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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-22
(45)【発行日】2022-08-01
(54)【発明の名称】塗布装置および塗布方法
(51)【国際特許分類】
   B05C 11/10 20060101AFI20220725BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20220725BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20220725BHJP
   B05D 1/26 20060101ALI20220725BHJP
【FI】
B05C11/10
B05C11/00
B05C5/00 101
B05D1/26 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018153194
(22)【出願日】2018-08-16
(65)【公開番号】P2020025938
(43)【公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000110859
【氏名又は名称】キヤノンマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100148987
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 礼子
(72)【発明者】
【氏名】久保田 祐介
【審査官】吉川 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-135562(JP,A)
【文献】国際公開第2016/084812(WO,A1)
【文献】特開2000-354816(JP,A)
【文献】特開平07-265771(JP,A)
【文献】特開2007-216191(JP,A)
【文献】特開2006-266158(JP,A)
【文献】国際公開第2017/082064(WO,A1)
【文献】特開2019-118867(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 5/00 - 5/04
B05C 11/00 - 11/115
B05D 1/26
B41J 2/01
B41J 2/165
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワーク上に塗布剤を塗布する一対のディスペンスユニットを備え、各ディスペンスユニットは、塗布剤を吐出するノズルを有するシリンジと、このシリンジを水平方向のX軸方向、X軸方向と直交する水平方向のY軸方向、およびX軸方向とY軸方向に直交する鉛直方向のZ軸方向に駆動させる駆動機構とを有する塗布装置であって、
前記一対のディスペンスユニットのいずれかのディスペンスユニットによる塗布剤の塗
布動作又は両ディスペンスユニットによる塗布剤の塗布動作を指令する動作指令手段と、
一のディスペンスユニットによる塗布剤の塗布動作中に、塗布動作を行っていない他のディスペンスユニットのノズルの位置調整を行うためのノズル位置を検出するノズル位置検出手段と、
一のディスペンスユニットによる塗布剤の塗布動作中に、塗布動作を行っていない他のディスペンスユニットのノズルのクリーニングを行うノズルクリーニング手段と、
クロスする部位が形成される一対の検出光が投光されて、このクロス部にノズルが位置する状態が、ノズルが正規位置及び正規に取付られた状態となるノズル位置検出手段と
前記ノズル位置検出手段にて検出されたノズル位置が規定位置に対してずれている際に、駆動機構による、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の少なくともいずれか一つの方向のシリンジの駆動量の補正にてノズル位置補正を行う制御手段とを備えたことを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
前記ノズル位置検出手段及びノズルクリーニング手段が一対のディスペンスユニットの間に配設されていることをと特徴とする請求項1に記載の塗布装置。
【請求項3】
塗布剤を吐出するノズルを有するシリンジを備えた一対のディスペンスユニットによってワーク上に塗布剤を塗布する塗布方法であって、
