(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-22
(45)【発行日】2022-08-01
(54)【発明の名称】保持特性が改善されたカプセルを製造する方法、およびその方法から得られるカプセル
(51)【国際特許分類】
B01J 13/16 20060101AFI20220725BHJP
C08F 290/06 20060101ALI20220725BHJP
A61K 8/11 20060101ALI20220725BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20220725BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20220725BHJP
A61K 8/87 20060101ALI20220725BHJP
C11D 17/08 20060101ALN20220725BHJP
【FI】
B01J13/16 ZNM
C08F290/06
A61K8/11
A61K8/31
A61K8/37
A61K8/87
C11D17/08
(21)【出願番号】P 2019552486
(86)(22)【出願日】2018-03-21
(86)【国際出願番号】 EP2018057214
(87)【国際公開番号】W WO2018172431
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2021-02-19
(32)【優先日】2017-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】519197778
【氏名又は名称】カリシア
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【氏名又は名称】高橋 正俊
(72)【発明者】
【氏名】ダミアン ドゥムーラン
(72)【発明者】
【氏名】アリシア サダウィ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイミー ウォルターズ
【審査官】井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/120308(WO,A1)
【文献】特開平10-265581(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 13/02- 13/22
C09K 23/00- 23/56
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00- 90/00
A61K 9/00- 47/69
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
C11B 1/00- 15/00
C11C 1/00- 5/02
A01N 1/00- 65/48
A01P 1/00- 23/00
C11D 1/00- 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形マイクロカプセルを製造する方法であって、前記固形マイクロカプセルが、特には少なくとも1種の活性成分を含有するコアと、その周囲で前記コアを完全にカプセルで包む固形封入シェルとを含み、前記固形封入シェルが1nm未満のサイズの細孔を含み、
前記方法が以下の工程、すなわち、
a)少なくとも1種の活性成分を含む組成物C1をポリマー組成物C2中に攪拌しながら添加する工程であって、前記組成物C1およびC2は互いに非混和性であり、C2中のC1の体積分率が0.1~0.5の範囲であり、
前記組成物C2は、5000g.mol
-1未満の平均分子量を有する少なくとも1種のモノマーもしくはポリマーと、5000g.mol
-1未満の平均分子量を有する少なくとも1種の架橋剤と、随意選択的に5000g.mol
-1未満の平均分子量を有する少なくとも1種の光開始剤、または5000g.mol
-1未満の平均分子量を有する架橋触媒とを含み、
前記組成物C2の粘度は25℃で500mPa.s~100,000mPa.sの範囲であり、
これにより、前記組成物C2中に分散された前記組成物C1の液滴を含むエマルジョン(E1)が得られる、
工程と、
b)前記エマルジョン(E1)を組成物C3中に攪拌しながら添加する工程であって、前記組成物C2およびC3は互いに非混和性であり、
前記組成物C3の粘度は、25℃で500mPa.s~100,000mPa.sの範囲であり、
これにより、前記組成物C3中に分散された液滴を含む二重エマルジョン(E2)が得られる、
工程と、
c)前記エマルジョン(E2)に剪断を加え、
これにより、前記組成物C3中に分散されたサイズが制御された液滴を含む二重エマルジョン(E3)が得られる、
工程と、
d)前記組成物C2を重合し、これにより前記組成物C3中に分散された固形マイクロカプセルが得られる、
工程とを含む、
固形マイクロカプセルを製造する方法。
【請求項2】
前記組成物C2が、前記組成物の総質量に対して5質量%~30質量%の範囲の架橋剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
C2中に含有される前記モノマーまたはポリマーのモル数に対する、C2中に含有される前記モノマーまたはポリマーの反応性官能基のモル数の比が、1.5よりも大きい、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記組成物C2が、反応性官能基を有しない分子を5質量%未満しか含有しない、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記工程c)が、均質な制御された剪断を前記エマルジョン(E2)に加えることからなり、加えられる剪断速度が1000s
-1~100,000s
-1の範囲である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記組成物C3の粘度が25℃で2000mPa.sよりも大きい場合に、前記工程c)が、1000s
-1未満の剪断速度を前記エマルジョン(E2)に加えることからなる、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記組成物C2が光開始剤を含む場合に、前記工程d)が、前記組成物C2の光重合を開始することができる光源に前記エマルジョン(E3)を暴露することからなる光重合工程である、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記組成物C2が光開始剤を含まない場合に、前記
工程d)が、光源に対する暴露のない重合工程である、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記組成物C3が加えて、少なくとも1種の分枝ポリマー、および/または5000g.mol
-1超の分子量を有する少なくとも1種のポリマー、および/または固形粒子を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
一群の固形マイクロカプセルであって、それぞれのマイクロカプセルが、
- 請求項1で規定された組成物C1を含むコアと、
- その周囲で前記コアを完全にカプセルで包む固形封入シェルであって、該固形封入シェルが1nm未満のサイズの細孔を含む、固形封入シェルと、
を含み、
前記マイクロカプセルの平均直径が1μm~30μmの範囲であり、前記固形封入シェルの厚さが0.2μm~8μmの範囲であり、前記マイクロカプセルの直径の分布の標準偏差が50%未満、または1μm未満である、
一群の固形マイクロカプセル。
【請求項11】
請求項10に記載の
一群の固形マイクロカプセルを含む組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的は、保持特性が改善されたカプセルを製造する方法に関する。また、本発明はそのように得られたカプセル、ならびにそのカプセルを含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
活性成分として知られる数多くの化合物が、配合製品に興味深い有益な適用性をもたらし、あるいはその性能を改善するために、配合製品に添加されている。
【0003】
しかしながら、多くの場合、これらの物質は配合製品の他の成分と不都合に反応し、このことは安定性に不都合な結果をもたらし、そして性能レベルを低下させる。
【0004】
活性成分のカプセル化は、活性成分を含有する配合製品の性能または安定性に関する制限を克服する一方、配合製品の使用時に活性成分から導出される有利な効果をも得るための、著しい有益な重要性を有する技術である。
【0005】
しかしながら、活性成分を含有する媒体からこれらの活性成分を完全に隔離するためには、数年間までに亘って活性成分を保持し得るように、カプセルに好適な保持特性を与えることが必要である。
【0006】
配合製品中の活性成分を隔離するために極めて数多くのカプセルが開発されている。これらのカプセルは、数ある中でもスプレー乾燥、界面重合、界面析出、または溶媒蒸発などの製造方法から得られる結果である。
【0007】
これらのカプセルの保持特性は制限されることがしばしば判明しており、それによって、短期間で活性成分はカプセルの外部へ漏れるかまたは放出される結果となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、配合製品中に存在するカプセルの保持特性の改善に対する技術的な必要性がある。
【0009】
従って、本発明は、前記活性成分の漏れという前述の問題を防ぎつつ、活性成分をカプセル化する方法を提供するという目的を果たす。
【0010】
また、本発明は、少なくとも1種の活性成分を含有し、且つ優れた保持特性を有するカプセルを提供するという目的を果たす。
【課題を解決するための手段】
【0011】
従って、本発明は、固形マイクロカプセルを製造する方法であって、前記固形マイクロカプセルが、特には少なくとも1種の活性成分を含有するコアと、その周囲で前記コアを完全にカプセルに包む固形封入シェルとを含み、前記固形封入シェルが1nm未満のサイズの細孔を含み、
前記方法が以下の工程、すなわち、
