IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コベストロ、ドイチュラント、アクチエンゲゼルシャフトの特許一覧

特許7110221ポリウレタンフォームおよびその製造方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-22
(45)【発行日】2022-08-01
(54)【発明の名称】ポリウレタンフォームおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/00 20060101AFI20220725BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20220725BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20220725BHJP
【FI】
C08G18/00 H
C08G18/48
C08G18/00 L
C08G101:00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019548735
(86)(22)【出願日】2018-03-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-26
(86)【国際出願番号】 EP2018055271
(87)【国際公開番号】W WO2018162372
(87)【国際公開日】2018-09-13
【審査請求日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】17159555.6
(32)【優先日】2017-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515266223
【氏名又は名称】コベストロ、ドイチュラント、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】COVESTRO DEUTSCHLAND AG
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン、ハーン
(72)【発明者】
【氏名】ラインハルト、アルベルス
(72)【発明者】
【氏名】アリ-カシム、アンワル
(72)【発明者】
【氏名】マルセル、ショルンシュタイン
(72)【発明者】
【氏名】パウル、ハインツ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル、ベッカー
【審査官】西山 義之
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-512446(JP,A)
【文献】特表2017-505368(JP,A)
【文献】特表2013-510208(JP,A)
【文献】特開2006-342305(JP,A)
【文献】特開2002-047326(JP,A)
【文献】特開平11-158308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00-18/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質PUR/PIRフォームを製造する方法であって、前記硬質PUR/PIRフォームが、ISO845:2006に従って30~90kg/m かさ密度を有し、ISO4590:2002に従って>90%の連続気泡率を有し、光学顕微鏡評価により<50μmの平均気泡直径を有するものであり、該方法が:
i)本発明の反応混合物R)を製造する工程であって、該反応混合物R)が:
ポリオール配合物P)であって、該ポリオール配合物P)が:
-イソシアネート反応性成分A)であって、該イソシアネート反応性成分A)が、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリカーボネートポリオールおよびポリエーテルエステルポリオールからなる群から選択される、>2.5の官能基数fを有する少なくとも1種のポリオール成分A1)を含んでなる、イソシアネート反応性成分A)と、
-ツェレウィチノフ活性水素を有する触媒活性成分D1)を少なくとも含有する触媒成分D)と、
-気泡連通化化合物を少なくとも含んでなる助剤および添加剤物質E)と、を含み、
イソシアネート反応性成分A)における末端OH官能基の総数に対して、成分A)中に存在する全第一級OH官能基の比率が少なくとも30%である、ポリオール配合物P)と、
ポリイソシアネート成分B)と、
発泡剤C)として超臨界状態のCOと、
を含む、本発明の反応混合物R)を製造する工程、
ii)型に前記反応混合物R)を導入する工程、
iii)前記反応混合物R)を発泡させる工程、ならびに
iv)硬質PUR/PIRフォームを脱型する工程、
を含んでなる、方法。
【請求項2】
工程ii)において、成分A)、発泡剤)およびポリイソシアネート成分B)からなる反応混合物R)が封止型に導入され、注入中の前記型における反対圧力が2~90バールであり、かつ
工程iii)において、工程ii)の終了後、前記型内の前記圧が、1~40秒の期間1の間維持され、その後、1~90バール/秒の圧力開放速度で、期間2にわたって前記型から前記圧が開放される
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法によって得られる、連続気泡硬質PUR/PIRフォーム。
【請求項4】
請求項に記載の硬質PUR/PIRフォームを含む、冷蔵庫、冷凍庫または冷凍冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬質連続気泡ポリウレタンフォームに関する。ウレタン基(PUR)に加えて、発泡体はイソシアヌレート基(PIR)を含んでもよい。本願において、別段の指定がない限り、硬質PUR/PIRフォームという記載は、実質的にウレタン基を含んでなる硬質フォームだけでなく、ウレタン基およびイソシアヌレート基の両方を含む硬質フォームも意味すると理解されるべきである。
【背景技術】
【0002】
硬質PUR/PIRフォームは、かなり以前から知られている。断熱材は、実質的応用範囲である。断熱用硬質PUR/PIRフォームを含む真空断熱パネル(VIP)の使用は、重要性を増している。発泡体の品質は、真空断熱用に使用される発泡体の断熱特性に対して決定的な影響を及ぼし:一方においては、非常に小さな気泡サイズおよび非常に均一な気泡サイズは有利であり、他方においては、連続気泡の高比率は発泡体を容易に真空排気するのに有利である。
【0003】
欧州特許出願公開第905159号および欧州特許出願公開第905158号は、発泡剤として炭化水素またはフルオロ置換炭化水素と組み合わせて水を好適に使用する連続気泡硬質ポリウレタンフォームの製造方法を開示している。ポリオール配合物は、好ましくは、リシノール酸および/またはヒマシ油および/またはタル油脂肪酸と、多官能価アルコールとの反応生成物であるポリエステルアルコール0.1~80重量%を含むと記載されている。これらの成分は、非ハロゲン化発泡剤に対して乳化剤の役割を果たすと記載されている。その実施例では、特許請求範囲のポリオールは、連続気泡および独立気泡フォームを生成し、連続気泡率は気泡連通化剤として公知の添加剤の存在に依存すると記載されている。得られた発泡体の気泡は微細気泡と記載されているが、説明文によれば、「非常に微細な気泡」は180~250μmの気泡サイズ範囲を意味すると理解されるべきである。加えて、気泡サイズ分布の均一性について記載されていない。
