(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-22
(45)【発行日】2022-08-01
(54)【発明の名称】姿勢制御装置
(51)【国際特許分類】
A47C 31/12 20060101AFI20220725BHJP
A47C 27/08 20060101ALI20220725BHJP
G01B 7/16 20060101ALI20220725BHJP
G01D 5/16 20060101ALI20220725BHJP
【FI】
A47C31/12
A47C27/08 A
G01B7/16 R
G01D5/16 S
(21)【出願番号】P 2020019704
(22)【出願日】2020-02-07
(62)【分割の表示】P 2018137188の分割
【原出願日】2018-07-20
【審査請求日】2021-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】浅川 寿昭
(72)【発明者】
【氏名】足立 重之
(72)【発明者】
【氏名】北村 厚
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】実開平2-141258(JP,U)
【文献】特開平5-337021(JP,A)
【文献】特開2007-240475(JP,A)
【文献】特開平1-253624(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0040985(KR,A)
【文献】米国特許第10562412(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 27/08,31/12
G01B 7/16
G01D 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の身体に押圧される受圧面を備えた支持部材と、
前記受圧面の凹凸状態を変化させる複数の姿勢制御部材と、
前記受圧面を介して前記姿勢制御部材が前記身体に押圧されると、前記姿勢制御部材を介して伝達される押圧力の大きさに応じて連続的に変化する抵抗値を出力するセンサ
と、を備え
る姿勢制御装置。
【請求項2】
前記センサは、
絶縁層と、
前記絶縁層の一方の側に長手方向を第1方向に向けて並置された複数の第1抵抗部、及び前記絶縁層の他方の側に長手方向を前記第1方向と交差する第2方向に向けて並置された複数の第2抵抗部、を含む抵抗体と、
各々の前記第1抵抗部及び各々の前記第2抵抗部の両端部に設けられた1対の電極と、を有し、
前記姿勢制御部材は、前記第1抵抗部と前記第2抵抗部とが交差する部分と平面視で重複する位置に配置され、
前記身体から受けた押圧力が前記姿勢制御部材を介して前記センサに伝達され、前記第1抵抗部及び/又は前記第2抵抗部が押圧されると、押圧された前記第1抵抗部及び/又は前記第2抵抗部の前記1対の電極間の抵抗値が押圧力の大きさに応じて連続的に変化する請求項1に記載の姿勢制御装置。
【請求項3】
前記第1抵抗部の抵抗値の変化及び前記第2抵抗部の抵抗値の変化に基づいて、前記第1方向及び前記第2方向の位置検出が可能である請求項2に記載の姿勢制御装置。
【請求項4】
前記センサは、各々の前記姿勢制御部材に対して割り当てられた個別センサの集合体であり、
各々の前記個別センサは、
絶縁層と、
前記絶縁層の一方の側に形成された抵抗体と、
前記抵抗体の両端部に設けられた1対の電極と、を有し、
前記姿勢制御部材は、前記個別センサと平面視で重複する位置に配置され、
前記身体から受けた押圧力が前記姿勢制御部材を介して前記個別センサに伝達され、前記抵抗体が押圧されると、押圧された前記抵抗体の前記1対の電極間の抵抗値が押圧力の大きさに応じて連続的に変化する請求項1に記載の姿勢制御装置。
【請求項5】
前記抵抗体は、前記1対の電極の間に形成されたジグザグのパターンである請求項2乃至4の何れか一項に記載の姿勢制御装置。
【請求項6】
前記抵抗体は、Cr混相膜から形成されている請求項2乃至5の何れか一項に記載の姿勢制御装置。
【請求項7】
前記抵抗体は、アルファクロムを主成分とする請求項6に記載の姿勢制御装置。
【請求項8】
前記抵抗体は、アルファクロムを80重量%以上含む請求項7に記載の姿勢制御装置。
【請求項9】
前記抵抗体は、窒化クロムを含む請求項7又は8に記載の姿勢制御装置。
【請求項10】
前記抵抗体の下層に、金属、合金、又は、金属の化合物から形成された機能層を有する請求項2乃至9の何れか一項に記載の姿勢制御装置。
【請求項11】
前記機能層は、前記抵抗体の結晶成長を促進する機能を有する請求項10に記載の姿勢制御装置。
【請求項12】
前記絶縁層の一方の面側又は他方の面側に実装された電子部品を有する請求項2乃至11の何れか一項に記載の姿勢制御装置。
【請求項13】
前記電子部品は、前記抵抗体の前記1対の電極間の抵抗値を電圧に変換してデジタル信号として出力する請求項12に記載の姿勢制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、姿勢制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のひずみゲージを縦横に配列して所定の情報を取得するセンサが知られており、様々な装置に応用されている。
【0003】