a) 少なくとも1種の活性成分を含む組成物C1を、ポリマー組成物C2中に、攪拌しながら添加する工程であって、前記組成物C1およびC2は互いに非混和性であり、
前記組成物C2は平均分子量5000g.mol-1未満の少なくとも1種のモノマーまたはポリマーと、平均分子量5000g.mol-1未満の少なくとも1種の架橋剤と、随意選択的に平均分子量5000g.mol-1未満の少なくとも1種の光開始剤、または平均分子量5000g.mol-1未満の架橋触媒とを含み、
前記組成物C2の粘度は、25℃で500mPa.s~100,000mPa.sの範囲であり、そして好ましくは前記組成物C1の粘度よりも高く、
これにより、前記組成物C2中に分散された前記組成物C1の液滴を含むエマルジョン(E1)が得られる、
工程と、
b) 前記エマルジョン(E1)を組成物C3中に攪拌しながら添加する工程であって、前記組成物C2およびC3は互いに非混和性であり、
前記組成物C3の粘度は25℃で500mPa.s~100,000mPa.sの範囲であり、そして好ましくは前記エマルジョン(E1)の粘度よりも高く、
これにより、前記組成物C3中に分散された液滴を含む二重エマルジョン(E2)が得られる、
工程と、
c) 前記エマルジョン(E2)に剪断力を加え、
これにより、前記組成物C3中に分散されたサイズが制御された液滴を含む二重エマルジョン(E3)が得られる、
工程と、
d) 前記組成物C2を重合し、これにより前記組成物C3中に分散された固形マイクロカプセルが得られる
工程とを含む、
固形マイクロカプセルを製造する方法に関する。
【発明の効果】
【0012】
従って、本発明の方法は、コアと、その周囲でコアを完全にカプセルに包む固形封入シェルとを含む固形マイクロカプセルであって、コアが少なくとも1種の活性成分を含む組成物C1である、固形マイクロカプセルを製造するのを可能にする。
【発明を実施するための形態】
【0013】
好ましくは、本発明の方法によって得られる固形マイクロカプセルは、少なくとも1種の活性成分(組成物C1)を含むコアと、その周囲で前記コアを完全にカプセルに包む固形封入シェル(組成物C2から得られる)とから形成され、前記固形封入シェルが1nm未満のサイズの細孔を含んでいる。
【0014】
この方法によって得られるカプセルは優れた保持能力を有する。
【0015】
この性能レベルは、そのカプセルの封入シェルの材料によって達成され、この封入シェルの細孔サイズは1nm未満であることが好ましく、これにより1nm超の分子サイズを有するいずれかの化合物の拡散は完全には停止されないまでも、かなり遅らされるようになる。
【0016】
この結果は、下記の1つまたは2つ以上のパラメータ、例えばカプセルのコア/封入シェルの材料比(下記のC1/C2比)、材料中の架橋剤の濃度、モノマーまたはポリマー/オリゴマー当たりの反応性末端の数、モノマーまたはポリマー/オリゴマーの長さ、および/または封入シェル材料中の不活性材料、例えば非反応性ポリマーまたはオリゴマーまたは溶媒の不存在、の制御を確実にすることによって得られる。
【0017】
本発明の方法は加えて、カプセル外部への活性成分の放出を促進してこれを制御不能にし、および/またはカプセルがその中に組み込まれるように意図された配合製品の成分と反応してしまう可能性がある界面活性剤または乳化剤の使用を必要としないという利点をもたらす。
【0018】
本発明の方法は、架橋性の液相中に封入された少なくとも1種の活性成分を含有する液滴から構成された二重エマルジョンを製造することからなっている。これらの二重の液滴は、次いで架橋または重合により剛性のカプセルに変換される前に、サイズを単分散にされる。その調製は以下に詳述するように4つの工程を伴う。
【0019】
工程a)
本発明による方法の工程a)は、第1エマルジョン(E1)を調製することからなる。
【0020】
第1エマルジョンは、C1とは非混和性のポリマー組成物C2中の、組成物C1(少なくとも1種の活性成分を含有する)の液滴の分散体からなっており、攪拌しながらC1をC2に液滴状に添加することによって形成される。
【0021】
工程a)の間に、組成物C1は架橋性のポリマー組成物C2に添加され、この工程は攪拌しながら行われるが、このことは、組成物C1が添加される間に、組成物C2が、典型的には機械的な方法で、攪拌されることを意味し、そしてこれは組成物C1およびC2の混合物を乳化するためである。
【0022】
組成物C2中への組成物C1の添加は、典型的には一滴ずつ実施される。
【0023】
工程a)の間に、組成物C1の温度は、0℃~100℃の範囲、好ましくは10℃~80℃の範囲、そして好ましくは15℃~60℃の範囲である。工程a)の間に、組成物C2の温度は、0℃~100℃の範囲、好ましくは10℃~80℃の範囲、そして好ましくは15℃~60℃の範囲である。
【0024】
工程a)における添加条件下で、組成物C1およびC2は互いに混和することができないが、このことは、組成物C2中に可溶化することができる組成物C1の量(質量)が組成物C2の総質量に対して、5%以下、好ましくは1%未満、そしてより好ましくは0.5%未満であること、そして組成物C1中に可溶化することができる組成物C2の量(質量)が組成物C1の総質量に対して、5%以下、好ましくは1%未満、そしてより好ましくは0.5%未満であることを意味する。
【0025】
従って、組成物C1は攪拌下で組成物C2と接触し、組成物C2は、単独の液滴と呼ばれる液滴の形態で分散される。
【0026】
組成物C1およびC2間の非混和性はまた、組成物C1から組成物C2への活性成分の移動を防止するのを可能にする。
【0027】
組成物C2は、組成物C2中に分散された組成物C1の液滴を含むエマルジョンを形成するような方法で攪拌される。このエマルジョンは「単独エマルジョン」また、C2中C1(C1-in-C2)エマルジョンとも呼ばれる。
【0028】
工程a)を実施するために、エマルジョンを形成するために通常使用されるいずれかの種類の攪拌器、例えばパドルを備えた機械的攪拌器、静的乳化器、超音波ホモジナイザ、メンブレンホモジナイザ、高圧ホモジナイザ、コロイドミル、高剪断分散器、または高速ホモジナイザを利用することができる。
【0029】
組成物C1
組成物C1は少なくとも1種の活性成分Aを含む。この組成物C1は、本発明の方法において形成される液滴、および得られた固形カプセル中で、本発明の方法における活性成分のためのキャリアとして作用する。
【0030】
本発明の方法の第1の態様によれば、組成物C1は単相であり、すなわちこれは純粋な活性成分Aであるか、あるいは可溶化された形態で活性成分Aを含む溶液である。
【0031】
1つの態様によれば、活性成分は組成物C1中に可溶化されている。
【0032】
この態様によれば、組成物C1は典型的には、水溶液、または有機溶媒、または有機溶媒の混合物中の活性成分Aの溶液からなる。活性成分Aは、組成物C1の総質量に対して、質量含有率に基づいて、1%~99%の範囲で存在する。活性成分Aは、組成物C1の総質量に対して、質量含有率に基づいて、5%~95%、10%~90%、20%~80%、30%~70%、または40%~60%の範囲で存在することができる。
【0033】
1つの態様によれば、組成物C1は活性成分Aからなる。
【0034】
本発明の別の態様によれば、組成物C1は二相組成物であり、これは、活性成分が液状形態または固形形態で組成物C1中に分散されており、そして前記組成物C1中に完全には可溶化されていないことを意味する。
【0035】
1つの態様によれば、活性成分は、組成物C1中に、固形粒子の形態で分散されている。
【0036】
この態様によれば、組成物C1は、有機溶媒中または有機溶媒の混合物中の活性成分の固形粒子の分散体からなっていることができる。
【0037】
この態様によれば、組成物C1は、水性相中の活性成分の固形粒子の分散体からなっていることができ、水性相は、水および随意選択的に親水性の有機溶媒を含んでいる。
【0038】
使用される活性成分は例えば以下のものである。
- ポリマー配合物、エラストマー配合物、ゴム配合物、塗料配合物、接着配合物、シーラント配合物、モルタル配合物、ワニス配合物、またはコーティング配合物を重合するために使用される架橋剤、硬化剤、有機もしくは金属触媒(例えば白金、パラジウム、チタニウム、モリブデン、銅、亜鉛の有機金属または無機金属錯体)、
- エラストマー配合物、塗料配合物、コーティング配合物、接着配合物、シーラント配合物、モルタル配合物、または紙配合物用を意図された染料または顔料、
- 洗剤製品、例えばクリーニング/洗浄製品、ホームケア製品、化粧品およびパーソナルケア製品、テキスタイル、塗料、コーティング剤用を意図された芳香剤(the International Fragrance Association(IFRA)によって定められ、そしてウェブサイトwww.ifraorg.orgで入手可能な分子のリストに基づく)、
- 食品化合物および動物用飼料のための芳香/調味剤、ビタミン、アミノ酸、タンパク質、脂質、プロバイオティック、抗酸化剤、pH補正剤、保存料、
- 洗剤製品、クリーニング/洗浄製品、化粧品およびパーソナルケア製品のための柔軟剤、コンディショニング剤。これに関しては、使用することができる活性剤は、例えば米国特許第6335315号明細書および米国特許第5877145号明細書に挙げられている。
- 洗剤製品およびクリーニング/洗浄製品およびホームケア製品用に意図された変色防止剤または退色防止剤(例えばアンモニウム誘導体)、消泡剤(例えばアルコールエトキシレート、アルキルベンゼンスルホネート、ポリエチレンエトキシレート、アルキルエトキシスルフェート、またはアルキルスルフェート)、
- 洗剤製品、クリーニング/洗浄製品、化粧品およびパーソナルケア製品用に意図された、色活性化剤(colour activating agent)とも呼ばれる増白剤(例えばスチルベン誘導体、クマリン誘導体、ピラゾリン誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、またはナフタルイミド誘導体)、
