IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エスアイアイ・プリンテック株式会社の特許一覧

特許7110067ヘッドチップ、液体噴射ヘッド、液体噴射記録装置およびヘッドチップの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-22
(45)【発行日】2022-08-01
(54)【発明の名称】ヘッドチップ、液体噴射ヘッド、液体噴射記録装置およびヘッドチップの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20220725BHJP
   B41J 2/16 20060101ALI20220725BHJP
【FI】
B41J2/14 303
B41J2/16 511
B41J2/16 503
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018211523
(22)【出願日】2018-11-09
(65)【公開番号】P2020075449
(43)【公開日】2020-05-21
【審査請求日】2021-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】501167725
【氏名又は名称】エスアイアイ・プリンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藍 知季
(72)【発明者】
【氏名】山村 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】三根 亨
【審査官】小野 郁磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-12199(JP,A)
【文献】特開2017-65143(JP,A)
【文献】特開2016-43485(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体に圧力を印加するアクチュエータプレートを備え、前記液体を噴射するヘッドチップであって、
前記アクチュエータプレートは、
表面および裏面と、
所定の方向に延在し、かつ、前記表面に設けられた第1開口と、前記裏面に設けられるとともに、前記所定の方向の長さが前記第1開口よりも短い第2開口とを有するチャネルと、
前記第1開口側の前記チャネルの側壁に設けられた表面側部分と、前記表面側部分よりも前記第2開口側の前記側壁に設けられるとともに前記所定の方向の大きさが前記表面側部分と同じまたは前記表面側部分よりも大きい裏面側部分とを有する電極と
を含むヘッドチップ。
【請求項2】
前記裏面側部分の前記所定の方向の大きさは、前記第2開口の前記所定の方向の長さと同じである
請求項1に記載のヘッドチップ。
【請求項3】
前記表面側部分の前記所定方向の大きさは、前記第2開口の前記所定の方向の長さよりも小さい
請求項1または請求項2に記載のヘッドチップ。
【請求項4】
更に、前記チャネルに連通するノズル孔が設けられたノズルプレートを含む
請求項1ないし請求項3のうちいずれか1項に記載のヘッドチップ。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のヘッドチップと、
前記ヘッドチップに前記液体を供給する供給機構と
を備えた液体噴射ヘッド。
【請求項6】
請求項5に記載の液体噴射ヘッドと、
前記液体を収容する収容部と
を備えた液体噴射記録装置。
【請求項7】
液体に圧力を印加するアクチュエータプレートを備え、前記液体を噴射するヘッドチップの製造方法であって、
前記アクチュエータプレートを形成する工程は、
表面および裏面を有する圧電基板に、所定の方向に延在するとともに、前記表面に第1開口を有するチャネルを形成する工程と、
前記第1開口の前記所定の方向の両端部をマスクで覆う工程と、
前記マスクが設けられた前記第1開口から前記チャネルの側壁に導電材料を蒸着して第1蒸着部を形成する工程と、
前記チャネルに達するように前記圧電基板の前記裏面を研削することにより、前記圧電基板の前記裏面側に、前記所定の方向の長さが前記第1開口よりも短い第2開口を形成する工程と、
前記第2開口から前記チャネルの前記側壁に前記導電材料を蒸着して第2蒸着部を形成し、前記第1蒸着部および前記第2蒸着部を含む電極を形成する工程とを含む
ヘッドチップの製造方法。
【請求項8】
前記アクチュエータプレートを形成する工程は、
更に、前記チャネルを形成した後、前記圧電基板の前記表面にレジスト膜を形成する工程を含み、
前記レジスト膜を形成した後、前記第1蒸着部を形成する
請求項7に記載のヘッドチップの製造方法。
【請求項9】
前記両端部は、以下の式(1)で表される前記第1蒸着部の深さDiが、前記チャネルの深さDよりも大きくなる部分を含む
請求項8に記載のヘッドチップの製造方法。

Di=s/tan(β―θ)―r ・・・・・(1)
ただし、s:前記チャネルの幅
β:前記第1蒸着部を形成する際の前記蒸着の入射角
θ:前記圧電基板の傾き角
r:前記レジスト膜の厚み
【請求項10】
更に、前記第1蒸着部を形成した後、前記圧電基板の前記表面に、カバープレートを貼り合わせる工程を含み、
前記圧電基板の前記表面に前記カバープレートを貼り合わせた後、前記圧電基板の前記裏面を研削して前記第2開口を形成する
請求項7ないし請求項9のうちいずれか1項に記載のヘッドチップの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヘッドチップおよびその製造方法、液体噴射ヘッド、ならびに液体噴射記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体噴射記録装置の1つとして、記録紙等の被記録媒体にインク(液体)を吐出(噴射)して画像や文字等の記録を行う、インクジェット方式の記録装置が提供されている(例えば、特許文献1参照)。この方式の液体噴射記録装置では、インクタンクからインクジェットヘッド(液体噴射ヘッド)へインクを供給し、このインクジェットヘッドのノズル孔から被記録媒体に対してインクを吐出することで、画像や文字等の記録が行われるようになっている。また、このようなインクジェットヘッドには、インクを吐出するヘッドチップが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第8091987号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなヘッドチップ等では、例えば、浮遊容量に起因して吐出速度がばらつき、画質が低下するおそれがある。したがって、浮遊容量を抑え、画質を向上させることが可能なヘッドチップおよびその製造方法、液体噴射ヘッド、ならびに液体噴射記録装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施の形態に係るヘッドチップは、液体に圧力を印加するアクチュエータプレートを備え、液体を噴射するヘッドチップであって、アクチュエータプレートは、表面および裏面と、所定の方向に延在し、かつ、表面に設けられた第1開口と、裏面に設けられるとともに、所定の方向の長さが第1開口よりも短い第2開口とを有するチャネルと、第1開口側のチャネルの側壁に設けられた表面側部分と、表面側部分よりも第2開口側の側壁に設けられるとともに所定の方向の大きさが表面側部分と同じまたは表面側部分よりも大きい裏面側部分とを有する電極とを含むものである。
【0006】
本開示の一実施の形態に係る液体噴射ヘッドは、上記本開示の一実施の形態に係るヘッドチップと、ヘッドチップに液体を供給する供給機構とを備えたものである。
【0007】
本開示の一実施の形態に係る液体噴射記録装置は、上記本開示の一実施の形態に係る液体噴射ヘッドと、液体を収容する収容部とを備えたものである。
【0008】
本開示の一実施の形態に係るヘッドチップの製造方法は、液体に圧力を印加するアクチュエータプレートを備え、液体を噴射するヘッドチップの製造方法であって、アクチュエータプレートを形成する工程は、表面および裏面を有する圧電基板に、所定の方向に延在するとともに、表面に第1開口を有するチャネルを形成する工程と、第1開口の所定の方向の両端部をマスクで覆う工程と、マスクが設けられた第1開口からチャネルの側壁に導電材料を蒸着して第1蒸着部を形成する工程と、チャネルに達するように圧電基板の裏面を研削することにより、圧電基板の裏面側に、所定の方向の長さが第1開口よりも短い第2開口を形成する工程と、第2開口からチャネルの側壁に導電材料を蒸着して第2蒸着部を形成し、第1蒸着部および第2蒸着部を含む電極を形成する工程とを含むものである。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一実施の形態に係るヘッドチップおよびその製造方法、液体噴射ヘッド、ならびに液体噴射記録装置によれば、浮遊容量を抑え、画質を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施の形態に係る液体噴射記録装置の概略構成例を表す模式斜視図である。
図2図1に示した循環機構等の詳細構成例を表す模式図である。
図3図2に示した液体噴射ヘッドの詳細構成例を表す分解斜視図である。
図4図3に示したアクチュエータプレートの裏面の構成例を表す斜視図である。
図5図3に示したA-A線に沿った断面の構成例を表す模式図である。
図6図3に示したB-B線に沿った断面の構成例を表す模式図である。
