(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-22
(45)【発行日】2022-08-01
(54)【発明の名称】治療用免疫調節組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 48/00 20060101AFI20220725BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20220725BHJP
A61K 38/17 20060101ALI20220725BHJP
A61K 39/12 20060101ALI20220725BHJP
A61K 39/39 20060101ALI20220725BHJP
A61K 47/65 20170101ALI20220725BHJP
A61P 31/20 20060101ALI20220725BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20220725BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20220725BHJP
【FI】
A61K48/00 ZNA
A61K35/76
A61K38/17
A61K39/12
A61K39/39
A61K47/65
A61P31/20
A61P37/04
C12N15/09 Z
(21)【出願番号】P 2018549369
(86)(22)【出願日】2016-12-09
(86)【国際出願番号】 AU2016051214
(87)【国際公開番号】W WO2017096432
(87)【国際公開日】2017-06-15
【審査請求日】2019-12-09
(32)【優先日】2015-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】520483257
【氏名又は名称】ジンガン メディスン(オーストラリア) プロプライアタリー リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100134784
【氏名又は名称】中村 和美
(72)【発明者】
【氏名】ジュリー ダットン
(72)【発明者】
【氏名】イアン フレイザー
【審査官】原口 美和
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-500035(JP,A)
【文献】特表2013-537422(JP,A)
【文献】国際公開第2015/106697(WO,A1)
【文献】特表2009-534027(JP,A)
【文献】国際公開第2014/025106(WO,A1)
【文献】特表2004-531253(JP,A)
【文献】国際公開第2018/198531(WO,A1)
【文献】PLOS ONE,2013年,Vol. 8, No. 10,article number e76407, pp 1-10
【文献】Journal of Virology,2002年,Vol. 76, No. 15,pp. 7616-7624
【文献】Vaccine,2002年,Vol. 20,pp. 862-869
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 48/00
A61K 35/76
A61K 38/17
A61K 39/12
A61K 39/39
A61K 47/65
A61P 31/20
A61P 37/04
C12N 15/09
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の核酸構築体及び第二の核酸構築体を含むシステムであって、
前記第一の構築体が、ヒトパピローマウイルス(HPV) E7アミノ酸配列にコンジュゲートされたHPV E6アミノ酸配列を含む第一のポリペプチド配列をコードしている第一の合成コード配列を含み、前記第一の合成コード配列は、配列番号7で示されるポリヌクレオチド配列
のヌクレオチド69~849を含み、前記第一の合成コード配列は、調節核酸配列に
作動可能に結合されており、
前記第二の構築体が
、第一のポリペプチド配列
及びユビキチン分子をコードしている第二の合成コード配列を含み、
前記第一のポリペプチド配列は、HPV E7アミノ酸配列にコンジュゲートされたHPV E6アミノ酸配列を含み、前記第一のポリペプチド配列は前記ユビキチン分子に作動可能に結合され、前記第二の合成コード配列は、配列番号8で示されるポリヌクレオチド配列を含み、前記第二の合成コード配列は、調節核酸配
列に作動可能に結合されている、システム。
【請求項2】
前記ユビキチン分子をコードしている核酸が、配列番号5に示した配列の少なくとも一部を含む、請求項1記載の構築体システム。
【請求項3】
前記第一の構築体及び第二の構築体が、1又は複数の発現ベクターに含まれる、請求項1又は2記載の構築体システム。
【請求項4】
医薬として許容し得る担体又は賦形剤で製剤化される、請求項1~3のいずれか一項記載の構築体システム。
【請求項5】
アジュバントで製剤化される、請求項1~4のいずれか一項記載の構築体システム。
【請求項6】
対象におけるヒトパピローマウイルス(HPV)感染症を治療するための、第一の構築体及び第二の構築体を含む構築体システムを含む医薬組成物であって、当該構築体システムの有効量は当該対象に投与され、
前記第一の構築体が、HPV E7アミノ酸配列にコンジュゲートされたHPV E6アミノ酸配列を含む第一のポリペプチド配列をコードしている第一の合成コード配列を含み、前記第一の合成コード配列は、配列番号7で示されるポリヌクレオチド配列
のヌクレオチド69~849を含み、前記第一の合成コード配列は、調節核酸配列に
作動可能に結合されており、
前記第二の構築体が
、第一のポリペプチド配列
及びユビキノン分子をコードしている第二の合成コード配列を含み、
前記第一のポリペプチド配列は、HPV E7アミノ酸配列にコンジュゲートされたHPV E6アミノ酸配列を含み、前記第一のポリペプチド配列は前記ユビキノン分子に作動可能に結合され、前記第二の合成コード配列は、配列番号8で示されるポリヌクレオチド配列を含み、前記第二の合成コード配列は、調節核酸配
列に作動可能に結合されている、医薬組成物。
【請求項7】
第一及び第二の構築体を同時に投与する前に、前記対象がHPV感染症を有することを同定することを更に含む、請求項6記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記ユビキチン分子をコードしている核酸が、配列番号5に示した配列の少なくとも一部を含む、請求項6又は7記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記第一の構築体及び第二の構築体が、1又は複数の発現ベクターに含まれる、請求項6~8のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記第一の核酸構築体が、配列番号9に示した配列からなり、及び第二の核酸構築体が、配列番号10に示した配列からなる、請求項6~9のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記構築体システムが、アジュバントを更に含む、請求項6~10のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記対象が、ヒトである、請求項6~11のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項13】
HPV感染症の治療のための医薬品の製造のための、請求項1~5のいずれか一項記載の構築体システムの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は概して、ヒトパピローマウイルス(HPV)に対する免疫応答を誘導する治療的組成物及び方法の分野に関する。より特定すると、本発明は、免疫原性HPV抗原をコードしている核酸分子を導入し且つ発現することにより、対象において免疫応答を誘導する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願
本出願は、2015年12月9日に出願された表題「治療用免疫調節組成物(Immunomodulating Compositions for Treatment)」のオーストラリア特許仮出願第2015905099号の優先権を主張するものであり、この仮出願の全内容は、その全体の引用により本明細書中に組み込まれている。
【0003】
発明の背景
パピローマウイルスは、数多くの動物種に感染する小型DNAウイルスである。60種を超える様々なヒトパピローマウイルス(HPV)型が同定されており、これらは、体の様々な部位に感染し、且つ一般に皮膚疣贅、喉頭乳頭腫、生殖器疣贅及び他の疣贅様病巣の原因である。生殖器のHPV感染症は、特に一般的であり;数多くのHPV型が、しかし最も一般的には6、11、16及び18型が、男女両方の生殖管に感染する。女性において、HPVは、子宮頸部を含む生殖管の様々な部位に感染する。
【0004】
生殖器HPVは、明らかに重大な臨床上の問題である。2010年の研究(異性間の行為によるカップル内のHPV感染及び伝播(HPV Infection and Transmission in Couples through Heterosexual Activity))は、新たな性的関係にある若年成人の半数以上(56%)が、HPVに感染したことを認めた。それらのうちほぼ半数(44%)は、癌を引き起こすHPV型に感染していた。更に世界保健機関(WHO)は、女性ほぼ530,000名が、子宮頸癌と診断され、並びに年間275,128名が本疾患により死亡すると概算しており、本疾患は15歳から44歳の女性において2番目に最も頻出する癌であるとみなされている。
【発明の概要】
【0005】
発明の概要
本発明は、合成HPV E6-E7融合タンパク質の定性的に異なる型の増強された生成をもたらすバイナリー核酸構築体システムは、重大な免疫応答を誘発するであろうという、本発明者の認識に一部基づいている。この考察を基に、以下に説明されるように、これはヒトパピローマウイルス(HPV)感染症と闘うための治療的適用に特に適していることが提唱されている。
【0006】
従って一態様において、本発明は、HPV感染症を治療するための構築体システムであって、ここで該構築体システムが、第一の核酸構築体及び第二の核酸構築体を含むか、からなるか、又は本質的になり、
ここで、第一の構築体が、HPV E7アミノ酸配列にコンジュゲートされたHPV E6アミノ酸配列を含む第一のポリペプチド配列をコードしている第一の合成コード配列を含むか、からなるか、又は本質的になり、ここでHPV E6及びE7アミノ酸配列は、野生型HPV E6又はE7コード配列中の選択されたコドンの、同義コドンとの置換により、各々、野生型HPV E6及びE7コード配列から両方共識別され、ここで個別の同義コドンは、対応する選択されたコドンよりもより大きい免疫応答を生じる優先性を有し、ここでこのコドン置換は、表1から選択されたものであり、ここで第一の合成コード配列のコドンの少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%は、表1の同義コドンであり、並びにここで第一の合成コード配列は、調節核酸配列に機能的に結合されており;並びに
ここで、第二の構築体が、HPV E7アミノ酸配列にコンジュゲートされたHPV E6アミノ酸配列を含む第一のポリペプチド配列をコードしている第二の合成コード配列を含むか、からなるか、又は本質的になり、ここでHPV E6及びE7アミノ酸配列は、野生型HPV E6又はE7コード配列中の選択されたコドンの、同義コドンとの置換により、各々、野生型HPV E6及びE7コード配列から両方共識別され、ここで個別の同義コドンは、対応する選択されたコドンよりもより大きい免疫応答を生じる優先性を有し、ここでこのコドン置換は、表1から選択されたものであり、並びにここで第一の合成コード配列のコドンの少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%は、表1の同義コドンであり、並びにここで第一の合成コード配列は、調節核酸配列に;及び、ユビキチン分子をコードしている核酸配列に、機能的に結合されており;並びに
ここで、表1は、下記のものである、構築システムを提供する:
【0007】
【0008】
先に説明したように、本発明の第二の核酸構築体は、ユビキチン分子をコードしている。ユビキチン分子の役割は、第一の構築体によりコードされたポリペプチドに比べ、細胞内タンパク質分解の速度を増加することである。好適には、ユビキチン分子は、哺乳動物起源のものであり、より好ましくはヒト又は他の霊長類起源のものである。この種の好ましい実施態様において、ユビキチン核酸配列は、配列番号5に示した配列の少なくとも一部を含み、これは配列番号6に示したアミノ酸配列又はそれらの少なくとも生物学的活性断片の3つの反復配列をコードしている。代わりの実施態様において、ユビキチンは、配列番号6に示した配列の2つ以上のコピーを含む。
【0009】
本発明の一部の実施態様において、第一の合成コード配列は、配列番号7に示したポリヌクレオチド配列を含む。同じ又は他の実施態様の一部において、第二の合成コード配列は、配列番号8に示したポリヌクレオチド配列を含む。好ましくは、第一の合成コード配列は、配列番号7に示したポリヌクレオチド配列を含み、並びに第二の合成コード配列は、配列番号8に示したポリヌクレオチド配列を含む。
【0010】
一部の実施態様において、第一の構築体及び第二の構築体は、1又は複数の発現ベクター中に含まれるか、又は一つのポリヌクレオチドとして送達される。本発明で使用するように企図されているいくつかの発現ベクターの利点は、以下により詳細に説明されるように、これらはシグナル配列又は標的化配列を含まないことである。一部の実施態様において、この発現ベクターはまた、任意の抗生物質耐性マーカーを含まない。一部の好ましい実施態様において、発現ベクターは、NTC8485、NTC8685又はNTC9385Rである。
【0011】
一部の実施態様において、対象は、哺乳動物である。最も好ましい実施態様において、哺乳動物は、ヒトである。
【0012】
別の態様において、本発明は、対象におけるHPV感染症を治療する方法であって、該方法が、先に及び本明細書別所に説明した構築体システムの有効量を、対象へ同時に投与することを含む方法を提供する。
【0013】
一部の実施態様において、本方法は、第一及び第二の構築体を同時に投与する前に、対象がHPV感染症を有することを確定することを含む。この工程の利点は、一旦対象においてHPVの存在が確立されて、対象はHPV感染症を治療することができることである。従って、本構築体をHPV感染症を有さない対象へ投与するという不必要な出費が、避けられる。
【0014】
本発明の更に別の態様において、先に及び本明細書別所に説明された構築体システムは、医薬として許容し得る担体、希釈剤、及び/又は賦形剤と共に製剤化されている医薬組成物中に製造される。この種の一部の実施態様において、医薬組成物は、アジュバントと共に投与される。他の実施態様において、医薬組成物は、アジュバントを伴わずに投与される。他の実施態様において、医薬組成物は、それの細胞への取込みを促進する試薬と共に投与される。
【0015】
従って、一部の実施態様において、本発明は、HPV感染症の治療のための医薬品の製造における、先に及び本明細書別所に説明された構築体システムの使用を包含している。
本発明の実施例は、ここで、添付図面を参照し説明される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、NTC8485-O-sE6[C70G,I135T]-AGA-E7[C24G,E26G]及びNTC8485-O-Ubi-E6[C70G,I135T]-AGA-E7[C24G,E26G]の概略的地図を示す。NTC8485ベクター地図は、第一の合成コード配列(A)O-sE6[C70G,I135T]-AGA-E7[C24G,E26G](O-E6E7と省略)、及び(B)O-Ubi-E6[C70G,I135T]-AGA-E7[C24G,E26G](O-Ubi-E6E7と省略)の位置を示している。ピンク色バー:オープンリーディングフレーム;黒色バー:複製起点;緑色バー:プロモーター;茶色バー:ターミネーター;青色バー:独自の制限部位。
【
図2】
図2は、ELISPOTにより測定された、E6ペプチド抗原又はE7ペプチド抗原への曝露により誘発された細胞性免疫応答を示す。マウスは、sE6[C70G,I135T]-AGA-E7[C24G,E26G]/Ubi-E6[C70G,I135T]-AGA-E7[C24G,E26G](“E6E7”)ポリヌクレオチド構築体システム(10μg)、E6-コードしているポリヌクレオチド(30μg)又はE7-コードしているポリヌクレオチド(30μg)のいずれかにより免疫化された。E6E7ポリヌクレオチド構築体システムによるマウスの免疫化は、E6及びE7両抗原性ペプチドに対する実質的細胞性免疫応答を誘発するのに対し、E6で免疫化されたマウスは、いずれの抗原性ポリペプチドに対しても有意な細胞性免疫応答を誘発することに失敗した。対応のない両側t-検定により決定された場合に、**は、P<0.001を示し、NSは、統計学的有意性がないことを示す。5匹のマウス由来のプールされた脾臓を使用する1回の代表的繰り返しからの平均を、プロットした。エラーバーは、3つ組のウェルのSEMを示している。
【
図3】
図3は、マウスのE6及びE7ポリヌクレオチドによる免疫化により誘導された、抗-E7抗体免疫応答を測定するELISAの結果のグラフ表示を示している。マウスは、sE6[C70G,I135T]-AGA-E7[C24G,E26G]/Ubi-E6[C70G,I135T]-AGA-E7[C24G,E26G](“E6E7”)ポリヌクレオチド構築体システム(10μg)、E6-コードしているポリヌクレオチド(30μg)又はE7-コードしているポリヌクレオチド(30μg)のいずれかにより、免疫化した。E6E7ポリヌクレオチド構築体システムによる免疫化は、E7単独のポリヌクレオチド構築体よりも、E7抗原性ペプチドに対するより大きい免疫応答を誘発した。この図の結果は、1回の代表的繰り返しに由来する。エラーバーは、SEMを示す。
【
図4】
図4は、E6E7融合タンパク質と比べた、E6E7ポリヌクレオチド構築体システムの免疫原性のグラフ表示である。(A)0週目(予備採血)及び5週目(最終)での血清中のHPV16 E7-特異的IgG抗体力価。各データ点は、1匹の個体動物の2つ組の平均を表している。平均値及び標準偏差が示されている。光学濃度(OD)。(B)IFN-γ ELISPOTにより測定された、HPV16 E6及びE7ペプチドによる脾細胞の再刺激時の、HPV-特異的T細胞反応。各データ点は、1匹の個体動物を表している。平均値及び標準偏差(SD)が示されている。
【
図5】
図5は、E6E7ポリヌクレオチド構築体システム(HPV DNAワクチン)、E6E7融合タンパク質又は無関係のDNAワクチンで免疫化されたマウスにおける、移植後7日目から49日目までの、K14E7移植片及びC57対照移植片サイズの減少率のプロットを示す。移植片サイズは、Fijiイメージングソフトウェアを用い、写真から計算した。7日目の移植片サイズを、ベースラインとして規定し、移植片サイズ減少の割合を、これに対して計算した。このグラフは、各実験群からの移植片サイズ縮小の割合の平均値を、示された平均の標準誤差(SEM)と共に、示している。白色シンボルは、K14E7移植片を表し、黒色シンボルは、対照移植片(C57)を示す。
【0017】
【発明を実施するための形態】
【0018】
発明の詳細な説明
1. 定義
別に規定しない限りは、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の業者により通常理解されるものと同じ意味を有する。本明細書記載の方法及び材料に類似した又は同等の任意の方法及び材料を、本発明の実践又は試験において使用することができるが、好ましい方法及び材料が説明されている。本発明の目的のために、以下の用語が、下記に定義される。
【0019】
冠詞ある(“a”及び“an”)は、その項目の文法上の目的語の一つ又はふたつ以上(すなわち、少なくとも一つ)を指す。例として、「ある要素」は、一つの要素又はふたつ以上の要素を意味する。
【0020】
「約」は、参照の数量、レベル、値、頻度、割合、寸法、サイズ、又は量に対し、15%以下だけ、及び好ましくは10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%以下だけ変動する、数量、レベル、値、頻度、割合、寸法、サイズ、又は量を意味する。
【0021】
用語「同時の投与」又は「同時に投与する」又は「共-投与」及び同類のものは、2種以上の活性物(active)を含有する単独の組成物の投与、又は各活性物の個別の組成物としての投与、並びに/又は有効な結果がかかる活性物の全てが単独の組成物として投与される場合に得られた結果と同等であるのに十分な短期間内で同じ期間にもしくは同時にもしくは連続しての個別の経路による送達を指す。「同時に」は、活性物質が、実質的に同じ時点で、望ましくは同一製剤中で一緒に投与されることを意味する。「同じ期間に」は、活性物質が、近い時点で投与されること、例えば一剤は、別の投与の前又は後の約1分以内から約1日以内までに投与されることを意味する。あらゆる同じ期間が有用である。しかし、同時に投与されない場合、これらの物質は、約1分以内から約8時間以内までに投与され、好ましくは約1時間未満以内から約4時間未満以内までに投与されるようなことが多いであろう。同じ期間に投与される場合、これらの物質は、好適には対象の同じ部位に投与されるか、又は対象の異なる部位に投与される(例えば、左腕と右腕の両方に投与)。用語「同じ部位」は、正確な位置を含むが、約0.5~約15cm以内、好ましくは約0.5~約5cm以内であることができる。本明細書において使用される用語「個別に」は、物質が間隔をあけて、例えば約1日から数週間又は数ヶ月の間隔をあけて、投与されることを意味する。活性物質は、いずれかの順番で投与されてよい。本明細書において使用される用語「連続して」は、物質が、例えば、数分、数時間、数日又は数週間の1回もしくは複数回の間隔をあけて、順次投与されることを意味する。好適ならば、活性物質は、規則的な反復サイクルで投与されてよい。