- 化粧品およびパーソナルケア製品、およびテキスタイル用を意図された生物活性化合物、例えば酵素、ビタミン、タンパク質、植物エキス、皮膚軟化剤、殺菌剤、抗菌剤、UV防止剤、薬剤。これらの生物活性化合物のうち、以下のもの、すなわち、ビタミンA、B、C、DおよびE、パラアミノ安息香酸、アルファヒドロキシ酸(例えばグリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、またはクエン酸)、樟脳、セラミド、ポリフェノール(例えばフラボノイド、フェノール酸、エラグ酸、トコフェロール、ユビキノール)、ヒドロキノン、ヒアルロン酸、イソプロピルイソステアレート、イソプロピルパルミテート、オキシベンゾン、パンテノール、プロリン、レチノール、レチニルパルミテート、サリチル酸、ソルビン酸、ソルビトール、トリクロサン、チロシンを挙げることができる。
- 塗料およびコーティング剤用を意図された殺菌剤、抗菌剤、UV防止剤
- 農薬製品用を意図された肥料、除草剤、殺虫剤、駆除剤、防かび剤、防虫剤、または殺菌剤、
- プラスチック材料、コーティング剤、塗料、およびテキスタイルにおいて使用されるように意図された、難燃剤としても知られる耐火剤(例えば臭素化ポリオール、例えばテトラブロモビスフェノールA、ハロゲン化または非ハロゲン化有機リン化合物、塩素化化合物、アルミニウム三水和物、酸化アンチモン、ホウ酸亜鉛、赤リン、メラミン、またはマグネシウムジヒドロキシド)、
- 塗料、コーティング剤において、そして湾曲スクリーンおよび可撓性スクリーンを形成するポリマー材料において使用するように意図されたフォトニック結晶またはフォトクロモフォア、
- エネルギーの蓄積用に意図された、相変化物質(Phase Change Materials)(PCM)という承認された用語のもとで当業者に知られている製品であって、相の変化を経たときにいわゆる「潜」熱を吸収または放出することができる製品。PCMおよびその用途の例が、“A review on phase change energy storage: materials and applications”, Farid et al., Energy Conversion and Management, 2004, 45(9-10), 1597-1615に記載されている。PCMの例としては、リン酸アルミニウム、炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム、炭酸セシウム、硫酸セシウム、クエン酸カルシウム、塩化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、リン酸カルシウム、カルシウムサッカレート、硫酸カルシウム、リン酸セリウム、リン酸鉄、炭酸リチウム、硫酸リチウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化マンガン、硝酸マンガン、硫酸マンガン、酢酸カリウム、炭酸カリウム、塩化カリウム、リン酸カリウム、炭酸ルビジウム、硫酸ルビジウム、四ホウ酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、重硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、硝酸ナトリウム、過炭酸ナトリウム、過硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、亜セレン酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、テルル酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ストロンチウムヒドロホスフェート、酢酸亜鉛、塩化亜鉛、チオ硫酸ナトリウム、パラフィン系炭化水素ワックス、ポリエチレングリコールの溶融塩を挙げることができる。
【0039】
組成物C2
組成物C2は、マイクロカプセルの将来の固形封入シェルを形成するのに使用するように意図されている。
【0040】
組成物C2の粘度は、25℃で1000mPa.s~50,000mPa.sの範囲、好ましくは2000mPa.s~25,000mPa.sの範囲、そして例えば3000mPa.s~15,000mPa.sの範囲である。
【0041】
好ましくは、組成物C2の粘度は、組成物C1の粘度よりも高い。
【0042】
粘度は、直径60mmおよび円錐角2度を有する円錐と、25℃で設定された温度制御セルとを備えたモデルHaake Rheostress(商標)600のレオメータ-によって測定される。粘度の値は、10秒-1に等しい剪断速度に対して読み取られる。
【0043】
好ましくは、組成物C1およびC2間の界面張力は低い。典型的には、これらの界面張力は0mN/m~50mN/mの範囲、好ましくは0mN/m~20mN/mの範囲で変化する。
【0044】
また、組成物C1およびC2間の低い界面張力は、有利には、工程a)の最後に得られるエマルジョン(E1)の安定性を確実にするのを可能にする。
【0045】
組成物C2は、5000g.mol-1未満の平均分子量を有する少なくとも1種のモノマーまたはポリマーと、5000g.mol-1未満の平均分子量を有する少なくとも1種の架橋剤と、随意選択的に5000g.mol-1未満の平均分子量を有する少なくとも1種の光開始剤、または5000g.mol-1未満の平均分子量を有する架橋性触媒とを含み、これによりこれを架橋可能にする。
【0046】
モノマー、ポリマー、および架橋剤の選択の重要性は極めて重大であり、それというのも、これらの成分は、カプセルの将来の剛性の封入シェルの保持特性を決定づけるからである。特には、この選択は、その剛性の封入シェルがサイズが1nm未満である細孔を含んでいるカプセルを得るのを可能にする点において重要である。
【0047】
カプセルの剛性の封入シェルはこのように、組成物C2の架橋の結果として得られるポリマー材料から形成される。しかしながら、こうして形成された密な分子ネットワークはカプセルの内部と外部との間の仮想的通路を形成する間隙(または狭いギャップ)を有する。これらの間隙は剛性の封入シェルの細孔を構成する。本発明によれば、細孔のサイズは、好ましくは5nm未満、優先的には1nm未満、あるいは更には0.5nm未満である。
【0048】
本発明の文脈において、「サイズ」という用語は細孔の直径、特には平均直径を意味する。
【0049】
細孔のサイズは、例えば当業者によく知られているBET(Brunauer-Emmet-Teller)法と称される技術に基づく表面積分析によって測定することができる。“The Journal of the American Chemical Society”(February 1938, Volume 60, page 309)により詳細に記載されたこの技術は、その細孔サイズを測定しようとする試料による窒素(ガス)の吸着を測定することからなる。こうして、吸着質がその飽和蒸気圧にある基準セルの圧力と、既知の体積の吸着質が注入された試料のセルの圧力とが測定される。これらの測定から生じた曲線は吸着等温線である。数学モデルによって、これからカプセルの比表面積を推定し、そして結果としてその後に細孔のサイズを推定することが可能になる。
【0050】
本発明によれば、「モノマー」または「ポリマー」という用語は、単独で、または他のモノマーもしくはポリマーとの組み合わせで、重合によって固形材料を形成するのに適したいずれかの基本単位を意味する。用語「ポリマー」は、オリゴマーを包含する。
【0051】
これらのモノマーは、官能基、例えば、アクリレート、メタクリレート、ビニルエーテル、N-ビニルエーテル、メルカプトエステル、チオレン、シロキサン、エポキシ、オキセタン、ウレタン、イソシアネート、およびペルオキシドから構成される群の中から選択された少なくとも1種の反応性官能基を含むモノマーの中から選択されることができる。
【0052】
特には、モノマーは、上述の反応性官能基のうちの少なくとも1種を含有する、そしてこれに加えて第一級、第二級、および第三級アルキルアミン官能基、第四級アミン官能基、スルフェート、スルホネート、ホスフェート、ホスホネート、カルボキシレート、ヒドロキシル、ハロゲン官能基、およびこれらの混合物から構成された群の中から選択された少なくとも1種の官能基を含有する、モノマーの中から選択されることができる。
【0053】
組成物C2中に使用されるポリマーは、ポリエーテル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアミド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリスルフィド、およびポリジメチルシロキサンから選択ることができ、前記ポリマーは、更には次の官能基、アクリレート、メタクリレート、ビニルエーテル、N-ビニルエーテル、メルカプトエステル、チオレン、シロキサン、エポキシ、オキセタン、ウレタン、イソシアネート、およびペルオキシドから構成される群の中から選択される少なくとも1つの反応性官能基を含有する。
【0054】
