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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-22
(45)【発行日】2022-08-01
(54)【発明の名称】大きさを縮小可能な眼鏡ケース
(51)【国際特許分類】
   A45C 11/04 20060101AFI20220725BHJP
【FI】
A45C11/04 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020505428
(86)(22)【出願日】2018-07-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-29
(86)【国際出願番号】 IB2018055596
(87)【国際公開番号】W WO2019025915
(87)【国際公開日】2019-02-07
【審査請求日】2021-06-08
(31)【優先権主張番号】102017000090077
(32)【優先日】2017-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】500064225
【氏名又は名称】サフィーロ・ソシエタ・アツィオナリア・ファブリカ・イタリアナ・ラボラツィオーネ・オッチアリ・エス・ピー・エー
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドナ,クリスチャン
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0292313(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0254959(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 1/00~15/08
A45F 3/00~ 3/12
B65D 30/00~33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大きさを縮小可能な眼鏡ケースであって、
弾力的な可撓性材料からなる1つのみの線状要素(5)を含み、該線状要素(5)が閉じた輪郭を有しかつ第1の実質的に鞍形の形状を呈するように折り曲げられ、該第1の実質的に鞍形の形状において、該線状要素(5)の上部領域(5c)に対して互いに反対側から側方に伸長する該線状要素(5)の2つのフレーム部分(5a、5b)が形成される、インナーフレーム(4)と、
前記第1の実質的に鞍形の形状に前記インナーフレーム(4)を保持するために設けられ、薄い可撓性材料からなり、かつ前記インナーフレーム(4)にその輪郭に沿って接続され、かつ前記眼鏡ケースの内部容積を画定するように伸長する、ケース本体(2)と、を備え、
前記眼鏡ケースが、実質的に「8の字形の」形状となるように行われる前記フレーム部分(5a、5b)の第1の相対的なねじり折りと、それに続く、前記眼鏡ケースが実質的に平坦な形状となるまで前記フレーム部分(5a、5b)を互いに近づけ重なり合わせるように行われる第2の折りたたみとによって、大きさが縮小された第2の非作動形状を呈することができることを特徴とする、
眼鏡ケース。
【請求項2】
前記インナーフレーム(4)は、金属またはプラスチック材料からなるワイヤであることを特徴とする、
請求項1に記載の眼鏡ケース。
【請求項3】
前記線状要素(5)は、第1の変形によって閉じた輪郭を有するリングを形成するように互いに接続される対向する自由端を有し、前記鞍形は、前記リングが楕円形を呈するように該リングが存在する平面上で行われる該リングの第2の変形と、それに続く、前記リングが存在する平面に垂直な平面および前記第2の変形がなされる方向を横断する方向に前記楕円形状が弓形状に折り曲げられる第3の変形とによって得られることを特徴とする、
請求項1または2に記載の眼鏡ケース。
【請求項4】
前記ケース本体(2)は、布、天然皮革あるいは人工皮革、またはプラスチックフィルムあるいはプラスチックシートで作られることを特徴とする、
請求項1~3のいずれか1項に記載の眼鏡ケース。
【請求項5】
前記線状要素(5)は、前記眼鏡ケースの外縁部(6)に沿って線状要素(5)を接続するための縫合によって前記ケース本体(2)に保持されることを特徴とする、
請求項1~4のいずれか1項に記載の眼鏡ケース。
【請求項6】
前記ケース本体(2)は、前記インナーフレーム(4)の前記線状要素(5)を受容して保持するための管状リム(7)を前記ケース本体(2)の内側に備える外縁部(6)を有することを特徴とする、
請求項1~5のいずれか1項に記載の眼鏡ケース。
【請求項7】
