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特許7110310画像収集設備の監視方法、装置、電子設備、記憶媒体、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-22
(45)【発行日】2022-08-01
(54)【発明の名称】画像収集設備の監視方法、装置、電子設備、記憶媒体、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/01 20060101AFI20220725BHJP
   G08G 1/04 20060101ALI20220725BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20220725BHJP
   G16Y 40/10 20200101ALI20220725BHJP
   G16Y 40/20 20200101ALI20220725BHJP
【FI】
G08G1/01 A
G08G1/04 D
G16Y10/40
G16Y40/10
G16Y40/20
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020198534
(22)【出願日】2020-11-30
(65)【公開番号】P2021179964
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2020-11-30
(31)【優先権主張番号】202010413763.4
(32)【優先日】2020-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521208273
【氏名又は名称】阿波▲羅▼智▲聯▼(北京)科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】APOLLO INTELLIGENT CONNECTIVITY(BEIJING)TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】101, 1st Floor, Building 1, Yard 7, Ruihe West 2nd Road, Beijing Economic and Technological Development Zone, Beijing 100176, China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ジュー シアオシン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ファン
(72)【発明者】
【氏名】ワン チョンファー
(72)【発明者】
【氏名】スン ヨンイー
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-154619(JP,A)
【文献】特開2012-146259(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G16Y 10/40
G16Y 40/10
G16Y 40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像収集設備によって収集される第1ビデオ画像から、各対象車両の停止位置を決定することと、
前記各対象車両の停止位置に基づいて前記第1ビデオ画像における標示線を決定することと、
前記第1ビデオ画像における基準標示線に対する標示線のずれ量を決定し、前記ずれ量が所定の条件を満たした場合、前記画像収集設備がずれていると決定することと、を含むことを特徴とする画像収集設備の監視方法。
【請求項2】
前記対象車両の決定は、
前記第1ビデオ画像の各フレーム静止画像に現れた各車両を認識し、前記各車両の走行軌跡を取得することと、
前記各車両の走行軌跡に基づいて、走行中に停車し各第1車両を決定することと、
前方の所定範囲内に他の車両がない前記第1車両を前記対象車両と決定することと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の画像収集設備の監視方法。
【請求項3】
走行中に停車し各第1車両を決定することは、
前記各フレーム静止画像に現れた各車両の位置変化量を取得することと、
前記位置変化量が閾値よりも低い車両を第1車両と決定することと、を含むことを特徴とする請求項2に記載の画像収集設備の監視方法。
【請求項4】
前記停止位置に基づいて前記第1ビデオ画像における標示線を決定することは、
各前記対象車両の停止位置の縦座標の平均値求めることと、
統計結果に基づいて前記第1ビデオ画像における標示線を決定することと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の画像収集設備の監視方法。
【請求項5】