このようなポリマーの例としては、下記ポリマー、すなわちポリ(2-(1-ナフチルオキシ)エチルアクリレート)、ポリ(2-(2-ナフチルオキシ)エチルアクリレート)、ポリ(2-(2-ナフチルオキシ)エチルメタクリレート)、ポリソルビトールジメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリ((2-(1-ナフチルオキシ)エタノール)、ポリ(2-(2-ナフチルオキシ)エタノール)、ポリ(1-クロロ-2,3-エポキシプロパン)、ポリ(n-ブチルイソシアネート)、ポリ(N-ビニルカルバゾール)、ポリ(N-ビニルピロリドン)、ポリ(p-ベンズアミド)、ポリ(p-クロロスチレン)、ポリ(p-メチルスチレン)、ポリ(p-フェニレンオキシド)、ポリ(p-フェニレンスルフィド)、ポリ(N-(メタクリルオキシエチル)スクシンイミド)、ポリベンズイミダゾール、ポリブタジエン、ポリブチレンテレフタレート、ポリクロラール、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリヒドリドシルセスキオキサン、ポリ(m-フェニレンイソフタルアミド)、ポリ(メチル2-アクリルアミド-2-メトキシアセテート)、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸)、ポリ-モノ-ブチルマレエート、ポリブチルメタクリレート、ポリ(N-tert-ブチルメタクリルアミド)、ポリ(N-n-ブチルメタクリルアミド)、ポリシクロヘキシルメタクリルアミド、ポリ(m-キシレンビスアクリルアミド 2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、N,N-ジメチルメタクリルアミド)、ポリ(n-ブチルメタクリレート)、ポリ(シクロヘキシルメタクリレート)、ポリイソブチルメタクリレート、ポリ(4-シクロヘキシルスチレン)、ポリシクロールアクリレート、ポリシクロールメタクリレート、ポリジエチルエトキシメチレンマロネート、ポリ(2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート)、ポリ(1,1,1-トリメチロールプロパントリメタクリレート)、ポリメタクリレート、ポリ(N,N-ジメチルアニリンジヒドラジド)、ポリ(イソフタル酸ジヒドラジン)、イソフタルポリ酸、ポリジメチルベンジルケタル、エピクロロヒドリン、ポリ(エチル-3,3-ジエトキシアクリレート)、ポリ(エチル-3,3-ジメチルアクリレート)、ポリ(エチルビニルケトン)、ポリ(ビニルエチルケトン)、ポリ(ペンテン-3-オン)、ポリホルムアルデヒド、ポリ(ジアリルアセタール)、ポリフマロニトリル、ポリグリセリルプロポキシトリアクリレート、ポリグリセリルトリメタクリレート、ポリグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ポリグリシジルアクリレート、ポリ(n-ヘプチルアクリレート)、ポリ(アクリル酸n-ヘプチルエステル)、ポリ(n-ヘプチルタクリレート)、ポリ(3-ヒドロキシプロピオニトリル)、ポリ(2-ヒドロキシプロピルアクリレート)、ポリ(2-ヒドロキシプロピルメタクリレート)、ポリ(N-(メタクリルオキシエチル)フタルイミド、ポリ(1,9-ノナンジオールジアクリレート)、ポリ(1,9-ノナンジオールジメタクリレート)、ポリ(N-(n-プロピル)アクリルアミド)、ポリ(オルト-フタル酸)、ポリ(イソフタル酸)、ポリ(1,4-ベンゼンジカルボン酸)、ポリ(1,3-ベンゼンジカルボン酸)、ポリ(フタル酸)、ポリ(モノ-2-アクリルオキシエチルエステル)、テレフタルポリ酸、フタル酸ポリ無水物、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリソルビトールペンタアクリレート、ポリビニルブロモアセテート、ポリクロロプレン、ポリ(ジ-n-ヘキシルシリレン)、ポリ(ジ-n-プロピルシロキサン)、ポリジメチルシリレン、ポリジフェニルシロキサン、ポリビニルプロピオネート、ポリビニルトリアセトキシシラン、ポリビニルトリス-tert-ブトキシシラン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリエチレンコ-ビニルアセテート、ポリ(ビスフェノール-Aポリスルホン)、ポリ(1,3-ジオキセパン)、ポリ(1,3-ジオキソラン)、ポリ(1,4-フェニレンビニレン)、ポリ(2,6-ジメチル-1A-フェニレンオキシド)、ポリ(4-ヒドロキシ安息香酸)、ポリ(4-メチルペンテン-1)、ポリ(4-ビニルピリジン)、ポリメチルアクリロニトリル、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリメチルシルメチレン、ポリメチルシルセスキオキサン、ポリ(フェニルシルセスキオキサン)、ポリ(ピロメリトイミド-1,4-ジフェニルエーテル)、ポリテトラヒドロフラン、ポリチオフェン、ポリ(トリメチレンオキシド)、ポリアクリロニトリル、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン-コ-ビニルアセテート、ポリ(ペルフルオロエチレンプロピレン)、ポリ(ペルフルオロアルコキシルアルカン)、またはポリ(スチレン)アクリロニトリル)が挙げられるが、それらには限定されない。
【0055】
「架橋剤」という用語は、モノマーまたはポリマー、あるいはモノマーまたはポリマーの混合物を、その重合中に架橋することができる少なくとも2つの反応性官能基を有する化合物を意味するために使用される。
【0056】
架橋剤は、以下の官能基、アクリレート、メタクリレート、ビニルエーテル、N-ビニルエーテル、メルカプトエステル、チオレン、シロキサン、エポキシ、オキセタン、ウレタン、イソシアネート、およびペルオキシドから構成される群の中から選択された少なくとも2つの官能基を含有する分子の中から選択されることができる。
【0057】
架橋剤の例として、具体的には以下のものが挙げられる。
- ジアクリレート、例えば、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,9-ノナンジオールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、2,2-ビス(4-メタクリルオキシフェニル)プロパン、1,3-ブタンジオールジメタクリレート、1,10-デカンジオールジメタクリレート、ビス(2-メタクリルオキシエチル)N,N’-1,9-ノニレンビスカルバメート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、1,5-ペンタンジオールジメタクリレート、1,4-フェニレンジアクリレート、アリルメタクリレート、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、2,2-ビス[4-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン、テトラエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、N,N-ジアリルアクリルアミド、2,2-ビス[4-(2-アクリルオキシエトキシ)フェニル]プロパン、グリシジルメタクリレート;
- 多官能性アクリレート、例えばジペンタエリトリトールペンタアクリレート、1,1,1-トリメチロールプロパントリアクリレート、1,1,1-トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレンジアミンテトラメタクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート;
- 他の反応性官能基をも有するアクリレート、例えばプロパルギルメタクリレート、2-シアノエチルアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、N-アクリルオキシスクシンイミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド、N-(3アミノプロピル)メタクリルアミドヒドロクロリド、N-(t-BOC-アミノプロピル)メタクリルアミド、2-アミノエチルメタクリレートヒドロクロリド、モノアクリルオキシエチルホスフェート、o-ニトロベンジルメタクリレート、アクリル酸無水物、2-(tert-ブチルアミノ)エチルメタクリレート、N,N-ジアリルアクリルアミド、グリシジルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、4-(2-アクリルオキシエトキシ(acryloxyaehoxy))-2-ヒドロキシベンゾフェノン、N-(フタルイミドメチル)アクリルアミド、シナミルメタクリレート。
【0058】
「光開始剤」という用語は、光輻射線の作用を受けて断片化することのできる化合物を意味するように使用される。
【0059】
本発明に基づいて使用し得る光開始剤は、従来技術において知られており、例えば、"Les photoinitiateurs dans la reticulation des revetements [Photoinitiators in the crosslinking of coatings]", G. Li Bassi, Double Liaison - Chimie des Peintures [Double Bond - Chemistry of Paints], no 361, November 1985, p. 34-41、"Applications industrielles de la polymerisation photoinduite [Industrial applications of photoinduced polymerisation]", Henri Strub, L'Actualite Chimique [Chemical News], February 2000, p. 5-13、および"Photopolymeres: considerations theoriques et reaction de prise [Photopolymers: theoretical considerations and setting reaction", Marc, JM Abadie, Double Liaison - Chimie des Peintures [Double Bond - Chemistry of Paints], no 435-436, 1992, p. 28-34に記載されている。
【0060】
これらの光開始剤は、次のものを含む。
- α-ヒドロキシケトン、例えばBASF社のDAROCUR(商標)1173および4265, IRGACURE(商標)184, 2959および500、ならびにCYTEC社のADDITOL(商標)CPKの商品名で市販されている2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノン。
- α-アミノケトン、特には、例えばBASF社のIRGACURE(商標)907および369の商品名で市販されている2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1。
- 例えば、LAMBERTIのESACURE(商標)TZTの商品名で市販されている芳香族ケトン、または更にはLAMBERTIのESACURE(商標)ITXの商品名で市販されているチオキサントン、およびキノン。これらの芳香族ケトンはほとんどの場合、水素供与体化合物、例えば第三級アミン、そして特にはアルカノールアミンを必要とする。特には、LAMBERTI社によって市販されている第三級アミンESACURE(商標)EDBを挙げることができる。