前記管状リム(7)は、折りたたまれて縫合された布で作られることを特徴とする、
請求項6に記載の眼鏡ケース。
【請求項8】
前記管状リム(7)は、前記ケース本体(2)の前記外縁部(6)に沿って縫合された可撓性ケーシング(8)を含むことを特徴とする、
請求項6に記載の眼鏡ケース。
【請求項9】
前記線状要素(5)は、ばね鋼で作られることを特徴とする、
請求項1~8のいずれか1項に記載の眼鏡ケース。
【請求項10】
大きさが縮小された前記第2の形状を形成するための折りたたみの過程に蓄積される弾性引張状態の結果として、前記眼鏡ケースは前記第2の非作動形状から前記第1の実質的に鞍形の形状に自発的に戻ることができ、したがって前記インナーフレーム(4)がその第1の実質的に鞍形の形状に戻ることを特徴とする、
請求項1~9のいずれか1項に記載の眼鏡ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大きさを縮小可能な眼鏡ケースに関する。
【0002】
先行技術において、眼鏡ケースは、ある程度丈夫な形状で設計されていることが通例であり、とりわけ取り扱いに適した大きさではない場合がある。
【背景技術】
【0003】
時間の経過と共に眼鏡ケースが進化しており、「非作動」形状においても、すなわち、ケースを閉じる際にシャフトを折りたたんだ状態においても相当の寸法を有するという特徴を持ったケースが設計および流通されるようになっている。これは、フロントケースにおいて急な曲面(すなわち、小さな曲率半径)を有することで、シャフトが折りたたまれた状態で閉じた形状であっても必然的に大きな横寸法が維持されるという特徴を持ったラップ型の眼鏡の場合に典型的である。
【0004】
したがって、このようなタイプの眼鏡には、相応の収容能力を備える筐体を用いる必要があり、結果として同様のケースにおいて相当な大きさを有することになる。したがって、このような寸法を有するケースは、例えば、服のポケットに入れて持ち運んだり保管したりするのに特に適してはいないことが分かる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主な目的は、引用した先行技術を参照して明示した課題を克服するように構造的かつ機能的に設計された眼鏡ケースを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的および後述のその他の目的は、添付の特許請求の範囲にしたがって設計されたケースを用いて本発明によって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
改良が施された本発明の特徴および利点は、図示された構成を参照して、限定的ではなく例示としての好適な実施形態を含む以下の詳細な説明から得られる。
図1】本発明にしたがって設計されたケースの斜視図である。
図2図1のケースの別の斜視図である。
図3】上記の図面におけるケース内に眼鏡が部分的に収納された状態を示す斜視図である。
図4】上記の図面におけるケースの1つの要素が第1の所定の形状を得るための一連の折りたたみ段階を示す図である。
図5】上記の図面におけるケースの1つの要素が第1の所定の形状を得るための一連の折りたたみ段階を示す図である。
図6】上記の図面におけるケースの1つの要素が第1の所定の形状を得るための一連の折りたたみ段階を示す図である。
図6A図6に対応する別の斜視図である。
図7図6における1つの要素が第2の形状を得るための一連の折りたたみ段階を示す図である。
図8図6における1つの要素が第2の形状を得るための一連の折りたたみ段階を示す図である。
図9図6における1つの要素が第2の形状を得るための一連の折りたたみ段階を示す図である。
図10図6における1つの要素が第2の形状を得るための一連の折りたたみ段階を示す図である。
図11】一連の折りたたみ段階の図8に対応する段階におけるケースの斜視図である。
図12】一連の折りたたみ段階の図9に対応する段階におけるケースの斜視図である。
図13】一連の折りたたみ段階の図10に対応する段階におけるケースの斜視図である。
図14】上記の図面におけるケースの1つの要素の1部分を示す部分拡大斜視図である。
図15図14に示された要素の変形例を示す図である。
図16】スペース縮小形状で示されたケース保持具の第1の例を備えた、図12に対応するケースの概略図である。
図17】スペース縮小形状で示されたケース保持具の第2の例を備えた、図13に対応するケースの概略図である。
図18】スペース縮小形状におけるケース保持具の第2の例の変形例に関する、図17に対応するケースの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
上記引用図面を参照すると、1は、本発明にしたがって設計される眼鏡ケースを示す。
【0009】