一例として、キャッピングシートの破損注意箇所検出装置が挙げられる。この破損注意箇所検出装置では、キャッピングシート上に複数配されたひずみゲージから、ひずみゲージがある部分におけるキャッピングシートの歪の大きさであるパラメータデータが入力される。そして、破損注意箇所検出装置内の破損注意箇所検出部は、パラメータデータに基づいて、キャッピングシートのどこに破損注意箇所があるかを検出する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、使用者の身体を支持する支持部材(例えば、背もたれ等)を有する椅子等において、使用者の姿勢を制御する装置への応用はなされていなかった。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、使用者の姿勢を制御する姿勢制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本姿勢制御装置は、使用者の身体に押圧される受圧面を備えた支持部材と、前記受圧面の凹凸状態を変化させる複数の姿勢制御部材と、前記受圧面を介して前記姿勢制御部材が前記身体に押圧されると、前記姿勢制御部材を介して伝達される押圧力の大きさに応じて連続的に変化する抵抗値を出力するセンサと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
開示の技術によれば、使用者の姿勢を制御する姿勢制御装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施の形態に係る姿勢制御装置を例示する正面図である。
【
図2】第1の実施の形態に係る姿勢制御装置を例示する断面図である。
【
図3】第1の実施の形態に係る姿勢制御装置のセンサを例示する平面図である。
【
図4】第1の実施の形態に係る姿勢制御装置のセンサを例示する断面図である。
【
図5】第1の実施の形態に係る姿勢制御装置の制御手段を例示するブロック図である。
【
図6】第1の実施の形態に係る姿勢制御装置の受圧面の凹凸状態の変化について説明する図である。
【
図7】第1の実施の形態の変形例1に係る姿勢制御装置のセンサを例示する断面図である。
【
図8】第1の実施の形態の変形例2に係る姿勢制御装置のセンサを例示する平面図である。
【
図9】第1の実施の形態の変形例3に係る姿勢制御装置のセンサを例示する平面図である。
【
図10】第1の実施の形態の変形例3に係る姿勢制御装置のセンサを例示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0011】
〈第1の実施の形態〉
図1は、第1の実施の形態に係る姿勢制御装置を例示する正面図であり、一部の要素は模式的に示されている。
図2は、第1の実施の形態に係る姿勢制御装置を例示する断面図であり、
図1のA-A線に沿う断面を示している。但し、
図2において、駆動手段4と制御手段5の図示は省略されている。
【0012】
図1及び
図2を参照するに、姿勢制御装置6は、センサ1と、シート2と、姿勢制御部材3と、駆動手段4と、制御手段5とを有している。又、シート2は、シートクッション21と、シートバック22と、ヘッドレスト23とを有している。
【0013】
姿勢制御装置6において、センサ1及び姿勢制御部材3は、シート2のシートバック22に内蔵されている。シートバック22は、シート2の使用者の身体に押圧される受圧面22aを備えた支持部材である。シート2は、例えば、車載用のシートであるが、これには限定されない。
【0014】
姿勢制御部材3は、シートバック22の受圧面22aに対しておおよそ垂直方向に可動するか、或いは自身が変形(膨張)することにより、受圧面22aの凹凸状態を変化させる部材である。姿勢制御部材3の裏面側(受圧面22aとは反対側)にはセンサ1が配置されている。センサ1は、受圧面22aを介して姿勢制御部材3がシート2の使用者の身体に押圧されると、姿勢制御部材3を介して伝達される押圧力の大きさに応じて連続的に変化する抵抗値を出力する。
【0015】
駆動手段4は、各々の姿勢制御部材3を独立に駆動する機能を有している。制御手段5は、センサ1の出力に基づいて押圧された姿勢制御部材3を特定すると共に押圧力の大きさを検出し、駆動手段4を制御して押圧された姿勢制御部材3を可動又は変形させて受圧面22aの凹凸状態を変化させる機能を有している。なお、駆動手段4や制御手段5は、シート2に内蔵してもよいし、全部又は一部をシート2の外部に配置してもよい。
【0016】
図3は、第1の実施の形態に係る姿勢制御装置のセンサを例示する平面図である。
図4は、第1の実施の形態に係る姿勢制御装置のセンサを例示する断面図であり、
図3のB-B線に沿う断面を示している。なお、センサ1と姿勢制御部材3との位置関係を示すため、
図3及び
図4では、便宜上、姿勢制御部材3を図示している。
【0017】
図3及び
図4を参照するに、センサ1は、基材10と、抵抗体30(複数の抵抗部31及び32)と、複数の端子部41及び42とを有している。
【0018】
なお、本実施の形態では、便宜上、センサ1において、基材10の抵抗部31が設けられている側を上側又は一方の側、抵抗部32が設けられている側を下側又は他方の側とする。又、各部位の抵抗部31が設けられている側の面を一方の面又は上面、抵抗部32が設けられている側の面を他方の面又は下面とする。但し、センサ1は天地逆の状態で用いることができ、又は任意の角度で配置することができる。又、平面視とは対象物を基材10の上面10aの法線方向から視ることを指し、平面形状とは対象物を基材10の上面10aの法線方向から視た形状を指すものとする。
