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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-22
(45)【発行日】2022-08-01
(54)【発明の名称】遠心ターボ圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04D 17/12 20060101AFI20220725BHJP
   F04D 29/10 20060101ALI20220725BHJP
   F04D 29/056 20060101ALI20220725BHJP
   F04D 29/42 20060101ALI20220725BHJP
   F04D 29/62 20060101ALI20220725BHJP
【FI】
F04D17/12
F04D29/10 A
F04D29/056 B
F04D29/42 H
F04D29/62 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019545309
(86)(22)【出願日】2018-03-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-16
(86)【国際出願番号】 EP2018055816
(87)【国際公開番号】W WO2018162667
(87)【国際公開日】2018-09-13
【審査請求日】2019-10-09
(31)【優先権主張番号】1751910
(32)【優先日】2017-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(73)【特許権者】
【識別番号】320002407
【氏名又は名称】ダンフォス コマーシャル コンプレッサーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ボンヌフォワ,パトリス
(72)【発明者】
【氏名】マルティニャーゴ,クレマン
(72)【発明者】
【氏名】ロッソン,イヴ
(72)【発明者】
【氏名】ファンダスティーネ,スタン
【審査官】上野 力
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-294879(JP,A)
【文献】特開平06-002693(JP,A)
【文献】特開2014-206132(JP,A)
【文献】ロシア国特許出願公開第00844824(RU,A)
【文献】特開平03-277807(JP,A)
【文献】特開平03-272317(JP,A)
【文献】特開2002-070847(JP,A)
【文献】特開平11-148492(JP,A)
【文献】特表2005-519214(JP,A)
【文献】国際公開第2015/019901(WO,A1)
【文献】特開2000-240596(JP,A)
【文献】特開平10-148408(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 17/12
F04D 29/10
F04D 29/056
F04D 29/42
F04D 29/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠心ターボ圧縮機(2)であって、
密閉ケーシング(3)と、
前記密閉ケーシング(3)内に回転可能に配置された駆動軸(6)と、
前記駆動軸(6)を回転可能に支持するように構成されたラジアルベアリング装置と、 冷媒を圧縮するように構成された第1および第2の圧縮段であって、第1および第2のインペラ(18、19)を含み、インペラのそれぞれが、前側(21、22)と後側(25、26)をそれぞれ有し、前記駆動軸(6)に接続されて背中合わせで配置された第1および第2の圧縮段(12、13)と、
前記第1および第2のインペラ(18、19)の間に設けられた段間シール装置と、を備え、
前記第1および第2の圧縮段(12、13)は、それぞれが環状ディスク形状でそれぞれが前記第1および第2のインペラ(18、19)の前記前側(21、22)に面する第1および第2の空力部材(29、31)を含み、前記密閉ケーシング(3)は、前記第1および第2の圧縮段(12、13)および前記段間シール装置が配置された主ケーシング部(3.1)を含み、
前記密閉ケーシング(3)は、さらに、アキシアルベアリング面(47)を有するベアリングケーシング部(3.2)をさらに含み、前記ラジアルベアリング装置は、前記ベアリングケーシング部(3.2)の前記アキシアルベアリング面(47)に当接し、
動作中の前記駆動軸(6)の軸方向移動を制限するように構成されたアキシアルベアリング装置をさらに含み、前記アキシアルベアリング装置は、
環状ディスク形状を有し、第1の面(41.1)と、第1のアキシアルベアリングプレート(41)の前記第1の面(41.1)とは反対側の第2の面(41.2)とを有する前記第1のアキシアルベアリングプレート(41)と、
環状ディスク形状を有し、前記第1のアキシアルベアリングプレート(41)と軸方向に面した第1の面(42.1)と、第2のアキシアルベアリングプレート(42)の前記第1の面(42.1)とは反対側の第2の面(42.2)とを有する前記第2のアキシアルベアリングプレート(42)と、