前記ずれ量が所定の条件を満たさない場合、前記第1ビデオ画像における標示線を用いて前記基準標示線を調整することをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の画像収集設備の監視方法。
【請求項6】
画像収集設備によって収集される第1ビデオ画像から、各対象車両の停止位置を決定する停止位置決定モジュールと、
前記各対象車両の停止位置に基づいて前記第1ビデオ画像における標示線を決定する標示線決定モジュールと、
前記第1ビデオ画像における基準標示線に対する標示線のずれ量を決定し、前記ずれ量が所定の条件を満たした場合、前記画像収集設備がずれていると決定するずれ決定モジュールと、を備えることを特徴とする画像収集設備の監視装置。
【請求項7】
前記停止位置決定モジュールは、
前記第1ビデオ画像の各フレーム静止画像に現れた各車両を認識し、前記各車両の走行軌跡を取得する走行軌跡決定サブモジュールと、
前記各車両の走行軌跡に基づいて、走行中に停車し各第1車両を決定する第1車両決定サブモジュールと、
前方の所定範囲内に他の車両がない前記第1車両を前記対象車両と決定する対象車両決定サブモジュールと、を備えることを特徴とする請求項6に記載の画像収集設備の監視装置。
【請求項8】
前記第1車両決定サブモジュールは、さらに、
前記各フレーム静止画像に現れた各車両の位置変化量を取得し、前記位置変化量が閾値よりも低い車両を第1車両と決定することに用いられることを特徴とする請求項7に記載の画像収集設備の監視装置。
【請求項9】
前記標示線決定モジュールは、
各前記対象車両の停止位置の縦座標の平均値求める座標統計サブモジュールと、
統計結果に基づいて前記第1ビデオ画像における標示線を決定する標示線決定・実行サブモジュールと、を備えることを特徴とする請求項6に記載の画像収集設備の監視装置。
【請求項10】
前記画像収集設備の監視装置は、
前記ずれ量が所定の条件を満たさない場合、前記第1ビデオ画像における標示線を用いて前記基準標示線を調整する基準標示線調整モジュールをさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の画像収集設備の監視装置。
【請求項11】
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサに通信接続されるメモリと、を備え、
前記メモリには、前記少なくとも1つのプロセッサにより実行可能な命令が記憶されており、
前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサにより実行される場合、請求項1~5のいずれか1項に記載の画像収集設備の監視方法を実行させることを特徴とする電子設備。
【請求項12】
請求項1~5のいずれか1項に記載の画像収集設備の監視方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータ命令を記憶した非一過性のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項13】
コンピュータにおいて、プロセッサにより実行される場合、請求項1~5のいずれか1項に記載の画像収集設備の監視方法を実現することを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータビジョン分野に関し、特に、画像収集設備の監視方法、装置、電子設備、記憶媒体、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオ監視のシーンでは、画像収集設備によって収集されるビデオ画像に良好な監視視野を有させるために、画像収集設備が設置される位置、向き角度はいずれも事前の計測により決定されたものである。
【0003】
外力等の予期せぬ状況により、画像収集設備の位置や向き角度にずれが発生した場合、監視に影響を与える。従来技術では、作業者が画像収集設備の偏差を定期的に監視する必要がある。しかし、手動検出は、効率が低い一方、基準物がないため、監視精度が高くない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来技術における1つ又は複数の技術的課題を解決するための画像収集設備の監視方法、装置、電子設備及び記憶媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1態様は、画像収集設備の監視方法を提供し、当該方法は、
画像収集設備によって収集される第1ビデオ画像から、各対象車両の停止位置を決定することと、
各対象車両の停止位置に基づいて第1ビデオ画像における標示線を決定することと、
第1ビデオ画像における基準標示線に対する標示線のずれ量を決定し、ずれ量が所定の条件を満たした場合、画像収集設備がずれていると決定することと、を含む。
【0006】