両ディスペンスユニットによる塗布剤の塗布動作と、いずれかのディスペンスユニットによる塗布剤の塗布動作との選択を可能とし、クロスする部位が形成される一対の検出光が投光されて、このクロス部にノズルが位置する状態を、ノズルが正規位置及び正規に取り付けられた状態とし、ノズル位置が規定位置に対してずれている際に、駆動機構による、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の少なくともいずれか一つの方向のシリンジの駆動量の補正にてノズル位置補正を行う制御をすることを特徴とする塗布方法。
【請求項4】
一のディスペンスユニットの塗布剤の塗布動作中において、塗布動作を行っていない他のディスペンスユニットのシリンジの交換を行うシリンジ交換工程を備えることを特徴とする請求項3に記載の塗布方法。
【請求項5】
一のディスペンスユニットの塗布剤の塗布動作中において、塗布動作を行っていない他のディスペンスユニットのシリンジのノズルの位置を検出してノズルの位置を補正するための位置検出工程を備えることを特徴とする請求項3に記載の塗布方法。
【請求項6】
一のディスペンスユニットの塗布剤の塗布動作中において、塗布動作を行っていない他のディスペンスユニットのノズルのクリーニングを行うノズルクリーニング工程を備えることを特徴とする請求項3に記載の塗布方法。
【請求項7】
一のディスペンスユニットの塗布剤の塗布動作中において、塗布動作を行っていない他のディスペンスユニットのシリンジのノズルからの塗布剤の吐出圧の調整を行う吐出圧調整工程を備えることを特徴とする請求項3に記載の塗布方法。
【請求項8】
一のディスペンスユニットの塗布剤の塗布動作中において、塗布動作を行っていない他のディスペンスユニットのシリンジのノズルの泡抜きを行う泡抜き工程を備えることを特徴とする請求項3に記載の塗布方法。
【請求項9】
一のディスペンスユニットの塗布剤の塗布動作中において、塗布動作を行っていない他のディスペンスユニットによる捨て打ちを行った後の捨て打ち確認工程を備えることを特徴とする請求項3に記載の塗布方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布装置および塗布方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造においては、多数個の素子を一括して造り込まれたウェーハをダイシングして個々の半導体チップに分離し、これを一個ずつリードフレーム等の所定位置にボンディングするというチップボンディングの手法が採用されている。そして、このチップボンディングにはダイボンダ(半導体装置の製造装置)が用いられる。
【0003】
リードフレーム(基板)1は、その長手方向に沿って所定ピッチ(定ピッチ)で複数のアイランド2を有し、このアイランド2にダイ3(半導体チップ等)が配置接合される。このため、ダイホンダでは、基板1の複数のアイランド2に接着剤4を供給し、この接着剤4が供給されたアイランド2にダイ3(半導体チップ等)をボンディングすることになる。接着剤4を供給する手段として、特許文献1や特許文献2等に記載された塗布装置(ディスペンサ)がある。
【0004】
特許文献1に記載の塗布装置(ディスペンサ)は、接着剤を内部に保持するとともに塗布ノズルを有するシリンジと、このシリンジを互いに直交する3軸(X,Y,Z軸)方向に移動させる駆動ロボットと、塗布ノズルの先端のX,Y,Z軸方向における位置を検出する位置検出手段とを備えたものである。
【0005】
特許文献1では、前記のように構成することによって、塗布ノズルの先端のX,Y,Z軸方向における位置を、人為的影響を受けること無く、容易かつ正確に検出、設定できるというものである。
【0006】
また、この特許文献1には、塗布ノズルの先端部を清掃する清掃手段を備えている。これによって、塗布ノズル周辺に付いた不要な液体材料が飛んで周囲の部材を汚染することを防止することができるというものである。
【0007】
特許文献2に記載の装置(ディスペンサ)も、前記特許文献1に記載のものと同様、先端ノズル(塗布ノズル)を有するシリンジを備え、このシリンジがX,Y,Z軸方向の3軸方向に駆動可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2000-354816号公報
【文献】特開平7-265771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、塗布工程の高速化や、接着剤等の塗布剤を塗布するワークサイズや塗布範囲等により、2機のディスペンスユニットを用いて塗布工程を行うことを提案できる。このように、2機のディスペンスユニットを用いる場合、2機のディスペンスユニットを同時に用いることによって、塗布作業の短縮化が可能となる。