図7図3に示した吐出チャネルと、コモン電極との関係の一例を表す模式図である。
図8図3に示したC-C線に沿った断面の一部の構成例を表す模式図である。
図9A図3等に示した液体噴射ヘッドの製造方法の一例を表す流れ図である。
図9B図9Aに続く工程を表す流れ図である。
図10A図9Aに示した液体噴射ヘッドの製造方法の一工程を説明するための断面模式図である。
図10B図10Aに続く工程を表す断面模式図である。
図10C図10Bに続く工程を表す断面模式図である。
図10D図10Cに続く工程を表す断面模式図である。
図10E図10Dに続く工程を表す断面模式図である。
図10F図10Eに続く工程を表す断面模式図である。
図10G図10Fに続く工程を表す断面模式図である。
図10H図10Gに続く工程を表す断面模式図である。
図11A図9Aに示したステップS5の工程について説明するための平面模式図である。
図11B図11Aに対応する断面模式図である。
図12図11Bに示した領域について説明するための模式図である。
図13】比較例に係る液体噴射ヘッドの要部の構成を表す模式図である。
図14】変形例に係る液体噴射ヘッドの要部の構成を表す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。

1.実施の形態(アクチュエータプレートに、表面側部分および裏面側部分を含む電極が設けられた、サイドシュート型の液体噴射ヘッド)
2.変形例(エッジシュート型の液体噴射ヘッド例)
3.その他の変形例
【0012】
<1.実施の形態>
[プリンタ1の全体構成]
図1は、本開示の一実施の形態に係るプリンタ1の概略構成例を、模式的に斜視図にて表したものである。プリンタ1は、本開示における「液体噴射記録装置」の一具体例に対応している。プリンタ1は、後述するインク9を利用して、被記録媒体としての記録紙Pに対して、画像や文字等の記録(印刷)を行うインクジェットプリンタである。このプリンタ1はまた、詳細は後述するが、インク9を所定の流路に循環させて利用する、インク循環式のインクジェットプリンタである。
【0013】
プリンタ1は、図1に示したように、一対の搬送機構2a,2bと、インクタンク3と、インクジェットヘッド4と、循環機構5と、走査機構6とを備えている。これらの各部材は、所定形状を有する筺体10内に収容されている。なお、本明細書の説明に用いられる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。インクジェットヘッド4(後述するインクジェットヘッド4Y,4M,4C,4K)は、本開示における「液体噴射ヘッド」の一具体例に対応している。
【0014】
(搬送機構2a,2b)
搬送機構2a,2bはそれぞれ、図1に示したように、記録紙Pを搬送方向d(X軸方向)に沿って搬送する機構である。これらの搬送機構2a,2bはそれぞれ、グリッドローラ21、ピンチローラ22および駆動機構(不図示)を有している。グリッドローラ21およびピンチローラ22はそれぞれ、Y軸方向(記録紙Pの幅方向)に沿って延設されている。駆動機構は、グリッドローラ21を軸周りに回転させる(Z-X面内で回転させる)機構であり、例えばモータ等を用いて構成されている。
【0015】
(インクタンク3)
インクタンク3は、インクジェットヘッド4に供給するインク9を収容するタンクである。インク9は、本開示における「液体」の一具体例に対応している。インクタンク3は、インク9を内部に収容するタンクである。このインクタンク3としては、この例では図1に示したように、イエロー(Y),マゼンダ(M),シアン(C),ブラック(K)の4色のインク9を個別に収容する、4種類のタンクが設けられている。すなわち、イエローのインク9を収容するインクタンク3Yと、マゼンダのインク9を収容するインクタンク3Mと、シアンのインク9を収容するインクタンク3Cと、ブラックのインク9を収容するインクタンク3Kとが設けられている。これらのインクタンク3Y,3M,3C,3Kは、筺体10内において、X軸方向に沿って並んで配置されている。なお、インクタンク3Y,3M,3C,3Kはそれぞれ、収容するインク9の色以外については同一の構成であるため、以下ではインクタンク3と総称して説明する。インクタンク3は、本開示における「収容部」の一具体例に対応している。
【0016】
(インクジェットヘッド4)
インクジェットヘッド4は、後述する複数のノズル孔(ノズル孔H1,H2)から記録紙Pに対して液滴状のインク9を噴射(吐出)して、画像や文字等の記録を行うヘッドである。このインクジェットヘッド4としても、この例では図1に示したように、上記したインクタンク3Y,3M,3C,3Kにそれぞれ収容されている4色のインク9を個別に噴射する、4種類のヘッドが設けられている。すなわち、イエローのインク9を噴射するインクジェットヘッド4Yと、マゼンダのインク9を噴射するインクジェットヘッド4Mと、シアンのインク9を噴射するインクジェットヘッド4Cと、ブラックのインク9を噴射するインクジェットヘッド4Kとが設けられている。これらのインクジェットヘッド4Y,4M,4C,4Kは、筺体10内において、Y軸方向に沿って並んで配置されている。
【0017】
なお、インクジェットヘッド4Y,4M,4C,4Kはそれぞれ、利用するインク9の色以外については同一の構成であるため、以下ではインクジェットヘッド4と総称して説明する。また、このインクジェットヘッド4の詳細構成については、後述する(図3図8)。
【0018】
(循環機構5)
循環機構5は、インクタンク3内とインクジェットヘッド4内との間でインク9を循環させるための機構である。図2は、循環機構5の構成例を、前述したインクタンク3およびインクジェットヘッド4と共に、模式的に表したものである。なお、図2中に示した実線の矢印は、インク9の循環方向を示している。循環機構5は、図2に示したように、インク9を循環させるための所定の流路(循環流路50)と、一対の送液ポンプ52a,52bとを備えている。
【0019】
循環流路50は、インクジェットヘッド4内とインクジェットヘッド4の外部(インクタンク3内)との間を循環する流路であり、インク9がこの循環流路50を循環して流れるようになっている。循環流路50は、インクタンク3からインクジェットヘッド4へと至る部分である流路50aと、インクジェットヘッド4からインクタンク3へと至る部分である流路50bとを有している。言い換えると、流路50aは、インクタンク3からインクジェットヘッド4へと向かって、インク9が流れる流路である。また、流路50bは、インクジェットヘッド4からインクタンク3へと向かって、インク9が流れる流路である。
【0020】
送液ポンプ52aは、流路50a上において、インクタンク3とインクジェットヘッド4との間に配置されている。送液ポンプ52aは、インクタンク3内に収容されているインク9を、流路50aを介してインクジェットヘッド4内へと送液するためのポンプである。送液ポンプ52bは、流路50b上において、インクジェットヘッド4とインクタンク3との間に配置されている。送液ポンプ52bは、インクジェットヘッド4内に収容されているインク9を、流路50bを介してインクタンク3内へと送液するためのポンプである。
【0021】
(走査機構6)
走査機構6は、記録紙Pの幅方向(Y軸方向)に沿って、インクジェットヘッド4を走査させる機構である。この走査機構6は、図1に示したように、Y軸方向に沿って延設された一対のガイドレール61a,61bと、これらのガイドレール61a,61bに移動可能に支持されたキャリッジ62と、このキャリッジ62をY軸方向に沿って移動させる駆動機構63とを有している。また、駆動機構63は、ガイドレール61a,61bの間に配置された一対のプーリ631a,631bと、これらのプーリ631a,631b間に巻回された無端ベルト632と、プーリ631aを回転駆動させる駆動モータ633とを有している。
【0022】
プーリ631a,631bはそれぞれ、Y軸方向に沿って、各ガイドレール61a,61bにおける両端付近に対応する領域に配置されている。無端ベルト632には、キャリッジ62が連結されている。このキャリッジ62上には、前述した4種類のインクジェットヘッド4Y,4M,4C,4Bが、Y軸方向に沿って並んで配置されている。なお、このような走査機構6と前述した搬送機構2a,2bとにより、インクジェットヘッド4と記録紙Pとを相対的に移動させる、移動機構が構成される。
【0023】
[インクジェットヘッド4の詳細構成]
次に、図1および図2に加えて図3図8を参照して、インクジェットヘッド4の詳細構成例について説明する。図3は、インクジェットヘッド4の詳細構成例を、分解斜視図で表したものである。図4は、図3に示したアクチュエータプレート42(後出)の裏面の構成例を、斜視図で表したものである。図5は、図3に示したA-A線に沿った断面の構成例を、模式的に表したものである。図6は、図3に示したB-B線に沿った断面の構成例を、模式的に表したものである。図7は、アクチュエータプレート42の各吐出溝(後述の吐出チャネルC1e)と、この各吐出溝に設けられた電極(後述のコモン電極Edc)との関係を模式的に表したものである。図8は、図3に示したC-C線に沿った断面の一部の構成例を、模式的に表したものである。
【0024】
本実施の形態のインクジェットヘッド4は、後述する複数のチャネル(チャネルC1,C2)における延在方向(Y軸方向)の中央部からインク9を吐出する、いわゆるサイドシュートタイプのインクジェットヘッドである。また、このインクジェットヘッド4は、前述した循環機構5(循環流路50)を用いることで、インクタンク3との間でインク9を循環させて利用する、循環式のインクジェットヘッドである。
