(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-22
(45)【発行日】2022-08-01
(54)【発明の名称】電子装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
H04N 21/436 20110101AFI20220725BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20220725BHJP
G09G 5/391 20060101ALI20220725BHJP
【FI】
H04N21/436
G09G5/00 520V
G09G5/00 555D
(21)【出願番号】P 2020068136
(22)【出願日】2020-04-06
【審査請求日】2020-04-06
(31)【優先権主張番号】10-2019-0058244
(32)【優先日】2019-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】呉 昇保
【審査官】鈴木 隆夫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0195722(US,A1)
【文献】特表2018-514847(JP,A)
【文献】特表2017-517047(JP,A)
【文献】特開2015-115670(JP,A)
【文献】村尾麻悠子,「HDMI 2.1」 8K対応や動的HDRなど新機能を振り返る,EE Times Japan,[online],2018年07月24日,https://eetimes.jp/ee/articles/1807/24/news056.html,[令和3年4月13日検索]
【文献】西川善司,8Kだけじゃない! ブラックアウト回避やeARC、あなたの知らないHDMI 2.1の世界,AV Watch,[online],2018年01月13日,https://av.watch.impress.co.jp/docs/series/dg/1100970.html,[令和3年4月13日検索]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/436
G09G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子装置であって、
ディスプレイ装置に接続されている外部装置と接続されるように設けられた信号出力回路と、
前記ディスプレイ装置によって支援される第1映像フォーマットに関する情報を前記外部装置から取得し、
前記第1映像フォーマットのコンテンツ信号を伝送可能にするインターフェース規格を前記外部装置が支援すると識別されることに基づいて、前記ディスプレイ装置に提供されるように前記第1映像フォーマットのコンテンツ信号を前記外部装置に前記信号出力回路を通じて出力し、
前記外部装置が前記インターフェース規格を支援しないと識別されることに基づいて、前記第1映像フォーマットと異なる第2映像フォーマットのコンテンツ信号を前記外部装置に前記信号出力回路を通じて出力する、
プロセッサとを備え、
前記プロセッサは、
前記信号出力回路及び前記外部装置間の所定信号ラインがコンテンツ信号のデータの伝送に用いられることに基づいて、前記インターフェース規格を前記外部装置が支援すると識別し、
前記信号ラインがクロック信号の伝送に用いられることに基づいて、前記インターフェース規格を前記外部装置が支援しないと識別する、
電子装置。
【請求項2】
前記信号出力回路が前記外部装置にHDMI 2.1及びそれ以降のバージョンに基づいて接続されるとき、前記インターフェース規格を支援し、HDMI 2.1よりも古いバージョンに基づいて接続されるとき、前記インターフェース規格を支援しない、請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記外部装置の既に設定されたレジスターに保存された値を確認して前記インターフェース規格の支援有無を判断する、請求項1に記載の電子装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、実時間で圧縮されて伝達される映像データを圧縮解除して処理するモードを前記外部装置が支援すると識別されることに基づいて、前記第1映像フォーマットのコンテンツ信号を出力する、請求項1に記載の電子装置。
【請求項5】
電子装置であって、
ディスプレイ装置に接続されている外部装置と接続されるように設けられた信号出力回路と、
前記ディスプレイ装置によって支援される第1映像フォーマットに関する情報を前記外部装置から取得し、
前記第1映像フォーマットのコンテンツ信号を伝送可能にするインターフェース規格を前記外部装置が支援すると識別されることに基づいて、前記ディスプレイ装置に提供されるように前記第1映像フォーマットのコンテンツ信号を前記外部装置に前記信号出力回路を通じて出力し、
前記外部装置が前記インターフェース規格を支援しないと識別されることに基づいて、前記第1映像フォーマットと異なる第2映像フォーマットのコンテンツ信号を前記外部装置に前記信号出力回路を通じて出力する、
プロセッサとを備え、
前記外部装置から取得した前記情報は、複数のブロックに区分され、
前記プロセッサは、前記複数のブロックのうち、null値以外のブロックの個数が閾値以上であると識別されることに基づいて、前記第1映像フォーマットのコンテンツ信号を出力する、
電子装置。
【請求項6】
前記情報はEDIDを含み、
前記プロセッサは、前記EDIDでnull値以外のブロックの個数が3個以上であると識別されることに基づいて、前記第1映像フォーマットのコンテンツ信号を出力する、請求項5に記載の電子装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記信号出力回路を通じて前記外部装置と電力伝送を行うモードを前記外部装置が支援すると識別されることに基づいて、前記第1映像フォーマットのコンテンツ信号を出力する、請求項1に記載の電子装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記電子装置から受信される前記コンテンツ信号からオーディオ信号を抽出して前記電子装置に再び伝送するモードを前記外部装置が支援すると識別されることに基づいて、前記第1映像フォーマットのコンテンツ信号を出力する、請求項1に記載の電子装置。
【請求項9】
前記第1映像フォーマットは8K級の解像度に対応し、前記第2映像フォーマットは前記8K級の解像度よりも低い解像度に対応する、請求項1に記載の電子装置。
【請求項10】
前記信号出力回路はHDMI規格に基づいて前記コンテンツ信号を出力するように設けられている、請求項1に記載の電子装置。
【請求項11】
電子装置の制御方法であって、
ディスプレイ装置に接続されている外部装置から、前記ディスプレイ装置によって支援される第1映像フォーマットに関する情報を取得する段階と、
前記第1映像フォーマットのコンテンツ信号を伝送可能にするインターフェース規格を前記外部装置が支援すると識別されることに基づいて、前記ディスプレイ装置に提供されるように
、前記第1映像フォーマットのコンテンツ信号を
、前記外部装置と接続されるように設けられた信号出力回路を通じて前記外部装置に出力する段階と、
前記外部装置が前記インターフェース規格を支援しないと識別されることに基づいて、前記第1映像フォーマットと異なる第2映像フォーマットのコンテンツ信号を
、前記信号出力回路を通じて前記外部装置に出力する段階と、
前記信号出力回路及び前記外部装置間の所定信号ラインがコンテンツ信号のデータの伝送に用いられることに基づいて、前記インターフェース規格を前記外部装置が支援すると識別する段階と、
前記信号ラインがクロック信号の伝送に用いられることに基づいて、前記インターフェース規格を前記外部装置が支援しないと識別する段階と
を有する、
電子装置の制御方法。
【請求項12】
前記電子装置が前記外部装置にHDMI 2.1及びそれ以降のバージョンに基づいて接続されるとき、前記インターフェース規格を支援し、HDMI 2.1よりも古いバージョンに基づいて接続されるとき、前記インターフェース規格を支援しない、請求項11に記載の電子装置の制御方法。
【請求項13】
前記外部装置の既に設定されたレジスターに保存された値を確認して前記インターフェース規格の支援有無を判断する、請求項11に記載の電子装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中間装置を経てディスプレイ装置に映像コンテンツ信号を提供する電子装置及びその制御方法に関し、詳細には、8K以上の超高解像度の映像コンテンツに対して、中間装置及びディスプレイ装置がそれぞれ支援する映像コンテンツの伝送規格を考慮して、中間装置に出力する映像コンテンツの画質を判断する電子装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の情報を特定プロセスに従って演算及び処理するために、演算のためのCPU、チップセット、メモリーなどの電子部品を基本的に備える電子装置は、処理対象となる情報又は使用用途によって様々な種類に区別できる。例えば、電子装置には、汎用の情報を処理するPCやサーバーなどの情報処理装置、映像データを処理する映像処理装置、オーディオを処理するオーディオ装置、家庭内の家事を行う生活家電などがある。映像処理装置としては、処理された映像データを自分のディスプレイパネル(display panel)上に映像として表示するディスプレイ装置となすことができ、その例示には、TV、モニター、携帯用マルチメディア再生機、タブレット(tablet)PC、モバイルフォン(mobile phone)などがある。