ケース1は、厚みを減らした可撓性(または折りたたみ可能な)材料で便宜上設計され、図3に一般的に示されかつ参照符号3によって識別される眼鏡フレームを収納するための内部ケース容積を画定するケース本体2を含む。
【0010】
ケースへの眼鏡の出し入れをするために、本体2は、例えばジッパー機構2b(「ジップ」ファスナーとしても知られる)で開閉可能な開口部2aを備える。
【0011】
上記ケースは、全体的に4で示され、弾力性のある可撓性材料からなる線状要素5を用いて設計されるインナーフレームを本体2内に収容するように作られており、インナーフレーム4が本体2に接続されることで、ケースが眼鏡3を内部に収納可能な最大の大きさとなる第1の所定の作動形状を取ること、および大きさが縮小され、眼鏡がケースに収納されていない場合における、以下の説明によって明示される第2の非作動形状を取ることが可能になっている。
【0012】
フレーム4の線状要素5は、弾力性のある可撓性材料を用いて設計される。当該材料は、ばね鋼などの金属材料、(特に「NYLON」という名称で商業的に示される)ポリアミド系材料などのプラスチック材料、またはその他の種類のポリマー材料などで作ることができる。
【0013】
以下で説明される好適な実施形態では、線状要素5の材料は金属材料であることを意図している。
【0014】
上記線状要素5は、閉じた輪郭を有し、上記第1の実質的に鞍形の形状を呈するように折り曲げられる。
【0015】
このような鞍形の形状を得るためには、真っ直ぐな金属ワイヤをそれぞれの自由端が相互に接続されるように折り曲げてリング状になるように作成することが望ましい。接合の一例としては、ワイヤの端部同士が、金属スリーブの塑性変形によって(例えば、押しつぶすことによって)同スリーブの内側で固定される形態がある。
【0016】
ワイヤが存在する平面内でなされる図4に示す線状要素5の第1の変形によって、当該ワイヤ自体において第1のレベルの弾性張力が発生する。
【0017】
この形状から、閉じた輪郭を備えるリング形状のワイヤが、図5に示すように、2つの直径方向に対向するワイヤ区間を寄せ合わせる第2の変形によってさらに折り曲げられることで実質的に楕円形状となり、それに伴ってワイヤの弾性強度が増加される。こうして得られた形状から、第3の変形によって、楕円形状は、リングが存在する元の平面に垂直な折り曲げ平面上で弓状になるように折り曲げられ、図6に示す鞍形の(弓状の楕円)形状となる。この折り曲げの結果、ワイヤの弾性張力が増加する。
【0018】
こうして確定した鞍形の形状では、2つの対向する弓状部5a、5bが線状要素5において存在し、鞍形状の上部領域5cに対して互いに反対側から側方に伸長している。
【0019】
このような配置に保持された場合にのみ、折り曲げに伴う弾性収縮強度に反して鞍形状を維持するフレーム4は、ケース本体2内に収納および保持され、外縁部6が対応する鞍形状を呈する。言い換えれば、ケース本体2が鞍形のフレーム4に接続することで、フレーム4が、特定の方向には変形可能で、それ以外の方向に対しては限定的に変形するか全く変形できない状態になる。
【0020】
フレームがケースの内側に配置されているとき、例えば、線状要素を(図6Aの矢印Cの方向に)圧縮して、一方の弓状部または別の弓状部における点Aと点B(図6Aに示す)とを接触させることによって、楕円形状の長辺同士を寄せ合わせようとしても、このような動作は実際には不可能である。
【0021】
フレームの2つの対向する端部を上手く寄せ合わせるためには、実際、楕円形状を、弾性収縮力の作用として、長手方向に(矢印Dの方向に)拡げることが必要である。しかしながら、ケース本体が、可撓性があり折りたたみ可能ではあるが伸長可能ではない材料で設計されている場合、実際、フレームを長手方向へ伸長させることはできない。
【0022】
代わりに、ケース本体が、可撓性があり折りたたみ可能かつ伸長も可能な材料、例えば、弾力性のある布から設計されているとしても、長手方向へのケースの伸長は非常に制限される。弾力性のある布が弾力的に伸長するのは実際にはわずかであり、変形が適度なものである場合を除いて、フレームに生じる拡張に合わせて伸長するものではない。さらに、一旦引き伸ばされると、弾力性のある布は弾性収縮する性質を示し、外部応力が停止されるとすぐにフレームをその元の形状に戻すのに十分な弾性収縮力を生じる。
【0023】
フレーム(およびケース)は、したがって、楕円形状の2つの側部を寄せ合わせるという意味では、変形可能でもなければ圧縮可能でもなく、折りたたみ可能でもない。2つの中間点(図6Aの点M1と点M2)を寄せ合わせることができる程度である。
【0024】
上述の材料に関して、ケース本体2は、布、天然皮革あるいは人工皮革、またはプラスチックフィルムあるいはプラスチックシートから作成することができる。