上記の第1態様によれば、第1ビデオ画像における標示線と基準標示線とのずれ量を計算し、計算結果に基づいて画像収集設備のずれ状態を決定することにより、手動検出の作業量を軽減することができる。基準標示線があるため、ずれ量の監視精度を高めることができる。
【0007】
一実施形態において、対象車両の決定は、
第1ビデオ画像の各フレーム静止画像に現れる各車両を認識し、各車両の走行軌跡を取得することと、
各車両の走行軌跡に基づいて、走行中に停車したことのある各第1車両を決定することと、
前方の所定範囲内に他の車両がない第1車両を対象車両として決定することと、を含む。
【0008】
この実施形態によれば、車両認識と追跡技術を用いて、標示線を決定するための対象車両を自動的に確認することができる。
【0009】
一実施形態において、走行中に停車したことのある各第1車両を決定することは、
各フレーム静止画像における各車両の位置変化量を取得することと、
位置変化量が閾値よりも低い車両を第1車両として決定することと、を含む。
【0010】
この実施形態によれば、走行中に停車したことのある各車両を的確に選出することができる。
【0011】
一実施形態において、停止位置に基づいて第1ビデオ画像における標示線を決定することは、
各対象車両の停止位置の座標を統計することと、
統計結果に基づいて第1ビデオ画像における標示線を決定することと、を含む。
【0012】
この実施形態によれば、所定の数の対象車両の停止位置を用いて交差点の停止線の位置をマイニングすることができ、停止線を画像における標示線とすることで、画像における標示線を自動的に認識することができる。
【0013】
一実施形態において、
ずれ量が所定の条件を満たさない場合、第1ビデオ画像における標示線を用いて基準標示線を調整することをさらに含む。
【0014】
この実施形態によれば、標示線のサンプル数が十分に多い場合、基準標示線に対する調整結果を標示線の実際の状況に近づけることができる。
【0015】
本発明の第2態様は、画像収集設備の監視装置を提供し、当該装置は、
画像収集設備によって収集される第1ビデオ画像から、各対象車両の停止位置を決定するための停止位置決定モジュールと、
各対象車両の停止位置に基づいて第1ビデオ画像における標示線を決定するための標示線決定モジュールと、
第1ビデオ画像における基準標示線に対する標示線のずれ量を決定し、ずれ量が所定の条件を満たした場合、画像収集設備がずれていると決定するためのずれ決定モジュールと、を備える。
【0016】
一実施形態において、停止位置決定モジュールは、
第1ビデオ画像の各フレーム静止画像に現れる各車両を認識し、各車両の走行軌跡を取得するための走行軌跡決定サブモジュールと、
走行軌跡に基づいて、走行中に停車したことのある各第1車両を決定するための第1車両決定サブモジュールと、
前方の所定範囲内に他の車両がない第1車両を対象車両として決定するための対象車両決定サブモジュールと、を備える。
【0017】
一実施形態において、第1車両決定サブモジュールは、さらに、
各フレーム静止画像における各車両の位置変化量を取得し、位置変化量が閾値よりも低い車両を第1車両として決定するために用いられる。
【0018】
一実施形態において、標示線決定モジュールは、
各対象車両の停止位置の座標を統計するための座標統計サブモジュールと、
統計結果に基づいて第1ビデオ画像における標示線を決定するための標示線決定・実行サブモジュールと、を備える。
【0019】
一実施形態において、
ずれ量が所定の条件を満たさない場合、第1ビデオ画像における標示線を用いて基準標示線を調整するための基準標示線調整モジュールをさらに備える。
【0020】
本発明の第3態様は、電子設備を提供し、
少なくとも1つのプロセッサと、
少なくとも1つのプロセッサと通信接続するメモリと、を備え、
メモリには、少なくとも1つのプロセッサにより実行される命令が記憶されており、
命令は、少なくとも1つのプロセッサにより実行される場合、本発明のいずれか1項の実施形態に提供される方法を実行させる。
【0021】
本発明の第4態様は、本発明のいずれか1項の実施形態に提供される方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータ命令を記憶した非一過性のコンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【0022】
上記の選択可能な実施形態によるその他の効果については、具体的な実施形態を参照しながら後述する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
添付図面は、本方案をより良く理解するためのものであり、本発明を限定するものではない。
図1】本発明による画像収集設備の監視方法のフローチャートである。
図2】本発明により対象車両を決定するフローチャートである。
図3】本発明により第1ビデオ画像における標示線を決定するフローチャートである。
図4】本発明による画像収集設備の監視装置の模式図である。
