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特許7110174近位に取り付けられたカメラを備えるカニューレ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-22
(45)【発行日】2022-08-01
(54)【発明の名称】近位に取り付けられたカメラを備えるカニューレ
(51)【国際特許分類】
   A61B 90/11 20160101AFI20220725BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20220725BHJP
   A61B 1/04 20060101ALI20220725BHJP
   A61B 17/34 20060101ALI20220725BHJP
【FI】
A61B90/11
A61B1/00 733
A61B1/04 540
A61B17/34
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019508834
(86)(22)【出願日】2017-08-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-17
(86)【国際出願番号】 US2017047424
(87)【国際公開番号】W WO2018035366
(87)【国際公開日】2018-02-22
【審査請求日】2020-08-17
【審判番号】
【審判請求日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】62/483,885
(32)【優先日】2017-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/239,632
(32)【優先日】2016-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518411372
【氏名又は名称】リバウンド セラピュティクス コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】REBOUND THERAPEUTICS CORPORATION
【住所又は居所原語表記】13900 Alton Parkway,Suite 120,Irvine,CA 92618,USA
(74)【代理人】
【識別番号】100101340
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英一
(74)【代理人】
【識別番号】100205730
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 重輝
(74)【代理人】
【識別番号】100213551
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 智貴
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィス ピーター ジー
(72)【発明者】
【氏名】ツカシマ ロス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルコ ジェフリー ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ヘンソン マイケル アール
(72)【発明者】
【氏名】マッキンタイア トッド ディー
【合議体】
【審判長】千壽 哲郎
【審判官】井上 哲男
【審判官】栗山 卓也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第5836869(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0141755(US,A1)
【文献】米国特許第6361488(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 90/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
術野に接近するためのカニューレシステムであって、
近位端および遠位端を有し、前記近位端から前記遠位端まで延びる内腔を有するカニューレ管を備えるカニューレと、
前記カニューレの近位端に固定され、その一部が記内の想像上の伸長部によって画定される円筒形の空間に延びているカメラ組立体とを備え、
前記カメラ組立体が、撮像センサとレンズとプリズムとを備えており、前記プリズムが、前記円筒形の空間に延びる前記カメラ組立体の前記一部である、カニューレシステム。
【請求項2】
前記カメラ組立体の構成部品は、前記撮像センサによって捕捉される焦点距離を変えるために、前記カニューレに対して半径方向に内方向または外方向に並進可能である、請求項1に記載のカニューレシステム。
【請求項3】
並進可能な前記カメラ組立体の構成部品が、前記撮像センサである、請求項2に記載のカニューレシステム。
【請求項4】
並進可能な前記カメラ組立体の構成部品が、レンズである、請求項2に記載のカニューレシステム。
【請求項5】
並進可能な前記カメラ組立体の構成部品が、プリズムである、請求項2に記載のカニューレシステム。
【請求項6】
前記プリズムが、遠位に面する表面と、前記内腔を通って延びるプリズム視軸とを有し、
前記プリズム視軸が、前記カニューレ管の近位端から、前記カニューレ管の管状本体の長さの約80%~120%の範囲内の距離だけ空間的に離れた点で前記カニューレ管の中心長軸と交差する、請求項に記載のカニューレシステム。
【請求項7】
前記プリズムが、平面の遠位光学面と、前記遠位光学面に対して垂直に延び、前記カニューレの長手方向軸に対して平行ではないプリズム視軸とを有する、請求項1に記載のカニューレシステム。
【請求項8】
前記プリズム視軸が、前記カニューレ管の管状本体の長さの約80%~120%の範囲内の距離だけ前記近位端から空間的に離れた点で前記長手方向軸と交差する、請求項に記載のカニューレシステム。
【請求項9】
術野に接近するためのカニューレシステムであって、
近位端および遠位端を有し、前記近位端から前記遠位端まで延びる内腔を有するカニューレ管を備えるカニューレと、
前記カニューレの近位端に固定され、その一部が記内の想像上の伸長部によって画定される円筒形の空間内に延びるカメラ組立体とを備え、
前記カメラ組立体が、撮像センサとレンズとプリズムとを備えており、前記プリズムが、前記円筒形の空間に延びており、前記内腔、又は、前記円筒形の空間を部分的に塞ぐ前記カメラ組立体の前記一部であり、
前記撮像センサが、撮像面を有し、前記プリズムが、前記撮像面に対して平行に向かう光を前記撮像面の方に向かわせるように撮像面と整列している、カニューレシステム。
【請求項10】
前記カニューレ管の近位端に配置される取付構造をさらに備え、
前記カメラ組立体が、前記取付構造上に配置され、
前記カメラ組立体、前記プリズムが前記内腔の想像上の伸長部によって画定される円筒形の空間内に延びている第1位置から、前記カメラ組立体が記円筒形の空間の外側に留まっている第2位置まで、前記取付構造内を並進可能である、請求項に記載のカニューレシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
後述の発明は、低侵襲脳手術の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
脳卒中は、死亡および障害を引き起こす神経疾患のよくある原因である。毎年、米国で約70万人の患者が脳卒中に苦しんでいる。出血性脳卒中は、脳卒中の年間患者数の20%を占める。出血性脳卒中は、脳内の血管破裂による脳組織への出血が原因であり、脳内血腫(血液塊)をもたらす。長期にわたる脳損傷を抑制または阻止するには、血液塊の迅速な摘出が必要である。
【0003】
血液塊と周辺の術野を鮮明に視覚化および画像化することで、血液塊の摘出が容易になる。摘出および視覚化は、血腫部位付近の頭蓋骨に開けられた穴を通して配置されたカニューレおよびオブチュレータ組立体により実現される場合が多い。血腫部位は、コンピュータ断層撮影(Computed Tomography:CT)スキャンを用いて正確に特定されうる。
【0004】
