(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-22
(45)【発行日】2022-08-01
(54)【発明の名称】可搬型多セル電気エネルギー貯蔵装置用電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01M 50/503 20210101AFI20220725BHJP
H01G 4/228 20060101ALI20220725BHJP
H01G 11/12 20130101ALI20220725BHJP
H01G 11/16 20130101ALI20220725BHJP
H01M 50/505 20210101ALI20220725BHJP
H01M 50/512 20210101ALI20220725BHJP
H01M 50/574 20210101ALI20220725BHJP
【FI】
H01M50/503
H01G4/228 J
H01G11/12
H01G11/16
H01M50/505
H01M50/512
H01M50/574
(21)【出願番号】P 2020184362
(22)【出願日】2020-11-04
(62)【分割の表示】P 2017556197の分割
【原出願日】2016-05-10
【審査請求日】2020-11-10
(32)【優先日】2015-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514022545
【氏名又は名称】ゴゴロ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【氏名又は名称】立花 顕治
(72)【発明者】
【氏名】リウ タイツン
【審査官】高木 康晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-154337(JP,A)
【文献】特開2014-146516(JP,A)
【文献】国際公開第2012/164884(WO,A1)
【文献】特開2012-028007(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50
H01G 11/12
H01G 11/16
H01G 4/228
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可搬型電気エネルギー貯蔵装置を構成する複数の可搬型電気エネルギー貯蔵セルの各々への電気的接続のための電気コネクタであって、該電気コネクタは、
(a)導電性フレームと、
(b)各々が前記導電性フレームと電気的に連通した複数の一体型導電性タブと、
(c)複数の一体型導電性支持体と
を備え、前記複数の一体型導電性支持体の
うちの1つの一体型導電性支持体は、前記複数の一体型導電性タブのうちの1つと前記導電性フレームとの間に延在し、前記一体型導電性支持体は、少なくとも1つの導電性バンドを含み、前記少なくとも1つの導電性バンドは、前記一体型導電性支持体の別の部分の断面積より小さい断面積を有し、
前記一体型導電性支持体は、開口部と、第1の縁部と、第2の縁部と、前記第1の縁部と前記開口部との間の第1の導電性バンドと、前記第2の縁部と前記開口部との間の第2の導電性バンドとを含み、前記第1の縁部と前記第2の縁部との間の距離は、前記一体型導電性支持体の中で前記開口部が貫通しない部分の幅に実質的に等しい、電気コネクタ。
【請求項2】
前記一体型導電性支持体は、上面と、下面とを含み、前記開口部は、前記上面から前記下面に延在する、請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記複数の一体型導電性タブのうちの1つは、前記導電性フレームが位置する平面とは異なる平面に位置する、請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの導電性バンドは、閾値レベルを超える電流が流れ始めたときに溶融または破損するように構成され、前記閾値レベルは、故障したまたは故障している電気エネルギー貯蔵セルに、故障しなかったまたは故障していない電気エネルギー貯蔵セルから流れる電流量である、請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの導電性バンドは、閾値レベルを超える電流が流れ始めたときに溶融または破損するように構成され、前記閾値レベルは、故障したまたは故障している電気エネルギー貯蔵セルから、故障していない他の電気エネルギー貯蔵セルに流れる電流量である、請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項6】
前記少なくとも1つの導電性バンドは、3つ以上の導電性バンドを含み、前記3つ以上の導電性バンドの各々は、前記一体型導電性タブのうちの1つから延在する前記一体型導電性支持体の他の部分の断面積より小さい断面積を有する、請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項7】
前記第1の導電性バンドの断面積は、前記第2の導電性バンドの断面積よりも小さい、請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項8】
前記一体型導電性支持体は、実質的に一定の幅を有するセクションを含む、請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項9】
可搬型電気エネルギー貯蔵装置を構成する複数の可搬型電気エネルギー貯蔵セルの各々への電気的接続のための電気コネクタを製造する方法であって、
(a)導電性基板を提供するステップと、
(b)複数の一体型導電性タブおよび複数の一体型導電性支持体を前記導電性基板内に形成するステップであって、前記複数の一体型導電性支持体の
うちの1つの一体型導電性支持体は前記複数の一体型導電性タブのうちの1つから延在する、ステップと、