【0022】
本明細書において使用される「及び/又は」は、1又は複数の関連した列挙された項目の、任意の及び全ての可能性のある組合せを、並びに代わりの(又は)で中断される場合は、組合せを欠いていることを指し且つこれを包含している。
【0023】
用語「抗原」及び「エピトープ」は、当該技術分野において周知であり、且つ免疫系の成分、例えば抗体又はT細胞抗原受容体により特異的に認識される大型分子の部分を指す。エピトープは、液体中の、例えば他の分子から遊離した、抗体により認識される。エピトープがクラスI又はクラスII主要組織適合遺伝子複合体分子と会合している場合には、エピトープはT細胞抗原受容体により認識される。「CTLエピトープ」は、エピトープがMHCクラスI分子と会合して細胞表面に提示される場合に、細胞傷害性Tリンパ球(通常CD8+細胞)により認識されるエピトープである。
【0024】
用語「の間」は、数値の範囲に関して使用される場合、その範囲の各末端の数値を包含することは理解されるであろう。例えば、合成構築体の30μgと約1000μgの間を含有する組成物は、合成構築体の30μgを含有する組成物及び合成構築体1000μgを含有する組成物を含んでいる。
【0025】
本明細書において使用される用語「シス-作用配列」又は「シス-調節領域」又は類似の用語は、遺伝子配列の発現が少なくとも一部はヌクレオチドの配列により調節される、発現可能な遺伝子配列から誘導される、任意のヌクレオチドの配列を意味するとされるべきである。当業者は、シス-調節領域は、任意の構造遺伝子配列の発現レベル及び/又は細胞-型-特異性及び/又は発生特異性を、活性化、サイレンス化、増強、抑制又はそうでなければ変更することが可能であることを知っているであろう。
【0026】
「コード配列」は、遺伝子のポリペプチド産物のコードに寄与する任意の核酸配列を意味する。対照的に、用語「非コード配列」は、遺伝子のポリペプチド産物のコードに寄与しない任意の核酸配列を指す。
【0027】
本明細書を通じて、文脈が別に必要としない限りは、語句「らを含む」、「を含む」及び「含んでいる」は、言及されたある工程又は要素もしくは工程又はエレメントの群の包含を暗示するが、任意の他の工程又は要素もしくは工程又は要素の群の排除を暗示しないことは理解されるであろう。従って用語「含んでいる」及び同類のものの使用は、列挙された要素は、必要又は義務であるが、他の要素は任意であり、且つ存在しても存在しなくてもよいことを示している。「からなる」は、語句「からなる」に続くものを、非限定的に含んでいることを意味する。従って、語句「からなる」は、列挙された要素が、必要又は義務であり、且つ他の要素は存在しなくてよいことを示している。「本質的になる」は、この語句の後に列挙されたあらゆる要素を含んでおり、並びに列挙された要素についての開示において特定された活性又は作用を妨害しないかもしくはこれに寄与する他の要素に限定されることを意味する。従って語句「本質的になる」は、列挙された要素は、必要又は義務であるが、他の要素は任意であり、且つそれらが列挙された要素の活性若しくは作用に影響を及ぼすかどうかに応じ、存在しても存在しなくてもよいことを示している。
【0028】
用語「構築体」は、異なる給源由来の1又は複数の単離された核酸配列を含む組換え遺伝子分子を指す。従って、構築体は、異なる起源の2種以上の核酸配列が単独の核酸分子に集成されているキメラ分子であり、且つ(1)天然においては一緒に認められない調節配列及びコード配列を含む、核酸配列(すなわち、少なくとも1種のヌクレオチド配列は、その他方のヌクレオチド配列の少なくとも1種に関して異種である)、又は(2)天然には隣接されない機能性RNA分子又はタンパク質の部分をコードしている配列、又は(3)天然には隣接されないプロモーターの部分:を含んでいる、任意の構築体を含む。代表的構築体は、任意の給源から誘導された、ゲノム組込みもしくは自律複製が可能であり、1又は複数の核酸分子が機能的に連結されている核酸分子を含む、プラスミド、コスミド、ウイルス、自律複製ポリヌクレオチド分子、ファージ、又は線状もしくは環状の1本鎖もしくは2本鎖のDNAもしくはRNA核酸分子などの、任意の組換え核酸分子を含む。本発明の構築体は、一般に、例えば、標的核酸配列又はモジュレーター核酸配列などの、同じくその構築体内に含まれる、関心対象の核酸配列の発現を指示するための必須エレメントを含むであろう。かかるエレメントは、関心対象の核酸配列に(その転写を指示するために)機能的に連結されているプロモーターなどの、制御エレメントを含んでよく、時には更にポリアデニル化配列を含む。本発明の特定の実施態様において、構築体は、ベクター内に含まれてよい。構築体の成分に加え、ベクターは、例えば、1又は複数の選択マーカー、原核細胞起点及び真核細胞起点などの1又は複数の複製起点、少なくとも1つの多重クローニング部位、及び/又は構築体の宿主細胞ゲノムへの安定した組込みを促進するエレメントなどを含んでよい。2種以上の構築体は、単独のベクター又はRNAなどの、単独の核酸分子内に含まれ得るか、あるいは2種以上の個別のベクターなどの、2種以上の個別の核酸分子内に含まれ得る。「発現構築体」は一般に、関心対象のヌクレオチド配列に機能的に連結された制御配列を少なくとも含む。この様式で、例えば、発現されるべきヌクレオチド配列と機能的に結合しているプロモーターが、生物における又は宿主細胞を含むその一部における発現のために、発現構築体において提供される。本発明の実践のために、構築体及び宿主細胞を調製及び使用するための従来の組成物及び方法は、当業者に周知であり、例えば、「分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)」第3版、第1、2及び3巻;J. F. Sambrook、D. W. Russell、及びN. Irwin、Cold Spring Harbor Laboratory Press、2000年を参照されたい。
【0029】
本明細書において使用される用語「遅延型過敏症」(IV型過敏症とも称される)は、CD4+及び/又はCD8+ T細胞を含む、細胞性免疫反応を指す。CD4+ヘルパーT細胞は、抗原-提示細胞(APC)上のクラスII MHC分子により提示された抗原を認識する。この場合APCは、IL-12-分泌するマクロファージであることが多く、これは更なるCD4+ Th1細胞の増殖を刺激する。これらのCD4+ T細胞は、次に、IL-2及びIFN-γを分泌し、更に他のTh1サイトカインの放出を誘導し、結果的に実質的細胞性免疫応答を媒介する。CD8+ T細胞は、接触時に標的細胞を破壊するように機能するのに対し、活性化されたマクロファージは、細胞内病原体への曝露時に加水分解酵素を生成する。皮膚におけるDTH反応は、インビボにおいて細胞性免疫にアクセスするために通常使用される(Pichlerら 2011参照)。具体的には、抗原の真皮又は皮下投与後、好適には皮内投与後、注射後約48時間での硬結及び紅斑の発生は、陽性DTH反応、及び実質的細胞性免疫応答を強力な指標である。
【0030】
免疫応答を調節するか又は疾患もしくは状態を治療する状況において、「有効量」とは、その調節、治療又は予防を達成するのに有効である、単回投与量又は連続の一部としてのいずれかでの、それを必要とする個体への、組成物のその量の投与を意味する。有効量は、治療される個体の健康状態及び生理的状態、治療される個体の分類学的群、その組成物の処方、医学的状況の評価、並びに他の関連因子に応じて、変動するであろう。この量は、慣習的治験を通じて決定され得る比較的広い範囲に収まることは予想される。
【0031】
本明細書において企図される免疫応答を「誘発」又は「誘導」することは、新規免疫応答を刺激すること、及び/又は既存の免疫応答を増強することを含むことは、理解されるであろう。
【0032】
本明細書において使用される用語「コードする」、「コードしている」及び同類のものは、別の核酸又はポリペプチドを提供する核酸の能力をいう。例えば核酸配列が、ポリペプチドを生成するために転写及び/もしくは翻訳される場合、又はポリペプチドを生成するために転写及び/もしくは翻訳され得る形へプロセッシングされ得る場合に、核酸配列は、ポリペプチドを「コードする」と称される。かかる核酸配列は、コード配列を含むか、又はコード配列と非コード配列の両方を含んでよい。従って用語「コードする」、「コードしている」及び同類のものは、DNA分子の転写から生じるRNA産物、RNA分子の翻訳から生じるタンパク質、RNA産物を形成するためのDNA分子の転写及びRNA産物の引き続きの翻訳から生じるタンパク質、又はRNA産物を提供するためのDNA分子の転写、プロセッシングされたRNA産物(例えばmRNA)を提供するためのRNA産物のプロセッシング及びプロセッシングされたRNA産物の引き続きの翻訳から生じるタンパク質を含む。
【0033】
用語「免疫応答を増強する」、「より強力な免疫応答を生じる」及び同類のものは、HPV E6又はHPV E7ポリペプチドに対し反応する動物の能力を増大することを指し、これは例えば、かかる抗原を攻撃するためにプライミングされる動物の細胞の数、活性、及び能力の増加を、並びに/又はHPV E6又はHPV E7ポリペプチドとの免疫相互作用である、動物における抗体の力価もしくは活性の増加を検出することにより、決定することができる。免疫応答の強さは、以下を含む標準免疫検定により測定することができる:抗体力価又は末梢血リンパ球の直接測定;細胞溶解Tリンパ球アッセイ;ナチュラルキラー細胞の細胞傷害性アッセイ;リンパ液増殖(リンパ球活性化)アッセイを含む、細胞増殖アッセイ;免疫細胞サブセットの免疫検定;感作された対象における抗原に特異的なTリンパ球のアッセイ;細胞性免疫に関する皮膚試験:など。かかるアッセイは、当該技術分野において周知である。例えば、Ericksonら、1993, J. Immunol. 151:4189-4199;Doeら、1994, Eur. J. Immunol. 24:2369-2376を参照されたい。細胞性免疫反応を測定する最新の方法は、細胞内サイトカイン又はT細胞集団によるサイトカイン分泌の測定、又はエピトープ特異的T細胞の測定(例えば、テトラマー技術)を含む(McMichael, A. J.、及びO'Callaghan, C. A.、1998, J. Exp. Med. 187(9)1367-1371;Mcheyzer-Williams, M. G.ら、1996, Immunol. Rev. 150:5-21;Lalvani, A.ら、1997, J. Exp. Med. 186:859-865による総説)。例えば免疫検定により測定されるような免疫応答の強度におけるなんらかの統計学的に有意な増加は、本明細書において使用される「増強された免疫応答」又は「免疫増強」と考えられる。増強された免疫応答はまた、炎症、並びに全身性及び局所性の感染症の治癒、並びに例えば病巣及び疣贅などの疾患における症状の軽減などの生理的徴候により示される。かかる生理的徴候はまた、本明細書において使用される「増強された免疫応答」又は「免疫増強」を包含している。
【0034】
遺伝子配列に関する用語「発現」は、遺伝子の転写、及び適切ならば得られるmRNA転写産物のタンパク質への翻訳を指す。従って文脈から明らかであるように、コード配列の発現は、コード配列の転写及び翻訳から生じる。反対に、非コード配列の発現は、非コード配列の転写から生じる。
【0035】
「発現ベクター」は、ベクターによりコードされたタンパク質の合成を指示することが可能である自律遺伝子エレメントを意味する。かかる発現ベクターは、当業者に公知である。
【0036】
本明細書において使用される用語「遺伝子」は、ゲノムの任意の及び全ての個別のコード領域、並びに関連した非コード領域及び調節領域を指す。遺伝子はまた、1又は複数の特異的ポリペプチドをコードしているオープンリーディングフレームを意味し、並びに任意に1又は複数のイントロン、並びに発現の調節に関連した隣接5’及び3’非コードヌクレオチド配列を含むことが意図される。これに関して、遺伝子は更に、所与の遺伝子と天然に会合されている、プロモーター、エンハンサー、終結シグナル及び/又はポリアデニル化シグナルなどの調節核酸、又は異質制御シグナルを含んでよい。遺伝子は、機能性タンパク質を生成するために使用されることが可能であってもなくともよい。遺伝子は、コード領域及び非コード領域の両方を含むことができる。
【0037】
核酸又はアミノ酸配列の文脈において、本明細書において使用される用語「HPV E6」又は「HPV E7」は、各々、完全長又は部分長のHPV E6又はHPV E7コード配列、あるいは各々、完全長又は部分長のHPV E6又はHPV E7アミノ酸配列(例えば、HPV株HPV 16の完全長又は部分長のE6遺伝子、ゲノム株NC_001526、それらのタンパク質発現産物)を指す。一部の実施態様において、合成コード配列は、少なくとも約30、40、50、60、70、80、90、100、120、150、200、250、300又は350個の隣接アミノ酸残基を、又は完全長HPV E6又はHPV E7アミノ酸配列(各々、158及び98個のアミノ酸残基)に存在するアミノ酸の総数のほぼ最大数をコードしている。一部の実施態様において、合成コード配列は、HPV E6及び/又はHPV E7ポリペプチドの複数の部分をコードしており、ここでこれらの部分は、同じ又は異なる。この型の具体的例において、合成コード配列は、マルチエピトープ融合タンパク質をコードしている。数多くの要因が、部分サイズの選択に影響を及ぼすことができる。例えば、合成コード配列によりコードされた個別の部分のサイズは、それがT細胞エピトープ及び/又はB細胞エピトープのサイズ、並びにそれらのプロセッシング必要要件を含む、又はこれらに対応するように、選択されることができる。当業者は、クラスI制限されたT細胞エピトープは典型的には、長さが8~10個のアミノ酸残基であること、並びに非天然のフランキング残基の隣に配置された場合に、かかるエピトープは一般に、それらが効率的にプロセッシングされ且つ提示されることを確実にするために、2~3個の天然のフランキングアミノ酸残基を必要とすることを認めるであろう。クラスII制限されたT細胞エピトープは通常、長さが12~25個のアミノ酸残基の範囲であり、且つ効率的タンパク質分解性プロセシングのために天然のフランキング残基を必要とはしないが、天然のフランキング残基は役割を果たし得ると考えられる。クラスII制限されたエピトープの別の重要な特徴は、これらは一般に、クラスII MHC分子に特異的に結合する中央部に9~10個のアミノ酸残基のコアを、このコアのいずれかの側のフランキング配列と共に含み、独立した様式で配列中のクラスII MHC抗原のいずれかの側の保存された構造と会合することにより、結合を安定化することである。従って、クラスII制限されたエピトープの機能性領域は典型的には、約15個未満のアミノ酸残基長である。線状B細胞エピトープのサイズ、及びクラスII制限されたエピトープのような、それらのプロセッシングに影響を及ぼす因子は、かなりばらつきが大きいが、かかるエピトープは、サイズが15個のアミノ酸残基よりも小さいことが多い。前述のことから、HPV E6及び/又はHPV E7ポリペプチドの個別の部分のサイズは、少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30個のアミノ酸残基であることは利点であるが、必須ではない。好適には、この個別の部分のサイズは、約500、200、100、80、60、50、40個以下のアミノ酸残基である。特定の有利な実施態様において、この個別の部分のサイズは、該ペプチド内に含まれたT細胞及び/又はB細胞エピトープの抗原提示細胞による提示に十分である。
【0038】
「免疫応答」又は「免疫学的反応」は、病原体が侵襲している体、病原体により感染された細胞又は組織への、選択的損傷、破壊、又はそれらからの排泄を生じる、前述の細胞又は肝臓により生成された、任意の1又は複数のリンパ球、抗原提示細胞、食細胞、顆粒球、及び可溶性大型分子(抗体、サイトカイン、及び補体を含む)の協奏作用を指す。一部の実施態様において、「免疫応答」は、導入された本発明の合成コード配列によりコードされているポリペプチドに対する体液性及び/又は細胞性免疫応答の個体における発生を包含している。当該技術分野において公知のように、用語「体液性免疫応答」は、抗体分子により媒介された免疫応答を含み且つ包含しているのに対し、「細胞性免疫応答」は、Tリンパ球及び/又は他の白血液細胞により媒介された免疫応答を含み且つ包含している。従って、免疫学的反応は、以下の作用の1又は複数を含んでよい:B細胞による抗体の産生;並びに/又は、関心対象の組成物もしくはワクチン中に存在する1又は複数の抗原に対し特異的に方向づけられたサプレッサーT細胞及び/又はメモリー/エフェクターT細胞の活性化。一部の実施態様において、これらの反応は、感染力を中和し、及び/又は抗体-補体、もしくは抗体依存性細胞傷害(ADCC)を媒介し、免疫化された宿主への防御を提供するのに役立つことができる。かかる反応は、当該技術分野において周知の、標準の免疫検定及び中和アッセイを用いて決定することができる(例えば、Montefioriら、1988, J Clin Microbiol. 26:231-235;Dreyerら、1999, AIDS Res Hum Retrovirus 15(17):1563-1571参照)。哺乳動物の自然免疫系もまた、免疫細胞上でのToll-様受容体及び類似の受容体分子の活性化を介して、病原性生物及び癌細胞の分子特徴を認識し且つ反応する。自然免疫系の活性化時に、様々な非適応免疫応答細胞が活性化され、例えば様々なサイトカイン、リンホカイン及びケモカインを生成する。自然免疫応答により活性化された細胞は、単球及び形質細胞様系列の未成熟及び成熟した樹状細胞(MDC、PDC)、例えば、並びにガンマ、デルタ、アルファ及びベータT細胞及びB細胞などを含む。従って、本発明はまた、免疫応答が自然応答及び適応応答の両方に関与している免疫応答を企図している。
【0039】
a)個体における、HPV E6又はHPV E7ポリペプチドに対する免疫応答の生成;あるいは、b)物質又は組成物が投与されない場合に生じるものを超える、個体における免疫応答の再構成、追加免疫、又は維持:のいずれかが可能である場合に、組成物は「免疫原性」である。単回又は反復投与量で投与される際に、これらの判定基準のいずれかを達成することが可能である場合に、物質又は組成物は免疫原性である。免疫応答は、対象における細胞性免疫応答及び/又は体液性免疫応答を含んでよい。
【0040】
「免疫応答優先性」は、それにより生物がコドンを使用し、免疫応答(例えば、細胞性免疫応答(例えば、DTH応答)及び/又は体液性免疫応答)を生じる優先性を意味する。この優先性は、例えば、免疫応答を生じるポリペプチドをコードしているオープンリーディングフレーム内の該コドンを含むポリヌクレオチドにより生成される免疫応答のレベルにより、証明され得る。特定の実施態様において、使用の優先性は、それによりポリヌクレオチドが対象へ導入される経路とは無関係である。しかし他の実施態様において、使用の優先性は、ポリヌクレオチドの対象への導入の経路によって左右される。
【0041】
本明細書を通じて、文脈が別に必要としない限りは、単語「らを含む」、「含む」及び「含んでいる」は、言及された工程もしくは要素又は工程もしくは要素の群の包含を暗示しているが、いずれか他の工程もしくは要素又は工程もしくは要素の群の排除を暗示するものではないことは理解されるであろう。
【0042】
本明細書において使用される用語「哺乳動物」は、ヒト、並びにチンパンジー及び他の類人猿及びサル種を含む非-ヒト霊長類を含む他の霊長類;畜牛、ヒツジ、ブタ、ヤギ及びウマなどの、家畜動物;イヌ及びネコなどの、家庭内哺乳動物;並びに、マウス、ラット及びモルモットなどの齧歯類を含む、実験動物を含むが、これらに限定されるものではない、任意の哺乳動物を指す。この用語は、特定の年齢を意味しない。従って、成人及び新生児の両方の個体が、対象とされることが意図される。
【0043】
本明細書において使用される用語「機能的に結合される」、「機能的に連結される」及び同類のものは、エレメントの配置を指し、ここでそのように説明された成分は、それらの通常の機能を発揮するように、構成される。従って、コード配列に機能的に連結されるプロモーターなどの所与の調節核酸は、適切な酵素が存在する場合に、コード配列の発現に作用することが可能である。プロモーターがコード配列の発現を指示するように機能する限りは、プロモーターは、コード配列に隣接しないことが必要である。従って例えば、介在性の翻訳されない依然転写された配列は、プロモーター配列とコード配列の間に存在することができ、且つこのプロモーター配列は、依然コード配列へ「機能的に連結される」と考えることができる。従って「機能的に結合される」のような用語は、構造遺伝子をプロモーターの調節制御下に配置することを含み、これは次にこの遺伝子の転写及び任意に翻訳を制御する。異種プロモーター/構造遺伝子の組合せの構築において、一般に、遺伝子転写開始部位から離れて遺伝配列又はプロモーターを配置することは好ましく、これはその遺伝子配列又はプロモーターと、その天然の状況で制御する遺伝子;すなわち、それから遺伝配列又はプロモーターが誘導される遺伝子:との間の距離とほぼ同じである。当該技術分野において公知であるように、この距離のいくつかの変動は、機能の喪失を伴わずに対応され得る。同様に、その制御下に配置されるべき異種遺伝子に関してプロモーターの好ましい配置は、その天然の状況におけるプロモーター;すなわち、それから誘導される遺伝子:の配置により規定される。あるいはHPV E6又はHPV E7コード配列を、タンパク質-不安定化エレメント(PDE)をコードしている核酸配列へ「機能的に接続する」ことは、(1)このコード配列及びPDE-コードしている核酸配列は、一緒に転写され、単独のキメラ転写産物を形成し、並びに(2)E6又はE7コード配列は、PDE-コードしている核酸配列と「インフレーム」であり、E6又はE7コード配列及びPDE-コードしている核酸配列を含むキメラオープンリーディングフレームを作製する:ような、PDE-コードしている核酸配列に対するE6又はE7コード配列の配置及び/又は配向を包含しいる。
【0044】
