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特許7110100示差走査熱量測定法によって特徴付けられた重合体内層を有するシート状複合材、特に、寸法安定性のある食品用容器のための包装用積層体
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  • 特許-示差走査熱量測定法によって特徴付けられた重合体内層を有するシート状複合材、特に、寸法安定性のある食品用容器のための包装用積層体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-22
(45)【発行日】2022-08-01
(54)【発明の名称】示差走査熱量測定法によって特徴付けられた重合体内層を有するシート状複合材、特に、寸法安定性のある食品用容器のための包装用積層体
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/32 20060101AFI20220725BHJP
   B32B 7/027 20190101ALI20220725BHJP
   B32B 27/10 20060101ALI20220725BHJP
   B32B 15/085 20060101ALI20220725BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20220725BHJP
   B32B 9/00 20060101ALI20220725BHJP
【FI】
B32B27/32 E
B32B7/027
B32B27/10
B32B15/085 A
B65D65/40 D
B32B9/00 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018533749
(86)(22)【出願日】2016-12-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-01-24
(86)【国際出願番号】 EP2016082065
(87)【国際公開番号】W WO2017114705
(87)【国際公開日】2017-07-06
【審査請求日】2019-11-18
(31)【優先権主張番号】102015226768.7
(32)【優先日】2015-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102016209995.7
(32)【優先日】2016-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507132710
【氏名又は名称】エスアイジー テクノロジー アーゲー
【氏名又は名称原語表記】SIG Technology AG
【住所又は居所原語表記】Laufengasse 18,CH-8212 Neuhausen am Rheinfall,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オックスマン、ヤニス
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルタース、ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ペルツァー、ステファン
【審査官】石塚 寛和
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-300913(JP,A)
【文献】特開平02-153908(JP,A)
【文献】特開2001-225426(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
B65D 65/00-65/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状複合材(100)であって、層配列を構成する層として、該シート状複合材(100)の外側(101)から該シート状複合材(100)の内側(102)への方向に、
a)厚紙、板紙、および紙からなる群から選択される物質のうちの1つ、またはこれらのうちの少なくとも2つの組み合わせを含むキャリア層(106)、
b)金属、および金属酸化物からなる群から選択される物質のうちの1つ、またはこれらの組み合わせを含むバリア層(104)、および
c)重合体内層(103)
を含み、
ここで、該重合体内層(103)の熱流示差走査熱量測定法のグラフ(201)は、温度TでのピークAおよび温度TでのピークBを含み、
該温度Tは該温度Tより高く、
該ピークBの幅(210)は、該ピークAの幅(202)より少なくとも3℃狭く、
該重合体内層(103)は、サブ層配列を構成するサブ層として、該バリア層(104)に面する該重合体内層(103)の側から該内側(102)への方向に、
a)第1の内層(109);
b)第2の内層(110);および
c)第3の内層(111)
を含み、
該第1の内層(109)は、
a.該第1の内層(109)の総重量に対して、100重量%のHDPEを含有し、または
b.i)該第1の内層(109)の総重量に対して30~99.9重量%の範囲の割合のHDPE、およびii)該第1の内層(109)の総重量に対して0.1~70重量%の範囲の割合のLDPEを含有し、
該第2の内層(110)は、該第2の内層の総重量に対して、20~100重量%の範囲の割合のLDPEを含有し、
該第3の内層(111)は、
A)該第3の内層(111)の総重量に対して、10~40重量%の範囲の割合のmPE、および
B)前記第3の内層(111)の総重量に対して、60~90重量%の範囲の割合のLDPEを含有する、シート状複合材(100)。
【請求項2】
前記温度Tが少なくとも80℃である、請求項1に記載のシート状複合材(100)。
【請求項3】
前記ピークAは融解エンタルピーHによって特徴付けられ、
前記ピークBは融解エンタルピーHによって特徴付けられ、
前記融解エンタルピーHの該融解エンタルピーHに対する比は、1:4~1:0.3の範囲である、請求項1または2に記載のシート状複合材(100)。
【請求項4】
前記温度Tと前記温度Tとの間の差(204)の絶対値が少なくとも10℃である、請求項1~3のいずれか1項に記載のシート状複合材(100)。
【請求項5】
前記温度Tと前記温度Tとの間の差(204)の絶対値が40℃以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載のシート状複合材(100)。
【請求項6】
前記ピークBの外挿された開始温度(207)と前記ピークAの外挿された終了温度(206)との間の差(203)の絶対値が、5~20℃の範囲である、請求項1~5のいずれか1項に記載のシート状複合材(100)。
【請求項7】
前記重合体内層(103)は、該重合体内層(103)の総重量に対して、5~30重量%の範囲の割合でHDPEを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のシート状複合材(100)。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のシート状複合材(100)を含む、容器前駆体(300)。
【請求項9】
前記シート状複合材(100)が少なくとも3つの折り目(301)を有する、請求項8に記載の容器前駆体(300)。
【請求項10】
請求項1~7のいずれか1項に記載のシート状複合材(100)を含む、密閉容器(400)。
【請求項11】
プロセス(500)であって、プロセスステップとして、
a)準備するステップであって、
i)シート状複合材前駆体であって、層配列を構成する層として、該シート状複合材前駆体の外側(101)から該シート状複合材前駆体の内側(102)への方向に、
I)厚紙、板紙、および紙からなる群から選択される物質のうちの1つ、またはこれらのうちの少なくとも2つの組み合わせを含むキャリア層(106)、および
II)金属、および金属酸化物からなる群から選択される物質のうちの1つ、またはこれらの組み合わせを含むバリア層(104)
を含む、シート状複合材前駆体、
ii)第1のポリマー組成物、
iii)第2のポリマー組成物、および
iv)第3のポリマー組成物
を準備するステップ;
b)該バリア層(104)を、該キャリア層(106)から見て遠い方の該バリア層(104)の側に、該バリア層(104)から該内側(101)への方向で、
i)該第1のポリマー組成物と重ね合わせ、それにより、第1の内層(109)が得られ、
ii)該第2のポリマー組成物と重ね合わせ、それにより、第2の内層(110)が得られ、
iii)該第3のポリマー組成物と重ね合わせ、それにより、第3の内層(111)が得られる、重ね合わせるステップ;
を含み、
ここで、該第1のポリマー組成物が、該第1のポリマー組成物の総重量に対して、100重量%のHDPEからなり、
該第2のポリマー組成物が、第2のポリマー組成物の総重量に対して、20~100重量%の範囲の割合のLDPEを含有し、
該第3のポリマー組成物が、
a)該第3のポリマー組成物の総重量に対して、10~40重量%の範囲の割合のmPE、およびb)該第3のポリマー組成物の総重量に対して、60~90重量%の範囲の割合のLDPE含む、プロセス(500)。
【請求項12】
プロセス(500)であって、プロセスステップとして、
a)準備するステップであって、
i)シート状複合材前駆体であって、層配列を構成する層として、該シート状複合材前駆体の外側(101)から該シート状複合材前駆体の内側(102)への方向に、
I)厚紙、板紙、および紙からなる群から選択される物質のうちの1つ、またはこれらのうちの少なくとも2つの組み合わせを含むキャリア層(106)、および
II)金属、および金属酸化物からなる群から選択される物質のうちの1つ、またはこれらの組み合わせを含むバリア層(104)
を含む、シート状複合材前駆体、
ii)第1のポリマー組成物、
iii)第2のポリマー組成物、および
iv)第3のポリマー組成物
を準備するステップ;
b)該バリア層(104)を、該キャリア層(106)から見て遠い方の該バリア層(104)の側に、該バリア層(104)から該内側(101)への方向で、
i)該第1のポリマー組成物と重ね合わせ、それにより、第1の内層(109)が得られ、
ii)該第2のポリマー組成物と重ね合わせ、それにより、第2の内層(110)が得られ、
iii)該第3のポリマー組成物と重ね合わせ、それにより、第3の内層(111)が得られる、重ね合わせるステップ;
を含み、
ここで、該第1のポリマー組成物が、
A)該第1のポリマー組成物の総重量に対して、30~99.9重量%の範囲の割合のHDPE、および
B)該第1のポリマー組成物の総重量に対して、0.1~70重量%の範囲の割合のLDPE