【0019】
基材10は、抵抗体30等を形成するためのベース層となる絶縁性の部材であり、可撓性を有する。基材10の厚さは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、例えば、5μm~500μm程度とすることができる。特に、基材10の厚さが5μm~200μmであると、抵抗部31及び32のひずみ感度誤差を少なくすることができる点で好ましい。
【0020】
基材10は、例えば、PI(ポリイミド)樹脂、エポキシ樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂、PEN(ポリエチレンナフタレート)樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂、ポリオレフィン樹脂等の絶縁樹脂フィルムから形成することができる。なお、フィルムとは、厚さが500μm以下程度であり、可撓性を有する部材を指す。
【0021】
ここで、『絶縁樹脂フィルムから形成する』とは、基材10が絶縁樹脂フィルム中にフィラーや不純物等を含有することを妨げるものではない。基材10は、例えば、シリカやアルミナ等のフィラーを含有する絶縁樹脂フィルムから形成しても構わない。
【0022】
但し、基材10が可撓性を有する必要がない場合には、基材10に、SiO2、ZrO2(YSZも含む)、Si、Si2N3、Al2O3(サファイヤも含む)、ZnO、ペロブスカイト系セラミックス(CaTiO3、BaTiO3)等の材料を用いても構わない。
【0023】
抵抗体30は、基材10上に形成されており、押圧力に応じて連続的に抵抗値が変化する受感部である。抵抗体30は、基材10の上面10a及び下面10bに直接形成されてもよいし、基材10の上面10a及び下面10bに他の層を介して形成されてもよい。
【0024】
抵抗体30は、基材10を介して積層された複数の抵抗部31及び32を含んでいる。すなわち、抵抗体30は、複数の抵抗部31及び32の総称であり、抵抗部31及び32を特に区別する必要がない場合には抵抗体30と称する。なお、
図3では、便宜上、抵抗部31及び32を梨地模様で示している。
【0025】
複数の抵抗部31は、基材10の上面10aに、長手方向をX方向に向けて所定間隔でY方向に並置された薄膜である。複数の抵抗部32は、基材10の下面10bに、長手方向をY方向に向けて所定間隔でX方向に並置された薄膜である。但し、複数の抵抗部31と複数の抵抗部32とは平面視で直交している必要はなく、交差していればよい。
【0026】
各々の姿勢制御部材3は、抵抗部31と抵抗部32とが交差する部分と平面視で重複する位置に配置されている。従って、使用者の身体から受けた押圧力が姿勢制御部材3を介してセンサ1に伝達され、押圧された姿勢制御部材3と平面視で重複する位置にある抵抗部31及び32が押圧される。これにより、押圧された抵抗部31及び32の1対の電極間の抵抗値が押圧力の大きさに応じて連続的に変化する。その結果、センサ1を押圧している姿勢制御部材3を特定することができる。又、各々の抵抗値に基づいて、姿勢制御部材3がセンサ1を押圧する力の大きさを検出することができる。
【0027】
抵抗体30は、例えば、Cr(クロム)を含む材料、Ni(ニッケル)を含む材料、又はCrとNiの両方を含む材料から形成することができる。すなわち、抵抗体30は、CrとNiの少なくとも一方を含む材料から形成することができる。Crを含む材料としては、例えば、Cr混相膜が挙げられる。Niを含む材料としては、例えば、Cu-Ni(銅ニッケル)が挙げられる。CrとNiの両方を含む材料としては、例えば、Ni-Cr(ニッケルクロム)が挙げられる。
【0028】
ここで、Cr混相膜とは、Cr、CrN、Cr2N等が混相した膜である。Cr混相膜は、酸化クロム等の不可避不純物を含んでもよい。
【0029】
抵抗体30の厚さは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、例えば、0.05μm~2μm程度とすることができる。特に、抵抗体30の厚さが0.1μm以上であると、抵抗体30を構成する結晶の結晶性(例えば、α-Crの結晶性)が向上する点で好ましい。又、抵抗体30の厚さが1μm以下であると、抵抗体30を構成する膜の内部応力に起因する膜のクラックや基材10からの反りを低減できる点で更に好ましい。
【0030】
抵抗体30の幅は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、例えば、細い場合では、0.1μm~1mm程度とすることができる。隣接する抵抗体30のピッチは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、例えば、1cm~10cm程度とすることができる。なお、
図3及び
図4では、抵抗部31を4本、抵抗部32を3本図示しているが、抵抗部31及び32の本数は、必要に応じで更に増やすことができる。
【0031】
例えば、抵抗体30がCr混相膜である場合、安定な結晶相であるα-Cr(アルファクロム)を主成分とすることで、抵抗体30の温度係数の安定化や、押圧力に対する抵抗体30の感度の向上を実現できる。ここで、主成分とは、対象物質が抵抗体を構成する全物質の50質量%以上を占めることを意味するが、抵抗体30の温度係数の安定化や、押圧力に対する抵抗体30の感度の向上を実現する観点から、抵抗体30はα-Crを80重量%以上含むことが好ましい。なお、α-Crは、bcc構造(体心立方格子構造)のCrである。