用語「オープンリーディングフレーム」及び「ORF」は、コード配列の翻訳開始コドンと終結コドンの間にコードされたアミノ酸配列を指す。用語「開始コドン」及び「終結コドン」は、タンパク質合成(mRNA翻訳)の開始及び鎖終結をそれぞれ特定する、コード配列内の3個の隣接ヌクレオチド(‘コドン’)の単位を指す。
【0045】
「医薬的に許容し得る担体」は、局所性又は全身性の投与において安全に使用することができる、固形又は液体の充填剤、希釈剤又は封入物質を意味する。
【0046】
本明細書において使用される用語「ポリヌクレオチド」又は「核酸」は、mRNA、RNA、cRNA、cDNA又はDNAを指定している。この用語は典型的には、長さが30個ヌクレオチドより大きいオリゴヌクレオチドを指す。
【0047】
「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」は、アミノ酸残基のポリマー並びにそれらの変種及び合成アナログを指すよう、本明細書において互換的に使用される。本明細書において使用される用語「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」は、生成物の最小の長さに限定されない。従って、ペプチド、オリゴペプチド、二量体、多量体及び同類のものが、この定義に含まれる。完全長タンパク質及びそれらの断片の両方が、この定義に包含される。これらの用語はまた、ポリペプチドの発現後修飾、例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化及び同類のものも含む。一部の実施態様において、「ポリペプチド」は、タンパク質が所望の活性を維持する限りは、未変性の配列に対する、欠失、付加及び置換(概して事実上保存的な)などの修飾を含むタンパク質を指す。これらの修飾は、部位指定変異誘発によるように、意図的であるか、又はタンパク質を生じる宿主の変異又はPCR増幅に起因したエラーによるような、偶発的であることができる。
【0048】
用語「ポリペプチド変種」及び「変種」は、少なくとも1個のアミノ酸残基の付加、欠失又は置換(概して事実上保存的な)により、参照ポリペプチドから変動するポリペプチドを指す。典型的には、変種は、HPV E6又はHPV E7ポリペプチドに対する免疫応答を誘導する上で、抗原性活性のような、参照ポリペプチドの所望の活性を維持している。概して、変種ポリペプチドは、参照ポリペプチドと「実質的に類似している」か又は「実質的に同一」であり、例えば2種の配列が並置される場合に、アミノ酸配列同一性又は類似性は50%以上、一般に約60%~70%以上、更により特定すると約80%~85%以上、例えば、少なくとも約90%~95%以上である。時には、これらの変種は、同数のアミノ酸を含むが、本明細書に説明されたように、置換を含むであろう。
【0049】
「プロモーター」への本明細書における言及は、その最も広範な状況でとりあげられ、且つ発生及び/又は環境の刺激に反応して、又は組織-特異的もしくは細胞-型-特異的様式で、遺伝子発現を変更するCCAATボックス配列及び追加の調節エレメント(すなわち、上流活性化配列、エンハンサー及びサイレンサー)を伴う又は伴わずに、正確な転写開始に必要なTATAボックスを含む、古典的ゲノム遺伝子の転写調節配列を含む。プロモーターは、通常、その発現がこれを調節する構造遺伝子の上流又は5’側に配置されるが、必ずしもではない。更にプロモーターを含む調節エレメントは通常、遺伝子の転写の開始部位の2kb以内に配置される。本発明の好ましいプロモーターは、細胞における発現を更に増強し、及び/又はそれに機能的に結合されている構造遺伝子の発現のタイミングを変更するために、1又は複数の特異的調節エレメントの追加のコピーを含むことができる。
【0050】
本明細書において使用される用語「配列同一性」は、配列が、比較ウインドウにわたり、ヌクレオチド毎を基に又はアミノ酸毎を基に同一である程度を指す。従って、「配列同一性の割合」は、比較ウインドウにわたり、2つの最適に並置された配列を比較し、同一核酸塩基(例えば、A、T、C、G、I)又は同一アミノ酸残基(例えば、Ala、Pro、Ser、Thr、Gly、Val、Leu、Ile、Phe、Tyr、Trp、Lys、Arg、His、Asp、Glu、Asn、Gln、Cys及びMet)が両方の配列で生じる位置の数を決定し、マッチした位置の数を得、このマッチした位置の数を、比較ウインドウ内の位置の総数(すなわち、ウインドウサイズ)で除算し、且つこの結果に100を掛け、配列同一性の割合を得ることにより、算出される。本発明の目的に関して、「配列同一性」は、ソフトウェアに付随する参照マニュアルで使用される標準のデフォルトを用い、DNASISコンピュータプログラム(Windows用バージョン2.5;Hitachi Softwere engineering社、サウスサンフランシスコ、カリフォルニア州、USAから入手可能)により計算された「マッチの割合」を意味すると理解されるであろう。
【0051】
「類似性」は、同一であるか、又は表3及び4に規定されたような、保存的置換を構成するアミノ酸の数の割合を指す。類似性は、GAPのような、配列比較プログラムを用いて決定することができる(Deverauxら、1984, Nucleic Acids Research 12, 387-395)。この様式において、本明細書に引用したものと類似の又は実質的に異なる長さの配列は、アラインメントへのギャップの挿入により、比較することができ、かかるギャップは、例えば、GAPにより使用される比較アルゴリズムにより、決定される。
【0052】
2つ以上のポリヌクレオチド又はポリペプチドの間の配列関係を説明するために使用される用語は、「参照配列」、「比較ウインドウ」、「配列同一性」、「配列同一性の割合」、及び「実質的同一性」を含む。「参照配列」は、ヌクレオチド及びアミノ酸残基を含む、長さが、少なくとも12であるが、頻繁には15~18、及び時には少なくとも25のモノマー単位である。2つのポリヌクレオチドは、各々、(1)2つのポリヌクレオチド間で類似している配列(すなわち、完全なポリヌクレオチド配列の一部のみ)、並びに(2)2つのポリヌクレオチド間で不一致の配列を含むので、2つ(又はそれよりも多い)ポリヌクレオチド間の配列比較は、典型的にはこれら2つのポリヌクレオチドの配列を「比較ウインドウ」にわたり比較し、配列類似性の部分的領域を同定及び比較することにより行われる。「比較ウインドウ」は、そこで2つの配列が最適に並置された後、配列が隣接位置の同じ数の参照配列と比較される、少なくとも6個の、通常約50~約100個、より一般には約100~約150個の隣接位置の概念的セグメントを指す。この比較ウインドウは、2つの配列の最適なアラインメントのために、参照配列(これは付加又は欠失を含まない)と比べて、約20%以下の付加又は欠失(すなわちギャップ)を含んでよい。比較ウインドウを並置するための配列の最適アラインメントは、アルゴリズム(Wisconsin Genetics Software Package Release 7.0におけるGAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTA、Genetics Computer Group, 575 Science Drive, マジソン、WI、USA)のコンピュータによる実行によるか、又は選択された様々な方法のいずれかにより作製される最良のアラインメント(すなわり、比較ウインドウにわたり最高の相同性割合を生じる)の検証により、実施されてよい。例えば、Altschulら、1997, Nucl. Acids Res. 25:3389に明らかにされたように、参照はまた、BLASTプログラムファミリーに対し作製されてよい。配列解析の詳細な考察は、Ausubelらの「分子生物学最新プロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)」、John Wiley & Sons社、1994-1998、第15章のユニット19.3において認めることができる。
【0053】
本明細書において使用される用語「合成コード配列」は、組換え技術又は合成技術により形成されるポリヌクレオチドを指し、並びに典型的には天然には通常認められないポリヌクレオチドを含む。
【0054】
本明細書において使用される用語「同義コドン」は、別のコドンと異なるヌクレオチド配列を有するが、他のコドンのアミノ酸と同じアミノ酸をコードしているコドンを指す。
【0055】
「治療」、「治療する」、「治療された」及び同類のものは、治療的処置及び予防的処置の両方を含むことを意味する。
【0056】
用語「ユビキチン分子」は、標的タンパク質にコンジュゲートされた場合に、プロテアソームを含む、その標的タンパク質の細胞の分解機構への導入を生じる、ユビキチン-様タンパク質のタンパク質スーパーファミリーの一員を指す。
【0057】
「ベクター」は、そこに核酸配列が挿入又はクローニングされてよい、例えば、プラスミド、バクテリオファージ、又は植物ウイルスから誘導された核酸分子を、好ましくはDNA分子を意味する。ベクターは好ましくは、1又は複数の独自の制限部位を含み、且つ標的細胞もしくは組織又はそれらの前駆細胞もしくは組織を含む規定された宿主細胞において、自律複製が可能であるか、又はクローニングされた配列が複製可能であるように、規定された宿主のゲノムに組込まれ得る。従ってベクターは、自律複製ベクター、すなわちその複製は染色体の複製とは無関係である、染色体外実体として存在するベクター、例えば線状又は閉環状プラスミド、染色体外エレメント、ミニ染色体、又は人工染色体であってよい。ベクターは、自己複製を確実にするための任意の手段を含んでよい。あるいはベクターは、宿主細胞へ導入された場合に、そのゲノムへ組み込まれ、且つそれが組み込まれている染色体(複数可)と一緒に複製されるものであってよい。ベクターシステムは、単独のベクター又はプラスミド、2つ以上のベクター又はプラスミドを含んでよく、これらは宿主細胞のゲノムに導入されるべき総DNA、又はトランスポゾンを一緒に含む。ベクターの選択は、典型的には、ベクターが導入されるべき宿主細胞とのベクターの適合性により決まるであろう。ベクターはまた、好適な形質転換体の選択に使用することができる抗生物質耐性遺伝子などの選択マーカーを含んでよい。かかる耐性遺伝子の例は、当業者に周知である。
【0058】
生物、ポリペプチド、又は核酸配列に関する用語「野生型」は、天然に生じるか、又は変化されないか、変異されないか、そうでなければ人手により操作されない少なくとも1つの天然の生物において入手可能な、生物、ポリペプチド又は核酸配列を指す。
【0059】
2. 核酸構築体システム
本発明は、以下に詳述されるような、HPV E6コード配列、及びHPV E7コード配列の両方を含む、ヌクレオチド構築体を包含している。
【0060】
2.1. HPV E6コード配列
本発明における使用のために企図された第一及び第二の合成コード配列は、タンパク性分子をコードしている。これらのコード配列に含まれるのは、HPV E6ポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドである。従って、野生型HPV E6ポリペプチドをコードしているコード配列は、本発明による使用に特に適しているが、変種HPV E6ポリペプチドもまた、具体的に企図される。本発明に従い、本発明の核酸構築体から作製されるHPV E6ポリペプチドは、コドン-最適化されたコード配列によりコードされる。
【0061】
一部の実施態様において、合成コード配列は、野生型HPV E6コード配列の少なくとも一部を最適化しているコドンを基に作製され、その具体例は、HPV 16型E6(寄託番号. NC_001526.2)を含む:
【0062】
【0063】
あるいは、任意の天然のHPV変種由来のE6コード配列が、同等に本発明での使用に適用可能である。例えば、HPV 18型(GenBank寄託番号KC662568.1)、31型(GenBank寄託番号KC662562.1)、33型(GenBank寄託番号KC662567.1)、45型(GenBank寄託番号KC662572.1)、又はいずれか他のHPV型のいずれかひとつに由来したE6核酸配列が、具体的に企図されている。
【0064】
具体例として、配列番号:1に示したポリヌクレオチド配列は、下記のアミノ酸配列(UniProt寄託番号NP_041325)をコードしている:
【0065】
【0066】
また具体的に本発明での使用に企図されているのは、変異体HPV E6コード配列である。例えば、配列番号2の70位に相当するシステイン残基、及び配列番号2の135位に相当するイソロイシン残基の単独のアミノ酸置換は、本発明者らにより利点があると構想される。具体的には、HPV E6のC70G及び/又はI135T変種が、本発明での使用のために企図されている。これらの変異は、本発明者らにより、E6の癌抑制タンパク質p53を分解する能力を低下すると仮定されている。
【0067】
2.2. HPV E7コード配列
本発明における使用のために企図された第一及び第二の合成コード配列はまた、HPV E7ポリペプチドをコードしている。好適には、野生型HPV E7ポリペプチドは、本発明での使用のためにコドン修飾されることができ、その具体例は、下記ヌクレオチド配列を有する、HPV 16型(NC_001526株)E7コード配列を含む:
【0068】
【0069】
配列番号3に示したポリヌクレオチド配列は、下記アミノ酸配列(UniProt寄託番号P03129)をコードしている:
【0070】
【0071】
HPV E6コード配列に関して先に説明したものと同様に、任意の公知のHPV型に由来したHPV E7コードしている核酸配列は、本発明での使用が企図されている(例えば、HPV 18型(UniProt寄託番号P03129により同定されたポリペプチドをコードしているGenBank寄託番号KC662605.1)、31型(UniProt寄託番号P17387により同定されたE7ポリペプチドをコードしているGenBank寄託番号KC662598.1)、33型(UniProt寄託番号P06429により同定されたポリペプチドをコードしているGenBank寄託番号KC662603.1)、45型(UniProt寄託番号P21736により同定されたポリペプチドをコードしているGenBank寄託番号KC662609.1)、又は任意の他のHPV型が、具体的に企図されている)。
【0072】
同じく本発明での使用が具体的に企図されているのは、変種HPV E7ポリペプチドである。例えば、pRB1結合ドメイン(すなわち、配列番号4に示した配列のアミノ酸残基22から26に相当)における変異が、本発明者らにより、利点があると構想されている。具体的には、配列番号4の24位に相当するシステイン残基、又は配列番号4の26位に相当するグルタミン酸残基の単独のアミノ酸変動が、具体的には考えられている。より具体的には、HPV E7のC24G及び/又はE26G変種が、本発明での使用のために企図されている。
【0073】
2.3. ユビキチンコード配列
先に広範に説明された一部の実施態様において、先に及び本明細書別所に説明された構築体システムの第二の構築体は、ユビキチン分子を含む。従って本発明は、合成HPV E6-E7融合タンパク質をコードし、且つユビキチン分子をコードしている第二の核酸配列の下流又は上流のいずれか、及びリーディングフレーム内に連結されている、第一の核酸配列を含む合成キメラポリヌクレオチドを含む核酸構築体を企図している。この型の好ましい実施態様において、第二の核酸構築体は、合成HPV E6-E7融合タンパク質をコードし、且つユビキチン分子をコードしている第二の核酸配列のすぐ隣に、下流に及びリーディングフレーム内に連結されている、第一の核酸配列を含む。別の実施態様において、第二のポリヌクレオチドは、合成HPV E6-E7融合タンパク質をコードし、且つユビキチン分子(又はそれらの生物学的活性断片)をコードしている第二の核酸配列の上流に、及びリーディングフレーム内に連結されている、第一の核酸配列を含む。更にこの型の別の実施態様において、第二のポリヌクレオチドは、合成HPV E6-E7融合タンパク質をコードし、且つユビキチン分子をコードしている第二の核酸配列のすぐ隣に、上流に、及びリーディングフレーム内に連結されている、第一の核酸配列を含む。
【0074】
好ましいが、他を排除するのではなく、ユビキチン分子コード配列は、ヒトユビキチンB分子をコードし、且つ以下の配列番号5(GenBank寄託番号NM_018955に相当)に示した配列をコードしている核酸の少なくとも一部を含む、からなる又は本質的になる:
【0075】
【0076】
一部の好ましい実施態様において、本発明での使用に適したそのユビキチンコード配列(配列番号5に示したものなど)は、単独のユビキチン分子をコードしており、その例は、配列番号6(cd01803に相当)に示されている:
【0077】
【0078】
先に説明されたように、ユビキチン分子の生物学的活性断片も、本発明での使用のために企図されている。具体的には、ユビキチンの生物学的活性断片は、異種抗原(合成HPV E6-E7融合タンパク質など)にコンジュゲートされた場合に、該抗原の細胞内タンパク質分解の速度は、ユビキチンポリペプチドの生物学的断片を伴わない抗原に対し、増大され、増強され、又はそうでなければ上昇される。
【0079】
2.4. コドン最適化
一部の実施態様において、親(例えば野生型)HPV E7コード配列内のいくつかのコドンは、国際公開公報WO 2009/049350に説明された方法を用いて、変異されている。簡単に述べると、野生型コード配列のコドンは、表1に示されたような、置き換えるコドンよりもより高い免疫応答優先性を有することがわかっている、対応する同義コドンにより置き換えられる。
【0080】
従って、このポリヌクレオチド配列内のヌクレオチドのおよそ5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%が、表1に規定されたような、同義コドンであることは、本発明の範囲内である。
【0081】
具体例において、本発明は、野生型HPV E6又は野生型HPV E7ポリペプチドの少なくとも一部に相当するアミノ酸配列をコードしている、コドン-最適化するコード配列を企図している。これらの配列は、表1に従いコドン最適化された。具体例として、Alaアミノ酸をコードしている全てのコドンは、GCTコドンと置き換えることができ;Argアミノ酸をコードしているコドンは、AGGコドン又はCGGコドン以外の任意の同義コドンにより置き換えることができ;Asnアミノ酸をコードしているコドンは、AACコドンと置き換えることができ;Aspアミノ酸をコードしているコドンの大半は、GACコドンに変更することができ;Cysアミノ酸をコードしているコドンの大半は、TGCコドンと置き換えることができ;Gluアミノ酸をコードしているコドンは、GAAコドンと置き換えてよく;Glyアミノ酸をコードしているコドンは、GGAコドンと置き換えられ;Ileアミノ酸をコードしているコドンは、ATCコドンと置き換えることができ;CTG及びCTCコドンは典型的には、Leuアミノ酸をコードするために使用され;Pheアミノ酸をコードしているコドンは、TTTコドンと置き換えることができ;Proアミノ酸をコードしているコドンは、CCCコドンと置き換えることができ;Serアミノ酸をコードしているコドンの大半は、TCGコドンと置き換えることができ;Thrをコードしているコドンの大半は、ACGコドンと置き換えることができ;Tyrアミノ酸をコードしているコドンの大半は、TACと置き換えることができ;並びに、バリン-コードしているコドンGTA及びGTTは、GTC又はGTGコドンと置き換えられた。
【0082】
一部の実施態様において、好ましくないコドンは、より好ましいコドンと置き換えられる。これは特に、核酸構築体の構造又は機能に有害な作用を生じる置換を行う場合にあてはまる(例えば、コドン置換が、スプライシング部位を導入するか、mRNA安定性/構造に負に影響するか、又は望ましくないもしくは望ましい制限酵素部位を導入もしくは破壊し、並びにtRNAプールの消耗を防止すると予想される場合)。
【0083】
これらの実施態様に従うポリヌクレオチドの具体例は、以下のものである:
HPV E6-E7合成コード配列-[配列番号7]
【0084】
【0085】
ユビキチン化されたHPV E6-E7合成コード配列-[配列番号8]
【0086】
【0087】
合成コード配列を作製するためにコドン-最適化されている親HPV E6又はHPV E7コード配列は、好適には野生型又は天然の遺伝子である。しかし、親HPV E6又はHPV E7コード配列は、天然のものではないが、組換え技術を用い操作されていることは可能である。野生型ポリヌクレオチドは、非限定的に、哺乳動物又は他の動物、並びに酵母、細菌、原虫及びウイルスなどの病原性生物を含む、真核生物又は原核生物由来などの、任意の好適な給源から得ることができる。
【0088】
当業者に理解されるように、その抗原に対する免疫応答を生じるために、HPV E6及び/又はHPV E7ポリペプチドと全く同じアミノ酸配列を共有しているポリペプチドをコードしている合成コード配列による免疫化は、一般に不要である。従って一部の実施態様において、合成コード配列によりコードされた合成HPV融合タンパク質は、HPV E6及びHPV E7ポリペプチドの少なくとも一部の変種である。「変種」ポリペプチドは、HPV E6又はHPV E7ポリペプチドのN-末端及び/又はC-末端への1又は複数のアミノ酸の欠失(いわゆる切断)又は付加;HPV E6又はHPV E7ポリペプチドの1又は複数の部位での1又は複数のアミノ酸の欠失又は付加;もしくは、HPV E6又はHPV E7ポリペプチド中の1又は複数の位置での1又は複数のアミノ酸の置換:による、HPV E6又はHPV E7ポリペプチド由来のタンパク質を含む。本発明に包含された変種ポリペプチドは、デフォルトのパラメータを用いる、本明細書別所に説明された配列位置補正プログラムにより決定された、野生型HPV E6又はHPV E7ポリペプチド又はそれらの一部のアミノ酸配列と、少なくとも約40%、50%、60%、70%、一般に少なくとも75%、80%、85%、典型的には少なくとも約90%~95%又はそれ以上、及びより典型的には少なくとも約96%、97%、98%、99%又はそれ以上の配列類似性又は同一性を有するであろう。HPV E6又はHPV E7ポリペプチドの変種は、野生型配列と一般に多くて100、50又は20個のアミノ酸残基だけ異なることができるか、又は好適にはわずか1~15個のアミノ酸残基、わずか1~10個、例えば6~10個、わずか5個、わずか4、3、2個、又は1個だけのアミノ酸残基が異なることができる。