カニューレおよびオブチュレータ組立体を厳密に血腫に配置するのに役立てるべく、また、健康な脳組織を損傷する可能性が最も低い経路を通ってカニューレを挿入するのに役立てるべく、脳外科医は、高度かつ高価な定位固定手術システムまたはニューロナビゲーションシステムを用いる。これらのシステムは、以前に取得した磁気共鳴イメージング(Magnetic Resonance Imaging:MRI)またはCTスキャンに左右されるが、スキャンは数時間前のものであるため、手術時点の血液塊の形状および位置を完全に反映しているわけではないと言える。これらのシステムにおいて、カニューレの遠位端が適切に配置されているかの目視確認は、オブチュレータをカニューレから抜いた後にのみ実現可能である。遠位端が正確に配置されていない場合は、オブチュレータを再度挿入しなければならず、オブチュレータを抜いた後、血液塊が見えるまで、おそらく繰り返しカニューレおよびオブチュレータ組立体を操作しなければならない。
【0005】
このような高価なニューロナビゲーションシステムおよび定位固定システムが標準になる前に用いられ、このようなシステムが利用できないところで依然として用いられている、それほど高度ではない手法は、大規模な開頭術、血液塊の診査および直視探索、広範囲組織解剖、ならびに侵襲的計測を伴い、これらはすべて高い死亡率および罹患率と関係がある。
【発明の概要】
【0006】
後述の装置および方法は、低侵襲手術中の脳の改良された視覚化を提供する。装置は、カニューレ内腔と、内腔の中および下にある組織の中を見る、カニューレの近位端に取り付けられたカメラを備えるカニューレを備えている。内腔の閉塞を最小限にしつつ、カメラでカニューレの中を見ることができるように、プリズム、リフレクタまたはその他の好適な光学素子は、カメラとカニューレの内腔との間を向いている。
【0007】
カニューレ内腔と、内腔の中および下にある組織の中を見る、カニューレの近位端に取り付けられたカメラを備えるカニューレと、場合により、カメラによって得られる画像を表示するためのディスプレイとを備える装置は、透明または半透明の短く大きな直径の先端部を有する長く小さな断面のシャフトを備えるオブチュレータと共に使用することができる。内腔の閉塞を最小限にしつつ、カメラでオブチュレータ先端部を見ることができるように、プリズム、リフレクタまたはその他の好適な光学素子は、カメラとカニューレの内腔との間を向いている。組み立てられたカニューレ、カメラおよびオブチュレータは、組立体のための路を作るために脳の組織を穏やかに切除し、カニューレの遠位開口部を塞ぐ(閉塞させる)ために使用されるオブチュレータ先端部と共に、患者の脳に挿入されてもよい。小さな断面のオブチュレータシャフトは、カニューレの内径よりもかなり小さく、シャフトとカニューレ壁との間にかなりの大きさの環状または円形の空間が得られ、オブチュレータ先端部の近位表面の(カメラからの)良好な視認性を与える。光は、必要な場合、オブチュレータ先端部の遠位端およびカニューレの遠位端付近のカニューレまたは組織を照射するためにカニューレ内に与えられてもよい(その代わりに、組立体の外側の光源から光が与えられてもよく、またはカニューレの近位端に取り付けられた光から、または上述のいずれかの組み合わせから与えられてもよい)。オブチュレータ先端部の遠位表面付近の組織によって反射した光は、オブチュレータを通り、オブチュレータ先端部の近位表面から出て、その結果、組立体を挿入するか、または操作する脳外科医は、オブチュレータ先端部が、脳組織(白色から灰色である)付近にあるか、または血液(赤色から黒色である)付近にあるかを簡単に見ることができる。
【0008】
それを可能にする接近システムおよび方法を、ニューロナビゲーションに付随するものとして使用し、特に、手術の目標が、カニューレを介する血液塊の除去である場合に、血腫に対する首尾良いナビゲーションを確認するのに役立つ。それを可能にするシステムおよび方法を使用し、血腫のおおよその位置が撮像からわかっている状況、または血腫のおおよその位置が、さらに小さなプローブを用いて解明しうる状況、または緊急手術の間に、ニューロナビゲーションシステムの代わりに、血液塊の位置を決めてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】外科的介入を必要とする領域を有する患者の頭部を示す。
図2】近位に取り付けられたカメラを備えるカニューレを示す。
図3】近位に取り付けられたカメラを備えるカニューレの分解側面図である。
図4】近位に取り付けられたカメラを備えるカニューレの上面図である。
図5】トラック上を移動可能なカメラを備えるカニューレ光シールドの拡大側面図である。
図6】近位に取り付けられたカメラを備えるカニューレのためのカメラの拡大側面図である。
図7図1の患者の組織塊への、近位に取り付けられたカメラを備えるオブチュレータおよびカニューレの挿入を示す。
図8図1の患者に低侵襲手術を行うための、近位に取り付けられたカメラを備えるカニューレの使用を示す。
図9】カニューレ管へのカメラの簡単な接続および脱離を与えるカニューレのさらなる構造を示す。
図10】カメラがカニューレ管に固定されており、カニューレ管の内腔上の空間にオブチュレータが侵入した場合でさえ、オブチュレータがカメラの近くを通過するように改変されている、カメラおよびカニューレシステムを示す。
図11】カメラがカニューレ管に固定されており、カニューレ管の内腔上の空間にオブチュレータが侵入した場合でさえ、オブチュレータがカメラの近くを通過するように改変されている、カメラおよびカニューレシステムを示す。
図12】カニューレが脳に挿入されており、カニューレの遠位端が血液塊に近接しており、オブチュレータ先端部が血液塊内に延びている、外科的介入を必要とする血液塊を脳内に有する患者を示す。
図13】カニューレ、カメラおよびオブチュレータシステムを示す。
図14】カニューレの近位端にカメラ組立体が固定されたままでのオブチュレータの除去を示す。
図15】脳を通ってシステムを進めながらカメラによって得られる例示的な画像を示す。
図16】脳を通ってシステムを進めながらカメラによって得られる例示的な画像を示す。
図17】脳を通ってシステムを進めながらカメラによって得られる例示的な画像を示す。
図18図12のカニューレ、カメラおよびオブチュレータシステムと共に使用するためのオブチュレータ先端部を示す。
図19図12のカニューレ、カメラおよびオブチュレータシステムと共に使用するためのオブチュレータ先端部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、外科的介入を必要とする脳3に血液塊2を有する患者1を示す。カニューレ4が脳に挿入されており、カニューレの遠位端が血液塊に近接している。カメラ5は、カニューレの近位縁に取り付けられており、カメラの一部がカニューレの縁に突き出ており(overhanging)、カニューレの内腔の上に配置されており、カニューレの遠位端で血液塊またはその他の組織の映像または静止画を得るように操作可能である。
【0011】
図2は、カニューレ4を詳細に示す。カニューレは、カニューレ管6を備えており、遠位端6dは、患者の体内への挿入に適合しており、近位端6pは、使用中、身体の外に留まる。カメラ5は、カニューレ管の近位端6pに取り付けられている。取付構造7は、カニューレの近位端に固定されている。カメラ(以下の図面に詳細に示される)は、プリズム、リフレクタまたはその他の鏡構造または光学素子を備えていてもよく、またはこれらと共に設置されていてもよく、カニューレ管の内腔8に突き出ている(overhanging)。カメラが、カニューレ内腔と比較して小さい場合、カメラは、プリズムまたはリフレクタを用いずに使用されてもよく、カニューレの長軸に沿って整列した視軸を有するような方向を向いていてもよい。血液塊を良好に視覚化し、血液塊の画像を得るのに必要な光は、遠位開口部に、または遠位開口部に近接して、カニューレ管の遠位端6dに配置される光源9(LEDまたはその他の光源)によって与えられてもよい。その代わりに、光源は、カニューレ管の近位端に配置されていてもよく、光は、カニューレの開放内腔を通って伝わってもよく、または光ファイバー10を通って伝わってもよく、またはカニューレが透明材料から作られる場合、光は、カニューレ管の壁を下向きに伝わり、カニューレ壁の遠位端を出て、血液塊に照射されてもよい。取付構造7のリング11は、光が、近位に配置された光から直接的に発せられるか、または遠位に配置された光からカニューレ管を通るかによらず、近位の視座からの像からの光を遮断するためのシールドとして役立つ。光源が透過性のカニューレ管の近位端に配置される実施形態では、カニューレ管6からの光の発生によって術野を照射することができるように、カニューレ管の遠位部分6dが作られ、成型され、機械加工され、処理され、または他の様式で構成されてもよい。例えば、内側遠位表面および/または外側遠位表面は、これらの表面を通って光を発することができるように、研磨されるか、または艶消しされるか、または被覆されていてもよい。光源が、カニューレの遠位端の方に配置されている場合、光源を保持するカニューレ部分および光源に対して遠位のカニューレ部分は、術野にもっと多くの光を生じるように光学的に透過性であってもよく、一方、光源に近位のカニューレ部分は、不透明であってもよい。カメラおよび光源に電力を与え、画像データをカメラからディスプレイに運ぶためのケーブルが与えられてもよく、または装置は、装置上に配置された電池によって電力が与えられてもよく、画像データは、ディスプレイに無線で送られてもよい。