【0003】
また、電子装置には、TVのような他の映像処理装置に映像データを提供する装置もあり、その例示には、UHD(Ultra High Definition)プレーヤーなどがある。例えば、UHDプレーヤーで再生される映像コンテンツは、既に設定されたインターフェース規格に従ってTVに提供され、TVで当該映像コンテンツの映像が表示される。
【0004】
映像コンテンツを提供する電子装置は、ディスプレイ装置にダイレクトに接続されることによって別の装置を経由しないで映像コンテンツを提供することができる。ただし、様々な環境的要因や使用の便宜性などから、映像コンテンツが一次に映像コンテンツ提供装置から所定の中間装置又は中継装置に伝送され、二次に中間装置からディスプレイ装置に伝送される構造が可能である。中間装置は、単に映像コンテンツを伝達することに止まらず、映像コンテンツに対して様々な処理動作を行ってディスプレイ装置に伝達することもできる。このような処理動作の例には、映像コンテンツの保安のための認証、スクランブリング、デスクランブリングなどがある。
【0005】
ディスプレイ装置で最高品質の映像が表示されるには、ディスプレイ装置が支援可能な最高画質の映像コンテンツが電子装置から出力されることが好ましい。しかし、映像コンテンツに対する中間装置の処理性能及びディスプレイ装置の処理性能との間にミスマッチング(mismatching)があると、映像コンテンツが中間装置からディスプレイ装置に正常に伝達されないか、或いは全く伝達されない状況が発生し得る。
【0006】
例えば、UHDプレーヤーなどのようなソース装置及びTVは8K級の映像処理を支援し、中間装置は4K級の映像処理を支援することがある。中間装置はTVから伝達されたEDIDをそのままソース装置に伝達し、ソース装置は、伝達されたTVのEDIDに基づいて8K級の画質の映像信号を中間装置に出力する。この場合に、中間装置は4K級まで支援できるので、ソース装置から受信する8K級の画質の映像信号を正常に処理できなくなる。そのため、中間装置の段階で映像信号が遮断され、結果的にTVで画面が出ない不具合が発生する。
【0007】
従って、上記のミスマッチングを克服し、ディスプレイ装置で映像コンテンツが正常に表示されるように保障することが重要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施例に係る電子装置は、ディスプレイ装置に接続されている外部装置と接続されるように設けられた信号出力回路と、前記ディスプレイ装置によって支援される第1映像フォーマットに関する情報を前記外部装置から取得し、前記第1映像フォーマットのコンテンツ信号を伝送可能にするインターフェース規格を前記外部装置が支援すると識別されることに基づいて、前記ディスプレイ装置に提供されるように前記第1映像フォーマットのコンテンツ信号を前記外部装置に前記信号出力回路を通じて出力し、前記外部装置が前記インターフェース規格を支援しないと識別されることに基づいて、前記第1映像フォーマットと異なる第2映像フォーマットのコンテンツ信号を前記外部装置に前記信号出力回路を通じて出力するプロセッサを備える。
【0009】
また、前記プロセッサは、前記信号出力回路及び前記外部装置間の所定信号ラインがコンテンツ信号のデータではなくクロック信号の伝送に用いられることに基づいて、前記インターフェース規格を前記外部装置が支援しないと識別し、前記信号ラインが前記データの伝送に用いられることに基づいて、前記インターフェース規格を前記外部装置が支援すると識別することができる。
【0010】
また、前記信号出力回路が前記外部装置にHDMI(登録商標) 2.1及びそれ以降のバージョンに基づいて接続されるとき、前記インターフェース規格を支援し、HDMI 2.1以前のバージョンに基づいて接続されるとき、前記インターフェース規格を支援しなくてもよい。
【0011】
また、前記外部装置の既に設定されたレジスターに保存された値を確認して前記インターフェース規格の支援有無を判断することができる。
【0012】
また、前記プロセッサは、実時間で圧縮されて伝達される映像データを圧縮解除して処理するモードを前記外部装置が支援すると識別されることに基づいて、前記第1映像フォーマットのコンテンツ信号を出力することができる。
【0013】
また、前記外部装置から取得した前記情報は複数のブロックに区分され、前記プロセッサは、前記複数のブロックのうち、null値以外のブロックの個数が閾値以上と識別されることに基づいて、前記第1映像フォーマットのコンテンツ信号を出力することができる。
【0014】
また、前記情報はEDIDを含み、前記プロセッサは、前記EDIDでnull値以外のブロックの個数が3個以上であると識別されることに基づいて、前記第1映像フォーマットのコンテンツ信号を出力することができる。
【0015】
また、前記プロセッサは、前記信号出力回路を通じて前記外部装置と電力伝送を行うモードを前記外部装置が支援すると識別されることに基づいて、前記第1映像フォーマットのコンテンツ信号を出力することができる。
【0016】
また、前記プロセッサは、前記電子装置から受信される前記コンテンツ信号からオーディオ信号を抽出して前記電子装置に再び伝送するモードを前記外部装置が支援すると識別されることに基づいて、前記第1映像フォーマットのコンテンツ信号を出力することができる。
【0017】
また、前記第1映像フォーマットは8K級の解像度に対応し、前記第2映像フォーマットは前記8K級の解像度よりも低い解像度に対応し得る。
【0018】
また、前記信号出力回路はHDMI規格に基づいて前記コンテンツ信号を出力するように設けられ得る。
【0019】
また、本発明の実施例に係る電子装置の制御方法は、ディスプレイ装置に接続されている外部装置から、前記ディスプレイ装置によって支援される第1映像フォーマットに関する情報を取得する段階と、前記第1映像フォーマットのコンテンツ信号を伝送可能にするインターフェース規格を前記外部装置が支援すると識別されることに基づいて、前記ディスプレイ装置に提供されるように前記第1映像フォーマットのコンテンツ信号を前記外部装置に出力する段階と、前記外部装置が前記インターフェース規格を支援しないと識別されることに基づいて、前記第1映像フォーマットと異なる第2映像フォーマットのコンテンツ信号を前記外部装置に出力する段階とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】直列に連結された複数の装置を備えるシステムの例示図である。
【
図3】電子装置が出力する映像コンテンツの画質を判断する方法を示すフローチャートである。
【
図4】Tx及びRx間の信号伝送に適用されるHDMI 2.1規格の構成ブロック図である。
【
図5】ソースデバイスが中間装置から取得したEDIDを信頼できると判断した場合にコンテンツ信号を出力する過程を示す構成ブロック図である。
【
図6】ソースデバイスが中間装置から取得したEDIDを信頼できないと判断した場合にコンテンツ信号を出力する過程を示す構成ブロック図である。
【
図7】ソースデバイスがFRL機能に基づいてEDIDの信頼性を判断する方法を示すフローチャートである。
【
図8】HDMI 2.1に規定されたSCDCアップデートフラグのフィールドを示す例示図である。
【
図9】ソースデバイスがDSC圧縮機能に基づいてEDIDの信頼性を判断する方法を示すフローチャートである。
【
図10】HDMI 2.1に規定されたSCDCソーステスト環境及び状態フラグのフィールドを示す例示図である。
【
図11】ソースデバイスが中間装置から取得したEDIDにおける有効なブロックの個数に基づいてEDIDの信頼性を判断する方法を示すフローチャートである。
【
図12】EDIDのブロック構造を示す例示図である。
【
図13】ソースデバイスが中間装置の電力伝送機能支援の有無に基づいてEDIDの信頼性を判断する方法を示すフローチャートである。
【
図14】ソースデバイスが中間装置のeARC機能支援の有無に基づいてEDIDの信頼性を判断する方法を示すフローチャートである。
【
図15】Tx及びRx間のHDMI通信においてeARC機能を示す例示図である。
【
図16】ソースデバイスがFRL及びDSCの2機能の支援の有無に基づいてEDIDの信頼性を判断してコンテンツ信号を出力する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では添付の図面を参照して本発明に係る実施例について詳しく説明する。各図を参照して説明する実施例は、特に言及しない限り、相互排他的な構成ではなく、一つの装置内で複数個の実施例を選択的に組み合わせて具現することができる。このような複数の実施例の組み合わせは、本発明の技術分野における熟練した技術者が本発明の思想を具現するに当たって任意に選択して適用することができる。
【0022】
もし、実施例において第1構成要素、第2構成要素などのように序数を含む用語があれば、それらの用語は様々な構成要素を説明するためのもので、一つの構成要素を他の構成要素と区別するために使用される所、これらの用語によって構成要素の意味が限定されない。実施例で使用する用語は、当該実施例を説明するために適用されるもので、本発明の思想を限定しない。
【0023】
また、本明細書において、複数の構成要素のうち“少なくとも一つ(at least one)”という表現は、複数の構成要素全体だけでなく、複数の構成要素のうち、残りを除く個々或いはそれらの組み合わせの全てを指す。
【0024】