前記第1および第2のアキシアルベアリングプレート(41、42)の径方向外側部分で前記第1および第2のアキシアルベアリングプレート(41、42)の前記第1の面(41.1、42.1)間にクランプされ、第1および第2のアキシアルベアリングプレート(41、42)間の軸方向距離を規定するスペーサリング(44)とを備え、
前記ラジアルベアリング装置は、当接面(48)を有するベアリングスリーブ(46)を含み、前記第2のアキシアルベアリングプレート(42)の前記第2の面(42.2)は、前記ベアリングスリーブ(46)の前記当接面(48)に当接し、
前記ベアリングスリーブ(46) は、軸方向に摺動可能に配置された前記第2のアキシアルベアリングプレート(42)と前記アキシアルベアリング面(47)との間にクランプされていることを特徴とする遠心ターボ圧縮機(2)。
【請求項2】
前記第1および第2の空力部材(29、31)および前記段間シール装置は、前記ラジアルベアリング装置に固定されている、請求項1に記載の遠心ターボ圧縮機(2)。
【請求項3】
前記主ケーシング部(3.1)と前記第2の空力部材(31)との間に配置された弾性要素(49)をさらに含み、前記弾性要素(49)は、前記ベアリングケーシング部(3.2)の前記アキシアルベアリング面(47)に対して所定の力で前記第1および第2の空力部材(29、31)、前記段間シール装置および前記ラジアルベアリング装置を軸方向に付勢する、請求項1または2に記載の遠心ターボ圧縮機(2)。
【請求項4】
前記弾性要素(49)は、前記主ケーシング部(3.1)の軸方向面(51)に少なくとも部分的に形成された環状凹部内に配置される、請求項3に記載の遠心ターボ圧縮機(2)。
【請求項5】
前記ラジアルベアリング装置は、前記ベアリングケーシング部(3.2)内に少なくとも部分的に配置されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の遠心ターボ圧縮機(2)。
【請求項6】
前記第1および第2のアキシアルベアリングプレート(41、42)および前記スペーサリング(44)を、前記ベアリングスリーブ(46)の前記当接面(48)に対して所定の力で軸方向に付勢する少なくとも1つの弾性部材(52、54)をさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の遠心ターボ圧縮機(2)。
【請求項7】
前記第1の空力部材(29)に隣接する環状ディスク形状を有する入口分配器(37)をさらに含み、前記入口分配器(37)は、前記第1の圧縮段(12)に冷媒を供給するように構成される、請求項1~6のいずれか1項に記載の遠心ターボ圧縮機(2)。
【請求項8】
前記第2のインペラ(19)は、前記第1のインペラ(18)とは別個で別体であり、前記第1および第2のインペラ(18、19)の前記後側(25、26)の間の軸方向距離の調整を可能にする、請求項1~7のいずれか1項に記載の遠心ターボ圧縮機(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心ターボ圧縮機に関し、特に、二段遠心ターボ圧縮機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
公知のように、二段遠心ターボ圧縮機は、特に
密閉ケーシングと、
密閉ケーシング内に回転可能に配置され、長手方向軸線に沿って延びる駆動軸と、
前記駆動軸に接続され、それぞれが前側および後側を有し、背中合わせで配置されている第1および第2のインペラを含む一体のインペラ部材と、
第1および第2のインペラの後側の間に形成されたラジアル環状溝と、
第1および第2のインペラの間に設けられ、それぞれ、半円板形状を有し、ラジアル環状溝内に少なくとも部分的に配置されている2つの分離されたシール部材を有する段間シール装置と、
駆動軸を回転可能に支持するように構成されたラジアルベアリング装置と、
動作中の駆動軸の軸方向の動きを制限するように構成されたアキシアルベアリング装置と、を含む。
【0003】
特に、密閉ケーシング内の第1のインペラおよび環状空力部材は第1圧縮段を規定する一方、密閉ケーシングおよび第2のインペラは第2の圧縮段を規定する。
【0004】
このような遠心ターボ圧縮機の主な目的は、(異なる温度サイクルおよび異なる回転速度に対して)後者のすべての動作条件に対して、一体型インペラ部材、環状空力部材および密閉ケーシング間の軸方向および径方向の機能間隙を略変化させないことである。
【0005】
このような主目的を達成するためには、一体型インペラ部材、環状空力部材、密閉ケーシングおよびアキシアルベアリング装置を製造するための高い加工精度が必要となるため、このような遠心ターボ圧縮機の製造コストが実質的に増加する。さらに、このような遠心ターボ圧縮機の組立は困難である。なぜなら、適切な軸方向および径方向の機能間隙を担保するために、遠心ターボ圧縮機を構成する様々な部品の多くの再加工および調整を必要とするからである。
【0006】
