(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-22
(45)【発行日】2022-08-01
(54)【発明の名称】電動車両用バッテリ及び電動車両
(51)【国際特許分類】
B62J 43/16 20200101AFI20220725BHJP
B62J 11/19 20200101ALI20220725BHJP
B62J 45/00 20200101ALI20220725BHJP
H01M 50/20 20210101ALI20220725BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20220725BHJP
【FI】
B62J43/16
B62J11/19
B62J45/00
H01M50/20
H02J7/00 P
H02J7/00 301B
(21)【出願番号】P 2019192185
(22)【出願日】2019-10-21
【審査請求日】2020-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢崎 勝也
(72)【発明者】
【氏名】望月 利紀
(72)【発明者】
【氏名】土屋 文明
(72)【発明者】
【氏名】後藤 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 研一郎
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/061387(WO,A1)
【文献】特開2011-49151(JP,A)
【文献】特開2019-160446(JP,A)
【文献】国際公開第2014/102853(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/054069(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 43/00
B62J 11/19
B62J 45/00
B60K 1/04
H01M 50/20
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーセルと、
前記バッテリーセルへの入出力部品と、
前記バッテリーセルが内部に収納されるメイン収納部及び前記入出力部品が内部に収納されるサブ収納部を含み、前記メイン収納部及び前記サブ収納部は鉛直方向には隣接せずに前記鉛直方向に直交する第1方向に隣接し、前記サブ収納部は前記メイン収納部よりも外形において前記第1方向に直交する第2方向の幅が小さく、前記メイン収納部及び前記サブ収納部の隣接する外面で構成される凹部を含むバッテリーケースと、
前記バッテリーケースの前記凹部に
、前記サブ収納部から前記第2方向に沿って突出するように設けられて前記入出力部品に電気的に接続されるコネクタと、
を含み、前記第1方向を電動車両の前後方向として搭載されるようになった、電動車両用バッテリ。
【請求項2】
請求項1に記載された電動車両用バッテリにおいて、
前記凹部は、前記第2方向の両側にある第1凹部及び第2凹部を含み、
前記コネクタは、前記第1凹部に設けられた1つ又は複数の第1コネクタと、前記第2凹部に設けられた1つ又は複数の第2コネクタと、を含む、電動車両用バッテリ。
【請求項3】
バッテリーセルと、
前記バッテリーセルへの入出力部品と、
前記バッテリーセルが内部に収納されるメイン収納部及び前記入出力部品が内部に収納されるサブ収納部を含み、前記メイン収納部及び前記サブ収納部は第1方向に隣接し、前記サブ収納部は前記メイン収納部よりも外形において前記第1方向に直交する第2方向の幅が小さく、前記メイン収納部及び前記サブ収納部の隣接する外面で構成される凹部を含むバッテリーケースと、
前記バッテリーケースの前記凹部に設けられて前記入出力部品に電気的に接続されるコネクタと、
を含み、
前記凹部は、前記第2方向の両側にある第1凹部及び第2凹部を含み、
前記コネクタは、前記第1凹部に設けられた1つ又は複数の第1コネクタと、前記第2凹部に設けられた1つ又は複数の第2コネクタと、を含み、
前記コネクタは、充電用レセプタクル、放電用レセプタクル及び通信用レセプタクルを含み、前記第1方向を電動車両の前後方向として搭載されるようになった、電動車両用バッテリ。
【請求項4】
請求項2又は3に記載された電動車両用バッテリにおいて、
前記コネクタは、前記第1凹部及び前記第2凹部のそれぞれで、前記サブ収納部から前記第2方向に沿って突出するように設けられている、電動車両用バッテリ。
【請求項5】
請求項
3に記載された電動車両用バッテリにおいて、
前記充電用レセプタクルは、前記1つ又は複数の第1コネクタに含まれ、
前記放電用レセプタクルは、前記1つ又は複数の第2コネクタに含まれる、電動車両用バッテリ。
【請求項6】
請求項3
又は5に記載された電動車両用バッテリにおいて、