【0025】
図3に示したように、インクジェットヘッド4は、ヘッドチップ4cおよび流路プレート45を有している。ヘッドチップ4cは、ノズルプレート41、アクチュエータプレート42およびカバープレート43を主に備えている。これらのノズルプレート41、アクチュエータプレート42およびカバープレート43は、例えば接着剤等を用いて互いに貼り合わされており、Z軸方向に沿ってこの順に積層されている。流路プレート45は、カバープレート43に貼り合わされている。なお、以下では、Z軸方向に沿ってカバープレート43側を上方と称すると共に、ノズルプレート41側を下方と称して説明する。ここでは、ヘッドチップ4cが本開示の「ヘッドチップ」の一具体例に対応し、「流路プレート45」が本開示の「供給機構」の一具体例に対応する。
【0026】
(ノズルプレート41)
ノズルプレート41は、インクジェットヘッド4に用いられるプレートである。ノズルプレート41は、例えば50μm程度の厚みを有する樹脂基板もしくは金属基板を有し、図3に示したように、アクチュエータプレート42の下面に接着されている。ノズルプレート41として用いられる樹脂基板としては、ポリイミドなどが挙げられる。ノズルプレート41として用いられる金属基板としては、SUS316やSUS304をはじめとするステンレス鋼が挙げられる。ノズルプレート41は、例えば、アクチュエータプレート42と比べて低い剛性を有している。ノズルプレート41は、さらに、例えば、アクチュエータプレート42と比べて可撓性を有している。また、図3および図4に示したように、このノズルプレート41は、X軸方向に沿ってそれぞれ延在する、2列のノズル列(ノズル列411,412)を有している。これらのノズル列411,412同士は、Y軸方向に沿って所定の間隔をおいて配置されている。このように、本実施の形態のインクジェットヘッド4は、2列タイプのインクジェットヘッドとなっている。
【0027】
ノズル列411は、X軸方向に沿って所定の間隔をおいて一直線上に並んで形成された、複数のノズル孔H1を有している。これらのノズル孔H1は、後述の吐出チャネルC1eごとに1つずつ設けられている。これらのノズル孔H1はそれぞれ、ノズルプレート41をその厚み方向(Z軸方向)に沿って貫通しており、例えば図5図6に示したように、後述するアクチュエータプレート42における吐出チャネルC1eに連通している。具体的には図3に示したように、各ノズル孔H1は、吐出チャネルC1e下においてY軸方向に沿った中央部に位置するように形成されている。また、ノズル孔H1におけるX軸方向に沿った形成ピッチは、吐出チャネルC1eにおけるX軸方向に沿った形成ピッチと同一となっている。このようなノズル列411内のノズル孔H1からは、詳細は後述するが、吐出チャネルC1e内から供給されるインク9が吐出(噴射)される。
【0028】
ノズル列412も同様に、X軸方向に沿って所定の間隔をおいて一直線上に並んで形成された、複数のノズル孔H2を有している。これらのノズル孔H2は、後述の吐出チャネルC2eごとに1つずつ設けられている。これらのノズル孔H2もそれぞれ、ノズルプレート41をその厚み方向に沿って貫通しており、例えば図5図6に示したように、後述するアクチュエータプレート42における吐出チャネルC2eに連通している。具体的には図3に示したように、各ノズル孔H2は、吐出チャネルC2e下においてY軸方向に沿った中央部に位置するように形成されている。また、ノズル孔H2におけるX軸方向に沿った形成ピッチは、吐出チャネルC2eにおけるX軸方向に沿った形成ピッチと同一となっている。このようなノズル列412内のノズル孔H2からも、詳細は後述するが、吐出チャネルC2e内から供給されるインク9が吐出(噴射)される。
【0029】
(アクチュエータプレート42)
アクチュエータプレート42は、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等の圧電材料により構成されたプレートであり、表面42f1および裏面42f2を有している。表面42f1は、カバープレート43との対向面であり、裏面42f2はノズルプレート41との対向面である。このアクチュエータプレート42は、例えば、分極方向が厚さ方向(Z方向)で異なる2つの圧電基板を積層して形成された、いわゆるシェブロンタイプのアクチュエータである。なお、アクチュエータプレート42は、分極方向が厚み方向(Z軸方向)に沿って一方向に設定されている1つの圧電基板から形成された、いわゆるカンチレバータイプ(モノポールタイプ)のアクチュエータであってもよい。また、図3図4に示したように、アクチュエータプレート42は、X軸方向に沿ってそれぞれ延在する、2列のチャネル列(チャネル列421,422)を有している。これらのチャネル列421,422同士は、Y軸方向に沿って所定の間隔をおいて配置されている。
【0030】
チャネル列421は、図3図4に示したように、Y軸方向に沿って延在する複数のチャネルC1を有している。これらのチャネルC1は、X軸方向に沿って所定の間隔をおいて互いに平行となるよう、並んで配置されている。各チャネルC1は、圧電体(アクチュエータプレート42)からなる駆動壁Wdによってそれぞれ画成されており、アクチュエータプレート42を厚み方向に貫通する溝部となっている。ここで、Y軸方向が本開示の「所定の方向」の一具体例に対応し、駆動壁Wdが本開示の「側壁」の一具体例に対応する。
【0031】
チャネル列422も同様に、図3図4に示したように、Y軸方向に沿って延在する複数のチャネルC2を有している。これらのチャネルC2は、X軸方向に沿って所定の間隔をおいて互いに平行となるよう、並んで配置されている。各チャネルC2もまた、上記した駆動壁Wdによってそれぞれ画成されており、アクチュエータプレート42を厚み方向貫通する溝部となっている。
【0032】
ここで、図3図4に示したように、チャネルC1は、インク9を吐出させる吐出チャネルC1eと、インク9を吐出させない非吐出チャネルC1dとを含んで構成されている。チャネル列421において、これらの吐出チャネルC1eと非吐出チャネルC1dとは、X軸方向に沿って交互に配置されている。各吐出チャネルC1eは、ノズルプレート41におけるノズル孔H1と連通する吐出溝である。つまり、各吐出チャネルC1eは、アクチュエータプレート42を厚み方向に貫通する溝部となっている。アクチュエータプレート42の表面42f1には、各吐出チャネルC1eに連通する開口h1が設けられ、裏面42f2には、各吐出チャネルC1eに連通する開口h5が設けられている。
【0033】
一方、各非吐出チャネルC1dは、ノズル孔H1には連通しておらず、ノズルプレート41の上面によって下方から覆われた非吐出溝である。例えば、各非吐出チャネルC1dは、アクチュエータプレート42を貫通する溝部となっている。アクチュエータプレート42の表面42f1には、各非吐出チャネルC1dに連通する開口h2が設けられ、裏面42f2には、各非吐出チャネルC1dに連通する開口h6が設けられている。各非吐出チャネルC1dは、アクチュエータプレート42を貫通していない凹状の溝部となっていてもよい。
【0034】
同様に、チャネルC2は、インク9を吐出させるための吐出チャネルC2eと、インク9を吐出させない非吐出チャネルC2dとを含んで構成されている。チャネル列422において、これらの吐出チャネルC2eと非吐出チャネルC2dとは、X軸方向に沿って交互に配置されている。各吐出チャネルC2eは、ノズルプレート41におけるノズル孔H2と連通する吐出溝である。つまり、各吐出チャネルC2eは、アクチュエータプレート42を厚み方向に貫通する溝部となっている。アクチュエータプレート42の表面42f1には、各吐出チャネルC2eに連通する開口h4が設けられ、裏面42f2には、各吐出チャネルC2eに連通する開口h8が設けられている。
【0035】
一方、各非吐出チャネルC2dは、ノズル孔H2には連通しておらず、ノズルプレート41の上面によって下方から覆われた非吐出溝である。例えば、各非吐出チャネルC2dは、アクチュエータプレート42を貫通する溝部となっている。アクチュエータプレート42の表面42f1には、各非吐出チャネルC2dに連通する開口h3が設けられ、裏面42f2には、各非吐出チャネルC2dに連通する開口h7が設けられている。各非吐出チャネルC2dは、アクチュエータプレート42を貫通していない凹状の溝部となっていてもよい。
【0036】
ここで、吐出チャネルC1e,C2eが、本開示の「チャネル」の一具体例に対応する。
【0037】
図3図4に示したように、チャネルC1における吐出チャネルC1eおよび非吐出チャネルC1dは、チャネルC2における吐出チャネルC2eおよび非吐出チャネルC2dに対し、互い違いとなるように配置されている。したがって、本実施の形態のインクジェットヘッド4では、チャネルC1における吐出チャネルC1eと、チャネルC2における吐出チャネルC2eとが、千鳥状に配置されている。図3図4に示したように、アクチュエータプレート42において、非吐出チャネルC1d,C2dに対応する部分には、非吐出チャネルC1d,C2dにおけるY軸方向に沿った外側端部に連通する、浅溝部Ddが形成されている。
【0038】
後述のように、各吐出チャネルC1e,C2eおよび各非吐出チャネルC1d,C2dは、例えば、円盤の外周にダイヤモンド等の切削砥粒を埋め込んだダイシングブレード(ダイヤモンドブレードともいう)を用いて、圧電体基板を切削することにより形成される。各吐出チャネルC1e,C2eは、例えば、ダイシングブレードを用いて、圧電体基板を、上面(アクチュエータプレート42における上面に相当する表面)から下面(アクチュエータプレート42における下面に相当する表面)に向けて切削することにより形成される。各非吐出チャネルC1d,C2dは、例えば、ダイシングブレードを用いて、圧電体基板を、下面から上面に向けて切削することにより形成される。