図1は、直列に連結された複数の装置を備えるシステムの例示図である。
【0025】
図1に示すように、システムは、複数の電子装置110,120,130を備える。各電子装置110,120,130は、システム内で行う機能によって、映像コンテンツを含む映像信号を出力する第1装置110、第1装置110から出力される映像信号を処理して映像を表示する第2装置120、及び第1装置110と第2装置120とを中継し、第1装置110から出力される映像信号を第2装置120に伝達する第3装置130を備える。
【0026】
第1装置110及び第2装置120はケーブルで第3装置130にそれぞれ連結されているところ、映像信号はケーブルで第1装置110から第3装置130に、そして第3装置130から第2装置120に伝送される。第1装置110が提供する映像信号が第2装置120によって処理され得るように、第1装置110、第2装置120及び第3装置130は相互間に信号伝送のためのインターフェース規格を支援する。
【0027】
第1装置110は、自分に保存されている映像コンテンツを再生したり、或いは外部の映像ソース140から映像コンテンツを提供される。第1装置110は、例えば、DVDやブルーレイのような光学メディア再生装置、UHDプレーヤー、セットトップボックス、TV、コンピュータ本体、モバイル装置、ホームシアター(home theater)、ゲーム機装置、コンテンツサーバーなどの様々な形態であり得る。
【0028】
第2装置120は、TVだけでなく、モニター、携帯用マルチメディア再生機、モバイルフォン、タブレット、電子額縁、電子黒板、電子広告看板などの様々な形態であり得る。本実施例では、第2装置120が第1装置110から映像コンテンツを受信して映像を表示するTVなどのディスプレイ装置である場合を示している。ただし、設計方式によっては、第2装置120は独自で映像を表示しない映像処理装置であってもよい。
【0029】
第2装置120は、第1装置110から映像コンテンツを提供されるだけでなく、別の映像ソース140から映像コンテンツを提供されてもよい。また、第2装置120は、第3装置130の中継無しで第1装置110にダイレクトに接続されることにより、第1装置110からダイレクトに映像信号を受信してもよい。また、映像信号が必ずしもケーブルで伝送可能なものではなく、実際にはケーブルの他にも様々な方式で伝送されてもよい。ただし、本実施例では、第2装置120が第3装置130の中継によって第1装置110から映像コンテンツを受信する場合を中心に説明する。
【0030】
第3装置130は、第1装置110から受信する映像コンテンツの信号を第2装置120に伝送する中間装置、中継装置、AVレシーバー(receiver)、リピータ(repeater)、ホームシアター、コンバーター(converter)、リレー装置などにする。この過程で第3装置130は、信号を所定のプロセスに従って処理することができる。すなわち、第1装置110、第3装置130及び第2装置120が直列に連結される。例えば、第1装置110から出力されるコンテンツ信号は第3装置130を経て第2装置120に伝達される。一方、第2装置120に保存されている第2装置120の機能、性能又は能力を示す情報は、第2装置120から第3装置130を経て第1装置110に伝達される。このような情報の例示にはEDID(Extended Display Identification Data)がある。EDIDは、電子装置の装置特性、機器情報を示し、例えば、当該電子装置が支援可能な映像の画質、映像フォーマット、伝送インターフェース規格などを含む。EDIDは電子装置に基本的に内蔵されている。
【0031】
以下、第1装置110の構成について
図2を参照して説明する。便宜上、第1装置110は映像コンテンツを提供することからソースデバイス(source device)と、第2装置120は映像コンテンツを提供されることからシンクデバイス(sink device)と、それぞれ呼ぶ。
【0032】
【0033】
図2に示すように、ソースデバイス210は、通信部211、信号出力部212、ユーザ入力部213、保存部214、プロセッサ215を備える。中間装置220は、信号入出力部221、スピーカー222、保存部223、プロセッサ224を備える。シンクデバイス230は、通信部231、信号入力部232、ディスプレイ部233、スピーカー234、ユーザ入力部235、保存部236、プロセッサ237を備える。
【0034】
本実施例では中間装置220がスピーカー222及び保存部223を備える場合について説明するが、設計方式によっては、スピーカー222及び保存部223を備えない中間装置220であってもよい。
【0035】
以下、ソースデバイス210の各構成について説明する。中間装置220及びシンクデバイス230の各構成については、以下に説明するソースデバイス210の構成を参照して通常の電子装置の観点で応用すればいいので、詳細な説明を省略する。
【0036】
通信部211は、様々な種類の有線及び無線通信プロトコルに対応する通信モジュール、通信チップなどの構成要素のうち少なくとも一つを有する両方向通信回路である。通信部211は、例えば、アクセスポイントを介したワイファイ(Wi-Fi)通信を行うワイファイ通信チップ、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)通信を行うBLE通信チップ、ルータ又はゲートウェイに接続されるLANカード(LAN card)などのように、一つ以上の通信プロトコルベースの通信を行う構成要素を有する。
【0037】
信号出力部212は、プロセッサによって処理されたコンテンツ信号を中間装置220に伝送する。この時、信号出力部212は、プロセッサ215とは別に、シリアライジング(serializing)のような信号伝送のための更なる処理を行うことができ、設計方式によっては、プロセッサ215に代えて特定規格に基づく処理を行うこともできる。プロセッサ215は、コンテンツ信号を中間装置220に伝送する役割だけでなく、逆に中間装置220からの制御信号などを受信してプロセッサ215に伝達することもできる。または、信号出力部212は、中間装置220以外の様々な外部装置(図示せず)と信号を交換する通信インターフェースの役割も担うこともできる。本実施例において信号出力部212は、HDMI(High Definition Multimedia Interface)規格に基づいて信号を送受信するように設けられる。しかし、HDMIは、信号出力部212の様々な具現例示の一つに過ぎず、設計方式によって信号出力部212は、ディスプレイポート(DisplayPort;DP)、サンダーボルト(Thunderbolt)、MHL(Mobile High-Definition Link)、USB(Universal Serial Bus)などの様々な規格が反映されてもよい。
【0038】
ユーザ入力部213は、ユーザ入力のためにユーザ操作可能に設けられた種々の入力インターフェース関連回路を備える。ユーザ入力部213は、ソースデバイス210の種類に応じて様々な形態の構成が可能であり、例えば、ソースデバイス210の機械的又は電子的ボタン部、ソースデバイス210の本体から分離されたリモートコントローラ、タッチパッド、タッチスクリーンなどがある。
【0039】
保存部214は、プロセッサ215によってアクセスされ、プロセッサ215の制御によってデータの読取り、記録、修正、削除、更新などの動作が行われる。保存部214は、電源提供の有無に関係なくデータを保存することが可能なフラッシュメモリー(flash-memory)、HDD(Hard-Disc Drive)、SSD(Solid-State Drive)、ROM(Read Only Memory)などのような不揮発性メモリーと、処理のためのデータがロードされるバッファ(buffer)、RAM(Random Access Memory)などのような揮発性メモリーを含む。また、保存部214は、ブルーレイディスクのような光学媒体から映像コンテンツを読み取る構成によって具現することもできる。
【0040】
プロセッサ215は、印刷回路基板上に装着されるCPU、専用プロセッサ、チップセット、バッファ、回路などによって具現される一つ以上のハードウェアプロセッサを含み、設計方式によってはSOC(system on chip)によって具現されてもよい。プロセッサ215は、映像処理のためにデマルチプレクサ、デコーダ、スケーラー、オーディオDSP、アンプなどの様々なプロセスに対応するモジュールを含む。ここで、このようなモジュールの一部又は全部をSOCによって具現することができる。例えば、デマルチプレクサ、デコーダ、スケーラーなどの映像処理に関連したモジュールを映像処理SOCにし、オーディオDSPはSOCとは別個のチップセットにすることが可能である。
【0041】
プロセッサ215は、保存部214に保存されているか或いは外部から受信する映像コンテンツを、既に設定されたプロセスに従って処理する。ソースデバイス210がUHDブルーレイプレーヤーである場合、プロセッサ215は、コンテンツ信号が信号出力部212から出力され得るように、既に設定されたマルチメディアインターフェース規格に従ってパッケージング(packaging)、スクランブリング(scrambling)などの様々な処理を行うことができる。
【0042】