前記メイン収納部で前記バッテリーセルの上に制御回路基板をさらに含み、
前記通信用レセプタクルは、前記入出力部品を介して、前記制御回路基板に電気的に接続されている、電動車両用バッテリ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載された電動車両用バッテリにおいて、
前記バッテリーセルに取り付けられたブラケットをさらに含み、
前記入出力部品は、前記ブラケットに固定されている、電動車両用バッテリ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載された電動車両用バッテリにおいて、
前記入出力部品は、入出力回路を含み、前記入出力回路では、前記バッテリーセルのプラス端子にのみヒューズが接続されている、電動車両用バッテリ。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載された電動車両用バッテリと、
前記電動車両用バッテリから電力が供給される駆動モータと、
を含み、
前記バッテリーケースは、前記第2方向が車幅方向に一致するように配置されている、電動車両。
【請求項10】
請求項3
、5及び6のいずれか1項に記載された電動車両用バッテリと、
前記電動車両用バッテリを充電するための充電用インレットと、
前記電動車両用バッテリから電力が供給される駆動モータと、
前記駆動モータを制御するためのモーターコントロールユニットと、
前記充電用レセプタクルと前記充電用インレットを電気的に接続する充電用ケーブルと、
前記放電用レセプタクルと前記モーターコントロールユニットを電気的に接続する放電用ケーブルと、
前記通信用レセプタクルと前記モーターコントロールユニットを電気的に接続する通信用ケーブルと、
を含む、電動車両。
【請求項11】
請求項9に記載された電動車両において、
前記車幅方向に間隔をあけた一対のダウンチューブを含むフレームをさらに含み、
前記電動車両用バッテリは、前記一対のダウンチューブの間に位置している、電動車両。
【請求項12】
請求項11に記載された電動車両において、
前記電動車両用バッテリの前記コネクタは、前記バッテリーケースと前記一対のダウンチューブとの間に位置している、電動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両用バッテリ及び電動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
電動車両は、バッテリーセルが収容されるバッテリーケースを備えている(特許文献1)。バッテリーセルはアッパーケースで覆われ、アッパーケースの上方に電装品が位置し、電装品は電装品カバーに覆われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バッテリーセルの上方に電装品が積層されると、バッテリーケース全体が縦長(鉛直方向に長い)形状となる。このような形状のバッテリーケースは、適用される車両のタイプが限定されてしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、車両設計の自由度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る電動車両用バッテリは、バッテリーセルと、前記バッテリーセルへの入出力部品と、前記バッテリーセルが内部に収納されるメイン収納部及び前記入出力部品が内部に収納されるサブ収納部を含み、前記メイン収納部及び前記サブ収納部は第1方向に隣接し、前記サブ収納部は前記メイン収納部よりも外形において前記第1方向に直交する第2方向の幅が小さく、前記メイン収納部及び前記サブ収納部の隣接する外面で構成される凹部を含むバッテリーケースと、前記バッテリーケースの前記凹部に設けられて前記入出力部品に電気的に接続されるコネクタと、を含む。
【0007】
本発明によれば、コネクタは、凹部に設けられるので、バッテリーケースから第2方向への出っ張りを小さくすることができる。そのため、第1方向を電動車両の前後方向に一致させた電動車両用バッテリの配置が可能になり、車両設計の自由度を向上させることができる。
【0008】
(2)(1)に記載された電動車両用バッテリにおいて、前記凹部は、前記第2方向の両側にある第1凹部及び第2凹部を含み、前記コネクタは、前記第1凹部に設けられた1つ又は複数の第1コネクタと、前記第2凹部に設けられた1つ又は複数の第2コネクタと、を含んでもよい。
【0009】
(3)(2)に記載された電動車両用バッテリにおいて、前記コネクタは、前記第1凹部及び前記第2凹部のそれぞれで、前記サブ収納部から前記第2方向に沿って突出するように設けられていてもよい。
【0010】
(4)(2)又は(3)に記載された電動車両用バッテリにおいて、前記コネクタは、充電用レセプタクル、放電用レセプタクル及び通信用レセプタクルを含んでもよい。