さらに段間シール装置のこのような構成は、特にシール部材間の望ましくない流体漏れを引き起こす可能性がある。したがって、上記の段間シール装置の製造は、前記望ましくない流体漏れを制限するために、高いレベルの加工精度を必要とする。このように、上述した二重段の遠心ターボ圧縮機の2つの圧縮段間のシールの制御は、段間シール装置の前記構成により困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、従来の遠心ターボ圧縮機に見られる欠点を克服することができる改良されたベアリング装置を提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、信頼性が高く、遠心ターボ圧縮機の製造および組立てが容易で、製造コストを低減することができる遠心ターボ圧縮機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、このような遠心ターボ圧縮機は、
密閉ケーシングと、
密閉ケーシング内に回転可能に配置された駆動軸と、
駆動軸を回転可能に支持するように構成されたラジアルベアリング装置と、
冷媒を圧縮するように構成された第1および第2の圧縮段であって、第1および第2のインペラを含み、インペラのそれぞれが前側と後側を有し、それぞれが駆動軸に接続されるとともに背中合わせで配置された第1および第2の圧縮段と、
第1および第2のインペラの間に設けられた段間シール装置とを備え、
第1および第2の圧縮段はそれぞれ第1および第2の空力部材を含み、第1および第2の空力部材はそれぞれ環状ディスク形状を有し、第1および第2のインペラの前側にそれぞれ対向し、密閉ケーシングは第1および第2の圧縮段および段間シール装置が配置された主ケーシング部を含む。
【0010】
密閉ケーシングの前記構成により、特に、密閉ケーシングとは別個の第2の空力部材を設けることにより、本発明による遠心ターボ圧縮機の密閉ケーシングの製造は、低いレベルの加工精度を必要とするので、このような遠心ターボ圧縮機の製造コストは実質的に低減され、このような遠心ターボ圧縮機の組立が実質的に容易になる。特に、密閉ケーシングのこのような構成により、遠心ターボ圧縮機を構成する内部部品の必要な再加工工程を減少させるか、または少なくとも容易にし、適切な軸方向および径方向の機能的な隙間が担保される。
【0011】
さらに、密閉ケーシングは、遠心ターボ圧縮機において生じる熱膨張、特に第1および第2の空力部材および段間シール装置の熱膨張を少なくとも部分的に補償するために、軸方向の可撓性を有するように構成されていてもよい。
【0012】
遠心ターボ圧縮機はまた、単独でまたは組み合わせて、以下の特徴の1つ以上を含んでいても良い。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、第1および第2の空力部材および段間シール装置は、第1および第2の空力部材、段間シール装置およびラジアルベアリング装置が剛性サブアセンブリを形成するように、ラジアルベアリング装置に固定される。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、遠心ターボ圧縮機は、第1および第2の空力部材および段間シール装置をラジアルベアリング装置に固定するように構成された少なくとも1つの固定要素を含む。例えば、少なくとも1つの固定要素は、固定ねじまたは固定ピンであってもよい。本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの固定要素は、駆動軸に対して略平行に延びる。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、主ケーシング部は、第1および第2の圧縮段および段間シール装置を配置する円筒形の主ハウジングを含む。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、段間シール装置および第2の空力部材の外径は、主ケーシング部の円筒形の主ハウジングの内径と略等しい。
【0017】
本発明の別の実施形態によれば、段間シール装置および第2の空力部材の外径は異なっていてもよい。例えば、主ケーシング部は、段間シール装置および第2の空力部材のうちの1つと協働するように構成された少なくとも1つの環状肩部を含んでいてもよい。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、密閉ケーシングは、アキシアルベアリング面を有するベアリングケーシング部をさらに有し、ラジアルベアリング装置は、ベアリングケーシング部のアキシアルベアリング面に当接している。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、遠心ターボ圧縮機は、主ケーシング部と第2の空力部材との間に配置された弾性要素をさらに含み、弾性要素は、第1および第2の空力部材を軸方向に付勢し、段間シール装置およびラジアルベアリング装置は、ベアリングケーシング部のアキシアルベアリング面に対して所定の力を有する。
【0020】
このような弾性要素は、遠心ターボ圧縮機の動作条件が何であれ、第1および第2の空力部材および段間シールを互いに締め付け、したがって、第1および第2のインペラおよび第1および第2の空力部材間の軸方向の機能的な隙間を実質的に変化させないようにする。したがって、このような弾性要素を設けることにより、本発明に係る遠心ターボ圧縮機に対して高い信頼性を確保することができる。
【0021】