このような構造において、ソースデバイス210は、映像信号及びオーディオ信号を含むコンテンツ信号を中間装置220に出力する。中間装置220は、コンテンツ信号を処理してシンクデバイス230に出力する。シンクデバイス230は、コンテンツ信号中の映像信号に基づいてディスプレイ部233に映像を表示する。この時、中間装置220は、処理されたコンテンツ信号全体をシンクデバイス230に伝送して、コンテンツ信号中のオーディオ信号をシンクデバイス230のスピーカー234から出力させることができる。または、中間装置220は、映像信号をシンクデバイス230に伝送してディスプレイ部233に映像が表示されるようにし、オーディオ信号は自分のスピーカー222から出力されるようにしてもよい。
【0043】
以下、ソースデバイス210が中間装置220から伝達されたシンクデバイス230のEDIDに基づいて、出力する映像コンテンツの画質を判断する構成について説明する。
【0044】
図3は、電子装置が出力する映像コンテンツの画質を判断する方法を示すフローチャートである。
【0045】
図3に示すように、以下の動作は、電子装置のプロセッサによって実行される。この動作において電子装置はソースデバイス、外部装置は中間装置、ディスプレイ装置はシンクデバイスにそれぞれ相当し、使用される装置の名称が特定の機能を限定するわけではない。
【0046】
310段階で電子装置は外部装置の接続イベントを感知する。このイベントは、例えば、ケーブルを通じて信号出力部に外部装置が通信可能に接続されると発生する。
【0047】
320段階で電子装置はイベント感知に応答して、外部装置から、ディスプレイ装置が支援する第1映像フォーマットに関する情報を取得する。外部装置は当該情報をディスプレイ装置から取得して電子装置に伝達する。
【0048】
330段階で電子装置は外部装置から、外部装置が支援する伝送インターフェース規格に関する情報を取得する。
【0049】
340段階で電子装置は、外部装置が支援する伝送インターフェース規格に関する情報に基づいて、当該伝送インターフェース規格が第1映像フォーマットのコンテンツ信号を伝送できるものか否か識別する。識別する方法は、様々な実施例が適用可能であり、これに関する内容は後述する。
【0050】
当該伝送インターフェース規格が第1映像フォーマットのコンテンツ信号を伝送できるものと識別されると、350段階で電子装置は第1映像フォーマットのコンテンツ信号を外部装置に出力する。これで、外部装置は第1映像フォーマットのコンテンツ信号をディスプレイ装置に伝送し、ディスプレイ装置はコンテンツ信号を処理して第1映像フォーマットの映像を表示する。
【0051】
一方、当該伝送インターフェース規格が第1映像フォーマットのコンテンツ信号を伝送できないものと識別されると、360段階で電子装置は、第1映像フォーマットと異なる第2映像フォーマットのコンテンツ信号を外部装置に出力する。これで、外部装置は電子装置から受信する第2映像フォーマットのコンテンツ信号をディスプレイ装置に伝送し、ディスプレイ装置はコンテンツ信号を処理して第2映像フォーマットの映像を表示する。
【0052】
この場合、第2映像フォーマットとしては、ディスプレイ装置が表示可能な複数の映像フォーマットのうち、外部装置が支援する伝送インターフェース規格で伝送可能な映像フォーマットを選択することができる。
【0053】
360段階をより具体的に説明すると、次の通りである。仮に、外部装置の支援する伝送インターフェース規格が第1映像フォーマットのコンテンツ信号を伝送できるものでないにもかかわらず、電子装置が第1映像フォーマットのコンテンツ信号を外部装置に出力すると、外部装置は第1映像フォーマットのコンテンツ信号を正常に受信して処理できなくなる。このため、電子装置は、第1映像フォーマットと異なる映像フォーマットである第2映像フォーマットのコンテンツ信号を外部装置に出力する。例えば、第2映像フォーマットは、第1映像フォーマットに比べて低い解像度の映像フォーマットであり得る。一方、第2映像フォーマットは単に第1映像フォーマットに比べて解像度の低いフォーマットに限定されず、明るさ、鮮明度などの様々な付加的な映像属性が第1映像フォーマットに比べて低いレベルであるか又は欠如している映像フォーマットを含むこともできる。
【0054】
電子装置は外部装置を介してコンテンツ信号をディスプレイ装置に正常に伝達できるので、少なくともディスプレイ装置に映像が表示されない不具合を防止することはできる。
【0055】
一方、上記の実施例の動作は、次のように表現することもできる。外部装置は、ディスプレイ装置からディスプレイ装置のEDIDを受信すると、当該EDIDの全部又は一部を電子装置に伝達することができる。電子装置は、外部装置から受信するEDIDを信頼できるか否か判断できる。電子装置は、受信したEDIDを信頼できるものと判断すれば、EDID内に含まれた情報に基づいて、外部装置が第1映像フォーマットを支援すると判断し、コンテンツ信号を第1映像フォーマットで出力する。
【0056】
一方、電子装置は、受信したEDIDを信頼できないものと判断すれば、たとえ受信したEDID内に含まれた情報が第1映像フォーマットの支援を示すとしても、コンテンツ信号を第1映像フォーマットで出力しない。その代わりに、電子装置は受信したディスプレイ装置のEDIDとは別個に、外部装置が支援する第2映像フォーマットを判断し、コンテンツ信号を第2映像フォーマットで出力する。
【0057】
上の動作における主要な2つの要素である映像フォーマット及び伝送インターフェース規格は、互いに次のような関連性を有する。
【0058】
映像フォーマットはコンテンツ信号の映像の様々な特性を表す。例えば、映像フォーマットは、RAW映像のエンコード/デコードをするためのコーデック情報を表すか、映像の画質を表すか、映像の解像度を表すことができる。以下、本実施例では映像フォーマットが解像度に関連しているとして説明するが、映像フォーマットはそれ以外の特性を表してもよい。
【0059】
解像度は、映像の1フレームをなす総ピクセルの個数をM*N(M,Nは自然数であり、*は乗算記号)の形態で示す値である。解像度が高いということは、1フレームをなすピクセルの数が多いことを意味し、当然ながらフレーム当たりデータの量が多くなる。また、フレーム当たりデータの量が多いということは、単位時間当たり伝送量の要求レベルが高いことを意味するので、高い解像度のコンテンツ信号は、当該映像フォーマットの公開時期以前における伝送インターフェース規格では正しく伝送されないことがある。
【0060】
解像度は、様々な規格が提案されており、概ね16:9の比率に従う場合が多い。解像度規格の代表には、HD(1280*720)、FHD(1920*1080)、4K又はUHD(3840*2160)、8K(FUHD;7680*4320)、16K(QUHD;15360*8640)などがある。解像度が高くなるほど、コンテンツ信号の伝送は莫大なデータ伝送率を必要とする。
【0061】
一方、この実施例では、伝送インターフェース規格がHDMIである場合について説明する。ただし、HDMIは一つの適用例示に過ぎず、HDMIの他、DP、サンダーボルトなどのようにバージョン別に上位バージョン及び下位バージョンが区分される様々な規格にも本発明の思想は適用可能である。
【0062】
HDMI規格は現時点で2.1バージョンまで公開されている。HDMI 2.1は、それ以前のバージョンに比べて高い解像度のコンテンツ信号、例えば8K級のコンテンツ信号を伝送することが可能になっている。HDMI 2.1以前バージョンのHDMIは、データ伝送速度、帯域幅などの様々な側面において8K級のコンテンツ信号を正しく伝送することが困難である。HDMI 2.0は8K 30Hzのコンテンツ信号を伝送することはできるが、30Hzを超える秒当たりフレームの8K、例えば8K 60Hzのコンテンツ信号を正しく伝送することはできない。
【0063】
万一、電子装置が30Hzを超える秒当たりフレームの8K級のコンテンツ信号を外部装置に出力してディスプレイ装置に8K級のコンテンツ映像を表示させようとする場合には、ディスプレイ装置の他に外部装置も8K級のコンテンツ信号の送受信が可能なHDMI 2.1を支援しなければならない。すなわち、上の動作でいう第1映像フォーマットが8K級であるとすれば、外部装置がコンテンツ信号を送受信するためにはHDMI 2.1以上を支援しなければならないということを意味する。
【0064】
以下、HDMI 2.1について概略的に説明する。
【0065】
図4は、Tx及びRx間の信号伝送に適用されるHDMI 2.1規格の構成ブロック図である。
【0066】
図4に示すように、HDMI 2.1に従ってTx410からRx420にHDMIケーブルでTMDS(Transition Minimized Differential Signaling)が伝送される場合を考慮することができる。Tx410はコンテンツ信号を送信する装置であり、ソースデバイスとすることができ、Rx420はコンテンツ信号を受信する装置であり、中間装置とすることができる。
【0067】
HDMIにおいて、物理層は変化最小化差分信号(Transition Minimized Differential Signaling,TMDS)、コンテンツ保安のための信号の暗号化はHDCP(High-bandwidth Digital Content Protection)、デバイス間認証はEDID、システム全体の制御系接続はCEC(Consumer Electronics Control)が用いられる。
【0068】
HDMIケーブル及びコネクターは、TMDSデータを伝送するための4個のチャネルを構成する4個の差分対(differential pair)を含む。これらのチャネルは映像データ、オーディオデータ及び付加データ(auxiliary data)を伝送するために用いられる。
【0069】