【0089】
3. 合成HPV E6-E7融合タンパク質の構築
好適には、先に及び本明細書別所に説明されたような本発明の構築体システムによりコードされた合成HPV E6-E7融合タンパク質は、HPV E6とHPV E7ポリペプチド配列の間に及びこれらに近接して配置されたポリペプチドリンカー配列を含むことが多い。
【0090】
一部の実施態様において、リンカー配列は、1又は複数のグリシン残基を含む。一部の同じ又は他の実施態様において、リンカー配列は、1又は複数のアラニン残基を含む。好適なリンカーポリペプチドは、当該技術分野において周知である。任意のリンカーは、本発明での使用に同等に適しているが、好適なリンカー配列の一部の非限定的具体例は、Ala-Gly-Ala、Gly-Ser、(Gly-Ser)2、(Gly-Ser)3、Gly2-Ser-Gly、(Gly2-Ser-Gly)2、(Gly2-Ser-Gly)3、Gly3-Ser-Gly、(Gly3-Ser-Gly)2、(Gly3-Ser-Gly)3、Gly4-Ser、(Gly4-Ser)2、及び(Gly4-Ser)3である。
【0091】
合成HPV E6-E7融合タンパク質の変種ポリペプチド配列は、野生型HPV E6又はHPV E7ポリペプチド配列と比べ、それらの配列に沿って、様々な位置で保存的アミノ酸置換を含んでよい。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基により置き換えられているものである。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野において定義されており、これは一般に以下のように小分類され得る:
【0092】
酸性:この残基は、生理的pHでのHイオンの喪失のため、負電荷を有し、且つこの残基は、そのペプチドが生理的pHの水性媒体中に存在する場合には、その中にこの残基が含まれるペプチドの高次構造中の表面位置を求めるように、水溶液により引き付けられる。酸性側鎖を有するアミノ酸は、グルタミン酸及びアスパラギン酸を含む。
【0093】
塩基性:この残基は、生理的pHでの、又はそれらのpH単位1もしくは2以下でのHイオンとの会合のため(例えばヒスチジン)、正電荷を有し、且つこの残基は、そのペプチドが生理的pHの水性媒体中に存在する場合には、その中にこの残基が含まれるペプチドの高次構造中の表面位置を求めるように、水溶液により引き付けられる。塩基性側鎖を有するアミノ酸は、アルギニン、リジン及びヒスチジンを含む。
【0094】
帯電型:この残基は、生理的pHで帯電し、従って、酸性又は塩基性側鎖を有するアミノ酸(すなわち、グルタミン酸、アスパラギン酸、アルギニン、リジン及びヒスチジン)を含む。
【0095】
疎水性:この残基は、生理的pHで帯電せず、且つこの残基は、そのペプチドが水性媒体中に存在する場合には、その中にこの残基が含まれるペプチドの高次構造中の内部位置を求めるように、水溶液により反発される。疎水性側鎖を有するアミノ酸は、チロシン、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン及びトリプトファンを含む。
【0096】
中性/極性:この残基は、生理的pHで帯電しないが、この残基は、そのペプチドが水性媒体中に存在する場合には、その中にこの残基が含まれるペプチドの高次構造中の内部位置を求めるように水溶液により反発されるには十分ではない。中性/極性側鎖を有するアミノ酸は、アスパラギン、グルタミン、システイン、ヒスチジン、セリン及びトレオニンを含む。
【0097】
この説明はまた、特定のアミノ酸を、それらの側鎖は極性基を欠いているとしても、疎水性を付与するのに十分には大きくないので、「小型」として特徴付けている。プロリンを例外として、「小型」アミノ酸は、少なくとも1個の極性基が側鎖上にある場合は4個以下の炭素を、並びに側鎖上にない場合は3個以下の炭素を持つものである。小型側鎖を有するアミノ酸は、グリシン、セリン、アラニン及びトレオニンを含む。遺伝子コードされた第2級アミノ酸プロリンは、ペプチド鎖の第2級高次構造に対するその公知の作用のために、特別な事例である。プロリンの構造は、他の天然のアミノ酸の全てと、その側鎖がα-アミノ基の窒素、並びにα-炭素に結合されている点が異なる。しかし、いくつかのアミノ酸類似性マトリクス(例えば、例として、Dayhoffら、(1978)「タンパク質進化的変化のモデル:距離相関を決定するマトリクス(A model of evolutionary change in proteins. Matrices for determining distance relationships)」、M. O. Dayhoff(編集)、Atlas of Protein sequence and structure、第5巻345-358頁、National Biomedical Research Foundation, ワシントンDC;並びに、Gonnetら、1992, Science 256(5062): 1430-1445により説明されたような、PAM120マトリクス及びPAM250マトリクス)は、グリシン、セリン、アラニン及びトレオニンと同じ群にプロリンを含んでいる。従って、本発明の目的に関して、プロリンは、「小型」アミノ酸として分類される。
【0098】
極性又は非極性としての分類に必要とされる引力又は反発力の程度は、任意であり、従って本発明により具体的に企図されたアミノ酸は、どれか一つに分類されている。具体的に指名されないほとんどのアミノ酸は、既知の挙動を基に分類することができる。
【0099】
アミノ酸残基は更に、環状又は非環状、及び芳香族又は非芳香族として、残基の側鎖置換基群に関して自明の分類として、並びに小型又は大型として、小分類することができる。残基は、追加の極性置換基が存在するとするならば、カルボキシル炭素を含む、合計4個以下の炭素原子を含む場合に;存在しないならば、3個以下を含む場合に、小型と考えられる。当然小型残基は、常に非芳香族である。それらの構造特性に応じて、アミノ酸残基は、2つ以上のクラスに収まる。天然のタンパク質アミノ酸に関して、このスキームによる小分類を、表3に提示している。
【0100】
【0101】
保存的アミノ酸置換はまた、側鎖を基にした群別を含む。例えば、脂肪族側鎖を有するアミノ酸の群は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、及びイソロイシンであり;脂肪族-ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸の群は、セリン及びトレオニンであり;アミド-含有側鎖を有するアミノ酸の群は、アスパラギン及びグルタミンであり;芳香族側鎖を有するアミノ酸の群は、フェニルアラニン、チロシン、及びトリプトファンであり;塩基性側鎖を有するアミノ酸の群は、リジン、アルギニン、及びヒスチジンであり;並びに、イオウ-含有側鎖を有するアミノ酸の群は、システイン及びメチオニンである。例えば、ロイシンのイソロイシン又はバリンによる置換、アスパラギン酸のグルタミン酸による置換、トレオニンのセリンによる置換、又はアミノ酸の構造的に関連したアミノ酸による類似の置換は、生じる変種ポリペプチドの特性に大きい影響を有さないであろうと予想することは、妥当である。保存的置換は、置換の例の見出しの下で、下記表4に示されている。より好ましい置換は、好ましい置換の見出しの下に示されている。本発明の範囲内に収まるアミノ酸置換は概して、(a)置換の領域におけるペプチド主鎖の構造、(b)標的部位でのその分子の電荷又は疎水性、あるいは(c)側鎖の嵩:の維持に対するそれらの作用が著しく異なることがない置換を選択することにより達成される。置換が導入された後、変種は、生物活性についてスクリーニングされる。
【0102】
【0103】
あるいは、保存的置換を作製するための類似のアミノ酸は、側鎖の同一性を基に3つの範疇に群別され得る。Zubay, G.の「生化学(Biochemistry)」第3版、Wm.C. Brown Publishers (1993)に説明されたように、第一群は、グルタミン酸、アスパラギン酸、アルギニン、リジン、ヒスチジンを含み、これらは全て帯電した側鎖を有し;第二群は、グリシン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、グルタミン、アスパラギンを含み;並びに、第三群は、ロイシン、イソロイシン、バリン、アラニン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニンを含む。
【0104】
3.1. コドンの置換方法
ひとつのコドンの別のコドンとの置き換えは、当該技術分野において公知の標準方法を用いて実行することができる。例えば、親ポリヌクレオチドのコドン修飾は、例えば、オリゴヌクレオチド指定変異誘発、縮重オリゴヌクレオチドによる変異誘発、及び領域特異的変異誘発を含む、いくつかの公知の変異誘発技術を用い、実行することができる。例証的インビトロ変異誘発技術は、例えば、米国特許第4,184,917号、第4,321,365号及び第4,351,901号、又はAusubelらの文献(CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY, John Wiley & Sons社、1997)及びSambrookらの文献(MOLECULAR CLONING. A LABORATORY MANUAL, Cold Spring Harbor Press社、1989)の関連する項に説明されている。インビトロ変異誘発の代わりに、合成コード配列は、例えば米国特許第4,293,652号に説明されたような、容易に利用可能な仕組みを用い、その場で合成することができる。しかし、本発明は、合成コード配列の構築に関するいずれかひとつの特定の技術に依存せず、これに指定されないことは留意すべきである。
【0105】
3.2. 調節核酸
第一及び第二の構築体は典型的には各々、調節核酸に機能的に連結される合成コード配列を含む。この調節核酸は好適には、関心対象の生物又はその生物の細胞における発現に適合するであろう、転写及び/又は翻訳制御配列を含む。典型的には、転写及び翻訳の調節制御配列は、プロモーター配列、5’非-コード領域、転写調節タンパク質もしくは翻訳調節タンパク質への機能性結合部位のようなシス-調節領域、上流のオープンリーディングフレーム、リボソーム-結合配列、転写開始部位、翻訳開始部位、並びに/又はリーダー配列、終結コドン、翻訳停止部位、及び3’非-翻訳領域をコードしているヌクレオチド配列を含むが、これらに限定されるものではない。当該技術分野において公知の構成性又は誘導性プロモーターは、本発明により企図される。これらのプロモーターは、天然のプロモーター、又は2種以上のプロモーターのエレメントを組み合わせているハイブリッドプロモーターのいずれかであってよい。本発明により企図されたプロモーター配列は、関心対象の生物に本来備わるか、又はその領域が選択された生物において機能する別の給源に由来することができる。プロモーターの選択は、意図された宿主又は細胞もしくは組織の種類に応じて異なるであろう。例えば、哺乳動物における発現に使用することができるプロモーターは、とりわけ、カドミニウムのような重金属に反応して誘導され得るメタロチオネインプロモーター、β-アクチンプロモーター、並びにSV40ラージT抗原プロモーター、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)極初期(IE)プロモーター、ラウス肉腫ウイルスLTRプロモーター、マウス乳癌ウイルスLTRプロモーター、アデノウイルス主要後期プロモーター(AdMLP)、単純ヘルペスウイルスプロモーター、及びHPVプロモーターなどの、ウイルスプロモーターを含み、特にHPV上流調節領域(URR)が挙げられる。これらのプロモーターは全て、当該技術分野においてよく説明されており、且つ容易に入手可能である。
【0106】
エンハンサーエレメントもまた、哺乳動物の構築体の発現レベルを増加するために、本明細書において使用されてよい。例としては、例えばDijkemaらの論文(1985, EMBO J. 4:761)に説明されたSV40初期遺伝子エンハンサー、例えばGormanらの論文(1982, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79:6777)に説明されたようなラウス肉腫ウイルスの末端反復配列(LTR)由来のエンハンサー/プロモーター、並びに例えばBoshartらの論文(1985, Cell 41:521)に説明されたようなヒトCMV由来のエレメント、例えばCMVイントロンA配列に含まれるエレメントなどがある。
【0107】
第一及び第二の構築体はまた、3’非-翻訳配列を含んでよい。3’非-翻訳配列は、ポリアデニル化シグナル及びmRNAプロセシング又は遺伝子発現に影響を及ぼすことが可能であるいずれか他の調節シグナルを含む、DNAセグメントを含む遺伝子の一部を指す。ポリアデニル化シグナルは、mRNA前駆体の3’末端にポリアデニル酸鎖(tracts)の付加を実行することにより特徴付けられる。ポリアデニル化シグナルは通常、限界構造5’AATAAA-3’との相同性の存在により認識されるが、変動は一般的ではない。3’非-翻訳調節DNA配列は好ましくは、約50~1,000個のヌクレオチドを含み、且つポリアデニル化シグナル及びmRNAプロセシング又は遺伝子発現に影響を及ぼすことが可能である任意の他の調節シグナルに加え、転写及び翻訳終結配列を含んでよい。
【0108】
一部の実施態様において、第一及び第二の構築体は更に、該構築体を含む細胞を選択することが可能であるよう、選択マーカー遺伝子を含む。選択遺伝子は、当該技術分野において周知であり、且つ関心対象の細胞における発現に適合しているであろう。
【0109】
しかし異種システムにおけるタンパク質-コードしているポリヌクレオチドの発現は、現在周知であり、且つ本発明は、いずれか特定のベクター、転写制御配列又はポリヌクレオチドの発現技術に必ずしも指定されないか、又は依存しないことは理解されるであろう。むしろ、本明細書に示された方法に従い調製される合成コード配列は、いずれか好適な構築体又はベクターの形で、いずれか好適な様式で、哺乳動物へ導入されてよく、並びにこれらの合成コード配列は、任意の従来の様式で公知の転写調節エレメントにより発現されてよい。
【0110】
更に第一及び第二の構築体は、例として、例えば単独の又は2種以上のHPV E6又はHPV E7ポリペプチドに由来した、関心対象の複数の抗原/エピトープをコードしている、キメラ抗原-コード遺伝子配列を含むように、構築され得る。特定の実施態様において、例えばEMCV IRES又は同様のものを使用し、単独のmRNAから複数のアジュバント及び/又は抗原性ポリペプチドの発現を可能にする、マルチ-シストロン性カセット(例えば、バイ-シストロン性カセット)を、構築することができる。他の実施態様において、アジュバント及び/又は抗原性ポリペプチドは、独立した転写調節エレメントに機能的に結合されている個別のコード配列上にコードされることができる。
【0111】
3.3. ベクター
先に説明した第一及び第二の構築体は、好適には、哺乳動物細胞における組換えタンパク質の発現に適しているベクターの形であり、特に遺伝的免疫化による免疫応答の中和の誘導に関して同定されたものである。DNAワクチンにおける使用のため特に調製されたベクターは、一般に、標的生物における導入遺伝子の発現を指示する真核生物領域を、大腸菌(E. coli)宿主における選択及び増殖を提供する細菌領域と組合せている。この真核生物領域は、関心対象の遺伝子の上流のプロモーター、及び下流のポリアデニル化シグナル(polyA)を含む。細胞核へのトランスフェクション時に、このプロモーターは、導入遺伝子を含むmRNAの転写を指示する。ポリアデニル化シグナルは、mRNA切断及びポリアデニル化を媒介し、これは細胞質への効果的mRNA輸送に繋がる。コザック配列(gccgccRccATGGコンセンサス、コザック配列内の導入遺伝子ATG開始コドンには下線をつけた、キャップ内の重要な残基、R=A又はG)が含まれることが多い。コザック配列は、リボソームにより細胞質内で認識され、効率的導入遺伝子翻訳を指示する。構成性ヒトサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターは、ほとんどの哺乳動物細胞において、代わりのウイルスプロモーター又は細胞性プロモーターよりも、より高いレベルのmRNAを転写するより高い活性があるので、これは、DNAワクチンにおいて使用される最も一般的なプロモーターである。ポリAシグナルは典型的には、ポリアデニル化効率を増大するために使用され、結果的にこれは増加したmRNAレベル、及び改善された導入遺伝子発現を生じる。
【0112】
3.4. ウイルスベクター
一部の実施態様において、本発明の第一及び第二の構築体は、自己複製染色体外ベクター(例えばプラスミド)及び宿主ゲノムへ組み込んでいるベクターから好適に選択される発現ベクターの形である。この型の具体例において、発現ベクターは、染色体外エレメントとして複製する能力を有するシミアンウイルス40(SV40)又はウシパピローマウイルス(BPV)(Eukaryotic Viral Vectors, Cold Spring Harbor Laboratory, Gluzman編集、1982;Sarverら、1981, Mol. Cell. Biol. 1:486)、又はアルファウイルス自己増幅ベクター(Geallら、2012)などの、ウイルスベクターである。ウイルスベクターは、細胞においてポリヌクレオチド又は導入遺伝子を導入し発現を指示するよう修飾された、レトロウイルス(レンチウイルス)、アデノ随伴ウイルス(例えば、AAVベクターを説明する、Okada, 1996, Gene Ther. 3:957-964;Muzyczka, 1994, J. Clin. Invst. 94:1351;米国特許第6,156,303号;第6,143,548号、第5,952,221号参照;同じく、米国特許第6,004,799号;第5,833,993号も参照)、アデノウイルス(例えば、米国特許第6,140,087号;第6,136,594号;第6,133,028号;第6,120,764号参照)、レオウイルス、ヘルペスウイルス、ロタウイルスのゲノムなどを含む。レトロウイルスベクターは、マウス白血病ウイルス(例えば米国特許第6,132,731号参照)、テナガザル白血病ウイルス(例えば米国特許第6,033,905号参照)、シミアン免疫欠損ウイルス、ヒト免疫欠損ウイルス(例えば米国特許第5,985,641号参照)、並びにそれらの組合せを基にしたものを含むことができる。
【0113】
ベクターはまた、遺伝子をインビボにおいて動物細胞(例えば幹細胞)へ効率的に送達するものを含む(例えば米国特許第5,821,235号及び第5,786,340号;Croyleら、1998, Gene Ther. 5:645;Croyleら、1998, Pharm. Res. 15:1348;Croyleら、1998, Hum. Gene Ther. 9:561;Foremanら、1998, Hum. Gene Ther. 9:1313;Wirtzら、1999, Gut 44:800参照)。インビボ送達に適しているアデノウイルスベクター及びアデノ随伴ウイルスベクターは、例えば、米国特許第5,700,470号、第5,731,172号及び第5,604,090号に説明されている。インビボ送達に適している追加のベクターは、単純ヘルペスウイルスベクター(例えば米国特許第5,501,979号参照)、レトロウイルスベクター(例えば米国特許第5,624,820号、第5,693,508号及び第5,674,703号;並びに、WO92/05266及びWO92/14829参照)、ウシパピローマウイルス(BPV)ベクター(例えば米国特許第5,719,054号参照)、CMV-ベースのベクター(例えば米国特許第5,561,063号参照)、並びにパルボウイルス、ロタウイルス及びノーウォークのウイルスベクターを含む。レンチウイルスベクターは、分裂細胞、並びに非分裂細胞の感染に有用である(例えば米国特許第6,013,516号参照)。
【0114】
関心対象の抗原をコードしている核酸分子の送達における使用がわかっている追加のウイルスベクターは、ワクシニアウイルス及びトリポックスウイルスを含む、ポックスウイルス科に由来するものを含む。例として、第一及び第二の構築体を発現するワクシニアウイルス組換え体は、以下のように構築することができる。この抗原コード配列は、ワクシニアプロモーター、及びチミジンキナーゼ(TK)をコードしている配列のようなフランキングワクシニアDNA配列に隣接するように、好適なベクターへ最初に挿入される。次にこのベクターは、ワクシニアで同時に感染される細胞をトランスフェクションするために使用される。相同組換えは、ワクシニアプロモーターに加え関心対象のコード配列をコードしている遺伝子の、ウイルスゲノムへの挿入を助ける。得られるTK-組換え体は、5-ブロモデオキシウリジンの存在下で細胞を培養し、それらに抵抗性のウイルスプラークを採取することにより選択することができる。
【0115】
あるいは、鶏痘ウイルス及びカナリアポックスウイルスのような、トリポックスウイルスも、本遺伝子の送達に使用することができる。哺乳動物病原体由来の免疫原を発現している組換えトリポックスウイルスは、鳥類以外の種へ投与される場合に、防御免疫をもたらすことはわかっている。トリポックス属の一員は、易感染性の鳥種においてのみ生産的に複製することができ、従って哺乳動物細胞においては感染性ではないので、トリポックスベクターの使用は、ヒト及び他の哺乳動物種において、特に望ましい。組換えトリポックスウイルスを作製する方法は、当該技術分野において公知であり、且つワクシニアウイルスの製造に関して先に説明されたような遺伝子組換えを利用する。例えば、WO 91/12882;WO 89/03429;及び、WO 92/03545を参照されたい。
【0116】
Michaelら、J. Biol. Chem. (1993) 268:6866-6869及びWagnerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1992) 89:6099-6103に説明された、アデノウイルスキメラベクターなどの、分子コンジュゲートベクターも、遺伝子送達に使用することができる。