(c)前記一体型導電性支持体内に少なくとも1つの導電性バンドを形成するステップであって、前記少なくとも1つの導電性バンドは、前記一体型導電性支持体の別の部分の断面積より小さい断面積を有する、ステップと、を含み、
前記一体型導電性支持体は、開口部と、第1の縁部と、第2の縁部と、前記第1の縁部と前記開口部との間の第1の導電性バンドと、前記第2の縁部と前記開口部との間の第2の導電性バンドとを含み、前記第1の縁部と前記第2の縁部との間の距離は、前記一体型導電性支持体の中で前記開口部が貫通しない部分の幅に実質的に等しい、方法。
【請求項10】
前記複数の一体型導電性タブを形成するステップは、前記一体型導電性タブが前記導電性基板の残部が位置する平面とは異なる平面に位置するように、前記一体型導電性タブを変位させるステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の導電性バンドの断面積は、前記第2の導電性バンドの断面積よりも小さい、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
複数の一体型導電性支持体を形成するステップは、一定の幅のセクションを有する前記支持体を形成するステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記導電性支持体内に少なくとも1つの導電性バンドを形成するステップは、前記一体型導電性支持体の一部を除去するステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
可搬型電気エネルギー貯蔵装置の可搬型電気エネルギー貯蔵セルを前記可搬型電気エネルギー貯蔵装置の複数の他の可搬型電気エネルギー貯蔵セルに接続する方法であって、
(a)複数の一体型導電性タブおよび複数の一体型導電性支持体を提供するステップであって、前記複数の一体型導電性支持体の
うちの1つの一体型導電性支持体は、前記一体型導電性タブのうちの1つから延在し、少なくとも1つの導電性バンドを含み、前記少なくとも1つの導電性バンドは、前記一体型導電性支持体の別の部分の断面積より小さい断面積を有し、前記一体型導電性支持体は、開口部と、第1の縁部と、第2の縁部と、前記第1の縁部と前記開口部との間の第1の導電性バンドと、前記第2の縁部と前記開口部との間の第2の導電性バンドとを含み、前記第1の縁部と前記第2の縁部との間の距離は、前記一体型導電性支持体の中で前記開口部が貫通しない部分の幅に実質的に等しい、ステップと、
(b)前記一体型導電性タブのうちの1つを加熱するステップと、
(c)前記一体型導電性タブのうちの1つを前記可搬型電気エネルギー貯蔵セルに熱融着するステップと、
を含む、方法。
【請求項15】
前記第1の導電性バンドの断面積は、前記第2の導電性バンドの断面積より小さい、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載されている実施形態は、可搬型電気エネルギー貯蔵装置、例えば、車両および家電機器のような電動装置に使用される可搬型電気エネルギー貯蔵装置を構成する可搬型電気エネルギー貯蔵セル間の電気的接続に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池のような電池は、より小型で軽量のユニットにより多くのエネルギーを充填することで知られている。リチウムイオン電池は、携帯電話、タブレット、ラップトップ、電動工具、および他の大電流機器などの可搬型電子機器に電力供給するのに幅広く応用されている。また、軽量で高エネルギー密度のため、リチウムイオン電池はハイブリッド車や完全な電気自動車での使用に魅力的なものである。
【0003】
リチウムイオン電池の潜在的な欠点は、それらの電解質溶液である。電解質が酸または塩基の水溶液からなる他のタイプの電池とは異なり、リチウムイオンセルの電解質は、典型的には、エチレンカーボネートおよびエチルメチルカーボネート(可燃性であり得る)などの有機溶媒中のリチウム塩からなる。
【0004】
通常の動作では、リチウムイオン電池を充電すると、電解質溶液中のリチウムイオンが、薄い多孔質ポリマーセパレータを通ってカソードから移動し、アノード内に入る。電荷平衡電子もアノードに移動するが、充電器の外部回路を通って移動する。放電すると、逆のプロセスが発生し、電子が電力供給されている装置を通って流れる。
【0005】
ごくまれな状況においては、リチウムイオン電池の内部または外部の短絡が発生し得る。例えば、リチウムイオン電池を含む電動装置は、深刻な衝撃または激突を受けて、電池のひび割れを生じ、短絡が発生し得る。薄い性質のポリマーセパレータのために、切削加工、プレス加工、研削加工、または他の電池製造ステップの間に作成されたマイクロメートルサイズの金属粒子が存在し得る、または電池セル内に進入し得る。これらの小さな金属粒子は蓄積し、最終的には、アノードとカソードとの間で短絡を発生させる可能性がある。このような短絡は、カソードが電解質溶液と反応して電解質溶液を分解し、熱および炭化水素などの反応性ガスを生成する温度をもたらす可能性があるため避けるべきである。典型的には、通常の動作温度では、リチウムイオン電池は非常に安定しているが、ある一定の温度を超えると、リチウムイオン電池の安定性は予測しにくくなり、高温では、電池ケース内の化学反応によってガスが発生し、その結果、電池ケース内の内圧が上昇する。これらのガスは、カソードとさらに反応して、より多くの熱を放出し、酸素の存在下で電解質を点火し得る電池内または電池に隣接する場所の温度を生成し得る。電解質が燃焼すると、少量の酸素が生成され、この酸素が燃焼をさらに活発化させるのを助けることがある。ある時点で、電池ケース内の圧力が上昇すると、電池ケースが破裂する。逃げるガスは発火して燃焼することがある。いくつかの電池製造業者は、万一、セルが破裂して発火した場合に、燃焼を支援するガスがセルの所定の位置および方向から出るように、セルを設計する。例えば、従来のAAAセルまたはAAセルの形状の電池セルは、セルの各端部に位置する端子端部から通気するように設計され得る。
【0006】