【0004】
硬質PUR/PIRフォームの製造では、発泡剤も含有するポリオール成分をイソシアネートと反応させる。イソシアネートと水との反応は二酸化炭素を生成し、これは発泡剤の働きもする。発泡剤として、ポリオール成分または反応混合物にCOを添加することも知られている。
【0005】
CO含有反応混合物の急激な減圧は、国際公開第2001/98389(A1)号に記載されている。この特許出願は、二酸化炭素含有ポリウレタン反応混合物が二酸化炭素の平衡溶液圧を超える圧から標準圧へ急激に減圧する、スラブ材ポリウレタンフォームの製造方法に関する。液体ポリウレタン反応混合物は溶存二酸化炭素の遊離により発泡され、発泡混合物は基材に適用され、その後、硬化してスラブ材フォームを得る。二酸化炭素を、最初に、平衡溶液圧を実質的に超える圧において、反応混合物または成分ポリオールおよびイソシアネートの少なくとも1つに完全溶解する。その後、圧を平衡溶液圧に近い圧まで減圧し、圧を一時的に平衡溶液圧未満に減圧して、微小気泡分散液の生成により少量の二酸化炭素を遊離し、必要に応じて成分を混合し、標準圧への急激な減圧を行って、遊離した二酸化炭素を完全に再溶解する。しかしながら、発泡剤のためのナノ気泡フォームに関する情報も超臨界条件に関する情報もこの明細書中に見ることはできない。
【0006】
国際公開第2011/054868号および国際公開第2011/054873号は、超臨界発泡剤としてCOを用いた微細気泡ウレタン含有フォームの製造方法を開示している。ポリオール相および超臨界COからのマイクロエマルションの製造は、両方の例における方法の成功の決め手である。前記マイクロエマルションは、適切な界面活性剤成分の使用により確率されるものである。しかしながら、この方法を使用して如何に大部分が連続気泡である発泡体を製造するかの指示はない。
【0007】
同様に、国際公開第2015/109488号は、超臨界発泡剤としてCOを用いたウレタン含有フォームの製造方法を記載している。製造方法は多段階工程であり、超臨界条件下、最初にポリオール成分をCOで飽和しなければならず、その後、反応混合物を少なくとも100バール(bar)の圧に付す。製造された発泡体は、小さな気泡サイズおよび高い多孔性を有すると記載されている。しかしながら、高連続気泡率を有する発泡体は、酸化プロピレン系ポリエーテルを使用する場合および特定の比率で2つの非常に特定の気泡連通化界面活性剤を使用する場合にのみ見られる。この方法は、>>100kg/mの密度を有する発泡体を提供する。反応器中の多段階工程(飽和、反応、硬化)のための全時間は>>1時間であり、この間、超臨界条件を維持しなければならない。
【発明の概要】
【0008】
したがって、現在の従来技術から進めて、本発明は、その目的のため、従来技術の欠点を克服する高連続気泡率を有する非常に微細気泡のウレタン含有硬質フォームを製造する簡単な方法で、非常に微細気泡で連続気泡のウレタン含有硬質フォーム(硬質PUR/PIRフォーム)を製造することができる、反応混合物のためのポリオール配合物を提供しなければならなかった。小さな気泡サイズと同時に、非常に高い連続気泡率は、この発泡体特性が、負圧の印加により発泡体の熱伝導率を小さくすることを可能とするという特定の応用に関して興味深い。
【0009】
特に提供されるものは、かさ密度30~90kg/mおよび連続気泡率>90%を有する硬質ポリウレタンフォームの製造を可能とし、該気泡は平均径<50μmであるポリオール配合物および方法である。
【0010】
本発明は、ISO845:2006に従って30~90kg/m、好ましくは30~70kg/mのかさ密度、ISO4590:2002に従って>90%、好ましくは≧94%の連続気泡率を有し、光学顕微鏡評価により<50μmの平均気泡直径を有する硬質PUR/PIRフォームの製造方法であって、前記方法は:
i)ポリオール配合物P)を含む発泡性反応混合物R)を製造する工程であって、
-イソシアネート反応性成分A)であって、前記イソシアネート反応性成分A)は、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリカーボネートポリオールおよびポリエーテルエステルポリオールからなる群から選択される>2.5の官能基数fを有する少なくとも1種のポリオール成分A1)を含んでなる、イソシアネート反応性成分A)と
-ツェレウィチノフ活性水素を有する触媒活性成分D1)を少なくとも含有する触媒成分D)と、
-気泡連通化化合物を少なくとも含んでなる助剤および添加剤物質E)と、を含み、
成分A)における末端OH官能基の総数に対してイソシアネート反応性成分A)中に存在する全第一級OH官能基の比率は、少なくとも30%である、前記ポリオール配合物P)と、
ポリイソシアネート成分B)と、
発泡剤C)として超臨界状態のCO2と、
を含む、前記発泡性反応混合物R)を製造する工程と、
ii)型に発泡性反応混合物R)を導入する工程と、
iii)反応混合物R)を発泡させる工程と、
iv)硬質PUR/PIRフォームを脱型する工程と、
を含んでなる方法を提供する。
【発明の具体的説明】
【0011】
本願において使用される用語は次のように定義される:
イソシアネート指数(指数としても知られる)は、イソシアネート基の実際に使用された物質量[モル]およびイソシアネート反応性基の実際に使用された物質量[モル]の商を100で乗じたものを意味すると理解されるものとする:
指数=(イソシアネート基のモル数/イソシアネート反応性基のモル数)*100。
【0012】
本願において、成分混合物の「官能基数」または「f」は、指標が表す混合物のそれぞれの数平均官能基数を意味すると理解されるものとする。したがって、例えば、ポリオール成分A1)の官能基数は、存在する全イソシアネート反応性官能基に対して成分A1中に存在するポリオール混合物の数平均官能基数を意味すると理解されるものとする。
【0013】
本願において、「モル重量」または「モル質量」または「M」は、いずれの場合にも、数加重平均モル質量を意味すると理解されるものとする。
【0014】
単一の添加されたポリオールの場合、OH価(水酸基価としても知られている)は、前記ポリオールのOH価を指定する。混合物に対して報告されたOH価は、そのそれぞれのモル比率で個別の成分のOH価から算出された混合物の数平均OH価に関連する。OH価は、アセチル化において、1グラムの物質と結合した酢酸の量と等しい水酸化カリウムのミリグラム単位の量を指定する。本発明との関連で、前記価数を、規格DIN53240-2(2007年11月版)に従って決定する。
【0015】
イソシアネート反応性成分A)は、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールおよびポリエーテルポリカーボネートポリオールからなる群から選択される少なくとも1種のポリオール成分A1)を含有する。