【0039】
このとき、各吐出チャネルC1e,C2eの長手方向の断面形状は、例えば、図5図6に示したように、逆台形状となっている。一方、各非吐出チャネルC1d,C2dの長手方向の断面形状は、例えば、図5図6に示したように、台形状となっている。
【0040】
各吐出チャネルC1eの延在方向(Y軸方向)で、アクチュエータプレート42の裏面42f2の開口h5の長さが、例えば、図3図4図5に示したように、各吐出チャネルC1eの、アクチュエータプレート42の表面42f1の開口h1の長さよりも短くなっている。
【0041】
各各吐出チャネルC2eの延在方向(Y軸方向)で、アクチュエータプレート42の裏面42f2の開口h8の長さが、例えば、図3図4図6に示したように、各吐出チャネルC2eの、アクチュエータプレート42の表面42f1の開口h4の長さよりも短くなっている。
【0042】
ここで、開口h1,h4が、本開示の「第1開口」の一具体例に対応し、開口h5,h8が、本開示の「第2開口」の一具体例に対応する。
【0043】
各非吐出チャネルC1dの延在方向(Y軸方向)で、アクチュエータプレート42の裏面42f2の開口h6の長さが、例えば、図3図4図6に示したように、各非吐出チャネルC1dの、アクチュエータプレート42の表面42f1の開口h2の長さよりも長くなっている。
【0044】
各非吐出チャネルC2dの延在方向(Y軸方向)で、アクチュエータプレート42の裏面42f2の開口h7の長さが、例えば、図3図4図5に示したように、各非吐出チャネルC2dの、アクチュエータプレート42の表面42f1の開口h3の長さよりも長くなっている。
【0045】
チャネル列421の吐出チャネルC1eと、チャネル列422の非吐出チャネルC2dとは、例えば、図3図4図5に示すように、Y軸方向に沿って配置されている。このとき、吐出チャネルC1e内で長手方向において対向する一対の傾斜面のうち、非吐出チャネルC2d側の傾斜面の一部と、非吐出チャネルC2d内で長手方向において対向する一対の傾斜面のうち、吐出チャネルC1e側の傾斜面の一部とが、アクチュエータプレート42の厚さ方向(Z軸方向)から見て互いに重なり合っている。これにより、吐出チャネルC1eと非吐出チャネルC2dとが互いに連通することなく、吐出チャネルC1eと非吐出チャネルC2dとの間隔を狭くすることができる。
【0046】
また、チャネル列421の非吐出チャネルC1dと、チャネル列422の吐出チャネルC2eとは、例えば、図3図4図6に示すように、Y軸方向に沿って配置されている。このとき、非吐出チャネルC1d内で長手方向において対向する一対の傾斜面のうち、吐出チャネルC2e側の傾斜面の一部と、吐出チャネルC2e内で長手方向において対向する一対の傾斜面のうち、非吐出チャネルC1d側の傾斜面の一部とが、アクチュエータプレート42の法線方向(Z軸方向)から見て互いに重なり合っている。これにより、非吐出チャネルC1dと吐出チャネルC2eとが互いに連通することなく、非吐出チャネルC1dと吐出チャネルC2eとの間隔を狭くすることができる。
【0047】
ここで、図3図8に示したように、上記した駆動壁Wdにおける対向する内側面にはそれぞれ、Y軸方向に沿って延在する駆動電極Edが設けられている。この駆動電極Edには、吐出チャネルC1e,C2eに面する内側面に設けられたコモン電極Edcと、非吐出チャネルC1d,C2dに面する内側面に設けられたアクティブ電極Edaとが存在している。このような駆動電極Ed(コモン電極Edcおよびアクティブ電極Eda)は、例えば、図8に示したように、駆動壁Wdの内側面上において、駆動壁Wdと同じ深さ(Z軸方向において同じ深さ)まで形成されている。駆動電極Edは、チャネルの内側面のうち、必ずしも駆動壁Wdと同じ深さまで形成されている必要はない。ここで、コモン電極Edcが本開示の「電極」の一具体例に対応する。駆動電極Edは、例えば、駆動壁Wd側からチタン(Ti)および金(Au)をこの順に含む積層膜により構成されている。
【0048】
図7に示したように、コモン電極Edcは表面側部分Edc-uと裏面側部分Edc-dとを含んでいる。表面側部分Edc-uおよび裏面側部分Edc-dはともに、Y軸方向に沿って延在している。表面側部分Edc-uは、表面42f1の開口h1(または開口h4)側の駆動壁Wdに設けられており、裏面側部分Edc-dは、表面側部分Edc-uよりも裏面42f2の開口h5(または開口h8)側に設けられている。本実施の形態では、チャネルC1,C2の延在方向(Y軸方向)において、裏面側部分Edc-dの大きさが、表面側部分Edc-uの大きさと同じ、または表面側部分Edc-uの大きさよりも大きくなっている。換言すれば、表面側部分Edc-uのY軸方向の大きさは、裏面側部分Edc-dのY軸方向の大きさ以下である。詳細は後述するが、これにより、表面側部分Edc-uの大きさを裏面側部分Edc-dの大きさよりも大きくした場合(後述の図13)に比べて、コモン電極Edcの電極面積が小さくなり、浮遊容量を抑えることが可能となる。
【0049】
例えば、図7に示したように、裏面側部分Edc-dのY軸方向の大きさは、表面側部分Edc-uのY軸方向の大きさよりも大きくなっている。この裏面側部分Edc-dのY軸方向の大きさは、開口h5(または開口h8)のY軸方向の大きさと同じであることが好ましい。表面側部分Edc-uのY軸方向の大きさは、例えば、この開口h5(または開口7)のY軸方向の大きさよりも小さくなっている。表面側部分Edc-uのY軸方向の両端から拡幅するように裏面側部分Edc-dが設けられている。図示は省略するが、上述のように、裏面側部分Edc-dのY軸方向の大きさと、表面側部分Edc-uのY軸方向の大きさとが同じであってもよい。後述するように、表面側部分Edc-uのY軸方向の大きさを、ノズル孔H1(またはノズル孔H2)側の開口h5(または開口h8)の大きさ以下にすることにより、浮遊容量が低減され、ノイズに起因した吐出速度のばらつきを抑えることが可能となる。
【0050】
インクジェットヘッド4は、ノズルプレート41とアクチュエータプレート42との間に、ノズルプレート41とアクチュエータプレート42とを互いに固定する接着層46Aを有している。接着層46Aは、接着剤により構成されている。ノズルプレート41が金属で構成されている場合には、接着層46Aが駆動電極Edとノズルプレート41との電気的な短絡を防止する。また、インクジェットヘッド4は、アクチュエータプレート42とカバープレート43との間に、アクチュエータプレート42とカバープレート43とを互いに固定する接着層46Bを有している。接着層46Bは、接着剤により構成されている。カバープレート43が金属で構成されている場合には、接着層46Bが駆動電極Edとカバープレート43との電気的な短絡を防止する。なお、アクチュエータプレート42が上述のカンチレバータイプとなっている場合には、駆動電極Ed(コモン電極Edcおよびアクティブ電極Eda)は、駆動壁Wdの内側面内において、深さ方向(Z軸方向)の中間位置までしか形成されていない。
【0051】
同一の吐出チャネルC1e(または吐出チャネルC2e)内で対向する一対のコモン電極Edc同士は、コモン端子Tcにおいて互いに電気的に接続されている。また、同一の非吐出チャネルC1d(または非吐出チャネルC2d)内で対向する一対のアクティブ電極Eda同士は、互いに電気的に分離されている。一方、吐出チャネルC1e(または吐出チャネルC2e)を介して対向する一対のアクティブ電極Eda同士は、アクティブ端子Taにおいて互いに電気的に接続されている。
【0052】
ここで、アクチュエータプレート42のうち、チャネル列421に隣接する端縁と、チャネル列422に隣接する端縁とは、駆動電極Edと制御部(インクジェットヘッド4における後述する制御部40)との間を電気的に接続する、フレキシブルプリント基板44が実装されている。このフレキシブルプリント基板44に形成された配線パターン(不図示)は、上記したコモン端子Tcおよびアクティブ端子Taに対して電気的に接続されている。これにより、フレキシブルプリント基板44を介して、後述する制御部40から各駆動電極Edに対して、駆動電圧が印加されるようになっている。
【0053】
(カバープレート43)
カバープレート43は、図3に示したように、アクチュエータプレート42における各チャネルC1,C2(各チャネル列421,422)を閉塞するように配置されている。具体的には、このカバープレート43は、アクチュエータプレート42の上面に、接着層46Bを介して固定されており、板状構造となっている。
【0054】
カバープレート43には、図3に示したように、出口側共通インク室431と、一対の入口側共通インク室432,433とが形成されている。具体的には、出口側共通インク室431は、アクチュエータプレート42におけるチャネル列421(複数のチャネルC1)およびチャネル列422(複数のチャネルC2)に対応する領域に形成されている。入口側共通インク室432は、アクチュエータプレート42におけるチャネル列421(複数のチャネルC1)に対応する領域に形成されている。入口側共通インク室433は、アクチュエータプレート42におけるチャネル列422(複数のチャネルC2)に対応する領域に形成されている。
【0055】