を含み、
該第2のポリマー組成物が、第2のポリマー組成物の総重量に対して、20~100重量%の範囲の割合のLDPEを含有し、
該第3のポリマー組成物が、
a)該第3のポリマー組成物の総重量に対して、10~40重量%の範囲の割合のmPE、およびb)該第3のポリマー組成物の総重量に対して、60~90重量%の範囲の割合のLDPE含む、プロセス(500)。
【請求項13】
プロセスステップb)(502)における前記第1のポリマー組成物が、2~14g/10分の範囲のメルトフローインデックスによって特徴付けられる、請求項11または12に記載のプロセス(500)。
【請求項14】
プロセス(600)であって、プロセスステップとして、
A.第1の長手方向の縁部およびさらなる長手方向の縁部を含む請求項1~7のいずれか1項に記載のシート状複合材(100)を準備するステップ;
B.該シート状複合材(100)を折り曲げるステップ;および
C.該第1の長手方向の縁部を該さらなる長手方向の縁部に接触させて接合し、それにより、長手方向の継ぎ目(302)が得られる、縁部に接触させて接合するステップを含む、プロセス(600)。
【請求項15】
食品を充填した密閉容器(400)を生産するための、請求項1~7のいずれか1項に記載のシート状複合材(100)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状複合材であって、層配列を構成する層として、シート状複合材の外側からシート状複合材の内側への方向に、
a)キャリア層、
b)バリア層、および
c)重合体内層
を含み、
ここで、重合体内層の示差走査熱量測定法のグラフは、温度TでのピークAおよび温度TでのピークBを含み、温度Tは温度Tより高く、ピークBの幅はピークAの幅より少なくとも3℃狭い、シート状複合材に関する。本発明は、さらに、シート状複合材を含む容器前駆体および密閉容器に関し、ならびにシート状複合材を得ることができるプロセスおよびシート状複合材の使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
食品は、人間が消費するための食品であるか、または動物用の食品であるかに関係なく、長い間、缶または蓋でシールされる瓶のいずれかに格納することによって保存されてきた。この種の整理法において、保存期限を延長することができる1つの方法は、食品および容器(この場合、瓶または缶)の各々を可能な最高の温度で個別に滅菌し、次いで、容器に食品を充填し、これをシールすることによる。しかし、これらの食品の保存期限を延長するために伝統的に確立された方法には一連の欠点がある。例えば、その後さらに滅菌が必要なことなどである。缶および瓶の欠点は、実質的に円筒形であるので、詰め込んで空間を節約するような貯蔵が不可能なことである。さらに、缶および瓶は、これら自体が非常に重く、それにより、輸送エネルギーの消費が増大する。さらに、ガラス、ブリキ板、またはアルミニウムの生産には、この目的のために使用した原材料が再利用に由来する場合でさえ、相当なエネルギー支出を必要とする。瓶の場合、さらに問題なのは輸送コストが高くなることである。瓶は、通常、ガラス工場で事前に製造され、その後に、相当な輸送体積を使用して、食品を充填する企業に輸送しなければならない。瓶および缶は、さらに、かなり大きな力を使用するか、道具の助けによらなければ開封することができず、それ故、かなり不便である。缶の場合、一連の開封操作において鋭い縁部が形成され、それによる負傷のリスクが高い。瓶の場合、瓶への充填中または充填した瓶の開封中に食品中にガラスの破片が混入する事態が常に起こり、最悪のシナリオとして、食品を消費したときに体内が損傷する可能性がある。さらに、缶および瓶はどちらも、食品の内容を確認し、宣伝するために、ラベルを貼らなければならない。瓶および缶は、情報および広告を直接印刷することは容易にできない。したがって、それ自体への印刷に加えて、印刷用の基材(紙または適切なフィルム)が必要であり、固定手段(接着剤またはシール剤)も必要である。
【0003】
悪影響を受けずにできる限り長期間にわたって食品を貯蔵するための他の包装システムが先行技術において公知である。かかるシステムは、シート状複合材(しばしば、積層体とも呼ばれる)から生産される容器である。例えば、特許文献1に開示のように、この種のシート状複合材は、しばしば、熱可塑性プラスチック層、通常は厚紙または紙からなり、容器に寸法安定性を付与するキャリア層、接着促進層、バリア層、およびさらなるプラスチック層から構成されている。積層体から製造された容器はキャリア層によって寸法安定性が得られるので、これらの容器は、アルミ箔のポーチと異なり、前述の瓶および缶の発展形と考えるべきである。
【0004】
これらの積層体容器は、従来の瓶および缶を超える多数の利点を既に有している。にもかかわらず、これらの包装システムにおいてすら改良の余地がある。例えば、積層体容器を生産するための積層体は、通常、複数回折り曲げられ、一定の折り目領域を相互にシールする。例えば、熱風によって積層体を加熱することによってこの折り目をシールする。したがって、積層体は、部分的に加熱され、それにより、この目的のために提供された積層体中の重合体層をシールすることができる。先行技術の積層体の場合、上手くシールするために認められるべき温度範囲が非常に狭い。積層体のシーリング領域が非常に高温になる場合、積層体は、ブリスタリングなどのダメージを受け得る。他方では、積層体のシーリング領域が非常に低温になる場合、適切なシーリングができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第90/09926A2号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、本発明の目的は、先行技術に起因する欠点の少なくとも一部を克服することである。本発明のさらなる目的は、シーリング特性の向上、特に、シーリングのための操作領域がより大きいことによって差別化される寸法安定性のある食品用容器のための包装用積層体を提供することである。本発明の別の目的は、シーリング中の過熱に対する反応性がより低い、寸法安定性のある食品用容器のための包装用積層体を提供することである。本発明のさらなる目的は、前述の利点のうちの少なくとも1つを有する寸法安定性のある食品用容器のための包装用積層体、さらに面積比重量が非常に低い包装用積層体を提供することである。本発明の1つの目的は、さらに、前述の有利な包装用積層体から構成される容器前駆体および容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的のうちの少なくとも1つは、独立クレームによって少なくともその一部が達成される。従属クレームは、目的の少なくとも1つを少なくとも部分的に達成する好ましい実施形態を提供する。
【0008】
本発明の目的のうちの少なくとも1つは、シート状複合材1の実施形態1によって達成され、ここで、シート状複合材1の実施形態1は、層配列を構成する層として、シート状複合材の外側からシート状複合材の内側への方向に、
a)キャリア層、
b)バリア層、および
c)重合体内層
を含み、
ここで、重合体内層の示差走査熱量測定法のグラフは、温度TでのピークAおよび温度TでのピークBを含み、温度Tは温度Tより高く、ピークBの幅はピークAの幅より少なくとも3℃、好ましくは少なくとも5℃、より好ましくは少なくとも7℃、最も好ましくは8℃狭い。ピークAは、好ましくは、吸熱性である。さらにピークBは、好ましくは、吸熱性である。
【0009】
本発明の実施形態2では、シート状複合材1は、実施形態1にしたがって構成され、ここで、温度Tは、少なくとも80℃、好ましくは少なくとも90℃、より好ましくは少なくとも95℃である。
【0010】
本発明の実施形態3では、シート状複合材1は、実施形態1または2にしたがって構成され、ここで、ピークAは融解エンタルピーHによって特徴付けられ、ピークBは融解エンタルピーHによって特徴付けられ、融解エンタルピーHの融解エンタルピーHに対する比は、1:4~1:0.3、好ましくは1:3~1:0.4、より好ましくは1:2.5~1:0.5の範囲である。
【0011】
本発明の実施形態4では、シート状複合材1は、前述の実施形態のうちの1つにしたがって構成され、ここで、温度Tと温度Tとの間の差の絶対値は、少なくとも10℃、好ましくは少なくとも15℃、より好ましくは少なくとも20℃である。
【0012】
本発明の実施形態5では、シート状複合材1は、前述の実施形態のうちの1つにしたがって構成され、ここで、温度Tと温度Tとの間の差の絶対値は、40℃以下、好ましくは35℃以下、より好ましくは30℃以下である。
【0013】
本発明の実施形態6では、シート状複合材1は、前述の実施形態のうちの1つにしたがって構成され、ここで、ピークBの外挿された開始温度とピークAの外挿された終了温度との間の差の絶対値は、5~20℃、好ましくは7~18℃、より好ましくは9~15℃の範囲である。
【0014】
本発明の実施形態7では、シート状複合材1は、前述の実施形態のうちの1つにしたがって構成され、ここで、重合体内層は、重合体内層の総重量に対して、5~30重量%、好ましくは10~30重量%、より好ましくは15~30重量%、より好ましくは20~30重量%、最も好ましくは22~27重量%の範囲の割合でHDPEを含む。
【0015】
本発明の実施形態8では、シート状複合材1は、前述の実施形態のうちの1つにしたがって構成され、ここで、重合体内層は、サブ層配列を構成するサブ層として、バリア層に面する重合体内層の側から内側への方向に、
a)第1の内層;
b)第2の内層;および
c)第3の内層
を含み、
ここで、第1の内層は、第1の内層の総重量に対して、100重量%の範囲までのHDPEからなる。
【0016】
本発明の実施形態9では、シート状複合材1は、前述の実施形態1~7のうちの1つにしたがって構成され、ここで、重合体内層は、サブ層配列を構成するサブ層として、バリア層に面する重合体内層の側から内側への方向に、
a)第1の内層であって、
i)第1の内層の総重量に対して、30~99.9重量%、好ましくは35~99重量%、より好ましくは40~95重量%、最も好ましくは45~90重量%の範囲の割合のHDPE、および
ii)第1の内層の総重量に対して、0.1~70重量%、好ましくは1~65重量%、より好ましくは5~60重量%、最も好ましくは10~55重量%の範囲の割合のLDPE
を含む第1の内層;
b)第2の内層;および
c)第3の内層
を含む。
【0017】
本発明の実施形態10では、シート状複合材1は、実施形態8または9にしたがって構成され、ここで、第2の内層は、第2の内層の総重量に対して、20~100重量%、好ましくは30~100重量%、より好ましくは40~100重量%、より好ましくは50~100重量%、より好ましくは60~100重量%、より好ましくは70~100重量%、より好ましくは80~100重量%、最も好ましくは90~100重量%の範囲の割合のLDPEを含む。