単一のリチウムイオン電池のみが使用される用途では、電池の故障および燃焼の可能性が望ましくない状況を生み出す。この状況の深刻さは、複数のリチウムイオン電池が電池バンクまたはモジュールの形態で展開されたときに増す。1つのリチウムイオン電池が故障したときに発生する燃焼は、他のリチウムイオン電池が通常の安定状態である温度を超える局所温度を生成し、その結果、これらの他の電池が故障し、破裂し、その後、発火して燃焼するガスを放出する。したがって、リチウムイオンセルのバンク内の単一セルの破裂が、バンク内の他のセルを破裂させ、発火して燃焼するガスを放出する可能性がある。幸いにも、リチウムイオン電池は非常に安全であることが証明されており、リチウムイオン電池の故障およびそれに伴う破裂が生じるのは非常にまれである。それでも、破裂および破裂したリチウムイオン電池から出るガスの発火のリスクを低減するための努力がなされてきた。例えば、カソードに使用される材料の開発では、広く使用されているコバルト酸リチウムから製造されたカソードよりも耐熱性に優れたリチウム系カソード材料が製造された。これらのより最近開発された材料はより耐熱性に優れているかもしれないが、この利点による代償も伴う。例えば、マンガン酸リチウムカソードは、コバルト酸リチウムよりも低い充電容量を有し、高温では依然として分解する。リン酸鉄リチウムカソードは、特に、熱的酷使に十分に耐えるが、それらの動作電圧および体積基準のエネルギー密度は、コバルト酸リチウムカソードの場合よりも低い。
【0007】
他の取り組みは、ポリマーセパレータおよびその設計に焦点が当てられた。例えば、軽度の過熱に対するある程度の保護を提供するために、ポリプロピレンの2つの層の間にポリエチレンの1つの層を挟んだポリマーセパレータを利用することが提案された。セルの温度がセルの安定性が予測不可能になる温度に近づくにつれて、ポリエチレンは融解し、ポリプロピレンの細孔を塞ぐ。ポリプロピレンの細孔がポリエチレンで塞がれると、リチウムの拡散が阻止され、セルが点火する可能性が出る前にセルを効果的に停止させる。他の取り組みは、ポリプロピレンよりも高い融点を有するポリマーセパレータの利用に焦点が当てられた。例えば、ポリイミドから作られたセパレータおよび高分子量ポリエチレンから作られたセパレータおよび埋め込まれたセラミック層が、頑強な高融点ポリマーセパレータを形成するために提案された。低可燃性の電解質かつ不揮発性の不燃イオン性液体のフルオロエーテル、および他の高度にフッ素化された溶媒を電池電解質として作成し利用することも検討されてきた。研究者は、液体を全く含まないリチウムイオン電池を開発してきた。これらの固体電池は、本質的に不燃性であり、したがって非常に安定しており、安全であり、長いサイクル寿命および保管寿命を有する無機リチウムイオン伝導体を含む。しかしながら、これらの固体電池の製造には、コストのかかる労働集約的な真空蒸着方法が必要である。
【0008】
可搬型電気エネルギー貯蔵装置が複数の可搬型電気エネルギー貯蔵セルを含む場合、典型的には、可搬型電気エネルギー貯蔵セルのうちのいくつかは、互いに電気的に接続される。このような電気的接続を達成するための1つの方法は、導電性部材を対象となる可搬型電気エネルギー貯蔵セルの端子に取り付けることである。まれに、可搬型電気エネルギー貯蔵セルが故障し始めた場合に、同じ導電性部材に接続されている安定状態の可搬型電気エネルギー貯蔵セルから故障している可搬型電気エネルギー貯蔵セルに流れる電気エネルギーが、故障しているセルにおける熱エネルギーの生成を助長することがある。また、故障している可搬型電気エネルギー貯蔵セルから導電性部材に接続されている他の安定状態の可搬型電気エネルギー貯蔵セルに流れる電気エネルギーによって、安定状態の可搬型電気エネルギー貯蔵セルの温度が上昇する可能性もある。いずれの場合も、故障している電気エネルギー貯蔵セルまたは安定状態の電気エネルギー貯蔵セルの温度は、セルの安定性が予測し難いレベル、および/または可搬型電気エネルギー貯蔵セルの構成要素に対する損傷の変化が発生し得るレベルまで上昇し得る。不安定または損傷したセルは爆発するか、または自己発火することがある。
【0009】
熱融着(例えば、スポット溶接)は、導電性部材を可搬型電気エネルギー貯蔵セルの端子に取り付ける効果的なプロセスであるが、このようなプロセスは問題がないわけではない。例えば、可搬型電気エネルギー貯蔵セルの端子に溶接される導電性部材のサイズが小さいために、導電性部材を可搬型電気エネルギー貯蔵セルの端子と確実に接触させることが難しくなる。
【0010】
可搬型電気エネルギー貯蔵セルの故障または損傷を回避する取り組みがなされてきたにもかかわらず、電気エネルギー貯蔵セルの安定性を予測し難くする温度への電気エネルギー貯蔵セルの曝露を低減し、可搬型電気エネルギー貯蔵セルの端子に熱融着される導電性部材間のしっかりとした確実な接触を達成する必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0011】
本願に記載されている実施形態は、可搬型電気エネルギー貯蔵装置を構成する可搬用電気エネルギー貯蔵セルを電気的に接続するための電気コネクタ、該電気コネクタの製造方法、および電気コネクタを可搬型電気エネルギー貯蔵セルに取り付ける方法に関する。本願に記載されている実施形態に従う電気コネクタは、故障している可搬型電気エネルギー貯蔵セルを、故障しているセルと同じ電気コネクタに接続されている他の可搬型電気エネルギー貯蔵セルから故障しているセルに流れる電流に起因するさらなる損傷から保護するのを助ける特徴を含む。本願に記載されている実施形態の電気コネクタは、故障していない可搬型電気エネルギー貯蔵セルを、故障している可搬型電気エネルギー貯蔵セルから、故障している可搬型電気エネルギー貯蔵セルと同じ電気コネクタに接続されている故障していない可搬型電気エネルギー貯蔵セルに流れる電流に起因する損傷から保護するのを助ける特徴を含む。
【0012】