さらに、弾性要素は、特に、遠心ターボ圧縮機において熱膨張が生じたとき、第1および第2の空力部材および段間シール装置を密閉ケーシングに対して軸方向に摺動させることを可能にし、したがって、遠心ターボ圧縮機の寿命を短くする可能性のある前記部品の変形を回避する。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、弾性要素は環状である。有利なことに、弾性要素は、主ケーシング部の軸方向面内に少なくとも部分的に形成された環状凹部内に配置されている。例えば、環状凹部はまた、第2の空力部材の軸方向面に部分的に形成されてもよい。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、弾性要素は、例えば皿形の環状スプリングワッシャである。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、段間シール装置および第2の空力部材は、円筒形の主ハウジング内に軸方向に摺動可能に配置されている。有利なことに、第1の空力部材はまた、円筒形の主ハウジング内に軸方向に摺動可能に配置される。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、ラジアルベアリング装置は、ベアリングケーシング部内に少なくとも部分的に配置されている。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、遠心ターボ圧縮機は、さらに、動作中に駆動軸の軸方向の動きを制限するように構成されたアキシアルベアリング装置を有し、アキシアルベアリング装置は、
環状ディスク形状を有し、第1の面と、第1のアキシアルベアリングプレートの第1の面とは反対側の第2の面とを有する第1のアキシアルベアリングプレートと、
環状ディスク形状を有し、第1のアキシアルベアリングプレートと軸方向で面した第1の面と、第2のアキシアルベアリングプレートの第1の面とは反対側の第2の面とを有する第2のアキシアルベアリングプレートと、
第1および第2のアキシアルベアリングプレートの径方向外側部分で第1および第2のアキシアルベアリングプレートの第1の面間にクランプされ、第1および第2のアキシアルベアリングプレート間の軸方向距離を規定するスペーサリングとを備える。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、駆動軸は、第1および第2のアキシアルベアリングプレートの第1の面の径方向内側部分の間の空間内に延びるラジアルフランジ部分を含む。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、ラジアルベアリング装置は、当接面を有するベアリングスリーブを含み、第2のアキシアルベアリングプレートの第2の面は、ベアリングスリーブの当接面に当接する。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、第1および第2の空力部材、および段間シール装置は、ベアリングスリーブに固定される。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、ベアリングスリーブは、ベアリングケーシング部内に少なくとも部分的に配置され、ベアリングケーシング部のアキシアルベアリング面に当接する。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、ベアリングケーシング部は、ベアリングスリーブが少なくとも部分的に配置された円筒形のベアリングハウジングを含む。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、ベアリングスリーブの外径は、ベアリングケーシング部の円筒形のベアリングハウジングの内径と略等しい。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、ベアリングスリーブは、主ケーシング部の円筒形の主ハウジング内に少なくとも部分的に配置されている。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、ベアリングスリーブは、第2のアキシアルベアリングプレートとベアリングケーシング部のアキシアルベアリング面との間にクランプされる。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、遠心ターボ圧縮機は、ベアリングスリーブの当接面に対して所定の力を加えて第1および第2のアキシアルベアリングプレートおよびスペーサリングを軸方向に付勢する少なくとも1つの弾性部材をさらに含む。少なくとも1つの弾性部材を設けることにより、アキシアルベアリング装置を形成する様々な要素の締め付けと、第1および第2の空力部材および段間シール装置の締め付けとの間に独立性を生じさせることができ、したがって、アキシアルベアリング装置を形成する様々な要素の締め付け力を正確に制御することができる。
【0036】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの弾性部材は、例えば皿形の環状スプリングワッシャを含む。
【0037】
本発明の別の実施形態によれば、少なくとも1つの弾性部材は、駆動軸の周りに角度をなして配置された複数のコイルばねを含む。
【0038】