【0011】
(5)(4)に記載された電動車両用バッテリにおいて、前記充電用レセプタクルは、前記1つ又は複数の第1コネクタに含まれ、前記放電用レセプタクルは、前記1つ又は複数の第2コネクタに含まれてもよい。
【0012】
(6)(4)又は(5)に記載された電動車両用バッテリにおいて、前記メイン収納部で前記バッテリーセルの上に制御回路基板をさらに含み、前記通信用レセプタクルは、前記入出力部品を介して、前記制御回路基板に電気的に接続されてもよい。
【0013】
(7)(1)から(6)のいずれか1項に記載された電動車両用バッテリにおいて、前記バッテリーセルに取り付けられたブラケットをさらに含み、前記入出力部品は、前記ブラケットに固定されてもよい。
【0014】
(8)(1)から(7)のいずれか1項に記載された電動車両用バッテリにおいて、前記入出力部品は、入出力回路を含み、前記入出力回路では、前記バッテリーセルのプラス端子にのみヒューズが接続されてもよい。
【0015】
(9)本発明に係る電動車両は、(1)から(8)のいずれか1項に記載された電動車両用バッテリと、前記電動車両用バッテリから電力が供給される駆動モータと、を含み、前記バッテリーケースは、前記第2方向が車幅方向に一致するように配置されている。
【0016】
(10)本発明に係る電動車両は、(4)から(6)のいずれか1項に記載された電動車両用バッテリと、前記電動車両用バッテリを充電するための充電用インレットと、前記電動車両用バッテリから電力が供給される駆動モータと、前記駆動モータを制御するためのモーターコントロールユニットと、前記充電用レセプタクルと前記充電用インレットを電気的に接続する充電用ケーブルと、前記放電用レセプタクルと前記モーターコントロールユニットを電気的に接続する放電用ケーブルと、前記通信用レセプタクルと前記モーターコントロールユニットを電気的に接続する通信用ケーブルと、を含む。
【0017】
(11)(9)又は(10)に記載された電動車両において、前記車幅方向に間隔をあけた一対のダウンチューブを含むフレームをさらに含み、前記電動車両用バッテリは、前記一対のダウンチューブの間に位置してもよい。
【0018】
(12)(11)に記載された電動車両において、前記電動車両用バッテリの前記コネクタは、前記バッテリーケースと前記一対のダウンチューブとの間に位置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図3】
図2に示す内部構造の、前輪を除いた正面図である。
【
図5】バッテリーセル及び入出力部品の分解斜視図である。
【
図6】バッテリの前面及び左側面を斜め上方から見た斜視図である。
【
図7】バッテリの前面及び右側面を斜め上方から見た斜視図である。
【
図8】車両の内部構造の一部を拡大した左側面図である。
【
図9】車両の内部構造の一部を拡大した右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0021】
図1は、実施形態に係る電動車両の斜視図である。電動車両(例えば鞍乗型電動車両)は、電動二輪車であるが、車輪の数は問わない。電動車両は、例えば不整地走行用の四輪車両であってもよい。電動車両は、オンロードタイプであっても、オフロードタイプであっても、スクータタイプであってもよい。
【0022】
本実施形態において、方向は、電動車両の直進方向を基準にする。例えば、
図1の矢印F及びBは、それぞれ、前方向及び後方向を示す。上下方向は、前方向を基準とした上下方向である。左右は、それぞれ、前方向を基準とした左右である。
【0023】
図2は、電動車両の内部構造の左側面図である。電動車両はフレーム10を備えている。フレーム10の前端部にはフロントフォーク12が左右方向に回転可能に支持されている。フロントフォーク12の下端部には前輪14が回転可能に支持されている。フロントフォーク12の上端部には操舵のためのハンドル16(
図1)が設けられている。フレーム10の後下部にはリアユニット18が上下方向に揺動可能に支持されている。リアユニット18の後端部には後輪20が回転可能に支持されている。フレーム10の後上部には運転者が座るシート22(
図1)が設けられている。
【0024】
電動車両は、駆動輪である後輪20を駆動する駆動モータ24を備えている。駆動モータ24は例えば三相交流モータである。駆動モータ24はフレーム10に支持されている。駆動モータ24の駆動力はベルト26等の伝達部材を介して後輪20に伝達される。これに限らず、駆動モータ24は前輪14を駆動してもよいし、前輪14と後輪20の両方を駆動してもよい。駆動モータ24の回転、停止及び速度は、モーターコントロールユニット28によって制御される。
【0025】
[バッテリ]