【0012】
図3は、カメラ5がカニューレ管の近位縁に配置され、プリズムまたはリフレクタ12がカニューレの内腔8に突き出ている(overhanging)、カニューレ4の分解側面図である。図4は、近位に取り付けられたカメラ5を備えるカニューレ4の上面図を示す。図3は、術野(例えば、血液塊2)に光を発するために、カニューレ管の遠位端6P上に、またはその付近に配置されたLED9も示す。
【0013】
カメラは、プリズムまたはリフレクタ12が、カメラを半径方向にスライドさせ、枢着点の周囲でカメラをひっくり返すことによって、またはカメラ取付構造からカメラを全体的に取り外すことによって、その突き出ている(overhanging)位置から取り外しうるように、取付構造内に取り付けられていてもよい。図5は、カメラ5を取付構造7に対してスライドする連結と、待機位置13Sから使用位置13Aへのカメラの移動を示す。カメラ5は、使用位置13Aでは、プリズム/リフレクタ12が、内腔8によって規定され、内腔8から延びる円筒形の空間14内に部分的または完全に延びており、手術を行うために内腔8を用いる小さな直径の手術器具(例えば、アスピレータまたはマセレータ)に対する妨害を最小限にしつつ、カニューレ管の遠位開口部で手術部位を塞がれずに見られる。カメラ5を光シールド7に移動可能に接続するための任意の好適な技術を使用してもよい。例えば、カメラは、トラック(例えば、トラック15)にスライド可能に接続していてもよく、この場合、トラック15は、カメラ5を光シールドに固定し、カメラ/プリズム組立体を、待機位置13Sと使用位置13Aとの間で半径方向に移動させ、元に戻すことができる(すなわち、プリズムが内腔8またはカニューレ管の内腔によって規定される円筒形の空間14へと延びている第1位置から、プリズムが内腔8またはカニューレ管の内腔によって規定される円筒形の空間14の外側に留まっている第2位置まで)。カメラは、16にある枢着点で接続されていてもよく、その結果、カメラの軸がカニューレ管の長軸に対して垂直であるか、または実質的に垂直である第1位置から、プリズムがカニューレ管の内腔の想像上の伸長部によって規定される円筒形の空間14の外側に留まっている、長軸について角度が付けられた第2位置まで、管に回転可能に接続している。カメラは、カメラと取付構造のチャンネル、またはその他の好適な取り外し可能な連結手段との間の摩擦嵌合または戻り止め配置を用い、取付構造に対して取り外し可能に接続していてもよい(すなわち、外科的処置の間、道具を使用することなく、手で容易に接続し、脱離しうる)。
【0014】
図6は、カメラ5の拡大側面図である。カメラ5は、プリズムまたはリフレクタ12と、1つ以上のレンズ17(アクロマティックレンズまたはその他のダブレットを含んでいてもよい)と、撮像装置18と、制御システム19とを備えている(システムのカメラ構成部品で提供される場合)。レンズ17は、さらなる光学構成部品を備える光学組立体の一部であってもよい。撮像装置18は、任意の好適な画像センサ、例えば、CCDセンサまたはCMOSセンサであってもよい。制御システム19は、コントローラ、データ処理構成部品およびトランスミッタ、例えば、カメラを制御し、カメラからのデータを送信するためのコントローラおよびトランスミッタを備えていてもよい(データ出力システムは、装置の外に配置されていてもよい)。好適なケーブルまたは無線トランスミッタを使用し、カメラをディスプレイシステムおよび電源に接続してもよい。撮像センサは、撮像面によって特徴付けられ、プリズムは、撮像面に対して平行に向かう光を、撮像面の方に向かわせるように、撮像面と整列している。示されているように、撮像面は、カニューレ管の長軸と平行であり、プリズム/リフレクタは、撮像面に対して垂直な線に沿って配置されており、術野からの光が撮像面の上のカニューレ管の遠位端に向かうように向けられている。
【0015】
示されている実施形態では、中心長手方向軸20Lは、管状本体の長さ全体で同軸に延びている。撮像センサは、センサ表面に対して垂直に延び、プリズムの半径方向に面する表面と交差する撮像センサ軸(第1視軸)20Sを有する。示されているように、中心長手方向軸と撮像センサ軸は、約90°の角度で交差する。代替的な構成では、この角度は、約70°~110°の範囲内であり、または約85°~95°の範囲内である。この角度は、所望な構成に応じて、90°より大きくてもよく、または90°より小さくてもよい。
【0016】
本明細書に開示するいずれかの実施形態では、プリズム視軸20P(第2視軸、プリズムからカニューレの遠位端まで、カニューレを通る視線である)は、プリズムの遠位表面と交差し、標的組織に向かって、管状本体を通って遠位に軸方向に延びている。いくつかの実施では、プリズム視軸は、カニューレのほぼ遠位端で、またはカニューレの遠位端から約4cm以内、または約2cm以内、またはもっと短い距離でカニューレの中心長手方向軸と交差する。プリズムは、内腔の内径の約25%以下、一般的には、内腔の内径の約15%以下または約10%以下、またはもっと少なく、カニューレ内腔に突き出ている(overhangs)。この理由のために、第2視軸は、典型的には、中心長手方向軸に対し、ある角度で存在している。使用するプリズムの種類に依存して、プリズム視角は、プリズムの遠位光学面に対して垂直であってもよく(反射性の場合、例えば、長い表面がルーフとして使用される、図に示される直角プリズム)、プリズムは、所望の点(例えば、カニューレの遠位端でのカニューレの中心長手方向軸との交差点)でのプリズム視軸を目的とするために、遠位光学面がカニューレの横断面に対してわずかに傾いているように、カニューレ内腔の上に配置されていてもよい。視角が遠位光学面に対して垂直ではない、その他の反射性プリズムおよび偏光プリズムの場合、遠位光学面は、適切な場合、カニューレの遠位端でのカニューレの中心長手方向軸との交差点などの所望な点でのプリズム視軸を目的とするために、角度が付けられていてもよい。カニューレの遠位端からの光を撮像センサの方に反射させるか、または位置を変えるように操作可能な、ペンタプリズム、ハーフペンタプリズム(光がプリズム視軸から45°曲がり、撮像センサ視軸は、プリズム視軸またはカニューレ長手方向軸に対して約45°に配置されていてもよい、非反転プリズムおよび非逆転プリズム)、Schmidtプリズム(光がプリズム視軸から45°曲がり、撮像センサ視軸が、プリズム視軸またはカニューレ長手方向軸に対して約45°に配置されていてもよい、反転プリズムおよび逆転プリズム)、Porroプリズム(プリズムに入る光を、相殺するが平行な経路に変え、撮像センサ視軸が、プリズム視軸またはカニューレ長手方向軸に平行であるが、これらに対して半径方向に位置が変えられていてもよい、反転プリズムおよび逆転プリズム)、またはその他のプリズム、またはプリズムの組み合わせまたは構成(および例えば、Amici/Pentaプリズムの組み合わせ、または遠位に面する長い表面と共に配置され、直角面が、画像をプリズム視軸に対して平行ではない経路に沿って再び向きを変えさせるための反射面として機能し、場合により、画像を、平行であるが相殺する経路の方に向きを変えさせるための第2直角プリズムと対にした、直角プリズム、またはBauerfeindプリズム)を含む種々の形態のプリズムを使用してもよい。
【0017】
カニューレ管の遠位端に配置された光によって照射が与えられる実施形態では、カニューレ管の内壁にバッフルを与えることによって、カニューレ管の内壁からの生じるまぶしさおよび反射を最小化することができる。バッフルは、管の長さに沿って分散する、内壁にわずかに突出する突起部を有していてもよい。好ましくは、突起部は、管の近位端の方に向かって、より密に配置され、管の遠位端の方に向かって、相対的にさらに広く空間的に離れているように、漸進的に空間的に離れている。いくつかのこのような突起部が図3に示されており、項目21として印が付けられている。突起部は、任意の形態で与えられていてもよく、カニューレ管6と一体化していてもよく(例えば、成型中に作られる)、またはカニューレ管の内壁に接着または融合していてもよく、突起部は、管に挿入されるか、または管の内壁に融合するコイルの巻き部分、または編組の巻き部分を備えていてもよく、コイルまたは編組は、遠位に配置された光または遠位に配置されたカメラまたはセンサと関連する電力ケーブルまたはデータケーブルを備えていてもよい。