図5】本発明による停止位置決定モジュールの模式図である。
図6】本発明による標示線決定モジュールの模式図である。
図7】本発明の実施形態における画像収集設備の監視方法を実現するための電子設備のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の例示的な実施形態について説明するが、理解を容易にするために本発明の実施形態の様々な詳細が含まれており、それらは単なる例示的なものと見なすべきである。したがって、当業者は、本発明の範囲及び旨から逸脱することがなく、本発明の明細書に記載された実施形態に対して様々な変更及び修正を行うことができることを理解すべきである。同様に、以下の説明では、明瞭かつ簡潔のために、公知の機能及び構造についての説明を省略する。
【0025】
図1に示すように、一実施形態に提供される画像収集設備の監視方法は、
画像収集設備によって収集される第1ビデオ画像から、各対象車両の停止位置を決定するステップS101と、
各対象車両の停止位置に基づいて第1ビデオ画像における標示線を決定するステップS102と、
第1ビデオ画像における基準標示線に対する標示線のずれ量を決定し、ずれ量が所定の条件を満たした場合、画像収集設備がずれていると決定するステップS103と、を含む。
【0026】
本発明では、上記ステップは、サーバ又はクラウドプロセッサなどのデータ処理設備により実現することができる。データ処理設備は、対象領域に設置された全ての画像収集設備によってアップロードされた情報を受信する。アップロード情報に対する分析に基づいて、各画像収集設備のずれ状態を検出することができる。
【0027】
第1ビデオ画像は、連続する複数のフレーム静止画像を含み得る。例えば、1時間以内の連続する複数のフレーム静止画像、1日以内の連続する複数のフレーム静止画像などを含み得る。静止画像は、非連続の複数のフレームであってもよいことを理解するのは難しくない。
【0028】
第1ビデオ画像の各フレーム静止画像内の全ての車両を認識して、対象車両を決定する。認識方法は、ナンバープレート認識、車体色認識、車体パターン認識、又は車種認識などのうちの1つ又は複数を含み得る。
【0029】
車両を認識することにより、異なる車両に識別子(ID、Identity Document)を割り当てて区別することができる。認識された各車両から、標示線を決定するための車両を選出し、本実施形態では、このような車両を対象車両と呼ぶ。選出プロセスは、各車両の走行軌跡に基づいて、走行中に停止したことのある車両を決定することを含むようにしてもよい。そして、停止したことのある各車両から前列に停止した車両、即ち前方に他の車両がない対象車両を選出する。
【0030】
一般に、赤信号のために交差点の第1列に停止している対象車両は、車頭が停止線を踏む。これに基づいて、所定の数の対象車両の停止位置に基づいて、第1ビデオ画像から停止線を一本得られる。当該停止線は、第1ビデオ画像における標示線とすることができる。
【0031】
また、各車両の走行軌跡を取得した場合には、走行軌跡に基づいて車線を生成することもできる。例えば、車道の幅は、ビデオ画像のサンプルから事前に測定され得る。ビデオ画像内で走行軌跡を車道の幅に基づいて拡大することにより、走行軌跡から車道を得る。車道の両側にそれぞれの車線をマーキングして、第1ビデオ画像における標示線とする。
【0032】
第1ビデオ画像における標示線を基準標示線と比較して、第1ビデオ画像における標示線のずれ量が所定の条件を満たすか否かを決定する。所定の条件は、標示線の一致度が閾値未満であること、傾斜差が閾値を超えることなどであることができる。所定の条件を満たす場合には、画像収集設備がずれていると決定することができる。ここで、ずれは、位置、角度の変更を含むが、これらに限定されない。
【0033】
ここで、基準標示線は、第1ビデオ画像における標示線と同じ決定方法を採用することができる。例えば、画像収集設備の取り付けが完了してから1日目又は1ヶ月目に、対応する時間の複数のフレームの静止画像を認識し、認識によって得られた標示線を基準標示線としてもよい。
【0034】
又は、画像収集設備の取り付けが完了した後、事前に訓練済みの標示線認識モデルを用いてビデオ画像における標示線を認識し、認識結果を基準標示線とする。
【0035】
さらに、手動でマーキングする方法を採用してもよい。例えば、画像収集設備の取り付けが完了した後、作業者が当該画像収集設備によって収集されたビデオ画像に対して停止線をマーキングし、マーキング結果を基準標示線とする。
【0036】
判断の正確性を高めるため、第1ビデオ画像における標示線と基準標示線とのずれ量が所定の条件を満たした場合、第1ビデオ画像に標示線を決定する方法と同じ方法を用いて、第2ビデオ画像、第3ビデオ画像などのビデオ画像内に標示線を決定することができる。
【0037】