記載されている1つの態様の実施形態では、可搬型電気エネルギー貯蔵装置を構成する複数の可搬型電気エネルギー貯蔵セルの各々への電気的接続のための電気コネクタが記載されている。電気コネクタは、導電性フレームと、複数の一体型導電性タブとを含む。複数の一体型導電性タブの各々は、導電性フレームと電気的に連絡している。電気コネクタはまた、複数の一体型導電性支持体を含み、複数の導電性支持体のうちの1つの一体型導電性支持体は、複数の一体型導電性タブのうちの1つと導電性フレームとの間に延在する。本願に記載されている実施形態によれば、一体型導電性支持体は、複数の一体型導電性タブのうちの1つと導電性フレームとの間に延在し、少なくとも1つの導電性バンドを含む。少なくとも1つの導電性バンドは、一体型導電性タブのうちの1つから延在する一体型導電性支持体の別の部分の断面積より小さい断面積を有する。
【0013】
別の記載されている態様の実施形態では、一体型導電性支持体は、上面、下面、および上面から下面に延在する開口部とを含む。
【0014】
他の実施形態では、一体型導電性支持体は、第1の縁部、第2の縁部、第1の縁部と開口部との間の第1の導電性バンド、および第2の縁部と開口部との間の第2の導電性バンドを有する。
【0015】
さらに別の実施形態では、一体型導電性タブと導電性フレームとの間に延在する一体型導電性支持体は、2つの導電性バンドを含み、2つの導電性バンドの各々は、一体型導電性タブのうちの1つから延在する一体型導電性支持体の別の他の部分の断面積より小さい断面積を有する。
【0016】
別の記載されている態様の実施形態では、2つの導電性バンドの一方の断面積は、2つの導電性バンドの他方の断面積よりも小さい。
【0017】
別の記載されている態様の実施形態では、可搬型電気エネルギー貯蔵装置を構成する複数の可搬型電気エネルギー貯蔵セルの各々への電気的接続のための電気コネクタを製造する方法が説明されている。この方法は、導電性基板を提供するステップと、複数の一体型導電性タブおよび複数の一体型導電性支持体を導電性基板内に形成するステップとを含む。記載されている方法によれば、複数の一体型導電性支持体のうちの1つは一体型導電性タブの1つから延在し、導電性バンドは一体型導電性タブの1つから延在する導電性支持体内に形成される。導電性バンドは、一体型導電性タブのうちの1つから延在する一体型導電性支持体の別の部分の断面積より小さい断面積を有する。
【0018】
別の記載されている態様の実施形態では、複数の一体型導電性タブは、導電性基板の残部が位置する平面とは異なる平面に位置するように一体型導電性タブを変位させることによって形成される。
【0019】
他の実施形態では、導電性バンドを形成するステップは、複数の一体型導電性タブのうちの1つから延在する一体型導電性支持体内に2つの導電性バンドを形成するステップを含む。2つの導電性バンドの各々は、一体型導電性タブのうちの1つから延在する一体型導電性支持体の別の部分の断面積より小さい断面積を有する。
【0020】
さらに他の実施形態では、記載されている方法は、複数の一体型導電性タブのうちの1つから延在する一体型導電性支持体の一部を除去することによって、一体型導電性タブのうちの1つから延在する複数の導電性支持体のうちの1つに導電性バンドを形成するステップを含む。
【0021】
さらなる実施形態では、2つの導電性バンドのうちの一方の断面積は、2つの導電性バンドの他方の断面積よりも小さい。
【0022】
本明細書に記載されている態様の実施形態は、可搬型電気エネルギー貯蔵装置の可搬型電気エネルギー貯蔵セルに電気コネクタを取り付ける方法を含む。記載されている方法は、複数の一体型導電性タブおよび複数の一体型導電性支持体を提供し、複数の一体型導電性支持体のうちの1つは、一体型導電性タブのうちの1つから延在し、一体型導電性タブのうちの1つから延在する一体型導電性支持体の別の部分の断面積よりも小さい断面積を有する少なくとも1つの導電性バンドを含む。これらの実施形態および他の実施形態によれば、1つの一体型導電性支持体が延在する1つの一体型導電性タブが加熱され、1つの一体型導電性支持体が延在する1つの一体型導電性タブが可搬型電気エネルギー貯蔵セルに熱融着される。
【0023】
本明細書に記載されている態様のさらに他の実施形態では、一体型導電性タブのうちの1つから延在する一体型導電性支持体は、少なくとも2つの導電性バンドを含み、2つの導電性バンドの各々は、一体型導電性支持体の他の部分の断面積より小さい断面積を有する。特定の実施形態では、少なくとも2つの導電性バンドのうちの一方の導電性バンドの断面積は、少なくとも2つの導電性バンドのうちの別の導電性バンドの断面積より小さい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図面において、同一の参照番号は同様の要素または動作を示す。図面中の要素のサイズおよび相対位置は、必ずしも正確な縮尺で描かれているとは限らない。例えば、様々な要素の形状および角度は正確な縮尺で描かれておらず、これらの要素のうちのいくつかは、図面を見やすくするために任意に拡大され、位置決めされる。さらに、描かれているような要素の特定の形状は、特定の要素の実際の形状に関する情報を伝えることを意図するものではなく、図面における認識を容易にするためにのみ選択されたものである。
【0025】
【
図1】1つの非限定的な例示の実施形態に係る可搬型電気エネルギー貯蔵装置の可搬型電気エネルギー貯蔵セルに接続するための電気コネクタの等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本願の主題の特定の実施形態は例示のために本明細書に記載されているが、開示される主題の精神および範囲から逸脱することなく様々な修正がなされ得ることが理解されるであろう。したがって、本願の主題は、添付の請求項によって限定される場合を除いて限定されない。
【0027】
以下の説明では、開示される様々な実施形態の完全な理解を提供するために、特定の具体的詳細について述べる。しかし、当業者であれば、これらの具体的詳細の1つまたは複数を用いずに、または他の方法、構成要素、材料などを用いて実施形態が実施され得ることを認識するであろう。他の例では、可搬型電気エネルギー貯蔵セル(例えば、電池)に関連する周知の構造は、実施形態の不必要に不明瞭な説明を避けるために詳細に示されていない、または記載されていない。