【0018】
図7および図8に示されるように、脳外科医は、カニューレの遠位端6dが、手術対象組織2に十分に近くなるまで、オブチュレータ22を備えるカニューレ4を患者の脳に挿入する。次いで、脳外科医は、カニューレ4を使用し、術野への接近、照射および視認を与えることができるように、オブチュレータ22を取り外す。次いで、脳外科医は、カメラ5を移動し、その構成に応じて、内腔の上にプリズムを配置するように、待機位置からシフトさせ、回転させ、または動かす。必要な場合、脳外科医は、術野の像を得るように撮像システムを向ける。カメラが所定の場所にきたら、脳外科医は、カメラを操作し、術野の画像を得る。カメラ5からの画像データがディスプレイ23に送信され、内腔8を介して得られる術野の1つ以上の画像24を与える。画像は、静止画(写真)および映像を含んでいてもよい。カメラを配置した後、脳外科医は、カメラの一部を内腔8または内腔の上の空間14の中に配置しつつ、手術器具または手術器具の遠位端をカニューレの内腔に通してもよい。
【0019】
図9は、カニューレ管6に対するカメラ5の容易な連結および脱離を与えるカニューレ4のさらなる構造を示す。カメラは、取付構造25に固定され、取付構造は、カニューレ管に取り外し可能に接続可能である。取付構造は、リングを備えており、これは、以前の図に示される取付構造とリングの組み合わせと似ており(項目7および11)、リングの内側に第1ロッキング要素(例えば溝26)を有し、カニューレ管の近位端は、取付構造の溝にぴったり適合するような大きさおよび寸法の第2の相補的なロッキング機構(例えばフランジ27)を備えている。取付構造は、所望な場合、カニューレ管の近位端にカメラを配置するためにカニューレの上に嵌められていてもよく、プリズムは、カニューレ管の壁に突き出て(overhanging)、内腔8の上に配置されている。取付構造は、取り外し可能に接続され、道具を用いることなく、外科的処置中に手で容易に接続され、脱離されてもよい。取付構造とカニューレ管の外壁または内壁との間の摩擦嵌合、または磁気接続(カニューレ管の近位端と取付構造における対になった磁石)、またはスナップ嵌め、または取付構造とカニューレ近位端との間の戻り止め配置、またはネジ山嵌め(取付構造およびカニューレ近位端に対して相補的な内側および外側のネジ山、またはその逆を有する)、または取付構造およびカニューレ近位端に対して相補的なスロットおよびピン、またはその逆を有するバヨネット取付部を含む、その他の取り外し可能な連結手段を使用してもよい。
【0020】
また、図9は、図3に示すバッフルの代替的な実施形態を示す。図9では、バッフルは、コイルの巻き部分28を含む。また、バッフルは、編組を含んでいてもよい。コイルまたは編組は、カニューレ管の遠位先端部に配置された光またはカニューレ管の遠位先端部に配置されたセンサに電力を運ぶために必要な電線も備えていてもよく、このような遠位に取り付けられたセンサから、このセンサに関連する制御システムまたはディスプレイシステムにデータを送信するために必要なデータケーブルも備えていてもよい。
【0021】
図10および図11は、カメラ5がカニューレ管6に固定され(すなわち、取り外し可能に接続されてはおらず)、オブチュレータ22が、カニューレ管の内腔上の空間にオブチュレータが侵入した場合でさえ、オブチュレータがカメラの近くを通過するように改変されている、カメラおよびカニューレシステムを示す。図10では、オブチュレータ22は、その長さ全体で本質的に等直径であり、その長さに沿って延びる溝29を有している(カニューレ管内に配置される部分)。溝は、カニューレ管の内腔に突き出ている(overhangs)プリズムを収容するような大きさおよび寸法である。この構成では、オブチュレータは、カニューレ管の中に挿入することができ、組み立てられたカニューレおよびオブチュレータを脳内で押すことができ、カニューレが所定の場所にある間は、カニューレ管に固定することができる。図10では、オブチュレータ22は、カニューレ管の内径とほぼ同じ直径を有する大きな直径の遠位部分22dと、カニューレ管の内腔内に容易に適合する小さな直径のロッド30とを有する。カメラは、パイロンまたはポスト31で支えられている。ポストは、オブチュレータの大きな直径の部分22dの長さと比較して、カニューレ管の近位開口部から十分な距離だけ離れた位置にカメラを保持し、その結果、オブチュレータは、カメラを移動する必要なく、オブチュレータの大きな直径の部分22dを内腔に挿入するために、傾けられてもよく、または曲げられてもよい。
【0022】
図12~19は、図11に示されるのと類似のカニューレおよびカメラシステムを用いたカニューレ、カメラおよびオブチュレータシステムを示し、脳外科医が、組み立てられたカニューレおよびオブチュレータを脳に挿入しつつ、オブチュレータ先端部の下にある組織を見ることができる透過性オブチュレータ先端部を備えている。
【0023】
図12は、外科的介入が必要な脳3に血液塊2を有する患者1を示し、カニューレ4が脳に挿入されており、カニューレの遠位端が血液塊に近接している。カメラ5は、カニューレの近位縁に取り付けられており、カメラの一部がカニューレの縁に突き出ており(overhanging)、カニューレの内腔の上に配置されており、カニューレ内腔の遠位端の映像または静止画を得るように操作可能であり、この映像または静止画は、カニューレ内のオブチュレータ先端部の画像、またはカニューレの遠位端での血液塊、脳組織、脳脊髄液(CSF)またはその他の組織の画像を含んでいてもよい。図12および図13両方に示されるように、カニューレは、カニューレ管6を備えており、カメラ5と、1つ以上の光源と、取付構造7が、カニューレの近位端に固定されている。カメラは、プリズム、リフレクタまたはその他の鏡構造または光学素子を備えており、カニューレ管の内腔8に突き出ている(overhanging)。カメラは、カニューレの近位端に永久的に固定されていてもよく(道具を用いることなく、または破壊的な分解を行うことなく、手術中に容易に取り外すことができないことを意味する)、またはカニューレの近位端に取り外し可能に接続していてもよい(特殊な道具を用いることなく、または破壊的な分解を行うことなく、手術中に容易に接続し、脱離することができることを意味する)。カメラ組立体の一部(例えば、プリズム、リフレクタまたは鏡)は、カニューレ管の内腔によって規定される円筒形の空間14へと延びており、オブチュレータ先端部が、カメラ組立体の近位の空間および円筒形の空間14へのカメラ組立体構成部品の侵入に対する大きさおよび寸法を有する場合、カメラ組立体構成部品が侵入し、カニューレ近位端に押し出されるのを避けるように傾斜していてもよいように、カニューレの近位端を超えて近位に延びており、カニューレの近位端から空間的に離れており、円筒形の空間14内に少しだけ延びている(内腔の内径の約25%以下まで、好ましくは、内腔の内径の約15%以下、または10%以下)。カメラは、単純な焦点調節手段(例えば、撮像センサを半径方向に内側または外側に移動させ、カメラの焦点を、カニューレ内またはカニューレの遠位端を超えた異なる深さに調節するための手で操作可能なつまみネジまたはスライド可能なポスト32)を備えていてもよい。
【0024】