また、HDMIは、I2Cベース通信チャネルであるVESA DDC(display data channel)を含み、DDCはTx410及びRx420間の環境及び状態情報を交換するために用いられる。追加のCECプロトコルは、システム内にある全ての様々なAV製品間のハイレベル(high-level)制御機能を提供する。追加のHEAC(HDMI Ethernet and Audio Return Channel)は、接続デバイスとAudio Return Channelとの間においてTMDSとは反対方向にイーサネット(登録商標)互換データネットワーキングを提供する。
【0070】
DDCは、Tx410がRx420の性能及び特性を判断するのに用いられる。Tx410はDDCを介して、Rx420のEDID ROMに記録されたEDIDを取得し、取得したEDIDの情報に基づいてRx420のパフォーマンスレベルを判断する。
【0071】
CECは、システム内における全てのTx410及びRx420を一つの制御ラインで接続させる。DDCがTx410とRx420との間に1対1で形成されるのに比べて、CECはシステムにおける全ての機器を接続させる所、例えば一つのリモートコントローラによって全ての機器を制御しようとする場合に活用することができる。
【0072】
HDMI 2.1は基本的な構造ではその以前バージョンに似ているが、いくつかの相違点を有する。HDMI 2.1は、伝送帯域幅が18GbpsであるHDMI 2.0に比べて2.5倍以上も高い48Gbpsを提供する。10ビットカラーにエンコードされたHDRコンテンツであっても4Kにおいて144Hzまで伝送でき、8Kも30Hzまで無圧縮伝送が可能である。
【0073】
また、HDMI 2.1は、4個のデータチャネルを介してTMDSを伝送し、クロック信号を伝送する別個のクロックチャネルを有しない。HDMI 2.1においてクロック信号はデータと別個に伝送されず、クロック信号がデータに埋め込まれる(embeding)。これに比べて、2.1以前バージョンのHDMIは、4個のチャネルのうち3個のチャネルをデータチャネルとして用い、1個のチャネルをクロックチャネルとして用いる。すなわち、HDMI 2.1においてデータチャネルであるTMDS Channel 3は、2.1の以前バージョンではデータチャネルではなくクロックチャネルとして用いられる。
【0074】
この理由で、HDMI 2.1は8K級コンテンツ信号の伝送に対応可能である。HDMI 2.1の以前バージョンは3個のデータチャネルでTMDSを伝送するのに対し、HDMI 2.1は4個のデータチャネルでTMDSを伝送する。このため、HDMI 2.1は以前バージョンに比べてデータ伝送率が格段に高い。
【0075】
ソースデバイス及び中間装置間の伝送インターフェース規格が第1映像フォーマットのコンテンツ信号を伝送できるものか否かを識別する方法、例えば、中間装置が8K級コンテンツ信号を伝送可能なHDMI 2.1を支援するか否かを識別する方法は、様々なものが可能である。それらの方法については後述する。
【0076】
以下、シンクデバイスのEDIDが中間装置を経てソースデバイスに伝達される例示について説明する。
【0077】
図5は、ソースデバイスが中間装置から取得したEDIDを信頼できるものと判断した場合にコンテンツ信号を出力する過程を示す構成ブロック図である。
【0078】
図5に示すように、ソースデバイス501、中間装置502、シンクデバイス503が直列に連結される。本実施例において、ソースデバイス501、中間装置502、シンクデバイス503は8K級映像を処理可能な装置である。また、本実施例では、ソースデバイス501が出力するコンテンツ信号に基づいて、シンクデバイス503が映像を表示し、中間装置502がオーディオを出力するように指定された場合について説明する。
【0079】
中間装置502及びシンクデバイス503が互いに接続されると、510段階で中間装置502はシンクデバイス503からシンクデバイス503のEDIDを受信する。このEDIDは、シンクデバイス503が支援可能な映像に関する情報及びオーディオに関する情報を含む。例えば、シンクデバイス503のEDIDは、8K級の映像及び2チャネルのオーディオを支援するという情報を含む。
【0080】
中間装置502も、中間装置502独自のEDIDを保存している。中間装置502はオーディオを出力することができるが、映像を表示することはできないので、中間装置502のEDIDは映像に関する情報を含まず、オーディオに関する情報を含む。例えば、中間装置502のEDIDは、7.1チャネルのオーディオを支援するという情報を含む。
【0081】
中間装置502にシンクデバイス503のEDIDが受信されると、520段階で中間装置502は、中間装置502のEDID及びシンクデバイス503のEDIDに基づいて、ソースデバイス501に伝達するためのEDIDを取得する。例えば、中間装置502は、シンクデバイス503のEDIDにおいて映像に関する情報を維持する。そして、中間装置502はシンクデバイス503のEDIDにおいてオーディオに関する情報を中間装置502のEDIDにおけるオーディオに関する情報に取り替える。取得したEDIDは、8K級の映像と7.1チャネルのオーディオを支援するという情報を含むことになる。
【0082】
または、中間装置は、中間装置502のEDID及びシンクデバイス503のEDIDに基づいて、ソースデバイス501に伝達する新しいEDIDを生成する。具体的に、中間装置502は、映像を表示するシンクデバイス503のEDIDから映像に関する情報を取得し、オーディオを出力する中間装置502のEDIDからオーディオに関する情報を取得し、取得した情報に基づいてEDIDを生成する。
【0083】
中間装置502及びソースデバイス501が接続されると、530段階でソースデバイス501は中間装置502から前述のEDIDを取得する。
【0084】
540段階でソースデバイス501は、取得したEDIDが信頼できるものか否か判断する。このソースデバイス501の判断の具体的な方法は後述する。
【0085】
もし、取得したEDIDを信頼できるものと判断すれば、550段階でソースデバイス501は、取得したEDIDに基づいて、8K級の映像と7.1チャネルのオーディオを含むコンテンツ信号を中間装置502に出力する。
【0086】
ソースデバイス501からコンテンツ信号を受信すると、中間装置502は、コンテンツ信号から8K級の映像信号及び7.1チャネルのオーディオ信号を取得する。560段階で中間装置502は7.1チャネルのオーディオを出力する。また、570段階で中間装置502は8K級の映像信号をシンクデバイス503に出力する。
【0087】
中間装置502から映像信号を受信すると、580段階でシンクデバイス503は映像信号に基づいて8K級の映像を表示する。
【0088】
このような一連の動作は、中間装置502が8K級の映像を支援するものであり、該中間装置502がソースデバイス501から出力される8K級の映像を含むコンテンツ信号を正しく処理できることから可能である。ソースデバイス501は中間装置502から取得したEDIDを信頼できるものと判断し、EDIDに基づいて、8K級の映像を含むコンテンツ信号を出力する。
【0089】
以下、ソースデバイス501が中間装置502から取得したEDIDを信頼できないものと判断した場合の実施例について説明する。
【0090】
図6は、ソースデバイスが中間装置から取得したEDIDを信頼できないものと判断した場合にコンテンツ信号を出力する過程を示す構成ブロック図である。
【0091】
図6に示すように、ソースデバイス601、中間装置602、シンクデバイス603が直列に連結される。この実施例が先の実施例と異なる点は、ソースデバイス601及びシンクデバイス603に対比される中間装置602の処理性能である。この実施例においてソースデバイス601及びシンクデバイス603は8K級映像を処理可能な装置であるが、中間装置602は最高で4K級の映像まで処理可能な装置である。
【0092】
中間装置602及びシンクデバイス603が互いに接続されると、610段階で中間装置602は、シンクデバイス603からシンクデバイス603のEDIDを受信する。例えば、シンクデバイス603のEDIDは8K級の映像及び2チャネルのオーディオを支援するという情報を含む。一方、中間装置602に保存されている中間装置602のEDIDは、7.1チャネルのオーディオを支援するという情報を含む。
【0093】
中間装置602にシンクデバイス603のEDIDが伝送されると、620段階で中間装置602は、中間装置602のEDID及びシンクデバイス603のEDIDに基づいて、ソースデバイス601に伝達するためのEDIDを取得する。EDIDの取得方法は先の実施例で説明した通りである。例えば、このEDIDは、8K級の映像と7.1チャネルのオーディオを支援するという情報を含むことになる。
【0094】
中間装置602及びソースデバイス601が接続されると、630段階でソースデバイス601は中間装置602からEDIDを取得する。この実施例において現段階までの過程は、先の実施例と実質的に同一である。
【0095】
640段階でソースデバイス601は、取得したEDIDを信頼できるものか否か判断する。
【0096】
もし、取得したEDIDを信頼できないものと判断すれば、ソースデバイス601は、取得したEDID内に含まれた情報によらず、取得したEDIDの情報による映像の画質よりも低い画質の映像を含むコンテンツ信号を出力する。例えば、取得したEDIDが8K級の映像を支援可能であるという情報を含んでいると、650段階でソースデバイス601は、8K級よりも低い画質の4K級の映像を含むコンテンツ信号を中間装置602に出力する。