第2ビデオ画像、第3ビデオ画像などのビデオ画像における標示線をそれぞれ基準標示線と比較し、複数回の比較結果のいずれも基準標示線からのずれ量が所定の条件を満たした場合、画像収集設備がずれていると決定することができる。
【0038】
この実施形態によれば、第1ビデオ画像における標示線を基準標示線と比較し、比較結果に基づいて画像収集設備のずれ状態を決定することにより、手動検出の作業量を軽減することができる。基準標示線の設置により、ずれ量の監視精度を高めることができる。
【0039】
図2に示すように、一実施形態において、対象車両を決定することは、
第1ビデオ画像に現れた各フレーム画像内の各車両を認識して、各車両の走行軌跡を取得するS201と、
各車両の走行軌跡に基づいて、走行中に停車したことのある各第1車両を決定するS202と、
前方の所定範囲内に他の車両がない第1車両を対象車両として決定するS203と、を含む。
【0040】
認識された第1車両に対して、第1ビデオ画像の各フレーム静止画像における第1車両の位置に基づいて、当該第1車両の走行軌跡を得ることができる。例えば、Nフレーム目の静止画像にID1と識別された車両が初めて検出されると、Nフレーム目の静止画像の後の、ID1と識別された車両を含む他のフレーム静止画像内に、ID1と識別された車両の位置をそれぞれ決定することができる。各位置は、1つの画素点又は画素ブロックとして抽象化し、各位置に対してフィッティングを行い、ID1と識別された車両の走行軌跡を得ることができる。
【0041】
走行軌跡に基づいて、ID1と識別された車両が走行中に停車したことがあるか否かを決定することができる。停車したことがある場合、ID1と識別された車両を第1車両、即ちID1と識別された第1車両と決定することができる。
【0042】
さらに、ID1と識別された第1車両が停車したときに、その前方に他の車両の有無を判断する必要がある。他の車両がない場合、ID1と識別された第1車両を対象車両として決定することができる。例えば、範囲閾値又は距離閾値を設定することができる。範囲閾値又は距離閾値内にID1と識別された第1車両の前方に他の車両の有無を検出する。他の車両がない場合には、ID1と識別された第1車両が停車したときに、その前方に他の車両がないと決定することができる。
【0043】
一般に、赤信号の場合、車両が走行中に停車することがある。上記の判断プロセスにより、交差点に停車した1列目の車両を選出することができる。選出された対象車両の停止位置を用いて、後続のステップで停止線の位置を決定すること、即ち標示線の位置を決定することができる。
【0044】
この実施形態によれば、車両認識及び追跡技術を用いて、標示線を決定するための対象車両を自動的に確認することができる。
【0045】
一実施形態において、走行中に停車したことのある各第1車両を決定することは、
各フレーム静止画像における各車両の位置変化量を取得し、位置変化量が閾値よりも低い車両を第1車両として決定することを含む。
【0046】
ID1と識別された車両を例として説明する。Nフレーム目の静止画像でID1と識別された車両が初めて検出されると、N+1フレーム目の静止画像から、各フレームの静止画像を全部1つずつ調べて、ID1と識別された車両を含む各フレーム静止画像を選出する。
【0047】
選出された各フレーム静止画像内にID1と識別された車両の位置を決定する。ID1と識別された車両の、所定の数の静止画像内における位置変化量が閾値よりも低い場合には、ID1と識別された車両が走行中に停車することがあると決定できる。所定の数は30フレーム、50フレームなどであってもよい。
【0048】
ID1と識別された車両の、所定の数の静止画像における位置変化量を、静止画像から直接決定することができる。例えば、静止画像において、ID1と識別された車両の認識結果は、1つの検出枠であってもよく、検出枠内に車両の識別子を標記する。検出枠の中心点をID1と識別された車両の位置としてもよい。ID1と識別された車両の検出枠の中心点の、各フレーム静止画像における座標に基づいて、ID1と識別された車両の位置変化量が得られる。
【0049】
また、ID1と識別された車両の、各フレーム静止画像における位置をワールド座標系に換算することにより、ID1と識別された車両の位置変化量を決定してもよい。
【0050】
この実施形態によれば、走行中に停車したことのある車両を正確に識別することができる。
【0051】
図3に示すように、一実施形態において、停止位置に基づいて第1ビデオ画像における標示線を決定することは、
各対象車両の停止位置の座標を統計するS301と、
統計結果に基づいて第1ビデオ画像における標示線を決定するS302と、を含む。
【0052】
画像において、各対象車両の認識結果は1つの検出枠であることができる。対象車両の進行方向に応じて検出枠の前方、後方を決定することができる。検出枠の前方を対応する対象車両の車頭位置とし、車頭位置を停止位置としてもよい。
【0053】