- α-ジカルボニル誘導体、これらのうち最も一般的なものの代表は、BASF社のIRGACURE(商標)651の商品名で市販されているベンジルジメチルケタルである。他の商業的に入手可能な製品がLAMBERTI社によってESACURE(商標)KB1の商品名で市販されている。そして、
- アシルホスフィンオキシド、例えばBASF社のIRGACURE(商標)819、1700および1800、DAROCUR(商標)4265、LUCIRIN(商標)TPO、およびLUCIRIN(商標)TPO-Lの商品名で市販されているビス-アシルホスフィンオキシド(BAPO)。
【0061】
光開始剤の中ではまた、芳香族ケトン、例えばベンゾフェノン、フェニルグリオキシレート、例えば、フェニルグリオキシル酸のメチルエステル、オキシムエステル、例えば[1-(4-フェニルスルファニルベンゾイル)ヘプチリデンアミノ]ベンゾエート、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、およびオキシムスルホネートを挙げることができる。
【0062】
1つの態様によれば、組成物C2は、マイクロカプセルの封入シェルの特性を改善することができ、および/またはマイクロカプセルの封入シェルに新しい特性を提供することができる付加的なモノマーまたはポリマーを更に含むこともできる。
【0063】
これらの付加的なモノマーまたはポリマーの中では、pH、温度、UVまたはIRに対して感受性を有する基を有するモノマーまたはポリマーを挙げることができる。
【0064】
これらの付加的なモノマーまたはポリマーは、固形マイクロカプセルの破裂、そしてその結果としての、pH、温度、UVまたはIRによる刺激の後の、それに続くこれらの内容物の放出を誘発することができる。
【0065】
これらの付加的なモノマーまたはポリマーは、次の官能基、アクリレート、メタクリレート、ビニルエーテル、N-ビニルエーテル、メルカプトエステル、チオレン、シロキサン、エポキシ、オキセタン、ウレタン、イソシアネート、およびペルオキシドから構成される群の中から選択された少なくとも1種の反応性官能基、ならびに更に以下の基、
- 疎水性基、例えばフッ素化基、例えばトリフルオロエチルメタクリレート、トリフルオロエチルアクリレート、テトラフルオロプロピルメタクリレート、ペンタフルオロプロピルアクリレート、ヘキサフルオロブチルアクリレート、またはフルオロフェニルイソシアネート、
- pH感受性基、例えば第一級、第二級、または第三級アミン、カルボン酸、ホスフェート基、スルフェート基、ニトレート基、またはカーボネート基、
- UV感受性またはUV開裂性基(またはフォトクロミック基)、例えばアゾベンゼン、スピロピラン、2-ジアゾ-1,2-ナフトキノン、o-ニトロベンジル、チオール、または6-ニトロ-ベラトロイルオキシカルボニル、例えばポリ(エチレンオキシド)-ブロック-ポリ(2-ニトロベンジルメタクリレート)、および、特にはLiu et al., Polymer Chemistry 2013, 4, 3431-3443に記載されているような他のブロックコポリマー、
- IR感受性またはIR開裂性基、例えばo-ニトロベンジルまたは2-ジアゾ-1,2-ナフトキノン、例えばLiu et al., Polymer Chemistry 2013, 4, 3431-3443に記載されているポリマー、ならびに、
- 温度感受性基、例えばポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、
のうちの1つ、
を有するモノマーまたはポリマーの中から選択されることができる。
【0066】
本発明によれば、組成物C2のモノマーまたはポリマーの平均分子量は5000g.mol-1未満である。好ましくは、この平均分子量は50g.mol-1~3000g.mol-1の範囲であり、好ましくは100g.mol-1~2000g.mol-1の範囲である。
【0067】
本発明によれば、組成物C2の架橋剤(架橋剤(複数))の平均分子量は5000g.mol-1未満である。好ましくは、この平均分子量は50g.mol-1~2000g.mol-1の範囲であり、好ましくは50g.mol-1~1000g.mol-1の範囲である。
【0068】
本発明によれば、組成物C2の架橋性触媒または開始剤の平均分子量は5000g.mol-1未満である。好ましくは、この平均分子量は50g.mol-1~3000g.mol-1の範囲であり、好ましく100g.mol-1~2000g.mol-1の範囲である。
【0069】
このような構成要素を実施に際して使用することにより、本発明のカプセルの封入シェルの材料において、より短い架橋点間距離を得ることができる。
【0070】
このように、1つの態様によれば、組成物C2は、平均分子量5000g.mol-1未満の分子だけを含む。組成物C2が上記のモノマーまたはポリマー、架橋剤または架橋性触媒または開始剤以外の分子を含む場合、この分子の平均分子量は5000g.mol-1未満である。
【0071】
1つの態様によれば、C2中のC1の体積分率は0.1~0.5の範囲である。
【0072】
C2中のC1の体積分率をこのように選択することにより、有利な方法で、本方法の最後に得られるカプセルの封入シェルの厚さを制御し、そのようにしてカプセルのサイズ(それ自体は1μm~30μmの範囲である)に応じて、それが0.2μm~8μmの範囲であることを確実にすることを可能にさせる。
【0073】
1つの態様によれば、組成物C2は、前記組成物の総質量に対して、5質量%~30質量%の範囲の架橋剤を含む。好ましくは、組成物C2は、前記組成物の総質量に対して、5質量%~20質量%の範囲、そして好ましくは5質量%~15質量%の範囲の架橋剤を含む。
【0074】
1つの態様によれば、C2中に含有されるモノマーまたはポリマー(またはオリゴマー)のモル数に対する、C2中に含有されるモノマーまたはポリマー(またはオリゴマー)の反応性官能基のモル数の比は、1.5よりも大きく、好ましくは1.7~3の範囲である。
【0075】
この態様は、カプセルの封入シェルの材料中により多い数の架橋点を得る能力を与える点で有利である。
【0076】
本発明によれば、「反応性官能基」(もしくは、反応性官能基)は、モノマーまたはポリマー中に存在し、そしてC2中に含まれる別の分子と共有化学結合を形成することができる、原子または原子群を意味するように使用される。これらの官能基の中では、例えば次の官能基、アクリレート、メタクリレート、ビニルエーテル、N-ビニルエーテル、メルカプトエステル、チオレン、シロキサン、エポキシ、オキセタン、ウレタン、イソシアネート、およびペルオキシドを挙げることができる。
【0077】
本発明によれば、「C2中に含有される分子」という用語は、上述の組成物C2中に含有される全ての分子、そして従って、特には上述のモノマーもしくはポリマー、架橋剤、および開始剤または触媒を意味するように使用される。
【0078】
1つの態様によれば、組成物C2は、上述のモノマーもしくはポリマー、架橋剤、および開始剤または触媒以外の分子を含まない。従って、好ましくは、組成物C2中に含有される分子は、上述のモノマーもしくはポリマー、架橋剤、および開始剤または触媒から構成される。
【0079】
1つの態様によれば、組成物C2は、ポリマー、架橋剤、および(光)開始剤を含む。
【0080】
本発明の文脈において、「C2中に含有されるモノマーまたはポリマーのモル数に対する、C2中に含有されるモノマーまたはポリマーの反応性官能基のモル数の比」は、C2中に含有されるモノマーまたはポリマーの反応性官能基のモル数を、C2中に含有されるモノマーまたはポリマーのモル数で割り算することによって効率的に導き出すことができる。この比は、分子間の多数の接合点を含有する分子ネットワークを形成するC2の成分の能力および可能性を反映する。
【0081】
1つの態様によれば、組成物C2は、5質量%未満、好ましくは0.01質量%~4質量%の範囲、更に好ましくは0.01質量%~3質量%の範囲でしか、反応性官能基を有しない分子を含有しない。
【0082】
この態様は、カプセルの封入シェルの材料中に、より多くの架橋点を得る能力を与える点で有利である。
【0083】
要するに、「反応性官能基を有しない分子」は、C2中に含まれるいずれかの他の分子に結合することができない。単一の反応性官能基を有する分子は、C2中に含まれるただ1つの他の分子に結合することができるのに対して、2つの反応性官能基を有する分子は2つの他の分子に結合することができ、そして反応性官能基の数が増えるのに伴って同様のことが生じる。
【0084】
1つの態様によれば、組成物C2は、組成物C2の総質量に対して、65質量%~95質量%の範囲のモノマーもしくはポリマー、またはモノマーもしくはポリマーの混合物、ならびに5質量%~30質量%の範囲の架橋剤を含む。
【0085】
1つの態様によれば、組成物C2は、組成物C2の総質量に対して、0.1質量%~5質量%の範囲の光開始剤または光開始剤の混合物を含む。
【0086】
工程b)
本発明による方法の工程b)は、第2エマルジョン(E2)を調製することからなる。
【0087】
第2エマルジョンは、C3中に攪拌しながらエマルジョン(E1)を液滴状に添加することにより形成された、C2と非混和性である組成物C3中の第1エマルジョンの液滴の分散体からなる。
【0088】
工程b)の間に、エマルジョン(E1)は15℃~60℃の範囲の温度である。工程b)の間に、組成物C3は15℃~60℃の範囲の温度である。
【0089】
工程b)の添加条件下では、組成物C2およびC3は互いに混和することができず、このことは、組成物C3中に可溶化することができる組成物C2の量(質量)が組成物C3の総質量に対して、5%以下、好ましくは1%未満、そしてより好ましくは0.5%未満であること、そして組成物C2中に可溶化することができる組成物C3の量(質量)が組成物C2の総質量に対して、5%以下、好ましくは1%未満、そしてより好ましくは0.5%未満であることを意味する。
【0090】
このように、組成物(E1)が攪拌下で組成物C3と接触した場合には、それは、二重の液滴と称される液滴の形態をなして分散され、連続相C3中のエマルジョン(E1)のこれらの液滴の分散体はエマルジョン(E2)と称される。