【0117】
非限定的に、シンドビスウイルス(SIN)、セムリキ森林ウイルス(SFV)、及びベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEE)由来のベクターのような、アルファウイルス属の一員もまた、本発明の第一及び第二の構築体の送達のためのウイルスベクターとしての使用が認められるであろう。本方法の実践に有用なシンドビスウイルス由来ベクターの説明に関して、Dubenskyらの論文(1996, J. Virol. 70:508-519;及び、国際公開公報WO 95/07995、WO 96/17072);並びに、Dubensky, Jr., T. W.,らの米国特許第5,843,723号、及びDubensky, Jr., T. W.の米国特許第5,789,245号を参照されたい。この種のベクターの例は、シンドビスウイルス及びベネズエラウマ脳炎ウイルス由来の配列で構成されたキメラアルファ・ウイルスベクターである。例えば、Perriらの論文(2003, J. Virol. 77: 10394-10403)、並びに国際公開公報WO 02/099035、WO 02/080982、WO 01/81609、及びWO 00/61772を参照されたい。
【0118】
別の具体的実施態様において、レンチウイルスベクターが、本発明の第一及び第二の構築体を、選択された細胞又は組織へ送達するために利用される。典型的には、これらのベクターは、5’レンチウイルスLTR、tRNA結合部位、パッケージングシグナル、1又は複数の関心対象の遺伝子に機能的に連結されるプロモーター、第二鎖DNA合成の起点、及び3’レンチウイルスLTRを含み、ここでこのレンチウイルスベクターは、核移行エレメントを含む。核移行エレメントは、関心対象のコード配列(例えば、本発明の合成Gag又はEnv発現カセット)の上流(5’側)又は下流(3’側)のいずれかに位置してよい。例えば、HIV、HIV-1、HIV-2、FIV、BIV、EIAV、MVV、CAEV、及びSIVからなる群から選択されるレンチウイルスを含む、多種多様なレンチウイルスを、本発明の状況において使用することができる。レンチウイルスベクターの具体例は、PCT公報WO 00/66759、WO 00/00600、WO 99/24465、WO 98/51810、WO 99/51754、WO 99/31251、WO 99/30742、及びWO 99/15641に説明されている。第三世代のSINレンチウイルスが使用されることが望ましい。第三世代SIN(自己-不活性化)レンチウイルスの商業的供給業者は、Invitrogen社(ViraPower Lentiviral Expression System)を含む。レンチウイルスベクターの構築、トランスフェクション、収集、及び使用の詳細な方法は、例えば、Invitrogen社技術マニュアル「ViraPower Lentiviral Expression System、バージョンB 050102 25-0501」(http://www.invitrogen.com/Content/Tech-Online/molecular_biology/manuals_p-ps/virapower_lentiviral_system_man.pdfにおいて入手可能)に示されている。レンチウイルスベクターは、遺伝子導入の効率的方法として出現した。バイオセーフティの特徴の改善は、これらのベクターをバイオセーフティレベル2(BL2)での使用に適したものとしている。数多くの安全性の特徴は、第三世代SIN(自己-不活性化)ベクターに組み込まれている。ウイルスの3’LTR U3領域の欠失は、完全長ウイルスRNAを転写することができないプロウイルスを生じる。加えて、数多くの必須遺伝子がトランスで提供され、感染及び組込みが可能であるが単回ラウンドであるウイルスストックを生じる。レンチウイルスベクターは、いくつかの利点を有し、これは1)アンホトロピックエンベロープタンパク質を使用するベクターの偽型は、事実上これらをあらゆる細胞型に感染させることができること;2)ニューロンを含む、静止状態の、分裂後の、分化した細胞への遺伝子送達が、明らかにされていること;3)それらの低い細胞毒性は、導入遺伝子送達システムの中で独特であること;4)ゲノムへのウイルス組込は、長期の導入遺伝子発現を可能にすること;5)それらのパッケージング能(6~14kb)は、他のレトロウイルスベクター、又はアデノ随伴ウイルスベクターよりもはるかに大きいこと:を含む。このシステムの能力の最近の実証において、GFPを発現しているレンチウイルスベクターが、マウス幹細胞の感染に使用され、生存子孫、生殖系列伝播、並びにレポーターのプロモーター-及び組織-特異性発現を生じた(Ailles, L. E.及びNaldini, L.、「HIV-1-由来のレンチウイルスベクター(HIV-1-Derived Lentiviral Vectors)」、Trono,D.(編集)、Lentiviral Vectors、Springer-Verlag、ベルリン、ハイデルベルグ、ニューヨーク、2002, pp. 31-52)。最新世代のベクターの例は、Loisらによる総説の
図2に概説されている(2002, Science, 295 868-872)。
【0119】
本第一及び第二の構築体はまた、ベクターなしで送達されることもできる。例えば、これらの構築体は、対象又はそれらに由来する細胞への送達前に、リポソーム又は脂質ナノ粒子中に、DNA又はRNAとしてパッケージングすることができる。脂質封入は一般に、核酸を安定して結合するか又は捕獲し且つ保持することができるリポソームを用いて達成される。濃縮DNAの脂質調製品に対する比は、変動することができるが、一般にはおよそ1:1(mgDNA:マイクロモル脂質)であるか、又は脂質がより多いであろう。核酸の送達のための担体としてのリポソームの使用に関する総説は、Hug及びSleightの論文(1991, Biochim. Biophys. Acta. 1097: 1-17);並びに、Straubingerらの論文(Methods of Enzymology (1983), 101: 512-527)を参照されたい。
【0120】
他の実施態様において、第一及び第二の構築体は、合成HPV E6-E7融合タンパク質コード配列を含むmRNAコード配列を含む、からなる、又は本質的になる。合成HPV E6-E7融合タンパク質コード配列は、先に説明したように、コザック配列及び/又はポリアデニル化配列を任意に含んでよい。好適には、第一及び第二の構築体は任意に、mRNAコード配列の取込み、安定性、及び最終的有効性を増強するための、主鎖のホスホロチオエート化又はリボース糖基の2’-メトキシエチル化(2’MOE)などの、当該技術分野において公知のRNA構造への化学修飾を更に含む(Agrawal、1999;Gearryら、2001参照)。
【0121】
3.5. 小環状ベクター
一部の実施態様において、第一及び/又は第二の構築体は、小環状ベクター形状中にある。小環状ベクターは、関心対象の配列が、ポリペプチド(例えば、合成HPV E6-E7融合タンパク質)をコードしている、ベクター上に存在する合成HPV E6-E7融合タンパク質コード配列の持続性の高レベル発現を提供する、小型の二本鎖環状DNA分子である。合成HPV E6-E7融合タンパク質コード配列は、小環状ベクター上に存在する調節配列へ、機能的に連結されており、この調節配列はその発現を制御する。本発明での使用に好適な小環状ベクターは、例えば公開された米国特許出願第2004/0214329号に説明されており、且つDarquetらの論文(Gene Ther. (1997) 4: 1341-1349)に説明された方法により調製することができる。簡単には、合成HPV E6-E7融合タンパク質コード配列は、そのコード配列の外側のベクター配列の一部において誘導性の様式で発現される、リコンビナーゼの結合点の側方配置される。
【0122】
簡単には、小環状ベクターは、pBAD..phi.C31.hFIX及びpBAD..phi.C31.RHBに類似しているプラスミドにより調製され得、大腸菌を形質転換するために使用される。当該技術分野において公知のリコンビナーゼ、例えばラムダ及びcreは、小環状ベクターへの組込みに適している。小環状ベクターに存在する発現カセットは、転写開始部位及び終結部位、並びに翻訳のために、転写された領域内にリボソーム結合部位を含んでよい。小環状ベクターは、少なくとも1つの選択マーカー、例えばジヒドロ葉酸レダクターゼ、G418、又は真核細胞培養物のためのネオマイシン耐性マーカー;並びに、大腸菌培養及び他の原核細胞培養物のためのテトラサイクリン、カナマイシン、又はアンピシリン耐性遺伝子を含んでよい。この小環状産生プラスミドは、好適な真核又は原核宿主細胞におけるベクターの増殖を可能にするために、少なくとも1つの複製起点を含んでよい。複製起点は、例えば、「遺伝子II(Genes II)」、Lewin, B.編集、John Wiley & Sons, ニューヨーク(1985)に説明されているように、当該技術分野において公知である。
【0123】
3.6. 哺乳動物発現ベクター
一部の実施態様において、ベクターは、何らかの追加配列及び/又は非-機能性配列(例えば、対象において発現され得る潜在性ORF)を含まない第一又は第二の合成コード配列を含む。これは、対象において望ましくない適応免疫応答を誘導することがあるベクターコードされた潜在性ペプチドの生成を防止するために、転写されたUTR内で特に有益である。本発明での使用に適しているベクターの具体例は、NTC8485及びNCT8685(Nature Technology社、ネブラスカ州、USA)を含む。あるいは、親ベクターNTC7485を使用することができる。NTC7485は、DNAワクチンベクター組成物に関する、米食品医薬品局(FDA)規制指針に準ずるように設計された(FDA 1996、FDA 2007、及びWilliamsら 2009において検証)。具体的には、標的遺伝子の大腸菌プラスミド複製又は哺乳動物細胞発現に不可欠ではない全ての配列は、排除された。合成真核生物性mRNAリーダー配列及びターミネーター配列が、染色体組込みの可能性を低下するために、ヒトゲノムと相同のDNA配列を制限するために、ベクター設計において利用された。
【0124】
他の実施態様において、このベクターは、補助的な機能性配列(例えば、合成HPV E6-E7融合タンパク質の輸送又は翻訳後配列修飾に影響を及ぼす配列、その非限定的例は、シグナル配列又は標的化配列を含む)をコードしている核酸配列を含むことができる。例えばNTC8482は、最適化された組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)シグナルペプチドを用い、分泌経路にコードされたタンパク質を標的化する。
【0125】
一部の実施態様において、合成HPV E6-E7融合タンパク質の発現は、最適化されたキメラプロモーター-イントロン(例えば、SV40-CMV-HTLV-1R合成イントロン)から駆動される。これらの実施態様の一態様において、ベクターは、コンセンサスコザック翻訳開始配列及びATG開始コドンをコードしている。特にキメラサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターは、従来のヒトCMVプロモーター-ベースのベクターよりも、有意に高い発現レベルを達成する(Lukeら、2009)。
【0126】
一実施態様において、DNAプラスミドは、最小の原核生物配列を組合せ、且つ抗生物質非含有ショ糖選択マーカーを含む、NTC8485、NTC8685、又はNTC9385Rベクターファミリーへクローニングされる。これらのファミリーはまた、優れた哺乳動物細胞発現を指示する、新規キメラプロモーターも含む(Lukeら、2009;Lukeら、2011;及び、Williams、2013参照)。
【0127】
3.7. RNA選択マーカーを使用する抗生物質-非含有選択
先に説明したように、一部の実施態様において、ベクターは、本発明の合成構築体の発現のためのあらゆる非必須配列、例えば抗生物質耐性マーカーを含まない。カナマイシン耐性(KanR)は、細菌発酵時のプラスミドDNAの選択的保持を可能にするために、ベクターにおいて最も利用される耐性遺伝子である。しかし、安全性を確実にするために、規制機関は一般に、治療薬及びワクチンのプラスミドDNAベクターから抗生物質-耐性マーカーを排除することを推奨している。従ってワクチンベクター内の抗生物質耐性遺伝子の存在は、抗生物質耐性を内在性微生物叢に伝達する可能性、並びにゲノムへの細胞取込み後の哺乳動物プロモーターからこれらの遺伝子の活性化及び転写の可能性のために、規制機関により、望ましくないと考えられている。KanRマーカーを短いRNA抗生物質-非含有マーカーにより置き換えるように改造されたベクターは一般に、改善された発現の予想外の恩恵を有する。NTC7485ベクターは、カナマイシン耐性抗生物質選択マーカーを含む。
【0128】
一部の実施態様において、抗生物質耐性以外の選択技術が、使用される。具体例として、NTC8485、NTC8684及びNTC9385Rベクターは、KanR抗生物質選択マーカーがショ糖選択可能RNA-OUTマーカーにより置き換えられている、NTC7485ベクターから誘導される。従って、一部の実施態様において、本ワクチンベクターは、抗生物質-非含有選択システムを含む。ベクター-コードされた選択マーカーがタンパク質をベースとしていない、多くの抗生物質-非含有プラスミド保持システムが開発されているが、RNAベースの抗生物質-非含有選択マーカーを取込んでいるSNAワクチンベクターについて、優れた発現及び製造が認められている。
【0129】
好適なRNAベースの抗生物質-非含有選択システムの具体例としては、ショ糖選択ベクター、RNA-OUT、小型70bpアンチセンスRNAシステム(Nature Technology社、ネブラスカ州、USA);ナンセンスサプレッサーtRNAマーカーをコードしているpFAR4及びpCORベクター;並びに、ColE1オリジン-コードされたRNAIアンチセンスRNAを利用するpMINIベクターである。これらのプラスミド-有するRNAの各々は、宿主染色体がコードした選択マーカーの翻訳を調節し、プラスミド選択を可能にする。例えば、RNA-OUTは、宿主染色体からのカウンター-選択マーカー(SacB)の発現を抑制する(選択宿主DH5α attλ::P5/6
6/6-RNA-IN-SacB,catR)。SacBは、ショ糖の存在下で毒性がある、レバンスクラーゼをコードしている。プラスミド選択は、ショ糖の存在下で達成される。更には、RNA-OUTベクター及びpMINIの両方について、高収率の発酵プロセスが開発されている。これらのベクター全てにおいて、KanR抗生物質選択マーカーの置き換えは、標的生物における導入遺伝子発現を改善することが、これまでに明らかにされており、規制機関の基準に合致するように抗生物質選択を排除することはまた、予想外にベクター性能を向上することがあることを示している。
【0130】
4. 組成物
本発明はまた、例えば同じ又は異なるベクター又はビヒクルを用い送達される本明細書に説明された第一及び第二の構築体を含有する、組成物、特に免疫原性組成物も提供する。この第一及び第二の構築体は、個別に、同時に又は連続して投与されてよい。この免疫原性組成物は、所望の作用を達成するために、2回以上(例えば「初回免疫」投与、それに続く1又は複数回の「追加免疫」)与えられる。同じ組成物を、1又は複数の初回免疫工程及び1又は複数の追加免疫工程において投与することができる。あるいは、異なる組成物を、初回免疫及び追加免疫のために使用することができる。
【0131】
4.1. 医薬として許容し得る成分
本発明の組成物は、好適には医薬組成物である。医薬組成物は、1又は複数の「医薬として許容し得る担体」を含有することが多い。これらは、組成物を受け取る個体にとって有害な抗体の産生をそれ自身誘導しない、任意の担体を含む。好適な担体は典型的には、大型のゆっくり代謝される高分子、例えばタンパク質、多糖、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマー性アミノ酸、アミノ酸コポリマー、及び脂質凝集物(油滴又はリポソームなど)である。かかる担体は、当業者に周知である。組成物はまた、水、食塩水、グリセロールなどの希釈剤を含んでよい。加えて、湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝剤、及び同類のものなどの補助物質が、存在してよい。医薬として許容し得る成分の徹底した考察は、Gennaro (2000)「レミントン:調剤の科学と実践(Remington: The Science and Practice of Pharmacy)」、第20版、ISBN:0683306472において入手できる。
【0132】
これらの医薬組成物は、例えば、2002年2月14日に公開された米国特許出願公開第2002/0019358号に開示されたような、様々な塩、賦形剤、送達ビヒクル及び/又は補助剤を含んでよい。
【0133】
あるいは又は加えて、本発明の医薬組成物は、細胞内部への、及び/又は細胞内の所望の位置へのポリヌクレオチドの送達を促進する、1又は複数のトランスフェクション促進化合物を含んでよい。本明細書において使用される用語「トランスフェクション促進化合物」、「トランスフェクション促進剤」及び「トランスフェクション促進物質」は、同義であり、且つ互換的に使用されてよい。特定のトランスフェクション促進化合物はまた、以下に説明される「アジュバント」であり、すなわち、細胞の内部へのポリヌクレオチドの送達を促進することに加え、この化合物は、そのポリヌクレオチドによりコードされた抗原に対する免疫応答を変更又は増大するように作用することは注目されるべきである。トランスフェクション促進化合物の例は、リン酸カルシウム、ミョウバン(リン酸アルミニウム)、亜鉛及び金粒子(例えば、「粉末」型送達ビヒクル)などの、無機物質;例えば、陽イオン性の、細胞間標的化(特定の細胞型への選択的送達のため)、細胞内標的化(核局在化又はエンドソーム脱出のため)、並びに両親媒性(ヘリックス形成又は細孔形成)である、ペプチド;例えば、ヒストンなどの塩基性(例えば、正帯電した)、標的化(例えば、アシアロタンパク質)、ウイルス性(例えば、センダイウイルス外被タンパク質)、及び細孔-形成である、タンパク質;例えば、陽イオン性(例えば、DMRIE、DOSPA、DC-Chol)、塩基性(例えば、ステリルアミン)、中性(例えば、コレステロール)、陰イオン性(例えば、ホスファチジルセリン)、及び両性イオン性(例えば、DOPE、DOPC)である、脂質;キトサン(例えば、Richardsonら、1999;Koping-Hoggardら、2001)などの、陽イオン性ポリマー、並びにデンドリマー、星状-ポリマー、「同種」ポリ-アミノ酸(例えば、ポリ-リジン、ポリ-アルギニン)、「異種」ポリ-アミノ酸(例えば、リジンとグリシンの混合物)、コ-ポリマー、ポリビニルピロリジノン(PVP)、ポロキサマー(例えば、CRL1005)及びポリエチレングリコール(PEG)などの、ポリマーを含むが、これらに限定されるものではない。トランスフェクション促進物質は、単独で又は1又は複数の他のトランスフェクション促進物質と組合せて使用することができる。2種以上のトランスフェクション促進物質は、化学結合(例えば、脂質付加されたポリリジン、PEG化されたポリリジンなどにおける、共有結合及びイオン結合)により(Tonchevaら、Biochim. Biophys. Acta 1380(3): 354-368 (1988))、機械的混合により(例えば、「ポリリジン+陽イオン性脂質」のような、液相又は固相中のツリー移動(tree moving)物質)(Gao及びHuang、Biochemistry 35: 1027-1036 (1996);Trubetskoyら、Biochem. Biophys. Acta 1131: 311-313 (1992))、並びに凝集(例えば、陽イオン性脂質+ポリ-ラクチド、及びポリリジン+ゼラチンなどにおける、共沈殿、ゲル形成)により、組合せることができる。
【0134】
トランスフェクション促進物質の一つの範疇は、陽イオン性脂質である。陽イオン性脂質の例は、5-カルボキシスペルミルグリシンジオクタデシルアミド(DOGS)及びジパルミトイル-ホスファチジルエタノールアミン-5-カルボキシスペルミルアミド(DPPES)である。{3β-[N-N’,N’-ジメチルアミノ)エタン]-カルバモイル}-コレステロール(DC-Chol)を含む、陽イオン性コレステロール誘導体も、有用である。ジメチルジオクタデシル-アンモニウムブロミド(DDAB)、N-(3-アミノプロピル)-N,N-(ビス-(2-テトラデシルオキシエチル))-N-メチル-アンモニウムブロミド(PA-DEMO)、N-(3-アミノプロピル)-N,N-(ビス-(2-ドデシルオキシエチル))-N-メチル-アンモニウムブロミド(PA-DELO)、N,N,N-トリス-(2-ドデシルオキシ)エチル-N-(3-アミノ)プロピル-アンモニウムブロミド(PA-TELO)、及びN1-(3-アミノプロピル)((2-ドデシルオキシ)エチル)-N2-(2-ドデシルオキシ)エチル-1-ピペラジンアミニウムブロミド(GA-LOE-BP)も、本発明において使用することができる。
【0135】
DL-1,2-ドレオイル-3-ジメチルアミノプロピル-β-ヒドロキシエチルアンモニウム(DORIジエステル)、1-O-オレイル-2-オレオイル-3-ジメチルアミノプロピル-p-ヒドロキシエチルアンモニウム(DORIエステル/エーテル)、及びそれらの塩などの、非ジエーテル陽イオン性脂質は、インビボにおける遺伝子送達を促進する。一部の実施態様において、陽イオン性脂質は、ヘッド基内の第四級アンモニウム部分へ結合したヘテロ原子を介して結合された基を含む。グリシルスペーサーは、このリンカーをヒドロキシル基へ結合することができる。
【0136】
本発明の特定の実施態様において使用するための具体的であるが非限定的な陽イオン性脂質は、DMRIE((±)-N-(2-ヒドロキシエチル)-N,N-ジメチル-2,3-ビス(テトラデシルオキシ)-1-プロパンアミニウムブロミド)、GAP-DMORIE((±)-N-(3-アミノプロピル)-N,N-ジメチル-2,3-ビス(シネ-9-テトラデセニルオキシ)-1-プロパンアミニウムブロミド)、及びGAP-DMRIE((±)-N-(3-アミノプロピル)-N,N-ジメチル-2,3-(ビス-ドデシルオキシ)-1-プロパンイミニウムブロミド)を含む。