【0018】
本発明の実施形態11では、シート状複合材1は、実施形態8~10のうちの1つにしたがって構成され、ここで、第3の内層は、
a)第3の内層の総重量に対して、10~90重量%、好ましくは10~60重量%、より好ましくは10~50重量%、より好ましくは15~40重量%、最も好ましくは20~40重量%の範囲の割合のmPE、および
b)第3の内層の総重量に対して、10~90重量%、好ましくは40~90重量%、より好ましくは50~90重量%、より好ましくは60~85重量%、最も好ましくは60~80重量%の範囲の割合のLDPE
を含む。
【0019】
さらに好ましい構成において、第3の内層は、第3の内層の総重量に対して、40~90重量%、より好ましくは50~90重量%、より好ましくは60~90重量%、最も好ましくは70~90重量%の範囲の割合のmPEを含み、第3の内層の総重量に対して、10~60重量%、好ましくは10~50重量%、より好ましくは10~40重量%、最も好ましくは10~30重量%の範囲の割合のLDPEを含む。
【0020】
本発明の実施形態12では、シート状複合材1は、前述の実施形態のうちの1つにしたがって構成され、ここで、シート状複合材は、層配列中のバリア層とキャリア層との間にさらなる重合体層を含み、ここで、さらなる重合体層の示差走査熱量測定法のグラフは、温度TでのピークCおよび温度TでのピークDを含み、温度Tは温度Tを超えており、ピークDの幅は、ピークCの幅より少なくとも3℃、好ましくは少なくとも5℃、より好ましくは少なくとも8℃、最も好ましくは少なくとも10℃狭い。
【0021】
本発明の実施形態13では、シート状複合材1は、実施形態12にしたがって構成され、ここで、温度Tは、少なくとも80℃、好ましくは少なくとも90℃、より好ましくは少なくとも100℃である。
【0022】
本発明の実施形態14では、シート状複合材1は、実施形態12または13にしたがって構成され、ここで、ピークCは融解エンタルピーHによって特徴付けられ、ピークDは融解エンタルピーHによって特徴付けられ、融解エンタルピーHの融解エンタルピーHに対する比は、1:4~1:0.3、好ましくは1:3~1:0.4、より好ましくは1:2.5~1:0.55の範囲である。
【0023】
本発明の実施形態15では、シート状複合材1は、実施形態12~14のうちの1つにしたがって構成され、ここで、温度Tと温度Tとの間の差の絶対値は、少なくとも10℃、好ましくは少なくとも15℃、より好ましくは少なくとも20℃である。
【0024】
本発明の実施形態16では、シート状複合材1は、実施形態12~15のうちの1つにしたがって構成され、ここで、温度Tと温度Tとの間の差の絶対値は、40℃以下、好ましくは35℃以下、より好ましくは30℃以下である。
【0025】
本発明の実施形態17では、シート状複合材1は、実施形態12~16のうちの1つにしたがって構成され、ここで、ピークDの外挿された開始温度とピークCの外挿された終了温度との間の差の絶対値は、3~15℃、好ましくは3.5~13℃、より好ましくは4~10℃の範囲である。
【0026】
本発明の実施形態18では、シート状複合材1は、前述の実施形態のうちの1つにしたがって構成され、ここで、シート状複合材は、層配列中のバリア層と重合体内層との間に、接着促進層を含む。
【0027】
本発明の実施形態19では、シート状複合材1は、前述の実施形態のうちの1つにしたがって構成され、ここで、キャリア層に、バリア層から見て遠い方のキャリア層の側に、重合体外層を重ね合わせる。好ましくは、さらに、重合体外層に、キャリア層から見て遠い方の重合体外層の側に、カラー層、好ましくは、装飾物を重ね合わせる。カラー層は、好ましくは、少なくとも1つの着色剤を含む。
【0028】
本発明の実施形態20では、シート状複合材1は、前述の実施形態のうちの1つにしたがって構成され、ここで、バリア層は、プラスチック、金属、および金属酸化物からなる群から選択される物質のうちの1つ、またはこれらのうちの少なくとも2つの組み合わせを含み、好ましくは、これらからなる。
【0029】
本発明の実施形態21では、シート状複合材1は、前述の実施形態のうちの1つにしたがって構成され、ここで、キャリア層は、厚紙、板紙、および紙からなる群から選択される物質のうちの1つ、またはこれらのうちの少なくとも2つの組み合わせを含み、好ましくは、これらからなる。
【0030】
本発明の実施形態22では、シート状複合材1は、前述の実施形態のうちの1つにしたがって構成され、ここで、キャリア層は、少なくとも1つの穴を有し、穴は、シート状複合材の内側から、少なくともバリア層および重合体内層で覆われている。
【0031】
本発明の目的のうちの少なくとも1つは、実施形態1~22のいずれか1つに記載のシート状複合材1を含む容器前駆体1の実施形態1によって達成される。
【0032】
本発明の実施形態2では、容器前駆体1は、実施形態1にしたがって構成され、ここで、シート状複合材は、少なくとも3つ、好ましくは、正確には4つの折り目を有する。
【0033】
本発明の実施形態3では、容器前駆体1は、実施形態1または2にしたがって構成され、ここで、シート状複合材は、第1の長手方向の縁部およびさらなる長手方向の縁部を含み、第1の長手方向の縁部がさらなる長手方向の縁部に接合されて、容器前駆体の長手方向の継ぎ目を形成している。
【0034】
本発明の実施形態4では、容器前駆体1は、実施形態1~3のうちの1つにしたがって構成され、ここで、シート状複合材は、個別の容器を生産するためのブランクである。
【0035】
本発明の目的のうちの少なくとも1つは、実施形態1~22のいずれか1つに記載のシート状複合材1を含む密閉容器1の実施形態1によって達成される。
【0036】
本発明の実施形態2では、密閉容器1は、実施形態1にしたがって構成され、ここで、シート状複合材は、第1の長手方向の縁部およびさらなる長手方向の縁部を含み、第1の長手方向の縁部がさらなる長手方向の縁部に接合されて、密閉容器の長手方向の継ぎ目を形成している。
【0037】
本発明の実施形態3では、密閉容器1は、実施形態1または2にしたがって構成され、ここで、密閉容器は食品を含む。
【0038】
本発明の実施形態4では、密閉容器1は、実施形態1~3のうちの1つにしたがって構成され、ここで、キャリア層は、少なくとも1つの穴を有し、穴は、シート状複合材の内側から、少なくともバリア層および重合体内層で覆われており、密閉容器は、開封補助部材を含み、開封補助部材は、シート状複合材の外側から穴を覆っている。
【0039】
本発明の目的のうちの少なくとも1つは、プロセス1の実施形態1によって達成され、ここで、プロセス1の実施形態1は、プロセスステップとして、
a)準備するステップであって、
i)シート状複合材前駆体であって、層配列を構成する層として、シート状複合材前駆体の外側からシート状複合材前駆体の内側への方向に、
I)キャリア層、および
II)バリア層
を含む、シート状複合材前駆体、
ii)第1のポリマー組成物、
iii)第2のポリマー組成物、および
iv)第3のポリマー組成物
を準備するステップ;
b)バリア層を、キャリア層から見て遠い方のバリア層の側に、バリア層から内側への方向で、
i)第1のポリマー組成物と重ね合わせ、それにより、第1の内層が得られ、
ii)第2のポリマー組成物と重ね合わせ、それにより、第2の内層が得られ、
iii)第3のポリマー組成物と重ね合わせ、それにより、第3の内層が得られる、重ね合わせるステップ;
を含み、
ここで、第1のポリマー組成物が、第1のポリマー組成物の総重量に対して、100重量%の範囲までのHDPEからなる。
【0040】
本発明の目的のうちの少なくとも1つは、プロセス2の実施形態1によって達成され、ここで、プロセス2の実施形態1は、プロセスステップとして、
a)準備するステップであって、
i)シート状複合材前駆体であって、層配列を構成する層として、シート状複合材前駆体の外側からシート状複合材前駆体の内側への方向に、
I)キャリア層、および
II)バリア層
を含む、シート状複合材前駆体、
ii)第1のポリマー組成物、
iii)第2のポリマー組成物、および
iv)第3のポリマー組成物
を準備するステップ;
b)バリア層を、キャリア層から見て遠い方のバリア層の側に、バリア層から内側への方向に、
i)第1のポリマー組成物と重ね合わせ、それにより、第1の内層が得られ、
ii)第2のポリマー組成物と重ね合わせ、それにより、第2の内層が得られ、
iii)第3のポリマー組成物と重ね合わせ、それにより、第3の内層が得られる、重ね合わせるステップ;
を含み、
ここで、第1のポリマー組成物が、
A)第1のポリマー組成物の総重量に対して、30~99.9重量%、好ましくは35~99重量%、より好ましくは40~95重量%、最も好ましくは45~90重量%の範囲の割合のHDPE、および
B)第1のポリマー組成物の総重量に対して、0.1~70重量%、好ましくは1~65重量%、より好ましくは5~60重量%、最も好ましくは10~55重量%の範囲の割合のLDPE
を含む。
【0041】
本発明の実施形態2では、プロセス1またはプロセス2は、それぞれ、実施形態1にしたがって構成され、ここで、プロセスステップb)中の第1のポリマー組成物は、2~14g/10分、好ましくは2~12g/10分、より好ましくは3~11g/10分、最も好ましくは3~10g/10分の範囲のメルトフローインデックスによって特徴付けられる。
【0042】
本発明の実施形態3では、プロセス1またはプロセス2は、それぞれ、実施形態1または2にしたがって構成され、ここで、プロセスステップb)中の第3のポリマー組成物は、4~20g/10分、好ましくは5~18g/10分、より好ましくは5~16g/10分の範囲のメルトフローインデックスによって特徴付けられる。
【0043】
本発明の実施形態4では、プロセス1またはプロセス2は、それぞれ、実施形態1~3のうちの1つにしたがって構成され、ここで、プロセスステップb)中の第1のポリマー組成物を、2~9g/m、好ましくは3~8g/m、より好ましくは3~7g/mの範囲の面積比重量に重ね合わせる。
【0044】
本発明の実施形態5では、プロセス1またはプロセス2は、それぞれ、実施形態1~4のうちの1つにしたがって構成され、ここで、プロセスステップb)中の第2のポリマー組成物を、1~10g/m、好ましくは1~9g/m、より好ましくは4~8g/mの範囲の面積比重量に重ね合わせる。
【0045】
本発明の実施形態6では、プロセス1またはプロセス2は、それぞれ、実施形態1~5のうちの1つにしたがって構成され、ここで、プロセスステップb)中の第3のポリマー組成物を、6~13g/m、好ましくは7~12g/m、より好ましくは7~11g/mの範囲の面積比重量に重ね合わせる。