【0091】
典型的には、工程b)の間に形成された二重の液滴は、組成物C2の封入シェルによって包まれた、上記の組成物C1の単独の液滴に対応し、組成物C2は、前記単独の液滴を完全にカプセルに包んでいる。
【0092】
工程b)の間に形成された二重の液滴は、組成物C1の少なくとも2つの単独の液滴を含んでもよく、前記単独の液滴は、前記単独の液滴を完全にカプセルに包む組成物C2の封入シェルによって包まれている。
【0093】
このように、前記二重の液滴は、組成物C1の1つまたは2つ以上の単独の液滴から構成されたコアを含み、そして組成物C2の層が前記コアを包んでいる。
【0094】
結果として得られるエマルジョン(E2)は、通常は多分散の二重エマルジョン(C3中C2中C1(C1-in-C2-in-C3)エマルジョン、またはC1/C2/C3エマルジョン)であり、このことは、二重の液滴が、エマルジョン(E2)中で、明確なサイズ分布を有していないことを意味している。
【0095】
組成物C2およびC3間の非混和性は、組成物C2の層と組成物C3との間の混合を防止する能力を与え、そして従ってエマルジョン(E2)の安定性を確実にする。
【0096】
組成物C2およびC3間の非混和性はまた、液滴のコアからの、組成物C1の水溶性物質の、組成物C3への移動を防止する能力を与える。
【0097】
工程b)を実施するために、エマルジョンを形成するために通常使用されるいずれかの種類の攪拌器、例えばパドルを備えた機械的攪拌器、静的乳化器、超音波ホモジナイザ、メンブレンホモジナイザ、高圧ホモジナイザ、コロイドミル、高剪断分散器、または高速ホモジナイザを利用することができる。
【0098】
組成物C3
1つの態様によれば、組成物C3の25℃における粘度は、エマルジョン(E1)の25℃における粘度よりも高い。
【0099】
本発明によれば、組成物C3の25℃における粘度は、500mPa.s~100,000mPa.sの範囲である。
【0100】
好ましくは、組成物C3の25℃における粘度は、3,000mPa.s~100,000mPa.sの範囲、より好ましくは5,000mPa.s~80,000mPa.sお範囲、例えば7,000mPa.s~70,000mPa.sの範囲である。
【0101】
この態様によれば、組成物C3によって形成された連続相の極めて高い粘度を考慮すると、エマルジョン(E2)の二重の液滴の不安定化速度は、本発明の方法の継続時間に対して著しく遅く、このことは従って、カプセルの封入シェルの重合が完了するまで、エマルジョン(E2)の、そして次いでエマルジョン(E3)の動力学的安定化をもたらす。このカプセルは、一旦重合されると、熱力学的に安定である。
【0102】
従って、組成物C3の極めて高い粘度は、工程b)の最後に得られるエマルジョン(E2)の安定性を確実にする。
【0103】
C3と第1エマルジョンとの間の低い表面張力、ならびに系の高い粘度は、二重エマルジョン(E2)の動力学的安定性を有利に確実にすることを可能にし、そのようにして、本製造法の継続時間にわたって相分離(脱相)を受けることを防止する。
【0104】
好ましくは、組成物C2およびC3間の界面張力は低い。組成物C2およびC3間の低い界面張力はまた、有利には、工程b)の最後に得られるエマルジョン(E2)の安定性を確実にすることを可能にする。
【0105】
一方では生産収率を向上させ、そして他方では、カプセルの平均直径を変化させために、C3中の第1エマルジョンの体積分率を0.05から0.5まで変化させることができる。この工程の最後では、第2のエマルジョンのサイズ分布は比較的に広い。
【0106】
1つの態様によれば、エマルジョン(E1)の体積と組成物C3の体積と間の比は1:10~10:1の範囲である。好ましくは、この比は1:9~3:1の範囲、より好ましくは1:9~1:1の範囲である。
【0107】
1つの態様によれば、組成物C3は加えて、好ましくは5000g.mol-1超の分子量を有する、少なくとも1種の分枝ポリマー、および/または5000g.mol-1超の分子量を有する少なくとも1種のポリマー、および/または固形粒子例えばシリケートを含む。
【0108】
1つの態様によれば、組成物C3は、好ましくは5000g.mol-1超の、より好ましく10,000g.mol-1~500,000g.mol-1の範囲の、例えば50,000g.mol-1~300,000g.mol-1の範囲の分子量を有する少なくとも1種の分枝ポリマーを含む。
【0109】
「分枝ポリマー」という用語は、2つの末端基間に少なくとも1つの分枝点を有するポリマーを意味するために使用され、分枝点は、分枝鎖またはペンダント鎖とも称される側鎖が結合された鎖の点である。
【0110】
分枝ポリマーの中では、例えばグラフトポリマー、櫛形ポリマー、あるいは更には星形ポリマーまたはデンドリマーを挙げることができる。
【0111】
1つの態様によれば、組成物C3は、5000g.mol-1超の、好ましくは10,000g.mol-1~500,000g.mol-1の範囲の、例えば50,000g.mol-1~300,000g.mol-1の範囲の分子量を有する少なくとも1種のポリマーを含む。
【0112】
組成物C3中に使用することができるポリマーの一例としては、以下の化合物を挙げることができ、単独でまたは更には互いに混合して使用することができる。
- セルロース誘導体、例えばセルロースエーテル類、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、またはメチルヒドロキシプロピルセルロース;
- ポリアクリレート(カルボマーとしても知られる)、例えばポリアクリル酸(PAA)、ポリメタクリル酸(PMAA)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)(pHEMA)、ポリ(N-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート)(pHPMA);
- ポリアクリルアミド、例えばポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAM);
- ポリビニルピロリドン(PVP)およびその誘導体;
- ポリビニルアルコール(PVA)およびその誘導体;
- ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)およびその誘導体、例えばポリ(エチレングリコール)アクリレート/メタクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート/ジメタクリレート、ポリプロピレンカーボネート;
- 多糖類、例えばカラギナン、カロブガムまたはタラガム、デキストラン、キサンタンガム、キトサン、アガロース、ヒアルロン酸、ジェランガム、グアールガム、アラビアガム、トラガカントガム、ダイユータンガム、オーツガム、カラヤガム、ガティガム、カードランガム、ペクチン、コンニャクガム、デンプン;
- タンパク質誘導体、例えばゼラチン、コラーゲン、フィブリン、ポリリシン、アルブミン、カゼイン;
- シリコーン誘導体、例えばポリジメチルシロキサン(ジメチコーンとしても知られる)、アルキルシリコーン、アリールシリコーン、アルキルアリールシリコーン、ポリエチレングリコールジメチコーン、ポリプロピレングリコールジメチコーン;
- ワックス、例えばジエステルワックス(アルカンジオールジエステル、ヒドロキシル酸ジエステル)、トリエステルワックス(トリアシルグリセロール、アルカン-1,2-ジオール、ω-ヒドロキシ酸および脂肪酸のトリエステル、ヒドロキシマロン酸、脂肪酸、およびアルコールのエステル、ヒドロキシル酸、脂肪酸、および脂肪アルコールのトリエステル、脂肪酸、ヒドロキシル酸、およびジオールのトリエステル)、ならびにポリエステルワックス(脂肪酸のポリエステル)。本発明の文脈においてワックスとして使用できる脂肪酸エステルは、例えばセチルパルミテート、セチルオクタノエート、セチルラウレート、セチルラクテート、セチルイソノナノエート、およびセチルステアレート、ステアリルステアレート、ミリスチルステアレート、セチルミリステート、イソセチルステアレート、グリセリルトリミリステート、グリセリルトリパルミテート、グリセリルモノステアレート、またはグリセリルパルミテート、およびセチルパルミテートである;
- ワックスとして使用することができる脂肪酸、例えばセロチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ジヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、アラキジン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ペンタデシル酸、マルガリン酸、ノナデシル酸、ヘンイコシル酸、トリコシル酸、ペンタコシル酸、ヘプタコシル酸、モンタン酸、またはノナコシル酸;
- 脂肪酸塩、特には脂肪酸アルミニウム塩、例えばアルミニウムステアレート、ヒドロキシルアルミニウムビス(2-エチルヘキサノエート);
- 異性化ホホバ油;
- 水素化ヒマワリ油;
- 水素化ヤシ油;
- 水素化ラノリン油;
- ヒマシ油およびその誘導体、特には変性水素化ヒマシ油、またはヒマシ油と脂肪アルコールとのエステル化によって得られる化合物;
- ポリウレタンおよびその誘導体;
- スチレン系ポリマー、例えばスチレンブタジエン;
- ポリオレフィン、例えばポリイソブテン。
【0113】
1つの態様によれば、組成物C3は、固形粒子、例えばクレイ、シリカ、およびシリケートを含む。
【0114】
組成物C3中に使用することができる固形粒子としては、クレイ、および特にはフィロシリケート(層状シリケートとしても知られる)のカテゴリに属するシリケートを挙げることができる。本発明の文脈において使用し得るシリケートの例としては、ベントナイト、ヘクトライト、アタパルガイト、セピオライト、モンモリロナイト、サポナイト、ソーコナイト、ノントロナイト、カオリナイト、タルク、セピオライト、チョークを挙げることができる。ヒュームド合成シリカを使用してもよい。前記のクレイ、シリケート、およびシリカは、有機分子、例えばポリエーテル、エトキシル化アミド、第四級アンモニウム塩、長鎖ジアミン、長鎖エステル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールによって有利に改質することができる。