【0010】
しかしながら、ディスペンスユニットの塗布剤(ペースト等)が無くなれば、一旦、装置の停止(各ディスペンスユニットによる塗布動作の停止)を行う。そして、装置の停止の状態で、シリンジの交換作業を行い、このシリンジの交換に伴って、吐出圧の調整、泡抜き、捨て打ち確認、塗布位置の調整、及びノズルクリーニング等の作業を行うことになる。
【0011】
このため、装置の停止の時間が大となり、この停止の間は、各ディスペンスユニットによる塗布動作が停止されることになる。このため、2機のディスペンスユニットを用いるにも関わらず、生産性に劣ることになっていた。
【0012】
本発明は、上記課題に鑑みて、2機のディスペンスユニットを用い、塗布工程(塗布動作)が途切れることなく連続的に行うことができ、生産性に優れた塗布装置および塗布方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の塗布装置は、ワーク上に塗布剤を塗布する一対のディスペンスユニットを備え、各ディスペンスユニットは、塗布剤を吐出するノズルを有するシリンジと、このシリンジを水平方向のX軸方向、X軸方向と直交する水平方向のY軸方向、およびX軸方向とY軸方向に直交する鉛直方向のZ軸方向に駆動させる駆動機構とを有する塗布装置であって、前記一対のディスペンスユニットのいずれかのディスペンスユニットによる塗布剤の塗布動作又は両ディスペンスユニットによる塗布剤の塗布動作を指令する動作指令手段と、一のディスペンスユニットによる塗布剤の塗布動作中に、塗布動作を行っていない他のディスペンスユニットのノズルの位置調整を行うためのノズル位置を検出するノズル位置検出手段と、一のディスペンスユニットによる塗布剤の塗布動作中に、塗布動作を行っていない他のディスペンスユニットのノズルのクリーニングを行うノズルクリーニング手段とを備えたものである。
【0014】
本発明の塗布装置によれば、動作指令手段からの指令にて、一対のディスペンスユニットのいずれかのディスペンスユニットによる塗布剤の塗布動作を行ったり、2機のディスペンスユニットによる塗布剤の塗布動作を行ったりできる。このため、ディスペンスユニットによる塗布剤の塗布動作を途切れさせることがない。
【0015】
また、一のディスペンスユニットによる塗布剤の塗布動作を行っている間においては、他のディスペンスユニットによる塗布剤の塗布動作を停止でき、この停止中に、ノズル位置検出手段によるこの停止中のディスペンスユニットのノズル位置検出を行ったり、ノズルクリーニング手段によるノズルのクリーニングを行ったりできる。すなわち、停止中に、この停止中のディスペンスユニットのシリンジを交換することができ、この交換に伴って生じたノズルの位置ずれをノズル位置検出手段にて検出できる。この場合、ノズルに位置ずれが生じていれば、ノズルを正規の位置に合わせる工程も行える。また、ノズルクリーニング手段によるノズルのクリーニングは、シリンジを交換することなく、行うものであってもよい。シリンジを交換した場合であっても、捨て打ち等によって、ノズルの先端部に塗布剤が付着する場合があり、このような場合に、ノズルのクリーニングにて、ノズルの先端部に付着した余分な塗布剤を除去できる。
【0016】
ノズル位置検出手段にて検出されたノズル位置が規定位置に対してずれている際に、前記駆動機構による、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の少なくなくともいずれか一つの方向のシリンジの駆動量の補正にてノズル位置補正を行う制御手段を備えたものであってもよい。
【0017】
このように、制御手段を備えたものでは、ノズルに位置ずれが生じていれば、駆動機構によるX軸方向、Y軸方向、及び/又はZ軸方向の移動量にこのずれ量を付加することによって、塗布すべき部位に安定して塗布剤を塗布することができる。すなわち、この種の既存の塗布装置が有する駆動機構をそのまま使用することによって、ノズルの位置合わせを行うことができる。しかも、この位置合わせを自動にて行うことができ、作業者の技量によることなく、正確に行うことができる。
【0018】
ノズル位置検出手段及びノズルクリーニング手段が一対のディスペンスユニットの間に配設されているのが好ましい。このように配置することによって、いずれのディスペンスユニットにおいても、ノズル位置検出手段およびノズルクリーニング手段への移動距離を小さくでき、作業効率の向上を図ることができるとともに、装置全体のコンパクト化を達成できる。
【0019】