【0046】
本発明の実施形態7では、プロセス1またはプロセス2は、それぞれ、実施形態1~6のうちの1つにしたがって構成され、ここで、第2のポリマー組成物は、第2のポリマー組成物の総重量に対して、20~100重量%、好ましくは30~100重量%、より好ましくは40~100重量%、より好ましくは50~100重量%、より好ましくは60~100重量%、より好ましくは70~100重量%、より好ましくは80~100重量%、最も好ましくは90~100重量%の範囲の割合のLDPEを含む。
【0047】
本発明の実施形態8では、プロセス1またはプロセス2は、それぞれ、実施形態1~7のうちの1つにしたがって構成され、ここで、第3のポリマー組成物は、
a)第3のポリマー組成物の総重量に対して、10~90重量%、好ましくは10~60重量%、より好ましくは10~50重量%、より好ましくは15~40重量%、最も好ましくは20~40重量%の範囲の割合のmPE、および
b)第3のポリマー組成物の総重量に対して、10~90重量%、好ましくは40~90重量%、より好ましくは50~90重量%、より好ましくは60~85重量%、最も好ましくは60~80重量%の範囲の割合のLDPE
を含む。
【0048】
さらに好ましい構成において、第3のポリマー組成物は、第3のポリマー組成物の総重量に対して、40~90重量%、より好ましくは50~90重量%、より好ましくは60~90重量%、最も好ましくは70~90重量%の範囲の割合のmPEを含み、第3のポリマー組成物の総重量に対して、10~60重量%、好ましくは10~50重量%、より好ましくは10~40重量%、最も好ましくは10~30重量%の範囲の割合のLDPEを含む。
【0049】
本発明の実施形態9では、プロセス1またはプロセス2は、それぞれ、実施形態1~8のうちの1つにしたがって構成され、ここで、プロセスステップb)における重ね合わせを、第1のポリマー組成物、第2のポリマー組成物、および第3のポリマー組成物の共押出しによって行う。
【0050】
本発明の目的のうちの少なくとも1つは、実施形態1~9のうちの1つにしたがってそれぞれの場合にプロセス1またはプロセス2によって得ることができるシート状複合材2の実施形態1によって達成される。
【0051】
本発明の目的のうちの少なくとも1つは、プロセス3の実施形態1によって達成され、ここで、プロセス3の実施形態1は、プロセスステップとして、
A.第1の長手方向の縁部およびさらなる長手方向の縁部を含む実施形態1~22のいずれか1つに記載のシート状複合材を準備するステップ;
B.シート状複合材を折り曲げるステップ;および
C.第1の長手方向の縁部をさらなる長手方向の縁部に接触させて接合し、それにより、長手方向の継ぎ目が得られる、縁部に接触させて接合するステップ
を含む。
【0052】
本発明の目的のうちの少なくとも1つは、実施形態1にしたがってプロセス3によって得ることができる容器前駆体2の実施形態1によって達成される。
【0053】
本発明の目的のうちの少なくとも1つは、プロセス4の実施形態1によって達成され、ここで、プロセス4の実施形態1は、プロセスステップとして、
a.実施形態1~4のいずれか1つにしたがって容器前駆体1を準備するステップ;
b.シート状複合材を折り曲げることによって容器前駆体の底部を形成するステップ;
c.底部を密閉するステップ;
d.容器前駆体に食品を充填するステップ、および
e.容器前駆体の上部を密閉し、それにより、密閉容器が得られる、密閉するステップ
を含む。
【0054】
プロセスステップc.またはe.またはその両方における密閉するステップを、シート状複合材の複数の領域の接合によって実施することが好ましい。好ましい接合はシーリングである。密閉容器は、シート状複合材と一体成型されない底部、蓋、その両方を含まないことが好ましい。プロセスステップb.~e.を、充填機で実施することが好ましい。
【0055】
本発明の実施形態2では、プロセス4は、実施形態1にしたがって構成され、ここで、プロセスステップb.における折り曲げ時のシート状複合材の少なくとも一部の温度は、10~50℃、好ましくは15~40℃、より好ましくは16~30℃、最も好ましくは18~25℃の範囲である。
【0056】
本発明の実施形態3では、プロセス4は、実施形態1または2にしたがって構成され、ここで、プロセスステップc.の密閉するステップはシーリングを含み、シーリングはシート状複合材を高温の固体または高温の気体またはその両方との接触によって達成し、高温は、200~400℃、好ましくは240~360℃、より好ましくは260~340℃の範囲である。
【0057】
本発明の実施形態4では、プロセス4は、実施形態1~3のうちの1つにしたがって構成され、ここで、プロセスは、プロセスステップf.をさらに含み、プロセスステップf.において密閉容器を開封補助部材に接合する。密閉容器を、開封補助部材がキャリア層内の穴を覆うような方法で開封補助部材と接合することが好ましい。好ましい開封補助部材は、切り取り用ツール(例えば、切り取り用リングなど)である。好ましくは、さらに、開封補助部材は、蓋を含んでもよい。
【0058】
本発明の目的のうちの少なくとも1つは、実施形態1~4のいずれか1つに記載のプロセス4によって得ることができる密閉容器2の実施形態1によって達成される。
【0059】
本発明の目的のうちの少なくとも1つは、食品を充填した密閉容器を生産するための実施形態1~22のいずれか1つに記載のシート状複合材1の使用の実施形態1によって達成される。
【0060】
本発明の1つのカテゴリーで好ましいと記載されている特徴は、本発明の他のカテゴリーの実施形態でも好ましい。
【発明の詳細な説明】
【0061】

2つの層がファンデルワールス引力を超えて相互に接着するとき、2つの層は相互に接合する。相互に接合する層は、好ましくは、相互にシーリングされた層、相互に結合された層、および相互に加圧された層からなる群から選択される1つ、またはこれらのうちの少なくとも2つの組み合わせである。別段に記述しない限り、層配列中の配列は、相互に間接的に続き得るか(すなわち、1つまたは少なくとも2つの中間層を有する)、直接続き得る(すなわち、中間層を持たない)。これは特に1つの層を別の層に重ね合わせるという表現に当てはまる。層配列が列挙した層を含むという表現は、少なくとも言及した層が言及した配列中に存在することを意味する。この表現は、これらの層が相互に直接続くことを必ずしも意味しない。2つの層が相互に隣接するという表現は、これら2つの層が相互に直接続き、それにより、中間層を持たないことを意味する。しかし、この表現は、2つの層が相互に接合しているかどうかについては言及していない。その代わり、これら2つの層は相互に接触していてもよい。
【0062】
ピーク
ピークAおよびBは、さらに、ピークCおよびDも、本発明の示差走査熱量測定法のグラフにおいて相互に直接続き得る;しかし、これらのピークは、相互に間接的に続いていてもよい(すなわち、これらのピークの間に1つまたは複数のピークを含む)。前述のピークは、いずれの場合にも融解転移であることが好ましい。
【0063】
重合体層
以下の文章において、用語「重合体層」は、特に、重合体内層および重合体外層、より好ましくは重合体内層をいう。特に、重合体内層の好ましいポリマーは、ポリオレフィンである。重合体層は、他の構成要素を有してもよい。重合体層を、好ましくは押出しプロセスに適用または導入してシート状複合材料にする。重合体層のさらなる構成要素は、層として適用した場合にポリマー融解挙動に悪影響を及ぼさない構成要素であることが好ましい。さらなる構成要素は、例えば、無機化合物(金属塩など)、またはさらなるプラスチック(さらなる熱可塑性プラスチックなど)であってよい。しかし、さらなる構成要素が充填剤または顔料である(例としては、カーボンブラックまたは金属酸化物である)ことも考えられる。さらなる構成要素であることが意図される適切な熱可塑性プラスチックには、特に、押出し特性が良好であるために容易に加工することができる熱可塑性プラスチックが含まれる。これらのうちで、連鎖重合によって得られるポリマー、より具体的には、ポリエステルまたはポリオレフィンが適切であり、環式オレフィンコポリマー(COC)、多環式オレフィンコポリマー(POC)、より具体的には、ポリエチレンおよびポリプロピレンが特に好ましく、ポリエチレンが特に好ましい。ポリエチレンのうち、HDPE(高密度ポリエチレン)、MDPE(中密度ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、VLDPE(超低密度ポリエチレン)、およびPE(ポリエチレン)が好ましく、これらのうちの少なくとも2つの混合物も好ましい。少なくとも2つの熱可塑性プラスチックの混合物を使用することも可能である。適切な重合体層は、1~25g/10分の範囲、好ましくは2~20g/10分の範囲、より好ましくは2.5~15g/10分の範囲のメルトフローレイト(MFR-メルトフローレイト)、および0.890g/cm~0.980g/cmの範囲、好ましくは0.895g/cm~0.975g/cmの範囲、さらに好ましくは0.900g/cm~0.970g/cmの範囲の密度を有する。重合体層は、好ましくは、80~155℃の範囲、好ましくは90~145℃の範囲、より好ましくは95~135℃の範囲のうちの少なくとも1つの融解温度を有する。重合体層に関する上記見解は、さらなる重合体層および接着促進層にも当てはまる。
【0064】
重合体内層
重合体内層は、熱可塑性ポリマーに基づき、重合体内層は、微粒子無機固体を含み得る。しかし、重合体内層について、それぞれの場合において重合体内層の総重量に対して、少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも95重量%の程度までの熱可塑性ポリマーを含むことが好ましい。重合体内層のポリマーまたはポリマー混合物の密度(ISO 1183-1:2004参照)は、好ましくは、0.900~0.980g/cmの範囲、より好ましくは0.900~0.960g/cmの範囲、最も好ましくは0.900~0.940g/cmの範囲である。
【0065】
キャリア層