【0016】
成分A)で使用される全ポリオールの末端OH官能基の総数に対する第一級OH官能基の比率は、少なくとも30%、好ましくは少なくとも35%、特に好ましくは少なくとも38%である。
【0017】
ポリオール成分A1)は、>2.5、好ましくは≧2.6~≦6.5、特に好ましくは≧2.8~≦6.1の官能基数を有する更なる特徴を有する。ポリオール成分A1)がこれらの範囲の官能基数を有するポリオール配合物は、注入中の反対圧力の減圧まで最適粘度増加を提供し、発泡体のより迅速な脱型を可能とする。
【0018】
ポリオール成分A1)は、好ましくは、280~600mg KOH/g、特に好ましくは300~580mg KOH/g、特に好ましくは350~540mg KOH/gの水酸基価を有する。これは、発泡体の機械的特性に対する特に有利な効果を有する。
【0019】
本願において、「ポリエーテルポリオール」は、異なるポリエーテルポリオールの混合物であってもよく、このことは、同様に、本明細書に記載された他のポリオールにも当てはまる。
【0020】
本発明により使用可能なポリエーテルポリオールは、ポリウレタン合成において使用可能なポリエーテルポリオールであり、当業者に公知である。
【0021】
使用可能なポリエーテルポリオールは、例えば、カチオン性開環によるテトラヒドロフランの重合により得られるようなポリテトラメチレングリコールポリエーテルである。
【0022】
同様に適切なポリエーテルポリオールは、酸化スチレン、酸化エチレン、酸化プロピレン、酸化ブチレンおよび/またはエピクロロヒドリンの、二官能性または多官能性スターター分子への付加生成物である。酸化エチレンおよび酸化プロピレンの付加は特に好ましい。適切なスターター分子は、例えば、水、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブチルジグリコール、グリセロール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、プロピレングリコール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ショ糖、エチレンジアミン、トルエンジアミン、トリエタノールアミン、ビスフェノール類、特に、4,4’-メチレンビスフェノール、4,4’-(1-メチルエチリデン)ビスフェノール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオールおよびこのようなポリオール類とジカルボン酸類との低分子量ヒドロキシル含有エステル類ならびにこのようなポリオール類のオリゴエーテル類である。
【0023】
その総重量に対して、イソシアネート反応性成分A)が少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、特に好ましくは少なくとも70重量%のポリエーテルポリオールを含有する場合が好ましい。好ましい実施態様では、成分A1)は、100重量%の程度までのポリエーテルポリオールからなる。これらの好ましい実施態様は、特に良好な加水分解安定性を特徴とする。
【0024】
使用可能なポリエーテルエステルポリオールは、エーテル基、エステル基およびOH基を含む化合物である。12個以下の炭素原子を有する有機ジカルボン酸は、ポリエーテルエステルポリオールの製造に適しており、好ましくは、≧4個~≦6個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸または芳香族ジカルボン酸を単独または混合物で使用する。例としては、スベリン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸、マレイン酸、マロン酸、フタル酸、ピメリン酸およびセバシン酸が挙げられ、特に、グルタル酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、フタル酸、テレフタル酸およびイソテレフタル酸が挙げられる。有機ジカルボン酸に加えて、これらの酸の誘導体、例えば、これらの酸無水物さらにこれらのエステル類および≧1個~≦4個の炭素原子を有する低分子量一価アルコール類とのモノエステル類も使用可能である。上記バイオ系出発物質、特に、脂肪酸/脂肪酸誘導体(オレイン酸、ダイズ油、他)の割合の使用は同様に可能であり、例えば、ポリオール配合物の貯蔵安定性、発泡体の寸法安定性、燃焼特性および圧縮強さに関して利点を有することができる。
【0025】
多価アルコールなどのスターター分子のアルコキシ化により得られるポリエーテルポリオールは、ポリエーテルエステルポリオールの製造のために使用される更なる成分となる。スターター分子は少なくとも二官能性であるが、必要に応じて、より高い官能性、特に三官能性スターター分子の割合を含有してもよい。
【0026】
スターター分子としては、例えば、1,2-エタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンテンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-ブテン-1,4-ジオールおよび2-ブチン-1,4-ジオールなどの好ましくは≧18g/モル~≦400g/モル、好ましくは≧62g/モル~≦200g/モル、の数平均分子量Mnを有するジオール類、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジブチレングリコール、トリブチレングリコール、テトラブチレングリコール、ジヘキシレングリコール、トリヘキシレングリコール、テトラヘキシレングリコールなどのエーテルジオール類およびジエチレングリコールなどのアルキレングリコールのオリゴマー混合物が挙げられる。OHと異なる官能基数を有するスターター分子を、単独または混合物で使用してもよい。
【0027】
ジオールに加えて、>2個のツェレウィチノフ活性水素、特に、>2~≦8、特に、≧3~≦6の数平均官能基数を有する化合物を、ポリエーテルを製造するためにスターター分子として共に使用してもよく、例えば、1,1,1-トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、グリセロール、ソルビタンおよびペンタエリスリトールさらに好ましくは≧62g/モル~≦400g/モル、特に≧92g/モル~≦200g/モルの平均モル質量Mnを有するトリオール-またはテトラオールから出発したポリエチレンオキシドポリオールを共に使用してもよい。
【0028】
ポリエーテルエステルポリオールを、有機ジカルボン酸およびその誘導体ならびにツェレウィチノフ活性水素を有する成分、特に、ジオールおよびポリオールの反応により得られた反応生成物のアルコキシ化、特に、エトキシ化および/またはプロポキシ化により製造してもよい。使用してもよいこれらの酸の誘導体としては、例えば、その酸無水物、例えば、フタル酸無水物が挙げられる。
【0029】