【0032】
端子部41は、基材10の上面10aにおいて、各々の抵抗部31の両端部から延在しており、平面視において、抵抗部31よりも拡幅して略矩形状に形成されている。端子部41は、押圧力により生じる抵抗部31の抵抗値の変化を外部に出力するための1対の電極であり、例えば、外部接続用のフレキシブル基板やリード線等が接合される。端子部41の上面を、端子部41よりもはんだ付け性が良好な金属で被覆してもよい。なお、抵抗部31と端子部41とは便宜上別符号としているが、両者は同一工程において同一材料により一体に形成することができる。
【0033】
端子部42は、基材10の下面10bにおいて、各々の抵抗部32の両端部から延在しており、平面視において、抵抗部32よりも拡幅して略矩形状に形成されている。端子部42は、押圧力により生じる抵抗部32の抵抗値の変化を外部に出力するための1対の電極であり、例えば、外部接続用のフレキシブル基板やリード線等が接合される。端子部42の上面を、端子部42よりもはんだ付け性が良好な金属で被覆してもよい。なお、抵抗部32と端子部42とは便宜上別符号としているが、両者は同一工程において同一材料により一体に形成することができる。
【0034】
なお、基材10を貫通する貫通配線(スルーホール)を設け、端子部41及び42を基材10の上面10a側又は下面10b側に集約してもよい。
【0035】
抵抗部31を被覆し端子部41を露出するように基材10の上面10aにカバー層(絶縁樹脂層)を設けても構わない。又、抵抗部32を被覆し端子部42を露出するように基材10の下面10bにカバー層(絶縁樹脂層)を設けても構わない。カバー層を設けることで、抵抗部31及び32に機械的な損傷等が生じることを防止できる。又、カバー層を設けることで、抵抗部31及び32を湿気等から保護することができる。なお、カバー層は、端子部41及び42を除く部分の全体を覆うように設けてもよい。
【0036】
カバー層は、例えば、PI樹脂、エポキシ樹脂、PEEK樹脂、PEN樹脂、PET樹脂、PPS樹脂、複合樹脂(例えば、シリコーン樹脂、ポリオレフィン樹脂)等の絶縁樹脂から形成することができる。カバー層は、フィラーや顔料を含有しても構わない。カバー層の厚さは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、例えば、2μm~30μm程度とすることができる。
【0037】
センサ1を製造するためには、まず、基材10を準備し、基材10の上面10aに
図3に示す平面形状の抵抗部31及び端子部41を形成する。抵抗部31及び端子部41の材料や厚さは、前述の通りである。抵抗部31と端子部41とは、同一材料により一体に形成することができる。
【0038】
抵抗部31及び端子部41は、例えば、抵抗部31及び端子部41を形成可能な原料をターゲットとしたマグネトロンスパッタ法により成膜し、フォトリソグラフィによってパターニングすることで形成できる。抵抗部31及び端子部41は、マグネトロンスパッタ法に代えて、反応性スパッタ法や蒸着法、アークイオンプレーティング法、パルスレーザー堆積法等を用いて成膜してもよい。
【0039】
抵抗部31の温度係数の安定化や、押圧力に対する抵抗部31の感度の向上を実現する観点から、抵抗部31及び端子部41を成膜する前に、下地層として膜厚が1nm~100nm程度の機能層を真空成膜することが好ましい。機能層は、例えば、コンベンショナルスパッタ法により成膜できる。なお、機能層は、機能層の上面全体に抵抗部31及び端子部41を形成後、フォトリソグラフィによって抵抗部31及び端子部41と共に
図3に示す平面形状にパターニングされる。
【0040】
本願において、機能層とは、少なくとも上層である抵抗部の結晶成長を促進する機能を有する層を指す。機能層は、更に、基材10に含まれる酸素や水分による抵抗部の酸化を防止する機能や、基材10と抵抗部との密着性を向上する機能を備えていることが好ましい。機能層は、更に、他の機能を備えていてもよい。
【0041】
基材10を構成する絶縁樹脂フィルムは酸素や水分を含むため、特に抵抗部がCrを含む場合、Crは自己酸化膜を形成するため、機能層が抵抗部の酸化を防止する機能を備えることは有効である。
【0042】
機能層の材料は、少なくとも上層である抵抗部の結晶成長を促進する機能を有する材料であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、例えば、Cr(クロム)、Ti(チタン)、V(バナジウム)、Nb(ニオブ)、Ta(タンタル)、Ni(ニッケル)、Y(イットリウム)、Zr(ジルコニウム)、Hf(ハフニウム)、Si(シリコン)、C(炭素)、Zn(亜鉛)、Cu(銅)、Bi(ビスマス)、Fe(鉄)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)、Ru(ルテニウム)、Rh(ロジウム)、Re(レニウム)、Os(オスミウム)、Ir(イリジウム)、Pt(白金)、Pd(パラジウム)、Ag(銀)、Au(金)、Co(コバルト)、Mn(マンガン)、Al(アルミニウム)からなる群から選択される1種又は複数種の金属、この群の何れかの金属の合金、又は、この群の何れかの金属の化合物が挙げられる。
【0043】