キャリア層として使用される材料は、この目的を果たすために当業者に適切であり、且つ容器が充填した状態でその形状を実質的に維持するのに十分な安定性を有する容器を得るのに十分な強度および剛性を有する任意の材料であり得る。これは、キャリア層の特に必要とされる性質である。何故なら、本発明が寸法安定性のある容器の技術分野に関するからである。一連のプラスチックを除いて、植物系繊維材料、より具体的には、化学パルプ、好ましくは、接着剤塗布済み化学パルプ、晒し化学パルプ、および/または未晒し化学パルプが好ましく、紙および厚紙が特に好ましい。キャリア層の面積比重量は、好ましくは120~450g/mの範囲、より好ましくは130~400g/mの範囲、最も好ましくは150~380g/mの範囲である。好ましい厚紙は、一般に、単層構造または多層構造を有し、片側または両側を1つまたは2つもしくはそれを超える外層でコーティングされていてもよい。さらに、好ましい厚紙の残存含水量は、厚紙の総重量に対して、20重量%未満、好ましくは2~15重量%、より好ましくは4~10重量%である。特に好ましい厚紙は、多層構造を有する。好ましくは、さらに、周囲に面する表面上に、厚紙は、少なくとも1層であるが、より好ましくは少なくとも2層の、当業者に「紙コーティング」として公知の複数の外層を有する。さらに、好ましい厚紙のスコットボンド値は、100~360J/m、好ましくは120~350J/m、特に好ましくは135~310J/mの範囲である。上記規定の範囲により、狭い公差で、漏れ強さの高い容器に容易に折り曲げることが可能な複合材を得ることが可能である。
【0066】
バリア層
バリア層として使用される材料は、この目的を果たすために当業者に適切であり、且つ特に酸素に関して十分なバリア効果を有する任意の材料であり得る。バリア層は、好ましくは、
a.プラスチック類のバリア層;
b.金属層;
c.金属酸化物層;または
d.a.~c.のうちの少なくとも2つの組み合わせ
から選択される。
【0067】
選択肢a.に従ってバリア層がプラスチック類のバリア層である場合、バリア層は、好ましくは少なくとも70重量%、特に好ましくは少なくとも80重量%、最も好ましくは少なくとも95重量%の、特に包装用容器に適切な芳香遮断性および/または気体遮断性に関して本発明の目的を果たすことが当業者に公知の少なくとも1つのプラスチックを含む。ここで意図されるプラスチック類、特に熱可塑性プラスチック類は、単独のN含有プラスチック類もしくはO含有プラスチック類またはこれらのうちの2つまたはそれを超えるプラスチック類の混合物である。本発明によれば、プラスチック類のバリア層の融解温度が、155℃超~300℃の範囲、好ましくは160~280℃の範囲、特に好ましくは170~270℃の範囲である場合、有利であると証明することができる。
【0068】
プラスチック類のバリア層の面積比重量が2~120g/mの範囲、好ましくは3~60g/mの範囲、特に好ましくは4~40g/mの範囲、さらに、好ましくは6~30g/mであることがさらに好ましい。好ましくは、さらに、プラスチック類のバリア層は、例えば、押出し、より詳細には層押出しによって融液から得ることができる。好ましくは、さらに、プラスチック類のバリア層を、積層によってシート状複合材に導入してもよい。その場合、シート状複合材に箔を組み込むことが好ましい。別の実施形態によれば、選択されるプラスチック類のバリア層は、溶液からの成膜またはプラスチックの分散によって得ることができる層も含み得る。
【0069】
目的の適切なポリマーは、好ましくは、光分散によるゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって決定した重量平均分子量が3×10~1・10g/molの範囲、好ましくは5・10~1・10g/molの範囲、より好ましくは6・10~1・10g/molの範囲であるポリマーである。意図される適切なポリマーには、特に、ポリアミド(PA)またはポリエチレン-ビニルアルコール(EVOH)またはその混合物が含まれる。
【0070】
ポリアミドのうちで、適切なポリアミドは、当業者が本発明の使用に適切であると考える全てのPAである。特に、PA6、PA6.6、PA6.10、PA6.12、PA11、またはPA12、またはこれらのうちの少なくとも2つの混合物を挙げるべきであり、PA6およびPA6.6が特に好ましく、PA6がさらに好ましい。PA6は、例えば、商標名Akulon(登録商標)、Durethan(登録商標)およびUltramid(登録商標)で市販されている。非晶質ポリアミド(例えば、MXD6、Grivory(登録商標)、およびSelar(登録商標)PAなど)がさらに適切である。密度が1.01~1.40g/cmの範囲、好ましくは1.05~1.30g/cmの範囲、特に好ましくは1.08~1.25g/cmの範囲のPAがさらに好ましい。さらに、粘度数が130~185ml/gの範囲、好ましくは140~180ml/gの範囲のPAが好ましい。
【0071】
意図されるEVOHには、当業者が本発明の使用に適切であると考える全てのEVOHが含まれる。その例は、とりわけ、商標名EVAL(商標)(複数の異なるバージョンあり)でEVAL Europe NV、Belgiumから販売されており、例として、EVAL(商標)F104BまたはEVAL(商標)LR171Bの各グレードがある。好ましいEVOHは、以下の性質のうちの少なくとも1つ、2つ、複数、または全てを有する:
-エチレン含有量:20~60mol%、好ましくは25~45mol%の範囲;
-密度:1.0~1.4g/cm、好ましくは1.1~1.3g/cmの範囲;
-融点:155超~235℃、好ましくは165~225℃の範囲;
-MFR(210℃/2.16kg(TM(EVOH)<230℃の場合);230℃/2.16kg(210℃<TM(EVOH)<230℃の場合)):1~25g/10分、好ましくは2~20g/10分の範囲;
-酸素透過速度:0.05~3.2cm・20μm/m・日・atmの範囲、好ましくは0.1~1cm・20μm/m・日・atmの範囲.
【0072】
好ましくは、少なくとも1つの重合体層、より好ましくは重合体内層、または、好ましくは全ての重合体層の融解温度は、バリア層の融解温度未満である。バリア層がポリマーから形成される場合、これは特に当てはまる。少なくとも1つの、より詳細には重合体内層の融解温度とバリア層の融解温度との差は、ここで、好ましくは少なくとも1K、より好ましくは少なくとも10K、さらにより好ましくは少なくとも50K、さらにより好ましくは少なくとも100Kである。温度差は、好ましくは、折り曲げ時にバリア層が融解しないように、より詳細には、プラスチック類のバリア層が融解しないように選択すべきである。
【0073】
選択肢b.によれば、バリア層は金属層である。適切な金属層は、当業者に公知であり、且つ高い不透明度および酸素不透過性を付与することができる原則的に全ての金属含有層である。1つの好ましい実施形態によれば、金属層は、例えば、物理蒸着による箔または蒸着層の形態で存在し得る。金属層は、不断の層であることが好ましい。別の好ましい実施形態によれば、金属層の厚さは、3~20μmの範囲、好ましくは3.5~12μmの範囲、より好ましくは4~10μmの範囲である。
【0074】
選択される好ましい金属は、アルミニウム、鉄、または銅である。好ましい鉄層は、例えば、箔の形態のスチール層であり得る。金属層は、アルミニウムを有する層であることがさらに好ましい。アルミニウム層は、賢明には、アルミニウム合金(例として、AlFeMn、AlFe1.5Mn、AlFeSi、またはAlFeSiMn)からなり得る。純度は、それぞれの場合において全アルミニウム層に対して、通例、97.5%以上、好ましくは98.5%以上である。1つの特定の構成において、金属層は、アルミニウム箔からなる。適切なアルミニウム箔の延伸性は、1%超、好ましくは1.3%超、より好ましくは1.5%超であり、引張り強度は、30N/mm超、好ましくは40N/mm超、より好ましくは50N/mm超である。適切なアルミニウム箔は、ピペット試験における液滴粒度が、3mm超、好ましくは4mm超、特に好ましくは5mm超である。アルミニウム層またはアルミニウム箔の生産に適切な合金は、Hydro Aluminium Deutschland GmbHまたはAmcor Flexibles Singen GmbHから商品名EN AW 1200、EN AW 8079、またはEN AW 8111で販売されている。バリア層として金属箔を使用する場合、金属箔と最も近い重合体層との間の接着促進層を、金属箔の片側および/または両側に設けることができる。
【0075】
好ましくは、さらに、選択肢c.にしたがって、バリア層として金属酸化物層を選択することが可能である。意図する金属酸化物層には、当業者が熟知しており、且つ光、蒸気、および/またはガスに関してバリア効果を発揮するのに適切であると考える全ての金属酸化物層が含まれる。前述の金属であるアルミニウム、鉄、または銅に基づく金属酸化物層が特に好ましく、酸化チタン化合物または酸化ケイ素化合物に基づいた金属酸化物層も特に好ましい。金属酸化物層を、例として、プラスチック類の層(例えば、配向ポリプロピレンフィルム)上の金属酸化物の蒸着によって生成する。このための好ましい方法は、物理蒸着法である。
【0076】
別の好ましい実施形態によれば、金属層または金属酸化物層は、金属層を有する1つまたは複数のプラスチック類の層から構成される層複合材として存在することができる。この種の層は、例えば、プラスチック類の層(例えば、配向ポリプロピレンフィルム)上の金属の蒸着によって得ることができる。この目的のための好ましい方法は、物理蒸着法である。
【0077】
外面
シート状複合材の外面は、シート状複合材から生産されるべき容器において、容器の周囲と接触することを意図するシート状複合材の重ね層の表面である。容器の各領域において、複合材の異なる領域の外面が相互に折り曲げられるか、相互に接合して、例えば、相互にシールされる場合、この外面の存在を無視できない。
【0078】
内面
シート状複合材の内面は、シート状複合材から生産されるべき容器において、容器の内容物、好ましくは、食品と接触した位置にあることが意図されるシート状複合材の重ね層の表面である。
【0079】
接着/接着促進層
接着促進層に関する以下の見解は、特に、本発明の接着促進層およびさらなる重合体層について言及している。接着促進層は、相互に直接隣接しない層間に位置づけることができる。接着促進層で意図される接着促進剤には、適切な官能基による官能化により、それぞれ隣接した層の表面へのイオン結合または共有結合の形成を介した強固な結合の生成に適切な全てのプラスチック類が含まれる。これらのプラスチック類は、好ましくは、エチレンの、アクリル酸類(アクリル酸など)、メタクリル酸、クロトン酸、アクリレート、アクリレート誘導体、または二重結合を有する無水カルボン酸(例えば、無水マレイン酸)、またはこれらのうちの少なくとも2つとの共重合によって得られる官能化ポリオレフィンである。これらのうちで、ポリエチレン-無水マレイン酸グラフト重合体(EMAH)、エチレン-アクリル酸コポリマー(EAA)、またはエチレン-メタクリル酸コポリマー(EMAA)(例えば、商標名Bynel(登録商標)およびNucrel(登録商標)0609HSA(DuPont)、またはEscor(登録商標)6000ExCo(Exxon-Mobil Chemicals)で販売されている)が好ましい。