出口側共通インク室431は、各チャネルC1,C2におけるY軸方向に沿った内側の端部付近に形成されており、凹状の溝部となっている。出口側共通インク室431には、流路プレート45の排出側流路(図示せず)が連結されており、流路プレート45の排出側流路を介してインク9が排出される。この出口側共通インク室431において、各吐出チャネルC1e,C2eに対応する領域には、カバープレート43をその厚み方向に沿って貫通する排出スリット(図示せず)が形成されている。
【0056】
入口側共通インク室432は、図3に示したように、各チャネルC1におけるY軸方向に沿った外側の端部付近に形成されており、凹状の溝部となっている。入口側共通インク室432には、流路プレート45の供給側流路(図示せず)が連結されており、流路プレート45の供給側流路を介してインク9が流入する。同様に、入口側共通インク室433は、各チャネルC2におけるY軸方向に沿った外側の端部付近に形成されており、凹状の溝部となっている。入口側共通インク室433には、流路プレート45の供給側流路(図示せず)が連結されており、流路プレート45の供給側流路を介してインク9が流入する。
【0057】
このようにして、出口側共通インク室431および入口側共通インク室432,433は、それぞれ、供給スリットおよび排出スリットを介して各吐出チャネルC1e,C2eに連通する一方、各非吐出チャネルC1d,C2dには連通していない。すなわち、各非吐出チャネルC1d,C2dは、これら出口側共通インク室431および入口側共通インク室432,433における底部によって、閉塞されている。
【0058】
(流路プレート45)
流路プレート45は、図8に示したように、カバープレート43の上面に配置されており、インク9が流れる所定の流路(上述の供給側流路および排出側流路)を有している。また、このような流路プレート45内の流路には、前述した循環機構5における流路が接続されており、この流路に対するインク9の流入と、この流路からのインク9の流出とが、それぞれなされるようになっている。なお、上述したように、ダミーチャネルC1d,C2dはカバープレート43の底部によって閉塞されるようになっているので、インク9は、吐出チャネルC1e,C2eのみに供給され、ダミーチャネルC1d,C2dには流入しない。
【0059】
(制御部40)
ここで、本実施の形態に係るインクジェットヘッド4にはまた、図2に示したように、プリンタ1における各種動作の制御を行う、制御部40が設けられている。この制御部40は、例えば、プリンタ1における画像や文字等の記録動作(インクジェットヘッド4におけるインク9の噴射動作)の他、前述した送液ポンプ52a,52b等における各動作を制御するようになっている。このような制御部40は、例えば、演算処理部と各種メモリからなる記憶部とを有する、マイクロコンピュータにより構成されている。
【0060】
[インクジェットヘッド4の製造方法]
次に、図9A図11Bを用いてインクジェットヘッド4の製造方法について説明する。図9A図9Bは、インクジェットヘッド4の製造方法の一例を表す流れ図であり、図10A図10Hは、図9A図9Bに示した各工程について説明するための断面模式図である。図10A図10Hに示した断面図は、図3に示したC-C線に沿った断面図(図8参照)に対応している。図11Aは、図9Aに示したステップS3の蒸着マスク設置工程を表す平面模式図、図11Bは、これに対応する断面模式図である。以下では、主に、アクチュエータプレート42の製造工程について説明する。
【0061】
まず、アクチュエータプレート42を構成するための圧電基板42Zを準備し、この圧電基板42Zの表面(アクチュエータプレート42の表面42f1となる面)に、レジスト膜のパターンRP1を形成する(図9AのステップS1)。次いで、圧電基板42Zに吐出チャネルC1e,C2eを形成する(図9AのステップS2)。以下、このステップS1,S2について図10A図10Bを用いて説明する。
【0062】
図10Aは、圧電基板42Zの準備工程を表している。まず、厚さ方向(Z軸方向)に分極処理された2枚の圧電ウエハ(圧電ウエハ42aZおよび圧電ウエハ42bZ)を用意し、各々の分極方向が逆向きとなるようにそれらを積層する。そののち、必要に応じて圧電ウエハ42aZに対し研削加工を行い、圧電ウエハ42aZの厚さを調整する。このときの圧電ウエハ42aZの表面が表面42f1となる。これにより、圧電基板42Zが形成される。
【0063】
次いで、圧電基板42Zの表面にレジスト膜のパターンRP1を形成し、続いて、吐出チャネルC1e,C2eを形成する(図10B)。レジスト膜のパターンRP1は、コモン電極Edc等を形成する際のマスクとして機能するものであり、上述の圧電基板42Zの表面上に形成する。レジスト膜のパターンRP1は、複数の吐出チャネルC1e,C2eを形成すべき所定の位置に、複数の吐出チャネルC1e,C2eに対応する開口を複数有していてもよい。なお、レジスト膜のパターンRP1はドライレジストにより形成してもよいし、ウェットレジストにより形成してもよい。
【0064】
吐出チャネルC1e,C2eは、図示しないダイシングブレード等により、圧電基板42Zの表面から切削加工を行うことにより形成する。具体的には、圧電基板42Zのうち、レジスト膜のパターンRP1により覆われていない露出部分を掘り下げることにより、複数の吐出チャネルC1e,C2eがX軸方向に間隔をあけて平行をなすように、かつ交互に並ぶように形成する。圧電基板42Zの表面には、開口h1(または開口h4)が形成される。
【0065】
吐出チャネルC1e,C2eを形成した後、本実施の形態では、図11A図11Bに示したように、圧電基板42Zの表面に蒸着マスクDMを形成する(図9AのステップS3)。蒸着マスクDMは、吐出チャネルC1e,C2e(開口h1,h4)の延在方向(Y軸方向)の両端部を選択的に覆うものである。このような蒸着マスクDMを形成しておくことにより、後の第1蒸着部Edc-1の形成工程(図9AのステップS4)の際に、第1蒸着部Edc-1が吐出チャネルC1eのY軸方向の両端部に形成されない。したがって、コモン電極Edcでは、開口h1,h4側の表面側部分Edc-uのY軸方向の大きさが、裏面側部分Edc-dのY軸方向の大きさよりも小さくなる(図7参照)。
【0066】
蒸着マスクDMは、例えば、SUS(Stainless Used Steel)等の金属材料により構成されている。蒸着マスクDMで覆われる吐出チャネルC1e,C2eの両端部の領域Lの大きさについては、後述する。
【0067】
圧電基板42Zの表面に蒸着マスクDMを形成した後、吐出チャネルC1e,C2eの内側面にコモン電極Edcの一部を構成する第1蒸着部Edc-1を形成する(図9AのステップS4)。次いで、レジスト膜のパターンRP1を除去する(図9AのステップS5)。この後、圧電基板42Zの表面にカバープレート43を貼り合わせる(図9AのステップS6)。以下、このステップS4,S5,S6について図10C図10Dを用いて説明する。
【0068】
第1蒸着部Edc-1は、図10Cに示したように、吐出チャネルC1e,C2eの内側面に形成された金属被膜MF1により構成される。金属被膜MF1は、例えば、開口h1,h4側(圧電基板42Zの表面側)から複数の吐出チャネルC1e,C2eの内側面およびレジストパターンRP1上に導電材料を蒸着させて形成する。このとき、内側面に対して斜め方向(例えば、後述の図12の入射角β)から金属被膜M1の構成材料を付着させる傾斜蒸着を行うことにより、Z軸方向において吐出チャネルC1e,C2eの深い位置まで金属被膜MF1(第1蒸着部Edc-1)が形成される。
【0069】
ここでは、上述のように、吐出チャネルC1e,C2eのY軸方向の両端部が、蒸着マスクDMで覆われているので、開口h1,h5側のY軸方向の両端部には、第1蒸着部Edc-1が形成されない。蒸着マスクDMで覆われた吐出チャネルC1e,C2eの領域LよりもY軸方向の内側に、第1蒸着部Edc-1が形成される。この第1蒸着部Edc-1が、主に、コモン電極Edcの表面側部分Edc-uを構成する。
【0070】
なお、金属被膜MF1を形成する前段階において、各吐出チャネルC1e,C2eの内側面に付着したレジストなどの残渣を除去するディスカム処理を適宜行うようにしてもよい。
【0071】
金属被膜MF1を形成した後、図10Dに示したように、レジストパターンRP1を除去し(リフトオフ法)、接着剤46Bを用いて、圧電基板42Zの表面にカバープレート43を接合する。ここでレジストパターンRP1を除去することにより、金属被膜MF1のうち吐出チャネルC1e,C2eの内側面を覆う部分(第1蒸着部Edc-1)のみが残存する。
【0072】
リフトオフ法では、金属被膜MF1に起因したバリが生じやすい。このようなバリが多く発生するとバリの除去工程が必要となる。金属被膜MF1に起因したバリは、吐出チャネルC1e,C2eの延在方向(Y軸方向)の両端部に生じやすい。ここでは、上記のように、開口h1,h5側のY軸方向の両端部に第1蒸着部Edc-1が形成されないので、リフトオフ法を用いて第1蒸着部Edc-1を形成しても、リフトオフ法に起因したバリが発生しにくい。よって、バリの除去工程を省略することが可能であり、工程数を抑えることが可能となる。
【0073】
圧電基板42Zの表面にカバープレート43を貼り合わせた後、圧電基板42Zを裏面側(圧電ウェハ42bZ側)から研削する(図9AのステップS7)。
【0074】