本発明の別の実施形態によれば、コイルばねは、第1の空力部材と第1のアキシアルベアリングプレートとの間に配置される。
【0039】
本発明の一実施形態によれば、遠心ターボ圧縮機は、環状ディスク形状を有し、第1の空力部材に隣接し、第1の空力部材に、ひいては第1の圧縮段に冷媒を供給する、そして、例えば、軸方向に冷媒を供給するように構成された入口分配器をさらに含む。
【0040】
本発明の一実施形態によれば、弾性要素は、第1および第2の空力部材、段間シールおよび入口分配器を互いに締め付けた状態を維持するように構成される。
【0041】
本発明の一実施形態によれば、入口分配器は、密閉ケーシング内で、例えば円筒形の主ハウジング内で軸方向に摺動可能に配置される。
【0042】
本発明の一実施形態によれば、弾性要素は、ベアリングケーシング部のアキシアルベアリング面に対して所定の力で、第1および第2の空力部材、段間シール装置、入口分配器およびラジアルベアリング装置、そして特にベアリングスリーブを軸方向に付勢する。
【0043】
本発明の一実施形態によれば、遠心ターボ圧縮機は、入口分配器とベアリングスリーブとの間にクランプされた環状スペーサ部材をさらに含む。前記実施形態によれば、弾性要素は、第1および第2の空力部材、段間シール装置および入口分配器を、環状スペーサ部材に対して所定の力で軸方向に付勢することができる。
【0044】
本発明の一実施形態によれば、ベアリングスリーブは、環状スペーサ部を含み、弾性要素は、第1および第2の空力部材、段間シール装置および入口分配器を、環状スペーサ部に対して所定の力で軸方向に付勢することができる。
【0045】
本発明の一実施形態によれば、入口分配器、環状スペーサ部材およびベアリングスリーブは、第1および第2のアキシアルベアリングプレートおよびスペーサリングを配置する、例えば軸方向に摺動可能に配置された環状収容室を規定する。
【0046】
本発明の一実施形態によれば、第1の空力部材は、ベアリングスリーブに固定され、例えば、ねじ止めされる。
【0047】
本発明の別の実施形態によれば、少なくとも1つの弾性部材は、入口分配器の軸方向面に形成された環状凹部内に配置される。
【0048】
本発明の別の実施形態によれば、各コイルばねは、入口分配器内に設けられたそれぞれの貫通孔に配置される。
【0049】
本発明の一実施形態によれば、遠心ターボ圧縮機は、回転軸線を中心として駆動軸を回転駆動するように構成された電気モータをさらに含む。有利なことに、ラジアルベアリング装置およびスラストベアリング装置は、電気モータと第1のインペラとの間に配置されている。
【0050】
本発明の一実施形態によれば、第2インペラは、第1インペラとは別個かつ別体とされており、第1および第2のインペラの後側の間の軸方向距離を調節することができるように構成されている。第1および第2のインペラが2つの別体で別個の片から作られていることにより、段間シール装置の再加工を必要とすることなく、2段インペラ装置の組み立て中に第1および第2のインペラの後側の間の軸方向距離の調節、したがって、第1および第2のインペラと段間シール装置の後側の間に必要な軸方向の間隙の調節ができるようになる。さらに、2つの単段インペラは、単片二段インペラよりも機械加工するのが容易である。さらに、特に第1および第2のインペラの後側において、後者を別体で製造するとき、より良好な仕上げを達成できる。したがって、第1および第2のインペラの構成は、遠心ターボ圧縮機の信頼性を向上させるとともに、後者の製造コストを低減することもできる。
【0051】
本発明の別の実施形態によれば、遠心ターボ圧縮機は、第1および第2のインペラの後側の間に形成されたラジアル環状溝を含み、段間シール装置は、ラジアル環状溝内に少なくとも部分的に配置される。
【0052】
本発明の別の実施形態によれば、段間シール装置は、環状ディスク形状を有し、ラジアル環状溝内に少なくとも部分的に配置された一体型シール部材を含む。段間シール装置のこのような構成、特に一体化されていることにより、その製造が簡単となり、製造するのに必要な機械加工精度のレベルを低減する一方、段間シール装置を通る望ましくない流体漏れが実質的に低減され、2段間の遠心ターボ圧縮機間のシールの制御が容易になる。また、段間シール装置のこのような構成により、遠心ターボ圧縮機の製造コストが低減する。
【0053】
本発明の別の実施形態によれば、遠心ターボ圧縮機は、第2の圧縮段から第1の圧縮段への流体の流れを最小にするかまたは制御するように構成されたラビリンスシールをさらに含み、ラビリンスシールは、段間シール装置の内周面およびラジアル環状溝の周底面によって形成される。
【0054】
本発明の別の実施形態によれば、第1および第2の空力部材は、回転に対して、即ち、回転方向に固定的、または言い換えれば、密閉ケーシングに対して回転不能に固定されている。
【0055】
本発明の一実施形態によれば、第2の空力部材は、主ケーシング部の軸方向面に当接するように構成される。
【0056】
これらおよび他の利点は、本発明に係る遠心ターボ圧縮機の実施形態を、限定しない例として表す添付図面を参照して以下の説明を読むことにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0057】
本発明のいくつかの実施形態に関する以下の詳細な説明は、添付図面を理解して併せて読むと理解しやすいが、本発明は開示された特定の実施形態に限定されるものではない。