上記の合金としては、例えば、FeCr、TiAl、FeNi、NiCr、CrCu等が挙げられる。又、上記の化合物としては、例えば、TiN、TaN、Si3N4、TiO2、Ta2O5、SiO2等が挙げられる。
【0044】
機能層は、例えば、機能層を形成可能な原料をターゲットとし、チャンバ内にAr(アルゴン)ガスを導入したコンベンショナルスパッタ法により真空成膜することができる。コンベンショナルスパッタ法を用いることにより、基材10の上面10aをArでエッチングしながら機能層が成膜されるため、機能層の成膜量を最小限にして密着性改善効果を得ることができる。
【0045】
但し、これは、機能層の成膜方法の一例であり、他の方法により機能層を成膜してもよい。例えば、機能層の成膜の前にAr等を用いたプラズマ処理等により基材10の上面10aを活性化することで密着性改善効果を獲得し、その後マグネトロンスパッタ法により機能層を真空成膜する方法を用いてもよい。
【0046】
機能層の材料と抵抗部31及び端子部41の材料との組み合わせは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できる。例えば、機能層としてTiを用い、抵抗部31及び端子部41としてα-Cr(アルファクロム)を主成分とするCr混相膜を成膜することが可能である。
【0047】
この場合、例えば、Cr混相膜を形成可能な原料をターゲットとし、チャンバ内にArガスを導入したマグネトロンスパッタ法により、抵抗部31及び端子部41を成膜することができる。或いは、純Crをターゲットとし、チャンバ内にArガスと共に適量の窒素ガスを導入し、反応性スパッタ法により、抵抗部31及び端子部41を成膜してもよい。
【0048】
これらの方法では、Tiからなる機能層がきっかけでCr混相膜の成長面が規定され、安定な結晶構造であるα-Crを主成分とするCr混相膜を成膜できる。又、機能層を構成するTiがCr混相膜中に拡散することにより、抵抗部31の温度係数の安定化や、押圧力に対する抵抗部31の感度の向上を実現できる。なお、機能層がTiから形成されている場合、Cr混相膜にTiやTiN(窒化チタン)が含まれる場合がある。
【0049】
なお、抵抗部31がCr混相膜である場合、Tiからなる機能層は、抵抗部31の結晶成長を促進する機能、基材10に含まれる酸素や水分による抵抗部31の酸化を防止する機能、及び基材10と抵抗部31との密着性を向上する機能の全てを備えている。機能層として、Tiに代えてTa、Si、Al、Feを用いた場合も同様である。
【0050】
このように、抵抗部31の下層に機能層を設けることにより、抵抗部31の結晶成長を促進することが可能となり、安定な結晶相からなる抵抗部31を作製できる。その結果、センサ1において、抵抗部31の温度係数の安定化や、押圧力に対する抵抗部31の感度の向上を実現することができる。又、機能層を構成する材料が抵抗部31に拡散することにより、センサ1において、抵抗部31の温度係数の安定化や、押圧力に対する抵抗部31の感度の向上を実現することができる。
【0051】
次に、基材10の下面10bに
図3に示す平面形状の抵抗部32及び端子部42を形成する。抵抗部32及び端子部42は、抵抗部31及び端子部41と同様の方法で形成することができる。抵抗部32及び端子部42を成膜する前に、下地層として、基材10の下面10bに機能層を成膜することが好ましい点も同様である。
【0052】
抵抗部31及び端子部41並びに抵抗部32及び端子部42を形成後、必要に応じ、基材10の上面10aに抵抗部31を被覆し端子部41を露出するカバー層を、基材10の下面10bに抵抗部32を被覆し端子部42を露出するカバー層を設けてもよい。これにより、センサ1が完成する。
【0053】
カバー層は、例えば、基材10の上面10aに抵抗部31を被覆し端子部41を露出するように半硬化状態の熱硬化性の絶縁樹脂フィルムをラミネートし、加熱して硬化させて作製することができる。又、カバー層は、例えば、基材10の下面10bに抵抗部32を被覆し端子部42を露出するように半硬化状態の熱硬化性の絶縁樹脂フィルムをラミネートし、加熱して硬化させて作製することができる。カバー層は、絶縁樹脂フィルムのラミネートに代えて、液状又はペースト状の熱硬化性の絶縁樹脂を塗布し、加熱して硬化させて作製してもよい。
【0054】
図5は、第1の実施の形態に係る姿勢制御装置の制御手段を例示するブロック図である。姿勢制御装置6において、センサ1の各々の端子部41及び42は、例えば、フレキシブル基板やリード線等を用いて、制御手段5に接続されている。
【0055】
制御手段5は、センサ1の端子部41及び42を介して得られた情報に基づいて、姿勢制御装置6のセンサ1が押圧された位置や押圧力の大きさを検出することができる。すなわち、センサ1を押圧している姿勢制御部材3を特定すると共に、姿勢制御部材3がセンサ1を押圧する力の大きさを検出することができる。
【0056】
制御手段5は、例えば、アナログフロントエンド部51と、信号処理部52とを含む構成とすることができる。
【0057】
アナログフロントエンド部51は、例えば、入力信号選択スイッチ、ブリッジ回路、増幅器、アナログ/デジタル変換回路(A/D変換回路)等を備えている。アナログフロントエンド部51は、温度補償回路を備えていてもよい。
【0058】
アナログフロントエンド部51では、例えば、センサ1の全ての端子部41及び42が入力信号選択スイッチに接続され、入力信号選択スイッチにより1対の電極が選択される。入力信号選択スイッチで選択された1対の電極は、ブリッジ回路に接続される。