電動車両は、バッテリ30を備えている。バッテリ30はシート22の下方向に配置されている。充電時において、充電用インレット32には、給電プラグ(図示せず)が挿入されて、バッテリ30の充電を行えるようになっている。
【0026】
図3は、
図2に示す内部構造の、前輪を除いた正面図である。フレーム10は、車幅方向に間隔をあけた一対のダウンチューブ34を含む。
図2に示すバッテリ30は、一対のダウンチューブ34の間に位置する。つまり、バッテリ30は、その外側にあるダウンチューブ34によって保護されている。バッテリ30は、シート22の下方で車幅方向の中央に位置する。
【0027】
図4は、バッテリ30の概略断面図である。バッテリ30は、排気構造36を含む。排気構造36は、排気口38を通してバッテリーケース40の内部の圧抜きを可能にする。排気構造36は前方に設けられ、排気口38も前方に形成されている。
【0028】
[バッテリーセル/制御回路基板]
バッテリ30は、バッテリーセル42を内蔵する。バッテリ30は、
図2に示すモーターコントロールユニット28へ電力を供給するためのバッテリーセル42(例えばリチウムイオン電池)を含む。モーターコントロールユニット28に供給された電力は、駆動モータ24の駆動及び制御に使用される。バッテリーセル42の上には、バッテリ30への電流の入出力を制御するための制御回路基板44が配置されている。
【0029】
[入出力部品]
バッテリ30は、バッテリーセル42への入出力部品46を有する。入出力部品46は、バッテリーセル42から前方向の位置にある。入出力部品46は、電流の入出力の制御に必要な部品を収納したボックスであるが、ボックス無しの電気部品のみであってもよい。
【0030】
図5は、バッテリーセル42及び入出力部品46の分解斜視図である。バッテリーセル42には、ブラケット48が取り付けられている。入出力部品46は、ブラケット48に固定されている。
【0031】
[バッテリーケース]
バッテリ30は、
図4に示すように、バッテリーケース40を含む。バッテリーケース40にバッテリーセル42が収納されている。バッテリーケース40は、樹脂製である。バッテリーケース40は、
図2に示すように、シート22の下方で車幅方向の中央に位置する。バッテリーケース40は、少なくとも前方向を向くように配置される前面50を含む。前面50に形成された開口に、排気構造36が取り付けられている。バッテリーケース40は、少なくとも後方向を向くように配置される後面52を含む。変形例として、排気構造36を後面52に設け、排気口38が後方を向くようにしてもよい。
【0032】
[メイン収納部/サブ収納部]
バッテリーケース40は、メイン収納部54を含む。メイン収納部54の内部にはバッテリーセル42が収納される。制御回路基板44もメイン収納部54の内部に配置されている。バッテリーケース40は、サブ収納部56を含む。サブ収納部56の内部には入出力部品46が収納される。メイン収納部54及びサブ収納部56は、第1方向D1に隣接する。第1方向D1は、
図1に示す矢印F,Bに一致する。例えば、メイン収納部54の前方向にサブ収納部56が位置する。
【0033】
[凹部]
図6は、バッテリ30の前面50及び左側面を斜め上方から見た斜視図である。
図7は、バッテリ30の前面50及び右側面を斜め上方から見た斜視図である。
【0034】
サブ収納部56の第2方向D2の幅は、外形において、メイン収納部54の第2方向D2の幅よりも小さい。第2方向D2は第1方向D1に直交する。バッテリーケース40は、第2方向D2の幅が車幅方向に一致するように配置されている。
【0035】
メイン収納部54の外面は、第2方向D2の両側面54Aを含む。サブ収納部56の外面は、第2方向D2の両側面56Aを含む。サブ収納部56の両側面56Aは、メイン収納部54の両側面54Aよりも、相互の間隔が狭くなっている。サブ収納部56は、メイン収納部54から第1方向D1に突出する凸部になっている。メイン収納部54の外面は、第2方向D2の両側面54Aから対向する方向に屈曲する一対の屈曲面54Bと、一対の屈曲面54Bからサブ収納部56の両側面56Aに至る一対の接続面54Cと、を含む。一対の接続面54Cは、第1方向D1(前方)を向く。
【0036】
バッテリーケース40は、凹部58を含む。凹部58は、メイン収納部54及びサブ収納部56の隣接する外面で構成される。凹部58は、サブ収納部56の両側面56Aのそれぞれと、メイン収納部54の一対の接続面54Cの対応する1つと、で構成される。凹部58は、第2方向D2の両側にある第1凹部58A及び第2凹部58Bを含む。
【0037】
[コネクタ]
バッテリ30は、コネクタ60を有する。コネクタ60は、バッテリーケース40と一対のダウンチューブ34(
図3)との間に位置している。コネクタ60は、一対のダウンチューブ34によって保護されている。コネクタ60は、入出力部品46(
図4)に電気的に接続されている。
【0038】