【0115】
これらの粒子は単独でまたは互いに混合して使用することができる。
【0116】
1つの態様によれば、組成物C3は、5000g.mol-1超の分子量を有する少なくとも1種のポリマー、および固形粒子を含む。前述の化合物のいずれかの混合物を使用することができる。
【0117】
工程c)
本発明による方法の工程c)は、第2エマルジョン(E2)の液滴のサイズを精緻化することからなる。
【0118】
この工程は、均質な制御された剪断力を前記エマルジョン(E2)に加えることからなることができ、加えられる前記剪断速度は10s-1~100,000s-1の範囲である。
【0119】
1つの態様によれば、工程b)において得られた多分散の二重の液滴は、サイズ精緻化プロセスに付され、このプロセスは、液滴を分裂させることによって均質であり且つ制御された直径を有する新しい二重の液滴にすることができる剪断に液滴を付させることからなる。好ましくは、分裂工程は、高剪断セル、例えば欧州特許出願第15306428.2号明細書に記載された方法に基づくクエット型セル、を使用することによって実施される。
【0120】
1つの態様によれば、工程c)において、ステップb)の最後に得られた、連続相中に分散された多分散の二重の液滴からなる第2エマルジョン(E2)は、ミキサ内で剪断に付され、このミキサは均質な制御された剪断を加える。
【0121】
このように、この態様によれば、工程c)は、均質な制御された剪断を前記エマルジョン(E2)に加えることからなり、加えられる前記剪断速度は1000s-1~100,000s-1の範囲である。
【0122】
この態様によれば、ミキサ内で、付加の継続時間とは関係なしに、エマルジョンの1つの地点から他の点へと変化する可能性がある所定の時点で、剪断速度がエマルジョンの全ての部分に対して同一である最大値になる場合に、剪断速度は制御され且つ均質であると言われる。本発明によれば、ミキサの正確な構成は、このデバイスから出たときに、エマルジョン全体が同じ最大の剪断に付されている限り、重要ではない。工程c)を実施するのに適したミキサは、特には米国特許第5938581号明細書に記載されている。
【0123】
第2エマルジョンは、これが以下の、
- (クエット型ミキサとも称される)2つの同心的な回転シリンダ、
- 2つの平行な回転ディスク、または
- 2つの平行な振動プレート、
で形成されたセルを通して循環する場合に、均質な制御された剪断を受けることができる。
【0124】
この態様によれば、第2エマルジョンに加えられる剪断速度は、1,000s-1~100,000s-1の範囲、好ましくは1,000s-1~50,000s-1の範囲、そしてより好ましくは2,000s-1~20,000s-1の範囲である。
【0125】
本態様によれば、工程c)の間に、第2エマルジョンはミキサ内に導入され、そして次いでこれに剪断が加えられ、それによって第3エマルジョンの形成がもたらされる。第3エマルジョン(E3)は第2エマルジョン(E2)に対して化学的に同一ではあるものの、単分散の二重の液滴からなっており、一方でエマルジョン(E2)は、多分散の二重の液滴からなっている。第3エマルジョン(E3)は、典型的には、組成物C1の1つまたは2つ以上の液滴から構成されたコアと、前記コアを封入する組成物C2の層とを含む二重の液滴の分散体からなっており、前記二重の液滴は組成物C3中に分散されている。
【0126】
第2エマルジョンと第3エマルジョンとの相違点は、二重の液滴のサイズの違いであり、第2エマルジョンの液滴はサイズが多分散であり、一方で第3エマルジョンの液滴は、上記の分裂のメカニズムによって、単分散である。
【0127】
好ましくは、この態様によれば、第2エマルジョンは連続的にミキサ内へ導入され、このことは、ミキサの入口で導入される二重エマルジョン(E2)の量が、ミキサの出口の第3エマルジョン(E3)の量と同じであることを意味する。
【0128】
エマルジョン(E3)の液滴のサイズが重合後の固形マイクロカプセルの液滴のサイズに基本的に相当することを考慮すれば、工程c)中に剪断速度を調節することにより、マイクロカプセルのサイズ、および封入シェルの厚さを調節することが可能であり、液滴サイズの減少と剪断速度の増大との間には強い相関関係がある。このことにより、工程c)の間に加えられる剪断速度を変えることによって、マイクロカプセルの結果として生じる寸法を調節することができる。
【0129】
1つの好ましい態様によれば、工程c)の間に実行されるミキサはクエット型ミキサであり、2つの同心的なシリンダ、内側半径Roを有する1つの外側シリンダと、外側半径Riを有する内側シリンダとを含み、外側シリンダは固定されており、そして内側シリンダは角速度ωで回転している。
【0130】
本発明の方法に適したクエット型ミキサは、TSR France社によって提供されることができる。
【0131】
1つの態様によれば、クエット型ミキサの内側回転シリンダの角速度ωは、30rad.s-1以上である。
【0132】
例えば、クエット型ミキサの内側回転シリンダの角速度ωは、約70rad.s-1である。
【0133】
クエット型ミキサの固定された外側シリンダの寸法は、回転する内側シリンダと固定された外側シリンダとの間の空間(d=Ro-Ri)を調整するように選択されることができる。
【0134】
1つの態様によれば、クエット型ミキサの2つの同心的なシリンダ間の空間(d=Ro-Ri)は、50μm~1000μmの範囲、好ましくは100μm~500μmの範囲、例えば200μm~400μmの範囲である。
【0135】
例えば、2つの同心的なシリンダ間の距離dは、100μmに等しい。
【0136】
この態様によれば、工程c)の間に、第2エマルジョンは、典型的にはポンプによって、ミキサの入口で導入され、そして2つの同心的なシリンダ間の空間に向かって導かれ、外側シリンダは固定されており、そして、内側シリンダは角速度ωで回転している。
【0137】
二重エマルジョンが2つのシリンダ間の空間内にあるときに、前記エマルジョンに加えられる剪断速度は以下の数式:
【数1】
によって与えられ、
式中、
- ωは、回転する内側シリンダの角速度であり、
- R
oは、固定された外側シリンダの内側半径であり、そして
- R
iは、回転する内側シリンダの外側半径である。
【0138】
別の態様によれば、組成物C3の粘度が25℃で2000mPa.s超である場合には、工程c)は、1000s-1未満の剪断速度をエマルジョン(E2)に加えることからなる。
【0139】
この態様によれば、分裂工程c)は、エマルジョンを形成するために通常使用されるいずれかの種類のミキサを利用することにより、1000s-1未満の剪断速度で実施することができ、この場合には、組成物C3の粘度は2000mPa.s超であり、すなわち、フランス国特許出願第1661787号明細書に記載されたもののような条件下である。
【0140】
この工程の最後に形成された二重の液滴の幾何学的特徴は、将来のカプセルの幾何学的特徴を決定する。
【0141】
この態様によれば、工程c)において、連続相中に分散された多分散の液滴から構成されるエマルジョン(E2)は、例えばミキサ内で、低い剪断速度、すなわち1000s-1未満で剪断を加えられる。
【0142】
この態様によれば、工程c)で加えられる剪断速度は、例えば10s-1~1000s-1の範囲である。
【0143】
好ましくは、工程c)で加えられる剪断速度は、厳密に1000s-1未満である。
【0144】
この態様によれば、エマルジョン(E2)の液滴は、これに高い剪断応力が加えられる場合にのみ、エマルジョン(E3)の微細な、そして単分散の液滴に効率的に分裂されることができる。
【0145】
エマルジョン(E2)の液滴に加えられる剪断応力σは、工程d)の間に攪拌中にエマルジョンに加えられる巨視的剪断から生じる液滴の単位表面積当たりの接線力として規定される。
【0146】
剪断応力σ(Paで表される)、組成物C3の粘度η(Pa.sで表される)、および工程d)の経過中にその攪拌の間にエマルジョン(E2)に加えられる剪断速度γ(s
-1で表される)は、下記の数式によって関連付けられる。
【数2】
【0147】
こうして、この態様によれば、組成物C3の高い粘度により、たとえ剪断速度が低く、且つ剪断が不均質であるとしても、エマルジョン(E2)の液滴に極めて高い剪断応力をミキサ内で加えることができる。
【0148】
この態様に基づく工程c)を実施するのに際して、エマルジョンを形成するために通常使用されるいずれかの種類の攪拌器、例えばパドルを備えた機械的攪拌器、静的乳化器、超音波ホモジナイザ、メンブレンホモジナイザ、高圧ホモジナイザ、コロイドミル、高剪断分散器、または高速ホモジナイザを利用することができる。
【0149】
1つの好ましい態様によれば、工程c)を実施するために、単純な乳化器、例えば機械的パドル攪拌器、または静的乳化器が使用される。実際には、この態様では、制御された剪断も1000s-1超の剪断力も必要とされないので、このことが可能である。
【0150】
工程d)
本発明の方法の工程d)は、本発明による固形マイクロカプセルの封入シェルの架橋、およびそれによる形成からなっている。
【0151】
この工程は、カプセルの期待される保持性能を達成すること、およびその熱力学的安定性を確実にすることの両方を可能にし、これによって、融合または硬化のようないずれかの不安定化メカニズムをも決定的に防止する。
【0152】
1つの態様によれば、組成物C2が光開始剤を含む場合には、工程d)は、エマルジョン(E3)を、組成物C2の光重合を開始することができる光源、特には、好ましくは100nm~400nmの範囲の波長範囲で発光する、UV光源に暴露することからなる光重合工程であり、そしてこのことは、15分間未満の時間に亘る。
【0153】
この態様によれば、工程d)は、エマルジョン(E3)に光重合を施すことからなり、従って、このことは組成物C2の光重合を可能にする。この工程は、上記の水溶性物質をカプセルで包むマイクロカプセルを得ることを可能にする。
【0154】
1つの態様によれば、工程d)は、エマルジョン(E3)を、組成物C2の光重合を開始することができる光源に暴露することからなる。
【0155】