【0028】
文脈上他の意味に解すべき場合を除き、明細書および特許請求の範囲全体を通して、「~を備える(comprise)」およびその変形(「comprises」および「comprising」)は、「~を含むが、これらに限定されない」のようなオープンな包括的な意味で解釈されるべきである。
【0029】
本明細書全体を通して、「一実施形態(「one embodiment」または「an embodiment」)は、実施形態に関連して説明した特定の特徴、構造、または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な箇所における「一実施形態では(「in one embodiment」または「in an embodiment」)という表現は、必ずしも全て同じ実施形態について言及しているというわけではない。
【0030】
第1、第2、および第3などの序数の使用は、必ずしも順序の順位付けの意味を示しているのではなく、むしろ単に動作または構造の複数の例を区別し得るものである。
【0031】
可搬型電力貯蔵装置または電気エネルギー貯蔵装置とは、電力を貯蔵し、貯蔵された電力を放出することができる任意の装置(電池、スーパーキャパシタ、またはウルトラキャパシタを含むが、これらに限定されない)および複数の該装置からなるモジュールを意味する。可搬型電気エネルギー貯蔵セル(単数または複数)とは、例えば、充電式もしくは二次電池セル(ニッケルカドミウム合金電池セルまたはリチウムイオン電池セルを含むが、これらに限定されない)などの単数または複数の化学貯蔵セルを意味する。可搬型電気エネルギー貯蔵セルの非限定的な例は、円筒形であり、例えば、従来のAAAサイズ電池とサイズおよび形状が類似しているものとして図面に示されているが、本開示は、この図示されているフォームファクタに限定されない。
【0032】
本明細書で提供される本開示の見出しおよび要約は、便宜上のものであり、実施形態の範囲または意味を説明するものではない。
【0033】
全般的には、本開示は、電気またはハイブリッド型車両(例えば、オートバイ、スクータおよび電気自転車)、電動工具、電動芝生園芸用機器などの電気機器に電力を供給するのに適した可搬型電気エネルギー貯蔵装置であって、電気エネルギー貯蔵装置を構成する複数の電気エネルギー貯蔵セル間の導電性接続を行うための1つまたは複数の電気コネクタを含む可搬型電気エネルギー貯蔵装置の例を説明するものである。本開示はまた、該電気コネクタを製造する方法、および該電気コネクタを可搬型電気エネルギー貯蔵セルに取り付ける方法の例を説明する。本明細書内に記載されている実施形態に従う可搬型電気エネルギー貯蔵装置および電気コネクタのさらなる説明は、電気スクータで使用される可搬型電気エネルギー貯蔵装置の文脈で示されているが、本明細書内に記載されている実施形態に従う可搬型電気エネルギー貯蔵装置は、電気スクータ内での用途に限定されないことを理解されたい。さらに、可搬型電気エネルギー貯蔵装置は、複数の電気エネルギー貯蔵セルを含む単一の電気エネルギー貯蔵セルモジュールに関して、以下に説明されている。本説明は、単一の電気エネルギー貯蔵セルモジュールのみを含む電気エネルギー貯蔵装置に限定されず、単一の電気エネルギー貯蔵セルモジュールを2つ以上含む可搬型電気エネルギー貯蔵装置を包含する。
【0034】
図1を参照すると、本明細書に記載されている実施形態に従って形成された例示的な電気コネクタ100は、破線で示されているそれぞれの可搬型電気エネルギー貯蔵セル104の端子103にそれぞれ接続するための複数の一体型導電性タブ102を含む導電性部材である。図示されていないが、例示的な実施形態では、可搬型電気エネルギー貯蔵セル104は、電気自動車のような電動装置に電力を供給するための可搬型電気エネルギー貯蔵装置の一部を構成する可搬型電気エネルギー貯蔵セルのアレイまたはモジュールを備える。電気コネクタ100は、複数の一体型導電性支持体106A~106Hを含む。複数の一体型導電性支持体106A~106Hのうちの1つは、それぞれの複数の一体型導電性タブ102A~102Hのうちの1つと、電気コネクタ100の導電性フレーム108との間に延在する。一体型導電性支持体106A~106Hは、一体型導電性タブ102A~102Hと導電性フレーム108との間の電気的連絡(すなわち、電気的接続)を行う。
図1に示されている例示的な実施形態では、個々の導電性支持体106A~106Hのいくつかの形状が異なる。本明細書に記載されている電気コネクタの実施形態に従う個々の導電性支持体の形状は、
図1に示されているものとは異なり得ることを理解されたい。例えば、個々の導電性支持体の全ての形状は同じであり得、または本明細書に記載されている実施形態に従ういずれの個々の導電性支持体の形状も異なり得る。
【0035】
電気コネクタ100は、導電性材料、例えば、金属または金属合金から形成される。例示的な金属または金属合金は、ニッケルおよびニッケル合金を含むが、記載されている実施形態は、ニッケルおよびニッケル合金に限定されず、可搬型電気エネルギー貯蔵セルの端子に熱融着され得る他の導電性材料を含む。さらに
図3を参照すると、図示されている例示的な実施形態では、本明細書で使用されているような導電性フレーム108は、
図3の線110によって概略的に示されている平面109を実質的に画定する電気コネクタ100の部分を指す。
図3に示されているように、一体型導電性タブ102A~102Hは、線114によって概略的に示されている第2の平面112内にある。
図1および
図3において、平面109は、平面112から離間されており、平面112より上にある。一体型導電性支持体106A~106Hは、それぞれの一体型導電性タブ102A~102Hと導電性フレーム108との間に延在し、実質的に平面109内または平面112に位置しない電気コネクタ100の部分を含む。
【0036】