【0080】
本発明によれば、キャリア層、重合体層、またはバリア層と、それぞれの最も近い層との間の接着が、少なくとも0.5N/15mm、好ましくは少なくとも0.7N/15mm、より好ましくは少なくとも0.8N/15mmであることが好ましい。本発明の1つの構成では、重合体層とキャリア層との間の接着が、少なくとも0.3N/15mm、好ましくは少なくとも0.5N/15mm、より好ましくは少なくとも0.7N/15mmであることが好ましい。さらに、バリア層と重合体層との間の接着が、少なくとも0.8N/15mm、好ましくは少なくとも1.0N/15mm、より好ましくは少なくとも1.4N/15mmであることが好ましい。接着促進層を介してバリア層に重合体層が間接的に続く場合、バリア層と接着促進層との間の接着が、少なくとも1.8N/15mm、好ましくは少なくとも2.2N/15mm、特に好ましくは少なくとも2.8N/15mmであることが好ましい。1つの特定の構成において、各層の間の接着は、接着試験においてキャリア層が引き裂かれる(キャリア層として厚紙を使用する場合、厚紙繊維が引き裂かれる)のに十分な強度である。
【0081】
ポリオレフィン
好ましいポリオレフィンは、ポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)またはその両方である。好ましいポリエチレンは、LDPE、LLDPE、およびHDPEからなる群から選択される1つ、またはこれらの少なくとも2つの組み合わせである。別の好ましいポリオレフィンは、m-ポリオレフィン(メタロセン触媒を使用して調製したポリオレフィン)である。適切なポリエチレンは、1~25g/10分の範囲、好ましくは2~20g/10分の範囲、より好ましくは2.5~15g/10分の範囲のメルトフローレイト(MFI-メルトフローインデックス=MFR-メルトフローレイト)、および0.910g/cm~0.935g/cmの範囲、好ましくは0.912g/cm~0.932g/cmの範囲、さらに好ましくは0.915g/cm~0.930g/cmの範囲の密度を有する。
【0082】
m-ポリマー
m-ポリマーは、メタロセン触媒を使用して調製されたポリマーである。メタロセンは、中心金属原子が2つの有機配位子(例えば、シクロペンタジエニル配位子など)の間に配置された有機金属化合物である。好ましいm-ポリマーはm-ポリオレフィンであり、好ましくは、m-ポリエチレンもしくはm-ポリプロピレンまたはその両方である。好ましいm-ポリエチレンは、mLDPE、mLLDPE、およびmHDPEからなる群から選択される1つ、またはこれらのうちの少なくとも2つの組み合わせである。
【0083】
押出し加工
押出し加工において、ポリマーを、通例、210~350℃に加熱する。この温度は、押出機ダイの出口の下の溶融ポリマーフィルムを測定した場合の温度である。当業者に公知の市販の押出ツール(例えば、押出機、押出機スクリュー、フィードブロックなど)によって押出すことができる。溶融ポリマーがプレスされる開口部が押出機の終端部に配置されていることが好ましい。開口部は、溶融ポリマーを複合材前駆体上に押し出すことが可能な任意の形状を有し得る。例えば、開口部は、方形、楕円形、または円形であり得る。開口部は、好ましくは、漏斗のスロットの形状を有する。プロセスの1つの好ましい実施形態では、スロットを介して塗布する。スロットの長さは、好ましくは、0.1~100mの範囲、好ましくは0.5~50mの範囲、特に好ましくは1~10mの範囲である。さらに、スロットの幅は、好ましくは、0.1~20mmの範囲、好ましくは0.3~10mmの範囲、より好ましくは0.5~5mmの範囲である。溶融ポリマーの塗布の際、スロットおよび複合材前駆体を相互に相対的に移動させることが好ましい。したがって、好ましいプロセスは、複合材前駆体がスロットと相対的に移動するプロセスである。
【0084】
好ましい押出コーティング操作の場合、溶融ポリマーを塗布中に延伸し、この延伸を、好ましくは溶融延伸、非常に好ましくは一軸溶融延伸によって行う。この目的のために、溶融押出機を使用して層を溶融状態で複合材前駆体に塗布し、塗布された層(依然として溶融状態である)を、その後、一軸方向にポリマーが配向するように、一軸方向に延伸させることが好ましい。塗布した層を、その後にヒートセットのために冷却する。この文脈において、少なくとも以下の適用ステップによって延伸させることが特に好ましい:
b1.少なくとも1つの押出機ダイスロットを介して出現速度Vemeで溶融フィルムとして溶融ポリマーを出現させるステップ;
b2.移動速度Vpreで少なくとも1つの押出機ダイスロットに対して相対的に移動させながら溶融フィルムを複合材前駆体に適用するステップ;
ここで、Veme<Vpreであり、5~200の範囲、より好ましくは7~150の範囲、さらに好ましくは10~50の範囲、最も好ましくは15~35の範囲の係数で、VpreがVemeより大きいことが特に好ましい。ここでは、Vpreが少なくとも100m/分が好ましく、より好ましくは少なくとも200m/分、非常に好ましくは少なくとも350m/分であるが、通例、1300m/分以下であることが好ましい。上記の延伸プロセスによって溶融層が複合材前駆体に塗布された場合、溶融層をヒートセットのために冷却することができ、この冷却を、5~50℃の範囲、特に好ましくは10~30℃の範囲の温度に維持された表面との接触による急冷によって行うことが好ましい。
【0085】
さらに好ましい構成によれば、出現した領域を、この出現領域またはそのフランクで得られるポリマーの最低の溶融温度未満の温度に冷却し、ついで、出現領域の少なくともフランクを、この出現領域から分離する。当業者が熟知しており、且つ適切であると考える任意の方法で冷却することができる。ここでは、上に既に記載したヒートセットも好ましい。その後に、少なくともフランクをこの領域から分離する。当業者が熟知しており、且つ適切であると考える任意の方法で分離することができる。ナイフ、レーザービーム、またはウォータージェット、またはこれらのうちの2つ以上の組み合わせによって分離することが好ましく、ナイフ、具体的には剪断用ナイフの使用が特に好ましい。
【0086】
食品
本発明のシート状複合材、さらに容器前駆体も、食品用容器生産のためにデザインすることが好ましい。さらに、本発明の密閉容器は、好ましくは、食品用容器である。意図される食品には、当業者に公知の、人間が消費するための全ての食品、さらには動物用飼料も含まれる。好ましい食品は5℃超で液体であり、例としては、乳製品、スープ、ソース、および非炭酸飲料である。
【0087】
着色剤
DIN 55943:2001-10による着色剤は、全ての着色物質の総称であり、より具体的には染料および顔料である。好ましい着色剤は顔料である。好ましい顔料は、有機顔料である。本発明の文脈で有意な顔料は、特に、DIN 55943:2001-10および「Industrial Organic Pigments,Third Edition.」(Willy Herbst,Klaus Hunger Copyright (C) 2004 WILEY-VCH Verlag GmbH & Co.KGaA,Weinheim ISBN:3-527-30576-9)に記載の顔料である。
【0088】
容器
本発明の密閉容器は、複数の様々な形態を有することができるが、実質的に立方体の構造が好ましい。さらに、容器を、その全領域にわたってシート状複合材から形成することができるか、2部構造または多部構造を有し得る。多部構造の場合、シート状複合材だけでなく他の材料も考えられ、その例は、プラスチックであり、特に容器の上部または底部で使用することができる。しかし、その場合、その領域の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%、さらに好ましくは少なくとも90%程度がシート状複合材に由来する容器を構築することが好ましい。さらに、容器は、内容物を空にすることが可能なデバイスを有し得る。このデバイスは、プラスチックで形成することができ、例えば、容器の外側に取り付けることができる。このデバイスを直接射出成形によって容器に組み込むことも可能である。1つの好ましい構成によれば、本発明の容器は、少なくとも1つの、好ましくは4~22個、またはそれを超える縁部、より好ましくは7~12個の縁部を有する。本発明の文脈における縁部は、表面が折り曲げられたときに形成される領域をいう。例示的な縁部には、容器の2つの壁面の間の接触する細長い領域を含み、本明細書中で長手方向の縁部ともいう。容器において、容器の壁面は、縁部に囲まれた容器の表面であることが好ましい。本発明の容器の内部は、食品を含むことが好ましい。密閉容器は、シート状複合材と一体成型されていない蓋や底またはその両方を含まないことが好ましい。好ましい密閉容器は食品を含む。
【0089】
測定方法
本発明の目的のために、以下の測定方法を利用する。別段の指示がない限り、周囲温度25℃、周囲圧力100kPa(0.986atm)、および相対大気湿度50%で測定した。
【0090】
MFR
MFRを、ISO 1133の標準(別段に記述しない限り、190℃および2.16kg)にしたがって測定する。
【0091】
密度
密度を、ISO 1183-1の標準にしたがって測定する。
【0092】
融解温度
融解温度を、ISO 11357-1,-5のDSC法を使用して決定する。以下の測定値を使用して、メーカーの取扱説明書にしたがって装置を較正する:
-インジウムの温度-開始温度、
-インジウムの融解温度、
-亜鉛の温度-開始温度。
【0093】
酸素透過速度
酸素透過速度を、20℃および相対湿度65%でのISO 14663-2補遺Cの標準にしたがって決定する。
【0094】
厚紙の含水量
厚紙の含水量を、ISO 287:2009の標準にしたがって測定する。
【0095】
着色剤の検出
有機着色剤を、「Industrial Organic Pigments,Third Edition.」(Willy Herbst,Klaus Hunger Copyright (C) 2004 WILEY-VCH Verlag GmbH & Co.KGaA,Weinheim ISBN:3-527-30576-9)に記載の方法にしたがって検出することができる。
【0096】
接着力
2つの隣接層の接着力を、90度剥離試験デバイス(例えば、InstronのGerman rotating wheel fixture)上の回転ローラーに前述の2つの隣接層を固定し、この回転ローラーを測定中に40mm/分で回転させることによって決定する。試料を、事前に幅15mmの細片に切断した。試料の片側から、重ね層を相互に引き離し、剥がした末端を垂直方向の上部に配置された引張デバイスに固定する。引張デバイスに、張力を決定するための測定装置を配置する。ローラーが回転するにつれて、相互の重ね層を離すのに必要な力が測定される。この力は、相互の層の接着力に相当し、N/15mmで示される。