【0058】
図1】本発明の第1の実施形態による遠心ターボ圧縮機の分解斜視図である。
図2図1の遠心ターボ圧縮機の縦断面図である。
図3図1の遠心ターボ圧縮機の部分縦断面図である。
図4図1の遠心ターボ圧縮機の部分縦断面図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係る遠心ターボ圧縮機の部分縦断面図である。
図6】本発明の第3の実施形態に係る遠心ターボ圧縮機の分解斜視図である。
図7図6の遠心ターボ圧縮機の部分縦断面図である。
図8】本発明の第4の実施形態に係る遠心ターボ圧縮機の部分縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
図1図4は、本発明の第1の実施形態による密閉遠心ターボ圧縮機2、そして、特に、2段密閉遠心ターボ圧縮機を示す。
【0060】
遠心ターボ圧縮機2は、主ケーシング部3.1と、ベアリングケーシング部3.2と、モータケーシング部3.3とを備えた密閉ケーシング3を備えている。図2によく示されているように、主ケーシング部3.1とベアリングケーシング部3.2は、それぞれ円筒形の主ハウジングと、同軸的に延びる円筒形のベアリングハウジング5とを有している。主ケーシング部3.1およびベアリングケーシング部3.2は、例えばねじ止めまたは溶接によって互いに固定されている。
【0061】
遠心ターボ圧縮機2はまた、密閉ケーシング3内に回転可能に配置され、長手の軸Aに沿って延びる駆動軸6を含む。駆動軸6は、第1の軸方向端部7と、第1の軸方向端部7とは反対側の第2軸方向端部9と、第1および第2軸方向端部7、9間に配置された中間部11とを含む。
【0062】
遠心ターボ圧縮機2は、さらに、円筒形の主ハウジング4内に配置され、冷媒を圧縮するように構成された第1の圧縮段12と第2の圧縮段13を含む。第1の圧縮段12は、流体入口14および流体出口15を含み、第2の圧縮段13は、流体入口16および流体出口17を含み、第1の圧縮段12の流体出口15は、第2の圧縮段13の流体入口16に流体接続される。
【0063】
第1および第2の圧縮段12、13はそれぞれ、駆動軸6の第1の軸方向端部7に接続され、駆動軸6と同軸に延びる第1のインペラ18および第2のインペラ19を含む。特に、第1のインペラ18は、第1のインペラ18のフロント側端部に現れ、駆動軸6の第1の軸方向端部7をしっかりと受け入れるように構成された軸方向の孔20を含む。本発明の第1の実施形態によれば、第1のインペラ18の軸方向の孔20は、第1のインペラ18の軸方向全長に沿って延びる。
【0064】
第1および第2のインペラ18、19のそれぞれが、駆動軸6の回転中に第1および第2の圧縮段12、13のそれぞれの1つに入る冷媒を加速するように構成された複数の翼板23、24を備えた前側21、22を含み、加速された冷媒を、第1および第2のインペラ18、19のそれぞれの1つの径方向外側縁部に配置されたディフューザに供給する。第1および第2のインペラ18、19のそれぞれはまた、駆動軸6に対して略垂直に延びる後側25、26を含む。
【0065】
第1および第2のインペラ18、19は背中合わせで配置され、第1および第2の圧縮段12、13の流入口14、16における流体の流れ方向は互いに反対である。
【0066】
有利なことに、第2のインペラ19は、第1のインペラ18とは異なるとともに分離されており、特に、遠心ターボ圧縮機2の組み立て中の第1および第2のインペラ18、19の後側25、26の間の軸方向距離の調整を可能にする。本発明の第1の実施形態によれば、第2のインペラ19は、第2のインペラ19の後側26から軸方向に延び、例えば圧入または収縮嵌めによって駆動軸6の第1の端部7にしっかりと直接接続される管状取付部27を含む。さらに、本発明の第1の実施形態によれば、第1のインペラ18および駆動軸6は、第1のインペラ18の後側25に現れる軸方向環状溝28を規定し、管状取付部27は、軸方向環状溝28内に部分的に延びる。
【0067】
さらに、第1および第2の圧縮段12、13はそれぞれ、第1の空力部材29および第2の空力部材31を含み、これらはそれぞれ環状ディスク形状を有する。第1および第2の空力部材29、31は、それぞれ第1および第2のインペラ18、19の前側21、22と対向する。第1および第2の空力部材29、31の外径は、円筒形の主ハウジング4の内径と略等しい。本発明の第1の実施形態によれば、第1および第2の空力部材29、31は、円筒形の主ハウジング4内に軸方向に摺動可能に配置されている。
【0068】
遠心ターボ圧縮機2はまた、第1および第2のインペラ18、19の後側25、26の間に形成されたラジアル環状溝32を含む。本発明の第1の実施形態によれば、ラジアル環状溝32の周底面33は、管状取付部27によって規定される。
【0069】
遠心ターボ圧縮機2はさらに、円筒形の主ハウジング4内に配置され、第1および第2のインペラ18、19の間に設けられた段間シール装置を含む。段間シール装置は、駆動軸6に対して略垂直に延び、ラジアル環状溝32内に少なくとも部分的に配置された一体型シール部材35を含む。一体型シール部材35は、環状ディスク形状を有している。一体型シール部材35の外径は、円筒形の主ハウジング4の内径とほぼ等しく、一体型シール部材35も、円筒形の主ハウジング4内に軸方向に摺動可能に配置されている。