血液塊を良好に視覚化し、血液塊の画像を得るのに必要な光は、遠位開口部に、または遠位開口部に近接して、カニューレ管の遠位端6dに配置される光源9(図13に示される、LEDまたはその他の光源)によって与えられてもよい。カニューレ自体は、好ましくは不透明であり、非反射性であり、または反射防止性コーティングで被覆されている。その代わりに、LEDは、カニューレ管の近位端に配置されていてもよく、光は、光ファイバーを通って伝わってもよく、またはカニューレが透明材料から作られる場合、光は、カニューレ管の壁を下向きに伝わり、カニューレ壁の遠位端を出て、血液塊に照射されてもよい。取付構造7のリング11は、光が、近位に配置された光から直接的に発せられるか、または遠位に配置された光からカニューレ管を通る(透明な場合)かによらず、近位の視座からの像からの光を遮断するためのシールドとして役立つだろう。カメラが、その視軸がカニューレの長軸に対して垂直になるように取り付けられなければならないほど大きい場合、カニューレの内腔8に突き出ている(overhanging)プリズム、リフレクタまたは鏡12によって、カメラは、カニューレ管の長軸の下側を見ることができる。光源がカニューレ管の近位端に配置される実施形態では、カニューレ管6からの光の発生によって術野を照射することができるように、カニューレ管の遠位部分6dが作られ、成型され、機械加工され、処理され、または他の様式で構成されてもよい。例えば、内側遠位表面および/または外側遠位表面は、これらの表面を通って光を発することができるように、研磨されるか、または艶消しされていてもよい。カメラおよび光源に電力を与え、画像データをカメラからディスプレイに運ぶためのケーブルが与えられてもよく、または装置は、装置上に配置された電池によって電力が与えられてもよく、画像データは、ディスプレイに無線で送られてもよい。
【0025】
図13は、オブチュレータ33も示す。オブチュレータは、オブチュレータ先端部34と、シャフト35と、ハンドル36と、取付構造37とを備える。オブチュレータ先端部は、円錐形の凸状遠位表面34dと、円錐形の凸状近位表面34pと、軸方向に短い円周表面34cとを有する中実構造である。先端部は、円周表面の領域では、直径(カニューレの長軸に垂直な面に沿って、カニューレの横断面に対応する横径)を有し、カニューレの内径に密に適合するが、カニューレの内腔を通る先端部の容易な長手方向の並進を可能にする。先端部は、図13に示されるように構成されるが、レンズとして作用し、その結果、光線(矢印38によって表される)は、先端部を通って反射し、先端部を通る任意の「画像」が、示されているように形成されるとき、反転しうるように曲がる。先端部は、直線的な長手方向の断面を有していてもよく、示されているように、中心円筒形部分と遠位円錐形部分と近位円錐形部分とを備えていてもよく、またはもっと丸みを帯びた断面を有していてもよい。この図に示されている形状は、2つの末端を有する円錐形回転楕円体として記載されていてもよいが、先端部は、球、回転楕円体、偏長の回転楕円体(フットボール、ラグビーボール)および扁平な回転楕円体、またはオーバル(卵形)であってもよい。遠位のテーパーは、好ましくは、脳内で使用するのに好ましい鋭くとがった先端部で終わっているが、鈍い形状または丸みを帯びた先端部で終わっていてもよい。遠位表面および近位表面は、長手方向軸に対して対称形である必要はなく、または横軸に対して対称形である必要はない。例えば、遠位表面は、直線的な断面を有しつつ、とがっていてもよく、一方、近位表面は、とがっているか、丸みを帯びているか、または平坦である。
【0026】
オブチュレータ先端部は、光学的に透過性であってもよく、光学的に不透明ではなくてもよく、光学的に透明または光学的に半透明であってもよい。先端部の透明性は、可視光スペクトルにおいて、遠位表面と接触する組織の色を通過させるために、光源によって与えられる照射の輝度が与えられるとき、先端部周囲の組織の色を、先端部の近位表面を通って伝わる光から識別することができるようにカメラおよび/または脳外科医の眼に十分な透過光を与えるために十分なだけ必要である。先端部は、ガラス、シリカ、アクリル樹脂、ポリカーボネート、シリコーン、ナイロン、ポリアミドまたはコポリマー、または医療装置に使用するのに好適な任意のその他の材料から作られてもよい。オブチュレータ先端部表面は、研磨されていてもよく、または艶消しされていてもよい。オブチュレータ先端部は、場合により、先端部を放射線不透過性にするために、放射線不透過性の物質(元素または化合物、例えば、白金粒子)を含んでいてもよく、その結果、手術中の蛍光透視法下で明瞭に見える。オブチュレータ先端部は、場合により、血液塊またはCSFを検出し、これらを周囲の脳組織から区別するのに役立つように、センサ(例えば、pHセンサ、インピーダンスセンサ、力センサ、糖センサなど)を備えていてもよい。
【0027】
先端部の近位表面は、近位方向に小さな直径に向かってテーパー形状になっており、オブチュレータがその他の装置のための隙間を作るために取り外されなければならない場合に、先端部の鮮明性も与える。図14に示されるように、凸状表面によって、カメラからの鮮明性が可能になり、オブチュレータシャフトがカニューレの長手方向軸から離れるようにわずかに傾いており、その結果、オブチュレータの取り外しが、カメラ組立体の突き出ている(overhanging)プリズムによって妨害されない。
【0028】
シャフト35は、カニューレ内腔と比較して、小さな直径または横断面を有する中実のロッドまたは管であってもよく、その結果、先端部の近位表面を、カニューレ管の近位端から見ることができる。管として与えられる場合、シャフトの内腔は、脳への組立体の誘導に有用な、ニューロナビゲーションシステムによって検出可能な受動的なマーカと共に、ニューロナビゲーションのスタイレットまたはプローブ39を収容してもよい。ニューロナビゲーションスタイレットのロッド40は、図示されているように、管状シャフトの内腔に挿入されてもよく、その結果、組み立てられたカニューレ、オブチュレータおよびスタイレットは、組立体の遠位先端部の正確な位置を補助するためのフレーム42上のマーカ41の追跡によって、ニューロナビゲーションシステムによって追跡されてもよい。シャフト35は、ニューロスターバースト接続も収容してもよい。先端部の近位表面をカニューレ管の近位端から見ることができるように、シャフト横断面がカニューレ内径と比較して小さい限り、シャフトは、円形である必要はなく、四角形または卵形の断面を有していてもよい。または、シャフトは、外径がカニューレの内径と非常に適合するハーフパイプを備えていてもよく、ハーフパイプは、カメラ組立体の反対側に整列し、カニューレ内腔の大部分を、カニューレの近位端からの先端部の視覚化のために鮮明なまま残す。
【0029】
オブチュレータ取付構造37は、依存的リム43を備えており、支柱45、またはカメラ取付部またはカニューレの縁またはその他の構成部品のその他の構造の上で摩擦嵌合するような大きさの鍵溝44(図14を参照)を有している。任意のその他の好適な噛合手段、例えば、カニューレ内のノッチと取付構造内の適合するレール、またはカニューレ中の穴または円周チャンネルに適合する取付構造の依存的ピンまたはリムを使用してもよい。噛合手段は、好ましくは、カニューレに対するオブチュレータの長手方向の移動を制限するのにも役立ち、その結果、噛合手段がカニューレに固定されている場合、オブチュレータ遠位表面は、カニューレの遠位端から突出している。外科医が、組立体の近位端上の構造に対し、先端部を介して識別可能な特徴の位置を特定するのに役立つように、先端部に対する指標基準を与えることが望ましい場合、噛合手段(例えば、鍵溝またはノッチ)は、先端部の回転位置を登録するための手段としても役立つ。
【0030】
カメラ5は、プリズム12と、1つ以上のレンズ17(アクロマティックレンズまたはその他のダブレットを含んでいてもよい)と、撮像装置18と、制御システム19とを備えている(システムのカメラ構成部品で提供される場合)。レンズ17は、さらなる光学構成部品を備える光学組立体の一部であってもよい。(例えば、細隙の開口部が、プリズムとセンサとの間、好ましくは、プリズムとレンズとの間の光路に配置されていてもよい。このことは、プリズムの近位端に、約1.0~2.0mmの範囲内、一実施形態では、約1.5mmの直径を有する開口部を含むシートを取り付けるか、またはマスクを適用することによって達成されてもよい。)撮像装置18は、任意の好適な画像センサ、例えば、CCDセンサまたはCMOSセンサであってもよい。制御システム19は、コントローラ、データ処理構成部品およびトランスミッタ、例えば、カメラを制御し、カメラからのデータを送信するためのコントローラおよびトランスミッタを備えていてもよい(データ出力システムは、装置の外に配置されていてもよい)。好適なケーブルまたは無線トランスミッタを使用し、カメラをディスプレイシステムおよび電源に接続してもよい。撮像センサは、撮像面によって特徴付けられ、プリズムは、撮像面に対して実質的に平行に、または平行ではない角度でカニューレ内腔を通って進む光線を、撮像面の方に向かわせるように、撮像面と整列している。示されているように、撮像面は、カニューレ管の長軸と平行であり、プリズムは、撮像面に対して垂直な線に沿って配置されており、術野からの光が撮像面の上のカニューレ管の遠位端に向かうように向けられている。
【0031】