コネクタ60は、バッテリーケース40の凹部58に設けられている。サブ収納部56の両側面56Aにコネクタ60が設けられている。コネクタ60は、第1凹部58A及び第2凹部58Bのそれぞれで、サブ収納部56から第2方向D2に沿って突出するようになっている。変形例として、メイン収納部54の一対の接続面54Cにコネクタ60を設けてもよい。その場合、コネクタ60は、メイン収納部54から第1方向D1に沿って突出するようになる。
【0039】
本実施形態によれば、コネクタ60は、凹部58に設けられるので、バッテリーケース40から第2方向D2への出っ張りを小さくすることができる。そのため、第1方向D1を電動車両の前後方向に一致させたバッテリ30の配置が可能になり、車両設計の自由度を向上させることができる。
【0040】
図6に示すように、コネクタ60は、第1凹部58Aに設けられた1つ又は複数の第1コネクタ60A(例えば一対の充電用レセプタクル62+,62-及び通信用レセプタクル64)を含む。通信用レセプタクル64は、一対の充電用レセプタクル62+,62-の下方にある。通信用レセプタクル64は、入出力部品46を介して、制御回路基板44に電気的に接続されている(
図4参照)。
【0041】
図7に示すように、コネクタ60は、第2凹部58Bに設けられた1つ又は複数の第2コネクタ60B(例えば一対の放電用レセプタクル66+,66-)を含む。なお、コネクタ60(第1コネクタ60A及び第2コネクタ60B)は、排気構造36の下方に設けられている。詳しくは、バッテリーケース40は、上ケース40A及び下ケース40Bから構成され、上ケース40Aに排気構造36が設けられ、下ケース40Bにコネクタ60が設けられている。
【0042】
[ケーブル]
図8は、車両の内部構造の一部を拡大した左側面図である。一対の充電用ケーブル68がそれぞれ一対の充電用レセプタクル62+,62-(
図6)に接続されている。一対の充電用ケーブル68は、一対の充電用レセプタクル62+,62-と充電用インレット32(
図2)を電気的に接続する。また、通信用ケーブル70が通信用レセプタクル64(
図6)に接続されている。通信用ケーブル70は、通信用レセプタクル64とモーターコントロールユニット28(
図2)を電気的に接続する。
【0043】
図9は、車両の内部構造の一部を拡大した右側面図である。一対の放電用ケーブル72がそれぞれ一対の放電用レセプタクル66+,66-(
図7)に接続されている。一対の放電用ケーブル72は、一対の放電用レセプタクル66+,66-とモーターコントロールユニット28(
図2)を電気的に接続する。
【0044】
[入出力回路]
図10は、バッテリーセル42の放電時の回路図である。入出力部品46は、入出力回路74を含む。バッテリーセル42のプラス端子76+にはヒューズ78が接続されており、過電流を遮断するようになっている。入出力回路74では、バッテリーセル42のプラス端子76+にヒューズ78が接続され、マイナス端子76-にはヒューズが接続されない。
【0045】
ヒューズ78とプラス側の放電用レセプタクル66+との間には、第1リレー80が接続されている。第1リレー80は、外部から電気信号を受け取って、バッテリーセル42とプラス側の放電用レセプタクル66+との間での電気回路のオン/オフの切り替えを行うようになっている。マイナス側の放電用レセプタクル66-は、バッテリーセル42のマイナス端子76-に常時接続されている。第1リレー80がオンになることで、バッテリーセル42の放電を行うことができる。つまり、電動車両が走行可能になる。
【0046】
マイナス側の充電用レセプタクル62-は、バッテリーセル42のマイナス端子76-に接続されている。プラス側の充電用レセプタクル62+は、第2リレー82を介して、プラス側の放電用レセプタクル66+に接続されている。
図10では、第2リレー82がオフになっているため、充電はできないようになっている。
【0047】
図11は、バッテリーセル42の充電時の回路図である。第2リレー82がオンになると、プラス側の充電用レセプタクル62+及びプラス側の放電用レセプタクル66+は導通する。このとき、第1リレー80がオンになっていると充電が可能になる。また同時に、放電も可能になる。つまり、充電しながら放電することが可能になっている。
【0048】
[実施形態の概要]
(1)バッテリ30は、バッテリーセル42と、前記バッテリーセル42への入出力部品46と、前記バッテリーセル42が内部に収納されるメイン収納部54及び前記入出力部品46が内部に収納されるサブ収納部56を含み、前記メイン収納部54及び前記サブ収納部56は第1方向D1に隣接し、前記サブ収納部56は前記メイン収納部54よりも外形において前記第1方向D1に直交する第2方向D2の幅が小さく、前記メイン収納部54及び前記サブ収納部56の隣接する外面で構成される凹部58を含むバッテリーケース40と、前記バッテリーケース40の前記凹部58に設けられて前記入出力部品46に電気的に接続されるコネクタ60と、を含む。