【0097】
示差走査熱量測定法(DSC)のための試料調製
試料切片を、積層体から切断する(5cm×5cm)。次いで、試料を、キャリア材料領域内で分離し、その後に、積層用層、バリア層、および内層を、濃度30%の酢酸浴中にて60℃で30分間処理する。その後に、破壊することなくバリア層を積層用層および内層から分離することが可能である。試料を、その後に、蒸留水でリンスし、乾燥させる。次いで、得られた個別の積層用層および内層のフィルムは、乾燥後に示差走査熱量測定法による測定に供することが可能である。
【0098】
示差走査熱量測定法(DSC)
示差走査熱量測定法を、DIN EN ISO 11357-1:2010-03の標準にしたがって行う。この方法では、熱流を、温度の関数として測定する。したがって、測定値のグラフは、横軸の温度(T)の関数として縦軸の熱流(dQ/dt)を示す。DIN EN ISO 11357-1:2010-03の3.1節の注釈2に記載のように、吸熱方向は常に上向きである。DIN EN ISO 11357-1:2010-03の標準の4.2節にしたがって、熱流示差熱量測定を行う。この場合、DIN EN ISO 11357-1:2010-03の3.10節にしたがって、基準るつぼは常に空であり、温度測定のための基準の位置を常に使用する。使用されるフラッシングガス(DIN EN ISO 11357-1:2010-03の5.5節および9.1.2節)は窒素である。各測定前に、DSC装置を、較正物質(DIN EN ISO 11357-1:2010-03の3.2節および5.4節)であるインジウムおよび亜鉛(DIN EN ISO 11357-1:2010-03の補遺Cによる)を使用して、DIN EN ISO 11357-1:2010-03の8.2~8.4節に従って較正する。DIN EN ISO 11357-1:2010-03の8.4.2に推奨するように、較正物質としてインジウムを使用して熱較正を行う。ダイナミックモードで測定する(DIN EN ISO 11357-1:2010-03の3.9.5)。この場合、試料を10℃/分で30℃から160℃まで最初に加熱し、その温度で10分間維持することによって前処理する。その後、試料を、5℃/分で30℃に冷却する。その後に、加熱速度10℃/分で160℃まで測定プロセスを実施する。測定値を評価するために、上記の第2の加熱曲線のみを使用する。
【0099】
本明細書中で使用される用語「ピーク」を、DIN EN ISO 11357-1:2010-03で使用されている同一の用語と同等と見なすことができる。したがって、この標準の3.9節中の定義も有効である。重合体内層についてのピークAおよびBは、典型的には、50℃~135℃の範囲に位置し、好ましくは積層用層であるさらなる重合体層については、80℃~132℃の範囲に位置する。ピークの融解エンタルピー(標準での表現:「ピーク領域」)は、ピークの仮内挿ベースライン(DIN EN ISO 11357-1:2010-03の3.7.3節による)と、ピークの外挿された開始温度からピークの外挿された終了温度までのDSCグラフとに囲まれた領域と等価である。
【0100】
本明細書中で使用される用語「外挿された開始温度および外挿された終了温度」について、DIN EN ISO 11357-1:2010-03は、用語「内挿されたまたは外挿された開始温度」および「内挿されたまたは外挿された終了温度」を使用しており、したがって、その内容を考慮する限り、これらの用語は同等であり得る。外挿された温度(標準の表現:「内挿されたまたは外挿された」温度)の定義を、DIN EN ISO 11357-1:2010-03の11頁に示している。この目的のために、補助線として接線を使用している。
【0101】
本細書中で使用されるピーク幅は、このピークの外挿された終了温度とその外挿された開始温度との間の差に等しい。この定義は、DIN EN ISO 11357-1:2010-03の3.9.5節に示された定義と逸脱しており、これは、本明細書では外挿された温度を使用しているためである。さらに、標準は、ピークの高さ(height of a peak)をピーク高さ(peak height)と定義している(3.9.4)。この定義も本明細書中で有効である。
【0102】
漏れ強さ
漏れ強さ試験のために使用した試験液は、Shell Chemicalsのメチレンブルー含有Kristalloel 60である。この試験のために、本発明の実施例および比較例について以下に記載のように、試験積層体から250個の容器を作製し、水を充填し、密閉した。その後に、密閉容器を、いずれの場合にも密閉された底部を含む上部で開いた容器部分が得られるような方法でその周囲に沿って切断する。この容器部分におよそ20mlの試験液を充填し、24時間保存した。1時間、3時間、および24時間の間隔を開けた後、これらの容器部分について、目視によって底部の外側を検査して、試験液によって青色に変色している(底部に漏れが生じている場合)かどうかを確認した。
【実施例
【0103】
本発明を、以下の実施例および図面によって、より正確な形態で記載しているが、実施例および図面は本発明のいかなる制限も意図しない。別段の指示がない限り、さらに、図面は正確な縮尺ではない。
【0104】
実施例(本発明)および比較例(本発明ではない)について、以下の層構造および層配列を有する積層体を、層押出しプロセスによって生産した。
【0105】
【表1】
【0106】
積層体の生産
積層体を、押出機、押出機スクリュー、フィードブロック、およびダイを備えた押出コーティングライン(ER-WE-PA GmbH,Erkrath,Germany)にて生産する。
【0107】
第1のステップでは、押出コーティングラインにて重合体外層をキャリア層に塗布する。第2のステップでは、積層用層を、バリア層と共に重合体外層で予めコーティングしたキャリア層に塗布する。最後のステップでは、重合体内層をキャリア材料に塗布する。
【0108】
各層の塗布のために、ポリマーまたはポリマーブレンドを押出機内で溶融し、ここでポリマーまたはポリマーブレンドを210℃~340℃に加熱する。ポリマーまたはポリマーブレンドを層内に塗布する場合、生産された溶融物を、フィードブロックを介してダイに送る。2つまたはそれを超えるポリマーまたはポリマーブレンドを1つの層として塗布する場合、生産された溶融物を、フィードブロックを使用して合わせ、ダイに送る。溶融物はダイギャップ(長さ500mm、幅1mm)を通じてダイを離れ、ダイギャップに対して相対的に移動しているキャリア層に塗布される。
【0109】
本発明の実施例および比較例における異なる重合体内層を、試料調製を上記のように行って、上記測定方法を使用して示差走査熱量測定法に供した。以下の表は、本発明の実施例および比較例のそれぞれについての測定したピークAおよびBの極限点(すなわち、温度TおよびT)を示し、ピークAおよびBの幅も示す。
【0110】
各積層体を折り曲げ、シールして、立方体状の容器(「ブリックタイプ」)を生産した。第一に、通例のジャケット状容器前駆体を、長手方向の継ぎ目のシーリングによって生産した。これらの前駆体を、市販の充填機に搬送した。この機械において、容器の底部を折り曲げによって生成し、熱風の送風によってシールした。各熱風温度を以下に示す。さらに、容器に水を充填し、さらなる折り曲げによって上部を生成し、超音波シールによって密閉した。さらに、このようにして生産した容器を、上記の漏れ強さ試験に供した。以下の表は、本発明の実施例および比較例についての、試験期間が0~1時間、1~3時間、および3~24時間の、外側からの目視による漏れを有する容器の数を示し、その総数も示す。
【0111】
【表2】
【0112】
【表3】
【0113】
【表4】
【0114】
【表5】
【0115】
【表6】
【0116】
【表7】
【0117】
【表8】
【0118】
【表9】
【0119】
【表10】
【0120】
【表11】
【0121】
【表12】
【0122】
【表13】
【0123】
【表14】
【0124】
【表15】
【0125】
【表16】
【0126】
【表17】
【0127】
【表18】
【0128】
【表19】
【0129】
【表20】
【0130】
【表21】
【0131】
【表22】
【0132】
【表23】
【0133】
【表24】
【0134】
【表25】
【0135】
【表26】
【0136】
【表27】
【0137】
【表28】
【0138】
【表29】
【0139】
上記の表中に指定した重合体内層のサブ層は、共に重合体内層を形成する従属的層である。表中で、上部から下部へのサブ層の列挙は、積層体における外側(バリア層側)から内側(食品側)の順序を示す。
【0140】
評価
上記の測定データは、本発明の積層体を使用すると漏れのより少ない容器を得ることができることを示している。より具体的には、底部のシーリングのための熱風温度についてより広い操作領域で漏れを生じる容器は得られない。
【0141】
説明または各図において別段の指示がない限り、以下に各々の場合において概略的に示し、この図は、正確な縮尺ではない。
【図面の簡単な説明】
【0142】
図1図1は、本発明のシート状複合材の断面を示す。
図2図2は、図1の重合体内層の示差走査熱量測定法による測定値の図表を示す。
図3図3は、本発明の容器前駆体を示す。
図4図4は、本発明の密閉容器を示す。
図5図5は、本発明のプロセスの流れ図を示す。
図6図6は、本発明の別のプロセスの流れ図を示す。
図7図7は、本発明の別のプロセスの流れ図を示す。
図8図8は、本発明のシート状複合材の重合体内層の示差走査熱量測定法による測定値のグラフを示す。
図9図9は、本発明のさらなるシート状複合材の重合体内層の示差走査熱量測定法による測定値のグラフを示す。
【0143】
図1は、本発明のシート状複合材100の断面図を示す。シート状複合材100は、層配列を構成する層として、シート状複合材100の外側101からシート状複合材100の内側102への方向に、カラー層108、PEの重合体外層107、厚紙のキャリア層106、積層用層としてのさらなる重合体層105、アルミニウムのバリア層104、および重合体内層103を含む。重合体内層103の示差走査熱量測定法のグラフ201を、図2に示す。重合体内層103は、重合体内層103の総重量に対して、17重量%の割合でHDPEを含む。さらに、重合体内層103は、バリア層104に面する重合体内層103の側から内側102への方向に、以下のサブ層配列を構成するサブ層からなる:それぞれの場合において第1の内層109の総重量に対して、75重量%HDPEおよび25重量%LDPEの第1の内層109;第2の内層110の総重量に対して、100重量%LDPEの第2の内層110;およびポリマーブレンドの第3の内層111であって、前述のポリマーブレンドが、それぞれの場合において第3の内層111の総重量に対して、30重量%のmPEおよび70重量%のLDPEからなる第3の内層111。