図10Eは、ステップS7の模式的な構成を表している。このように、圧電ウエハ42bZを裏面(圧電ウエハ42aZと反対側の面)から研削加工を行い、圧電ウエハ42bZの厚さを調整する。このときの圧電ウエハ42bZの裏面が裏面42f2となる。この研削加工は、複数の吐出チャネルC1e,C2eを露出させるまで行う。これにより、吐出チャネルC1e,C2eに連通する裏面42f2の開口h5(または開口h8)が形成される。これにより、いわゆるシェブロンタイプのアクチュエータプレート42が形成される。
【0075】
ここで、蒸着マスクDMで覆われる吐出チャネルC1e,C2eの両端部の領域Lについて説明する。
【0076】
蒸着マスクDMは、後に形成される第1蒸着部Edc-1(ステップS4)の深さDiが、吐出チャネルC1e,C2eの深さDよりも大きくなる部分を含むように、吐出チャネルC1e,C2eの両端部を覆うことが好ましい。換言すれば、蒸着マスクDMで覆われる吐出チャネルC1e,C2eの両端部の領域L(図11B参照)では、蒸着マスクDMを設けない場合に、第1蒸着部Edc-1が、吐出チャネルC1e,C2eよりも深く形成され、吐出チャネルC1e,C2eの底面に蒸着材料が付着する。ステップS4で吐出チャネルC1e,C2eの底面に蒸着材料が付着していると、ステップS7で圧電ウエハ42bZを裏面から研削加工した際に、圧電ウエハ42bZとともに蒸着材料が研削される。これにより、アクチュエータプレート42の裏面42f2にバリができ、バリの除去工程が必要となる。
【0077】
このような領域Lを蒸着マスクDMで覆うことにより、ステップS4で領域Lに第1蒸着部Edc-1が形成されないので、ステップS7の際に、アクチュエータプレート42の裏面42f2でのバリの発生を抑えることができる。よって、バリの除去工程を省略し、工程数を抑えることが可能となる。
【0078】
このように、領域Lは、第1蒸着部Edc-1の深さDiが吐出チャネルC1e,C2eの深さDよりも大きくなる部分を含んでいることが好ましい。第1蒸着部Edc-1の深さDiは、例えば、以下の式(1)を用いて表される。

Di=s/tan(β―θ)―r ・・・・・(1)
ただし、s:吐出チャネルC1e,C2eチャネルの幅
β:第1蒸着部Edc-1を形成する際の蒸着の入射角
θ:圧電基板42Zの傾き角
r:レジスト膜(パターンRP1)の厚み
【0079】
図12は、上記の吐出チャネルC1e,C2eの深さD、第1蒸着部Edc-1の深さDi、吐出チャネルC1e,C2eの幅s、入射角β、傾き角θおよびレジスト膜(パターンRP1)の厚みrの関係を模式的に表している。吐出チャネルC1e,C2eの深さDは、吐出チャネルC1e,C2eのZ軸方向の大きさであり、吐出チャネルC1e,C2eの幅sは、吐出チャネルC1e,C2eのX軸方向の大きさである。入射角βは、鉛直方向Vに対する蒸着方向の為す角度であり、傾き角θは、鉛直方向Vに対する圧電基板42Zの為す角度である。レジスト膜(パターンRP1)の厚みrは、レジスト膜のZ軸方向の大きさである。
【0080】
アクチュエータプレート42の裏面42f2に吐出チャネルC1e,C2eの開口h5(または開口h8)を形成した後、裏面42f2レジスト膜のパターンRP2を形成する(図9BのステップS8)。次いで、アクチュエータプレート42に非吐出チャネルC1d,C2dを形成する(図9BのステップS9)。以下、このステップS8,S9について図10Fを用いて説明する。
【0081】
アクチュエータプレート42の裏面42f2に形成するレジスト膜のパターンRP2は、アクティブ電極Edaおよび後述の第2蒸着部Edc-2等を形成する際のマスクとして機能するものである。このレジスト膜のパターンRP2は、複数の吐出チャネルC1e,C2eおよび複数の非吐出チャネルC1d,C2dを形成すべき所定の位置に、複数の吐出チャネルC1e,C2eおよび複数の非吐出チャネルC1d,C2dに対応する開口を複数有していてもよい。なお、レジスト膜のパターンRP2はドライレジストにより形成してもよいし、ウェットレジストにより形成してもよい。
【0082】
アクチュエータプレート42の裏面42f2にレジスト膜のパターンRP2を形成した後、図示しないダイシングブレード等により、アクチュエータプレート42の裏面42f2から切削加工を行う。これにより非吐出チャネルC1d,C2dが形成される。アクチュエータプレート42の裏面42f2には、非吐出チャネルC1d,C2dの開口h6(または開口h7)が形成され、表面42f1には開口h2(または開口h3)が形成される。非吐出チャネルC1d,C2dを形成する際の切削加工では、アクチュエータプレート42が厚み方向に貫通されるとともに、カバープレート43の厚み方向の一部が切削されてもよい。
【0083】
アクチュエータプレート42に、複数の非吐出チャネルC1d,C2dを形成した後、この非吐出チャネルC1d,C2dの内側面にアクティブ電極Edaを形成するとともに、複数の吐出チャネルC1e,C2eの内側面に第2蒸着部Edc-2を形成する(図9BのステップS10)。
【0084】
図10Gは、このステップS10の構成を模式的に表している。第2蒸着部Edc-2は、吐出チャネルC1e,C2eの内側面に形成された金属被膜MF2により構成され、アクティブ電極Edaは、非吐出チャネルC1d,C2dの内側面に形成された金属被膜MF2により構成される。金属被膜MF2は、例えば、開口h5,h6,h7,h8側(裏面42f2側)から複数の吐出チャネルC1e,C2eおよび複数の非吐出チャネルC1d,C2dの内側面と、レジストパターンRP2上に導電材料を蒸着させて形成する。このとき、吐出チャネルC1e,C2eの内側面では、金属被膜MF2(第2蒸着部Edc-2)が第1蒸着部Edc-1と接し、あるいは、金属被膜M2の一部が第1蒸着部Edc-1の一部と重なり合うようにするとよい。第2蒸着部Edc-2が、主に、コモン電極Edcの裏面側部分Edc-dを構成する。裏面側部分Edc-dの一部が、第1蒸着部Edc-1により構成されていてもよく、表面側部分Edc-uの一部が、第2蒸着部Edc-2により構成されていてもよい。第1蒸着部Edc-1を形成した後、第2蒸着部Edc-2を形成することにより、吐出チャネルC1e,C2eの内側面にコモン電極Edcが形成される。
【0085】
金属被膜MF2を形成した後、レジストパターンRP2を除去する(図9BのステップS11)。ここでレジストパターンRP2を除去する(リフトオフ法)ことにより、図10Hに示したように、金属被膜MF2のうち吐出チャネルC1e,C2eの内側面を覆う部分(第2蒸着部Edc-2)と、非吐出チャネルC1d,C2dの内側面を覆う部分(アクティブ電極Eda)とが分離される。
【0086】
このように、コモン電極Edcおよびアクティブ電極Edaを形成したアクチュエータプレート42に、接着剤46Aを用いて、ノズルプレート41を貼り合わせる(図9BのステップS12)。更に、カバープレート43に、流路プレート45を貼り合わせる。
【0087】
例えば、このようにして本実施形態のインクジェットヘッド4を製造することができる。
【0088】
[プリンタ1の基本動作]
このプリンタ1では、以下のようにして、記録紙Pに対する画像や文字等の記録動作(印刷動作)が行われる。なお、初期状態として、図1に示した4種類のインクタンク3(3Y,3M,3C,3B)にはそれぞれ、対応する色(4色)のインク9が十分に封入されているものとする。また、インクタンク3内のインク9は、循環機構5を介してインクジェットヘッド4内に充填された状態となっている。
【0089】
このような初期状態において、プリンタ1を作動させると、搬送機構2a,2bにおけるグリッドローラ21がそれぞれ回転することで、グリッドローラ21とピンチローラ22と間に、記録紙Pが搬送方向d(X軸方向)に沿って搬送される。また、このような搬送動作と同時に、駆動機構63における駆動モータ633が、プーリ631a,631bをそれぞれ回転させることで、無端ベルト632を動作させる。これにより、キャリッジ62がガイドレール61a,61bにガイドされながら、記録紙Pの幅方向(Y軸方向)に沿って往復移動する。そしてこの際に、各インクジェットヘッド4(4Y,4M,4C,4B)によって、4色のインク9を記録紙Pに適宜吐出させることで、この記録紙Pに対する画像や文字等の記録動作がなされる。
【0090】
[インクジェットヘッド4における詳細動作]
続いて、図1図8を参照して、インクジェットヘッド4における詳細動作(インク9の噴射動作)について説明する。すなわち、本実施の形態のインクジェットヘッド4(サイドシュートタイプ,循環式のインクジェットヘッド)では、以下のようにして、せん断(シェア)モードを用いたインク9の噴射動作が行われる。
【0091】
まず、上記したキャリッジ62(図1参照)の往復移動が開始されると、制御部40は、フレキシブルプリント基板44を介して、インクジェットヘッド4内の駆動電極Ed(コモン電極Edcおよびアクティブ電極Eda)に対し、駆動電圧を印加する。具体的には、制御部40は、吐出チャネルC1e,C2eを画成する一対の駆動壁Wdに配置された各駆動電極Edに対し、駆動電圧を印加する。これにより、これら一対の駆動壁Wdがそれぞれ、その吐出チャネルC1e,C2eに隣接する非吐出チャネルC1d,C2d側へ、突出するように変形する(図5図6図8参照)。
【0092】
このように、一対の駆動壁Wdによる屈曲変形によって、吐出チャネルC1e,C2eの容積が増大する。そして、吐出チャネルC1e,C2eの容積が増大することにより、出口側共通インク室431内に貯留されたインク9が、吐出チャネルC1e,C2e内へ誘導されることになる(図3参照)。
【0093】