図14は、カメラ組立体がカニューレの近位端に固定されたままでのオブチュレータの取り外しを示す。図14に示すように、カメラ/プリズム組立体が所定位置にあり、カニューレの内腔に突き出ている(overhanging)間に、先端部のテーパー形状の近位表面によって、オブチュレータを取り外すことができる。オブチュレータを、単純に、カメラおよびプリズムがはっきり見えるように、カニューレの長軸から離れるように傾けてもよい。先端部の近位表面がテーパー形状ではない場合、カメラ組立体は、オブチュレータの除去を可能にするために、内腔の上の円筒形の空間がはっきり見えるように、一時的に除去されてもよい。
【0032】
図13に示すように、脳外科医は、カニューレの遠位端6dが手術対象組織2に十分に近づくまで、オブチュレータ33を備えるカニューレ4を患者の脳に挿入する。カニューレおよびオブチュレータを挿入している間、脳外科医は、カメラおよび制御システムを操作し、カニューレ内腔およびカニューレの遠位端にある構造の画像をディスプレイに表示する。カメラ5からの画像データがディスプレイ50に送信され、内腔8を通るカニューレの遠位端にある構造およびオブチュレータ先端部の近位表面の1つ以上の画像51を与える。ディスプレイは、カメラからの画像データを受信し、画像データをディスプレイに送信し、ディスプレイにさらなる画像(例えば、マーカ、カーソルおよび患者データの指標)も追加するように操作可能な制御システムによって操作されてもよい。カニューレ内腔が大きい場合には、脳外科医は、オブチュレータ先端部の遠位表面に近接する脳または血液を見るために、オブチュレータ先端部の近位表面を直接見てもよい。
【0033】
図15図16および図17は、脳を通ってシステムを進めながらカメラによって得られる例示的な画像を示す。これらの図は、脳を通って、血液塊に向かい、カニューレの遠位縁から遠位に延びるオブチュレータの遠位表面と共にカニューレ内に配置されている間に、オブチュレータの遠位先端部を押しながら脳外科医が何を見うるかの例示的な描写である。これらの画像は、健康な脳組織の層の下にある、脳内でやや深いところにある血液塊に向かう挿入に対応する。脳に最初に挿入すると、先端部が健康な脳組織を通っている間、脳外科医は、健康な脳組織の「画像」を見るだろう。これは、白色またはオフホワイト色(象牙色、骨色、亜麻糸などの種々の色合い)に見える。各画像は、オブチュレータシャフト35およびオブチュレータ先端部近位表面34pと、カニューレ壁表面53の一部の画像を含む。この画像は、先端部近位表面の外側周辺部分の周囲に、リング54または部分的なリングとして見えるだろう。マーカ55は、カニューレまたはオブチュレータまたはカメラに対する所定の位置に対する指標に対応しており、指標を含む場合または含まない場合があるが、脳外科医に、カニューレおよびオブチュレータの位置に対する表示された画像の関係を知らせるために、操作ソフトウェアによってディスプレイに挿入されてもよい。指標は、例えば、カメラの円周方向での位置であってもよく、マーカは、カメラとは反対の位置にディスプレイ上に付与されてもよい(これが示されている構成である)が、マーカは、指標に対する任意の所定の関係で、ディスプレイ上に付与されてもよい。指標は、カニューレまたはオブチュレータの任意の特徴であってもよい。これらの特徴が、図15図16および図17に示されている。これらの図で見ることができるさらなる特徴は、画像リング54の内側の明るいリング56と、オブチュレータシャフトをオブチュレータ先端部に固定するために使用されるエポキシリング57を含む。
【0034】
最初に挿入すると、先端部が、血液塊の上にある健康な脳組織に入るにつれて、リング54は、白色に見えるだろう。また、脳外科医は、白色(脳の色)に見える脳組織の「画像」を見るだろう。先端部が血液塊に入るにつれて、リング54は赤色になり、脳外科医は、血液の赤色または黒色に見える血液塊の「画像」を見るだろう。これを図16に示す。先端部が、血液塊の境界に配置されると、「画像」は、白色(脳の色)である円周部分と、赤色または黒色(血の色)である円周部分と、先端部と脳組織との間の血液の厚さに依存して、両方の種々の色合いとを含むだろう(例えば、血液塊の境界付近の先端部の遠位表面の円周領域では、先端部の近位表面を通って送信された対応する画像は、桃色がかっているか、または血液と脳の色合いの混合であろう。脳外科医は、血液塊に入った後(図16と同様の画像によって示される)、脳組織の画像が、先端部の近位表面から再び見えるまで(図15と同様の画像によって示される)、先端部をさらに脳内に押すことによって、血液塊の遠位境界(カニューレおよび頭蓋骨内の挿入点に対する)を決定することができる。脳外科医は、組み立てられたカニューレおよびオブチュレータを傾けることによって、血液塊の横方向の範囲(すなわち、カニューレの長軸に垂直な軸に沿った幅)を決定し、脳組織の画像がリング54の片側で見ることができるようになるまで、先端部を横方向に移動させてもよい。これは図17に示される。画像は、図12および図13に示されるように構築された先端部によって反転されうるが、ディスプレイシステムによって反転してもよく、プリズム/リフレクタ12として与えられる逆転プリズムまたは逆転/反転プリズムによって逆転してもよい。図17に示すように、基準マーカ58またはその他の指標は、オブチュレータ先端部の近位表面または遠位表面に付与されてもよい。この基準マーカが脳外科医によって使用され、カメラ視軸に対するオブチュレータの角度方向を決定し、および/または画像が反転せずに表示される(オブチュレータ先端部のレンズ効果の結果として、表示される画像は、実際に、その下にある組織の反転した画像である)か、またはその下にある組織構造に対応するように、反転して表示される(オブチュレータ先端部のレンズ効果の結果として反転した後に、画像は、画像が制御システムによって反転した後に得られる適切な画像である)ことを確認してもよい。制御システムは、オブチュレータ先端部の近位表面の検出された画像中の基準マーカの有無を判定し、基準マーカを検出したら、検出された画像に対して反転した提示画像を作成し、提示画像をディスプレイ上で提示し、または検出された画像中に基準マーカが見えないことを判定したら、検出された画像に対して反転していない提示画像を作成するように操作可能なようにプログラミングされてもよい。近位表面の画像が制御システムによって反転している場合、近位表面の反転画像と共に、反転画像中の基準マーカを、表示されている画像が反転していることを脳外科医に示すために表示し、ディスプレイ上の左、右、上、下が、カニューレに対して左、右、上、下に対応するように、カメラ視軸の方に向ける。示されている例では、基準マーカは、非対称な文字Bであり、その結果、反転が明らかである。基準マーカは、制御システムによって認識可能な任意の形態をしていてもよく(例えば、バーコード、または独特のドットアレイ)、好ましくは非対称である。基準マーカは、制御システムによっても使用されてもよく、オブチュレータ取付部と組み合わせる場合、基準マーカは、カメラに対して所定の関係で配置され、捕捉された画像の向きを判定し、表示された画像が、カニューレシステムの構造的特徴に対応するように表示された画像を回転させ、それにより、表示された画像を外科医が適切に解釈するのに役立つ。
[0020B]オブチュレータ先端部は、オブチュレータ先端部を用い、いくつかの長手方向に延びる光学的に不透明な構造をその他の光学的に透過性の先端部の中に与えることによって、またはいくつかの光学的に透過性の長手方向に延びる構造を、その他の光学的に不透明な先端部の中に与えることによって、全体的に光学的に透過性の先端を含み、これを介して、遠位表面からの光が、光学的に透過性の構造を通って伝わり(したがって、図1~3の単一部品構造の反転を避ける)、画像の反転を避けるような構成であってもよい。これを図18に示し、図18は、オブチュレータ先端部34を示し、複数の光透過性要素59が、円周表面34cに沿って、遠位表面34dから、オブチュレータ先端部の近位表面34pまで長手方向に延びている。これらの要素は、遠位表面34dから、オブチュレータ先端部の近位表面34pまで長手方向に延びる、長手方向に不透明の要素60によって分離されていてもよく、またはこれらの要素は、全体的な画像を反転することなく、各光透過性要素が、遠位表面からの光を近位表面に伝える、隣接する別個の不透明の要素のすぐ横に隣接して配置される別個の要素であってもよい。光透過性要素は、図示されるように、円周表面の外表面まで延びていてもよく、または、光透過性要素は、円周表面の下に埋め込まれていてもよい。図19は、オブチュレータ先端部34の別の反転していない構成を示す。このオブチュレータ先端部は、図13に示される円錐形の凸状近位表面34pを有さず、円錐形の凸状遠位表面34dと、軸方向に短い円周表面34cとを有し、円周表面の長手方向領域では、近位表面に、遠位表面の方に向かうオブチュレータ先端部の近位の範囲から延びる環状の溝61を周囲壁部分34wの間に備え、先端部の遠位部分から延びるソケットまたはホーゼル62を備え、ソケットまたはホーゼル62には、中にオブチュレータシャフト(図13の項目35)が挿入されるボア63が設けられる。