本発明の塗布方法は、塗布剤を吐出するノズルを有するシリンジを備えた一対のディスペンスユニットによってワーク上に塗布剤を塗布する塗布方法であって、両ディスペンスユニットによる塗布剤の塗布動作と、いずれかのディスペンスユニットによる塗布剤の塗布動作との選択を可能としたものである。
【0020】
本発明の塗布方法によれば、一対のディスペンスユニットのいずれかのディスペンスユニットによる塗布剤の塗布動作を行ったり、2機のディスペンスユニットによる塗布剤の塗布動作を行ったりできる。このため、ディスペンスユニットによる塗布剤の塗布動作を途切れさせることがない。
【0021】
一のディスペンスユニットの塗布剤の塗布動作中において、塗布動作を行っていない他のディスペンスユニットのシリンジの交換を行うシリンジ交換工程を備えたものであっても、シリンジのノズルの位置を検出してノズルの位置を補正するための位置検出工程を備えたものであっても、シリンジのノズルのクリーニングを行うノズルクリーニング工程を備えたものであっても、シリンジのノズルからの塗布剤の吐出圧の調整を行う吐出圧調整工程を備えたものであっても、シリンジのノズルの泡抜きを行う泡抜き工程を備えたものであっても、捨て打ちを行った後に行う捨て打ち確認工程を備えたものであってもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明では、ディスペンスユニットによる塗布剤の塗布動作を途切れさせることがないので、塗布作業の生産性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の塗布装置の簡略平面図である。
図2】塗布装置のディスペンスユニットの斜視図である。
図3】塗布装置のディスペンスユニットの要部簡略図である。
図4】ノズル位置検出手段の簡略平面図である。
図5】ノズルクリーニング手段の断面正面図である。
図6】ノズルクリーニング手段の断面側面図である。
図7】塗布装置の構成を示すブロック図である。
図8】本発明の塗布方法の工程図である。
図9】リードフレームへのチップのボンディング方法を示す簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下本発明の実施の形態を図1図8に基づいて説明する。
【0025】
図1図2は本発明に係る塗布装置を示し、この塗布装置は、ワークWであるリードフレームなどの基板11のアイランド9に接着剤である塗布剤Sを供給(塗布)するための装置である。すなわち、基板11は、その長手方向に沿って所定ピッチ(定ピッチ)で複数のアイランド9を有し、各アイランド9に図示省略のチップ(半導体チップ等)が配置接合される。このため、基板11の複数のアイランド9にこの塗布装置を用いて、塗布剤Sを塗布し、この塗布剤Sが供給されたアイランド9にチップをボンディングすることになる。
【0026】
この場合、基板11は、例えば、保持板12に保持された状態で、搬送ステージ13に搭載され、搬送ステージ13によって、その長手方向に沿って搬送される。このため、アイランド9は、長手方向に沿って所定ピッチ(定ピッチ)で配設される搬送方向列と、この搬送列と直交する方向に所定ピッチ(定ピッチ)で配設される搬送方向直交列とがある。この実施形態では、搬送方向直交列の配設ピッチが搬送方向列の配設ピッチよりも小さく設定されているが、勿論これに限るものではない。
【0027】
この塗布装置は、一対(2機)のディスペンスユニット21(21A,21B)を備える。ディスペンスユニット21(21A,21B)の間に、図1に示すうように、ノズル位置検出手段22およびノズルクリーニング手段23が配置されている。
【0028】
各ディスペンスユニット21A,21Bは、同一構成である。各ディスペンスユニット21A、21Bは、塗布剤を吐出するノズル24を有するシリンジ25と、このシリンジ25を水平方向のX軸方向、X軸方向と直交する水平方向のY軸方向、およびX軸方向とY軸方向に直交する鉛直方向のZ軸方向に駆動させる駆動機構26(26A,26B)とを備える。
【0029】
シリンジ25は、カメラ27が取付られたフレーム(アーム)28にて支持され、このアーム28が駆動機構26にて駆動される。すなわち、アーム28は、シリンジ25を保持するシリンジ保持部28aと、カメラ27を保持するカメラ保持部28bと、シリンジ保持部28aとカメラ保持部28bとを連結する連結部28cとで構成されている。シリンジ保持部28aとカメラ保持部28bは、それぞれ水平方向(ワークWの表面と平行を成すように)配設され、連結部28cは鉛直方向(ワークWの表面に直交する方向)に配設されている。カメラ保持部28bは、連結部28cを介してシリンジ保持部28aの上方に接続されている。シリンジ保持部28aにおけるカメラ直下の部分には、孔部28dが設けてあり、カメラ27はこの孔部28dを通してワークWの表面を撮像することができるようになっている。