【0025】
これらの中から、弾力性があり、したがって弾力的に伸長可能な布、または弾力性のない布、すなわち、伸長不能な布を選択することが可能である。
【0026】
同様に、プラスチックフィルムまたはプラスチックシートを選択する場合は、弾力的に伸長可能なプラスチック材料または伸長不能なプラスチック材料を選択することが可能である。
【0027】
特に、弾力的に伸長可能なプラスチック材料が使用される場合、ケース本体2を、例えばスロットまたは開口として形成される開口部2aのための閉鎖機構を持たないように設計することが可能である。開口部2aの2つの対向する端部が「静止」位置においてわずかにでも重なり合うように、当該端部の寸法を適切に設計することにより、実際、ケース本体を作成する材料の弾力性を利用してある種の自動閉鎖構造を得ることが可能である。フレームを開口部からケースに挿入するためには、実際、フレームが開口部の縁部の間を通ることができるように十分に開口部の縁部の一方を他方から軽く移動させればよい。一旦フレームがケースに挿入されて開口部の2つの縁部が解放されると、これらの縁部を作るための材料が有する弾性収縮する性質により、これらの縁部は元の位置に自発的に戻り、ケースの開口部が閉じられる。
【0028】
代替的な形態では、スロットまたは開口に関連する領域に対応するケース本体の部分のみを弾力性のある材料で設計し、かつケース本体の残りの部分を弾力性のない材料で設計することが可能である。
【0029】
なお、上記の自動的に閉じるタイプのスロットを設計することにより、意図しない接触または滑動が起きた場合にフレームを損傷しかねない部品を組み込むことが避けられるという利点がもたらされる。例えば、ジッパー機構は、典型的には、意図しない摩擦が発生した場合にフレームまたは眼鏡のレンズを表面的に損傷してしまうぐらいに尖った角を有している一連の硬い要素からなる。このような摩擦は、ケースからフレームを出し入れする動作中に起きる可能性があり、またはケース内でフレームを単純に動かすことで起きる可能性もある。
【0030】
ケース本体2内でフレーム4を保持するために、一実施形態では、線状要素5が、外縁部6に沿ってケース本体に縫合されることが望ましい。このような手法は、例えば(しかしこの場合だけではないが)、ケース本体が布または革で設計される場合に効率的である。
【0031】
さらなる一実施形態では、ケース本体が、ケース本体の内側に、フレームの線状要素5を受容して保持するための管状リム7(図14)を備える外縁部6を有することが望ましい。当該管状リム7は、便宜上折りたたまれて縫われた布で作成され、外縁部の内側部分に沿って連続的に伸長することができるか、あるいは(対応する外縁部に沿った)伸長範囲が短く、各外縁部に沿って配置され、所定の距離だけ互いに離間した別々の管状成形部として設計することができる。または、当該管状リム7は、ケース本体2の外縁部に沿って縫合され、その間にインナーフレームのワイヤが挿通される可撓性ケーシング8(図15)を含む。
【0032】
フレームがねじれ運動を受けると、図8に示すように、2つの対向する側部の中央部分を寄せ合わせ、重ね合わせるように楕円形状の部分5a、5bが回転し、「8の字形の」形状となり、この場合、当該フレームによってもたらされる弾性抵抗は小さく、当該動作は容易である。
【0033】
この場合、実際に上述の動作を行うために、ケースの本体は簡便に折りたためることが必須であり、空間のいずれの方向への伸長を必要としない。
【0034】
フレーム(およびケース)は、したがって、「8の字形の」形状に直接ねじるという意味において変形可能/折りたたみ可能である。
【0035】
なお、楕円形状の2つの分岐部の中間点(点M1および点M2)に対応する2つの部分は、「8の字形の」形状において重なり合っていないが等距離に位置している。実際は、フレームは単一平面上に存在している。
【0036】
その場合であっても、「8の字形の」形状は、金属フレームの安定した形状を表しておらず、すなわち、安定かつ不変な状態を維持するということにはなりにくい。
【0037】
実際、特定の値の弾性エネルギーを有する形状が維持される。金属フレームを安定に維持する力あるいは一連の接続が不足すると、「8の字形」に折りたたまれたケースは、自発的かつ即座にそれ自体の元の形状に戻る。
【0038】
この形状から、さらなる折りたたみ運動によって、部分5a、5bは、互いに実質的に重なり合わされることで平坦な形状となる。図9では、フレームがほぼ完全に折りたたまれた状態で示され、図10は、完全に折りたたまれたフレームを示している。
【0039】