【0137】
本発明の特定の実施態様において使用するための他の具体的であるが非限定的な陽イオン性界面活性剤は、Bn-DHRIE、DhxRIE、DhxRIE-OAc、DhxRIE-OBz及びPr-DOctRIE-OAcを含む。これらの脂質は、同時係属の米国特許継続出願第10/725,015号に開示されている。本発明の別の態様において、陽イオン性界面活性剤は、Pr-DOctRIE-OAcである。
【0138】
他の陽イオン性脂質は、(±)-N,N-ジメチル-N-[2-(スペルミンカルボキサミド)エチル]-2,3-ビス(ジオレイルオキシ)-1-プロパンイミニウム五塩酸塩(DOSPA)、(±)-N-(2-アミノエチル)-N,N-ジメチル-2,3-ビス(テトラデシルオキシ)-1-プロパンイミニウムブロミド(β-アミノエチル-DMRIE又はβAE-DMRIE)(Wheelerら、Biochim. Biophys. Acta 1280:1-11 (1996))、及び(±)-N-(3-アミノプロピル)-N,N-ジメチル-2,3-ビス(ドデシルオキシ)-1-プロパンイミニウムブロミド(GAP-DLRIE)(Wheelerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:11454-11459 (1996))を含み、これはDMRIEから開発されている。
【0139】
本発明に有用であるDMRIE-由来の陽イオン性脂質の他の例は、(±)-N-(3-アミノプロピル)-N,N-ジメチル-2,3-(ビス-デシルオキシ)-1-プロパンアミニウムブロミド(GAP-DDRIE)、(±)-N-(3-アミノプロピル)-N,N-ジメチル-2,3-(ビス-テトラデシルオキシ)-1-プロパンアミニウムブロミド(GAP-DMRIE)、(±)-N-((N”-メチル)-N’-ウレイル)プロピル-N,N-ジメチル-2,3-ビス(テトラデシルオキシ-)-1-プロパンアミニウムブロミド(GMU-DMRIE)、(±)-N-(2-ヒドロキシエチル)-N,N-ジメチル-2,3-ビス(ドデシルオキシ)-1-プロパンアミニウムブロミド(DLRIE)、及び(±)-N-(2-ヒドロキシエチル)-N,N-ジメチル-2,3-ビス-([Z]-9-オクタデセニルオキシ)プロピル-1-プロパンイミニウムブロミド(HP-DORIE)がある。
【0140】
免疫原性組成物が陽イオン性脂質を含有する実施態様において、陽イオン性脂質は、1又は複数のコ-脂質と混合されてよい。定義を目的として用語「コ-脂質」は、陽イオン性脂質成分と組合せられ、且つリン脂質などの両親媒性脂質及びコレステロールなどの中性脂質を含む、任意の疎水性物質を指す。陽イオン性脂質及びコ-脂質は、数多くの様式で混合又は組合せられ、例えばリポソーム、多重膜小胞、単層小胞、ミセル、及び単純フィルムを含む、様々な非共有結合された巨視的構造を生成することができる。コ-脂質の一つの非限定的クラスは、両性イオン性リン脂質であり、これはホスファチジルエタノールアミン及びホスファチジルコリンを含む。ホスファチジルエタノールアミンの例は、DOPE、DMPE及びDPyPEを含む。特定の実施態様において、コ-脂質は、ジアシルホスファチジルエタノールアミン骨格に組み込まれた2個のフィタノイル置換基を含み、且つ陽イオン性脂質はGAP-DMORIEであるDPyPEである(VAXFECTINアジュバントを生じる)。他の実施態様において、コ-脂質は、DOPEであり、そのCAS名は、1,2-ジオールイエオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミンである。
【0141】
本発明の組成物が陽イオン性脂質及びコ-脂質を含む場合、陽イオン性脂質:コ-脂質のモル比は、約9:1~約1:9、約4:1~約1:4、約2:1~約1:2、又は約1:1であってよい。
【0142】
均質性を最大化するために、陽イオン性脂質及びコ-脂質成分は、クロロホルムなどの溶媒中に溶解され、引き続き真空下で陽イオン性脂質/コ-脂質溶液が蒸発され、ガラス容器(例えば、Rotovap丸底フラスコ)の内側表面上にフィルムのように乾燥される。水性溶媒中の懸濁時に、両親媒性脂質成分分子は、均質な脂質小胞へ自己集成する。これらの脂質小胞は引き続き、当業者に公知の方法により、均等なサイズの選択された平均直径を有するようにプロセッシングされ、例えば、本発明のコドン-最適化されたポリヌクレオチドと複合体化する。例えば、脂質溶液の音波処理は、Felgnerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 8: 7413-7417 (1987)、及び米国特許第5,264,618号に説明されている。
【0143】
組成物が陽イオン性脂質を含むそれらの実施態様において、本発明のポリヌクレオチドは、例えば、水溶液中のプラスミドと混合することにより、脂質と複合体化され、且つ本明細書において調製されたような陽イオン性脂質:コ-脂質の溶液が、混合される。各構成物質の溶液の濃度は、所望の最終プラスミド/陽イオン性脂質:コ-脂質の比及び所望のプラスミドの最終濃度が、混合時に得られるように、2種の溶液を混合する前に、調節することができる。陽イオン性脂質:コ-脂質混合物は好適には、外界温度で約1分間、激しく攪拌混合することにより、好適な容積の水性溶媒中に、混合された脂質物質の薄いフィルムを水和することにより調製される。この薄いフィルムは、所望のモル溶質比をもたらすよう、個別の成分のクロロホルム溶液を混合し、引き続き好適な容器へ所望の容積の溶液をアリコート化することにより調製される。この溶媒は、最初に乾燥した不活性ガス(例えばアルゴン)の流れにより、引き続き高真空処理による、蒸発により除去される。
【0144】
他の疎水性及び両親媒性添加物、例えば、ステロール、脂肪酸、ガングリオシド、糖脂質、リポペプチド、リポサッカライド、ネオビーズ(neobees)、ニオソーム、プロスタグランジン及びスフィンゴ脂質なども、本発明の組成物中に含むことができる。かかる組成物において、これらの添加物は、約0.1モル%~約99.9モル%(総脂質に対し)、約1~50モル%、又は約2~25モル%の量で含まれてよい。
【0145】
本第一及び第二の構築体はまた、粒子状担体に、封入、吸着、又は会合されてよい。かかる担体は、選択された構築体の複数のコピーを、免疫系へ提示する。これらの粒子は、マクロファージ及び樹状細胞のような、プロフェッショナル抗原提示細胞により取り込まれることができ、並びに/又はサイトカイン放出の刺激などの他の機構を通じて、抗原提示を増強することができる。特定の担体の例は、ポリメチルメタクリレートポリマーに由来するもの、並びにポリ(ラクチド)及びPLGとして公知のポリ(ラクチド-コ-グリコリド)に由来する微粒子を含む。例えば、Jefferyら、1993, Pharm. Res. 10: 362-368;McGee J. P.ら、1997, J Microencapsul. 14(2): 197-210;O'Hagan D. T.ら、1993, Vaccine 11(2): 149-54を参照されたい。
【0146】
更に他の特定のシステム及びポリマーを、本明細書記載の組成物のインビボ送達のために使用することができる。例えば、ポリリジン、ポリアルギニン、ポリオルニチン、スペルミン、スペルミジンなどのポリマー、並びにこれらの分子のコンジュゲートは、関心対象の核酸の転移に有用である。同様に、DEAEデキストラン-媒介したトランスフェクション、リン酸カルシウム沈降、又はリン酸ストロンチウム、ベントナイト及びカオリンを含むケイ酸アルミニウム、酸化クロム、ケイ酸マグネシウム、タルクなどの、他の不溶性無機塩を使用する沈殿は、本方法での用途を認めるであろう。例えば、遺伝子導入に有用な送達システムの総説については、Felgner, P. L.、Advanced Drug Delivery Reviews (1990) 5: 163-187を参照されたい。ペプトイド(Zuckerman, R. N.ら、1998年11月3日に公開された、米国特許第5,831,005号)も、本発明の構築体の送達に使用することができる。
【0147】
本発明の追加の実施態様は、本合成構築体の前、後又は同時に投与される補助剤を含有する組成物を描く。本明細書において使用される「補助剤」は、補助剤の包含以外は同一である組成物と比べ、インビボにおける脊椎動物細胞へのポリヌクレオチドの侵入、及び/又はかかるポリヌクレオチドによりコードされたポリペプチドのインビボ発現を増強するその能力のために、組成物中に含まれた物質である。特定の補助剤は、ポリヌクレオチドの細胞への侵入を増強することに加え、本ポリヌクレオチドによりコードされた免疫原に対する免疫応答を増強する。本発明の補助剤は、非イオン性、陰イオン性、陽イオン性、又は両性イオン性界面活性剤又は洗浄剤、好ましくは非イオン性界面活性剤又は洗浄剤、キレート剤、DNaseインヒビター、ポロキサマー、核酸を凝集又は濃縮する薬剤、乳化剤又は可溶化剤、湿潤剤、ゲル形成剤、及び緩衝液を含む。
【0148】
本発明の組成物において使用するための補助剤は、非イオン性洗浄剤及び界面活性剤、IGEPAL CA 6300オクチルフェニル-ポリエチレングリコール、NONIDET NP-40ノニルフェノキシポリエトキシエタノール、NONIDET P-40オクチルフェノキシポリエトキシエタノール、TWEEN-20ポリソルベート20、TWEEN-80ポリソルベート80、プルロニックF68ポロキサマー(平均MW:8400;疎水物質のおよそのMW、1800;親水物質のおよそwt%、80%)、プルロニックF77ポロキサマー(平均MW:6600:疎水物質のおよそのMW、2100;親水物質のおよそのwt%、70%)、プルロニックP65ポロキサマー(平均MW:3400;疎水物質のおよそのMW、1800;親水物質のおよそのwt%、50%)、TRITON X-100 4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェニル-ポリエチレングリコール、及びTRITON X-114(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェニル-ポリエチレングリコール;陰イオン性洗浄剤ドデシル硫酸ナトリウム(SDS);糖スタキオース;凝縮剤DMSO;及び、キレート剤/DNAseインヒビターEDTA、CRL 1005(12kpa、5%POE)、及びBAK(塩化ベンザルコニウム50%溶液、Ruger Chemical社から入手可能)を含むが、これらに限定されるものではない。特定の具体的実施態様において、補助剤は、DMSO、NONIDET P-40オクチルフェノキシポリエトキシエタノール、プルロニックF68ポロキサマー(平均MW:8400;疎水物質のおよそのMW、1800;親水物質のおよそのwt%、80%)、プルロニックF77ポロキサマー(平均MW:6600;疎水物質のおよそのMW、2100;親水物質のおよそのwt%、70%)、プルロニックP65(平均MW:3400;疎水物質のおよそのMW、1800;親水物質のおよそのwt%、50%)、プルロニック、プルロニックL64ポロキサマー(平均MW:2900;疎水物質のおよそのMW、1800;親水物質のおよそのwt%、40%)、及びプルロニックF108ポロキサマー(平均MW:14600;疎水物質のおよそのMW、3000;親水物質のおよそのwt%、80%)である。例えば、2002年2月14日に公開された、米国特許出願公開第2002/0019358号を参照されたい。
【0149】
本発明の特定の組成物は更に、本ポリヌクレオチドの前、後又は同時に、1又は複数のアジュバントを含むことができる。用語「アジュバント」は、(1)特定の抗原に対する免疫応答を変更又は増加する能力、あるいは(2)薬学的物質の作用を増強又は補助する能力:を有する任意の物質を指す。ポリヌクレオチドワクチンに関して、「アジュバント」は、トランスフェクション促進物質であることができることは留意すべきである。同様に、先に説明された特定の「トランスフェクション促進物質」はまた、「アジュバント」であってもよい。アジュバントは、本発明のポリヌクレオチドを含有する組成物と共に使用される。初回免疫-追加免疫レジメンにおいて、本明細書記載のように、アジュバントは、初回免疫、追加免疫、又はそれら両方のいずれかで使用することができる。好適なアジュバントは、サイトカイン及び増殖因子;細菌性成分(例えば、エンドトキシン、特にスーパー抗原、外毒素及び細胞壁成分);アルミニウム-ベースの塩;カルシウム-ベースの塩;シリカ;ポリヌクレオチド;トキソイド;血清タンパク質、ウイルス及びウイルス由来の物質、毒素、毒液、イミダゾキノリン化合物、ポロキサマー、及び陽イオン性脂質を含むが、これらに限定されるものではない。
【0150】
非常に様々な物質が、様々な機序により、アジュバント活性を有することが示されている。ポリペプチドの発現、抗原性又は免疫原性を増大し得る化合物は、可能性のあるアジュバントである。本発明は、可能性のあるアジュバントに対する改善された免疫応答をスクリーニングするアッセイを提供する。本発明に従い免疫応答を増強するそれらの能力についてスクリーニングされる可能性のあるアジュバントは、不活性担体、例えばミョウバン、ベントナイト、ラテックス、及びアクリル粒子など;プルロニックブロックポリマー、例えばTITERMAX(ブロック共重合体CRL-8941、スクアレン(代謝可能な油)及び微粒子シリカ安定剤);貯蔵形成体、例えばフロイントアジュバントなど;表面活性物質、例えばサポニン、リゾレシチン、レチナール、Quil A、リポソーム、及びプルロニックポリマー製剤など;マクロファージ刺激因子、例えば、細菌性リポ多糖体など;副経路の補体活性化因子、例えばインスリン、ザイモサン、エンドトキシン、及びレバミソールなど;並びに、非イオン性界面活性剤、例えば、ポロキサマー、ポリ(オキシエチレン)-ポリ(オキシプロピレン)トリ-ブロック共重合体などを含むが、これらに限定されるものではない。同じくアジュバントとして、先に説明されたものなどのトランスフェクション促進物質も含む。
【0151】
本発明に従い免疫応答を増強するそれらの能力についてスクリーニングされるポロキサマーは、市販のポロキサマー、例えば、プロピレンオキシドブロックが2つのエチレンオキシドブロックの間に挟まれている、プロピレンオキシドとエチレンオキシドのブロック共重合体である、プルロニック界面活性剤を含むが、これらに限定されるものではない。プルロニック界面活性剤の例は、プルロニックL121ポロキサマー(平均MW:4400:疎水物質のおよそのMW、3600;親水物質のおよそwt%、10%)、プルロニックL101ポロキサマー(平均MW:3800;疎水物質のおよそのMW、3000;親水物質のおよそのwt%、10%)、プルロニックL81ポロキサマー(平均MW:2750;疎水物質のおよそのMW、2400;親水物質のおよそのwt%、10%)、プルロニックL61ポロキサマー(平均MW:2000;疎水物質のおよそのMW、1800;親水物質のおよそのwt%、10%)、プルロニックL31ポロキサマー(平均MW:1100;疎水物質のおよそのMW、900;親水物質のおよそのwt%、10%)、プルロニックL122ポロキサマー(平均MW:5000;疎水物質のおよそのMW、3600;親水物質のおよそのwt%、20%)、プルロニックL92ポロキサマー(平均MW:3650;疎水物質のおよそのMW、2700;親水物質のおよそのwt%、20%)、プルロニックL72ポロキサマー(平均MW:2750;疎水物質のおよそのMW、2100;親水物質のおよそのwt%、20%)、プルロニックL62ポロキサマー(平均MW:2500;疎水物質のおよそのMW、1800;親水物質のおよそのwt%、20%)、プルロニックL42ポロキサマー(平均MW:1630;疎水物質のおよそのMW、1200;親水物質のおよそのwt%、20%)、プルロニックL63ポロキサマー(平均MW:2650;疎水物質のおよそのMW、1800;親水物質のおよそのwt%、30%)、プルロニックL43ポロキサマー(平均MW:1850;疎水物質のおよそのMW、1200;親水物質のおよそのwt%、30%)、プルロニックL64ポロキサマー(平均MW:2900;疎水物質のおよそのMW、1800;親水物質のおよそのwt%、40%)、プルロニックL44ポロキサマー(平均MW:2200;疎水物質のおよそのMW、1200;親水物質のおよそのwt%、40%)。プルロニックL35ポロキサマー(平均MW:1900;疎水物質のおよそのMW、900;親水物質のおよそのwt%、50%)、プルロニックP123ポロキサマー(平均MW:5750;疎水物質のおよそのMW、3600;親水物質のおよそのwt%、30%)、プルロニックP103ポロキサマー(平均MW:4950;疎水物質のおよそのMW、3000;親水物質のおよそのwt%、30%)、プルロニックP104ポロキサマー(平均MW:5900;疎水物質のおよそのMW、3000;親水物質のおよそのwt%、40%)、プルロニックP84ポロキサマー(平均MW:4200;疎水物質のおよそのMW、2400;親水物質のおよそのwt%、40%)、プルロニックP105ポロキサマー(平均MW:6500;疎水物質のおよそのMW、3000;親水物質のおよそのwt%、50%)、プルロニックP85ポロキサマー(平均MW:4600;疎水物質のおよそのMW、2400;親水物質のおよそのwt%、50%)、プルロニックP75ポロキサマー(平均MW:4150;疎水物質のおよそのMW、2100;親水物質のおよそのwt%、50%)、プルロニックP65ポロキサマー(平均MW:3400;疎水物質のおよそのMW、1800;親水物質のおよそのwt%、50%)、プルロニックF127ポロキサマー(平均MW:12600;疎水物質のおよそのMW、3600;親水物質のおよそのwt%、70%)、プルロニックF98ポロキサマー(平均MW:13000;疎水物質のおよそのMW、2700;親水物質のおよそのwt%、80%)、プルロニックF87ポロキサマー(平均MW:7700;疎水物質のおよそのMW、2400;親水物質のおよそのwt%、70%)、プルロニックF77ポロキサマー(平均MW:6600;疎水物質のおよそのMW、2100;親水物質のおよそのwt%、70%)、プルロニックF108ポロキサマー(平均MW:14600;疎水物質のおよそのMW、3000;親水物質のおよそのwt%、80%)、プルロニックF98ポロキサマー(平均MW:13000;疎水物質のおよそのMW、2700;親水物質のおよそのwt%、80%)、プルロニックF88ポロキサマー(平均MW:11400;疎水物質のおよそのMW、2400;親水物質のおよそのwt%、80%)、プルロニックF68ポロキサマー(平均MW:8400;疎水物質のおよそのMW、1800;親水物質のおよそのwt%、80%)、プルロニックF38ポロキサマー(平均MW:4700;疎水物質のおよそのMW、900;親水物質のおよそのwt%、80%)を含む。
【0152】
本発明に従い免疫応答を増強するそれらの能力についてスクリーニングされるリバースポロキサマーは、プルロニックR31R1リバースポロキサマー(平均MW:3250;疎水物質のおよそのMW、3100;親水物質のおよそのwt%、10%)、プルロニックR25R1リバースポロキサマー(平均MW:2700;疎水物質のおよそのMW、2500;親水物質のおよそのwt%、10%)、プルロニックR17R1リバースポロキサマー(平均MW:1900;疎水物質のおよそのMW、1700;親水物質のおよそのwt%、10%)、プルロニックR31R2リバースポロキサマー(平均MW:3300;疎水物質のおよそのMW、3100;親水物質のおよそのwt%、20%)、プルロニックR25R2リバースポロキサマー(平均MW:3100;疎水物質のおよそのMW、2500;親水物質のおよそのwt%、20%)、プルロニックR17R2リバースポロキサマー(平均MW:2150;疎水物質のおよそのMW、1700;親水物質のおよそのwt%、20%)、プルロニックR12R3リバースポロキサマー(平均MW:1800;疎水物質のおよそのMW、1200;親水物質のおよそのwt%、30%)、プルロニックR31R4リバースポロキサマー(平均MW:4150;疎水物質のおよそのMW、3100;親水物質のおよそのwt%、40%)、プルロニックR25R4リバースポロキサマー(平均MW:3600;疎水物質のおよそのMW、2500;親水物質のおよそのwt%、40%)、プルロニックR22R4リバースポロキサマー(平均MW:3350;疎水物質のおよそのMW、2200;親水物質のおよそのwt%、40%)、プルロニックR17R4リバースポロキサマー(平均MW:3650;疎水物質のおよそのMW、1700;親水物質のおよそのwt%、40%)、プルロニックR25R5リバースポロキサマー(平均MW:4320;疎水物質のおよそのMW、2500;親水物質のおよそのwt%、50%)、プルロニックR10R5リバースポロキサマー(平均MW:1950;疎水物質のおよそのMW、1000;親水物質のおよそのwt%、50%)、プルロニックR25R8リバースポロキサマー(平均MW:8550;疎水物質のおよそのMW、2500;親水物質のおよそのwt%、80%)、プルロニックR17R8リバースポロキサマー(平均MW:7000;疎水物質のおよそのMW、1700;親水物質のおよそのwt%、80%)、及びプルロニックR10R8リバースポロキサマー(平均MW:4550;疎水物質のおよそのMW、1000;親水物質のおよそのwt%、80%)を含むが、これらに限定されるものではない。
【0153】
本発明に従い免疫応答を増強するそれらの能力についてスクリーニングされる他の市販のポロキサマーは、ポリエチレンとポリプロピレングリコールのブロック共重合体である化合物、例えば、SYNPERONIC L121(平均MW:4400)、SYNPERONIC L122(平均MW:5000)、SYNPERONIC P104(平均MW:5850)、SYNPERONIC P105(平均MW:6500)、SYNPERONIC P123(平均MW:5750)、SYNPERONIC P85(平均MW:4600)及びSYNPERONIC P94(平均MW:4600)など(ここでLは、界面活性剤が液体であること、Pは、これらがペーストであることを示し、最初の桁は、界面活性剤のポリプロピレン部分の分子量の測定値であり、並びに最後の桁数は、10倍した、界面活性剤の%エチレンオキシド含量をもたらす);並びに、ノニルフェニルポリエチレングリコールである化合物、例えばSYNPERONIC NP10(ノニルフェノールエトキシル化された界面活性剤-10%溶液)、SYNPERONIC NP30(ノニルフェノール1モルとエチレンオキシド30モルの縮合物)、及びSYNPERONIC NP5(ノニルフェノール1モルとナフタレンオキシド5.5モルの縮合物)などを含む。