【0070】
一体型シール部材35は、ラジアル環状溝32内に配置された中央環状シール部35.1と、ラジアル環状溝32の外側に延びる外側環状シール部35.2とを備える。中央環状シール部35.1は、第1の軸方向壁面と、第1の軸方向壁面とは反対側の第2の軸方向壁面とを有する。有利なことに、中央環状シール部35.1の第1の軸方向壁面と第1のインペラ18の後側25とは、第1の軸方向の間隙を形成し、中央環状シール部35.1の第2の軸方向壁面と第2のインペラ19の後側26とは、第2の軸方向の間隙を形成する。
【0071】
遠心ターボ圧縮機2はさらに、第1および第2の圧縮機段12、13とラジアル環状溝32との間に設けられたラビリンスシール36を有している。ラビリンスシール36は、ラビリンスシール36を横切る、特に第2の圧縮段13から第1圧縮段12への流体の流れを最小にするか、または制御するように構成されている。ラビリンスシール36は、有利なことに、一体型シール部材35の内周面とラジアル環状溝32の周底面33とによって形成されている。
【0072】
ラビリンスシール36は、例えば、一体型シール部材35の内周面に形成された一連の固定ステップと、ラジアル環状溝32の周底面33に形成された一連の回転ステップとによって形成することができる。
【0073】
遠心ターボ圧縮機2は、円筒形の主ハウジング4内に配置され、第1の空力部材29、したがって第1の圧縮段12を冷媒とともに供給するように構成されている入口分配器37をさらに含む。入口分配器37は、第1の空力部材29に隣接し、環状ディスク形状を有し、円筒形の主ハウジング4の内径と略等しい外径を有する。入口分配器37は、有利なことに、円筒形の主ハウジング4内に軸方向に摺動可能に配置されている。特に、入口分配器37は、駆動軸6に向かって径方向に延びる入口ガイド部材38を含む。
【0074】
遠心ターボ圧縮機2はまた、長手の軸Aを中心として駆動軸6を回転駆動するように構成された電気モータ39を含む。
【0075】
遠心ターボ圧縮機2はさらに、スラストベアリング装置とも命名され、動作中に駆動軸6の軸方向の動きを制限するように構成されたアキシアルベアリング装置を備える。アキシアルベアリング装置は、流体アキシアルベアリング装置、例えば、ガスアキシアルベアリング装置であってもよい。
【0076】
アキシアルベアリング装置は、第1のアキシアルベアリングプレート41および第2のアキシアルベアリングプレート42を含み、それぞれが環状ディスク形状を有し、平行に配置されている。第1のアキシアルベアリングプレート41は、第2のアキシアルベアリングプレート42に軸方向で面した第1の面41.1と、第1の面41.1とは反対側の第2の面41.2を有するとともに、第2のアキシアルベアリングプレート42は、第1のアキシアルベアリングプレート41に軸方向で面した第1の面42.1と、第1の面42.1とは反対側の第2の面42.2を有する。
【0077】
第1および第2のアキシアルベアリングプレート41、42の第1の面41.1、42.1の径方向内側部分は、駆動軸6のラジアルフランジ部43を延びる空間を規定する。特に、第1および第2のアキシアルベアリングプレート41、42の第1の面41.1、42.1は、ラジアルフランジ部43の第1および第2の軸方向端面と協働するようにそれぞれ構成されている。本発明の一実施形態によれば、駆動軸6のラジアルフランジ部43と第1および第2のアキシアルベアリングプレート41、42の第1の面41.1、42.1との間に軸方向の間隙が設けられている。このような軸方向の間隙は、例えば、10μmの範囲内である。
【0078】
アキシアルベアリング装置はさらに、駆動軸6のラジアルフランジ部43を取り囲み、第1および第2のアキシアルベアリングプレート41、42の径方向外側部分の、第1および第2の軸方向軸受板41、42の第1の面41.1、42.1の間にクランプされたスペーサリング44を含む。スペーサリング44は、第1および第2のアキシアルベアリングプレート41、42の間の軸方向距離を規定しており、前記軸方向距離は、ラジアルフランジ部43の幅よりも僅かに大きい。
【0079】
遠心ターボ圧縮機2はまた、駆動軸6を回転可能に支持するように構成されたラジアルベアリング装置を含む。ラジアルベアリング装置は、円筒形のベアリングハウジング4内に少なくとも部分的に配置されたラジアルベアリング45を有している。ラジアルベアリング45は、駆動軸6の周りに、有利には駆動軸6の中間部11に沿って延びる。ラジアルベアリング45は、とりわけ、ベアリングケーシング部3.2の環状のアキシアルベアリング面47に当接するベアリングスリーブ46を有している。
【0080】
ベアリングスリーブ46は、第2のアキシアルベアリングプレート42の第2の面42.2が当接する当接面48を含む。当接面48は、ベアリングスリーブ46の軸方向端部に配置され、駆動軸6の長手の軸Aを横切る方向に、有利には垂直に延びる。したがって、ベアリングスリーブ46は、第2のアキシアルベアリングプレート42とベアリングケーシング部3.2のアキシアルベアリング面47との間にクランプされている。
【0081】
