーム11及びアーム12の少なくとも一方を上げ動作させる。ブーム11及びアーム12の少なくとも一方の上げ動作により、バケット13は、運搬車両LSの荷台BEよりも高い位置に配置される。
【0047】
ブーム11及びアーム12の少なくとも一方の上げ動作によりバケット13を運搬車両LSの荷台BEよりも高い位置に配置した後、作業機械1は、バケット13をダンプ動作させてバケット13から荷台BEに掘削物を排出する。これにより、掘削物が荷台BEに積み込まれる。
【0048】
バケット13から掘削物を排出した後、作業機械1は、図6の矢印M4で示すように、運搬車両LSから離れるように後進する。作業機械1は、後進した後、図6の矢印M1で示すように、掘削対象DSに向かって前進する。作業機械1は、荷台BEに掘削物が満載されるまで、上述の動作を繰り返す。上述の一連の動作を「Vシェープ」という。
【0049】
図7は、本実施形態に係る作業機械1の掘削作業を示す模式図であり、「Vシェープ」における掘削作業を示す図である。「Vシェープ」の動作形態においてバケット13で掘削対象DSを掘削するとき、作業機械1は、ステアリングシリンダの操作による車体2の屈曲動作を適宜含みながら掘削対象DSに向かって前進する。作業機械1は、バケット13を地面RSから離した状態で掘削対象DSに向かって前進することができる。図7に示す例において、作業機械1は、地面RSから距離Haだけ上方に離れた位置にバケット13を位置付けた状態で、掘削対象DSに向かって前進する。「Vシェープ」の動作形態において、作業機械1は、掘削対象CSに向かって前進しながらブーム11及びアーム12の少なくとも一方を上げ動作し、ブーム11及びアーム12の少なくとも一方の上げ動作と並行して、バケット13をチルト動作させる。作業機械1は、地面RSから距離Haだけ上方に離れた掘削対象DSの斜面の部位PHにバケット13を挿入することができる。距離Haは、例えばタイヤ5の接地面と車輪4の回転軸との距離よりも長くてもよい。距離Haは、例えばタイヤ5の直径よりも長くてもよい。
【0050】
図8は、本実施形態に係る作業機械1の積込作業を示す模式図であり、「Vシェープ」における積込作業を示す図である。「Vシェープ」の動作形態でバケット13ですくった掘削物を運搬車両LSの荷台BEに積み込むとき、作業機械1は、運搬車両LSに向かって前進しながらブーム11及びアーム12の少なくとも一方を上げ動作させる。ブーム11及びアーム12の少なくとも一方の上げ動作によりバケット13を荷台BEよりも高い位置に配置した後、作業機械1は、バケット13をダンプ動作させてバケット13から荷台BEに掘削物を排出する。図8に示す例において、作業機械1は、地面RSから距離Haと距離Hbとの和だけ上方に離れた位置にバケット13を上昇させることにより、バケット13をベッセルBEの上方に位置付けることができる。
【0051】
このように、掘削対象DSを掘削する掘削作業においては、バケット13は地面RSから距離Haだけ離れた位置に位置付けられ、掘削物を荷台BEに積み込む積込作業においては、バケット13は荷台BEよりも高い位置に位置付けられる。本実施形態において、作業機械1は、掘削作業と積込作業との間においてバケット13を上下方向に距離Hbだけ移動させればよい。バケット13を上下方向に大きく移動する必要がないため、作業機械1に搭載されているエンジン及び油圧ポンプは、過大な動力を出力しなくてすむ。そのため、作業機械1のエンジンの燃料消費量は削減される。また、バケット13を上下方向に大きく移動する必要がないため、上下方向のバケット13の移動距離及び移動時間は短くなる。そのため、作業機械1の作業時間が長くなることが抑制される。また、図6の矢印M1,M2,M3,M4で示しように、掘削作業及び積込作業において作業機械1が地面RSを移動するときの移動距離が短縮される。作業機械1は、地面RSの小さい領域において前進と後進とを繰り返しながら掘削作業と積込作業とを実施することができる。
【0052】
なお、図7及び図8を参照しながら「Vシェープ」における掘削作業及び積込作業について説明した。上述の「移動無し掘削」の掘削作業においては、作業機械1は、車輪4を回転させずにバケット13を地面RSから距離Haだけ離れた位置に位置付ける。「移動無し掘削」の積込作業においては、作業機械1は、車輪4を回転させずにバケット13を荷台BEよりも高い位置位置付ける。これにより、「移動無し掘削」においても、作業機械1のエンジンの燃料消費量は削減され、上下方向のバケット13の移動距離及び移動時間は短くなる。
【0053】
上述の「掻き上げ掘削」においては、図7に点線で示すように、作業機械1は、ブーム11及びアーム12を下降して、バケット13の先端部13Bを地面RSに近付けた状態でバケット13を掘削対象DSに挿入した後、ブーム11及びアーム12を上げ動作してバケット13を作業機械1の上方まで上昇させる。これにより、掘削対象DSはバケット13で掻き上げられる。
【0054】