一体型導電性パッド102A~102Hの例示的な形状は
図1~
図4に示されているが、一体型導電性パッド102A~102Hは
図1~
図4に示されているものとは形状が異なり得ると理解される。例えば、一体型導電性パッド102A~102Hは、正方形、長方形、三角形、楕円形、および他の多角形および非多角形の形状とし得る。
【0037】
一体型導電性支持体106A~106Hの特徴の以下の説明は、一体型導電性支持体106Aのみに関して行われているが、以下の説明は各々の導電性支持体106A~106Hに等しく適用可能である。
図1、
図3、および
図4に示されているように、一体型導電性支持体106A~106Hは、平面109(導電性フレーム108が位置する)から平面112(一体型導電性タブ102A~102Hが位置する)まで延在する。一体型導電性支持体106Aは、電気コネクタ100に関して上述したような導電性材料から形成される。一体型導電性支持体106Aは、導電性支持体106Aの長さに沿って一定の幅を有するセクションを含む。例えば、
図2において、導電性支持体106Aの幅は、輪郭線間で一定であり、輪郭線をわずかに超えている。一体型導電性支持体106Aは、少なくとも第1の導電性バンド116と第2の導電性バンド118とを含む。一体型導電性支持体106Aは、2つの導電性バンド116、118を含むものとして示されているが、一体型導電性支持体106Aは、それより少ないまたはそれより多い導電性バンドを含み得ることを理解されたい。例えば、一体型導電性支持体106Aは、1つの導電性バンドのみを含んでよく、または2つ以上の導電性バンドを含んでよい。導電性支持体106Aが1つの導電性バンドのみを含む場合、導電性支持体106Aが2つ以上のバンドを含む場合と比較して、導電性支持体106Aはバンドの長手方向軸に沿ってより自由に回転することができる。このようにして導電性支持体106Aを回転させることにより、導電性タブ102Aは、導電性タブ102Aのより小さい部分がその下にある可搬型電気エネルギー貯蔵セルの端子と直接接触するように傾斜する。導電性タブ102Aとその下にある可搬型電気エネルギー貯蔵セルの端子との接触面積が小さくなると、タブ102Aをその下にあるセルの端子に熱融着するために利用可能な面積が小さくなり、その結果、確実な取り付けを達成することがより困難になる。導電性支持体106Aが2つ以上の導電性バンドを含む場合、導電性支持体106Aは、1つの導電性バンドのみが存在する場合に比べて、より多くの点で拘束され、その結果、導電性支持体106Aのバンドの長手方向軸に沿った回転し易さが低減される。導電性支持体106Aの回転し易さを拘束することにより、導電性タブ102Aがその下にある可搬型電気エネルギー貯蔵セルの端子の上面との平行な状態から傾けられ得る程度が低減される。導電性タブ102Aがその下にある可搬型電気エネルギー貯蔵セルの端子の上面との平行な状態から傾けられ得る程度を低減することによって、熱融着に利用可能な面積の減少が低減され、その結果、確実な取り付けがより容易になる。導電性バンドの数が増えると、導電性支持体106Aの回転の回転自由度が低下する。
【0038】
図1~
図4に示されている実施形態では、一体型導電性支持体106Aは、上面121から下面122まで一体型導電性支持体106Aを貫通する開口部120を含む。第1の導電性バンド116は、一体型導電性支持体106Aの縁部123と開口部120との間に延在する。縁部123は、対応する開口部120に対向して位置する外縁部である。第2の導電性バンド118は、一体型導電性支持体106Aの別の縁部125と開口部120との間に延在する。縁部125は、対応する開口部120に対向して位置する外縁部である。開口部120は、楕円形として示されているが、開口部120は、多角形または他の非多角形のような異なる形状を有してよく、楕円形に限定されないことを理解されたい。さらに、一体型導電性支持体106A内の開口部120の位置は、図面に示されている位置に限定されない。例えば、開口部120は、導電性タブ102Aにより近く、または導電性タブ102Aからさらに離して、一体型導電性支持体106A内に位置決めされ得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、開口部120は、一体型導電性支持体106A~106Hのそれぞれの内部に設けられ、対応するバンド116、118間に延在する。バンド116、118の外縁部間の距離は、一体型導電性支持体106A~106Hのそれぞれの中で開口部120が貫通しない部分の幅に実質的に等しい。いくつかの実施形態では、開口部120は、一体型導電性支持体106A~106Hのそれぞれの内部に形成され、対応するバンド116、118間に延在する。これらの実施形態では、バンド116、118の外縁部間の距離は、一体型導電性支持体106A~106Hのそれぞれの中で開口部120が貫通しない部分の幅よりも小さい。いくつかの実施形態では、開口部120は、一体型導電性支持体106A~106Hのそれぞれの内部に形成され、対応するバンド116、118間に延在する。これらの実施形態では、バンド116、118の外縁部間の距離は、一体型導電性支持体106A~106Hのそれぞれの中の開口部120が貫通しない部分の幅よりも大きい。
【0040】
図5を参照すると、第1の導電性バンド116は、一体型導電性支持体106Aの他の部分の断面積よりも小さい断面積を有する。第1の導電性バンド116の断面積よりも大きな断面積を有する一体型導電性支持体106Aの部分は、
図1および
図2に示されている部分124A、124B、124Cを含む。部分124A、124B、124Cは、一体型導電性支持体106Aの中で開口部120が貫通しない部分である。同様にして、第2の導電性バンド118は、一体型導電性支持体106Aの別の部分の断面積よりも小さい断面積を有する。バンド116、118の断面積は等しい断面積として示されているが、本明細書に記載されている実施形態は、等しい断面積を有するバンドに限定されない。例えば、1つの導電性バンドは、導電性支持体の一部を構成する他の導電性バンドよりも小さい断面積を有してよい。より小さな断面積を有する導電性バンドは、閾値量以上の電流がバンドを通って流れたときに、(大きい断面積を有するバンドと比較して)より容易に溶融する、または「破損する(fry)」。導電性バンドの溶融または破損は、導電性バンドがそれぞれの導電性タブによって接続されている可搬型電気エネルギー貯蔵セルを電気的に絶縁する。