次いで、このようにして吐出チャネルC1e,C2e内へ誘導されたインク9は、圧力波となって吐出チャネルC1e,C2eの内部に伝播する。そして、ノズルプレート41のノズル孔H1,H2にこの圧力波が到達したタイミングで、駆動電極Edに印加される駆動電圧が、0(ゼロ)Vとなる。これにより、上記した屈曲変形の状態から駆動壁Wdが復元する結果、一旦増大した吐出チャネルC1e,C2eの容積が、再び元に戻ることになる(図5参照)。
【0094】
このようにして、吐出チャネルC1e,C2eの容積が元に戻ると、吐出チャネルC1e,C2e内部の圧力が増加し、吐出チャネルC1e,C2e内のインク9が加圧される。その結果、液滴状のインク9が、ノズル孔H1,H2を通って外部へと(記録紙Pへ向けて)吐出される(図5図6図8参照)。このようにしてインクジェットヘッド4におけるインク9の噴射動作(吐出動作)がなされ、その結果、記録紙Pに対する画像や文字等の記録動作が行われることになる。特に、本実施の形態のノズル孔H1,H2はそれぞれ、前述したように、下方に向かうに従って漸次縮径するテーパー状となっているため(図5参照)、インク9を高速度で真っ直ぐに(直進性良く)吐出することができる。よって、高画質な記録を行うことが可能となる。
【0095】
[作用・効果]
次に、本開示の一実施の形態に係るヘッドチップ4c、インクジェットヘッド4およびプリンタ1の作用・効果について説明する。
【0096】
本実施の形態のヘッドチップ4cでは、コモン電極Edcが開口h1,h4側の表面側部分Edc-uと、開口h5,h8側の裏面側部分Edc-dとを有しており、表面側部分Edc-uのY軸方向の大きさが、裏面側部分Edc-dのY軸方向の大きさと同じ、あるいは、裏面側部分Edc-dのY軸方向の大きさよりも小さくなっている。これにより、以下の比較例に係るヘッドチップ104c(図13)に比べて、コモン電極Edcの電極面積の増加を抑えることができる。
【0097】
図13は、比較例に係るヘッドチップ104cの要部の模式的な断面構成を表している。このヘッドチップ104cでは、コモン電極Edcが開口h1側の表面側部分Edc-uと、開口h5側の裏面側部分Edc-dとを有しているが、表面側部分Edc-uのY軸方向の大きさが、裏面側部分Edc-dのY軸方向の大きさよりも大きくなっている。このような表面側部分Edc-uは、例えば、開口h1側から蒸着マスク(例えば、図11A図11Bの蒸着マスクDM)を設けずに、導電材料を蒸着することにより形成されており、表面側部分Edc-uのY軸方向の大きさは、開口h1のY軸方向の大きさと略同じである。
【0098】
このようなコモン電極Edcは電極面積が大きいため、電流量および消費電力が大きくなる。加えて、発熱量も大きいので、制御部40等の電子部品の故障を引き起こしやすい。また、表面側部分Edc-uのY軸方向の大きさが、ノズル孔H1側の開口h5のY軸方向の大きさよりも大きくなっている。即ち、吐出に寄与しない部分の駆動壁Wdにコモン電極Edc(表面側部分Edc-u)が形成されている。この部分のコモン電極Edcに起因して浮遊容量が発生し、意図しない駆動壁Wdの駆動、即ち、ノイズが発生するおそれがある。このノイズの発生は、吐出速度のばらつきを引き起こす。更に、コモン電極Edcを構成する金(Au)等に起因してコストがかさむ。
【0099】
これに対し、本実施の形態では、例えば、開口h1,h4側から吐出チャネルC1e,C2eの内側面に導電材料を蒸着する際に、開口h1のY軸方向の両端部に蒸着マスクDMを設けることにより、表面側部分Edc-uのY軸方向の大きさを、裏面側部分Edc-dのY軸方向の大きさと同じ、あるいは、裏面側部分Edc-dのY軸方向の大きさよりも小さくしている。これにより、ヘッドチップ104cに比べて、電極面積が小さくなる。よって、電流量の増加を抑え、消費電力を抑えることが可能となる。加えて、発熱量を減少させ、制御部40等の電子部品を良好な状態に維持することが可能となる。また、表面側部分Edc-uのY軸方向の大きさが、開口h5,h8のY軸方向の大きさ以下であるので、浮遊容量に起因したノイズの発生が抑えられる。したがって、吐出速度のバラツキが少なくなり、画質を向上させることが可能となる。更に、コモン電極Edcに要するコストを抑えることが可能となる。
【0100】
また、上記のように、開口h1,h4のY軸方向の両端部には、第1蒸着部Edc-1が形成されないので、アクチュエータプレート42の裏面42f2の開口h5,h8を形成する際(図10E参照)に、アクチュエータプレート42の裏面42f2にバリが発生しにくくなる。このためバリの除去工程を省略し、工程数を抑えることが可能となる。
【0101】
特に、第1蒸着部Edc-1の深さDiが、吐出チャネルC1e,C2eの深さDよりも大きくなる部分を蒸着マスクDMで覆うことにより、より効果的にアクチュエータプレート42の裏面42f2のバリを抑えることができる。
【0102】
また、本実施の形態のヘッドチップ4cでは、コモン電極Edcが、表面42f1の開口h1,h4側からの蒸着により形成された第1蒸着部Edc-1と、裏面42f2の開口h5,h8側からの蒸着により形成された第2蒸着部Edc-2とを含んでいる。これにより、コモン電極Edcを表面42f1側または裏面42f2側のいずれか一方のみから形成した場合と比較して、複数の吐出チャネルC1e,C2eがそれぞれ高アスペクト比を有する場合であっても、その内側面(駆動壁Wd)を、表面42f1から裏面42f2に至るまで連続して覆うことができる。したがって、複数の吐出チャネルC1e,C2eにそれぞれ形成されるコモン電極Edcの面積のばらつきが低減され、各吐出チャネル吐出チャネルC1e,C2eからのインク9の吐出量やインク9の吐出速度のばらつきを低減できる。
【0103】
また、第1蒸着部Edc-1を表面42f1(開口h1,h4)側から蒸着すると共に第2蒸着部Edc-dを裏面42f2(開口h5,h8)側から蒸着するようにしたので、第1蒸着部Edc-1の膜質および第2蒸着部Edc-dの膜質をそれぞれ均質化でき、コモン電極Edcにおける全体としての膜質の低下を抑制できる。
【0104】
また、複数の吐出チャネルC1e,C2eに形成されるコモン電極Edcの面積のばらつきが低減されることにより、ヘッドチップ4c内の静電容量のばらつきが低減され、インク吐出時のヘッドチップ4c内の温度のばらつきが緩和される。その結果、温度センサによる制御性が向上し、各吐出チャネルC1e,C2eからのインク9の吐出量やインク9の吐出速度のばらつきを低減できる。
【0105】
以上のように本実施の形態のヘッドチップ4c、インクジェットヘッド4およびプリンタ1では、コモン電極Edcの表面側部分Edc-uのY軸方向の大きさを、裏面側部分Edc-dのY軸方向の大きさと同じ、あるいは裏面側部分Edc-dのY軸方向の大きさよりも小さくするようにしたので、コモン電極Edcの電極面積の増加を抑えることができる。よって、浮遊容量を抑え、画質を向上させることが可能となる。また、電流量の増加を抑え、消費電力を抑えることが可能となる。更に、駆動電極Ed(コモン電極Edc)に要するコストを抑えることが可能となる。
【0106】
<2.変形例>
続いて、上記実施の形態の変形例について説明する。なお、実施の形態における構成要素と実質的に同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0107】
図14は、上記実施の形態の変形例に係るインクジェットヘッド4Aの要部の模式的な断面構成を表している。このインクジェットヘッド4Aは、ノズルプレート41、アクチュエータプレート42、カバープレート43、流路プレート45および封止プレート48を含んでいる。インクジェットヘッド4Aは、吐出チャネルC1eの延在方向(図14のZ軸方向)の先端部からインクを吐出する、いわゆるエッジシュートタイプのインクジェットヘッドである。この点を除き、変形例に係るインクジェットヘッド4Aの構成は、上記実施の形態で説明したインクジェットヘッド4の構成と略同じであり、上記実施の形態で説明したインクジェットヘッド4と同様の効果が得られる。
【0108】
インクジェットヘッド4Aでは、流路プレート45、カバープレート43、アクチュエータプレート42および封止プレート48がこの順に重ねて設けられ、これらと略垂直にノズルプレート41が配置されている。
【0109】
流路プレート45のカバープレート43との対向面には、共通インク室431に連通する供給側流路451が設けられている。カバープレート43は、流路プレート41側に開口する共通インク室431と、共通インク室431に連通すると共にアクチュエータプレート42側に開口するスリット430とを有している。スリット430は、カバープレート43に複数設けられており、この複数のスリット430は、複数の吐出チャネルC1eに対応する位置に設けられている。共通インク室431は、複数のスリット430に対し共通に設けられており、複数のスリット430を通じて各吐出チャネルC1eと連通している。
【0110】
封止プレート48は、アクチュエータプレート42を間にしてカバープレート43に対向している。即ち、封止プレート48とカバープレート43とによって、複数の吐出チャネルC1eおよび複数のダミーチャネルC1dが閉塞されるようになっている。封止プレート48は、開口や切り欠き、溝などを有しなくともよい。すなわち、単純な直方体でよいので、その構成材料として加工の困難な機能性材料や、高い加工精度が得にくい低価格材料を用いることもできる。すなわち、材料種の選択の自由度が向上する。
【0111】