【0059】
すなわち、ブリッジ回路の1辺が入力信号選択スイッチで選択された1対の電極間の抵抗部で構成され、他の3辺が固定抵抗で構成される。これにより、ブリッジ回路の出力として、入力信号選択スイッチで選択された1対の電極間の抵抗部の抵抗値に対応した電圧(アナログ信号)を得ることができる。なお、入力信号選択スイッチは、信号処理部52から制御可能に構成されている。
【0060】
ブリッジ回路から出力された電圧は、増幅器で増幅された後、A/D変換回路によりデジタル信号に変換され、信号処理部52に送られる。アナログフロントエンド部51が温度補償回路を備えている場合には、温度補償されたデジタル信号が信号処理部52に送られる。入力信号選択スイッチを高速で切り替えることで、センサ1の全ての端子部41及び42の抵抗値に対応するデジタル信号を極短時間で信号処理部52に送ることができる。
【0061】
信号処理部52は、アナログフロントエンド部51から送られた情報に基づいて、センサ1を押圧している姿勢制御部材3を特定すると共に、姿勢制御部材3がセンサ1を押圧する力の大きさを検出することができる。
【0062】
又、複数の抵抗部31の抵抗値や複数の抵抗部32の抵抗値が変化した場合には、センサ1が複数位置で押圧されたことを検出できる。
【0063】
信号処理部52は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、メインメモリ等を含む構成とすることができる。
【0064】
この場合、信号処理部52の各種機能は、ROM等に記録されたプログラムがメインメモリに読み出されてCPUにより実行されることによって実現できる。但し、信号処理部52の一部又は全部は、ハードウェアのみにより実現されてもよい。又、信号処理部52は、物理的に複数の装置等により構成されてもよい。
【0065】
姿勢制御装置6において、駆動手段4は、姿勢制御部材3に合わせて選択することができる。例えば、姿勢制御部材3が空気袋(エアバッグ)である場合、駆動手段4としてバルブを駆動する機能を備えた電動式のエアポンプを用いることができる。
【0066】
この場合、各々の姿勢制御部材3を独立した管路によりバルブを介してエアポンプに接続する。そして、各々の姿勢制御部材3を予め所定の空気圧に調整しておく。姿勢制御部材3が押圧された場合には、制御手段5がセンサ1の出力に基づいて押圧された姿勢制御部材3を特定する。そして、制御手段5が駆動手段4を制御して押圧された姿勢制御部材3に接続された管路のバルブの開閉を制御し、押圧された姿勢制御部材3の空気圧を適切な値に調整して膨張させる。
【0067】
例えば、
図6に示すように、膨張した姿勢制御部材3により、受圧面22aの凹凸状態を変化させることができる。この際、センサ1の出力が大きい場合ほど、姿勢制御部材3の膨張量が大きくなるように制御することができる。
【0068】
制御手段5が検出するセンサ1の出力と姿勢制御部材3の適切な空気圧との関係は、例えば、信号処理部52内の記憶手段にテーブルとして記憶しておくことができる。これにより、制御手段5は、テーブルを参照することで、センサ1の出力に基づいて姿勢制御部材3の空気圧を適切な値に調整することができる。
【0069】
なお、姿勢制御部材3として空気袋、駆動手段4として電動式のエアポンプを用いるのは一例であり、これには限定されない。例えば、姿勢制御部材3をシリコーンゴム等のゴムやポリウレタン等の高分子材料等により形成し、駆動手段4としてリニアモータや電磁ソレノイド等を用いて姿勢制御部材3を可動(往復移動)させる構成とすることができる。
【0070】
このように、姿勢制御装置6では、使用者の姿勢変化をセンサ1で検出し、シートバック22に内蔵された姿勢制御部材3を可動又は変形させることで、受圧面22aを使用者の姿勢にあった凹凸状態に変化させる。例えば、背中の左側の荷重(押圧力)が大きくなったことを検出した場合には、対応する位置にある姿勢制御部材3を可動又は変形させ、背中の左側の部分を押し返すように受圧面22aの凹凸状態を変化させる。これにより、使用者の疲労を低減することができる。
【0071】
姿勢制御装置6において、センサ1で得られた3次元情報は制御手段5に送られる。そして、制御手段5は、センサ1で得られた3次元情報に基づいて、センサ1を押圧している姿勢制御部材3を特定すると共に、姿勢制御部材3がセンサ1を押圧する力の大きさを検出することができる。
【0072】
特に、抵抗部31及び32がCr混相膜から形成されている場合は、抵抗部31及び32がCu-NiやNi-Crから形成されている場合と比べ、力に対する抵抗値の感度(同一の押圧力に対する抵抗部31及び32の抵抗値の変化量)が大幅に向上する。抵抗部31及び32がCr混相膜から形成されている場合、力に対する抵抗値の感度は、抵抗部31及び32がCu-NiやNi-Crから形成されている場合と比べ、おおよそ5~10倍程度となる。そのため、抵抗部31及び32をCr混相膜から形成することで、センサ1を押圧している姿勢制御部材3を高い確実性で特定すると共に、姿勢制御部材3がセンサ1を押圧する力の大きさを高感度で検出することができる。
【0073】
又、力に対する抵抗値の感度が高いことで、力が小であることを検出した場合と、力が中であることを検出した場合と、力が大であることを検出した場合で、姿勢制御部材3の可動量や変形量を変えるような制御の実現が可能となる。或いは、力が一定以下である場合には、姿勢制御部材3の可動や変形を行わないような制御の実現が可能となる。