対象車両が第1ビデオ画像の上辺縁から入って、下辺縁から出ることを例とする。各対象車両は交差点に並列に停止するため、第1ビデオ画像における各対象車両の停止位置の縦座標間の差は大きくない。これに基づいて、各対象車両の停止位置の縦座標の平均値を統計することができる。縦座標は静止画像内の座標であってもよく、例えば、各フレームの静止画像の左下隅の画素点を座標の原点としてもよい。縦座標の平均値に基づいてビデオ画像内に水平線分を得ることができる。当該水平線分は、標示線、即ち停止線とされてもよい。
【0054】
この実施形態によれば、所定の数の対象車両の停止位置を用いて、交差点の停止線の位置をマイニングすることができる。停止線を画像における標示線とすることにより、画像における標示線を自動的に認識することができる。
【0055】
一実施形態において、当該方法は、さらに、
ずれ量が所定の条件を満たさない場合、第1ビデオ画像における標示線を用いて基準標示線を調整することを含む。
【0056】
第1ビデオ画像における標示線と基準標示線とのずれ量が所定の条件を満たさない場合には、画像収集設備の位置がずれていないと決定することができる。これに基づいて、基準標示線及び第1ビデオ画像における標示線を、両方とも標示線のサンプルとすることができる。各標示線サンプルを統計し、統計結果で基準標示線を置き換えることにより、基準標示線の調整を実現する。例えば、標示線を画素点で表示する場合には、各標示線の画素点の共通集合、又は画素点の和集合などを統計してもよい。又は、各標示線の中間標示線を統計してもよい。
【0057】
この実施形態によれば、標示線のサンプルの数が十分に多い場合、基準標示線の調整結果を標示線の実際の状況に近づけることができる。
【0058】
図4に示すように、本発明は、画像収集設備の監視装置を提供し、当該装置は、
画像収集設備によって収集される第1ビデオ画像から、各対象車両の停止位置を決定するための停止位置決定モジュール401と、
各対象車両の停止位置に基づいて第1ビデオ画像における標示線を決定するための標示線決定モジュール402と、
第1ビデオ画像における基準標示線に対する標示線のずれ量を決定し、ずれ量が所定の条件を満たした場合、画像収集設備がずれていると決定するためのずれ決定モジュール403と、を備える。
【0059】
図5に示すように、一実施形態において、停止位置決定モジュール401は、
第1ビデオ画像の各フレーム静止画像に現れる各車両を認識し、各車両の走行軌跡を取得するための走行軌跡決定サブモジュール4011と、
各車両の走行軌跡に基づいて、走行中に停車したことのある各第1車両を決定するための第1車両決定サブモジュール4012と、
前方の所定範囲内に他の車両がない第1車両を対象車両として決定するための対象車両決定サブモジュール4013と、を備える。
【0060】
一実施形態において、第1車両決定サブモジュール4012は、さらに、
各車両の各フレーム静止画像における位置変化量を取得し、位置変化量が閾値よりも低い車両を第1車両として決定するために用いられる。
【0061】
図6に示すように、一実施形態において、標示線決定モジュール402は、
各対象車両の停止位置の座標を統計するための座標統計サブモジュール4021と、
統計結果に基づいて第1ビデオ画像における標示線を決定するための標示線決定・実行サブモジュール4022と、を備える。
【0062】
一実施形態において、画像収集設備の監視装置は、さらに、
ずれ量が所定の条件を満たさない場合、第1ビデオ画像における標示線を用いて基準標示線を調整するための基準標示線調整モジュールを備える。
【0063】
本発明の実施形態の各装置における各モジュールの機能は、上記方法の対応する記述を参照することができるため、ここでは説明を省略する。
【0064】
本発明の実施形態によれば、本発明は、電子設備及び可読記憶媒体をさらに提供する。
【0065】
図7に示すように、本発明の実施形態による画像収集設備の監視方法の電子設備のブロック図である。電子設備は、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ワークステーション、パーソナルデジタルアシスタント、サーバ、ブレードサーバ、大型コンピュータ、及び他の適切なコンピュータのような様々な形態のデジタルコンピュータを表すことを意図している。電子設備は、さらに、パーソナルデジタル処理、携帯電話、スマートフォン、ウェアラブルデバイス、及び他の類似のコンピューティングデバイスなどの様々な形態のモバイルデバイスを表すことができる。本明細書で示した部材、それらの接続と関係、及びそれらの機能は、例示的なものにすぎず、本明細書に説明及び/又は主張する本発明の実施を制限することを意図していない。
【0066】