【0030】
駆動機構26は、フレーム(アーム)28を介してシリンジ25を移動させる3つの駆動部31,32,33を備える。具体的には、駆動機構26は、シリンジ25をワークWの長手方向(X方向)に往復移動させるX方向駆動部31と、シリンジをワークWの幅方向(Y方向)に往復移動させるY方向駆動部32と、シリンジ2等をワークWに対して接近離間する方向(Z方向)に移動させるZ方向駆動部(接離方向駆動部)33とを備えている。なお、駆動機構26は、XYZ軸ステージやXYZアームを用いることができる。
【0031】
また、カメラ27には、駆動機構26を制御する制御手段30(図7参照)が接続されている。すなわち、制御手段30には、カメラ27にて撮像されたアイランド9や塗布された塗布剤等の画像が入力され、制御手段30はこの画像に基づいて駆動機構26の駆動を制御する。
【0032】
ノズル位置検出手段22は、図4に示すように、第1センサ35と第2センサ36とを備える。第1センサ35は、検出用光(平行光)L1を投光する投光器35aと、この投光器35aからの検出光L1を受ける受光器35bとからなり、第2センサ36は、検出用光(平行光)L2を投光する投光器36aと、この投光器36aからの検出光L2を受ける受光器36bとからなる。この場合、第1センサ35の検出光L1は、X軸方向に沿って投光され、第2センサ36の検出光L2は、X軸と直交するY軸方向に沿って投光さ
る。また、第1センサ35の検出用光L1と第2センサ36の検出用光L2とは同一水平面に配設されている。すなわち、検出用光L1と検出用光L2とが同一高さに設定される。
【0033】
このため、検出光L1と検出光L2とがクロスする部位L3にノズル24が位置する状態が、ノズルが正規位置及び正規姿勢に取り付けられる状態とすることができる。このため、これらのセンサ35,36にて、ノズル24が位置ずれしていか否かを検出でき、しかも、ずれ量も検出することができる。この場合、ノズル24の位置ずれとしては、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向があり、このノズル位置検出手段22は、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向のずれを検出することができる。
【0034】
また、ノズルクリーニング手段23は、公知公用の手段にて構成できる。例えば、特開2007-216191号公報に記載の塗布ノズル清掃装置を用いることができる。この塗布ノズル清掃装置(ノズルクリーニング手段)は、図5に示すように、上下開口の逆円錐状凹部41と、凹部41の下端開口から真下に延在する筒状清掃穴42と、凹部41と清掃穴42の間に開口させた吹出口44を有するエアー供給流路43と、清掃穴から下方および側方に延在するエアー吸引流路45を備える。そして、このエアー吸引流路45には、フィルター47を介してエアー吸引装置48が接続されている。
【0035】
また、この塗布ノズル清掃装置は、図6に示すように、縦穴51とこれに連通された横穴52とが設けられ、縦穴51が連通路53を介して、エアー供給流路43に連通されている。そして、横穴52には、エアー供給装置55が接続されている。
【0036】
この場合、凹部41と清掃穴42に塗布ノズル24のノズル先端部24aを挿入する。ノズル先端部24aが凹部41との間に所定の隙間G1をもって挿入され、ノズル先端部24aの下端である下端部分24a1が清掃穴42の略中央部へと挿入され、下端部分24a1と清掃穴42の間に所定の隙間G2が形成される。
【0037】
この状態でエアー供給装置55を作動させて圧縮エアーをエアー供給流路43に給送し、エアー吸引装置48を作動させてエアー吸引流路45を真空吸引する。エアー供給流路43の先端の吹出口44から吹き出された圧縮エアーはノズル先端部24aの逆円錐状の外周に沿って流下し、下端部分24a1を真下に流下する。この間に、圧縮エアーがノズル下端部分24a1に付着した塗布剤Sに衝突して、真下に吹き落とす。360度の吹出口44から噴出された圧縮エアーは、下端部分24a1の全周の塗布剤Sに直接に衝突するので、弱い圧縮エアーであっても全周の塗布剤Sを効率よく吹き落とす。同時にエアー吸引流路45が真空吸引されているので、清掃穴42を流下する圧縮エアーと吹き落とされた塗布剤Sがエアー吸引流路45に積極的に吸引され、フィルター47に送給される。フィルター47は不織布などであり、エアーが通過する間に塗布剤Sを捕捉して吸着する。フィルター47に所望量の塗布剤Sが付着すると、取り外されて廃棄処理される。塗布ノズル24から除去された塗布剤Sは、エアー吸引流路45のみを流れてフィルター47に捕捉されるので、塗布作業空間に飛散せず、作業環境が清浄に保たれる。