【0074】
又、力に対する抵抗値の感度が高いと、S/Nの高い信号を得ることができる。そのため、アナログフロントエンド部51のA/D変換回路において平均化を行う回数を低減しても精度よく信号検出ができる。A/D変換回路において平均化を行う回数を低減することで、1回のA/D変換に必要な時間を短縮できるため、入力信号選択スイッチを更に高速で切り替えることが可能となる。その結果、姿勢制御装置6に入力される速い動きも検出することができる。
【0075】
なお、以上の説明は、センサ1及び姿勢制御部材3をシート2のシートバック22に内蔵する例を示したが、センサ1及び姿勢制御部材3はシート2のシートクッション21、シートバック22、及びヘッドレスト23の何れか1つ以上に内蔵することができる。又、センサ1及び姿勢制御部材3をシート2に内蔵せず、例えば、シート2とは別体のシートカバーに内蔵し、シート2に配置してもよい。又、姿勢制御装置は、使用者の身体に押圧される受圧面を備えた支持部材を有するものであれば、シート以外(例えば、ベッド等)にも適用することができる。
【0076】
〈第1の実施の形態の変形例1〉
第1の実施の形態の変形例1では、センサが、基材の一方の面側又は他方の面側に実装された電子部品を有する例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例1において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0077】
図7は、第1の実施の形態の変形例1に係るセンサを例示する断面図であり、
図4に対応する断面を示している。
図7を参照するに、センサ1Aは、基材10の下面10bに電子部品200が実装された点が、センサ1(
図3及び
図4参照)と相違する。
【0078】
電子部品200は、例えば、
図5に示すアナログフロントエンド部51をIC化して外部通信機能(例えば、I
2C等のシリアル通信機能)を持たせたものである。すなわち、電子部品200は、例えば、入力信号選択スイッチ、ブリッジ回路、増幅器、A/D変換回路、外部通信機能等を備えたICであり、抵抗部31及び32の1対の電極間の抵抗値を電圧に変換してデジタル信号として出力することができる。電子部品200は、温度補償回路を備えていてもよい。電子部品200は、外部通信機能により制御手段5の信号処理部52と情報の送受信を行うことができる。
【0079】
電子部品200は、例えば、基材10の下面10bに形成されたパッドにフリップチップ実装することができる。或いは、電子部品200は、基材10の下面10bにダイアタッチフィルム等の接着層を介して搭載され、基材10の下面10bに形成されたパッドにワイヤボンディングされてもよい。又、電子部品200と共に、コンデンサ等の受動部品が搭載されてもよい。
【0080】
電子部品200は、図示しない配線パターンや貫通配線(スルーホール)を介して、全ての端子部41及び42と接続されている。又、電子部品200は、センサ1Aの外部から電源供給可能に構成されている。
【0081】
抵抗部31及び端子部41を被覆するように基材10の上面10aにカバー層(絶縁樹脂層)を設けても構わない。又、抵抗部32、端子部42、及び電子部品200を被覆するように基材10の下面10bにカバー層(絶縁樹脂層)を設けても構わない。カバー層を設けることで、抵抗部31及び32、端子部41及び42、並びに電子部品200に機械的な損傷等が生じることを防止できる。又、カバー層を設けることで、抵抗部31及び32、端子部41及び42、並びに電子部品200を湿気等から保護することができる。
【0082】
このように、センサ1Aでは、基材10に電子部品200が実装されているため、配線パターンや貫通配線(スルーホール)を介して、端子部41及び42と電子部品200とを短距離で接続可能である。そのため、小型のセンサ1Aを実現できる。この構造は、特に、抵抗体と電子部品とをリード線を用いてはんだ等で接続することが困難な小型のセンサに有効である。
【0083】
又、端子部41及び42から電子部品200までの距離を短くすることにより、ノイズ耐性を向上することができる。
【0084】
なお、
図7では、基材10の下面10bに電子部品200を実装する例を示したが、基材10の上面10aに電子部品200を実装してもよい。又、電子部品200は、アナログフロントエンド部51の機能を有するICには限定されず、例えば、アナログフロントエンド部51及び信号処理部52の機能を有するICとしてもよい。
【0085】
すなわち、制御手段5の一部又は全部がセンサ1Aと一体化されてもよい。ここで、センサ1Aと一体化するとは、制御手段5に使用される基材や電子部品の一部又は全部と、センサ1Aに使用される基材や電子部品の一部又は全部とが兼用されることを含む。
【0086】
〈第1の実施の形態の変形例2〉
第1の実施の形態の変形例2では、センサの抵抗部をジグザグパターンにする例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例2において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0087】
図8は、第1の実施の形態の変形例2に係るセンサを例示する平面図であり、