【0144】
図2は、図1由来の重合体内層103の示差走査熱量測定法の測定値の模式的なグラフ201を示す。ここでは、℃で示す温度Tに対する熱流dQ/dtをプロットしている。グラフは、温度TでのピークAおよび温度TでのピークBを含む。温度Tは温度T=105℃より高く、2つの温度間の差は25℃である。ピークBの幅210は、ピークAの幅202より12℃狭い。この場合、ピークBの幅210は、ピークBの外挿された終了温度208とピークBの外挿された開始温度207との間の差に等しい。ピークAの幅202は、ピークAの外挿された終了温度206とピークAの外挿された開始温度205との間の差に等しい。ピークBの外挿された開始温度207とピークAの外挿された終了温度206との間の差203は15℃である。外挿された開始温度および外挿された終了温度205~208を、補助線209によって決定した。ピークAの融解エンタルピーHは47J/gである。ピークBの融解エンタルピーHは23J/gである。使用した用語の定義は、上にも示すように、DIN EN ISO 11357-1:2010-03で見出される。
【0145】
図3は、本発明の容器前駆体300を示す。容器前駆体300は、4つの折り目301を有する図1のシート状複合材100を含む。シート状複合材100は、個別の密閉容器400を生産するためのブランクである。容器前駆体200はジャケット状であり、長手方向の継ぎ目302を含み、ここで、シート状複合材100の第1の長手方向の縁部およびさらなる長手方向の縁部は相互にシールされている。さらに、容器前駆体300は、キャリア層106中に穴305を含む。穴305は、さらなる重合体層105、バリア層104、および重合体内層103で覆われている。溝306に沿って折り曲げ、且つ容器前駆体300の上部303および底部304中の折り曲げ領域を連結することにより、密閉容器400を得ることができる。この種の密閉容器400を、図4に示す。
【0146】
図4は、本発明の密閉容器400を示す。密閉容器400を、図3の容器前駆体300から生産する。密閉容器400は、食品401を含み、12の縁部403を有する。さらに、密閉容器400は開封補助部材402に接合されており、この開封補助部材402は、シート状複合材100の外側101から穴305を覆っている。ここで、開封補助部材402は蓋および蓋の内部に連結した切り取り用ツールを含む。
【0147】
図5は、シート状複合材100の生産のための本発明のプロセス500の流れ図を示す。プロセス500は、プロセスステップa)501およびb)502を含む。プロセスステップa)501では、シート状複合材前駆体であって、層配列を構成する層として、シート状複合材前駆体の外側101からシート状複合材前駆体の内側102への方向に、キャリア層106およびバリア層104を含む、シート状複合材前駆体。さらに、プロセスステップa)501では、第1のポリマー組成物、第2のポリマー組成物、および第3のポリマー組成物を準備する。第1のポリマー組成物のメルトフローインデックスは4g/10分である。第2のポリマー組成物のメルトフローインデックスは7g/10分である。第3のポリマー組成物のメルトフローインデックスは7g/10分である。プロセスステップb)502では、バリア層104を、キャリア層106から見て遠い方のバリア層104の側に、バリア層104から内側101への方向で、第1のポリマー組成物との共押出しによって重ね合わせ、それにより、第1の内層109が得られ、第2のポリマー組成物との共押出しによって重ね合わせ、それにより、第2の内層110が得られ、第3のポリマー組成物との共押出しによって重ね合わせ、それにより、第3の内層111が得られる。この場合、第1のポリマー組成物を面積比重量5g/mで塗布し、第2のポリマー組成物を面積比重量7g/mで塗布し、第3のポリマー組成物を面積比重量10g/mで塗布する。第1のポリマー組成物は、それぞれの場合に第1のポリマー組成物の総重量に対して、75重量%HDPEおよび25重量%LDPEからなる。第2のポリマー組成物は、第2のポリマー組成物の総重量に対して、100重量%のLDPEからなる。第3のポリマー組成物はポリマーブレンドからなり、このポリマーブレンドは、それぞれの場合に第3のポリマー組成物の総重量に対して、30重量%のmPEおよび70重量%のLDPEからなる。
【0148】
図6は、容器前駆体300を生産するための本発明の別のプロセス600の流れ図である。プロセスステップA.601では、図1のシート状複合材100を準備する。シート状複合材100は、第1の長手方向の縁部およびさらなる長手方向の縁部を含む。プロセスステップB.602では、シート状複合材100を折り曲げる。プロセスステップC.603では、第1の長手方向の縁部およびさらなる長手方向の縁部を相互にプレスし、超音波シールによって相互に接合する。これにより、長手方向の継ぎ目302が得られる。図3の容器前駆体300を、上記にしたがって生成する。
【0149】
図7は、密閉容器400を生産するための本発明の別のプロセス700の流れ図である。プロセスステップa.701では、図3の容器前駆体300を準備する。プロセスステップb.702では、容器前駆体300の底部304を、シート状複合材100の折り曲げによって形成させる。プロセスステップc.703では、底部304を、300℃の熱風を用いたシーリングによって密閉する。プロセスステップd.704では、容器前駆体300に食品401を充填し、プロセスステップe.705では、容器前駆体300の上部303をシーリングによって密閉し、それにより、密閉容器400が得られる。プロセスステップf.706では、密閉容器400を開封補助部材402に接合する。
【0150】
図8は、本発明のシート状複合材100の重合体内層103の示差走査熱量測定法の測定値のグラフ201を示す。シート状複合材100は、層配列を構成する層として、シート状複合材100の外側101からシート状複合材100の内側102への方向に、カラー層108、PEの重合体外層107、厚紙のキャリア層106、積層用層としてのさらなる重合体層105、アルミニウムのバリア層104、および重合体内層103を含む。重合体内層103は、それぞれの場合に重合体内層103の総重量に対して、65重量%の割合のHDPEおよび35重量%の割合のLDPEを含む。示差走査熱量測定法の測定を、上記の測定方法に記載のように、より具体的には、記述の加熱速度、保持時間、および冷却速度を使用して行った。示したグラフ201は、第2の加熱速度の測定に由来する。図8は、単位が℃の温度Tに対する単位がmWの熱流dQ/dtをプロットしている。それぞれ仮内挿ベースライン801上の温度T=102.53℃のピークAおよび温度T=125.70℃のピークBも図8に示す。ピークAは融解エンタルピーHを有し、ピークBは融解エンタルピーHを有する。ピークAは、92.45℃の外挿された開始温度205および109.19℃の外挿された終了温度206によって特徴づけられる。ピークBは、121.24℃の外挿された開始温度207および129.26℃の外挿された終了温度208によって特徴づけられる。外挿された開始温度205および207ならびに外挿された終了温度207および208を決定するために、DIN EN ISO 11357-1:2010-03の11頁に記載のように、補助線209を、各ピークの変曲点に対する接線として使用する。
【0151】
図9は、本発明のさらなるシート状複合材100の重合体内層103の示差走査熱量測定法の測定のグラフ201を示す。シート状複合材100は、層配列を構成する層として、シート状複合材100の外側101からシート状複合材100の内側102への方向に、カラー層108、PEの重合体外層107、厚紙のキャリア層106、積層用層としてのさらなる重合体層105、アルミニウムのバリア層104、および重合体内層103を含み、ここで、重合体内層103は、重合体内層103の総重量に対して、100重量%のHDPEからなる。示差走査熱量測定法の測定を、上記の測定方法に記載のように、より具体的には、記述の加熱速度、保持時間、および冷却速度を使用して行った。示したグラフ201は、第2の加熱速度の測定に由来する。図9は、単位が℃の温度Tに対する単位がmWの熱流dQ/dtをプロットしている。それぞれ仮内挿ベースライン801上の温度T=101.87℃のピークAおよび温度T=126.03℃のピークBも図9に示す。ピークAは融解エンタルピーHを有し、ピークBは融解エンタルピーHを有する。ピークAは、89.85℃の外挿された開始温度205および109.13℃の外挿された終了温度206によって特徴づけられる。ピークBは、120.96℃の外挿された開始温度207および128.77℃の外挿された終了温度208によって特徴づけられる。外挿された開始温度205および207ならびに外挿された終了温度207および208を決定するために、DIN EN ISO 11357-1:2010-03の11頁に記載のように、補助線209を、各ピークの変曲点に対する接線として使用する。
【符号の説明】
【0152】
100 本発明のシート状複合材
101 外側
102 内側
103 重合体内層
104 バリア層
105 さらなる重合体層
106 キャリア層
107 重合体外層
108 カラー層
109 第1の内層
110 第2の内層
111 第3の内層
201 グラフ
202 ピークAの幅
203 ピークBの外挿された開始温度とピークAの外挿された終了温度との間の差
204 温度Tと温度Tとの間の差
205 ピークAの外挿された開始温度
206 ピークAの外挿された終了温度
207 ピークBの外挿された開始温度
208 ピークBの外挿された終了温度
209 補助線
210 ピークBの幅
300 本発明の容器前駆体
301 折り目
302 長手方向の継ぎ目
303 上部
304 底部
305 穴
306 溝
400 本発明の密閉容器
401 食品
402 開封補助部材
403 縁部
500 シート状複合材を生産するための本発明のプロセス
501 プロセスステップa)
502 プロセスステップb)
600 容器前駆体を生産するための本発明のプロセス
601 プロセスステップA.
602 プロセスステップB.
603 プロセスステップC.
700 密閉容器を生産するための本発明のプロセス
701 プロセスステップa.
702 プロセスステップb.
703 プロセスステップc.
704 プロセスステップd.
705 プロセスステップe.
706 プロセスステップf.
801 仮内挿ベースライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9