【0038】
図7は、この塗布装置の制御部を示し、制御部は、一対のディスペンスユニット21(21A,21B)のいずれかのディスペンスユニット21A又は21Bによる塗布剤Sの塗布動作又は両ディスペンスユニットによる塗布剤の塗布動作を指令する動作指令手段61と、動作指令手段61からの指令に基づいて、両ディスペンスユニット21A,21Bの駆動機構26(26A,26B)を制御して両ディスペンスユニット21A,21Bを駆動させる前記制御手段30等を備える。この制御手段30には、ノズル位置補正を行う位置補正手段63が含まれている。この位置補正手段63は、ノズル位置検出手段22にて検出されたノズル位置が規定位置に対してずれている際に、駆動機構26にて、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の少なくなくともいずれか一つの方向のシリンジ25の駆動量の補正にてノズル位置補正を行うものである。
【0039】
動作指令手段61は、制御手段30に指令して、ディスペンスユニット21(21A,21B)の駆動機構26(26A,26B)を駆動させるものであり、ディスペンスユニット21A又はディスペンスユニット21Bのみに、塗布動作させたり、両ディスペンスユニット21A、21Bに塗布動作させたりする。
【0040】
ところで、制御手段30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を中心としてROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等がバスを介して相互に接続されたマイクロコンピューターである。また、指令手段61は記憶手段にて構成でき、記憶手段としての記憶装置は、HDD(Hard Disc Drive)やDVD(Digital Versatile Disk)ドライブ、CD-R(Compact Disc-Recordable)ドライブ、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)等からなる。なお、ROMには、CPUが実行するプログラムやデータが格納されている。
【0041】
次に、前記のように構成された塗布装置の動作について説明する。いずれか一のディスペンスユニット21(21A又は21B)のみの塗布動作を説明する。塗布剤Sの塗布予定箇所であるアイランド上に塗布剤Sの塗布を行う前に、まず、アイランドの位置検出を行う。アイランド9の位置検出は、カメラによってアイランドの画像を取り込み、制御手段30で画像処理することによって行うことができる。
【0042】
その後、ノズル24を、上記位置検出されたアイランド9上に移動させる。このとき、位置補正が必要な場合は、制御手段30がX方向駆動部31又はY方向駆動部32に指示を出し、ノズル24をX方向又はY方向に移動させその位置を補正する。アイランド9上に移動したノズル24をZ方向駆動部33にてZ方向に下降させ、ノズル24から塗布剤Sをアイランド9上に塗布する。
【0043】
このような塗布工程が終了すれば、ノズル24をZ方向駆動部33にてZ方向に沿って上昇させ、次に塗布剤Sを塗布すべきアイランド9に対して塗布剤Sを塗布することになる。なお、塗布剤Sを塗布する際には、アイランド9側のみを移動させても、ノズル24側のみを移動させても、アイランド9側およびノズル24側を移動させてもよい。
【0044】
また、アイランド9上に塗布剤Sの塗布を終えたら、塗布された塗布剤Sの状態を確認するための検査を行う。塗布剤Sの状態確認検査は、カメラ27によってアイランド9の塗布済みの箇所の画像を取り込み制御手段30で画像処理することによって行う。なお、この塗布剤Sの状態の確認工程は、1個乃至複数個(例えば、1列分)のアイランド9上に塗布剤Sの塗布を終えた後に行っても、一つのワークWの全アイランド9の塗布が終了したときに行ってもよい。
【0045】
このように、1つのいずれか1のディスペンスユニット21(21A又は21B)のみの塗布動作を行っている間においては、この塗布動作を行っていない方のディスペンスユニット21(21B又は21A)に対しては、図8に示すような作業を行うことができる。
【0046】