図7に示すように、当該電子設備は、1つ又は複数のプロセッサ710と、メモリ720と、各部材を接続するための、高速インターフェース及び低速インターフェース含むインターフェースとを含む。各部材は、異なるバスを利用して互いに接続し、共通のマザーボードに取り付けられてもよく、必要に応じて他の方法で取り付けられてもよい。プロセッサは、電子設備で実行される命令を処理してもよく、外部入出力装置(例えば、インターフェースに結合された表示デバイス)にグラフィックユーザインターフェース(Graphical User Interface、GUI)を表示するための、メモリ又はメモリ上に記憶されたグラフィカル情報の命令を含む。他の実施形態では、必要がれば、複数のプロセッサ及び/又は複数のバスと複数のメモリとを一緒に使用してもよい。同様に、複数の電子設備を接続してもよく、各設備は、一部の必要な操作(例えば、サーバアレイ、ブレードサーバ群、又はマルチプロセッサシステムとして)を提供する。図7は、1つのプロセッサ710を例に挙げる。
【0067】
メモリ720は、本発明にて提供される非一時的なコンピュータ可読記憶媒体である。ここで、前記メモリには、本発明で提供される画像収集設備の監視方法を前記少なくとも1つのプロセッサに実行させるように、少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令が記憶されている。本発明の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体には、本発明にて提供される画像収集設備の監視方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータ命令が記憶されている。
【0068】
メモリ720は、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体として、本発明の実施形態の画像収集設備の監視方法に対応するプログラム命令/モジュール(例えば、図4に示す停止位置決定モジュール401、標示線決定モジュール402及びずれ決定モジュール403)などのような、非一時的なソフトウェアプログラム、非一時的なコンピュータ実行可能なプログラム及びモジュールを記憶するために用いることが可能である。プロセッサ710は、メモリ720に記憶されている非一時的なソフトウェアプログラム、命令及びモジュールを実行することにより、サーバの様々な機能アプリケーション及びデータ処理を実行し、即ち、上記方法の実施形態の画像収集設備の監視方法を実施する。
【0069】
メモリ720は、オペレーティングシステムや少なくとも1つの機能に必要なアプリケーションプログラム記憶することが可能なプログラム記憶領域と、画像収集設備の監視方法による電子設備の使用によって作成されたデータなどを記憶することが可能なデータ記憶領域とを含む。また、メモリ720は、高速ランダムアクセスメモリを含んでもよく、非一時的なメモリを含んでもよく、例えば、少なくとも1つの磁気ディスクストレージデバイス、フラッシュメモリデバイス、又は他の非一時的なソリッドステートメモリデバイスがある。一部の実施形態において、メモリ720は、プロセッサ710に対して遠隔的に設置されたメモリを含むものを選択してもよく、これらの遠隔メモリは、ネットワークを介して上記電子設備に接続されてもよい。上記ネットワークは、実例としてインターネット、企業イントラネット、ローカルエリアネットワーク、モバイル通信ネットワーク、及びそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0070】
上記電子設備は、入力装置730と出力装置740とをさらに含み得る。プロセッサ710、メモリ720、入力装置730及び出力装置740は、バス又は他の方法を介して接続されてもよく、図7では、バスを介して接続されることを例に挙げる。
【0071】
入力装置730は、入力された数字や文字情報を受信可能で、上記電子設備のユーザ設定及び機能制御に関するキー信号の入力が発生し、例えば、タッチスクリーン、キーパッド、マウス、トラックボード、タッチパネル、ポインティングスティック、1つ又は複数のマウスボタン、トラックボール、ジョイスティックなどの入力装置がある。出力装置740は、表示装置、補助照明装置(例えば、LED)、及び触覚フィードバック装置(例えば、振動モータ)などを含み得る。当該表示装置は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display、LCD)、発光ダイオード(Light Emitting Diode、LED)ディスプレイ及びプラズマディスプレイを含み得るが、これらに限定されるものではない。一部の実施形態において、表示装置はタッチスクリーンであってもよい。
【0072】