【0035】
本明細書に開示されるいずれかの実施形態では、管状本体には、少なくとも約4個の光源が設けられていてもよく、いくつかの実施では、少なくとも約10個または15個または20個または30個、またはそれより多い光源(例えばLED)が設けられていてもよい。ある実施では、少なくとも35個または40個のLEDが、管状本体上に保有され、中心内腔に露出している。LEDのいくつかまたはすべてが直角LEDであってもよい。
【0036】
光源は、遠位端から管状本体の長さの約50%以内または約30%以内または約20%以内または約10%以内、またはもっと近くに配置されていてもよい。いくつかの実施では、光源は、遠位端から約5cm以内または約3cm以内または約1cm以内または約2cm以内に配置されている。複数の光源が、共通の横断面上にあってもよく、または光源のリングが、共通の横断面上に実質的にあってもよい(リングが小さな軸方向の位置変位を有していてもよいが、横断面の約±1cm以内または約±0.5cm以内、またはもっと小さい光源を意味する)。
【0037】
管状本体は、光源の第2の近位リングから遠位に配置された、光源の第1の遠位リングを有していてもよい。少なくとも、光源の第3の中間のリングが、第1のリングと第2のリングの間に配置されていてもよい。これらのリングは、少なくとも約2cmまで、いくつかの実施では、少なくとも約3cmまで、または少なくとも約4cmまで、またはもっと大きく離れていてもよい。
【0038】
管状本体の遠位端に、たった1個の光源または光源のリングが与えられている場合、管状本体の遠位端で血液が内腔に入ると、光源が遮られてしまう場合がある。内腔の長さに沿って近位に軸方向に空間的に離れた少なくとも1個、好ましくは2個以上の第2光源が与えられると、1個以上の遠位光源が遮られてしまう事象で、光の連続性が可能になる。
【0039】
システムは、頭蓋内出血に接近し、撮像するための熱に安定なシステムとして構成することができる。そのように構成されると、装置は、近位端、遠位端および内腔を有する細長い管状本体と、前記管状本体の長さの遠位に最大約30%以内または約20%以内または約10%以内で管状本体に保有される複数のLED光源と、管状本体の近位端に取り付けられたセンサ/カメラとを備えていてもよい。内腔は、ICHに対する手術を行いつつ、ICH部位の同時視認を行う。STPで少なくとも60分間、少なくとも約3,000ルーメンの強度での周囲空気中のLED光源の操作によって、前記管状本体の遠位端が、約22℃または約17℃または約10℃(40°Fまたは30°Fまたは20°F)を超えない温度まで上昇する。好ましくは、約3500~約4500ルーメンの範囲内でのLEDの操作は、管状本体の遠位端を約22℃または約17℃または約10℃(40°Fまたは30°Fまたは20°F)を超えない温度まで上昇させる。ICHを治療するために必要な手術時間(典型的には30~60分間)内のin vivoでの装置の操作は、好ましくは、遠位端と接触した組織を、約45℃を超えない温度まで、最適には約43℃または40℃を超えない温度まで上昇させるだろう。
【0040】
接近および撮像装置は、少なくとも3個のLEDを備えていてもよく、場合により、管状本体の長さの遠位に最大約30%以内に少なくとも約10個または約20個または約30個のLEDを備えていてもよい。LEDは、同じ横断面に配置されていてもよく、または少なくとも1個、好ましくは複数のLEDが、第1および第2の横断面のそれぞれに、場合により、管状本体の長さに沿って軸方向に空間的に離れた第3または第4の横断面に配置されていてもよい。少なくとも1個、好ましくは複数のLEDは、直角LEDである。少なくとも1個のLEDは、約300nm~約1mm、好ましくは約390nm~約700nmの範囲内の波長で機能する。第1のセットのLEDは、可視光範囲の第1波長で機能してもよく、第2のセットのLEDは、第2の異なる波長(例えば、赤外線範囲)で機能してもよい。または、少なくとも1個、好ましくは複数のLEDは、第1波長と第2波長の間で調製可能である。
【0041】
接近および撮像装置は、さらに、近位端によって保持され、センサと遠位端との間の光路内に配置された光学素子を備えていてもよい。光学素子は、遠位に面する表面を有する、プリズム、鏡またはその他のリフレクタを備えていてもよい。中心内腔は、これらを通って同軸に延びる長手方向軸を有していてもよい。撮像センサは、第1視軸を有し、長手方向軸と第1視軸は、ある角度で、光学素子で交差する。この角度は、0度より大きく、いくつかの実施では、約70°~110°の範囲内であってもよく、または約85°~約95°の範囲内であってもよい。プリズムは、管状本体を通って近位に伝播する光線を曲げ、光線をセンサに対して横方向に向ける。
【0042】
プリズムの遠位表面は、内腔の内径の約25°以下まで、好ましくは、内腔の内径の約15%以下または約10%以下まで、中心内腔に突き出ている(overhangs)。プリズムは、管状本体に対して強固に取り付けられていてもよく、または調節可能に取り付けられていてもよい。プリズム視軸(第2視軸)は、プリズムの遠位光学面に対して垂直に延び、プリズム視軸は、管状本体の中心長手方向軸に対して平行ではない。プリズム視軸は、管状本体の長さの約80%~120%の範囲内の距離まで近位端から空間的に離れた点で、好ましくは、管状本体の長さの約95%~105%の範囲内の距離まで近位端から空間的に離れた点で、中心長手方向軸と交差していてもよい。
【0043】
センサは、可視光および少なくとも1つの非可視光の波長のいずれかまたは両方で(例えば赤外光で)、画像を捕捉してもよい。または、可視光での感度を有する第1センサおよび赤外光での感度を有する第2センサが与えられてもよい。この2つのセンサそれぞれの方に反射した光を向けるために、ビームスプリッタが与えられてもよい。デジタルズーム、コントラスト、輝度、飽和度、シャープネス、ホワイトバランスおよび水平アライメントおよび垂直アライメントおよび回転を制御するために、制御回路を有するセンサが与えられてもよい。
【0044】
システムは、自給式の医学的な視覚化および接近装置として構成されてもよい。そのように構成される場合、装置は、近位端、遠位端およびその間に延びるワーキングチャンネルを有する細長い管状本体と、近位端によって保有され、ワーキングチャンネルを通って自由空間に伝播される画像データを捕捉するように構成されるセンサとを備えていてもよく、センサとワーキングチャンネルとの間の関係が固定されている場合、手術道具の操作および視覚化は、ワーキングチャンネルによって同時に達成されてもよい。すなわち、脳外科医は、道具のための路を作り、カニューレの遠位端または遠位端を超える術野内の道具先端部を操作しつつ、カメラによって得られる画像の表示を見続けるためにカメラを除去する必要なく、道具(例えば、アスピレータまたはマセレータ)を挿入することができる。装置は、さらに、ワーキングチャンネルからの画像データをセンサに対して横方向に向けるために、プリズム、鏡またはその他のリフレクタなどの光学素子を備えていてもよい。プリズムからワーキングチャンネル中の自由空間を通って遠位に延びる(プリズムの遠位表面からカニューレの遠位端までの)第2視軸は、近位端から管状本体の長さの少なくとも約75%である点で、ワーキングチャンネルの中心長手方向軸と交差する。自給式の医学的な視覚化および接近装置は、さらに、既に記載したようにワーキングチャンネル内に複数のLEDを備えていてもよい。
【0045】
まぶしさを減らして最適化しつつ、上の装置のいずれかが、さらに与えられてもよい。例えば、近位方向での光源から反射した光からのまぶしさを抑えるために、遠位光源と近位端との間に、複数の光学バッフルと共に、中心内腔が与えられてもよい。少なくとも3個、好ましくはもっと多くの光源が、管状本体の内壁によって保有され、遠位端から管状本体の長さの約50%以内、好ましくは約20%以内に配置される。光学バッフルは、偏光格子を備えていてもよく、偏光格子は、光源によって保有されていてもよく、および/またはセンサに隣接して保有されていてもよい。または、光学バッフルは、内壁上に機械的な表面構造(例えば、反射を散逸する複数の軸方向に空間的に離れた突起部または溝または表面テクスチャ)を備えていてもよい。機械的な表面構造は、中心内腔の周囲に、軸方向に空間的に離れて、らせん形の突起部またはチャンネル、または別個の円形のリングを備えていてもよい。らせん形の突起部は、管状本体と一体的に形成されてもよく、またはらせん形構造(例えばバネ)を中心内腔内に導入することによって形成されてもよい。