【0154】
本発明に従い免疫応答を増強するそれらの能力についてスクリーニングされる他のポロキサマーは、(a)A-型セグメント及びB-型セグメントを含む、ポリエーテルブロック共重合体であって、ここでA-型セグメントは、比較的親水性の特徴の線状ポリマーセグメントを含み、その反復単位は、平均ハンシュ-レオフラグメント定数約-0.4以下に寄与し、且つ約30~約500の分子量分布(contributions)を有し、ここでB-型セグメントは、比較的疎水性の特徴の線状ポリマーセグメントを含み、その反復単位は、平均ハンシュ-レオフラグメント定数約-0.4以上に寄与し、且つ約30~約500の分子量分布(contributions)を有し、ここで各ポリマーセグメントについて反復単位を接続するリンケージの少なくとも約80%は、エーテル結合であるもの;(b)ポリエーテルセグメント及びポリカチオンセグメントを有する、ブロック共重合体であって、ここでポリエーテルセグメントは、少なくともA-型ブロックを含み、及びポリカチオンセグメントは、複数の陽イオン性反復単位を含むもの;並びに、(c)ポリマー、ポリエーテルセグメント、及び式-NH-R0の陽イオン性反復単位(式中、R0は、置換されてよい、炭素原子2~6個の直鎖脂肪族基である)を複数含むポリカチオンセグメントを含む、ポリエーテル-ポリカチオンコポリマーであって、ここで該ポリエーテルセグメントは、少なくとも1つのB-型セグメントのA-型を含むものを含む。米国特許第5,656,611号を参照されたい。関心対象の他のポロキサマーは、CRL1005(12kDa、5%POE)、CRL8300(11kDa、5%POE)、CRL2690(12kDa、10%POE)、CRL4505(15kDa、5%POE)及びCRL1415(9kDa、10%POE)が挙げられる。
【0155】
本発明に従い免疫応答を増強するそれらの能力についてスクリーニングされる他の補助剤は、アカシアゴム(アラビアゴム);ポロオキシエチレンエーテルR-O-(C2H4O)x-H(BRIJ)、例えば、ポリエチレングリコールドデシルエーテル(BRIJ 35、x=23)、ポリエチレングリコールドデシルエーテル(BRIJ 30、x=4)、ポリエチレングリコールヘキサデシルエーテル(BRIJ 52、x=2)、ポリエチレングリコールヘキサデシルエーテル(BRIJ 56、x=10)、ポリエチレングリコールヘキサデシルエーテル(BRIJ 58P、x=20)、ポリエチレングリコールオクタデシルエーテル(BRIJ 72、x=2)、ポリエチレングリコールオクタデシルエーテル(BRIJ 76、x=10)、ポリエチレングリコールオクタデシルエーテル(BRIJ(登録商標)78P、x=20)、ポリエチレングリコールオレイルエーテル(BRIJ 92V、x=2)、及びポリオキシル10オレイルエーテル(BRIJ 97、x=10);ポリ-D-グルコサミン(キトサン);クロロブタノール;コレステロール;ジエタノールアミン;ジギトニン;ジメチルスルホキシド(DMSO)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA);グリセリルモノステアレート;ラノリンアルコール;モノ-及びジ-グリセリド;モノエタノールアミン;ノニルフェノールポリオキシエチレンエーテル(NP-40);オクチルフェノキシポリエトキシエタノール(Amresco社からのNONIDET NP-40);エチルフェノールポリ(エチレングリコールエーテル)n、n=l 1(Roche社からのNONIDET P40);オクチルフェノールエチレンオキシドの約9エチレンオキシド単位との縮合物(NONIDET P40);IGEPAL CA 630((オクチルフェノキシ)ポリエトキシエタノール;NONIDET NP-40と構造上同じ);オレイン酸:オレイルアルコール;ポリエチレングリコール8000;ポリオキシル20セトステアリルエーテル;ポリオキシル35ヒマシ油;ポリオキシル40硬化ヒマシ油;ポリオキシルステアレート40;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(ポリソルベート20、又はTWEEN-20);ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート(ポリソルベート80、又はTWEEN-80);プロピレングリコールジアセテート;プロピレングリコールモノステアレート;プロタミン硫酸塩;タンパク質分解酵素;ドデシル硫酸ナトリウム(SDS);モノラウリン酸ナトリウム;ステアリン酸ナトリウム;ソルビタン誘導体(SPAN)、例えば、ソルビタンモノパルミテート(SPAN 40)、ソルビタンモノステアレート(SPAN 60)、ソルビタントリステアレート(SPAN 65)、ソルビタンモノオレエート(SPAN 80)、及びソルビタントリオレエート(SPAN 85);2,6,10,15,19,23-ヘキサメチル-2,6,10,14,18,22-テトラコサ-ヘキサエン(スクアレン);スタキオース;ステアリン酸;ショ糖;サーファクチン(枯草菌由来のリポペプチド抗生物質);ドデシルポリ(エチレングリコールエーテル)9(THESIT)、MW582.9;オクチルフェノールエチレンオキシドの約9~10エチレンオキシド単位との縮合物(TRITON X-100);オクチルフェノールエチレンオキシドの約7~8エチレンオキシド単位との縮合物(TRITON X-114);トリス(2-ヒドロキシエチル)アミン(トロルアミン);並びに、乳化ワックスを含むが、これらに限定されるものではない。
【0156】
特定のアジュバント組成物において、アジュバントは、サイトカインである。本発明の組成物は、1又は複数のサイトカイン、ケモカイン、又はサイトカイン及びケモカインの生成を誘導する化合物、又は1又は複数のサイトカイン、ケモカイン、もしくはサイトカイン及びケモカインの生成を誘導する化合物をコードしているポリヌクレオチドを含有することができる。例としては、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、コロニー刺激因子(CSF)、エリスロポエチン(EPO)、インターロイキン2(IL-2)、インターロイキン3(IL-3)、インターロイキン4(IL-4)、インターロイキン5(IL-5)、インターロイキン6(IL-6)、インターロイキン7(IL-7)、インターロイキン8(IL-8)、インターロイキン10(IL-10)、インターロイキン12(IL-12)、インターロイキン15(IL-15)、インターロイキン18(IL-18)、インターフェロンα(IFNα)、インターフェロンβ(IFNβ)、インターフェロンγ(IFNγ)、インターフェロンω(IFNΩ)、インターフェロンτ(IFNτ)、インターフェロンγ誘導因子I(IGIF)、トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)、RANTES(活性化調節された発現及び分泌正常T細胞)、マクロファージ炎症性タンパク質(例えば、MIP-1α及びM3P-1β)、リーシュマニア伸長開始因子(LEIF)、及びFlt-3リガンドを含むが、これらに限定されるものではない。
【0157】
本発明の特定の組成物において、ポリヌクレオチド構築体は、(±)-N-(3-アミノプロピル)-N,N-ジメチル-2,3-ビス(syn-9-テトラデセニルオキシ)-1-プロパンアミニウムブロミド(GAP-DMORIE)を含有するアジュバント組成物と複合体化されてよい。この組成物は、1又は複数のコ-脂質、例えば、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、1,2-ジフィタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DPyPE)、及び/又は1,2-ジミリストイル-グリセル-3-ホスホエタノールアミン(DMPE)なども含有してよい。GAP-DMORIE及びDPyPEを1:1モル比で含有するアジュバント組成物は、本明細書においてVAXFECTINアジュバントと称される。例えば、PCT公報WO 00/57917を参照されたい。
【0158】
他の実施態様において、本ポリヌクレオチドそれ自身は、本発明のポリヌクレオチドが細菌性DNAから全体又は一部が誘導される場合のように、アジュバントとして機能してよい。非メチル化CpG-ジヌクレオチド(CpG-DNA)の細菌性DNA含有モチーフは、パターン認識受容体(TLR 9などのtoll様受容体を含む)を通じて、脊椎動物における自然免疫細胞の引き金をひき、結果的にマクロファージ、樹状細胞及びBリンパ球に対する、強力な免疫刺激作用を有する。例えば、Wagner, H.、Curr. Opin. Microbiol. 5: 62-69 (2002);Jung, J.ら、J. Immunol. 169: 2368-73 (2002)を参照し;同じく、Klinman, D. M.ら、Proc. Natl Acad. Sci. U.S.A. 93: 2879-83 (1996)を参照されたい。非メチル化CpG-ジヌクレオチドをアジュバントとして使用する方法は、例えば、米国特許第6,207,646号、第6,406,705号及び第6,429,199号に説明されている。
【0159】
アジュバントの抗原に対する免疫応答を増強する能力は典型的には、免疫が媒介した防御の著しい増加により示される。例えば、体液性免疫の増加は典型的には、抗原に対して生じた抗体の力価の著しい増加により示され、及びT細胞活性の増加は典型的には、増加した細胞増殖、又は細胞傷害性、又はサイトカイン分泌において顕在化される。アジュバントはまた、例えば、一次的体液性反応又はTh2反応を、一次的細胞性反応又はTh1反応へ変化させることにより、免疫応答を変更することができる。
【0160】
本発明の核酸分子及び/又はポリヌクレオチド、例えばプラスミドDNA、mRNA、線状DNA又はオリゴヌクレオチドなどは、様々な緩衝液のいずれかの中に可溶化されてよい。好適な緩衝液は、例えば、リン酸緩衝食塩水(PBS)、通常の食塩水、トリス緩衝液、及びリン酸ナトリウム(例えば、150mMリン酸ナトリウム)を含む。不溶性ポリヌクレオチドは、弱酸又は弱塩基中に可溶化され、その後緩衝液により所望の容積にまで希釈されてよい。この緩衝液のpHは、適宜調節されてよい。加えて、医薬として許容し得る添加剤を、好適な浸透圧を提供するために使用することができる。かかる添加剤は、当業者の範囲内である。インビボで使用される水性組成物について、滅菌パイロジェンフリー水を使用することができる。かかる製剤は、ヒトへの投与に適した医薬として許容し得る組成物を調製するために、有効量のポリヌクレオチドを、適量の水溶液と一緒に含むであろう。
【0161】
本発明の組成物は、公知の方法に従い製剤化されることができる。好適な調製方法は、例えば、「レミントン薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」、第16版、A. Osol編集、Mack Publishing社、イーストン、Pa.(1980)、及び「レミントン薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」、第19版、A. R. Gennaro編集、Mack Publishing社、イーストン、Pa.(1995)に説明されている。本組成物は水溶液として投与されてよいが、これは、乳剤、ゲル、液剤、懸濁剤、凍結乾燥形、又は当該技術分野において公知の任意の他の形として製剤化されることもできる。加えて、本組成物は、例えば、希釈剤、結合剤、安定剤、及び保存剤を含む、医薬として許容し得る添加剤を含んでよい。
【0162】
下記の実施例は、例証のみを目的として含まれ、本発明の範囲を限定することを意図せず、本発明の範囲は添付された請求項によって規定される。
【0163】
4.2. 用量
本発明は一般に、治療的組成物、すなわち、感染後の疾患を治療することに関する。これらの組成物は、本明細書に規定された組成物の「治療的有効量」を含有し、従って抗原の量は、免疫応答がそれが投与された個体において生じるように、インビボにおいて生成され得る。必要な正確な量は、他の因子の中でもとりわけ、治療される対象;治療される対象の年齢及び全身状態;対象の免疫系の抗体を合成する能力;所望の防御の程度;治療される状態の重症度;選択された特定の抗原及びその投与様式:により左右されるであろう。好適な有効量は、当業者により容易に決定することができる。従って「治療的有効量」は、慣習的治験を通じて決定され得る比較的広い範囲に収まるであろう。
【0164】
例えば、本明細書記載の医薬組成物の投与後およそ24時間で、投与量-依存型免疫応答が、少なくとも約30μg、40μg、50μg、75μg、80μg、85μg、90μg、95μg、100μg、200μg、250μg、300μg、400μg、500μg、600μg、700μg、800μg、900μg、1000μg、1mgより多く、又はその間の任意の整数の投与量を受け取ったヒト対象において生じる。好適ならば、投与量は、2回以上の単位で投与することができる(例えば、1mgを各々500μg投与量を含有する2単位に分割することができる)。
【0165】
投薬治療は、単回投与スケジュール又は反復投与スケジュールであってよい。一部の実施態様において、およそ30μg~およそ1mgの間又はそれ以上の投与量は、本組成物に対する免疫応答を誘導するのに十分である。従って本発明の方法は、HPV感染症を治療するために、本明細書に規定された組成物の用量およそ30μg、100μg、300μg、1mg又はそれ以上を含む。
【0166】
本発明の組成物は、好適には注射用に製剤化され得る。本組成物は、アンプル中の単位剤形、又は反復投与容器中で、調製されてよい。本ポリヌクレオチドは、油性又は好ましくは水性のビヒクル中の懸濁剤、液剤、又は乳剤のような形状で存在してよい。あるいは、本ポリヌクレオチド塩は、送達時に、滅菌パイロジェンフリー水のような、好適なビヒクルにより再構成される、凍結乾燥形であってよい。液体並びに再構成される凍結乾燥形の両方は、物質、好ましくは緩衝液を、注射溶液のpHを適切に調節するのに必要な量含有するであろう。非経口使用のために、特に製剤が静脈内投与される場合、溶質の総濃度は、その調製品を、等張、低張又はやや高張にするように、制御されなければならない。糖質などの、非イオン性物質は、張度を調節するのに好ましく、ショ糖が特に好ましい。これらの形のいずれかは更に、デンプン又は糖質、グリセロール又は食塩水などの、好適な処方物質を含有することができる。単位用量当たりの組成物は、液体又は固体にかかわらず、ポリヌクレオチド物質を0.1%~99%含有してよい。
【0167】
その中に本ポリヌクレオチドが使用前に包装された、単位用量アンプル又は反復投与容器は、それらの医薬有効量、又は反復投与の有効量に適しているポリヌクレオチド又はポリヌクレオチドを含有する溶液の量を封入している、密封された容器を含んでよい。本ポリヌクレオチドは、滅菌製剤として包装され、密封された容器は、使用時まで、本製剤を無菌状態に保つように設計されている。
【0168】
その中にポリヌクレオチドが包装された容器には、ラベルが付けられており、このラベルには、政府機関、例えば米食品医薬品局(FDA)により規定された形式の注意事項を有し、この注意事項は、ヒト投与のためのその中のポリヌクレオチド物質の製造、使用、又は販売に関する連邦法の下で当該機関による承認を反映している。
【0169】
ほとんどの国において、連邦法は、ヒト治療における医薬品の使用は、連邦政府の機関により承認されることを必要としている。施行責任は、米食品医薬品局(FDA)にあり、そこでは、合衆国法典第21編301-392条に詳述されている、かかる承認を保証するための適切な規制を発令している。動物組織から作られた製品を含む生物物質に関する規制も、合衆国法典第42編262条の下で与えられている。同様の承認は、ほとんどの他の国によっても必要とされている。規制は、国毎に異なるが、個々の手順は当業者に周知である。
【0170】
投与される用量は、かなりの程度、治療される対象の状態及びサイズ、並びに治療頻度及び投与経路によって決まる。投与量及び頻度を含む、治療を継続するレジメンは、最初の反応及び臨床医の判断により指導され得る。組織の間質腔への注射の非経口経路が好ましいが、エアロゾル製剤の吸入のような、他の非経口経路は、例えば、鼻、喉、気管支組織又は肺の粘膜への具体的な投与に必要である。
【0171】
好ましいプロトコールにおいて、水性担体中に裸のポリヌクレオチドを含有する製剤は、1部位につき10μl~1部位につき約1mlの量で、組織へ注射される。この製剤中のポリヌクレオチドの濃度は、約0.1μg/ml~約20mg/mlである。
【0172】
4.3. 投与経路
一旦製剤化されると、本発明の組成物は、対象へ直接投与され得る(例えば、前述のように)。第一及び第二の構築体-含有組成物のインビボにおける直接送達は一般に、従来の注射器、BIOJECT(商標)のような無針装置、又はACCELL(商標)遺伝子送達システム(PowderMed社、オックスフォード、英国)などの遺伝子銃、又は極微針装置のいずれかを使用する注射により、前述のように、ベクターを伴う又は伴わずに達成されるであろう。これらの構築体は、皮内送達され(例えば、注射され)得る。核酸の表皮細胞への送達は、この投与様式は、皮膚-会合したリンパ系細胞への接近を提供し、且つレシピエントにおける核酸(例えばDNA)の一過性の存在を提供するので、特に好ましい。
【0173】
好適には、本明細書に記載された組成物は、極微針投与のために、パッチ上に製剤化される。
【0174】
他の実施態様において、本発明の組成物は、電気穿孔法により投与される。かかる技術は、細胞質へプラスミドを直接又は間接にトランスフェクションするために、細胞形質膜障壁を越えるプラスミド導入を大きく増加する。
【0175】
加えて、金及びタングステンなどの粒子の担体を利用するバイオリスティック送達システムは、本発明の組成物の送達に、特に有用である。これらの粒子は、「遺伝子銃」からの銃粉末の放出を使用し、一般に減圧大気下で、送達及び高速まで加速されるよう、合成発現カセット(複数可)によりコートされている。かかる技術及びそれらに有用な装置の説明については、例えば、米国特許第4,945,050号;第5,036,006号;第5,100,792号;第5,179,022号;第5,371,015号;及び、第5,478,744号を参照されたい。具体例において、ガス-駆動した粒子加速は、PowderMed Pharmaceuticals社(オックスフォード、英国)及びPowderMed Vaccines社(マジソン、Wis.)により製造された装置などの、装置により達成することができ、その一部の例は、米国特許第5,846,796号;第6,010,478号;第5,865,796号;第5,584,807号;及び、欧州特許第0500799号に説明されている。このアプローチは、ポリヌクレオチド又はポリペプチド粒子などの、微視的粒子の乾燥散剤製剤が、携帯型装置により作製されるヘリウムガスの噴射内で高速に加速され、これらの粒子を関心対象の標的組織へ噴射する、無針送達アプローチをもたらす。本発明の組成物のガス-駆動式無針注射に有用な他の装置及び方法は、BIOJECT社(ポートランド、オレゴン州)により提供されるものであり、その例の一部は米国特許第4,790,824号;第5,064,413号;第5,312,335号;第5,383,851号;第5,399,163号;第5,520,639号及び第5,993,412号に説明されている。
【0176】
あるいは、マイクロ-カニューレ-及び極微針-ベースの装置(Becton Dickinson社及び他社により開発されたものなど)を、本発明の組成物を投与するために使用することができる。この型の具体的装置は、EP 1092444 A1、及び2000年6月29日に出願された、米国特許出願第606,909号に説明されている。標準スチール製カニューレも、1999年10月14日に出願された、米国特許出願第417,671号に説明されたような装置及び方法を使用する、皮内送達のために使用することができる。これらの方法及び装置は、カニューレの全長又は深度-制限する特徴を超えて露出されるカニューレの全長により規定されるような、制限された深さに浸透する、狭いゲージ(約30G)の「マイクロカニューレ」による物質の送達を含む。本明細書記載の組成物を含む物質の標的化された送達は、単独のマイクロカニューレによるか、又はマイクロカニューレ(又は「極微針」)のアレイ、例えば投与される物質が含まれた貯蔵庫に含まれるか又は結合されている注射装置上に装着された3-6極微針のアレイのいずれかにより達成され得ることは、本発明の範囲内である。
【0177】
5. キット
本明細書記載の任意の組成物又は成分は、キットに含まれてよい。非限定的例において、対象におけるHPV感染症の検出及び/又は治療に必要とされる物質及び試薬は、キット内に一緒に集成されてよい。
【0178】
このキットの成分は、水性媒体又は凍結乾燥形のいずれかの中に包装されてよい。キットの容器手段は、一般に、その中に成分が配置されており、且つ好ましくは好適にはアリコートとされている、少なくとも一つのバイアル、試験管、フラスコ、ボトル、注射器又は他の容器手段を含むであろう。キット内に2種以上の成分が存在する場合(ラベリング試薬及びラベルと一緒に包装される)、キットはまた一般に、それに追加の成分が個別に配置されている第二、第三又は他の追加の容器を含むであろう。しかし成分の様々な組合せが、バイアル内に含まれてよい。本発明のキットはまた、典型的には、核酸を含むための手段、及び市販のために密に閉じ込められている任意の他の試薬容器を含むであろう。かかる容器はその中に所望のバイアルが保持されている、射出成形又はブロー成形されたプラスチック容器を含んでよい。
【0179】
キットの成分が、1種及び/又はそれより多い液体溶液中に提供される場合、この液体溶液は、水溶液であり、滅菌水溶液が特に好ましい。