【0097】
ここで、ソースデバイス601は、コンテンツの再生時に8K級及び4K級のいずれか一つの解像度によってコンテンツ信号を生成することができる。
【0098】
ソースデバイス601が取得したEDIDを信頼できないものと判断すれば、事前に定義された設定に従って映像フォーマットを選択する。例えば、ソースデバイス601は、取得したEDIDの情報によるUHD級よりも低いFHD級の映像を選択することもできる。また、この実施例では、ソースデバイス601はEDIDによる解像度よりも低い解像度の映像を選択したが、画質の基準は解像度に限定されるものではない。例えば、ソースデバイス601は、EDIDによる秒当たりフレーム数又は画面走査率が144Hzであり、このEDIDを信頼できないと判断すれば、画面走査率が60Hzである映像を選択してもよい。
【0099】
本実施例では映像に関する構成だけを説明しているが、オーディオの場合にも同じ原理を適用することができる。
【0100】
ソースデバイス601からコンテンツ信号を受信すると、中間装置602は、コンテンツ信号から4K級の映像信号及び7.1チャネルのオーディオ信号を取得する。660段階で中間装置602は7.1チャネルのオーディオを出力する。また、中間装置602の立場では、先にソースデバイス601に伝送したEDIDによる8K級ではなく4K級の映像信号を取得するので、当該映像信号を処理することができる。したがって、670段階で中間装置602は4K級の映像信号をシンクデバイス603に出力する。
【0101】
中間装置602から映像信号を受信すると、680段階でシンクデバイス603は映像信号に基づいて4K級の映像を表示する。
【0102】
このように、本実施例に係るソースデバイス601は、中間装置602から取得したEDIDを信頼できないものと判断すれば、当該EDIDによる映像フォーマットよりも低い解像度の映像フォーマットでコンテンツ信号を中間装置602に出力する。したがって、ソースデバイス601に伝達されるEDIDが中間装置602の支援機能を正確に反映できない場合でも、EDIDを信頼できるか否かによって中間装置602を支援するか否かを判断して、出力される映像フォーマットを決定することによって、中間装置602の機能を支援しないことによりシンクデバイス603で映像が正常に表示されないことを防止することができる。
【0103】
一方、ソースデバイス601が、中間装置602から取得したEDIDが信頼できるものか否かを判断する基準は、様々なものが可能である。8K級映像を取り上げると、8K級映像はHDMI 2.1以上の伝送インターフェース規格に基づく通信上で正常に伝送可能である。すなわち、ソースデバイス601は、取得したEDID内に含まれた情報による映像のレベルが秒当たりフレーム30Hzを超える8K級であれば、ソースデバイス601及び中間装置602間の伝送インターフェース規格がHDMI 2.1以上か否か識別する。HDMI 2.1以上と識別されると、ソースデバイス601は、取得したEDIDを信頼できるものと判断できる。もちろん、ソースデバイス601はHDMIではなくDP(DisplayPort)などの異なる伝送インターフェース規格に従ってコンテンツ信号を出力することもできる。ただし、本実施例ではHDMIの場合を中心に説明する。
【0104】
以下、取得したEDIDが8K級映像を支援可能であるという情報を含むとき、ソースデバイス601が当該EDIDを信頼できるか否かを判断する様々な方法について説明する。
【0105】
図7は、ソースデバイスがFRL機能に基づいてEDIDの信頼性を判断する方法を示すフローチャートである。
【0106】
図7に示すように、次の動作はソースデバイスのプロセッサによって実行される。
【0107】
710段階でソースデバイスは中間装置からEDIDを取得する。EDIDは、例えば中間装置に接続されたシンクデバイスによって支援される所定の第1映像フォーマットに関する情報を含む。
【0108】
720段階でソースデバイスは、取得したEDIDが8K級映像を支援可能であるという情報を含むことを確認する。
【0109】
730段階でソースデバイスは、ソースデバイス及び中間装置間の伝送インターフェース規格がFRL(Fixed Rate Link)機能を支援するか否かを識別する。FRL機能は、両装置間の所定の信号ラインがデータ伝送に用いられる伝送モードを意味する。すなわち、ソースデバイスは、所定の信号ラインがソースデバイス及び中間装置間のデータ伝送に用いられる伝送モードを外部装置が支援するか否かを識別する。外部装置が当該伝送モードを支援するということは、外部装置が8K級映像のコンテンツ信号を伝送可能にするインターフェース規格を支援するということを意味する。逆に、外部装置が当該伝送モードを支援しないということは、外部装置が8K級映像のコンテンツ信号を伝送可能にするインターフェース規格を支援しないということを意味する。
【0110】
伝送インターフェース規格がFRL機能を支援すると識別されると、740段階でソースデバイスは、EDIDに基づく8K級映像のコンテンツ信号を中間装置に出力する。すなわち、ソースデバイスはこのような場合に第1映像フォーマットのコンテンツ信号を出力する。
【0111】
一方、伝送インターフェース規格がFRL機能を支援しないと識別されると、750段階でソースデバイスは、EDIDに基づく画質よりも低い映像、例えば4K級の映像のコンテンツ信号を中間装置に出力する。すなわち、ソースデバイスはこのような場合に第1映像フォーマットと異なる第2映像フォーマットのコンテンツ信号を出力する。
【0112】
以下、FRL機能について説明する。
【0113】
図8は、HDMI 2.1に規定されたSCDCアップデートフラグのフィールドを示す例示図である。
【0114】
図8に示すように、HDMI 2.1では、SCDC(Status and Control Data Channel)を通じてアクセスされるアップデートフラグ(Update Flag)の複数の値に関して規定している。SCDCは、HDMI 2.0から支援し始めた規格であり、Tx及びRx間のデータ交換を可能にする1対1通信プロトコルである。例えば、Txはソースデバイスに、Rxは中間装置にそれぞれ該当する。SCDCはDDCと同様に、I2Cベース通信チャネルである。
【0115】
FRLは、HDMI 2.1から導入し始めた新しいデータ伝送方式である。FRLによれば、Txは以前バージョンのHDMIで用いられるクロックチャネル、すなわちクロック信号を伝送する一対の差分(Differential)信号ラインを用いてRxに映像及びオーディオデータを伝送する。すなわち、FRLは、以前バージョンのHDMIのクロックチャネルをデータチャネルとして用いることによって、以前バージョンのHDMIに比べて1個多い総4個の差分対(Differential pair)のデータチャネルを有する機能である。以前バージョンのHDMIでは3個のデータチャネル及び1個のクロックチャネルを使用するのに比べて、HDMI 2.1では4個のデータチャネルを使用し、クロック信号はデータ信号に埋め込んで伝送する。
【0116】
Rxは、TxがSCDCを通じてアクセス可能なHF-VSDB(Vendor-Specific Data Block)をレジスターに保存している。FRLを支援する場合、Rxはレジスターの特定アドレスに、FRLを支援することを示す値を記録する。Txはレジスターの当該アドレスにアクセスして記録された値を取得することによって、RxがFRLを支援するか否かを識別することができる。
【0117】
Rxのレジスターは、例えば0x10アドレスのBit4のフィールドがFRL_startと指定される。万一RxがFRLを支援すると、FRL_startは1に、RxがFRLを支援しないと、FRL_startは0に指定される。TxがRxのレジスターに接続してFRLを支援すると判断すれば、TxはRxにトレーニング信号を伝送して応答を待つリンクトレーニングを行う。Rxからトレーニング信号に対する応答が正常に受信されると、Txは、RxがFRL機能を支援すると識別する。一方、Rxからトレーニング信号に対する応答が正常に受信されないと、Txは、RxがFRL機能を支援しないと識別する。この場合に、TxはRxのレジスターの0x10アドレスのBit4の値を0に修正することができる。
【0118】
このように、TxはRxのレジスターの既に設定されたアドレスの値から、Rxの伝送インターフェース規格がFRL機能を支援するか否か判断することができる。
【0119】
EDIDが8K級映像を支援可能であるという情報を含むとき、当該EDIDを信頼できるか否かを判断する方法は、これに限定されず、次のような様々な方法が適用されてもよい。
【0120】
図9は、ソースデバイスがDSC(Display Stream Compression)圧縮機能に基づいてEDIDの信頼性を判断する方法を示すフローチャートである。
【0121】
図9に示すように、次の動作はソースデバイスのプロセッサによって実行される。
【0122】
910段階でソースデバイスは中間装置からEDIDを取得する。
【0123】
920段階でソースデバイスは、取得したEDIDが8K級映像を支援可能であるという情報を含むことを確認する。
【0124】
930段階でソースデバイスは、ソースデバイス及び中間装置間の伝送インターフェース規格がDSC圧縮機能を支援するか否か識別する。
【0125】
伝送インターフェース規格がDSC圧縮機能を支援すると識別されると、940段階でソースデバイスは、EDIDによる8K級映像のコンテンツ信号を中間装置に出力する。