アクチュエータプレート42は、カバープレート43に対向する表面42f1と、封止プレート48に対向する裏面42f2とを有している。上記実施の形態で説明したのと同様に、表面42f1の開口h1の吐出チャネルC1eの延在方向(Z軸方向)の大きさは、裏面42f2の開口h5のZ軸方向の大きさよりも大きくなっている。吐出チャネルC1eの内側面に設けられたコモン電極Edcでは、開口h1側の表面側部分Edc-uのZ軸方向の大きさが、開口h5側の裏面側部分Edc-dのZ軸方向の大きさと同じ、あるいは、裏面側部分Edc-dのZ軸方向の大きさよりも小さくなっている。例えば、表面側部分Edc-uおよび裏面側部分Edc-dは、ともに、ノズルプレート41側の吐出チャネルC1eの端部からZ軸方向に延在している。即ち、表面側部分Edc-u、裏面側部分Edc-d各々の一方の端部の位置は、Z軸方向において略同じである。例えば、表面側部分Edc-uの他方の端部の位置は、Z軸方向において、裏面側部分Edc-dの他方の端部の位置よりも、ノズルプレート41側に設けられている。
【0112】
このようなエッジシュートタイプのインクジェットヘッド4Aも、表面側部分Edc-uのZ軸方向の大きさを、裏面側部分Edc-dのZ軸方向の大きさと同じ、あるいは、裏面側部分Edc-dのZ軸方向の大きさよりも小さくすることにより、コモン電極Edcの電極面積の増加を抑えることができる。
【0113】
<3.その他の変形例>
以上、実施の形態を挙げて本開示を説明したが、本開示はこの実施の形態に限定されず、種々の変形が可能である。
【0114】
例えば、上記実施の形態では、プリンタ1およびインクジェットヘッド4,4Aにおける各部材の構成例(形状、配置、個数等)を具体的に挙げて説明したが、上記実施の形態で説明したものには限られず、他の形状や配置、個数等であってもよい。また、上記実施の形態で説明した各種パラメータの値や範囲、大小関係等についても、上記実施の形態で説明したものには限られず、他の値や範囲、大小関係等であってもよい。
【0115】
具体的には、例えば、上記実施の形態では、2列タイプの(2列のノズル列411,412を有する)インクジェットヘッド4を挙げて説明したが、この例には限られない。すなわち、例えば、1列タイプ(1列のノズル列を有する)のインクジェットヘッドや、3列以上の複数例タイプ(3列以上のノズル列を有する)インクジェットヘッドであってもよい。
【0116】
また、例えば、上記実施の形態では、ノズル列411,412がそれぞれX軸方向に沿って直線状に延在している場合について説明したが、この例には限らず、例えば、ノズル列411,412がそれぞれ、斜め方向に延在するようにしてもよい。更に、ノズル孔H1,H2の形状についても、上記実施の形態で説明したような円形状には限られず、例えば、三角形状等の多角形状や、楕円形状や星型形状などであってもよい。
【0117】
また、例えば、上記実施の形態では、インクジェットヘッド4が循環式となっている場合について説明したが、この例には限らず、例えば、インクジェットヘッド4が循環しない他の方式となっていてもよい。
【0118】
また、上記実施の形態では、本開示における「液体噴射記録装置」の一具体例として、プリンタ1(インクジェットプリンタ)を挙げて説明したが、この例には限られず、インクジェットプリンタ以外の他の装置にも、本開示を適用することが可能である。換言すると、本開示の「液体噴射ヘッド」(インクジェットヘッド4)や「ヘッドチップ」(ヘッドチップ4c)を、インクジェットプリンタ以外の他の装置に適用するようにしてもよい。具体的には、例えば、ファクシミリやオンデマンド印刷機などの装置に、本開示の「液体噴射ヘッド」や「ヘッドチップ」を適用するようにしてもよい。
【0119】
また、上記実施の形態およびその変形例では、プリンタ1の記録対象物は記録紙Pであったが、本開示の「液体噴射記録装置」の記録対象物はこれに限られない。例えば、ボール紙、布、プラスチック、金属など、様々な材料にインクを噴射することによって、文字や模様を形成することができる。また、記録対象物は平面形状である必要もなく、食品、タイル等の建材、家具、自動車など様々な立体物の塗装や装飾を行うこともできる。さらに、本開示の「液体噴射記録装置」によって、繊維を捺染することができ、あるいは噴射後にインクを固化させることによって立体造形を行うこともできる(いわゆる3Dプリンタ)。
【0120】
更に、これまでに説明した各種の例を、任意の組み合わせで適用させるようにしてもよい。
【0121】
なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また、他の効果があってもよい。
【0122】
また、本開示は、以下のような構成を取ることも可能である。
(1)
液体に圧力を印加するアクチュエータプレートを備え、前記液体を噴射するヘッドチップであって、
前記アクチュエータプレートは、
表面および裏面と、
所定の方向に延在し、かつ、前記表面に設けられた第1開口と、前記裏面に設けられるとともに、前記所定の方向の長さが前記第1開口よりも短い第2開口とを有するチャネルと、
前記第1開口側の前記チャネルの側壁に設けられた表面側部分と、前記表面側部分よりも前記第2開口側の前記側壁に設けられるとともに前記所定の方向の大きさが前記表面側部分と同じまたは前記表面側部分よりも大きい裏面側部分とを有する電極と
を含むヘッドチップ。
(2)
前記裏面側部分の前記所定の方向の大きさは、前記第2開口の前記所定の方向の長さと同じである
前記(1)に記載のヘッドチップ。
(3)
前記表面側部分の前記所定方向の大きさは、前記第2開口の前記所定の方向の長さよりも小さい
前記(1)または前記(2)に記載のヘッドチップ。
(4)
更に、前記チャネルに連通するノズル孔が設けられたノズルプレートを含む
前記(1)ないし前記(3)のうちいずれか1つに記載のヘッドチップ。
(5)
前記(1)ないし前記(4)のいずれか1つに記載のヘッドチップと、
前記ヘッドチップに前記液体を供給する供給機構と
を備えた液体噴射ヘッド。
(6)
前記(5)に記載の液体噴射ヘッドと、
前記液体を収容する収容部と
を備えた液体噴射記録装置。
(7)
液体に圧力を印加するアクチュエータプレートを備え、前記液体を噴射するヘッドチップの製造方法であって、
前記アクチュエータプレートを形成する工程は、
表面および裏面を有する圧電基板に、所定の方向に延在するとともに、前記表面に第1開口を有するチャネルを形成する工程と、
前記第1開口の前記所定の方向の両端部をマスクで覆う工程と、
前記マスクが設けられた前記第1開口から前記チャネルの側壁に導電材料を蒸着して第1蒸着部を形成する工程と、
前記チャネルに達するように前記圧電基板の前記裏面を研削することにより、前記圧電基板の前記裏面側に、前記所定の方向の長さが前記第1開口よりも短い第2開口を形成する工程と、
前記第2開口から前記チャネルの前記側壁に前記導電材料を蒸着して第2蒸着部を形成し、前記第1蒸着部および前記第2蒸着部を含む電極を形成する工程とを含む
ヘッドチップの製造方法。
(8)
前記アクチュエータプレートを形成する工程は、
更に、前記チャネルを形成した後、前記圧電基板の前記表面にレジスト膜を形成する工程を含み、
前記レジスト膜を形成した後、前記第1蒸着部を形成する
前記(7)に記載のヘッドチップの製造方法。
(9)
前記両端部は、以下の式(1)で表される前記第1蒸着部の深さDiが、前記チャネルの深さDよりも大きくなる部分を含む
前記(8)に記載のヘッドチップの製造方法。

Di=s/tan(β―θ)―r ・・・・・(1)
ただし、s:前記チャネルの幅
β:前記第1蒸着部を形成する際の前記蒸着の入射角
θ:前記圧電基板の傾き角
r:前記レジスト膜の厚み
(10)
更に、前記第1蒸着部を形成した後、前記圧電基板の前記表面に、カバープレートを貼り合わせる工程を含み、
前記圧電基板の前記表面に前記カバープレートを貼り合わせた後、前記圧電基板の前記裏面を研削して前記第2開口を形成する
前記(7)ないし前記(9)のうちいずれか1つに記載のヘッドチップの製造方法。
【符号の説明】
【0123】
1…プリンタ、10…筺体、2a,2b…搬送機構、21…グリッドローラ、22…ピンチローラ、3(3Y,3M,3C,3K)…インクタンク、4(4Y,4M,4C,4K),4A…インクジェットヘッド、4c…ヘッドチップ、40…制御部、41…ノズルプレート、411,412…ノズル列、42…アクチュエータプレート、421,422…チャネル列、43…カバープレート、431…入口側共通インク室、432,433…出口側共通インク室、44…フレキシブルプリント基板、45…流路プレート、451…供給側流路、46A,46B…接着層、48…封止プレート、50…循環流路、50a,50b…流路、52a,52b…送液ポンプ、6…走査機構、61a,61b…ガイドレール、62…キャリッジ、63…駆動機構、631a,631b…プーリ、632…無端ベルト、633…駆動モータ、9…インク、P…記録紙、d…搬送方向、H1,H2…ノズル孔、C1,C2…チャネル、C1e,C2e…吐出チャネル、C1d,C2d…非吐出チャネル、Dd…浅溝部、Ed…駆動電極、Edc…コモン電極、Edc-u…表面側部分、Edc-d…裏面側部分、Edc-1…第1蒸着部、Edc-2…第2蒸着部、Eda…アクティブ電極、h1,h2,h3,h4,h5,h6,h7,h8…開口、H1,H2…ノズル孔、Tc…コモン端子、Ta…アクティブ端子、Wd…駆動壁。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図10G
図10H
図11A
図11B
図12
図13
図14