適切なポリエステルポリオールは、とりわけ、ジ-さらにトリ-およびテトラオール類ならびにジ-さらにトリ-およびテトラカルボン酸類もしくはヒドロキシカルボン酸類またはラクトン類の重縮合物である。遊離ポリカルボン酸の代わりに、低級アルコール類の対応するポリカルボン酸無水物または対応するポリカルボン酸エステル類も、ポリエステルを製造するために使用可能である。
【0030】
適切なジオールの例は、エチレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール類さらに1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオールおよび異性体、ネオペンチルグリコールまたはネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートなどのポリアルキレングリコール類である。加えて、トリメチロールプロパン、グリセロール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、トリメチロールベンゼンまたはトリスヒドロキシエチルイソシアヌレートなどのポリオール類も使用可能である。
【0031】
一価アルカノールを追加して共に使用することも可能である。
【0032】
使用してもよいポリカルボン酸の例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、グルタル酸、テトラクロロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マロン酸、スベリン酸、コハク酸、2-メチルコハク酸、3,3-ジエチルグルタル酸、2,2-ジメチルコハク酸、ドデカン二酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、二量体脂肪酸、三量体脂肪酸、クエン酸またはトリメリット酸が挙げられる。酸源として対応する酸無水物を使用することも可能である。
【0033】
安息香酸およびアルカンカルボン酸などのモノカルボン酸を追加して共に使用することも可能である。
【0034】
末端ヒドロキシル基を有するポリエステルポリオールの製造における共反応物として共に使用してもよいヒドロキシカルボン酸としては、例えば、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシデカン酸、ヒドロキシステアリン酸などが挙げられる。適切なラクトンとしては、カプロラクトン、ブチロラクトンおよび同族体が挙げられる。
【0035】
ポリエステルポリオールを製造するために適した化合物としては、特に、バイオ系出発物質および/またはその誘導体、例えば、ヒマシ油、ポリヒドロキシ脂肪酸、リシノール酸、ヒドロキシル基修飾油、ブドウ種油、黒クミン油、パンプキンカーネル油、ルリジサ種子油、ダイズ油、コムギ胚種油、ナタネ油、ヒマワリカーネル油、ピーナッツ油、アプリコットカーネル油、ピスタチオ油、アーモンド油、オリーブ油、マカダミアナッツ油、アボカド油、シーバックソーン油、ゴマ油、大麻油、ヘーゼルナッツ油、プリムラ油、ワイルドローズ油、サフラワー油、クルミ油、脂肪酸、水酸基修飾脂肪酸ならびにエポキシ化脂肪酸および脂肪酸エステル、例えば、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、バクセン酸、ペトロセリン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、α-およびγ-リノレン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、チムノドン酸、イワシ酸およびセルボン酸をベースとするものが挙げられる。多価アルコール、例えば、グリセロールとのリシノール酸エステルは特に好ましい。他のカルボン酸、例えば、フタル酸とのこのようなバイオ系酸の混合物の使用も好ましい。
【0036】
使用してもよいポリカーボネートポリオールは、ヒドロキシル含有ポリカーボネート、例えば、ポリカーボネートジオールである。これらは、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネートまたはホスゲンなどの炭酸誘導体と、ポリオール、好ましくはジオールとの反応により、または酸化アルキレン、例えば、酸化プロピレンとCOとの共重合により得ることができる。
【0037】
このようなジオールの例としては、エチレングリコール、1,2-および1,3-プロパンジオール、1,3-および1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2,4-トリメチルペンタン-1,3-ジオール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール類、ジブチレングリコール、ポリブチレングリコール類、ビスフェノールA、ならびに上記種類のラクトン修飾ジオールが挙げられる。
【0038】
純粋なポリカーボネートジオールの代わりまたはこれに加えて、例えば、酸化プロピレンなどの酸化アルキレンとCOとの共重合により得ることができるポリエーテルポリカーボネートジオールも使用することができる。
【0039】
ポリオールの製造方法は、例えば、Ionesu著"Chemistry and Technology of Polyols for Polyurethanes", Rapra Technology Limited, Shawbury 2005, p.55 et seq. (chapt. 4: Oligo-polyols for Elastic Polyurethanes), p. 263 et seq. (chapt. 8: Polyester Polyols for Elastic Polyurethanes) and in particular to p.321 et seq. (chapt. 13: Polyether Polyols for Rigid Polyurethane Foams) and p.419 et seq. (chapt. 16: Polyester Polyols for Rigid Polyurethane Foams)に記載されている。適切なポリマーリサイクル材の解糖によりポリエステルおよびポリエーテルポリオールを得ることも可能である。適切なポリエーテル-ポリカーボネートポリオールおよびその製造は、例えば、欧州特許出願公開第2910585号の[0024]~[0041]に記載されている。ポリカーボネートポリオールおよびその製造の例は、とりわけ、欧州特許出願公開第1359177号に見ることができる。適切なポリエーテルエステルポリオールの製造は、とりわけ、国際公開第2010/043624号および欧州特許出願公開第1923417号に記載されている。
【0040】
高比率の第一級OH官能基を有するポリエーテルポリオール、ポリエーテルポリカーボネートポリオールおよびポリエーテルエステルポリオールは、アルコキシ化に使用された酸化アルキレンが高比率の酸化エチレンを含んでなる場合に得ることができる。成分A1のポリオールに存在するアルキレンオキシド構造の全部に対するエチレンオキシド構造のモル比率は、少なくとも50モル%である。酸化エチレンの100モル%の使用は、同様に好ましい実施態様である。