【0049】
(2)(1)に記載されたバッテリ30において、前記凹部58は、前記第2方向D2の両側にある第1凹部58A及び第2凹部58Bを含み、前記コネクタ60は、前記第1凹部58Aに設けられた1つ又は複数の第1コネクタ60Aと、前記第2凹部58Bに設けられた1つ又は複数の第2コネクタ60Bと、を含んでもよい。
【0050】
(3)(2)に記載されたバッテリ30において、前記コネクタ60は、前記第1凹部58A及び前記第2凹部58Bのそれぞれで、前記サブ収納部56から前記第2方向D2に沿って突出するように設けられていてもよい。
【0051】
(4)(2)又は(3)に記載されたバッテリ30において、前記コネクタ60は、充電用レセプタクル62+,62-、放電用レセプタクル66+,66-及び通信用レセプタクル64を含んでもよい。
【0052】
(5)(4)に記載されたバッテリ30において、前記充電用レセプタクル62+,62-は、前記1つ又は複数の第1コネクタ60Aに含まれ、前記放電用レセプタクル66+,66-は、前記1つ又は複数の第2コネクタ60Bに含まれてもよい。
【0053】
(6)(4)又は(5)に記載されたバッテリ30において、前記メイン収納部54で前記バッテリーセル42の上に制御回路基板44をさらに含み、前記通信用レセプタクル64は、前記入出力部品46を介して、前記制御回路基板44に電気的に接続されてもよい。
【0054】
(7)(1)から(6)のいずれか1項に記載されたバッテリ30において、前記バッテリーセル42に取り付けられたブラケット48をさらに含み、前記入出力部品46は、前記ブラケット48に固定されてもよい。
【0055】
(8)(1)から(7)のいずれか1項に記載されたバッテリ30において、前記入出力部品46は、入出力回路74を含み、前記入出力回路74では、前記バッテリーセル42のプラス端子76+にのみヒューズ78が接続されてもよい。
【0056】
(9)電動車両は、(1)から(8)のいずれか1項に記載されたバッテリ30と、前記バッテリ30から電力が供給される駆動モータ24と、を含み、前記バッテリーケース40は、前記第2方向D2が車幅方向に一致するように配置されている。
【0057】
(10)電動車両は、(4)から(6)のいずれか1項に記載されたバッテリ30と、前記バッテリ30を充電するための充電用インレット32と、前記バッテリ30から電力が供給される駆動モータ24と、前記駆動モータ24を制御するためのモーターコントロールユニット28と、前記充電用レセプタクル62+,62-と前記充電用インレット32を電気的に接続する充電用ケーブル68と、前記放電用レセプタクル66+,66-と前記モーターコントロールユニット28を電気的に接続する放電用ケーブルと、前記通信用レセプタクル64と前記モーターコントロールユニット28を電気的に接続する通信用ケーブル70と、を含む。
【0058】
(11)(9)又は(10)に記載された電動車両において、前記車幅方向に間隔をあけた一対のダウンチューブ34を含むフレーム10をさらに含み、前記バッテリ30は、前記一対のダウンチューブ34の間に位置してもよい。
【0059】
(12)(11)に記載された電動車両において、前記バッテリ30の前記コネクタ60は、前記バッテリーケース40と前記一対のダウンチューブ34との間に位置してもよい。
【0060】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、実施形態で説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【符号の説明】
【0061】
10 フレーム、12 フロントフォーク、14 前輪、16 ハンドル、18 リアユニット、20 後輪、22 シート、24 駆動モータ、26 駆動力ベルト、28 モーターコントロールユニット、30 バッテリ、32 充電用インレット、34 ダウンチューブ、36 排気構造、38 排気口、40 バッテリーケース、40A 上ケース、40B 下ケース、42 バッテリーセル、44 制御回路基板、46 入出力部品、48 ブラケット、50 前面、52 後面、54 メイン収納部、54A 側面、54B 屈曲面、54C 接続面、56 サブ収納部、56A 側面、58 凹部、58A 第1凹部、58B 第2凹部、60 コネクタ、60A 第1コネクタ、60B 第2コネクタ、62- 充電用レセプタクル、62+ 充電用レセプタクル、64 通信用レセプタクル、66- 放電用レセプタクル、66+ 放電用レセプタクル、68 充電用ケーブル、70 通信用ケーブル、72 放電用ケーブル、74 入出力回路、76+ プラス端子、76- マイナス端子、78 ヒューズ、80 第1リレー、82 第2リレー、D1 第1方向、D2 第2方向。