【0126】
一方、伝送インターフェース規格がDSC圧縮機能を支援しないと識別されると、950段階でソースデバイスは、EDIDによる画質よりも低い映像、例えば4K級の映像のコンテンツ信号を中間装置に出力する。
【0127】
以下、DSC圧縮機能について説明する。
【0128】
図10は、HDMI 2.1に規定されたSCDCソーステスト環境及び状態フラグのフィールドを示す例示図である。
【0129】
図10に示すように、HDMI 2.1は、ソーステスト環境(Source Test Configuration)及び状態フラグ(Status Flag)の複数の値に関して規定している。それらの値は、Txがアクセス可能なRxのレジスターに記録される。
【0130】
DSCは、TxがRxに映像データを伝送するに当たって、実時間で映像データを圧縮させる技術である。HDMIは通常、無圧縮された映像データを伝送するために用意された規格であり、HDMI 2.1は、以前バージョンのHDMIに比べてデータ伝送率が高い高速インターフェース規格である。しかし、映像データが8K級のような超高解像度であるか又は画面走査率が高いと、HDMI 2.1ベース通信においても正常に映像データを伝送し難い。このため、TxはDSC圧縮技術に従って実時間で映像データを圧縮することによって、超高画質の映像データを正常にRxに伝送することができる。
【0131】
DSCは、FRL機能が活性化している間に用いられる。例えば、Txは、HDMI 2.1に基づいて映像データをRxに伝送しようとするとき、FRLによっても映像データの正常伝送が困難な場合には、DSC圧縮技術をさらに用いて映像データを実時間で圧縮して伝送することができる。
【0132】
DSCと関連して、Rxのレジスターではアドレス0x35のBit6がDSC_FRL_Maxに指定され、0x40のBit7がDSC_DecoderFailに指定される。TxはRxのレジスターに上記のアドレスにアクセス又はリード(read)した時に有効な値があると(すなわち、null値でないと)、RxがDSCを支援すると判断する。
【0133】
RxのDSC_FRL_Maxの値が1であれば、TxはRxのHF-VSDBにおいてDSC_Max_FRL_Rate及び圧縮映像伝送を支援する最高FRL_Rateのうち相対的に少ない方にリンクを活性化し、圧縮された映像データを伝送する前にリンクトレーニングを行う。DSC_DecoderFailはRxで圧縮された映像データの圧縮解除の成功有無を実時間で反映する。RxはDSCデコーディング失敗が続くとこのフィールドの値を1に設定する。
【0134】
このように、TxはRxのレジスターからDSC_FRL_Max又はDSC_DecoderFailのフィールドを確認することによって、中間装置がDSC機能を支援するか否かを判断することができる。
【0135】
図11は、ソースデバイスが中間装置から取得したEDIDにおける有効なブロックの個数に基づいてEDIDの信頼性を判断する方法を示すフローチャートである。
【0136】
図11に示すように、次の動作はソースデバイスのプロセッサによって実行される。
【0137】
1110段階でソースデバイスは中間装置からEDIDを取得する。
【0138】
1120段階でソースデバイスは、取得したEDIDが8K級映像を支援可能であるという情報を含むことを確認する。
【0139】
1130段階でソースデバイスは、取得したEDIDにおいて有効な値を持つブロックが3個以上か否か識別する。
【0140】
EDIDにおいて有効な値を持つブロックが3個以上であると識別されると、1140段階でソースデバイスは、EDIDによる8K級映像のコンテンツ信号を中間装置に出力する。
【0141】
一方、EDIDにおいて有効な値を持つブロックが3個以上でないと識別されると、1150段階でソースデバイスは、EDIDによる画質よりも低い映像、例えば4K級の映像のコンテンツ信号を中間装置に出力する。
【0142】
以下、EDIDの構造について説明する。
【0143】
図12は、EDIDのブロック構造を示す例示図である。
【0144】
図12に示すように、EDIDは、装置に関連している様々な情報を記録するための複数のブロックを含む。EDIDは、VESA(Video Electronics Standards Association)によって規定された規格である。EDIDは、装置特性及び機能に関する様々な情報を記録する。
【0145】
ディスプレイ装置を取り上げると、EDIDは、ヘッダー、製品識別情報、EDIDバージョン情報、基本ディスプレイ変数、カラースペース定義、ディスプレイで支援される全ての解像度のタイミング情報、拡張フラグ、チェックサムなどの情報を含む。製品識別情報は、メーカーのID、製品IDコード、一連番号、製造日などを含む。基本ディスプレイ変数は、映像入力類型、ディスプレイサイズ、電源管理、ガンマ値、タイミング機能、環境設定などを含む。
【0146】
EDIDはN個のブロックを含み、各ブロックに前記の情報が記録される。ところが、HDMI 2.1以前のバージョンでは一般に最大で2個のブロックを用いてEDIDを生成する。ところが、HDMI 2.1からはEDIDに記録すべき情報量が増えるので、HDMI 2.1では3個以上のブロックを用いて情報を記録する。
【0147】
すなわち、Txは、Rxから取得したEDIDが情報記録に使用するブロック個数が2個以下であれば、HDMI 2.1以前のバージョンのHDMIに該当すると判断し、8K級の映像伝送を支援しないと判断する。一方、Txは、Rxから取得したEDIDが情報記録に使用するブロック個数が3個以上であれば、HDMI 2.1又はそれ以降のバージョンのHDMIに該当すると判断し、8K級の映像伝送を支援すると判断する。
【0148】
ここで、Txは、EDIDのブロックのうち、有効な値を有するブロック、例えばnull値を有しないブロックが情報記録に用いられると判断する。また、Txは、EDIDブロックのうち、有効な値を有しないブロック、例えばnull値を有するブロックが情報記録に用いられないと判断する。
【0149】
このように、TxはRxから取得したEDIDにおいて有効な値を有するブロックの個数に基づいて、RxがHDMI 2.1以上を支援するか否かを判断することができる。
【0150】
図13は、ソースデバイスが中間装置の電力伝送機能支援の有無に基づいてEDIDの信頼性を判断する方法を示すフローチャートである。
【0151】
図13に示すように、次の動作はソースデバイスのプロセッサによって実行される。
【0152】
1310段階でソースデバイスは中間装置からEDIDを取得する。
【0153】
1320段階でソースデバイスは、取得したEDIDが8K級映像を支援可能であるという情報を含むことを確認する。
【0154】
1330段階でソースデバイスは、中間装置が電力伝送機能を支援するか否かを識別する。
【0155】
中間装置が電力伝送機能を支援すると識別されると、1340段階でソースデバイスは、EDIDによる8K級映像のコンテンツ信号を中間装置に出力する。
【0156】
一方、中間装置が電力伝送機能を支援しないと識別されると、1350段階でソースデバイスは、EDIDによる画質よりも低い映像、例えば4K級の映像のコンテンツ信号を中間装置に出力する。
【0157】
以下、電力伝送機能について説明する。
【0158】
電力伝送機能は、Txのポート及びRxのポートとをケーブルで連結する構造において、ポートの特定ピンを通じてTxからRxに又はRxからTxに所定電圧の電力を伝送する機能である。USB規格では電力伝送機能を支援するところ、特定ピンを通じて5Vの電圧を伝送可能に備えられる。ただし、HDMIの場合は、HDMI 2.1までは電力伝送機能を支援していないが、将来、HDMI 2.1以降のバージョンでは電力伝送機能を支援できると期待される。従って、万一HDMI規格であるのに電力伝送機能を支援すると、これは、少なくともHDMI 2.1以降のバージョンに該当すると類推できる。従って、Txはこのような場合に、Rxが8K級映像を十分に伝送可能な規格を支援すると判断できる。
【0159】
TxがRxの電力伝送機能の支援有無を判断する具体的な方法は、様々なものが可能である。Txは、上述の実施例におけると同様に、RxのSCDCレジスターに記録された電力伝送機能に関する、既に設定されたフィールドの値を確認することによって、電力伝送機能の有無を判断することができる。または、TxはRxに接続される信号入出力部のピンのうち、電圧が送受信されるように備えられたピンに対する電圧の感知を行うこともできる。
【0160】
このように、TxはHDMIの電力伝送機能支援の有無に基づいて、HDMI規格が8K級映像を伝送できるか否かを判断できる。
【0161】
図14は、ソースデバイスが中間装置のeARC機能支援の有無に基づいてEDIDの信頼性を判断する方法を示すフローチャートである。
【0162】
図14に示すように、次の動作はソースデバイスのプロセッサによって実行される。
【0163】
1410段階でソースデバイスは中間装置からEDIDを取得する。
【0164】
1420段階でソースデバイスは、取得したEDIDが8K級映像を支援可能であるという情報を含むことを確認する。
【0165】
1430段階でソースデバイスは、中間装置がeARC(enhanced Audio Return Channel)機能を支援するか否かを識別する。
【0166】
中間装置がeARC機能を支援すると識別されると、1440段階でソースデバイスは、EDIDによる8K級映像のコンテンツ信号を中間装置に出力する。
【0167】