【0041】
イソシアネート反応性成分A)は、低分子量イソシアネート反応性化合物A2)をさらに含んでもよく、特に、二官能性または三官能性アミン類ならびにアルコール類、特に好ましくは400g/モル未満、好ましくは60~300g/モルのモル質量Mを有するジオールおよび/もしくはトリオール、例えば、トリエタノールアミン、ジエチレングリコール、エチレングリコール、グリセロールを使用することができる。但し、このような低分子量イソシアネート反応性化合物は、例えば、連鎖延長剤および/または架橋剤として硬質ポリウレタンフォームの製造に使用され、これらは、成分A1)の定義に該当せず、これらは成分A)の総重量に対して5重量%以下の量で有利に使用される。
【0042】
上記ポリオールおよびイソシアネート反応性化合物に加えて、成分A)は、更なるイソシアネート反応性化合物A3)、例えば、グラフトポリオール、ポリアミン、ポリアミノアルコールおよびポリチオールを含んでよい。記載されたイソシアネート反応性成分は混合官能基数を有する化合物を含んでなると考えられるだろう。
【0043】
好ましいイソシアネート反応性成分A)は、少なくとも65重量%の程度、特に少なくとも80重量%、非常に特に好ましくは少なくとも90重量%の程度の、280~600mg KOH/gの水酸基価および≧2.8~≦6.0の官能基数を有する前記ポリオール成分A1)からなり、成分A)における第一級OH官能基の比率は少なくとも35%(前記成分Aにおける全末端OH官能基に対して)である。
【0044】
ポリオール配合物P)は、助剤および添加剤物質E)を含む。助剤および添加剤物質は、少なくとも1つ以上気泡連通化化合物を含んでなる。気泡連通化化合物は、例えば、Kunststoff-Handbuch, volume 7, Polyurethane, Carl Hanser Verlag, Munich/Vienna, 3rd edition, 1993, pages 104-127に記載されている。気泡連通化化合物は、例えば、ポリエーテル・ポリジメチルシロキサン共重合体などのシリコーン類または有機ポリマー類、例えば、ポリブタジエンをベースとしたもの(例えば、Evonik Industries社のオルテゴル(Ortegol)500および501)、界面活性剤、例えば、商品名Sermul EA266(Elementis Specialties社、オランダ)として得ることができるエトキシ化および硫酸化イソトリデシルアルコールのナトリウム塩ならびに異なる成分の混合物、例えば、アミン安定化高分子不飽和炭化水素およびフタル酸エステルである。ポリブタジエン系気泡連通化剤は好ましい。気泡連通化成分は、好ましくは、イソシアネート反応性成分A)に対して1重量%以下の量で使用する。いずれの場合にも、成分A)の総重量に対して、ポリブタジエン系有機ポリマー0.1~1.0重量%、非常に特に好ましくは0.25~0.75重量%使用することが非常に特に好ましい。
【0045】
本発明による方法で使用してもよい更なる助剤および添加剤物質E)は、従来技術から、および当業者に公知の通例の助剤および添加剤物質である。助剤および添加剤物質としては、例えば、表面活性物質、安定剤、特に気泡安定剤、整泡剤、フィラー、染料、顔料、難燃剤、帯電防止剤、加水分解防止剤ならびに/または静真菌剤および静菌剤物質が挙げられる。
【0046】
公知の気泡連通化化合物のいくつか、例えば、シリコーンは、表面活性物質、安定剤または整泡剤としての機能も同時に想定される場合がある。この場合、これらの成分を、気泡連通化化合物に関して上記の好ましい量より高い量で使用してもよい。
【0047】
ポリエーテル・ポリジメチルシロキサン共重合体、好ましくは、オリゴジメチルシロキサン末端基を有するポリエチレンオキシドポリエーテルを使用することが多く、ジメチルシロキサン単位の数は好ましくは≦5である。
【0048】
使用可能な安定剤は、パラフィン、ポリブタジエン類、脂肪アルコールおよびエステル、例えば、カルボン酸のエステルなどの飽和および不飽和炭化水素である。
【0049】
成分A)は、好ましくは、合計で3重量%以下のシリコーンおよびポリブタジエン類を含む。
【0050】
安定剤として界面活性剤も使用することができ、例えば、≧6~≦30個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルカノールのエーテルなどのアルコキシ化アルカノール、≧5~≦100個のアルキレンオキシド単位を有するポリアルキレングリコール、アルコキシ化アルキルフェノール類、アルコキシ化脂肪酸、アルコキシ化ソルビタンのカルボン酸エステル(特に、ポリソルベート80)、脂肪酸エステル、ポリアルキレンアミン、硫酸アルキル、ホスファチジルイノシトール類、フッ素化界面活性剤、ポリシロキサン基を含んでなる界面活性剤および/またはビス(2-エチル-1-ヘキシル)スルホサクシネートである。フッ素化界面活性剤は、全フッ素置換でもよく、部分的フッ素置換でもよい。その例は、部分的フッ素置換エトキシ化アルカノールまたはカルボン酸である。
【0051】
成分A)は、好ましくは、成分A)の総重量に対して、合計で5重量%以下の界面活性剤、特に好ましくは3重量%以下、より好ましくは2重量%未満、特に好ましくは1.6重量%以下の界面活性剤を含む。
【0052】
触媒D)を、硬質PUR/PIRフォームの製造のために使用する。成分のヒドロキシル基含有/イソシアネート反応性基含有化合物と成分Bのイソシアネート基との反応を加速させる化合物を、触媒D)として通常使用する。
【0053】
触媒D)は、D1)ツェレウィチノフ活性水素を含んでなる官能基を有する少なくとも1種の触媒活性アミン化合物を含み、したがって、イソシアネート基と反応することができる(いわゆる「結合可能触媒(incorporable catalysts)」)。使用可能な結合可能触媒の例は、例えば、ビス(ジメチルアミノプロピル)ウレア、ビス(N,N-ジメチルアミノエトキシエチル)カルバメート、ジメチルアミノプロピルウレア、N,N,N-トリメチル-N-ヒドロキシエチルビス(アミノプロピルエーテル)、N,N,N-トリメチル-N-ヒドロキシエチルビス(アミノエチルエーテル)、ジエチルエタノールアミン、ビス(N,N-ジメチル-3-アミノプロピル)アミン、ジメチルアミノプロピルアミン、3-ジメチルアミノプロピル-N,N-ジメチルプロパン-1,3-ジアミン、ジメチル-2-(2-アミノエトキシエタノール)および(1,3-ビス(ジメチルアミノ)プロパン-2-オール)、N,N-ビス(3-ジメチルアミノプロピル)-N-イソプロパノールアミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)-2-ヒドロキシエチルアミン、N,N,N-トリメチル-N-3-アミノプロピルビス(アミノエチルエーテル)、3-ジメチルアミノイソプロピルジイソプロパノールアミンまたはこれらの混合物である。
【0054】
好ましい実施態様では、触媒D1)を、成分A)の総重量に対して、≧0.01重量%~<2重量%の量で使用する。
【0055】