図8に示す作業工程は、ディスペンスユニット21のシリンジ25を交換するシリンジ交換工程71と、シリンジ25のノズル24からの塗布剤Sの吐出圧を調整する吐出圧調整工程72と、シリンジ25乃至ノズル24の泡抜きを行う泡抜き工程73と、捨て打ち確認工程74と、ディスペンスユニット21のシリンジ25のノズル位置を補正するためのノズル位置検出工程75と、ディスペンスユニット21のシリンジ25のノズルをクリーニングするノズルクリーニング工程76とを備える。
【0047】
シリンジ交換工程71は、ペースト切れが発生したシリンジ25乃至発生するおそれがあるシリンジ25等を交換する作業である。なお、各ディスペンスユニット21は、それぞれカバー内に収容されており、この交換の際、塗布動作を行っていない側のディスペンスユニット21のカバーを開けることによって、行うことができる。
【0048】
ところで、塗布剤Sを塗布(吐出)する場合、シリンジ25に接続された図示省略のディスペンスコントローラ等からシリンジ25内に一定時間エア圧を負荷することにより塗布剤Sがノズル24から押し出される。このため、吐出圧調整工程72とは、負荷するエア圧を適切なものに設定(設定値)するとともに、負荷する時間を調節することにより塗布剤Sの押し出し量を調節することである。
【0049】
泡抜き工程73は、シリンジ25内に塗布剤を圧送することによって、塗布ノズル24から塗布剤とともに気泡を排出させることである。捨て打ち確認工程74とは、捨て打ちステージ等に、塗布剤Sをシリンジ25から吐出させて、これを認識手段(カメラ)で認識して吐出圧や吐出量等の良否を判断する工程である。
【0050】
ノズル検出工程75は、ノズル位置検出手段22にて、ノズル24がアーム18に正規の位置に取付られているか否かが判断され、正規の位置に取付られていなければ(シリンジ交換後のノズル位置が、交換前のノズル位置と異なる場合)、駆動機構26によるシリンジのX軸方向、Y軸方向、及び/又はZ軸方向の移動量を、この位置ずれ量を考慮することによって、塗布すべきアイランド9に安定して塗布できる。なお、正規の位置に取付られていれば、この取付状態のまま塗布動作を行うことができる。
【0051】
ノズルクリーニング工程76は、図5図6に示す塗布ノズル清掃装置(ノズルクリーニング手段23を用いて、ノズル24のクリーニングを行うことである。
【0052】
その後は、図8に示す工程を終了したディスペンサユニット21を用いて塗布動作を行うことになる。このディスペンサユニット21を用いる場合は、今まで塗布動作を行っていたディスペンサユニット21に対しては、塗布動作を行わせることなく、図8に示す工程を行うことになる。
【0053】
この場合、一のディスペンサユニット21で一つのワークMである一つのリードフレーム11の全アイランド9に対して塗布剤Sを塗布する工程を行って、他のリードフレーム11のアイランド9に対して塗布する際に、他のディスペンサユニット21を用いるようにしても、一のディスペンサユニット21で一つのリードフレーム11の所定範囲のアイランド9に対して塗布剤Sを塗布した後、このリードフレーム11の他の範囲のアイランド9に対して他のディスペンサユニット21で塗布剤Sを塗布するようにしてもよい。このように、一つのリードフレーム11のアイランド9に対して、ディスペンサユニット21を変更する場合、ディスペンサユニット21Aとディスペンサユニット21Bとを交互に複数回使用するようなものであってもよい。
【0054】
また、動作指令手段61による指令が、2機のディスペンサユニット21A、21Bを同時に使用するものであれば、2機のディスペンサユニット21A、21Bによる塗布動作が可能である。この際、動作している2機のディスペンサユニット21A、21Bが干渉し合わないように、両ディスペンサユニット21A、21Bの塗布範囲等を設定する必要がある。
【0055】
本発明の塗布装置によれば、動作指令手段61からの指令にて、一対のディスペンスユニット21(21A,21B)のいずれかのディスペンスユニット21A又は21Bによる塗布剤Sの塗布動作を行ったり、2機のディスペンスユニット21A,21Bによる塗布剤Sの塗布動作を行ったりできる。このため、ディスペンスユニット21による塗布剤Sの塗布動作を途切れさせることがなく、塗布作業の生産性の向上を図ることができる。
【0056】