【0041】
本明細書に記載されている実施形態に従って形成された電気コネクタに含まれるバンド116および/またはバンド118は、バンド(単数または複数)を通って流れる電流が閾値レベルを超えたときに、可搬型電気エネルギーセルを同じコネクタに取り付けられている他の可搬型電気エネルギー貯蔵セルから電気的に絶縁することができる。例えば、電気コネクタに接続されている個々の可搬型電気エネルギー貯蔵セルが故障した場合に、同じ電気コネクタに接続されている他の可搬型電気エネルギー貯蔵セルからの電流が、電気コネクタを介して故障したセルに流れ得る。本明細書に記載されている実施形態によれば、バンド116、118は、電流が非常に大きくなり閾値レベルを超え、バンド(単数または複数)が電流を維持することができなくなるまで、この電流フローを維持する。これが起こると、バンド(単数または複数)は機能しなくなり(例えば、溶融または「破損」し)、その結果、故障したまたは故障している可搬型電気エネルギー貯蔵セルへの電流経路の遮断を引き起こす。この電流経路の遮断は、故障しなかった可搬型電気エネルギーセルからの電流が、故障したまたは故障している可搬型電気エネルギー貯蔵セルをさらに損傷するのを防止する。また、遮断は、故障したまたは故障している可搬型電気エネルギー貯蔵セルから放出された電気エネルギーが、故障したまたは故障しているセルと同じ電気コネクタに接続されている他の可搬型電気エネルギー貯蔵セルに流れて、それを損傷するのを防止する。
【0042】
バンド116、118の断面積は、バンドが、高負荷条件を含む可搬型電気エネルギー装置によって電力供給されている装置の通常の動作条件下で必要とされる最小限の電流を維持するのに十分な大きさでなければならない。一方、バンド116、118の断面積は、閾値レベルを超える電流レベルがバンドを通って流れ始めたときに、バンド(単数または複数)が溶融または破損しないほど大きくすべきではない。例示的な電流閾値レベルは、電気コネクタに接続されている故障したまたは故障している電気エネルギー貯蔵セルが存在しない状態で、可搬型電気エネルギー貯蔵装置によって電力供給される装置の通常の動作条件下で流れる電流量よりも多い電流量である。例えば、電流閾値レベルは、(電気コネクタに接続されている)故障したまたは故障している電気エネルギー貯蔵セルに、同じ電気コネクタに接続されている故障しなかったまたは故障していない電気エネルギー貯蔵セルから流れる電流量(通常動作条件下でバンドを通って流れる電流よりも多い)である。別の例示的な実施形態では、電流の閾値レベルは、電気コネクタに接続されている故障したまたは故障している電気エネルギーセルから、故障していない他の電気エネルギー貯蔵セルに流れる電流量(通常動作条件下でバンドを通って流れる電流よりも多い)である。
【0043】
何らかの理論に制約されることを意図するのではないが、可搬型電気エネルギー貯蔵セルの不安定性および/または故障をもたらす要因は、可搬型電気エネルギー貯蔵セルが曝される熱エネルギーの量であると考えられる。可搬型電気エネルギーセルが曝される熱エネルギーの量は、可搬型電気エネルギーセルが上昇する温度に影響を及ぼす。可搬型電気エネルギー貯蔵セルの温度が上昇するにつれて、セルの安定性が予測し難くなり、可搬型電気エネルギー貯蔵セルの内部または外部の構成要素に対する損傷のリスク、および/またはセルカソードが電解質溶液と反応して電解質溶液を分解し得るリスクが増大する。カソードと電解質との反応は、熱エネルギーおよび炭化水素などの反応性ガスの別の望ましくない発生源を生成する。このような条件下では、これらのガスは、セル内の内圧を上昇させ、潜在的に酸素存在下でのセル電解質の発火または隣接セルの温度の望ましくないレベルまでの上昇をもたらすレベルまでセルの温度をさらに上昇させる。
【0044】
本明細書に記載されている実施形態に従って形成された電気コネクタに接続されている可搬型電気エネルギー貯蔵セルが故障すると、故障しているセルから流れる電流によって、同じ電気コネクタに接続されている他の可搬型電気エネルギー貯蔵セルの温度が上昇し得る。あるいは、故障しているセルが取り付けられている電気コネクタに接続されている他の故障していない可搬型電気エネルギー貯蔵セルからの電気エネルギーは、故障していないセルまたは故障しているセルの温度を上昇させ得る。故障していないセルまたは故障しているセルの温度のこのような上昇により、セルがより不安定になり、より故障し易くなる。
【0045】
記載されている主題の他の態様に従う実施形態は、可搬型電気エネルギー貯蔵装置を構成する複数の可搬型電気エネルギー貯蔵セルへの電気的接続のための電気コネクタを製造する方法を含む。開示されている実施形態の態様に従う電気コネクタは、ニッケルまたはニッケル合金を含む金属または金属合金のような導電性材料から製造される。例示的な実施形態では、電気コネクタは、導電性基板から製造される。導電性基板は、一体型導電性タブ、一体型導電性支持体、および一体型導電性バンドを形成するために金属加工技術を使用して機械加工される。金属加工技術の例には、曲げ加工、プレス加工、フライス加工、および切削加工が含まれる。有用な切削加工技術の例には、レーザまたはプラズマ切断が含まれ、有用なフライス加工技術の例には、コンピュータ数値制御(すなわち、CNC)機械加工の使用が含まれる。このような技術は、導電性基板から、複数の一体型導電性タブ、複数の一体型導電性支持体、導電性バンド、および導電性フレームを形成するために使用される。本明細書に記載されている実施形態によれば、切削加工技術またはフライス加工技術は、一体型導電性タブのうちの1つから延在する複数の導電性支持体のうちの1つに、1つまたは複数の導電性バンドを形成するために使用される。導電性バンドの各々は、一体型導電性タブのうちの1つから延在する一体型導電性支持体の別の部分の断面積より小さい断面積を有する。これらの導電性バンドは、一体型導電性支持体を貫通する開口部または隙間を形成すること、または一体型導電性支持体の縁部の一部を除去することを含む多くの方法で形成され得る。バンド形成は、導電性支持体の開口部の形成または縁部の除去に限定されない。バンドは、他の技術を用いて形成され得る。