1つ以上の更なる触媒化合物D2)、特に、更なるアミン化合物だけでなく、例えば、酢酸スズ(II)、オクタン酸スズ(II)、エチルヘキサン酸スズ(II)、ラウリン酸スズ(II)、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジオクチルスズジアセテート、トリス(N,N-ジメチルアミノプロピル)-s-ヘキサヒドロトリアジン、水酸化テトラメチルアンモニウム、酢酸ナトリウム、オクタン酸ナトリウム、酢酸カリウム、オクタン酸カリウム、水酸化ナトリウムなどの塩も含む、PUR/PIR化学のために公知である触媒活性化合物も使用することができる。
【0056】
触媒D)を、概して、成分A)の重量に対して、0.001~5重量%、特に0.05~2.5重量%の量で使用する。触媒D)が結合可能触媒D1)および非結合可能触媒D2)の両方を含む場合に特に好ましい。結合可能アミン化合物および触媒活性塩を組み合わせて使用する場合に特に好ましい。
【0057】
触媒D1およびD2を、好ましくは、0.1~16.3、特に好ましくは0.3~10、非常に特に好ましくは0.8~6.0のモル比D1/D2で使用する。触媒成分D)が触媒活性化合物D1)としてポリウレタンと結合可能なアミン化合物さらにポリウレタンと結合可能でない触媒活性塩である非触媒活性化合物D2)を含み、D1/D2のモル比が0.1~16.3、特に好ましくは0.3~10、非常に特に好ましくは0.8~6.0である場合に好ましい。特に好ましい実施態様では、3-(ジメチルアミノ)プロピルウレアおよび酢酸カリウムを、0.1~6.0、特に好ましくは0.3~10、非常に特に好ましくは0.8~6.0のモル比D1/D2で使用する。好ましい触媒比/触媒は、規定された粘度増大を特に有利にもたらす。
【0058】
硬質PUR/PIRフォームの製造は、発泡剤C)として、超臨界状態COを使用する。寸法安定な発泡体マトリックスおよび所望のかさ密度を得るために必要な量でこれを使用する。概して、これは、成分A100重量部に対して発泡剤0.5~30重量部である。物理的発泡剤を、追加の発泡剤として使用してよい。本発明との関連で、「物理的発泡剤」は、その物理特性が理由で、揮発性であり、イソシアネート成分に対して反応性でない化合物を意味すると理解されるものとする。
【0059】
追加の物理的発泡剤は、炭化水素類(例えば、n-ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ブタン、イソブタン、プロパン)、エーテル類(例えば、メチラール)、ハロゲン化エーテル、1~8個の炭素原子を有する全フッ素置換および部分的フッ素置換炭化水素類、例えば、ペルフルオロヘキサン、HFC245fa(1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン)、HFC365mfc(1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン)、HFC134aの群から選択することができ、またはこれらの混合物を使用し、さらに(ヒドロ)フッ素化オレフィン類、例えば、HFO1233zd(E)(trans-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン)またはHFO1336mzz(Z)(cis-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン)または3M社のFA188(1,1,1,2,3,4,5,5,5-ノナフルオロ-4-(トリフルオロメチル)ペンタ-2-エン)などの添加剤、さらに互いとのこれらの混合物である。
【0060】
物理的発泡剤として、COを、超臨界状態または近臨界状態で使用する。条件は、本発明との関連で、次の条件を満足する近臨界である:(T-T)/T≦0.4および/または(p-p)/p≦0.4。このとき、Tは方法における温度であり、Tcは発泡剤または発泡剤混合物の臨界温度であり、pは方法における圧であり、pcは発泡剤または発泡剤混合物の臨界圧である。条件は、好ましくは、(T-T)/T≦0.3および/または(p-p)/p≦0.3、特に好ましくは、(T-T)/T≦0.2および/または(p-p)/p≦0.2の近臨界である。
【0061】
COを使用する場合の本発明による方法を実施するために特に適した条件は、COの臨界点より高い圧および温度であり、すなわち、≧73.7バールおよび≧30.9℃、好ましくは74バール~350バールおよび31℃~100℃、特に好ましくは75バール~200バールおよび32℃~60℃である。
【0062】
更なる発泡剤を添加する場合、1つの実施態様では、発泡剤混合物は、好ましくは、60重量%超の二酸化炭素、特に好ましくは75重量%の二酸化炭素を含む。
【0063】
COに添加される物理的発泡剤に加えて、あるいはこれに代わって、化学的発泡剤も使用可能である(共発泡剤としても知られる)。これらは、特に好ましくは、水および/またはギ酸である。共発泡剤を、好ましくは、発泡性反応混合物R)中のイソシアネート反応性水素原子を有する化合物の総量に対して、0~6重量%、特に好ましくは0.5~4重量%の量で使用する。
【0064】
成分A)、C)、D)およびE)の混合物中の発泡剤C)の比率は、≧1重量%~≦30重量%、好ましくは≧4重量%~≦20重量%、特に好ましくは≧6重量%~≦16重量%であり;発泡性反応混合物R)中の発泡剤の比率は、0.5重量%~15重量%、好ましくは2重量%~10重量%、特に好ましくは≧3重量%~≦8重量%である。
【0065】
成分B)はポリイソシアネート、すなわち、≧2のNCO官能基数を有するイソシアネートである。このような適切なポリイソシアネートの例としては、1,4-ブチレンジイソシアネート、1,5-ペンタンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、2,2,4-および/または2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(4,4’-イソシアナトシクロヘキシル)メタンの異性体もしくはいずれかの所望の異性体含有物のその混合物、1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-および/または2,6-トリレンジイソシアネート(TDI)、1,5-ナフチレンジイソシアネート、2,2’-および/または2,4’-および/または4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)および/または高級同族体、1,3-および/または1,4-ビス(2-イソシアナトプロパ-2-イル)ベンゼン(TMXDI)、1,3-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン(XDI)さらにC1~C6アルキル基を有する2,6-ジイソシアナトヘキサン酸アルキル(リジンジイソシアネート)が挙げられる。
【0066】