遠心圧縮機2は、主ケーシング部3.1と第2の空力部材31との間に配置された弾性要素49をさらに含む。有利なことに、弾性要素49は、駆動軸6と同軸に配置された、例えば皿形の環状スプリグワッシャである。弾性要素49は、例えば、主ケーシング部3.1の軸方向面51に形成された環状凹部50内に配置されている。
【0082】
本発明の第1の実施形態によれば、弾性要素49は、第1および第2の空力部材29、31、段間シール装置および入口分配器37を、例えば、第1のアキシアルベアリングプレート41の第2の面41.1に対して8000~10000Nの範囲の所定の力で軸方向に付勢し、したがって、ベアリングケーシング部3.2の環状のアキシアルベアリング面47に当接するベアリングスリーブ46の当接面48に対して、第2のアキシアルベアリングプレート42の第2の面42.2を軸方向に付勢する。
【0083】
さらに、弾性要素は49、特に、遠心ターボ圧縮機2において熱膨張が生じたとき、第1および第2の空力部材29、31、段間シール装置32、入口分配器37およびアキシアルベアリング装置を密閉ケーシング3に対して軸方向に摺動させることを可能にし、したがって、遠心ターボ圧縮機2の寿命を短くする可能性のある前記部品の変形を回避する。
【0084】
図5は、とりわけ、第1および第2のアキシアルベアリングプレート41、42およびスペーサリング44を、ベアリングスリーブ46の当接面48に対して所定の力、例えば、1000~2000Nの範囲で軸方向に付勢する弾性部材52をさらに含む点で第1の実施形態とは異なる本発明の第2の実施形態による遠心ターボ圧縮機2を示す。有利なことに、弾性部材52は、駆動軸6と同軸に配置された、例えば皿型の環状スプリングワッシャである。弾性部材52は、例えば、入口分配器37の軸方向面に形成された環状凹部内に配置されている。
【0085】
本発明の第2の実施形態によれば、弾性要素49は、ベアリングケーシング部3.2の環状アキシアルベアリング面47に当接するベアリングスリーブ46の環状スペーサ部53に対して所定の力で、第1および第2の空力部材29、31、段間シール装置および入口分配器37を軸方向に付勢する。
【0086】
さらに、本発明の第2の実施形態によれば、入口分配器37およびベアリングスリーブ46は、第1および第2のアキシアルベアリングプレート41、42およびスペーサリング44を軸方向に摺動可能に配置する環状収容室を規定する。
【0087】
図6および図7は、特に第1の空力部材29が、例えばねじによってベアリングスリーブ46に固定されている点と、遠心ターボ圧縮機2が、駆動軸6の周りに角度をなして配置され、第1および第2のアキシアルベアリングプレート41、42とスペーサリング44をベアリングスリーブ46の当接面48に対して所定の力で軸方向に付勢する複数のコイルばね54を含む点で第2実施形態とは異なる本発明の第3実施形態による遠心ターボ圧縮機2を示す。
【0088】
本発明の第3の実施形態によれば、コイルばね54は、第1の空力部材29と第1のアキシアルベアリングプレート41との間に配置される。有利なことに、各コイルばね54は、入口分配器37内に設けられたそれぞれの貫通孔55内に配置されている。
【0089】
さらに、本発明の第3の実施形態によれば、弾性要素49は、第1の空力部材29上に設けられた当接面に対して所定の力で第2の空力部材31および段間シール装置を軸方向に付勢し、したがって、第1の空力部材29およびベアリングスリーブ46をベアリングケーシング部3.2の環状アキシアルベアリング面47に対して軸方向に付勢する。
【0090】
図8は、第1および第2の空力部材29、31、段間密封装置35、入口分配器37およびベアリングスリーブ46が剛性サブアセンブリを形成するように、第1および第2の空力部材31、段間シール装置35および入口分配器37がベアリングスリーブ46に固定される点で第2実施形態とは異なる本発明の第4実施形態による遠心ターボ圧縮機2を示す。
【0091】
有利なことに、遠心ターボ圧縮機2は、第1および第2の空力部材29、31、段間シール装置35および入口分配器37をベアリングスリーブ46に固定するように構成された幾つかの固定要素56を含んでいてもよい。例えば、各固定要素56は、駆動軸6に略平行に延びる固定ねじまたは固定ピンであってもよい。固定要素56は、駆動軸6の周りに角度をなして配置されてもよい。
【0092】
本発明の一実施形態によれば、固定要素56は、第1および第2の空力部材29、31、段間シール装置35、入口分配器37およびベアリングスリーブ46の位置ずれを回避するように構成されている。しかしながら、前記異なる内部構成要素の位置合わせは、密閉ケーシング3によっても保証することができる。
【0093】
もちろん、本発明は、非限定的な例として上述した実施形態に限定されるものではなく、その実施形態を含むものである。
【符号の説明】
【0094】
2 遠心ターボ圧縮機
3 密閉ケーシング
3.1 主ケーシング部
3.2 ベアリングケーシング部
6 駆動軸
12 第1の圧縮段
13 第2の圧縮段
18、19 インペラ
29 第1の空力部材
31 第2の空力部材
41 第1のアキシアルベアリングプレート
41.1 第1の面
41.2 第2の面
42 第2のアキシアルベアリングプレート
46 ベアリングスリーブ
47 アキシアルベアリング面
49 弾性要素
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8