好ましくは、この光源はUV光源である。
【0156】
1つの態様によれば、UV光源は、100nm~400nmの範囲の波長で発光する。
【0157】
1つの態様によれば、エマルジョン(E3)は、15分間未満、そして好ましくは5~10分間の時間に亘って光源に暴露される。
【0158】
工程d)の間に、光架橋性組成物C2から構成された前述の二重の液滴の封入シェルは、架橋され、そして従って粘弾性ポリマーの封入シェルに変換され、それが水溶性物質を、カプセルで包み、そして機械的に誘発されるメカニズムが存在しない状態で放出されることから保護する。
【0159】
1つの他の態様によれば、組成物C2が光開始剤を含まない場合には、工程d)は、光源への暴露のない重合工程であり、この重合工程d)の継続時間は、好ましくは8時間~100時間の範囲であり、および/またはこの工程d)は、20℃~80℃の範囲の温度で実施される。
【0160】
この態様によれば、重合は、例えば熱への暴露によって開始される(熱開始)か、あるいは単にモノマー、ポリマーおよび架橋剤を互いに、または触媒と接触させることによって開始される。重合時間はこの場合、通常は数時間よりも長い。
【0161】
好ましくは、組成物C2の重合の工程d)は8時間~100時間の範囲の時間に亘って、20℃~80℃の範囲の温度で実施される。
【0162】
組成物C3中に分散された固形マイクロカプセルを含む、工程d)の最後に得られた組成物は、使用できる状態にあり、そしてカプセルの後処理のいずれかの付加的な工程をも必要とすることなしに使用することができる。
【0163】
こうして得られたマイクロカプセルの封入シェルの厚さは、典型的には0.2μm~8μmの範囲、好ましくは0.2μm~5μmの範囲である。
【0164】
1つの態様によれば、工程d)の最後に得られた固形マイクロカプセルはいずれの界面活性剤も含まない。
【0165】
本発明の方法は、記載された工程のうちのいずれにおいても、界面活性剤を必要としないという利点をもたらす。本発明の方法はこうして、活性成分の放出後に得られる最終的な製品の特性を変更する可能性がある添加物の存在を低減することを可能にする。
【0166】
本発明はまた、上記方法に基づいて得ることができる一連の(一組の)固形マイクロカプセルであって、それぞれのマイクロカプセルが、
- 上記組成物C1を含むコアと、
- その周囲でコアを完全にカプセルに包む固形封入シェルであって、該固形封入シェルが1nm未満のサイズの細孔を含む、固形封入シェルと、
を含み、
前記マイクロカプセルの平均直径が1μm~30μmの範囲であり、剛性の封入シェルの厚さが0.2μm~8μmの範囲、好ましくは0.2μm~5μmの範囲であり、そしてマイクロカプセル直径の分布の標準偏差が50%未満、特には25%未満、または1μm未満である、
一連の(一組の)固形マイクロカプセルに関する。
【0167】
好ましくは、本発明の方法によって得られる固形マイクロカプセルは、少なくとも1種の活性成分(組成物C1)を含有するコアと、その周囲で前記コアを完全にカプセルで包む固形封入シェル(組成物C2から得られる)とによって形成され、前記固形封入シェルは1nm未満のサイズの細孔を含む。
【0168】
上記のように、本発明の方法は、単分散粒子を得ることを可能にする。また、上述の一連の固形マイクロカプセルは、サイズが単分散である粒子の集団から形成される。従って、マイクロカプセルの直径の分布の標準偏差は50%未満、具体的には25%未満、または1μm未満である。
【0169】
固形マイクロカプセルのサイズの分布は、Hydro SV測定セルを備えたMastersizer 3000(Malvern Instruments)を使用した光散乱技術によって測定することができる。
【0170】
1つの態様によれば、前述の固形マイクロカプセルは、架橋されたポリマー(組成物C2から得られる)から全体的に構成され、且つサイズが1nm未満の細孔を含む固形封入シェルを含む。
【0171】
上記のように、本発明の方法は、固形マイクロカプセルを得るのを可能にする。従って本発明はまた、コアと、その周囲でコアを完全にカプセルで包む固形封入シェルとを含む固形マイクロカプセルであって、コアが上記で規定された組成物C1であり、そして前記固形封入シェルが架橋されたポリマーで構成されており、1nm未満のサイズの細孔を含む、固形マイクロカプセルに関する。
【0172】
前記マイクロカプセルの直径は1μm~30μmの範囲であり、そして剛性の封入シェルの厚さは0.2μm~8μmの範囲である。
【0173】
本発明はまた、上記で規定された一連の固形マイクロカプセルを含む組成物に関する。
【0174】
「...~...である」および「...~...の範囲の」および「...から...まで」という表現は、特に断りのない限り、限界値を含むと理解されなければならない。
【0175】
以下の例は、本発明の範囲を限定することなしに、本発明を説明するために提供される。
【実施例】
【0176】
例1:本発明による固形カプセルの製造
全てのかき混ぜ/攪拌工程を実施するのに、凝集防止型プロペラ攪拌機を備えた機械的攪拌器(Ika Eurostar 20)が用いられる。
【0177】
工程a):第1のエマルジョン(E1)の調製
【表1】
【0178】
本発明による組成物C2は、下記の特徴を有している。
- 成分CN 1963は、分子当たりに2つの反応性アクリレート官能基と、5000g/mol未満の平均分子量とを有している。
- 架橋剤SR 399は、分子当たりに5つの反応性アクリレート官能基と、524.5g/molの分子量とを有している。
- 光開始剤Darocur 1173は、反応性官能基を有しておらず、そしてその分子量は164g/molである。
【0179】
組成物C1が、2000rpmで攪拌しながら液滴状に、組成物C2に、3:7の比で添加される。第1のエマルジョン(E1)が、こうして得られる。
【0180】
工程b:第2のエマルジョン(E2)の調製
【表2】
【0181】
組成物C3が、完全な均質化が得られるまで、1分間当たりの1000回転(rpm)の攪拌下に置かれ、そして次いで周囲温度で1時間に亘って静止れる。次いで第1のエマルジョン(E1)が、1000rpmの攪拌下で、組成物C3に液滴状に添加される。こうして第2のエマルジョン(E2)が得られる。
【0182】
工程c):第2のエマルジョンのサイズ精緻化
前工程で得られた第2の多分散エマルジョン(E2)が、10分間に亘って1000rpmで攪拌される。単分散エマルジョン(E3)がこうして得られる。
【0183】
工程d):カプセルの封入シェルの架橋
前工程において得られた第2の単分散エマルジョン(E3)が、10分間に亘って、波長365nmで0.1W/cm2の最大光度を有するUV光源(Dymax LightBox ECE 2000)を使用することによって照射される。
【0184】
得られたマイクロカプセルは、良好なサイズ分布、すなわち5.5μmの平均サイズを示し、そしてそのサイズ分布は2.5μmの標準偏差を有しており、これは45%である。
【0185】
例1に基づくマイクロカプセルの封入シェルの多孔性が、以下のようにBET(Brunauer-Emmet-Teller)法と称される技術に基づく表面積分析によって検討された。カプセルの試料が、先ず遠心分離および再分散によって脱イオン水中で洗浄され、次いで一晩に亘って50℃で乾燥される。次いで、Micromeritics社によって市販されているSmart VacPrep装置を利用して、活性化工程が実施され、この装置は、試料からいずれかの可能性のある気体吸着を取り除くために、空気真空下で、150℃まで、分当たり5℃の温度勾配を適用する。次いで、Micromeritics社によって市販されているTriStar II Plus分析装置が、-196℃の温度で、試料による窒素の吸着を測定するのに、使用される。
【0186】
BET分析の結果は、試料上に窒素の吸着がないことを示す。従って、例1に基づくマイクロカプセルの細孔サイズは、控えめに1nmと評価することができる装置の感度限界よりも小さい。
【0187】
比較例:多孔質の固形カプセルの製造
全てのかき混ぜ/攪拌工程を実施するために、凝集防止型プロペラ攪拌機を備えた機械的攪拌機(Ika Eurostar 20)が使用される。
【0188】
工程a):第1のエマルジョン(E1)の調製
【表3】
【0189】
組成物C2は、5質量%超の反応性官能基を有しない分子を含むことを鑑みれば、本発明には相当しない。
【0190】
組成物C1が、組成物C2に、3:7の比で、2000rpmで攪拌しながら液滴状に添加される。第1のエマルジョン(E1)がこうして得られる。
【0191】
工程b:第2のエマルジョン(E2)の調製
【表4】
【0192】
完全に均質化されるまで、組成物C3は、分当たり1000回(rpm)の攪拌下に置かれ、そして次いで周囲温度で1時間に亘って静止させて置かれる。次いで第1エマルジョン(E1)が、1000rpmの攪拌下で、組成物C3に液滴状に添加される。こうして第2の多分散エマルジョン(E2)が得られる。
【0193】
工程c):カプセルの封入シェルの架橋
前工程において得られた第2の多分散エマルジョン(E2)が、10分間に亘って、波長365nmで0.1W/cm2の最大光度を有するUV光源(Dymax LightBox ECE 2000)を使用することによって照射される。
【0194】
得られたマイクロカプセルは、直径3μm~40μmの範囲のサイズ分布を示す。
【0195】
この比較例に基づくマイクロカプセルの封入シェルの多孔性が、走査型電子顕微鏡法によって検討された。カプセルの試料が、先ず遠心分離および再分散によって脱イオン水中で洗浄され、そして次いで導電性炭素ディスク上に堆積され、そして10分間に亘って60℃で乾燥された。続いてこれは、Sputter Coater 108 (Cressington)を使用して、10秒間に亘って、アルゴン下でカソードスパッタリングを行うことにより金で被覆され、そして次いでSEM 3030走査電型子顕微鏡(Hitashi)を使用することにより、真空下で画像形成された。
【0196】
得られた画像は多孔質カプセルを示し、その細孔は、明確に見ることができ、500~1000nmの範囲の平均直径を有している。従って、比較例のカプセルは、本発明によるカプセルと比較して、保持・保護特性が低い。