また、一のディスペンスユニット21A又は21Bによる塗布剤Sの塗布動作を行っている間においては、他のディスペンスユニット21B又は21Aによる塗布剤Sの塗布動作を停止でき、この停止中に、ノズル位置検出手段22によるこの停止中ディスペンスユニット21B又は21Aのノズル位置検出を行ったり、ノズルクリーニング手段23によるノズル23のクリーニングを行ったりできる。すなわち、停止中に、この停止中のディスペンスユニット21B又は21Aのシリンジ25を交換することができ、この交換に伴って生じたノズル24の位置ずれをノズル位置検出手段22にて検出できる。この場合、ノズル24に位置ずれが生じていれば、ノズル24を正規の位置に合わせる工程も行える。また、ノズルクリーニング手段23によるノズル24のクリーニングは、シリンジ25を交換することなく、行うものであってもよい。シリンジ25を交換した場合であっても、捨て打ち等によって、ノズル24の先端部24a乃至下端部分24a1に塗布剤Sが付着する場合があり、このような場合に、ノズル24のクリーニングにて、ノズル24の先端部24a乃至下端部分24a1に付着した余分な塗布剤Sを除去できる。
【0057】
ノズル位置検出手段22にて検出されたノズル位置が規定位置に対してずれている際に、駆動機構26による、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の少なくなくともいずれか一つの方向のシリンジ25の駆動にてノズル位置補正を行う制御手段30を備えたものであってもよい。
【0058】
このように、制御手段30を備えたものでは、ノズル24に位置ずれが生じていれば、駆動機構26によるX軸方向、Y軸方向、及び/又はZ軸方向の移動量にこのずれ量を付加することによって、塗布すべき部位に安定して塗布剤Sを塗布することができる。すなわち、この種の既存の塗布装置が有する駆動機構26をそのまま使用することによって、ノズル24の位置合わせを行うことができる。しかも、この位置合わせを自動にて行うことができ、作業者の技量によることなく、正確に行うことができる。
【0059】
ノズル位置検出手段22及びノズルクリーニング手段23が一対のディスペンスユニット21A,21Bの間に配設されているのが好ましい。このように配置することによって、いずれのディスペンスユニット21A,21Bにおいても、ノズル位置検出手段22およびノズルクリーニング手段23への移動距離を小さくでき、作業効率の向上を図ることができるとともに、装置全体のコンパクト化を達成できる。
【0060】
この塗布装置では、一のディスペンスユニット21の塗布剤の塗布動作中においては、塗布動作を行っていない他のディスペンスユニット21のシリンジ25の交換を行うシリンジ交換工程71、シリンジ25のノズル24からの塗布剤Sの吐出圧の調整を行う吐出圧調整工程72、シリンジ25のノズル24の泡抜きを行う泡抜き工程73、捨て打ちを行った後の行う捨て打ち確認工程74、シリンジ25のノズル24の位置を検出してノズル24の位置を補正するための位置検出工程75、及びシリンジ25のノズル24のクリーニングを行うノズルクリーニング工程76を行うことができ、各ディスペンスユニット21,21による塗布動作を安定して正確に行うことができる。
【0061】
本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、前記実施形態では、塗布動作を行っていない場合、図8に示す工程を全て行っていたが、6個の工程の内、省略される工程があってもよい。この場合、いずれか1個の工程のみを省略したり、いずれかの2個乃至5個の工程を省略したりするものであってもよい。また、基板11のアイランド数、アイランドの配設ピッチ等は任意に変更でき、配設ピッチは等間隔ピッチでなくてもよい。塗布剤Sである接着剤として、はんだペースト、樹脂ペースト、樹脂フィルム等がある。また、樹脂ペーストや樹脂フィルムとしては、エポキシ系、ポリアミド系の種々の樹脂接合材料を用いることができる。
【0062】
ノズル位置検出手段22の前記実施形態では、透過型のセンサ35,36を用いたが、反射型のセンサ等を用いてもよい。また、ノズルクリーニング手段23として、図5図6に示した塗布ノズル清掃装置に限るものではなく、他の公知公用の装置(例えば、特開2000-354816号公報の図3図6に示されるもの)であってもよい。
【符号の説明】
【0063】
21、21A、21B ディスペンスユニット
22 ノズル位置検出手段
23 ノズルクリーニング手段
24 塗布ノズル
25 シリンジ
26 駆動機構
61 動作指令手段
71 シリンジ交換工程
72 吐出圧調整工程
73 泡抜き工程
74 捨て打ち確認工程
75 ノズル位置検出工程
76 ノズルクリーニング工程
S 塗布剤
W ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9