【0180】
しかし、キットの成分は、乾燥散剤(複数可)として提供されてよい。試薬及び/又は成分が乾燥散剤として提供される場合、この散剤は、好適な溶媒の添加により、再構成され得る。この溶媒はまた、別の容器手段中に提供されてもよいことは構想される。一部の実施態様において、ラベリング色素は、乾燥散剤として提供される。10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、120、120、130、140、150、160、170、180、190、200、300、400、500、600、700、800、900、1000μg又は少なくとももしくは多くともそのような量の乾燥色素が、本発明のキット内に提供されることが企図されている。この色素は次に、DMSOのような任意の好適な溶媒中に再懸濁されてよい。
【0181】
この容器手段は一般に、その中に核酸製剤が、好ましくは好適に割り当てられて配置されている、少なくとも一個のバイアル、試験管、フラスコ、ボトル、注射器及び/又は他の容器手段を含むであろう。これらのキットはまた、無菌の医薬として許容し得る緩衝液及び/又は他の希釈剤を含むための、第二の容器手段も含んでよい。
【0182】
本発明のキットはまた、典型的には、例えば、その中に所望のバイアルが保持されている射出成形及び/又はブロー成形されたプラスチック容器などの、市販のために密に閉じ込められているバイアルを含む手段を含むであろう。
【0183】
かかるキットはまた、標識されたレクチンプローブの単離を促進する成分も含む。これはまた、レクチンプローブを保存又は維持するか、あるいはそれらの分解に対し保護する成分も含んでよい。かかるキットは一般に、好適な手段において、各個々の試薬又は溶液のための、個別の容器を含むであろう。
【0184】
キットは一般にまた、キット成分の利用、並びにキットに含まれない他の試薬の使用に関する指示書も含むであろう。指示書は、実行することができる変動を含んでよい。
【0185】
本発明のキットはまた、以下の1又は複数を含んでよい:対照の糖種(glycospecies);ヌクレアーゼ-非含有水;1.5mlチューブなどの、RNase-非含有容器;RNase-非含有溶離チューブ;PEG又はデキストラン;エタノール;酢酸;酢酸ナトリウム;酢酸アンモニウム;グアニジニウム;洗浄剤;核酸サイズマーカー;RNase-非含有チューブチップ;及び、RNase又はDNaseインヒビター。
【0186】
本発明は容易に理解され且つ実用的効果があるように、特に好ましい実施態様を、ここで、以下の非限定的実施例により、説明する。
【実施例】
【0187】
実施例1
E6-E6融合タンパク質並びにE6及びE7ポリペプチドを個別にコードしているポリ
ヌクレオチド構築体により誘発された免疫応答の比較
本ポリヌクレオチド構築体システムは、2種のポリヌクレオチド構築体から構成される:NTC8485-O-U-E6[C70G,I135T]-AGA-E7[C24G,E26G]及びNTC-O-s-E6[C70G,I135T]-AGA-E7[C24G,E26G]。これらの構築体は、各々、変異体HPV16 E6-E7融合タンパク質のユビキチン化され且つ分泌された形状をコードしている。
【0188】
マウスを、E6-E7融合タンパク質-コードしている構築体システム10μg、又はE6ポリペプチド-コードしている構築体もしくはE7ポリペプチド-コードしている構築体30μgのいずれかにより、以下に説明したように免疫化した。2回の注射は、0日目に第一回及び21日目に第二回を投与した。
【0189】
図2及び3は、本組合せ構築体システムによる免疫化は、E6及びE7に対し有意な細胞性免疫応答(
図2)、並びにE7に対し強力な抗体反応(
図3)を誘発することを示している。E6ポリヌクレオチド構築体単独により免疫化されたマウスにおいて、細胞性免疫応答は、誘発されなかったので、この強力な細胞性反応は、特に驚くべきであった(
図2参照)。更にE7ポリヌクレオチド構築体単独で免疫化されたマウスと比較して、E6E7構築体システムにより免疫化されたマウスにおいて誘発された細胞性免疫応答の間に、統計学的差異は存在しなかったが、E6-E7ポリヌクレオチド構築体は、投与量の1/3で投与された(すなわち、E6-E7ポリヌクレオチド構築体システム10μgを投与したのに対し、E7ポリヌクレオチド構築体30μgを投与した)。従って、
図2は、E6-E7ポリヌクレオチド構築体システムは、各ポリヌクレオチド配列単独よりも、はるかに大きい有効性を有することを、はっきりと明示している。
【0190】
図3は、E6-E7ポリヌクレオチド構築体システムにより免疫化されたマウスにより誘発された抗-E7抗体反応は、E7ポリヌクレオチド構築体単独により免疫化されたマウスにより誘発された反応よりも、有意により大きいことを、はっきりと示している。予想されるように、E6構築体単独による免疫化は、抗-E7抗体の測定可能なレベルを生じなかった。
【0191】
材料及び方法
プラスミド調製
HPV DNAワクチン構築体に関する挿入断片は、野生型HPV 16型配列(Genbank寄託番号NC_001526)を基に設計した。変異は、E6及びE7のコード配列へ導入し、これらのタンパク質をトランスフォーミングされないようにし、及びAla-Gly-Alaリンカーをコードしている配列を追加した。
【0192】
単独ユビキチン反復配列又はIgk分泌シグナルペプチドのいずれかをコードしている配列は、E6/E7コード配列の上流にイン-フレームで追加し、各々、融合タンパク質のユビキチン化型又は分泌型をコードしている構築体を作製した。コザック配列も導入した。
【0193】
これらのコドンは、Admedusワクチンのコドン最適化プロトコール(先にセクション2.4において説明されている)に従い、修飾した。これらの配列をチェックし、内部スプライシング部位、並びにクローニングと干渉し得る制限酵素部位の意図しない導入を回避した。
【0194】
更にワクチンの安全性を増加するために、E6及びE7コード配列を、それらがE6-E7融合タンパク質の生成を生じるように修飾した。これは、これらのポリペプチド配列の発癌可能性を低下しようと努力して行った。これは、停止コドンのE6遺伝子配列からの除去、及び修飾されたE6及びE7配列の間へのAla-Gly-Alaリンカーをコードしている配列の挿入に関連している。コドン修飾は、構築体の発現を増強するために使用したが、これはまた、ワクチン配列の野生型HPVウイルスとの組換えの可能性を制限すべきである。この配列は、生成されるスプライシング変種の可能性を低下するためにスプライシング部位についてチェックした。
【0195】
所望の配列は、合成及びpcDNA3.1ベクターのクローニングのために、GeneArt(Life Technologies社)へ送付した。これらの挿入断片を、次に、NTC8485ベクターへサブクローニングし、NTC8485-O-Ubi-E6[C70G,I135T]-AGA-E7[C24G,E26G](以下に示した配列番号9に示す)及びNTC8485-O-s-E6[C70G,I135T]-AGA-E7[C24G,E26G](以下に示したように配列番号10に示す)(NTC8485ベクターは、Nature Technology社に由来し、且つ
図1に示す)。
【0196】
NTC8485-O-s-E6[C70G, I135T]-AGA-E7[C24G, E26G](配列番号9)
【0197】
【0198】
NTC8485-O-Ubi-E6[C70G, I135T]-AGA-E7[C24G, E26G] (配列番号10)
【0199】
【0200】
マウス試験
C57BL/6マウスは、Animal Research Centre(パース、オーストラリア)により提供された。全てのマウスを、Translational Research Institute(ブリスベーン、オーストラリア)のBiological Research Facilityで、特定の無病原体条件下で飼育し、雌を、6~10週齢で使用した。全ての動物手技及び実験は、IMVS動物倫理委員会及びQueensland大学動物倫理委員会の承認(#DI/506/09/UQ)により、National Health and Medical Research Council of Australiaの倫理指針を順守して行った。
【0201】
免疫化
マウスは、3週間間隔で、2回、10μg HPV DNAワクチン(NTC8485-O-U-E6[C70G,I135T]-AGA-E7[C24G,E26G]及びNTC8485-O-s-E6[C70G,I135T]-AGA-E7[C24G,E26G])(すなわち、5μg/耳)、又は30μgのpcDNA3-E6もしくはpcDNA3-E7(すなわち、15μg/耳)により、各耳の耳介へ、皮内免疫化した。1群につき5匹のマウスを使用し、実験は、2つ組で行った。
【0202】
ELISPOT
HPV16 E6及びE7-特異的CD8+ T細胞反応を、IFNγ ELISPOTを用いて測定した。実験の終結時、第二回の免疫化の1週間後に、脾臓を採取し、分析のためにプールした。脾細胞の調製及びELISPOTプロトコールは、先に説明された(Duttonら、2013)HSV糖タンパク質D IFN-γELISPOTについて使用した方法に類似していた。簡単には、2×106個細胞を、IFN-γに対する捕獲モノクローナル抗体8μg(AN18、Mabtech社、ストックホルム、スウェーデン)によりコーティングされた96ウェルELISPOTプレート(Millipore社)において、10%FCSを含有するDMEM培地上に、3つ組で播種した。細胞を、20μg/ml HPV16-E6/E7ペプチド(Auspep/Mimotopes)により、24時間、37℃で、再刺激した。洗浄後、プレートを、IFN-γに対するビオチン化されたモノクローナル抗体(R4-6A2、Mabtech社、ストックホルム、スウェーデン)と一緒に、室温で、2時間インキュベーションした。検出のために、ホースラディッシュペルオキシダーゼ-コンジュゲートされたストレプトアビジン(Sigma-Aldrich社、セントルイス、MO)及びDAB錠(Sigma-Aldrich社、セントルイス、MO)を使用した。自動化ELISPOTリーダーシステムELR02(Autoimmun Diagnostika社、ストラスブルグ、独国)を用いて、スポットを数えた。
【0203】
ELISA
E7に対する抗体反応を決定するために、-1日目及び実験の最終日(28日目)に、血清を動物から収集した。Maxisorpマイクロタイタープレート(Nunc社、ロスキル、デンマーク)を、結合緩衝液(500mL中0.7g Na2CO3+1.46g NaHCO3)中の0.25μg/mlのHPV16 E7組換えタンパク質(Bioclone社)50μlにより、4℃で一晩コーティングした。コーティング後、プレートを、PBS/0.1% Tween(PBS-T)により3回洗浄し、PBS-T中の5%脱脂粉乳100μlにより、37℃で2時間ブロックした。プレートを、PBS-Tにより洗浄し、1:100希釈したマウス血清50μlを2つ組で添加し、プレートを37℃で1時間インキュベーションした。3回洗浄した後、抗-マウスIgGペルオキシダーゼコンジュゲート(Sigma社)50μlを、各ウェルに添加し、プレートを、37℃で1時間インキュベーションした。その後プレートを、再度3回洗浄し、OPD(o-フェニレンジアミンジヒドロクロリド)基質(Sigma社、セントルイス、MO)と一緒にインキュベーションした。30分後、吸光度を、3N HClの25μlを添加し、Multiskan EXプレートリーダー(Pathtech社;メルボルン、オーストラリア)において、492nmで、測定した。.
【0204】
統計解析
統計解析は、Windows用GraphPad Prismバージョン5.03(GraphPad Software社、サンディエゴ、CA)により行った。HPV16-E7ペプチド-特異的T細胞反応を、対応のない両側t-検定により比較した。抗体力価は、一元配置ANOVA、それに続くテューキー多重比較試験により比較した。差は、P<0.05である場合に、有意であるとみなした。
【0205】
実施例2
E6E7融合タンパク質による免疫化と比較したHPV E6E7ポリヌクレオチド構築
体システムの有効性
免疫原性分析
先に説明したようなHPV E6E7-コードしているポリヌクレオチド構築体は、対応するE6E7ポリペプチドワクチンと比較して有効であることを示すために、マウスを、群別し、下記の治療レジメンの一つに曝露した(各群8匹のマウス):
A. 皮内投与(ID)された、2×30μg HPV E6E7-コードしているポリヌクレオチド構築体システム;
B. 皮下投与(SC)された、2×30μg HPV E6E7融合タンパク質;
C. 2×30μg、免疫化せず(すなわち、ID投与された無関係のベクター(陰性対照))。
【0206】
この実験は、下記の時間フレームで行った:
【0207】
【0208】
脾細胞を、本試験の最後に、IFN-γ ELISPOTにより、E6-及びE7-特異的T細胞反応について分析した。本発明者らは、E6E7融合タンパク質又はHPV DNAワクチンによるワクチン処置時に、同等のE7-特異的抗体反応を認めた(
図4A)。しかし、HPV DNAワクチンのみが、E6-及びE7-特異的細胞-媒介性免疫を誘導し、E6E7融合タンパク質は誘導しなかった(
図4B)。
【0209】
皮膚移植片モデル
多くのワクチンが受け取った動物モデルにおいて有効であるが、これらは引き続き臨床試験において不充分な効果であった。結果として、E7 TCR-β鎖トランスジェニックマウス(Narayanら、2009)を利用する、確立された皮膚移植片モデルを使用した。このモデルにより、各トランスジェニック動物は、2種の皮膚移植片を受け取り、一方はドナーマウスC57/6J.K14E7由来(E7タンパク質を発現している)、及び他方はドナーマウスC57BL/6J由来(対照)であった。これらのトランスジェニックマウスは、ナイーブE7-特異的TCRトランスジェニックT細胞を生じ、これはワクチン-誘導した免疫応答を補助し、E7タンパク質を発現している移植片を縮小した。
【0210】
皮膚移植片モデルにおいて、角質細胞中の、しかしプロフェッショナル抗原提示細胞中ではないケラチン14(K14)プロモーター由来の導入遺伝子としてHPV-16 E7を発現しているマウスの皮膚を、トランスジェニックマウス上に移植した。K14E7皮膚移植片は、移植片レシピエントにおけるE7-特異的体液性免疫の発生にもかかわらず、自発的に拒絶されないことは、先に明らかにされている(Dunnら、Virology, 1997, 253(1): 94-103)。
【0211】
従って、6匹の6~8週齢のE7TCR269マウスの群を、3週間あけて2回、耳介への30μg HPV DNAワクチン又は無関係のベクターの皮内(ID)送達によるか、又は30μg E6E7融合タンパク質の尾部本体(tail base)への送達により、免疫化した。マウスは引き続き、C57BL/6(対照)及びK14E7(HPV16 E7-発現している)皮膚移植片を、2回目の免疫化の1週間後に、受け取った。移植片を、3日毎にモニタリングし、毎週定規を含む写真を撮影し、移植片サイズを計算した。本発明者らは、E6E7融合タンパク質ワクチン処置ではなく、HPV DNAワクチン処置は、K14E7移植片の縮小を誘導し、これは無関係のベクターによるワクチン処置により誘導された縮小とは有意差があったことを認めた(
図5)。
【0212】
本明細書に提示されたデータは、E6E7融合タンパク質単独による免疫化は、HPV-特異的T細胞反応又はE7-発現している皮膚移植片の拒絶反応を誘導しないことをはっきりと明らかにしている。対照的に、HPV DNAワクチンによる免疫化は、IFN-γ放出及びE7-発現している皮膚移植片のサイズの有意な減少により測定される、T細胞の堅固なE6-及びE7-特異的活性化を誘導した。
【0213】
材料及び方法
マウス試験
C57BL/6J及びC57/6J.K14E7マウスは、Animal Research Centre(パース、オーストラリアにより提供された。E7TCR269マウスは、Graham Leggatt(Narayanら、2009)から入手し、且つ研究室内で繁殖した(Translational Research Institute (ブリスベーン)のBiological Research Facility)。全てのマウスを、Translational Research Institute(ブリスベーン、オーストラリア)のBiological Research Facilityで、特定の無病原体条件下で飼育し、雌を、6~12週齢で使用した。全ての動物手技及び実験は、IMVS動物倫理委員会及びQueensland大学動物倫理委員会の承認(#093/15及び#351/15)により、National Health and Medical Research Council of Australiaの倫理指針を順守して行った。
【0214】
免疫化
DNAワクチン免疫化に関して、C57BL/6又はE7TCR269マウスを、3週間間隔で、2回、30μg HPV DNAワクチン(NTC8485-O-U-E6[C70G,I135T]-AGA-E7[C24G,E26G]及びNTC-O-s-E6[C70G,I135T]-AGA-E7[C24G,E26G])により、各耳の耳介に皮内免疫化した。E6/E7融合タンパク質免疫化に関して、先の刊行物(Stewartら、2004)を基に、C57BL/6又はE7TCR269マウスを、3週間間隔で、2回、30μgタンパク質を尾部本体へ、皮下免疫化した。
【0215】
皮膚移植
E7TCR269マウスは、2回目の免疫化後7日目に、C57BL/6Jドナーマウス由来(頭部末端)及びC57/6J.K14E7ドナーマウス由来(尾部末端)の、2種の皮膚移植片を受け取った。皮膚移植は、先に説明されている(Mittalら、2013)。簡単に述べると、ドナー耳皮膚を、背側及び腹側の表面(~1cm2)へ分け、及び背側の耳表面を、麻酔をかけたE7TCR269レシピエントの胸部側面領域上に配置した。移植片を、抗生物質含浸ガーゼ(Bactigras、Smith and Nephew社、ロンドン、UK)で覆い、MicroporeテープとFlex-ラップ(Lyppard社、クイーンズランド、オーストラリア)により包帯した。7日後に包帯を取り外し、移植片を6週間にわたりモニタリングした。定規を含む写真を毎週撮影し、移植片サイズを、Fiji Imagineソフトウェアを用いて解析した。
【0216】
ELISPOT
HPV16 E6及びE7-特異的CD8+ T細胞反応を、IFNγ ELISPOTを用いて測定した。ELISPOTプロトコールは、先に説明されている(Duttonら、2013)。簡単には、1×106個細胞を、IFN-γに対する捕獲モノクローナル抗体8μg(AN18、Mabtech社、ストックホルム、スウェーデン)によりコーティングされた96ウェルELISPOTプレート(Millipore社)において、10%FCSを含有するDMEM培地上に、3つ組で播種した。細胞を、10μg/ml HPV16-E6/E7ペプチド(Auspep/Mimotopes)により、24時間、37℃で、再刺激した。洗浄後、プレートを、IFN-γに対するビオチン化されたモノクローナル抗体(R4-6A2、Mabtech社、ストックホルム、スウェーデン)と一緒に、室温で、2時間インキュベーションした。検出のために、ホースラディッシュペルオキシダーゼ-コンジュゲートされたストレプトアビジン(Sigma-Aldrich社、セントルイス、MO)及びDAB錠(Sigma-Aldrich社、セントルイス、MO)を使用した。自動化ELISPOTリーダーシステムELR02(Autoimmun Diagnostika社、ストラスブルグ、独国)を用いて、スポットを数えた。
【0217】
ELISA
抗体反応を決定するために、-1日目及び実験の最終日(77日目)に、血清を動物から収集した。Maxisorpマイクロタイタープレート(Nunc社、ロスキレ、デンマーク)を、0.25μg/mlのHPV16 E7組換えタンパク質(Bioclone社)50μlにより、4℃で一晩コーティングした。コーティング後、プレートを、PBS/0.1% Tween(PBS-T)により3回洗浄し、PBS-T中の5%脱脂粉乳100μlにより、37℃で2時間ブロックした。プレートを、PBS-Tにより洗浄し、1ウェルにつきマウス血清(1:100希釈)50μlを2つ組で添加し、その後プレートを37℃で1時間インキュベーションした。3回洗浄した後、抗-マウスIgGペルオキシダーゼコンジュゲート(Sigma社)50μlを、37℃で1時間インキュベーションした。その後プレートを、再度3回洗浄し、OPD(o-フェニレンジアミンジヒドロクロリド)基質(Sigma社、セントルイス、MO)と一緒にインキュベーションした。30分後、吸光度を、3N HClの25μlを添加し、Multiskan EXプレートリーダー(Pathtech社;メルボルン、オーストラリア)において、492nmで、測定した。
【0218】
統計解析
統計解析は、Windows用GraphPad Prismバージョン5.03(GraphPad Software社、サンディエゴ、CA)により行った。皮膚移植生存曲線を、Mantel-Cox検定により比較した。HPV16-E7ペプチド-特異的T細胞反応を、対応のない両側t-検定により比較した。抗体力価は、一元配置ANOVA、それに続くテューキー多重比較試験により比較した。差は、P<0.05である場合に、有意であるとみなした。
【0219】
本明細書に引用されたあらゆる特許、特許出願、及び刊行物の開示は、それ全体が引用により本明細書中に組み込まれている。
【0220】
本明細書の任意の参考文献の引用は、そのような参考文献が、本出願の「先行技術」として利用可能であることを承認するものとして構成されたものではない。
【0221】
本明細書を通じ、本発明をいずれかの一実施態様又は特徴の具体的収集に限定することなく、本発明の好ましい実施態様を説明することを目的としている。従って当業者は、本開示を鑑み、本発明の範囲から逸脱することなく、例証された特定の実施態様において、様々な修飾及び変更を行うことができることは認められるであろう。かかる修飾及び変更は全て、添付された請求項の範囲に含まれることが意図される。
【配列表】