【0046】
中心長手方向軸以外の軸に沿って光学構成部品を移動させることによって調節可能な視野の焦点および/または深さを有しつつ、上述のいずれかが与えられてもよく、それによって、オブチュレータまたは手術道具を使用し、中心内腔を通る視野の直線を維持するために中心内腔への接近を最適化する。
【0047】
例えば、頭蓋内出血の視覚化および接近装置は、近位端、遠位端および中心内腔を有する細長い管状本体を備えていてもよい。センサは、近位端によって保有され、管状本体の遠位端を超えたところにあり、視野の深さ内にある組織の焦点画像を捕捉するように構成されていてもよい。管状本体の長手方向軸に対して半径方向に内側または外側への光学素子の移動は、センサによって捕捉される焦点距離を変える。光学素子は、センサであってもよく、またはレンズであってもよい。
【0048】
プリズムは、近位端によって保有され、中心内腔を通って自由空間に伝播する画像がセンサに向かうように構成されていてもよい。光学開口部が、プリズムとセンサとの間の光路中に与えられてもよい。いくつかの実施では、開口部は、直径が約1.3mm~約1.7mmの範囲内である。プリズムは、管状本体に動かないように固定されていてもよい。光学システムは、さらに、光路にレンズと、調節制御(例えば、標的組織の光学倍率のためのノブ)とを備えていてもよい。
【0049】
本明細書に開示するいずれかの光学素子は、中心内腔を通って延びる自由空間の光路の近位端(例えば、プリズム)で、平面の遠位光学面と、遠位光学面に対して垂直に中心内腔を通って延びる第2視軸とを有していてもよい。管状本体は、中心長手方向軸によって特徴付けられてもよく、第2視軸は、管状本体の遠位端付近で、管状本体の長さの約80%~約120%の範囲内、いくつかの実施では、管状本体の長さの約95%~約105%の範囲内の距離まで近位端から空間的に離れた点で、中心長手方向軸と交差する。
【0050】
プリズムは、第2視軸(プリズム視軸)から第1視軸に対して約70°~約110°の範囲内、いくつかの実施では、プリズム視軸から約85°~約95°の範囲内の角度で、光を曲げてもよい。プリズムは、中心内腔の内径の約25%以下まで、好ましくは、中心内腔の内径の約15%以下まで、中心内腔に突き出て(overhang)いてもよい。プリズムは、第2視軸から約70°~約110°の範囲内、いくつかの実施では、第2視軸から約85°~約95°の範囲内の角度に光を曲げてもよい。プリズムは、中心内腔の内径の約25%以下まで、好ましくは、中心内腔の内径の約15%以下まで、中心内腔に突き出て(overhang)いてもよい。
【0051】
図1~9を参照しつつ記載される装置の特徴は、閉塞耐性のある光路である。システムは、遠位に配置された光学素子(例えば、シースの遠位端に、またはシースの遠位端付近に配置されるウィンドウまたはレンズ)を備えるべきであり、画像は、遠位光学面と接触する血液またはその他の組織によって塞がれる場合がある。このことにより、表面がはっきり見えるように、装置を取り出す必要がある。シースの近位端に最遠位の光学面を配置することによって、光学面は、術野から十分に空間的に離れ、血液または組織片が光学面と接触するリスクが最小化される。したがって、接近装置のための向上した光学性能を有する視覚化システムは、細長い管状本体の遠位端に動かないように固定された光学素子を用いずに(しかし、図12~19に示す取り外し可能なオブチュレータを可能にする)、近位端、遠位端およびこれらの間に軸方向に延びる中心内腔を有する細長い管状本体を備えていてもよい。シースの遠位端を超えて画像を捕捉するために、センサ、レンズおよび遠位方向に面する最遠位の光学面を備える光学システムが提供されてもよい。光学面は、管状本体の長さの少なくとも約80%または90%まで、中心内腔を通って行われる外科的処置によって破壊される液体または組織片の範囲を超えるように、遠位端から空間的に離れている。異なる実施では、光学面は、シースの遠位端から近位に少なくとも約50mm、いくつかの実施形態では、少なくとも約75mmまたは100mmまたは120mm、またはもっと離れて配置されていてもよい。
【0052】
図12図19を参照しつつ記載される装置の特徴は、シースの近位端への軸から外れた導入のために構成されているオブチュレータと、光学的に半透明な遠位先端部である。オブチュレータは、細長い支持部と、支持部の遠位端にオブチュレータ先端部とを備えていてもよい。オブチュレータ先端部は、近位方向に半径方向内側にテーパー形状であるテーパー状表面を有する近位表面を有していてもよい。近位表面は、半径方向に対称であってもよい(例えば、円錐形状)。円筒形部分は、近位表面の遠位端から遠位に延びており、シース内に密に適合してスライドするための寸法を有していてもよい。遠位表面は、円錐形遠位部分を有していてもよく、その直径は、遠位方向に半径方向内側にテーパー形状である。好ましくは、本体は、少なくとも半透明であり、可視光範囲の光などの光に対して光学的に透明であるが、オブチュレータの軸外の挿入の利点は、図11のように、不透明なオブチュレータ先端部を有する場合に得られるだろう。支持部は、管状であってもよく、例えば、好ましくは遠位端でオブチュレータ本体によって保有される赤外線マッピングセンサを操作するために、電気伝導体または光学伝導体を含んでいてもよい。遠位円錐形表面は、軟組織を通って進む際に有用であり、一方、近位の円錐形表面は、シースの近位端で中心内腔に突き出ている(overhanging)プリズムまたはその他の光学素子の位置を変える必要なく、オブチュレータの取り外しが容易である。
【0053】
したがって、頭蓋内出血の視覚化および接近システムは、近位端、遠位端、中心内腔およびこれらの間に延びる長手方向軸を有する細長い管状本体を備えていてもよい。近位端によって保有されるセンサは、中心内腔を通って画像データを捕捉するように構成され、センサは、第1視軸を有する。近位端によって保有される光学素子は、中心内腔の近位への伸長路に突き出て(overhangs)、延びている。オブチュレータは、中心内腔を通って軸方向に進めることが可能である。突き出ている(overhanging)光学素子は、シースの中心長手方向軸に沿ったシースの近位端へのオブチュレータの導入を妨害するが、オブチュレータは、中心長手方向軸に対してある角度に存在する進入軸に沿って、シースの近位端に入るように構成され、次いで、支持部は、シースの中心長手方向軸と平行または同軸に回転してもよく、その後、オブチュレータは、管状本体と同軸方向に遠位端に向かって内腔を通って軸方向に進められてもよい。円筒形部分の軸方向の長さは、中心内腔の近位端から光学素子までの距離より短い。したがって、内腔に突き出ている(overhanging)カメラのカメラ部分の一部が、オブチュレータ先端部の経路を収容するように、カニューレの近位端から近位に空間的に離れており、オブチュレータ先端部は、カニューレ内腔の中を通るように構成され、一方、内腔に突き出ている(overhanging)カメラの一部が、内腔に突き出ている(overhanging)所定位置にある。
【0054】
オブチュレータ先端部は、好ましくは、遠位表面を超える色変化を、近位表面の直接的な視覚化によって特定することができるほど、十分に光学的に透過性である。これにより、臨床医は、いつ遠位表面が脳組織、血餅または脳脊髄液と接触したかを知ることができる。ある実施では、オブチュレータは、さらに、IRセンサなどのセンサと共に与えられる。
【0055】
装置および方法の好ましい実施形態を、これらが開発された環境を参照しつつ記載してきたが、これらは単に本発明の原理の実例である。装置は、例えば、脳室内出血の処置、神経刺激処置および腫瘍の切除など、種々の大脳内の処置に使用されてもよい。種々の実施形態の要素は、その他の種と組み合わせた要素の利点を得るために、その他の種のいずれかに組み込まれてもよく、種々の有益な特徴は、単独で、または互いに組み合わせて実施形態で使用されてもよい。その他の実施形態および構成は、本発明の精神および添付の特許請求の範囲から逸脱することなく発案されてもよい。
図1
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