イソシアネート成分B)として、ジフェニルメタンジイソシアネート(「単量体MDI」、略して「mMDI」)の異性体の混合物およびこれらのオリゴマー(「オリゴマーMDI」)を好ましく使用する。単量体MDIおよびオリゴマーMDIの混合物は、概して、「ポリマーMDI」(pMDI)と記載される。MDIのオリゴマーは、高級核ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート、すなわち、NCO官能基数f>2を有し、次の構造式を有するジフェニルメチレンジイソシアネートの高級核同族体の混合物である:C1510[CNO]、式中、n=整数>0、好ましくはn=1、2、3および4。高級核同族体C1510[CNO](m=整数≧4)は、同様に、有機ポリイソシアネートa)の混合物中に存在してよい。イソシアネート成分B)として、最大でも20重量%以下、より好ましくは最大でも10重量%のポリウレタンの製造のために公知の更なる脂肪族、脂環式および特に芳香族ポリイソシアネートを含んでなるmMDIおよび/またはpMDIの混合物は同様に好ましく、非常に特にTDIである。
【0067】
上記ポリイソシアネートに加えて、ウレトジオン、イソシアヌレート、ウレタン、カルボジイミド、ウレトンイミン、アロファネート、ビウレット、アミド、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはオキサジアジントリオン構造を有する修飾されたジイソシアネート、さらに分子当たり2個より多いNCO基を有する修飾されていないポリイソシアネート、例えば、4-イソシアナトメチル-1,8-オクタンジイソシアネート(ノナントリイソシアネート)もしくはトリフェニルメタン4,4’,4’’-トリイソシアネートの割合を共に使用することも可能である。
【0068】
有機イソシアネート成分B)として、上記ポリイソシアネートの代わりまたはこれに加えて、適切なNCOプレポリマーも使用可能である。プレポリマーは、1つ以上のポリイソシアネートと、成分A1)およびA2)の下に記載されているポリオールに対応する1つ以上のポリオールとの反応により製造可能である。
【0069】
イソシアネートは、≧2のNCO官能基数を有するイソシアネートならびに≧62g/モル~≦8000g/モルの分子量および≧1.5~≦6のOH官能基数を有するポリオールを反応させることにより得ることができるプレポリマーであってよい。
【0070】
NCO含有率は、好ましくは≧29.0重量%~≦32.0重量%であり、好ましくは≧80mPas~≦2000mPas、特に好ましくは≧100mPas~≦800mPasの25℃における粘度(25℃におけるDIN53019に従って決定された動的粘度)を有する。
【0071】
ポリイソシアネート成分B)中のNCO基の数および成分A)中のイソシアネート反応性基の数は、例えば、≧50:100~≦500:100の互いに対する数値的比率であってよい。硬質ポリウレタンフォームを、配合物中のイソシアネート指数が80~150、好ましくは90~130、特に好ましくは95~110になるような量で、成分A)およびB)を反応させることにより通常製造する。この範囲では、ウレタン基は好適に生成される。別の好ましい実施態様では、イソシアネート指数は150~400である。この範囲では、発泡体は、例えば、該発泡体の固有の難燃性をもたらすイソシアヌレート官能基の高い割合を含んでなる。
【0072】
本発明による方法の工程i)では、発泡性反応混合物R)を、成分A)~E)から製造する。
【0073】
この目的を達成するために、成分A)、D)、E)を含んでなる混合物を、先ず、例えば、槽中に投入してから、成分C)と混合し、ポリイソシアネートB)と混合してよい。成分の混合を、ミキシングヘッドにおいて行ってもよい。
【0074】
特に成分C)およびB)との混合を、圧下で行ってよい。好ましい実施態様では、成分A)、D)、E)およびC)を、高圧ミキシングヘッドにおいて成分B)と混合する。
【0075】
発泡剤C)は、超臨界状態のCOであり、成分の反応をCOの超臨界である条件下で行う。この場合、ミキシングヘッドおよび/または排出管/ポリウレタンフォームの製造用排出管における適切な圧は、例えば、≧73 .7バール~≦350バールの範囲、好ましくは≧75バール~≦200バールの範囲である。適切な温度は、例えば、≧30.9℃~≦100℃ 、好ましくは≧32℃~≦60℃である。このような圧において、使用される発泡剤の超臨界条件を維持することができる。
【0076】
更なる実施態様では、発泡剤の超臨界条件下のミキシングヘッドにおける混合物の滞留時間は、≧0秒~≦20秒、好ましくは≧0.1秒~≦10秒、特に好ましくは≧0.5秒~≦5秒である。これは、超臨界条件下で混合物は重合することができるという結果である。超臨界条件が特定の単位時間に運搬される混合物の体積により分割される反応チャンバー(=混合チャンバーおよび/または管)の体積により、滞留時間を決定してよい。
【0077】
本発明による方法の工程ii)では、成分A)~E)からなる本発明の発泡性反応混合物R)を、型に導入する。
【0078】
好ましい実施態様では、型は封止型であり、注入中の型内の反対圧力は2~90バール、好ましくは2~80バール、特に好ましくは5~40バールである。
【0079】
その可能な実施態様は次の通りである:気体(圧縮空気または窒素)を含む型を、直接および/または加圧空間を気体空間と反応空間に分割するフローティングシールのいずれかにより加圧することにより反対圧力を達成し、確立し、保持して最終的に比例弁により減圧する。
【0080】
方法の工程iii)では、反応混合物を発泡する。
【0081】
反対圧力下で型に反応混合物を注入した場合に、工程iii)の好ましい実施態様は次の通りである:
工程ii)の終了後、1~40秒、特に好ましくは5~20秒、非常に特に好ましくは8~17秒である期間1の間、型内の圧を一定に保持し、最初、発泡しないで、反応混合物の粘度は増大する。好ましい期間の間、圧を保持することは、この反応区間に対して混合物の特に有利な粘度範囲をもたらすと分かった。期間1が経過した時点で、型を減圧する。1~90バール/秒、好ましくは1~80バール/秒、特に好ましくは2~70バール/秒の圧力開放速度で、型の圧力開放を期間2にわたって行う。 特に比例弁により開放を行うことができる。反応混合物を期間2にわたって発泡する。過剰に迅速な開放は、気泡安定性に悪影響を及ぼし、過剰に遅い開放は発泡反応に悪影響を及ぼす。
【0082】
方法の工程iv)では、硬質PUR/PIRフォームを脱型する。
【0083】
本発明による方法の1つの特に好ましい実施態様は:
i)発泡性反応混合物R)を製造する工程であって、
- >2.5のOH官能基数を有する、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールおよびポリエーテルポリカーボネートポリオールおよびポリエーテルエステルポリオールからなる群から選択される少なくとも1種のポリオール成分A1)を含有するイソシアネート反応性成分A)と、
- 少なくとも1種のポリイソシアネート成分B)と、
- 少なくとも1種の発泡剤C)と、
- ツェレウィチノフ活性水素を有する触媒活性成分D1)を少なくとも含有する触媒成分D)と、