[効果]
以上説明したように、本実施形態によれば、作業機10がブーム11とアーム12とバケット13とを有するので、掘削作業において、作業機械1は、バケット13を地面RSから離した状態で掘削対象DSを掘削することができる。これにより、積込作業において、作業機械1は、バケット13を距離Hbだけ上昇させればよい。掘削作業と積込作業との間において、作業機械1は、バケット13を上下方向に大きく移動させる必要がないので、作業機械1の燃料消費量は削減され、作業機械1の作業時間は短縮される。
【0055】
既存のホイールローダはアームを有しないので、バケットで掘削対象を掘削するとき、ホイールローダは、バケットを地面RSに近付けた状態で掘削対象DSに向かって前進して、バケット13を地面RSと掘削対象DSとの境界PL(図7参照)の近傍に挿入する必要がある。この場合、バケットですくった掘削物を運搬車両LSの荷台BEに積み込むとき、ホイールローダは、ブームを距離Haと距離Hbとの和だけ上昇させる必要がある。すなわち、既存のホイールローダは、掘削作業と積込作業との間においてバケットを上下方向に大きく移動させる必要がある。バケットを上下方向に大きく移動する必要がある場合、大きい動力が必要になるため、ホイールローダの燃料消費量が増大する可能性がある。また、バケットを上下方向に大きく移動する必要がある場合、バケットの移動時間が長くなるため、ホイールローダの作業時間が長くなる可能性がある。
【0056】
本実施形態によれば、作業機械1は、アーム12を有するので、掘削作業において、地面RSから距離Haだけ上方に離れた位置にバケット13を位置付けることができる。これにより、積込作業において、作業機械1は、バケット13を距離Hbだけ上昇させればよいので、バケット13を上下方向に大きく移動させる必要がなくなる。したがって、作業機械1の燃料消費量を削減でき、作業時間を短期化することができる。
【0057】
本実施形態において、作業機械1は、前部車体2Fと後部車体2Rとが関節機構9を介して連結されたアーティキュレート方式の作業機械である。そのため、図6に示したように、地面RSの小さい領域において前進と後進とを繰り返しながら掘削作業と積込作業とを実施することができる。
【0058】
本実施形態において、ブーム11は、第1ブーム11Aと第2ブーム11Bとを含み、アーム12は、第1アーム12Aと第2アーム12Bとを含む。これにより、第1ブーム11Aと第2ブーム11Bとの間、及び第1アーム12Aと第2アーム12Bとの間に空間が形成される。そのため、運転シート7に着座した操作者は、空間を介して、バケット13を視認したり、掘削対象DS及び運搬車両LSを視認したりすることができる。したがって、操作者は、掘削作業及び積込作業を円滑に実施することができる。
【0059】
本実施形態においては、車幅方向において、バケット13の寸法は、車体2の寸法よりも大きい。したがって、バケット13は、1回の掘削作業において多量の掘削物をすくうことができる。そのため、作業機械1の作業効率は向上する。
【0060】
[他の実施形態]
なお、上述の実施形態においては、操作者が操作装置8を操作することにより、作業機械1が作動することとした。作業機械1に操作者が搭乗しなくてもよい。作業機械1は遠隔操作されてもよいし、制御装置により自律的に作動してもよい。
【0061】
上述の実施形態においては、ブームアクチュエータ、アームアクチュエータ、及びバケットアクチュエータのそれぞれが、油圧シリンダであるブームシリンダ21、アームシリンダ22、及びバケットシリンダ23であることとした。ブームアクチュエータ、アームアクチュエータ、及びバケットアクチュエータの少なくとも一つは、油圧シリンダでなくてもよく、モータやギアを含んでもよい。
【符号の説明】
【0062】
1…作業機械、2…車体、2F…前部車体、2R…後部車体、3…走行装置、4…車輪、4F…前輪、4R…後輪、5…タイヤ、5F…前タイヤ、5R…後タイヤ、6…運転室、7…運転シート、8…操作装置、9…関節機構、10…作業機、11…ブーム、11A…第1ブーム、11B…第2ブーム、12…アーム、12A…第1アーム、12B…第2アーム、13…バケット、13B…先端部、13M…開口部、14…ブーム連結部材、15…アーム連結部材、21…ブームシリンダ、22…アームシリンダ、23…バケットシリンダ、30…連結機構、31…リンク部材、32…リンク部材、33A…バケットピン、33B…第1リンクピン、33C…第2リンクピン、33D…バケットシリンダトップピン、33E…バケットピン、33F…第1リンクピン、33G…第2リンクピン、33H…第3リンクピン、33I…リンクピン、34…ブラケット、AXa…ブーム回転軸、AXb…アーム回転軸、AXc…バケット回転軸、BE…荷台、DS…掘削対象、LS…運搬車両、PH…部位、PL…境界、RS…地面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8