図3に対応する平面を示している。なお、センサ1Bと姿勢制御部材3との位置関係を示すため、
図8では、便宜上、姿勢制御部材3を図示している。
図8を参照するに、センサ1Bは、抵抗体30が抵抗体30Bに置換された点が、センサ1(
図3及び
図4参照)と相違する。
【0088】
抵抗体30Bは、抵抗部31B及び32Bを含んでいる。抵抗部31Bは、1対の端子部41の間に形成されたジグザグのパターンである。又、抵抗部32Bは、1対の端子部42の間に形成されたジグザグのパターンである。抵抗部31B及び32Bの材料や厚さは、例えば、抵抗部31及び32の材料や厚さと同様とすることができる。
【0089】
このように、抵抗部31B及び32Bをジグザグパターンにすることで、直線状のパターンにした場合と比べて、1対の端子部41間の抵抗値及び1対の端子部42間の抵抗値を高くできる。その結果、押圧された際の1対の端子部41間の抵抗値の変化量及び1対の端子部42間の抵抗値の変化量が大きくなる。そのため、センサ1Bを押圧している姿勢制御部材3を更に高い確実性で特定すると共に、姿勢制御部材3がセンサ1Bを押圧する力の大きさを更に高感度で検出することができる。
【0090】
又、1対の端子部41間の抵抗値及び1対の端子部42間の抵抗値を高くできるため、センサ1Bを低消費電力化することが可能である。
【0091】
〈第1の実施の形態の変形例3〉
第1の実施の形態の変形例3では、第1の実施の形態とは構造の異なるセンサを用いる例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例3において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある
図9は、第1の実施の形態の変形例3に係る姿勢制御装置のセンサを例示する平面図である。
図10は、第1の実施の形態の変形例3に係る姿勢制御装置のセンサを例示する断面図であり、
図9のC-C線に沿う断面を示している。なお、センサ1Cと姿勢制御部材3との位置関係を示すため、
図9及び
図10では、便宜上、姿勢制御部材3を図示している。
【0092】
図9及び
図10を参照するに、センサ1Cは、各々の姿勢制御部材3に対して割り当てられた個別センサ50の集合体である。従って、センサ1Cは、姿勢制御部材3の個数分の個別センサ50を有している。
【0093】
個別センサ50は、各々の個別センサ50に共通の基材10と、各々の個別センサ50毎に設けられた抵抗体30C及び端子部41とを有している。抵抗体30Cは、1対の端子部41の間に形成されたジグザグのパターンである。抵抗体30C及び端子部41は、基材10の上面10aに直接形成されてもよいし、基材10の上面10aに他の層を介して形成されてもよい。なお、
図9では、便宜上、抵抗体30Cを梨地模様で示している。抵抗体30Cの材料や厚さは、例えば、抵抗部31及び32の材料や厚さと同様とすることができる。
【0094】
姿勢制御部材3は、個別センサ50と平面視で重複する位置に配置されている。従って、使用者の身体から受けた押圧力が姿勢制御部材3を介して個別センサ50に伝達され、押圧された姿勢制御部材3と平面視で重複する位置にある抵抗体30Cが押圧される。これにより、押圧された抵抗体30Cの1対の端子部41間の抵抗値が押圧力の大きさに応じて連続的に変化する。その結果、個別センサ50を押圧している姿勢制御部材3を特定することができる。又、抵抗体30Cの抵抗値に基づいて、姿勢制御部材3が個別センサ50を押圧する力の大きさを検出することができる。このように、姿勢制御部材3毎に個別センサ50を配置しても構わない。
【0095】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0096】
例えば、センサ1では、絶縁層である基材10の上面10aに抵抗部31を設け、下面10bに抵抗部32を設ける例を示したが、絶縁層の一方の側に抵抗部32を設け、他方の側に抵抗部32を設ける構造であれば、これには限定されない。例えば、基材10の上面10aに抵抗部31を設け、基材10の上面10aに抵抗部31を被覆する絶縁層を設け、絶縁層上に抵抗部32を設けてもよい。又、抵抗部31を設けた第1基材と、抵抗部32を設けた第2基材を作製し、抵抗部31と抵抗部32を内側に向けて、絶縁層を挟んで抵抗部31を設けた第1基材と抵抗部32を設けた第2基材を貼り合わせてもよい。又、抵抗部31を設けた第1基材と、抵抗部32を設けた第2基材を作製し、抵抗部31を設けた第1基材と抵抗部32を設けた第2基材を同一方向に積層してもよい。センサ1A及び1Bについても同様である。
【0097】
又、姿勢制御装置6において、細長状の姿勢制御部材3を、抵抗部31と抵抗部32のうち受圧面22aに近い抵抗部に沿って設けてもよい。この場合、受圧面22aに近い抵抗部ごとに1つの細長状の姿勢制御部材3を設けることで、受圧面22aに近い抵抗部のみが押圧された場合でも、押圧された姿勢制御部材3を特定できる。
【符号の説明】
【0098】
1、1A、1B、1C センサ、2 シート、3 姿勢制御部材、4 駆動手段、5 制御手段、6 姿勢制御装置、10 基材、10a 基材の上面、10b 基材の下面、21 シートクッション、22 シートバック、22a 受圧面、23 ヘッドレスト、30、30B、30C 抵抗体、31、31B、32、32B 抵抗部、41、42 端子部、50 個別センサ、51 アナログフロントエンド部、52 信号処理部