- 気泡連通化化合物を少なくとも含んでなる助剤および添加剤物質E)と、
成分A)における末端OH官能基の総数に対してイソシアネート反応性成分A)中に存在する全第一級OH官能基の比率は、少なくとも30%である、
から発泡性反応混合物R)を製造する工程と、
ii)成分A)、発泡剤およびポリイソシアネート成分B)からなる発泡性反応混合物を、封止型に導入する工程であって、注入中の型における反対圧力は2~90バールである工程と、
iii)工程ii)の終了後、型内の圧を、1~40秒の期間1の間、保持し、その後、1~90バール/秒の圧力開放速度で、期間2にわたって型から圧を開放する工程と、
iv)硬質PUR/PIRフォームを脱型する工程と、
を含む。
【0084】
本発明は、本発明による方法によって得ることができる、または得られる硬質PUR/PIRフォームをさらに提供する。
【0085】
本発明による方法は、30~90kg/m、好ましくは30~70kg/m、のかさ密度を有し、同時に多数の気泡得、特に小さな気泡を有する硬質PUR/PIRフォームを得ることを可能とする。したがって、>90%、特に>94%の連続気泡率を有し、気泡は<50μmの平均径を示す硬質発泡体を製造することが可能である。発泡体は、良好な機械特性、例えば、良好な圧縮強さを有する。
【0086】
本発明によるPUR/PIRフォームは、発泡成形物およびこれらの成形物を含む複合システムを製造することを好ましい方法で可能とする。複合システムは、しばしば、上面および底面の両方で装飾層により境界を定められる。適切な装飾層としては、とりわけ、金属、プラスチック、木材および紙が挙げられる。このような不連続に製造されたPUR/PIR複合システムの応用の適切な分野としては、特に、冷蔵庫、冷凍庫、冷凍冷蔵庫などの家電製品ならびにボイラー、クールコンテナおよびクールボックスさらにパイプの工業用断熱材が挙げられる。
【0087】
これらの分野におけるPUR/PIRフォームの使用はそれ自体当業者に公知であり、既に幾度も記載されている。これらの微細気泡率が理由で、本発明によるPUR/PIRフォームは、真空の印加によりなおさらに増大することができる低熱伝導率係数を特徴とするので、これらの目的に並外れて適切である。
【0088】
本発明は、本発明により得ることができる硬質PUR/PIRフォームを含んでなる冷蔵庫、冷凍庫または冷凍冷蔵庫に関し、提供された成形物は特に冷蔵庫、冷凍庫または冷凍冷蔵庫のハウジング部分である。本発明を、次の実施例および比較例を参照してより詳細に説明する。
【実施例
【0089】
使用された基準/分析装置:
かさ密度の決定:ゴムおよびプラスチックからなる発泡体 - かさ密度の決定(ISO845:2006);独国版EN ISO845:2009。
連続気泡率の決定:連続および独立気泡の容積分率の決定(ISO4590:2002);独国版EN ISO4590:2003。
圧縮強さの決定:硬質発泡体 - 圧特性の決定(ISO844:2014);独国版EN ISO844:2014。
OH価の決定:水酸基価の決定 - パート2:2007年11月版のDIN53240-2に従った触媒を用いた方法。
気泡サイズの決定:VHX5000光学顕微鏡による光学顕微鏡評価;測定しようとする検体をいずれの場合にも5mmの径を有する円領域にわたって3つの異なる点において分析する。選択された領域が約100個の気泡を得るように解像度を選択する。それから、100個の気泡を測定し、最小および最大の気泡直径ならびに平均気泡直径を算出する。
【0090】
表1に報告された官能基数fは、配合物中に存在するポリオールの混合物の数平均官能基数に関する。
表1中の第一級OH官能基の詳細な比率[%]は、配合物中に存在するポリオールの混合物のOH官能基の総数に対する第一級OH官能基の比率に関する。
【0091】
実施例1および比較例2および3
COおよびn-ペンタンで発泡したポリウレタンフォームを、次の表1に記載された配合物により製造した。報告された数は、特に指定されない限り、重量部を意味すると理解されるものとする。次の物質を使用した:
【0092】
【表1】
【0093】
フリーライズポリウレタンフォームの製造、比較例3
実験室でフリーライズポリウレタンフォームを製造するため、下表1に挙げられたポリオール、安定剤および触媒からなるそれぞれのポリオール配合物さらに発泡剤の組成物200gを製造した。反応混合物を製造するため、ポリオール配合物および発泡剤からなるこの組成物を、Pendraulik撹拌機を用いて対応する量のイソシアネートと23℃において10秒間混合し、開口型(20cm×20cm×18cm)に注いだ。正確な配合を表1に纏めており、反応混合物特性および発泡体の物理的試験の結果を表2に纏めている。
【0094】
成形ポリウレタンフォームの製造、比較例2
実験室で成形ポリウレタンフォームを製造するため、下表1に挙げられたポリオール、安定剤および触媒からなるそれぞれのポリオール配合物さらに発泡剤の組成物100gを製造した。反応混合物を製造するため、ポリオール配合物および発泡剤からなるこの組成物を、Pendraulik撹拌機を用いて対応する量のイソシアネートと23℃において10秒間混合し、型(20cm×20cm×6cm)に注いだ。注ぎ入れた直後に型を密閉した。したがって、このように製造された成形物品を5分後に脱型した。正確な配合を表1に纏めており、発泡体の物理的試験の結果を表2に纏めている。
【0095】
高圧プラントにおける成形ポリウレタンフォームの製造、実施例1
高圧プラントにおいてフリーライズポリウレタンフォームを製造するため、下表1に挙げられたポリオール、安定剤および触媒からなるポリオール配合物を製造した。標準的高圧混合プラントにおいてポリオール成分としてこれを使用し、150バールの圧および50℃の温度において発泡剤COと混合した。したがって、ここで、発泡剤は超臨界条件下であった。高圧ミキシングヘッドでは、この混合物を、150バールの圧および35℃の温度において運搬されたイソシアネートと混合した。ショット量は、48ml/秒の体積流量に対応する40g/秒であった(混合物密度1.2g/ml)。このように得られた反応混合物を、50℃の型温度において10バールの反対圧力で圧縮応力を与えられた封止型(1lの体積を有する)に注入した。注入終了後、10バールの圧縮応力を与えられた反対圧力をさらに12秒間維持し、それから<2秒を通して周囲圧力まで減圧した。このように製造された成形物品を、5分後に脱型した。正確な配合を表1に纏めており、発泡体の物理的試験の結果を表2に纏めている。
【0096】
【表2】
【表3】
【0097】
実施例1は、特定の配合物を使用して、高割合の連続気泡を有する非常に微細な気泡の硬質発泡体を製造することができることを示している。
【0098】
実施例1は、発泡剤として超臨界COを用い、型に対して10バールの反対圧力を印加する高圧プラントにおける配合物の処理によりより微細な(例えば、同じ配合物を用いた比較例2より)、同時に連続気泡硬質発泡体を得ることを明白に示している。
【0099】
比較例5におけるポリオール2をポリオール3により置き換えることにより、126μmの平均気泡サイズを得ることが可能となるが、連続気泡の比率はたったの25.6%である。