一方、中間装置がeARC機能を支援しないと識別されると、1450段階でソースデバイスは、EDIDによる画質よりも低い映像、例えば4K級の映像のコンテンツ信号を中間装置に出力する。
【0168】
以下、eARC機能について説明する。
【0169】
図15は、Tx及びRx間のHDMI通信においてeARC機能を示す例示図である。
【0170】
図15に示すように、eARC機能はHDMI 2.1の主要機能であり、Rxからのオーディオ信号をTxに伝達する機能である。eARCは、eARC Tx及びeARC Rx間の通信のためのハーフデュプレックス(half-duplex)通信チャネルを含む。eARC伝送方向はHDMIコンテンツ信号の伝送方向と反対である。TxがRxにHDMIコネクターを通じてコンテンツ信号を伝送すると、Rxはコンテンツ信号からオーディオ信号を抽出し、個別のHDMIコネクター上のeARCを通じてTxに出力する。eARCが活性化される時、eARC Rxとして動作するTxはeARC Txとして動作するRxにコンテンツ信号を提供するように要求されない。高速TMDS又はFRLリンクが非活性化される時、eARC Txを支援するRxはeARCオーディオを伝送することができる。
【0171】
Txは、RxがeARC機能を支援するか否かを判断するために、TxでHDMIのピンのうち14番及び19番をチェックする。HDMIの14番及び19番のピンは、eARCで用いられるユーティリティ信号ラインである。この信号ラインを用いて接続されたRxと通信が可能であると、Txは、RxがeARC機能を支援すると判断できる。
【0172】
このように、Txは、RxがeARC機能を支援するか否かに基づいて、RxがHDMI 2.1を支援するか否かを判断できる。
【0173】
以上の実施例で説明したように、8K級映像を含むコンテンツ信号は少なくともHDMI 2.1以上の伝送インターフェースで装置間の伝送が可能である。ソースデバイスは中間装置を経てシンクデバイスにコンテンツ信号を提供するに当たって、中間装置がHDMI 2.1を支援するか否かによってコンテンツ信号の映像の画質を選択し、選択した画質の映像を含むコンテンツ信号を中間装置に出力する。中間装置がHDMI 2.1を支援するか否かは、例えば上記の5つの基準に従えばいい。
【0174】
以上の実施例では、ソースデバイスがFRL機能、DSC圧縮機能、EDIDにおける有効ブロックの個数、電力伝送機能、eARC機能などの基準をそれぞれ適用して判断する場合について説明した。しかし、ソースデバイスはより正確な判断のために、複数の基準を使用してもよい。この実施例を以下に説明する。
【0175】
図16は、ソースデバイスがFRL及びDSCの2機能の支援の有無に基づいてEDIDの信頼性を判断してコンテンツ信号を出力する方法を示すフローチャートである。
【0176】
図16に示すように、次の動作はソースデバイスのプロセッサによって実行される。
【0177】
1610段階でソースデバイスは中間装置の接続を感知する。例えば、ソースデバイス及び中間装置とがHDMIケーブルで物理的に接続されると、ソースデバイスはHDMIのHPDラインを通じたトリガリングによって中間装置の接続を感知することができる。
【0178】
1620段階でソースデバイスは中間装置からEDIDを取得する。このEDIDはシンクデバイスのEDID及び中間装置のEDIDのそれぞれの情報に基づいて生成される。
【0179】
1630段階でソースデバイスは、取得したEDIDが8K級映像を支援するように記録されているか否か判断する。
【0180】
取得したEDIDが8K級映像を支援するように記録されていると、1640段階でソースデバイスは中間装置のSCDCレジスターにアクセスする。
【0181】
1650段階でソースデバイスは、アクセスしたSCDCレジスターから中間装置がDSC圧縮機能を支援するか否か判断する。
【0182】
中間装置がDSC圧縮機能を支援すると判断されると、1660段階でソースデバイスは、アクセスしたSCDCレジスターから中間装置がFRL機能を支援するか否かを判断する。
【0183】
中間装置がFRL機能を支援すると判断されると、1670段階でソースデバイスは、EDIDに基づいて8K級映像のコンテンツ信号を中間装置に出力する。
【0184】
一方、1660段階で中間装置がFRL機能を支援しないと判断されるか、1650段階で中間装置がDSC圧縮機能を支援しないと判断されるか、或いは1630段階でEDIDが8K級映像を支援するように記録されていないと、1680段階でソースデバイスは、EDIDによる画質よりも低い映像、例えば4K級の映像のコンテンツ信号を中間装置に出力する。
【0185】
この実施例ではDSC及びFRLの2つの基準が共に考慮されたが、3つ以上の基準が共に考慮されてもよい。万一システム負荷を考慮しても正確な判断が要求される場合には、ソースデバイスは、例えば5つの基準を全て考慮して判断してもよい。または、複数の基準に優先順位が事前に設定されると、ソースデバイスは事前に設定された優先順位に従って各基準を適用してもよい。
【0186】
または、ソースデバイスは、複数の基準の中から、装置又は使用環境に適したものを選択してもよい。例えば、FRL機能、DSC圧縮機能、有効な値を持つEDIDブロックの個数、電力伝送機能、eARC機能などの基準があるとすれば、ソースデバイスは、ソースデバイス及び中間装置間の伝送インターフェース規格がHDMIと識別されると、FRL機能、DSC圧縮機能、eARC機能を基準として選択することができる。または、ソースデバイスは、当該伝送インターフェース規格がDisplayPortと識別されると、DSC圧縮機能、有効な値を持つEDIDブロックの個数を基準として選択することもできる。
【0187】
または、ソースデバイスは、複数の基準をユーザが選択できるように設けられたUIを表示し、UIを通じたユーザ入力に従って一つ以上の基準を選択することもできる。または、ソースデバイスはサーバーなどの外部装置から基準に関する情報を受信し、受信した情報に基づいて一つ以上の基準を選択することもできる。
【0188】
以上のような動作は、既に設定されたアルゴリズムに従って実行されてもよく、AI(Artificial Intelligence)によって実行されてもよい。
【0189】
以上説明した実施例では、伝送インターフェース規格がHDMIである場合について説明した。しかし、伝送インターフェース規格にはDP、サンダーボルトなどの様々な有線/無線規格があり、伝送インターフェース規格がHDMIでない場合にも本発明の思想を適用することができる。例えば、DSC圧縮機能は、伝送インターフェース規格がDPである場合にも適用可能な技術である。ソースデバイスは、伝送インターフェース規格がDPである場合に、DSCを支援するか否かによって出力映像の画質を選択してもよい。
【0190】
以上の実施例で説明したような装置の動作は、当該装置に搭載された人工知能によって実行することができる。人工知能は、機械学習アルゴリズムを活用して様々な諸般システムに適用することができる。人工知能システムは、人間レベル又は人間以上のレベルの知能を具現するコンピュータシステムであり、機械、装置又はシステムが自ら学習して判断し、使用経験の累積に基づいて認識率及び判断の正確度が向上するシステムである。人工知能技術は、入力されるデータの特徴を自分で分類し学習するアルゴリズムを用いた機械学習(deep-running)技術及びアルゴリズムを活用して、人間の頭脳の認知、判断などの機能を摸写する要素技術で構成される。
【0191】
要素技術は、例えば、人間の言語と文字を認識する言語的理解技術、物事を人間の視覚のように認識する視覚的理解技術、情報を判断して論理的に推論して予測する推論及び予測技術、人間の経験情報を知識データとして処理する知識表現技術、車両の自律走行やロボットの動きを制御する動作制御技術の少なくともいずれか一つを含む。
【0192】
ここで、言語的な理解は、人間の言語又は文字を認識し応用処理する技術であり、自然語の処理、機械翻訳、会話システム、質疑応答、音声認識及び合成などを含む。
【0193】
推論予測は、情報を判断して論理的に予測する技術であり、知識及び確率基盤推論、最適化予測、選好基盤計画、推薦などを含む。
【0194】
知識表現は、人間の経験情報を知識データとして自動化処理する技術であり、データの生成及び分類のような知識構築、データの活用のような知識管理などを含む。
【0195】
本発明の例示的な実施例に係る方法は、様々なコンピュータ手段によって実行可能なプログラム命令形態で具現されて、コンピュータ読取り可能媒体に記録され得る。このようなコンピュータ読取り可能媒体は、プログラム命令、データファイル、データ構造などを単独で又は組み合わせて含むことができる。例えば、コンピュータ読取り可能媒体は削除可能又は再起録可能か否かにかかわらず、ROMなどの記憶装置のような揮発性又は不揮発性記憶装置、又は例えばRAM、メモリーチップ、装置又は集積回路のようなメモリー、又は例えばCD、DVD、磁気ディスク又は磁気テープなどのような光学又は磁気的に記録可能であると同時に機械(例えば、コンピュータ)で読み取り可能な記憶媒体に格納され得る。移動端末内に組み込み可能なメモリーは、本発明の実施例を具現する指示を含むプログラム又はプログラムを格納するのに適した機械で読み取り可能な記憶媒体の一例であることが理解できよう。当該記憶媒体に記録されるプログラム命令は、本発明のために特に設計されて構成されたものであってもよく、コンピュータソフトウェアの技術分野における熟練した技術者に公知されて使用可能なものであってもよい。
【符号の説明】
【0196】
210 ソースデバイス
220 中間装置
230 シンクデバイス