フレームに応じて最小の大きさとなったこの平坦な形状でも、フレームの安定した形状を表しておらず、すなわち、安定かつ不変な状態を維持するということにはなりにくい。実際、この形状であっても、特定の値の弾性エネルギーを有する形状である。金属フレームを安定に維持する力あるいは一連の接続が不足すると(例えば、ポケット、バッグ、頑丈な容器)、図9または図10の状態に折りたたまれたケースは、自発的かつ即座にそれ自体の元の形状に戻る。
【0040】
ケース本体が設計される材料は、実質的に上述したフレームの折りたたみ運動を妨げることはないため、ケースは、フレームの線状要素のみを参照して説明した一連の折りたたみ運動に対応する運動によって、その大きさが最大となる伸長した形状から、大きさが縮小した第2の非作動形状を呈することができる。
【0041】
図11に示すように、ケースがその平面上でほぼ平坦となる「8の字形の」形状となるように、フレームの部分5a、5b間の相対張力を伴う第1の折りたたみが加えられて初めてケースの折りたたみが開始される。続いて第2のひねり折りを行うことにより、「8の字形の」形状の2つのドロップ形状の輪郭(フレーム部分5a、5bに対応)が互いに重なり合う位置に動かされることで、当該ドロップ形状の輪郭が互いに接触するように重ね合わされた図13に示す平坦なケースの形状が得られ、上述の大きさが最小となる形状となる結果、極めてコンパクトな寸法を有する当該ケースは、例えばポケットに容易にかつ無理なく入れることができる。
【0042】
ポケットあるいはケースを最小の寸法に拘束する任意の容器からケースが取り出される(したがって、あらゆる拘束から自由になる)と、ケースは自動的に「再び開く」ことになる。起こり得る拘束から自由になれば、実際、ケースは、金属のインナーフレームに現出する(フレームを折りたたむ段階で蓄積された弾性引張状態によって生じる)弾性収縮作用によって、すぐにその元の形状(「鞍形の」形状)に自発的に復元する。
【0043】
弾力性のある材料、すなわち、弾力的に伸長可能な材料がケース本体に使用される場合、自発的に弾性収縮するというケース本体の性質が、金属のインナーフレームに現出する弾性収縮作用に加えられ、したがって、速さおよび勢いの面で、ケースの「自動的に再び開く」作用がある程度増大される。一実施形態では、ケースが、ケース自体に組み込まれる1つ以上の掛止要素または保持要素によって、大きさが縮小した上述の非作動形状に保持されることが望ましい。
【0044】
特に、ケース上に取り外し可能な固定具、例えば、「スナップボタン」を設けることができ、この場合、ケースの上面および下面のそれぞれの、インナーフレームからなる上述のリングの元の平面に対して垂直でかつ鞍形状の上部領域5cを通る対称平面に対して対称的な位置であって、好適には2つの対向する弓状部5a、5bの各々に近接する位置に、1つ以上の押しボタン9の「雄型」部品9aと「雌型」部品9bとが設けられる。このような位置では、ケースが大きさを縮小した非作動形状に折りたたまれると、押しボタンの「雄型」部品と「雌型」部品とが互いに適切な向きに置かれ、取り外し可能な固定具としての機能を果たすことができる。
【0045】
あるいは、ケース本体に使用されるものと同じ材料からなるか、または柔軟で折りたたみ可能または可撓性であればケース本体とは別の材料からなる場合もある、弾力性のある帯状部材10または弾力性のない帯状部材10を組み込むことができ、このような帯状部材は、大きさを縮小した位置に折りたたまれたケースの寸法に対応する寸法を有する留め穴が形成されるように、その両端がケースの外縁部の所定の領域上で固定(例えば、縫い付け)される(図17)。このように、バッグやポケットなどの固縛手段の使用とは関係なく、または当該手段を用いずに、帯状部材の下方の開口に折りたたまれたケースを挿入することができ、さらに折りたたまれた形状にあるケースを一時的に結合する手段として帯状部材を使用することができる。
【0046】
その他の方法として、帯状部材は、ケースに対して部分的に設けることができ、例えば、楕円形またはリング形に構成される(したがって、閉じた輪郭となるように互いに固定される2つの端部を有する)か、あるいは、開いた輪郭を有し、2つの端部を相互に固定するための、例えば「ベルクロ(Velcro)(登録商標)のような取り外し可能な固定具を備える帯状に形成される(図18)。
【0047】
本発明は、上記により、提示した目的を達成し、引用した全ての手法に関して利点を得る。
【0048】
主要な利点は、本発明に係るケースが、無理なく折りたたむことができ(不使用時)、大容量の(相当な大きさおよび寸法を有する眼鏡を収納するのにも適している)容積から、例えば服のポケットにも保管できるほど小さく縮めることができることである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図6A
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18