【0046】
曲げ加工技術または成形技術を使用して、導電性フレームを構成する導電性基板の部分が位置する平面とは異なる平面に導電性タブが位置するように導電性基板を成形してよい。
【0047】
例示的な実施形態によれば、一体型導電性タブは、熱融着技術(例えば、スポット溶接またはプロジェクション溶接)を用いて可搬型電気エネルギー貯蔵セルの端子に取り付けられる。そのような技術は、例えば、抵抗加熱を介して導電性タブに熱エネルギーを発生させる。熱エネルギーは、タブ内の別個の位置の温度を、一体型導電性タブが導電性タブと接触する可搬型電気エネルギー貯蔵セルの端子に熱融着する(例えば、溶接される)レベルまで上昇させる。一体型導電性タブを可搬型電気エネルギー貯蔵セル端子に熱融着するのに必要な温度は、ある程度、一体型導電性タブおよび可搬型電気エネルギー貯蔵セル端子の組成、導電性タブの厚さ、および熱融着を完了するための目標時間に依存する。熱融着プロセスは、タブおよび端子の温度が、これら2つの効果的な取り付けを行うのに十分に上昇するように制御されるべきであるが、その端子を含めて電気エネルギー貯蔵セルに対する損傷が発生する、またはその損傷がセル内の望ましくない化学反応が始まるほど大きく、または長時間維持されるほど、タブおよび端子の温度が高くならない、または時間が長くならないように制御されるべきである。本明細書に記載されているタイプの電気コネクタを利用した、本明細書に記載されている実施形態に従う方法を実施することにより、一体型導電性タブを可搬型電気エネルギー貯蔵セル端子に確実に取り付けることができる。本明細書に記載されている実施形態に従って形成された電気コネクタは、故障しているまたは故障した可搬型電気エネルギー貯蔵セルを同じ電気コネクタに接続されている他のセルから電気的に絶縁することができる。故障しているまたは故障したセルを他のセルから電気的に絶縁することにより、他のセルが高温になるために損傷する、または不安定になる可能性が低減される。
【0048】
一体型導電性タブを電気エネルギー貯蔵セルの端子に取り付けるための例示的な技術は、スポット溶接を含む。スポット溶接機は、電極を導電性タブと少なくとも2箇所で接触させる。電極間の電位により、電極と導電性タブとの接触点を通って電流が流れる。電極と導電性タブとの間の接触面積が小さいために、接触点を通って流れる電流が大きくなる。これらの大きな電流は、導電性タブの一部を溶融させる。電極からの圧力は、導電性タブの溶融部分がその下にある電気エネルギー貯蔵セル端子に融着するのを助長する。
【0049】
上述の発明を実施するための形態では、概略図および実施例を使用して、装置の様々な実施形態について説明した。このような概略図および実施例が1つまたは複数の機能および/または動作を含む限り、当業者であれば、そのような構造および実施例における各機能および/または動作は、広範囲のハードウェアおよびそれらの組み合わせによって、個別におよび/または集合的に、実現され得ることを理解するであろう。上述の様々な実施形態は、さらに別の実施形態を実現するために組み合わせられ得る。本明細書内で言及され、および/または出願データシートに列挙されている全ての米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、および非特許文献は、それらの内容全体を参照により本願明細書に引用したものとする。実施形態の態様は、必要に応じて、さらに別の実施形態を実現するために様々な特許、出願、および文献の概念を採用するように修正され得る。
【0050】
本明細書の教示は、全電気式スクータおよび/またはオートバイのような個人用輸送車で使用するための動力系統の環境および背景において一般的に説明されているが、他の車両環境および非車両環境を含む広範囲の他の環境においても適用可能である。さらに、例示および説明は、特定の形状および向きに関して示されているが、包括的であることを意図するものではない、または実施形態を図示されている正確な形態に限定することを意図するものではない。例えば、電気エネルギー貯蔵セルは円柱形である必要はなく、正方形柱形、正方形箱形または長方形箱形のような異なる形状をとることができる。同様に、1つの電気エネルギー貯蔵セルモジュールを利用する実施形態が例示され、説明されているが、その説明は包括的であることを意図するものではない、または本明細書に記載されている実施形態をそのような正確な構成に限定することを意図するものではない。例えば、電気エネルギー貯蔵セルモジュールは、並べて配置され、断熱材料の層および弾性材料の層を含む電気エネルギー貯蔵セル障壁によって分離され得る。要約書に記載されているものを含む例示の実施形態の上記説明は、包括的であることを意図するものではない、または実施形態を開示されている正確な形態に限定することを意図するものではない。特定の実施形態および実施例は、説明のために本明細書に記載されているが、当業者であれば理解するように、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、さまざまな等価な修正がなされ得る。
【0051】
一般に、以下の特許請求の範囲において、使用される用語は、特許請求の範囲を明細書および特許請求の範囲に開示されている特定の実施形態に限定するものであると解釈されるべきではなく、そのような特許請求の範囲に含まれる均等物の全範囲とともに可能な全ての実施形態を含むと解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲は、本開示によって制限されない。