本明細書で説明するシステム及び技術の様々な実施形態は、デジタル電子回路システム、集積回路システム、特定用途向け回路(Application Specific Integrated Circuits、ASIC)、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/又はこれらの組み合わせによって実現されることができる。これらの様々な実施形態は、少なくとも1つのプログラマブルプロセッサを含むプログラマブルシステム上で実行及び/又は解釈されえる1つ又は複数のコンピュータプログラムに実装され、当該プログラマブルプロセッサは、特定用途向け又は汎用のプログラマブルプロセッサであってもよく、記憶システム、少なくとも1つの入力装置、及び少なくとも1つの出力装置からデータ及び命令を受信するとともに、データ及び命令を当該記憶システム、当該少なくとも1つの入力装置、及び当該少なくとも1つの出力装置に伝送することができる。
【0073】
これらのコンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、又はコードとも言う)は、プログラマブルプロセッサの機械語命令を含み、プロセス指向及び/又はオブジェクト指向のプログラミング言語、及び/又はアセンブリ/機械語を用いてこれらのコンピュータプログラムを実施してもよい。本明細書に使用されるように、「機械可読媒体」及び「コンピュータ可読媒体」という用語は、機械語命令及び/又はデータをプログラマブルプロセッサに提供するための如何なるコンピュータプログラム製品、設備、及び/又は装置(例えば、磁気ディスク、光ディスク、メモリ、プログラマブル論理装置(programmable logic device、PLD))を意味し、機械可読信号としての機械語命令を受信する機械可読媒体を含む。「機械可読信号」という用語は、機械語命令及び/又はデータをプログラマブルプロセッサに提供するための如何なる信号を言う。
【0074】
ユーザとのイントラクションを提供するために、コンピュータ上で本明細書に説明したシステム及び技術を実施してもよく、当該コンピュータは、ユーザに情報を表示するための表示装置(例えば、CRT(Cathode Ray Tube、ブラウン管)又はLCD(液晶ディスプレイ)モニタ)と、キーボード及びポインティングデバイス(例えば、マウスやトラックボールなど)とを有し、ユーザは当該キーボード及び当該ポインティングデバイスを介して入力をコンピュータに提供することができる。他の種類の装置も、ユーザとのインターアクションを提供するために用いることができ、例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、如何なる形式の感覚フィードバック(例えば、ビジョンフィードバック、聴覚フィードバック、又は触覚フィードバック)であってもよく、如何なる形式(音響入力、音声入力又は触覚入力を含む)でユーザからの入力を受信してもよい。
【0075】
本明細書に説明したシステム及び技術は、バックグラウンド部材を含むコンピューティングシステム(例えば、データサーバとして)、又はミドルウェア部材を含むコンピューティングシステム(例えば、アプリケーションサーバ)、又は、フロントエンド部材を含むコンピューティングシステム(例えば、グラフィカルユーザインターフェース又はWebブラウザを備えたユーザコンピュータであって、ユーザは当該グラフィカルユーザインターフェース又は当該Webブラウザを介して本明細書に説明したシステム及び技術に係る実施形態とインタラクションを行うことができる)に実行されてもよく、又は、このようなバックグラウンド部材、ミドルウェア部材、又はフロントエンド部材の任意の組合せを含むコンピューティングシステムで実行されてもよい。システムの部材は、任意の形態又は媒体のデジタルデータ通信(例えば、通信ネットワーク)を介して相互に接続されてもよい。通信ネットワークの例として、ローカルネットワーク(Local Area Network、LAN)、広域ネットワーク(Wide Area Network、WAN)及びインターネットを含む。
【0076】
コンピュータシステムは、デバイス端末及びサーバを含み得る。デバイス端末及びサーバは、一般に、互いに離れていて、且つ通常通信ネットワークを介してインターアクションする。デバイス端末とサーバとの関係は、対応するコンピュータ上で実行されるとともに互いにデバイス端末―サーバ関係を有するコンピュータプログラムによって生成される。
【0077】
なお、上記の様々な態様のフローを用いて、ステップを並び替え、追加、又は削除することが可能であることを理解すべきである。例えば、本発明に開示される技術的解決手段の望ましい結果が実現される限り、本発明に記載の各ステップは、同時に実行されても、順番に実行されても、異なる順序で実行されても良く、本明細書では制限しない。
【0078】
上記具体的な実施形態は、本発明の保護範囲を限定するものではない。当業者は、設計要件やその他の要因に従って、様々な修正、組み合わせ、サブ組み合わせ、及び置換を行うことができることを理解すべきである。本発明の要旨及び原則内で行われるあらゆる修正、同価置換、改良などは、いずれも本発明の保護範囲に含まれるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7